(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】画像形成装置および画像形成方法
(51)【国際特許分類】
G03G 15/01 20060101AFI20220405BHJP
G03G 21/14 20060101ALI20220405BHJP
H04N 1/04 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
G03G15/01 Y
G03G21/14
H04N1/04 D
(21)【出願番号】P 2017192414
(22)【出願日】2017-10-02
【審査請求日】2020-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】惣司 浩史
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-041262(JP,A)
【文献】特開2013-117633(JP,A)
【文献】特開2015-222380(JP,A)
【文献】特開2003-316102(JP,A)
【文献】特開2017-068199(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0125188(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/01
G03G 21/14
H04N 1/04
H04N 1/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の像担持体表面を有し、前記第1の像担持体表面に形成した潜像を互いに異なる色のトナーで現像して各色の像を形成する複数の像形成部と、
所定速度で駆動され、前記像形成部において前記複数の第1の像担持体のそれぞれに対して形成された前記各色の像が位置を合わせて重ね合わされて転写される第2の像担持体とを有し、
前記第2の像担持体に重ね合わされて転写された前記各色の像を記録媒体に転写して画像形成を行う画像形成装置において、
前記複数の第1の像担持体により形成され前記第2の像担持体に対して転写されるパターンを形成するパターン形成手段と、
前記第2の像担持体に転写された前記パターンを検出するパターン検出手段と、
前記パターンは前記第1の像担持体に対して複数のパターンを含み、
前記パターン検出手段により検出したパターンのエッジから前記複数のパターンの重複を判断するパターン重複判断手段と、
前記パターン重複判断手段によりパターンの重複があった場合、各色のパターン周期を変更するパターン周期変更手段と、
を有し、
前記パターン形成手段は、前記複数のパターンを一組として、複数の組の繰り返しからなるパターン組を形成し、
前記
パターン重複判断手段は、前記複数の組のそれぞれで前記複数のパターンの重複を判断し、
前記パターン周期変更手段は、前記複数の組のそれぞれで前記パターン周期を変更する画像形成装置。
【請求項2】
前記
パターン重複判断手段は、前記パターン組の中でパターンの重複した組があるかを判断し、パターン重複がある場合、パターンが重複した組のパターン補正に使用しない請求項1の画像形成装置。
【請求項3】
前記パターン検出手段により検出したパターンから位置ずれ検出パターン補正値を算出するパターン補正値算出手段と、
前記パターン補正値算出手段により算出された補正値を記憶しておくパターン補正値記憶手段とを備える請求項1の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式のカラー画像形成装置において、複数の画像形成部を有し、各画像形成部で形成した各色の画像を転写ベルト上で順次重ね、転写ベルト上で各色が重なった状態の画像を、用紙などの記録媒体に転写する方式がある。
【0003】
この方式の問題として、複数の画像形成部の機械精度等により、転写ベルト上で各色の画像を重ね合わせた時に互いにずれる、いわゆる色ずれがあった。この色ずれを補正するための技術として、転写ベルト上に色ずれ検知用に各色の画像パターンを形成し、その複数画像をセンサで読み取り、読み取った情報から各色画像間の位置ずれ量を算出して画像形成の各種設定を補正する色あわせ制御技術が知られている。
【0004】
