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特許7050671トルク、ねじり固有振動および/またはねじり振動を非接触で検出する装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】トルク、ねじり固有振動および/またはねじり振動を非接触で検出する装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G01L 3/10 20060101AFI20220401BHJP
【FI】
G01L3/10 301J
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018522759
(86)(22)【出願日】2016-11-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-12-13
(86)【国際出願番号】 EP2016076380
(87)【国際公開番号】W WO2017076876
(87)【国際公開日】2017-05-11
【審査請求日】2019-10-30
(31)【優先権主張番号】15192697.9
(32)【優先日】2015-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】オスカー シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ローラント シューマン
(72)【発明者】
【氏名】トム キャターナン
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-151533(JP,A)
【文献】実開昭60-145339(JP,U)
【文献】特開昭60-244828(JP,A)
【文献】特開平6-241924(JP,A)
【文献】特表2013-519882(JP,A)
【文献】特開平7-63627(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0184210(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 3/00- 3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフト(10)のトルクおよび/またはねじり固有振動および/またはねじり振動を非接触で検出する装置(14)であって、
前記シャフト(10)は、強磁性材料を含んでおり、
前記シャフト(10)のシャフト外被(12)に面する測定ヘッド(16)は、磁場を前記シャフト(10)内に結合させる励磁コイル(22)を有し、
前記測定ヘッド(16)は、前記シャフト(10)を離れる磁場を測定する複数の測定コイル(24,26,28,30)を含み、
前記複数の測定コイル(24,26,28,30)は、分岐を有さず直列に接続され、
前記複数の測定コイル(24,26,28,30)は、前記シャフト(10)の主軸に関して45°の角度に配置され、
前記測定ヘッド(16)は、PEEKから製造されており、
前記測定ヘッド(16)は、前記シャフト外被(12)から所定の距離(68)に配置されており、
前記距離(68)は、0.5mm~1mmの間にある
装置(14)。
【請求項2】
前記シャフト外被(12)からの前記距離(68)は、0.75mmである、
請求項1記載の装置(14)。
【請求項3】
前記複数の測定コイル(24,26,28,30)は、相互に対称的に配置されている、
請求項1または2記載の装置(14)。
【請求項4】
前記励磁コイル(22)の励磁周波数は、50kHz~150kHzのにある、
請求項1から3までのいずれか1項記載の装置(14)。
【請求項5】
前記励磁コイル(22)の励磁周波数は、75kHz~125kHzの間にある、
請求項1から4までのいずれか1項記載の装置(14)。
【請求項6】
前記励磁コイル(22)の励磁周波数は、100kHzのオーダーにある、
請求項1から5までのいずれか1項記載の装置(14)。
【請求項7】
前記励磁コイル(22)に関する、前記測定ヘッド(16)内に収容された全ての前記複数の測定コイル(24,26,28,30)の距離(68)は、同じである、
請求項1から6までのいずれか1項記載の装置(14)。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項記載の装置(14)を用いて、シャフト(10)のトルクおよび/またはねじり固有振動および/またはねじり振動を非接触で検出する方法において、
a)前記装置(14)の励磁コイル(22)により、磁場を前記シャフト(10)に結合し、
b)複数の測定コイル(24,26,28,30)により、前記シャフト(10)から離れる磁場を測定し、
c)前記複数の測定コイル(24,26,28,30)に印加される全電圧の総和を測定し、
d)トルクおよび/またはねじり固有振動および/またはねじり振動の検出のための前記装置(14)を、2つの既知の負荷点における定常的な測定によって較正する、
