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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】送信装置、受信装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/116 20130101AFI20220404BHJP
   H04L 1/08 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
H04B10/116
H04L1/08
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018528906
(86)(22)【出願日】2017-07-21
(86)【国際出願番号】 JP2017026533
(87)【国際公開番号】W WO2018016642
(87)【国際公開日】2018-01-25
【審査請求日】2020-06-11
(31)【優先権主張番号】62/365,390
(32)【優先日】2016-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】P 2017042218
(32)【優先日】2017-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 誠
(72)【発明者】
【氏名】恋塚 葵
(72)【発明者】
【氏名】外園 悠貴
(72)【発明者】
【氏名】田代 諭拡
(72)【発明者】
【氏名】森川 博之
(72)【発明者】
【氏名】大原 壮太郎
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/047030(WO,A1)
【文献】特開2005-216780(JP,A)
【文献】特開2012-209952(JP,A)
【文献】特開2012-039556(JP,A)
【文献】国際公開第2015/121154(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/173015(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/121135(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/116
H04L 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローリングシャッター方式による撮像装置のフレーム時間及びギャップ時間と、複数のパケットによって構成され前記撮像装置に送信される情報の1パケットあたりの送信時間と、前記情報を構成するパケットのパケット数とに基づく再送回数によって、前記情報の送信制御を行う送信制御部と、
前記送信制御部による送信制御に基づく発光パターンによって発光することにより、前記情報を送信する発光部と
を備え
前記再送回数は、式(1)によって示される関係式に基づいて定められている
送信装置。
【数1】
但し、
N:前記パケット数、
TF:前記フレーム時間、
TG:前記ギャップ時間、
TP:前記送信時間、
S:前記再送回数。
【請求項2】
前記発光部は、
3以上の発光素子を備え、前記発光素子のうち少なくとも2つが配置される配置軸線上に、他の前記発光素子のうち少なくとも1つが配置されていない
請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
前記パケットには、当該パケットが先頭パケットか従属パケットかを示す識別情報が含まれ、
前記識別情報のうち、従属パケットを示す識別情報の情報量が、先頭パケットを示す識別情報の情報量よりも少ない
請求項1または請求項2に記載の送信装置。
【請求項4】
光を受光する受光センサを更に備え、
前記受光センサがとらえた光の明滅パターンに基づいて、情報の送信を開始する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の送信装置。
【請求項5】
記送信制御部と前記発光部と前記受光センサとのうち少なくとも1つを所定の条件に基づいて起動又は停止させる起動停止部
を更に備える
請求項に記載の送信装置。
【請求項6】
前記受光センサがとらえた光の明滅パターンが所定の明滅パターンである場合に、前記発光部の発光を許可する発光許可部
を更に備える請求項に記載の送信装置。
【請求項7】
前記所定の条件とは、前記受光センサが受光する光の明滅間隔に基づく時間であって、
前記起動停止部は、前記所定の条件に基づいて前記発光許可部を起動及び停止させ、
前記発光許可部は、前記起動停止部が前記発光許可部を起動させている期間において前記受光センサが光を受光しているか否かの判定結果に基づいて、前記発光部の発光を許可する
請求項に記載の送信装置。
【請求項8】
記受光センサの受光の状態に基づいて、前記情報の受信の状態を判定する受信状態判定部と、
前記受信状態判定部が判定した判定結果に基づいて、前記送信制御部に前記情報を再送信させる再送信制御部と
更に備える請求項4から請求項7のいずれか一項に記載の送信装置。
【請求項9】
前記情報は、複数のパケットによって構成されるセグメント毎に送信され、前記セグメントの送信にかかる時間は、前記撮像装置の前記セグメントの受信遅延時間と、前記撮像装置の光が発光される前記発光部の前記光が発光される発光状態と前記光が発光されない非発光状態との切り替えにかかる時間よりも長い時間であって、
前記再送信制御部は、
自装置が1つ前に送信したセグメントを前記情報として再送信させる
請求項に記載の送信装置。
【請求項10】
記送信制御部は、
前記情報の送信が終了した場合には、前記情報の送信が終了したことを示す発光パターンを発光させる
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の送信装置。
【請求項11】
ローリングシャッター方式による撮像部と、
前記撮像部のフレーム時間及びギャップ時間と、複数のパケットによって構成される情報の1パケットあたりの送信時間と、前記情報を構成するパケットのパケット数とに基づく再送回数による発光パターンによって前記情報を送信する発光部が前記撮像部によって撮像された発光パターン画像に基づいて、前記情報を復号する復号部と
を備え、前記再送回数は、式(1)によって示される関係式に基づいて定められている
受信装置。
【数2】
但し、
N:前記パケット数、
TF:前記フレーム時間、
TG:前記ギャップ時間、
TP:前記送信時間、
S:前記再送回数。
【請求項12】
光を発光する発光部と、
自装置の前記情報の受信の状態に応じた発光パターンを前記発光部に発光させる発光制御部と
を更に備える請求項11に記載の受信装置。
【請求項13】
前記復号部は、
前記発光パターン画像が示す発光パターンの経時変化を複数の走査列によって取得することにより前記情報を復号する
請求項11又は請求項12に記載の受信装置。
【請求項14】
コンピュータに、
ローリングシャッター方式による撮像部のフレーム時間及びギャップ時間と、複数のパケットによって構成される情報の1パケットあたりの送信時間と、前記情報を構成するパケットのパケット数とに基づく再送回数による発光パターンによって前記情報を送信する発光部が前記撮像部によって撮像された発光パターン画像を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得される前記発光パターン画像に基づいて、前記情報を復号する復号ステップと
を実行させるためのプログラムであって、
前記再送回数は、式(1)によって示される関係式に基づいて定められている
プログラム
【数3】
但し、
N:前記パケット数、
TF:前記フレーム時間、
TG:前記ギャップ時間、
TP:前記送信時間、
S:前記再送回数。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信装置、受信装置及びプログラムに関する。
本願は、2016年7月22日に、米国に仮出願された米国特許出願第62/365,390号及び、2017年3月6日に、日本に出願された特願2017-42218号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の機器間を無線通信することにより情報をやりとりするシステムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-129007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来は、センサが取得した情報を、無線通信することにより他の装置に送信する場合には、事前に機器間の通信の設定を行う必要があった。この通信の設定は、手間であった。
