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特許7047423液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット及び液体を吐出する装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット及び液体を吐出する装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20220329BHJP
【FI】
B41J2/14 307
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018018050
(22)【出願日】2018-02-05
(65)【公開番号】P2019135086
(43)【公開日】2019-08-15
【審査請求日】2020-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】中井 貴之
(72)【発明者】
【氏名】木平 孝和
(72)【発明者】
【氏名】吉田 悟
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-061112(JP,A)
【文献】特開2010-120355(JP,A)
【文献】特開2011-255578(JP,A)
【文献】特開2017-193128(JP,A)
【文献】特開2007-305967(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0284570(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 - 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出する複数のノズルと、
前記ノズルが連通する複数の個別液室と、
前記個別液室の少なくとも一部の壁面を形成する振動板部材と、
前記振動板部材と接続され、前記複数の個別液室のそれぞれに対応する複数の圧電素子柱を有する圧電素子部材と、を備え、
複数の前記圧電素子柱のノズル配列方向における幅は、その位置が前記ノズル配列方向の端部から中央部に向かうに従って大きくなることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
液滴を吐出する複数のノズルと、
前記ノズルが連通する複数の個別液室と、
前記個別液室の少なくとも一部の壁面を形成する振動板部材と、
前記振動板部材と接続され、前記複数の個別液室のそれぞれに対応する複数の圧電素子柱を有する圧電素子部材と、を備え、
ノズル配列方向における中央部に位置する前記圧電素子柱の幅は、端部に位置する前記圧電素子柱の幅よりも大きいことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記圧電素子部材は、前記個別液室に対応する第1の圧電素子柱と、前記第1の圧電素子柱に溝部を介して隣接する第2の圧電素子柱とを有し、
前記溝部の前記ノズル配列方向における溝幅は、その位置が前記ノズル配列方向の端部から中央部へ向かうに従って小さくなることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記圧電素子部材は、前記個別液室に対応する第1の圧電素子柱と、前記第1の圧電素子柱に溝部を介して隣接する第2の圧電素子柱とを有し、
ノズル配列方向における中央部に位置する前記溝部の幅は、端部に位置する前記溝部の幅よりも小さいことを特徴とする請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記圧電素子部材は、前記個別液室に対応する第1の圧電素子柱と、前記第1の圧電素子柱に溝部を介して隣接する第2の圧電素子柱とを有し、
前記溝部の前記ノズル配列方向における溝幅が一定であることを特徴とする請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記ノズル配列方向において、前記第1の圧電素子柱を画成する一対の前記溝部の間隔が、前記ノズル配列方向の端部から中央部へ向かうに従って大きくなっていることを特徴とする請求項5に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
請求項1からのいずれかに記載の液体吐出ヘッドを備えることを特徴とする液体吐出ユニット。
【請求項8】
請求項1からのいずれかに記載の液体吐出ヘッドを備えることを特徴とする液体を吐出する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット及び液体を吐出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)からなる記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置(例えばインクジェット記録装置)が知られている。
【0003】
この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙(紙に限定するものではなく、OHPなどを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体あるいは記録媒体、記録紙、記録用紙などとも称される。)に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行うものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
