(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】化合物、これを含む感光性樹脂組成物、感光性樹脂組成物を用いた感光性樹脂膜、カラーフィルタ、およびディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
C08G 18/28 20060101AFI20220329BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20220329BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20220329BHJP
C09B 11/28 20060101ALI20220329BHJP
C09B 67/20 20060101ALI20220329BHJP
C08F 290/06 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
C08G18/28 080
G03F7/004 505
G02B5/20 101
C09B11/28 H CSP
C09B67/20 F
C08F290/06
(21)【出願番号】P 2020137056
(22)【出願日】2020-08-14
【審査請求日】2020-08-14
(31)【優先権主張番号】10-2019-0099728
(32)【優先日】2019-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】鄭 義 樹
(72)【発明者】
【氏名】楊 叡 知
(72)【発明者】
【氏名】柳 智 鉉
(72)【発明者】
【氏名】李 英
【審査官】中落 臣諭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0072709(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G18/00-18/87
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物:
【化1】
上記化学式1中、
R
1は、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
R
2、R
4、およびR
5は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリーレン基、またはこれらの組み合わせであり、
R
3は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロ環基、またはこれらの組み合わせである。
【請求項2】
前記R
2およびR
4は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基、または置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基であり、
前記R
5は、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリーレン基、またはこれらの組み合わせである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記R
1は、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
前記R
5は、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基、またはこれらの組み合わせである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
前記R
1は、下記化学式2で表される、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物:
【化2】
上記化学式2中、
前記R
a~R
eは、それぞれ独立して、水素原子、または置換もしくは非置換の炭素数1~5のアルキル基である。
【請求項5】
前記R
5は、下記化学式3で表される、請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物:
【化3】
上記化学式3中、
前記L
aおよびL
bは、それぞれ独立して、単一結合、または置換もしくは非置換の炭素数1~5のアルキレン基である。
【請求項6】
前記化合物は、下記化学式4-1~4-4のうちのいずれか一つで表される、請求項1に記載の化合物。
【化4】
【請求項7】
前記化学式1で表される化合物は、500nm~600nmの波長範囲で最大吸光度を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
赤色染料含有着色剤を含み、
前記赤色染料は、請求項1~7のうちのいずれか一項の化合物を含む感光性樹脂組成物。
【請求項9】
前記感光性樹脂組成物は、バインダー樹脂、光重合性単量体、光重合開始剤、および溶媒をさらに含む、請求項8に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項10】
前記バインダー樹脂は、アクリル系バインダー樹脂、カルド系バインダー樹脂、またはこれらの組み合わせを含む、請求項9に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項11】
前記着色剤は、顔料をさらに含む、請求項8~10のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項12】
前記感光性樹脂組成物は、感光性樹脂組成物総量に対して、
前記着色剤:1重量%~50重量%;
前記バインダー樹脂:1重量%~30重量%;
前記光重合性単量体:1重量%~15重量%;
前記光重合開始剤:0.01重量%~10重量%および
前記溶媒:残部量
を含む、請求項9~11のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項13】
前記感光性樹脂組成物は、マロン酸、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、ビニル基または(メタ)アクリルオキシ基を含むシラン系カップリング剤、レベリング剤、界面活性剤、ラジカル重合開始剤またはこれらの組み合わせをさらに含む、請求項9~12のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項14】
請求項8~13のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を用いて製造された感光性樹脂膜。
【請求項15】
請求項8~13のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を用いて製造されたカラーフィルタ。
【請求項16】
請求項15に記載のカラーフィルタを含むディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規化合物、これを含む感光性樹脂組成物、前記感光性樹脂組成物を用いて製造された感光性樹脂膜、前記感光性樹脂膜を含むカラーフィルタ、および前記カラーフィルタを含むディスプレイ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ装置の一つである液晶ディスプレイ装置は、軽量化及び薄形化、低価、低消費電力駆動化、および優れた集積回路との接合性などの長所を有していて、ノートパソコン、モニター、およびTV画像用にその使用範囲が拡大されている。このような液晶ディスプレイ装置は、ブラックマトリクス(遮光層)、カラーフィルタ、およびITO画素電極が形成された下部基板と、液晶層、薄膜トランジスタ、蓄電キャパシタ層から構成された能動回路部とITO画素電極が形成された上部の基板を含んで構成される。カラーフィルタは、画素の間の境界部を遮光するために透明基板上に定められたパターンで形成されたブラックマトリクス(遮光層)およびそれぞれの画素を形成するために複数の色(通常、赤(R)、緑(G)、青(B))の三原色を定められた順に配列した画素部が順次に積層された構造を取っている。
【0003】
前記カラーフィルタは、撮影素子、液晶ディスプレイ装置(LCD)、電界放出ディスプレイ(FEL)および発光ディスプレイ(LED)などに広く用いられるものであって、その応用範囲が急速に拡大されている。特に最近は、軽量、低電力、低い駆動電圧などの長所を有する液晶ディスプレイ装置に対する用途がさらに多様化しており、これにより、液晶ディスプレイ装置の色調を再現することにおいてカラーフィルタは最も重要な部品の一つとして認識されている。
