(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】ポリカーボネートおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08G 63/64 20060101AFI20220401BHJP
C08G 63/78 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
C08G63/64
C08G63/78
(21)【出願番号】P 2021501018
(86)(22)【出願日】2019-08-09
(86)【国際出願番号】 KR2019010133
(87)【国際公開番号】W WO2020032722
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2021-01-13
(31)【優先権主張番号】10-2018-0093985
(32)【優先日】2018-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】イ、キ-チェ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ヨン-イン
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ヨンウク
(72)【発明者】
【氏名】ホン、ムホ
(72)【発明者】
【氏名】チョン、ビョンキュ
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ヨン-ヨン
【審査官】小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-509486(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 63/00-63/91
C08L 69/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される繰り返し単位を含む、
ポリカーボネート。
【化13】
前記化学式1において、
Xは非置換、またはC
1-10アルキルで置換されたC
6-60アリーレンであり、
Yは
C
1-3
アルキレンであり、
nは1~10の整数である。
【請求項2】
Xは下記構造式で表される化合物のうち一つである、
請求項1に記載のポリカーボネート。
【化14】
【請求項3】
下記化学式2で表される繰り返し単位をさらに含む、
請求項1または2に記載のポリカーボネート。
【化15】
前記化学式2において、
R
1~R
4はそれぞれ独立して水素、C
1-10アルキル、C
1-10アルコキシ、またはハロゲンであり、
Zは非置換、またはフェニルで置換されたC
1-10アルキレン、非置換、またはC
1-10アルキルで置換されたC
3-15シクロアルキレン、O、S、SO、SO
2、またはCOである。
【請求項4】
R
1~R
4はそれぞれ独立して、水素、またはC
1-4アルキルである、
請求項3に記載のポリカーボネート。
【請求項5】
前記化学式1で表される繰り返し単位は、前記繰り返し単位全重量に対して5重量%~50重量%である、
請求項3または4に記載のポリカーボネート。
【請求項6】
前記化学式1で表される繰り返し単位は、前記繰り返し単位全重量に対して50重量%超過~99重量%以下である、
請求項3または4に記載のポリカーボネート。
【請求項7】
JIS-K-7142に基づいて測定した屈折率(nD)が1.58~1.70である、
請求項1~6のいずれか一項に記載のポリカーボネート。
【請求項8】
ASTM D7869方法で当試験片をL、aおよびb値を測定した後、該当試験片を2250hr耐候性条件に放置した後再び測定したL’、a’およびb’値から下記式1により計算した耐候性(△E)が30以下である、
請求項1~7のいずれか一項に記載のポリカーボネート。
【数2】
【請求項9】
ASTM D1238(300℃,1.2kg条件)に基づいて測定したメルトインデックス(melt index)が10g/10min~50g/10minである、
請求項1~8のいずれか一項に記載のポリカーボネート。
【請求項10】
下記化学式3で表される化合物、およびカーボネート前駆体を含む組成物を重合する段階;を含む、
請求項1~9のいずれか一項に記載のポリカーボネートの製造方法。
【化16】
前記化学式3において、
Xは非置換、またはC
1-10アルキルで置換されたC
6-60アリーレンであり、
Yは
C
1-3
アルキレンであり、
nは1~10の整数である。
【請求項11】
前記化学式3のXは、下記構造式で表される化合物のうち一つである、
請求項10に記載のポリカーボネートの製造方法。
【化17】
【請求項12】
前記化学式3で表される化合物は、下記構造式で表される化合物のうち一つである、
請求項10または11に記載のポリカーボネートの製造方法。
【化18】
前記構造式において、nは前記化学式3で定義したとおりである。
【請求項13】
前記組成物は、下記化学式4で表される芳香族ジオール化合物をさらに含む、
請求項10~12のいずれか一項に記載のポリカーボネートの製造方法。
【化19】
前記化学式4において、
R
1~R
4はそれぞれ独立して水素、C
1-10アルキル、C
1-10アルコキシ、またはハロゲンであり、
Zは非置換、またはフェニルで置換されたC
1-10アルキレン、非置換、またはC
1-10アルキルで置換されたC
3-15シクロアルキレン、O、S、SO、SO
2、またはCOである。
【請求項14】
