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特許7052337画像読取装置、画像読取方法、及び画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】画像読取装置、画像読取方法、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/028 20060101AFI20220405BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
H04N1/028 Z
H01L27/146 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2017246960
(22)【出願日】2017-12-22
(65)【公開番号】P2019114925
(43)【公開日】2019-07-11
【審査請求日】2020-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】南原 康亮
(72)【発明者】
【氏名】橋本 英樹
(72)【発明者】
【氏名】小山 忠明
(72)【発明者】
【氏名】中澤 政元
(72)【発明者】
【氏名】白土 寛貴
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-270901(JP,A)
【文献】特開平08-084252(JP,A)
【文献】特開昭50-092635(JP,A)
【文献】特開昭62-128658(JP,A)
【文献】特開2006-156511(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/024- 1/207
G06T 1/00
H01L 27/146-27/148
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取対象の反射光を受光し、当該反射光の光量に応じた電圧信号を生成する信号生成部と、
前記電圧信号に対して、画像形成する画像形成部へ出力するための信号処理を行う信号処理部と、
を備えることで前記読取対象の画像を読み取る画像読取装置であって、
前記信号生成部は、前記電圧信号の振幅が所定レベル以上にならないように制限する制限手段を備えるとともに、
前記制限手段は、
前記制限手段における基準電圧を生成する電圧生成部と、
前記基準電圧を元に前記電圧信号の振幅を所定レベルに制限する信号制限部と、
を有し、さらに前記信号制限部が単一のMOSFETからなる
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記所定レベルは、前記信号処理部の許容入力範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記信号生成部は、複数の光電変換素子が一次元的に羅列されたリニアイメージセンサを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記信号生成部は、
前記読取対象からの反射光を受光し、当該反射光に係る光信号を信号電荷に変換する光電変換部と、
前記信号電荷の電荷量に応じた振幅の電圧信号に変換する電荷電圧変換部と、
前記電荷電圧変換部によって変換された電圧信号を、前記信号生成部の外部へ出力する出力部と、
を有し、
前記電圧生成部は、前記出力部の一部と同じ構成であり、前記出力部において印加されているオフセット電圧と同じ電圧を生成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記信号生成部は、
前記読取対象からの反射光を受光し、当該反射光に係る光信号を信号電荷に変換する光電変換部と、
前記信号電荷の電荷量に応じた振幅の電圧信号に変換する電荷電圧変換部と、
前記電荷電圧変換部によって変換された電圧信号を、前記信号生成部の外部へ出力する出力部と、
を有し、
前記制限手段は、前記光電変換部から出力される信号電荷を制限することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記制限手段は、オーバーフロードレインにより構成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記光電変換部は、フォトダイオードアレイを有し、
前記制限手段は、前記フォトダイオードアレイへの入射光量を制限することを特徴とする請求項4または5に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記制限手段は、
フォトダイオードアレイの受光面側に設けられ、当該フォトダイオードアレイへの入射光量を変更する電圧制御型透過率可変フィルタと、
前記信号生成部に設けられ、前記電荷電圧変換部からの電圧信号の振幅に応じて、前記電圧制御型透過率可変フィルタの透過率を制御する制御部と、
を有することを特徴とする請求項4または5に記載の画像読取装置。
【請求項9】
前記電圧制御型透過率可変フィルタは、有機光電薄膜によって構成されていることを特徴とする請求項8に記載の画像読取装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の画像読取装置であって、
前記信号生成部によって生成された前記電圧信号に含まれる直流電圧成分をカットするカット部を有し、
