IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ヴィーネックスの特許一覧

特許7049094ライン光源及びこれを備えた光ラインセンサユニット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】ライン光源及びこれを備えた光ラインセンサユニット
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20220330BHJP
   G02B 6/00 20060101ALI20220330BHJP
   G03B 27/54 20060101ALI20220330BHJP
   H04N 1/028 20060101ALI20220330BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20220330BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220330BHJP
【FI】
F21S2/00 431
F21S2/00 438
G02B6/00 331
G03B27/54 A
H04N1/028 Z
H04N1/04 101
F21Y115:10 500
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2017208036
(22)【出願日】2017-10-27
(65)【公開番号】P2019079765
(43)【公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】510192019
【氏名又は名称】株式会社ヴィーネックス
(74)【代理人】
【識別番号】100141852
【弁理士】
【氏名又は名称】吉本 力
(74)【代理人】
【識別番号】100152571
【弁理士】
【氏名又は名称】新宅 将人
(72)【発明者】
【氏名】龍満 和明
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/141461(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/013234(WO,A1)
【文献】特開2005-341141(JP,A)
【文献】特開2015-103356(JP,A)
【文献】特開2016-009388(JP,A)
【文献】特開2011-249020(JP,A)
【文献】特開2010-020941(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
G02B 6/00
H04N 1/028
H04N 1/04
G03B 27/54
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を読み取る光ラインセンサユニットの照明光源として用いられるライン光源であって、
長尺形状を有し、長手方向に沿って出射面が形成された導光体と、
前記導光体の長手方向における少なくとも一方の端面に対向し、当該端面から前記導光体の内部に光を入射させる少なくとも1つの光源と、
前記導光体の長手方向に沿って設けられ、前記導光体の内部に入射した光を拡散させて前記出射面から出射させる光拡散パターンと、
前記光拡散パターンにおける前記光源側の端部と前記光源とを結ぶ主光路上に設けられ、前記光源から前記導光体の内部に入射する光の一部の角度を変換する角度変換機能を有する角度変換反射部と、
前記角度変換反射部で角度変換された光を反射させる反射面により形成され、当該反射面で反射した光を前記光源からの光とともに前記導光体の内部に導くためのミキシング空間と、
前記導光体の前記端面に対向して配置され、前記ミキシング空間が内部に形成された筒状部材とを備え、
前記角度変換反射部は、環状部と、当該環状部の内方に配置された遮蔽部とを含み、前記遮蔽部が、前記環状部から離間した位置において、前記光拡散パターンにおける前記光源側の端部と前記光源とを結ぶ主光路上に設けられ、
前記ミキシング空間は、前記光源から遠ざかるにつれて断面積が光源側の端部の面積に対し、少なくとも同等以上の面積になるように形成されており、
前記角度変換反射部により角度変換された光のうち前記光源側に戻る光が、前記ミキシング空間において前記角度変換反射部と前記光源との間を少なくとも1回以上往復し、かつ、前記角度変換反射部は、前記主光路上の光を前記光拡散パターンに対し遮るように配置されていることを特徴とするライン光源。
【請求項2】
前記角度変換反射部は、拡散反射、鏡面反射又は拡散反射と鏡面反射とを含む反射による角度変換機能を有することを特徴とする請求項1に記載のライン光源。
【請求項3】
前記導光体の前記端面に対向して配置されるように前記ミキシング空間が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のライン光源。
【請求項4】
前記導光体の前記端面には、前記光源を収容する凹部が形成されており、
前記角度変換反射部は、前記凹部内に設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のライン光源。
【請求項5】
前記導光体の前記出射面における前記凹部に対向する位置に設けられた遮光部をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載のライン光源。
【請求項6】
前記遮光部は、光源の波長に対して任意の透過率を有する光学フィルタであるか、又は、光学フィルタと拡散素材との組み合わせからなることを特徴とする請求項5に記載のライン光源。
【請求項7】
前記遮光部には、任意の少なくとも1つの開口部が形成されていることを特徴とする請求項5又は6に記載のライン光源。
【請求項8】
前記導光体の前記端面における前記光源からの光が入射する入射領域の面積をDとし、前記導光体の前記端面に対する前記角度変換反射部の投影面積をSとした場合に、8<(D+S)/S<12の関係式を満たすことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のライン光源。
【請求項9】
前記角度変換反射部の表面が、曲面若しくは異なる種類の曲面の組み合わせからなる拡散反射機能、鏡面反射機能又は拡散反射と鏡面反射とを含む反射による角度変換機能を有することを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載のライン光源。
【請求項10】
前記角度変換反射部の表面が、平面若しくは異なる角度を有する平面の組み合わせからなる拡散反射機能、鏡面反射機能又は拡散反射と鏡面反射とを含む反射による角度変換機能を有することを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載のライン光源。
【請求項11】
前記角度変換反射部の表面が、平面及び曲面の組み合わせからなる拡散反射機能、鏡面反射機能又は拡散反射と鏡面反射とを含む反射による角度変換機能を有することを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載のライン光源。
【請求項12】
前記少なくとも1つの光源には、
前記導光体の長手方向における一方の端面に対向し、当該一方の端面から前記導光体の内部に、紫外光を入射させる第1光源と、
前記導光体の長手方向における他方の端面に対向し、当該他方の端面から前記導光体の内部に、可視光、又は可視光から赤外光までを含む波長範囲の光を入射させる第2光源とが含まれることを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載のライン光源。
【請求項13】
前記導光体の一方の端面と前記第1光源との間に配置され、紫外光を透過させるとともに、可視光、又は可視光から赤外光までを含む波長範囲の光を遮断する第1光学フィルタをさらに備え、
前記角度変換反射部は、前記光拡散パターンにおける前記第1光源側の端部と前記第1光源とを結ぶ主光路上に設けられていることを特徴とする請求項12に記載のライン光源。
【請求項14】
前記導光体の他方の端面と前記第2光源との間に配置され、可視光、又は可視光から赤外光までを含む波長範囲の光を透過させるとともに、紫外光を遮断する第2光学フィルタをさらに備え、
前記角度変換反射部は、前記光拡散パターンにおける前記第2光源側の端部と前記第2光源とを結ぶ主光路上に設けられていることを特徴とする請求項12又は13に記載のライン光源。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のライン光源と、
前記ライン光源から出射され、前記紙葉類で反射又は透過した光を導くためのレンズアレイと、
前記レンズアレイにより収束された光を受光し、電気信号に変換する受光部と、
前記紙葉類と前記受光部との間に設けられ、可視光、又は可視光から赤外光までを含む波長範囲の光を透過させ、前記受光部に紫外光が入らないように、紫外光を遮断する第3光学フィルタとを備えることを特徴とする光ラインセンサユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば紙幣、有価証券などの紙葉類を読み取る光ラインセンサユニットの照明光源として用いられるライン光源、及び、これを備えた光ラインセンサユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
紙葉類を読み取る光ラインセンサユニットとして、長尺形状の導光体と、導光体の端部に設けられる光源とを備えるユニットが利用されている。この光ライセンサユニットでは、導光体の周面の一部に、長手方向に沿うようにして出射面が形成されている。また、導光体には、出射面と対向する位置に、長手方向に沿うようにして光拡散パターンが形成されている。この光ライセンサユニットでは、光源から出射された光が、導光体の内面で複数回反射した後、光拡散パターンに入射する。そして、光拡散パターンに入射した光は、光拡散パターンによって拡散され、その拡散された光が、出射面から出射する。このようにして、光ライセンサユニットでは、出射面からライン状の光が出射される(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
このような光ライセンサユニットにおいて、ライン状に出射される光の照度(強度分布)が、照射位置によって異なることがある。具体的には、光ライセンサユニットから出射されるライン状の光のうち、光源近傍の出射面から出射される光の強度が極端に高くなることがある。このことは、光源から出射された光が導光体内面で反射することなく直接光拡散パターンに入射し、その拡散された光が出射面から出射することなどに起因している。このような光の強度の不均一(照度むら)は、その後の画像処理などにおける不具合の原因となる。
【0004】