例えば特許文献1には、複数の位置ずれ検知用パターンを形成する装置において、色あわせ制御実行時間を短縮するために、検知パターン同士の間隔を徐々に狭める構成が示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の構成では、検知用パターン同士が色ずれのために重なっていた場合には検知用パターンを適切に検出する事ができず、色あわせ制御ができない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1にかかる発明は、第1の像担持体表面を有し、前記第1の像担持体表面に形成した潜像を互いに異なる色のトナーで現像して各色の像を形成する複数の像形成部と、所定速度で駆動され、前記像形成部において前記複数の第1の像担持体のそれぞれに対して形成された前記各色の像が位置を合わせて重ね合わされて転写される第2の像担持体とを有し、前記第2の像担持体に重ね合わされて転写された前記各色の像を記録媒体に転写して画像形成を行う画像形成装置において、前記複数の第1の像担持体により形成され前記第2の像担持体に対して転写されるパターンを形成するパターン形成手段と、前記第2の像担持体に転写された前記パターンを検出するパターン検出手段と、前記パターンは前記第1の像担持体に対して複数のパターンを含み、前記パターン検出手段により検出したパターンのエッジから前記複数のパターンの重複を判断するパターン重複判断手段と、前記パターン重複判断手段によりパターンの重複があった場合、各色のパターン周期を変更するパターン周期変更手段と、を有し、前記パターン形成手段は、前記複数のパターンを一組として、複数の組の繰り返しからなるパターン組を形成し、前記パターン重複判断手段は、前記複数の組のそれぞれで前記複数のパターンの重複を判断し、前記パターン周期変更手段は、前記複数の組のそれぞれで前記パターン周期を変更する画像形成装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、各色のパターン重複が発生した時も色あわせ制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図6】検出センサの検出結果に基づく制御の説明図である。
【
図7】パターン検出結果から算出される色ずれ補正量の第一の説明例である。
【
図8】パターン検出結果から算出される色ずれ補正量の第二の説明例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の実施の形態を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0010】
図1は、この発明の一実施例の画像形成装置の構成を説明する図である。画像形成装置100は、例えば、ファクシミリ装置,印刷装置(プリンタ),複写機,及び複合機を含む装置である。
【0011】
画像形成装置100は、後述する光学装置101、感光体、帯電装置、現像装置などを含む像形成部102と、中間転写ベルトなどを含む転写部103とを有する。なお、感光体は一例としてドラム状であり、感光体ドラムということもある。
【0012】
光学装置101は、一例として後述するLD(Laser Diode)を有するレーザ光源ら放出された光ビームBMを、ポリゴンミラー110により偏向させ、fθレンズを含む走査レンズ111a,111bに入射させている。
【0013】
上記光ビームは、イエロー(Y),ブラック(K),マゼンタ(M),シアン(C)の各色の画像に対応した数が発生されていて、それぞれ走査レンズ111a,111bを通過した後、反射ミラー112y~112cで反射される。
【0014】
例えば、イエローの光ビームYは走査レンズ111aを透過して反射ミラー112yで反射されてWTLレンズ113yへ入射される。ブラック,マゼンタ,シアンの各色の光ビームK,M,Cについても同じなのでそれらの説明は省略する。
【0015】
WTLレンズ113y~113cは、それぞれ入射された各光ビームY~Cを整形した後、反射ミラー114y~114cへと各光ビームY~Cを偏向させる。そしてその各光ビームY~Cはさらに反射ミラー115y~115cで反射され、それぞれ露光のために使用される光ビームY~Cとして感光体ドラム120y~120cへと照射される。
【0016】
