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特許7052185金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物、それを用いた樹脂コーティング金属箔膜および金属箔積層板
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  • 特許-金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物、それを用いた樹脂コーティング金属箔膜および金属箔積層板 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物、それを用いた樹脂コーティング金属箔膜および金属箔積層板
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/02 20060101AFI20220405BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20220405BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20220405BHJP
   C08K 5/17 20060101ALI20220405BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20220405BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20220405BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20220405BHJP
   C09D 163/00 20060101ALI20220405BHJP
   C09D 179/04 20060101ALI20220405BHJP
   C09D 165/00 20060101ALI20220405BHJP
   C09D 133/00 20060101ALI20220405BHJP
   C09D 133/20 20060101ALI20220405BHJP
   C09D 133/04 20060101ALI20220405BHJP
   C09D 109/00 20060101ALI20220405BHJP
   B32B 15/092 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
C09D201/02
C08L63/00 Z
C08L101/00
C08K5/17
C08K3/013
C09D7/61
C09D7/63
C09D163/00
C09D179/04
C09D165/00
C09D133/00
C09D133/20
C09D133/04
C09D109/00
B32B15/092
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020539749
(86)(22)【出願日】2019-09-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-06
(86)【国際出願番号】 KR2019012087
(87)【国際公開番号】W WO2020060197
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2020-07-28
(31)【優先権主張番号】10-2018-0113252
(32)【優先日】2018-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヨン チャン
(72)【発明者】
【氏名】ミン、ヒュンスン
(72)【発明者】
【氏名】オー、ユギョン
(72)【発明者】
【氏名】シム、チャンボ
【審査官】水野 明梨
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/105070(WO,A1)
【文献】特表2018-518563(JP,A)
【文献】韓国特許第10-2009-0071774(KR,B1)
【文献】特開平05-025452(JP,A)
【文献】国際公開第2007/032424(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 201/02
C08L 63/00
C08L 101/00
C08K 5/17
C08K 3/013
C09D 7/61
C09D 7/63
C09D 163/00
C09D 179/04
C09D 165/00
C09D 133/00
C09D 133/20
C09D 133/04
C09D 109/00
B32B 15/092
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)スルホン基、カルボニル基、ハロゲン基、ニトロ基、シアノ基またはハロゲン基で置換または非置換された炭素数1~20のアルキル基、ii)ニトロ基、シアノ基またはハロゲン基で置換または非置換された炭素数6~20のアリール基、iii)ニトロ基、シアノ基またはハロゲン基で置換または非置換された炭素数2~30のヘテロアリール基、およびiv)ニトロ基、シアノ基またはハロゲン基で置換または非置換された炭素数1~20のアルキレン基からなる群より選ばれた1種以上の官能基を1以上含むアミン化合物;
熱硬化性樹脂;
熱可塑性樹脂;および
無機充填材;を含み、
前記アミン化合物および熱硬化性樹脂の総和100重量部に対して、前記熱可塑性樹脂を40重量部~90重量部で含み、
120℃~180℃の範囲で2000Pa・s以下の複素粘度を有し、
下記数式1で計算される当量比が1.4以上である、金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物。
[数1]
当量比=前記アミン化合物に含有された総活性水素当量/前記熱硬化性樹脂に含有された総硬化性官能基当量。
【請求項2】
前記熱硬化性樹脂は、ジシクロペンタジエン系エポキシ樹脂およびビフェニル系エポキシ樹脂を含む、請求項1に記載の金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記ジシクロペンタジエン系エポキシ樹脂100重量部に対して前記ビフェニル系エポキシ樹脂の含有量が100重量部未満である、請求項2に記載の金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
前記熱硬化性樹脂は、ビスマレイミド樹脂、シアネートエステル樹脂およびビスマレイミド-トリアジン樹脂からなる群より選ばれる1種以上の樹脂をさらに含む、請求項2または3に記載の金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
前記アミン化合物100重量部に対して前記熱硬化性樹脂を400重量部以下で含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
前記アミン化合物は、2~5個のアミノ基を含む芳香族アミン化合物を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
前記熱可塑性樹脂は、(メタ)アクリレート系高分子を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物。
【請求項8】
前記(メタ)アクリレート系高分子は、
(メタ)アクリレート系単量体由来の繰り返し単位と(メタ)アクリロニトリル由来の繰り返し単位が含まれたアクリル酸エステル共重合体;またはブタジエン由来の繰り返し単位が含まれたアクリル酸エステル共重合体である、請求項に記載の金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物。
【請求項9】
前記(メタ)アクリレート系高分子は、500000~1000000の重量平均分子量を有する、請求項またはに記載の金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物。
【請求項10】
前記アミン化合物および熱硬化性樹脂の総和100重量部に対して前記無機充填材の含有量が200重量部~500重量部である、請求項1からのいずれか一項に記載の金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物。
【請求項11】
前記無機充填材は、平均粒径が相異する2種以上の無機充填材を含み得、
前記2種以上の無機充填材のうち少なくとも1種が平均粒径が0.1μm~100μmである無機充填材であり、他の1種が平均粒径が1nm~90nmである無機充填材である、請求項1から1のいずれか一項に記載の金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物。
