(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】融着接続機
(51)【国際特許分類】
G02B 6/255 20060101AFI20220401BHJP
G06F 3/0488 20220101ALI20220401BHJP
G06F 3/04817 20220101ALI20220401BHJP
【FI】
G02B6/255
G06F3/0488
G06F3/0481 170
(21)【出願番号】P 2018221043
(22)【出願日】2018-11-27
【審査請求日】2020-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】細井 英昭
(72)【発明者】
【氏名】服部 真樹
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 裕之
【審査官】奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-225906(JP,A)
【文献】特開2006-047817(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0238298(US,A1)
【文献】特開2005-153684(JP,A)
【文献】特開2013-191231(JP,A)
【文献】特開2010-173374(JP,A)
【文献】特開2017-174029(JP,A)
【文献】特開2017-146981(JP,A)
【文献】中国実用新案第207882492(CN,U)
【文献】特開2012-060215(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0113595(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0114371(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/24
G02B 6/255-6/27
G02B 6/30- 6/34
G02B 6/36- 6/43
G06F 3/01
G06F 3/048-3/0489
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
融着接続の対象とする一対の光ファイバの位置合わせを行うための複数の駆動部と、
前記一対の光ファイバの前記位置合わせが行われる所定空間を、互いに異なる複数の方向から撮像する複数の撮像部と、
前記複数の駆動部の中から動作させる駆動部を選択するための選択アイコンを表示するとともに、前記複数の駆動部を各々操作するための複数の操作アイコンを切換可能に表示し、表示画面の押下に応じた信号を出力するタッチパネルと、
前記選択アイコンの押下に応じて前記タッチパネルから出力された信号に基づいて、前記複数の駆動部の中から動作させる駆動部を選択し、前記タッチパネルを、前記複数の操作アイコンのうちの選択した前記駆動部を操作するための操作アイコンと前記複数の撮像部の少なくとも一つによって撮像された
前記所定空間の画像とを重畳して表示
し且つ前記一対の光ファイバのうち前記所定空間の内部に位置する光ファイバの画像と前記操作アイコンとを重畳せずに表示するように制御し、選択した前記駆動部の動作を、前記操作アイコンの押下に応じて前記タッチパネルから出力された信号に基づいて制御する制御部と、
を備え、
前記複数の駆動部には、前記一対の光ファイバの周方向における回転位置を調整する回転調心を行うための回転駆動部が含まれ、
前記タッチパネルは、前記回転調心を操作するための操作画面に、前記回転駆動部を操作するための前記操作アイコンを、前記回転駆動部の作用によって回転する前記光ファイバの回転方向を示す矢印を付した態様で、前記光ファイバの画像の上下に離して表示し、
前記タッチパネルに前記操作アイコンと前記複数の撮像部の少なくとも一つによって撮像された画像とを重畳して表示させることにより、前記一対の光ファイバの各位置を視認しながら、動作させる前記駆動部を前記操作アイコンの押下で操作できるようにして、前記一対の光ファイバの前記位置合わせを可能にすることを特徴とする融着接続機。
【請求項2】
前記一対の光ファイバの各々を解除可能にクランプするクランプ部をさらに備え、
前記タッチパネルは、前記回転調心を操作するための操作画面に、前記クランプ部を操作するためのクランプ操作アイコンをさらに表示し、
前記制御部は、前記クランプ操作アイコンの押下に応じて前記タッチパネルから出力された信号に基づいて、前記一対の光ファイバのクランプを解除するように前記クランプ部を制御することを特徴とする請求項1に記載の融着接続機。
【請求項3】
前記制御部は、前記選択アイコンが押下される都度、動作させる前記駆動部を前記複数の駆動部の中から切り換えて選択し、前記タッチパネルを、選択した前記駆動部を操作するための前記操作アイコンを前記複数の操作アイコンの中から切り換えて表示するように制御することを特徴とする請求項1
または2に記載の融着接続機。
【請求項4】
前記制御部は、前記選択アイコンが押下される都度、動作させる前記駆動部を、前記複数の駆動部の中から所定順序で繰り返すように切り換えて選択し、前記駆動部の選択と同じ前記所定順序で、表示する前記操作アイコンを切り換えるように前記タッチパネルを制御することを特徴とする請求項
3に記載の融着接続機。
【請求項5】
前記制御部は、選択した前記駆動部の作用を示す態様で前記操作アイコンを表示するように前記タッチパネルを制御することを特徴とする請求項1~
4のいずれか一つに記載の融着接続機。
【請求項6】
前記タッチパネルは、前記複数の撮像部によって撮像された画像を表示している表示画面の画像領域が押下された場合、前記画像領域の押下に応じて信号を出力し、
前記制御部は、前記画像領域の押下に応じて前記タッチパネルから出力された信号に基づいて、1倍以上、所定値以下の拡大倍率範囲内で前記画像を表示するように前記タッチパネルを制御することを特徴とする請求項1~
5のいずれか一つに記載の融着接続機。
【請求項7】
前記複数の駆動部には、前記一対の光ファイバの長手方向の位置を調整するための搬送駆動部と、前記一対の光ファイバの径方向の位置を調整するための径方向駆動部と、前記一対の光ファイバの周方向における回転位置を調整するための回転駆動部と、前記複数の撮像部のフォーカスを調整するためのフォーカス駆動部とが含まれることを特徴とする請求項1~
6のいずれか一つに記載の融着接続機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ同士を融着接続する融着接続機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光ファイバ同士の融着接続に用いられる融着接続機が公知である(特許文献1参照)。例えば、特許文献1に記載の融着接続機は、装置本体の上面に、一対の光ファイバ同士を位置合わせして融着接続するための融着接続機構を備え、装置本体の正面(当該融着接続機構よりも手前側(ユーザ側))に、表示モニタ及び複数の操作ボタン(物理キー)を備えている。
【0003】
このような融着接続機では、ユーザが、融着接続の対象として融着接続機構にセットされた一対の光ファイバを表示モニタによって視認しながら、複数の操作ボタンを適宜操作(押下)し、これにより、当該一対の光ファイバの位置合わせから融着接続までの一連の作業が手動操作で行えるようになっている。
【0004】
なお、融着接続の対象とする一対の光ファイバの位置合わせとしては、例えば、各光ファイバの端面同士の各位置を光ファイバ長手方向(コア軸方向)について調整する端面位置調整、各光ファイバの径方向についてコア軸の位置を調整する調心、各光ファイバの周方向における回転位置を調整する回転調心等が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の融着接続機では、融着接続すべく一対の光ファイバを位置合わせするための手動操作に必要な操作ボタンの押下回数(操作回数)が多くなるのみならず、各光ファイバの端面位置調整や回転調心等、たとえ作業内容が相異する手動操作であっても、同じ操作ボタンを何回も押下する場合がある。
【0007】
例えば、一対の光ファイバを回転調心するための手動操作を例示すると、この手動操作では、一対の光ファイバのうち、一方の光ファイバの回転調心を手動操作するために複数の操作ボタンを押下し、その後、他方の光ファイバの回転調心を手動操作するために、これら複数の操作ボタンを押下することとなる。
【0008】
すなわち、
図8に示すように、先ず、融着接続機の表示モニタ201に表示された上段タブ群202の中から、対象とする一方(
図8では左側)の光ファイバ「Fiber L」を操作ボタンの押下によって選択する。つぎに、操作ボタンの押下によって選択対象を上段タブ群202から下段タブ群203に切り換えたうえで、下段タブ群203の中から、対象とする作業である回転調心「Rotate」を操作ボタンの押下によって選択する。その後、表示モニタによって左側の光ファイバを視認しながら、上下ボタン等の複数の操作ボタンを押下して、左側の光ファイバを長手方向の軸を中心に時計回り又は反時計回りに回転させ、これにより、左側の光ファイバの回転調心を行う。また、他方(
図8では右側)の光ファイバの回転調心を行う場合は、上記の状態から、エスケープボタン等の操作ボタンを複数回押下して、上段タブ群202を選択対象とする状態に戻し、その後、上記左側の光ファイバと同様の操作ボタンの押下を繰り返す。
【0009】
このように、従来の融着接続機では、一対の光ファイバを位置合わせするための手動操作に必要な操作ボタンの押下が煩雑になることから、一対の光ファイバの位置合わせから融着接続までの一連の作業に多大な手間がかかるという問題がある。
