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特許7052497情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20220405BHJP
   G06Q 10/10 20120101ALI20220405BHJP
   H04L 51/00 20220101ALI20220405BHJP
   H04L 67/00 20220101ALI20220405BHJP
【FI】
G06F3/12 375
G06F3/12 303
G06F3/12 343
G06Q10/10 330
H04L51/00
H04L67/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018070382
(22)【出願日】2018-03-30
(65)【公開番号】P2019179534
(43)【公開日】2019-10-17
【審査請求日】2021-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】西川 幸一郎
(72)【発明者】
【氏名】玉置 健太
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-070300(JP,A)
【文献】特開2015-060306(JP,A)
【文献】特開2015-119251(JP,A)
【文献】特開2014-235697(JP,A)
【文献】特開2014-095986(JP,A)
【文献】特開2018-046342(JP,A)
【文献】特開2014-235681(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09- 3/12
B41J 29/00-29/70
H04N 1/00
G06F 13/00
G06Q 10/10
H04L 51/00
H04L 67/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一連となる複数の処理を含むワークフローを実行する情報処理システムであって、
電子メールに含まれるメール情報と、前記電子メールに添付された電子データとを取得する取得部と、
前記メール情報に基づいて、実行すべきワークフローを特定する特定部と、
前記特定部によって特定されたワークフローを、前記電子データを用いて実行するワークフロー実行部と
を備え
前記特定部は、
前記メール情報に含まれている前記電子メールの送信先アドレスに基づいて、前記実行すべきワークフローを特定し、
前記ワークフローに関する設定がなされたアプリケーションを管理するアプリ管理部をさらに備え、
前記アプリケーションは、
前記送信先アドレスと前記ワークフローとを互いに対応付ける設定を含む
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記アプリケーションを生成する際に、前記ワークフローと対応付けられる前記送信先アドレスを自動生成するアドレス生成部
をさらに備えることを特徴とする請求項に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記アプリケーションは、
前記電子メールから前記ワークフローの実行を含む、複数の実行方法からの前記ワークフローの実行に共用される
ことを特徴とする請求項またはに記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記アプリケーションは、
前記ワークフローの実行を許可するユーザに関する設定を含む
ことを特徴とする請求項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記電子メールの送信先アドレスから特定される組織識別情報と、前記電子メールの送信元アドレスから特定されるユーザ識別情報とに基づいて、前記電子メールの送信元のユーザの認証を行う認証部
をさらに備えることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記メール情報および前記電子データを一時的に保存する保存部と、
前記保存部に保存された前記メール情報および前記電子データにアクセスするための識別情報を発行する識別情報発行部と
をさらに備えることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記特定部を有するモジュールと、
前記モジュールに対して、前記識別情報を含むイベントを通知するイベント通知部と
をさらに備え、
前記モジュールは、
前記識別情報を用いて、前記保存部に保存された前記メール情報を取得し、
前記特定部は、
前記識別情報を用いて取得された前記メール情報に基づいて、前記実行すべきワークフローを特定する
ことを特徴とする請求項に記載の情報処理システム。
【請求項8】
端末装置から送信された電子メールを受信し、当該電子メールに含まれる前記メール情報と、当該電子メールに添付された前記電子データとを、前記取得部へ転送する転送部
をさらに備えることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記転送部は、
HTTPのPOSTリクエストにより、前記メール情報および前記電子データを、前記取得部へ転送する
ことを特徴とする請求項に記載の情報処理システム。
【請求項10】
一連となる複数の処理を含むワークフローを実行する情報処理装置であって、
電子メールに含まれるメール情報と、前記電子メールに添付された電子データとを取得する取得部と、
前記メール情報に基づいて、実行すべきワークフローを特定する特定部と、
前記特定部によって特定されたワークフローを、前記電子データを用いて実行するワークフロー実行部と
を備え
前記特定部は、
