(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/16 20060101AFI20220329BHJP
G06F 3/0481 20220101ALI20220329BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20220329BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
G06F3/16 660
G06F3/0481
H04N1/00 C
B41J29/42 F
(21)【出願番号】P 2018010887
(22)【出願日】2018-01-25
【審査請求日】2020-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】吉見 駿
【審査官】木村 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-081140(JP,A)
【文献】特開2007-086856(JP,A)
【文献】特開2006-128906(JP,A)
【文献】特開2016-091282(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/16
G06F 3/0481
H04N 1/00
B41J 29/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プログラムに係る操作画面において操作するための音声を音声出力手段によって音声出力するよう制御する音声出力制御部と、
プログラムごとに関連付けられる音声説明対応情報を取得する音声説明対応情報取得部と、
前記音声説明対応情報取得部によって取得される音声説明対応情報に応じて、前記操作画面上でのプログラムの表示を制御する操作画面制御部と、
を有し、
前記音声説明対応情報は、プログラムに係る操作画面において操作するための音声が出力可能か否かを示す情報を含み、
前記音声出力制御部は、前記音声説明対応情報に基づいて、操作画面において操作を促す音声を出力し、
前記音声説明対応情報が第1のプログラムに係る操作画面において操作するための音声に対応しない場合、前記音声出力制御部は、前記第1のプログラムが音声説明に対応しないことを示す音声及び音声説明に対応する他のプログラムに遷移するリカバリ処理の開始を促す音声を出力することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記音声説明対応情報がプログラムに係る操作画面において操作するための音声に対応しない場合、前記操作画面制御部は、前記音声説明対応情報に関連付けられるプログラムを起動させるアイテムの前記操作画面上での表示を、非表示又はグレーアウトにすることを特徴とする
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
プログラムに係る操作画面において操作するための音声を音声出力手段によって音声出力するよう制御する音声出力制御手順と、
プログラムごとに関連付けられる音声説明対応情報を取得する音声説明対応情報取得手順と、
前記音声説明対応情報取得手順によって取得される音声説明対応情報に応じて、前記操作画面上でのプログラムの表示を制御する操作画面制御手順と、
を実行
し、
前記音声説明対応情報は、プログラムに係る操作画面において操作するための音声が出力可能か否かを示す情報を含み、
前記音声説明対応情報に基づいて、操作画面において操作を促す音声を出力する手順と、
前記音声説明対応情報が第1のプログラムに係る操作画面において操作するための音声に対応しない場合、前記第1のプログラムが音声説明に対応しないことを示す音声及び音声説明に対応する他のプログラムに遷移するリカバリ処理の開始を促す音声を出力する手順と、
を実行することを特徴とする情報処理方法。
【請求項4】
情報処理装置で実行可能なプログラムであって、
プログラムに係る操作画面において操作するための音声を音声出力手段によって音声出力するよう制御する音声出力制御手順と、
プログラムごとに関連付けられる音声説明対応情報を取得する音声説明対応情報取得手順と、
前記音声説明対応情報取得手順によって取得される音声説明対応情報に応じて、前記操作画面上でのプログラムの表示を制御する操作画面制御手順と、
を前記情報処理装置に実行させ
、
前記音声説明対応情報は、プログラムに係る操作画面において操作するための音声が出力可能か否かを示す情報を含み、
前記音声説明対応情報に基づいて、操作画面において操作を促す音声を出力する手順と、
前記音声説明対応情報が第1のプログラムに係る操作画面において操作するための音声に対応しない場合、前記第1のプログラムが音声説明に対応しないことを示す音声及び音声説明に対応する他のプログラムに遷移するリカバリ処理の開始を促す音声を出力する手順と、
