(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】昇華精製装置および昇華精製方法
(51)【国際特許分類】
B01D 7/00 20060101AFI20220405BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220405BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20220405BHJP
C07B 63/00 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
B01D7/00
H05B33/14 A
C09K11/06 602
C07B63/00 H
(21)【出願番号】P 2020539202
(86)(22)【出願日】2019-08-06
(86)【国際出願番号】 KR2019009812
(87)【国際公開番号】W WO2020054974
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2020-07-29
(31)【優先権主張番号】10-2018-0109089
(32)【優先日】2018-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0066109
(32)【優先日】2019-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ホン、ソク クァン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヒョン ソク
(72)【発明者】
【氏名】リー、フン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、クァン ジン
(72)【発明者】
【氏名】シン、ヨン ファン
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/146763(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0045548(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0142386(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2004-0049365(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0061137(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0146385(KR,A)
【文献】特表2005-511864(JP,A)
【文献】国際公開第2013/065627(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/145832(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/145834(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 7/00 - 7/02
B01D 3/00 - 3/42
H05B 33/00 - 33/28
H01L 51/50 - 51/52
H01L 51/56
C07B 63/00 - 63/04
C09K 11/06 - 11/07
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空チャンバー、
前記真空チャンバー内に位置するチューブハウジング、
前記チューブハウジングに密着されているボート、そして
前記ボートの外側面および前記チューブハウジングの外側面に隣接して位置するヒーティング部を含み、
前記ボートに昇華精製対象物質が載せられ、前記ボートおよび前記チューブハウジングのうちの少なくとも一つは金属から形成され
、
前記ボートは第1ボートおよび第2ボートを含み、前記第1ボートと前記第2ボートは前記真空チャンバー内に共に位置し、前記チューブハウジングが移動経路になって前記第1ボートに載せられている昇華精製対象物質が加熱された以後に前記第2ボートに捕獲されるようにする、昇華精製装置。
【請求項2】
前記チューブハウジングの外側面に隣接して位置するヒーティング部は、前記第1ボートに対応する部分に位置する第1ヒーティングゾーン、前記第1ボートと前記第2ボートの間に位置する第2ヒーティングゾーンおよび前記第2ボートに対応する部分に位置する第3ヒーティングゾーンを含み、
前記第1ヒーティングゾーンは前記第1ボートに載せられて気体として活性化された昇華精製対象物質が気体状態を維持するように温度をコントロールし、前記第2ヒーティングゾーンは前記気体として活性化された昇華精製対象物質を液化し、前記第3ヒーティングゾーンは前記液化された昇華精製対象物質の液体状態を維持するように温度をコントロールして前記第2ボートに液体状態の昇華精製対象物質が落ちるようにする、請求項
1に記載の昇華精製装置。
【請求項3】
前記チューブハウジングは、前記昇華精製対象物質の移動経路に沿って
傾いた構造を有する、請求項1
または2に記載の昇華精製装置。
【請求項4】
前記金属は、チタニウムまたはタンタルを含む、請求項1から
3のいずれか一項に記載の昇華精製装置。
【請求項5】
前記チューブハウジングの端部に形成されたシーリングガスケットをさらに含み、前記チューブハウジングと前記ボートの間に前記シーリングガスケットが介されている、請求項1から
4のいずれか一項に記載の昇華精製装置。
【請求項6】
前記シーリングガスケットは、チタニウム(Ti)、銀(Ag)、銅(Cu)およびセラミックのうちの少なくとも一つを含む、請求項
5に記載の昇華精製装置。
【請求項7】
チャンバー移動部、