第1の像担持体としての感光体120y~120cへの光ビームY~Cの照射は、感光体120y~120cに対する主走査方向および副走査方向に関して、タイミング同期が行われている。
【0017】
以下、感光体120y~120cに対する主走査方向を、光ビームの走査方向として定義し、副走査方向を、主走査方向に対して直交する方向、すなわち、感光体120y~120cの回転する方向として定義する。
【0018】
感光体120y~120cは、アルミニウムなどの導電性ドラム上に、少なくとも電荷発生層と電荷輸送層とを含む光導電層を備えている。
【0019】
上記光導電層は、それぞれ感光体120y~120cに対応して配設され、コロトロン、スコロトロン、又は帯電ローラなどを含んで構成される帯電器122y~122cにより表面電荷が付与される。
【0020】
各帯電器122y~122cによって感光体120y~120c上にそれぞれ付与された静電荷は、光ビームY~Cによりそれぞれ像状露光され、各帯電器122y~122cの被走査面上に静電潜像が形成される。
【0021】
感光体120y~120cの被走査面上にそれぞれ形成された静電潜像は、現像スリーブ,現像剤供給ローラ,規制ブレードなどを含む現像器121y~121cによりそれぞれ現像され、感光体120y~120cの被走査面上に現像剤像が形成される。
【0022】
感光体120y~120cの被走査面上に担持された各現像剤は、搬送ローラ131a~131cにより矢示Dの方向に移動する中間転写ベルト130上に転写される。132y~132cは、それぞれ感光体120y~120cに対する1次転写ローラである。
【0023】
中間転写ベルト130は、感光体120y~120cの被走査面上からそれぞれ転写されたY,K,M,Cの現像剤を担持した状態で2次転写位置Fへと搬送される。すなわち、この中間転写ベルト130が、中間転写体に相当する。
【0024】
2次転写ベルト133は搬送ローラ134a,134bに架け渡され、さらに搬送ローラ134a,134bの回転により矢示Eの方向に搬送される。
【0025】
2次転写位置Fには、給紙カセットなどの用紙収容部Tから上質紙,プラスチックシートなどの受像材である用紙Pが搬送ローラ135により供給される。2次転写位置Fでは、2次転写バイアスを印加して、中間転写ベルト130上に担持された多色現像剤像を、2次転写ベルト133上に吸着保持された用紙Pに転写する。
【0026】
上記用紙Pは、2次転写ベルト133の搬送と共に定着装置136へと供給される。
【0027】
上記定着装置136は、シリコーンゴム,フッ素ゴムなどを含む定着ローラなどの定着部材137を含んで構成されていて、用紙Pと多色現像剤像とを加圧加熱し、排紙ローラ138によって用紙Pを印刷物P′として画像形成装置100の外部へと排出する。
【0028】
上記多色現像剤像を転写した後の中間転写ベルト130は、クリーニングブレードを含むクリーニング部139によって転写残現像剤が除去された後、次の像形成プロセスへと供給されている。
【0029】
また、搬送ローラ131aの近傍には、中間転写ベルト130上に形成されたカラー画像を形成させる際の各種画像形成条件を補正するためのパターン画像を検出するための3個の検出センサ5a~5cが設けられている。
【0030】
この検出センサ5a~5cは、それぞれ公知の反射型フォトセンサを含む反射型検出センサを用いれば良く、その各検出センサ5a~5cによる検出結果に基づいて、基準色に対する各色のスキュー(傾き),主走査レジストずれ量,副走査レジストずれ量,及び主走査倍率誤差を含む各種のずれ量を算出し、その算出結果に基づいて画質調整に係る各種のずれ量を補正し、中間転写ベルト130上にカラー画像を形成させる際の画像形成条件(位置ずれ補正、濃度補正)を補正し、画像調整時のテストパターン画像の生成に係る各種の処理を実行する。
【0031】
図2は、
図1に示した各検出センサ5a~5cの内部の概略構成を説明する図である。各検出センサ5a~5cの内部構成は共通であり、
図2には、検出センサ5aについて図示をするが、各検出センサ5b,5cについても同じなのでそれらの説明は省略する。また、5a,5b,5cおよびその内部の構成について、それぞれ区別する必要のない場合は、
符号の添え字を省略して記載することがある。
【0032】
