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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】物質を貯蔵するための容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/16 20060101AFI20220404BHJP
【FI】
B65D83/16
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018527188
(86)(22)【出願日】2016-11-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-11-29
(86)【国際出願番号】 EP2016078891
(87)【国際公開番号】W WO2017089584
(87)【国際公開日】2017-06-01
【審査請求日】2019-11-20
(31)【優先権主張番号】15196271.9
(32)【優先日】2015-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506416400
【氏名又は名称】シーカ テクノロジー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100170874
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 和哉
(72)【発明者】
【氏名】フレデリク ビュルギャルス
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ レシギエール
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03172568(US,A)
【文献】特公平01-027789(JP,B2)
【文献】特開昭59-074081(JP,A)
【文献】特開2009-298480(JP,A)
【文献】実公平06-032850(JP,Y2)
【文献】特開昭59-202834(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートリッジ(3)と弁(2)とを含む、物質を貯蔵するための容器(1)において、
容器容積部(4)に隣接する弁内側(6)が、封止要素(12)によって覆われ、それにより前記容器容積部(4)が前記カートリッジ(3)及び前記封止要素(12)によって実質的に区切られており、
前記弁(2)が、ハウジング(8)、プランジャ(7)、貫通路(11)、シール(9)、及び固定要素(10)を具備し、かつ前記固定要素(10)が、前記弁(2)を前記カートリッジ(3)に接続及び/又は固定し、
前記容器(1)の貯蔵状態において、前記封止要素(12)が、前記固定要素(10)の、前記容器容積部(4)に隣接する側、並びに前記弁内側(6)の、前記ハウジング(8)、前記プランジャ(7)、前記貫通路(11)、及び前記シール(9)のすべてを、前記封止要素(12)が前記弁(2)の前記弁内側(6)の輪郭の形状をとるようにして覆い、それによって、前記容器容積部(4)が、前記封止要素(12)により、かつ前記弁(2)の前記シール(9)により、外部空間部(15)から封止され、かつ前記固定要素(10)の、前記容器容積部(4)に隣接する側、及び前記容器容積部(4)に隣接する前記弁内側(6)が、前記封止要素(12)によって前記容器容積部(4)から封止され、
前記容器(1)の閉使用状態において、前記容器容積部(4)が、前記弁(2)の前記シール(9)のみによって前記外部空間部(15)から封止され、かつ
前記容器(1)の開使用状態において、前記容器容積部(4)が、前記弁(2)の前記貫通路(11)によって前記外部空間部(15)に接続される、
ことを特徴とする、容器(1)。
【請求項2】
加圧されており、それにより前記物質が、前記弁(2)の作動時に前記容器(1)から流れ出る、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
接着剤又は封止剤が、前記容器(1)での貯蔵のために入れられている、請求項1又は2に記載の容器。
【請求項4】
前記封止要素(12)が、箔である、請求項1~3のいずれか一項に記載の容器。
【請求項5】
前記箔が、5~30μmの厚さを有する、請求項4に記載の容器。
【請求項6】
前記カートリッジ(3)の壁が、金属から形成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の容器。
【請求項7】
前記弁(2)の閉状態において、前記貫通路(11)が、前記シール(9)によって閉じられ、前記弁(2)の開状態において、前記貫通路(11)が、前記容器容積部(4)と外部空間部(15)との間の接続を形成するように、前記プランジャ(7)が前記ハウジング(8)内で変位可能である、請求項1~6のいずれか一項に記載の容器。