本発明の課題は、通信の設定の手間を抑えた、送信装置、受信装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、ローリングシャッター方式による撮像装置のフレーム時間及びギャップ時間と、複数のパケットによって構成され前記撮像装置に送信される情報の1パケットあたりの送信時間と、前記情報を構成するパケットのパケット数とに基づく再送回数によって、前記情報の送信制御を行う送信制御部と、前記送信制御部による送信制御に基づく発光パターンによって発光することにより、前記情報を送信する発光部とを備え、前記再送回数は、式(1)によって示される関係式に基づいて定められている送信装置である。
但し、
N:前記パケット数、
TF:前記フレーム時間、
TG:前記ギャップ時間、
TP:前記送信時間、
S:前記再送回数。
【0007】
また、本発明の他の態様は、前記発光部は、3以上の発光素子を備え、前記発光素子のうち少なくとも2つが配置される配置軸線上に、他の前記発光素子のうち少なくとも1つが配置されていない送信装置である。
【0008】
また、本発明の他の態様は、パケットには、当該パケットが先頭パケットか従属パケットかを示す識別情報が含まれ、前記識別情報のうち、従属パケットを示す識別情報の情報量が、先頭パケットを示す識別情報の情報量よりも少ない送信装置である。
【0009】
本発明の一態様は、光を受光する受光センサを更に備え、前記受光センサがとらえた光の明滅パターンに基づいて、情報の送信を開始する送信装置である。
【0010】
また、本発明の他の態様は、前記送信制御部と前記発光部と前記受光センサとのうち少なくとも1つを所定の条件に基づいて起動又は停止させる前記起動停止部を更に備える送信装置である。
【0011】
また、本発明の他の態様は、前記受光センサがとらえた光の明滅パターンが所定の明滅パターンである場合に、前記発光部の発光を許可する発光許可部を更に備える送信装置である。
【0012】
また、本発明の他の態様は、前記所定の条件とは、前記受光センサが受光する光の明滅間隔に基づく時間であって、前記起動停止部は、前記所定の条件に基づいて前記発光許可部を起動及び停止させ、前記発光許可部は、前記起動停止部が前記発光許可部を起動させている期間において前記受光センサが光を受光しているか否かの判定結果に基づいて、前記発光部の発光を許可する送信装置である。
【0013】
また、本発明の一態様は、前記受光センサの受光の状態に基づいて、前記情報の受信の状態を判定する受信状態判定部と、前記受信状態判定部が判定した判定結果に基づいて、前記送信制御部に前記情報を再送信させる再送信制御部とを更に備える送信装置である。
【0014】
また、本発明の他の態様は、前記情報は、複数のパケットによって構成されるセグメント毎に送信され、前記セグメントの送信にかかる時間は、前記撮像装置の前記セグメントの受信遅延時間と、前記撮像装置の光が発光される前記発光部の前記光が発光される発光状態と前記光が発光されない非発光状態との切り替えにかかる時間よりも長い時間であって、前記再送信制御部は、自装置が1つ前に送信したセグメントを前記情報として再送信させる送信装置である。
【0015】
また、本発明の一態様は、前記送信制御部は、前記情報の送信が終了した場合には、前記情報の送信が終了したことを示す発光パターンを発光させる送信装置である。
【0017】
また、本発明の一態様は、ローリングシャッター方式による撮像部と、前記撮像部のフレーム時間及びギャップ時間と、複数のパケットによって構成される情報の1パケットあたりの送信時間と、前記情報を構成するパケットのパケット数とに基づく再送回数による発光パターンによって前記情報を送信する発光部が前記撮像部によって撮像された発光パターン画像に基づいて、前記情報を復号する復号部とを備え、前記再送回数は、式(1)によって示される関係式に基づいて定められている受信装置である。
但し、
N:前記パケット数、
TF:前記フレーム時間、
TG:前記ギャップ時間、
TP:前記送信時間、
S:前記再送回数。
【0018】
また、本発明の他の態様は、光を発光する発光部と、自装置の前記情報の受信の状態に応じた発光パターンを前記発光部に発光させる発光制御部とを更に備える受信装置である。
【0019】
また、本発明の他の態様は、前記復号部は、前記発光パターン画像が示す発光パターンの経時変化を複数の走査列によって取得することにより前記情報を復号する受信装置である。
【0020】
また、本発明の一態様は、コンピュータに、ローリングシャッター方式による撮像部のフレーム時間及びギャップ時間と、複数のパケットによって構成される情報の1パケットあたりの送信時間と、前記情報を構成するパケットのパケット数とに基づく再送回数による発光パターンによって前記情報を送信する発光部が前記撮像部によって撮像された発光パターン画像を取得する取得ステップと、前記取得ステップにおいて取得される前記発光パターン画像に基づいて、前記情報を復号する復号ステップとを実行させるためのプログラムであって、前記再送回数は、式(1)によって示される関係式に基づいて定められているである。
但し、
N:前記パケット数、
TF:前記フレーム時間、
TG:前記ギャップ時間、
TP:前記送信時間、
S:前記再送回数。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、通信の設定の手間を抑えた、送信装置、受信装置及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】ローリングシャッター現象を利用した通信の一例を示す図である。
図2】パケットロスの一例を示す図である。
図3】パケット繰り返し通信方式の一例を示す図である。
図4】シーケンスレス化されたパケットの構成の一例を示す図である。
図5】通信範囲拡大手法の一例を示す図である。
図6】第1の実施形態にかかる送信装置と、無線通信するIoTデバイスとの一例を示す図である。
図7】信速度の高速化する方法を示す図である。
図8】第1の実施形態の送信装置及び受信装置の評価結果の一例を示す図である。
図9】第1の実施形態に係る送信装置の動作の一例を示す流れ図である。
図10】第2の実施形態に係る送信装置と、受信装置との外観構成の一例を示す図である。
図11】送信装置及び受信装置の構成の一例を示す図である。
図12】送信装置の動作の一例を示す流れ図である。
図13】送信判定部の動作の一例を示す図である。
図14】停止時間が制御される起動停止部の動作の一例を示す図である。
図15】第3の実施形態に係る送信装置の構成の一例を示す図である。
図16】送信装置の動作の一例を示す流れ図である。
図17】送信装置と受信装置との双方向通信の一例を示す図である。
図18】送信装置と受信装置との第2の双方向通信の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1の実施形態]
以下、図面を参照して、本発明に係るLED(light emitting diode)-カメラ間通信におけるフレーム間ロスに対処したパケット繰り返し送信方式について説明する。LEDとは、発光部の一例である。
【0024】
[あらまし]
筆者らは,ディスプレイを持たないデバイスの内部情報取得手段として,スマートフォン向けLED-カメラ間通信の研究を進めている.LEDにスマートフォンカメラをかざして情報取得を行う本通信は,デバイスに元々付属するLEDに通信機能を持たせることによる「低コスト・省スペース性」,目に見える光にスマートフォンをかざし1対1の通信を行う「直感性」に優れている.ローリングシャッター現象を利用し,1枚1枚の撮影フレームから多ビット情報を読みだすLED-カメラ間通信では,ギャップ時間と呼ばれるフレーム間に存在する撮像不能な時間により,バースト的パケットロスが発生することが課題となる.また,スマートフォンの機種によってギャップ時間の長さが異なるため,機種に依存しない対応策が求められる.本稿では,パケットロスのバースト性に着目したパケット繰り返し送信によって,データロスのない通信が実現できることを示すとともに,繰り返し送信回数などのパラメータ設定が同一設定で多機種に対応可能なことを示す.