検出センサ5aは、1つの発光部10aと、2つの受光部11a,12aと、集光レンズ13aを有する。発光部10aは、光を発光する発光素子であり、例えば、赤外光を発生する赤外光LEDである。また、受光部11aは、例えば、正反射型受光素子であり、受光部12aは、例えば、拡散反射型受光素子である。
【0033】
この検出センサ5aは、発光部10aから発せられた光L1が、集光レンズ13aを透過した後、中間転写ベルト130のテストパターンに到達する。そして、その光の一部は、テストパターン形成領域やテストパターン形成領域のトナー層で正反射して正反射光L2になった後、集光レンズ13aを再透過して受光部11aに受光される。
【0034】
また、光の他の一部は、テストパターン形成領域やテストパターン形成領域のトナー層で拡散反射して拡散反射光L3となった後、集光レンズ13aを再透過して受光部12aに受光される。
【0035】
なお、発光素子として、赤外光LEDに代えてレーザ発光素子等を用いてもよい。 また、上記受光部11a,12a(正反射型受光素子,拡散反射型受光素子)としては、何れもフォトトランジスタを用いているが、フォトダイオードや増幅回路等からなるものを用いてもよい。
【0036】
次に、画像形成装置100のハードウェア構成について
図3を参照しながら説明する。
図3に示すように、画像形成装置100は、CPU(Central Processing Unit)1と、ROM(Read Only Memory)2と、RAM(Random Access Memory)3と、HDD(Hard Disc Drive)4と、操作パネル6と、外部通信I/F7と、センサ制御部14と、書込制御部8と、プリントコントローラ16とを有する。これらがシステムバス9により相互に接続されている。
【0037】
ROM2は、電源を切ってもデータを保持することができる不揮発性の半導体メモリである 。RAM3は、プログラムやデータを一時保存する揮発性の半導体メモリである。
【0038】
HDD4は、プログラムやデータを格納している不揮発性のメモリである。HDD4に格納されるプログラムやデータには、画像形成装置1の全体を制御する基本ソフトウェアであるOS(Operating System)やOS上で動作する各種アプリケーションプログラム等がある。
【0039】
CPU1は、HDD4やROM3からプログラムやデータを後述のRAM3上に読み出して、各種処理を実行する演算装置である。
【0040】
操作パネル6は、ユーザが操作を入力するためのタッチパネルと、各種の処理結果を表示するディスプレイとを備える入出力装置である。
【0041】
外部通信I/F7は、画像形成装置100をLAN(Local Area Network)などのネットワークに接続するためのインターフェースである。画像形成装置100は、外部通信I/F7を介して、ユーザ端末装置からの印刷(画像形成)指令や画像データ等を受信することができる。
【0042】
センサ制御部14はさらに発光部10、受光部11,12と接続されている。検出センサ5の発光部10、受光部11、12の制御を行う。
【0043】
また書込制御部8はさらにLD116と接続されている。書込制御部8は、出力周波数を非常に細かく設定できるデバイス、たとえばVCO(Voltage Controlled Oscillator)を利用したクロックジェネレータなどを備えており、この出力を画像クロックとして用いている。この画素クロックを基準に、プリントコントローラ16から送られてくる画像データに応じて書込制御部8を駆動することでLD116を駆動し、帯電された感光体表面に潜像画像を書き込む。
【0044】
画像形成装置100はさらに、外部インターフェースを有し、外部インターフェースを介して、CD(Compact Disc)やDVD、SD(Secure Degital)メモリカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体の読み取りや書き込みを行うようにしてもよい。
【0045】
図4は、画像読取装置100の機能ブロック図である。
【0046】
画像形成装置100は、入力受付部160と、制御部170と、通信制御部180と、読出・書込処理部190と、記憶部200とを備える。
【0047】
入力受付部160は、操作パネル6の処理によって実現され、操作者に対し、画像形成装置100の動作状況や設定情報を表示し、操作者の画像形成装置100に対する操作を受け付ける機能を実行する。
