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特許7049597シート積載装置、シート処理装置及び画像形成システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】シート積載装置、シート処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/14 20060101AFI20220331BHJP
   B65H 31/26 20060101ALI20220331BHJP
   B65H 31/36 20060101ALI20220331BHJP
   B65H 31/00 20060101ALI20220331BHJP
   B65H 3/06 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
B65H7/14
B65H31/26
B65H31/36
B65H31/00 Z
B65H3/06 340E
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018048587
(22)【出願日】2018-03-15
(65)【公開番号】P2019156605
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】杉山 恵介
(72)【発明者】
【氏名】林 宏尚
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼嶋 育美
【審査官】飯田 義久
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-012897(JP,A)
【文献】特開2015-210160(JP,A)
【文献】特開2016-222450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00-3/68
B65H 7/00-7/20
B65H 31/00-31/40
B65H 43/00-43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを積載するシート積載部と、
前記シート積載部上を移動する移動シートを検出するシート検出手段とを備えるシート積載装置において、
積載方向に移動可能で、前記移動シートの表面に接触する表面接触部材を備え、
前記表面接触部材の移動に伴って前記シート検出手段が移動するものであり、
前記シート積載部に積載された前記シートを整合する整合部材を備え、
前記表面接触部材は、前記移動シートを前記整合部材に向けて搬送する搬送部材であることを特徴とするシート積載装置。
【請求項2】
請求項1のシート積載装置において、
前記シート検出手段は、前記表面接触部材とは独立して移動する退避移動機構を備え、
前記表面接触部材の移動に伴って移動する検出位置と、退避位置とを移動可能であることを特徴とするシート積載装置。
【請求項3】
シートを積載するシート積載部と、
前記シート積載部上を移動する移動シートを検出するシート検出手段とを備えるシート積載装置において、
積載方向に移動可能で、前記移動シートの表面に接触する表面接触部材を備え、
前記表面接触部材の移動に伴って前記シート検出手段が移動するものであり、
前記シート検出手段は、前記表面接触部材とは独立して移動する退避移動機構を備え、
前記表面接触部材の移動に伴って移動する検出位置と、退避位置とを移動可能であることを特徴とするシート積載装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載のシート積載装置において、
前記表面接触部材と前記シート検出手段とは共通の保持部材によって保持されていることを特徴とするシート積載装置。
【請求項5】
請求項1乃至3の何れか一項に記載のシート積載装置において、
前記表面接触部材と前記シート検出手段とはリンク機構に保持されていることを特徴とするシート積載装置
【請求項6】
求項1乃至の何れか一項に記載のシート積載装置において、
前記表面接触部材は、前記シート積載部に積載された前記シートの前記積載方向の位置を規制する押え部材であることを特徴とするシート積載装置
【請求項7】
求項1乃至6の何れか一項に記載のシート積載装置において、
前記シート検出手段は、光源から照射され、前記シートに反射した反射光を受光する撮像素子を有することを特徴とするシート積載装置。
【請求項8】
請求項7のシート積載装置において、
前記撮像素子は、密着ラインイメージセンサであることを特徴とするシート積載装置。
【請求項9】
請求項7のシート積載装置において、
前記撮像素子は、エリアイメージセンサであることを特徴とするシート積載装置。
【請求項10】
シートを積載するシート積載手段と、
前記シート積載手段に積載された前記シートに所定の処理を施す処理手段とを備えるシート処理装置において、
前記シート積載手段として、請求項1乃至9の何れか一項に記載のシート積載装置を備えることを特徴とするシート処理装置。
【請求項11】
シートの表面に画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段によって画像が形成された前記シートに所定の処理を施すシート処理手段とを備える画像形成システムにおいて、
前記シート処理手段として、請求項10に記載のシート処理装置を備えることを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート積載装置、シート処理装置及び画像形成システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、シートを積載するシート積載部と、シート積載部上を移動する移動シートを検出するシート検出手段とを備えるシート積載装置が知られている。
例えば、特許文献1には、移動量検出センサ(シート検出手段)を用いて、積載部に沿って移動する用紙(移動シート)の表面を所定の時間間隔で撮像し、時系列上の前後の撮像データを比較して用紙の移動量を求めるものが記載されている。
この特許文献1には、移動量検出センサは用紙との間を一定距離に保つことが好ましく、積載部に積載される用紙の数によって、移動量検出センサの位置を調整可能とする旨の記載がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1には、移動量検出センサの位置を調節可能とする具体的な構成は記載されていない。具体的な構成によっては構造が複雑になってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するために、本発明は、シートを積載するシート積載部と、前記シート積載部上を移動する移動シートを検出するシート検出手段とを備えるシート積載装置において、積載方向に移動可能で、前記移動シートの表面に接触する表面接触部材を備え、前記表面接触部材の移動に伴って前記シート検出手段が移動するものであり、前記シート積載部に積載された前記シートを整合する整合部材を備え、前記表面接触部材は、前記移動シートを前記整合部材に向けて搬送する搬送部材であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、簡易な構成で、移動シートとシート検出手段との間を、一定距離に保つことができる、という優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施例1に係る端綴じ部の基準フェンス近傍の概略説明図。
図2】用紙後処理装置を備えた画像形成システムの概略説明図。
図3】端綴じ部におけるステイプルトレイ近傍の概略説明図。
図4】叩きコロ機構の説明図。
図5】ステイプルモード時の用紙積載動作の説明図。
図6】移動用紙の後端を検出する方法の説明図。
図7】撮像部の取り付け角度が図3とは異なる端綴じ部の概略説明図。
図8】トナー像が形成された移動用紙の後端を検出する方法の説明図。
図9】実施例2に係る端綴じ部におけるステイプルトレイ近傍の概略説明図。
図10】実施例3に係る端綴じ部におけるステイプルトレイ近傍の概略説明図。
図11】実施例4に係る端綴じ部の基準フェンス近傍の概略説明図。
図12】実施例5に係る端綴じ部の基準フェンス近傍の概略説明図。
図13】実施例6に係る端綴じ部の基準フェンス近傍の概略説明図。