【0025】
[キーワード]
スマートフォン向けLED-カメラ間通信,ローリングシャッター現象,可視光通信
【0026】
[IoTデバイスとスマートフォンとの通信]
・無線を用いた通信
- NFC:アンテナサイズの面から小型化が困難
- BLEやWi-Fi:直感性の欠如
・LED-カメラ間通信
- モノ側にはLEDのみがあればよく,小型化・低コスト化が容易
- 目に見える光にスマートフォンをかざす直感性
【0027】
[LED-カメラ間通信のユースケース]
・IoTデバイス構築
- 小型LEDで,センサデータの可視化機能を100円程度のコストで実装
・家電機器に付属するLEDの高機能化
- ON/OFFなどの簡単な内部情報だけでなく,エラー情報や対応手順などの詳細な内部情報を,LEDを使って発信
【0028】
[ローリングシャッター現象を利用した通信]
・スマートフォンは1秒間に30枚のフレーム(画像)を撮影ローリングシャッター現象・フレーム中のピクセルはピクセル列ごとに露光
・LED点滅情報をフレーム中の縞模様に反映
・専用のフォトダイオードなしで高速な通信が可能
【0029】
[課題:フレーム間ギャップによるバースト的パケットロス]
・フレーム間に存在する撮像不能時間(ギャップ時間)により,バースト的パケットロスが発生
・スマートフォン・LED制御用マイコン間の通信は片方向のみであるため,同期しフレーム時間内のみLEDから情報を発信することは不可能
【0030】
[パケット繰り返し送信方式]
・Nパケットで構成されるブロックごとにS回繰り返し送信
TF:フレーム時間, TG:ギャップ時間, TS:フレーム時間, TP:1パケット時間→フレーム間ギャップによるデータロスを効率的に防ぐためのN,Sの設定方法を導出
【0031】
[実装評価]
・送信機
- 5mm 白色LED,ATtiny10
・受信機
- ASUS(登録商標) ZenFone(登録商標) 2 Laser ZE601KL (Android(登録商標))
・ パラメータ設定
- TP=2.78ms,N=6,S=2
・結果
- 通信速度1.44kbpsのロスなし通信を実現
【0032】
[まとめ]
・「小型・低コスト」,「直感的」なLED-スマートフォン間通信の設計
・フレーム間ギャップによるパケットロス対策に向けたパケット繰り返し送信
・直径5mmの白色LEDとATtiny10による省資源実装で,パケットロス無しで1.44kbpsのスループットを達成可能なことを実証
【0033】
ローリングシャッター方式による撮像装置のフレーム時間及びギャップ時間と、複数のパケットによって構成され撮像装置に送信される情報の1パケットあたりの送信時間と、情報を構成するパケットのパケット数とに基づく再送回数によって、情報の送信制御を行う送信制御部と、送信制御部による送信制御に基づく発光パターンによって発光することにより、情報を送信する発光部とを備える送信装置。
【0034】
再送回数は、パケット数が、再送回数及び送信時間の積とギャップ時間及び送信時間の和との比以上であり、かつ送信時間とフレーム時間との比以下であることを示す関係式に基づいて定められている送信装置。
【0035】
発光部は、3以上の発光素子を備え、発光素子のうち少なくとも2つが配置される配置軸線上に、他の発光素子のうち少なくとも1つが配置されていない送信装置。
【0036】
パケットには、当該パケットが先頭パケットか従属パケットかを示す識別情報が含まれ、識別情報のうち、従属パケットを示す識別情報の情報量が、先頭パケットを示す識別情報の情報量よりも少ない送信装置。
【0037】
ローリングシャッター方式による撮像部と、撮像部のフレーム時間及びギャップ時間と、複数のパケットによって構成される情報の1パケットあたりの送信時間と、情報を構成するパケットのパケット数とに基づく再送回数による発光パターンによって情報を送信する発光部が撮像部によって撮像された発光パターン画像に基づいて、情報を復号する復号部と を備える受信装置。
【0038】
復号部は、発光パターン画像が示す発光パターンの経時変化を複数の走査列によって取得することにより情報を復号する受信装置。
【0039】
コンピュータに、ローリングシャッター方式による撮像部のフレーム時間及びギャップ時間と、複数のパケットによって構成される情報の1パケットあたりの送信時間と、情報を構成するパケットのパケット数とに基づく再送回数による発光パターンによって情報を送信する発光部が撮像部によって撮像された発光パターン画像を取得する取得ステップと、取得ステップにおいて取得される発光パターン画像に基づいて、情報を復号する復号ステップとを実行させるためのプログラム。
【0040】
[ローリングシャッターについて]
図1は、ローリングシャッター現象を利用した通信の一例を示す図である。
図1に示すように、スマートフォンは、1秒間に30枚の画像を撮像する。ここで、スマートフォンとは、受信装置又は撮像装置の一例である。
【0041】
スマートフォンは、発光部13からの光をローリングシャッター方式によって撮像する。ローリングシャッター方式とは、不図示の撮像素子のうちの一部分を、順次露光させることにより、撮像画像を生成する方式である。この一例では、スマートフォンは、100μsごとに、一部分露光する。より具体的には、スマートフォンは、ピクセル列R1を露光する。このピクセル列R1が露光されているときは、発光部13は発光している。このため、撮像画像のうち、ピクセル列R1に対応する画素には、発光部13が発光したことを示す白色が記録される。
【0042】
次に、ピクセル列R1を撮像した100μs後に、スマートフォンは、ピクセル列R2を露光する。このピクセル列R2が露光されているときは、発光部13は消灯している。
このため、撮像画像のうち、ピクセル列R2に対応する画素には、発光部13が消灯したことを示す黒色が記録される。
【0043】
次に、ピクセル列R3を撮像した100μs後に、スマートフォンは、ピクセル列R3を露光する。このピクセル列R3が露光されているときは、発光部13は発光している。
このため、撮像画像のうち、ピクセル列R3に対応する画素には、発光部13が発光したことを示す白色が記録される。同様に、スマートフォンは、撮像素子の全てのピクセル列について、順次露光する。撮像装置がピクセル列を順次露光して1枚の画像を撮影することを、1フレームとも記載する。このスマートフォンが撮像した撮像画像を、発光パターン画像とも記載する。スマートフォンは、この発光パターン画像に基づいて、情報を復号する復号部を備える。具体的には、復号部は、予め定められた画素の情報と復号する情報とがそれぞれ対応付けられた情報に基づいて復号する。この一例では、撮像画像に含まれる白色と黒色とが、それぞれ1つの情報である。より具体的には、復号部は、白色を1と復号し、黒色を0と復号する。なお、復号部が復号する情報は、これに限られない。復号部は、白色を0と復号してもよく、黒色を1と復号してもよい。
【0044】
[パケットロスの一例]
次に、図2を参照して、パケットロスの一例について説明する。
図2は、パケットロスの一例を示す図である。
撮像装置は、上述したフレーム単位で撮像画像を生成する。この1フレームの撮像にかかる時間を、フレーム時間とも記載する。撮像装置が1フレーム撮像すると、ギャップ時間が生じる。ギャップ時間とは、撮像が出来ない時間のことである。撮像装置は、ギャップ時間の間には、発光部からの光を撮像することができない。このギャップ時間の間に発光された光が示す情報が、パケットロスである。なお、フレーム時間及びギャップ時間は、撮像装置によって長さがそれぞれ異なる。
【0045】
[パケット繰り返し通信方式の一例]
次に、図3を参照して、パケット繰り返し通信方式について説明する。
図3は、パケット繰り返し通信方式の一例を示す図である。
送信装置は、Nパケットで構成されるブロックごとにS回繰り返し送信する。ここで、フレーム間ギャップによるデータロスを効率的に防ぐためのN及びSの設定方法を導出する方法について説明する。Nとは、一度に送信するパケットの数を示す整数である。以下の説明の数式におけるNも同様である。Sとは、繰り返し送信する回数を示す整数である。以下の数式におけるSも同様である。
【0046】
【数1】
【0047】
式(1)は、撮像装置のフレーム時間及びギャップ時間と、複数のパケットによって構成され撮像装置に送信される情報の1パケットあたりの送信時間と、情報を構成するパケットのパケット数とに基づく再送回数を導出した式である。ここで、式(1)に含まれるTFとは、上述した撮像装置のフレーム時間である。式(1)に含まれるTGとは、上述した撮像装置のギャップ時間である。式(1)に含まれるTPとは、1パケットを送信するのに要する時間である。
【0048】
より具体的には、この再送回数Sは、パケット数Nが、再送回数N及び送信時間TPの積とギャップ時間TG及び送信時間TPの和との比以上であり、かつ送信時間TPとフレーム時間TFとの比以下であることを示す関係式に基づいて定められている。この関係式とは、上述した式(1)である。
送信装置は、送信制御部を備える。送信制御部は、式(1)から算出されるNパケットを、S回繰り返し送信することにより、情報の送信制御を行う。
【0049】
[シーケンスレス化されたパケットの一例]
次に、図4を参照して、パケットのシーケンスレス化について説明する。