このような点から、特許文献1に記載の光ライセンサユニットでは、導光体の出射面のうち、光源近傍の部分に、光を分散させるための微細な凹凸がシボ加工により形成されている。この光ライセンサユニットでは、光源近傍の出射面から出射する光を導光体に形成された凹凸で拡散させることで、光源近傍の出射面から出射する光の強度を低下させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-145710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような従来の光ライセンサユニットでは、光源近傍の出射面から出射する光の全ては、導光体に形成された凹凸で拡散されてしまう。そのため、導光体内で複数回反射してから光拡散パターンで拡散されて光源近傍の出射面から出射される光のように、本来必要な光まで拡散させてしまい、光の利用効率が低下するといった不具合があった。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、導光体から出射する光の強度の不均一性を抑制でき、かつ、光の利用効率の低下を抑制できるライン光源及びこれを備えた光ラインセンサユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るライン光源は、紙葉類を読み取る光ラインセンサユニットの照明光源として用いられるライン光源である。前記ライン光源は、導光体と、少なくとも1つの光源と、光拡散パターンと、角度変換反射部とを備える。前記導光体は、長尺形状を有し、長手方向に沿って出射面が形成されている。前記少なくとも1つの光源は、前記導光体の長手方向における少なくとも一方の端面に対向し、当該端面から前記導光体の内部に光を入射させる。前記光拡散パターンは、前記導光体の長手方向に沿って設けられ、前記導光体の内部に入射した光を拡散させて前記出射面から出射させる。前記角度変換反射部は、前記光拡散パターンにおける前記光源側の端部と前記光源とを結ぶ主光路上に設けられ、前記光源から前記導光体の内部に入射する光の一部の角度を変換する角度変換機能を有する。例えば、反射面を鏡面にすれば、反射角度のみ変換され、光源にほとんどの光が戻る。拡散面であれば、導光体入光部に一部の光が到達し、残りの光が光源に戻る。
【0009】
ここで、主光路とは、入光部近傍の光拡散パターンの主走査方向における光源側の端部の任意の1点と光源の任意の1点とを結ぶ導光体の屈折率、及び、レンズ付きLEDの場合はレンズの屈折率も含めた関係で決まるある立体角の光線群で囲まれる領域において中心となる光路を意味する。
大きさを有する光源からは、多数の点光源の上記の立体角がその数存在することになるので、ある領域を遮蔽する必要があり、そのため、主光路近傍を遮断する必要がある。
【0010】
このような構成によれば、角度変換反射部は、光拡散パターンにおける光源側の端部と光源とを結ぶ主光路近傍に設けられる。そして、光源から出射されて導光体の内部に入射する光の一部は、角度変換反射部で角度変換されて、反射又は拡散される。
【0011】
そのため、光源から出射された光のうち、導光体の内面で反射することなく、光拡散パターンにおける光源側の端部に直接向かう光を、角度変換(拡散も含む)させ、又は、光源側に戻すことにより、光拡散パターンに直接入射しないようにすることできる。
その結果、光源から出射されて直接光拡散パターンに入射する光の量を調整又は低減できる。そして、入光部近傍において光拡散パターンで拡散される光の強度が極端に高くなることを抑制できる。
よって、導光体から出射する光の入光部近傍の強度の不均一性を抑制できる。
【0012】
また、光源からの光のうち、導光体からの出射光の強度の不均一性の要因となる光のみを、角度変換反射部において拡散又は反射させることにより、その光量を調整又は低減することができる。
【0013】
そのため、光の利用効率を維持しながら主走査方向への光強度分布を均一にできる。
このように、本発明に係るライン光源によれば、導光体から出射する光の強度の不均一性を抑制でき、かつ、光の利用効率の低下を抑制できる。
【0014】
また、前記角度変換反射部は、拡散反射、鏡面反射又は拡散反射と鏡面反射とを含む反射による角度変換機能を有してもよい。
【0015】
このような構成によれば、光源から出射された光が、光拡散パターンに直接入射することを確実に防止できる。
【0016】
また、前記ライン光源は、ミキシング空間をさらに備えてもよい。前記ミキシング空間は、前記角度変換反射部で角度変換された光を反射させる反射面により形成され、当該反射面で反射した光を前記光源からの光とともに前記導光体の内部に導く。
【0017】
このような構成によれば、光源から出射した光のうち、角度変換反射部で拡散反射又は角度変換された光を、ミキシング空間に形成された反射面で反射させて、導光体の内部に入射させることができる。又は、光源側への戻り光は、反射面で再び反射され、ミキシング空間を経て、再び角度変換反射部に入射し、拡散反射又は角度変換されて、一部が導光体入光部に入射し、残りが戻り光となる。角度変換反射部に入射せずに導光体端面に入射した光は、入光部近傍の光拡散パターンに入射せず、光拡散パターンから離れた位置に入射する。
【0018】
すなわち、光源から出射した光のうち、角度変換反射部に入射する光は、光源側に戻り、又は、導光体入光部に入射する。また、光源から出射した光のうち、角度変換反射部に入射しない光は、直接導光体入光部に入射する。
また、光源側への戻り光は、光源側の反射面で反射されて再び導光体側に向かう。そして、この導光体側に向かう光のうち、角度変換反射部に入射する光は、光源側に戻り、又は、導光体入光部に入射する。また、導光体側に向かう光のうち、角度変換反射部に入射しない光は、直接導光体入光部に入射する。光源側の反射面は、各々の波長に応じた高反射素材(素材)を用いるか、又は、高反射素材でコーティングされており、再帰反射効率を良好にしている。
【0019】
このように、角度変換反射部における光の拡散反射又は角度変換、及び、反射面での光の反射を繰り返すことにより、入光部近傍の光拡散パターンに直接入射する光量を制限又は調整ができ、光強度分布が均一になる。
しかも、上記したように、再帰光の利用による効果により、光利用効率の低下を抑制できる。
言い換えれば、入光部近傍の光強度の上昇分を他の部分に振り分けることにより、光利用効率を低下させることなく、光強度分布の均一性を高めることが可能になる。
【0020】
また、前記ライン光源において、前記導光体の前記端面に対向して配置されるように前記ミキシング空間が形成されていてもよい。
このような構成によれば、適切な位置にミキシング空間を形成することができる。
【0021】
また、前記ライン光源は、筒状部材をさらに備えてもよい。前記筒状部材は、前記導光体の前記端面に対向して配置され、前記ミキシング空間が内部に形成されている。前記ミキシング空間は、前記光源から遠ざかるにつれて断面積が光源側の端部の面積に対し、少なくとも同等以上の面積になるように形成されていてもよい。
【0022】
このような構成によれば、ミキシング空間を形成する反射面で反射する光の出射強度が平行に近づき、導光体入光部端面におけるフレネル損失を少なくでき、ミキシング空間を通過した光を効率よく導光体の内部に入射させることができる。
フレネル損失とは、光が異なる媒質に入射する際に、入射角度により反射率(透過率)が変わり、入射角度が増加すると反射率が増大することを意味しており、フレネルの式で表される。
なお、ミキシング空間の内面の反射面は、鏡面又は鏡面に近い表面性を有することが好ましい。
前記のラッパ型のような拡がる断面形状を有するミキシング空間は、その内面で反射した際に反射角度がより導光体の光軸に近づき、そのため、導光体端面に入射した際に入射角度が小さくなるため、導光体と空気の界面での透過率が向上することによって、入射効率が増大する。
【0023】
また、前記導光体の前記端面には、前記光源を収容する凹部が形成されていてもよい。前記角度変換反射部は、前記凹部内に設けられていてもよい。
このような構成によれば、ライン光源の小型化を実現できる。
【0024】
また、前記ライン光源は、遮光部をさらに備えてもよい。前記遮光部は、前記導光体の前記出射面における前記凹部に対向する位置に設けられている。
【0025】
このような構成によれば、光源から出射された光が、角度変換反射部で拡散反射又は角度変換され、導光体出射面に向かい、導光体入光部近傍の出射面から直接外部に出射することを抑制できる。
【0026】
また、前記遮光部は、光源の波長に対して任意の透過率を有する光学フィルタであるか、又は、光学フィルタと拡散素材との組み合わせからなるものであってもよい。
【0027】
このような構成によれば、導光体入光部近傍の光を取り出すことができる。
【0028】
また、前記遮光部には、任意の少なくとも1つの開口部が形成されていてもよい。
【0029】
このような構成によれば、導光体入光部近傍の光を取り出すことができる。
【0030】
また、前記導光体の前記端面における前記光源からの光が入射する入射領域の面積をDとし、前記導光体の前記端面に対する前記角度変換反射部の投影面積をSとした場合に、8<(D+S)/S<12の関係式を満たしてもよい。
【0031】
このような構成によれば、角度変換反射部を、光源からの光を拡散反射又は角度変換するのに適した大きさに構成できる。
【0032】
また、前記角度変換反射部の表面が、曲面若しくは異なる種類の曲面の組み合わせからなる拡散反射機能、鏡面反射機能又は拡散反射と鏡面反射とを含む反射による角度変換機能を有してもよい。
【0033】
このような構成によれば、角度変換反射部の表面形状を、曲面若しくは異なる種類の曲面の組み合わせで形成するという簡易な構成で、角度変換反射部に角度変換機能を持たせることができる。
【0034】
また、前記角度変換反射部の表面が、平面若しくは異なる角度を有する平面の組み合わせからなる拡散反射機能、鏡面反射機能又は拡散反射と鏡面反射とを含む反射による角度変換機能を有してもよい。
【0035】
このような構成によれば、角度変換反射部の表面形状を、平面若しくは異なる角度を有する平面の組み合わせで形成するという簡易な構成で、角度変換反射部に角度変換機能を持たせることができる。
【0036】
また、前記角度変換反射部の表面が、平面及び曲面の組み合わせからなる拡散反射機能、鏡面反射機能又は拡散反射と鏡面反射とを含む反射による角度変換機能を有してもよい。
【0037】
このような構成によれば、角度変換反射部の表面形状を、平面及び曲面の組み合わせで形成するという簡易な構成で、角度変換反射部に角度変換機能を持たせることができる。
【0038】
また、前記少なくとも1つの光源には、第1光源と、第2光源とが含まれてもよい。前記第1光源は、前記導光体の長手方向における一方の端面に対向し、当該一方の端面から前記導光体の内部に、紫外光を入射させる。前記第2光源は、前記導光体の長手方向における他方の端面に対向し、当該他方の端面から前記導光体の内部に、可視光、又は可視光から赤外光までを含む波長範囲の光を入射させる。
このような構成によれば、紫外光、可視光、又は、可視光から赤外光までを含む波長範囲の光を選択し、その光を光源から出射させて、導光体の内部に入射させることができる。
そのため、導光体の出射面から最適な光を出射させることができる。
【0039】
また、前記ライン光源は、第1光学フィルタをさらに備えてもよい。前記第1光学フィルタは、前記導光体の一方の端面と前記第1光源との間に配置され、紫外光を透過させるとともに、可視光、又は可視光から赤外光までを含む波長範囲の光を遮断する。前記角度変換反射部は、前記光拡散パターンにおける前記第1光源側の端部と前記第1光源とを結ぶ主光路上に設けられていてもよい。
【0040】
このような構成によれば、第1光源から出射された紫外光のみを第1光学フィルタで透過させて導光体内部に入射させることができる。例えば、第1光源が、酸化アルミニウム・セラミック焼結体など、紫外光が当たったときに蛍光を発する実装基板を採用している場合には、第1光源からの照射光が実装基板に当たり、蛍光が二次照射されることとなる。上記した構成であれば、第1光源から二次照射される蛍光が導光体内部に入ることを、第1光学フィルタにより防止できる。
【0041】
また、前記ライン光源は、第2光学フィルタをさらに備えてもよい。前記第2光学フィルタは、前記導光体の他方の端面と前記第2光源との間に配置され、可視光、又は可視光から赤外光までを含む波長範囲の光を透過させるとともに、紫外光を遮断する。前記角度変換反射部は、前記光拡散パターンにおける前記第2光源側の端部と前記第2光源とを結ぶ主光路上に設けられていてもよい。
【0042】
