(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】基板及び電源装置
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20220405BHJP
【FI】
H05K1/02 N
H05K1/02 F
(21)【出願番号】P 2017231227
(22)【出願日】2017-11-30
【審査請求日】2020-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】三谷 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】吉川 慶太
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/114115(WO,A1)
【文献】特開平02-252286(JP,A)
【文献】国際公開第2017/110049(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/154516(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次回路と、
前記一次回路と強化絶縁で絶縁された二次回路と、
前記一次回路の周囲に配置された、前記一次回路のグランドパターンとしての第1グランドパターンと、
前記二次回路の周囲に配置された、前記二次回路のグランドパターンとしての第2グランドパターンと、
を備え、
前記一次回路は、前記第1グランドパターンと基礎絶縁で絶縁され、
前記二次回路は、前記第2グランドパターンと機能絶縁で絶縁され、
前記第1グランドパターンは、前記第2グランドパターンと付加絶縁で絶縁されること、
を特徴とする基板。
【請求項2】
一次回路と、
前記一次回路と強化絶縁で絶縁された二次回路と、
前記一次回路及び前記二次回路の共通のグランドパターンと、
を備え、
前記一次回路
は、前記グランドパターン
と強化絶縁で絶縁され、
前記二次回路
は、前記グランドパターン
と機能絶縁で絶縁されること
を特徴とする請求項1に記載の基板。
【請求項3】
前記一次回路を複数備え、
前記一次回路同士は強化絶縁で絶縁されること、
を特徴とする請求項
2に記載の基板。
【請求項4】
前記グランドパターンは、前記一次回路及び前記二次回路の周囲を囲うこと、
を特徴とする請求項2又は3に記載の基板。
【請求項5】
前記一次回路と前記二次回路との距離は、前記二次回路と前記グランドパターンとの距離より長いこと、
を特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の基板。
【請求項6】
前記一次回路と前記グランドパターンとの距離は、前記二次回路と前記グランドパターンとの距離より長いこと、
を特徴とする請求項2乃至5のいずれか一項に記載の基板。
【請求項7】
前記グランドパターンと前記一次回路との間に設けられ、前記一次回路と機能絶縁で絶縁されるヒートシンクを、さらに備えること、
を特徴とする請求項2乃至6のいずれか一項に記載の基板。
【請求項8】
前記ヒートシンクは、前記二次回路と強化絶縁で絶縁されること、
を特徴とする請求項7に記載の基板。
【請求項9】
前記ヒートシンクは、前記グランドパターンと強化絶縁で絶縁されること、
を特徴とする請求項7又は8に記載の基板。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の基板を有することを特徴とする電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板及び電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器に電力を供給する電源装置は、一次回路及び二次回路が混在する基板を備えている。このような一次回路及び二次回路が混在する基板は、多くの場合、接地パターン(GNDパターン)を保護接地させている。また、一次回路及び二次回路が混在する基板は、「一次回路~保護接地間」、「二次回路~保護接地間」及び「一次回路~二次回路間」が、基板の故障により他の電子部品を破損させる不都合等を防止するために、適切な絶縁(距離)又は保護接地が可能な導体寸法で形成されている。
【0003】
特許文献1(特開平03-285517号公報)には、強化絶縁を必要とする電源と基礎絶縁を必要とする電源において、両電源の回路を一部共有化して、装置サイズの経済化を図る電源装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、基板の故障による他の電子部品の破損等の不都合を防止するために、「一次回路~保護接地間」、「二次回路~保護接地間」及び「一次回路~二次回路間」を、適切な距離となるように離間させて絶縁を図ると、必然的に基板サイズが大きくなる問題がある。
【0005】