前記チャンバー移動部に隣接して位置する複数のチャンバー、
前記チャンバー内に位置するチューブハウジング、
前記チャンバー移動部と前記チャンバーの間に位置するゲート、
移送ロボットによって前記チャンバー移動部の内部を移動するか前記チャンバー移動部から前記チャンバーの内部にローディングまたはアンローディングされるボート、そして
前記ボートの外側面および前記チューブハウジングの外側面を囲むヒーティング部を含み、
前記ボートは、前記チューブハウジングで互いに連結される第1ボートと第2ボートを含む、昇華精製装置。
【請求項8】
前記チューブハウジングの外側面に隣接して位置するヒーティング部は、前記第1ボートに対応する部分に位置する第1ヒーティングゾーン、前記第1ボートと前記第2ボートの間に位置する第2ヒーティングゾーン、および前記第2ボートに対応する部分に位置する第3ヒーティングゾーンを含み、
前記第1ヒーティングゾーンは前記第1ボートに載せられて気体として活性化された昇華精製対象物質が気体状態を維持するように温度をコントロールし、前記第2ヒーティングゾーンは前記気体として活性化された昇華精製対象物質を液化し、前記第3ヒーティングゾーンは前記液化された昇華精製対象物質の液体状態を維持するように温度をコントロールして前記第2ボートに液体状態の昇華精製対象物質が落ちるようにする、請求項
7に記載の昇華精製装置。
【請求項9】
前記チューブハウジングは、前記昇華精製対象物質の移動経路に沿って
傾いた構造を有する、請求項
8に記載の昇華精製装置。
【請求項10】
前記第1ボートと前記第2ボートのうちの少なくとも一つは、前記ゲートを通過したボートを前記チャンバー内で移動させて前記チューブハウジングと密着するようにする上下移送装置をさらに含む、請求項
7から
9のいずれか一項に記載の昇華精製装置。
【請求項11】
前記ボートおよび前記チューブハウジングのうちの少なくとも一つは、金属から形成された、請求項
7から
10のいずれか一項に記載の昇華精製装置。
【請求項12】
前記金属は、チタニウムまたはタンタルを含む、請求項
11に記載の昇華精製装置。
【請求項13】
前記チューブハウジングの端部に形成されたシーリングガスケットをさらに含み、前記ボートが前記チャンバーの内部にローディングされて前記チューブハウジングと噛み合う時、前記ボートと前記チューブハウジングの間に前記シーリングガスケットが介される、請求項
7から
12のいずれか一項に記載の昇華精製装置。
【請求項14】
前記複数のチャンバーは、互いに隣接する第1チャンバーと第2チャンバーを含み、
前記第1チャンバーに位置するチューブハウジングは前記第1チャンバーにローディングされた第1ボートに載せられている昇華精製対象物質を加熱して除去された不純物が前記第2ボートに捕獲され、前記第1チャンバーからアンローディングされた第1ボートが前記チャンバー移動部を通じて前記第2チャンバーにローディングされ、前記第2チャンバーにローディングされた第1ボートに載せられている昇華精製対象物質が溶融化して気体として活性化される、請求項
7から
13のいずれか一項に記載の昇華精製装置。
【請求項15】
第1チャンバー内に昇華精製対象物質が載せられている第1ボートをローディングする段階、
前記ローディングされた第1ボートに載せられている前記昇華精製対象物質を加熱して除去された不純物をチューブハウジングを通じて第2ボートに捕獲する段階、
前記第1チャンバーから前記第1ボートをアンローディングして移送ロボットを通じて第2チャンバーに前記第1ボートをローディングする段階、
前記第2チャンバーにローディングされた第1ボートに載せられている前記昇華精製対象物質を溶融化して気体として活性化させる段階、
前記気体として活性化された物質を液化する段階、
前記液化された物質を前記第2チャンバーに含まれているチューブハウジングを通じて前記第2チャンバー内に位置する第2ボートに捕獲する段階、
前記第2チャンバー内に位置する前記第2ボートを前記移送ロボットを使用して冷却チャンバーに移動する段階、そして
前記冷却チャンバーにローディングされた前記第2ボートに載せられている前記液化された物質を冷却する段階を含み、
前記第1ボート、前記第2ボートおよび前記チューブハウジングのうちの少なくとも一つは金属から形成された、昇華精製方法。
【請求項16】
第1チャンバー内に昇華精製対象物質が載せられている第1ボートをローディングする段階、
前記ローディングされた第1ボートに載せられている前記昇華精製対象物質を加熱して除去された不純物をチューブハウジングを通じて第2ボートに捕獲する段階、
前記第1チャンバーから前記第1ボートをアンローディングして移送ロボットを通じて第2チャンバーに前記第1ボートをローディングする段階、
前記第2チャンバーにローディングされた第1ボートに載せられている前記昇華精製対象物質を溶融化して気体として活性化させる段階、
前記気体として活性化された物質を液化する段階、
前記液化された物質を前記第2チャンバーに含まれているチューブハウジングを通じて前記第2チャンバー内に位置する第2ボートに捕獲する段階、
前記第2チャンバー内に位置する前記第2ボートを前記移送ロボットを使用して冷却チャンバーに移動する段階、そして
前記冷却チャンバーにローディングされた前記第2ボートに載せられている前記液化された物質を冷却する段階を含み、
前記第1ボート、前記第2ボートおよび前記チューブハウジングのうちの少なくとも一つは金属から形成され、
前記チューブハウジングは、前記昇華精製対象物質の移動経路に沿って傾いた構造を有する、昇華精製方法。
【請求項17】
前記第1ボート、前記第2ボート、および前記チューブハウジングのうちの金属から形成された部品を化学溶液洗浄する段階をさらに含む、請求項
15または16に記載の昇華精製方法。
【請求項18】
前記洗浄する段階以後に、ベーキングする段階をさらに含む、請求項17に記載の昇華精製方法。
【請求項19】
前記真空チャンバーの内部に固定されている昇華精製量測定部材をさらに含み、