このような構成によれば、第2光源から出射された可視光、又は可視光から赤外光までを含む波長範囲の光のみを第2光学フィルタで透過させて導光体内部に入射させることができる。例えば、第2光源が、酸化アルミニウム・セラミック焼結体など、紫外光が当たったときに蛍光を発する実装基板を採用している場合には、第1光源からの照射光が導光体を通過して第2光源の実装基板に当たり、蛍光が二次照射されることとなる。上記した構成であれば、第1光源から照射される紫外光が第2光源に入射することを、第2光学フィルタにより防止できる。そして、第2光源において蛍光が二次照射されることを防止できる。
【0043】
本発明に係る光ラインセンサユニットは、前記ライン光源と、レンズアレイと、受光部と、第3光学フィルタとを備える。前記レンズアレイは、前記ライン光源から出射され、前記紙葉類で反射又は透過した光を導く。前記受光部は、前記レンズアレイにより収束された光を受光し、電気信号に変換する。前記第3フィルタは、前記紙葉類と前記受光部との間に設けられ、可視光、又は可視光から赤外光までを含む波長範囲の光を透過させ、前記受光部に紫外光が入らないように、紫外光を遮断する。
【0044】
このような構成によれば、可視光、又は可視光から赤外光までを含む波長範囲の光のみを第3フィルタを透過させて、受光部で受光させることができる。
そのため、受光部の近傍において、紫外光により蛍光が二次照射されることを防止できる。
【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、角度変換反射部は、光拡散パターンにおける光源側の端部と光源とを結ぶ主光路近傍に設けられる。光源から出射されて導光体の内部に入射する光の一部は、角度変換反射部で角度変換されて、反射又は拡散される。光源から出射されて直接拡散パターンに向かう光は、角度変換反射部で拡散反射又は角度変換される結果、光源から出射されて直接光拡散パターンに入射する光の量を調整又は低減できる。よって、導光体から出射する光の入光部近傍の強度の不均一性を抑制できる。また、光源からの光のうち、導光体からの出射光の強度の不均一性の要因となる光のみを、角度変換反射部で、拡散反射又は角度変換させるため、その光量を低減させることができる。しかも、再帰光反射効果を用いるため、光の利用効率の低下を抑制できる。
以上述べたように、角度変換反射部を導入することにより、入光部近傍の光拡散パターンに光源から出射した光が直接入射しなくなることで、入光部近傍の出射光の強度の不均一性を抑制できる、と同時に、角度変換反射部で光源側に戻った光を再利用(再帰光の利用)することで、光利用効率の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】本発明の実施の形態における光ラインセンサユニットの構成を概略的に示す断面図である。
図2】光ラインセンサユニットの付加的な構成を概略的に示す断面図である。
図3】ライン光源の斜視図である。
図4】ライン光源の各構成部材を示す分解斜視図である。
図5】ライン光源の側面図である。
図6】ライン光源の一方の端部の側断面図である。
図7】一方の角度変換反射部の正面図である。
図8】ライン光源の他方の端部の側断面図である。
図9】他方の角度変換反射部の正面図である。
図10】光ライセンサユニットにおける紙葉類に対する光の強度分布を示したグラフである。
図11A】従来の光ライセンサユニットにおける光の強度分布を立体的に示したグラフである。
図11B図11Aとは別の従来の光ライセンサユニットにおける光の強度分布を立体的に示したグラフである。
図11C】角度変換反射部の投影面積が大きい場合の光ライセンサユニットにおける光強度分布を立体的に示したグラフである。
図11D】角度変換反射部の投影面積が中程度の大きさの場合の光ライセンサユニットにおける光強度分布を示したグラフである。
図11E】角度変換反射部の投影面積が小さい場合の光ライセンサユニットにおける光強度分布を立体的に示したグラフである。
図12】光ライセンサユニットにおける光の利用効率を示したグラフである。
図13】本発明の第2実施形態に係るライン光源の側断面図である。
図14】本発明の第3実施形態に係るライン光源の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
<第1実施形態>
<光ラインセンサユニット>
図1は、本発明の実施の形態における光ラインセンサユニットの構成を示す概略断面図である。
この光ラインセンサユニットは、筐体16と、紙葉類を照明するためのライン光源10と、そのライン光源10から焦点面20に向けて出射され紙葉類で反射した光を導くためのレンズアレイ11と、基板13に実装され、レンズアレイ11により導かれた透過光を受光する受光部12とを備えている。紙葉類は焦点面20に沿って一方向x(副走査方向)に搬送される。
【0048】
これらの筐体16、ライン光源10、受光部12、レンズアレイ11は、y方向(主走査方向)、すなわち,図1における紙面に対して垂直な方向に延びていて、図1はその断面を示している。
ライン光源10は、焦点面20にある紙葉類に向けて光を出射するユニットである。出射される光の種類は可視光、白色光及び紫外光であり、さらに赤外光が出射されることもある。
【0049】
この紫外光は、300nm~400nmの波長範囲にピーク波長を有するもので、赤外光は、1500nmまでの波長範囲にピーク波長を有するものである。
これらの光のうち少なくとも紫外光は、他の光と時間的に重ならないようにして(すなわち時間的にスイッチングされながら)発光される。赤外光は、可視光と時間的に重なって発光されることもあり、時間的に重ならないようにして発光されることもある。
【0050】
ライン光源10から出射された光は、保護ガラス14を透過して焦点面20に集光される。保護ガラス14は、必ずしも必要ではなく省略することもできるが、使用中(使用時)のごみ(紙葉類の搬送時に発生する紙粉等のダスト)の飛散や傷つきからライン光源10やレンズアレイ11を保護するために設置することが望ましい。
【0051】
保護ガラス14の材質は、ライン光源10から出射される光を透過させるものであれば良く、例えば、アクリル樹脂やシクロオレフィン系樹脂などといった透明の樹脂であってもよい。ただし、本発明の実施の形態では、白板ガラス、ホウケイ酸ガラスなど特に紫外光を透過させるものを使用するのが好ましい。
【0052】
ライン光源10の底面に対向して、ライン光源10の両端に設置された第1光源3、第2光源4(図4図5参照)を固定するための基板5が設置されている。この基板5は、フェノール、ガラスエポキシなどで形成された薄い絶縁板であり、その裏面に銅箔からなる配線パターンが形成されている。第1光源3が実装される基板6、及び、第2光源4が実装される基板7のそれぞれに接続された端子(コネクタ)を基板5の各所に形成された孔に挿入し、基板5の裏面において半田などで配線パターンと接合することにより、第1光源3及び第2光源4を、基板5に搭載し固定することができるとともに、所定の駆動電源(図示せず)から基板裏面の配線パターンを通して第1光源3及び第2光源4に電力を供給してその発光を駆動・制御することができる。
【0053】
レンズアレイ11は、紙葉類で反射された光を受光部12に結像(収束)する光学素子であり、セルフォックレンズアレイ(登録商標:日本板硝子製)などのロッドレンズアレイを用いることができる。本発明の実施の形態では、レンズアレイ11の倍率は、1(正立)に設定されている。
【0054】
焦点面20から受光部12までの任意の位置に、受光部12に紫外光が入らないように、紫外光を反射又は吸収することにより遮断する紫外光遮断光学フィルタ15を設けることが好ましい。本発明の実施の形態では、レンズアレイ11の表面に紫外光遮断光学フィルタ15を取り付け、紫外光を遮断する機能を持たせている。本明細書で「光を遮断する」とは、光を反射又は吸収して、透過させないことをいう。
【0055】
この紫外光遮断光学フィルタ15は、特に限定されるものではなく、紫外光が、受光部12へ入るのを防止することができれば、材質・構造を問わない。例えば、有機系の紫外光吸収剤を透明フィルムに混入あるいはコーティングした紫外光吸収フィルム、ガラス表面に酸化チタン、酸化珪素など透過率や屈折率の異なる金属酸化物もしくは誘電体の薄膜を多層蒸着することで得られる干渉フィルタ(バンドパスフィルタ)などが好ましい。紫外光遮断光学フィルタ15が、第3光学フィルタの一例である。
【0056】
なお、紫外光遮断光学フィルタ15は、レンズアレイ11の出射面に取り付けられているが、レンズアレイ11の入射面又は中間部に取り付けられてもよく、保護ガラス14の内面に直接蒸着又は塗布して用いられてもよい。要するに、紙葉類で反射された紫外光が、受光部12へ入るのを防止することができればよい。
【0057】
受光部12は、基板13に実装され、反射光を受けて光電変換により電気出力として画像を読み取る受光素子を含んで構成されている。受光素子の材質・構造は、特に規定されるものではなく、アモルファスシリコン、結晶シリコン、CdS、CdSeなどを用いたフォトダイオードやフォトトランジスタを配置したものであってもよい。また、CCD(Charge Coupled Device)リニアイメージセンサであってもよい。さらに受光部12として、フォトダイオードやフォトトランジスタ、駆動回路及び増幅回路を一体としたIC(Integrated Circuit)を複数個並べた、いわゆるマルチチップ方式のリニアイメージセンサを用いることもできる。また、必要に応じて基板13上に駆動回路、増幅回路などの電気回路、あるいは信号を外部に取り出すためのコネクタなどを実装することもできる。さらに、基板13上にA/Dコンバータ、各種補正回路、画像処理回路、ラインメモリ、I/O制御回路などを同時に実装してデジタル信号として外部に取り出すこともできる。
【0058】
なお、前述した光ラインセンサユニットは、ライン光源10から紙葉類に向けて出射され紙葉類で反射した光を受光する反射型の光ラインセンサユニットであったが、図2に示すように、焦点面20を基準にして、ライン光源10を受光部12と反対の位置に置いて、ライン光源10から紙葉類に向けて出射され紙葉類を透過した光を受光する、透過型の光ラインセンサユニットであってもよい。この場合、ライン光源10の位置が焦点面20の下側になるところが図1の配置と異なるのみで、ライン光源10自体の構造は、今まで説明したものと異なるところはない。また反射型の光ラインセンサユニットと透過型の光ラインセンサユニットを両方含んでいてもよい。
【0059】
<ライン光源>
図3は、図1に示される光ラインセンサユニットにおけるライン光源10の外観を概略的に示す斜視図である。図4は、ライン光源10の各構成部材の分解斜視図、図5は、ライン光源10の側面図である。なお、図5では、カバー部材2の図示を省略している。
【0060】
ライン光源10は、長手方向Lに沿って延びる透明な導光体1と、長手方向Lの一方の端面付近に設けられた第1光源3と、長手方向Lの他方の端面付近に設けられた第2光源4と、導光体1の各側面(底側面1a及び左右側面1b,1c)を保持するためのカバー部材2と、底側面1aと右側面1bとの間に斜めに形成された光拡散パターン形成面1gに形成され、第1光源3及び第2光源4から導光体1の端面1f,1eに入射され導光体1の中を進む光を拡散・屈折させて、導光体1の光出射側面1dから出射させるための光拡散パターンPとを有している。
【0061】
導光体1は、アクリル樹脂などの光透過性の高い樹脂、あるいは光学ガラスで形成してもよいが、本発明の実施の形態では、紫外光を発光する第1光源3を用いるので、導光体1の材料として、紫外光に対する減衰が比較的少ないフッ素系樹脂あるいはシクロオレフィン系樹脂が好ましい。
導光体1は、細長い柱状であり、その長手方向Lに直交する断面は、長手方向Lのどの切り口においても、実質的に同じ形状、同じ寸法をしている。また導光体1のプロポーション、すなわち導光体1の長手方向Lの長さと、その長手方向Lに直交する断面の高さHとの比率(高さHに対する長手方向Lの長さの比率)は、10よりも大きく、好ましくは30よりも大きい。例えば、導光体1の長さが200mmであれば、その長手方向Lに直交する断面の高さHは、5mm程度である。