【0004】
液体吐出ヘッドとしては、液滴が吐出されるノズルに連通する個別液室(圧力発生室などともいう)を備え、個別液室内の液体を加圧する圧力を発生するための圧力発生手段(アクチュエータ手段)として圧電素子を使用し、液室内容積/圧力を変化させて液滴を吐出させるいわゆる圧電アクチュエータを用いたものが知られている。
【0005】
積層型圧電素子部材として、所定のピッチで溝加工して形成した複数の柱状の圧電素子(圧電素子柱)を用い、圧電素子部材を基板上に複数配列した長尺化したものがある。
しかしながら、長尺化した圧電素子部材では、圧電素子柱の変位特性をいずれの部位においても等しくすることは困難であり、特に、両端部の変位量が、それ以外の領域とは異なる傾向がみられる。その結果、液滴の吐出特性がばらついてしまうおそれがある。
【0006】
また、液体吐出ヘッドの複数のノズルから吐出される液滴の吐出速度は、いずれのノズルにおいても等しいことが望ましいが、上述のように圧電素子柱の変位量にばらつきがある場合、各ノズルからの液滴の吐出速度にばらつきが生じるという問題がある。
【0007】
この問題に対し、振動板の一部に剛性の高い部分を有するアイランド構造を採用し、変位のばらつきを抑える技術や、両端部の圧電素子の幅を広くする技術(例えば、特許文献1参照)等が提案されている。
【0008】
特許文献1には、ピエゾ圧電素子のうち列の両端もしくは両端付近に位置するピエゾ圧電素子の幅を、残りのピエゾ圧電素子の幅よりも10~30%幅広に形成することが開示されており、断面積が大きさに比例して反力が大きくなるピエゾ圧電素子の特性により、列の両端に位置するピエゾ圧電素子の特性の劣る分や大気によって受ける両端位置におけるインク温度低下分の性能低下を相殺し、結果的に全てのピエゾ圧電素子の特性ひいてはノズル特性を均一にするインクジェットプリントヘッドが得られることが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の液体吐出ヘッドでは、ノズル配列方向の端部から中央部にかけて、なだらかに液滴速度が低下する現象がみられることがある。例えば、ノズルの配列方向における位置と各ノズルからの液滴吐出速度との関係をグラフに示した場合、図8に示すように弓なり状のグラフとなることがある。
このような現象は、特許文献1のように両端もしくは両端付近の圧電素子の幅を幅広に形成することのみによっては解決されない。
【0010】
上述のような各ノズルからの液滴吐出速度のばらつきがあると、被記録媒体等の対象への液滴の着弾位置にばらつきが生じることとなり、画像形成装置などにおいては形成される画像の画質の劣化の原因となる。
【0011】
そこで、本発明は、複数のノズルが配列されたノズル列の各ノズルから吐出される液滴の吐出速度が均一化された液体吐出ヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の液体吐出ヘッドは、液滴を吐出する複数のノズルと、前記ノズルが連通する複数の個別液室と、前記個別液室の少なくとも一部の壁面を形成する振動板部材と、前記振動板部材と接続され、前記複数の個別液室のそれぞれに対応する複数の圧電素子柱を有する圧電素子部材と、を備え、複数の前記圧電素子柱のノズル配列方向における幅は、その位置が前記ノズル配列方向の端部から中央部に向かうに従って大きくなることを特徴とする。また、液滴を吐出する複数のノズルと、前記ノズルが連通する複数の個別液室と、前記個別液室の少なくとも一部の壁面を形成する振動板部材と、前記振動板部材と接続され、前記複数の個別液室のそれぞれに対応する複数の圧電素子柱を有する圧電素子部材と、を備え、ノズル配列方向における中央部に位置する前記圧電素子柱の幅は、端部に位置する前記圧電素子柱の幅よりも大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数のノズルが配列されたノズル列の各ノズルから吐出される液滴の吐出速度が均一化された液体吐出ヘッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】液体吐出ヘッドの一例の説明に供する同ヘッドの外観斜視説明図である。
図2図1のX-X線に沿うノズル配列方向と直交する方向(液室長手方向)の断面説明図である。
図3図1のY-Y線に沿うノズル配列方向(液室短手方向)の断面説明図である。
図4】本発明に係る液体吐出ヘッドの一例を示すノズル配列方向の断面図(A)~(C)、及びノズル配列方向における駆動圧電素子柱の幅と溝部の幅との関係を示したグラフ(D)である。
図5】本発明に係る液体吐出ヘッドの一例を示すノズル配列方向の断面図(A)~(C)、及びノズル配列方向における駆動圧電素子柱の幅と溝部の幅との関係を示したグラフ(D)である。
図6】本発明に係る液体を吐出する装置の一例としての画像形成装置の機構部の全体構成を説明する側面説明図である。
図7】同機構部の要部平面説明図である。
図8】従来の液体吐出ヘッドにおけるノズルの位置と吐出速度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット及び液体を吐出する装置について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0016】