方法。
【請求項9】
検出されたトルクの方向を、前記複数の測定コイル(24,26,28,30)間の電圧差の極性から決定する、
請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記シャフト(10)のシャフト外被(12)において、トルクに比例する表面応力を測定する、
請求項8または9記載の方法。
【請求項11】
前記励磁コイル(22)によって結合される磁場の周波数および強度は、80kHz~120kHzの周波数領域にわたる線形的な測定信号を可能にする、
請求項8から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記測定信号として、4mA~20mAの間の電流が生成される、
請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記励磁コイル(22)は、24Vの供給電圧で動作する、
請求項8から12までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トルク、ねじり固有振動および、ねじり振動を非接触で測定するのに適している誘導センサに関する。さらに本発明は、強磁性材料から製造されているかまたは強磁性特性を有する材料を含んでいる、中空シャフトかまたは中実材料からなるシャフトであり得るシャフトにおいて、トルク、ねじり固有振動、およびねじり振動を非接触で検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非接触でトルクを検出するために、特に強磁性材料の場合、異方性磁歪効果を十分に利用することができる。ここでは、例えばねじり応力のもとに、引張方向と圧縮方向とで透磁率が異なっていることが十分に利用される。非接触式センサを用いれば、幅広い測定範囲内で、表面応力もしくはシャフトにかかるトルクに比例する経過特性を有するそれらの差分を測定することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、例えばミキサー、スターラー、パドルドライヤー等において、シャフトにより多く印加され、その結果シャフトに機械的ストレスを与え得るトルクを検出することができる装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、シャフトにおけるトルク、ねじり固有振動およびねじり振動を非接触で検出する装置が提案されており、この場合、このシャフトは、強磁性特性を有する材料から製造されているか、またはそのような材料を含んでいる。このシャフトのシャフト外被に面する測定ヘッドは、磁場をシャフト内に結合する励磁コイルを含み、この場合この測定ヘッドはさらに、シャフト外被を介してシャフトを離れる磁場を測定する複数の測定コイルを有する。
【0005】
非接触での測定の利点の他に、本発明による解決手段は、比較的広い測定範囲内でシャフト材料の表面応力ならびにシャフトのトルクに比例している測定信号が、この種の装置によって得られるというさらなる利点を提供する。磁場の周波数および強度は、次のように選択される。すなわち、得られる測定信号が広い周波数領域にわたって線形的に経過し、磁気飽和はほとんどの既知の強磁性材料では実質的に達成されないように選択される。この周波数は、80KHz~120KHzのオーダーにあり、例えば100KHzである。
【0006】
好適には、本発明に従って提案された装置は、複数の測定コイルを含んだ測定ヘッドを含む。特に好ましい実施形態では、測定ヘッドは、それぞれ相互に対称的に配置された4つの測定コイルを含む。好ましくは、測定コイルの数は、シャフトの主軸に対して45°の角度の相互関係で位置決めすることができる。
【0007】
励磁コイルも複数の測定コイルも収容している測定ヘッドは、シャフトのシャフト外被から所定の距離に配置されている。この距離は、エアギャップと称され、0.5mm~1mmの間にあり、好ましくは0.75mmのオーダーにある。この0.75mmの好ましい値から+/-0.25mmの距離の偏差は、測定にほとんど影響を与えない。
【0008】
本発明に従って提案された装置の好ましい実施形態では、測定ヘッドはPEEKから製造される。本発明に従って提案された装置の測定ヘッド内の励磁コイルは、50kHz~150kHzの間、好ましくは75kHz~125kHzの間、特に好ましくは100kHzのオーダーにある励磁周波数で動作する。これにより、シャフトの回転周波数に依存することなく、トルクの急激な動的変化を検出することが可能になる。
【0009】
特に好ましくは、装置の水平方向の取り付け位置は、シャフトの長手方向軸線と装置の回転対称に形成されたハウジングの長手方向軸線とを通って拡がる平面内にある。この種の取り付け位置では、最適な測定結果を達成することができる。
【0010】