図4は、シーケンスレス化されたパケットの構成の一例を示す図である。
【0050】
この一例では、パケットには、当該パケットが先頭パケットか従属パケットかを示す識別情報が含まれる。この識別情報のうち、従属パケットを示す識別情報の情報量が、先頭パケットを示す識別情報の情報量よりも少ない。具体的には、従来のパケットは、プリンアブルと、シーケンス部と、データ部とによって構成される。このシーケンス部には、Bsbit長の情報が記憶される。1bitは、2値を表現することができる。また、この2値が、それぞれ、発光部が発光した状態と、発光部が消灯した状態とに対応する。データ部には、BDbit長の情報が記憶される。
【0051】
シーケンスレス化されたパケットには、プリンアブルに、A0、A1、B0、B1の4種類のプリンアブルが設定される。以下の説明では、A0及びA1のことを区別しない場合には、Aとも記載する。以下の説明では、B0及びB1のことを区別しない場合には、Bとも記載する。このAとBとによって、異なる種類のブロックを識別する。一例として、Aは偶数番号のブロックに割り振られる。また、Bは、奇数番号のブロックに割り振られる。以下の説明では、A0及びB0を区別しない場合には、0とも記載する。A1及びB1を区別しない場合には、1とも記載する。この0と、1とによって、ブロック内におけるパケットの順番を判別する。一例として、先頭のパケットを0とする。また、先頭以外のパケットを1とする。
【0052】
[通信可能範囲拡大手法]
次に、図5を参照して、通信範囲拡大手法について説明する。
図5は、通信範囲拡大手法の一例を示す図である。
図5に示す発光部には、複数の発光素子が含まれる。撮像装置のピクセル列方向には、複数の発光素子からの光が露光される。通信範囲拡大の手法とは、発光部を1つの撮像画像として撮像し、この撮像画像を複数列スキャンによって復調点選択する方法である。スキャン方向とは、ローリングシャッター方式のピクセル列と垂直の方向である。復号部は、発光パターン画像が示す発光パターンの経時変化を複数の走査列によって取得することにより情報を復号する。具体的には、スマートフォンは、ピクセル列の方向に複数の領域を設定し、この領域毎に情報を復号する。複数の領域とは、走査列の一例である。この領域は、撮像される複数の発光素子の配置に基づく領域である。スマートフォンは、この領域と対応する複数の発光素子からの光を露光する。スマートフォンは、領域毎に発光素子からの光を復号する。これにより、スマートフォンは、1つのピクセル列に複数の発光素子からの情報が含まれた撮像画像に基づいてより多くの情報を復号することができる。
【0053】
図5(i)及び図5(iv)に示す発光部は、3以上の発光素子を備え、発光素子のうち少なくとも2つが配置される配置軸線上に、他の発光素子のうち少なくとも1つが配置されていない。以下の説明では、図5(i)及び図5(iv)に示す発光素子の配置のことを、発光素子を互い違いに配置するとも記載する。発光素子を互い違いに配置することにより、通信のエラー率を抑えつつ通信可能範囲を拡大することができる。
【0054】
[IoTデバイスとスマートフォンとの通信]
次に、図6を参照して、IoT(Internet of Things)デバイスとスマートフォンとの通信について説明する。
図6は、第1の実施形態にかかる送信装置と、無線通信するIoTデバイスとの一例を示す図である。
IoTデバイスとは、複数の物同士が情報を交換することができるデバイスのことである。従来の無線通信によるIoTデバイスでは、無線通信のためのアンテナや、操作のしにくさといった課題があった。本実施形態の送信装置には、発光部であるLEDを備えていればよく、小型化と、生産にかかる費用を抑えることができる。また、本実施形態の送信装置は、LEDが可視光を発光する。これにより、操作者が目視可能な光に、受信装置であるスマートフォンをかざすことができる。このかざす動作によって、操作者は、直感的に受信装置から情報を取得することができる。
【0055】
[通信速度の高速化]
次に、図7を参照して通信速度の高速化について説明する。
図7は、通信速度の高速化する方法を示す図である。
通信速度の高速化には、1ブロックの繰り返し送信回数であるSを最小化すればよい。
このSに2を代入し、上述した式(1)に、このSを導入する。このSが導入された式(1)を満たすNが存在するかを算出する。上述したように、Nとは、1ブロックを構成するパケットの数である。
上述した式(1)を満たすNが存在する場合には、そのSが、最小化された繰り返し送信回数である。
上述した式(1)を満たすNが存在しない場合には、式(1)を満たすNが存在するまでSに代入した値に1を加算し、式(1)を満たすNが存在するかを算出する。
【0056】
[実装評価]
次に、図8を参照して、第1の実施形態の送信装置及び受信装置の評価結果について説明する。
図8は、第1の実施形態の送信装置及び受信装置の評価結果の一例を示す図である。
図8には7機種の受信装置であるスマートフォンを評価した結果が示される。
【0057】
[第1の実施形態に係る送信装置の動作の概要]
次に、図9を参照して、第1の実施形態に係る送信装置の動作の概要について説明する。
図9は、第1の実施形態に係る送信装置の動作の一例を示す流れ図S1である。
【0058】
この送信装置は、センサと、送信制御部と、発光部とを備える。センサは、周囲の環境を測定する。センサは、測定した結果を示す測定情報を生成する。ここで測定情報とは、情報の一例である。送信制御部は、上述した送信方法によって、測定情報の送信制御を行う。発光部は、送信制御部による送信制御に基づく発光パターンによって発光することにより、測定情報を送信する。
【0059】
送信装置は、センサから測定情報を取得する(ステップS110)。送信制御部は、センサから取得した測定情報を、複数のパケットに変換する(ステップS120)。送信制御部は、変換した複数のパケットに基づいて、発光パターンを生成する(ステップS130)。この発光パターンは、1パケットあたりの送信時間と、測定情報を構成するパケットのパケット数とに基づく再送回数に基づく発光パターンである。
【0060】
送信制御部は、生成した発光パターンに基づいて、発光部の発光の状態を変化させる(ステップS140)。送信制御部は、測定情報の送信を終えたか否かを判定する(ステップS150)。送信制御部は、測定情報の送信を終えていない場合(ステップS150;NO)には、生成した発光パターンのうちから、次の発光の状態を読み出す(ステップS160)。送信制御部は、発光部を、読み出した発光の状態に変化させる。送信制御部は、測定情報の送信を終えた場合には、処理を終了する(ステップS150;YES)。
【0061】
以上説明したように、送信装置は、発光部と、送信制御部を備える。送信制御部は、複数のパケットを上述した再送回数によって情報の送信制御を行う。発光部は、送信制御部の送信制御に基づく発光パターンによって発光する。受信装置は、撮像部と、復号部とを備える。撮像部は、ローリングシャッター方式によって、送信装置からの光を発光パターンとして撮像する。復号部は、この発光パターン画像に基づいて、送信装置から出力される情報を復号する。操作者は、受信装置の撮像機能によって送信装置を撮像することにより、送信装置からの情報を取得する。これにより、送信装置及び受信装置は、それぞれ通信の設定の手間を抑えることができる。
また、送信装置は、発光部からの光によって情報を送信することができるので、無線通信する送信装置と比較して小型の筐体である。送信装置は小型の筐体であるため、製造コストを抑制することができる。
【0062】
なお、上述した説明では、ローリングシャッター方式を、ピクセル列ごとに露光する方法について説明したがこれに限られない。ピクセル行毎に露光する撮像素子の場合には、ピクセル列ごとに記録されればよい。また、ローリングシャッター方式は、ピクセルごとに順次露光されてもよい。スマートフォンは、撮像素子のローリングシャッター方式が露光する順に情報を復元すればよい。
【0063】
[第2の実施形態]
[送信装置の起動制御]
次に、図10を参照して、送信装置と、受信装置とが情報を交換する構成について説明する。なお、上述した第1の実施形態と同一の構成及び動作については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図10は、第2の実施形態に係る送信装置10と、受信装置20との外観構成の一例を示す図である。
【0064】
送信装置10は、不図示の電池からの電力により動作する。この一例では、送信装置10は、光を受光すると、情報の送信を開始する。受信装置20は、送信装置10から送信される情報を取得する。
具体的には、送信装置10は、光を受光する受光部13を備える。受光部13は、受光した光の強さを示す光強度信号を生成する。送信装置10は、受光部13が光を受光すると、情報の出力を開始する。送信装置10は、発光部12を発光させることにより、センサ14が測定した測定情報を出力する。受信装置20は、発光部12から発光される発光パターンを撮像部21によって、発光パターン画像として撮像する。受信装置20は、発光パターン画像に基づいて情報を復号する。受信装置20は、復号した復号した情報を表示部23に表示させる。
【0065】
[送信装置10及び受信装置20の構成の一例]