前記昇華精製量測定部材は、前記ボートの下部に位置する、請求項1から
6のいずれか一項に記載の昇華精製装置。
【請求項20】
前記チャンバーの内部に固定されている昇華精製量測定部材をさらに含み、
前記昇華精製量測定部材は、前記ボートの下部に位置する、請求項
7から
14のいずれか一項に記載の昇華精製装置。
【請求項21】
前記第1ボートと前記第2ボートのうちの少なくとも一つは、前記ゲートを通過したボートを前記チャンバー内で移動させて前記チューブハウジングと密着するようにする上下移送装置をさらに含む、請求項
20に記載の昇華精製装置。
【請求項22】
前記上下移送装置によって前記ボートが前記チューブハウジングから離隔して前記昇華精製量測定部材に到達して昇華精製量を測定する、請求項
21に記載の昇華精製装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は2018年9月12日付韓国特許出願第10-2018-0109089号および2019年6月4日付韓国特許出願第10-2019-0066109号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、昇華精製装置および昇華精製方法に関するものであって、より具体的に、高純度の精製効率を有し連続工程による収率向上および生産時間短縮を実現することができる昇華精製装置および昇華精製方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
電界発光素子は電子と正孔の再結合で蛍光体を発光させる自発光素子であって、電界発光素子の発光特性に影響を与える要因としては発光層物質の純度があり得、特に、有機電界発光素子の場合、有機物質の純度は素子の発光特性に非常に大きな影響を与えるようになる。有機物質中に不純物が混合されていれば、その不純物がキャリアのトラップになるか消光の原因になって素子の発光強度および発光効率が大きく低下される原因になるため、このような不純物を除去するために有機物質を精製する必要がある。
【0004】
このような有機物質の精製方法としては、一般に溶媒を使用した再結晶または昇華による再結晶方法が使用される。昇華による再結晶方法が、真空下で有機物質が昇華されて再結晶されるので不純物が入らない特性を有するようになって、通常有機電界発光素子用有機物質の精製には連続昇華精製法(train-sublimation)を使用することができる。このような方法は、
図1に示された原理図から分かるように、第1ヒーティングゾーン1で精製物質と不純物が含まれている有機物質6を加熱して気化させれば、気体は石英チューブ5を通じてポンピングされる方向に分子移動するようになり、この時、異なる温度領域を有する第2ヒーティングゾーン2と第3ヒーティングゾーン3に会って相変化して液化または固化されながら精製物質7と不純物8を分離収集することができるのである。
【0005】
従来の昇華精製装置は、
図2に示されているように、真空のための第1石英管10の内部に数個の第2石英管20を設置し、第1石英管10の外側にはセラミックヒーター31が備えられたヒーターカバー30を設置して製作できる。このような昇華精製装置に有機物質51を投入した後にヒーターカバー30を閉じてセラミックヒーター31を加熱すれば、昇華装置内部の温度勾配によって精製物質52と不純物53の分離が行われる。
【0006】
このような昇華精製装置において、第1石英管10は真空雰囲気や大気との気密のために使用され、第2石英管20は複数の区間に分離して互いに異なる温度に制御することによって有機物質51の不純物を除去して精製物質52を得るようになる。しかし、昇華精製装置の内部材質は、石英(Quartz)はその材料が有する短所のため大容量で量産できない限界および工程連続性を有しにくい問題のため収率が低下し人力が増加する短所がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、精製機内部材質である石英の設計加工の限界および耐久性が弱いという短所を補完するために、内部材質の金属化によって工程連続自動化、高純度精製効率、連続工程による収率向上および生産時間短縮などを実現する昇華精製装置および昇華精製方法を提供するためのものである。
【0008】
しかし、本発明の実施形態が解決しようとする課題は上述の課題に限定されず、本発明に含まれている技術的思想の範囲で多様に拡張できる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態による昇華精製装置は、真空チャンバー、前記真空チャンバー内に位置するチューブハウジング、前記チューブハウジングに密着されているボート、そして前記ボートの外側面および前記チューブハウジングの外側面に隣接して位置するヒーティング部を含み、前記ボートに昇華精製対象物質が載せられ、前記ボートおよび前記チューブハウジングのうちの少なくとも一つは金属から形成される。
【0010】
前記ボートは第1ボートおよび第2ボートを含み、前記第1ボートと前記第2ボートは前記真空チャンバー内に共に位置し、前記チューブハウジングが移動経路になって前記第1ボートに載せられている昇華精製対象物質が加熱された以後に前記第2ボートに捕獲されるようにすることができる。
【0011】
前記チューブハウジングの外側面に隣接して位置するヒーティング部は、前記第1ボートに対応する部分に位置する第1ヒーティングゾーン、前記第1ボートと前記第2ボートの間に位置する第2ヒーティングゾーン、および前記第2ボートに対応する部分に位置する第3ヒーティングゾーンを含み、前記第1ヒーティングゾーンは前記第1ボートに載せられて気体として活性化された昇華精製対象物質が気体状態を維持するように温度をコントロールし、前記第2ヒーティングゾーンは前記気体として活性化された昇華精製対象物質を液化し、前記第3ヒーティングゾーンは前記液化された昇華精製対象物質の液体状態を維持するように温度をコントロールして前記第2ボートに液体状態の昇華精製対象物質が落ちるようにすることができる。