を前記情報処理装置に実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、弱視者、色覚異常者、全盲者等の視覚障がい者による機器の操作を機器の操作情報を音声で読み上げて補助するスクリーンリーダの技術が知られている。機器の操作情報は、視覚障がい者が機器の操作を音声により行う場合に必要となる情報であり、操作情報の中には、機器の使い方について説明する情報又は機器の表示画面に表示するテキスト情報等が含まれる。機器の管理者が機器のスクリーンリーダの設定を有効にしておくことにより、機器の操作情報が音声で読み上げられ、視覚障がい者でも機器を操作することができる。
【0003】
画像処理装置において、健常者、中程度の障がい者、重度の視覚障がい者等の障がいの程度に応じた専用表示モードで処理を実行するものがある。当該画像処理装置は、まず、認証処理の際に、中程度の障がい者には視認性の良いパスワード入力画面を表示し、重度の視覚障がい者にはパスワード入力処理を省略する。当該認証処理を経て、画像処理装置は、弱視者又は色覚異常者等の視覚障がい者を対象に専用表示モードで起動し、所定のセキュリティ関連機能の制限下での処理を実行する(特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のスクリーンリーダ非対応である機能は、操作画面上から当該機能に対応するファンクションボタン又はアプリケーションのアイコンを非表示にすることで、当該機能への遷移を防止したため、ユーザが周囲のサポートを得られるケース、又は視力を矯正できるケースであっても、スクリーンリーダ非対応である機能を操作できないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ユーザがスクリーンリーダを必要とする視覚障がい者であっても、ユーザが意図した場合はスクリーンリーダ非対応な機能を操作することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、情報処理装置は、プログラムに係る操作画面において操作するための音声を音声出力手段によって音声出力するよう制御する音声出力制御部と、プログラムごとに関連付けられる音声説明対応情報を取得する音声説明対応情報取得部と、前記音声説明対応情報取得部によって取得される音声説明対応情報に応じて、前記操作画面上でのプログラムの表示を制御する操作画面制御部と、を有し、前記音声説明対応情報は、プログラムに係る操作画面において操作するための音声が出力可能か否かを示す情報を含み、前記音声出力制御部は、前記音声説明対応情報に基づいて、操作画面において操作を促す音声を出力し、前記音声説明対応情報が第1のプログラムに係る操作画面において操作するための音声に対応しない場合、前記音声出力制御部は、前記第1のプログラムが音声説明に対応しないことを示す音声及び音声説明に対応する他のプログラムに遷移するリカバリ処理の開始を促す音声を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
ユーザがスクリーンリーダを必要とする視覚障がい者であっても、ユーザが意図した場合はスクリーンリーダ非対応な機能を操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態におけるMFP1のシステム構成例を示す図である。
【
図2】本発明の実施の形態におけるMFP1のハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】本発明の実施の形態における操作デバイス20の機能構成例を示す図である。
【
図4】本発明の実施の形態におけるアプリ情報テーブルの一例を示す図である。
【
図5】本発明の実施の形態におけるスクリーンリーダ非対応の機能に遷移する処理を説明するためのシーケンス図である。
【
図6】本発明の実施の形態におけるアクセシビリティレベル案内に係る処理を説明するためのシーケンス図である。
【
図7】本発明の実施の形態におけるスクリーンリーダ非対応の機能の表示の一例を示す図である。
【
図8】本発明の実施の形態におけるスクリーンリーダ非対応の機能からリカバリする処理を説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る情報処理装置、情報処理方法及びプログラムの実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施の形態におけるMFP1のシステム構成例を示す図である。MFP1(Multifunction Peripheral)は、コピー機能、スキャナ機能、プリンタ機能又はファクス機能等の複数の機能の内の異なる2つ以上の機能を有する装置である。なお、MFP1は、2つ以上の機能を有する装置に限らず単一機能を有するプリンタ装置等であってもよい。また、MFP1は、電子黒板、電子会議システム等の装置又はシステムであってもよい。
【0011】