【0010】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、融着接続の対象とする一対の光ファイバの位置合わせの作業を簡易且つ短時間に手動操作することができる融着接続機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る融着接続機は、融着接続の対象とする一対の光ファイバの位置合わせを行うための複数の駆動部と、前記一対の光ファイバの前記位置合わせが行われる所定空間を、互いに異なる複数の方向から撮像する複数の撮像部と、前記複数の駆動部の中から動作させる駆動部を選択するための選択アイコンを表示するとともに、前記複数の駆動部を各々操作するための複数の操作アイコンを切換可能に表示し、表示画面の押下の位置及び長さに応じた信号を出力するタッチパネルと、前記選択アイコンの押下に応じて前記タッチパネルから出力された信号に基づいて、前記複数の駆動部の中から動作させる駆動部を選択し、前記タッチパネルを、前記複数の操作アイコンのうちの選択した前記駆動部を操作するための操作アイコンを表示するとともに、前記複数の撮像部によって撮像された画像を表示するように制御し、選択した前記駆動部の動作を、前記操作アイコンの押下に応じて前記タッチパネルから出力された信号に基づいて制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る融着接続機は、上記の発明において、前記制御部は、前記選択アイコンが押下される都度、動作させる前記駆動部を前記複数の駆動部の中から切り換えて選択し、前記タッチパネルを、選択した前記駆動部を操作するための前記操作アイコンを前記複数の操作アイコンの中から切り換えて表示するように制御することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る融着接続機は、上記の発明において、前記制御部は、前記選択アイコンが押下される都度、動作させる前記駆動部を、前記複数の駆動部の中から所定順序で繰り返すように切り換えて選択し、前記駆動部の選択と同じ前記所定順序で、表示する前記操作アイコンを切り換えるように前記タッチパネルを制御することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る融着接続機は、上記の発明において、前記制御部は、選択した前記駆動部の作用を示す態様で前記操作アイコンを表示するように前記タッチパネルを制御することを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る融着接続機は、上記の発明において、前記制御部は、前記操作アイコンと前記複数の撮像部の少なくとも一つによって撮像された画像とを重畳して表示するように前記タッチパネルを制御することを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る融着接続機は、上記の発明において、前記タッチパネルは、前記複数の撮像部によって撮像された画像を表示している表示画面の画像領域が押下された場合、前記画像領域の押下に応じて信号を出力し、前記制御部は、前記画像領域の押下に応じて前記タッチパネルから出力された信号に基づいて、1倍以上、所定値以下の拡大倍率範囲内で前記画像を表示するように前記タッチパネルを制御することを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る融着接続機は、上記の発明において、前記複数の駆動部には、前記一対の光ファイバの長手方向の位置を調整するための搬送駆動部と、前記一対の光ファイバの径方向の位置を調整するための径方向駆動部と、前記一対の光ファイバの周方向における回転位置を調整するための回転駆動部と、前記複数の撮像部のフォーカスを調整するためのフォーカス駆動部とが含まれることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、融着接続の対象とする一対の光ファイバの位置合わせの作業を簡易且つ短時間に手動操作することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る融着接続機の一構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る融着接続機における一対の光ファイバの長手方向及び径方向の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態におけるタッチパネルが表示する搬送操作画面の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態におけるタッチパネルが表示する径方向調心操作画面の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態におけるタッチパネルが表示するフォーカス調整操作画面の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態におけるタッチパネルが表示する回転調心操作画面の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態におけるタッチパネルが表示する手動融着操作画面の切り換えの一例を説明する図である。
【
図8】
図8は、従来の融着接続機の操作ボタンを用いた手動操作の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面を参照して本発明に係る融着接続機の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0021】
(融着接続機の構成)
まず、本発明の実施形態に係る融着接続機の構成について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る融着接続機の一構成例を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係る融着接続機1は、融着接続の対象とする一対の光ファイバF1、F2を位置合わせできるように融着接続機1にセットするためのホルダ2a、2b、可動ステージ3a、3b及び光ファイバクランプ4a、4bと、これらの光ファイバF1、F2同士を融着接続するための放電部5a、5b及び放電制御部6と、を備える。また、融着接続機1は、これらの光ファイバF1、F2の位置合わせや融着接続等の操作に必要な画像(映像)を得るための第1撮像部7a及び第2撮像部7bと、画像処理部8とを備える。また、融着接続機1は、融着接続の対象とする一対の光ファイバF1、F2の位置合わせを行うための複数の駆動部の一例として、光ファイバF1、F2の長手方向の位置を調整するための搬送駆動部9a、9bと、光ファイバF1、F2の径方向の位置を調整するための第1径方向駆動部10及び第2径方向駆動部11と、光ファイバF1、F2の周方向における回転位置を調整するための回転駆動部12a、12bと、第1撮像部7a及び第2撮像部7bのフォーカスを調整するための第1フォーカス駆動部13a及び第2フォーカス駆動部13bとを備える。さらに、融着接続機1は、これらの光ファイバF1、F2の位置合わせや融着接続等の融着接続機1の各種動作を操作するためのタッチパネル14と、融着接続機1の各構成部を制御するための制御部15とを備える。
【0022】
本実施形態では、融着接続の対象とする一対の光ファイバF1、F2の位置合わせとして、各光ファイバF1、F2の端面同士の各位置を光ファイバ長手方向(コア軸方向)について調整する端面位置調整、各光ファイバF1、F2の径方向についてコア軸の位置を調整する調心、各光ファイバF1、F2の周方向における回転位置を調整する回転調心、各光ファイバF1、F2の径方向からの撮像のフォーカスを調整するフォーカス調整を例示する。
【0023】
ホルダ2a、2bは、融着接続機1にセットする一対の光ファイバF1、F2を各々把持するものである。特に詳細な構造は図示しないが、ホルダ2a、2bは、例えば、V溝等を備える土台部、この土台部に対して開閉可能な蓋部等によって各々構成される。本実施形態において、ホルダ2aは、先端側の被覆が剥がされてガラス部分を露出させた状態の光ファイバF1を、一端からガラス部分を延出させ且つ他端から被覆部分を延出させた状態で蓋部と土台部のV溝とによって挟むようにして、把持する。ホルダ2bは、このホルダ2aと同様に、先端側の被覆が剥がされてガラス部分を露出させた状態の光ファイバF2を把持する。
【0024】
なお、光ファイバF1、F2において、先端側は、互いに融着接続されるガラス部分の端面側である。この先端側とは反対の端面(被覆部分の端面)側は、基端側とする。また、光ファイバF1、F2のガラス部分は、被覆が剥がされた光ファイバ部分、すなわち、コア部と当該コア部の外周に形成されたクラッド部とからなるガラス部分である。
【0025】
可動ステージ3a、3bは、光ファイバF1、F2の位置合わせのために移動及び回転させる可動なステージである。本実施形態において、可動ステージ3aには、例えば
図1に示すように、光ファイバF1を保持した状態のホルダ2aが、光ファイバF1の先端側のガラス部分を放電部5a、5b側へ向けるように取り付けられる。可動ステージ3aは、後述する搬送駆動部9a、第1径方向駆動部10、第2径方向駆動部11又は回転駆動部12aの作用により、光ファイバF1の長手方向又は径方向に移動し、或いは、光ファイバF1の長手方向の軸(コア軸)を中心にして回転する。一方、可動ステージ3bには、例えば
図1に示すように、光ファイバF2を保持した状態のホルダ2bが、光ファイバF2の先端側のガラス部分を放電部5a、5b側へ向けるように取り付けられる。可動ステージ3bは、後述する搬送駆動部9b又は回転駆動部12bの作用により、光ファイバF2の長手方向に移動し、或いは、光ファイバF2のコア軸を中心にして回転する。
【0026】
ここで、光ファイバF1、F2の各ホルダ2a、2bが上述したように可動ステージ3a、3bに各々取り付けられることにより、融着接続機1における光ファイバF1、F2の長手方向及び径方向が設定される。
図2は、本実施形態に係る融着接続機における一対の光ファイバの長手方向及び径方向の一例を示す図である。本実施形態では、
図2に示すように、光ファイバF1、F2の長手方向としてZ軸方向が設定される。Z軸は、XYZの3軸直交座標系の一軸であり、光ファイバF1、F2の各コア軸に対して平行な軸である。また、光ファイバF1、F2については、互いに異なる複数(本実施形態では2つ)の径方向が設定される。例えば、
図2に示すように、光ファイバF1、F2の径方向としてX軸方向及びY軸方向が設定される。X軸及びY軸は、各々、XYZの3軸直交座標系の一軸である。X軸は、光ファイバF1、F2の互いに異なる第1径方向及び第2径方向のうち、第1径方向に対して平行な軸であり、Y軸は、第2径方向に対して平行な軸である。すなわち、本実施形態において、光ファイバF1、F2の第1径方向及び第2径方向は、互いに垂直な径方向である。
【0027】
また、本実施形態では、説明の便宜上、
図1に示すように放電部5a、5bを境にして、右側に設けられた可動ステージ3a上のホルダ2aの光ファイバF1は「右側の光ファイバ」とし、左側に設けられた可動ステージ3b上のホルダ2bの光ファイバF2は「左側の光ファイバ」とする。
【0028】
一方、光ファイバクランプ4a、4bは、光ファイバF1、F2の各ガラス部分の位置を可動ステージ3a、3bに対して各々相対的に固定するためのものである。
図1に示すように、光ファイバクランプ4aは、右側の可動ステージ3a上に取り付けられたホルダ2aから先端側に延出する光ファイバF1のガラス部分を、可動ステージ3aに対して解除可能に留める。これにより、光ファイバクランプ4aは、右側の光ファイバF1のガラス部分の位置を可動ステージ3aに対して相対的に固定する。また、光ファイバクランプ4bは、左側の可動ステージ3b上に取り付けられたホルダ2bから先端側に延出する光ファイバF2のガラス部分を、可動ステージ3bに対して解除可能に留める。これにより、光ファイバクランプ4bは、左側の光ファイバF2のガラス部分の位置を可動ステージ3bに対して相対的に固定する。
【0029】
放電部5a、5bは、融着接続の対象とする光ファイバF1、F2の各ガラス部分に対して放電するためのものである。
図1に示すように、放電部5a、5bは、右側の可動ステージ3a上のホルダ2aと左側の可動ステージ3b上のホルダ2bとが対向する方向に対して垂直な方向に対向するように、これらの可動ステージ3a、3b間に配置される。放電部5a、5bは、可動ステージ3a、3b上のホルダ2a、2bから各々延出する光ファイバF1、F2の各ガラス部分に対して、光ファイバF1、F2の径方向から放電する。この放電の強さの違いにより、光ファイバF1、F2の各ガラス部分(先端部分)は、クリーニング又は融着接続される。
【0030】
