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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】二無水物の分析方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/06 20060101AFI20220329BHJP
   G01N 30/88 20060101ALI20220329BHJP
   G01N 30/86 20060101ALI20220329BHJP
   G01N 30/26 20060101ALI20220329BHJP
   G01N 30/34 20060101ALI20220329BHJP
   G01N 30/74 20060101ALI20220329BHJP
   B01J 20/287 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
G01N30/06 E
G01N30/88 C
G01N30/86 J
G01N30/26 A
G01N30/34 E
G01N30/74 E
G01N30/06 Z
B01J20/287
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020535511
(86)(22)【出願日】2019-10-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-03-25
(86)【国際出願番号】 KR2019013062
(87)【国際公開番号】W WO2020071868
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2020-06-29
(31)【優先権主張番号】10-2018-0119108
(32)【優先日】2018-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】キム、ソ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジューン ソク
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ブンギュ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ビョン ヒョン
【審査官】小澤 理
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-222195(JP,A)
【文献】特開2003-149221(JP,A)
【文献】特開2004-157081(JP,A)
【文献】特開昭63-016262(JP,A)
【文献】特開平09-012543(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0160578(US,A1)
【文献】SIGGIA, S. et al.,Determination of Carboxylic Acid Anhydrides in the Presence of Their Acids,Anal. Chem.,1951年,Vol.23, No.11,p.1717-1718
【文献】島津製作所,吸光光度検出法,LC talk 特集号 HPLC入門,2017年,Vol.VII,p.9
【文献】一般社団法人日本電気計測器工業会,5-2-6 紫外線吸光度計測器(UV 計測器),カタログ,2018年,https://www.jemima.or.jp/tech/5-02-06.html,[online], [令和3年6月27日検索], インターネット
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/06
G01N 30/88
G01N 30/86
G01N 30/26
G01N 30/34
G01N 30/74
B01J 20/287
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Scopus
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二無水物にアミン化合物を反応当量以上の過量で添加する段階と、
溶媒として無水化合物を添加して無水反応させる段階と、
無水反応後、反応物に含まれた未反応アミン化合物を定量する段階と、
を含み、
前記反応物に含まれた未反応アミンを、HPLCで分析する、二無水物の分析方法。
【請求項2】
アミン標準物質を3~10の濃度にして、前記未反応アミン化合物濃度と前記反応物のHPLCクロマトグラムピーク面積との関係式を計算する段階を含む、請求項に記載の二無水物の分析方法。
【請求項3】
前記関係式から前記反応物に含まれた未反応アミンの量を計算する段階を含む、請求項に記載の二無水物の分析方法。
【請求項4】