前記化学式4で表される芳香族ジオール化合物は、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ケトン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-ブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-クロロフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパンおよび1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタンからなる群より選択された1つ以上の化合物である、
請求項13に記載のポリカーボネートの製造方法:
【請求項15】
請求項1ないし9のいずれか一項に記載のポリカーボネートで製造される、成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互引用]
本出願は、2018年8月10日付韓国特許出願第10-2018-0093985号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、ポリカーボネートおよびその製造方法に関する。より具体的には、機械的物性に優れながらも耐候性と屈折率が向上した新規な構造のポリカーボネートおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ポリカーボネート樹脂は、優れた衝撃強度、寸法安定性、耐熱性および透明性などの物性によって電機電子製品の外装材、自動車部品、建築素材、光学部品などの分野に多様に使われている高分子素材である。
【0004】
このようなポリカーボネート樹脂は、最近ガラスおよびレンズに適用するなど応用分野の拡大につれ、ポリカーボネート樹脂固有の物性は維持しながらも耐候性と屈折率などが向上した新規な構造のポリカーボネートの開発が求められている。
【0005】
そのため、2種以上の互いに異なる構造の芳香族ジオールを共重合して構造が異なる単位体をポリカーボネートの主鎖に導入して所望する物性を得るための研究が試みられている。しかし、多くの技術が生産単価が高く、耐化学性や衝撃強度などが増加すると逆に透明性が低下し、透明性が向上すると耐化学性や衝撃強度などが低下するなどの限界がある。
【0006】
そこで、硬度などの機械的物性に優れながらも耐候性と屈折率にも優れた新規な構造のポリカーボネートに対する研究開発がまだ必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、機械的物性に優れながらも耐候性と屈折率に優れたポリカーボネートと、その製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、化学式1で表される繰り返し単位を含むポリカーボネートを提供する。
【0009】
また、本発明は、化学式3で表される化合物、およびカーボネート前駆体を含む組成物を重合する段階を含む、前記ポリカーボネートの製造方法を提供する。
【0010】
また、本発明は、前記ポリカーボネートで製造される成形品を提供する。
【0011】
以下、発明の具体的な実施形態によるポリカーボネート、その製造方法および成形品に関してより詳細に説明する。
【0012】
発明の一実施形態によれば、下記化学式1で表される繰り返し単位を含むポリカーボネートを提供する:
【0013】
【0014】
前記化学式1において、
Xは非置換、またはC1-10アルキルで置換されたC6-60アリーレンであり、
YはC1-10アルキレンであり、
nは1~10の整数である。
前記ポリカーボネートはジチオジプロピオネート(dithiodipropionate,DTDPA)由来の官能基を中心に多様なアリーレン基が連結された官能基を含む新規な構造で、既存のポリカーボネートが有する固有な特性である耐衝撃性、透明性、耐熱性などに優れながらも、優れた流動性、耐候性および屈折率特性などをさらに現わすことができる。
【0015】
より詳細には、本発明のポリカーボネートを構成する前記化学式1の繰り返し単位は、多様なアリーレン基(X)とジチオジプロピオネート基を連結した構造を含むものであり、ジチオジプロピオネートのエステル基のフリース転位反応(fries-rearrangement)による構造変化によって従来のポリカーボネートより優れた耐候性および屈折率効果を奏し、前記化学式1の構造内に含まれる繰り返し単位の含有量(n)、および置換基Xの種類によってポリカーボネートの耐候性および屈折率の改善効果をより増加させることができる。
【0016】
本発明のポリカーボネートは、前記化学式1で表される繰り返し単位のみからなるが、または前記化学式1で表される繰り返し単位に加え、他の芳香族ジオール化合物から由来した繰り返し単位を追加でさらに含み得る。
【0017】
一実施形態によれば、本発明のポリカーボネートは、前記化学式1で表される繰り返し単位および下記化学式2で表される繰り返し単位を含み得る:
【0018】
【0019】
前記化学式2において、
R1~R4はそれぞれ独立して水素、C1-10アルキル、C1-10アルコキシ、またはハロゲンであり、
Zは非置換、またはフェニルで置換されたC1-10アルキレン、非置換、またはC1-10アルキルで置換されたC3-15シクロアルキレン、O、S、SO、SO2、またはCOである。
【0020】