前記信号処理部は、前記カットされた電圧信号に対して、前記画像形成部へ出力するための前記信号処理を行うことを特徴とする画像読取装置。
【請求項11】
読取対象の反射光を受光し、当該反射光の光量に応じた電圧信号を生成する信号生成ステップと、
前記電圧信号に対して、画像形成する画像形成部へ出力するための信号処理を行う信号処理ステップと、
を実行することで前記読取対象の画像を読み取る画像読取方法であって、
前記信号生成ステップは、前記電圧信号の振幅が所定レベル以上にならないように制限する処理を含むとともに、
前記制限する処理は、
前記制限する処理における基準電圧を生成する電圧生成処理と、
前記基準電圧を元に前記電圧信号の振幅を所定レベルに制限する信号制限処理と、
を有し、さらに前記信号制限処理を単一のMOSFETで行う
ことを特徴とする画像読取方法。
【請求項12】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の画像読取装置を有することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示内容は、画像読取装置、画像読取方法、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コピー機能やスキャナ機能を有するMFP(Multifunction Peripheral)等の画像形成装置に設けられた画像読取装置によって、立体物や貴金属等の特殊原稿を読み取ることが増えて来た。この場合、特殊変更で反射した散乱光をミラーやレンズを介して画像読取装置内のPD(Photodiode)が受光する。PDは、入射光の光量に応じた電荷を生成し、コンデンサを介して電荷量に応じたアナログ信号を、後段の各種信号処理を行うAFE(Analog Front End)へ出力する。AFEは、アナログ信号をデジタル信号(データ)へとA/D変換(Analog/Digital Conversion)する。これにより、画像読取装置は原稿(読取対象)の画像の読み取りを行っている。
【0003】
ここで、図11及び図12を用いて、従来の画像読取装置の構成について説明する。図11は、従来の画像読取装置の構成図である。図11に示されているように、従来の画像読取装置は、信号生成部1000、コンデンサ8000及びAFE9000を備えている。信号生成部1000は、PD等の光電変換部1010、電荷電圧変換部1020、及び出力部1030を備えている。
【0004】
画像読取装置で原稿の読み取りを行う際、光源から原稿に光を照射すると、原稿で反射した散乱光が、ミラーやレンズを介して光信号として光電変換部1010に入射する。光電変換部1010では、入射された光の光量に応じた電荷が生成され、電荷電圧変換部1020でその電荷量に応じた電圧に変換される。そして、出力部1030から、電圧VCCDoutのアナログ信号(以降、「電圧信号VCCDout」と示す)が出力される。これにより、コンデンサ8000を介して、AFE9000に電圧VAFEinのアナログ信号(以降、「電圧信号VAFEin」と示す)が入力される。
【0005】
図12(a)は経過時間(t)に対する信号生成部からの電圧信号の電圧値(VCCDout)を示し、図12(b)は経過時間(t)に対するAFEへの電圧信号の電圧値(VAFEin)を示している。信号生成部1000の電圧信号VCCDoutは、図12(a)に示されているように、オフセット成分として直流電圧Voff、画像信号成分として振幅Vsigの信号である。また、電圧信号VCCDoutは、AFE9000へと出力されるが、信号生成部1000とAFE9000では動作電圧が異なるため、信号生成部1000の電圧信号VCCDoutは、コンデンサ8000によって交流結合され、この交流結合された信号の変化分のみが後段のAFE9000へ出力される。そして、AFE9000の入力部では、電圧信号VCCDoutの変化分に、AFE9000内部で生成されたオフセット電圧VCLPが印加され、図12(b)に示されている電圧VAFEinが生成される。AFE9000は、この電圧VAFEinの電圧信号に対して各種アナログ信号処理を行い、デジタル信号(データ)へとA/D変換することで、原稿の画像の読み取りを実現している。
【0006】
ところが、画像読取装置が特殊原稿を読み取る場合、反射角度の違いにより、一般原稿読み取り時の散乱光に対して過大な光量を持つ正反射光が光電変換部1010へ入射されることがある。この影響による画像データの不具合がいくつか存在する。例えば、正反射光入射時、信号生成部1000からコンデンサ8000を介してAFE9000に対し、過大な画像信号が出力されると、AFE9000の故障防止を目的として、AFE9000の入力部に内蔵されている保護ダイオードが作動する。この場合、AFE9000に負極性の過大信号が入力される場合は、この過大信号を一定の範囲内に収めるため、AFE9000は過大信号を高電圧側にレベルシフトする。この影響により、出力された画像上には黒い横筋状の異常画像が発生してしまうという問題がある。この問題について、図13及び図14を用いて具体的に説明する。図13(a)は従来の画像読取装置における電荷電圧変換部の電圧信号を示した図、図13(b)は従来の画像読取装置におけるAFEの電圧信号を示した図である。図14(a)は従来の画像読取装置で反射光として過大光の後に通常光を受光した場合おけるAFEの電圧信号を示した図、図14(b)は従来の画像読取装置で読取対象を読み取った場合の出力画像を示した図である。