前記未反応アミンの量から反応に参加したアミンの量を計算する段階を含む、請求項に記載の二無水物の分析方法。
【請求項5】
前記反応に参加したアミンの量から反応に参加した二無水物の量を計算する段階を含む、請求項に記載の二無水物の分析方法。
【請求項6】
前記アミン化合物が、アニリン、ナフチルアミンまたはこれらの組み合わせである、請求項1から請求項のうち何れか一項に記載の二無水物の分析方法。
【請求項7】
前記無水化合物が、無水N-メチルピロリドン(NMP)である、請求項1から請求項のうち何れか一項に記載の二無水物の分析方法。
【請求項8】
前記アミン化合物の濃度設定のための標準物質溶媒が、無水テトラヒドロフラン(THF)、無水ジメチルホルムアミド(DMF)、無水メタノール、無水ベンゼン、及び無水エーテルからなる群から選択される1つ以上である、請求項に記載の二無水物の分析方法。
【請求項9】
前記二無水物とアミン化合物とのmol比が、1:2~1:3である、請求項に記載の二無水物の分析方法。
【請求項10】
前記二無水物が、4,4'-ビフタル酸二無水物(BPDA)、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、1,3-ジメチルシクロブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物(DMCBDA)、及び1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物(BT-100)からなる群から選択される1つ以上を含む、請求項1から請求項のうち何れか一項に記載の二無水物の分析方法。
【請求項11】
HPLC移動相が、アセトニトリル(ACN)、水、メタノール、及びテトラヒドロフランからなる群から選択される1つ以上を含む、請求項1から10のうち何れか一項に記載の二無水物の分析方法。
【請求項12】
HPLC移動相の溶離条件が、分析開始0分時点にアセトニトリル(ACN)20%、水80%であり、20分時点にアセトニトリル60%、水40%になるように濃度勾配を適用した、請求項1から10のうち何れか一項に記載の二無水物の分析方法。
【請求項13】
HPLCカラムが、シリカカラムである、請求項1から12のうち何れか一項に記載の二無水物の分析方法。
【請求項14】
前記シリカカラムが、炭素充填されたシリカ基盤の逆相カラムである、請求項13に記載の二無水物の分析方法。
【請求項15】
クロマトグラムをフォトダイオードアレイ(PDA)で280nmで分析する段階を含む、請求項1から14のうち何れか一項に記載の二無水物の分析方法。
【請求項16】
請求項1から請求項15のうち何れか一項に記載の方法を適用したシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二無水物の分析方法に関する。
【0002】
本願は、2018年10月5日付の大韓民国特許出願第2018-0119108号に基づいた優先権の利益を主張し、当該大韓民国特許出願の文献に開示されたあらゆる内容は、本明細書の一部として含まれる。
【背景技術】
【0003】
二無水物(dianhydride)は、反応性の高いカルボン酸誘導体(carboxylic acid derivatives)の1つであって、水、アルコール(alcohol)、アミン(amine)などと容易に反応する特性を有し、化学構造の開環反応(ring opening reaction)など元の構造が喪失されることによって、既存の通常のクロマトグラフィー方法を利用した定性、定量分析が難しい場合、一般的に滴定法(titration)などの方法で分析を進行した。しかし、滴定法は、二無水物の相互転換(interconversion)で生成される酸(acid)の酸度(acidity)が高い場合、滴定終点(titrate end point)を撹乱して定量に難点があり、分析対象物質が含有する酸、塩基(base)が定量を妨害するなど、多数の分析限界点がある。
【0004】
このような従来の方法は、反応性の高い二無水物の純度を分析する過程のうち、熱または水分のような外部環境の影響によって、環構造が開かれる現象が発生して、正確な純度を把握しにくく、二無水物化合物の板状の構造によって、カラムと相互作用(interaction)が低くて、化合物がカラム内に十分に留まることができないという短所がある。
【0005】
したがって、反応性の高い二無水物に対する純度を分析する安定した分析方法が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、二無水物の含量を分析することができる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は、二無水物にアミン化合物を反応当量以上の過量で添加する段階;溶媒として無水化合物を添加して無水反応させる段階;及び無水反応後、反応物に含まれた未反応アミン化合物を定量する段階;を含む二無水物の分析方法を提供する。
【0008】