放電制御部6は、放電部5a、5bによる放電の電流量等を制御するものである。放電制御部6は、後述する制御部15の制御に基づいて、放電部5a、5bに給電する放電電流及び印加する放電電圧の少なくとも一つの値を変化させ、これにより、放電部5a、5bから光ファイバF1、F2の各ガラス部分に加えられる放電のエネルギー量を制御する。例えば、放電制御部6は、光ファイバF1、F2の各ガラス部分を放電によってクリーニングする場合、このクリーニングに適したエネルギー量の放電(以下、クリーニング放電と適宜いう)を放電部5a、5bに行わせる。また、放電制御部6は、光ファイバF1、F2の各ガラス部分の端面同士を放電によって融着接続する場合、この融着接続に必要なエネルギー量の放電(以下、本放電と適宜いう)を放電部5a、5bに行わせる。
【0031】
第1撮像部7a及び第2撮像部7bは、融着接続の対象とする一対の光ファイバF1、F2の位置合わせが行われる調整空間19を、互いに異なる複数の方向から撮像する複数の撮像部の一例である。第1撮像部7aは、例えば
図2に示すY軸方向を光軸方向とする光源及び撮像素子等によって構成され、可動ステージ3a、3b間の調整空間19を撮像視野内に捉えるように配置される。なお、調整空間19は、融着接続の対象とする一対の光ファイバF1、F2の位置合わせが行われる所定空間である。第1撮像部7aは、Y軸方向から調整空間19の画像を撮像する。光ファイバF1、F2の少なくとも一つが調整空間19の内部に搬送された場合、第1撮像部7aは、光ファイバF1、F2のうち、調整空間19の内部に位置する光ファイバを、この光ファイバの径方向(この場合は光軸方向であるY軸方向)から撮像する。これにより、第1撮像部7aは、光軸方向に対して垂直な径方向(X軸方向)について、この光ファイバの輝度分布を示す第1径方向画像を撮像する。この場合、第1撮像部7aによって撮像された調整空間19の画像には、調整空間19内の光ファイバの第1径方向画像が含まれる。第1撮像部7aは、調整空間19の画像を撮像する都度、この調整空間19の画像データを画像処理部8に送信する。第2撮像部7bは、例えば
図2に示すX軸方向を光軸方向とする光源及び撮像素子等によって構成され、可動ステージ3a、3b間の調整空間19を撮像視野内に捉えるように配置される。第2撮像部7bは、X軸方向から調整空間19の画像を撮像する。光ファイバF1、F2の少なくとも一つが調整空間19の内部に搬送された場合、第2撮像部7bは、光ファイバF1、F2のうち、調整空間19の内部に位置する光ファイバを、この光ファイバの径方向(この場合は光軸方向であるX軸方向)から撮像する。これにより、第2撮像部7bは、光軸方向に対して垂直な径方向(Y軸方向)について、この光ファイバの輝度分布を示す第2径方向画像を撮像する。この場合、第2撮像部7bによって撮像された調整空間19の画像には、調整空間19内の光ファイバの第2径方向画像が含まれる。第2撮像部7bは、調整空間19の画像を撮像する都度、この調整空間19の画像データを画像処理部8に送信する。
【0032】
画像処理部8は、第1撮像部7a及び第2撮像部7bによって互いに異なる方向から撮像された調整空間19の各画像の画像データに対する各種画像処理を行うものである。詳細には、画像処理部8は、第1撮像部7aから画像データを受信し、受信した画像データに対して所定の画像処理を行う。これにより、画像処理部8は、例えば、縦方向をX軸方向とし且つ横方向をZ軸方向とする調整空間19の画像を構築する。光ファイバF1、F2の少なくとも一つが調整空間19内に位置する場合、この調整空間19の画像には、調整空間19内の光ファイバの第1径方向画像が含まれる。この第1径方向画像は、調整空間19内に位置する光ファイバ(例えば光ファイバF1、F2)のX軸方向の輝度分布を示す画像であり、この光ファイバのコア部とクラッド部とをX軸方向(第1径方向)の位置に対する輝度の違いによって視覚的に区別し得る画像である。また、画像処理部8は、第2撮像部7bから画像データを受信し、受信した画像データに対して所定の画像処理を行う。これにより、画像処理部8は、例えば、縦方向をY軸方向とし且つ横方向をZ軸方向とする調整空間19の画像を構築する。光ファイバF1、F2の少なくとも一つが調整空間19内に位置する場合、この調整空間19の画像には、調整空間19内の光ファイバの第2径方向画像が含まれる。この第2径方向画像は、調整空間19内に位置する光ファイバ(例えば光ファイバF1、F2)のY軸方向の輝度分布を示す画像であり、この光ファイバのコア部とクラッド部とをY軸方向(第2径方向)の位置に対する輝度の違いによって視覚的に区別し得る画像である。画像処理部8は、上記のように構築した調整空間19の各画像の画像信号を時系列に沿ってタッチパネル14に順次送信する。
【0033】
搬送駆動部9a、9bは、融着接続の対象とする一対の光ファイバF1、F2の位置合わせの一例としての端面位置調整を行うための駆動部である。詳細には、搬送駆動部9aは、モータ等によって構成され、モータの駆動力によって右側の可動ステージ3aをZ軸方向に移動(
図2に示すZ軸の太線矢印参照)させ得るように設けられる。搬送駆動部9aは、Z軸方向への可動ステージ3aの移動を通じて、可動ステージ3a上の右側の光ファイバF1を、光ファイバF1の長手方向に搬送する。このような搬送駆動部9aは、右側の光ファイバF1の端面位置調整を行うための駆動部として機能する。また、搬送駆動部9bは、モータ等によって構成され、モータの駆動力によって左側の可動ステージ3bをZ軸方向に移動させ得るように設けられる。搬送駆動部9bは、Z軸方向への可動ステージ3bの移動を通じて、可動ステージ3b上の左側の光ファイバF2を、光ファイバF2の長手方向に搬送する。このような搬送駆動部9bは、左側の光ファイバF2の端面位置調整を行うための駆動部として機能する。
【0034】
本実施形態において、搬送駆動部9aによる右側の光ファイバF1の端面位置調整には、調整空間19の内部へ光ファイバF1のガラス部分を搬送することと、調整空間19の内部に搬送した光ファイバF1のガラス部分の端面位置をZ軸方向について調整することとが含まれる。また、搬送駆動部9bによる左側の光ファイバF2の端面位置調整には、調整空間19の内部へ光ファイバF2のガラス部分を搬送することと、調整空間19の内部に搬送した光ファイバF2のガラス部分の端面位置をZ軸方向について調整することとが含まれる。
【0035】
第1径方向駆動部10及び第2径方向駆動部11は、融着接続の対象とする一対の光ファイバF1、F2の位置合わせの一例としての調心を行うための駆動部である。詳細には、第1径方向駆動部10は、モータ等によって構成され、モータの駆動力によって右側の可動ステージ3aをX軸方向に移動(
図2に示すX軸の太線矢印参照)させ得るように設けられる。第1径方向駆動部10は、X軸方向への可動ステージ3aの移動を通じて、可動ステージ3a上の右側の光ファイバF1を、光ファイバF1の第1径方向に移動させる。このような第1径方向駆動部10は、右側の光ファイバF1のコア軸を第1径方向(X軸方向)について左側の光ファイバF2のコア軸に合わせることにより、これらの光ファイバF1、F2の各コア軸を合わせる調心(第1径方向の調心)を行うための駆動部として機能する。また、第2径方向駆動部11は、モータ等によって構成され、モータの駆動力によって右側の可動ステージ3aをY軸方向に移動(
図2に示すY軸の太線矢印参照)させ得るように設けられる。第2径方向駆動部11は、Y軸方向への可動ステージ3aの移動を通じて、可動ステージ3a上の右側の光ファイバF1を、光ファイバF1の第2径方向に移動させる。このような第2径方向駆動部11は、右側の光ファイバF1のコア軸を第2径方向(Y軸方向)について左側の光ファイバF2のコア軸に合わせることにより、これらの光ファイバF1、F2の各コア軸を合わせる調心(第2径方向の調心)を行うための駆動部として機能する。
【0036】
回転駆動部12a、12bは、融着接続の対象とする一対の光ファイバF1、F2の位置合わせの一例としての回転調心を行うための駆動部である。詳細には、回転駆動部12aは、モータ等によって構成され、モータの駆動力によって右側の可動ステージ3aを、Z軸を中心として時計回り又は反時計回りに回転(
図2に示すZ軸の実線矢印参照)させ得るように設けられる。回転駆動部12aは、Z軸を中心とする可動ステージ3aの回転を通じて、可動ステージ3a上の右側の光ファイバF1を、光ファイバF1の長手方向の中心軸回りに回転させる。また、回転駆動部12bは、モータ等によって構成され、モータの駆動力によって左側の可動ステージ3bを、Z軸を中心として時計回り又は反時計回りに回転させ得るように設けられる。回転駆動部12bは、Z軸を中心とする可動ステージ3bの回転を通じて、可動ステージ3b上の左側の光ファイバF2を、光ファイバF2の長手方向の中心軸回りに回転させる。これらの回転駆動部12a、12bは、左右両側の光ファイバF1、F2の周方向における各回転位置を互いに合わせる回転調心を行うための駆動部として機能する。
【0037】
第1フォーカス駆動部13a及び第2フォーカス駆動部13bは、融着接続の対象とする一対の光ファイバF1、F2の位置合わせの一例としてのフォーカス調整を行うための駆動部である。詳細には、第1フォーカス駆動部13aは、モータ等によって構成され、モータの駆動力によって第1撮像部7aの撮像素子(図示せず)を調整空間19内の光ファイバF1、F2に対して近接または離間させる方向に移動させ得るように設けられる。第1フォーカス駆動部13aは、この撮像素子の移動を通じて、第1撮像部7aのフォーカスを調整する。このような第1フォーカス駆動部13aは、調整空間19内に位置する光ファイバF1、F2の第1径方向画像を撮像する際のフォーカス調整を行うための駆動部として機能する。第2フォーカス駆動部13bは、モータ等によって構成され、モータの駆動力によって第2撮像部7bの撮像素子(図示せず)を調整空間19内の光ファイバF1、F2に対して近接または離間させる方向に移動させ得るように設けられる。第2フォーカス駆動部13bは、この撮像素子の移動を通じて、第2撮像部7bのフォーカスを調整する。このような第2フォーカス駆動部13bは、調整空間19内に位置する光ファイバF1、F2の第2径方向画像を撮像する際のフォーカス調整を行うための駆動部として機能する。
【0038】
タッチパネル14は、アイコンや画像等を表示する機能と、表示画面の押下に応じて各種操作のための信号を出力する機能とを兼ね備えるものである。
図1に示すように、タッチパネル14は、表示画面内の所定位置(本実施形態では表示画面の右端の位置)に、エスケープアイコン141と、選択アイコン142と、ファンクションアイコン144と、及び放電アイコン145とを表示する。エスケープアイコン141は、融着接続の対象とする一対の光ファイバF1、F2の位置合わせや融着接続等を手動操作するための操作画面(以下、手動融着操作画面と適宜いう)から抜けるためのアイコンである。選択アイコン142は、上記光ファイバF1、F2の位置合わせを行うための複数の駆動部の中から動作させる駆動部を選択するためのアイコンである。ファンクションアイコン144は、駆動部の動作量の設定変更等、各種機能を呼び出すためのアイコンである。放電アイコン145は、クリーニング放電や本放電等、光ファイバF1、F2に対する各種放電を行うためのアイコンである。また、タッチパネル14は、
図1に示すように、選択アイコン142の上部に作用表示領域143を有する。作用表示領域143は、選択アイコン142の押下に応じて選択された駆動部の作用を示す文字等の情報を表示する領域である。
【0039】
また、