中空シャフトとして形成されるかまたは中実材料からなるシャフトであり得るシャフトのシャフト外被に関して同等の各距離にセンサを固定するために、装置のハウジングは、第1のセンサホルダによって取り囲まれていてもよい。この第1のセンサホルダは、特に分割して構成された外郭半部から形成され、センサのハウジングを取り囲んでいる。さらに、センサを、例えば角度板として設計された第2のセンサホルダを用いて、ハウジングまたは測定ヘッドの根元に固定し、測定ヘッドと、その中に収容されている複数のコイルと、シャフトのシャフト外被との間の距離を、非接触での検出を実施している間、一定に維持することを保証することが可能である。
【0011】
可能な範囲で最良の測定結果を得るために、シャフトのシャフト外被に関する、測定ヘッド内に収容された全てのコイルの距離は、同じである。測定ヘッド内に収容されたコイルは、電圧を発生し、その下限値は、10ニュートン/mmのオーダーのシャフトの最小ねじり負荷のもとで発生する電圧に相当する。測定ヘッド内の中央に収容される励磁コイルに関して、円筒状に形成された測定ヘッド内に配置される全ての測定コイルは、励磁コイルに関して径方向で同じ距離にある。測定ヘッド自体は、そのねじり応力が測定されるシャフトのシャフト外被に関して、数mmのオーダーの僅かな距離に、好ましくは0.75mmの短い距離にある。
【0012】
好ましくは、励磁コイルも、測定ヘッドの周面に配置された測定コイルも、プラスチック材料内に、例えばPEEK内に埋め込まれる。測定ヘッドは、円筒状の外観を有し、約20mmの直径を有する。
【0013】
本発明は、その上さらに、本発明による装置を用いて、シャフトのトルクおよび/またはねじり固有振動および/またはねじり振動を非接触で検出する方法に関しており、この場合、装置の励磁コイルにより、磁場がシャフトに結合され、複数の測定コイルにより、シャフトから離れる磁場が測定され、複数の測定コイルに印加される全電圧の総和が測定される。
【0014】
検出されたトルクの方向は、複数の測定コイルの個々の測定コイル間の電圧差の極性から決定することができる。
【0015】
本発明に従って提案された方法により、シャフトに作用するトルクに比例する表面応力が、シャフトのシャフト外被において測定される。それにより、好ましくは少なくとも35mmの直径を有するシャフトにおけるトルク検出を行うことができる。
【0016】
本発明に従って提案された方法によれば、特に、線形測定信号が生成され得る80KHz~100KHzの周波数範囲を含む磁場、例えば100KHzの磁場が、周波数と磁場強度に関してシャフトに結合される。
【0017】
出力信号として、本発明に従って提案された装置は、4mA~20mAの間のオーダーの電流を供給し、この電流は、トルク値に換算される。トルク、ねじり固有振動、およびねじり振動を非接触で検出する装置の励磁コイルの供給電圧は、好ましくは24Vである。
【0018】
装置の較正の際には、本発明に従って提案された装置を用いて、トルクの非接触での検出が実施される。この目的のために、装置および関連するソフトウェアも、シャフト毎に個別に較正され、そのために定常的測定が2つの既知の負荷点において実施される。較正の品質は、得られた測定の品質に多大な影響を与える。本発明に従って提案された装置は、この種の較正の実施なしで、ねじり固有振動および前述のねじり振動を求めるために使用することができる。
【0019】
本発明に従って提案された装置では、一例を挙げれば、個々のトルクに比例する、強磁性駆動シャフトの表面応力が測定される。この装置で結果として生じる測定信号は、使用されるシャフト材料の磁気特性の影響ならびに磁歪のオーダーもしくは既存の材料の不均一性の影響を受ける。たとえ材料の不均一性が大きい場合であっても、10ニュートン/mmを超える表面応力をもたらす負荷のもとで、慎重な較正を行った場合には、良好な測定結果を得ることができる。
【0020】
以下では図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】装置の位置決めを示した図
図2】測定ヘッドにおけるコイルの位置決めを示した図
図3】装置の電気的な端子を示した図
図4】装置および設定要素の背面側を示した図
図5】装置の較正を示した図
図6】装置の較正を示した図
図7】装置の較正を示した図
図8】第1のセンサホルダを示した図
図9】第1のセンサホルダを示した図
図10】第2のセンサホルダの実施形態を示した図
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1による図面では、本発明に従って提案された装置の、特にセンサ形態の装置の位置決めであることが見て取れる。
【0023】
中実材料からなるシャフトとして製造されるかまたは中空のシャフトとしても製造されるシャフト10は、シャフト外被12を有している。このシャフト外被12に水平方向の配向18において対向するように、本発明に従って提案される装置14があり、この装置14は、好ましくはセンサとして設計される。このセンサ14は、その長手方向軸線に関して、センサ14のハウジング17の長手方向軸線および図平面に垂直なシャフト10の長手方向軸線を通って拡がる平面内に位置する。図1の図面では、センサ14の好ましい取り付け位置20が示されている。センサ14のハウジング17では、前方端部に測定ヘッド16があり、この測定ヘッド16は、シャフト10のシャフト外被12から以下でより詳細に記述する距離に位置決めされている。