【0048】
制御部170は、CPU1がRAM3を作業領域としてROM2またはHDD4に記憶されたプログラムを実行することによって実現され、画像形成装置100全体の制御を実行する。
【0049】
通信制御部180は、CPU1がRAM3を作業領域としてROM2またhHDD4に記憶されたプログラムを実行して外部通信I/F7を制御することによって実現され、画像形成装置から外部への通信機能や印刷ジョブの受付機能を実行する。
【0050】
読出・書込処理部190は、CPU1がRAM3を作業領域としてROM2またはHDD4を実行することによって実現され、記憶部200に各種データを記憶したり、記憶された各種データを読み出したりする機能を実行する。
【0051】
記憶部200は、ROM2またはHDD4の処理によって実行され、プログラムや文書データ、画像形成装置100の動作に必要な各種設定情報、画像形成装置100の動作ログ等を記憶する機能を実行する。RAM3の処理によって実行されてもよい。
【0052】
図5は、中間転写ベルト130上に、用紙Pに転写される画像140と、その両側に並列して、画像形成条件を補正するためのパターン画像が形成されている概念図である。
図5のパターン画像は、特に位置ずれを検出するためのパターン画像である、位置ずれ検出パターンである。以下の説明では、位置ずれ検出パターンを「パターン」と呼ぶことがある。
【0053】
図5に示すように、検出センサ5aと5cが中間転写ベルト130の主走査方向にそれぞれ両端部を検知する位置に配置され、検出センサ5bが中央部を検知する位置に配置されている。検出センサ5bが検知する列には画像140があるためパターンは形成されず、端部の検出センサ5aおよび5cが検知する列にパターンが形成される。
【0054】
なお、印刷動作ではない、つまり用紙Pに転写される画像が印刷されないタイミングで色ずれ補正を実施する場合は、5bに該当する列にもパターンを形成して色ずれ補正を行えばよい。
【0055】
中間転写ベルト130は、
図5中、矢印の向きに進む。中間転写ベルト130が検出センサ5a、5b、5cによる検知位置を通過した後、画像140は、中間転写ベルト130から用紙Pに転写される。パターンは、用紙Pに転写されずに、クリーニング部材139位置まで搬送され、クリーニングされる。
【0056】
なお以降矢印の方向は、
図1で説明した副走査方向である。したがって主走査方向は、
図5においては矢印に直交する方向である。
【0057】
位置ずれ検出パターン組30(以下パターン組と呼ぶことがある。)は、8個のパターンからなる。8個のパターンは
図3の上からイエロー、ブラック、マゼンタ、シアンの各色パターンが2回繰り返されている。初めの4パターンはそれぞれ色が異なる主走査方向に長いパターン(以降横線パターンと呼ぶことがある。)である。次の4パターンは横線パターンに対し斜めに長いパターン(以降斜め線パターンと呼ぶことがある。)である。
【0058】
このパターン組30を一組、または複数組使用して色ずれ補正を行う。各画像形成装置の特性により色ずれの特性は変わるため、複数使用する場合に何組使って補正するかは画像形成装置の構成や求められる画質によってあらかじめ設定される。この使用する組数をパターングループ数ということがある。また以降、パターングループのうち、n番目のパターン組30をn組目と呼ぶ。
【0059】
図6を用いて、検出センサ5の検出結果を用いた制御について説明する。
【0060】
受光部11から得られた信号は、増幅器142によって増幅され、フィルタ143によってライン検知の信号成分のみを通過させ、A/D(Analogue/Digital)変換部144によって、アナログデータからデジタルデータに変換される。データのサンプリングは、サンプリング制御部145によって制御され、サンプリングされたデータはFIFO(First IN First Out)メモリ146に格納される。一組の検知用マークの検知が終了した後、格納されていたデータは、I/O(Input/Output)ポート15を介して、データバス9によりCPU1およびRAM3にロードされ、CPU1は、所定の演算処理を行い、上述した各種ずれ量を求める。
【0061】