図1に示されるように、MFP1は、本体10と操作デバイス20とを有する。本体10は、「画像処理装置」の一例であり、コピー又はスキャニング等を行う画像処理ユニット、画像を形成する画像形成ユニット等を有する。本体10は、外部から操作命令を受け付け、当該操作命令に応じて、画像処理ユニット又は画像形成ユニット等を制御する。
【0012】
操作デバイス20は、本発明の実施の形態に係る「情報処理装置」の一例として示すものである。操作デバイス20は、ユーザが本体10の設定又は操作等を行うためのユーザインタフェースを提供する。本体10と操作デバイス20とは、有線又は無線により通信接続され、その通信路30(
図2参照)を介して操作命令又はデータ等を送受信する。ユーザは、操作デバイス20により本体10に操作命令を送信し、本体10は、当該操作命令を受け付けて画像処理又は画像形成処理を実行する。
【0013】
図2は、本発明の実施の形態におけるMFP1のハードウェア構成例を示す図である。
図2に示されるように、本体10は、CPU(Central Processing Unit)100、ROM(Read Only Memory)101、RAM(Random Access Memory)102、HDD(Hard Disk Drive)103、通信I/F104、接続I/F105及びエンジン106を有する。各ハードウェアはシステムバス107を介して相互に接続されている。
【0014】
CPU100は、演算処理又は制御処理を実行する中央演算処理装置である。CPU100は、ROM101又はHDD103等に格納されている各種のプログラムをRAM102に読み出し、演算処理又は制御処理を実行して、本体10を統括的に制御する。
【0015】
ROM101は、固定プログラム(例えばBIOS(Basic Input/Output System)等)を記憶する不揮発性メモリである。RAM102は、CPU100が各種処理の際の作業領域などとして使用する揮発性メモリである。HDD103は、OS(Operating System)、アプリプログラム及び大容量データ等を格納する補助記憶装置である。なお、本明細書において「アプリ」は「アプリケーション」のことを指す。
【0016】
通信I/F104は、本体10がLAN(Local Area Network)又はVPN(Virtual Private Network)等の通信ネットワークに接続するためのインタフェースである。
【0017】
接続I/F105は、操作デバイス20との間で通信路30を介して通信接続するUSB(Universal Serial Bus)規格等のインタフェースである。なお、本体10と操作デバイス20との接続はUSBに限定されず、その他のバス又はLANであってもよい。また、通信路30は有線に限らず無線であってもよい。
【0018】
エンジン106は、画像処理コントローラ、原稿をスキャンして読み取るスキャナ又は用紙等の記録媒体への印刷を行うプロッタ等を有する。
【0019】
図2に示される操作デバイス20は、CPU200、ROM201、RAM202、フラッシュメモリ203、通信I/F204、接続I/F205、タッチパネル206、LCD(Liquid Crystal Display)207、音声出力ユニット208及びカード読取ユニット209を有する。各ハードウェアは、システムバス210を介して相互に接続されている。
【0020】
CPU200は、演算処理や制御処理を実行する中央演算処理装置である。CPU200は、ROM201又はフラッシュメモリ203等に格納されている各種のプログラムをRAM202に読み出し、演算処理又は制御処理を実行して、操作デバイス20全体を統括的に制御する。
【0021】
ROM201は、固定プログラム(例えばBIOS等)を記憶する不揮発性メモリである。RAM202は、CPU200が各種処理の際の作業領域等として使用する揮発性メモリである。フラッシュメモリ203は、OS、アプリプログラム及び大容量データ等を格納する補助記憶装置である。
【0022】
通信I/F204は、操作デバイス20がLAN又はVPN等の通信ネットワークに接続するためのインタフェースである。
【0023】
接続I/F205は、本体10との間で通信路30を介して通信接続するUSB規格等のインタフェースである。なお、本体10と操作デバイス20との接続はUSBに限定されず、その他のバス又はLANであってもよい。また、通信路30は有線に限らず無線であってもよい。
【0024】
タッチパネル206は、LCD207の画面上において操作者によるタッチ位置を検知し、検知したタッチ位置の情報をCPU200に通知する入力装置である。なお、入力装置として、タッチパネル206の他にハードウェアキー等が設けられてもよい。
【0025】
LCD207は、例えば液晶の表示装置を有し、CPU200がLCD207に出力した画面情報を表示する表示手段の一例である。なお、表示手段として、液晶の他に、有機EL(Electro Luminescence)、LED(Light Emitting Diode)又はランプ等を用いたものであってもよい。