本明細書において、炭素数6~60のアリーレンは単環式アリーレン基または多環式アリーレン基でありうる。具体的には、炭素数6~60のアリーレンは炭素数6~30の単環式または多環式アリーレン;または炭素数6~20の単環式または多環式アリーレンでありうる。より具体的には、炭素数6~60のアリーレンは、単環式アリーレンとしてベンゼン、ビフェニル、ジフェニルメタン、ジフェニルプロパン、またはテルフェニルなどの芳香族炭化水素由来の2価基などであり得、多環式アリールとしてナフタレン、アントラセン、フェナントレン、トリフェニレン、ピレン、ペリレン、クリセンまたはフルオレンなどの芳香族炭化水素由来の2価基などでありうる。ただし、これに限定されるものではない。また、前記炭素数6~60のアリーレンは炭素数1~10のアルキル基で置換されたり置換されなてもよい。
【0021】
本明細書において、フルオレンは置換され得、置換基2個が互いに結合してスピロ構造を形成することができる。前記フルオレンが置換される場合、
【0022】
【0023】
などになる。ただし、これに限定されるものではない。
【0024】
本明細書において、アルキル基は炭素数1~10、または炭素数1~5の直鎖または分枝鎖のアルキル基でありうる。アルキル基の具体的な例としては、メチル、エチル、プロピル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、1-メチル-ブチル、1-エチル-ブチル、ペンチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、ヘプチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、オクチル、n-オクチル、tert-オクチル、1-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、n-ノニル、2,2-ジメチルヘプチル、1-エチル-プロピル、1,1-ジメチル-プロピル、イソヘキシル、2-メチルペンチル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシルなどがあるが、これらに限定されない。
【0025】
本発明の一実施例によれば、前記化学式1において前記YはC1-10アルキレン、C1-5アルキレン、またはC1-3アルキレンでありうる。
【0026】
また、前記化学式1において、前記Xは、
【0027】
【0028】
であり得る。
【0029】
また、前記化学式1において、前記nは1~10、または1~8、または1~4の整数である。
【0030】
また、前記化学式2において、前記R1~R4はそれぞれ独立して、水素、またはC1-4アルキルでありうる。または前記R1~R4はそれぞれ独立して水素、メチル、クロロ、またはブロモでありうる。
【0031】
また、前記化学式2において、Zはそれぞれ独立して非置換、またはフェニルで置換された直鎖または分枝鎖のC1-10アルキレンであり、より好ましくはメチレン、エタン-1,1-ジイル、プロパン-2,2-ジイル、ブタン-2,2-ジイル、1-フェニルエタン-1,1-ジイル、またはジフェニルメチレンでありうる。
【0032】
前記化学式1で表される繰り返し単位は、屈折率、流動性、および耐候性に優れる特徴があり、化学式2で表される繰り返し単位は、透明性と耐衝撃性に優れた特徴があり、前記化学式1および2で表される繰り返し単位の重量比を調節して所望する物性のポリカーボネートを製造することができる。
【0033】
本発明のポリカーボネートが前記化学式1で表される繰り返し単位に加えて化学式2で表される繰り返し単位をさらに含む時、その重量比は特に制限されず、例えば前記化学式1で表される繰り返し単位および化学式2で表される繰り返し単位の重量比は99:1~1:99でありうる。
【0034】
例えば、高屈折率のためには前記化学式1で表される繰り返し単位を前記繰り返し単位全重量に対して50重量%超過、または60重量%以上、または70重量%以上であり、99重量%以下で含み得、好ましくは50重量%超過~99重量%以下、より好ましくは70~99重量%で含み得る。一方、本発明のポリカーボネートは、高屈折率のために前記化学式1で表される繰り返し単位のみで、すなわち、前記繰り返し単位全重量に対して前記化学式1で表される繰り返し単位100重量%で構成されることもできる。
【0035】
一方、耐候性向上効果のためには前記化学式1で表される繰り返し単位を前記繰り返し単位全重量に対して5重量%以上、または10重量%以上であり、50重量%以下であり得、好ましくは5~30重量%、より好ましくは10~30重量%で含み得る。
【0036】
前記ポリカーボネートの重量平均分子量(Mw)は目的と用途に合わせて適切に調節することができ、GPC(gel permeation chromatograph)を使用して測定した標準ポリスチレン(PS Standard)に対する換算数値を基準として28,000g/mol以上、または37,000g/mol以上、または38,000g/mol以上であり、かつ60,000g/mol以下、または55,000g/mol以下、または52,000g/mol以下でありうる。
【0037】
また、前記ポリカーボネートのASTM D1238(300℃, 1.2kg条件)に基づいて測定したメルトインデックス(melt index)は目的と用途に合わせて適切に調節することができ、10g/10min以上、または15g/10min以上、または18g/10min以上、または19g/10min以上であり、かつ50g/10min以下、または45g/10min以下、または40g/10min以下でありうる。本発明のポリカーボネートは前記のようなメルトインデックスを有することによって向上した流動性を示すことができる。