そして、CPU1は、求めた補正量に基づき、書き込み開始タイミングや画素クロック周波数の変更などを書込制御部8に対して設定する。また、CPU1は、受光部11からの検知信号を適当なタイミングでモニタしており、搬送ベルトおよび発光部10の劣化等が起こっても確実に検知ができるように、発光量制御部141によって発光量を制御しており、受光部11からの受光信号のレベルが常に一定になるようにしている。
【0062】
ROM2には、上述した各種ずれ量を演算するためのプログラムをはじめ、位置ずれ補正装置および画像形成装置を制御するための各種プログラムが格納されている。このように、CPU1がRAM3を作業領域としてROM2のプログラムを実行することで、以降で説明する色あわせ制御をはじめ、画像形成装置100全体の動作を制御する制御部170として機能する。
【0063】
位置ずれ検出パターンを検出したときの各種位置ずれ量の具体的な算出方法について
図7を用いて説明する。
図7の一点鎖線31aは副走査方向を示す線であり、丸で示される範囲5aは、検出センサ5aの中間転写ベルト130上の検出範囲を示している。
【0064】
ここでは、検出センサ5aによって位置ずれ検出パターンの列を検出した場合で説明するが他の検出センサ5b,5cについても同様に行う。
【0065】
検出センサ5aでは、31aに沿った列である位置ずれ検出パターンの列を、予め決められた一定のサンプリング時間間隔で検出し、CPU1へ通知する。
【0066】
CPU1は、検出センサ5aから検出の通知を次々と受け取ると、各検出の通知の間隔と上記サンプリング時間間隔とに基づいて各横線パターン間、各横線パターンとそれぞれ対応する斜め線パターンとの間の距離を算出する。
【0067】
このようにして、同じ色の各横線パターン間と各横線パターンとそれぞれ対応する斜め線パターンとの間の長さを求め、その求めた各々の長さを比較することによって各種の位置ずれ量を算出することができる。
【0068】
ここで、主走査レジストずれ量と副走査レジストずれ量の算出を、一例としてK色のパターンを基準とした場合で説明する。
【0069】
副走査レジストずれ量(副走査方向の位置ずれ量)の算出について説明すると、まず、横線パターンを使用し、基準色であるKのパターンと、対象色のY,M,Cの各パターンとの間隔値(y1,m1,c1)を算出し、予め記憶させておいた理想の間隔値(y0,m0,c0)と比較する。そして、間隔値y1-理想の間隔値y0,間隔値m1-理想の間隔値m0,間隔値c1-理想の間隔値c0から基準色(K)に対するY,M,Cの各色の位置ずれ量を算出できる。
【0070】
次に、主走査レジストずれ量(主走査方向の位置ずれ量)の算出では、まず、K~Cの各色の横線パターンと斜め線パターンとの間隔値(y2,k2,m2,c2)を算出する。その算出した間隔値を用いて、基準色(K)の間隔値と非基準色の間隔値との差分値を算出する。その差分値が主走査方向の位置ずれ量に相当する。
【0071】
これは、斜め線パターンを、主走査方向に対して所定の角度(例えば45°)傾斜させているため、主走査方向にずれを生じている場合、横線パターンとの間隔が他の色についての間隔よりも広がったり狭まったりするためである。
【0072】
すなわち、ブラックとイエロー,ブラックとマゼンタ,ブラックとシアンの主走査方向の位置ずれ量は、間隔値k2-間隔値y2,間隔値k2-間隔値m2,間隔値k2-間隔値c2で求められる。このようにして、副走査方向及び主走査方向のレジストずれ量を取得することができる。
【0073】
さらに、各検出センサ5a~5cの異なるもの同士の検出結果に基づいてスキューと主走査倍率誤差についても求めることができる。スキュー成分の算出では、検出センサ5aと5cでそれぞれ検出される副走査レジストずれ量の差分を算出することで取得することができる。
【0074】
そして、上述のようにして取得した各種の位置ずれ量に基づいて、中間転写ベルト130にカラー画像を形成させる際の画像形成条件を補正する補正処理を実行する。
【0075】
上記補正処理としては、例えば、位置ずれ量がほぼ一致するように感光体120y~120cに対する各色に対応した光ビームY~Cの発光タイミングを調整することにより主走査方向のレジスト、副走査方向のレジスト調整及び主走査全体倍率調整を行う。副走査方向のレジスト調整については、感光体120y~120cの速度を微調整することで、感光体120kに対しての位置ずれ量の補正を行う。