【0004】
ディスプレイ産業の特性上、高色再現率、高解像度、明確な明暗比などが要求されるにつれて液晶ディスプレイ装置の核心部品の中でもカラーフィルタの重要性が強調されている。現在、カラーフィルタに使用される顔料は耐熱性、耐光性、耐化学性などの特性は優れるが、溶解度が良くなくて顔料を分散させて粒子状態で使用するため、色の対比が良くなく明暗が鮮明でなくてディスプレイの色感が良くない短所がある。このような短所によって顔料の代わりに染料使用の必要性が高まっている。染料は顔料に比べて溶解性が良くて高色再現に有利である。
【0005】
一方、染料がカラーフィルタに使用されるためには、波長、吸光度、透過度、耐熱性、耐光性、および耐化学性などの条件が適切でなければならない。赤色染料のうちのキサンテン(Xanthene)系化合物は、吸光係数が大きくて着色に有利であり、耐久性も優れるので赤色染料としてよく使用される。
【0006】
しかし、まだ、キサンテン系化合物を赤色染料として用いても、他染料に比べて高輝度および高耐久性の特性が満足するほどの水準に達しなかったため、キサンテン系化合物を改質して、より優れた輝度および耐久性を達成しようとする試みが続いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一実施形態は、新規な染料化合物を提供するためのものである。
【0009】
他の一実施形態は、前記染料化合物を含む感光性樹脂組成物を提供するためのものである。
【0010】
また他の一実施形態は、前記感光性樹脂組成物を用いて製造された感光性樹脂膜を提供するためのものである。
【0011】
また他の一実施形態は、前記感光性樹脂組成物を用いて製造されたカラーフィルタを提供するためのものである。
【0012】
また他の一実施形態は、前記カラーフィルタを含むディスプレイ装置を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一実施形態は、下記化学式1で表される化合物を提供する。
【0014】
【0015】
上記化学式1中、
R1は、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
R2、R4、およびR5は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリーレン基、またはこれらの組み合わせであり、
R3は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロ環基、またはこれらの組み合わせである。
【0016】
前記R2およびR4は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基、または置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基であってもよく、
前記R5は、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリーレン基、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0017】
前記R1は、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であってもよく、
前記R5は、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0018】
前記R1は、下記化学式2で表される化合物であってもよい。
【0019】
【0020】
上記化学式2中、
前記Ra~Reは、それぞれ独立して、水素原子、または置換もしくは非置換の炭素数1~5のアルキル基である。
【0021】
前記R5は、下記化学式3で表される化合物であってもよい。
【0022】
【0023】
上記化学式3中、
前記LaおよびLbは、それぞれ独立して、単一結合、または置換もしくは非置換の炭素数1~5のアルキレン基である。
【0024】
前記化合物は、下記化学式4-1~4-4のうちのいずれか一つで表される化合物であってもよい。
【0025】
【0026】
前記化学式1で表される化合物は、500nm~600nmの波長範囲で最大吸光度を有することができる。
【0027】
また他の一実施形態は、赤色染料含有着色剤を含み、前記赤色染料は前記化学式1で表される化合物を含む感光性樹脂組成物を提供する。
【0028】
前記感光性樹脂組成物は、バインダー樹脂、光重合性単量体、光重合開始剤、および溶媒をさらに含んでもよい。
【0029】
前記バインダー樹脂は、アクリル系バインダー樹脂、カルド系バインダー樹脂、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0030】
前記着色剤は、顔料をさらに含んでもよい。
【0031】
前記感光性樹脂組成物は、感光性樹脂組成物総量に対して、前記着色剤1重量%~50重量%、前記バインダー樹脂1重量%~30重量%、前記光重合性単量体1重量%~15重量%、前記光重合開始剤0.01重量%~10重量%、および前記溶媒残部量を含むことができる。
【0032】
前記感光性樹脂組成物は、マロン酸、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、ビニル基または(メタ)アクリルオキシ基を含むシラン系カップリング剤、レベリング剤、界面活性剤、ラジカル重合開始剤またはこれらの組み合わせをさらに含んでもよい。
【0033】
また他の一実施形態は、前記感光性樹脂組成物を用いて製造された感光性樹脂膜を提供する。
【0034】
また他の実施形態は、前記感光性樹脂組成物を用いて製造されたカラーフィルタを提供する。
【0035】
また他の実施形態は、前記カラーフィルタを含むディスプレイ装置を提供する。
【発明の効果】
【0036】
一実施形態による化合物は、有機溶媒に対する溶解度に優れ、蛍光制御力および分光整合性に優れて、これを着色剤として含む感光性樹脂組成物を用いて、輝度、耐熱性および耐化学性(耐薬品性)などに優れたカラーフィルタを製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態を詳しく説明する。但し、これは例示として提示されるものであって、これによって本発明が制限されるわけではなく、本発明は後述の特許請求の範囲の範疇によって定義されるだけである。
【0038】
本明細書で特別な言及がない限り、“置換”乃至“置換された”とは、本発明の官能基中の一つ以上の水素原子がハロゲン原子(F、Br、ClまたはI)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基(NH2、NH(R200)またはN(R201)(R202)であり、ここで、R200、R201およびR202は同一であるか互いに異なり、それぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基である)、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換の脂環族有機基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロ環基からなる群より選択される1種以上の置換基で置換されたことを意味する。
【0039】
本明細書で特別な言及がない限り、“アルキル基”とは炭素数1~20のアルキル基を意味し、具体的には炭素数1~15のアルキル基を意味し、“シクロアルキル基”とは炭素数3~20のシクロアルキル基を意味し、具体的には炭素数3~18のシクロアルキル基を意味し、“アルコキシ基”とは炭素数1~20のアルコキシ基を意味し、具体的には炭素数1~18のアルコキシ基を意味し、“アリール基”とは炭素数6~20のアリール基を意味し、具体的には炭素数6~18のアリール基を意味し、“アルケニル基”とは炭素数2~20のアルケニル基を意味し、具体的には炭素数2~18のアルケニル基を意味し、“アルキレン基”とは炭素数1~20のアルキレン基を意味し、具体的には炭素数1~18のアルキレン基を意味し、“アリーレン基”とは炭素数6~20のアリーレン基を意味し、具体的には炭素数6~16のアリーレン基を意味する。
【0040】
本明細書で特別な言及がない限り、“(メタ)アクリレート”は“アクリレート”と“メタクリレート”の両方とも可能であるのを意味し、“(メタ)アクリル酸”は“アクリル酸”と“メタクリル酸”の両方とも可能であるのを意味する。