【0062】
導光体1の側面は、光拡散パターン形成面1g(図4において導光体1の斜めカット面に相当)、底側面1a、左右側面1b,1c、光出射側面1d(図4において導光体1の上面に相当)の5つの側面からなる。底側面1a、左右側面1b,1cは、平面形状であり、光出射側面1dは、レンズの集光効果を持たせるために外向きに滑らかな凸の曲線状に形成されている。しかし、光出射側面1dは、必ずしも凸状に形成されていなくてもよく、平面形状であってもよい。この場合、光出射側面1dに対向するように、導光体1から出射した光を集光するレンズを配置するとよい。
【0063】
光拡散パターン形成面1g上の光拡散パターンPは、一定の幅を維持して、導光体1の長手方向Lに沿って一直線状に延びている。この光拡散パターンPの長手方向Lに沿った寸法は、イメージセンサの読取長(つまり受光部12の読取領域の幅)よりも長くなるように形成されている。
この光拡散パターンPは、導光体1の光拡散パターン形成面1gに付与された複数のV字状の溝により構成されている。V字状の溝の加工方法には各種あり、射出成型やプレスなどの金型にV字状の加工溝を形成し、成型時に溝が形成される手法が一般的であるが、他にも精密彫刻などの手法もある。この複数のV字状の溝の各々は、導光体1の長手方向Lに直交する方向に延びるよう形成されており、互いに同じ長さを有している。複数のV字状の溝の断面は、例えば、二等辺三角形状であってもよいし、非対称三角形であってもよい。また、頂角部分が丸みを帯びていてもよい。
【0064】
この光拡散パターンPにより、導光体1の端面1e,1fから入射され、導光体1の内部を長手方向Lに伝搬する光を屈折・拡散させ、長手方向Lに沿って光出射側面1dから照射することができる。
なお、光拡散パターンPの溝のV字形状は、一例であり、V字形に代えてU字形にするなど任意に変更することができる。更には、各種形状(半球、三角錐、四角錘、半円柱)のドットパターンであってもよい。光拡散パターンPの幅も一定の幅を維持する必要はなく、導光体1の長手方向Lに沿って幅が変化するものであってもよい。溝の深さや溝の開口幅についても、適宜変更することができる。ドットパターンにおいても一定の面積密度である必要は無く、主走査方向や副走査方向に任意に面積密度を変化させてもよい。
【0065】
カバー部材2は、導光体1の長手方向Lに沿った細長い形状であり、導光体1の底側面1a及び左右側面1b,1cを覆うことができるように、導光体1の光拡散パターン形成面1gに対向する底面2a、導光体1の右側面1bに対向する右側面2b、及び導光体1の左側面1cに対向する左側面2cを有している。これらの3つの側面のそれぞれは、平面をなしており、これらの3つの内面で断面がほぼ矩形状の凹部を形成するので、導光体1をこの凹部の中に挿入することができる。この覆った状態で、カバー部材2の底面2aが導光体1の底側面1aに空気層を介して密着し、カバー部材2の右側面2bが導光体1の右側面1bに密着し、左側面2cが導光体1の左側面1cに空気層を介して密着する。このため、カバー部材2で導光体1を保護することができる。
【0066】
なお、カバー部材2は、透明なカバーに限定されず、半透明、又は不透明なものであってもよい。例えば、カバー部材2は、導光体1の光出射側面1d以外の側面より漏れ出す光を再び導光体1内に反射させるために、反射率の高い白色樹脂の成形品、又はその白色樹脂を塗布した樹脂の成形品であってもよい。または、カバー部材2をステンレスやアルミニウムなどの金属体で形成してもよい。
【0067】
第1光源3は、基板6に実装されている。第1光源3は、導光体1に対して紫外光を発光する紫外光源であり、300nm~400nmの紫外光LED光源等が使用可能である。第1光源3として、好ましくは、330nm~380nmの範囲にピーク発光波長を有するレンズモールド型の紫外発光ダイオードが用いられる。紫外線発光ダイオードの基板には、セラミック基板が用いられており、紫外線を高効率で反射することができる。
【0068】
第2光源4は、基板7に実装されている。第2光源4は、可視光、又は可視から赤外にわたる波長の光を発光する光源であり、例えば、近赤外、赤、緑、青の各波長の光を発する表面実装型のLED(Light Emitting Diode)が用いられる。また、赤、緑、青を混在した白色光を発する場合、赤、緑、青の3色を同時点灯してもよい。表面実装型のLEDには、可視光や近赤外線を高効率で反射する樹脂モールド基板が用いられている。
【0069】
基板6及び基板7のそれぞれには、端子30が形成されていて、この端子30を基板5に差込み、半田付けなどで接合することにより、第1光源3及び第2光源4のそれぞれが、駆動電源(図示せず)に電気的に接続される。駆動電源は、第1光源3に電圧を印加する電極端子と第2光源4に電圧を印加する電極端子とを選択することにより、第1光源3及び第2光源4を同時に、若しくは、時間的に切り替えて発光させることができる回路構成となっている。
【0070】
以上の構成により、コンパクトな構成で、第1光源3が設置される端面1fから紫外光を導光体1に入射することができ、第2光源4が設置される端面1eから可視光、又は、可視光から赤外光までを含む波長範囲の光を導光体1に入射することができる。これにより、前記第1光源3から発光される光、又は前記第2光源4から発光される光を、光拡散パターンPにより屈折・拡散させて、前記導光体1の光出射側面1dから出射することができる。
【0071】
また、ライン光源10において、導光体1の一方の端面には、第1筒状部材8が取り付けられており、導光体1の他方の端面には、第2筒状部材9が取り付けられている。基板6は、第1筒状部材8における導光体1と反対側の端面(一方の端面)に取り付けられている。基板7は、第2筒状部材9における導光体1と反対側の端面(他方の端面)に取り付けられている。図5に示すように、第1筒状部材8内には、第1光学フィルタ18が設けられており、第2筒状部材9内には、第2光学フィルタ19が設けられている。なお、第1筒状部材8及び第2筒状部材9の詳細な構成については、後述する。
【0072】
第1光学フィルタ18は、導光体1の端面1fに対向しており、第2光学フィルタ19は、導光体1の端面1eに対向している。
第1光学フィルタ18は、400nm未満の紫外光を透過させ、420nm以上の可視光を反射又は吸収することにより遮断する光学フィルタである。
【0073】
第2光学フィルタ19は、420nm以上の可視光を透過させ、400nm未満の紫外光を反射又は吸収することにより遮断する光学フィルタである。
第1光学フィルタ18及び第2光学フィルタ19は、特に限定するものではなく、目的とする波長域を遮断するものであれば材質・構造を問わない。例えば、反射させる光学フィルタであれば、ガラス表面に透過率や屈折率の異なる金属酸化物もしくは誘電体の薄膜を多層蒸着することで得られる干渉フィルタ(バンドパスフィルタ)が好ましい。
【0074】
反射させる干渉フィルタとしては、例えば、酸化珪素と五酸化タンタルなどを採用し、それぞれの透過率や屈折率及び膜厚を調整して多層蒸着することにより所望のバンドパスフィルタ特性を確保することで得られる。なお、当然ながら通常の光学関連産業用に従来から生産されているバンドパスフィルタで、要求性能を満足するものであれば、採用に際して特に制限はない。
【0075】
第1光学フィルタ18及び第2光学フィルタ19に干渉フィルタを用いる場合、前記干渉フィルタのみでは目的とする透過域を調整出来ない場合は、さらにその上に金属又はその酸化物、窒化物、フッ化物の薄膜を用いたフィルムを重ねることで所望の波長特性を確保することが可能である。
【0076】
第2光学フィルタ19が紫外光を吸収する光学フィルタであれば、有機系の紫外光吸収剤を透明フィルムに混入あるいはコーティングした紫外光吸収フィルムであってもよい。また、干渉フィルタで、例えば、酸化珪素と酸化チタンなどを採用し、それぞれの透過率や屈折率及び膜厚を調整して多層蒸着することにより紫外光を反射、吸収両機能により遮断することで所望波長特性を確保してもよい。
【0077】
また、第1光学フィルタ18が可視光を吸収する光学フィルタであれば、紫外光を通過させ可視光をカットする物質をフィルムの中に添加してもよい。
なお、第1光学フィルタ18及び第2光学フィルタ19の導光体1への設置方法は任意であり、導光体1の端面1f,1eに塗布又は蒸着により形成してもよい。また、フィルム状もしくは板状の第1光学フィルタ18及び第2光学フィルタ19を用意し、導光体1の端面1e,1fに密着させて、もしくは端面1e,1fから一定の距離をおいて取り付けてもよい。
【0078】
また、第1光学フィルタ18及び第2光学フィルタ19のそれぞれを、第1光源3及び第2光源4のそれぞれに設けることも可能である。この場合、各光源3,4に第1光学フィルタ18,第2光学フィルタ19を塗布又は蒸着により形成してもよいし、フィルム状もしくは板状の第1光学フィルタ18,第2光学フィルタ19を用意し、各光源3,4に密着させて取り付けてもよい。あるいは、第1光源3の封止剤に、紫外光を透過させ、可視光を遮断する物質を添加することにより、第1光学フィルタ18を構成してもよい。同様に、第2光源4の封止剤に、可視光を透過させ、紫外光を遮断する物質を添加することにより、第2光学フィルタ19を構成してもよい。
【0079】
第1光学フィルタ18が、紫外光を透過させ、可視光を反射又は吸収する光学フィルタであれば、次のような利点がある。第1光源3が酸化アルミニウム・セラミックス焼結体など、紫外光が当たった時に波長690nm付近の蛍光を発する実装基体を採用している場合を想定する。紫外光が第1光源3から照射されるときに、その照射光が第1光源3の実装基体に当たり690nm付近の蛍光が二次照射されて導光体1の中に入ることを防止する必要がある。そこで、第1光学フィルタ18を、可視光を反射又は吸収するように設計することにより、二次照射された蛍光が導光体1の中に入らないようにすれば、導光体1の光出射側面1dからの不要な蛍光の出射を防止することができ、紙葉類の紫外蛍光のコントラストを良くすることができる。なお、紫外光が蛍光するものは酸化アルミニウム・セラミックス焼結体だけでなく、封止樹脂が蛍光する場合についても同様に二次照射を防ぐことができる。
【0080】
第2光学フィルタ19が、可視光を透過させ、紫外光を反射又は吸収する光学フィルタであれば、次のような利点がある。第2光源4が酸化アルミニウム・セラミックス焼結体など、紫外光が当たった時に波長690nm付近の蛍光を発する実装基体を採用している場合を想定する。第1光源3から照射された紫外光が導光体1の端面1eを通過して第2光源4に当たると、690nm付近の蛍光が第2光源4から二次照射されて導光体1の中に入って来るので、これを防止する必要がある。そこで、第2光学フィルタ19を、紫外光を反射又は吸収するように設計することにより、紫外光が導光体1の端面1eから外に出ないようにすれば第2光源4に当たることがない。したがって、導光体1の光出射側面1dからの不要な蛍光の出射を防止することができる。その結果、紙葉類の紫外蛍光のコントラストを良くすることができる。
【0081】
また、第1光学フィルタ18が紫外光を透過させ、可視光を反射する光学フィルタであれば、第2光源4から照射され、導光体1に入射され第1光学フィルタ18で反射し導光体1に戻る可視光の光量が増加するので、結果として、導光体1の光出射側面1dからの可視光の出射光量が増大するという効果が得られる。また第1光学フィルタ18は第1光源3から照射される紫外光を透過させるので、導光体1の光出射側面1dからの紫外光の出射も可能になる。
【0082】