【請求項12】
請求項1から1のいずれか一項に記載の金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物の硬化物を含む、樹脂コーティング金属箔膜。
【請求項13】
i)スルホン基、カルボニル基、ハロゲン基、ニトロ基、シアノ基またはハロゲン基で置換または非置換された炭素数1~20のアルキル基、ii)ニトロ基、シアノ基またはハロゲン基で置換または非置換された炭素数6~20のアリール基、iii)ニトロ基、シアノ基またはハロゲン基で置換または非置換された炭素数2~30のヘテロアリール基、およびiv)ニトロ基、シアノ基またはハロゲン基で置換または非置換された炭素数1~20のアルキレン基からなる群より選ばれた1種以上の官能基を1以上含むアミン化合物;熱硬化性樹脂;および熱可塑性樹脂;間の硬化物と、
前記硬化物間に分散した無機充填材を含み、
前記アミン化合物および熱硬化性樹脂の総和100重量部に対して、前記熱可塑性樹脂を40重量部~90重量部で含み、下記数式1で計算される当量比が1.4以上である、
樹脂コーティング金属箔膜。
[数1]
当量比=前記アミン化合物に含有された総活性水素当量/前記熱硬化性樹脂に含有された総硬化性官能基当量。
【請求項14】
請求項1または1に記載の樹脂コーティング金属箔膜を含む、金属箔積層板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互引用]
本出願は、2018年9月20日付韓国特許出願第10-2018-0113252号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれている。
【0002】
本発明は、金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物、樹脂コーティング金属箔膜および金属箔積層板に関し、より詳細には優れた流れ性を有し、耐クラック性および引張特性などの機械的物性が向上した金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物およびそれを用いた樹脂コーティング金属箔膜および金属箔積層板に関する。
【背景技術】
【0003】
従来のプリント回路基板に用いられる銅張積層板(copper clad laminate)はガラス繊維(Glass Fabric)の基材を前記熱硬化性樹脂のワニスに含浸した後に半硬化させるとプリプレグになり、それを再び銅箔と共に加熱加圧して製造する。このような銅箔積層板に回路パターンを構成し、その上にビルドアップ(build-up)をする用途にプリプレグが再び使われる。
【0004】
最近、電子機器、通信機器、パーソナルコンピュータ、スマートフォンなどの高性能化、薄型化、軽量化の加速化につれ半導体パッケージにも薄型化が求められ、同時に半導体パッケージ用プリント回路基板も薄型化の必要性が大きくなっている。
【0005】
すなわち、最近の電子機器のフォームファクタが減ることにより半導体パッケージの厚さもますます薄くなっている。しかし、従来のパッケージの構成成分のうち積層素材であるプリプレグ(prepreg)は製織したガラス繊維(glass fabric)を含んでいるので、厚さを一定以上減らすことは難しい。
【0006】
一方、プリプレグの代案素材である樹脂付銅箔(RCC、Resin coated copper)はガラス繊維を含まないため、プリプレグに比べて厚さをさらに薄くさせることができる。
【0007】
しかし、既存のプリプレグより薄い素材である樹脂がコートされた銅箔は補強基材としてガラス繊維が入らないので、パッケージ工程過程でクラックが発生しやすい。工程過程でクラックが発生すると全体収率の減少につながり、信頼性にも悪影響を与える恐れがある。したがって、樹脂付銅箔内の樹脂層の耐クラック性向上が必要である。
【0008】
また、積層素材の特性のうち最も重要な特性はパターン充填性(埋め立て性)である。すなわち、積層素材として樹脂付銅箔はパターンを埋めなければならないので、樹脂の流れ性は重要な特性である。特に、樹脂銅箔積層の厚さが薄くなるほど樹脂量が少なくなってパターンを埋めることが難しい。パターンが正しく埋められない場合、空の空間(void)が発生し、半導体基板の信頼性、性能などが劣る。樹脂付銅箔の厚さが薄くなると樹脂量も減るので、パターンを埋めることができず、積層後に空の空間が発生する可能性が高くなる。すなわち、基板の薄膜化のために樹脂厚さを薄くするとパターン充填性が劣ることになる。
【0009】
したがって、厚さを薄くしながらも同時にパターン充填性を高め、クラックを防止するためには樹脂の流れ性と耐クラック性を同時に高めることが必要である。
【0010】
通常用いられる方法は単分子系の樹脂を使用することである。分子量が低い樹脂の場合、積層工程の温度区間内で硬化前粘度が低いので、流れ性およびパターン充填性に優れる。しかし、単分子系の樹脂は硬化前の表面べたつきがあるので、保護フィルムが必要であり、常温保管時に硬化反応が徐々に進行されるので、経時変化に脆弱な短所を有している。また、前記樹脂は耐クラック性が充分でなく、全体収率の減少を引き起こす問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、優れた流れ性を有し、耐クラック性および引張特性などの機械的物性が向上した金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物を提供する。
【0012】
また、本発明は、前記金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物の硬化物を含む樹脂コーティング金属箔膜を提供する。
【0013】
また、本発明は、前記樹脂コーティング金属箔膜を含む金属箔積層板を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本明細書において、i)スルホン基、カルボニル基、ハロゲン基、ニトロ基、シアノ基またはハロゲン基で置換または非置換された炭素数1~20のアルキル基、ii)ニトロ基、シアノ基またはハロゲン基で置換または非置換された炭素数6~20のアリール基、iii)ニトロ基、シアノ基またはハロゲン基で置換または非置換された炭素数2~30のヘテロアリール基、およびiv)ニトロ基、シアノ基またはハロゲン基で置換または非置換された炭素数1~20のアルキレン基からなる群より選ばれた1種以上の官能基を1以上含むアミン化合物;熱硬化性樹脂;熱可塑性樹脂;および無機充填材;を含み、前記アミン化合物および熱硬化性樹脂の総和100重量部に対して、前記熱可塑性樹脂を40重量部~90重量部で含み、120℃~180℃の範囲で2000Pa・s以下の複素粘度を有する金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物が提供される。
【0015】
本明細書においてまた、前記金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物の硬化物を含む樹脂コーティング金属箔膜を提供する。
【0016】
本明細書においてまた、前記樹脂コーティング金属箔膜を含む金属箔積層板を提供する。
【0017】
以下、発明の具体的な実施形態による金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物とそれを用いた樹脂コーティング金属箔膜および金属箔積層板についてより詳細に説明する。
【0018】
I.金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物
発明の一実施形態によれば、i)スルホン基、カルボニル基、ハロゲン基、ニトロ基、シアノ基またはハロゲン基で置換または非置換された炭素数1~20のアルキル基、ii)ニトロ基、シアノ基またはハロゲン基で置換または非置換された炭素数6~20のアリール基、iii)ニトロ基、シアノ基またはハロゲン基で置換または非置換された炭素数2~30のヘテロアリール基、およびiv)ニトロ基、シアノ基またはハロゲン基で置換または非置換された炭素数1~20のアルキレン基からなる群より選ばれた1種以上の官能基を1以上含むアミン化合物;熱硬化性樹脂;熱可塑性樹脂;および無機充填材;を含み、前記アミン化合物および熱硬化性樹脂の総和100重量部に対して、前記熱可塑性樹脂を40重量部~90重量部で含み、120℃~180℃の範囲で2000Pa・s以下の複素粘度を有する金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物が提供され得る。
【0019】