【0038】
また、前記本発明のポリカーボネートは、JIS-K-7142に基づいて測定した屈折率(nD)が1.58以上であり、好ましくは1.58~1.70、または1.59~1.70、より好ましくは1.59~1.69でありうる。
【0039】
また、前記本発明のポリカーボネートは、ASTM D7869方法でL、aおよびb値を測定した後該当試験片をWeather-Ometer(登録商標)機械を利用して2250hr耐候性条件に放置した後再び測定したL’、a’およびb’値から計算した耐候性(△E)が30以下であり、好ましくは27以下、または25以下、または24以下、または22以下、または20以下、または15以下でありうる。前記耐候性は低いほど好ましいので、下限値は特に限定されないが、例えば5以上、または7以上または8以上でありうる。
【0040】
一方、発明のまた他の実施形態によれば、下記化学式3で表される化合物、およびカーボネート前駆体を含む組成物を重合する段階を含む、前記ポリカーボネートの製造方法が提供され得る。
【0041】
【0042】
前記化学式3において、
Xは非置換、またはC1-10アルキルで置換されたC6-60アリーレンであり、
YはC1-10アルキレンであり、
nは1~10の整数である。
【0043】
本発明の一実施例によれば、前記化学式3において、前記Xは
【0044】
【0045】
でありうる。
【0046】
また、前記化学式3において、前記nは1~10、または1~8、または1~4の整数である。前記化学式3で表される化合物は単独でまたは1種以上が混合された形態で使われ得る。
【0047】
本発明の一実施例によれば、前記化学式3の化合物の重量平均分子量は、目的と用途に合わせて適切に調節することができ、GPC(gel permeation chromatograph)を使用して測定した標準ポリスチレン(PS Standard)に対する換算数値を基準として400g/mol以上、または600g/mol以上、または800g/mol以上であり、かつ5,000g/mol以下、または3,500g/mol以下、または2,000g/mol以下でありうる。
【0048】
前記化学式3で表される化合物の具体的な例として、下記構造式の化合物が挙げられるが、本発明がこれに制限されるものではない。
【0049】
【0050】
前記構造式において、nは前記化学式3で定義したとおりである。
【0051】
前記化学式3で表される化合物は下記のような反応式1によりエステル化反応によって合成することができ、後述する実施例でより具体化にされ得る。
【0052】
【0053】
前記反応式1において、X、Yおよびnは前記化学式3で定義したとおりである。
【0054】
本発明の一実施例によれば、下記化学式4で表される芳香族ジオール化合物をさらに含んで重合することができる。
【0055】
【0056】
前記化学式4において、
R1~R4はそれぞれ独立して水素、C1-10アルキル、C1-10アルコキシ、またはハロゲンであり、
Zは非置換、またはフェニルで置換されたC1-10アルキレン、非置換、またはC1-10アルキルで置換されたC3-15シクロアルキレン、O、S、SO、SO2、またはCOである。
【0057】
前記化学式4で表される芳香族ジオール化合物の具体的な例として、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ケトン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-ブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-クロロフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパンおよび1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタンからなる群より選択された1種以上の化合物を含み得る。
【0058】
また、前記カーボネート前駆体は前記化学式3で表される化合物および前記化学式4で表される化合物を連結する役割をするものであり、その具体的な例としてホスゲン、トリホスゲン、ジホスゲン、ブロモホスゲン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m-クレシルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネートまたはビスハロホルメートが挙げられる。
【0059】
前記組成物が単量体で前記化学式3で表される化合物とカーボネート前駆体のみを含むとき、前記化学式3で表される化合物は、前記組成物100重量%に対して70重量%以上、79重量%以上、または80重量%以上であり、95重量%以下、90重量%以下、または89重量%以下で使用することができる。
【0060】
また、前記カーボネート前駆体は、前記組成物100重量%に対して10重量%以上、19重量%以上、または20重量%以上であり、35重量%以下、30重量%以下、または29重量%以下で使用することができる。
【0061】
一方、前記重合時前記組成物が単量体として前記化学式3で表される化合物、前記化学式4で表される芳香族ジオール化合物、およびカーボネート前駆体を含むとき、前記化学式3で表される化合物は、前記組成物100重量%に対して10重量%以上、20重量%以上、または30重量%以上であり、70重量%以下、50重量%以下、または40重量%以下で使用することができる。
【0062】