なお、「基礎絶縁が必要な基板」又は「強化絶縁が必要な基板」等のように、必要な絶縁構成が異なる基板において、強化絶縁が必要な基板を動作させているときに、基礎絶縁が必要な基板を動作させることで、両方の基板の一部の回路を共有化することができ、基板サイズを抑えることができる。しかし、このように一部の回路を共有化すると、片方の基板のみを動作させることが困難となる問題を生ずる。
【0006】
また、高い安全性が要求される基板の場合、保護接地と接触した接地パターン(GNDパターン)を保護ボンディング導体とみなし、最小導体寸法が要求されることがある。このため、最小導体寸法の要求を満たすようGNDパターンを広くすると、基板サイズが大きくなる問題を生ずる。この問題は、特許文献1の電源装置に対しても生じている問題である。
【0007】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、一次回路及び二次回路が混在する基板の基板サイズの拡大を抑制可能とした基板及び電源装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、一次回路と、一次回路と強化絶縁で絶縁された二次回路と、一次回路の周囲に配置された、一次回路のグランドパターンとしての第1グランドパターンと、二次回路の周囲に配置された、二次回路のグランドパターンとしての第2グランドパターンと、を備え、一次回路は、第1グランドパターンと基礎絶縁で絶縁され、二次回路は、第2グランドパターンと機能絶縁で絶縁され、第1グランドパターンは、第2グランドパターンと付加絶縁で絶縁されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、一次回路及び二次回路が混在する基板の基板サイズの拡大を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態の画像形成装置のブロック図である。
【
図2】
図2は、比較例となる電源装置の基板の絶縁構成を説明するための図である。
【
図3】
図3は、第1の実施の形態の画像形成装置に設けられている電源装置の基板の絶縁構成を示す図である。
【
図4】
図4は、第2の実施の形態の画像形成装置に設けられている電源装置の基板の絶縁構成を示す図である。
【
図5】
図5は、第3の実施の形態の画像形成装置に設けられている電源装置の基板の絶縁条件を説明するための図である。
【
図6】
図6は、第4の実施の形態の画像形成装置に設けられている電源装置の基板の絶縁構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施の形態)
(ハードウェア構成)
一例ではあるが、基板、電源装置及び基板の絶縁方法は、画像形成装置に適用することができる。
図1は、第1の実施の形態の画像形成装置のブロック図である。この第1の実施の形態の画像形成装置は、例えばプリンタ機能及びスキャナ機能等の複数の機能を備えた複合機(MFP:Multifunction Peripheral)となっている。すなわち、この画像形成装置は、コントローラ1、スキャナエンジン2、プリンタエンジン3、電力装置(PSU:Power Supply Unit)4、搬送ユニット5、及び、操作部6を有する。
【0012】
コントローラ1は、CPU10、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)11、メモリ12、HDD(Hard Disk Drive)13及びタイマ14を有する。CPU10~タイマ14は、それぞれバスラインを介して通信可能なように相互に接続されている。
【0013】
操作部6は、液晶表示部(LCD:Liquid Crystal Display)とタッチセンサとが一体的に形成された、いわゆるタッチパネルとなっている。操作者は、操作部6に表示された操作ボタン(ソフトウェアキー)を接触操作することで、所望の動作を指定する。また、操作部6に隣接してテンキー、スタートボタン、リセットボタン、アプリ切り替えボタン等のハードウェアキーも設けられている。
【0014】
スキャナエンジン2は、スキャナユニットを制御して、光学的に原稿の読み取りを行う。プリンタエンジン3は、画像書き込みユニットを制御して、例えば転写紙等に画像を印刷する。CPU10は、画像形成装置を統括的に制御する。ASIC11は、いわゆる大規模集積回路(LSI:Large-Scale Integration)となっており、スキャナエンジン2及びプリンタエンジン3で処理する画像に必要な各種の画像処理等を行う。搬送ユニット5は、例えばスキャン駆動時又は印刷時等において転写紙の搬送を行う。
【0015】
メモリ12は、CPU10が実行する各種アプリケーション、及び、アプリケーションを実行する際に用いられる種々のデータを記憶する。HDD13は、画像データ、各種のプログラム、フォントデータ、及び、各種のファイル等を記憶する。なお、HDD13の代わり又はHDD13と共に、SSD(Solid State Drive)を設けてもよい。