従来には主に樹脂組成物を製織したガラス繊維に含浸したプリプレグを用いて金属箔積層板を製造してきたが、厚さ減少に限界があるだけでなく厚さが減少すると銅箔の積層工程中に樹脂の流れ性が劣り、パターン充填性が不良である問題があった。また、樹脂がコートされた形態の銅箔の薄膜化が可能でも、単分子系の樹脂が使用される場合、保管性および安定性の側面から不利な点が多かった。
【0020】
一方、従来の熱硬化性樹脂組成物では硬化後モジュラスが高いため割れやすく、これにより耐クラック性は劣る短所があった。
【0021】
したがって、本発明ではエポキシとアミン硬化剤などで構成された樹脂システムおよび一定含有量の熱可塑性樹脂を導入して樹脂の流れ性を確保するだけでなく前記熱硬化性樹脂組成物がコートされた金属箔膜の耐クラック性を向上させようとする。また、本発明の組成物は樹脂の種類および混合比を最適化する特徴がある。
【0022】
より具体的には、本発明によれば、特定アミン硬化剤を使用し、樹脂の硬化反応を容易に制御することができる。さらに具体的にはアミン硬化剤の官能基を調整して樹脂の硬化反応時生じる結合の数を調整することによってモジュラスを低くすることができる。これにより耐クラック性は増加するようになり、同じ引張力または衝撃に対してより安定性を有することができる。
【0023】
また、本発明に使用された金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物は、硬化反応の制御とともに、前記組成物に特定熱可塑性樹脂を添加して流れ性を調整する。これにより、レオメータ最低粘度区間(window)が広くなって流れ性およびパターン充填性に有利になる。好ましくは、本発明は金属箔積層工程の温度区間内で、最小粘度を維持する区間(window)を広げることによって樹脂の流れ性を向上させる効果がある。
【0024】
例えば、パターンを埋めるのに適する複素粘度が2000Pa・s以下であると仮定するとき、本発明で提示する樹脂組成物の場合、前記粘度条件を満足する温度区間は120℃~180℃で非常に広い。すなわち、積層工程区間内の流れ性が高くパターン充填性に優れ、熱硬化性樹脂組成物がコートされた金属箔膜の耐クラック性を向上させることができる。
【0025】
前記一実施形態の金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物は、アミン化合物、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、および無機充填材を含み得る。
【0026】
前記成分の含有量が大きく限定されるものではないが、前記実施形態の金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物から製造される最終製品の物性などを考慮して上述した成分を含み得、これら成分間の含有量比などは後述するとおりである。
【0027】
具体的には、前記一実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、i)スルホン基、カルボニル基、ハロゲン基、ニトロ基、シアノ基またはハロゲン基で置換または非置換された炭素数1~20のアルキル基、ii)ニトロ基、シアノ基またはハロゲン基で置換または非置換された炭素数6~20のアリール基、iii)ニトロ基、シアノ基またはハロゲン基で置換または非置換された炭素数2~30のヘテロアリール基、およびiv)ニトロ基、シアノ基またはハロゲン基で置換または非置換された炭素数1~20のアルキレン基からなる群より選ばれた1種以上の官能基を1以上含むアミン化合物を含み得る。前記アミン化合物は、アミン硬化剤として使用され得る。
【0028】
この時、前記アミン化合物に含まれた炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数2~30のヘテロアリール基および炭素数1~20のアルキレン基はそれぞれ独立してニトロ基、シアノ基およびハロゲン基からなる群より選ばれた1種以上の官能基で置換され得る。
【0029】
前記アミン化合物に含まれたi)スルホン基、カルボニル基、ハロゲン基、ニトロ基、シアノ基またはハロゲン基で置換または非置換された炭素数1~20のアルキル基、ii)ニトロ基、シアノ基またはハロゲン基で置換または非置換された炭素数6~20のアリール基、iii)ニトロ基、シアノ基またはハロゲン基で置換または非置換された炭素数2~30のヘテロアリール基、およびiv)ニトロ基、シアノ基またはハロゲン基で置換または非置換された炭素数1~20のアルキレン基からなる群より選ばれた1種以上の官能基は強力な電子吸引基(Electron Withdrawing Group,EWG)として、前記電子吸引基を含むアミン化合物は電子吸引基を含まないアミン化合物に比べて反応性が減少し、これから樹脂組成物の硬化反応を容易に制御することができる。
【0030】
したがって、前記アミン化合物によって組成物の硬化反応程度を調整して流動性を向上させて回路パターン充填性が向上することができる。
【0031】
前記アミン化合物は、i)スルホン基、カルボニル基、ハロゲン基、ニトロ基、シアノ基またはハロゲン基で置換または非置換された炭素数1~20のアルキル基、ii)ニトロ基、シアノ基またはハロゲン基で置換または非置換された炭素数6~20のアリール基、iii)ニトロ基、シアノ基またはハロゲン基で置換または非置換された炭素数2~30のヘテロアリール基、およびiv)ニトロ基、シアノ基またはハロゲン基で置換または非置換された炭素数1~20のアルキレン基からなる群より選ばれた1種以上の官能基を1以上含み、2~5個のアミン基を含む芳香族アミン化合物であり得る。
【0032】
より具体的には、前記アミン化合物は、下記化学式1~3からなる群より選ばれた1種以上の化合物を含み得る。
[化学式1]
【化1】
前記化学式1において、Aはスルホン基、カルボニル基、または炭素数1~10のアルキレン基であり、X~Xはそれぞれ独立してニトロ基、シアノ基、水素原子、ハロゲン基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数6~15のアリール基、または炭素数2~20のヘテロアリール基であり、R、R'、RおよびR'はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数6~15のアリール基、または炭素数2~20のヘテロアリール基であり、nは1~10の整数であり得る。
前記炭素数1~10のアルキレン基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数6~15のアリール基、および炭素数2~20のヘテロアリール基はそれぞれ独立してニトロ基、シアノ基およびハロゲン基からなる群より選ばれた1種以上の官能基で置換され得る。
【0033】
[化学式2]
【化2】
前記化学式2において、Y~Yはそれぞれ独立してニトロ基、シアノ基、水素原子、ハロゲン基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数6~15のアリール基、または炭素数2~20のヘテロアリール基であり、R、R'、RおよびR'はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数6~15のアリール基、または炭素数2~20のヘテロアリール基であり、mは1~10の整数であり、前記炭素数1~6のアルキル基、炭素数6~15のアリール基、および炭素数2~20のヘテロアリール基はそれぞれ独立してニトロ基、シアノ基およびハロゲン基からなる群より選ばれた1種以上の官能基で置換され得る。
【0034】
[化学式3]
【化3】
前記化学式3において、Z~Zはそれぞれ独立してニトロ基、シアノ基、水素原子、ハロゲン基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数6~15のアリール基、または炭素数2~20のヘテロアリール基であり、R、R'、RおよびR'はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数6~15のアリール基、または炭素数2~20のヘテロアリール基であり、前記炭素数1~6のアルキル基、炭素数6~15のアリール基、および炭素数2~20のヘテロアリール基はそれぞれ独立してニトロ基、シアノ基およびハロゲン基からなる群より選ばれた1種以上の官能基で置換され得る。
【0035】
前記アルキル基は、アルカン(alkane)に由来した1価の官能基であり、例えば、直鎖状、分枝状または環状として、メチル、エチル、プロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシルなどであり得る。前記アルキル基に含まれている一つ以上の水素原子はそれぞれ置換基で置換可能である。
【0036】