次に、図11を参照して、送信装置10及び受信装置20の構成について説明する。
図11は、送信装置10及び受信装置20の構成の一例を示す図である。
【0066】
送信装置10は、センサ14と、演算部11と、発光部12と、受光部13と、起動停止部15とを備える。上述したように、センサ14は、周囲の環境を測定する。センサ14は、測定した情報を測定情報として演算部11に対して出力する。
【0067】
演算部11は、信号取得部114と、受信信号生成部113と、送信判定部112と、送信制御部111とを備える。信号取得部114、受信信号生成部113及び送信判定部112は、発光許可部の一例である。
信号取得部114は、受光部13から光強度信号を取得する。信号取得部114は、受光部13から取得した光強度信号を、受信信号生成部113に対して出力する。
受信信号生成部113は、信号取得部114から光強度信号を取得する。受信信号生成部113には、信号取得部114から取得された光強度信号が、取得された順に記憶される。この取得された時系列順に並べられた光強度信号のことを、明滅パターンとも記載する。受信信号生成部113は、明滅パターンを、送信判定部112に対して出力する。
【0068】
送信判定部112は、受光部13がとらえた光の明滅パターンが所定の明滅パターンである場合に、発光部12の発光を許可する。具体的には、送信判定部112は、受信信号生成部113から明滅パターンを取得する。送信判定部112は、受信信号生成部113から取得した明滅パターンに基づいて、測定情報を送信するか否かを判定する。以下の説明では、受信信号生成部113が判定した結果のことを、送信判定結果とも記載する。送信判定部112は、送信判定結果を、送信制御部111に対して出力する。
【0069】
送信制御部111は、センサ14から測定情報を取得する。送信制御部111は、送信判定部112から送信判定結果を取得する。送信制御部111は、送信判定部112から取得する送信判定結果に基づいて、ローリングシャッター方式による受信装置20のフレーム時間及びギャップ時間と、複数のパケットによって構成され受信装置20に送信される情報の1パケットあたりの送信時間と、測定情報を構成するパケットのパケット数とに基づく再送回数によって、センサ14から取得した測定情報の送信制御を行う。言い換えると、送信制御部111は、この送信制御によって発光部12の発光の状態を制御する。
【0070】
発光部12は、送信制御部111による送信制御に基づく発光パターンによって発光する。言い換えると、発光部12は、撮像部21のフレーム時間及びギャップ時間と、複数のパケットによって構成される情報の1パケットあたりの送信時間と、測定情報を構成するパケットのパケット数とに基づく再送回数による発光パターンによって測定情報を送信する。発光部12は、この発光パターンによって測定情報を出力する。
【0071】
起動停止部15は、送信制御部111と発光部12と受光部13とのうち少なくとも1つを所定の条件に基づいて起動又は停止させる。この一例では、起動停止部15は、演算部11を、起動又は停止させる。ここで、起動停止部15が起動又は停止させる条件である所定の条件とは、受光センサが受光する光の明滅間隔に基づく時間である。具体的には、所定の条件には、時間経過の条件と、受光部13が光を受光したか否かの条件と、明滅パターンが所定の明滅パターンか否かの条件と、のうちの少なくとも1つの条件である。
より具体的には、起動停止部15は、所定の時間経過に応じて、演算部11を起動させる。起動停止部15は、送信判定部112の送信判定結果が、送信すると判定した場合には、時間経過の条件では、演算部11を停止させない。起動停止部15は、送信判定部112の送信判定結果が送信しないと判定した場合には、演算部11を停止させる。
【0072】
受信装置20は、撮像部21と、復号部22と、表示部23と、発光制御部24と、フラッシュ25とを備える。
撮像部21は、ローリングシャッター方式によって撮像する。
復号部22は、発光パターン画像に基づいて、測定情報を復号する。発光パターン画像とは、発光部12が撮像部21によって撮像された画像である。復号部22は、復号した測定情報を、表示部23に表示させる。表示部23は、測定情報を表示する。
【0073】
発光制御部24は、フラッシュ25を明滅させる。
【0074】
[送信装置10の動作の概要]
次に、図12を参照して、送信装置10の動作の概要について説明する。
図12は、送信装置10の動作の一例を示す流れ図S2である。なお、ここに示す処理手順は、一例であって、処理手順の省略や処理手順の追加が行われてもよい。
【0075】
起動停止部15は、センサ14を起動させる(ステップS210)。起動停止部15は、演算部11を起動させる(ステップS220)。
信号取得部114は、センサ14から光強度信号を取得する。信号取得部114は、センサ14から取得した光強度信号を、受信信号生成部113に対して供給する。受信信号生成部113は、信号取得部114から光強度信号を取得する。受信信号生成部113は、信号取得部114から取得した光強度信号に基づいて、明滅パターンを生成する。受信信号生成部113は、生成した明滅パターンを、送信判定部112に対して供給する。送信判定部112は、受信信号生成部113から明滅パターンを取得する。送信判定部112は、受信信号生成部113から取得した明滅パターンに基づいて、送信判定をする(ステップS230)。受信信号生成部113は、起動条件を満たすか否かを判定する(ステップS240)。
【0076】
受信信号生成部113は、所定の条件を満たす場合(ステップS240;YES)には、起動停止部15の起動又は停止動作を止め、流れ図S1の処理を実行する。
【0077】
受信信号生成部113は、所定の条件を満たさない場合(ステップS240;NO)には、起動停止部15に演算部11の動作を停止させる(ステップS250)。起動停止部15は、所定の時間、何も処理しない(ステップS260)。起動停止部15は、所定の時間経過後、ステップS210からの処理を繰り返す。
【0078】
ここで、図13を参照して、送信判定部112が判定する動作の具体例について説明する。
図13は、送信判定部112の動作の一例を示す図である。
図13(a)は、フラッシュ25の発光の状態を時系列に並べた図である。図13(b)は、受光部13が受光した明滅パターンの一例を示す図である。
【0079】
フラッシュ25の発光の状態は、時刻t0から時刻t1までの間、消灯状態である。受光部13は、時刻t0から時刻t1までの間、光を受光していない。また、起動停止部15は、時刻t0から時刻t1までの間に、8回、演算部11の起動と停止とを繰り返す。
時間間隔Tsleepとは、上述したステップS260に示す所定の時間の一例である。
【0080】
この一例では、フラッシュ25は、発光パターンFPT1で発光する。具体的には、フラッシュ25の発光の状態は、時刻t1から時刻t2までの間、点灯状態である。以下の説明では、このフラッシュ25が点灯状態を維持する時間を、時間間隔Tflashとも記載する。受光部13は、時刻t1から時刻t2までの間に、光を受光する。同様に、フラッシュ25の発光の状態は、時刻t3から時刻t4までの間、時刻t5から時刻t6までの間及び時刻t7から時刻t8までの間、点灯状態である。同様に、受光部13は、時刻t3から時刻t4までの間、時刻t5から時刻t6までの間及び時刻t7から時刻t8までの間、時刻t1から時刻t2までの間に、光を受光する。
【0081】
フラッシュ25の発光の状態は、時刻t2から時刻t3までの間、消灯状態である。受光部13は、時刻t2から時刻t3までの間に、光を受光していない。同様に、フラッシュ25の発光の状態は、時刻t4から時刻t5までの間、時刻t6から時刻t7までの間及び時刻t7から時刻t8までの間、消灯状態である。同様に、受光部13は、時刻t4から時刻t5までの間、時刻t6から時刻t7までの間及び時刻t7から時刻t8までの間、光を受光していない。
【0082】
この一例では、明滅パターンには、連続した4回の明滅が含まれる。この連続した4回の明滅パターンが、所定の明滅パターンであるため、送信判定部112は、送信制御部111の送信を許可する。言い換えると、送信判定部112は、受光部13がとらえた光の明滅パターンが所定の明滅パターンであるために発光部12の発光を許可する。送信装置10は、測定情報の出力を開始する。
【0083】
[停止時間の制御について]
次に、図14を参照して、演算部11の停止時間を制御する構成について説明する。
図14は、停止時間が制御される起動停止部15の動作の一例を示す図である。
図14(a)は、フラッシュ25の発光の状態を時系列に並べた図である。図14(b)は、受光部13が受光した明滅パターンの一例を示す図である。
【0084】
この構成では、送信判定部112は、起動停止部15が送信判定部112を起動させている期間において受光部13が光を受光しているか否かの判定結果に基づいて、発光部12の発光を許可する。具体的には、図14(b)に示す時間間隔Tsleep1は、上述した時間間隔Tsleepよりも長い。これは、起動停止部15は、受光部13が複数回、光を受光しない状態が続いた場合に、起動停止部15の所定の条件である時間経過の条件を、より長い時間経過の条件に変更されるためである。起動停止部15は、受光部13が光を受光すると、時間間隔Tsleep2の停止時間に変更される。この時間間隔Tsleep2は、上述した時間間隔Tsleepと同じ時間である。