また、前記反応物は、HPLCで分析することができる。
【0009】
また、アミン標準物質を3~10個の濃度に設定して、前記未反応アミン化合物濃度と前記反応物のHPLCクロマトグラムピーク面積との関係式を計算する段階を含みうる。
【0010】
また、前記関係式から前記反応物に含まれた未反応アミンの量を計算し、前記未反応アミンの量から反応に参加したアミンの量を計算する段階を含みうる。
【0011】
また、前記反応に参加したアミンの量から反応に参加した二無水物の量を計算する段階を含みうる。
【0012】
一具現例によれば、前記アミン化合物は、アニリン(aniline)、ナフチルアミン(naphthylamine)またはこれらの組み合わせである。
【0013】
一具現例によれば、前記無水化合物は、無水N-メチルピロリドン(N-methyl-2-pyrrolidone、NMP)である。
【0014】
一具現例によれば、前記アミン化合物の濃度設定のための標準物質溶媒は、無水テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran、THF)、無水ジメチルホルムアミド(dimethyl formamide、DMF)、無水メタノール(anhydrous methanol)、無水ベンゼン(anhydrous benzene)、及び無水エーテル(anhydrous ether)からなる群から選択される1つ以上である。
【0015】
一具現例によれば、前記二無水物とアミン化合物とのmol比は、1:2~1:3である。
【0016】
一具現例によれば、前記二無水物は、4,4'-ビフタル酸二無水物(4,4'-biphthalic dianhydride、BPDA)、ピロメリット酸二無水物(pyromellitic dianhydride、PMDA)、1,3-ジメチルシクロブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物(1,3-dimethyl cyclobutane-1,2,3,4-tetracarboxylic dianhydride、DMCBDA)、及び1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物(1,2,3,4-butanetetracarboxylic dianhydride、BT-100)からなる群から選択される1つ以上を含みうる。
【0017】
一具現例によれば、HPLC移動相は、アセトニトリル(acetonitrile、ACN)、水、メタノール(methanol)、及びテトラヒドロフランからなる群から選択される1つ以上を含みうる。
【0018】
一具現例によれば、HPLC移動相の溶離条件で、分析開始0分時点にアセトニトリル(ACN)20%、水80%であり、20分時点にアセトニトリル60%、水40%になるように濃度勾配を適用することができる。
【0019】
一具現例によれば、HPLCカラムとしてシリカ(silica)カラムを使用することができる。具体的に、シリカカラムは、炭素充填(carbon packing)されたシリカ基盤の逆相カラムである。
【0020】
一具現例によれば、HPLCクロマトグラム(chromatogram)をフォトダイオードアレイ(photodiode array、PDA)で280nmで分析することができる。
【0021】
本発明の他の具現例によれば、前記のような方法を適用したシステムを提供することができる。
【0022】
その他の本発明の具現例の具体的な事項は、以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、反応性が高く、溶解度が低い二無水物を安定して分析することができる。また、反応生成物によって分析結果が撹乱される問題点を最小化することにより、正確度を向上させうる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施例1によるHPLC分析結果を示すグラフである。
図2】未反応アミン化合物濃度とクロマトグラムピーク面積との関係式を示すグラフである。
図3】実施例1による分析概要によって二無水物の純度を計算する過程を示した図面である。
図4】実施例2によるHPLC分析結果を示すグラフである。
図5】実施例3によるHPLC分析結果を示すグラフである。
図6】比較例1によるHPLC分析結果を示すグラフである。
図7】比較例2によるHPLC分析結果を示すグラフである。
図8】比較例3によるHPLC分析結果を示すグラフである。
図9】比較例4によるHPLC分析結果を示すグラフである。
図10】比較例5によるHPLC分析結果を示すグラフである。
図11】比較例6によるHPLC分析結果を示すグラフである。
図12】比較例7によるHPLC分析結果を示すグラフである。