前記アルキレン基は、アルカン(alkane)に由来した2価の官能基であり、例えば、直鎖状、分枝状または環状として、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソブチレン基、sec-ブチレン基、tert-ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基などであり得る。前記アルキレン基に含まれている一つ以上の水素原子はそれぞれ前記アルキル基の場合と同様の置換基で置換可能である。
【0037】
前記アリール基は、アレーン(arene)に由来した1価の官能基であり、例えば、単環式または多環式であり得る。具体的には、単環式アリール基としてはフェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、スチルベニル基などであり得るが、これに限定されるものではない。多環式アリール基としてはナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、ペリレニル基、クリセニル基、フルオレニル基などであり得るが、これに限定されるものではない。このようなアリール基の一つ以上の水素原子はそれぞれ前記アルキル基の場合と同様の置換基で置換可能である。
【0038】
前記ヘテロアリール基は、異種原子としてO、NまたはSを含むヘテロ環基であって、炭素数は特に限定されないが、炭素数2~30であり得る。ヘテロ環基の例としてはチオフェン基、フラン基、ピロール基、イミダゾール基、チアゾール基、オキサゾール基、オキサジアゾール基、トリアゾール基、ピリジル基、ビピリジル基、トリアジン基、アクリジル基、ピリダジン基、キノリニル基、イソキノリン基、インドール基、カルバゾール基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾイミダゾール基、ベンゾチアゾール基、ベンゾカルバゾール基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、ベンゾフラニル基およびジベンゾフラン基などがあるが、これらにのみ限定されるものではない。このようなヘテロアリール基のうち一つ以上の水素原子はそれぞれ前記アルキル基の場合と同様の置換基で置換可能である。
【0039】
前記「置換」という用語は、化合物内の水素原子の代わりに他の官能基が結合することを意味し、置換される位置は水素原子が置換される位置すなわち、置換基が置換可能な位置であれば限定されず、2以上置換される場合、2以上の置換基は互いに同一または異なってもよい。
【0040】
より具体的には、前記化学式1は、下記化学式1-1で表される化合物を含み得る。
[化学式1-1]
【化4】
前記化学式1-1において、A、X~X、R、R'、RおよびR',nに対する内容は前記化学式1で上述した内容を含む。
【0041】
前記化学式1-1の具体的な例としては4,4'-diaminodiphenyl sulfone(化学式1-1において、Aはスルホン基、X~X、R、R'、RおよびR'はそれぞれ独立して水素原子であり、nは1である。)、bis(4-aminophenyl)methanone(化学式1-1において、Aはカルボニル基、X、X、R、R'、RおよびR'はそれぞれ独立して水素原子であり、nは1である。)、4,4'-(perfluoropropane-2,2-diyl)dianiline(化学式1-1において、Aはperfluoropropane-2,2-diyl、X~X、R、R'、RおよびR'はそれぞれ独立して水素原子であり、nは1である。)、4,4'-(2,2,2-trifluoroethane-1,1-diyl)dianiline(化学式1-1において、Aは2,2,2-trifluoroethane-1,1-diyl、X~X、R、R'、RおよびR'はそれぞれ独立して水素原子であり、nは1である。)などが挙げられる。
【0042】
また、前記化学式2は、下記化学式2-1で表される化合物を含み得る。
[化学式2-1]
【化5】
前記化学式2-1において、Y~Y、R、R'、RおよびR'、mに対する内容は前記化学式2で上述した内容を含む。
【0043】
前記化学式2-1の具体的な例としては2,2',3,3',5,5',6,6'-octafluorobiphenyl-4,4'-diamine(化学式2-1において、Y~Yはハロゲンとしてフルオロ基、R、R'、RおよびR'はそれぞれ独立して水素原子であり、mは1である。)、2,2'-bis(trifluoromethyl)biphenyl-4,4'-diamine(YおよびYはそれぞれトリフルオロメチル基であり、Y、Y、Y、Y、Y、Yは水素原子、R、R'、RおよびR'はそれぞれ独立して水素原子であり、mは1である。)などが挙げられる。
【0044】
また、前記化学式3は、下記化学式3-1で表される化合物を含み得る。
[化学式3-1]
【化6】
前記化学式3-1において、Z~Z、R、R'、RおよびR'に対する内容は前記化学式3で上述した内容を含む。
【0045】
前記化学式3-1の具体的な例としては2,3,5,6-tetrafluorobenzene-1,4-diamine(化学式3-1において、Z~Zはハロゲンとしてフルオロ基、R、R'、RおよびR'はそれぞれ独立して水素原子である。)などが挙げられる。
【0046】
前記アミン化合物と樹脂成分(具体的には、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の合計)の全体重量に対してアミン化合物の含有量が5重量%~50重量%、または10重量%~20重量%であり得る。前記アミン化合物の含有量が5重量%未満で過度に減少する場合、未硬化が発生し得、前記アミン化合物の含有量が50重量部超過で過度に増加する場合、硬化速度が増加して熱硬化性樹脂組成物の流動性が減少し得、また、未反応のアミン化合物によって熱硬化性樹脂組成物を用いた金属箔膜の機械的物性が低下し得る。
【0047】
一方、前記一実施形態の金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂を含み得る。
【0048】
前記熱硬化性樹脂は、ジシクロペンタジエン系エポキシ樹脂およびビフェニル系エポキシ樹脂を含み得る。具体的には、前記ジシクロペンタジエン系エポキシ樹脂100重量部に対して前記ビフェニル系エポキシ樹脂の含有量が100重量部未満、または1重量部~90重量部、または5重量部~80重量部、または10重量部~70重量部、または20重量部~50重量部であり得る。
【0049】
より具体的には、前記ビフェニル系エポキシ樹脂は、下記化学式11で表されるエポキシ樹脂であり得、前記ジシクロペンタジエン系エポキシ樹脂は、下記化学式12で表されるエポキシ樹脂であり得る。
[化学式11]
【化7】
前記化学式11において、
nは0または1~50の整数である。
【0050】
[化学式12]
【化8】
前記化学式12において、nは0または1~50の整数である。
【0051】
前記ジシクロペンタジエン系エポキシ樹脂の具体的な例としては、Nippon kayaku社のXD-1000が挙げられ、前記ビフェニル系エポキシ樹脂の具体的な例としては、Nippon kayaku社のNC-3000Hが挙げられる。
【0052】
また、前記熱硬化性樹脂は、ビスマレイミド樹脂、シアネートエステル樹脂およびビスマレイミド-トリアジン樹脂からなる群より選ばれる1種以上の樹脂をさらに含み得る。
【0053】
前記ビスマレイミド樹脂は、通常金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物に使用されるものを制限なしに使用し得、その種類は限定されない。好ましい一例としては、前記ビスマレイミド樹脂は、下記化学式13で表されるジフェニルメタン型ビスマレイミド樹脂、下記化学式14で表されるフェニレン型ビスマレイミド樹脂、下記化学式15で表されるビスフェノールA型ジフェニルエーテルビスマレイミド樹脂、および下記化学式16で表されるジフェニルメタン型ビスマレイミドおよびフェニルメタン型マレイミド樹脂のオリゴマーで構成されたビスマレイミド樹脂からなる群より選ばれた1種以上であり得る。
[化学式13]
【化9】
前記化学式13において、
およびRはそれぞれ独立してH,CHまたはCである。
【0054】
[化学式14]
【化10】
[化学式15]
【化11】
[化学式16]
【化12】
前記化学式16において、
nは0または1~50の整数である。
【0055】
また、前記シアネート系樹脂の具体的な例としてシアネートエステル樹脂が挙げられ、通常金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物に使用されるものを制限なしに使用し得、その種類は限定されない。
【0056】