【0016】
電源装置(PSU)4は、コントローラ1、スキャナエンジン2、プリンタエンジン3、搬送ユニット5及び操作部6に対して電力を供給する。
【0017】
(比較例の絶縁構成)
次に、
図2は、画像形成装置の電源装置に対して一般的に設けられている基板の絶縁構成を示す図である。この比較例となる基板は、
図2に示すように一次回路21及び二次回路22と共に、ヒートシンク(フロート)23が設けられた(混在する)基板となっている。一次回路21は、交流主電源に直接接続された回路であり、例えば交流主電源への接続部、変圧器の一次巻線、モータ及びその他の負荷装置が含まれる。二次回路22は、一次回路21との直接接続がなく、例えば変圧器の二次側巻線を含む回路、コンバータ又は類似の絶縁装置又はバッテリから給電される回路である。
【0018】
また、この比較例となる基板の場合、一次回路21~ヒートシンク23を取り囲むように、接地パターン(GNDパターン)20が設けられている。一次回路21とGNDパターン20との間は、基礎絶縁となっている。二次回路22とGNDパターン20との間は、機能絶縁となっている。一次回路21と二次回路22との間、及びヒートシンク23と二次回路22との間は、それぞれ強化絶縁となっている。また、ヒートシンク23とGNDパターン20との間は、強化絶縁となっており、ヒートシンク23と一次回路21との間は、機能絶縁となっている。
【0019】
基礎絶縁は、電撃に対する基本的な保護を行う絶縁形態である。機能絶縁は、機器の正常な動作だけに必要な絶縁形態である。強化絶縁は、所定の条件に基づいて、電撃に対して二重絶縁と同等の保護を行う単一の絶縁形態である。なお、二重絶縁とは、基礎絶縁と補足絶縁との両方を備える絶縁形態である。補足絶縁は、基礎絶縁が機能しなくなった場合に電撃の低減を図るために、基礎絶縁と共に施されている独立の絶縁形態である。
【0020】
このような比較例の基板の場合、一次回路21とGNDパターン20との間が基礎絶縁であるため、GNDパターン20は、保護ボンディング導体として扱われることとなる。このため、保護接地24に対する最小導体寸法を要求された場合には、要求された最小導体寸法を満たすために、GNDパターン20を広げる必要があり、広げた分、基板サイズが大きくなる。なお、保護ボンディング導体とは、機器の主保護接地端子と接地点とを接続するための配線又は電源コードの導体である。
【0021】
(第1の実施の形態の絶縁構成)
これに対して、
図3は、第1の実施の形態の画像形成装置の電源装置4に設けられている基板の絶縁構成を示す図である。この
図3に示すように、第1の実施の形態の画像形成装置の電源装置4の場合、一次回路21及び二次回路22が混在する基板となっているが、一次回路21及び二次回路22のGNDパターンが,それぞれ非共通の絶縁構成となっている。
【0022】
すなわち、
図3に示す基板の場合、一次回路31の一次回路GNDパターン41及び二次回路32の二次回路GNDパターン42を、付加絶縁で分離する絶縁構成とすることで、GNDパターンを保護ボンディング導体から除外可能としている。なお、付加絶縁とは、基礎絶縁が破損した際に、回路の保護等を行うために、基礎絶縁に追加して施される独立の絶縁構成である。
【0023】
さらに詳細に説明すると、
図3に示す基板の場合、一次回路31の一次回路GNDパターン41及び二次回路32の二次回路GNDパターン42を経由しない経路における、一次回路31~二次回路32間の絶縁構成は、強化絶縁となっている。
【0024】
また、一次回路31の一次回路GNDパターン41及び二次回路32の二次回路GNDパターン42を経由する経路における、一次回路31とGNDパターン41との間は、基礎絶縁となっている。また、二次回路32とGNDパターン42との間は、機能絶縁となっている。さらに、上述のように、一次回路GNDパターン41と二次回路GNDパターン42との間は、付加絶縁となっている。
【0025】
すなわち、一次回路GNDパターン41又は二次回路GNDパターン42を経由する一次回路31~二次回路32間の絶縁構成は、
「基礎絶縁(一次回路31~一次回路GNDパターン41の間)+
付加絶縁(一次回路GNDパターン41~二次回路GNDパターン42の間)+
機能絶縁(二次回路GNDパターン42~二次回路32の間)
=二重絶縁」
となっている。
【0026】
(第1の実施の形態の効果)
電力装置4の基板をこのような絶縁構成とすることで、どのルートであっても、一次回路31~-二次回路32間が強化絶縁又は二重絶縁となるため、GNDパターンを保護ボンディング導体から除外できる。このため、保護接地43に対する最小導体寸法を要求されても、最小導体寸法を満足するようGNDパターンを広げる必要がなく、基板サイズの拡大を抑制することができる。
【0027】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態の画像形成装置を説明する。なお、上述の第1の実施の形態と以下に説明する第2の実施の形態とでは、電源装置4の基板の絶縁構成が異なるだけである。このため、以下、電源装置4の基板の絶縁構成の説明のみ行い、重複説明は省略する。