図13】比較例8によるHPLC分析結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、多様な変換を加え、さまざまな実施形態を有することができるので、特定実施例を図面に例示し、詳細な説明で詳細に説明する。しかし、これは、本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる、あらゆる変換、均等物または代替物を含むものと理解しなければならない。本発明を説明するに当って、関連した公知技術についての具体的な説明が、本発明の要旨を不明にする恐れがあると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0026】
本明細書に使われた用語「添加」は、本明細書内に「注入、流入、投入」と共に混用して記載され、固体、液体、気体物質または熱などを必要な場所に流すか、入れることを意味するものと理解される。
【0027】
以下、本発明の具現例による二無水物の分析方法についてより詳細に説明する。
【0028】
反応性の高い二無水物を定量的に把握して純度を分析するために、アミン反応を基盤とする誘導体化方法を導入した。二無水物に過量のアミン化合物を添加して、アミド(amide)またはイミド(imide)形態に転換させた後、未反応アミン化合物の量を測定することにより、間接的に定量及び純度を分析することができる。
【0029】
具体的に、本発明は、二無水物にアミン化合物を反応当量以上の過量で添加する段階;溶媒として無水化合物を添加して無水反応させる段階;及び無水反応後、反応物に含まれた未反応アミン化合物を定量する段階;を含む二無水物の分析方法を提供する。
【0030】
一具現例によれば、前記無水反応させる段階で、フラスコなどにフレームドライ(flame dry)を実施して、内部に水分をいずれも除去することができ、溶媒及びツールの水分を除去することができる一般的な方法であれば、制限されずに適用することができる。
【0031】
前記反応物に含まれた未反応アミン化合物は、高速液体クロマトグラフィー(high performance liquid chromatography、HPLC)で分析することができる。この際、HPLC移動相としては、例えば、アセトニトリル(ACN)、水、メタノール、及びテトラヒドロフランからなる群から選択される1つ以上を含みうる。また、溶離条件は、例えば、分析開始0分時点にアセトニトリル(ACN)20%、水80%であり、20分時点にアセトニトリル60%、水40%になるように濃度勾配を適用することができる。HPLCカラムとしては、シリカカラムを使用し、具体的に、炭素充填されたシリカ基盤の逆相カラムを使用し、具体的に、例えば、C18(4.6mm IDX50mm L、particle size:3μm)などを含みうる。
【0032】
一具現例によれば、HPLCによるクロマトグラムは、フォトダイオードアレイ(PDA)として利用し、例えば、230~300nmの波長で分析することができ、例えば、280nmの波長で分析することが効率的である。
【0033】
一具現例によれば、前記反応物に含まれた未反応アミン化合物の濃度を計算するために、アミン標準物質を利用できる。前記標準物質は、試料中の成分を分析して、その含有量または濃度を求める場合、その尺度になる物質を意味する。標準物質は、化学的に変質されず、純粋な状態の物質を意味する。例えば、前記アミン標準物質の濃度を3~10個、3~5個に設定して、二無水物と未反応したアミン化合物の濃度を求めうる。
【0034】
また、反応物に含まれている未反応アミンの量を計算するために、標準物質を用いて得た未反応アミン化合物濃度とクロマトグラムピーク面積(chromatogram peak area)との関係式を示すことができる。前記関係式から前記反応物に含まれた未反応アミンの量を計算することができる。計算された未反応アミンの量から反応に参加したアミンの量を計算することができる。前記反応に参加したアミンの量から最終的に反応に参加した二無水物の量を計算することができる。
【0035】
一具現例によれば、前記アミン化合物は、アニリン(aniline)、ナフチルアミンであり (naphthylamine)、例えば、アニリンである。
【0036】
また、前記アミン標準物質は、無水テトラヒドロフラン(anhydrous tetrahydrofuran、THF)、無水ジメチルホルムアミド(anhydrous dimethyl formamide)、無水メタノール(anhydrous methanol)、無水ベンゼン(anhydrous benzene)、無水エーテル(anhydrous ether)などアミン化合物を溶解させる有機溶媒であり、例えば、テトラヒドロフランを使用することができる。
【0037】
一具現例によれば、二無水物と前記アミン化合物は、無水化合物溶媒存在下で無水反応させ、前記無水化合物は、無水N-メチルピロリドン(NMP)などを使用することができる。
【0038】