好ましい一例としては、前記シアネートエステル樹脂は、下記化学式17で表されるノボラック型シアネート樹脂、下記化学式18で表されるジシクロペンタジエン型シアネート樹脂、下記化学式19で表されるビスフェノール型シアネート樹脂およびこれらの一部トリアジン化したプレポリマーが挙げられ、これらは単独あるいは2種以上を混合して用いてもよい。
[化学式17]
【化13】
前記化学式17において、
nは0または1~50の整数である。
【0057】
[化学式18]
【化14】
前記化学式18において、
nは0または1~50の整数である。
【0058】
[化学式19]
【化15】
前記化学式19において、
Rは
【化16】
である。
【0059】
より具体的には、前記化学式19のシアネート樹脂はRの種類によって、それぞれビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、ビスフェノールF型シアネート樹脂、またはビスフェノールM型シアネート樹脂であり得る。
【0060】
そして、前記ビスマレイミド樹脂としてはビスマレイミド-トリアジン樹脂などが挙げられ、前記ビスマレイミド-トリアジン樹脂は通常金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物に使用されるものを制限なしに使用し得、その種類は限定されない。前記ビスマレイミド樹脂の好ましい例としてはDAIWA KASEI社のBMI-2300などが挙げられる。
【0061】
特に、前記一実施形態の金属箔膜コーティング用樹脂組成物は、前記アミン化合物100重量部に対して前記熱硬化性樹脂の含有量を400重量部以下で含み、高い含有量で投入されたフィラーによる熱硬化性樹脂の物性変化を防止し、フィラーの影響なしに熱硬化性樹脂がより十分な水準で均一に硬化できるように誘導し、最終的に製造される製品の信頼性が向上することができ、靱性(Toughness)のような機械的物性も増加させることができ、ガラス転移温度を十分に低くすることができる。
【0062】
従来には前記アミン硬化剤100重量部に対して前記熱硬化性樹脂の含有量を400重量部以下で含ませるように、アミン硬化剤を相対的に過量添加した時に、熱硬化性樹脂の過度な硬化によって流動性および成形性が減少する限界があった。しかし、前述したように電子吸引基(Electron Withdrawing Group,EWG)を含み、反応性が減少した特定アミン硬化剤を過量に添加しても、硬化剤の反応性の減少によって熱硬化性樹脂の硬化速度が急激に上昇することを抑制することができ、金属箔膜コーティング用樹脂組成物やそれより得られる金属箔膜での長期間保管時にも高い流れ性を示して優れた流動性を有することができる。
【0063】
具体的には、前記一実施形態の金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物は、前記アミン硬化剤100重量部に対して前記熱硬化性樹脂の含有量が400重量部以下、または150重量部~400重量部、または180重量部~300重量部、または180重量部~290重量部、または190重量部~290重量部、または240重量部~260重量部であり得る。前記アミン硬化剤または熱硬化性樹脂が2種以上の混合物である場合、アミン硬化剤混合物100重量部に対して熱硬化性樹脂混合物の含有量も400重量部以下、または150重量部~400重量部、または180重量部~300重量部、または180重量部~290重量部、または190重量部~290重量部、または240重量部~260重量部であり得る。
【0064】
前記アミン硬化剤100重量部に対して前記熱硬化性樹脂の含有量を400重量部超過で過度に増加する場合、高含量で投入されたフィラーの影響で熱硬化性樹脂がより十分な水準まで均一に硬化することが難しく、最終的に製造される製品の信頼性が減少し得、靱性(Toughness)のような機械的物性も減少し得る。
【0065】
また、本発明で前記アミン化合物および樹脂成分(具体的には、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の合計)の全体重量に対してエポキシ樹脂の含有量が30重量%~80重量%であり、ビスマレイミド樹脂の含有量が1重量%~20重量%であり得る。好ましくは、前記エポキシ樹脂の含有量は前記アミン化合物および樹脂成分(具体的には、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の合計)の総和に対して35重量%~70重量%であり得る。また、前記ビスマレイミド樹脂の含有量は、前記アミン化合物および樹脂成分(具体的には、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の合計)の総和に対して1重量%~10重量%であり得る。
【0066】
前記エポキシ樹脂の使用量が30重量%未満であれば高いTgの実現が難しい問題があり、80重量%を超えると流れ性が悪くなる問題がある。
【0067】
前記ビスマレイミド樹脂の使用量が1重量%未満であれば所望する物性の実現ができない問題があり、20重量%を超えると未反応基が多く耐化学性などの特性に悪影響を及ぼす。
【0068】
一方、前記金属箔膜コーティング用樹脂組成物は、下記数式1で計算される当量比が1.4以上、または1.4~2.5、または1.45~2.5、または1.45~2.1、または1.45~1.8、または1.49~1.75、または1.6~1.7であり得る。
[数1]
当量比=前記アミン硬化剤に含有された総活性水素当量/前記熱硬化性樹脂に含有された総硬化性官能基当量
【0069】
より具体的には、前記数学式1において、前記アミン硬化剤に含有された総活性水素当量は、前記アミン硬化剤の総重量(単位:g)を前記アミン硬化剤の活性水素単位当量(g/eq)で割った値を意味する。
【0070】
前記アミン硬化剤が2種以上の混合物である場合、それぞれの化合物別に量(単位:g)を活性水素単位当量(g/eq)で割った値を求め、それを合計した値で前記数式1のアミン硬化剤に含有された総活性水素当量を求める。
【0071】
前記アミン硬化剤に含有された活性水素は、アミン硬化剤に存在するアミノ基(-NH)に含まれた水素原子を意味し、前記活性水素が熱硬化性樹脂の硬化性官能基との反応により硬化構造を形成し得る。
【0072】
また、前記数学式1において、前記熱硬化性樹脂に含有された総硬化性官能基当量は、前記熱硬化性樹脂の総重量(単位:g)を前記熱硬化性樹脂の硬化性官能基単位当量(g/eq)で割った値を意味する。
【0073】
前記熱硬化性樹脂が2種以上の混合物である場合、それぞれの化合物別に重量(単位:g)を硬化性官能基単位当量(g/eq)で割った値を求め、それを合計した値で前記数式1の熱硬化性樹脂に含有された総硬化性官能基当量を求める。
【0074】
前記熱硬化性樹脂に含有された硬化性官能基は、前記アミン硬化剤の活性水素との反応により硬化構造を形成する官能基を意味し、前記熱硬化性樹脂の種類によって硬化性官能基の種類も変わる。
【0075】
例えば、前記熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を使用する場合、前記エポキシ樹脂に含有された硬化性官能基はエポキシ基であり、前記熱硬化性樹脂としてビスマレイミド樹脂を使用する場合、前記ビスマレイミド樹脂に含有された硬化性官能基はマレイミド基であり得る。
【0076】
すなわち、前記金属箔膜コーティング用樹脂組成物が前記数式1で計算される当量比が1.4以上を満足することは、すべての熱硬化性樹脂に含有された硬化性官能基が硬化反応を起こし得る程度の十分な水準のアミン硬化剤が含まれていることを意味する。したがって、前記金属箔膜コーティング用樹脂組成物において前記数式1で計算される当量比が1.4未満に減少する場合、高含量で投入されたフィラーの影響で熱硬化性樹脂がより十分な水準まで均一に硬化することが難しく、最終的に製造される製品の信頼性が減少し、機械的物性も減少する短所がある。
【0077】
一方、前記一実施形態の金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂を含み得る。
【0078】
前記熱可塑性樹脂は、硬化後、靱性(Toughness)を増加させる効果があり、熱膨張係数および弾性率を低くして金属箔膜の反り(Warpage)を緩和させる役割を果たすことができる。前記熱可塑性樹脂の具体的な例としては(メタ)アクリレート系高分子が挙げられる。
【0079】
前記(メタ)アクリレート系高分子の例は大きく限定されるものではなく、例えば(メタ)アクリレート系単量体由来の繰り返し単位と(メタ)アクリロニトリル由来の繰り返し単位が含まれるアクリル酸エステル共重合体;またはブタジエン由来の繰り返し単位が含まれるアクリル酸エステル共重合体であり得る。例えば、前記(メタ)アクリレート系高分子は、ブチルアクリレート、エチルアクリレート、アクリロニトリル、メチルメタクリレート、グリシジルメタクリレートなどの単量体をそれぞれ1重量%~40重量%の範囲内(単量体全体の総重量に対して)で使用して共重合した共重合体であり得る。