【0026】
音声出力ユニット208は、D/A変換回路、増幅器、スピーカ等を有する。音声出力ユニット208は、CPU200が出力したデジタル音声信号をアナログ音声信号に変換し、変換されたアナログ音声信号を増幅する等したものをスピーカから音声として空気中に伝播させる。
【0027】
カード読取ユニット209は、認証情報を記憶する個人識別カードから認証情報を読み取るカード読取装置である。個人識別カードは、例えば磁気カード又はICカード等である。
【0028】
図3は、本発明の実施の形態における操作デバイス20の機能構成例を示す図である。操作デバイス20は、ユーザが直接操作し、アプリを経由して機器の機能を利用可能とするインタフェースを提供する表示デバイスの機能を
図2に示されるタッチパネル206及びLCD207等で実現する。アプリA1~A4は、アプリケーションソフトウェアであって、操作デバイス20にインストールされ、複数の機能をユーザに提供するインタフェースを実現する。例としてアプリA1~A4の4つのアプリを図示しているが、アプリはさらに多数が操作デバイス20にインストールされてもよい。ポータルアプリPA1及びPA2は、他のアプリ又は機能への遷移の入り口を提供するアプリケーションソフトウェアである。例えば、ラウンチャ等のホームアプリがポータルアプリである。ポータルアプリは、アプリ情報管理部308から、遷移先のアプリのアクセシビリティ情報を取得し、当該アクセシビリティ情報に応じた処理を行う。例としてアプリPA1及びPA2の2つのアプリを図示しているが、ポータルアプリはさらに多数が操作デバイス20にインストールされてもよい。
【0029】
設定制御部302は、ユーザの認証状態によってスクリーンリーダ機能の設定変更、個人情報管理部303を利用してユーザごとの設定の関連付け、アプリへのスクリーンリーダ設定変更通知を行う。
【0030】
認証制御部301は、設定制御部302に対してのユーザのログイン状態を含む認証状態の通知を行う。
【0031】
個人情報管理部303は、ユーザごとのスクリーンリーダ設定情報を個人情報DB304に書き込み及び呼び出しを行う。個人情報DB304には、ユーザごとの設定情報が保存される。
【0032】
テキスト読み上げ制御部305は、スクリーンリーダ機能を実現するためにユーザインタフェースにおけるフォーカス位置の検出及びテキスト読み上げエンジン306を利用したテキスト読み上げを制御する。テキスト読み上げエンジン306は、テキスト情報を音声データに変換し読み上げを行う。音声出力部307は、
図2に示される音声出力ユニット208で実現され、テキスト読み上げエンジン306にて生成された音声情報を音声として出力する。
【0033】
アプリ情報管理部308は、操作デバイス20にインストールされている各アプリの情報を、アプリ情報DB309に書き込み及び呼び出しを行う。アプリ情報は、アプリごとにメタデータを含むことが可能であり、メタデータには、アクセシビリティ情報、すなわちスクリーンリーダ全対応、スクリーンリーダ非対応又はアクセシビリティ不明等の情報が含まれる。
【0034】
アプリ情報DB309は、操作デバイス20にインストールされている各アプリ又は各機能のアクセシビリティ等が保存される。
【0035】
なお、個人情報DB304又はアプリ情報DB309は、操作デバイス20に含まれなくてもよく、例えば、ネットワークを介したサーバ等に配置されてもよい。
【0036】
図4は、本発明の実施の形態におけるアプリ情報テーブルの一例を示す図である。
図4に示されるように、操作デバイス20にインストールされているアプリは、アプリごとに登録されているメタデータからアクセシビリティ情報を含むアプリ情報テーブルが生成され、管理される。また、アプリのメタデータにアクセシビリティレベルの情報が存在しない場合は、アクセシビリティ不明として扱う。
【0037】
図4に示されるアプリのメタデータの例において、IDが「1」である「アプリA」は、アクセシビリティレベルが「スクリーンリーダ全対応」である。IDが「2」である「アプリB」は、アクセシビリティレベルが「スクリーンリーダ非対応」である。IDが「3」である「アプリC」は、アクセシビリティレベルが「不明」である。
【0038】
ポータルアプリを介して、各機能への操作が行われたときポータルアプリはアプリ情報管理部308から取得した操作対象アプリのアクセシビリティレベルを取得し、当該レベルに応じて設定された制御を行う。
【0039】
図5は、本発明の実施の形態におけるスクリーンリーダ非対応の機能に遷移する処理を説明するためのシーケンス図である。
【0040】
ステップS101において、ユーザは、ポータルアプリPA1に対してアプリ起動操作を行う。続いて、ポータルアプリPA1は、アプリ情報管理部308から起動操作されたアプリのアクセシビリティレベルを取得する(S102)。
【0041】