【0012】
前記チューブハウジングは、前記昇華精製対象物質の移動経路に沿ってチルトされた構造を有することができる。
【0013】
前記金属は、チタニウムまたはタンタルを含むことができる。
【0014】
前記昇華精製装置は、前記チューブハウジングの端部に形成されたシーリングガスケットをさらに含み、前記チューブハウジングと前記ボートの間に前記シーリングガスケットが介されていてもよい。
【0015】
前記シーリングガスケットは、チタニウム(Ti)、銀(Ag)、銅(Cu)およびセラミックのうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0016】
本発明の他の一実施形態による昇華精製装置は、チャンバー移動部、前記チャンバー移動部に隣接して位置する複数のチャンバー、前記チャンバー内に位置するチューブハウジング、前記チャンバー移動部と前記チャンバーの間に位置するゲート、移送ロボットによって前記チャンバー移動部の内部を移動するか前記チャンバー移動部から前記チャンバーの内部にローディングまたはアンローディングされるボート、そして前記ボートの外側面および前記チューブハウジングの外側面を囲むヒーティング部を含み、前記ボートは前記チューブハウジングで互いに連結される第1ボートと第2ボートを含む。
【0017】
前記チューブハウジングの外側面に隣接して位置するヒーティング部は、前記第1ボートに対応する部分に位置する第1ヒーティングゾーン、前記第1ボートと前記第2ボートの間に位置する第2ヒーティングゾーン、および前記第2ボートに対応する部分に位置する第3ヒーティングゾーンを含み、前記第1ヒーティングゾーンは前記第1ボートに載せられて気体として活性化された昇華精製対象物質が気体状態を維持するように温度をコントロールし、前記第2ヒーティングゾーンは前記気体として活性化された昇華精製対象物質を液化し、前記第3ヒーティングゾーンは前記液化された昇華精製対象物質の液体状態を維持するように温度をコントロールして前記第2ボートに液体状態の昇華精製対象物質が落ちるようにすることができる。
【0018】
前記チューブハウジングは、前記昇華精製対象物質の移動経路に沿ってチルトされた構造を有することができる。
【0019】
前記昇華精製装置は、前記第1ボートと前記第2ボートのうちの少なくとも一つは、前記ゲートを通過したボートを前記チャンバー内で移動させて前記チューブハウジングと密着するようにする上下移送装置をさらに含むことができる。
【0020】
前記ボートおよび前記チューブハウジングのうちの少なくとも一つは、金属から形成することができる。
【0021】
前記昇華精製装置は、前記チューブハウジングの端部に形成されたシーリングガスケットをさらに含み、前記ボートが前記チャンバーの内部にローディングされて前記チューブハウジングと噛み合う時、前記ボートと前記チューブハウジングの間に前記シーリングガスケットが介されてもよい。
【0022】
前記複数のチャンバーは互いに隣接する第1チャンバーと第2チャンバーを含み、前記第1チャンバーに位置するチューブハウジングは前記第1チャンバーにローディングされた第1ボートに載せられている昇華精製対象物質を加熱して除去された不純物が前記第2ボートに捕獲され、前記第1チャンバーからアンローディングされた第1ボートが前記チャンバー移動部を通じて前記第2チャンバーにローディングされ、前記第2チャンバーにローディングされた第1ボートに載せられている昇華精製対象物質が溶融化して気体として活性化され得る。
【0023】
前記昇華精製装置は、前記チャンバーの内部に固定されている昇華精製量測定部材をさらに含み、前記昇華精製量測定部材は、前記ボートの下部に配置することができる。
【0024】
前記昇華精製装置は、前記第1ボートと前記第2ボートのうちの少なくとも一つは、前記ゲートを通過したボートを前記チャンバー内で移動させて前記チューブハウジングと密着するようにする上下移送装置をさらに含むことができる。
【0025】
前記移送装置によって前記ボートが前記チューブハウジングから離隔して前記昇華精製量測定部材に到達して昇華精製量を測定することができる。
【0026】
本発明の他の実施形態による昇華精製方法は、第1チャンバー内に昇華精製対象物質が載せられている第1ボートをローディングする段階、前記ローディングされた第1ボートに載せられている前記昇華精製対象物質を加熱して除去された不純物をチューブハウジングを通じて第2ボートに捕獲する段階、前記第1チャンバーから前記第1ボートをアンローディングして移送ロボットを通じて第2チャンバーに前記第1ボートをローディングする段階、前記第2チャンバーにローディングされた第1ボートに載せられている前記昇華精製対象物質を溶融化して気体として活性化させる段階、前記気体として活性化された物質を液化する段階、前記液化された物質を前記第2チャンバーに含まれているチューブハウジングを通じて前記第2チャンバー内に位置する第2ボートに捕獲する段階、前記第2チャンバー内に位置する前記第2ボートを前記移送ロボットを使用して冷却チャンバーに移動する段階、そして前記冷却チャンバーにローディングされた前記第2ボートに載せられている前記液化された物質を冷却する段階を含み、前記第1ボート、前記第2ボートおよび前記チューブハウジングのうちの少なくとも一つは金属から形成される。
【0027】
前記昇華精製方法は、前記第1ボート、前記第2ボート、および前記チューブハウジングのうちの金属から形成された部品を化学溶液洗浄する段階をさらに含むことができる。
【0028】
前記昇華精製方法は、前記洗浄する段階以後に、ベーキングする段階をさらに含むことができる。
【0029】
本発明の他の一実施形態による有機発光素子用物質は、前述の昇華精製方法によって精製される。
【0030】
本発明の他の一実施形態による有機発光素子は、前述の有機発光素子用物質を含む。
【発明の効果】
【0031】