また、第2光学フィルタ19が可視光を透過させ、紫外光を反射する光学フィルタの方が好ましく、次のような利点がある。第1光源3から導光体1に入射され第2光学フィルタ19で反射し導光体1に戻る紫外光の光量が増加するので、結果として、導光体1の光出射側面1dからの紫外光の出射光量が増大するという効果が得られる。この場合、第2光学フィルタ19は、第2光源4から照射される可視光を透過させるので、第2光源4からの可視光が導光体1に入るのを妨げることもない。
【0083】
ライン光源10において、第1光源3から発光される紫外光は、第1光学フィルタ18を介して導光体1に入射し、光拡散パターン形成面1gにより拡散・屈折して、光出射側面1dから焦点面20にある紙葉類(媒体)に照射される。これにより、紙葉類から蛍光が生じ、その蛍光色発光が受光部12で検出されることにより、紫外光を用いた紙葉類の識別を行うことができる。
【0084】
また、第2光源4から発光される可視光、又は可視から赤外にわたる波長の光は、第2光学フィルタ19を介して導光体1に入射し、光拡散パターン形成面1gにより拡散・屈折して、光出射側面1dから焦点面20にある紙葉類(媒体)に照射される。これにより、可視光、又は可視から赤外にわたる波長の光を用いた紙葉類の識別を行うことができる。
【0085】
<受光部>
受光部12は、y方向に直線状に並べられた複数の受光素子(それぞれフォトダイオード、フォトトランジスタなどで構成される)を配列し、これを基板上に実装したものである。受光素子の種類は、限定されないが、例えばシリコンPNダイオード若しくはPINダイオードが用いられる。
【0086】
紙葉類がx方向(副走査方向)に移動する間に、一列に並べられた受光素子を露光することによって、紙葉類の面上にy方向(主走査方向)に沿った所定幅の観測ラインを設定することができる。紙葉類のライン情報を読み取る露光時間(光学読取時間という)は、光源の強度、センサの波長感度などに応じて任意に設定できる。例えば、紙葉類のx方向の移動速度は、ATMや紙幣処理機などでは1500~2000mm/秒であり、光学読取時間として0.5~1.0ミリ秒を採用すれば、観測ラインのx方向の幅は0.75~2mmとなる。
【0087】
<筒状部材及び角度変換反射部>
図6は、ライン光源10の一方の端部の側断面図である。
上記したように、ライン光源10では、導光体1の一方の端面1fに第1筒状部材8が対向するように配置されている。第1筒状部材8には、第1光源3が実装された基板6が取り付けられている。また、第1筒状部材8の内部には、第1光学フィルタ18とともに角度変換反射部40が設けられている。
【0088】
第1筒状部材8は、円筒状に形成されている。第1筒状部材8の中心軸は、導光体1の中心軸と一致している。すなわち、第1筒状部材8及び導光体1は、中心軸Aを共有している。第1筒状部材8の内径は、一方の端部(図6の右端部)から他方の端部に向かうにつれて大きくなっている。すなわち、第1筒状部材8の内周面81は、一方の端縁から他方の端縁に向かうにつれて広がるテーパー状に形成されている。第1筒状部材8の内周面81は、光を反射させる反射面として形成されている。
【0089】
また、第1筒状部材8の内部空間が、ミキシング空間50である。ミキシング空間50は、第1光源3から遠ざかるにつれて断面積が第1光源3側の端部の面積に対し、少なくとも同等以上の面積になるように形成されている。具体的には、ミキシング空間50は、導光体1に近づくにつれて(第1光源3から遠ざかるにつれて)断面積が大きくなるように形成されている。
基板6は、第1筒状部材8の一方の端面(図6の右端面)に取り付けられている。第1光源3は、基板6における導光体1との対向面(第1筒状部材8側の面)に設けられている。第1光源3は、樹脂モールドレンズ31により覆われている。
【0090】
第1光学フィルタ18は、第1筒状部材8の他端部の内部空間に設けられている。換言すれば、第1光学フィルタ18は、ミキシング空間50内において他方側(導光体1側)に配置されている。第1光学フィルタ18は、導光体1の端面1fに対向している。
角度変換反射部40は、第1筒状部材8内(ミキシング空間50)に配置されており、かつ、第1光源3と第1光学フィルタ18との間に配置されている。
【0091】
図7は、角度変換反射部40の正面図である。図7では、角度変換反射部40を、中心軸Aに沿う方向から見た状態が示されている。
図6及び図7に示すように、角度変換反射部40は、環状部401と、遮蔽部402と、保持部403とを備えている。
【0092】
環状部401は、一定の厚みを有しており、円環状に形成されている。
遮蔽部402は、環状部401の内方に配置されている。遮蔽部402は、正面視形状が楕円状であり、中心に向かって厚みが増す構造となっている。遮蔽部402の表面は、光を高効率に拡散反射又は角度変換する反射面として形成されている。
【0093】
遮蔽部402は、所謂曲面で形成されているが、非球面、球面、或いは、非球面と球面の組み合わせなどの各種形態があり、その何れかを、入光部近傍の光強度の急激な上昇を抑制する効果、並びに、光利用効率、距離特性、コストなどを考慮して決める。また、必ずしも、曲面である必要は無く、多面体や各種多面体の組み合わせであってもよいし、単なる平板でもよい。要は、光源から出射した光が、入光部近傍の光拡散パターンに直接入射させないように各種パラメータを考慮して形状を決めればよい。
【0094】
例えば、角度変換反射部40の遮蔽部402の表面が、曲面若しくは異なる種類の曲面の組み合わせからなり、拡散反射機能、鏡面反射機能又は拡散反射と鏡面反射とを含む反射による角度変換機能を有するものであってもよい。
また、角度変換反射部40の遮蔽部402の表面が、平面若しくは異なる角度を有する平面の組み合わせからなり、拡散反射機能、鏡面反射機能又は拡散反射と鏡面反射とを含む反射による角度変換機能を有するものであってもよい。
また、角度変換反射部40の遮蔽部402の表面が、平面及び曲面の組み合わせからなり、拡散反射機能、鏡面反射機能又は拡散反射と鏡面反射とを含む反射による角度変換機能を有するものであってもよい。
【0095】
保持部403は、遮蔽部402の外縁の複数箇所から環状部401の内縁に向かって棒状に延びている。保持部403は、遮蔽部402を環状部401の内方に位置した状態で保持している。
角度変換反射部40において、環状部401、遮蔽部402及び保持部403以外の領域が、第1光源3からの光が入射する入射領域404となる。正面視(図7に示す状態)における入射領域404の面積をDとし、正面視(図7に示す状態)における環状部401、遮蔽部402及び保持部403の面積をSとした場合に、8<(D+S)/S<12の関係式が満たされる。正面視における環状部401、遮蔽部402及び保持部403の面積とは、導光体1の端面1fに対する角度変換反射部40の投影面積である。
【0096】
角度変換反射部40は、環状部401が第1筒状部材8の内周面81に取り付けられることで、ミキシング空間50内に配置されている。角度変換反射部40は、ミキシング空間50内において、第1光学フィルタ18に近接している。そして、角度変換反射部40の遮蔽部402は、ミキシング空間50内における下方側に配置されており、中心軸Aよりも下方側(光拡散パターンP側)に配置されている。遮蔽部402は、光拡散パターンPにおける一方の端部(第1光源3側の端部)と、第1光源3とを結ぶ主光路B上に配置されている。
【0097】
遮蔽部402は、入光部近傍の光拡散パターンPの主走査方向における両端の任意の1点と第1光源3の任意の1点を結ぶ導光体1の屈折率、及び、モールドレンズ型LEDの場合はレンズの屈折率も含めた関係で決まるある立体角の光線群で囲まれる領域を遮蔽する位置に配置され、かつ、導光体1の入光部近傍の光拡散パターンPに直接入射させない大きさを有している。遮蔽部402の中心は、光拡散パターンPにおける一方の端部(第1光源3側の端部)と、第1光源3とを結ぶ主光路B上に配置されている。
【0098】
図8は、ライン光源10の他方の端部の側断面図である。
ライン光源10では、導光体1の他方の端面1eに第2筒状部材9が対向するように配置されている。第2筒状部材9には、第2光源4が実装された基板7が取り付けられている。また、第2筒状部材9の内部には、第2光学フィルタ19とともに角度変換反射部60が設けられている。
【0099】
第2筒状部材9は、光軸方向において、第1筒状部材8よりも厚みの薄い円筒状に形成されている。第2筒状部材9の中心軸は、導光体1の中心軸と一致している。すなわち、第2筒状部材9及び導光体1は、中心軸Aを共有している。第2筒状部材9の内径は、他方の端部(図8の右端部)から一方の端部に向かうにつれて大きくなっている。すなわち、第2筒状部材9の内周面91は、第2光源4側の端縁から導光体1の入光部側の端縁に向かうにつれて広がるテーパー状に形成されている。第2筒状部材9の内周面91は、光を反射させる反射面として形成されている。
【0100】
また、第2筒状部材9の内部空間が、ミキシング空間53である。ミキシング空間53は、第2光源4から遠ざかるにつれて断面積が第2光源4側の端部の面積に対し、少なくとも同等以上の面積になるように形成されている。具体的には、ミキシング空間53は、導光体1に近づくにつれて(第2光源4から遠ざかるにつれて)断面積が大きくなるように形成されている。
基板7は、第2筒状部材9の他方の端面(図8の右端面)に取り付けられている。第2光源4は、基板7における導光体1との対向面(第2筒状部材9側の面)に設けられている。第2光源4は、表面実装型のLEDであって、白色光源41と、複数の単色光源42とを備えている。
【0101】
白色光源41は、基板7の中央部よりもやや上方側に配置されており、単色光源42は、基板7の中央部よりもやや下方側に配置されている。
白色光源41は、白色光(W)を発生させる白色LED光源である。
単色光源42は、単色光を発生させる単色LED光源である。図8では、単色光源42は、1つのみが示されているが、実際には、複数(例えば、3つ)設けられている。
【0102】
第2光学フィルタ19は、第2筒状部材9の一端部の内部空間に設けられている。換言すれば、第2光学フィルタ19は、ミキシング空間53内において一方側(導光体1側)に配置されている。第2光学フィルタ19は、導光体1の端面1 eに対向している。
角度変換反射部60は、第2筒状部材9内(ミキシング空間53)に配置されており、かつ、第2光源4と第2光学フィルタ19との間に配置されている。
【0103】
図9は、角度変換反射部60の正面図である。図9では、角度変換反射部60を、中心軸Aに沿う方向から見た状態が示されている。
図8及び図9に示すように、角度変換反射部60は、環状部601と、第1遮蔽部602と、第2遮蔽部603と、保持部604とを備えている。
【0104】
環状部601は、一定の厚みを有しており、円環状に形成されている。
第1遮蔽部602は、環状部601の内方において、やや上方側に配置されている。第1遮蔽部602は、正面視形状が楕円状である。第1遮蔽部602の表面は、光を高効率に拡散反射又は角度変換する反射面として形成されている。
【0105】
第2遮蔽部603は、環状部601の内方において、やや下方側に配置されている。第2遮蔽部603は、第1遮蔽部602の下方に間隔を隔てて配置されている。第2遮蔽部603は、正面視形状が楕円状である。第2遮蔽部603の表面は、光を高効率に拡散反射又は角度変換する反射面として形成されている。第1遮蔽部602及び第2遮蔽部603のそれぞれは、中心に向かって厚みが増す構造となっている。
【0106】
第1遮蔽部602及び第2遮蔽部603のそれぞれは、角度変換反射部40の遮蔽部402と同様に、各種形態をとることが可能である。
保持部604は、第1遮蔽部602の外縁の複数箇所、及び、第2遮蔽部603の外縁の複数箇所から環状部601の内縁に向かって棒状に延びている。保持部604の一部は、第1遮蔽部602と第2遮蔽部603とを接続している。保持部604は、第1遮蔽部602及び第2遮蔽部603を環状部601の内方に位置した状態で保持している。
【0107】