【0041】
本明細書で別途の定義がない限り、“組み合わせ”とは混合または共重合を意味する。また“共重合”とはブロック共重合乃至ランダム共重合を意味し、“共重合体”とはブロック共重合体乃至ランダム共重合体を意味する。
【0042】
本明細書内の化学式で別途の定義がない限り、化学結合が描かれなければならない位置に化学結合が描かれていない場合は前記位置に水素原子が結合されているのを意味する。
【0043】
本明細書でカルド系樹脂とは、下記化学式6-1~化学式6-11からなる群より選択された一つ以上の官能基が樹脂内主骨格(backbone)に含まれる樹脂を意味する。
【0044】
本明細書で別途の定義がない限り、“*”は同一であるか異なる原子または化学式と連結される部分を意味する。
【0045】
一実施形態は、下記化学式1で表される化合物を提供する。
【0046】
【0047】
上記化学式1中、
R1は、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
R2、R4、およびR5は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリーレン基、またはこれらの組み合わせであり、
R3は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロ環基、またはこれらの組み合わせである。
【0048】
顔料型感光性樹脂組成物から製造されたカラーフィルタでは顔料粒子の大きさから生じる輝度と明暗比の限界が存在する。また、イメージセンサー用カラー撮像素子の場合には微細なパターン形成のためにさらに小さな分散粒度を要求するようになる。このような要求に応えるために顔料の代わりに粒子を成さない染料を導入して染料に適した感光性樹脂組成物を製造して輝度と明暗比が改善されたカラーフィルタを実現しようとする試みが続いている。
【0049】
一般に、キサンテン系化合物は電荷が分離されて、これを含む感光性樹脂組成物はPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート;ペグミア)などの有機溶媒に対する溶解度が低く、耐熱性および耐化学性(耐薬品性;Chemical resistance)などの耐久性が落ちて、感光性樹脂組成物内の着色剤として使用するのに限界があった。
【0050】
しかし、本発明の一実施形態による化合物、即ち、前記化学式1で表される化合物は有機溶媒に対する溶解度を改善することができ、さらに化合物の両端のキサンテン(Xanthene)化合物と結合されている窒素原子に置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせが必須的に結合されることによって前記化合物を含む感光性樹脂組成物を用いて製造されたカラーフィルタの輝度および耐熱性、耐化学性などの耐久性を向上させることができる。
【0051】
また、前記化学式1で表される化合物は、R5基の両側に二つのウレタン(Urethane)基が結合された連結基で連結された二量体形態を有するので蛍光制御力および分光整合性に優れて、これを含む感光性樹脂組成物を用いて輝度および明暗比が改善されたカラーフィルタを製造することができる。
【0052】
前記R5基は、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリーレン基、またはこれらの組み合わせであってもよく、好ましくは、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0053】
前記R2およびR4は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基、または置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基であってもよく、
特に、前記R1は、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であってもよく、例えば、炭素数6~18のアリール基、炭素数6~14のアリール基、炭素数6~10のアリール基であってもよい。前記R1基が上記のようにアリール基である場合、前記化合物を含む感光性樹脂組成物を用いて製造されたカラーフィルタの輝度および耐熱性、耐化学性などの耐久性を向上させることができる。
【0054】
前記R5は、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基、例えば、炭素数1~16のアルキレン基、例えば、炭素数1~12のアルキレン基、または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基、例えば、炭素数6~14のアリーレン基、例えば、炭素数6~10のアリーレン基、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0055】
例えば、前記R1は、下記化学式2で表すことができる。
【0056】
【0057】
上記化学式2中、
前記Ra~Reは、それぞれ独立して、水素原子、または置換もしくは非置換の炭素数1~5のアルキル基である。
【0058】
例えば、前記R5は、下記化学式3で表すことができる。
【0059】
【0060】
上記化学式3中、
前記LaおよびLbは、それぞれ独立して、単一結合、または置換もしくは非置換の炭素数1~5のアルキレン基である。
【0061】
前記R1が前記化学式2で表され、同時に前記R5が前記化学式3で表される場合、前記化学式1で表される化合物の耐久性が大きく向上できる。
【0062】
加えて、前記化学式1で表される化合物は、両末端に(メタ)アクリレート基を含むことによって、前記化合物を含む感光性樹脂組成物の有機溶媒に対する溶解度を向上させることができる。また、前記化合物が両末端に(メタ)アクリレート基を含むことによって、前記化学式1で表される化合物と単量体が共重合反応して、ポリマーを形成することができる。例えば、前記単量体はエチレン性不飽和単量体であってもよく、この場合、前記ポリマーはアクリルポリマーであり得る。
【0063】
例えば、前記エチレン性不飽和単量体は、芳香族ビニル化合物、不飽和カルボン酸エステル化合物、不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル化合物、カルボン酸ビニルエステル化合物、不飽和カルボン酸グリシジルエステル化合物、シアン化ビニル化合物、不飽和アミド化合物またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0064】
例えば、前記エチレン性不飽和単量体は、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルメチルエーテルなどの芳香族ビニル化合物;(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル化合物;2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル化合物;酢酸ビニル、安息香酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル化合物;グリシジル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル化合物;(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;(メタ)アクリルアミドなどの不飽和アミド化合物またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0065】
前記化学式1で表される化合物と前記エチレン性不飽和単量体の共重合を通じた高分子化反応の生成物であるアクリルポリマーは、耐熱性および工程性に優れて、カラーフィルタ製造に使用される感光性樹脂組成物内の着色剤、例えば染料として非常に有用に使用できる。
【0066】
前記化合物は、下記化学式4-1~4-4のうちのいずれか一つで表される化合物であってもよいが、これに限定されるのではない。
【0067】
【0068】
一実施形態による化合物は前記化学式1で表される化合物のような分子構造を有することによって、少量でもより鮮明な色の発現が可能であって、着色剤として使用時、輝度や明暗比などの色特性に優れたディスプレイ素子の製造が可能である。例えば、前記化学式1で表される染料化合物は、500nm~600nmの波長範囲で最大吸光度(λmax)を有することができる。