【0024】
図2は、図1の概略図によるセンサの測定ヘッドにおける複数のコイルの位置を示している。
【0025】
図2からは、測定ヘッド16において、当該測定ヘッド16のほぼ中央に励磁コイル22があることが明らかである。この励磁コイル22は、50kHz~150kHzの間、好ましくは75kHz~125kHzの間、特に好ましくは100kHzのオーダーの励磁周波数で励磁される。これにより、シャフト10の回転周波数に依存することなく、トルクの急激な動的変化を検出することが可能になる。励磁コイル22によってシャフト10に結合される磁場は、次のように選択される。すなわち、測定信号が広い周波数領域にわたって線形であり、磁気飽和は、強磁性特性を有するほとんどの既知の材料では下回り続けるように選択される。特に、この周波数領域は、80KHz~120KHzの間にあり、例えば100KHzの周波数を選択することができる。
【0026】
励磁コイルには、図2の図面によれば、24Vのオーダーにある入力電圧32Uinが印加される。好ましくは、例えばPEEKのような材料で製造された測定ヘッド16の周囲には、複数の測定コイル24,26,28,30がある。これらの測定コイル24,26,28,30は、出力電圧34Uoutを供給する(図3による図面参照)。図2による図面からは、これらの測定コイルが(当該実施例では4つの数の)、相互に対称的に配置されていることが明らかである。図2において、これらの測定コイル24,26,28,30は、それぞれシャフト10の主軸に関して相互に45°の配列角度36で位置決めされている。好ましくは、図1の図面による測定ヘッド16および該測定ヘッド16に収容されたコイル、すなわち励磁コイル22、ならびに複数の測定コイル24,26,28,30は、中実材料からなるかまたは中空シャフトとして形成されたシャフト10であり得るシャフト10のシャフト外被12から同じ距離にある。
【0027】
測定ヘッド16のサイズならびに当該測定ヘッド16に対称的に取り付けるべき複数の測定コイル24,26,28,30を考慮すれば、シャフト10の必要最小限の直径は約35mmであることが明らかである。これらの測定コイル24,26,28,30の配置構成およびそれらの電気的な相互接続ならびにシャフト10のシャフト外被12に関する測定ヘッド16の位置決めに基づいて、センサ14により、シャフト10のシャフト外被12において、トルクに比例した表面応力のみが検出される。
【0028】
図3は、センサの電気的な端子を示す。
【0029】
図3は、センサ14の水平方向の配向18において、測定ヘッド16が図1に示されているように、シャフト10のシャフト外被12に直接対向していることが見て取れる。センサ14のハウジング17は、アース接続38を有し、さらには供給電圧42UDC用ならびに出力線路用の端子を有しており、当該出力線路からは、測定コイル24,26,28,30セットの測定された各出力電圧34がタップされ得る。ここでは、500Ωのオーダーの抵抗値Rを有するシャント抵抗40が設けられている。好ましくは、供給電圧42用の接続ケーブルは、センサ14の供給電圧42に対する電圧降下が2%を超えないような仕様である。
【0030】
図4はセンサの背面側を示す。
【0031】
位置46は、センサハウジング17の背面側を表す。このセンサハウジング17の背面側46は、ソケット48およびケーブル入力側50を有する。零点調整部52では、センサ14の較正を行うことができる。調整装置54では、増幅率もしくは減衰率の調整を行うことができ、この場合は、次のステップ、すなわち、0.312/0.625/1.25/2.5/5および10が利用可能である。周波数調整部56では、1Hzから開始して5Hz、10Hz、50Hz、100Hzおよび200Hzまでの周波数調整を行うことができる。
【0032】
図5図6および図7の一連の図面は、測定セグメントを定める手段が見て取れる。
【0033】
図5図6および図7による図面からは、厚さ60を有する薄板58の使用によって、測定コイル24,26,28,30の位置が求められ得ることがわかる。この薄板58の薄板厚60は、好ましくは2mmのオーダーにある。センサ14の零点調整は、例えば、12mAで行われる。センサ14の測定ヘッド16の前方に位置決めされるべき薄板58とその回転とによって(左に45°回転させている位置の図6または右に45°回転させている位置の図7参照)、それぞれ偏位が生じる。図5による薄板58の垂直位置では、偏位は生じない。これは、例えば12mAのオフセット電流が測定されることを意味する。図6に示されている、左に45°回転させている位置64では、正の最大値が生じ、図7に示されている、薄板58を右に45°回転させている位置66では、負の最大値が生じている。薄板58の移動によって、センサの機能、ならびに電流変化の方向も検査することができる。
【0034】
図8および図9は、センサ用の第1のセンサホルダを示す。
【0035】