【0080】
前記(メタ)アクリレート系高分子は、500,000~1,000,000の重量平均分子量を有し得る。前記(メタ)アクリレート系高分子の重量平均分子量が過度に小さいと、硬化後の靱性(Toughnes)の増加や熱膨張率および弾性率の減少に対する効果が減少して技術的に不利であり得る。また、前記(メタ)アクリレート系高分子の重量平均分子量が過度に大きいと、流動性を減少させる。
【0081】
本明細書において、重量平均分子量はGPC法によって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する。前記GPC法によって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を測定する過程では、通常知られている分析装置と示差屈折率検出器(Refractive Index Detector)などの検出器および分析用カラムを用い、通常適用される温度条件、溶媒、flow rateを適用することができる。前記測定条件の具体的な例として、Polymer Laboratories PLgel MIX-B 300mm長さのカラムを用いてWaters PL-GPC220機器を用いて、評価温度は160℃であり、1,2,4-トリクロロベンゼンを溶媒として使用し、流速は1mL/minの速度で、サンプルは10mg/10mLの濃度で調製した後、200μLの量で供給し、ポリスチレン標準を用いて形成された検定曲線を用いてMwの値を求める。ポリスチレン標準品の分子量は、2,000/10,000/30,000/70,000/200,000/700,000/2,000,000/4,000,000/10,000,000の9種を使用した。
【0082】
前記熱可塑性樹脂の好ましい例としてはNegami chemical industrial Co.,LTD社のPARACRON KG-3015Pなどが挙げられる。
【0083】
一方、前記アミン化合物および熱硬化性樹脂の総和100重量部に対して、前記熱可塑性樹脂を40重量部~90重量部で含み得る。好ましくは、前記熱可塑性樹脂は、アミン化合物および熱硬化性樹脂の総和100重量部に対して41重量部~80重量部、または42重量部~70重量部、または42.7重量部~67重量部を含み得る。前記熱可塑性樹脂の含有量が40重量部未満であれば樹脂の流れ性が過度に多く、厚さ偏差が増加する問題があり、90重量部超過すると流れ性が過度に少なくパターン充填性が劣る問題がある。
【0084】
また、前記一実施形態の金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物は、無機充填材を含み得る。
【0085】
前記無機充填材は、通常金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物に使用されるものを制限なしに使用し得、具体的な例としてはシリカ、アルミニウムトリヒドロキシド、マグネシウムヒドロキシド、モリブデンオキシド、ジンクモリブデート、ジンクボレート、ジンクスタネート、アルミナ、クレー、カオリン、タルク、焼成カオリン、焼成タルク、マイカ、ガラス短繊維、ガラス微粉末および中空ガラスが挙げられ、これらからなる群より選ばれた1種以上であり得る。
【0086】
前記金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物は、前記アミン化合物および熱硬化性樹脂の総和100重量部に対して前記無機充填材の含有量が200重量部~500重量部、または205重量部~450重量部、または210重量部~400重量部、または210重量部~300重量部、または210重量部~250重量部、または210重量部~220重量部を含み得る。前記無機充填材の含有量が過度に小さいと熱膨張係数が増加してリフロー(reflow)工程時反り現象が深化され、プリント回路基板の剛性が減少する問題がある。
【0087】
また、前記表面処理された充填材を使用時、ナノ粒径の小さいサイズとマイクロ粒径の大きいサイズを共に使用してパッキング密度(packing density)を高めて充填率を高めることができる。
【0088】
前記無機充填材は、平均粒径が相異する2種以上の無機充填材を含み得る。具体的には、前記2種以上の無機充填材のうち少なくとも1種が平均粒径が0.1μm~100μmである無機充填材であり、他の1種が平均粒径が1nm~90nmである無機充填材であり得る。
【0089】
前記平均粒径が0.1μm~100μmである無機充填材100重量部に対して前記平均粒径が1nm~90nmである無機充填材の含有量が1重量部~30重量部であり得る。
【0090】
前記無機充填材は、耐湿性、分散性を向上させる観点からシランカップリング剤で表面処理されたシリカを使用し得る。
【0091】
前記無機充填材を表面処理する方法は、シランカップリング剤を表面処理剤として用いてシリカ粒子を乾式または湿式で処理する方法が用いられる。例えば、シリカ粒子100重量部を基準として0.01重量部~1重量部のシランカップリング剤を使用して湿式方法でシリカを表面処理して使用し得る。
【0092】
具体的には、前記シランカップリング剤としては3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシランおよびN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランのようなアミノシランカップリング剤、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランのようなエポキシシランカップリング剤、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランのようなビニルシランカップリング剤、N-2-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランヒドロクロリドのような陽イオンシランカップリング剤およびフェニルシランカップリング剤が挙げられ、シランカップリング剤は単独で使用され得、または必要に応じて少なくとも二つのシランカップリング剤を組み合わせて使用し得る。
【0093】
より具体的には、前記シラン化合物は芳香族アミノシランまたは(メタ)アクリルシランを含み得、前記平均粒径が0.1μm~100μmである無機充填材としては芳香族アミノシランが処理されたシリカを使用し得、前記平均粒径が1nm~90nmである無機充填材としては(メタ)アクリルシランが処理されたシリカを使用し得る。前記芳香族アミノシランが処理されたシリカの具体的な例としてはSC2050MTO(Admantechs社)が挙げられ、前記(メタ)アクリルシランが処理されたシリカの具体的な例としてはAC4130Y(Nissan chemical社)が挙げられる。前記(メタ)アクリルはアクリルまたはメタクリルをすべて含む意味で使用された。
【0094】
そして、前記一実施形態の金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じて溶剤を添加して溶液で使用し得る。前記溶剤としては樹脂成分に対して良好な溶解性を示すものであれば、その種類は特に限定されず、アルコール系、エーテル系、ケトン系、アミド系、芳香族炭化水素系、エステル系、ニトリル系などを使用し得、これらは単独または2種以上併用した混合溶剤を使用することもできる。
【0095】
また、前記金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物は、樹脂組成物固有の特性を損なわない限り、その他熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂およびこれらのオリゴマーおよびエラストマーのような多様な高分子化合物、その他難燃性化合物または添加剤をさらに含むこともできる。これらは通常使われるものから選ばれるものであれば、特に限定しない。例えば添加剤としては紫外線吸収剤、酸化防止剤、光重合開始剤、蛍光増白剤、光増感剤、顔料、染料、増粘剤、滑剤、消泡剤、分散剤、レベリング剤、光沢剤などがあり、目的に合わせて混合して使用することも可能である。
【0096】
前記その他熱硬化性樹脂の例としてはエポキシ樹脂が挙げられ、前記エポキシ樹脂としてはその種類は限定されないが、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、フェニルアラルキル型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタンエポキシ樹脂、ナフタレン系エポキシ樹脂、またはこれらの混合物などを使用し得る。