【0085】
具体的には、フラッシュ25の発光の状態は、時刻t20から時刻t21までの間、消灯状態である。受光部13は、時刻t20から時刻t21までの間、光を受光していない。この時刻t20から時刻t21までの間隔が、上述した時間間隔Tsleep1である。
起動停止部15は、時刻t20から時刻t23までの間に、3回、演算部11の起動と停止とを繰り返す。
【0086】
この一例では、フラッシュ25は、上述した発光パターンFPT1で発光する。具体的には、フラッシュ25の発光の状態は、時刻t23から時刻t24までの間、点灯状態である。同様に、フラッシュ25の発光の状態は、時刻t25から時刻t26までの間、時刻t27から時刻t28までの間及び時刻t29から時刻t30までの間、点灯状態である。フラッシュ25の発光の状態は、時刻t24から時刻t25までの間、消灯状態である。同様に、フラッシュ25の発光の状態は、時刻t26から時刻t27までの間及び時刻t28から時刻t29までの間に、消灯状態である。
受光部13は、時刻t23から時刻t24までの間は、演算部11が停止されているために、光を受光しない。受光部13は、時刻t24から時刻t27までも同様に、演算部11が停止されているために、光を受光しない。受光部13は、時刻t27から時刻t28までの間及び時刻t29から時刻t30までの間に、それぞれ光を受光する。
【0087】
ここで、時間間隔Tflashと、時間間隔Tsleep2との時間間隔を概ね同じ時間間隔に設定する場合には、送信判定部112が判定する所定の明滅パターンに含まれる明滅の繰り返しは2回でよい。これにより、送信装置10が測定情報を出力するまでの起動又は停止の判定回数を抑制することができる。これにより、送信装置10は、受信装置20へ測定情報を送信開始するまで時間を短縮することができる。
【0088】
以上説明したように、送信装置10は、時間経過の条件を、受光部13の受光の状態に応じて変更してもよい。これにより、送信装置10は、時間経過の条件を変更しない場合よりも電力の消費を抑えることができる。
【0089】
[光強度信号について]
送信判定部112は、受光部13が受光する光の強さによって、フラッシュ25からの光を受光しているか、環境光を受光しているかを判定してもよい。この場合には、明滅パターンには、光の強さを示す情報が含まれていればよい。
具体的には、送信判定部112は、1つ前に受光した光の強さと、最も新しい受光した光の強さとを比較する。より具体的には、送信判定部112は、1つ前に受光した光の強さと、最も新しい受光した光の強さとの差が、所定の閾値よりも高い場合には、受光した光が受信装置20からの光であると判定する。また、送信判定部112は、1つ前に受光した光の強さと、最も新しい受光した光の強さとの差が、所定の閾値よりも低い場合には、受光した光が環境光であると判定する。
【0090】
これにより、送信判定部112は、環境光による誤送信を抑制する。誤送信を抑制することにより、送信装置10の電力消費をより抑えることができる。また、送信判定部112は、測定情報を出力するまでの起動又は停止の判定回数を抑制することができる。これにより、送信装置10は、受信装置20へ測定情報を送信開始するまで時間を短縮することができる。
【0091】
[第2の実施形態のまとめ]
送信装置10は、起動停止部15と、演算部11、受光部13、発光部12とを備える。演算部11は、送信制御部111と、送信判定部112とを備える。
起動停止部15は、所定の条件に基づいて、演算部11の動作を起動又は停止させる。
送信判定部112は、起動中に受光部13が受光した光の明滅パターンに基づいて、情報を送信するか否かを判定する。送信制御部111は、送信判定部112が情報を送信すると判定する場合には、発光部12の発光制御を開始する。これにより、送信装置10は、電力の消費を抑えることができる。送信装置10は、電力の消費を抑えることができるため、長期間稼働することができる。送信装置10は、長期間稼働することができるため、頻繁に測定した情報を取得する必要が無い場所や、既存の無線通信網が無い場所などに設定することができる。
【0092】
なお、上述した説明では、送信判定部112は、所定の明滅パターンの場合に、送信すると判定したが、必須ではない。送信判定部112は、受光部13が光を1度受光した場合にも、送信すると判定してもよい。送信判定部112は、所定の明滅パターンの場合に送信すると判定する構成の場合には、フラッシュ25以外の環境光によって送信されることを抑制することができる。これにより、送信装置10は、電力の消費を抑えることができる。
【0093】
なお、上述した説明では、起動停止部15は、演算部11を起動又は停止させる構成について説明したがこれに限られない。起動停止部15は、演算部がマイクロコンピュータの場合には、スリープ機能であってもよい。このスリープ機能は、所定の時間間隔を空けてマイクロコンピュータの起動又は停止を交互に繰り返す機能である。言い換えると、演算部11は、起動停止部15を備えてもよい。起動停止部15がスリープ機能の場合には、起動停止部15を構成する部品を減らすことができる。このため、送信装置10を安価に構成することができる。
また、起動停止部15は、発光部12の通電の状態を切り替える構成であってもよい。
この構成の場合には、送信装置10は、発光部12が発光することにより消費される電力を抑制することができる。
【0094】
なお、上述した説明では、送信装置10は、発光部12を送信制御部111が制御することにより、光を明滅させることにより通信を行う場合について説明したがこれに限られない。送信装置10は、無線通信などの他の方法によって受信装置20に対して情報を送信してもよい。言い換えると、送信装置10は、光を受光する受光センサを備え、受光センサがとらえた光の明滅パターンに基づいて、情報の送信を開始する送信装置であってもよい。
上述したように、送信装置10は、使用できる電力量が限られた電池などによって駆動される。送信装置10は、受光部13が光を受光する期間と、光を受光しない期間とを有することにより、この光の明滅パターンの検出に用いる電力量を抑制することができる。
【0095】
[第3の実施形態]
[双方向通信について]
ここまでは、送信装置が測定情報の送信を開始する構成について説明した。次に、図15を参照して、送信装置10aと、受信装置20aとが双方向通信する構成について説明する。なお、上述した第1の実施形態及び第2の実施形態と同一の構成及び動作については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図15は、第3の実施形態に係る送信装置10aの構成の一例を示す図である。
【0096】
送信装置10aは、光を受光すると、情報の送信を開始する。受信装置20aは、送信装置10から送信される情報を取得する。
具体的には、送信装置10aは、光を受光する受光部13を備える。送信装置10aは、受光部13が光を受光すると、情報の出力を開始する。送信装置10aは、発光部12を発光させることにより、センサ14が測定した測定情報を出力する。受信装置20aは、発光部12から発光される発光パターンを撮像部21によって、発光パターン画像として撮像する。受信装置20aは、発光パターン画像に基づいて情報を復号する。受信装置20aは、復号した情報に応じた発光パターンである応答パターンをフラッシュ25に発光させる。受光部13は、フラッシュ25からの応答パターンを受光する。送信装置10aは、受光した応答パターンに基づいて、送信した測定情報が正常に受け取れたか否かを判定する。
【0097】
送信装置10aは、演算部11aを備える。演算部11aは、送信制御部111aと、再送信制御部115と、受信状態判定部116と、信号取得部114とを備える。
【0098】
送信制御部111aは、センサ14から測定情報を取得する。送信制御部111は、ローリングシャッター方式による受信装置20aのフレーム時間及びギャップ時間と、複数のパケットによって構成され受信装置20aに送信される情報の1パケットあたりの送信時間と、測定情報を構成するパケットのパケット数とに基づく再送回数によって、センサ14から取得した測定情報の送信制御を行う。この一例では、送信制御部111aは、セグメント毎に情報を送信する。セグメントは、複数のパケットによって構成される。このセグメントの送信にかかる時間は、受信装置20aのセグメントの受信遅延時間と、受信装置20aの光が発光されるフラッシュ25の光が発光される発光状態と、光が発光されない非発光状態との切り替えにかかる時間よりも長い時間である。
【0099】
また、送信制御部111aは、再送信制御部115から、再送信情報を取得する。再送信情報とは、既に送信済みのパケットの再送信の要求を示す信号である。
【0100】
受信状態判定部116は、受光部13の受光の状態に基づいて、受信装置20aの情報の受信の状態を判定する。具体的には、受信状態判定部116は、受光部13が光を受光している場合には、受信装置20aが情報の受信ができていると判定する。受信状態判定部116は、受光部13が光を受光していない場合には、受信装置20aが情報の受信ができていないと判定する。