【0007】
画像読取装置が、貴金属等の特殊原稿を読み取る場合、平面的な一般原稿を読み取る場合と比べ、反射角度の違いが生じる。そのため、特殊原稿における散乱光に対して過大な光量を持つ正反射光が光電変換部1010へ入射されることがある。この場合、図13(a)に示されているように、信号生成部1000からは、散乱光を読み取った場合に比べて過大な振幅Vovrを持つアナログの電圧信号VCCDoutが出力される。その後、図13(b)に示されているように、信号出力VCCDoutは、後段のコンデンサ8000で交流結合され、AFE9000の入力部でVCCDoutの変化分にAFE9000内部で生成したオフセット電圧VCLPが印加されることにより、電圧信号VAFEinとしてAFE9000に入力される。
【0008】
ここで、AFE9000の電圧信号VAFEinの最低電圧はVCLP-Vovrとなるが、この最低電圧が図13(b)に示されているように、0Vを下回る場合、AFE9000の入力部とGND間において、故障防止を目的として接続されている保護ダイオードに電流が流れる。この場合、図13(c)に示されているように、ダイオードを介してGNDに接続されているAFE9000の入力部の電圧は、クランプ期間の平均電圧が0Vになるように、高電圧側にレベルシフトしてしまう。
【0009】
このレベルシフト直後に、通常光入射時の電圧信号VAFEinが、AFE9000の入力部に入力された場合、その電圧信号VAFEinの信号幅が過大光入射によるレベルシフト幅Vsif以下となる。すると、この画像信号レベルはA/D変換後のデジタルデータとして0(黒)と判定される。ラインごとに元のオフセット電圧VCLPにクランプされるが、クランプ期間の短さから一度のクランプ動作では元の電圧レベルに戻りきらない。そのため、図14(a)に示されているように、PDに入射される反射光が過大光から通常光に戻っても、AFE9000への電圧信号の電圧レベルは、1ラインごとに徐々に小さくなってしまう。この動作により、過大光の入射直後は黒い横筋状の異常画像(図14(b)のA部分)として現れる。その後、Vsifが戻り切る途中では灰色の横筋状の異常画像(14(b)のB部分)となったのち、Vsifが戻り切ることで正常な画像に戻る(図14(b)のC部分)。このように、図14(a)では、過大光によるAFE9000への電圧信号の強度は図13(c)のようになり、通常光によるAFE9000への電圧信号の強度は、A部分、B部分、C部分の画像の順に徐々に下がることで、図14(a)のA部分、B部分、C部分の画像が現れることになる。なお、ここでは負極性の信号を例として挙げているが、CIS(Contact Image Sensor)のような正極性の信号にも同様な現象が発生する。このときは、黒ではなく、白い横筋状の異常画像が発生する。
【0010】
このような異常画像の発生を防止するために、光電変換部1000とコンデンサ8000との間に分圧回路7000を内蔵し、AFE9000への過大信号の入力を制限する技術が既に知られている(特許文献1参照)。ここで、図15及び図16を用いて、特許文献1に記載の技術について説明する。図15は、特許文献1に記載の画像読取装置の電気的構成を示した図である。図16は、図13(b)、(c)と同様に、過大光に基づく電圧信号を示しており、図16(a)は特許文献1に記載の技術を利用した場合のAFEの電圧信号を示した図である。なお、図16(b)は、後述の第1の実施形態に係る発明を利用した場合のAFEの電圧信号を示した図である。
【0011】
図15に示されているように、特許文献1には、信号生成部1000とコンデンサ8000との間に、分圧回路7000が設けられ、所定の分圧比で分圧する旨が記載されている。分割回路7000は、信号生成部1000の電圧信号VCCDout(アナログ信号A1)を所定の分圧比で分圧することにより、アナログ信号A2を生成する。コンデンサ8000は、分圧回路7000から出力されたアナログ信号A2に含まれる直流電圧成分をカットすることにより、電圧信号VAFEin(アナログ信号A3)を生成して、AFE9000に出力する。
【0012】
ここで、分圧回路7000について、より具体的に説明する。図15に示されているように、分圧回路7000は、信号生成部1000から出力されたアナログ信号A1が入力される入力端子(入力部)T1と、入力端子T1に一端が接続された抵抗器(第1の抵抗器)R1と、抵抗器R1の他端に一端が接続され、他端がGNDに接続された抵抗器(第2の抵抗器)R2とを備えている。分圧回路7000は、抵抗器R1の抵抗値r1と抵抗器R2の抵抗値r2とによって定まる所定の分圧比DRで、信号生成部1000から出力されたアナログ信号A1を分圧し、この分圧したアナログ信号A2をコンデンサ8000に出力する。
【0013】