【0097】
具体的には、前記エポキシ樹脂は、下記化学式5で表されるビスフェノール型エポキシ樹脂、下記化学式6で表されるノボラック型エポキシ樹脂、下記化学式7で表されるフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、下記化学式8で表されるテトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、下記化学式9および10で表されるナフタレン型エポキシ樹脂からなる群より選ばれた1種以上を使用し得る。
[化学式5]
【化17】
前記化学式5において、
Rは
【化18】
であり、
nは0または1~50の整数である。
【0098】
より具体的には、前記化学式5のエポキシ樹脂はRの種類によって、それぞれビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂、またはビスフェノールS型エポキシ樹脂であり得る。
[化学式6]
【化19】
前記化学式6において、
RはHまたはCHであり、
nは0または1~50の整数である。
【0099】
より具体的には、前記化学式3のノボラック型エポキシ樹脂はRの種類によって、それぞれフェノールノボラック型エポキシ樹脂またはクレゾールノボラック型エポキシ樹脂であり得る。
【0100】
[化学式7]
【化20】
[化学式8]
【化21】
[化学式9]
【化22】
[化学式10]
【化23】
【0101】
一方、前記実施形態の金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物は、上述したアミン化合物を含み得、前記アミン化合物以外の追加的な硬化剤をさらに含むこともできる。
【0102】
このような構成を有する本発明の一実施形態による金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物は、レオメータ最低粘度区間が120℃~180℃の範囲で2000Pa・s以下の複素粘度の条件を満足することができる。
【0103】
すなわち、パターンを埋めるのに適する複素粘度が2000Pa・s以下であると仮定するとき、本発明で提示する樹脂組成物の場合、前記粘度条件を満足する温度区間が120℃~180℃で非常に広い。すなわち、積層工程区間内の流れ性が高いため樹脂積層後の空の空間が発生せずパターン充填性に優れる。
【0104】
本発明の金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物は、前記のような優れた樹脂の流れ性を有することによって、金属箔膜とそれを用いて金属積層板を作ったりビルドアップ過程で流れ性を確保することができ、微細パターンを容易に埋めることができ、また薄膜の耐クラック性を向上させることができる。
【0105】
II.樹脂コーティング金属箔膜
本発明の他の実施形態によれば、前記一実施形態の金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物のコーティング硬化物を含む樹脂コーティング金属箔膜が提供され得る。前記金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物に関する内容は前記一実施形態で上述した内容をすべて含む。
【0106】
具体的には、i)スルホン基、カルボニル基、ハロゲン基、ニトロ基、シアノ基またはハロゲン基で置換または非置換された炭素数1~20のアルキル基、ii)ニトロ基、シアノ基またはハロゲン基で置換または非置換された炭素数6~20のアリール基、iii)ニトロ基、シアノ基またはハロゲン基で置換または非置換された炭素数2~30のヘテロアリール基、およびiv)ニトロ基、シアノ基またはハロゲン基で置換または非置換された炭素数1~20のアルキレン基からなる群より選ばれた1種以上の官能基を1以上含むアミン化合物;熱硬化性樹脂;および熱可塑性樹脂;間の硬化物と、前記硬化物間に分散した無機充填材を含む樹脂コーティング金属箔膜が提供され得る。
【0107】
上述したように、本発明は樹脂の流れ性とパターン充填性に優れた樹脂組成物を金属箔に直接コートする簡単な方法であり、優れた熱的および機械的物性を示す樹脂コーティング金属箔膜を提供することができる。前記過程によって充填剤を含む熱硬化性樹脂が金属箔膜に形成され得、具体的には樹脂コーティング金属箔膜に形成された硬化物内には充填剤がまんべんなく分散した形態になる。
【0108】
したがって、前記硬化物および硬化物間に分散している充填剤は、前記熱硬化性樹脂組成物を金属箔膜にコートする段階;および前記金属箔膜にコートされた熱硬化性樹脂組成物を硬化する段階;を含んで形成され得る。
【0109】
このような本発明の一実施形態によれば、上述した各成分を混合してコーティング用ワニスを製造し、それを金属箔にコートした後硬化および乾燥する過程により簡単な方法で樹脂コーティング金属箔膜を製造することができる。
【0110】
また、本発明では樹脂の硬化反応を調整して積層工程の温度区間内の最小粘度が維持する区間を長くする。
【0111】
好ましくは、前記硬化条件は180℃~250℃の温度で1時間~4時間行われ得る。
【0112】
また、前記熱硬化性樹脂組成物を金属箔にコートする方法は大きく制限されず、この分野に良く知られたコーティング方法が用いられる。
【0113】
一例として、金属箔に本発明の熱硬化性樹脂組成物をコーター装置に入れ、一定の厚さでコートする方法が用いられる。前記コーター装置は、コンマコーター、ブレードコーター、リップコーター、ロッドコーター、スクイズコーター、リバースコーター、トランスファーロールコーター、グラビアコーターまたはスプレーコーターなどが用いられる。
【0114】
また、流れ性評価のためにキャリアフィルムを使用し得、前記キャリアフィルムとしてはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルムなどのプラスチックフィルムが用いられる。
【0115】
一方、前記コーティングに使用されるワニスは、熱硬化性樹脂組成物に溶剤を添加した状態であり得る。前記樹脂ワニス用溶剤は前記樹脂成分と混合可能であり、良好な溶解性を有するものであれば特に限定しない。これらの具体的な例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンおよびシクロヘキサノンのようなケトン、ベンゼン、トルエンおよびキシレンのような芳香族ハイドロカーボン、およびジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドのようなアミド、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブのような脂肪族アルコールなどがある。
【0116】
前記硬化物の厚さは5μm~90μm、好ましくは5μm~30μmであり得る。このような硬化物は金属箔上に厚さが薄く形成されても、金属箔に対して優れた熱的、機械的物性を示すようにすることができる。前記硬化物の厚さが特定数値だけ増加したり減少する場合、樹脂コーティング金属箔膜で測定される物性も一定数値だけ変化し得る。
【0117】
前記一実施形態の金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物のコーティング硬化物のガラス転移温度(Tg)は220℃~240℃を有する。
【0118】
前記一実施形態の金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物のコーティング硬化物は、IPC-TM-650(2.4.18.3)により、Universal Testing Machine(Instron 3365)装備を用いて測定したMD方向の引張伸び率が1%以上、または1%~10%、または2%~5%、または3%~4%、または3.6%~3.8%であり得る。
【0119】
すなわち、単分子系からなる樹脂組成物と共に引張テストをした結果、同一厚さで比較した時の破断までの伸び率(elongation)がさらに優れることを観察することができ、これにより耐クラック性に優れることを確認することができる。
【0120】
したがって、本発明は従来の単分子系からなる樹脂付銅箔に比べて同一厚さで比較時耐クラック性に優れ、半導体素子の性能向上に寄与することができる。
【0121】
前記金属箔は、銅箔;アルミニウム箔;ニッケル、ニッケル-リン、ニッケル-スズ合金、ニッケル-鉄合金、鉛または鉛-スズ合金を中間層とし、その両面に互いに異なる厚さの銅層を含む3層構造の複合箔;またはアルミニウムと銅箔を複合した2層構造の複合箔を含む。
【0122】