【請求項8】
前記シール(9)がゴムから形成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の容器。
【請求項9】
以下を含む、カートリッジ(3)と弁(2)とを有する容器(1)を封止するための方法:
封止要素(12)を提供すること;
前記封止要素(12)を成形すること、ここで、前記封止要素(12)を成形するときに、前記封止要素(12)は、第1の成形要素(13)が第2の成形要素(14)の上に配置され、それにより前記封止要素(12)が前記第2の成形要素(14)の形状をとり、前記第2の成形要素(14)が、略部分球状の形状を有する;
前記成形された封止要素(12)で、固定要素(10)の、容器容積部(4)に隣接する側、及び前記容器容積部(4)に隣接する弁内側(6)を覆うこと、ここで、前記弁(2)が、ハウジング(8)、プランジャ(7)、貫通路(11)、シール(9)、及び前記固定要素(10)を具備し、かつ前記封止要素(12)が、前記固定要素(10)の、前記容器容積部(4)に隣接する側、並びに前記弁内側(6)の、前記ハウジング(8)、前記プランジャ(7)、前記貫通路(11)、及び前記シール(9)のすべてを、前記封止要素(12)が前記弁(2)の前記弁内側(6)の輪郭の形状をとるようにして覆う;及び
前記封止要素(12)を有する前記弁(2)を、前記固定要素(10)によって前記カートリッジ(3)に固定し、それにより前記容器容積部(4)が前記カートリッジ(3)及び前記封止要素(12)によって実質的に区切られること。
【請求項10】
前記封止要素(12)を提供するときに、アルミニウム箔の片が提供される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記容器(1)に圧力をかけることで、物質が前記弁(2)の作動時に前記容器(1)から流れ出ること、及び前記封止要素(12)が前記弁内側(6)に押圧されること、を含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
請求項1~8のいずれか一項に記載の容器(1)が形成される、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物質を貯蔵するための容器及び容器を封止するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、接着剤又は封止剤などの物質を貯蔵するために、一方側が閉じられたカートリッジが使用される。このようなカートリッジは、金属又はプラスチックから形成することができる。ここで、カートリッジの容積部は、カートリッジが形成される材料によって完全に区切られる。カートリッジを開くために、カートリッジ壁の所定の領域が慣例的に破られる。カートリッジ内の物質を利用するために、カートリッジ壁の開口上にノズルを取り付けることができる。この目的のために、ねじ山がカートリッジ上に慣例的に設けられる。
【0003】
このようなカートリッジは、カートリッジが開けられるまで物質を非常に適切に貯蔵できる利点を有する。カートリッジが形成される材料の好適な選択により、その周囲の状況に対するカートリッジの容積部の完全な封止を実現することが可能になる。他方で、このようなカートリッジは、開封後、たとえ好ましくないとしてもそのようにしか封止できない欠点を有する。したがって、物質によっては、開封後にカートリッジが使用可能である時間が非常に限定される。たとえば、接着剤又は封止剤は、カートリッジの水分との接触により硬化する可能性があり、したがってもはや使用することができない。さらに、このようなカートリッジの計量及び/又は使用は、カートリッジから物質を送るために、カートリッジガン又は他の補助装置を慣例的に必要とする。
【0004】
このような閉じられたカートリッジに対する代替的な容器は、弁を有する容器である。ある実施形態において、これらの容器は圧力をかけられており、その結果、開弁時、物質は容器から流れ出る。たとえば、このような容器のための弁は、国際公開第2012/024290A1号パンフレットで開示されている。物質を利用するために、ここでもノズルを弁の上に配置することができる。
【0005】
弁を有するこのような容器は、簡単な開弁により、容器のさらなる操作なしに物質を利用できるという利点を提供する。さらに利用後、容器は弁によって再び閉じることができ、その結果、このような容器は、弁の初回開封後もより長く使用可能なままである。
【0006】