この分圧比は、光源から照射された光が原稿で正反射したときに、信号生成部1000から出力されるアナログ信号A1の振幅の最大値に対する、AFE9000に入力可能なアナログ信号の振幅の最大値の比率以下となっている。そのため、コンデンサ8000によって交流結合された後のアナログ信号A3の振幅の最大値が、AFE9000に入力可能なアナログ信号の振幅の最大値以下に制限されるため、図14(b)に示されているような異常画像の発生を抑制できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、信号生成部1000の電圧信号VCCDoutに対して行われている分圧は、過大光が入射されていないような通常の入射光に対しても適用されるため、電圧信号VCCDoutに対して分圧を行うことにより画像信号の振幅が小さくなってしまう。この場合、分圧箇所以降で受ける外乱等のノイズ成分の割合が電圧信号VCCDoutに対して大きくなるため、分圧しない場合に比べてノイズによる影響度が高くなる。即ち、画像読取装置10は、一般原稿を読み取る場合でも分圧することで信号生成部1000からの電圧信号VCCDoutが小さくなるため、原稿が読み取られた場合の出力画像のS/N比が低下してしまい、図16(a)のように、分圧しない場合に比べて、ノイズによる影響度が大きくなってしまう。これにより、特許文献1に記載の技術では、出力画像のざらつきが目立ってしまうという課題が生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した課題を解決すべく、請求項1に係る発明は、読取対象の反射光を受光し、当該反射光の光量に応じた電圧信号を生成する信号生成部と、前記電圧信号に対して、画像形成する画像形成部へ出力するための信号処理を行う信号処理部と、を備えることで前記読取対象の画像を読み取る画像読取装置であって、前記信号生成部は、前記電圧信号の振幅が所定レベル以上にならないように制限する制限手段を備えるとともに、前記制限手段は、前記制限手段における基準電圧を生成する電圧生成部と、前記基準電圧を元に前記電圧信号の振幅を所定レベルに制限する信号制限部と、を有し、さらに前記信号制限部が単一のMOSFETからなることを特徴とする
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、信号生成部は、前記電圧信号の振幅が所定レベル以上にならないように制限する制限手段を有することで、画像に黒スジ等の発生を防止するとともに、画像のざらつきを抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1の実施形態に係る画像形成装置内の全体構成を示す図である。
図2】第1の実施形態に係る画像読取部内の全体構成を示す図である。
図3】第1の実施形態に係り、画像読取装置の電気的構成を示した図である。
図4】(a)は電荷電圧変換部の出力電圧を示した図、(b)は制限部によって電荷電圧変換部の電圧信号の電圧を制限した図、(c)はAFEの電圧信号を示した図、(d)は光電変換部に過大光及び通常光が入射された場合のAFEの電圧信号を示した図である。
図5】第1の実施形態の発明を利用した場合に、出力部の回路のばらつきにより信号生成部の電圧信号が影響を受けた場合を示した図であり、(a)が回路のばらつきによる最小の電圧を示し、(b)が回路のばらつきによる最大の電圧を示している。
図6】第2の実施形態に係り、信号生成部の変形例をした電気的構成図である。
図7】第2の実施形態の発明を利用した場合の電荷電圧変換部の電圧信号を示した図である。
図8】第3の実施形態に係り、信号生成部の変形例をした電気的構成図である。
図9】第3の実施形態に係り、第3の実施形態に係り、(a)は電荷制限がない場合の信号生成部の電圧信号及びAFEの電圧信号を示した図、(b)は電荷制限がある場合の信号生成部の電圧信号及びAFEの電圧信号を示した図である。
図10】第4の実施形態に係り、信号生成部の変形例をした電気的構成図である。
図11】従来の画像読取装置の電気的構成を示した図である。
図12】従来の画像読取装置における電荷電圧変換部の出力電圧を示した図、(b)従来の画像読取装置におけるAFEの入力電圧を示した図である。
図13】(a)は従来の画像読取装置における電荷電圧変換部の電圧信号を示した図、図13(b)は従来の画像読取装置におけるAFEの電圧信号を示した図である。
図14】(a)は従来の画像読取装置で反射光として過大光の後に通常光を受光した場合おけるAFEの電圧信号を示した図、図14(b)は従来の画像読取装置で読取対象を読み取った場合の出力画像を示した図であるである。
図15】特許文献1に記載の画像読取装置の電気的構成を示した図である。
図16】過大光に基づく電圧信号を示しており、(a)は特許文献1に記載の技術を利用した場合のAFEの電圧信号を示した図、(b)は第1の実施形態に係る発明を利用した場合のAFEの電圧信号を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に図面を用いて、本発明の実施形態について説明する。
【0019】
〔第1の実施形態〕
まず、図1乃至図4を用いて、第1の実施形態について説明する。
【0020】
<全体構成>
図1は、第1の実施形態に係る画像形成装置内の全体構成を示す図である。図1では、画像形成装置の一例として、コピー機能、プリント機能及びスキャン機能等を備えたMFP1が示されている。MFP1は、給紙部2、画像形成部3、及び画像読取部4を備えている。
【0021】
給紙部2は、サイズの異なる記録紙を収納する給紙カセット21,22と、給紙カセット21,22に収納された記録紙を画像形成部3の画像形成位置まで搬送する各種ローラからなる給紙手段23とを有している。
【0022】