ステップS103において、ポータルアプリPA1は、取得したアクセシビリティレベルを判定する。起動操作されたアプリは、スクリーンリーダ非対応の機能であるため、アクセシビリティレベルは、「スクリーンリーダ非対応」と判定され、ポータルアプリPA1は、テキスト読み上げエンジン306に音声案内命令を送信する(S104)。続いて、テキスト読み上げエンジン306は、機能遷移確認音声案内をユーザに対して行う(S105)。例えば、機能遷移確認音声案内は、「スクリーンリーダに対応していない機能に遷移しようとしていますが本当に遷移しますか?」のようなメッセージである。
【0042】
ユーザが意図した遷移である場合、ステップS106aに進み、ユーザは、遷移許可をポータルアプリPA1に入力する。例えば、ユーザが、普段は弱視のためスクリーンリーダが非対応な機能には遷移しないが、眼鏡等で視力を矯正している場合又は周囲の人間のサポートが得られる状況である場合等で、意図してスクリーンリーダ非対応である機能に遷移するケースが考えられる。続いて、ポータルアプリPA1は、遷移許可された機能に遷移させる(S107)。
【0043】
一方、ユーザが意図しない遷移である場合、ステップS107aに進み、ユーザは、遷移キャンセルをポータルアプリPA1に入力する。例えば、操作ミス等によって意図せずにスクリーンリーダ非対応である機能に遷移しようとしたケースが考えられる。
【0044】
図6は、本発明の実施の形態におけるアクセシビリティレベル案内に係る処理を説明するためのシーケンス図である。スクリーンリーダ有効時、操作デバイス20上に表示されている機能アイテムを選択したとき、当該機能アイテムのセンサ器の機能がスクリーンリーダにどの程度対応しているかを案内する処理について説明する。
【0045】
ステップS201において、ユーザがポータルアプリPA1上の機能アイテムを選択する。続いて、ポータルアプリPA1は、続いて、ポータルアプリPA1は、アプリ情報管理部308から選択された機能アイテムに対応するアプリのアクセシビリティレベルを取得する(S202)。ステップS203において、ポータルアプリPA1は、取得したアクセシビリティレベルを判定する。取得されたアクセシビリティレベル「スクリーンリーダ非対応」、「スクリーンリーダ全対応」又は「不明」等に応じて、ポータルアプリPA1は、テキスト読み上げエンジン306に音声案内命令を送信する(S204)。続いて、テキスト読み上げエンジン306は、アクセシビリティレベル音声案内をユーザに対して行う(S205)。例えば、アクセシビリティレベル音声案内は、「機能名(アプリ名、この機能はスクリーンリーダに全対応しています/一部対応しています/非対応です/不明です」のようなメッセージである。
【0046】
図7は、本発明の実施の形態におけるスクリーンリーダ非対応機能の表示の一例を示す図である。スクリーンリーダ有効時にスクリーンリーダ非対応な機能を制限するときのユーザインタフェースの変化の例を説明する。
【0047】
図7(A)は、通常時の操作デバイス20における画面表示の例である。すべてのファンクションボタン、機能アイテム等が表示されている。
【0048】
図7(B)は、スクリーンリーダ有効時の操作デバイス20における画面表示の例である。スクリーンリーダ非対応である機能のファンクションボタン、アプリのアイコン又は機能アイテムが、グレーアウトされて表示される。なお、当該グレーアウトは非表示であってもよい。
図7(B)においては、スクリーンリーダ非対応である機能のファンクションボタン、アプリのアイコン又は機能アイテムは、グレーアウトされた例であるが、その他の表示上の変化で示されてもよい。例えば、スクリーンリーダ非対応である機能のファンクションボタン、アプリのアイコン又は機能アイテムについて、操作デバイス20は、色を通常とは変化させる、ハイコントラストにする等の表示してもよい。視覚障がいによって見分けやすいユーザインタフェースは異なるため、複数パターンのユーザインタフェースの変化が用意されてよい。
【0049】
図8は、本発明の実施の形態におけるスクリーンリーダ非対応機能からリカバリする処理を説明するためのシーケンス図である。
【0050】
スクリーンリーダ非対応機能アプリが起動されていない状態である、ステップS301において、ユーザは、ポータルアプリPA1上からスクリーンリーダ非対応のアプリの起動操作を行う。続いて、ポータルアプリPA1は、アプリ情報管理部308から起動操作されたアプリのアクセシビリティレベルを取得する(S302)。
【0051】
ステップS303において、ポータルアプリPA1は、取得したアクセシビリティレベルに応じてリカバリ方法を判断する。起動操作されたアプリは、スクリーンリーダ非対応の機能であるため、アクセシビリティレベルは、「スクリーンリーダ非対応」と判定され、ポータルアプリPA1は、テキスト読み上げエンジン306に音声案内命令を送信する(S304)。続いて、テキスト読み上げエンジン306は、リカバリ方法音声案内をユーザに対して行う(S305)。例えば、リカバリ方法音声案内は、「この機能はスクリーンリーダに非対応です。前の機能に戻るには~してください。この音声をもう一度再生した場合は~してください」のようなメッセージである。ここで、リカバリ方法は、物理キー押下又は音声認識等の視覚に頼らないで実行できる方法である。ユーザは、リカバリ方法音声案内に基づいて、リカバリを開始する操作が実行できる。