【0028】
図4は、第2の実施の形態の画像形成装置の電源装置4に設けられている基板の絶縁構成を示す図である。この基板の場合、一次回路31、二次回路32及びヒートシンク(フロート)が混在する基板であり、GNDパターン51が共通の絶縁構成となっている。そして、この基板の場合、一次回路31~GNDパターン51間を強化絶縁とする絶縁構成とすることで、GNDパターン51を保護ボンディング導体から除外可能としている。
【0029】
すなわち、
図4に示す基板は、GNDパターンを経由しない一次回路31~二次回路32間の絶縁構成は、強化絶縁となっている。
【0030】
また、
図4に示す基板は、GNDパターンを経由する一次回路31~二次回路32間の絶縁構成は、
「強化絶縁(一次回路31~GNDパターン51間)+
機能絶縁(二次回路32~GNDパターン51間)
=強化絶縁」
となっている。
【0031】
(第2の実施の形態効果)
電力装置4の基板をこのような絶縁構成とすることで、GNDパターンの経由の有無に関わらず、どの経路であっても、一次回路31~二次回路32間が強化絶縁であるため、GNDパターンを保護ボンディング導体から除外可能とすることができる。このため、第1の実施の形態と同様に、保護接地43に対する最小導体寸法を要求されても、最小導体寸法を満足するようGNDパターン51を広げる必要がなく、基板サイズの拡大を抑制することができる。
【0032】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態の画像形成装置を説明する。なお、上述の各実施の形態と以下に説明する第3の実施の形態とでは、電源装置4の基板の絶縁構成が異なるだけである。このため、以下、電源装置4の基板の絶縁構成の説明のみ行い、重複説明は省略する。
【0033】
図5は、第3の実施の形態の画像形成装置の電源装置4に設けられている基板の絶縁構成を説明するための図である。この第3の実施の形態は、
図5に示すように、定格電圧(Vac)、動作電圧(Vpeak)、周波数(Hz)、繰り返しピーク電圧(V)、過渡電圧(V)、短時間過電圧(V)、動作可能な海抜(m)等の所定の特性を備えた一次回路31が設けられている基板に対して、例えば2つ等の複数の絶縁距離が要求された例である。
【0034】
具体的には、
図5に示す第1の絶縁条件は、保護接地されたGNDパターンに最小導体寸法が要求されないときの絶縁距離であり、例えば一次回路31~GNDパターン51の間は、絶縁距離が○○mmの基礎絶縁、一次回路31~二次回路32の間は、絶縁距離が××mmの強化絶縁との条件となっている。なお、「○○mm」及び「××mm」は、所定の数値を示している。以下、同様である。
【0035】
また、
図5に示す第2の絶縁条件は、保護接地されたGNDパターンに最小導体寸法が要求されるときの絶縁距離である。第2の絶縁条件としては、絶縁耐圧試験が行われていない場合の絶縁距離(距離のみ)、及び、絶縁耐圧試験が行われた場合の絶縁距離(耐圧+距離)がある。
【0036】
すなわち、電圧又は周波数等の諸条件によって変わるが、絶縁条件に要求される絶縁耐圧試験を満足する場合、絶縁耐圧試験を行わない場合に比べて、絶縁距離が短くなることがある。例えば、一次回路31~GNDパターン51間の絶縁距離に対して「1.7mm」の絶縁距離が求められていた場合、絶縁耐圧試験を満足することで、絶縁距離が「1.4mm」等のように短くなることがある。第2の絶縁条件における「距離のみ」の絶縁条件は、このような絶縁耐圧試験が行われていない場合の絶縁距離を示し、「耐圧+距離」の絶縁条件は、このような絶縁耐圧試験が行われた場合の絶縁距離を示している。
【0037】
絶縁距離のみが指定される場合、第2の絶縁条件は、例えば一次回路31~GNDパターン51の間は、絶縁距離が○○mmの基礎絶縁、一次回路31~二次回路32の間は、絶縁距離が××mmの強化絶縁等のように指定される。
【0038】
また、絶縁耐圧試験が行われたうえで、絶縁距離が指定される場合、第2の絶縁条件は、例えば一次回路31の耐圧は○○(V)、二次回路32の耐圧は××(V)、一次回路31~GNDパターン51の間は、絶縁距離が○○mmの基礎絶縁、一次回路31~二次回路32の間は、絶縁距離が××mmの強化絶縁等のように指定される。
【0039】
このように基板に対して要求される条件が複数存在する場合、一次回路31~二次回路32間は、長い距離の強化絶縁とする、第1の絶縁条件に従った絶縁構成とし、一次回路31~二次回路32間は、短い距離とする第2の絶縁条件に従った絶縁構成とする。
【0040】
(第3の実施の形態の効果)
これにより、
図4に示した基板を、第2の絶縁条件に対応する絶縁構成とした場合、GNDパターン51を保護ボンディングから除外可能とすることができる。また、