実施形態によれば、既存の精製機内部材質として石英を使用したものを金属に代替して、石英材質の短所によって難しかった大容量での精製物質の生産、工程連続性によって収率を向上させることができる。
【0032】
また、複数のチャンバーで不純物精製が行われ、ゲートおよびロボットによってボートが移動することによって各精製段階での境界が明確なので高純度の精製効率を高めることができる。
【0033】
また、高真空で行われる精製作業で、内部材質である石英の破損および耐久性の強度低下によって発生することがある安全事故危険性を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図3】本発明の一実施形態による昇華精製装置を示す概略的な図である。
【
図4】
図3の昇華精製装置で、一つのチャンバー内に位置するチューブハウジングとボートが密着した形態を拡大して示す図である。
【
図5】
図4の昇華精製装置で、チューブハウジングの一部がチルトされた構造を有する変形実施形態を示す図である。
【
図6】
図3の昇華精製装置で、チャンバーの内部にボートがローディングされる様子を示す図である。
【
図7】
図4でチューブハウジングとボートが密着した様子を示す斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態によるヒーティング部を示す斜視図である。
【
図9】本発明の他の一実施形態による昇華精製装置の一つのチャンバー内でボートがチューブハウジングに密着した状態を示す図である。
【
図10】
図9のA部分で上下移送装置と昇華精製量測定部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付した図面を参考として本発明の様々な実施形態について本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳しく説明する。本発明は様々な異なる形態に実現でき、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0036】
また、明細書全体で、ある部分がある構成要素を「含む」という時、これは特に反対になる記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく他の構成要素をさらに含むことができるのを意味する。
【0037】
また、明細書全体で、「平面上」という時、これは対象部分を上から見た時を意味し、「断面上」という時、これは対象部分を垂直に切断した断面を横から見た時を意味する。
【0038】
図3は、本発明の一実施形態による昇華精製装置を示す概略的な図である。
【0039】
図3を参照すれば、本実施形態による昇華精製装置1000は、チャンバー移動部600、複数のチャンバー110、120、130、140、およびチャンバー移動部600とチャンバー110、120、130、140の間に位置するゲート700を含む。各チャンバー110、120、130、140内にはチューブハウジング200が位置し、チューブハウジング200によって2個のボート300が互いに連結されていてもよい。ボート300は、チューブハウジング200に密着して昇華精製工程が行われ得る。複数のチャンバー110、120、130、140それぞれは真空チャンバーであってもよい。チャンバー移動部600も真空状態を維持することが好ましい。
【0040】
昇華精製装置1000は、チャンバー110、120、130、140の内部に位置するチューブハウジング200の外側面に隣接して位置するヒーティング部400およびヒーティング部400を覆う冷却部500を含む。ボート300の外側面に隣接した部分にもヒーティング部400が形成されている。
【0041】
本実施形態による昇華精製装置1000は、昇華精製工程の最後段階で有機発光素子用物質を回収するために、複数のチャンバー110、120、130、140以外に、冷却チャンバー150をさらに含むことができる。冷却チャンバー150の内部には他のチャンバー110、120、130、140の内部に位置するチューブハウジング200がなく、冷却部500のみ含まれてもよい。冷却チャンバー150は、精製工程を終えた後に、移送ロボット650によって精製された物質が載せられているボート300がゲート700を通過して冷却チャンバー150にローディングされると、液体状態の精製物質が冷却されて製品として使用するための有機発光素子用物質を回収することができる。
【0042】
チャンバー移動部600には移送ロボット650が位置し、ボート300が移送ロボット650によってチャンバー移動部600の内部を移動するかチャンバー移動部600から各チャンバー110、120、130、140、150にローディングされるかアンローディングされる。チャンバー移動部600から各チャンバー110、120、130、140、150にボート300がローディングまたはアンローディングされる時、チャンバー移動部600と各チャンバー110、120、130、140、150の間に位置するゲート700をボート300が通過できる。ゲート700を通過してチャンバー110、120、130、140の内部にローディングされたボート300は、上下移送装置800によってチューブハウジング200と密着できる。
【0043】
本実施形態によるボート300およびチューブハウジング200のうちの少なくとも一つは、金属から形成できる。ボート300およびチューブハウジング200は昇華精製装置1000の内部材質からなる部分であって、内部材質からなる部分はボート300およびチューブハウジング200のうちの昇華精製対象物質と接触する部分であってもよい。ここで、金属は、チタニウム、タンタル、アルミナ、ステレンス鋼、タングステン、銀、銅、インバー、アルミニウムなどを含むことができる。好ましくは、チタニウムまたはタンタルであってもよい。従来に使用された石英は、一般的なガラスの一種であって、主成分である二酸化ケイ素のみからなって不純物含量が極めて少なく、半導体、実験器具および光学部品などに使用される。石英は、光透過性、熱安定性、耐化学性および高純度の材質を有する点から長所があるが、耐久性に乏しく部品加工の限界があり熱伝導率が低いという短所がある。したがって、石英材質から昇華精製装置を製造すれば、大きさ加工の限界があり、熱伝導率が低いため厚さなどの大きさを大きくすれば昇華精製を行うために加熱する時間などが長くかかり、分解/組み立て時作業の不合理性などによって精製物質を大量生産しにくい。