角度変換反射部60において、環状部601、第1遮蔽部602、第2遮蔽部603及び保持部604以外の領域が、第2光源4からの光が入射する入射領域605となる。正面視(図9に示す状態)における入射領域605の面積をDとし、正面視(図9に示す状態)における環状部601、第1遮蔽部602、第2遮蔽部603及び保持部604の面積をSとした場合に、8<(D+S)/S<12の関係式が満たされる。正面視における環状部601、第1遮蔽部602、第2遮蔽部603及び保持部604の面積とは、導光体1の端面1eに対する角度変換反射部60の投影面積である。
【0108】
角度変換反射部60は、環状部601が第2筒状部材9の内周面91に取り付けられることで、ミキシング空間53内に配置されている。角度変換反射部60は、ミキシング空間53内において、第2光学フィルタ19に近接している。そして、角度変換反射部60の第1遮蔽部602は、ミキシング空間53内における中央部に配置されており、角度変換反射部60の第2遮蔽部603は、ミキシング空間53内における下方側に配置されており、中心軸Aよりも下方側(光拡散パターンP側)に配置されている。第1遮蔽部602は、光拡散パターンPにおける他方の端部(第2光源4側の端部)と、白色光源41とを結ぶ主光路C上に配置されている。第2遮蔽部603は、光拡散パターンPにおける他方の端部(第2光源4側の端部)と、単色光源42とを結ぶ主光路D上に配置されている。
【0109】
第1遮蔽部602及び第2遮蔽部603のそれぞれは、入光部近傍の光拡散パターンPの主走査方向における両端の任意の1点と第2光源4の任意の1点を結ぶ導光体1の屈折率、及び、モールドレンズ型LEDの場合はレンズの屈折率も含めた関係で決まるある立体角の光線群で囲まれる領域を遮蔽する位置に配置され、かつ、導光体1の入光部近傍の光拡散パターンPに直接入射させない大きさを有している。第1遮蔽部602の中心は、光拡散パターンPにおける他方の端部(第2光源4側の端部)と、白色光源41とを結ぶ主光路C上に配置されている。第2遮蔽部603の中心は、光拡散パターンPにおける他方の端部(第2光源4側の端部)と、単色光源42とを結ぶ主光路D上に配置されている。
角度変換反射部40,60は、拡散反射、鏡面反射又は拡散反射と鏡面反射とを含む反射による角度変換機能を有している。
【0110】
ライン光源10において、第1光源3から紫外光が出射されると、その紫外光の多くは、角度変換反射部40の入射領域404を通過し、さらに、第1光学フィルタ18を透過して、導光体1の端面1fから導光体1内部に入射する。
【0111】
一方、第1光源3から出射された紫外光のうち、光拡散パターンPにおける一方の端部(第1光源3側の端部)に向かう紫外光は、角度変換反射部40の遮蔽部402で拡散反射又は角度変換される。具体的には、第1光源3から出射された紫外光のうち、光拡散パターンPにおける一方の端部(第1光源3側の端部)に向かう紫外光は、角度変換反射部40の遮蔽部402の表面で反射されて、ミキシング空間50の内部に向かう。そして、その反射光は、第1筒状部材8の内周面81で再度反射される。このとき、紫外光は、角度変換反射部40に再入射し、拡散反射し、再び、導光体1の入光部端面1fに向かい、角度変換反射部40に再入射する光もあれば、角度変換反射部40の入射領域404から導光体1の端面1fに向かう光もある。このように、角度変換反射部40と第1光源3との間を往復しながら、角度変換反射部40の入射領域404から導光体1の入光部の端面1fに向かう光が増加する。そして、その光は、第1光学フィルタ18を透過して、導光体1の端面1fから導光体1内部に入射する。
【0112】
そして、導光体1の内部に入射した紫外光は、導光体1の内面で複数回反射した後、光拡散パターンPにより拡散されて、光出射側面1dから出射する。
【0113】
また、ライン光源10において、第2光源4から可視光、又は可視から赤外にわたる波長の光が出射されると、その光の多くは、角度変換反射部60の入射領域605を通過し、さらに、第2光学フィルタ19を透過して、導光体1の端面1eから導光体1内部に入射する。
【0114】
一方、第2光源4から出射された可視光、又は可視から赤外にわたる波長の光のうち、光拡散パターンPにおける他方の端部(第2光源4側の端部)に向かう光は、角度変換反射部60の第1遮蔽部602及び第2遮蔽部603のそれぞれの表面で反射されて、第2筒状部材9のミキシング空間53の内部に向かう。そして、その反射光は、第2筒状部材9の内周面91で再度反射され、角度変換反射部60に再入射し、拡散反射し、再び、導光体1の入光部端面1eに向かい、角度変換反射部60に再入射する光もあれば、角度変換反射部60の入射領域605から導光体1の端面1eに向かう光もある。このように、角度変換反射部60と第2光源4との間を往復しながら、角度変換反射部60の入射領域605から導光体1の入光部の端面1eに向かう光が増加する。そして、その光は、第2光学フィルタ19を透過して、導光体1の端面1eから導光体1内部に入射する。
そして、導光体1の内部に入射した可視光、又は可視から赤外にわたる波長の光は、導光体1の内面で複数回反射した後、光拡散パターンPにより拡散されて、光出射側面1dから出射する。
【0115】
このように、ライン光源10では、第1光源3から出射される紫外光のうち、光拡散パターンPにおける一方の端部(第1光源3側の端部)に向かう紫外光は、角度変換反射部40の遮蔽部402で拡散反射されるか角度変換される。同様に、第2光源4から出射される可視光、又は可視から赤外にわたる波長の光のうち、光拡散パターンPにおける他方の端部(第2光源4側の端部)に向かう光は、角度変換反射部60の第1遮蔽部602及び第2遮蔽部603で拡散反射されるか角度変換される。そのため、第1光源3及び第2光源4のそれぞれから出射される光が、光拡散パターンPに直接入射することを抑制できる。
【0116】
図10は、光ライセンサユニットにおける紙葉類に対する光の強度分布を示したグラフである。図10では、横軸が主走査方向における位置を表しており、縦軸が光の強度を表している。図10の各グラフに対応する光ライセンサユニットでは、便宜上、ライン光源における光源を1のみ設けている。図10では、横軸において、数値が小さいほど(左側であるほど)光源側の位置であることを示している。
【0117】
図10において、グラフB2は、従来の光ライセンサユニットにおける光の強度分布を示している。具体的には、グラフB2の光強度分布を示す光ライセンサユニットでは、筒状部材において、角度変換反射部が設けられていない。さらに、図10において、グラフB1は、従来の別の光ラインセンサユニットの光の強度分布を表している。具体的には、グラフB1に対応する光ラインセンサユニットでは、平行光束に近い成分を選択的に導光体に入射させる目的で絞りを入れた場合で、かつ、角度変換反射部を設けていない。
【0118】
グラフB1、B2から、ライン光源において角度変換反射部を設けない場合には、ライン光源から出射される光のうち、光源に近い位置における光の強度が極端に強くなることが確認できる。
【0119】
図10において、グラフA1,A2,A3は、本願発明の光ライセンサユニット(ライン光源10を備えた光ライセンサユニット)における光の強度分布を示している。グラフA1は、角度変換反射部40の投影面積が大きい場合の光ライセンサユニットにおける光強度分布を示している。グラフA3は、角度変換反射部40の投影面積が小さい場合の光ライセンサユニットにおける光強度分布を示している。グラフA2は、角度変換反射部40の投影面積が、グラフA3のユニットよりも大きく、かつ、グラフA1のユニットよりも小さい場合(角度変換反射部40の投影面積の大きさが中程度の場合)の光ライセンサユニットにおける光強度分布を示している。すなわち、ライン光源10における角度変換反射部40の投影面積の大きさを比べると、A3<A2<A1となる。
【0120】
グラフA1,A2,A3から、角度変換反射部40を備えるライン光源10を用いた場合には、光源側の端部における光の強度の急上昇が改善される(光の強度分布が均一化される)ことが確認できる。また、角度変換反射部40の投影面積が大きいほど、光の強度の均一性(平坦性)が増すことが確認できる。
【0121】
このことから、光ライセンサユニットでは、ライン光源10のように、光拡散パターンにおける端部と光源とを結ぶ主光路上に角度変換反射部を設けることが、光の強度の均一性の観点から有効であることが分かる。
【0122】
図11Aは、従来の光ライセンサユニットにおける光の強度分布を立体的に示したグラフである。図11Bは、従来の別の光ラインセンサユニットにおける光の強度分布を立体的に示したグラフである。図11Aに対応する光ライセンサユニットでは、筒状部材において、角度変換反射部が設けられていない。また、図11Bに対応する光ラインセンサユニットでは、筒状部材において、角度変換反射部が設けられておらず、かつ、平行光束に近い成分を選択的に導光体に入射させる目的で絞りが入れられている。
【0123】
図11C図11Eは、本願発明の光ライセンサユニット(ライン光源10を備えた光ライセンサユニット)における光の強度分布を立体的に示したグラフである。具体的には、図11Cのグラフは、角度変換反射部40の投影面積が大きい場合の光ライセンサユニットにおける光強度分布を立体的に示している。図11Eのグラフは、角度変換反射部40の投影面積が小さい場合の光ライセンサユニットにおける光強度分布を立体的に示している。図11Dのグラフは、角度変換反射部40の投影面積が、図11Eのグラフのユニットよりも大きく、かつ、図11Cのグラフのユニットよりも小さい場合(角度変換反射部40の投影面積の大きさが中程度の場合)の光ライセンサユニットにおける光強度分布を示している。
【0124】
なお、図11A図11Eの左側の図では、上下方向の軸が光の強度を表しており、紙面と直交する方向の軸が主走査方向における位置を表しており、左右方向の軸が副走査方向における位置を表している。また、図11A図11Eの右側のグラフは、左側のグラフの角度を変えてより立体的にみたものであり、グラフの左上部が導光体1の入光部であり、右下部が、入光部と反対側に位置を表す。
図11A図11Eのグラフに対応する光ライセンサユニットでは、便宜上、ライン光源における光源を1のみ設けている。図11A図11Eでは、奥側であるほど光源側の位置であることを示している。
【0125】
図11A及び図11Bから、ライン光源において角度変換反射部を設けない場合には、ライン光源から出射される光のうち、光源に近い位置における光の強度が極端に強くなることが確認できる。
図11C図11Eから、角度変換反射部40を備えるライン光源10を用いた場合には、光源側の端部における光の強度の急上昇が改善される(光の強度の均一性が増す)ことが確認できる。また、図11Cに示すように、角度変換反射部40の投影面積が大きいほど、光の強度の均一性が増すことが確認できる。
【0126】
さらに、図11C図11Eのグラフは、図11Bのグラフと比べて、副走査方向(左右方向の軸)において、均一性の増した強度の光が出射される位置の幅が大きくなっていることが確認できる。また、図11Aと比べても副走査方向の光強度の均一性が同等であり、かつ、導光体1の入光部近傍の光強度の上昇が少ないことが分かる。このように、導光体1の入光部近傍の光強度の上昇が抑制できると同時に、副走査方向において均一性の増した強度の光が出射される部分が大きくなれば、副走査方向に送り出される紙葉類がぶれるなどして、光の焦点位置と紙葉類との相対位置が多少ずれる場合であっても、主走査方向に均一な光強度で光を出射できる。すなわち、ライン光源において角度変換反射部を設けることで、導光体1の入光部近傍の光強度の上昇を抑えると同時に光の焦点位置と紙葉類との相対位置のずれの許容範囲を大きくすることができる(距離特性が向上する)。
【0127】