図14】第二の実施形態の給紙装置の概略説明図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を適用したシート処理装置としての用紙後処理装置を備えた画像形成システムの一実施形態について説明する。本実施形態は一例にすぎず、本発明は、以下に説明する構成に限定されるものではない。例えば、シート処理装置単体としても本発明は適用可能である。
【0008】
図2は、シート処理装置である用紙後処理装置6を備えた画像形成システム2の概略説明図である。
図2に示す画像形成システム2は、画像形成装置であるプリンタ部4と、プリンタ部4の用紙排出側に配置された用紙後処理装置6とを有している。プリンタ部4は公知の電子写真方式の画像形成装置であり、画像情報に基づいて露光手段により像担持体上に形成された静電潜像を現像手段で可視化し、可視化されたトナー像を最終的に記録媒体に転写し、定着手段で定着する構成を有している。プリンタ部4等の画像形成装置としては電子写真方式のものに限らず、シート状の記録媒体上に画像を形成できる装置であればよく、例えば、インクジェット方式の画像形成装置を用いることができる。用紙後処理装置6はプリンタ部4に一体に形成してもよく、着脱自在に接続してもよい。
【0009】
記録媒体である用紙Pは、プリンタ部4で画像が形成され、プリンタ部4から排出されてきた画像形成済みの用紙Pは、接続口8を介して用紙後処理装置6の第一搬送路10に進入する。第一搬送路10には、入口ローラ対12と、入口センサ14とが配置され、入口センサ14により用紙Pが用紙後処理装置6内へ搬入されたことが検知される。
【0010】
入口ローラ対12の下流には、用紙Pに穴をあける穿孔ユニット16が配置され、穿孔ユニット16の下流には分岐前搬送ローラ対18が配置されている。分岐前搬送ローラ対18の下流は、上方に向かって延びる第二搬送路20と、第一搬送路10の延長路としての第三搬送路22とに分岐されている。第二搬送路20と第三搬送路22との分岐部には第一分岐爪24が設けられており、制御部が第一分岐爪24の回動を制御することにより、用紙Pは両搬送路のいずれかに選択的に案内される。
【0011】
第二搬送路20に案内された用紙Pは上部搬送ローラ対26で搬送され、上部排紙ローラ対28でプルーフトレイ30に排出される。第三搬送路22から第四搬送路32が分岐し、第二分岐爪34の回動を制御することにより、用紙Pは第四搬送路32に選択的に案内される。第四搬送路32に案内された用紙はプレスタックローラ対36により搬送される。
第三搬送路22には、端綴じ部38へ用紙Pを搬送する中間搬送ローラ対40が配置されている。中間搬送ローラ対40の上流側近傍には、用紙Pを検知する中間搬送センサ42が配置されている。
用紙Pは中間搬送ローラ対40により端綴じ部38の積載トレイとしてのステイプルトレイ44上に排紙される。
【0012】
図3は、端綴じ部38におけるステイプルトレイ44近傍の概略説明図である。
以下の説明では、用紙Pのうち、ステイプルトレイ44に積載され、停止した状態のものを積載用紙P0と呼び、ステイプルトレイ44または積載用紙P0の上を移動中の状態のものを移動用紙P1と呼ぶ。
【0013】
ステイプルトレイ44の上方には、移動用紙P1に接触し、搬送力を付与するコロ部材として回転コロ46aを備える叩きコロ機構46が配置されている。ステイプルトレイ44の用紙搬送方向上流側(図3中の右側)には、後端位置規制部材としての基準フェンス48が配置されている。さらに、撮像部101と光源部102とを有するトレイ上用紙位置検出センサ100を備える。トレイ上用紙位置検出センサ100の光源部102は、基準フェンス48を挟んでステイプルトレイ44とは反対側に位置し、撮像部101は基準フェンス48近傍のステイプルトレイ44の上方に位置する。
【0014】
叩きコロ機構46は、整合用搬送部材の一つである回転コロ46aを移動用紙P1に当接させて、回転コロ46aを回転駆動することで、ステイプルトレイ44上に排出された移動用紙P1の移動方向をスイッチバックし、基準フェンス48へ向けて搬送する。
【0015】
端綴じ部38では、撮像部101で取得した画像に基づいて、移動用紙P1の後端(図3中の右側端部)から基準フェンス48までの距離を測定することで、制御部200が、叩きコロ機構46による必要搬送距離を算出する。移動用紙P1の後端とは、中間搬送ローラ対40からステイプルトレイ44へ向けて搬送するときの搬送方向後端(図3中及び後述する図5(d)中の「A」で示す部分)を意味する。
【0016】
叩きコロ機構46は、回転コロ46aを回転させた状態で回転コロ46aを移動用紙P1に対して接離する構成であり、移動用紙P1に対する回転コロ46aの接触時間を制御することで、回転コロ46aが移動用紙P1に搬送力を付与する時間を制御できる。
制御部200は、移動用紙P1の後端から基準フェンス48までの距離と、回転コロ46aの回転速度とから、回転コロ46aと移動用紙P1との必要な接触時間を算出し、算出した接触時間に応じて、叩きコロ機構46の接離動作を制御する。
【0017】
図4は、叩きコロ機構46の説明図であり、図4(a)は、回転コロ46aを移動用紙P1から離間させた状態を示し、図4(b)は、回転コロ46aを移動用紙P1に当接させた状態を示している。
回転コロ46aは、コロ支持ホルダ95に対してコロ回転軸46cを中心に回転可能に支持されており、コロ支持ホルダ95は、用紙後処理装置6本体に対してホルダ揺動軸91を中心に揺動可能に支持されている。コロ支持ホルダ95を、ホルダ揺動軸91を中心に揺動運動させることで回転コロ46aの移動用紙P1に対する接離動作を行う。
【0018】
叩きコロ機構46は、回転コロ46aを上方に向けて付勢するコロ上昇バネ96を備える。コロ上昇バネ96の上端は用紙後処理装置6本体に固定されており、コロ上昇バネ96の下端はコロ支持ホルダ95におけるホルダ揺動軸91を挟んでコロ回転軸46cの側に固定されている。コロ上昇バネ96の図4(a)中の矢印「F」に示す付勢力によって、図4(a)に示すように、回転コロ46aを上方に引き上げた状態を維持する。
【0019】
図4(a)の状態から制御部200がステッピングモータからなるコロ接離モータ94を駆動すると、接離出力ギヤ94aが図4(a)中の矢印「B1」方向に回転する。この回転により、接離出力ギヤ94aに連結するカム付ギヤ93がカム付ギヤ回転軸93aを中心に図4(a)中の矢印「B2」方向に回転し、カム付ギヤ93が有するコロ揺動カム92がコロ揺動レバー95aの端部を押し上げる。
コロ揺動レバー95aは、コロ支持ホルダ95に固定され、ホルダ揺動軸91を中心に揺動可能となっている。コロ揺動レバー95aの端部が押し上げられることで、コロ支持ホルダ95のコロ回転軸46c側がコロ上昇バネ96の付勢力に抗して図4(a)中の矢印「B3」で示すように下降する。これにより、コロ支持ホルダ95に支持された回転コロ46aも下降して、図4(b)で示す状態となり、回転コロ46aを移動用紙P1に接触させることができる。
【0020】
また、図4(b)に示す状態からコロ接離モータ94を逆方向に回転駆動させることで、コロ揺動カム92が下降し、コロ揺動レバー95aを押し上げる力がなくなるため、コロ上昇バネ96の付勢力によって回転コロ46aが上昇し、移動用紙P1から離間する。
【0021】
このように、コロ接離モータ94の回転駆動によりコロ揺動カム92が回転し、コロ揺動レバー95aを押すことで、回転コロ46aが揺動運動する。また、揺動量によって、回転コロ46aと移動用紙P1との接触圧が変化し、プリンタ部4からから送られてくる用紙情報(枚数、紙種等)に基づいて揺動量を変化させる。
【0022】
回転コロ46aにはコロ駆動入力プーリー81が固定されており、コロ駆動入力プーリー81は、タイミングベルト82、コロ駆動出力プーリー46b等を介して、ステッピングモータからなるコロ回転モータ83に連結されている。コロ駆動出力プーリー46bは、ホルダ揺動軸91を中心に回転可能に支持されており、コロ駆動出力プーリー46bには、ホルダ揺動軸91を中心に回転可能で、コロ回転モータ83の回転出力ギヤ83aと噛み合うプーリー回転ギヤが固定されている。このプーリー回転ギヤによって、回転出力ギヤ83aの回転がコロ駆動出力プーリー46bに伝達される。
【0023】
制御部200がコロ回転モータ83を駆動すると、回転出力ギヤ83aが矢印「C1」方向に回転し、コロ駆動出力プーリー46bが矢印「C2」方向に回転する。これにより、コロ駆動出力プーリー46bとコロ駆動入力プーリー81とに張架されたタイミングベルト82が矢印「C3」方向に回転して、コロ駆動入力プーリー81が固定された回転コロ46aが矢印「C4」方向に回転する。コロ回転モータ83を駆動しながらコロ接離モータ94を駆動させることで、回転コロ46aが回転しながら移動用紙P1と接触し、移動用紙P1の移動方向を切り替えることができる。また、コロ接離モータ94を駆動させた後でコロ回転モータ83を駆動し、回転コロ46aが移動用紙P1に接触した後、回転コロ46aを回転させて、移動用紙P1の移動方向を切り替える構成としてもよい。