【0069】
一般に、染料は、カラーフィルタ内に使用される構成成分のうちの最も高価の構成成分である。したがって、所望の効果、例えば高輝度や高明暗比などを達成するためには、高価の染料をさらに多く使用しなければならないため、生産単価が上昇するしかなかった。しかし、前記一実施形態による化合物をカラーフィルタ内の染料として使用する場合、少量でも高輝度、高明暗比などの優れた色特性を達成することができて生産単価の節減が可能である。
【0070】
他の一実施形態によれば、赤色染料含有着色剤を含み、前記赤色染料は一実施形態による化合物を含む感光性樹脂組成物を提供する。
【0071】
前記一実施形態による化合物は、感光性樹脂組成物内で赤色染料(着色剤)としての役割を果たして、優れた色特性を発現することができる。
【0072】
前記感光性樹脂組成物は、バインダー樹脂、光重合性単量体、光重合開始剤、および溶媒をさらに含むことができる。即ち、前記感光性樹脂組成物は着色剤として一実施形態による化合物を含み、その他、バインダー樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、および溶媒を含むことができる。
【0073】
以下、前記成分について具体的に説明する。
【0074】
<着色剤>
前記感光性樹脂組成物は、前記一実施形態による化合物を赤色染料として含むこと以外に、顔料を着色剤としてさらに含むことができる。
【0075】
前記一実施形態による化合物は、前記感光性樹脂組成物総量に対して0.1重量%~10重量%、例えば、0.1重量%~7重量%、例えば、0.1重量%~5重量%、例えば、0.1重量%~3重量%、例えば、3重量%~10重量%、例えば、5重量%~10重量%で含まれてもよく、これらに制限されない。前記範囲で一実施形態による化合物が含まれる場合、色再現率および明暗比が優れるようになり得る。
【0076】
また、前記着色剤(任意成分の顔料も含まれ得る)は、前記感光性樹脂組成物総量に対して1重量%~50重量%、例えば、1重量%~47重量%、例えば、1重量%~45重量%、例えば、1重量%~43重量%、例えば、3重量%~50重量%、例えば、5重量%~50重量%で含まれてもよく、これらに制限されない。前記範囲で着色剤が含まれる場合、色再現率および明暗比が優れるようになり得る。
【0077】
前記顔料は、青色顔料、バイオレット顔料、赤色顔料、緑色顔料、黄色顔料などを含むことができる。
【0078】
前記青色顔料の例としては、C.I.青色顔料15:6(C.I.ピグメントブルー15:6)、C.I.青色顔料15(C.I.ピグメントブルー15)、C.I.青色顔料15:1(C.I.ピグメントブルー15:1)、C.I.青色顔料15:2(C.I.ピグメントブルー15:2)、C.I.青色顔料15:3(C.I.ピグメントブルー15:3)、C.I.青色顔料15:4(C.I.ピグメントブルー15:4)、C.I.青色顔料15:5(C.I.ピグメントブルー15:5)、C.I.青色顔料16(C.I.ピグメントブルー16)、C.I.青色顔料22(C.I.ピグメントブルー22)、C.I.青色顔料60(C.I.ピグメントブルー60)、C.I.青色顔料64(C.I.ピグメントブルー64)、C.I.青色顔料80(C.I.ピグメントブルー80)またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0079】
前記バイオレット顔料の例としては、C.I.バイオレット顔料1(C.I.ピグメントバイオレット1)、C.I.バイオレット顔料19(C.I.ピグメントバイオレット19)、C.I.バイオレット顔料23(C.I.ピグメントバイオレット23)、C.I.バイオレット顔料27(C.I.ピグメントバイオレット27)、C.I.バイオレット顔料28(C.I.ピグメントバイオレット28)、C.I.バイオレット顔料29(C.I.ピグメントバイオレット29)、C.I.バイオレット顔料30(C.I.ピグメントバイオレット30)、C.I.バイオレット顔料32(C.I.ピグメントバイオレット32)、C.I.バイオレット顔料37(C.I.ピグメントバイオレット37)、C.I.バイオレット顔料40(C.I.ピグメントバイオレット40)、C.I.バイオレット顔料42(C.I.ピグメントバイオレット42)、C.I.バイオレット顔料50(C.I.ピグメントバイオレット50)またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0080】
前記赤色顔料の例としては、ペリレン系顔料、アントラキノン(anthraquinone)系顔料、アゾ系顔料、ジアゾ系顔料、キナクリドン(quinacridone)系顔料、アントラセン(anthracene)系顔料などが挙げられる。前記赤色顔料の具体的な例としては、ペリレン顔料、キナクリドン(quinacridone)顔料、ナフトール(naphthol)AS、シコミン顔料、アントラキノン(anthraquinone)(sudanI、II、III、R)、ビスアゾ(visazo)、ベンゾピラン、C.I.pigment red 254(C.I.ピグメントレッド254)、C.I.pigment red 177(C.I.ピグメントレッド177)などが挙げられる。
【0081】
前記緑色顔料の例としては、C.I.顔料緑色58(C.I.ピグメントグリーン58)、C.I.顔料緑色59(C.I.ピグメントグリーン59)などのハロゲン化フタロシアニン系顔料などが挙げられる。
【0082】
前記黄色顔料の例としては、C.I.顔料黄色139(C.I.ピグメントイエロー139)、C.I.顔料黄色138(C.I.ピグメントイエロー138)、C.I.顔料黄色150(C.I.ピグメントイエロー150)などが挙げられ、これらを単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
【0083】
前記顔料は、顔料分散液の形態で前記感光性樹脂組成物に含まれてもよい。
【0084】
前記顔料分散液は、固形分の顔料、溶剤、および前記溶剤内に前記顔料を均一に分散させるための分散剤を含むことができる。
【0085】
前記固形分の顔料は、顔料分散液総量に対して1重量%~20重量%、例えば8重量%~20重量%、例えば8重量%~15重量%、例えば10重量%~20重量%、例えば10重量%~15重量%で含まれてもよい。
【0086】
前記分散剤としては、非イオン性分散剤、陰イオン性分散剤、陽イオン性分散剤などを使用することができる。前記分散剤の具体的な例としては、ポリアルキレングリコールおよびそのエステル、ポリオキシアルキレン、多価アルコールエステルアルキレンオキシド付加物、アルコールアルキレンオキシド付加物、スルホン酸エステル、スルホン酸塩、カルボン酸エステル、カルボン酸塩、アルキルアミドアルキレンオキシド付加物、アルキルアミンなどが挙げられ、これらを単独でまたは二つ以上混合して使用することができる。
【0087】
前記分散剤の市販される製品を例として挙げれば、BYK社のDISPERBYK(登録商標)-101、DISPERBYK(登録商標)-130、DISPERBYK(登録商標)-140、DISPERBYK(登録商標)-160、DISPERBYK(登録商標)-161、DISPERBYK(登録商標)-162、DISPERBYK(登録商標)-163、DISPERBYK(登録商標)-164、DISPERBYK(登録商標)-165、DISPERBYK(登録商標)-166、DISPERBYK(登録商標)-170、DISPERBYK(登録商標)-171、DISPERBYK(登録商標)-182、DISPERBYK(登録商標)-2000、DISPERBYK(登録商標)-2001など;EFKAケミカル社のEFKA-47、EFKA-47EA、EFKA-48、EFKA-49、EFKA-100、EFKA-400、EFKA-450など;Zeneka社のSolsperse 5000、Solsperse 12000、Solsperse 13240、Solsperse 13940、Solsperse 17000、Solsperse 20000、Solsperse24000GR、Solsperse 27000、Solsperse 28000など;またはAjinomoto社(味の素ファインテクノ株式会社)のPB711(アジスパーPB711)、PB821(アジスパーPB821)などがある。
【0088】
前記分散剤は、顔料分散液総量に対して1重量%~20重量%で含まれてもよい。分散剤が前記範囲内に含まれる場合、適切な粘度を維持することができて感光性樹脂組成物の分散性に優れ、これによって製品適用時の光学的、物理的および化学的品質を維持することができる。