図1に示すように、タッチパネル14は、表示画面内の所定位置(本実施形態では選択アイコン142等のアイコン群よりも左側の位置)に、第1画像領域146と第2画像領域147とを有する。第1画像領域146は、第1撮像部7aによって撮像された画像、すなわち、上述した光ファイバの第1径方向画像を含む場合がある調整空間19の画像を表示するための領域である。この第1画像領域146には、第1径方向画像として表示される光ファイバの径方向がX軸方向であることを示す文字情報「X」が表示されている。第2画像領域147は、第2撮像部7bによって撮像された画像、すなわち、上述した光ファイバの第2径方向画像を含む場合がある調整空間19の画像を表示するための領域である。この第2画像領域147には、第2径方向画像として表示される光ファイバの径方向がY軸方向であることを示す文字情報「Y」が表示されている。これらの第1画像領域146及び第2画像領域147は、例えば
図1に示すように、タッチパネル14の表示画面に向かって左右方向に隣り合って並んでいる。本実施形態では、第1画像領域146が左側であり、第2画像領域147が右側である。また、これらの第1画像領域146及び第2画像領域147には、
図1に示すように、セットライン148が各々表示される。セットライン148は、光ファイバF1、F2の融着接続に適した各先端面の位置を示すラインである。
【0040】
特に
図1には図示されていないが、タッチパネル14は、上述した選択アイコン142を表示するとともに、融着接続の対象とする一対の光ファイバF1、F2の位置合わせを行う際に適宜動作させる複数の駆動部を各々操作するための複数の操作アイコンを、例えば第1画像領域146及び第2画像領域147の内部に切換可能に表示する。タッチパネル14は、上述したように各種アイコンや画像等を表示する表示画面の押下の位置及び長さに応じた信号を、制御部15に対して出力する。
【0041】
制御部15は、融着接続機1の各構成部を制御するものである。例えば、制御部15は、タッチパネル14から出力された信号に基づいて、タッチパネル14の表示と、融着接続の対象とする一対の光ファイバF1、F2の位置合わせを行うための複数の駆動部の動作とを制御する。この際、制御部15は、選択アイコン142の押下に応じてタッチパネル14から出力された信号に基づいて、これら複数の駆動部の中から動作させる駆動部を選択する。そして、制御部15は、これら複数の駆動部に対応する複数の操作アイコンのうち、この選択した駆動部を操作するための操作アイコンを表示するように、タッチパネル14を制御する。これととともに、制御部15は、第1撮像部7aによって撮像された画像と第2撮像部7bによって撮像された画像とを表示するように、タッチパネル14を制御する。また、制御部15は、この表示中の操作アイコンの押下に応じてタッチパネル14から出力された信号に基づいて、上記のように選択した駆動部の動作を制御する。なお、本実施形態において、これら複数の駆動部は、
図1に示す搬送駆動部9a、9b、第1径方向駆動部10、第2径方向駆動部11、回転駆動部12a、12b、第1フォーカス駆動部13a、及び第2フォーカス駆動部13bである。
【0042】
また、制御部15は、ファンクションアイコン144の押下に応じてタッチパネル14から出力された信号に基づいて、駆動部の動作量の設定変更等、各種機能の選択画面を表示するように、タッチパネル14を制御する。制御部15は、この選択画面の押下に応じてタッチパネル14から出力された信号に基づいて、例えば、対象とする駆動部の、1回の操作での動作量を変更する。また、制御部15は、放電アイコン145の押下に応じてタッチパネル14から出力された信号に基づいて、放電モードの選択画面を表示するように、タッチパネル14を制御する。例えば、この選択画面の中から「クリーニング放電」が選択された場合、この選択(選択画面の押下)に応じてタッチパネル14から出力された信号に基づいて、放電部5a、5bにクリーニング放電を行わせるように放電制御部6を制御する。この選択画面の中から「本放電」が選択された場合、この選択(選択画面の押下)に応じてタッチパネル14から出力された信号に基づいて、放電部5a、5bに融着接続のための本放電を行わせるように放電制御部6を制御する。また、制御部15は、エスケープアイコン141の押下に応じてタッチパネル14から出力された信号に基づいて、手動融着操作画面から抜けて所定の初期画面を表示するように、タッチパネル14を制御する。この初期画面としては、例えば、手動融着操作画面への移行の選択肢を含むメニュー画面等が挙げられる。
【0043】
(手動融着操作画面)
つぎに、本発明の実施形態に係る融着接続機1の手動融着操作画面について説明する。融着接続機1の手動融着操作画面は、融着接続の対象とする一対の光ファイバF1、F2の位置合わせや融着接続等の動作を手動操作するための操作画面である。タッチパネル14は、これらの光ファイバF1、F2の位置合わせを行う際に適宜動作させる複数の駆動部を各々操作するための複数の操作アイコンを、手動融着操作画面内に切換可能に表示する。タッチパネル14は、これら複数の操作アイコンの中から手動融着操作画面内に表示する操作アイコンを切り換えることにより、手動融着操作画面を、搬送操作画面、径方向調心操作画面、フォーカス調整操作画面、又は回転調心操作画面として表示する。
【0044】
図3は、本発明の実施形態におけるタッチパネルが表示する搬送操作画面の一例を示す図である。本実施形態において、搬送操作画面は、融着接続の対象とする一対の光ファイバF1、F2の搬送による端面位置調整を操作するための手動融着操作画面である。
図3に示すように、タッチパネル14は、搬送操作画面内に、上述したエスケープアイコン141と、選択アイコン142と、ファンクションアイコン144と、放電アイコン145とを表示している。また、タッチパネル14は、搬送操作画面内に、上述した作用表示領域143と、第1画像領域146と、第2画像領域147とを有する。タッチパネル14は、作用表示領域143に、光ファイバF1、F2の端面位置調整を行うための駆動部である搬送駆動部9a、9bの作用(光ファイバF1、F2のZ軸方向の搬送)を示す文字情報「Feed」を表示する。第1画像領域146及び第2画像領域147には、上述したセットライン148が各々表示されている。
【0045】
また、
図3に示すように、タッチパネル14は、搬送操作画面のうち、第1画像領域146に、第1撮像部7aによって撮像された調整空間19の画像を表示し、第2画像領域147に、第2撮像部7bによって撮像された調整空間19の画像を表示する。第1画像領域146に表示される画像には、調整空間19内に位置する光ファイバF1、F2の第1径方向画像が含まれる。第2画像領域147に表示される画像には、調整空間19内に位置する光ファイバF1、F2の第2径方向画像が含まれる。第1径方向画像は、上述したように光ファイバF1、F2のX軸方向の輝度分布を示す画像である。第2径方向画像は、上述したように光ファイバF1、F2のY軸方向の輝度分布を示す画像である。これらの第1径方向画像及び第2径方向画像は、例えば
図3に示すように、輝度の違いによってコア部Faとクラッド部Fbとを視覚的に区別し得る画像である。
【0046】
さらに、タッチパネル14は、搬送操作画面内に、右側の光ファイバF1をZ軸方向(長手方向)に搬送する搬送駆動部9aを操作するための搬送操作アイコン151a、152aと、左側の光ファイバF2をZ軸方向に搬送する搬送駆動部9bを操作するための搬送操作アイコン151b、152bとを表示する。本実施形態において、上述した制御部15は、搬送操作アイコン151a、152a、151b、152bと、第1撮像部7a及び第2撮像部7bの少なくとも一つによって撮像された画像とを重畳して表示するように、タッチパネル14を制御する。ここで、光ファイバF1、F2のZ軸方向の搬送動作は、X軸方向及びY軸方向の何れから見ても同様である。このため、制御部15は、搬送操作アイコン151a、152a、151b、152bと、第1撮像部7a又は第2撮像部7b(本実施形態では第1撮像部7a)によって撮像された画像とを重畳して表示するように、タッチパネル14を制御する。タッチパネル14は、この制御部15の制御に基づいて、
図3に示すように、搬送操作画面内の第1画像領域146に、搬送操作アイコン151a、152a、151b、152bと、第1撮像部7aによって撮像された画像とを重畳して表示する。この際、タッチパネル14は、右側の光ファイバF1の搬送操作に用いられる搬送操作アイコン151a、152aを、第1画像領域146のうち、右側の光ファイバF1の第1径方向画像側の位置に表示する。また、タッチパネル14は、左側の光ファイバF2の搬送操作に用いられる搬送操作アイコン151b、152bを、第1画像領域146のうち、左側の光ファイバF2の第1径方向画像側の位置に表示する。これに加え、タッチパネル14は、搬送操作アイコン151a、152a、151b、152bを、第1撮像部7aによる光ファイバF1、F2の第1径方向画像の表示を阻害しない位置に表示する。
【0047】
また、制御部15は、上述したように選択アイコン142の押下に応じて選択した駆動部(搬送操作画面の場合は搬送駆動部9a、9b)の作用を視覚的に示す態様で操作アイコンを表示するように、タッチパネル14を制御する。タッチパネル14は、この制御部15の制御に基づいて、
図3に示すように、搬送駆動部9a、9bの作用(すなわち光ファイバF1、F2のZ軸方向の搬送)を視覚的に示す態様で、搬送操作アイコン151a、152a、151b、152bを表示する。詳細には、タッチパネル14は、搬送駆動部9aを操作するための搬送操作アイコン151a、152aを、搬送駆動部9aの作用によって搬送される右側の光ファイバF1の搬送方向を示す矢印を付した態様で表示する。また、タッチパネル14は、搬送駆動部9bを操作するための搬送操作アイコン151b、152bを、搬送駆動部9bの作用によって搬送される左側の光ファイバF2の搬送方向を示す矢印を付した態様で表示する。
【0048】
また、タッチパネル14は、搬送操作画面のうち、第1撮像部7aによって撮像された画像を表示している第1画像領域146が押下された場合、この第1画像領域146の押下に応じて信号を出力する。制御部15は、この第1画像領域146の押下に応じてタッチパネル14から出力された信号に基づいて、1倍以上、所定値以下の拡大倍率範囲内で、上記第1撮像部7aによる画像を表示するようにタッチパネル14を制御する。タッチパネル14は、この制御部15の制御に基づいて、第1画像領域146内の画像(例えば光ファイバF1、F2の第1径方向画像)を、上記拡大倍率範囲内で表示する。この際、タッチパネル14は、第1画像領域146が押下される都度、制御部15の制御に基づいて、第1画像領域146内の画像を段階的又は連続的に拡大表示し、拡大倍率が上限に達した場合、第1画像領域146内の画像を1倍の表示に戻す。これと同様に、タッチパネル14は、搬送操作画面のうち、第2撮像部7bによって撮像された画像を表示している第2画像領域147が押下された場合、この第2画像領域147の押下に応じて信号を出力する。制御部15は、この第2画像領域147の押下に応じてタッチパネル14から出力された信号に基づいて、1倍以上、所定値以下の拡大倍率範囲内で、上記第2撮像部7bによる画像を表示するようにタッチパネル14を制御する。タッチパネル14は、この制御部15の制御に基づいて、第2画像領域147内の画像(例えば光ファイバF1、F2の第2径方向画像)を、上記拡大倍率範囲内で表示する。この際、タッチパネル14は、第2画像領域147が押下される都度、制御部15の制御に基づいて、第2画像領域147内の画像を段階的又は連続的に拡大表示し、拡大倍率が上限に達した場合、第2画像領域147内の画像を1倍の表示に戻す。