【0076】
位置ずれ量の補正は、これに限らず、
図1で説明した反射ミラーの傾きを一例としてステッピングモータを使用して調整して行うことも可能である。また、画像データに白ラインを追加するなど、画像データを変更することによって補正することもできる。
【0077】
図8は本発明による位置ずれ検出パターンと検出センサによる出力信号である。ここでは、検出センサ5aによって位置ずれ検出パターンの横線パターンを検出した場合で説明するが、他の検出センサ5b,5c、および斜め線パターンを検出した場合についても同様に処理を行う。
【0078】
図8(a)のようにパターングループのn組目とn+1組目(またはn-1組目)の同色の横線パターンの立下りエッジ周期は、書込制御部8により設定された固定値であり、それぞれy3、k3、m3、c3である。パターンの重複がない間は理想状態としてy3、k3、m3、c3のパターン周期で色合わせ制御を行う。
【0079】
次にパターン周期を変更した場合について
図8(b)で説明する。n+1組目では各色異なる周期(y4,k4,m4,c4)でパターンを描画する。ここでパターン周期(y4,k4,m4,c4)は、互いに異なる周期間隔増加量をΔy、Δm、Δc、Δkとして、それぞれ以下の式1~式4で表すことができる。
【0080】
y4=y3+Δy …(式1)
m4=m3+Δm …(式2)
c4=c3+Δc …(式3)
k4=k3+Δk …(式4)
【0081】
この時、副走査レジストずれ量算出に使用する横線パターン間隔の理想の間隔値(y5,m5,c5)は、それぞれ以下の式5~式7で表すことができる。
【0082】
y5=y0+Δk-Δy …(式5)
m5=m0+Δm-Δk …(式6)
c5=c0+Δc-Δk …(式7)
【0083】
主走査レジストずれ量算出についてはパターン周期を変更する前と同様である。以上のようにパターン周期を変更することでパターン間隔を変更しパターンの重複なく位置ずれ検出パターンの補正値を算出することができる。
【0084】
次にスキューによる位置ずれによりパターンに重複がある場合について
図8(c)を用いて説明する。スキューによりYKのパターンとMCのパターンが重なっている場合について考える。n組目では、出力信号の立下りエッジの検出数が理想状態より減少するためパターンの重複があると判断できる。
【0085】
そして、パターン周期を変更した場合の理想の間隔値(y5,m5,c5)と横線パターン間隔値(y6,m6,c6)を比較し位置ずれ量補正値を算出する。以上のようにパターン周期を変更することでパターン間隔を変更して、パターンの重複なく位置ずれ検出パターンの補正値を算出することができる。
【0086】
次に1組ごとにパターンを検出する位置ずれ検出パターン補正値算出フローについて
図9で説明する。
【0087】
例えば横線パターンおよび斜め線パターン合わせて8本の位置ずれ検出パターン30を1組とした色合わせ制御の場合、まず1組のパターン30を出力し(S1-1)、検出センサ5aによる検出を行う(S1-2)。そして、検出したパターンの出力信号の立下りエッジから検出パターン数を算出し、出力信号パターン数が8本より少ないか判断する(S1-3)。
【0088】
立下りエッジとは、出力信号において、パターンが有る箇所と無い箇所の境目である。パターンがあるところではでは出力が有り、無い箇所では出力が無くなるため、立下りエッジはパターンの境界に対応する。異なるパターンが重複していると、パターンの間出力が無い箇所がないため、立下りエッジは現れない。
【0089】
パターン数が8本であった場合、パターン重複なしと判断して位置ずれ検出パターン補正値を算出し(S1-4)、算出した補正値は記憶部200(ROM2)に記憶される(S1-5)。パターン数が不足していた場合、つまり8本より少なかった場合にはパターン重複ありと判断し、検出パターン周期を各色それぞれについて変更する(S1-6)。変更は検出されたずれに応じて適宜設定され、色によっては、周期の変更が無い場合も含まれる。
【0090】
1度の色あわせ制御で使用する全ての検出パターン、つまりパターングループのすべてを出力していない場合は上記1組の検出パターン出力から補正値の保存までを繰り返し(S1-7)、全ての検出パターン出力が終了した場合は検出パターン周期を初期値に変更し、算出フローが終了する(S1-8)。