【0024】
図2及び図3に示すように、端綴じ部38は、叩きコロ機構46に対して基準フェンス48の側には、もう一つの整合用搬送部材である突き当て部材としての戻しコロ50を備え、戻しコロ50は、ステイプルトレイ44の積載面に対して接離可能となっている。叩きコロ機構46で搬送された移動用紙P1は、戻しコロ50によってさらに搬送され、その後端を基準フェンス48に突き当てられる。これにより、移動用紙P1が積載した積載用紙P0の用紙束の搬送方向(縦方向)の位置が揃えられる。
【0025】
また、ステイプルトレイ44には、用紙搬送方向と直交する用紙幅方向に進退動して、ステイプルトレイ44上に排紙されて、積載された積載用紙P0の用紙束の幅方向(横方向)の位置を揃える一対のジョガーフェンス52が設けられている。
叩きコロ機構46及び戻しコロ50を用いた縦方向の位置を揃える動作と、ジョガーフェンス52を用いた横方向の位置を揃える動作と、を行うことで、ステイプルトレイ44上に排紙され、積載された積載用紙P0の用紙束を揃えてスタックする。揃えられた用紙束は、ステイプルモード時には端綴じステイプラ54が用紙幅方向に移動して用紙束の下縁部の適所を綴じる。
【0026】
綴じ処理を施された用紙束は、綴じ処理後の搬送手段であるベルト搬送機構56によって排紙トレイ60に向けて搬送される。ベルト搬送機構56は、第一支持ローラ56aと、第二支持ローラ56bと、第一支持ローラ56a及び第二支持ローラ56bに張架された搬送ベルト56cとを備える。さらに、搬送ベルト56cに固定され、搬送ベルト56cの回転によって移動する紙束放出爪58を備える。紙束放出爪58が図2中の反時計回り方向に移動することで、用紙束の後端に紙束放出爪58が引っ掛かり、さらに、紙束放出爪58が移動することで、用紙束が排紙トレイ60に向けて搬送される。用紙束が排紙トレイ60に排出される際には、用紙束は排紙駆動ローラ62と排紙従動ローラ64とにより挟持されながら安定的に排出される。
【0027】
図5は、ステイプルモード時の用紙積載動作の説明図である。
上述したように、叩きコロ機構46は、回転コロ46aを有し、ホルダ揺動軸91を支点として回転コロ46aが上下方向に移動するように揺動可能となっている。回転コロ46aの揺動及び回転駆動は、制御部200によって任意に制御される。
【0028】
プリンタ部4から搬送されてきた画像形成済みの移動用紙P1は、図5(a)に示すように、中間搬送ローラ対40を抜けてステイプルトレイ44の上方に搬送される。移動用紙P1の後端が中間搬送センサ42で検知されたタイミングで叩きコロ機構46による叩き動作が開始される。コロ回転モータ83を停止した状態でコロ接離モータ94を駆動させることで、図5(b)に示すように、回転コロ46aが回転しない状態で、回転コロ46aがホルダ揺動軸91を中心に、ステイプルトレイ44の積載面に向かって下方に向かうように揺動する。ここで、積載面とは、ステイプルトレイ44上に積載用紙P0が存在しないときはステイプルトレイ44自体の上面を、積載用紙P0が存在するときは最上の積載用紙P0の上面を意味する。
【0029】
図5(c)に示すように、ホルダ揺動軸91を中心に回転コロ46aが揺動する叩きコロ機構46での揺動動作に伴って、搬送されてきた移動用紙P1の上面に回転コロ46aが接触する。回転コロ46aは回転しながら移動用紙P1に接触し、さらに下方に向かって揺動することで、移動用紙P1を介して積載面に当接し、回転コロ46aが直接接触する移動用紙P1はスイッチバックして、移動方向が切り替わる。
【0030】
図5(d)に示すように、回転コロ46aが移動用紙P1を介して積載面に当接した後、すなわち、移動用紙P1が積載面の上に積載された後は、移動用紙P1は回転コロ46aの回転によって搬送される。回転コロ46aは移動用紙P1を基準フェンス48に向けて搬送する。その後、用紙Pは、回転コロ46a及び戻しコロ50による搬送で基準フェンス48に突き当てられて搬送方向の位置を揃えられる。用紙Pが、中間搬送ローラ対40により搬送される度に図5を用いて上述した積載動作が繰り返される。
回転コロ46a及び戻しコロ50による搬送を終えるタイミングは、トレイ上用紙位置検出センサ100の検出結果から算出される用紙Pの後端から基準フェンス48までの距離と、回転コロ46a及び戻しコロ50による搬送速度とに基づいて算出できる。
【0031】
次に、図3を用いて用紙Pの後端の具体的な検出方法について説明する。
用紙Pの位置を検出する検出手段であるトレイ上用紙位置検出センサ100は、用紙Pに向けて光を照射する光源部102と撮像部101とを備えている。
【0032】
撮像部101は、移動用紙P1に接触した状態の回転コロ46aと基準フェンス48との間の位置に配置され、さらにステイプルトレイ44に対して、撮像エリアの中心線が略垂直に交わるように配置されており、撮像エリアの画像を取得する。
光源部102は、基準フェンス48よりも後方(図3中の右方)に配置され、制御部200は、移動用紙P1の位置を検出するときに光源部102を発光させて、用紙Pの後端の厚さ方向の面である後端面(P1e,P0e)に向けて光を照射する。
回転コロ46a及び戻しコロ50に搬送力を付与され基準フェンス48に向かって移動している移動用紙P1は、後端面(P1e)が移動方向の前方となり、光源部102は、積載面上を移動する移動用紙P1の移動方向の前方から光を照射する状態である。
【0033】
図3では、光源部102と用紙P(P1,P0)との間に、基準フェンス48が位置するように見えるが、幅方向の位置を異ならせることで、光源部102から照射された光を用紙Pに照射できる。また、図3では、撮像部101と用紙P(P1,P0)との間に、戻しコロ50が位置するように見えるが、幅方向の位置を異ならせることで、光源部102から照射された光が用紙Pで反射した反射光を撮像部101で受光することができる。
【0034】
また、撮像部101には、CCDやCMOS等のイメージセンサ(撮像素子)の受光素子を二次元的に配置したエリアセンサを設け、画像を取得する。撮像部101の配置は、光源部102によって用紙Pの後端面に向けて光を照射したときの反射光を得られる箇所が望ましい。これにより、後述する白飛びを、撮像部101を用いて効率よく検出することが可能となる。
図3に示すように、光源部102は、ステイプルトレイ44上での用紙Pの移動方向に対して、僅かに傾いた位置にあり、撮像部101はステイプルトレイ44上での用紙Pの移動方向に対して直交する位置にある。光源部102と撮像部101との位置関係は、光源部102から出射した光が用紙Pの端面に反射し、反射光を撮像部101が受光できる位置関係であればよい。
【0035】
図6は、移動用紙P1の後端を検出する方法の説明図である。図6(a)は、基準フェンス48近傍の移動用紙P1と積載用紙P0との拡大斜視説明図であり、図6(b)は、図6(a)中の破線「D」で示す領域の輝度グラフを示している。
【0036】
撮像部101で取得する画像の中には、積載用紙P0と、積載用紙P0の最上面上を移動する移動用紙P1とが写っている。光源部102により、移動用紙P1の後端面である移動後端面P1eと、積載用紙P0の後端面である積載後端面P0eとに向けて光を照射しているため、移動後端面P1e及び積載後端面P0eが白く写しだされる。
【0037】
図6(b)に示すグラフの横軸は、積載面に沿って移動する移動用紙P1の移動方向における位置を示している。グラフの原点(0,0)はこの移動方向の任意の点である。撮像した画像における用紙Pの端面の部分は白飛びが生じているので、輝度値は高くなるため、画像処理部による画像処理により、各ピークの位置を求めることで、積載後端面P0eの位置「X1」と、移動後端面P1eの位置「X2」とを算出できる。この算出結果に基づいて、ステイプルトレイ44における移動後端面P1eの移動方向の位置を正確に検出でき、移動後端面P1eが移動方向の前方の端部となる移動用紙P1のステイプルトレイ44における位置を正確に検出することが可能となる。
【0038】