図12は、光ライセンサユニットにおける光の利用効率を示したグラフである。図12において、グラフb1及びb2は、従来の光ライセンサユニットにおける光の利用効率を表している。図12の小文字の数字と、図10の大文字の数字がそれぞれ対応している。図12において、グラフa1~a3は、本願発明の光ライセンサユニットにおける光の利用効率を表している。具体的には、グラフa1は、角度変換反射部40の投影面積が大きい場合の光ライセンサユニットにおける光の利用効率を示している。グラフa3は、角度変換反射部40の投影面積が小さい場合の光ライセンサユニットにおける光の利用効率を示している。グラフa2は、角度変換反射部40の投影面積が、グラフa3のユニットよりも大きく、かつ、グラフa1のユニットよりも小さい場合(角度変換反射部40の投影面積の大きさが中程度の場合)の光ライセンサユニットにおける光強度分布を示している。
【0128】
これらのグラフから、投影面積の大きい角度変換反射部40を備えるライン光源10を用いた場合(a1の場合)には、従来のライン光源を用いた場合(b2の場合)に比べて光の利用効率がやや減少するが、その減少幅は小さいことが分かる。また、投影面積が中程度の角度変換反射部40を備えるライン光源10を用いた場合(a2の場合)、及び、投影面積が小さい角度変換反射部40を備えるライン光源10を用いた場合(a3の場合)には、従来のライン光源を用いた場合(b1及びb2の場合)に比べて光の利用効率が増加することが分かる。特に、投影面積が小さい角度変換反射部40を備えるライン光源10(a3)を用いることが、光の利用効率の観点からは有効であることが分かる。更に従来の別のライン光源であるb1の場合(絞りのある場合)に比べて、角度変換反射部を設けたa1~a3の全ての場合について光利用効率が上回っていることが分かる。
【0129】
なお、上記したライン光源10において、光拡散パターンPにおける端部とは、例えば、長尺方向における光拡散パターンPの全体の寸法(長さ)に対して、光拡散パターンPの端縁からの寸法(長さ)が0.5~5%となる部分である。
さらに、光拡散パターンPにおける端部とは、例えば、光拡散パターンPの端縁からの寸法(長さ)が1~10mmとなる部分である。
このような構成であれば、光ライセンサユニットにおける光の強度の均一化を有効に実現できる。
【0130】
<作用効果>
本実施形態では、図6及び図8に示すように、ライン光源10は、角度変換反射部40,60を備えている。ライン光源10の一方の端部において、角度変換反射部40の遮蔽部402は、光拡散パターンPにおける第1光源3側の端部と第1光源3とを結ぶ主光路B上に設けられる。また、ライン光源10の他方の端部において、角度変換反射部60の第1遮蔽部602は、光拡散パターンPにおける他方の端部(第2光源4側の端部)と、白色光源41とを結ぶ主光路C上に設けられる。角度変換反射部60の第2遮蔽部603は、光拡散パターンPにおける他方の端部(第2光源4側の端部)と、単色光源42とを結ぶ主光路D上に設けられる。
【0131】
そのため、第1光源3から出射された紫外光のうち、導光体1の内面で反射されることなく光拡散パターンPにおける第1光源3側の端部に直接向かう紫外光は、角度変換反射部40の遮蔽部402で拡散反射されるか、角度変換される。同様に、第2光源4から出射された可視光、又は可視から赤外にわたる波長の光のうち、導光体1の内面で反射されることなく光拡散パターンPにおける第2光源4側の端部に直接向かう光は、角度変換反射部60の第1遮蔽部602及び第2遮蔽部603で拡散反射されるか、角度変換される。
【0132】
その結果、第1光源3から出射されて導光体1の入光部近傍の光拡散パターンPに直接入射する紫外光の量を調整又は低減できる。そして、入光部近傍において光拡散パターンで拡散される光の強度が極端に高くなることを抑制できる。また、同様に、第2光源4から出射されて導光体1の入光部近傍の光拡散パターンPに直接入射する可視光、又は可視から赤外にわたる波長の光の量を調整又は低減できる。そして、入光部近傍において光拡散パターンで拡散される光の強度が極端に高くなることを抑制できる。
よって、導光体1から出射する光の強度の不均一性を抑制できる。
【0133】
また、導光体1では、第1光源3からの紫外光、及び、第2光源4からの可視光、又は可視から赤外にわたる波長の光のうち、導光体1からの出射光の強度の不均一性の要因となる光のみを、角度変換反射部40で拡散反射させるか、角度変換させて、光利用効率を犠牲にせずに、その光量を調整又は低減することができる。
このように、ライン光源10によれば、導光体1から出射する光の強度の不均一性を抑制でき、かつ、光の利用効率の低下を抑制できる。
【0134】
また、本実施系形態では、角度変換反射部40,60は、拡散反射、鏡面反射又は拡散反射と鏡面反射とを含む反射による角度変換機能を有する。
そのため、第1光源3及び第2光源4のそれぞれから出射された光が、拡散パターンPに直接入射することを確実に防止できる。
【0135】
また、本実施形態では、第1光源3から出射した紫外光のうち、角度変換反射部40で反射した紫外光は、ミキシング空間50を区画する第1筒状部材8の内周面81で反射されて、第1光源3と角度変換反射部40の遮蔽部402との間を往復しながら、ついには、導光体1の内部に入射される。同様に、第2光源4から出射した可視光、又は可視から赤外にわたる波長の光のうち、角度変換反射部60で反射した光は、第2筒状部材9の内周面91で反射されて、第2光源4と角度変換反射部60の第1遮蔽部602及び第2遮蔽部603との間を往復しながら、ついには、導光体1の内部に入射される。
そのため、第1光源3から出射される紫外光、及び、第2光源4から出射される可視光、又は可視から赤外にわたる波長の光の利用効率の低下を抑制できる。
【0136】
また、本実施形態では、ライン光源10において、ミキシング空間50,53は、導光体1の端面1f,1eに対向して配置するように形成されている。
そのため、適切な位置にミキシング空間50,53を形成することができる。
【0137】
また、本実施形態では、図6に示すように、第1筒状部材8に形成されるミキシング空間50は、第1光源3から遠ざかるにつれて断面積が第1光源3側の端部の面積に対し、少なくとも同等以上の面積になるように形成されている。具体的には、第1光源3から遠ざかるにつれて断面積が大きくなるように形成されている。同様に、第2筒状部材9に形成されるミキシング空間53は、第2光源4から遠ざかるにつれて断面積が第2光源4側の端部の面積に対し、少なくとも同等以上の面積になるように形成されている。具体的には、ミキシング空間53は、第2光源4から遠ざかるにつれて断面積が大きくなるように形成されている。
【0138】
そのため、第1筒状部材8の内周面81で反射する紫外光、及び、第2筒状部材9の内周面91で反射する可視光、又は可視から赤外にわたる波長の光を、効率よく導光体1の内部に入射させることができる。
【0139】
また、本実施形態では、ライン光源10において、角度変換反射部40,60の入射領域404,605の面積をDとし、導光体1の端面に対する角度変換反射部40,60の投影面積をSとした場合に、8<(D+S)/S<12の関係式が満たされる。
【0140】
そのため、ライン光源10において、角度変換反射部40を、第1光源3からの紫外光を拡散反射又は角度変換するのに適した大きさに構成できる。同様に、ライン光源10において、角度変換反射部60を、第2光源4からの可視光、又は可視から赤外にわたる波長の光を拡散反射又は角度変換するのに適した大きさに構成できる。
【0141】
また、本実施形態では、角度変換反射部40,60は、その表面が、例えば、曲面若しくは異なる種類の曲面の組み合わせからなることで、拡散反射機能、鏡面反射機能又は拡散反射と鏡面反射とを含む反射による角度変換機能を有する。
【0142】
そのため、角度変換反射部40,60の表面形状を、曲面若しくは異なる種類の曲面の組み合わせで形成するという簡易な構成で、角度変換反射部40,60に角度変換機能を持たせることができる。
【0143】
また、本実施形態では、角度変換反射部40,60は、その表面が、例えば、平面若しくは異なる角度を有する平面の組み合わせからなることで、拡散反射機能、鏡面反射機能又は拡散反射と鏡面反射とを含む反射による角度変換機能を有する。
【0144】
そのため、角度変換反射部40,60の表面形状を、平面若しくは異なる角度を有する平面の組み合わせで形成するという簡易な構成で、角度変換反射部に角度変換機能を持たせることができる。
【0145】
また、本実施形態では、角度変換反射部40,60は、その表面が、平面及び曲面の組み合わせからなることで、拡散反射機能、鏡面反射機能又は拡散反射と鏡面反射とを含む反射による角度変換機能を有する。
【0146】
そのため、角度変換反射部の表面形状を、平面及び曲面の組み合わせで形成するという簡易な構成で、角度変換反射部に角度変換機能を持たせることができる。
【0147】
また、本実施形態では、図5に示すように、ライン光源10は、光源として、第1光源3及び第2光源4を備えている。
【0148】
そのため、紫外光、可視光、又は、可視光から赤外光までを含む波長範囲の光を選択し、その光を光源から出射させて、導光体1の内部に入射させることができる。
そのため、導光体1の光出射側面1dから最適な光を出射させることができる。
【0149】
また、本実施形態では、図5に示すように、ライン光源10は、導光体1の一方の端面1fと第1光源3との間に配置される第1光学フィルタ18を備えている。第1光学フィルタ18は、紫外光を透過させるとともに、可視光、又は可視光から赤外光までを含む波長範囲の光を遮断する。
【0150】
そのため、第1光源3から出射された紫外光のみを第1光学フィルタ18で透過させて導光体1内部に入射させることができる。例えば、第1光源3が、酸化アルミニウム・セラミック焼結体など、紫外光が当たったときに蛍光を発する実装基板を採用している場合には、第1光源3からの照射光が実装基板に当たり、蛍光が二次照射されることとなる。本実施形態のライン光源10であれば、第1光源3から二次照射される蛍光が導光体1内部に入ることを、第1光学フィルタ18により防止できる。
【0151】
また、本実施形態では、図5に示すように、ライン光源10は、導光体1の他方の端面1eと第2光源4との間に配置される第2光学フィルタ19を備えている。第2光学フィルタ19は、可視光、又は可視光から赤外光までを含む波長範囲の光を透過させるとともに、紫外光を遮断する。
【0152】
そのため、第2光源4から出射された可視光、又は可視光から赤外光までを含む波長範囲の光のみを第2光学フィルタ19で透過させて導光体1内部に入射させることができる。例えば、第2光源が、酸化アルミニウム・セラミック焼結体など、紫外光が当たったときに蛍光を発する実装基板を採用している場合には、第1光源3からの照射光が導光体1を通過して第2光源4の実装基板に当たり、蛍光が二次照射されることとなる。本実施形態のライン光源10であれば、第1光源3から照射される紫外光が第2光源4に入射することを、第2光学フィルタ19により防止できる。そして、第2光源4において蛍光が二次照射されることを防止できる。
【0153】
また、本実施形態では、図1に示すように、光ラインセンサユニットは、レンズアレイ11と、紫外光遮断光学フィルタ15とを備えている。紫外光遮断光学フィルタ15は、焦点面20(紙葉類)と受光部12との間に設けられている。紫外光遮断光学フィルタ15は、可視光、又は可視光から赤外光までを含む波長範囲の光を透過させ、受光部12に紫外光が入らないように、紫外光を遮断する。
そのため、受光部12の近傍において、紫外光により蛍光が二次照射されることを防止できる。
【0154】
<第2実施形態>
図13は、本発明の第2実施形態に係るライン光源10の側断面図である。図13では、ライン光源10における一方の端部周辺が示されている。
上記した第1実施形態では、ライン光源10において、基板6は、第1筒状部材8に取り付けられており、基板7は、第2筒状部材9に取り付けられている。