しかしながら、このような容器による欠点は、容器の初回開封又は使用前の貯蔵性がすべての物質及び利用に対して十分ではないことである。特に、水中養生する接着剤又は封止剤は、このような容器では十分に長い時間にわたり貯蔵できないことが知られている。この場合、周囲空気からの水分が弁のシールを貫通して容器の容積部に入り、接着剤又は封止剤はプロセス中に少なくとも部分的に硬化し、そのため、意図した通りに利用することができない。ここで、慣例的な弁のシールはゴムから作られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、知られている装置の欠点を回避することを含む。この点について、貯蔵可能で、簡単に使用可能で、さらに費用効果のよい、物質を貯蔵するための容器を提供することが意図される。さらに、簡単かつ費用効果のよい手段で実行できる、容器を封止するための方法を提供することが意図される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、第一に、カートリッジと弁とを含む、物質を貯蔵するための容器によって実現される。ここで、弁内側は封止要素によって覆われ、その結果、容器容積部はカートリッジ及び封止要素によって実質的に区切られる。
【0009】
この解決方法は、従来のカートリッジ及び弁を、貯蔵可能な容器の製造に使用できるという利点を提供する。このような従来の構成要素は費用効果がよく、さらに実際に良好であることを証明している。ここで、貯蔵性を改善するために、弁の内側を覆い、それによって封止するための簡単かつ費用効果のよい封止要素のみが使用される。この封止要素は、周囲空気からの水分が弁を貫通して容器容積部に入る状況を防ぐ。したがって、貯蔵性を非常に向上させることができる。
【0010】
この解決方法は、閉じられたカートリッジの利点を、弁を有する容器の利点と組み合わせる。閉じられたカートリッジの場合に慣例的であるように、封止要素は貯蔵性をもたらし、弁を有する容器の場合に慣例的であるように、弁は使用者に使いやすさをもたらす。
【0011】
容器の初回使用時、すなわち弁の初回開封時、封止要素は壊されるか、又は引き裂かれるか、又は移動させられ、その結果、物質は弁を通って流れ出ることができる。弁を閉じるとき、封止要素は、壊された、又は引き裂かれた、又は移動させられた状態のままであり、したがって任意のさらなるシーリングをもはや提供しない。これは、容器の初回使用後、貯蔵性が初回使用前の状態と比べて低下し、物質を特定の期間内に利用しなければならないことを意味する。
【0012】
弁内側が封止要素によって覆われ、その結果、容器容積部がカートリッジ及び封止要素によって実質的に区切られるという事実は、本発明に関連して、容器容積部と外部空間部との間での特定の物質交換を可能にする弁の少なくともそれらの部分が封止要素によって覆われることを意味する。これは、たとえば、弁のプランジャ及びシールに関連する可能性がある。しかしながら、たとえば、弁のハウジング及び/又は固定要素が影響を受ける可能性はない。したがって、この例示的実施形態において、少なくともプランジャ及びシールは、封止要素によって弁内側で覆われる。ここで、ハウジング及び/又は固定要素は、同様に封止要素によって弁内側で覆うことができ、又は代わりに露出させることができる。したがって、用語「実質的に」は、これに関連して、弁の機能的に必須の構成要素を表す、すなわち弁の完全に厳格な構成要素ではない。
【0013】
好適な例示的実施形態において、容器は加圧下にあり、その結果、物質は弁の作動時に容器から流れ出る。したがって、これは、物質を押し出すために、たとえばカートリッジガンなどの補助手段を使用する必要がないという利点を有する。したがって、結果的に、使用者にとっての容器の使いやすさが改善される。さらに、これは、封止要素が容器内の圧力によって弁内側に対して加圧されるという利点を有し、その結果、封止要素による弁のシーリングの改善が実現される。
【0014】
好適な例示的実施形態において、接着剤又は封止剤、特にポリウレタンを含有する接着剤又は封止剤が容器への貯蔵のために準備される。したがって、これは、本発明による容器の特性が理想的に使用できるという利点を有する。これまで、このような製品は、使用者の使いやすさが低い貯蔵可能な容器、又は貯蔵性が低い、使用者が使いやすい容器のいずれかに貯蔵しなければならなかった。
【0015】
好適な例示的実施形態において、封止要素は、箔、特にアルミニウム箔である。箔は、異なる形状をとることができるという利点を有する。したがって、異なる種類の弁をこのような箔で封止することが可能である。アルミニウムは、水分に対する理想的なバリヤであり、費用効果がよく、想定された形状を維持し、十分に堅牢であり、同時に、弁による力の意図された作用で引き裂かれるという利点を有する。
【0016】