【0089】
前記顔料分散液を形成する溶剤としては、エチレングリコールアセテート、エチルセロソルブ、プロピレングリコール(モノ)メチルエーテルアセテート、エチルラクテート、ポリエチレングリコール、シクロヘキサノン、プロピレングリコールメチルエーテルなどを使用することができる。
【0090】
<バインダー樹脂>
前記バインダー樹脂は、アクリル系バインダー樹脂、カルド系バインダー樹脂またはこれらの組み合わせを含むことができる。例えば、前記バインダー樹脂は、アクリル系バインダー樹脂であってもよい。
【0091】
前記アクリル系バインダー樹脂は、第1エチレン性不飽和単量体およびこれと共重合可能な第2エチレン性不飽和単量体の共重合体であって、一つ以上のアクリル系繰り返し単位を含む樹脂である。
【0092】
前記第1エチレン性不飽和単量体は一つ以上のカルボキシ基を含有するエチレン性不飽和単量体であり、その具体的な例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0093】
前記アクリル系バインダー樹脂中の前記第1エチレン性不飽和単量体由来の構成成分は、前記アクリル系バインダー樹脂総量に対して5重量%~50重量%、例えば10重量%~40重量%で含まれてもよい。前記アクリル系バインダー樹脂中の前記第2エチレン性不飽和単量体由来の構成成分は、前記アクリル系バインダー樹脂総量に対して50重量%~95重量%、例えば60重量%~90重量%で含まれてもよい。
【0094】
前記第2エチレン性不飽和単量体は、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルメチルエーテルなどの芳香族ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル化合物;2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル化合物;酢酸ビニル、安息香酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル化合物;グリシジル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル化合物;(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;(メタ)アクリルアミドなどの不飽和アミド化合物;などが挙げられ、これらを単独でまたは二つ以上混合して使用することができる。
【0095】
前記アクリル系バインダー樹脂の具体的な例としては、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体などが挙げられるが、これに限定されるのではなく、これらを単独または2種以上を配合して使用することもできる。
【0096】
前記アクリル系バインダー樹脂の重量平均分子量は、3,000g/mol~150,000g/mol、例えば5,000g/mol~50,000g/mol、例えば20,000g/mol~30,000g/molであってもよい。前記アクリル系バインダー樹脂の重量平均分子量が前記範囲内である場合、前記感光性樹脂組成物の物理的および化学的物性に優れ粘度が適切であり、カラーフィルタ製造時、基板との密着性に優れる。
【0097】
前記アクリル系バインダー樹脂の酸価は、15mgKOH/g~60mgKOH/g、例えば20mgKOH/g~50mgKOH/gであってもよい。アクリル系バインダー樹脂の酸価が前記範囲内である場合、ピクセルパターンの解像度が優れる。
【0098】
前記カルド系バインダー樹脂は、下記化学式5で表される繰り返し単位を含むことができる。
【0099】
【0100】
上記化学式5中、
R6およびR7は、それぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換の(メタ)アクリロイルオキシアルキル基であり、
R8およびR9は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
Z1は、単一結合、O、CO、SO2、CR10R11、SiR12R13(ここで、R10~R13は、それぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基である)または下記化学式6-1~化学式6-11で表される連結基のうちのいずれか一つであり、
【0101】
【0102】
上記化学式6-5中、
Rfは、水素原子、エチル基、C2H4Cl、C2H4OH、CH2CH=CH2またはフェニル基である。
【0103】
【0104】
Z2は、酸二無水物残基であり、
p1およびp2は、それぞれ独立して、0~4の整数である。
【0105】
前記カルド系バインダー樹脂は、両末端のうちの少なくとも一つに下記化学式7で表される官能基を含むことができる。
【0106】
【0107】
上記化学式7中、
Z3は、下記化学式7-1~化学式7-7で表すことができる。
【0108】
【0109】
上記化学式7-1中、RgおよびRhは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、エステル基またはエーテル基である。
【0110】
【0111】
上記化学式7-5中、Riは、O、S、NH、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基、炭素数1~20のアルキルアミン基または炭素数2~20のアルケニルアミン基である。
【0112】
【0113】
前記カルド系バインダー樹脂は、例えば、9,9-ビス(4-オキシラニルメトキシフェニル)フルオレンなどのフルオレン含有化合物;ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ペリレンテトラカルボン酸二無水物、テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、テトラヒドロフタル酸無水物などの無水物化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどのグリコール化合物;メタノール、エタノール、プロパノール、n-ブタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコールなどのアルコール化合物;プロピレングリコールメチルエチルアセテート、N-メチルピロリドンなどの溶媒類化合物;トリフェニルホスフィンなどのリン化合物;およびテトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド、ベンジルジエチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリドなどのアミンまたはアンモニウム塩化合物のうちの二つ以上を混合して製造することができる。
【0114】
前記カルド系バインダー樹脂を前述のアクリル系バインダー樹脂と共に使用する場合、密着力に優れ、高解像度および高輝度特性を有する感光性樹脂組成物を得ることができる。
【0115】
前記カルド系バインダー樹脂の重量平均分子量は、500g/mol~50,000g/mol、例えば3,000g/mol~30,000g/molであってもよい。前記カルド系バインダー樹脂の重量平均分子量が前記範囲内である場合、カラーフィルタ製造時に、残渣なくパターン形成が良好に行われ、現像時に、膜の厚さの損失がなく、良好なパターンを得ることができる。
【0116】
前記カルド系バインダー樹脂は、100mgKOH/g~140mgKOH/gの酸価を有することができる。
【0117】
前記バインダー樹脂は、前記感光性樹脂組成物総量に対して1重量%~30重量%、例えば、1重量%~25重量%、例えば、1重量%~20重量%、例えば、1重量%~15重量%、例えば、1重量%~10重量%、例えば、1重量%~7重量%、例えば、1重量%~5重量%で含まれてもよく、これらに制限されない。バインダー樹脂が前記範囲内に含まれる場合、カラーフィルタ製造時の現像性に優れ架橋性が改善されて優れた表面平滑度を得ることができる。
【0118】
<光重合性単量体>
前記光重合性単量体は、少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有する(メタ)アクリル酸の一官能または多官能エステルが使用できる。
【0119】
光重合性単量体は前記エチレン性不飽和二重結合を有することによって、パターン形成工程で露光時に十分な重合を起こすことによって耐熱性、耐光性および耐化学性に優れたパターンを形成することができる。