また、前記化学式4で表される芳香族ジオール化合物は、前記組成物100重量%に対して10重量%以上、20重量%以上、または30重量%以上であり、70重量%以下、50重量%以下、または40重量%以下で使用することができる。
【0063】
また、前記カーボネート前駆体は、前記組成物100重量%に対して10重量%以上、19重量%以上、または20重量%以上であり、35重量%以下、30重量%以下、または29重量%以下で使用することができる。
【0064】
この時、前記重合は界面重合で行うことが好ましく、界面重合時常圧と低い温度で重合反応が可能であり、分子量調節が容易である。
【0065】
前記重合温度は0℃~40℃、反応時間は10分~5時間が好ましい。また、反応中のpHは9以上または11以上を維持することが好ましい。
【0066】
前記重合に使用できる溶媒としては、当業界でポリカーボネートの重合に使用される溶媒であれば特に制限されず、一例としてメチレンクロリド、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素を使用することができる。
【0067】
また、前記重合は酸結合剤の存在下に行うことが好ましく、前記酸結合剤として水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物またはピリジンなどのアミン化合物を使用することができる。
【0068】
また、前記重合時ポリカーボネートの分子量調節のために、分子量調節剤の存在下に重合することが好ましい。前記分子量調節剤としてC1-20アルキルフェノールを使用することができ、その具体的な例としては、p-tert-ブチルフェノール、p-クミルフェノール、デシルフェノール、ドデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフェノール、ドコシルフェノールまたはトリアコンチルフェノールが挙げられる。前記分子量調節剤は、重合開始前、重合開始中または重合開始後に投入されることができる。前記分子量調節剤は前記芳香族ジオール化合物100重量部に対して0.01~10重量部、好ましくは0.1~6重量部を使用することができ、この範囲内で所望する分子量を得ることができる。
【0069】
また、前記重合反応の促進のために、トリエチルアミン、テトラ-n-ブチルアンモニウムブロミド、テトラ-n-ブチルホスホニウムブロミドなどの3次アミン化合物、4次アンモニウム化合物、4次ホスホニウム化合物などのような反応促進剤を追加で使用することができる。
【0070】
発明のまた他の実施形態によれば、前記ポリカーボネートで製造される成形品が提供されることができる。先立って説明した通り、前記化学式1で表される繰り返し単位を含むポリカーボネートは機械的物性に優れながらも、耐候性も向上して従来に使用されていたポリカーボネートで製造される成形品に比べて応用分野が広い。前記化学式1および2で表される繰り返し単位の重量比を調節して所望する物性のポリカーボネートを製造することができる。
【0071】
前記成形品は本発明によるポリカーボネートの他に、必要に応じて酸化防止剤、可塑剤、帯電防止剤、核剤、難燃剤、滑剤、衝撃補強剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、顔料および染料からなる群より選択された1種以上を追加で含み得る。
【0072】
前記成形品方法の一例として、本発明によるポリカーボネートとその他添加剤をミキサを利用してよく混合した後に、押出機で押出成形してペレットに製造し、前記ペレットを乾燥させた後射出成形機で射出する段階を含み得る。
【発明の効果】
【0073】
本発明によれば、機械的物性に優れながらも、耐候性と屈折率が向上した新規な構造のポリカーボネートおよびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【
図1】実施例1で製造した化合物の
1H-NMRグラフである。
【
図2】実施例1で製造したポリカーボネートの1H-NMRグラフである。
【
図3】実施例2で製造した化合物の
1H-NMRグラフである。
【
図4】実施例3で製造した化合物の
1H-NMRグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0075】
発明を下記の実施例でより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は本発明を例示するだけであり、本発明の内容は下記の実施例によって限定されない。
【0076】
実施例:ポリカーボネートの製造
実施例1
(1)BP-DTDPA(bis(4-(2-(4-hydroxyphenyl)propan-2-yl)phenyl) 3,3’-dithiodiyldipropionate)の製造
【0077】
【0078】
3,3’-disulfanediyldipropionic acid 15gを丸いフラスコにメチレンクロリド溶媒100mlに溶解した後、常温でオキサリルクロリド19.9gおよびDMF 0.25gを滴加して4時間ほど常温で攪拌した。反応物が透明になり、気泡が発生しない場合前記反応物を別途の精製過程なしにbisphenol A 33.4gとpyridine 33.9gおよびメチレンクロリド溶媒200mlにゆっくり添加して24時間常温で攪拌した。35% HCl 50mlを添加して反応を終結した後水とDichloromethaneで洗浄した。最終化合物であるbis(4-(2-(4-hydroxyphenyl)propan-2-yl)phenyl) 3,3’-dithiodiyldipropionate(重量平均分子量:1,800g/mol)を最終収率97%で収得した。この時、nがそれぞれ1~4である化合物の混合物の形態で収得された。