好適な発展形態において、箔は、5~30μmの厚さ、好ましくは10~20μmの厚さを有する。さらに好適な発展形態において、箔は、10~50g/mの重量、好ましくは20~40g/mの重量を有する。このような約15μmの厚さ及びこのような約30g/mの重量を有するアルミニウム箔は、一方で弁内側を覆うときに無傷のままであるように十分に堅牢であり、他方で容器の初回使用時、弁による力の意図された作用で引き裂かれるように寸法決めされる箔である。
【0017】
好適な例示的実施形態において、弁は、ハウジングと、プランジャと、貫通路と、シールと、固定要素とを有する。好適な発展形態において、弁の閉状態において、貫通路はシールによって閉じられ、弁の開状態において、貫通路が容器容積部と外部空間部との間の接続を形成するように、プランジャはハウジング内で変位可能である。これは、このような配置により、費用効果のよい弁の使用が可能になるという利点を有する。さらに、ハウジング内で変位可能であるプランジャは、弁の最初の作動を通して簡単な方法で封止要素を壊すか、又は引き裂くか、又は移動させることができるという利点を有する。
【0018】
好適な発展形態において、プランジャは、ばねによる負荷を受けながらハウジングに取り付けられる。これは、作動後、プランジャがばねによってハウジングに対して戻されるという点で、弁が直ちに再びその閉状態になるという利点を有する。
【0019】
好適な例示的実施形態において、シールはゴムから形成される。したがって、これは、費用効果のよい構成要素を使用することができ、容器の初回使用後、十分に良好なシーリングが実現されるという利点を有する。
【0020】
好適な例示的実施形態において、容器の貯蔵状態において、容器容積部は、封止要素により、かつ弁のシールにより外部空間部から封止され、容器の閉使用状態において、容器容積部は、弁のシールのみによって外部空間部から封止され、容器の開使用状態において、容器容積部は、弁の貫通路によって外部空間部に接続される。
【0021】
設定された目的は、カートリッジと弁とを有する容器を封止するための方法によってさらに実現され、その方法は、封止要素を提供するステップと、封止要素を成形するステップと、成形された封止要素で弁内側を覆うステップと、封止要素を有する弁をカートリッジに固定するステップであって、その結果、容器容積部がカートリッジ及び封止要素によって実質的に区切られる、ステップとを含む。
【0022】
この方法は、簡単な装置及び手段で実装することができ、本発明による容器に対してすでに述べられたのと同じ利点を有する容器の製造を可能にする。
【0023】
好適な例示的実施形態において、封止要素を提供するときにアルミニウム箔の片が提供される。好適な発展形態において、円形箔片が提供される。好適な発展形態において、円形箔片は、3~15cm、好ましくは5~10cmの直径を有する。したがって、これは、封止要素を材料使用量の少ない箔で成形できるという利点を有する。
【0024】
好適な例示的実施形態において、封止要素を成形するとき、封止要素は、第2の成形要素の上に第1の成形要素によって配置され、その結果、封止要素は第2の成形要素の形状をとり、第2の成形要素は、実質的に部分球状の形状を有する。したがって、これは、弁を覆うために弁内側に簡単に配置できる球面形状封止要素を製造することが可能であるという利点を有する。
【0025】
好適な例示的実施形態において、方法は、容器に圧力をかけるステップであって、その結果、物質は弁の作動時に容器から流れ出て、及びその結果、封止要素は弁内側に加圧される、ステップを含む。一方で、したがって、これは、使用者の高い使いやすさが実現されるという利点を有する。他方で、容器内の圧力が封止要素を弁内側に対して加圧するため、圧力は弁のシーリングを改善する。箔状の封止要素の場合、これは、有利には封止要素を弁内側の輪郭上に成形することができ、さらに封止要素によって弁のシーリングが改善される。
【0026】
好適な例示的実施形態において、容器は、有利な説明された例示的な実施形態及び発展形態による方法で形成される。
【0027】
本発明の詳細及び利点は、例示的な実施形態に基づいてかつ概略図を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】先行技術による、カートリッジと弁とを含む例示的な容器を示す。
図2a】貯蔵状態における覆われた弁を有する例示的な容器の概略図を示す。
図2b】開使用状態における覆われた弁を有する例示的な容器の概略図を示す。
図3a-3i】カートリッジと弁とを有する容器を封止するための方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
先行技術による、カートリッジ3と弁2とを有する例示的な容器1が図1に示される。カートリッジ3及び弁2は、外部空間部15に対して容器容積部4を区切る。弁は、外部空間部15に隣接する弁外側5と、容器容積部4に隣接する弁内側6とを有する。
【0030】