本実施形態の用紙後処理装置6では、中間搬送ローラ対40からステイプルトレイ44に搬送された移動用紙P1を、叩きコロ機構46で叩き、積載面上に載せる。そして、回転コロ46aの回転によって移動用紙P1の搬送方向をスイッチバックして、基準フェンス48に向けて移動用紙P1を搬送する。回転コロ46aによって搬送される移動用紙P1は、戻しコロ50に接触する位置に到達し、その後は、回転コロ46aと戻しコロ50とによって搬送される。
【0039】
積載面上を移動する移動用紙P1の移動後端面P1eを撮像部101によって検出する。このとき、光源部102から照射され、基準フェンス48で反射した光を撮像部101で受光することによって基準フェンス48の位置を同時に検出でき、移動用紙P1の移動後端面P1eから基準フェンス48までの距離を算出できる。
算出した距離に基づいて回転コロ46a及び戻しコロ50の残りの回転数を算出し、移動後端面P1eが基準フェンス48に到達するタイミングで、回転コロ46a及び戻しコロ50を移動用紙P1から離間させて搬送を停止する。
【0040】
中間搬送ローラ対40に搬送されてきた移動用紙P1のステイプルトレイ44における着地位置のバラツキが発生した場合であっても、移動後端面P1eから基準フェンス48までの距離が分かることで、回転コロ46a及び戻しコロ50での搬送距離が分かる。このため、基準フェンス48に向けて移動用紙P1を過不足なく搬送できる。
【0041】
このため、本実施形態では、用紙Pの紙種や環境等の差による用紙搬送のズレの影響や基準フェンス48への突き当て力が強いことによる、移動用紙P1の撓みや損傷を防止できる。よって、用紙Pの後端位置が基準フェンス48に突き当たる位置で安定するように移動用紙P1を搬送するこができ、結果として、ステイプルトレイ44上における用紙束の揃え精度、ひいては後処理精度が向上する。
【0042】
ステイプルトレイ44上に用紙Pが積載されていき、積載用紙P0の枚数が増えていくと、回転コロ46aが積載面に当接するタイミングも変わってくる。中間搬送センサ42による移動用紙P1の検知のみに基づいて回転コロ46a及び戻しコロ50による搬送時間の制御を行うと、回転コロ46aが積載面に当接するタイミングのズレによってステイプルトレイ44上における用紙束の揃え精度の低下が考えられる。
これに対して、本実施形態の用紙後処理装置6では、移動用紙P1の移動後端面P1eからの反射光を撮像部101で受光し、移動後端面P1eから基準フェンス48までの距離を測定することで、回転コロ46a及び戻しコロ50での搬送距離が分かる。このため、積載枚数の変化に起因する、回転コロ46aが積載面に当接するタイミングのバラツキにも対応することができ、用紙束の揃え精度が向上する。
【0043】
移動用紙P1の後端と基準フェンス48との距離の測定は撮像部101から取得できる画像の輝度差によってエッジの位置を検出し、画像をピクセル換算することで距離を算出する。また、本実施形態では、図3に示すように、撮像部101がステイプルトレイ44に対して、撮像エリアの中心線が略垂直に交わるように設置されることでピクセル換算誤差を少なくすることができる。
【0044】
図7は、ステイプルトレイ44に対する撮像部101の取り付け角度が図3とは異なる端綴じ部38の概略説明図である。図7に示すように、撮像部101をステイプルトレイ44とは角度をつけて配置しても、距離算出の際のピクセル換算時に角度による補正値をいれることで、移動用紙P1の後端と基準フェンス48との距離を算出することが可能である。
【0045】
回転コロ46aの回転タイミングとしては、移動用紙P1との接触前からでも良いし、移動用紙P1を叩いて積載面に載せて、移動後端面P1eから基準フェンス48までの距離を算出した後に、回転コロ46aの回転を開始してもよい。回転コロ46aを回転させる前に移動用紙P1の後端の位置を検出することで、移動用紙P1の残りの搬送距離を知ることができる。その後、制御部200によって回転コロ46a及び戻しコロ50を制御して正確に移動用紙P1の後端を基準フェンス48に揃えることが可能となる。
回転コロ46a及び戻しコロ50の制御としては、基準フェンス48までの搬送距離から求められる回転時間や回転速度が挙げられる。
【0046】
用紙後処理装置6等のシート処理装置としては、用紙を搬送し、揃えやステイプル、排紙動作等をしている。搬送タイミングや、揃えやステイプル動作等のために、ステイプルトレイ等の用紙積載部における用紙の位置を検出する技術が知られている。
用紙積載部では、積載された用紙束の上を新たに積載される用紙が移動する。この用紙束の上を移動する用紙の位置は、用紙の搬送路内での用紙の位置を検出する透過型や反射型のセンサ等、用紙が光路を遮る状態と遮らない状態との切り替わりを検知して用紙の通過を検知するセンサでは検出できない。これは、移動する用紙の下方に先に積載された用紙が存在するためである。
【0047】
従来技術では、用紙積載部に向けて搬送中に用紙単体(一枚の用紙)での用紙エッジの通過タイミングを検知し、検知タイミングからの経過時間に基づいて用紙積載部における用紙の位置を算出している。このため、用紙積載部に積載された用紙の束の上を移動する用紙の位置を正確に検出できないという問題が生じる。
【0048】
図5を用いて説明した積載動作を行う構成であって、図3図7に示すトレイ上用紙位置検出センサ100を備えず、中間搬送センサ42の検知結果に基づいて、基準フェンス48に向けての移動用紙P1の搬送を制御する構成では次のような問題が生じ得る。
すなわち、この構成では、中間搬送センサ42で移動用紙P1の後端の通過を検知してから、一定時間経過後に、叩きコロ機構46の揺動動作を行う。その後、さらに一定時間経過後に、回転コロ46a及び戻しコロ50を移動用紙P1から離間させて搬送を停止する。
【0049】
このようにトレイ上用紙位置検出センサ100を備えない構成では、ステイプルトレイ44の上流で搬送中の移動用紙P1単体での端部(先端または後端)の通過タイミングを検出する。そして、検出したタイミングからの搬送部材(46,50)による送り量で用紙Pの位置を算出しているため、ステイプルトレイ44にて積載されている積載用紙P0の上の移動用紙P1の位置を正確に検出できない問題が生じる。
【0050】
叩きコロ機構46の揺動動作で回転コロ46aが移動用紙P1に接触し、回転コロ46aに叩かれた移動用紙P1が積載面に着地するが、その着地位置にはバラツキが生じ、移動後端面P1eから基準フェンス48までの距離にもバラツキが生じる。この距離にバラツキが生じているにも関わらず、一定のタイミングで回転コロ46a及び戻しコロ50による移動用紙P1の搬送を停止すると、移動用紙P1の基準フェンス48に向けての搬送に過不足が生じてしまうおそれがある。例えば、距離が長い場合は、回転コロ46a及び戻しコロ50による搬送時間が不足して、基準フェンス48の手前で移動用紙P1の搬送を終えてしまう。また、距離が短い場合は、回転コロ46a及び戻しコロ50による搬送時間が過剰となり、移動用紙P1を基準フェンス48に過度に押し込む形となり、移動用紙P1に座屈が発生してしまう。どちらの場合も、ステイプルトレイ44上の用紙Pの束の縦方向の位置を揃える動作を正確に行えなくなる。
【0051】
一方、本実施形態の用紙後処理装置6では、トレイ上用紙位置検出センサ100を用いて積載面に着地した後の移動用紙P1の移動後端面P1eから基準フェンス48までの距離を算出し、回転コロ46a及び戻しコロ50による搬送時間を制御する。これにより、叩きコロ機構46で叩いた後の移動用紙P1の残りの搬送距離「X[mm]」を検出することができ、回転する回転コロ46a及び戻しコロ50の表面移動速度「V[mm/s]」が一定であれば、基準フェンス48への到達時間を算出できる。
これにより、ステイプルトレイ44上の用紙Pの束の縦方向の位置を揃える動作を正確に行うことができ、的確な綴じ処理を行うことができ、用紙Pの束の用紙Pが揃わないことに起因する綴じ品質の低下を防ぐことが可能となる。
【0052】
本実施形態では、積載用紙P0の上の移動用紙P1の位置を検出することで、搬送されている移動用紙P1の位置の検出精度を高めることができる。また、この検出結果に基づいて基準フェンス48へ向けて移動用紙P1を搬送する制御を適切に行うことで、基準フェンス48に対して移動用紙P1の端部の位置を精度良く合わせることができ、複数枚の用紙Pが積載された積載用紙P0の揃え精度を向上できる。
【0053】
トレイ上用紙位置検出センサ100の検出結果を用いた移動後端面P1eから基準フェンス48までの距離の算出は、回転コロ46aによって移動後端面P1eを搬送している間に、複数回、または、連続的に行っても良い。これにより、複数回の検出タイミングの間の時間と、その間に移動した距離と、に基づいて残りの距離と残りの搬送時間とを算出できる。このような制御を行うことにより、回転コロ46aや戻しコロ50が劣化し、スリップを起こすなどによって回転コロ46aや戻しコロ50による搬送能力が変化した場合であっても、基準フェンス48に向けて移動用紙P1を過不足なく搬送できる。