液体吐出ヘッドの一実施形態について図1図3を参照して説明する。
図1は液体吐出ヘッドの外観斜視説明図、図2図1のX-X線に沿うノズル配列方向と直交する方向(液室長手方向)の断面説明図、図3図1のY-Y線に沿うノズル配列方向(液室短手方向)の断面説明図である。
【0017】
なお、図1中、ノズル列における一方の端部のノズルをN1(1番目のノズル)、他方の端部のノズルをNn(n番目のノズル)として示している。Naは中央部(略中央部)のノズルを示している。
【0018】
本発明の液体吐出ヘッドは、液滴を吐出する複数のノズル4と、ノズル4が連通する複数の個別液室6と、個別液室6の少なくとも一部の壁面を形成する振動板部材3と、振動板部材3と接続され、複数の個別液室6のそれぞれに対応する複数の圧電素子柱12Aを有する圧電素子部材12と、を備えている。
圧電素子部材12は、個別液室6のそれぞれに対応する圧電素子柱である第1の圧電素子柱12Aと、第1の圧電素子柱に溝部12Cを介して隣接する第2の圧電素子柱12Bとを有する。
また、電極15を有する給電部材を備え、電極15がいずれかの圧電素子柱に接続される。本実施形態においては、電極15は第1の圧電素子柱12Aに接続されている。
【0019】
液体吐出ヘッドは、ノズル板1と、流路板(液室基板)2と、薄膜部材としての振動板部材3とが積層接合している。そして、振動板部材3を変位させる圧電アクチュエータと、このヘッドのフレームを構成する共通流路部材としてフレーム部材20とを備えている。
【0020】
ノズル板1、流路板2及び振動板部材3によって、液滴を吐出する複数のノズル4に連なって通じる個別液室(圧力発生室ともいう)6、個別液室6に液体を供給する流体抵抗部を兼ねた液体供給路7と、液体供給路7に連なる液体導入部8とを形成している。
【0021】
そして、フレーム部材20の共通流路としての共通液室10からインク流入口として振動板部材3に形成したフィルタ部9を通じて、液体導入部8、液体供給路7を経て複数の個別液室6に液体を供給する。
【0022】
ノズル板1は、インク液滴を飛翔させるための微細な吐出口であるノズル4が多数形成されている。
ノズル板1の材料としては、金属部材、樹脂部材、樹脂層と金属層の積層部材などを用いることができ、例えば、ニッケル(Ni)の金属プレートからエレクトロフォーミング法(電鋳)で製造したものや、ステンレス材をプレス加工により形成したもの等が挙げられる。
【0023】
ノズル4の直径としては約10~35μmとすることができ、約20~35μmが好ましい。
ノズル4はテーパ形状とすることができ、ピッチを150dpiとなるように形成することができる。
また、このノズル板1の液滴吐出側面(吐出方向の表面)には撥水層を設けてもよい。
【0024】
流路板2は、ノズル板1に接合されている。
流路板2の材料としては、金属板や単結晶シリコン基板が挙げられる。
例えば、ステンレス材にプレスまたはエッチング(例えば、酸性エッチング液によるエッチング)等の加工を行うことにより、または単結晶シリコン基板をエッチングすることにより、個別液室6、液体供給路7、液体導入部8などを構成する溝部を形成することができる。加工で残された部分が、個別液室6を画成する隔壁5となる。流体抵抗部を兼ねた液体供給路7は打ち抜き幅を狭くすることにより形成することができる。
【0025】
振動板部材3は、流路板2の個別液室6の壁面を形成する壁面部材を兼ねており、個別液室6に対応する部分に変形可能な振動領域30を有している。
振動板部材3は、薄膜のダイアフラム部3bと、島状凸部(アイランド部)3aと、梁を含む厚膜部と、インク流入口となるフィルタ部9とを備え、例えば、電鋳工法により形成されたニッケル合金メッキ膜とを2層重ねることにより形成される。
【0026】
振動板部材3の個別液室6とは反対側に、振動板部材3の振動領域30を変形させる駆動手段(アクチュエータ手段、圧力発生手段)としての電気機械変換素子を含む圧電アクチュエータが配置されている。
【0027】
この圧電アクチュエータは、ベース部材13上に接着剤接合した複数の積層型の圧電素子部材(以下、「積層圧電素子」ともいう)12を有している。積層圧電素子12は、ハーフカットダイシングによって溝加工を行い、1つの積層圧電素子12に対して所要数の圧電柱12A及び12Bを所定の間隔で櫛歯状に形成している。
ベース部材13の材料としては、例えば、ステンレス材が挙げられる。
【0028】
積層圧電素子12の第1の圧電柱12A及び第2の圧電素子柱12Bは、同じものであるが、電極15と接続され、駆動波形を与えて駆動させる圧電柱を駆動圧電素子柱(駆動部)、駆動波形を与えないで単なる支柱として使用する圧電柱を非駆動圧電素子柱(非駆動部)として区別することができる。
本実施形態においては、電極15が個別液室6のそれぞれに対応した1つおきの圧電素子柱である第1の圧電素子柱12Aに接続されているため、第1の圧電素子柱を駆動圧電素子柱12A、第2の圧電素子柱を被駆動圧電素子柱12Bとして説明するが、圧電素子部材12の構成としてはこれに限定されない。
【0029】
駆動圧電素子柱12Aは、振動板部材3の振動領域30に形成した島状凸部(アイランド部)3aに接合している。接合方法としてはは、例えば、接合ギャップ材を含んだ接着層をパターニングして接着する方法が挙げられる