【0052】
他のケースとして、スクリーンリーダ非対応機能アプリが起動されている状態である、ステップS401において、ユーザは、スクリーンリーダ非対応アプリA1に、リカバリ方法音声案内再生操作を行う。当該再生操作は、物理キー押下又は音声認識等の視覚に頼らないで実行できる方法である。続いて、スクリーンリーダ非対応アプリA1は、ポータルアプリPA1にリカバリ方法音声案内再生依頼を送信する(S402)。
【0053】
ステップS403において、ポータルアプリPA1は、スクリーンリーダ非対応アプリA1からのリカバリ方法を判断する。ポータルアプリPA1は、テキスト読み上げエンジン306に音声案内命令を送信する(S404)。続いて、テキスト読み上げエンジン306は、リカバリ方法音声案内をユーザに対して行う(S405)。ステップS405において、出力される音声メッセージはS305と同様であってもよい。
【0054】
上記のように、スクリーンリーダ非対応である機能を起動時又は起動済である状態において、リカバリ方法を音声メッセージにて出力することで、スクリーンリーダ対応である機能又はアプリに遷移することができる。
【0055】
上述のように、本発明の実施の形態によれば、操作デバイス20は、ユーザがスクリーンリーダを有効にしている状態で、スクリーンリーダ非対応の機能に遷移しようとした場合、機能遷移確認の音声メッセージを出力して、ユーザの意図を確認する。ユーザが意図した遷移である場合には遷移許可、ユーザが意図しない遷移である場合には遷移キャンセルを行うことができる。また起動しようとしているアプリのアクセシビリティレベルを判断し、アクセシビリティレベルの音声メッセージを出力することで、ユーザは、起動しようとしているアプリがスクリーンリーダ対応か否かを確認することができる。また、スクリーンリーダ非対応である機能を起動時又は起動済である状態において、リカバリ方法を音声メッセージにて出力することで、スクリーンリーダ対応である機能又はアプリに遷移することができる。
【0056】
すなわち、ユーザがスクリーンリーダを必要とする視覚障がい者であっても、ユーザが意図した場合はスクリーンリーダ非対応な機能を操作することができる。
【0057】
本実施の形態の情報処理システムで実行されるプログラムは、インストール可能な形式
又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM(Compact Disk - Read Only Memory)、フレキシブルディスク(Flexible Disk)、CD-R(Compact Disk - Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0058】
また、本実施の形態の情報処理システムで実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態の情報処理システムで実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。また、本実施の形態のプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0059】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0060】
なお、本発明の実施の形態において、アプリ又は機能は、プログラムの一例である。アクセシビリティレベルは、音声説明対応情報の一例である。ポータルアプリPA1は、音声出力制御部、音声説明対応情報取得部、操作画面制御部又は音声出力制御部の一例である。アイコン又は機能アイテムは、アイテムの一例である。
【0061】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 MFP
10 本体
20 操作パネル
100 CPU
101 ROM
102 RAM
103 HDD
104 通信I/F
105 接続I/F
106 エンジン
200 CPU
201 ROM
202 RAM
203 フラッシュメモリ
204 通信I/F
205 接続I/F
206 タッチパネル
207 LCD
208 音声出力ユニット
209 カード読み取りユニット
301 認証制御部
302 設定制御部
303 個人情報管理部
304 個人情報DB
305 テキスト読み上げ制御部
306 テキスト読み上げエンジン
307 音声出力部
308 アプリ情報管理部
309 アプリ情報DB
A1~A4 アプリ
PA1、PA2 ポータルアプリ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0063】