【0049】
タッチパネル14が
図3に示すような搬送操作画面を表示した状態において、搬送操作アイコン151aが押下された場合、制御部15は、タッチパネル14から出力された信号に基づいて、右側の光ファイバF1を先端側の方向(セットライン148に近接する方向)へ搬送するように搬送駆動部9aの動作を制御する。この搬送駆動部9aの動作量(すなわち光ファイバF1の先端側の方向への移動量)は、搬送操作アイコン151aの押下の回数及び長さによって操作することができる。また、搬送操作アイコン152aが押下された場合、制御部15は、タッチパネル14から出力された信号に基づいて、右側の光ファイバF1を基端側の方向(セットライン148から離間する方向)へ搬送するように搬送駆動部9aの動作を制御する。この搬送駆動部9bの動作量(すなわち光ファイバF1の基端側の方向への移動量)は、搬送操作アイコン152aの押下の回数及び長さによって操作することができる。一方、搬送操作アイコン151bが押下された場合、制御部15は、タッチパネル14から出力された信号に基づいて、左側の光ファイバF2を基端側の方向へ搬送するように搬送駆動部9bの動作を制御する。この搬送駆動部9bの動作量(すなわち光ファイバF2の基端側の方向への移動量)は、搬送操作アイコン151bの押下の回数及び長さによって操作することができる。また、搬送操作アイコン152bが押下された場合、制御部15は、タッチパネル14から出力された信号に基づいて、左側の光ファイバF2を先端側の方向へ搬送するように搬送駆動部9bの動作を制御する。この搬送駆動部9bの動作量(すなわち光ファイバF2の先端側の方向への移動量)は、搬送操作アイコン152bの押下の回数及び長さによって操作することができる。
【0050】
このように搬送操作アイコン151a、152a、151b、152bを適宜押下することにより、光ファイバF1、F2の各端面位置をセットライン148の位置に合わせることができる。この結果、光ファイバF1、F2のZ軸方向の各位置は、互いの端面同士を融着接続の本放電に適した距離離間させた状態となるように調整され得る。また、上記のようにタッチパネル14が搬送操作画面を表示した状態では、ファンクションアイコン144を押下する等のタッチパネル14の操作により、搬送駆動部9a、9bの、1回の操作での動作量を変更することができる。
【0051】
一方、
図4は、本発明の実施形態におけるタッチパネルが表示する径方向調心操作画面の一例を示す図である。本実施形態において、径方向調心操作画面は、融着接続の対象とする一対の光ファイバF1、F2の各コア軸の位置をその径方向(X軸方向及びY軸方向)について合わせるように調整する調心を操作するための手動融着操作画面である。
図4に示すように、タッチパネル14は、径方向調心操作画面内に、上述したエスケープアイコン141と、選択アイコン142と、ファンクションアイコン144と、放電アイコン145とを表示している。また、タッチパネル14は、径方向調心操作画面内に、上述した作用表示領域143と、第1画像領域146と、第2画像領域147とを有する。タッチパネル14は、作用表示領域143に、光ファイバF1、F2のX軸方向及びY軸方向についての調心を行うための駆動部である第1径方向駆動部10及び第2径方向駆動部11の作用(右側の光ファイバF1のX軸方向及びY軸方向の移動)を示す文字情報「X/Y Align」を表示する。
【0052】
なお、第1画像領域146及び第2画像領域147の各々における画像の表示及びセットライン148の表示は、上述した搬送操作画面の場合と同様である。また、第1画像領域146及び第2画像領域147の各々における画像の拡大表示についても、上述した搬送操作画面の場合と同様である。
【0053】
また、タッチパネル14は、径方向調心操作画面内に、右側の光ファイバF1をX軸方向(第1径方向)に移動させる第1径方向駆動部10を操作するための第1調心操作アイコン153、154と、右側の光ファイバF1をY軸方向(第2径方向)に移動させる第2径方向駆動部11を操作するための第2調心操作アイコン155、156とを表示する。本実施形態において、上述した制御部15は、第1調心操作アイコン153、154及び第2調心操作アイコン155、156と、第1撮像部7a及び第2撮像部7bの少なくとも一つによって撮像された画像とを重畳して表示するように、タッチパネル14を制御する。この際、制御部15は、第1調心操作アイコン153、154及び第2調心操作アイコン155、156と、第1撮像部7a及び第2撮像部7bによって撮像された各画像とを各々重畳して表示するように、タッチパネル14を制御する。タッチパネル14は、この制御部15の制御に基づいて、
図4に示すように、径方向調心操作画面内の第1画像領域146に、第1調心操作アイコン153、154と、第1撮像部7aによって撮像された画像とを重畳して表示する。この際、タッチパネル14は、光ファイバF1のX軸方向の移動操作に用いられる第1調心操作アイコン153、154を、第1画像領域146のうち、右側の光ファイバF1の第1径方向画像側の位置に表示する。また、タッチパネル14は、光ファイバF1のY軸方向の移動操作に用いられる第2調心操作アイコン155、156を、第2画像領域147のうち、右側の光ファイバF1の第2径方向画像側の位置に表示する。これに加え、タッチパネル14は、第1調心操作アイコン153、154及び第2調心操作アイコン155、156を、第1撮像部7a及び第2撮像部7bの各々による光ファイバF1の第1径方向画像及び第2径方向画像の表示を阻害しない位置に表示する。
【0054】
また、制御部15は、上述したように選択アイコン142の押下に応じて選択した駆動部(径方向調心操作画面の場合は第1径方向駆動部10及び第2径方向駆動部11)の作用を視覚的に示す態様で操作アイコンを表示するように、タッチパネル14を制御する。タッチパネル14は、この制御部15の制御に基づいて、
図4に示すように、第1径方向駆動部10及び第2径方向駆動部11の作用(すなわち光ファイバF1のX軸方向及びY軸方向の移動)を視覚的に示す態様で、第1調心操作アイコン153、154及び第2調心操作アイコン155、156を表示する。詳細には、タッチパネル14は、第1径方向駆動部10を操作するための第1調心操作アイコン153、154を、第1径方向駆動部10の作用によって搬送される右側の光ファイバF1の移動方向(X軸方向)を示す矢印を付した態様で表示する。また、タッチパネル14は、第2径方向駆動部11を操作するための第2調心操作アイコン155、156を、第2径方向駆動部11の作用によって搬送される右側の光ファイバF1の移動方向(Y軸方向)を示す矢印を付した態様で表示する。
【0055】
タッチパネル14が
図4に示すような径方向調心操作画面を表示した状態において、第1調心操作アイコン153が押下された場合、制御部15は、タッチパネル14から出力された信号に基づいて、右側の光ファイバF1をX軸方向の一方側(本実施形態では径方向調心画面の上方向)へ移動させるように第1径方向駆動部10の動作を制御する。この第1径方向駆動部10の動作量(すなわち光ファイバF1のX軸方向の一方側への移動量)は、第1調心操作アイコン153の押下の回数及び長さによって操作することができる。また、第1調心操作アイコン154が押下された場合、制御部15は、タッチパネル14から出力された信号に基づいて、右側の光ファイバF1をX軸方向の他方側(本実施形態では径方向調心画面の下方向)へ移動させるように第1径方向駆動部10の動作を制御する。この第1径方向駆動部10の動作量(すなわち光ファイバF1のX軸方向の他方側への移動量)は、第1調心操作アイコン154の押下の回数及び長さによって操作することができる。一方、第2調心操作アイコン155が押下された場合、制御部15は、タッチパネル14から出力された信号に基づいて、右側の光ファイバF1をY軸方向の一方側(本実施形態では径方向調心画面の上方向)へ移動させるように第2径方向駆動部11の動作を制御する。この第2径方向駆動部11の動作量(すなわち光ファイバF1のY軸方向の一方側への移動量)は、第2調心操作アイコン155の押下の回数及び長さによって操作することができる。また、第2調心操作アイコン156が押下された場合、制御部15は、タッチパネル14から出力された信号に基づいて、右側の光ファイバF1をY軸方向の他方側(本実施形態では径方向調心画面の下方向)へ移動させるように第2径方向駆動部11の動作を制御する。この第2径方向駆動部11の動作量(すなわち光ファイバF1のY軸方向の他方側への移動量)は、第2調心操作アイコン156の押下の回数及び長さによって操作することができる。
【0056】
このように第1調心操作アイコン153、154及び第2調心操作アイコン155、156を適宜押下することにより、光ファイバF1、F2の各コア軸の位置をX軸方向及びY軸方向について合わせる調心を行うことができる。また、上記のようにタッチパネル14が径方向調心操作画面を表示した状態では、ファンクションアイコン144を押下する等のタッチパネル14の操作により、第1径方向駆動部10及び第2径方向駆動部11の、1回の操作での動作量を各々変更することができる。
【0057】
一方、
図5は、本発明の実施形態におけるタッチパネルが表示するフォーカス調整操作画面の一例を示す図である。本実施形態において、フォーカス調整操作画面は、第1撮像部7a及び第2撮像部7bの各々による調整空間19の撮像(詳細には調整空間19内の光ファイバF1、F2の撮像)のフォーカスを合わせるフォーカス調整を操作するための手動融着操作画面である。
図5に示すように、タッチパネル14は、フォーカス調整操作画面内に、上述したエスケープアイコン141と、選択アイコン142と、ファンクションアイコン144と、放電アイコン145とを表示している。また、タッチパネル14は、フォーカス調整操作画面内に、上述した作用表示領域143と、第1画像領域146と、第2画像領域147とを有する。タッチパネル14は、作用表示領域143に、第1撮像部7a及び第2撮像部7bのフォーカス調整を行うための駆動部である第1フォーカス駆動部13a及び第2フォーカス駆動部13bの作用を示す文字情報「Focus」を表示する。
【0058】
なお、第1画像領域146及び第2画像領域147の各々における画像の表示及びセットライン148の表示は、上述した搬送操作画面の場合と同様である。また、第1画像領域146及び第2画像領域147の各々における画像の拡大表示についても、上述した搬送操作画面の場合と同様である。
【0059】
また、タッチパネル14は、フォーカス調整操作画面内に、光ファイバF1、F2の第1径方向画像を撮像する際のフォーカス調整を行う第1フォーカス駆動部13aを操作するための第1フォーカス操作アイコン157a、158aと、光ファイバF1、F2の第2径方向画像を撮像する際のフォーカス調整を行う第2フォーカス駆動部13bを操作するための第2フォーカス操作アイコン157b、158bとを表示する。本実施形態において、上述した制御部15は、第1フォーカス操作アイコン157a、158a及び第2フォーカス操作アイコン157b、158bと、第1撮像部7a及び第2撮像部7bの少なくとも一つによって撮像された画像とを重畳して表示するように、タッチパネル14を制御する。この際、制御部15は、第1フォーカス操作アイコン157a、158a及び第2フォーカス操作アイコン157b、158bと、第1撮像部7a及び第2撮像部7bによって撮像された各画像とを各々重畳して表示するように、タッチパネル14を制御する。タッチパネル14は、この制御部15の制御に基づいて、