一具現例によれば、無水反応後、HPLC分析サンプル製造時に、無水反応物に無水アセトニトリル(ACN)、無水ジメチルホルムアミド(DMF)、無水酢酸(acetic acid)、無水アセトン(acetone)、無水ベンゼン(benzene)、無水四塩化炭素(carbon tetrachloride)、無水シクロヘキサン(cyclohexane)、無水シクロペンタン(cyclopentane)、無水ジクロロエタン(dichloroethane)、無水ジクロロメタン(dichloromethane)、無水ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide)、無水ジオキサン(dioxane)、無水酢酸エチル(ethyl acetate)、無水ジエチルエーテル(diethyl ether)、無水メタノール(methanol)、無水メチルエチルケトン(methyl ethyl ketone)、無水テトラクロロエタン(tetrachloro ethane)からなる群から選択される1つ以上を含み、例えば、無水DMFを添加することができる。
【0039】
一具現例によれば、前記二無水物にアミン化合物を添加する段階で、二無水物を間接定量するために反応当量以上に、過量のアミンを投入しなければならないので、2.0eq以上のアミンを添加することができる。例えば、二無水物とアミン化合物とのmol比は、1:2~1:3、例えば、1:2.1~1:2.5、例えば、1:2.1~1:2.3である。
【0040】
本発明によって分析可能な二無水物の種類は、大きく制限されないが、例えば、4,4'-ビフタル酸二無水物(4,4'-biphthalic dianhydride)、ピロメリット酸二無水物(pyromellitic dianhydride, PMDA)、1,3-ジメチルシクロブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物(1,3-dimethyl cyclobutane -1,2,3,4- tetracarboxylic dianhydride, DMCBDA)、及び1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物(1,2,3,4-butanetetracarboxylic dianhydride, BT-100)からなる群から選択される1つ以上を含みうる。
【0041】
前記のように、本発明は、二無水物のアミン誘導体化反応でアミンの量を計算して、二無水物の間接定量及び純度を分析する方法で、二無水物の高い反応性を逆利用するものであって、HPLC逆相(reverse phase)でも分析が可能である。また、二無水物と未反応したアミン化合物とを測定して二無水物の定量及び純度を分析するものなので、反応生成物であるアミドまたはイミドによって分析結果が撹乱される問題点を防止することができる。
【0042】
本発明の他の具現例によれば、前記のような方法を適用したシステムを提供することにより、二無水物の定量分析及び純度分析を容易に実施することができる。
【0043】
以下、当業者が容易に実施できるように、本発明の実施例について詳しく説明する。しかし、本発明は、さまざまな異なる形態として具現可能であり、ここで説明する実施例に限定されるものではない。
【0044】
実施例1:1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物(1,2,3,4-butane tetracarboxylic dianhydride、BT-100)
化合物を添加する前に反応器内に真空乾燥(vacuum dry)を実施して水分を除去した。250mlの丸底フラスコにBT-100 1.0g、蒸留アニリン(fresh distilled aniline)1.02g及び無水N-メチルピロリドン(anhydrous N-methyl-2-pyrrolidone、NMP)21.89gを入れ、50℃で撹拌しながら、24時間アミン誘導体化反応を進行した。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析のためのサンプルとして前記反応溶液0.18gを無水ジメチルホルムアミド(anhydrous dimethylformamide、DMF)2gに入れて準備した。
【0045】
BT-100化合物のアミン誘導体化反応過程を構造式1に示した。
[構造式1]
【化1】
【0046】
HPLC分析は、Waters社のHPLCシステム(e2695 separations module、2998 photodiode array detector)を使用し、カラム(column)は、Shiseido社のCapcellpak C18(4.6mm IDX50mm L、particle size:3μm)を40℃で使用した。移動相としては、アセトニトリル(ACN、HPLC用、J.T.Baker)と超純水(MILLIPORE社、Mili-Q、18.2MΩ)とを脱気した後、ACN/HOの比率を20分間20/80(v/v)から60/40(v/v)まで濃度勾配を与え、流速1mL/minに設定した。分析サンプルは、10uLを注入し、クロマトグラムは、フォトダイオードアレイ検出器(photodiode array detector、PDA)を用いて280nmで測定し、その結果は、図1に示した。