【0079】
【0080】
(2)ポリカーボネート樹脂の製造
窒素パージとコンデンサが備えられ、サーキュレータ(circulator)で常温維持が可能な2Lメイン反応器に水247g、前記(1)で製造したbis(4-(2-(4-hydroxyphenyl)propan-2-yl)phenyl) 3,3’-dithiodiyldipropionate 166.5g、40重量%のNaOH 41g、MeCl2 165mlを投入して数分間攪拌させた。
【0081】
窒素パージを止めて1L丸底フラスコにトリホスゲン25gとMeCl2 48mlを入れてトリホスゲンを溶解させた後溶解したトリホスゲン溶液をゆっくりBP-DTDPAが溶けているメイン反応器に投入し、投入が完了するとPTBP(p-tert-ブチルフェノール) 1.1gを入れて10分余り攪拌させた。攪拌が完了した後40重量%のNaOH水溶液39.8gを入れた後カップリング剤としてTEA 0.43gを投入した。この時、反応pHは11~13を維持した。十分に反応が行われるように時間を置いて反応を終結するためにHClを投入してpHを3~4に低下させた。そして、攪拌を中止してポリマー層と水層を分離した後水層は除去して純粋なH2Oを再び投入して水洗する過程を3~5回繰り返し行った。
【0082】
水洗が完全に行われるとポリマー層のみ抽出してメタノール、H2Oなどを利用した非溶媒を使用して再沈法でポリマー結晶体を収得した。この時、製造されたポリカーボネートはPS standard基準重量平均分子量が49,000g/molであった。
【0083】
このように製造したポリカーボネートの
1H-NMRは
図2に示した。
【0084】
実施例2
(1)BHP-DTDPA (bis(3-hydroxyphenyl) 3,3’-dithiodiyldipropionate)の製造
【0085】
【0086】
実施例1の3,3’-disulfanediyldipropionic acid 15gを使用し、その他オキサリルクロリド19.92g、DMF 0.24g、Bisphenol Aを代替したresorcinol 16.1gとPyridine 33.9gを使用したことを除いては実施例1と同様の方法で合成を行った。
【0087】
最終化合物であるbis(3-hydroxyphenyl) 3,3’-dithiodiyldipropionate(重量平均分子量:989g/mol)を最終収率91%で収得した。この時、nがそれぞれ1~4である化合物の混合物の形態で収得された。
【0088】
【0089】
(2)ポリカーボネート樹脂の製造
実施例1のbis(4-(2-(4-hydroxyphenyl)propan-2-yl)phenyl) 3,3’-dithiodiyldipropionateの代わりにbis(3-hydroxyphenyl) 3,3’-dithiodiyldipropionateを104.08g使用したことを除いては実施例1と同様の方法で合成を行った。この時、製造されたポリカーボネートはPS standard基準重量平均分子量が47,000g/molであった。
【0090】
実施例3
(1)BPF-DTDPA (bis(4-(9-(4-hydroxyphenyl)-9H-fluoren-9-yl)phenyl) 3,3’-dithiodiyldipropionate)の製造
【0091】
【0092】
実施例1の3,3’-disulfanediyldipropionic acid 15gを使用し、その他オキサリルクロリド19.92g、DMF 0.24g、bisphenol Aを代替した4,4’-(9H-fluorene-9,9-diyl)diphenol 51.2gとpyridine 33.9gを使用したことを除いては実施例1と同様の方法で合成を行った。
【0093】
最終化合物であるbis(4-(9-(4-hydroxyphenyl)-9H-fluoren-9-yl)phenyl) 3,3’-dithiodiyldipropionat(重量平均分子量:2,000g/mol)を最終収率87%で収得した。この時、nがそれぞれ1~4である化合物の混合物の形態で収得された。前記化合物の
1H-NMRは
図4に示した。
【0094】
(2)ポリカーボネート樹脂の製造
実施例1のbis(4-(2-(4-hydroxyphenyl)propan-2-yl)phenyl) 3,3’-dithiodiyldipropionateの代わりにbis(4-(9-(4-hydroxyphenyl)-9H-fluoren-9-yl)phenyl) 3,3’-dithiodiyldipropionateを230.9gを使用したことを除いては実施例1と同様の方法で合成を行った。この時、製造されたポリカーボネートはPS standard基準重量平均分子量が50,000g/molであった。
【0095】
実施例4
窒素パージとコンデンサが備えられ、サーキュレータ(circulator)で常温維持が可能な2Lメイン反応器に水619g、前記実施例1の(1)で製造したbis(4-(2-(4-hydroxyphenyl)propan-2-yl)phenyl) 3,3’-dithiodiyldipropionate (BP-DTDPA) 15.4g、bisphenol A 111.3g、40重量%のNaOH 102.5g、MeCl2 195mlを投入して数分間攪拌させた。
【0096】