【0120】
光重合性単量体の具体的な例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート、ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0121】
光重合性単量体の市販される製品を例として挙げれば次の通りである。前記(メタ)アクリル酸の一官能エステルの例としては、東亞合成株式会社製のアロニックスM-101(登録商標)、同M-111(登録商標)、同M-114(登録商標)など;日本化薬株式会社製のKAYARAD TC-110S(登録商標)、同TC-120S(登録商標)など;大阪有機化学工業株式会社製のV-158(登録商標)、V-2311(登録商標)などが挙げられる。前記(メタ)アクリル酸の二官能エステルの例としては、東亞合成株式会社製のアロニックスM-210(登録商標)、同M-240(登録商標)、同M-6200(登録商標)など;日本化薬株式会社製のKAYARAD HDDA(登録商標)、同HX-220(登録商標)、同R-604(登録商標)など;大阪有機化学工業株式会社製のV-260(登録商標)、V-312(登録商標)、V-335HP(登録商標)などが挙げられる。前記(メタ)アクリル酸の三官能エステルの例としては、東亞合成株式会社製のアロニックスM-309(登録商標)、同M-400(登録商標)、同M-405(登録商標)、同M-450(登録商標)、同M-710(登録商標)、同M-8030(登録商標)、同M-8060(登録商標)など;日本化薬株式会社製のKAYARAD TMPTA(登録商標)、同DPCA-20(登録商標)、同-30(登録商標)、同-60(登録商標)、同-120(登録商標)など;大阪有機化学工業株式会社製のV-295(登録商標)、同-300(登録商標)、同-360(登録商標)、同-GPT(登録商標)、同-3PA(登録商標)、同-400(登録商標)などが挙げられる。前記製品を単独使用または2種以上共に使用することができる。
【0122】
前記光重合性単量体は、より優れた現像性を付与するために酸無水物で処理して使用することもできる。
【0123】
前記光重合性単量体は、前記感光性樹脂組成物総量に対して1重量%~15重量%、例えば、1重量%~10重量%、例えば、1重量%~7重量%、例えば、1重量%~5重量%で含まれてもよく、これらに制限されない。光重合性単量体が前記範囲内に含まれる場合、パターン形成工程で露光時に硬化が十分に起こって信頼性に優れ、アルカリ現像液への現像性に優れる。
【0124】
<光重合開始剤>
前記光重合開始剤は感光性樹脂組成物に一般に使用される開始剤であって、例えば、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、ベンゾイン系化合物、トリアジン系化合物、オキシム系化合物などを使用することができる。
【0125】
前記アセトフェノン系化合物の例としては、2,2’-ジエトキシアセトフェノン、2,2’-ジブトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、p-t-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-t-ブチルジクロロアセトフェノン、4-クロロアセトフェノン、2,2’-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、2-メチル-1-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オンなどが挙げられる。
【0126】
前記ベンゾフェノン系化合物の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-2-メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0127】
前記チオキサントン系化合物の例としては、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントンなどが挙げられる。
【0128】
前記ベンゾイン系化合物の例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタールなどが挙げられる。
【0129】
前記トリアジン系化合物の例としては、2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(3’,4’-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4’-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ビフェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-s-トリアジン、2-4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-s-トリアジンなどが挙げられる。
【0130】
前記オキシム系化合物の例としては、O-アシルオキシム系化合物、2-(o-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン、1-(o-アセチルオキシム)-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン、O-エトキシカルボニル-α-オキシアミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどを使用することができる。前記O-アシルオキシム系化合物の具体的な例としては、1,2-オクタンジオン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-ブタン-1,2-ジオン-2-オキシム-O-ベンゾエート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-オクタン-1,2-ジオン-2-オキシム-O-ベンゾエート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-オクタン-1-オンオキシム-O-アセテート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-ブタン-1-オンオキシム-O-アセテートなどが挙げられる。
【0131】
前記光重合開始剤は、前記化合物以外にも、カルバゾール系化合物、ジケトン類化合物、スルホニウムボレート系化合物、ジアゾ系化合物、イミダゾール系化合物、ビイミダゾール系化合物、フルオレン系化合物などを使用することができる。
【0132】
前記光重合開始剤は、光を吸収して励起状態となったのち、そのエネルギーを伝達することによって化学反応を起こす光増感剤と共に使用されてもよい。
【0133】
前記光増感剤の例としては、テトラエチレングリコールビス-3-メルカプトプロピオネート、ペンタエリトリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネート、ジペンタエリトリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネートなどが挙げられる。
【0134】
前記光重合開始剤は、前記感光性樹脂組成物総量に対して0.01重量%~10重量%、例えば、0.01重量%~9重量%、例えば、0.01重量%~7重量%、例えば、0.01重量%~5重量%、例えば、0.01重量%~3重量%、例えば、1重量%~10重量%、例えば、3重量%~10重量%で含まれてもよく、これらに制限されない。光重合開始剤が前記範囲内に含まれる場合、パターン形成工程で露光時に硬化が十分に起こって優れた信頼性を得ることができ、パターンの耐熱性、耐光性および耐化学性に優れ、解像度および密着性も優れ、未反応開始剤による透過率の低下を防止することができる。
【0135】
<溶媒>
前記溶媒は、一実施形態による(染料)化合物、前記顔料、前記バインダー樹脂、前記光重合性単量体および前記光重合開始剤との相溶性を有するが、反応しない物質が使用できる。
【0136】