【0030】
この積層圧電素子12は、圧電層と内部電極とを交互に積層したものであり、内部電極がそれぞれ端面に引き出されて外部電極が設けられ、駆動圧電素子柱12Aの外部電極に駆動信号を与えるための電極(可撓性を有するフレキシブル配線基板としてのFPC)15が接続されている。
これにより駆動圧電素子柱12Aへの駆動電圧印加が制御される。
【0031】
フレーム部材20には、図示しないヘッドタンクや液体カートリッジから液体が供給されるインク供給口11及び共通液室10が形成されている。
フレーム部材20としては、例えば、エポキシ系樹脂あるいは熱可塑性樹脂であるポリフェニレンサルファイト等で射出成形により形成されたものであってもよく、ステンレス材の切削加工によって形成されたものであってもよい。
ステンレス材からなるフレーム部材20と振動板部材3とは、ギャップ材を含んだ接着層をパターニングして接着することで接合される。
【0032】
このように構成した液体吐出ヘッドにおいては、例えば、記録信号に応じて駆動圧電素子柱12Aに10~50Vのパルス電圧からなる駆動波形が印加されることにより、駆動圧電素子柱12Aに積層方向の変位が生じ、振動板部材3を介して個別液室6が加圧され、圧力が上昇してノズル4からインク液滴が吐出される。
【0033】
詳しくは、駆動圧電素子柱12Aに印加する電圧を基準電位から下げることによって駆動圧電素子柱12Aが収縮し、振動板部材3の振動領域30が下降して個別液室6の容積が膨張することで、個別液室6内に液体が流入し、その後駆動圧電素子柱12Aに印加する電圧を上げて駆動圧電素子柱12Aを積層方向に伸長させ、振動板部材3の振動領域30をノズル4方向に変形させて個別液室6の容積を収縮させることにより、個別液室6内の液体が加圧され、ノズル4から液滴が吐出(噴射)される。
【0034】
そして、駆動圧電素子柱12Aに印加する電圧を基準電位に戻すことによって振動板部材3の振動領域30が初期位置に復元し、個別液室6が膨張して負圧が発生するので、このとき、共通液室10から液体供給路7を通じて個別液室6内に液体が充填される。そこで、ノズル4のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の液滴吐出のための動作に移行する。
【0035】
なお、この駆動方法については上記の例(引き-押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行うこともできる。
【0036】
従来の液体吐出ヘッドの構成では、各ノズルからの液滴吐出速度のばらつきが生じることがあり、ノズルの位置と吐出速度との関係において、図8に示すような弓なり状のグラフとなる傾向がみられる。
図8のグラフの横軸はノズル配列方向における位置を示しており、一方の端部のノズルN1の位置を「1」、他方の端部のノズルNnの位置を「n」で表している。縦軸は、ノズルから吐出される液滴の吐出速度を表している。
図示されているように、ノズル位置が両端側から中央へ向かうに従って、なだらかに吐出速度が低下する減少がみられる。
【0037】
これに対し、本実施形態の液体吐出ヘッドは、複数の第1の圧電素子柱12Aのノズル配列方向における幅は、その位置がノズル配列方向の端部から中央部に向かうに従って大きくなるように構成されている。
また、ノズル配列方向における中央部に位置する第1の圧電素子柱12Aの幅は、端部に位置する第1の圧電素子柱12Aの幅よりも大きい構成となっている。
【0038】
個別液室6と対応した第1の圧電素子柱(駆動圧電素子柱)12Aの幅を大きくすることにより、変位面積が大きくなるとともに、アイランド部3aを押圧する面積も大きくなる。これにより、個別液室6における液体の排除可能な体積も増加するため、ノズルから吐出される液滴の吐出速度も上昇する。
よって、第1の圧電素子柱(駆動圧電素子柱)12Aの幅を、ノズル配列方向の中央部で最も広く(太く)、両端部で最も狭く(細く)し、端部から中央部へ向けてノズル位置に応じて大きくする(太くする)構成とすることにより、中央部に向かうに従ってノズルからの液滴吐出速度を向上させることができ、図8に示すような吐出速度の低下を相殺し、吐出速度の均一化を実現することができる。
【0039】
第1の圧電素子柱(駆動圧電素子柱)12Aの幅Wについて説明する。
図1に示したように、ノズル列における一方の端部のノズルをN1(1番目のノズル)、他方の端部のノズルをNn(n番目のノズル)として表したとき、一方の端部のノズルN1に対応する第1の圧電素子柱12Aの幅をW1、他方の端部のノズルNnに対応する第1の圧電素子柱12Aの幅をWnとして表す。
nの値は、特に限定されず、目的(例えば、要求される解像度等)に応じて適宜選択することができる。例えば、n=320とすることができる。
【0040】
nが偶数の場合、中央に位置するノズルの番号はn/2及びn/2+1であり、これをa及びa+1で表すと、中央ノズルに対応する第1の圧電素子柱12Aの幅はWa及びWa+1として表され、幅の値は以下の式(1)~(2)の関係を満たす。
W1<W2<W3<…<Wa 式(1)
Wa≒Wa+1 式(2)
Wa+1>…>Wn-2>Wn-1>Wn 式(3)
一方nが奇数の場合、中央に位置するノズルの番号は(n+1)/2であり、これをaで表すと、中央ノズルに対応する第1の圧電素子柱12Aの幅はWaとして表され、幅の値は以下の式(4)及び式(5)関係を満たす。
W1<W2<W3<…<Wa 式(4)