図5に示すように、フォーカス調整操作画面内の第1画像領域146に、第1フォーカス操作アイコン157a、158aと、第1撮像部7aによって撮像された画像とを重畳して表示する。この際、タッチパネル14は、第1フォーカス操作アイコン157a、158aを、第1画像領域146の所定位置(本実施形態では右側の光ファイバF1の第1径方向画像側の位置)に表示する。また、タッチパネル14は、第2フォーカス操作アイコン157b、158bを、第2画像領域147の所定位置(本実施形態では右側の光ファイバF1の第2径方向画像側の位置)に表示する。これに加え、タッチパネル14は、第1フォーカス操作アイコン157a、158a及び第2フォーカス操作アイコン157b、158bを、第1撮像部7a及び第2撮像部7bの各々による光ファイバF1、F2の第1径方向画像及び第2径方向画像の表示を阻害しない位置に表示する。
【0060】
また、制御部15は、上述したように選択アイコン142の押下に応じて選択した駆動部(フォーカス調整操作画面の場合は第1フォーカス駆動部13a及び第2フォーカス駆動部13b)の作用を視覚的に示す態様で操作アイコンを表示するように、タッチパネル14を制御する。タッチパネル14は、この制御部15の制御に基づいて、
図5に示すように、第1フォーカス駆動部13a及び第2フォーカス駆動部13bの作用(すなわちフォーカス調整の方向)を視覚的に示す態様で、第1フォーカス操作アイコン157a、158a及び第2フォーカス操作アイコン157b、158bを表示する。詳細には、タッチパネル14は、第1フォーカス駆動部13aを操作するための第1フォーカス操作アイコン157a、158aを、第1フォーカス駆動部13aの作用による第1撮像部7aのフォーカス調整の方向を示す「+」又は「-」のマークを付した態様で表示する。また、タッチパネル14は、第2フォーカス駆動部13bを操作するための第2フォーカス操作アイコン157b、158bを、第2フォーカス駆動部13bの作用による第2撮像部7bのフォーカス調整の方向を示す「+」又は「-」のマークを付した態様で表示する。
【0061】
タッチパネル14が
図5に示すようなフォーカス調整操作画面を表示した状態において、第1フォーカス操作アイコン157aが押下された場合、制御部15は、タッチパネル14から出力された信号に基づいて、第1撮像部7aのフォーカスを光軸の+方向側へ調整するように第1フォーカス駆動部13aの動作を制御する。この第1フォーカス駆動部13aの動作量は、第1フォーカス操作アイコン157aの押下の回数及び長さによって操作することができる。また、第1フォーカス操作アイコン158aが押下された場合、制御部15は、タッチパネル14から出力された信号に基づいて、第1撮像部7aのフォーカスを光軸の一方向側へ調整するように第1フォーカス駆動部13aの動作を制御する。この第1フォーカス駆動部13aの動作量は、第1フォーカス操作アイコン158aの押下の回数及び長さによって操作することができる。一方、第2フォーカス操作アイコン157bが押下された場合、制御部15は、タッチパネル14から出力された信号に基づいて、第2撮像部7bのフォーカスを光軸の+方向側へ調整するように第2フォーカス駆動部13bの動作を制御する。この第2フォーカス駆動部13bの動作量は、第2フォーカス操作アイコン157bの押下の回数及び長さによって操作することができる。また、第2フォーカス操作アイコン158bが押下された場合、制御部15は、タッチパネル14から出力された信号に基づいて、第2撮像部7bのフォーカスを光軸の一方向側へ調整するように第2フォーカス駆動部13bの動作を制御する。この第2フォーカス駆動部13bの動作量は、第2フォーカス操作アイコン158bの押下の回数及び長さによって操作することができる。
【0062】
このように第1フォーカス操作アイコン157a、158a及び第2フォーカス操作アイコン157b、158bを適宜押下することにより、第1撮像部7a及び第2撮像部7bの各フォーカスを調整空間19内の光ファイバF1、F2に合わせるフォーカス調整を行うことができる。また、上記のようにタッチパネル14がフォーカス調整操作画面を表示した状態では、ファンクションアイコン144を押下する等のタッチパネル14の操作により、第1フォーカス駆動部13a及び第2フォーカス駆動部13bの、1回の操作での動作量を各々変更することができる。
【0063】
一方、
図6は、本発明の実施形態におけるタッチパネルが表示する回転調心操作画面の一例を示す図である。本実施形態において、回転調心操作画面は、融着接続の対象とする一対の光ファイバF1、F2の周方向(Z軸を中心とする回転方向)における各回転位置を合わせるように調整する回転調心を操作するための手動融着操作画面である。
図6に示すように、タッチパネル14は、回転調心操作画面内に、上述したエスケープアイコン141と、選択アイコン142と、ファンクションアイコン144と、放電アイコン145とを表示している。また、タッチパネル14は、回転調心操作画面内に、上述した作用表示領域143と、第1画像領域146と、第2画像領域147とを有する。タッチパネル14は、作用表示領域143に、光ファイバF1、F2の回転調心を行うための駆動部である回転駆動部12a、12bの作用(光ファイバF1、F2の周方向の回転)を示す文字情報「Rotate」を表示する。
【0064】
なお、第1画像領域146及び第2画像領域147の各々における画像の表示及びセットライン148の表示は、上述した搬送操作画面の場合と同様である。また、第1画像領域146及び第2画像領域147の各々における画像の拡大表示についても、上述した搬送操作画面の場合と同様である。
【0065】
また、タッチパネル14は、回転調心操作画面内に、右側の光ファイバF1をZ軸回りに回転させる回転駆動部12aを操作するための第1回転操作アイコン159a、160aと、左側の光ファイバF2をZ軸回りに回転させる回転駆動部12bを操作するための第2回転操作アイコン159b、160bとを表示する。本実施形態において、上述した制御部15は、第1回転操作アイコン159a、160a及び第2回転操作アイコン159b、160bと、第1撮像部7a及び第2撮像部7bの少なくとも一つによって撮像された画像とを重畳して表示するように、タッチパネル14を制御する。ここで、光ファイバF1、F2のZ軸回りの回転動作は、X軸方向及びY軸方向の何れから見ても同様の周方向に行われる。このため、制御部15は、第1回転操作アイコン159a、160a及び第2回転操作アイコン159b、160bと、第1撮像部7a又は第2撮像部7b(本実施形態では第1撮像部7a)によって撮像された画像とを重畳して表示するように、タッチパネル14を制御する。タッチパネル14は、この制御部15の制御に基づいて、
図6に示すように、回転調心操作画面内の第1画像領域146に、第1回転操作アイコン159a、160a及び第2回転操作アイコン159b、160bと、第1撮像部7aによって撮像された画像とを重畳して表示する。この際、タッチパネル14は、右側の光ファイバF1の回転操作に用いられる第1回転操作アイコン159a、160aを、第1画像領域146のうち、右側の光ファイバF1の第1径方向画像側の位置に表示する。また、タッチパネル14は、左側の光ファイバF2の回転操作に用いられる第2回転操作アイコン159b、160bを、第1画像領域146のうち、左側の光ファイバF2の第1径方向画像側の位置に表示する。これに加え、タッチパネル14は、第1回転操作アイコン159a、160a及び第2回転操作アイコン159b、160bを、第1撮像部7aによる光ファイバF1、F2の第1径方向画像の表示を阻害しない位置に表示する。
【0066】
また、制御部15は、上述したように選択アイコン142の押下に応じて選択した駆動部(回転調心操作画面の場合は回転駆動部12a、12b)の作用を視覚的に示す態様で操作アイコンを表示するように、タッチパネル14を制御する。タッチパネル14は、この制御部15の制御に基づいて、
図6に示すように、回転駆動部12a、12bの作用(すなわち光ファイバF1、F2のZ軸回りの回転)を視覚的に示す態様で、第1回転操作アイコン159a、160a及び第2回転操作アイコン159b、160bを表示する。詳細には、タッチパネル14は、回転駆動部12aを操作するための第1回転操作アイコン159a、160aを、回転駆動部12aの作用によって回転する右側の光ファイバF1の回転方向(時計回り及び反時計回り)を示す矢印を付した態様で各々表示する。タッチパネル14は、回転駆動部12bを操作するための第2回転操作アイコン159b、160bを、回転駆動部12bの作用によって回転する左側の光ファイバF2の回転方向(時計回り及び反時計回り)を示す矢印を付した態様で各々表示する。
【0067】
一方、タッチパネル14は、回転調心操作画面内に、光ファイバF1、F2のガラス部分を可動ステージ3a、3bに各々留める光ファイバクランプ4a、4bを操作するためのクランプ操作アイコン161を表示する。本実施形態において、上述した制御部15は、クランプ操作アイコン161と、第1撮像部7a及び第2撮像部7bの少なくとも一つによって撮像された画像とを重畳して表示するように、タッチパネル14を制御する。例えば、制御部15は、クランプ操作アイコン161と、第1撮像部7a又は第2撮像部7bによって撮像された各画像のうち、第1回転操作アイコン159a、160a及び第2回転操作アイコン159b、160bが重畳表示されていない第2撮像部7bによる画像とを重畳して表示するように、タッチパネル14を制御する。タッチパネル14は、この制御部15の制御に基づいて、
図6に示すように、回転調心操作画面内の第2画像領域147に、クランプ操作アイコン161と、第2撮像部7bによって撮像された画像とを重畳して表示する。この際、タッチパネル14は、クランプ操作アイコン161を、第2撮像部7bによる光ファイバF1、F2の第2径方向画像の表示を阻害しない位置に表示する。
【0068】
ここで、光ファイバクランプ4a、4bは、昇降動作を行うことにより、光ファイバF1、F2のガラス部分を可動ステージ3a、3bに対して各々解除可能に留める。制御部15は、このような光ファイバクランプ4a、4bの動作を視覚的に示す態様でクランプ操作アイコン161を表示するように、タッチパネル14を制御する。タッチパネル14は、この制御部15の制御に基づいて、
図6に示すように、光ファイバクランプ4a、4bを上昇させる(すなわち光ファイバF1、F2の各々のクランプを解除する)場合のクランプ操作アイコン161を、上昇を示す文字情報「Clamp up」を付し且つ上に凸の形状で表示する。なお、特に図示しないが、タッチパネル14は、光ファイバクランプ4a、4bを下降させる(すなわち光ファイバF1、F2の各々のクランプする)場合のクランプ操作アイコン161を、下降を示す文字情報「Clamp down」を付し且つ下に凸の形状で表示する。本実施形態において、タッチパネル14は、クランプ操作アイコン161の押下の都度、制御部15の制御に基づいて、光ファイバクランプ4a、4bを上昇させる場合と下降させる場合とでクランプ操作アイコン161の表示態様を上記のように切り換える。
【0069】
タッチパネル14が