再送信制御部115は、受信状態判定部116が判定した判定結果に基づいて、送信制御部111aにセグメントを再送信させる。具体的には、再送信制御部115は、受信状態判定部116が、情報の受信ができていないと判定する場合には、パケットの再送信を示す再送信情報を、送信制御部111aに対して出力する。
【0101】
送信制御部111aは、再送信制御部115から再送信信号を取得した場合には、1つ前に送信したセグメントを再送信する。
【0102】
受信装置20aは、撮像部21と、復号部22aと、表示部23と、発光制御部24aと、フラッシュ25とを備える。
【0103】
復号部22aは、発光パターン画像に基づいて、測定情報を復号する。発光パターン画像とは、発光部12が撮像部21によって撮像された画像である。
復号部22aは、セグメントに含まれるパケットが復号できた場合には、発光制御部24aに対して復号が成功したことを示す復号成功情報を出力する。復号部22aは、復号した測定情報を、表示部23に表示させる。
復号部22aは、セグメントに含まれるパケットが復号できない場合には、発光制御部24aに対して復号が失敗したことを示す復号失敗情報を出力する。
【0104】
発光制御部24aは、自装置の測定情報の受信の状態に応じた発光パターンをフラッシュ25に発光させる。具体的には、発光制御部24aは、復号部22aから復号成功情報又は復号失敗情報を取得する。発光制御部24aは、復号成功情報を取得した場合には、フラッシュ25を発光させる。発光制御部24aは、復号失敗情報を取得した場合には、フラッシュ25を消灯させる。
【0105】
[第3の実施形態に係る送信装置の動作の概要]
次に、図16を参照して、送信装置10aの動作の概要について説明する。
図16は、送信装置10aの動作の一例を示す流れ図S3である。なお、ここに示す処理手順は、一例であって、処理手順の省略や処理手順の追加が行われてもよい。
【0106】
受信状態判定部116は、受信装置20aの受信状態の監視を開始する(ステップS310)。受信装置20aは、受信可能な状態の場合には、フラッシュ25の点灯状態を維持する。送信制御部111aは、第1のセグメントを送信する(ステップS320)。撮像部21は、第1のセグメントを撮像する。送信制御部111aは、第1のセグメントの次のセグメントである第2のセグメントを送信する(ステップS330)。ここで、復号部22aは、第1のセグメントに含まれるパケットを全て復号できたか否かを判定する。
復号部22aは、第1のセグメントが復号できていない場合には、復号失敗情報を、発光制御部24aに対して出力する。発光制御部24aは、復号失敗情報を取得した場合には、フラッシュ25を消灯させる。受信状態判定部116は、再送信が必要か否かを判定する(ステップS340)。
【0107】
再送信が必要な場合(ステップS340;YES)には、再送信制御部115は、再送信信号を送信制御部111aに対して出力する。送信制御部111aは、送信制御部111aから再送信信号を取得する。送信制御部111aは、1つ前のセグメントである第1のセグメントを送信する(ステップS350)。送信制御部111aは、ステップS330からステップS340を繰り返す。
再送信が必要ない場合(ステップS340;NO)には、送信制御部111aは、測定情報の全ての送信が完了したか否かを判定する(ステップS360)。
【0108】
測定情報の全ての送信が完了していない場合(ステップS360;NO)には、残りのセグメントを順次送信する。
測定情報の全ての送信が完了している場合(ステップS360;YES)には、受信状態判定部116は、受信装置20aの受信状態の監視を終了する(ステップS370)。
【0109】
[双方向通信の具体例]
次に、図17を参照して、送信装置10aと受信装置20aとの双方向通信の一例について説明する。
図17は、送信装置10aと受信装置20aとの双方向通信の一例を示す図である。
【0110】
送信装置10aは、時刻t70から時刻t71までの間にセグメントSEG120を送信する。セグメントSEG120は、受信装置20aによって時刻t80に受信が開始され、時刻t81に受信が終了される。復号部22aは、セグメントSEG120に含まれるパケットを復号する。復号部22aは、復号が失敗した場合には、フラッシュ25を消灯する。
【0111】
送信装置10aがセグメントSEG120の送信完了から、送信結果であるフラッシュ25の状態の変化を検出するまでには、時間間隔TRと時間間隔TFCとを加算した時間を要する。ここで、時間間隔TRとは、セグメントSEG120を受信装置20aが受信するまでの受信遅延時間である。時間間隔TFCとは、受信装置20aの発光状態の切り替えにかかる時間である。なお、図17に示す時間間隔Tsensorとは、センサ14の読み取りに要する時間である。また、図17に示す時間間隔Tcとは、受信装置20aが、セグメントの再送信制御に要する時間である。
【0112】
送信装置10aは、時刻t72から時刻t73までの間にセグメントSEG121を送信する。セグメントSEG121は、受信装置20aによって時刻t82に受信が開始され、時刻t84に受信が終了される。送信装置10aは、このセグメントSEG121を送信している間に、フラッシュ25の発光の状態を確認する。ここで、セグメントSEG120の復号が失敗したため、受信装置20aは、時刻t83から時刻t86までの間、フラッシュ25を消灯する。送信装置10aは、このフラッシュ25の消灯を、セグメントSEG121を送信中に確認する。
【0113】
送信装置10aは、時刻t74から時刻t75までの間に、受信装置20aが復号に失敗したセグメントSEG120を再送信する。受信装置20aは、この再送信されたセグメントSEG120を時刻t85から時刻t87までの間に受信する。
送信装置10aは、セグメントSEG120を再送信している間に、セグメントSEG121の受信の状態を確認する。送信装置10aは、このセグメントSEG121の受信の状態を、時刻t86から時刻t89までの間に確認する。
【0114】
送信装置10aは、セグメントSEG120の再送信の終了後、セグメントSEG122を送信する。このセグメントSEG122の送信は、時刻t76から時刻t77までの間に行われる。受信装置20aは、セグメントSEG122を、時刻t88から時刻t90までの間に受信する。
【0115】
[双方向通信の具体例 その2]
ここまでは、受信装置20aは、セグメントに含まれるパケットの復号に成功した場合にはフラッシュ25を点灯し、セグメントに含まれるパケットの復号に失敗した場合にはフラッシュ25を消灯することにより通信する方法について説明した。ここで、送信装置10aが屋外に配置され、受信装置20aが備えるフラッシュ25からの以外の光である環境光を、パケットの復号に成功した事を示す光だと誤認識することがあった。
【0116】
次に、図18を参照して、この誤認識を抑制する送信装置10aと受信装置20aとの第2の双方向通信の一例について説明する。
図18は、送信装置10aと受信装置20aとの第2の双方向通信の一例を示す図である。
第2の双方向通信では、受信装置20aは、パケットの復号に成功した場合には、フラッシュ25の点灯の状態を変化させる。また、第2の双方向通信では、受信装置20aは、パケットの復号に失敗した場合には、フラッシュ25の点灯の状態を変化させない。フラッシュ25の点灯の状態とは、フラッシュ25が点灯している状態と、フラッシュ25が消灯している状態である。このパケットの復号の成功に応じてフラッシュ25の点灯の状態を変化させ、パケットの復号の失敗ではフラッシュ25の点灯の状態を変化させない以外の動作は、上述した双方向通信と同じ動作である。
【0117】
送信装置10aは、時刻t180から時刻t181までの間にセグメントSEG180を送信する。セグメントSEG180は、受信装置20aによって時刻t190に受信が開始され、時刻t191に受信が終了される。復号部22aは、セグメントSEG180に含まれるパケットを復号する。復号部22aは、セグメントSEG180のパケットの復号に成功したため、時刻t193にフラッシュ25の点灯の状態を変化させる。この一例では、受信装置20aは、セグメントSEG180の復号を開始した時点では、フラッシュ25が点灯している。このため、受信装置20aは、セグメントSEG180のパケットの復号に成功したため、時刻t193にフラッシュ25を消灯する。
【0118】
送信装置10aは、時刻t182から時刻t183までの間にセグメントSEG181を送信する。セグメントSEG181は、受信装置20aによって時刻t192に受信が開始され、時刻t194に受信が終了される。送信装置10aは、このセグメントSEG181を送信している間に、受光部13が光を受光しているか否かを判定することにより、送信装置10aのフラッシュ25の発光の状態を確認する。ここで、セグメントSEG180の復号が成功したため、受信装置20aは、時刻t192から時刻t194までの間、フラッシュ25を消灯している。受信状態判定部116は、このフラッシュ25の消灯を、セグメントSEG181を送信中に判定することにより、1つ前に送信したセグメントであるセグメントSEG180の受信ができていると判定する。
【0119】