【0054】
また、算出した移動後端面P1eから基準フェンス48までの距離によって回転コロ46aの回転速度を変化させてもよい。
本実施形態の用紙後処理装置6では、プリンタ部4から連続的に用紙Pが搬送されてくるため、用紙P同士の間の紙間の時間間隔がほぼ一定であることが望ましい。しかし、中間搬送ローラ対40を通過した移動用紙P1が飛びすぎた場合(図5(c)で大きく左側に行ってしまった場合)などは、通常より搬送距離が長くなってしまい、搬送速度が一定だと前の移動用紙P1との紙間の時間間隔が長くなってしまう。このような場合、回転コロ46a及び戻しコロ50の回転速度を速くして搬送速度を速くすることで、前の移動用紙P1との紙間の時間間隔を詰め、後の移動用紙P1との紙間の時間間隔が短くなることを防止し、用紙ジャムの発生を抑えることができる。
【0055】
移動後端面P1eから基準フェンス48までの距離の算出方法としては、移動用紙P1の後端と基準フェンス48との距離を求めても、移動用紙P1の後端と積載用紙P0の後端との距離を求めてもよい。何れの場合も、基準フェンス48に向けて移動用紙P1を過不足なく搬送でき、ステイプルトレイ44上の用紙Pの束の縦方向の位置を揃えることができる。
【0056】
移動する用紙の位置を検出する構成としては、特開2015-031623号公報には、レーザ光源を用いて動的被検面(移動用紙の表面)に光を照射し、動的被検面の検出光を撮像センサに導光し、スペックルパターンを取得する測定装置が記載されている。この測定装置では、スペックルパターンの画像データを用いて動的被検面の移動量および移動速度の少なくとも一方を求める。しかし、用紙特性(例えば、平滑性や印字状態)によってはシートの表面の状態によっては、スペックルパターンが明確に現れないため、シートの位置を正確に検出できなくなるおそれがある。
【0057】
一方、本実施形態のトレイ上用紙位置検出センサ100は、光源部102が移動用紙P1の厚さ方向の面である端面に光を照射し、照射した光の反射光を受光する撮像部101の検出結果から輝度のピークの位置を算出し、移動用紙P1の端面の位置を算出する。
端面に向けて照射された光の反射光の光量は、移動用紙P1の表面からの反射光よりも移動用紙P1の端面からの反射光の方が大きく、端面の輝度は表面の輝度よりも十分に大きくなる。このため、輝度のピークの位置を求めることで、用紙Pの端面の位置、すなわち用紙Pの端部の位置を検出することができる。
【0058】
そして、移動用紙P1の表面に画像が形成されている場合等、移動用紙P1の表面の反射率が低下する状態では、移動用紙P1の表面と端面との輝度の差は広がり、輝度のピーク位置の検出精度は低下しない。よって、移動用紙P1の表面の状態によって移動用紙P1の端部の位置の検出精度が低下することを防止でき、用紙Pを積載するステイプルトレイ44における移動用紙P1の位置を正確に検出できる。
【0059】
図8は、トナー像が形成された移動用紙P1の後端を検出する方法の説明図である。図8(a)は、基準フェンス48近傍の移動用紙P1と積載用紙P0との拡大斜視説明図であり、図8(b)は、図8(a)中の破線「D」で示す領域の輝度グラフを示している。
【0060】
ステイプルトレイ44に搬送されてくる用紙Pは、白紙とは限らず、図8(a)に示すように紙面にトナー像Tが形成されている場合がある。本実施形態での移動用紙P1の後端の位置を検出する方法では、撮像した画像における移動後端面P1eと積載用紙P0とに対応する部分を白飛びさせて検出しているので、トナー像の有無等の用紙Pの紙面の状態によらず用紙Pの後端を検出することが可能となる。つまり、図8に示すように、用紙Pの紙面にトナー像が印字されている場合でも、撮像した画像における移動後端面P1eと積載後端面P0eとに対応する部分は白飛びするため、用紙Pの紙面の輝度レベルとは十分な差(コントラスト)を得られる。このため、図8(b)に示すように、正確に用紙Pの後端の位置(図8(b)中の「X1」及び「X2」)を検出できる。
端面の位置を検出する方法としては、白飛びをした部分を検出する構成に限らず、白飛びをしていなくても他の部分と十分なコントラスト(輝度の差)が得られた部分を端面として検出することができる。
【0061】
また、ステイプルトレイ44等のシート積載部に積載されるシートの束は、搬送されてくるシートが順次積載されるに従って厚みが増加する。このため、撮像部101等のシート検出手段のシート積載部に対する位置が固定だと、検出対象である移動シートとシート検出手段との距離が変化し、移動シートの位置を正確に検出できない場合がある。例えば、撮像部101のように移動シートの画像情報を取得する構成では、検出対象との距離が変化することで、焦点が合わなくなり、移動シートの位置を正確に検出できなくなるおそれがある。
【0062】
特許文献1には、スタック装置の用紙の移動量を求める目的で、移動量検出センサを設け、撮像時の焦点合わせのために、移動量検出センサの位置を調整可能とする旨が記載されている。しかし、移動量検出センサの位置を調整するための具体的な構成は記載されていない。具体的な構成としては、シート積載部のシートの積載量を検出する積載量検出手段と、その検出結果に基づいて移動量検出センサを移動させる移動制御手段とを設ける構成が考えられるが、構造が複雑になってしまう。
【0063】
本実施形態の用紙後処理装置6は、積載シートである積載用紙P0の最表面、または、移動シートである移動用紙P1の表面に接触し、積載用紙P0の用紙束の厚みに応じて、積載方向に移動する表面接触部材を備える。
そして、撮像部101等のシート検出手段が表面接触部材の移動に伴って移動する構成である。表面接触部材の移動に伴ってシート検出手段が移動することで、積載量検出手段や移動制御手段が不要となり、積載されている用紙束の厚みに応じてシート検出手段を簡易な構成で積載方向に移動させることができる。これにより、移動シートとシート検出手段との間を一定距離に保つことができ、積載方向に直交する搬送方向における移動シートの位置を正確に検出することが可能となる。
【0064】
〔実施例1〕
以下、本実施形態に係るシート検出手段と表面接触部材との一つ目の実施例(以下、「実施例1」という)について説明する。
図1は、実施例1に係る端綴じ部38の基準フェンス48近傍の概略説明図であり、図1(a)は積載用紙P0の枚数が少ない状態を示し、図1(b)は積載用紙P0の枚数が多い状態を示している。実施例1では、シート検出手段は撮像部101であり、表面接触部材は戻しコロ50である。
【0065】
上述したように、ステイプルトレイ44上では、叩きコロ機構46の回転コロ46aと戻しコロ50とにより、移動用紙P1の後端を基準フェンス48に突き当てるように、順次、移動用紙P1が搬送され、積載されていく。回転コロ46a及び戻しコロ50は、ステイプルトレイ44に対して接離可能に揺動するよう構成されている。
叩きコロ機構46は、積載面に接触する回転コロ46aを有し、揺動リンクであるコロ支持ホルダ95を介して、揺動中心であるホルダ揺動軸91と連結されており、ステイプルトレイ44に対して接離可能に揺動するよう構成されている。
【0066】
図1に示すように、戻しコロ50を備える戻しコロ機構150は、積載面に接触する戻しコロ50を有し、戻しコロ50、戻しコロ揺動リンク151を介して戻しコロ揺動軸152に連結されている。そして、戻しコロ揺動軸152を中心に戻しコロ揺動リンク151が揺動することで、戻しコロ50がステイプルトレイ44に対して接離する構成である。
【0067】
戻しコロ揺動軸152と戻しコロ50の回転軸とを結ぶ仮想直線と、ステイプルトレイ44とが成す角(図1中の「θ1」)は、図1(a)に示すように、積載枚数が少ない状態では角度が大きい。そして、図1(b)に示すように、積載枚数が増えるにつれて「θ1」で示す角の角度は小さくなっていく。
【0068】
戻しコロ50は、自重と戻しコロ当接スプリング153の付勢力とによって、ステイプルトレイ44に向けて加圧する状態であり、常に積載面または移動用紙P1の表面に接触しており、積載枚数の増減による接触面の変位に伴って積載方向に移動する。このため、戻しコロ50と積載面との距離は常に一定に保たれている。
【0069】