図6に示すような回転調心操作画面を表示した状態において、上昇用のクランプ操作アイコン161が押下された場合、制御部15は、タッチパネル14から出力された信号に基づいて、光ファイバクランプ4a、4bを上昇させるように制御する。光ファイバクランプ4a、4bは、この制御部15の制御に基づいて、上昇動作を行い、これにより、光ファイバF1、F2のクランプを解除する。ここで、光ファイバクランプ4a、4bによって光ファイバF1、F2をクランプした状態で光ファイバF1、F2をZ軸中心に回転させてしまうと、光ファイバF1、F2のガラス部分が傷つく等のダメージを受け、この結果、光ファイバF1、F2同士の融着接続の強度が低下する恐れがある。この事態を回避するために、光ファイバクランプ4a、4bによる光ファイバF1、F2のクランプは、回転調心を行うに際して解除される。なお、制御部15は、第1回転操作アイコン159a、160a及び第2回転操作アイコン159b、160bの何れかが押下された場合、この押下された操作アイコンに応じた信号に基づき、光ファイバF1、F2のクランプを解除するように光ファイバクランプ4a、4bを制御し、その後、回転駆動部12a、12bを制御してもよい。この場合、タッチパネル14には、クランプ操作アイコン161が表示されなくてもよい。
【0070】
また、上記回転調心操作画面が表示された状態において、第1回転操作アイコン159aが押下された場合、制御部15は、タッチパネル14から出力された信号に基づいて、右側の光ファイバF1をZ軸中心に時計回りの方向へ回転させるように回転駆動部12aの動作を制御する。この回転駆動部12aの動作量(すなわち光ファイバF1の時計回りの回転量)は、第1回転操作アイコン159aの押下の回数及び長さによって操作することができる。また、第1回転操作アイコン160aが押下された場合、制御部15は、タッチパネル14から出力された信号に基づいて、右側の光ファイバF1をZ軸中心に反時計回りの方向へ回転させるように回転駆動部12aの動作を制御する。この回転駆動部12aの動作量(すなわち光ファイバF1の反時計回りの回転量)は、第1回転操作アイコン160aの押下の回数及び長さによって操作することができる。一方、第2回転操作アイコン159bが押下された場合、制御部15は、タッチパネル14から出力された信号に基づいて、左側の光ファイバF2をZ軸中心に時計回りの方向へ回転させるように回転駆動部12bの動作を制御する。この回転駆動部12bの動作量(すなわち光ファイバF2の時計回りの回転量)は、第2回転操作アイコン159bの押下の回数及び長さによって操作することができる。また、第2回転操作アイコン160bが押下された場合、制御部15は、タッチパネル14から出力された信号に基づいて、左側の光ファイバF2をZ軸中心に反時計回りの方向へ回転させるように回転駆動部12bの動作を制御する。この回転駆動部12bの動作量(すなわち光ファイバF2の反時計回りの回転量)は、第2回転操作アイコン160bの押下の回数及び長さによって操作することができる。
【0071】
このように第1回転操作アイコン159a、160a及び第2回転操作アイコン159b、160bを適宜押下することにより、光ファイバF1、F2の周方向における各回転位置を合わせる回転調心を行うことができる。また、上記のようにタッチパネル14が回転調心操作画面を表示した状態では、ファンクションアイコン144を押下する等のタッチパネル14の操作により、回転駆動部12a、12bの、1回の操作での動作量を各々変更することができる。
【0072】
その後、下降用のクランプ操作アイコン161が押下された場合、制御部15は、タッチパネル14から出力された信号に基づいて、光ファイバクランプ4a、4bを下降させるように制御する。光ファイバクランプ4a、4bは、この制御部15の制御に基づいて、下降動作を行い、これにより、光ファイバF1、F2を可動ステージ3a、3bに再度クランプする。
【0073】
また、上述したように各種操作アイコンを押下する等して、光ファイバF1、F2の位置合わせが完了した場合、これら光ファイバF1、F2の端面同士の融着接続が行われる。この際、タッチパネル14は、放電アイコン145が押下されて「本放電」を選択する操作が行われた場合、この選択結果を示す信号を制御部15へ出力する。制御部15は、このタッチパネル14からの信号に基づいて、放電部5a、5bに融着接続のための本放電を行わせるように放電制御部6を制御する。この結果、光ファイバF1、F2の端面同士は、放電部5a、5bの本放電によって溶融され、融着接続される。
【0074】
(手動融着操作画面の切り換え)
つぎに、本発明の実施形態に係る融着接続機1の手動融着操作画面の切り換えについて説明する。融着接続機1は、上述したように、融着接続の対象とする一対の光ファイバF1、F2の位置合わせを行うための複数の駆動部として、
図1に示す搬送駆動部9a、9b、第1径方向駆動部10、第2径方向駆動部11、回転駆動部12a、12b、第1フォーカス駆動部13a、及び第2フォーカス駆動部13bを備えている。制御部15は、タッチパネル14に表示された選択アイコン142が押下される都度、光ファイバF1、F2の位置合わせを行うために動作させる駆動部を、これら複数の駆動部の中から切り換えて選択する。そして、制御部15は、選択した駆動部を操作するための操作アイコンを上記複数の駆動部を各々操作するための複数の操作アイコンの中から切り換えて表示するように、タッチパネル14を制御する。タッチパネル14は、この制御部15の制御に基づいて、手動融着操作画面内に表示する操作アイコンを上記複数の操作アイコンの中から切り換えることにより、手動融着操作画面を、上述した搬送操作画面、径方向調心操作画面、フォーカス調整操作画面、又は回転調心操作画面として表示する。
【0075】
図7は、本発明の実施形態におけるタッチパネルが表示する手動融着操作画面の切り換えの一例を説明する図である。本実施形態において、制御部15は、上述した選択アイコン142が押下される都度、動作させる駆動部を上述した複数の駆動部の中から所定順序で繰り返すように切り換えて選択し、この駆動部の選択と同じ所定順序で、表示する操作アイコンを切り換えるようにタッチパネル14を制御する。タッチパネル14は、この制御部15の制御に基づいて、手動融着操作画面内に表示する操作アイコンを、制御部15による駆動部の選択の切り換えに応じて、上記複数の操作アイコンの中から順次切り換える。すなわち、タッチパネル14は、表示する手動融着操作画面を、上記駆動部の選択と同じ所定順序で、搬送操作画面、径方向調心操作画面、フォーカス調整操作画面、又は回転調心操作画面に切り換える。
【0076】
詳細には、
図7に示すように、タッチパネル14は、手動融着操作画面を表示する操作が行われた場合、手動融着操作画面として、先ず、
図3に示した搬送操作画面を表示する(状態S1)。状態S1において、制御部15は、動作させる駆動部として、上記複数の駆動部の中から搬送駆動部9a、9bを選択している。タッチパネル14は、搬送駆動部9a、9bを操作するための搬送操作アイコン151a、151b、152a、152bを搬送操作画面内に表示している。また、タッチパネル14は、搬送駆動部9a、9bの作用を示す文字情報「Feed」を作用表示領域143に表示している。
【0077】
つぎに、状態S1のタッチパネル14は、搬送操作画面内の選択アイコン142が押下された場合、この選択アイコン142の1回の押下に応じて信号を出力する。制御部15は、この状態S1のタッチパネル14からの信号に基づいて、動作させる駆動部を、搬送駆動部9a、9bから第1径方向駆動部10及び第2径方向駆動部11に切り換えて選択する。制御部15は、このように動作させる駆動部として選択した第1径方向駆動部10及び第2径方向駆動部11を操作するための操作アイコンを表示するように、タッチパネル14を制御する。
【0078】
タッチパネル14は、この制御部15の制御に基づいて、第1径方向駆動部10及び第2径方向駆動部11を操作するための第1調心操作アイコン153、154及び第2調心操作アイコン155、156を、操作アイコンとして、上述した搬送操作アイコン151a、151b、152a、152bから切り換えて表示する。これと同時に、タッチパネル14は、作用表示領域143に、第1径方向駆動部10及び第2径方向駆動部11の作用を示す文字情報「X/Y Align」を、上記の「Feed」から切り換えて表示する。このようにして、タッチパネル14は、手動融着操作画面として、
図4に示した径方向調心操作画面を、搬送操作画面から切り換えて表示する(状態S2)。
【0079】
つぎに、状態S2のタッチパネル14は、径方向調心操作画面内の選択アイコン142が押下された場合、この選択アイコン142の1回の押下に応じて信号を出力する。制御部15は、この状態S2のタッチパネル14からの信号に基づいて、動作させる駆動部を、第1径方向駆動部10及び第2径方向駆動部11から第1フォーカス駆動部13a及び第2フォーカス駆動部13bに切り換えて選択する。制御部15は、このように動作させる駆動部として選択した第1フォーカス駆動部13a及び第2フォーカス駆動部13bを操作するための操作アイコンを表示するように、タッチパネル14を制御する。
【0080】
タッチパネル14は、この制御部15の制御に基づいて、第1フォーカス駆動部13a及び第2フォーカス駆動部13bを操作するための第1フォーカス操作アイコン157a、158a及び第2フォーカス操作アイコン157b、158bを、操作アイコンとして、上述した第1調心操作アイコン153、154及び第2調心操作アイコン155、156から切り換えて表示する。これと同時に、タッチパネル14は、作用表示領域143に、第1フォーカス駆動部13a及び第2フォーカス駆動部13bの作用を示す文字情報「Focus」を、上記の「X/Y Align」から切り換えて表示する。このようにして、タッチパネル14は、手動融着操作画面として、
図5に示したフォーカス調整操作画面を、径方向調心操作画面から切り換えて表示する(状態S3)。
【0081】
つぎに、状態S3のタッチパネル14は、フォーカス調整操作画面内の選択アイコン142が押下された場合、この選択アイコン142の1回の押下に応じて信号を出力する。制御部15は、この状態S3のタッチパネル14からの信号に基づいて、動作させる駆動部を、第1フォーカス駆動部13a及び第2フォーカス駆動部13bから回転駆動部12a、12bに切り換えて選択する。制御部15は、このように動作させる駆動部として選択した回転駆動部12a、12bを操作するための操作アイコンを表示するように、タッチパネル14を制御する。
【0082】
タッチパネル14は、この制御部15の制御に基づいて、回転駆動部12a、12bを操作するための第1回転操作アイコン159a、160a及び第2回転操作アイコン159b、160bを、操作アイコンとして、上述した第1フォーカス操作アイコン157a、158a及び第2フォーカス操作アイコン157b、158bから切り換えて表示する。これと同時に、タッチパネル14は、作用表示領域143に、回転駆動部12a、12bの作用を示す文字情報「Rotate」を、上記の「Focus」から切り換えて表示する。さらに、タッチパネル14は、光ファイバクランプ4a、4bを操作するためのクランプ操作アイコン161を表示する。このようにして、タッチパネル14は、手動融着操作画面として、
図6に示した回転調心操作画面を、フォーカス調整操作画面から切り換えて表示する(状態S4)。
【0083】