画像形成部3は、露光装置31、感光体ドラム32、現像装置33、転写ベルト34、及び定着装置35を備えている。画像形成部3は、画像読取部4における後述の画像読取装置10により読み取ることで得られた原稿の画像データに基づいて、露光装置31により感光体ドラム32を露光して感光体ドラム32に潜像を形成し、現像装置33により感光体ドラム32に異なる色のトナーを供給して現像するようになっている。そして、画像形成部3は、転写ベルト34により感光体ドラム32に現像された像を給紙部2から供給された記録紙に転写した後、定着装置35により記録紙に転写されたトナー画像のトナーを溶融して、記録紙にカラー画像を定着する。
【0023】
図2は、第1の実施形態に係る画像読取部内の全体構成を示す図である。画像読取部4は、画像読取装置10及び自動原稿搬送装置(ADF:Auto Document Feeder)20を備えている。
【0024】
画像読取装置10は、コンタクトガラス11、基準部材12、光源13、第1キャリッジ14、第2キャリッジ15、レンズ16、センサボード17、及びスキャナモータ18を備えている。センサボード17上にはラインセンサ17aが設けられている。ラインセンサ17aは、CCD(Charge Coupled Device)センサ又はCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)などの複数の撮像素子が、一列又は複数列に配置されている。
【0025】
また、コンタクトガラス11は、原稿を載せるためのガラス板である。基準部材12は、ラインセンサ17aによる読み取りの基準となる白板である。基準部材12は、ラインセンサ17aの白レベル調整やシェーディング処理を行う際に使用される。なお、基準部材12は白板ではなく黒板等であってもよい。光源13は、原稿を露光し、ハロゲンランプ、蛍光灯、キセノンランプ、LED(Light Emitting Diode)等である。第1キャリッジ14は、光源13及び第1ミラー9aを保持している。第2キャリッジ15は、第2ミラー9b及び第3ミラー9cを保持している。レンズ16は、原稿の情報をラインセンサ17aの各撮像素子へ結像させる。センサボード17は、ラインセンサ17aを搭載し、光電変換及び電気処理を行う。スキャナモータ18は、第1キャリッジ14及び第2キャリッジ15を移動させて、原稿をスキャンさせるためのモータである。光源13から照射された光は、原稿で反射した後、第1ミラー9a、第2ミラー9b、第3ミラー9c、レンズ16の順に反射して、ラインセンサ17aに到達する。
【0026】
読取対象が一般原稿の場合には、自動原稿搬送装置20は、搬送される一般原稿の読み取り時に一般原稿の押さえも兼ねた背景部が備えられている。一般原稿は、自動原稿搬送装置20から1枚ずつ搬送され、読取窓19を通過したときに光源13により露光された一般原稿の反射光が第1キャリッジ14と第2キャリッジ15のミラーにより折り返され、レンズ16を通ってセンサボード17上のラインセンサ17aの受光面上に縮小結像される。
【0027】
また、読取対象が一般原稿又は特殊原稿の場合には、利用者によってコンタクトガラス11上に固定される。第1キャリッジ14及び第2キャリッジ15を走査させて原稿を読み取るフラットベット読取では、コンタクトガラス11の下部に配置された光源13によって、その上面に載置された読取対象が照明され、読取対象を照らした照明光は、第1キャリッジ14と第2キャリッジ15のミラーにより折り返され、レンズ16を通ってセンサボード17上のラインセンサ17aの受光面上に縮小結像される。このとき、読取対象の長手方向に沿って、第2キャリッジ15が速度Vで移動し、同時にそれと連動して第2キャリッジ15が、第2キャリッジ15の半分の速度1/2Vで移動して、読取対象の長手方向全体を読み取る。
【0028】
なお、上述の構成は、ミラーを含む第1キャリッジ14、第2キャリッジ15、レンズ16、ラインセンサ17a等が別々になっているが、これらが一体となった一体型センサモジュールを使用した構成でもよい。
【0029】
<要部構成>
続いて、図3を用いて、本実施形態の要部構成について説明する。なお、ここでは、画像読取装置10の構成について説明するが、給紙部2、画像形成部3、及び自動原稿搬送装置20は、従来の装置と同様であるため、その説明を省略する。図3は、第1の実施形態に係り、画像読取装置の電気的構成を示した図である。
【0030】
本実施形態の画像読取装置10は、信号生成部100、コンデンサ800、及びAFE900を備えている。これらのうち、信号生成部100は、光電変換部110、電荷電圧変換部120、出力部130、及び制限部140を備えている。
【0031】
光電変換部110は、光(原稿からの反射光)を電気エネルギー(信号電荷)に変換する素子であり、発光ダイオード等の複数の光電変換素子が一次元的に羅列されたリニアイメージセンサによって構成されている。
【0032】
電荷電圧変換部120は、光電変換部110の電荷量に応じた電圧に変換する。
【0033】
出力部130は、電荷電圧変換部120で変換された電圧の信号を、信号生成部100外に出力する回路である。出力部130は、コンデンサ131、基準電圧132、及び増幅回路133を備えている。これらのうち、コンデンサ131は、電圧の安定及びノイズの除去を行う。基準電圧部132は基準電圧を供給する。増幅回路133は、電圧信号VCCDoutを増幅する。
【0034】
制限部140は、信号生成部100からの電圧信号VCCDoutが、所定レベル以上にならないように制限するための回路である。この所定レベルは、信号生成部100の後段に接続される信号処理部の許容入力範囲内である。後段の信号処理部がAFE900の場合、所定レベルは、信号生成部100から後段のAFE900へ信号を出力した際に、後述の保護ダイオード910がONしない電圧に設定されている。これにより、電圧信号幅の制限範囲をAFE900の入力範囲限界まで取ることができる。