窒素パージを止めて1L丸底フラスコにトリホスゲン62.81gとMeCl2 120mlを入れてトリホスゲンを溶解させた後溶解したトリホスゲン溶液をゆっくりBP-DTDPAとBPAの混合溶液が溶けているメイン反応器に投入し、投入が完了するとPTBP(p-tert-ブチルフェノール)2.5gを入れて10分余り攪拌させた。攪拌が完了した後40重量%のNaOH水溶液99.4gを入れた後カップリング剤としてTEA 1.04gを投入した。この時、反応pHは11~13を維持した。十分に反応が行われるように時間を置いて反応を終結するためにHClを投入してpHを3~4に低下させた。そして、攪拌を中止してポリマー層と水層を分離した後水層は除去して純粋なH2Oを再び投入して水洗する過程を3~5回繰り返し行った。
【0097】
水洗が完全に行われるとポリマー層のみ抽出してメタノール、H2Oなどを利用した非溶媒を使用して再沈法でポリマー結晶体を収得した。この時、製造されたポリカーボネートはPS standard基準重量平均分子量が49,000g/molであった。NMR分析結果BP-DTDPA由来の繰り返し単位が全体繰り返し単位の重量に対して10重量%で含まれていることを確認した。
【0098】
実施例5
実施例4で、bis(4-(2-(4-hydroxyphenyl)propan-2-yl)phenyl) 3,3’-dithiodiyldipropionateの代わりに実施例2の(1)で製造したbis(3-hydroxyphenyl) 3,3’-dithiodiyldipropionate (BHP-DTDPA)モノマーを15.8g、bisphenol Aを111.6g使用したことを除いては実施例4と同一に重合を行った。この時、製造されたポリカーボネートはPS standard基準重量平均分子量が48,000g/molであった。NMR分析結果BHP-DTDPA由来の繰り返し単位が全体繰り返し単位の重量に対して10重量%で含まれていることを確認した。
【0099】
実施例6
実施例4で、bis(4-(2-(4-hydroxyphenyl)propan-2-yl)phenyl) 3,3’-dithiodiyldipropionateの代わりに実施例3の(1)で製造したbis(4-(9-(4-hydroxyphenyl)-9H-fluoren-9-yl)phenyl) 3,3’-dithiodiyldipropionate (BPF-DTDPA)モノマーを15.4g、bisphenol Aを111.3g使用したことを除いては実施例4と同一に重合を行った。この時、製造されたポリカーボネートはPS standard基準重量平均分子量が49,000g/molであった。NMR分析結果BPF-DTDPA由来の繰り返し単位が全体繰り返し単位の重量に対して10重量%で含まれていることを確認した。
【0100】
実施例7
実施例4で、bis(4-(2-(4-hydroxyphenyl)propan-2-yl)phenyl) 3,3’-dithiodiyldipropionateの代わりに実施例3の(1)で製造したBPF-DTDPAモノマーを7.62g、bisphenol Aを115g使用したことを除いては実施例4と同一に重合を行った。この時、製造されたポリカーボネートはPS standard基準重量平均分子量が49,000g/molであった。NMR分析結果BPF-DTDPA由来の繰り返し単位が全体繰り返し単位の重量に対して5重量%で含まれていることを確認した。
【0101】
実施例8
実施例4で、bis(4-(2-(4-hydroxyphenyl)propan-2-yl)phenyl) 3,3’-dithiodiyldipropionateの代わりに実施例3の(1)で製造したBPF-DTDPAモノマーを42.7g、bisphenol Aを107.9g使用したことを除いては実施例4と同一に重合を行った。この時、製造されたポリカーボネートはPS standard基準重量平均分子量が49,000g/molであった。NMR分析結果BPF-DTDPA由来の繰り返し単位が全体繰り返し単位の重量に対して30重量%で含まれていることを確認した。
【0102】
実施例9
実施例4で、bis(4-(2-(4-hydroxyphenyl)propan-2-yl)phenyl) 3,3’-dithiodiyldipropionateの代わりに実施例3の(1)で製造したBPF-DTDPAモノマーを68.1g、bisphenol Aを102.7g使用したことを除いては実施例4と同一に重合を行った。この時、製造されたポリカーボネートはPS standard基準重量平均分子量が49,000g/molであった。NMR分析結果BPF-DTDPA由来の繰り返し単位が全体繰り返し単位の重量に対して50重量%で含まれていることを確認した。
【0103】
実施例10
実施例4で、bis(4-(2-(4-hydroxyphenyl)propan-2-yl)phenyl) 3,3’-dithiodiyldipropionateの代わりに実施例3の(1)で製造したBPF-DTDPAモノマーを91.2g、bisphenol Aを98.07g使用したことを除いては実施例4と同一に重合を行った。この時、製造されたポリカーボネートはPS standard基準重量平均分子量が50,000g/molであった。NMR分析結果BPF-DTDPA由来の繰り返し単位が全体繰り返し単位の重量に対して70重量%で含まれていることを確認した。
【0104】
比較例1
窒素パージとコンデンサが備えられ、サーキュレータ(circulator)で常温維持が可能な2Lメイン反応器に水619g、bisphenol A 116.5g、40重量%のNaOH 102.5g、MeCl2 195mlを投入して数分間攪拌させた。