【0044】
ボートの金属材質の例として、チタニウムを使用することができ、チタニウムは金属比重が小さいながら軽くて固く、耐食性に優れて変形や腐蝕に強い。したがって、高強度材質成分を用いて溶融しようとする物質を効果的に相変化コントロールし、大きさ加工に限界が少ない。ボートの金属材質の例として、タンタルを使用することができ、タンタルは延性に優れて加工性が容易であり、熱伝導率と電気伝導率が非常に良い。
【0045】
チューブハウジングの金属材質の例として、またチタニウムを使用することができ、チタニウムは前述の特徴を有するためクリーニングが容易であり、熱伝達が安定するため加熱条件を正確にコントロールして相変化が容易であり、相変化された物質がそれぞれの精製ゾーンに該当するチャンバー間の移動が容易であり得る。チューブハウジングの金属材質の例として、またタンタルを使用することができる。
【0046】
本実施形態による昇華精製装置1000に含まれている第1チャンバー110および第3チャンバー130では、ボート300に載せられている昇華しようとする物質に混合されているアウトガスおよびその他の不純物を除去する工程を行うことができる。ここで、アウトガスおよびその他の不純物は、昇華精製対象物質に混合されている有機不純物であり得る。アウトガスは昇華工程前段階である合成工程で使用される溶剤としてエタノール、水分、ヘキサンなどの溶媒であり、その他の不純物は良品分子量より小さい単分子化合物などであり得る。
【0047】
図3に示した第1チャンバー110および第3チャンバー130それぞれの左側のボート300には昇華しようとする物質が載せられ、右側のボート300にはチューブハウジング200で加熱以後に冷却されたアウトガスおよびその他の不純物が捕獲される。したがって、1次昇華精製された物質は左側のボート300に残っており、1次昇華精製された物質が載せられているボート300が第2チャンバー120および第4チャンバー140に移動できる。
【0048】
第2チャンバー120および第4チャンバー140それぞれの左側のボート300には1次昇華精製された物質が載せられており、この物質がヒーティング部400を通過しながら溶融されて気体化され、気体化された物質が液化され、液化された物質が右側のボート300に昇華精製された物質として捕獲できる。第2チャンバー120および第4チャンバー140の右側ボート300に捕獲された昇華精製された物質は、冷却チャンバー150に伝達されて冷却過程を経て有機発光素子用物質として回収できる。
【0049】
言い換えれば、第1チャンバー110に位置するチューブハウジング200は第1チャンバー110にローディングされた第1ボートに載せられている昇華精製対象物質を加熱して除去された不純物が前記第2ボートに捕獲され、第1チャンバー110からアンローディングされた第1ボートがチャンバー移動部600を通じて第2チャンバー120にローディングされ、第2チャンバー120にローディングされた第1ボートに載せられている昇華精製対象物質が溶融化して気体として活性化され、気体化された物質が液化され、液化された物質が第2ボートに昇華精製された物質として捕獲できる。
【0050】
前述の第1チャンバー110および第2チャンバー120内で精製過程が順次に行われた後、第2チャンバー120の右側ボート300が直ちに冷却チャンバー150に移動するか、追加的な昇華精製工程が必要な場合には第1チャンバー110および第2チャンバー120で順次に行われた精製過程が、第3チャンバー130および第4チャンバー140内で再び一回繰り返して行われてもよい。
【0051】
以下、
図4~
図7を参照して、各チャンバー110、120、130、140の内部に位置して昇華精製経路に関連するチューブハウジング200、ボート300、ヒーティング部400および冷却部500について詳しく説明する。
【0052】
図4は、
図3の昇華精製装置で、一つのチャンバー内に位置するチューブハウジングとボートが密着した形態を拡大して示した図である。
図5は、
図4の昇華精製装置で、チューブハウジングの一部がチルトされた構造を有する変形実施形態を示す図である。
図6は、
図3の昇華精製装置で、チャンバーの内部にボートがローディングされる様子を示す図である。
図7は、
図4でチューブハウジングとボートが密着した様子を示す斜視図である。
【0053】
図4を参照すれば、本実施形態でチューブハウジング200は、第1ボート300aに載せられている昇華精製対象物質が加熱された以後に第2ボート300bに捕獲されるようにする昇華精製対象物質の移動経路になり得る。昇華精製対象物質は、有機物および不純物が混合された混合材料であり得る。
【0054】
本実施形態によるチューブハウジング200の外側面に隣接して位置するヒーティング部400は、第1ボート300aに対応する部分に位置する第1ヒーティングゾーン410、第1ボート300aと第2ボート300bの間に位置する第2ヒーティングゾーン420、および第2ボート300bに対応する部分に位置する第3ヒーティングゾーン430を含む。第1ボート300aに載せられている昇華精製対象物質が第1ボート300a)の下部に位置する下部ヒーティング部440によって加熱されて液化され、追加的に温度を上昇させて昇華精製対象物質は気体として活性化され、気体として活性化された昇華物質がチューブハウジング200の第1ヒーティングゾーン410に到達した後、温度が低い第2ヒーティングゾーン420に移動する。この時、第1ヒーティングゾーン410は、第1ボート300aと同等な温度条件を維持することによって気体状態を維持し、気体状態の昇華物質が第2ヒーティングゾーン420に飛んで行くようにする。