【0047】
アニリン標準溶液としてテトラヒドロフラン(THF)を0.5、0.1及び0.05mg/mLの3種の濃度に選定して反応物内の未反応アニリンの濃度を確認した。未反応アニリンの濃度とクロマトグラムピーク面積との関係式を図2に示した。図2の関係式から未反応アニリンの濃度(mg/ml)を密度値(0.944g/ml)を使用して質量に換算した。
【0048】
実施例1による二無水物の分析方法の概要によって二無水物の純度を計算する過程を図3に示した。
【0049】
最終的に計算されるBT-100の純度は、94.8%と確認された。
【0050】
実施例2:1,3-ジメチルシクロブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物(1,3-dimethyl cyclobutane -1,2,3,4- tetracarboxylic dianhydride, DMCBDA)
化合物を添加する前に反応器内に真空乾燥を実施して水分を除去した。250mlの丸底フラスコにDMCBDA 1.13g、蒸留アニリン1.11g及び無水N-メチルピロリドン(NMP)10.76gを入れ、50℃で撹拌しながら、24時間アミン誘導体化反応を進行した。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析のためのサンプルとして前記反応溶液0.0684gを無水ジメチルホルムアミド(DMF)2.0067gに入れて準備した。
【0051】
DMCBDA化合物のアミン誘導体化反応過程を構造式2に示した。
[構造式2]
【化2】
【0052】
HPLC分析及び純度計算は、実施例1と同様にし、HPLC分析結果は、図4に示した。
【0053】
その結果、DMCBDAの純度は、94.6%と確認された。
【0054】
実施例3:4,4'-ビフタル酸二無水物(4,4'-biphthalic dianhydride, BPDA)
化合物を添加する前に反応器内に真空乾燥を実施して水分を除去した。250mlの丸底フラスコにBPDA 1.47g、蒸留アニリン1.13g及び無水N-メチルピロリドン(NMP)11.05gを入れ、50℃で撹拌しながら、24時間アミン誘導体化反応を進行した。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析のためのサンプルとして前記反応溶液0.0799gを無水ジメチルホルムアミド(DMF)2.0031gに入れて準備した。
【0055】
BPDA化合物のアミン誘導体化反応過程を構造式3に示した。
[構造式3]
【化3】
【0056】
HPLC分析及び純度計算は、実施例1と同様にし、HPLC分析結果は、図5に示した。
【0057】
その結果、DMCBDAの純度は、99.6%と確認された。
【0058】
具体的に、実施例1から実施例3の二無水物含量分析時に使われた定数値を表1に整理し、計算過程を表2に整理した。
【表1】
【表2】
【0059】
比較例1:1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物(BT-100)間接定量
BT-100の反応溶媒としてnon-anhydrous N-メチルピロリドン(NMP)を使用し、HPLC分析移動相として無水アセトニトリル(ACN、anhydrous、シグマアルドリッチ)と超純水(MILLIPORE社、Mili-Q、18.2MΩ)とを脱気した後、ACN/HOの比率を5/95(v/v)から100/0(v/v)まで濃度勾配を与え、10分間測定した。クロマトグラムは、フォトダイオードアレイ検出器(PDA)を用いて203nmで測定し、それ以外には、実施例1と同様に進行した。その結果は、図6に示した。
【0060】
図6に示されたように、比較例1のような分析条件では、アニリンの保持時間(retention time)が過度に迅速に形成されながら溶媒ピークと重なる現象を示すので、純度分析に適切ではないことを確認することができる。
【0061】
比較例2:1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物(BT-100)間接定量
HPLC条件による変化を確認するために、移動相に塩を添加した。具体的に、HPLC移動相としてACN(trifluoroacetic acid、TFA 0.1%)/HO(TFA 0.1%)を使用し、PDAを用いて203nmで測定し、3100質量検出器(mass detector)を利用したことを除いては、実施例1と同様に進行した。
【0062】