Wa>…>Wn-2>Wn-1>Wn 式(5)
【0041】
第1の圧電素子柱12Aの幅Wが上述の式(1)~(3)、または(4)及び(5)の関係を満たす態様としては、第1の圧電素子柱12Aと第2の圧電素子柱12Bとの間の溝部12Cの幅Gを調整することにより、第1の圧電素子柱12Aの幅Wを変化させる第一の態様、及び溝部12Cの幅Gは一定とし、溝部12Cの位置(ピッチ)を調整することにより第1の圧電素子柱12Aの幅Wを変化させる第二の態様が挙げられる。
【0042】
〔第一の態様〕
圧電素子部材12は、個別液室6に対応する第1の圧電素子柱12Aと、第1の圧電素子柱に溝部12Cを介して隣接する第2の圧電素子柱12Bとを有する。
第一の態様では、溝部12Cのノズル配列方向における溝幅Gは、その位置がノズル配列方向の端部から中央部へ向かうに従って小さくなる。
また、ノズル配列方向における中央部に位置する溝部12Cの幅Gは、端部に位置する溝部12Cの幅Gよりも小さい。
【0043】
本実施態様の一例を図4に示す。
図4(A)は一方の端部側(図1の1番目側)、図4(B)は中央(図1のa番目を含む領域)、図4(C)は他方の端部側(図1のn番目側)におけるノズル配列方向(図1のY-Y線に沿う方向)の断面図である。
また、図4(D)は、ノズル配列方向における第1の圧電素子柱(駆動圧電素子柱)12Aの幅Wと、溝部12Cの幅Gとの関係を示したグラフである。
【0044】
一方の端部側の第1の圧電素子柱12Aの幅W1、他方の端部側の第1の圧電素子柱12Aの幅Wn、中央の第1の圧電素子柱12Aの幅Waは、図4に示すようにW1<W2<Wa、Wn<Wn-1<Waとなっている。
また、一方の端部側の溝部12Cの幅G1、他方の端部側の溝部12Cの幅をGn、中央の溝部12Cの幅Gaは、図4に示すようにG1>G2>Ga、Gn>Gn-1>Gaとなっている。
【0045】
溝部12Cの幅Gが中央部へ向かうに従って小さくなるように加工することにより、第1の圧電素子柱12Aの幅Wが中央部へ向かうに従って大きくなった本実施形態の液体吐出ヘッドを構成する圧電素子部材12が得られる。
溝部12Cの加工方法としては、例えば、ダイシング加工やワイヤーカット加工などが挙げられる。
【0046】
〔第二の態様〕
圧電素子部材12は、個別液室6に対応する第1の圧電素子柱12Aと、第1の圧電素子柱に溝部12Cを介して隣接する第2の圧電素子柱12Bとを有する。
第二の態様では、溝部12Cのノズル配列方向における溝幅Gが一定である。ノズル配列方向において、第1の圧電素子柱12Aを画成する一対の溝部12Cの間隔が、ノズル配列方向の端部から中央部へ向かうに従って大きくなっている。
【0047】
本実施態様の一例を図5に示す。
図5(A)は一方の端部側(図1の1番目側)、図5(B)は中央(図1のa番目を含む領域)、図5(C)は他方の端部側(図1のn番目側)におけるノズル配列方向(図1のY-Y線に沿う方向)の断面図である。
また、図5(D)は、ノズル配列方向における第1の圧電素子柱(駆動圧電素子柱)12Aの幅Wと、溝部12Cの幅Gとの関係を示したグラフである。
【0048】
一方の端部側の第1の圧電素子柱12Aの幅W1、他方の端部側の第1の圧電素子柱12Aの幅Wn、中央の第1の圧電素子柱12Aの幅Waは、図5に示すようにW1<W2<Wa、Wn<Wn-1<Waとなっている。
一方の端部側の溝部12Cの幅G1、他方の端部側の溝部12Cの幅をGn、中央の溝部12Cの幅Gaは、図6に示す様に一定(G1=Ga=Gn)であるが、第1の圧電素子柱12Aを画成する一対の溝部12Cのノズル配列方向における間隔(ピッチ)が異なっている。
【0049】
溝部12Cのピッチを、第1の圧電素子柱12Aの幅Wが端部側から中央側へ向かって漸次大きくなるように定めて圧電素子柱を形成することにより、本実施形態の液体吐出ヘッドを構成する圧電素子部材12が得られる。
本実施態様では溝部12Cの幅Gを調整する加工が不要となるため、第1の圧電素子柱12Aの幅Wが中央部へ向かうに従って大きくなった圧電素子部材12を容易に製造することができる。
【0050】
本実施形態に係る液体吐出ヘッドは、複数のノズルが配列されたノズル列の各ノズルから吐出される液滴の吐出速度が均一化されているため、被記録媒体等の対象への液滴の着弾位置のばらつきが低減され、例えば、画像形成装置の記録ヘッドに適用された場合は、形成される画像の画質の劣化を防止することができる。
なお、本実施形態は、個別液室内のインクを循環させる循環型液体吐出ヘッドにも適応可能である。
【0051】
次に、本発明に係る液体吐出ユニット及び液体を吐出する装置について説明する。
本願において、吐出される液体は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0052】
液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
【0053】
「液体吐出ユニット」は、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体が含まれる。例えば、「液体吐出ユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
【0054】
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
【0055】