【0035】
また、制限部140は、基準電圧を生成する電圧生成部141、及び基準電圧を元に光電変換後の信号振幅を制限する信号制限部142によって構成されている。図3に示されているように、信号制限部142は、ソースフォロワ回路により構成されており、ソース側を出力部130、ゲート側を電圧生成部141、ドレイン側を電源電圧部143に対して、それぞれ接続されている。なお、制限部140は、制限手段の一例である。
【0036】
コンデンサ800は、信号生成部100の電圧信号VCCDoutを交流結合することで、電圧信号VCCDoutに含まれる直流電圧成分をカットする。この場合、信号生成部100の電圧信号VCCDoutは、AFE900へと出力されるが、信号生成部100とAFE900では動作電圧が異なるため、コンデンサ800が交流結合する。なお、コンデンサ800は、カット部の一例である。
【0037】
AFE900は、保護ダイオード910、各種アナログ信号処理部920、及びA/D変換部930によって構成されている。
【0038】
これらのうち、保護ダイオード910は、AFE900に負極性の過大信号が入力される場合に、過大信号を一定の範囲内に収めるように動作することで、AFE900の故障を防止する。例えば、信号生成部100からコンデンサ800を介してAFE900に対し、過大信号が出力されると、保護ダイオード910は、高電圧側にレベルシフトすることで、過大信号を一定の範囲内に収める。
【0039】
各種アナログ信号処理部920は、保護ダイオードで一定の範囲内に収められた電圧信号VAFEinに対して、A/D変換前の各種アナログ信号の処理を行う。
【0040】
A/D変換部930は、各種アナログ信号処理部920によって処理された後のアナログ信号をデジタル信号(データ)へとA/D変換して、デジタル信号(データ)を画像形成部3側へ出力する。これにより、画像読取装置10は、原稿の画像の読み取りを完了させる。
【0041】
<処理方法>
続いて、図4を用いて、本実施形態の処理方法について説明する。図4は、第1の実施形態に係り、(a)は電荷電圧変換部の出力電圧を示した図、(b)は制限部によって電荷電圧変換部の電圧信号の電圧を制限した図、(c)はAFEの電圧信号を示した図、(d)は光電変換部に過大光及び通常光が入射された場合のAFEの電圧信号を示した図である。
【0042】
光電変換部110に過大光が入射されると、出力部130は、図4(a)に示されているように、オフセット電圧Voffに対して過大な振幅Vovrを持つ過大な電圧信号VCCDoutを出力する。ここで、制限部140では、ゲート-ソース間の電圧差がMOSFETの閾値値電圧Vthを上回る場合、MOSFETがON状態となる。この場合、ドレインに接続されている電源から電流が流れ、ソース側に接続される電圧信号VCCDoutがVG-Vthとなるように制限される。即ち、図4(b)に示されているように、制限部140により制限したい信号幅がVLimの場合、電圧信号VCCDoutが、VG-Vth=Voff-VLimとなるように、制限部140の各回路の値を予め設定しておく。そして、制限部140は、過大な電圧信号Vovrを後段のAFE900の入力部において保護ダイオード910がONしないレベルになるように制限する。これにより、図4(c)に示されているように、AFE900への電圧信号VAFEinの最低電圧が、AFE900の保護ダイオード910に電流が流れ始める0Vを下回らないように制限することができる。
【0043】
なお、図3では、信号生成部100内に制限部140を設けた場合を例としているが、制限部140が信号生成部100外に設けられた場合でも同様の効果を発揮する。
【0044】
<効果>
特許文献1記載の技術では、信号生成部1000の電圧信号VCCDoutについて、過大光の入射時だけでなく、通常光の入射時に対しても同様に分圧を行ってしまう。これにより、図16に示されているように、AFE900への電圧信号VAFEinに対するノイズの影響が比較的大きくなるため、AFF9000から出力されるデジタルデータ(画像データ)のS/N比が悪化してしまうという問題があった。
【0045】
これに対して、本実施形態では、制限部140が、出力部130の電圧信号VCCDoutに対して、この電圧信号の信号幅Vsigが所定のレベルVLimを上回った場合のみ、電圧信号VCCDoutの電圧を制限する。この場合、所定のレベルVLimは過大光が光電変換部110に入射したときの信号生成部100からの電圧信号が後段のAFE900に影響を与えないレベルを基準として設定されるため、通常光の入射時の電圧信号VCCDoutに対しては制限がかからない。そのため、上述した、通常光入射時の画像信号の制限によるS/N比の悪化が引き起こされないという効果を奏する。
【0046】
以上より、図5(d)に示されているように、反射光が過大光の場合には、AFE900への電圧信号VAFEinの最低電圧が、AFE900の保護ダイオード910に電流が流れ始める0Vを下回らないように制限することができると共に、過大光から通常光に戻っても、AFE900への電圧信号の電圧レベルは、1ラインごとに徐々に小さくなるわけではないため、異常画像の発生を防止することができる。
【0047】
<補足>