質量検出器のモード(mode)は、ES+モードで、Capillary 3kV、ES Cone 30V、Source temperature 150℃、Desolvation temperature 350℃、Cone gas flow 60L/hr、Desolvation gas flowは、600L/hrで設定して使用した。その結果は、図7に示した。
【0063】
図7に示されたように、比較例2のような条件では、アニリンのピークが検出されないので、アニリン間接定量法としては適しないことが分かる。
【0064】
比較例3:1,3-ジメチルシクロブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物(DMCBDA)間接定量
比較例2と同じ方法でHPLC分析及び検出を進行し、その結果は、図8に示した。
【0065】
図8に示されたように、比較例3のような条件では、アニリンのピークが検出されないので、アニリン間接定量法としては適しないことが分かる。
【0066】
比較例4:4,4'-ビフタル酸二無水物(BPDA)間接定量
比較例2と同じ方法でHPLC分析及び検出を進行し、その結果は、図9に示した。
【0067】
図9に示されたように、比較例4のような条件では、アニリンのピークが検出されないので、アニリン間接定量法としては適しないことが分かる。
【0068】
比較例5:4,4'-ビフタル酸二無水物(BPDA)直接分析
HPLC移動相としてHPLC用アセトニトリル(ACN、シグマアルドリッチ)及びHPLC用ジメチルホルムアミド(dimethylformamide、DMF、シグマアルドリッチ)を使用し、試料をDMF(HPLC grade)に1mg/mLの濃度で完全に溶解させた後、カラムに2uL注入してクロマトグラムを得たことを除いては、実施例1と同じ方法で測定を進行した。その結果は、図10に示した。
【0069】
図10に示されたように、水の代わりにDMFを使用した比較例6のHPLC分析条件では、二無水物の純度分析が不可能である。BPDAを直接測定して純度を分析する方法で、DMFの代わりに水を使用すれば、二無水物の原構造が崩れることが分かる。
【0070】
比較例6:4,4'-ビフタル酸二無水物(BPDA)直接分析
HPLCカラムとしてShiseido社のcapcellpak cyano(4.6mm IDX150mm L、particle size:3μm)を利用し、移動相としてACN(HPLC用、J.T.Baker)及びDMF(HPLC用、Thermos fisher)を使用し、試料をDMFに1mg/mLの濃度で完全に溶解させた後、10uLを注入したことを除いては、実施例1と同様に進行した。
【0071】
その結果は、図11に示した。図11に示されたように、HPLC用溶媒に微量で存在する水による影響で実験時間が増加するほど無水溶媒を使用する時よりも二酸塩基(diacid)の量が増加することを確認することができるので、HPLC grade一般溶媒を溶離液(eluent)として使用する方法は適切ではないことが分かる。
【0072】
比較例7:4,4'-ビフタル酸二無水物(BPDA)直接分析
HPLCカラムとしてThermo fisher社のacclaim surfactant(4.6mm IDX150mm L、particle size:5μm)を使用し、移動相として無水ACN(anhydrous、シグマアルドリッチ)及び無水DMF(anhydrous、シグマアルドリッチ)を使用したことを除いては、比較例5と同じ方法で進行した。
【0073】
その結果は、図12に示した。図12に示されたように、acclaim surfactantカラムを使用した条件では、二無水物の純度分析が不可能であることを確認することができる。
【0074】
比較例8:4,4'-ビフタル酸二無水物(BPDA)直接分析
HPLCカラムとしてShiseido社のcapcellpak cyano(4.6mm IDX150mm L、particle size:3μm)を使用し、移動相としてクロロホルム(chloroform、HPLC用、J.T.Baker)及びDMF(HPLC用、Thermo fisher)を脱気した後、クロロホルム/DMFの比率を90/10に10分間流速1.0mL/分にしたことを除いては、比較例5と同じ方法で進行した。
【0075】
その結果は、図13に示し、図13に示されたように、Shiseido社のcapcellpak cyano(4.6mm IDX150mm L、particle size:3μm)を使用し、移動相としてクロロホルム(HPLC用、J.T.Baker)を使用する条件で二無水物の純度分析が不可能であることを確認することができる。
【0076】
以上、本発明の内容の特定の部分を詳しく記述したところ、当業者において、このような具体的な記述は、単に望ましい実施形態であり、これにより、本発明の範囲が制限されるものではないという点は明白である。したがって、本発明の実質的な範囲は、下記の特許請求の範囲とそれらの等価物とによって定義される。
図1
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図13