例えば、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットのヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
【0056】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
【0057】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。また、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されているものがある。
【0058】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。
【0059】
また、液体吐出ユニットとして、ヘッドタンク若しくは流路部品が取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。このチューブを介して、液体貯留源の液体が液体吐出ヘッドに供給される。
【0060】
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
【0061】
「液体を吐出する装置」には、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて液体を吐出させる装置が含まれる。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0062】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0063】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0064】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0065】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0066】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0067】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0068】
また、「液体を吐出する装置」としては、他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0069】
なお、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【0070】
次に、本発明に係る液体を吐出する装置の一実施形態について図6及び図7を参照して説明する。なお、図6は同装置の機構部の全体構成を説明する側面説明図、図7は同機構部の要部平面説明図である。本実施形態では画像形成装置を例に挙げて説明するが、これに限られるものではない。
【0071】
この画像形成装置はシリアル型画像形成装置であり、左右の側板221A、221Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド231、232でキャリッジ233を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
【0072】
このキャリッジ233には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための本発明に係る液体吐出ヘッドを備えた記録ヘッド234を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0073】
記録ヘッド234は、それぞれ2つのノズル列を有する本発明に係る液体吐出ヘッド234a、234bを1つのベース部材に取り付けて構成したもので、一方のヘッド234aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、他方のヘッド234bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。なお、ここでは2ヘッド構成で4色の液滴を吐出する構成としているが、各色毎の液体吐出ヘッドを備えることもできる。
【0074】
また、キャリッジ233には、記録ヘッド234のノズル列に対応して各色のインクを供給するためのサブタンク235a、235b(区別しないときは「サブタンク235」という。)を搭載している。このサブタンク235には各色の供給チューブ236を介して、供給ユニット224によって各色のインクカートリッジ210から各色のインクが補充供給される。
【0075】
一方、給紙トレイ202の用紙積載部(圧板)241上に積載した用紙242を給紙するための給紙部として、用紙積載部241から用紙242を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)243及び給紙コロ243に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド244を備え、この分離パッド244は給紙コロ243側に付勢されている。
【0076】