そして、撮像部101は、戻しコロ50の保持部材である戻しコロ揺動リンク151に保持され、戻しコロ50の移動に伴って撮像部101も積載方向に移動する。このため、撮像部101と積載面との距離はほぼ一定に保たれ、積載面上を移動する移動用紙P1と撮像部101との距離もほぼ一定に保つことができる。これにより、検出対象である移動用紙P1と撮像部101との距離が変化することに起因して移動用紙P1の位置を正確に検出できなくなることを防止でき、積載枚数が増減しても、移動用紙P1の位置を正確に検出することが可能となる。
【0070】
実施例1では、戻しコロ50と撮像部101とが、共通の保持部材である戻しコロ揺動リンク151に保持されている。一体の部材で保持されているため、戻しコロ50が積載方向へ移動すると撮像部101が機械的に連動し、戻しコロ50の移動に伴って撮像部101も積載方向に移動する。
また、実施例1や後述する実施例2は、戻しコロ50や回転コロ46a等の移動用紙P1に搬送力を付与する搬送部材の積載方向の移動に伴って撮像部101が積載方向に移動する構成である。この構成により、積載方向に移動可能で、積載用紙P0の用紙束の最表面、または、移動用紙P1の表面に接触する表面接触部材を新たに追加することなく、積載用紙P0の束の積載方向の厚みに応じて撮像部101が積載方向に移動する構成を実現できる。
【0071】
実施例1の表面接触部材である戻しコロ50は、積載用紙P0と移動用紙P1との両方に接触する。シート積載部であるステイプルトレイ44上で、戻しコロ50が用紙Pに接触する接触位置に移動用紙P1が到達するまでは、戻しコロ50は、積載用紙P0の用紙束の最表面に接触する。そして、搬送されてきた移動用紙P1が接触位置に到達すると、移動用紙P1の厚み分、積載方向に移動して、移動用紙P1の表面に接触する。このように、実施例1の表面接触部材である戻しコロ50は、移動用紙P1がステイプルトレイ44に到達する度に、到達した移動用紙P1の厚み分、積載方向に移動する。
【0072】
〔実施例2〕
次に、本実施形態に係るシート検出手段と表面接触部材との二つ目の実施例(以下、「実施例2」という)について説明する。
図9は、実施例2に係る端綴じ部38におけるステイプルトレイ44近傍の概略説明図である。実施例2では、シート検出手段は撮像部101であり、表面接触部材は回転コロ46aである。
上述した実施例1では、戻しコロ50を備える戻しコロ機構150の戻しコロ揺動リンク151が撮像部101を保持する構成としたが、図9に示すように、叩きコロ機構46のコロ支持ホルダ95が撮像部101を保持する構成としてもよい。
【0073】
実施例2の表面接触部材である回転コロ46aは、中間搬送ローラ対40からステイプルトレイ44へ向けて排紙された移動用紙P1を叩いて載置面上に載せ、移動用紙P1の搬送後は離間するため、積載用紙P0には接触せず、移動用紙P1にのみ接触する。実施例2では、搬送されてきた移動用紙P1に接触して載置面上に載せる度に、搬送されてきた移動用紙P1の厚み分、積載方向に移動した位置で積載用紙P0上の移動用紙P1に接触する。
このように、実施例2の表面接触部材である回転コロ46aは、移動用紙P1がステイプルトレイ44に到達する度に、到達した移動用紙P1の厚み分、積載方向に移動する。
【0074】
実施例2では、回転コロ46aと撮像部101とが、共通の保持部材であるコロ支持ホルダ95に保持されている。一体の部材で保持されているため、回転コロ46aが積載方向へ移動すると撮像部101が機械的に連動し、回転コロ46aの移動に伴って撮像部101も積載方向に移動する。
【0075】
〔実施例3〕
次に、本実施形態に係るシート検出手段と表面接触部材との三つ目の実施例(以下、「実施例3」という)について説明する。
図10は、実施例3に係る端綴じ部38におけるステイプルトレイ44近傍の概略説明図である。実施例3では、シート検出手段はトレイ上用紙位置検出センサ100であり、表面接触部材は回転コロ46aである。
【0076】
光源部102等の発光手段と、受光手段である撮像部101等のシート検出手段とは、図3図7に示した構成や実施例1及び実施例2のように、別体で設けることが望ましいが、発光手段とシート検出手段とが一体であってもよい。
図10に示す実施例3の構成では、シート検出手段としてのラインセンサと、発光手段とを一体としたトレイ上用紙位置検出センサ100を、叩きコロ機構46のコロ支持ホルダ95が保持する構成となっている。
実施例3では、トレイ上用紙位置検出センサ100のシート検出手段(受光手段)を構成するラインセンサとして、密着型のラインセンサを用いている。ラインセンサは、CCDやCMOS等のイメージセンサ(撮像素子)の受光素子を直線的に配置したものであり、一般的にCIS(Contact Image Sensor)として一体化されたものを用いることができる。
【0077】
〔実施例4〕
次に、本実施形態に係るシート検出手段と表面接触部材との四つ目の実施例(以下、「実施例4」という)について説明する。
図11は、実施例4に係る端綴じ部38の基準フェンス48近傍の概略説明図であり、図11(a)は積載用紙P0の枚数が少ない状態を示し、図11(b)は積載用紙P0の枚数が多い状態を示している。実施例4では、シート検出手段は撮像部101であり、表面接触部材は戻しコロ50である。
【0078】
実施例4は、エリアセンサからなる撮像部101を平行クランク機構の構成を備えた戻しコロ機構150が保持する構成である。
図11に示すように、実施例4では、戻しコロ50を回転可能に保持する戻しコロ揺動リンク151を原動節とし、固定節156、第一従動節154及び第二従動節155により平行クランク機構を構成する。また、固定節156と平行状態を保つ第二従動節155が撮像部101を保持している。
【0079】
ステイプルトレイ44上に順次搬送され、積載されていく用紙Pの積載面に応じて戻しコロ機構150の戻しコロ50が積載方向に移動する。戻しコロ機構150は、戻しコロ50の移動に伴って第一従動節154及び第二従動節155が移動し、且つ、第二従動節155で撮像部101を保持する平行クランク機構で構成されている。このため、ステイプルトレイ44に対する撮像部101の最短距離は、常に一定に保たれているとともに、撮像部101のステイプルトレイ44に対する姿勢、すなわち撮像する角度も一定に保たれる。撮像する角度も一定に保たれることにより、角度の違いによって検出結果を補正する必要がなく、検出精度の向上を図ることができ、ステイプルトレイ44上における用紙束の揃え精度、ひいては後処理精度が向上する。
【0080】
〔実施例5〕
次に、本実施形態に係るシート検出手段と表面接触部材との五つ目の実施例(以下、「実施例5」という)について説明する。
図12は、実施例5に係る端綴じ部38の基準フェンス48近傍の概略説明図であり、図12(a)は積載用紙P0の枚数が少ない状態を示し、図12(b)は積載用紙P0の枚数が多い状態を示している。実施例5では、シート検出手段は撮像部101であり、表面接触部材は用紙押えシート104である。
【0081】
実施例5のステイプルトレイ44は、用紙Pを押えて、用紙Pの座屈を防止する等の目的で、積載面に接触する用紙押えシート104が備えられている。用紙押えシート104は、PET(ポリエチレンテレフタラート)等からなる弾性シートであり、戻しコロ50と同様に、順次搬送され積載されていく用紙Pの積載面に対して当接するよう構成されている。
【0082】
用紙押えシート104は、一端105が押えシート支持軸103に固定された弾性変形が可能な部材で、積載される用紙Pに応じて変形可能である。用紙押えシート104の他端106近傍と連結リンク107が接続されており、撮像部リンク108は連結リンク107と押えシート支持軸103とに連結され、撮像部101を保持している。用紙押えシート104を保持する機構としては、実施例4と同様に平行クランク機構を用いてもよい。
【0083】
〔実施例6〕
次に、本実施形態に係るシート検出手段と表面接触部材との六つ目の実施例(以下、「実施例6」という)について説明する。
図13は、実施例6に係る端綴じ部38の基準フェンス48近傍の概略説明図であり、図13(a)は撮像部101が検出位置に位置する状態を示し、図13(b)は撮像部101が退避位置に位置する状態を示している。実施例6では、シート検出手段は撮像部101であり、表面接触部材は戻しコロ50である。
【0084】
実施例6は、撮像部101を戻しコロ機構150に対して移動可能とした点以外は上記実施例1と同様の構成である。
実施例6では、撮像部101は主走査方向(図13中の紙面に直交する方向)に移動可能に構成されている。
【0085】