このような容器1は、たとえば、圧力をかけられており、その結果、弁2を開けると、容器1に貯蔵された物質は、弁2を通して外部空間部15に流れ出す。
【0031】
このような解決方法の欠点は、たとえば、水中養生するポリウレタン含有接着剤又は封止剤などの特定の物質のための限定された貯蔵性である。慣例的な弁2は、ゴムから作られるシールによって封止される。しかしながら、このようなシールは完全に密着せず、その結果、外部空間部15の特定の量の水がシールを通過して容器容積部4に入り、ここで、水中養生する接着剤又は封止剤は硬化し始める。結果的に、特定の貯蔵時間後、物質はもはや意図した通りに使用できない。
【0032】
図2a及び2bは、それぞれカートリッジ3と、弁2と、弁内側6を覆うさらなる封止要素12とを有する概略的及び例示的な容器1の断面を示す。ここで、図2aの容器1は貯蔵状態で示され、図2bの容器1は開使用状態で示される。
【0033】
弁2は、ハウジング8と、プランジャ7と、貫通路11と、シール9と、固定要素10とを含む。固定要素10は、弁2をカートリッジ3に接続及び/又は固定する役割を果たす。ハウジング8は、固定要素10上に配置される。プランジャ7は、ハウジング8内でかつハウジング8に対して変位可能であるように配置される。ここで、プランジャ7は、閉位置から開位置に変位可能である。この例示的実施形態において、貫通路11は、プランジャ7内のダクトとして配置される。シール9は、プランジャ7が閉位置のとき、貫通路11がシール9によって封止され、プランジャ7が開位置のとき、貫通路11が容器容積部4を外部空間部15に接続するようにプランジャ7のまわりに配置される。
【0034】
図2aにおいて、封止要素12は無傷の状態であり、その結果、容器容積部4は、封止要素12によって弁2に対して効果的に封止される。図2bにおいて、封止要素12’は引き裂かれた状態であり、その結果、物質は、容器容積部4から弁2の貫通路11を通って外部空間部15まで流れることができる。ここで、封止要素12は、弁2の初回開封時に引き裂かれる。プランジャ7の変位は、封止要素12に力をかけてそれを引き裂く。閉使用状態(図示せず)において、弁2は閉じられ、封止要素12’は引き裂かれた状態であり、その結果、容器容積部4は、弁2のシール9のみによって外部空間部15から封止される。したがって、その中に含まれる物質による容器1の貯蔵性は閉使用状態に限定される。
【0035】
図3a~3iは、カートリッジ3と弁2とを有する容器1を封止するための方法を示す。
【0036】
最初に、封止要素12が提供される。
【0037】
図3aは、提供された封止要素12を示す。この例示的実施形態において、封止要素12は箔の円形片である。好ましい例示的実施形態において、約15μmの厚さ及び約30g/mの重量を有するアルミニウム箔が使用される。ここで、円形片は約70mmの直径を有する。このような片は、たとえば、切断型を使用して、より大きい箔から切断することができる。
【0038】
次いで、封止要素12が成形される。
【0039】
図3b及び3cは、封止要素12の成形を示す。ここで、封止要素12は、第2の成形要素14の上に第1の成形要素13によって配置される。この例示的実施形態において、封止要素12は、第2の成形要素14によって吸引される。次いで、第1及び第2の成形要素13、14は、互いに対してオフセットされ、その結果、封止要素12は、成形要素13及び14間の隙間の形状をとる。この例示的実施形態において、第2の成形要素14は、実質的に部分球状の形状を有し、第1の成形要素13は、実質的に円筒の形状を有する。
【0040】
図3dは、2つの成形された封止要素12を示し、封止要素12は空間内で異なる方向を向いている。ここで、部分球状の形状の封止要素12を見ることができる。
【0041】
次いで、弁内側は、事前に成形された封止要素12で覆われる。
【0042】
図3eは、封止要素12のない弁2を示す。図3fは、図3eと同じ弁2を示すが、封止要素12が弁内側上に配置されている。ここで、封止要素12は、弁内側のプランジャ、シール、及びハウジングを覆う。弁2の固定要素のみが封止要素12によって完全には覆われない。
【0043】
最後に、封止要素12を有する弁2は、カートリッジ3に固定され、その結果、容器容積部4がカートリッジ3及び封止要素12によって実質的に区切られる。
【0044】
図3gは、カートリッジ3に固定された、封止要素12を有する弁2を示す。ここで、容器容積部4は、カートリッジ3及び封止要素12によって実質的に区切られる。カートリッジ3及び封止要素12がアルミニウムから形成される場合、したがって、容器容積部4全体をアルミニウム要素によって外部空間部から封止することができる。したがって、非常に良好な貯蔵性と同時に使用者の高い使いやすさが実現される。
【0045】
好ましい発展形態において、容器1は加圧され、その結果、物質は弁2の作動時に容器1から流れ出て、及びその結果、封止要素12は弁内側に加圧される。