そして、この給紙部から給紙された用紙242を記録ヘッド234の下方側に送り込むために、用紙242を案内するガイド部材245と、カウンタローラ246と、搬送ガイド部材247と、先端加圧コロ249を有する押さえ部材248とを備えるとともに、給送された用紙242を静電吸着して記録ヘッド234に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト251を備えている。
【0077】
この搬送ベルト251は、無端状ベルトであり、搬送ローラ252とテンションローラ253との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト251の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ256を備えている。この帯電ローラ256は、搬送ベルト251の表層に接触し、搬送ベルト251の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト251は、図示しない副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ252が回転駆動されることによってベルト搬送方向に周回移動する。
【0078】
さらに、記録ヘッド234で記録された用紙242を排紙するための排紙部として、搬送ベルト251から用紙242を分離するための分離爪261と、排紙ローラ262及び排紙コロ263とを備え、排紙ローラ262の下方に排紙トレイ203を備えている。
【0079】
また、装置本体の背面部には両面ユニット271が着脱自在に装着されている。この両面ユニット271は搬送ベルト251の逆方向回転で戻される用紙242を取り込んで反転させて再度カウンタローラ246と搬送ベルト251との間に給紙する。また、この両面ユニット271の上面は手差しトレイ272としている。
【0080】
さらに、キャリッジ233の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド234のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構281を配置している。この維持回復機構281には、記録ヘッド234の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)282a、282b(区別しないときは「キャップ282」という。)と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード283と、増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け284などを備えている。
【0081】
また、キャリッジ233の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け288を配置し、この空吐出受け288には記録ヘッド234のノズル列方向に沿った開口部289などを備えている。
【0082】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ202から用紙242が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙242はガイド部材245で案内され、搬送ベルト251とカウンタローラ246との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド237で案内されて先端加圧コロ249で搬送ベルト251に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0083】
このとき、帯電ローラ256に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト251が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト251上に用紙242が給送されると、用紙242が搬送ベルト251に吸着され、搬送ベルト251の周回移動によって用紙242が副走査方向に搬送される。
【0084】
そこで、キャリッジ233を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド234を駆動することにより、停止している用紙242にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙242を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙242の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙242を排紙トレイ203に排紙する。
【符号の説明】
【0085】
1 ノズル板
2 流路板(液室基板)
3 振動板部材
3a アイランド部
3b ダイアフラム部
4 ノズル
5 隔壁
6 個別液室
7 液体供給路
8 液体導入部
9 フィルタ部
10 共通液室
11 インク供給口
12 圧電素子部材(積層圧電素子)
12A 第1の圧電素子柱(駆動圧電素子柱、駆動部)
12B 第2の圧電素子柱(非駆動圧電素子柱、非駆動部)
12C 溝部
13 ベース部材
15 電極(FPC)
20 フレーム部材
30 振動領域
【先行技術文献】
【特許文献】
【0086】
【文献】特開平8-1928号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8