なお、第1の実施形態では、電圧信号VCCDoutのオフセット電圧Voffは、出力部130内の基準電圧によって印加されているため、出力部130の回路のばらつきを要因とした制限のばらつきを持つ。そのため、VG-Vth=Voff-VLimとなるように、制限部140の各回路の値を予め設定しても、図5(a)、(b)に示されているように、オフセット電圧Voffと電圧生成部141による印加電圧VGとの間にズレが生じてしまい、制限部140は、所望の振幅に制限できない場合がある。なお、図5では、実線が回路のばらつき無しの場合を示し、破線が回路のばらつき有りの場合を示しており、(a)が回路のばらつきによる最小の電圧VLim_minを示し、(b)が回路のばらつきによる最大の電圧VLim_maxを示している。
【0048】
そこで、下記第2の実施形態では、このような出力部130の回路のばらつきを要因とした制限のばらつきの問題を解消する。
【0049】
〔第2の実施形態〕
続いて、図6及び図7を用いて、第2の実施形態について説明する。図6は、第2の実施形態に係り、信号生成部の変形例をした電気的構成図である。図7は、第2の実施形態の発明を利用した場合の電荷電圧変換部の電圧信号を示した図である。なお、第1の実施形態の構成と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0050】
図6に示されているように、本実施形態の画像読取装置10は、信号生成部200、コンデンサ800、及びAFE900を備えている。信号生成部200は、光電変換部110、電荷電圧変換部120、出力部130、及び制限部240を備えている。ここでは、第1の実施形態に対して、制限部140に替えて制限部240が設けられている。なお、制限部240は、制限手段の一例である。
【0051】
基準電圧132及び増幅回路133の部分X1と同じ構成を、制限部240内の電圧生成部241として流用している。即ち、電圧生成部241(X1)は、基準電圧132に相当する基準電圧242、及び増幅回路133に相当する増幅回路243によって構成されている。これにより、電圧生成部241は、出力部130の一部の構成(X1)において印加されているオフセット電圧と同じ電圧を生成する。なお、本実施形態は、同じウエハー(基盤)から製造された回路は、同様のばらつきを有する特性を利用したものである。
【0052】
<効果>
以上説明したように、第2の実施形態の画像読取装置10では、電圧信号VCCDoutのオフセット電圧Voffが出力部130の回路ばらつきによって制限の処理がばらつく場合でも、同様の電圧を電圧生成部241でも生成することができる。
【0053】
そのため、第1の実施形態で問題となっていた、制限の基準となる電圧生成部による印加電圧VGと制限対象の電圧信号VCCDoutのオフセット電圧Voffとの間のズレを無くすことができる。その結果、本実施形態の構成により、制限電圧の精度を高めることができ、所望の振幅に制限することができる。
【0054】
また、制限部240において、振幅を制限したい電圧VLimはVthにより決まる。そのため、VLimを任意に調整する場合、Vthを調整する必要がある。任意にVLimを調整するための手段として、電圧生成部241とソースフォロワ回路のゲート部との間にレベルシフタを挿入し、任意の電圧VLimに調整してもよい。
【0055】
以上より、振幅を制限したい電圧VLimは、図7(a)に示されているように、電圧VG_min-VthからVoff_minの間で収まり、図7(b)に示されているように、電圧VG-VthからVoff_maxの間で収まる。なお、図7では、実線が本実施形態の発明を適用した場合の電圧信号を示し、破線が本実施形態の発明を適用せずに回路のばらつきによる影響を受けた場合の電圧信号を示している。
【0056】
〔第3の実施形態〕
続いて、図8及び図9を用いて、第3の実施形態について説明する。図8は、第3の実施形態に係り、信号生成部の変形例をした電気的構成図である。図9は、第3の実施形態に係り、(a)は電荷制限がない場合の信号生成部の電圧信号及びAFEの電圧信号を示した図、(b)は電荷制限がある場合の信号生成部の電圧信号及びAFEの電圧信号を示した図である。なお、第1の実施形態の構成と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0057】
図8に示されているように、本実施形態の画像読取装置10は、信号生成部300、コンデンサ800、及びAFE900を備えている。信号生成部300は、光電変換部110、電荷電圧変換部120、出力部130、及びOFD(Overflow Drain)310を備えている。ここでは、第1の実施形態に対して、制限部140が省略され、新たにOFD310が設けられている。なお、ここでは、光電変換部110を詳細に説明するため、光電変換部110が、PDアレイ(Photodiode Array)111、転送ゲート112、及びアナログシフトレジスタ113によって構成されていることが示されている。
【0058】
PDアレイ111は、光を吸収することによって光信号を信号電荷に変換する受光素子の一種(PD)を配列した検出器である。転送ゲート112は、PDアレイ111によって出力された信号電荷を、アナログシフトレジスタ113に転送する回路である。アナログシフトレジスタ113は、電荷電圧変換部120に対して、信号電荷を順次転送する回路である。また、OFD310は、転送ゲート112から溢れた信号電荷を排出する回路である。OFD310は、過大光の入射時の光電変換部110からの過大出力を制限する。