【0055】
第2ヒーティングゾーン420は、温度を低めて前記気体として活性化された昇華精製対象物質を液体状態に相変化させることができる。この時、第1ヒーティングゾーン410の過度な熱干渉によって物質間相変化をコントロールするために、第2ヒーティングゾーン420は冷却機能も共に有し得る。第2ヒーティングゾーン420で液状化された物質が第3ヒーティングゾーン430に入るようになり、第3ヒーティングゾーン430は温度をコントロールして前記液化された昇華精製対象物質の液体状態の温度を維持することができるようにする。第3ヒーティングゾーン430を経て昇華精製対象物質は、第2ボート300bに液体状態で落ちるようになる。この時、変形実施形態として、
図5に示したようにチューブハウジング200は、昇華精製対象物質の移動経路に沿ってチルトされた構造を有することができる。チルトされた構造によって第1ボート300aから第2ボート300bへの物質の移動が円滑に行われ得る。チルトされた構造は、液化された昇華精製対象物質が第2ボート300bによく流れるようにするためのものである。チルトされた程度は大略5度であってもよい。
【0056】
図6を参照すれば、
図3でのゲート700を通過してチャンバー120の内部にローディングされたボート300は、上下移送装置800によってチューブハウジング200と密着できる。上下移送装置800は、ローディングされたボート300をチャンバー120内に位置するチューブハウジング200に密着して昇華精製工程が行われるようにチャンバー120内でボート300を移動させる役割を果たすことができる。
【0057】
上下移送装置800は、空圧シリンダであってもよい。第1ボート300aの下に搭載されている下部ヒーティング部440、450が上下移送装置800によって下部に下りている状態で、
図3で説明した移送ロボット650が第1ボート300aを第2チャンバー120に装着することができる。その後、ゲートを閉じて真空雰囲気を造成した状態で、上下移送装置800を用いて下部ヒーティング部440、450をチューブハウジング200側に上げることによって、第2チャンバー120に装着された第1ボート300aがチューブハウジング200に物理的な力によって密着して結合できる。第1ボート300aとチューブハウジング200が密着/結合されることによって気体化された物質が第1ボート300aとチューブハウジング200のスキ間に流失して発生することがある外部汚染を防止することができる。
【0058】
これに反し、第2ボート300bはチューブハウジング200と分離された状態で存在し、第1ボート300aとチューブハウジング200が密着結合された状態で維持されながら昇華が行われ、この時、チューブハウジング200と分離された状態で第2ボート300bは液状化された物質を集めておく。具体的に、チューブハウジング200のチルト構造による傾いた角度によって液状化された物質が上から下に落ちる現象を通じて第2ボート300bに集められる。また、チューブハウジング200と第2ボート300bが分離されていることによって、第2チャンバー120の内部圧力とチューブハウジング200の内部圧力が同一に維持され得る。
【0059】
図7を参照すれば、本実施形態による昇華精製装置は、ボート300とチューブハウジング200が密着される場合、ボート300とチューブハウジング200の間に介されているシーリングガスケット250をさらに含むことができる。シーリングガスケット250はチューブハウジング200の端部に形成されており、シーリングガスケット250はチューブハウジング200の端部が曲がった部分に発生する狭い隙間を満たしている。シーリングガスケット250は、チタニウム(Ti)、銀(Ag)、銅(Cu)およびセラミックのうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0060】
シーリングガスケット250は、チャンバー120内で固体を加熱すれば流体になり、このような流体がチューブハウジングの外部に漏れ出るのを防止することができる。
【0061】
以下、
図8を参照してヒーティング部について具体的に説明する。
図8は、本発明の一実施形態によるヒーティング部を示す斜視図である。
【0062】
図8を参照すれば、チューブハウジング200が浴槽形状を有し、浴槽がひっくり返った構造を有することができる。チューブハウジング200の両端にそれぞれ第1ボート300aと第2ボート300bが密着されている。
【0063】
本実施形態によるヒーティング部は、チューブハウジング200の外側面に隣接して位置する上部ヒーティング部と、第1、第2ボート300a、300bの外側面に隣接して位置する下部ヒーティング部を含む。前記上部ヒーティング部は、第1ボート300aに対応する部分に位置する第1ヒーティングゾーン410、第1ボート300aと第2ボート300bの間に位置する第2ヒーティングゾーン420、および第2ボート300bに対応する部分に位置する第3ヒーティングゾーン430を含む。前記下部ヒーティング部は、第1ボート300aの側面を囲む第4ヒーティングゾーン440と第2ボート300bの側面を囲む第5ヒーティングゾーン450を含む。
【0064】
本実施形態によるヒーティング部はタンタルから形成することができる。タンタルは延性に優れて加工性が容易であり、熱伝導率と電気伝導率が良いため加熱しようとするヒーティングゾーンで独立した熱伝達が可能であり、熱伝達コントロールが非常に安定的であり得る。または、ヒーティング部がインコネル(Inconel)から形成できる。インコネルは耐熱性が良くて大略摂氏900度以上の酸化条件でも酸化せず、伸張、引張強度、降伏点などの様々な性質も摂氏600度まで変わらない優れた性質を有することができる。
【0065】
図9は、本発明の他の一実施形態による昇華精製装置のあるチャンバー内でボートがチューブハウジングに密着した状態を示す図である。