【0046】
図3gは、弁内側上に加圧された封止要素12を有する弁2を示す。ここでは、封止要素12がどのように弁内側の輪郭をとるかを見ることができる。こうして、封止要素12は弁上でより適切に成形され、結果的に弁2が容器容積部4に対してより良好に封止されるため、このように容器1を加圧することにより、封止要素12によるシーリングが改善される。図3は、貯蔵状態の弁2を示す。
【0047】
図3iは、引き裂かれた状態の封止要素12’がその上に配置された弁2を示す。ここで、弁2は開使用状態である。結果的に、容器1に貯蔵された物質は、容器容積部4から弁2を通って外部空間部15まで流れることができる。
【0048】
閉使用状態(図示せず)において、容器容積部4は、弁2のシールのみによって外部空間部15から封止される。封止要素12’は、弁2が開位置にあるか閉位置にあるかに関係なく、使用状態に引き裂かれたままである。したがって、容器1に貯蔵された物質の貯蔵性は、封止要素12の貯蔵状態においてよりも、封止要素12’の使用状態においてより低くなる。
本発明の態様として、以下の態様を挙げることができる:
《態様1》
カートリッジ(3)と弁(2)とを含む、物質を貯蔵するための容器(1)において、弁内側(6)が封止要素(12)によって覆われ、それにより容器容積部(4)が前記カートリッジ(3)及び前記封止要素(12)によって実質的に区切られていることを特徴とする、容器(1)。
《態様2》
加圧されており、それにより前記物質が、前記弁(2)の作動時に前記容器(1)から流れ出る、態様1に記載の容器。
《態様3》
接着剤又は封止剤、特にポリウレタンを含有する接着剤又は封止剤が、前記容器(1)での貯蔵のために入れられている、態様1又は2に記載の容器。
《態様4》
前記封止要素(12)が、箔、特にアルミニウム箔である、態様1~3のいずれか一項に記載の容器。
《態様5》
前記箔が、5~30μmの厚さ、好ましくは10~20μmの厚さを有する、態様1~4のいずれか一項に記載の容器。
《態様6》
前記カートリッジ(3)の壁が、金属、特にアルミニウムから形成されている、態様1~5のいずれか一項に記載の容器。
《態様7》
前記弁(2)が、ハウジング(8)、プランジャ(7)、貫通路(11)、シール(9)、及び固定要素(10)を具備する、態様1~6のいずれか一項に記載の容器。
《態様8》
前記弁(2)の閉状態において、前記貫通路(11)が、前記シール(9)によって閉じられ、前記弁(2)の開状態において、前記貫通路(11)が、前記容器容積部(4)と外部空間部(15)との間の接続を形成するように、前記プランジャ(7)が前記ハウジング(8)内で変位可能である、態様7に記載の容器。
《態様9》
前記シール(8)がゴムから形成されている、態様7又は8に記載の容器。
《態様10》
前記容器(1)の貯蔵状態において、前記容器容積部(4)が、前記封止要素(12)により、かつ前記弁(2)のシール(9)により、外部空間部(10)から封止され、前記容器(1)の閉使用状態において、前記容器容積部(4)が、前記弁(2)のシール(9)のみによって前記外部空間部(15)から封止され、前記容器(1)の開使用状態において、前記容器容積部(4)が、前記弁(2)の貫通路(11)によって前記外部空間部(15)に接続される、態様1~9のいずれか一項に記載の容器。
《態様11》
以下を含む、カートリッジ(3)と弁(2)とを有する容器(1)を封止するための方法:
封止要素(12)を提供すること;
前記封止要素(12)を成形すること;
前記成形された封止要素(12)で弁内側(6)を覆うこと;及び
前記封止要素(12)を有する前記弁(2)を、前記カートリッジ(3)に固定し、それにより容器容積部(4)が前記カートリッジ(3)及び前記封止要素(12)によって実質的に区切られること。
《態様12》
前記封止要素(12)を提供するときに、アルミニウム箔の片が提供される、態様11に記載の方法。
《態様13》
前記封止要素(12)を成形するときに、前記封止要素(12)は、第1の成形要素(13)が第2の成形要素(14)の上に配置され、それにより前記封止要素(12)が前記第2の成形要素(14)の形状をとり、前記第2の成形要素(14)が、略部分球状の形状を有する、態様11又は12に記載の方法。
《態様14》
前記容器(1)に圧力をかけることで、物質が前記弁(2)の作動時に前記容器(1)から流れ出ること、及び前記封止要素(12)が前記弁内側(6)に押圧されること、を含む、態様11~13のいずれか一項に記載の方法。
《態様15》
態様1~10のいずれか一項に記載の容器(1)が形成される、態様11~14のいずれか一項に記載の方法。
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図3f
図3g
図3h
図3i