つぎに、状態S4のタッチパネル14は、回転調心操作画面内の選択アイコン142が押下された場合、この選択アイコン142の1回の押下に応じて信号を出力する。制御部15は、この状態S4のタッチパネル14からの信号に基づいて、動作させる駆動部を、回転駆動部12a、12bから搬送駆動部9a、9bに切り換えて選択する。制御部15は、このように動作させる駆動部として選択した搬送駆動部9a、9bを操作するための操作アイコンを表示するように、タッチパネル14を制御する。
【0084】
タッチパネル14は、この制御部15の制御に基づいて、搬送駆動部9a、9bを操作するための搬送操作アイコン151a、151b、152a、152bを、操作アイコンとして、上述した第1回転操作アイコン159a、160a及び第2回転操作アイコン159b、160bから切り換えて表示する。これと同時に、タッチパネル14は、作用表示領域143に、搬送駆動部9a、9bの作用を示す文字情報「Feed」を、上記の「Rotate」から切り換えて表示する。さらに、タッチパネル14は、上述したクランプ操作アイコン161を消去する。このようにして、タッチパネル14は、手動融着操作画面として、
図3に示した搬送操作画面を、回転調心操作画面から切り換えて表示する(状態S1)。すなわち、タッチパネル14及び制御部15は、上述した状態S4から状態S1に戻る。
【0085】
上述したように、制御部15は、選択アイコン142の押下の都度、動作させる駆動部を、搬送駆動部9a、9b(状態S1)、第1径方向駆動部10及び第2径方向駆動部11(状態S2)、第1フォーカス駆動部13a及び第2フォーカス駆動部13b(状態S3)、回転駆動部12a、12b(状態S4)の中から、所定順序で繰り返すように選択する。すなわち、制御部15は、選択アイコン142の押下の都度、状態S1から状態S2、状態S3及び状態S4をこの順に経て、状態S4から状態S1に戻り、再び状態S1以降の状態を繰り返す(ループする)順序で、動作させる駆動部を切り換えて選択する。タッチパネル14は、この制御部15による駆動部の選択と同じ順序で、表示する操作アイコンを切り換えて、上述した搬送操作画面(状態S1)、径方向調心操作画面(状態S2)、フォーカス調整操作画面(状態S3)、及び回転調心操作画面(状態S4)を順次表示する。なお、本発明において、動作させる駆動部の選択の順序は、上記の順序に限らず、他の順序であってもよいが、光ファイバF1、F2の位置合わせを効率よく行うという観点から、上記の順序であることが好ましい。
【0086】
以上、説明したように、本発明の実施形態では、タッチパネル14は、融着接続の対象とする一対の光ファイバF1、F2の位置合わせを行うための複数の駆動部の中から動作させる駆動部を選択するための選択アイコン142を表示するとともに、これら複数の駆動部を各々操作するための複数の操作アイコンを切換可能に表示する。また、制御部15は、選択アイコン142の押下に応じてタッチパネル14から出力された信号に基づいて、上記複数の駆動部の中から動作させる駆動部を選択し、上記複数の操作アイコンのうちの選択した上記駆動部を操作するための操作アイコンと、光ファイバF1、F2の上記位置合わせが行われる調整空間19が互いに異なる複数の方向から撮像された各画像と、をタッチパネル14に同時に表示させる。さらに、制御部15は、タッチパネル14に表示させた上記操作アイコンの押下に応じてタッチパネル14から出力された信号に基づき、選択した上記駆動部の動作を制御する。
【0087】
上記の構成により、一対の光ファイバF1、F2の位置合わせを行うために動作させたい所望の駆動部を、タッチパネル14に表示させた選択アイコン142の押下によって複数の駆動部の中から簡易に選択できるとともに、この選択した駆動部を操作するための操作アイコンと、位置合わせ対象の光ファイバF1、F2の各径方向の画像と、をタッチパネル14の一表示画面内に準備することができる。このため、タッチパネル14に上記操作アイコンとともに表示させた光ファイバF1、F2の各径方向の画像を視認しながら、この選択した駆動部の動作を、タッチパネル14の表示画面に準備された上記操作アイコンの押下によって簡易に操作することができる。これにより、複数の操作ボタン(物理キー)を押下して操作する従来の融着接続機に比べ、一対の光ファイバF1、F2の位置合わせを行うために必要な操作アイコンの押下回数(手動操作の回数)を格段に減らすことができる。この結果、一対の光ファイバF1、F2の位置合わせから融着接続までの一連の作業を行う際のキー操作の煩わしさを解消するとともに、この一連の作業に掛かる手間を軽減できることから、融着接続の対象とする一対の光ファイバF1、F2の位置合わせの作業を簡易且つ短時間に手動操作することができる。
【0088】
また、本発明の実施形態では、選択アイコン142が押下される都度、動作させる駆動部を上記複数の駆動部の中から切り換えて選択し、選択した駆動部を操作するための操作アイコンを、上記複数の操作アイコンの中から切り換えてタッチパネル14に表示させるようにしている。このため、一対の光ファイバF1、F2の位置合わせを行うための複数の駆動部のうち動作させる駆動部の選択の切り換えと、選択した駆動部を操作するための操作アイコンの表示の切り換えとを、選択アイコン142の押下によって一括して行うことができる。これにより、上記駆動部の選択の切り換えと上記操作アイコンの表示の切り換えとを行うために必要な手動操作の回数を上記従来の融着接続機に比べて格段に減らすことができ、この結果、一対の光ファイバF1、F2の位置合わせから融着接続までの一連の作業を行う際の手動操作をより簡易に行うことができる。
【0089】
また、本発明の実施形態では、選択アイコン142が押下される都度、動作させる駆動部を、上記複数の駆動部の中から所定順序で繰り返すように切り換えて選択し、この駆動部の選択と同じ所定順序で、タッチパネル14に表示させる上記操作アイコンを切り換えるようにしている。このため、選択アイコン142の押下による上記駆動部の選択の切り換えと上記操作アイコンの表示の切り換えとを単純化することができる。この結果、一対の光ファイバF1、F2の位置合わせから融着接続までの一連の作業を行う際の手動操作の簡易さ及び効率を向上させることができる。
【0090】
また、本発明の実施形態では、上記のように選択した駆動部を操作するための操作アイコンを、この駆動部の作用を視覚的に示す態様でタッチパネル14に表示させている。このため、駆動部の動作が光ファイバF1、F2の位置合わせにおいて如何なる作用を奏するかを直感的に把握しながら、操作アイコンの押下によって当該駆動部を操作することができ、この結果、操作アイコンによる駆動部の操作をより簡易に行うことができる。
【0091】
また、本発明の実施形態では、動作させる駆動部のための操作アイコンと、調整空間19内の光ファイバF1、F2の互いに異なる複数の径方向から撮像された各画像とを、重畳してタッチパネル14に表示させている。このため、動作させる駆動部のための操作アイコンと、この駆動部の作用を受ける光ファイバF1、F2の状態とを一度に視認し易くなり、この結果、光ファイバF1、F2の状態を視認しながら操作アイコンを押下して駆動部を操作できることから、操作アイコンによる駆動部の操作の簡易さを向上させることができる。
【0092】
また、本発明の実施形態では、タッチパネル14に表示させた画像の領域の押下に応じて、1倍以上、所定値以下の拡大倍率範囲内で上記画像を表示するようにしている。このため、タッチパネル14に表示させる光ファイバF1、F2の各径方向の画像を、簡易に拡大することができ、また、拡大後の上記画像を1倍の表示に簡易に戻すことができる。これにより、光ファイバF1、F2の位置合わせ及び状態の観察を簡易且つ効率よく行うことができる。
【0093】
なお、上述した実施形態では、一対の光ファイバF1、F2のうち、左側の光ファイバF2を基準にし、右側の光ファイバF1を径方向に移動させて、これらの光ファイバF1、F2の径方向の調心を行っているが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、一対の光ファイバF1、F2のうち、右側の光ファイバF1を基準にし、左側の光ファイバF2を径方向に移動させて、これらの光ファイバF1、F2の径方向の調心を行ってもよい。この場合、上述した第1径方向駆動部10及び第2径方向駆動部11は、左側の光ファイバF2の可動ステージ3bを径方向に移動させるものとしてもよい。或いは、一対の光ファイバF1、F2の双方を径方向に移動させて光ファイバF1、F2の径方向の調心を行ってもよい。この場合、融着接続機1は、左側の光ファイバF2の可動ステージ3bを径方向に移動させるための第1径方向駆動部及び第2径方向駆動部をさらに備えるようにしてもよい。
【0094】
また、上述した実施形態では、動作させる駆動部を操作するための操作アイコンと、第1撮像部7a及び第2撮像部7bによって撮像された各画像とを適宜重畳してタッチパネル14に表示させていたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、タッチパネル14には、上記操作アイコンと上記各画像とを重畳せずに分けて表示してもよい。
【0095】
また、上述した実施形態では、複数の操作アイコンのうち、動作させる駆動部を操作するための操作アイコンをタッチパネル14に表示させていたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、タッチパネル14には、駆動部の選択によらず、複数の操作アイコンの一部または全てを表示させてもよい。
【0096】
また、上述した実施形態では、複数の撮像部の一例として2つの第1撮像部7a及び第2撮像部7bを例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。調整空間19を撮像する撮像部の配置数は、上述した2つでもよいし、3つ以上でもよい。また、これら複数の撮像部が調整空間19を各々撮像する際の複数の撮像方向は、上述した光ファイバの互いに異なる複数の径方向(例えばX軸方向、Y軸方向)に限定されず、光ファイバの長手方向(Z軸方向)に対して傾斜する方向等、互いに異なる方向であってもよい。
【0097】
また、上述した実施形態により本発明が限定されるものではなく、上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。その他、上述した実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0098】
1 融着接続機
2a、2b ホルダ
3a、3b 可動ステージ
4a、4b 光ファイバクランプ
5a、5b 放電部
6 放電制御部
7a 第1撮像部
7b 第2撮像部
8 画像処理部
9a、9b 搬送駆動部
10 第1径方向駆動部
11 第2径方向駆動部
12a、12b 回転駆動部
13a 第1フォーカス駆動部
13b 第2フォーカス駆動部
14 タッチパネル
15 制御部
19 調整空間
141 エスケープアイコン
142 選択アイコン
143 作用表示領域
144 ファンクションアイコン
145 放電アイコン
146 第1画像領域
147 第2画像領域
148 セットライン
151a、151b、152a、152b 搬送操作アイコン
153、154 第1調心操作アイコン
155、156 第2調心操作アイコン
157a、158a 第1フォーカス操作アイコン
157b、158b 第2フォーカス操作アイコン
159a、160a 第1回転操作アイコン
159b、160b 第2回転操作アイコン
161 クランプ操作アイコン
201 表示モニタ
202 上段タブ群
203 下段タブ群
F1、F2 光ファイバ
Fa コア部
Fb クラッド部