図4に示した基板を、第1の絶縁条件に対応する絶縁構成とした場合。GNDパターン51が保護ボンディングとなるが、第1の絶縁条件は、GNDパターン51に最小導体寸法が適用されない条件であるため、基板サイズの拡大を抑制することができる。
【0041】
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態の画像形成装置を説明する。この第4の実施の形態の画像形成装置は、電源装置4の基板に複数の一次回路が設けられている例である。なお、上述の各実施の形態と以下に説明する第4の実施の形態とでは、この点のみが異なる。このため、以下、差異の説明のみ行い、重複説明は省略する。
【0042】
図6は、第4の実施の形態の画像形成装置の電源装置4に設けられている基板のブロック図である。この
図6に示す基板は、第1の一次回路61及び第2の一次回路62の、計2つの一次回路を有している。なお、基板上に設ける一次回路の数は、3つ以上でもよい。また、
図6に示す基板は、第1のヒートシンク(フロート)81及び第2のヒートシンク(フロート)82を有している。各ヒートシンク81、82は、GNDパターン83に接続されていない、いわゆる「浮き板金」となっている。
【0043】
第1の一次回路61と第2の一次回路62との間は、強化絶縁となっている。
【0044】
また、それぞれGNDパターン83を経由せず、各ヒートシンク81、82である浮き板金をも経由しない各一次回路61、62と二次回路72との間の絶縁構成は、それぞれ強化絶縁となっている。
【0045】
また、GNDパターン83を経由し、各ヒートシンク81、82である浮き板金を経由しない各一次回路61、62と二次回路72との間の絶縁構成としては、各一次回路61,62と二次回路72と間が強化絶縁、GNDパターン83と二次回路72との間が、機能絶縁となっている。すなわち、GNDパターン83を経由し、浮き板金を経由しない各一次回路61、62と二次回路72との間の絶縁構成は、強化絶縁+機能絶縁=強化絶縁となっている。
【0046】
また、GNDパターン83を経由せず、各ヒートシンク81、82である浮き板金を経由する各一次回路61、62と二次回路72との間の絶縁構成としては、各一次回路61,62と各ヒートシンク81、82と間が、それぞれ機能絶縁、各ヒートシンク81、82と二次回路72との間が、強化絶縁となっている。すなわち、GNDパターン83を経由せず、各ヒートシンク81、82である浮き板金を経由しない各一次回路61、62と二次回路72との間の絶縁構成は、機能絶縁+強化絶縁=強化絶縁となっている。
【0047】
また、GNDパターン83を経由し、各ヒートシンク81、82である浮き板金を経由する各一次回路61、62と二次回路72との間の絶縁構成は、各一次回路61,62と各ヒートシンク81、82と間が、それぞれ機能絶縁、各ヒートシンク81、82とGNDパターン83との間が強化絶縁、GNDパターン83と二次回路72との間が、機能絶縁となっている。すなわち、GNDパターン83を経由し、各ヒートシンク81、82である浮き板金を経由する各一次回路61、62と二次回路72との間の絶縁構成は、機能絶縁+強化絶縁+機能絶縁=強化絶縁となっている。
【0048】
(第4の実施の形態の効果)
このような絶縁構成とすることで、各一次回路61、62と二次回路72との間の絶縁構成を、どのルートであっても強化絶縁とすることができるため、GNDパターン83を保護ボンディング導体から除外可能とすることができる。このため、
図3及び
図4を用いて行った説明と同様に、要求された保護接地84に対する最小導体寸法を満足するようにGNDパターン83を広げる必要がなく、基板サイズが拡大する不都合を防止できる。
【0049】
最後に、上述の各実施の形態は、一例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことも可能である。
【0050】
例えば、上述の各実施の形態はMFPの電源装置4に対する適用例であったが、単体で機能するプリンタ装置、ファクシミリ装置、スキャナ装置、コピー機等に適用してもよい。また、MFPの代わりに、例えばプロジェクタ装置、テレビ会議システム、電子黒板、デジタルカメラ装置、冷蔵庫又は洗濯機等のように、電子機器であれば、どのような電子機器に適用してもよい。
【0051】
このような各実施の形態及び各実施の形態の変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0052】
4 電源装置
20 接地パターン(GNDパターン)
21 一次回路
22 二次回路
23 ヒートシンク
24 保護接地
31 一次回路
32 二次回路
41 一次回路GNDパターン
42 二次回路GNDパターン
43 保護接地
51 GNDパターン
61 第1の一次回路
62 第2の一次回路
72 二次回路
81 第1のヒートシンク
82 第2のヒートシンク
83 GNDパターン
84 保護接地
【先行技術文献】
【特許文献】
【0053】