前記メール情報に含まれている前記電子メールの送信先アドレスに基づいて、前記実行すべきワークフローを特定し、
前記ワークフローに関する設定がなされたアプリケーションを管理するアプリ管理部をさらに備え、
前記アプリケーションは、
前記送信先アドレスと前記ワークフローとを互いに対応付ける設定を含む
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項11】
一連となる複数の処理を含むワークフローを実行する情報処理方法であって、
電子メールに含まれるメール情報と、前記電子メールに添付された電子データとを取得する取得工程と、
前記メール情報に基づいて、実行すべきワークフローを特定する特定工程と、
前記特定工程において特定されたワークフローを、前記電子データを用いて実行するワークフロー実行工程と
を含み、
前記特定工程は、
前記メール情報に含まれている前記電子メールの送信先アドレスに基づいて、前記実行すべきワークフローを特定し、
前記ワークフローに関する設定がなされたアプリケーションを管理するアプリ管理工程をさらに含み、
前記アプリケーションは、
前記送信先アドレスと前記ワークフローとを互いに対応付ける設定を含む
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項12】
一連となる複数の処理を含むワークフローを実行するプログラムであって、
コンピュータを、
電子メールに含まれるメール情報と、前記電子メールに添付された電子データとを取得する取得部、
前記メール情報に基づいて、実行すべきワークフローを特定する特定部、
前記特定部によって特定されたワークフローを、前記電子データを用いて実行するワークフロー実行部、および、
前記ワークフローに関する設定がなされたアプリケーションを管理するアプリ管理部
として機能させ、
前記特定部は、
前記メール情報に含まれている前記電子メールの送信先アドレスに基づいて、前記実行すべきワークフローを特定し、
前記アプリケーションは、
前記送信先アドレスと前記ワークフローとを互いに対応付ける設定を含む
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、電子メールに添付されている添付ファイルを印刷ジョブとして保存し、電子メールの宛先として指定されているメール受信者からの要求に応じて、当該印刷ジョブに対する印刷を実行する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の技術では、添付ファイルが付与された電子メールを送信することによって、当該添付ファイルを用いた印刷ジョブを実行することができるが、当該添付ファイルを用いた多様な機能を選択的に実行することはできない。
【0004】
本発明は、上述した従来技術の課題を解決するため、電子データが付与された電子メールを送信することによって、当該電子データを用いた多様な機能を実行できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明の情報処理システムは、一連となる複数の処理を含むワークフローを実行する情報処理システムであって、電子メールに含まれるメール情報と、電子メールに添付された電子データとを取得する取得部と、メール情報に基づいて、実行すべきワークフローを特定する特定部と、特定部によって特定されたワークフローを、電子データを用いて実行するワークフロー実行部とを備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、電子データが付与された電子メールを送信することによって、当該電子データを用いた多様な機能を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理システムのシステム構成を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係るクラウドサーバのハードウェア構成を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係るクラウドサーバおよびメール転送サーバの機能構成を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る情報処理システムによる処理の手順の一例を示すシーケンス図である。
図5】本発明の一実施形態に係る情報処理システムによる処理の手順の一例を示すシーケンス図である。
図6】本発明の一実施形態に係るアプリ管理モジュールが保持する管理テーブルの一例を示す図である。
図7】本発明の一実施形態に係る情報処理システムにおいて、メール転送サーバからクラウドサーバへ転送されるメール情報の一例を示す図である。
図8】本発明の一実施形態に係る認証モジュールが保持するユーザ登録情報テーブルの一例を示す図である。
図9】本発明の一実施形態に係る一時ファイル保存モジュールから返される添付ファイルの保存先のアドレスの一例を示す図である。
図10】本発明の一実施形態に係る一時ファイル保存モジュールから返されるメール情報の保存先のアドレスの一例を示す図である。
図11】本発明の一実施形態に係るメール処理モジュールが保持するメール情報管理テーブルの一例を示す図である。
図12】本発明の一実施形態に係るイベント通知モジュールが保持するイベント通知設定の設定ファイルの一例を示す図である。
図13】本発明の一実施形態に係るクラウドサーバにおいて表示装置に表示されるアプリケーション設定画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
【0009】