【0059】
例えば、OFD310がないことにより、電荷の制限がない場合は、図5(a)で示したように、過大光入射により電圧信号VAFEinの最低電圧が0Vを下回る場合、AFE900の入力部の電圧は、クランプ期間の平均電圧が0Vになるように、高電圧側にレベルシフトし、その直後の通常光入射時の画像信号レベルがデジタルデータとして0(黒)と判定されてしまう(図9(a)参照)。
【0060】
これに対して、本実施形態では、OFD310によって電荷量が所定のレベルになるように過剰電荷の排出を行う。この所定のレベルは、電圧信号VAFEinの入力時に、後段のAFE900の入力部において、保護ダイオード910がONしないレベルである。即ち、電圧信号VAFEinの最低電圧をAFE900の入力保護ダイオード910に電流が流れ始める0Vを下回らないように制限する。これにより、過大光の入射による電圧信号VAFEinのレベルシフトが発生しないため、図4(b)及び図4(d)と同様に、異常光の入射直後に通常光が入射されても、光電変換部110は正常に原稿を読み取ることができる。(図9(b)参照)。なお、OFD310は、制限手段の一例である。
【0061】
<効果>
以上説明したように、第3の実施形態によれば、過大光の入射時に、光電変換部110から電荷電圧変換部120への過剰電荷の出力を抑制することができ、AFE900への過大出力による異常画像の発生を抑制することができる。
【0062】
なお、図8では、OFD310を転送ゲート112に接続した場合を例としているが、PDアレイ111やアナログシフトレジスタ113に接続しても良いし、光電変換部110と電荷電圧変換部120の間に設けてもよい。
【0063】
〔第4の実施形態〕
続いて、図10を用いて、第4の実施形態について説明する。図10は、第4の実施形態に係り、信号生成部の変形例をした電気的構成図である。なお、第1、第3の実施形態の構成と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0064】
図10に示されているように、本実施形態の画像読取装置10は、信号生成部400、コンデンサ800、及びAFE900を備えている。信号生成部400は、光電変換部210、電荷電圧変換部120、出力部130、及び制御部440を備えている。本実施形態の光電変換部210は、PDアレイ111、転送ゲート112、及びアナログシフトレジスタ113に加え、電圧制御型透過率可変フィルタ211がPDアレイ111受光面側に設けられている。この電圧制御型透過率可変フィルタは、有機光電薄膜によって構成されている。また、制御部440は、電荷電圧変換部120からの電圧信号に応じて、透過率可変フィルタの透過率を制御する回路である。
【0065】
例えば、光量制限をしない場合は、過大光の入射により、電圧信号VAFEinの最低電圧が0Vを下回ると、AFE900の入力部の電圧は、クランプ期間の平均電圧が0Vになるように、高電圧側にレベルシフトし、その直後の通常光入射時の画像信号レベルがデジタルデータとして0(黒)と判定されてしまう。(図9(a)参照)。
【0066】
これに対して、本実施形態では、PDアレイ111の前段に、電圧制御型透過率可変フィルタ211を設けている。また、制御部440が、電荷電圧変換部120からの電圧信号に応じて電圧制御型透過率可変フィルタ211の透過率を制御することで、PDアレイ111へ入射される光量が所定のレベルになるように調整する。この所定のレベルは、電圧信号VAFEinの入力時に、後段のAFE900の入力部において保護ダイオード910がONしないレベルである。即ち、信号生成部400は、電圧信号VAFEinの最低電圧をAFE900の入力保護ダイオード910に電流が流れ始める0Vを下回らないように制限する。これにより、過大光の入射による電圧信号VAFEinのレベルシフトが発生しないため、図4(b)及び図4(d)と同様に、異常光の入射直後に通常光が入射されても、光電変換部110は正常に原稿を読み取ることができる。(図9(b)参照)。なお、電圧制御型透過率可変フィルタ211及び制御部440は、制限手段の一例である。
【0067】
<効果>
以上説明したように、第4の実施形態によれば、過大光の入射時に、光電変換部110から電荷電圧変換部120への過剰電荷の出力を抑制することができ、AFE900への過大出力による異常画像の発生を抑制することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 MFP(画像形成装置の一例)
10 画像読取装置
100 信号生成部
110 光電変換部
120 電荷電圧変換部
130 出力部
140 制限部(制限手段の一例)
141 電圧生成部
142 信号制限部
143 電源電圧部
210 電圧制御型透過率可変フィルタ(制限手段の一部)
240 制限部(制限手段の一例)
310 OFD(制限手段の一部)
440 制御部(制限手段の一部)
800 コンデンサ(カット部の一例)
900 AFE(信号処理部の一例)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0069】
【文献】特開2014‐27545号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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