好ましい一実施形態によれば、本発明に用いられる金属箔は、銅箔やアルミニウム箔が用いられ、約2μm~200μmの厚さを有するものが用いられるが、その厚さが約2μm~35μmであることが好ましい。好ましくは、前記金属箔としては銅箔を用いる。また、本発明によれば金属箔としてニッケル、ニッケル-リン、ニッケル-スズ合金、ニッケル-鉄合金、鉛、または鉛-スズ合金などを中間層とし、その両面に0.5μm~15μmの銅層と10μm~300μmの銅層を設置した3層構造の複合箔またはアルミニウムと銅箔を複合した2層構造複合箔を用いることもできる。
【0123】
III.金属箔積層板
本発明のまた他の実施形態によれば、前記他の実施形態の樹脂コーティング金属箔膜を含む金属箔積層板が提供され得る。前記樹脂コーティング金属箔膜に関する内容は前記他の実施形態で上述した内容をすべて含む。
【0124】
具体的には、前記金属箔積層板は製造された前記他の実施形態で得られた樹脂コーティング金属箔膜を1枚以上積層した金属箔積層板であり得る。
【0125】
したがって、本発明は前記樹脂コーティング金属箔膜を1枚以上で積層した後、両面または多層プリント回路基板の製造に用い得る。本発明は前記金属箔積層板を回路加工して両面または多層プリント回路基板を製造することができ、前記回路加工は一般的な両面または多層プリント回路基板の製造工程で行われる方法を適用することができる。
【発明の効果】
【0126】
本発明によれば、優れた流れ性を有し、耐クラック性および引張特性などの機械的物性が向上した金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物およびそれを用いた樹脂コーティング金属箔膜および金属箔積層板が提供されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0127】
図1】実施例1および比較例3の温度によるレオメータ粘度グラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0128】
発明を下記の実施例でより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は本発明を例示するだけであり、本発明の内容は下記の実施例によって限定されない。
【0129】
<実施例および比較例:金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物、および樹脂コーティング銅箔>
(1)金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物の製造
下記表1および表2の組成により、各成分をメチルエチルケトンに固形分40%に合わせて投入して混合した後、400rpm速度で一日間常温攪拌し、ロータリー・エバポレーター(rotary evaporator)を用いて粘度調整および脱泡を行い、実施例および比較例の金属箔膜コーティング用樹脂組成物(樹脂ワニス)を製造した。具体的には前記実施例で製造された樹脂組成物の具体的な組成は下記表1に記載されたとおりであり、前記比較例で製造された樹脂組成物の具体的な組成は下記表2に記載されたとおりである。
【0130】
(2)樹脂コーティング銅箔の製造
コンマコーターで前記実施例および比較例の金属箔膜コーティング用樹脂組成物を銅箔(厚さ2μm、Mitsui社製)にコーティング(コーティング厚さ:16μm)した後、220℃および35kg/cmの条件で100分間硬化させた。次いで、17cm×15cm大きさで裁断して樹脂コーティング銅箔サンプルを製作した。
【0131】
<実験例:実施例および比較例で得られた金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物、および樹脂コーティング銅箔の物性測定>
前記実施例および比較例で得られた金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物、および樹脂コーティング銅箔の物性を下記方法で測定し、その結果を表1および表2に示した。
【0132】
1.粘度および流れ性の分析
(1)レオメータの粘度
実施例1および比較例3の金属箔膜コーティング用熱硬化性樹脂組成物をPET基材にコートした後、ラミネーターにより積層して適正厚さのサンプルを作ってレオメータ粘度を測定した(温度による粘度測定条件、昇温速度5℃/min、周波数:10Hz)。
【0133】
(2)回路パターン充填性
銅箔(厚さ10μm、Mitsui社製)の全体面積の約60%がエッチングされているパターンを持っている銅箔積層板(CCL)を用い、その上に前記実施例または比較例により得た樹脂銅箔コーティングサンプルを積層し、次の基準下に回路パターン充填性を評価した。
○:ボイド(void)やデラミネーション(delamination)発生なし
X:ボイド(void)やデラミネーション(delamination)発生
【0134】
2.硬化後樹脂物性
硬化後樹脂の物性を分析するために、前記実施例の樹脂付銅箔2枚を用いて樹脂層が向き合うように積層し、真空熱プレスにより220℃および35kg/cmの条件で100分間硬化を行った。
【0135】
実験進行時、銅箔をエッチングして除去した後、次のような方法で樹脂層の物性を測定した。
【0136】
(1)ガラス転移温度(Tg)
DMA(TA Instruments,Q800)を用いて引張モードで5℃/分の昇温条件で25℃から300℃まで測定しtan deltaのピーク温度をガラス転移温度とした。
【0137】
(2)熱膨張係数(CTE)
TMA(TA Instruments,Q400)を用いて30℃で260℃まで、昇温速度10℃/minの条件で測定した後、50℃で150℃範囲の測定値を熱膨張係数として記録した。
【0138】
(3)貯蔵弾性率(Storage Modulus)
DMA(TA Instruments,Q800)を用いて引張モードで5℃/分の昇温条件で25℃から300℃まで貯蔵弾性率を測定した。
【0139】
(4)引張伸び率(Tensile Elongation)
IPC-TM-650 (2.4.18.3)に準拠し、Universal Testing Machine(Instron 3365)装備を用いてMD方向の引張伸び率を測定した。
【0140】
【表1】
【0141】
【表2】
*XD-1000:エポキシ樹脂(Nippon kayaku社;エポキシ当量253g/eq)*NC-3000H:エポキシ樹脂(Nippon kayaku社;エポキシ当量290g/eq)
*BMI-2300:ビスマレイミド系樹脂(DAIWA KASEI社;マレイミド当量179g/eq)
*DDS:4,4'-diaminodiphenyl sulfone(活性水素当量62g/eq)
*Acrylic rubber(Mw 800,000):PARACRON KG-3015P(Negami chemical industrial Co.,LTD社)
*当量比:下記数式1により計算される
[数1]
熱硬化性樹脂に対するアミン化合物当量比
=(DDSの総活性水素当量)/{(XD-1000の総エポキシ当量+NC-3000Hの総エポキシ当量)+(BMI-2300の総マレイミド当量)}
前記数学式1において、DDSの総活性水素当量はDDSの総重量(g)をDDSの活性水素単位当量(62g/eq)で割った値であり、
XD-1000の総エポキシ当量はXD-1000の総重量(g)をXD-1000のエポキシ単位当量(253g/eq)で割った値であり、
NC-3000Hの総エポキシ当量はNC-3000Hの総重量(g)をNC-3000Hのエポキシ単位当量(290g/eq)で割った値であり、
BMI-2300の総マレイミド当量はBMI-2300の総重量(g)をBMI-2300のマレイミド単位当量(179g/eq)で割った値である。
【0142】
前記表1および表2を調べると、本願実施例の場合、電子吸引基(Electron Withdrawing Group,EWG)を有するアミン化合物を含む樹脂コーティング銅箔は230℃~235℃のガラス転移温度を有し、21ppm/℃以下の熱膨張率を有しながらも、120℃~180℃の温度範囲で複素粘度が2000Pa・s以下で示され、優れた回路パターン充填性を有することが確認された。
【0143】
これに対し、比較例3の場合、過度に過量の熱可塑性樹脂が添加されることによって、複素粘度が2000Pa・s以下で示される温度区間が最初からなく、回路パターン充填性も非常に不良に測定された。
【0144】
一方、実施例は引張伸び率が3.6%~3.8%で高く測定されて耐クラック性に優れたことに対し、熱可塑性樹脂が未添加された比較例1と過度に少量の熱可塑性樹脂が添加された比較例2の場合、引張伸び率がそれぞれ0.4%と0.9%で実施例に比べて非常に低く測定されることを確認することができた。
図1