また、検出時には戻しコロ50の移動に伴って積載方向に移動するように、戻しコロ機構150の戻しコロ揺動リンク151におけるセンサ係止部159に撮像部101が保持され、撮像部101が検出位置に位置している。検出時以外の他の処理動作、例えばステイプル動作の際に、撮像部101が検出位置から退避可能とする撮像部退避機構110を備える。
【0086】
制御部200が、撮像部退避機構110の退避用モータ111は、センサアーム112を駆動し、センサアーム112が撮像部101に形成されている連結部を掬い上げることが可能となっている。本実施例6では、用紙束の厚み方向である積載方向(ステイプルトレイ44と垂直な方向)に撮像部101が退避する構成としているが、同様に、ステイプルトレイ44と平行な用紙搬送方向(副走査方向)または幅方向(主走査方向)に退避させてもよい。
【0087】
上述した実施形態のシート積載装置である端綴じ部38は、戻しコロ50、回転コロ46aまたは用紙押えシート104等の表面接触部材を備え、撮像部101等のシート検出手段が、シート束の厚みに応じて移動する表面接触部材とともに移動する構成である。この構成により、シート積載部のシートの積載量を検出する積載量検出手段や、その検出結果に基づいてシート検出手段を移動させる移動制御手段が不要となり、簡易な構成で、移動シートとシート検出手段との間を一定距離に保つことができる。
【0088】
上述した実施形態(実施例1~実施例6)では、本発明に係るシート積載装置の構成を端綴じ部38に適用した構成について説明した。端綴じ部38は、用紙Pを積載して揃えて行く部分であるが、本発明に係るシート積載装置は、積載されている用紙を搬送する給紙等のスタック部分にも適用できる。
本発明に係るシート積載装置の構成は、積載された用紙を画像形成部に向かって搬送する給紙装置に適用した場合でも、同様に正確な用紙の位置の検出を行うことができる。給紙装置の場合は、最上位の用紙表面に当接するピックアップローラがあり、用紙検出センサをピックアップローラと共に可能する構成とすることができる。
【0089】
〔第二の実施形態〕
以下、本発明に係るシート積載装置をプリンタ部4の給紙部に適用した第二の実施形態について説明する。
図14は、第二の実施形態の給紙装置300の概略説明図である。
図14に示すように、給紙装置300は、給紙トレイ301と、底板302と、エンドフェンス303と、給紙コロ304と、分離パッド305と、ピックアップローラ機構120とを備える。
【0090】
ピックアップローラ機構120は、ピックアップ揺動軸123と、ピックアップ揺動軸123を中心に揺動可能なピックアップホルダ122と、ピックアップホルダ122に回転可能に保持されたピックアップローラ121とを備える。給紙装置300が備えるピックアップ揺動モータを駆動することで、ピックアップホルダ122が揺動し、給紙トレイ301に積載された用紙Pの用紙束の最上面にピックアップローラ121が接触する。また、給紙装置300が備えるピックアップ回転モータを駆動することで、ピックアップローラ121が回転駆動し、ピックアップローラ121が接触する用紙Pに搬送力を付与して、給紙コロ304に向けて搬送する。このとき、搬送力を付与された用紙Pが移動用紙P1として積載用紙P0の最上面を移動する。
【0091】
給紙トレイ301は、用紙Pの束を収容する収容部を形成する筐体である。底板302は、給紙トレイ301に対して給紙方向下流側端部が上下動するように揺動可能であり、底板302が底板上昇バネ306によって上方に付勢されることで、底板302の上に積載された用紙Pの束の最上面が給紙コロ304に接触する。
【0092】
積載されている用紙Pを搬送する給紙トレイ301等のスタック部で用いる場合、移動用紙P1の搬送する方向の後方から光を照射し、その反射光を撮像部101で受光する。これにより、移動用紙P1の後端面に対応する部分が白飛びし、移動用紙P1の端部の位置を正確に検出することが可能となる。
【0093】
図14に示す構成では、ピックアップローラ機構120の上流側(図14中の右方)から光源部102が光を照射し、その反射光を撮像部101が受光することで、得られた画像の移動用紙P1の後端面に対応する部分が白飛びする。これにより、ピックアップローラ121によって搬送させる移動用紙P1の移動後端面P1eの位置を正確に検出することが可能となる。
【0094】
このような構成では、例えば、ピックアップローラ121でスリップが発生している場合には、ピックアップローラ121の搬送時間に対する用紙Pの後端の移動距離が小さくなることで搬送不良を検知できる。
また、搬送する用紙Pの下の用紙Pも同時に搬送してしまう重送が生じた場合は、積載された位置から移動した用紙Pの端部を示す、「輝度がピーク値となる位置」が複数個になるため、ピーク値の数をカウントすることで、重送を検出することも可能となる。
【0095】
第二の実施形態では、シート検出手段は撮像部101であり、表面接触部材はピックアップローラ121である。
ピックアップローラ121は、ピックアップ揺動モータの駆動により、揺動して上下に移動するが、ピックアップローラ121が用紙Pに搬送力を付与するときには、常に積載面に接触する。そして、積載枚数の増減による接触面の変位に伴って、用紙Pに搬送力を付与するときのピックアップローラ121の位置は、積載方向に移動する。このため、ピックアップローラ121と積載面との距離は常に一定に保たれている。
【0096】
そして、撮像部101は、ピックアップローラ121の保持部材であるピックアップホルダ122に保持され、搬送力を付与するときのピックアップローラ121の移動に伴って撮像部101も積載方向に移動する。このため、ピックアップローラ121が用紙Pに搬送力を付与するときの、撮像部101と積載面との距離はほぼ一定に保たれ、積載面上を移動する移動用紙P1と撮像部101との距離もほぼ一定に保つことができる。これにより、検出対象である移動用紙P1と撮像部101との距離が変化することに起因して移動用紙P1の位置を正確に検出できなくなることを防止でき、積載枚数が増減しても、移動用紙P1の位置を正確に検出することが可能となる。
【0097】
このように本発明に係るシート積載装置は、給紙装置など用紙等のシートを積載部から搬送する装置に適用することもできる。給紙装置に適用した場合は、ピックアップローラや給紙コロ(または、給紙ベルト)で挟持された状態で搬送中の用紙の端部を検出し、ピックアップローラや給紙コロ(または、給紙ベルト)の駆動時間を制御することでジャムの発生を防ぐことができる。
【0098】
給紙装置では、ピックアップローラや給紙コロ(又は給紙ベルト)の劣化や付着した紙粉により、用紙を次の搬送ローラに受け渡すまでの時間にバラツキが発生したりするとジャム発生の要因となる。
これに対して、本発明に係るシート積載装置の構成を有する給紙装置では、ピックアップローラや給紙コロ(または、給紙ベルト)で挟持された状態で搬送中の用紙の後端の位置を検出する。そして、ピックアップローラや給紙コロ(または、給紙ベルト)の駆動時間を制御することでジャムの発生を防ぐことができる。
【0099】
本発明に係るシート積載装置は、ステイプルトレイ44や排紙トレイのような積載部へシートを搬送する構成や、給紙装置のように積載部からシートを搬送する構成にも適用できる。
【0100】
本発明に係るシート積載装置が備えるシート検出手段は、発光手段である光源部102が用紙Pの端面に向けて照射した光の反射光を受光する撮像素子であり、用紙Pの端面が他の部分よりも輝度が高いことを利用して移動用紙P1の位置を検出するものである。
シート検出手段としては、撮像素子で検出した輝度の差(コントラスト)を用いて移動用紙P1の位置を検出するものに限らず、撮像素子でスペクトルパターンを検出するものでもよい。また、超音波で検出するものでもよい。検出対象との距離が変動することで、正確な検出ができなくなるおそれがある検出方式のシート検出手段を備えるシート積載装置であれば、本発明の構成を適用することにより、積載シートの上を移動する移動シートの位置を正確に検出することが可能となる。
【0101】
また、撮像素子等の光学的なシート検出手段の場合、検出対象に向けて光を照射する発光手段とは別部材であることが望ましいが、光学的なシート検出手段と発光手段とを一体とした構成であってもよい。
【0102】