図10は、
図9のA部分で、上下移送装置と昇華精製量測定部材を示す斜視図である。
図11は、
図10の昇華精製量測定部材を示す正面図である。
【0066】
図9および
図10を参照すれば、本実施形態による昇華精製装置は、チャンバー120の内部に固定されている昇華精製量測定部材850をさらに含む。昇華精製量測定部材850は、ボート300の下部に配置することができる。このようにボート300の下部に昇華精製量測定部材850が位置することによって、昇華精製工程進行中にリアルタイムで昇華精製量を確認することができる。昇華精製量測定部材850は荷重センサーとして力または荷重を測定するための変換器であり、出力を電気的信号で出力できる装置である。
【0067】
具体的に
図11を参照すれば、ボート300の下端に位置する加熱部であるヒーティング部440はボート300を囲んでいるが、本実施形態による昇華精製量測定部材850はヒーティング部440の下端中央部でヒーティング部440に干渉されない部分に三脚形態のピン860が突出している。ヒーティング部440はワイヤータイプの熱線であってもよく、熱線は間隔を有して複数で形成されて、
図9のようにチューブハウジング200を全体的に囲んでいる形態である。言い換えれば、複数の熱線の間で三脚形態のピン860が上部方向に突出するため、ヒーティング部440の干渉なくボート300と昇華精製量測定部材850を組み立てることができる。
【0068】
ボート300を支えている上下移送装置800によってボート300が下部に移動すれば、昇華精製量測定部材850のピン860にボート300が到達するようになる。この時、ボート300内の昇華精製物質の精製量を測定することができる。
【0069】
既存には単純に昇華精製量を肉眼で確認した後、経験による主観的視覚で工程条件および工程終了時点を判断していたが、本実施形態による昇華精製装置は、昇華精製量測定部材850を使用して物質移動量および物質消耗量を工程中にリアルタイムで確認することができるため、工程間偏差および工程上発生することがある問題を最少化することができる。
【0070】
以下、
図3~
図8を再び参照して、本発明の他の一実施形態による昇華精製方法について説明する。
【0071】
図3~
図8を参照すれば、本実施形態による昇華精製方法は、第1チャンバー110に昇華精製対象物質を載せた第1ボート300aをローディングした後、加熱して昇華精製対象物質に混入されているアウトガスおよびその他の不純物を1次除去する。この時、精製された物質以外に残留溶媒および単分子不純物が1次昇華されて第2ボート300bに捕獲される。その後、昇華されない温度、即ち、気体化されない範囲の温度まで冷却する。
【0072】
その後、第1チャンバー110で1次精製された物質が載せられている第1ボート300aを第1チャンバー110からアンローディングして移送ロボット650を通じて第2チャンバー120に第1ボート300aをローディングする。第2チャンバー120にローディングされた第1ボート300aに載せられている昇華精製対象物質を第4ヒーティングゾーン440で加熱して液化し、追加的に温度を上昇させて気体として活性化させる。気体として活性化された昇華物質が第1ヒーティングゾーン410に移動し、第1ヒーティングゾーン410で第1ボート300aと同等な温度を維持することによって、気体として活性化された昇華物質が第2ヒーティングゾーン420に飛んで行くようにする。第2ヒーティングゾーン420で温度を低めて前記気体として活性化された昇華精製対象物質を液化する。第2ヒーティングゾーン420で液化された物質が第3ヒーティングゾーン430に入り、第3ヒーティングゾーン430をコントロールして前記液化された昇華精製対象物質の液体状態の温度を維持して第2ボート300bに液体状態で落として捕獲する。第2チャンバー120で工程が完了した後、第2ボート300bを移送ロボット650を使用して冷却チャンバー150に移動し、冷却チャンバー150にローディングされた第2ボート300b)に載せられている前記液化された物質を冷却させることができる。
【0073】
前記昇華精製工程中に、冷却チャンバー150に第2ボート300bをローディングさせる前に高純度の精製物質を得るために、第1チャンバー110と第2チャンバー120で順次に行った工程を、第3チャンバー130と第4チャンバー140で同一に繰り返して行うことができる。
【0074】
第1ボート300a、第2ボート300b、およびチューブハウジング200は金属から形成され、本実施形態による昇華精製方法は前記金属から形成された部品を化学溶液洗浄する段階をさらに含むことができる。このような洗浄工程によって、高真空時にヒーティング部とボートおよびチューブハウジングを成す金属成分物質から溶出される金属不純物が昇華精製対象物質に混入されて有機発光素子製造時に電圧上昇および寿命短縮などの問題を防止することができる。
【0075】
追加的に、本実施形態による昇華精製方法は、前記洗浄する段階以後にベーキングする段階をさらに含むことができる。ベーキングする段階は、大略摂氏200度以上の温度で行うことができ、少なくとも2回行うことができる。
【0076】
以上で本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるのではなく、次の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属するのである。
【符号の説明】
【0077】
1000:昇華精製装置
110、120、130、140:チャンバー
150:冷却チャンバー
200:チューブハウジング
250:シーリングガスケット
300:ボート
400:ヒーティング部
410、420、430、440、450:ヒーティングゾーン
500:冷却部
600:チャンバー移動部
650:移送ロボット
700:ゲート
800:上下移送装置
850:昇華精製量測定部材