【0105】
窒素パージを止めて1L丸底フラスコにトリホスゲン62.81gとMeCl2 120mlを入れてトリホスゲンを溶解させた後溶解したトリホスゲン溶液をゆっくりBPAが溶けているメイン反応器に投入し、投入が完了するとPTBP(p-tert-ブチルフェノール) 2.5gを入れて10分余り攪拌させた。攪拌が完了した後40重量%のNaOH水溶液99.4gを入れた後カップリング剤としてTEA 1.04gを投入した。この時、反応pHは11~13を維持した。十分に反応が行われるように時間を置いて反応を終結するためにHClを投入してpHを3~4に低下させた。そして、攪拌を中止してポリマー層と水層を分離した後水層は除去して純粋なH2Oを再び投入して水洗する過程を3~5回繰り返し行った。
【0106】
水洗が完全に行われるとポリマー層のみ抽出してメタノール、H2Oなどを利用した非溶媒を使用して再沈法でポリマー結晶体を収得した。この時、製造されたポリカーボネートはPS standard基準重量平均分子量が49,000g/molであった。
【0107】
比較例2
先に、韓国公開特許第2017-0027256号公報の実施例1に従いbis-(4-(2-(4-hydroxyphenyl)propan-2-yl)phenyl)3,3’-thiodipropionate (BP-TDPA)を製造した。
【0108】
窒素パージとコンデンサが備えられ、サーキュレータ(circulator)で常温維持が可能な2Lメイン反応器に水620g、BPA 116.24g、bis-(4-(2-(4-hydroxyphenyl)propan-2-yl)phenyl)3,3’-thiodipropionate (BP-TDPA) 12.6g、NaOH 102.5g、MeCl2 200mlを投入して数分間攪拌させた。
【0109】
窒素パージを止めて1L丸底フラスコにトリホスゲン62gとMeCl2 120gを入れてトリホスゲンを溶解させた後溶解したトリホスゲン溶液をゆっくりBPAおよびBP-TDPA溶液が溶けているメイン反応器に投入し、投入が完了するとPTBP(p-tert-ブチルフェノール) 2.66gを入れて10分余り攪拌させた。攪拌が完了した後40重量%のNaOH水溶液97gを入れた後カップリング剤としてTEA 1.16gを投入した。この時、反応pHは11~13を維持した。十分に反応が行われるように時間を置いて反応を終結するためにHClを投入してpHを3~4に低下させた。そして、攪拌を中止してポリマー層と水層を分離した後水層は除去して純粋なH2Oを再び投入して水洗する過程を3~5回繰り返し行った。
【0110】
水洗が完全に行われるとポリマー層のみ抽出してメタノール、H2Oなどを利用した非溶媒を使用して再沈法でポリマー結晶体を収得した。この時、製造されたポリカーボネートは重量平均分子量が49,000g/molであった。
【0111】
実験例:ポリカーボネートの物性評価
前記実施例および比較例で製造したポリカーボネートの射出試験片の特性を下記の方法で測定し、その結果を表1に示した。
【0112】
*重量平均分子量(Mw):高分子樹脂200mgを200ml Tetrahydrofuran(THF)溶媒に希釈して約1000ppmのサンプルを製造してAgilent 1200 series GPC機器を用いて1ml/min FlowでRI detectorにより分子量を測定した。サンプルの分子量算出基準は標準PSスタンダード(Standard)8種を測定して検量線を作成した後これを根拠にサンプルの分子量を算出した。
【0113】
*流れ性(MI):ASTM D1238(300℃, 1.2kg条件)に基づいて測定した。
【0114】
*ガラス転移温度(Tg,℃):示差走査熱量分析器(Differential Scanning Calorimetry,DSC)
*屈折率(nD):厚さ1/8inch試験片に対してアッベ屈折計を用いてJIS-K-7142の方法で測定した。(23℃,波長589nm)
*耐候性測定(ΔE):厚さ1/8inch試験片に対してASTM D7869方法でL、aおよびb値を測定した後該当試験片をWeather-Ometer(登録商標)機械を用いて2250hr耐候性条件に放置した後L’、a’およびb’値を再び測定した。これに基づいて下記式1により耐候性ΔEを計算した。
【0115】
【0116】
【0117】
前記表1を参照すると、化学式3の単量体の中でもフルオレン(fluorene)構造を含む単量体を利用して製造されたポリカーボネートが優れた高屈折特性を示した。
【0118】
一方、比較例1の一般的なBPAポリカーボネートより本発明の繰り返し単位を含むすべての実施例が耐候性に優れ、特に、化学式1の繰り返し単位を50重量%以下で、より好ましくは約10重量%で含む時最も高い耐候性向上効果を奏した。
【0119】
また、硫黄原子を一つのみ含むチオジプロピオネート由来の繰り返し単位を含む比較例2を、同じ含有量のジチオジプロピオネート由来の繰り返し単位を含む実施例4と比較する時流動性が顕著に向上する効果を奏することがわかる。
【0120】
前記のような結果を考慮する時、レンズのような高屈折率用途のポリカーボネートを製造しようとする場合は、フルオレン構造を含む化学式3の単量体を高含量で含むことが好ましく、耐候性がより求められるポリカーボネートを製造しようとする場合は、化学式3の単量体を低含有量にすることが有利であり、用途に合わせて含有量および単量体を調節して所望する物性のポリカーボネートを製造できるものと見られる。