本発明に係るシート積載部に積載する「シート」は、紙、コート紙、OHPシート、ラベル紙、フィルム、布帛等を含む。さらに、「シート」は、樹脂製シート、表裏面の保護紙、金属製シート、銅箔等の金属箔やメッキ処理等を施した電子回路基板材、特殊フィルム、プラスチックフィルム、プリプレグ、電子回路基板用シート等を含む。プリプレグは、炭素繊維等に予め樹脂が含浸してあるシート状の材料である。プリプレグの例としては、炭素繊維やガラスクロスのような繊維状補強材に、硬化剤、着色剤などの添加物を混合した熱硬化性樹脂等を含浸させ、加熱または乾燥して半硬化状態にしたシート状の強化プラスチック成形材料が含まれる。
【0103】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
用紙P等のシートを積載するステイプルトレイ44等のシート積載部と、シート積載部上を移動する移動用紙P1等の移動シートを検出する撮像部101等のシート検出手段とを備える端綴じ部38等のシート積載装置において、厚さ方向等の積載方向に移動可能で、移動シートの表面に接触する戻しコロ50、回転コロ46aまたは用紙押えシート104等の表面接触部材を備え、表面接触部材の移動に伴ってシート検出手段が移動することを特徴とする。
これによれば、上記実施形態について説明したように、表面接触部材は、移動シートがシート積載部上に到達する度に、到達した移動シートの厚み分、積載方向に移動する。このため、表面接触部材はシート積載部に積載されたシートの束の厚みに応じて積載方向に移動する。よって、シート積載部に積載されたシートの束の最表面の位置が積載方向に変位しても、その最表面上を移動する移動シートと表面接触部材との間は一定距離に保たれる。
シート検出手段の位置を調整可能とする具体的な構成としては、シート積載部のシートの積載量を検出する積載量検出手段と、その検出結果に基づいて移動量検出センサを移動させる移動制御手段とを設ける構成が考えられるが、構造が複雑になってしまう。
態様1では、表面接触部材の移動に伴ってシート検出手段が移動する。このため、積載量検出手段や移動制御手段が不要となり、簡易な構成で移動シートとシート検出手段との間を一定距離に保つことができる。
【0104】
(態様2)
態様1において、表面接触部材とシート検出手段とは、戻しコロ揺動リンク151及びコロ支持ホルダ95等の共通の保持部材によって保持されていることを特徴とする。
これによれば、上記実施例1及び実施例2について説明したように、一体の部材で保持されているため、表面接触部材が積載方向へ移動するとシート検出手段が機械的に連動し、表面接触部材の移動に伴ってシート検出手段も積載方向に移動する構成を実現できる。
【0105】
(態様3)
態様1において、表面接触部材とシート検出手段とは平行クランク機構等のリンク機構に保持されていることを特徴とする。
これによれば、上記実施例4について説明したように、移動シートとシート検出手段との間を一定距離に保つとともに、シート検出手段が移動してもシート積載部に対するシート検出手段の角度(姿勢)を一定に保つことが可能となる。
【0106】
(態様4)
態様1乃至3の何れかの態様において、シート積載部に積載されたシートを整合する基準フェンス48等の整合部材を備え、表面接触部材は、移動シートを整合部材に向けて搬送する搬送部材であることを特徴とする。
これによれば、上記実施例1等について説明したように、表面接触部材が搬送部材であることにより、積載シートの束の積載方向の厚みに応じてシート検出手段が積載方向に移動する構成を実現できる。
【0107】
(態様5)
態様1乃至4の何れかの態様において、表面接触部材は、シート積載部に積載されたシートの積載方向の位置を規制する用紙押えシート104等の押え部材であることを特徴とする。
これによれば、上記実施例5について説明したように、表面接触部材が押え部材であることにより、積載シートの束の積載方向の厚みに応じてシート検出手段が積載方向に移動する構成を実現できる。
【0108】
(態様6)
態様1乃至5の何れかの態様において、シート検出手段は、表面接触部材とは独立して移動する撮像部退避機構110等の退避移動機構を備え、表面接触部材の移動に伴って移動する検出位置と、退避位置とを移動可能であることを特徴とする。
これによれば、上記実施例5について説明したように、ステイプル動作等の検出時以外の他の処理動作を行うときに、シート検出手段を退避させることができ、レイアウトの自由度が向上する。
【0109】
(態様7)
態様1乃至6の何れかの態様において、シート検出手段は、撮像部101等の光源から照射され、シートに反射した反射光を受光するエリアセンサまたはラインセンサ等の撮像素子を有することを特徴とする。
これによれば、上記実施形態について説明したように、積載シートの最表面を移動する移動シートの位置を検出する構成を実現できる。
【0110】
(態様8)
態様7において、撮像素子は、ラインセンサ等の密着ラインイメージセンサであることを特徴とする。
これによれば、上記実施例3について説明したように、積載シートの最表面を移動する移動シートの位置を検出する構成を実現できる。
【0111】
(態様9)
態様7において、撮像素子は、エリアセンサ等のエリアイメージセンサであることを特徴とする。
これによれば、上記実施形態について説明したように、積載シートの最表面を移動する移動シートの位置を検出する構成を実現できる。
【0112】
(態様10)
用紙P等のシートを積載するシート積載手段と、シート積載手段に積載されたシートに所定の処理を施す端綴じステイプラ54等の処理手段とを備える用紙後処理装置6等のシート処理装置において、シート積載手段として、態様1乃至9の何れかの態様に係る端綴じ部38等のシート積載装置を備えることを特徴とする。
これによれば、上記実施形態について説明したように、シート載置部上のシートに対して適切な処理(綴じ処理等)を施すことができ、綴じ品質等の処理品質の低下を防止できる。
【0113】
(態様11)
用紙P等のシートの表面に画像を形成するプリンタ部4等の画像形成手段と、画像形成手段によって画像が形成されたシートに所定の処理を施すシート処理手段とを備える画像形成システム2等の画像形成システムにおいて、シート処理手段として、態様10に係る用紙後処理装置6等のシート処理装置を備えることを特徴とする。
これによれば、上記実施形態について説明したように、画像が形成されたシートに対して適切な処理(綴じ処理等)を施すことができ、綴じ品質等の処理品質の低下を防止できる。
【符号の説明】
【0114】
2 画像形成システム
4 プリンタ部
6 用紙後処理装置
8 接続口
10 第一搬送路
12 入口ローラ対
14 入口センサ
16 穿孔ユニット
18 分岐前搬送ローラ対
20 第二搬送路
22 第三搬送路
24 第一分岐爪
26 上部搬送ローラ対
28 上部排紙ローラ対
30 プルーフトレイ
32 第四搬送路
34 第二分岐爪
36 プレスタックローラ対
38 端綴じ部
40 中間搬送ローラ対
42 中間搬送センサ
44 ステイプルトレイ
46 叩きコロ機構
46a 回転コロ
46b コロ駆動出力プーリー
46c コロ回転軸
48 基準フェンス
50 戻しコロ
52 ジョガーフェンス
54 ステイプラ
56 ベルト搬送機構
56a 第一支持ローラ
56b 第二支持ローラ
56c 搬送ベルト
58 紙束放出爪
60 排紙トレイ
62 排紙駆動ローラ
64 排紙従動ローラ
81 コロ駆動入力プーリー
82 タイミングベルト
83 コロ回転モータ
83a 回転出力ギヤ
91 ホルダ揺動軸
92 コロ揺動カム
93 カム付ギヤ
93a カム付ギヤ回転軸
94 コロ接離モータ
94a 接離出力ギヤ
95 コロ支持ホルダ
95a コロ揺動レバー
96 コロ上昇バネ
100 トレイ上用紙位置検出センサ
101 撮像部
102 光源部
103 押えシート支持軸
104 用紙押えシート
105 一端
106 他端
107 連結リンク
108 撮像部リンク
110 撮像部退避機構
111 退避用モータ
112 センサアーム
120 ピックアップローラ機構
121 ピックアップローラ
122 ピックアップホルダ
123 ピックアップ揺動軸
150 コロ機構
151 コロ揺動リンク
152 コロ揺動軸
153 コロ当接スプリング
154 第一従動節
155 第二従動節
156 固定節
159 センサ係止部
200 制御部
300 給紙装置
301 給紙トレイ
302 底板
303 エンドフェンス
304 給紙コロ
305 分離パッド
306 底板上昇バネ
P 用紙
P0 積載用紙
P0e 積載後端面
P1 移動用紙
P1e 移動後端面
T トナー像
【先行技術文献】
【特許文献】
【0115】
【文献】特開2017-39566号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14