セグメントSEG181を受信した復号部22aは、セグメントSEG181に含まれるパケットを復号する。復号部22aは、セグメントSEG181のパケットの復号に失敗したため、時刻t196にフラッシュ25の点灯の状態を変化させない。この一例では、受信装置20aは、セグメントSEG181の復号を開始した時点では、フラッシュ25が消灯している。このため、受信装置20aは、セグメントSEG181のパケットの復号に失敗したため、時刻t195にフラッシュ25の点灯の状態を変化させない。言い換えると、受信装置20aは、時刻t195にフラッシュ25を消灯したままにする。
【0120】
送信装置10aは、時刻t184から時刻t185までの間にセグメントSEG182を送信する。セグメントSEG182は、受信装置20aによって時刻t195に受信が開始され、時刻t197に受信が終了される。送信装置10aは、このセグメントSEG182を送信している間に、受光部13が光を受光しているか否かを判定することにより、送信装置10aのフラッシュ25の発光の状態を確認する。ここで、セグメントSEG181の復号が失敗したため、受信装置20aは、時刻t196から時刻t199までの間、フラッシュ25を消灯している。受信状態判定部116は、このフラッシュ25の点灯の状態が、消灯したままであることを判定することにより、セグメントSEG181の受信ができていないと判定する。
【0121】
セグメントSEG182を受信した復号部22aは、セグメントSEG182に含まれるパケットを復号する。復号部22aは、セグメントSEG182のパケットの復号に成功したため、時刻t199にフラッシュ25の点灯の状態を変化させる。受信装置20aは、セグメントSEG182の復号を開始した時点では、フラッシュ25が消灯している。このため、受信装置20aは、セグメントSEG182のパケットの復号に成功したため、時刻t199にフラッシュ25を点灯させる。
【0122】
送信装置10aは、時刻t186から時刻t187までの間に、受信装置20aが復号に失敗したセグメントSEG181を再送信する。受信装置20aは、この再送信されたセグメントSEG181を時刻t197から時刻t19Aまでの間に受信する。
送信装置10aは、セグメントSEG181を再送信している間に、セグメントSEG182の受信の状態を確認する。送信装置10aは、このセグメントSEG182の受信の状態を、時刻t199から時刻t19Cまでの間に判定する。送信装置10aは、フラッシュ25の点灯の状態が、変化したことを判定することにより、セグメントSEG182の受信ができていると判定する。
【0123】
送信装置10aは、セグメントSEG181の再送信の終了後、セグメントSEG183を送信する。このセグメントSEG183の送信は、時刻t188から時刻t189までの間に行われる。受信装置20aは、セグメントSEG183を、時刻t19Cから時刻t19Dまでの間に受信する。
【0124】
以上説明したように、第2の双方向通信を行う受信装置20aは、セグメントに含まれるパケットの復号に成功した場合にはフラッシュ25の点灯の状態を変化させ、セグメントに含まれるパケットの復号に失敗した場合にはフラッシュ25の点灯の状態を変化させない。このように構成することにより、送信装置10aと、受信装置20aとの間の通信の結果が環境光によって誤認識されることが抑制できる。これにより、送信装置10aは、受信装置20aとの通信を安定させることができる。
【0125】
また、送信装置10aは、パケットの復号に所定の回数、失敗したと判定したときに、セグメントの送信を止めてもよい。一般に、環境光は、フラッシュ25の点灯の状態の変化よりも不規則に変化する。送信装置10aは、フラッシュ25の点灯の状態の変化によってパケットの復号に成功したと判定することにより、フラッシュ25の点灯によってパケットの復号に成功したと判定する場合と比較して、より短い時間でセグメントの送信を止めることができる。つまり、送信装置10aは、双方向通信の途中に、受信装置20aの位置が移動してセグメントの受信ができない状態になると、より短い時間でセグメントの送信を止めることができる。これにより、送信装置10aは、送信装置10aが備える電池の電力の消費を抑制することができる。
【0126】
[第3の実施形態のまとめ]
以上説明したように、送信装置10aは、演算部11aを備える。演算部11aは、送信制御部111aと、再送信制御部115と、受信状態判定部116とを備える。
送信装置10aは、セグメントを受信装置20aの遅延を待つことなく送信する。受信状態判定部116は、受光部13の受光の状態に基づいて、受信装置20aがセグメントの受信に成功したか否かを判定する。再送信制御部115は、受信状態判定部116が判定した結果が、再送信が必要なことを示す場合には、送信制御部111aに対して1つ前に送信したセグメントを再送信させる。これにより、送信装置10aは、受信装置20aの受信の状態によらずに、情報を送信する。また、送信装置10aは、受信装置20aが受信できなかったセグメントのみを再送信する。これにより、送信装置10aは、効率よく情報を送信することができる。
【0127】
なお、上述した説明では、送信制御部111aはセグメント毎に測定情報を送信したが、これに限られない。送信制御部111aは、パケット毎に測定情報を送信してもよい。
【0128】
なお上述した説明では、送信制御部111aは、1つ前に送信したセグメントを再送信する構成について説明したがこれに限られない。送信制御部111aは、情報の先頭のセグメントから再送信してもよい。
【0129】
上述した説明では、第2の実施形態及び第3の実施形態の送信装置が備える送信制御部111は、情報を、ローリングシャッター方式による撮像装置のフレーム時間及びギャップ時間と、複数のパケットによって構成され撮像装置に送信される情報の1パケットあたりの送信時間と、情報を構成するパケットのパケット数とに基づく再送回数によって送信する場合について説明したが、これに限られない。第2の実施形態及び第3の実施形態の送信制御部111は、他の送信方法によって情報を送信してもよい。
【0130】
なお、上述した第1の実施形態から第3の実施形態までの送信装置は、情報の送信が終了した場合には、情報の送信が終了したことを示す発光パターンを発光させてもよい。受信装置は、情報の送信が終了したことを示す発光パターンに基づいて、撮像を終了する。
これにより、受信装置は、送信装置からの全ての情報が受信されたことを判別することができる。この情報の送信が終了したことを示す発光パターンには、具体的には、上述したパケットのプリンアブルに、情報の送信が終了したことを示す情報を設定すればよい。
【0131】
なお、上述した第1の実施形態から第3の実施形態までの送信装置の構成は、どの様に組み合わせてもよい。
【0132】
以上、本発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
【0133】
なお、以上に説明した送信装置、受信装置、送信装置10、送信装置10a、受信装置20及び受信装置20aにおける任意の構成部の機能を実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体(記憶媒体)に記録(記憶)し、そのプログラムをコンピュータシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、オペレーティングシステム(OS:Operating System)あるいは周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD(Compact Disc)-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークあるいは電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバーやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリー(RAM:Random Access Memory)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0134】
また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)あるいは電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記のプログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0135】
10,10a…送信装置、11,11a…演算部、12…発光部、13…受光部、14
…センサ、15…起動停止部、20,20a…受信装置、21…撮像部、22,22a…
復号部、23…表示部、24…発光制御部、25…フラッシュ、111,111a…送信
制御部、112…送信判定部、113…受信信号生成部、114…信号取得部、115…
再送信制御部、116…受信状態判定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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