【0091】
本フローにより、パターンに重複があってもパターン重複判断した上で位置ずれ検知を続行でき、色ずれ補正を実行することができる。さらに、本フローは1組ごとに徐々にパターン間隔を変更しており、検出パターン変更により新たに重複が発生することも少ない。
【0092】
図10は、パターングループごとにパターンを検出する位置ずれ検出パターン補正値算出フローである。
【0093】
横線と斜め線合わせて8本を1組とした色ずれ検出パターン組30とした時に、さらに色ずれ検出パターン組30を一例として8組で1パターングループとした制御で、1パターングループ内の全てのパターンを出力し(S2-1)、検出する(S2-2)。
【0094】
次に検出した各組のパターンの出力信号の立下りエッジから検出パターン数を算出し、各組のパターン数が8本より少ないか判断する(S2-3)。パターン数が8本より不足していた組があった場合、パターン重複ありと判断し重複パターンのある組の検出データを破棄し(S2-4)、検出パターン周期を各色それぞれについて変更する(S2-5)。変更は検出されたずれに応じて適宜設定され、色によっては、周期の変更が無い場合も含まれる。
【0095】
次に各組の位置ずれ検出パターン補正値を算出し(S2-6)、算出した補正値は記憶部120(ROM2)に記憶される(S2-7)。
【0096】
1度の色あわせ制御で使用する全ての検出パターンを出力していない場合は上記1パターングループの検出パターン出力から補正値の記憶部200(ROM2)保存までを繰り返し(S2-8)、全ての検出パターン出力が終了した場合は検出パターン周期を初期値に変更し(S2-9)算出フローは終了となる。
【0097】
本フローにより、パターンに重複があってもパターン重複判断した上で位置ずれ検知を続行でき、色ずれ補正を実行することができる。さらに、本フローは重複の判断の回数が少ないため、CPU1の負荷を少なくするのに適している。
【0098】
次に、1組目のパターンのみ重複判断する位置ずれ検出パターン補正値算出フローについて
図11で説明する。
【0099】
例えば、横線と斜め線合わせて8本を1組とした色ずれ検出パターン30、さらに色ずれ検出パターン組30を8組で1パターングループとして制御を行う場合である。
【0100】
まず初めに第1組目の検出パターン組30である場合は(S3-1)、パターンを出力し(S3-2)、検出パターンを検出センサ5aで検出する(S3-3)。検出したパターンの出力信号の立下りエッジから検出パターン数を算出し、パターン数が8より少ないか判断する(S3-4)。パターン数が8より不足していた場合、パターン重複ありと判断し検出パターン周期を各色それぞれについて変更する(S3-5)。パターン数が8であった場合、パターン重複なしと判断して位置ずれ検出パターン補正値を算出し(S3-6)、算出した補正値を記憶部120(ROM2)に記憶する(S3-7)。なおパターン周期の変更は検出されたずれに応じて適宜設定され、色によっては、周期の変更が無い場合も含まれる。
【0101】
次にパターングループの残りの組である第2組目から第8組目まで検出パターンを出力し(S3-8)、各組の検出パターンをセンサ検出する(S3-9)。第1組目とは異なりパターンの重複判断は行わず、各組の位置ずれ検出パターン補正値を算出し(S3-10)、算出した補正値は記憶部120(ROM2)に記憶される(S3-11)。
【0102】
1度の色あわせ制御で使用する全ての検出パターンを出力していない場合は上記を繰り返し(S3-12)、全ての検出パターン出力が終了した場合は検出パターン周期を初期値に変更し(S3-13)算出フローは終了となる。
【0103】
本フローにより、パターンに重複があってもパターン重複判断した上で位置ずれ検知を続行でき、色ずれ補正を実行することができる。また本フローではパターンが重複する場合は、全てのパターンが同様に重複している事が多いと推定できることを利用して、最初の1組目のみで重複判断を行い、以降のパターングループで間隔を変化させており、重複判断の回数が少ないため、CPU1の負荷を少なくするのに適している。
【符号の説明】
【0104】
100 画像読取装置
5a 検出センサ
170 制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0105】