図8は、センサ14のハウジング17が第1のセンサホルダ70によって取り囲まれていることを示している。その上さらに、図8による図面からは、センサ14のハウジング17から離れるように延在している測定ヘッド16は、シャフト10のシャフト外被12に関して距離68にあることも見て取れる。この距離68は、好ましくは0.5mm~1mmの間にあり、特に好ましくは0.75mmである。ハウジング17の背面側46には、既に前述したケーブル入力側50がある。
【0036】
図9は、第1のセンサホルダ70が、第1のホルダ半部72と第2のホルダ半部74とを有することを示している。これらは取り付け状態において、貫通開口部76を画定しており、この貫通開口部76は、開口部直径82において形成されていてもよい。2つのホルダ半部72,74のうちの一方は、複数の締め付けねじ用のねじ頭用凹部78を含み、これらの締め付けねじと共に当該ホルダ半部72,74は、センサ14のハウジング17を取り囲む。
【0037】
図10は、第2のセンサホルダを示す。
【0038】
図10による図面からは、角度板86として設計された第2のセンサホルダ84が、ねじ山88にねじ込まれるナット90を用いてセンサ14のハウジング17に固定できることが明らかである。このねじ山88(図8による図面も参照)は、センサ14の測定ヘッド16の外被面にある。ナット90によって、角度板86の一端がセンサ14のハウジング17に当接する。図10による図面でも、測定ヘッド16の端面側が、シャフト10のシャフト外被12から所定の距離68にあることが示されており、このシャフト10は、強磁性材料から製造されているかまたはそのような強磁性材料を含んでいる。センサ14のハウジング17の背面側46には、既に述べたケーブル入力側50がある。
【0039】
センサ14の較正に関して、最良の可能な測定結果は、センサ14がその動作温度を有すると同時に生じることに留意されたい。期待されるスペクトル全体において測定値を得るためには、対応する調整部54において、増幅率を適切に選択する必要がある。センサ14のフィルタ周波数の設定は、主に測定目的から生じる。カットオフ周波数を調整するために、周波数調整部56が用いられ、これはセンサ14の背面側46にある(図4による図面参照)。トルクを両方向で非接触に検出するために、オフセットはできるだけ測定範囲の中心におく必要がある(抵抗40が500Ωの場合、12mAかもしくは6Vの入力電圧)。シャフト10内に存在する材料の不均一性の影響を考慮するために、オフセットの正確な決定は、好ましくはシャフト10のアイドリング回転数のもとで行われる。センサ14は、出力信号として、4mA~20mAの間にある電流を常時供給する。R=500Ωの抵抗値を有するシャント抵抗40を使用する場合、2V~10Vの間の出力電圧が得られる。トルクを求めるためにはこれらの出力電圧を換算する必要がある。センサ14の測定範囲内では、次の関係、Moment=FAKT(電圧-オフセット)が成り立つ。
【0040】
変換係数FAKTおよびオフセットを算出するために、2つの既知の測定点を選択する必要がある。材料の不均一性の影響を正確に考慮するために、オフセットの正確な決定は、シャフト10の定格速度で行うべきである。このことは、シャフト10のアイドリングのもとで行うのが最良である。これが不可能な場合には、まず、低負荷の、そして次に、高負荷の動作点を選択することも可能である。オフセットの計算は、以下の式、
Offset=[U(M-U)M]/(M-M
に従って行われる。
【0041】
ここで、前述のMは、この目的のために測定されたセンサ電圧Uを有する高負荷であり、Mは、センサ電圧Uを有する低負荷である。センサ14の増幅率を決定するためには、できるだけ定格負荷に近い負荷点が必要である。従って、変換係数FAKTは、以下の式
FAKT =(M-M)/(U-U
から得られる。
【符号の説明】
【0042】
10 シャフト
12 シャフト外被
14 装置/センサ
16 測定ヘッド
17 ハウジング
18 水平方向の配向
20 装置14の取り付け位置
22 励磁コイル
24 第1の測定コイルL
26 第2の測定コイルL
28 第3の測定コイルL
30 第4の測定コイルL
32 入力電圧Uin
34 出力電圧Uout
36 配列角度(45°)
38 アース接続
40 シャント抵抗(R=500Ω)
42 供給電圧UDC
44 信号電流4mA~20mA
46 センサハウジングの背面側
48 ソケット
50 ケーブル入力側
52 零点調整部
54 増幅率/減衰率調整部
56 周波数調整部
58 較正薄板
60 薄板厚d
62 90°位置
64 左に45°回転させた位置
66 右に45°回転させた位置
68 距離
70 第1のセンサホルダ
72 第1のセンサホルダ半部
74 第2のセンサホルダ半部
76 貫通開口部
78 ねじ頭用凹部
80 ホルダ開口部
82 開口部幅/開口部直径
84 第2のセンサホルダ
86 角度板
88 ねじ山
90 ナット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10