前記溶媒の例としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類;ジクロロエチルエーテル、n-ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、メチルフェニルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート類;メチルエチルカルビトール、ジエチルカルビトール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのカルビトール類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、メチル-n-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、メチル-n-アミルケトン、2-ヘプタノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチルなどの飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類;乳酸メチル、乳酸エチルなどの乳酸エステル類;オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチルなどのオキシ酢酸アルキルエステル類;メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチルなどのアルコキシ酢酸アルキルエステル類;3-オキシプロピオン酸メチル、3-オキシプロピオン酸エチルなどの3-オキシプロピオン酸アルキルエステル類;3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチルなどの3-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-オキシプロピオン酸メチル、2-オキシプロピオン酸エチル、2-オキシプロピオン酸プロピルなどの2-オキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸メチルなどの2-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-オキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エチルなどの2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エステル類;2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチルなどの2-アルコキシ-2-メチルプロピオン酸アルキル類のモノオキシモノカルボン酸アルキルエステル類;2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチルなどのエステル類;ピルビン酸エチルなどのケトン酸エステル類などがあり、また、N-メチルホルムアミド、N、N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアニリド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセチルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1-オクタノール、1-ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ-ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、フェニルセロソルブアセテートなどの高沸点溶媒が挙げられる。
【0137】
これらのうち、良くは相溶性および反応性を考慮して、シクロヘキサノンなどのケトン類;エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;2-ヒドロキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのカルビトール類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類が使用できる。
【0138】
前記溶媒は、前記感光性樹脂組成物総量に対して残部量、例えば、20重量%~90重量%、例えば、40重量%~90重量%で含まれてもよい。溶媒が前記範囲内に含まれる場合、前記感光性樹脂組成物が適切な粘度を有することによってカラーフィルタ製造時工程性に優れる。
【0139】
<その他の添加剤>
前記感光性樹脂組成物は、塗布時の染みや斑点を防止し、レベリング性能を改善するために、また未現像による残渣の生成を防止するために、マロン酸;3-アミノ-1,2-プロパンジオール;カルボキシル基、メタクリロイル基、イソシアネート基、エポキシ基などの反応性置換基を有するシラン系カップリング剤;レベリング剤;フッ素系界面活性剤;ラジカル重合開始剤などの添加剤をさらに含むことができる。
【0140】
前記シラン系カップリング剤の例としては、トリメトキシシリル安息香酸、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが挙げられ、これらを単独または2種以上混合して使用することができる。
【0141】
前記シラン系カップリング剤は、感光性樹脂組成物100重量部に対して0.01重量部~10重量部で含まれてもよい。シラン系カップリング剤が前記範囲内に含まれる場合、密着性、貯蔵性などに優れる。
【0142】
前記感光性樹脂組成物は、基板との密着性などを改善するためにエポキシ化合物をさらに含むことができる。
【0143】
前記エポキシ化合物の例としては、フェノールノボラックエポキシ化合物、テトラメチルビフェニルエポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、脂環族エポキシ化合物またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0144】
前記エポキシ化合物は、感光性樹脂組成物100重量部に対して0.01重量部~20重量部、例えば0.1重量部~10重量部で含まれてもよい。エポキシ化合物が前記範囲内に含まれる場合、密着性、貯蔵性などに優れる。
【0145】
また前記感光性樹脂組成物は、必要によってコーティング性向上および欠点生成防止効果のために界面活性剤をさらに含むことができる。
【0146】
前記界面活性剤としてはフッ素系界面活性剤を使用することができ、前記フッ素系界面活性剤の例としてはDIC社製のF-482、F-484、F-478、F-554などがあり、これに限定されるのではない。
【0147】
前記界面活性剤は、感光性樹脂組成物100重量部に対して0.001重量部~5重量部で使用できる。界面活性剤が前記範囲内に含まれる場合、コーティング均一性が確保され、染みが発生せず、ガラス基板に対する湿潤性(wetting)に優れる。
【0148】
また前記感光性樹脂組成物は、物性を阻害しない範囲内で酸化防止剤、安定剤などのその他の添加剤が一定量添加されてもよい。
【0149】
また他の一実施形態によれば、一実施形態による感光性樹脂組成物を用いて製造された感光性樹脂膜を提供する。
【0150】
また他の一実施形態によれば、前記一実施形態による感光性樹脂組成物を用いて製造されたカラーフィルタを提供する。
【0151】
前記カラーフィルタのパターン形成工程は次の通りである。
【0152】
前記感光性樹脂組成物を支持基板上にスピンコーティング、スリットコーティング、インクジェットプリンティングなどで塗布する工程;前記塗布された感光性樹脂組成物を乾燥して感光性樹脂組成物膜を形成する工程;前記感光性樹脂組成物膜を露光する工程;前記露光された感光性樹脂組成物膜をアルカリ水溶液で現像して感光性樹脂膜を製造する工程;および前記感光性樹脂膜を加熱処理する工程を含む。前記工程上の条件などについては当該分野で広く知られた事項であるので、本明細書で詳しい説明は省略する。
【0153】
また他の一実施形態によれば、前記一実施形態によるカラーフィルタを含むディスプレイ装置を提供する。前記ディスプレイ装置は例えば、液晶表示装置(LCD)であってもよい。
【実施例】
【0154】
以下、本発明の好ましい実施例を記載する。但し、下記実施例は本発明の好ましい一実施例に過ぎず、本発明が下記実施例によって限定されるのではない。
【0155】
<合成例:化合物の合成>
(合成例1:化学式4-1で表される化合物の合成)