【0155】
対して、第2実施形態では、ライン光源10は、第1筒状部材8及び第2筒状部材9を備えておらず、導光体1の端面に基板6及び基板7が取り付けられている。
具体的には、第2実施形態では、導光体1の一方の端面1fには、軸方向内方側(図13において左方側)に窪む凹部1hが形成されている。
【0156】
凹部1hは、半球状(ドーム状)であって、導光体1の内方に向かって窪んでいる。なお、図13では、導光体1の端面1fのみが示されているが、導光体1の他方の端面1eにも同様に、凹部1hが形成されている。
導光体1の端面1fには、基板6が取り付けられている。第1光源3及び樹脂モールドレンズ31は、導光体1の凹部1h内に配置(収容)されている。
【0157】
導光体1の端面1fの凹部1hの内面には、第1光学フィルタ55が配置されている。ここで、配置とは、貼り付け、蒸着などの手段により、干渉フィルタを形成することを表す。この第1光学フィルタ55は、第1実施形態の第1光学フィルタ18と同様のものである。
【0158】
第1光学フィルタ55には、角度変換反射部70が設けられている。角度変換反射部70の表面は、光を反射する反射面として形成されている。角度変換反射部70は、中心軸Aよりも下方側(光拡散パターンP側)に設けられている。角度変換反射部70は、光拡散パターンPにおける一方の端部(第1光源3側の端部)と、第1光源3とを結ぶ主光路E上に配置されている。
【0159】
導光体1の光出射側面1dにおける凹部1hと対向する位置には、遮光部56が設けられている。なお、図13では、導光体1の一方の端部のみが示されているが、導光体1の他方の端部でも同様に、遮光部56が設けられている。
【0160】
また、図示しないが、導光体1の端面1eには、基板7が取り付けられている。また、導光体1の端面1eの凹部1hの内面には、第1実施形態の第2光学フィルタ19と同様のフィルタが配置されている。そして、その光学フィルタの表面には、角度変換反射部70が設けられている。この角度変換反射部70は、光拡散パターンPにおける他方の端部(第2光源4側の端部)と、第2光源4とを結ぶ主光路上に配置されている。
【0161】
ライン光源10において、第1光源3から紫外光が出射されると、その紫外光のうち、光拡散パターンPにおける他方の端部(第1光源3側の端部)に向かう光は、角度変換反射部70の表面で拡散反射又は角度変換される。角度変換反射部70で拡散反射又は角度変換された紫外光、及び、第1光源3から出射された紫外光のうち、導光体1の一方の端部側から上方(光出射側面1d側)に向かう光は、遮光部56によって遮られる。そして、角度変換反射部70で拡散反射又は角度変換されなかった紫外光、又は、角度変換反射部70で反射された後、凹部1hから出射して遮光部56及びカバー部材2により反射を繰り返して、角度変換反射部70以外の部分から導光体1内に向かう紫外光は、第1光学フィルタ55を透過して、導光体1の内部に入射する。
【0162】
また、ライン光源10において、第2光源4から可視光、又は可視から赤外にわたる波長の光が出射されると、その光のうち、光拡散パターンPにおける一方の端部(第1光源3側の端部)に向かう光は、角度変換反射部70の表面で拡散反射又は角度変換される。角度変換反射部70で拡散反射又は角度変換された光、及び、第2光源4から出射された光のうち、導光体1の他方の端部側から上方(光出射側面1d側)に向かう光は、遮光部56によって遮られる。そして、角度変換反射部70で拡散反射又は角度変換されなかった光、又は、角度変換反射部70で反射された後、凹部1hから出射して遮光部56の導光体1側の面及びカバー部材2の内壁により反射を繰り返して、角度変換反射部70以外の部分から導光体1内に向かう光は、光学フィルタを透過して、導光体1の内部に入射する。
【0163】
このように、第2実施形態では、図13に示すように、ライン光源10は、第1筒状部材8及び第2筒状部材9を備えておらず、導光体1の端面に基板6及び基板7が取り付けられている。導光体1の端面には、凹部1hが形成されている。角度変換反射部70は、凹部1hに設けられている。ミキシング空間における反射面は、凹部1hを包み込む遮光部56の導光体1側の面及びカバー部材2の内壁になる。
以上より、ライン光源10の小型化を実現できる。
【0164】
また、第2実施形態では、図13に示すように、ライン光源10は、遮光部56を備えている。遮光部56は、導光体1の光出射側面1dにおける凹部に対向する位置に設けられている。
【0165】
そのため、第1光源3から出射されて角度変換反射部70で拡散反射又は角度変換された後の紫外光が、導光体1の光出射側面1dから直接外部に出射することを抑制できると同時に、遮光部56をミキシング空間を形成する反射面として機能させることができる。同様に、第2光源4から出射されて角度変換反射部70で拡散反射又は角度変換された後の可視光、又は可視から赤外にわたる波長の光が、導光体1の光出射側面1dから直接外部に出射することを抑制できる。なお、遮光部56の一部に少なくとも1つの開口部を形成するか、又は、遮光部56の素材として、光源波長に対する半透過性の素材(光学フィルタ)を用いることにより、入光部近傍の光の一部を取り出すことができる。遮光部56は、光学フィルタと拡散素材との組み合わせであってもよい。これにより、遮光部56を導光体1の全長にわたって使用することが可能となる。
【0166】
また、第2実施形態では、図13に示すように、ライン光源10は、一方の端部の凹部1h内に設けられる第1光学フィルタ55を備えている。また、図示しないが、ライン光源10は、他方の端部の凹部1h内に設けられる光学フィルタを備えている。又は、導光体1の他方の端部には、凹部1hを設けずともよく、さらには、凹部1hと第1実施形態の筒状部8,9との組み合わせであってもよい。
【0167】
そのため、第1光源3及び第2光源4から出射された光のうち、特定の波長範囲の光のみを光学フィルタで透過させて導光体1内部に入射させることができる。また、光学フィルタが凹部1h内に設けられるため、ライン光源10の小型化を実現できる。導光体1の両端部に凹部1hを設ける場合には、遮光部56の一部に少なくとも1つの開口部を形成するか、又は、遮光部56の素材として、光源波長に対する半透過性の素材(光学フィルタ)を用いることにより、入光部近傍の光の一部を取り出すことができる。遮光部56は、光学フィルタと拡散素材との組み合わせであってもよい。これにより、遮光部56を導光体1の全長にわたって使用することが可能となる。
【0168】
<第3実施形態>
図14は、本発明の第3実施形態に係るライン光源10の側断面図である。
第3実施形態のライン光源10は、その端面に形成される凹部1iの形状が、第2実施形態のライン光源10の凹部1hと異なっている。
具体的には、第3実施形態では、導光体1の一方の端面1fには、中心軸方向内方側(図14において左方側)に窪む凹部1iが形成されている。
【0169】
凹部1iは、正面視円形状であって、導光体1の内方に向かって窪んでいる。なお、図14では、導光体1の端面1fのみが示されているが、導光体1の他方の端面1eにも同様に、凹部1iが形成されている。
【0170】
導光体1の端面1fの凹部1iには、第1光学フィルタ57が配置されている。第1光学フィルタ57は、凹部1iにおける中心軸方向内方側の端面に設けられている。この第1光学フィルタ55は、第1実施形態の第1光学フィルタ18(第2実施形態の第1光学フィルタ55)と同様のものである。第1光学フィルタ57には、角度変換反射部70が設けられている。角度変換反射部70は、第2実施形態と同様に、光拡散パターンPにおける一方の端部(第1光源3側の端部)と、第1光源3とを結ぶ主光路E上に配置されている。
【0171】
また、図示しないが、導光体1の端面1eには、基板7が取り付けられている。また、導光体1の端面1eの凹部1iの内面には、第1実施形態の第2光学フィルタ19と同様の光学フィルタが配置されている。そして、その光学フィルタの表面には、光学フィルタと別体として角度変換反射部70が設けられている。この角度変換反射部70は、第2実施形態と同様に、光拡散パターンPにおける他方の端部(第2光源4側の端部)と、第2光源4とを結ぶ主光路上に配置されている。
【0172】
ライン光源10において、第1光源3から紫外光が出射されると、その紫外光のうち、光拡散パターンPにおける他方の端部(第2光源4側の端部)に向かう光は、角度変換反射部70の表面で拡散反射又は角度変換される。角度変換反射部70で拡散反射若しくは角度変換されなかった紫外光、又は、角度変換反射部70で拡散反射若しくは角度変換された後、凹部1iで反射を繰り返して、角度変換反射部70以外の部分から導光体1内に向かう紫外光は、第1光学フィルタ57を透過して、導光体1の内部に入射する。
【0173】
また、ライン光源10において、第2光源4から可視光、又は可視から赤外にわたる波長の光が出射されると、その光のうち、光拡散パターンPにおける一方の端部(第1光源3側の端部)に向かう光は、角度変換反射部70の表面で拡散反射又は角度変換される。角度変換反射部70で拡散反射若しくは角度変換されなかった光、又は、角度変換反射部70で拡散反射若しくは角度変換された後、凹部1iで反射を繰り返して、角度変換反射部70以外の部分から導光体1内に向かう光は、光学フィルタを透過して、導光体1の内部に入射する。
【0174】
このように、第3実施形態では、図14に示すように、導光体1の一方の端面には、軸方向内方側に窪む凹部1iが形成されている。凹部1iは、正面視円形状であって、導光体1の内方に向かって窪んでいる。導光体1の端面1fの凹部1iには、光学フィルタが配置されている。光学フィルタは、凹部1iにおける軸方向内方側の端面に設けられている。
このような構成により、導光体1の端部において、光学フィルタを容易に設けることができる。
【0175】
また、この場合においても、導光体1の両端部に凹部1iを設ける場合には、遮光部56の一部に少なくとも1つの開口部を形成するか、又は、遮光部56の素材として、光源波長に対する透過率を調整できる素材(光学フィルタ)を用いることにより、入光部近傍の光の一部を取り出すことができる。遮光部56は、光学フィルタと拡散素材との組み合わせであってもよい。これにより、遮光部56を導光体1の全長にわたって使用することが可能となる。凹部の形状として、凹部1iと第2実施形態の凹部1hとの組み合わせや、他の図示しない凹部形状との組み合わせを用いることができる。
さらに、第2実施形態と同様、導光体1の他方の端部には、凹部1iを設けずともよく、さらには、凹部1iと第1実施形態の筒状部8,9との組み合わせであってもよい。
【0176】
<変形例>
以上の実施形態では、光拡散パターンPは、導光体1に形成されるとして説明した。しかし、光拡散パターンPは、導光体1に近接して配置される別部材として構成されてもよい。
【0177】
また、以上の実施形態では、角度変換反射部40,60,70は、導光体1の端面の近傍において、別部材として構成されるとして説明した。しかし、導光体1の端面に角度変換反射部が形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0178】
1 導光体
1d 光出射側面
1e,1f 端面
1g 光拡散パターン形成面
1h,1i 凹部
2 カバー部材
3 第1光源
4 第2光源
8 第1筒状部材
9 第2筒状部材
10 ライン光源
12 受光部
15 紫外光遮断光学フィルタ
18,55,57 第1光学フィルタ
19 第2光学フィルタ
40,60,70 角度変換反射部
50,53 ミキシング空間
56 遮光部
81,91 内周面
404,605 入射領域
B,C,D,E 主光路
P 光拡散パターン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図12
図13
図14