3’,6’-Dichlorospiro[3H-2,1-benzoxathiol-3,9’-[9H]xanthene]-1,1-dioxide(3’,6’-ジクロロスピロ[3H-2,1-ベンゾオキサチオール-3,9’-[9H]キサンテン]-1,1-ジオキシド) 1当量に10当量の2-プロパノール(2-propanol)と2当量の2-(エチルアミノ)エタノール(2-(ethylamino)ethanol)を入れて常温で3時間攪拌した。攪拌後、2当量の2,6-ジメチルアニリン(2,6-dimethylaniline)を入れて30℃で3時間攪拌した。エーテルを使用して沈殿を得た後、乾燥して中間体1を得た。得られた中間体1にヘキサメチレンジイソシアネート(Hexamethylene Diisocyanate) 0.5当量とジブチルスズラウレート(Dibutyl tinlaurate)、塩化メチレン(methylene chloride;メチレンクロリド)を入れ40℃で反応させて、中間体2を得た。得られた中間体2を塩化メチレン(Methylene chloride;メチレンクロリド)溶媒下で塩化メタクリロイル(methacryloyl chloride;メタクリロイルクロリド)と反応して下記化学式4-1で表される化合物を合成した。
【0156】
【0157】
Maldi-tof MS:(1,477.75)m/z。
【0158】
(合成例2:化学式4-2で表される化合物の合成)
前記合成例1で2,6-ジメチルアニリン(2,6-dimethylaniline)の代わりに2,4-ジメチルアニリン(2,4-dimethylaniline)を使用したことを除いて、前記合成例1と同様に反応して下記化学式4-2で表される化合物を合成した。
【0159】
【0160】
Maldi-tof MS:(1,477.75)m/z。
【0161】
(合成例3:化学式4-3で表示される化合物の合成)
前記合成例1でヘキサメチレンジイソシアネート(Hexamethylene Diisocyanate)の代わりにイソホロンジイソシアネート(Isophorone Diisocyanate;ジイソシアン酸イソホロン)を使用したことを除いて、前記合成例1と同様に反応して下記化学式4-3で表される化合物を合成した。
【0162】
【0163】
Maldi-tof MS:(1,517.82)m/z。
【0164】
(合成例4:化学式4-4で表される化合物の合成)
前記合成例1でヘキサメチレンジイソシアネート(Hexamethylene Diisocyanate)の代わりにm-キシリレンジイソシアネート(m-Xylene Diisocyanate)を使用したことを除いて、前記合成例1と同様に反応して下記化学式4-4で表される化合物を合成した。
【0165】
【0166】
Maldi-tof MS:(1,497.74)m/z。
【0167】
(比較合成例1:化学式Xで表される化合物の合成)
3’,6’-Dichlorospiro[3H-2,1-benzoxathiol-3,9’-[9H]xanthene]-1,1-dioxide(3’,6’-ジクロロスピロ[3H-2,1-ベンゾオキサチオール-3,9’-[9H]キサンテン]-1,1-ジオキシド) 1当量に10当量の2-プロパノール(2-propanol)と2当量の2-(エチルアミノ)エタノール(2-(ethylamino)ethanol)を入れ常温で3時間攪拌した。エーテルを使用して沈殿を得た後、乾燥して中間体1を得た。得られた中間体1にN,N’-ジメチル-1,6-ヘキサンジアミン(N,N’-Dimethyl-1,6-hexanediamine) 0.5当量とNMP(N-メチル-2-ピロリドン)を入れ120℃で一日間反応させて、中間体2を得た。得られた中間体2を塩化メチレン(Methylene chloride;メチレンクロリド)溶媒下で塩化メタクリロイル(Methacryloyl chloride;メタクリロイルクロリド)と反応して下記化学式Xで表される化合物を合成した。
【0168】
【0169】
Maldi-tof MS:(1,151.40)m/z。
【0170】
(比較合成例2:化学式Yで表される化合物の合成)
3’,6’-Dichlorospiro[3H-2,1-benzoxathiol-3,9’-[9H]xanthene]-1,1-dioxide(3’,6’-ジクロロスピロ[3H-2,1-ベンゾオキサチオール-3,9’-[9H]キサンテン]-1,1-ジオキシド) 1当量に10volumnの2-propanolと2当量の2-(エチルアミノ)エタノール(2-(ethylamino)ethanol)を入れ50℃で3時間攪拌した。エーテルを使用して沈殿を得た後、乾燥して中間体1を得た。得られた中間体1にヘキサメチレンジイソシアネート(Hexamethylene Diisocyanate) 0.5当量とジブチルスズラウレート(dibutyl tinlaurate)、塩化メチレン(methylene chloride;メチレンクロリド)を入れ40℃で反応させて、中間体2を得た。得られた中間体2を塩化メチレン(Methylene chloride;メチレンクロリド)溶媒下で塩化メタクリロイル(methacryloyl chloride;メタクリロイルクロリド)と反応して下記化合物Yを合成した。
【0171】
【0172】
Maldi-tof MS:(1,325.56)m/z。
【0173】
<実施例:感光性樹脂組成物の合成>
(実施例1~実施例4、比較例1および比較例2)
下記表1に記載された組成で、溶媒に光重合開始剤を入れ1時間常温で攪拌して溶解させた。次いで、バインダー樹脂および光重合性単量体を添加し、1時間常温で攪拌した。ここに、その他の添加剤を添加し1時間常温で攪拌した。ここに、前記合成例1~合成例4、比較合成例1および比較合成例2で製造した化合物を(または赤色顔料と共に)添加し2時間常温で攪拌した後、前記溶液に対して3回かけてろ過を行って不純物を除去して実施例1~実施例4、比較例1および比較例2による感光性樹脂組成物を製造した。前記感光性樹脂組成物の製造時使用された成分は下記の通りである。
【0174】
(A)バインダー樹脂
アクリル系バインダー樹脂(RY-25、Showadenko社)
(B)光重合性単量体
DPHA(Nippon KAYAKU社)
(C)光重合開始剤
SPI-03(三養社)
(D)着色剤
(D-1)合成例1による化合物
(D-2)合成例2による化合物
(D-3)合成例3による化合物
(D-4)合成例4による化合物
(D-5)比較合成例1による化合物
(D-6)比較合成例2による化合物
(D-7)C.I.pigment red 254(SANYO社)
(D-8)C.I.pigment red 177(SANYO社)
(E)溶媒
プロピレングリコールモノメチルエチルアセテート(PGMEA、sigma-aldrich社)
(F)その他の添加剤
フッ素系界面活性剤(F-554、DIC社)。
【0175】
【0176】
<評価1:輝度特性評価>
脱脂洗浄した厚さ1mmのガラス基板上に1μm~3μmの厚さで前記実施例1~実施例4および比較例1、比較例2で製造した感光性樹脂組成物を塗布し、90℃のホットプレート上で2分間乾燥させて塗膜を収得した。続いて、塗膜に365nmの主波長を有する高圧水銀ランプを使用して60mJ/cm2の条件で全面露光した。その後、230℃の熱風循環式乾燥炉中で20分間乾燥させて同一な厚さのサンプルを収得した。画素層(ガラス基板上に感光性樹脂組成物を用いて製造された感光性樹脂膜)は分光光度計(MCPD3000、Otsuka electronic社)を用いて輝度を測定し、その結果を下記表2に示した。
【0177】
<評価2:耐久性評価>
前記実施例1~実施例4、比較例1および比較例2で製造された感光性樹脂組成物を用いて製造したカラーフィルタ試片のパターンを230℃のオーブン(oven)で30分間熱処理して耐久性を評価し、分光光度計(Otsuka Electronics社のMCPD3000)を使用して色変化と吸光度変化を測定した。その後、その結果を下記表2に示した。
【0178】
【0179】
上記表2を通じて、一実施形態による化合物(赤色染料)を含む実施例1~実施例4の感光性樹脂組成物は、前記化合物を含まない比較例1および比較例2と比較して、輝度などの色特性だけでなく、耐熱性および耐化学性などの耐久性も優れるのを確認することができる。
【0180】
上記において、本発明の特定の実施例が説明され図示されたが、本発明は記載された実施例に限定されるのではなく、本発明の思想および範囲を逸脱せず多様に修正および変形できるのはこの技術の分野における通常の知識を有する者に自明なことである。したがって、そのような修正例または変形例は本発明の技術的な思想や観点から個別的に理解されてはならず、変形された実施例は本発明の特許請求の範囲に属すると言わなければならないはずである。