(情報処理システム10のシステム構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理システム10のシステム構成を示す図である。図1に示すように、情報処理システム10は、ユーザ端末20、メール転送サーバ30、画像形成装置40、およびクラウドサーバ100を備えている。各装置は、ネットワーク12に接続されている。ネットワーク12としては、例えば、LAN(Local Area Network)、VPN(Virtual Private Network)、インターネット等が挙げられる。
【0010】
画像形成装置40は、コピー機能、スキャン機能、FAX機能、プリンタ機能等の、複数の画像処理機能を有する装置である。画像形成装置40としては、例えば、MFP(Multifunction Peripheral)が挙げられる。画像形成装置40は、ネットワーク12を介して、外部から送信されたジョブ実行要求を受信し、当該ジョブ実行要求に応じた機能を実行することができる。また、画像形成装置40は、ネットワーク12を介して、ジョブの実行結果(例えば、スキャン機能によって生成された電子ファイル等)を外部へ送信することができる。
【0011】
クラウドサーバ100は、「情報処理装置」の一例である。クラウドサーバ100は、ワークフローサービスを提供するサーバ装置である。ワークフローは、一連の複数の処理が組み合わされて順次実行されるものである。ワークフローとしては、例えば、電子ファイルをPDF形式に変換し、当該電子ファイルを外部ストレージシステムに配信するサービスを提供するもの等が挙げられる。また、ワークフローは、画像形成装置40によって複数の処理が順次実行されるものを含む。このようなワークフローとして、例えば、画像形成装置40により、PDFファイルに対して社外秘のスタンプを付した後、当該PDFファイルを印刷するものが挙げられる。なお、ワークフローに組み込まれる処理は、如何なる処理であってもよい。ワークフローに組み込まれる処理として、例えば、スキャン処理、ファイル編集処理、ファイル形式変換処理、印刷処理、ファイル配信処理、ファイル保存処理、等が挙げられる。
【0012】
ユーザ端末20は、「端末装置」の一例である。ユーザ端末20は、ユーザが利用する端末装置である。ユーザ端末20は、ネットワーク12を介して、クラウドサーバ100によって提供されるワークフローサービスを利用することが可能である。ユーザ端末20は、ワークフローサービスを利用するために、少なくとも、電子メールを送信する機能を有する。ユーザ端末20としては、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等が挙げられる。なお、実際には、情報処理システム10は、複数のユーザ端末20を備えており、複数のユーザ端末20の各々から、クラウドサーバ100によって提供されるワークフローサービスを利用することが可能である。
【0013】
メール転送サーバ30は、メール転送サービスを提供するサーバ装置である。例えば、メール転送サーバ30は、ユーザ端末20から送信された電子メールを、クラウドサーバ100へ転送することが可能である。
【0014】
このように構成された情報処理システム10では、ユーザ端末20から電子メールを送信することにより、クラウドサーバ100に特定のワークフローを実行させることが可能である。具体的には、ユーザ端末20が、添付ファイルが付与された電子メールを送信する。そして、メール転送サーバ30が、当該電子メールを受信し、当該電子メールに含まれるメール情報および添付ファイルを、クラウドサーバ100へ転送する。クラウドサーバ100は、メール情報および添付ファイルを受信すると、予め定義された複数のワークフローの中から、メール情報に基づいて実行すべきワークフローを特定し、特定されたワークフローを、添付ファイルを用いて実行する。すなわち、本実施形態の情報処理システム10では、ユーザ端末20から送信される電子メールに含まれるメール情報に、実行すべきワークフローの識別情報を含めることで、複数のワークフローの中から、任意のワークフローを選択的に実行することができる。以下、この点について具体的に説明する。
【0015】
(クラウドサーバ100のハードウェア構成)
図2は、本発明の一実施形態に係るクラウドサーバ100のハードウェア構成を示す図である。図2に示すように、クラウドサーバ100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、HDD(Hard Disk Drive)104、入力装置105、表示装置106、および通信I/F(Inter Face)107を備えている。各ハードウェアは、バス108を介して相互に接続されている。
【0016】
CPU101は、ROM102またはHDD104に記憶されている各種プログラムを実行する。ROM102は、不揮発性メモリである。例えば、ROM102は、CPU101により実行される各種プログラム、CPU101が各種プログラムを実行するために必要なデータ等を記憶する。RAM103は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)等の主記憶装置である。例えば、RAM103は、CPU101が各種プログラムを実行する際に利用する作業領域として機能する。HDD104は、不揮発性の記憶装置である。例えば、HDD104は、CPU101により実行される各種プログラム、CPU101が各種プログラムを実行するために必要なデータ等を記憶する。
【0017】
入力装置105は、ユーザによって操作されることにより、各種情報を入力する。入力装置105としては、例えば、マウス、キーボード等が用いられる。表示装置106は、各種情報を表示する。表示装置106としては、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等が用いられる。通信I/F107は、ネットワーク12を介して、外部の情報処理装置(例えば、ユーザ端末20、メール転送サーバ30等)との通信を行うためのインタフェースである。なお、入力装置105および表示装置106は、クラウドサーバ100に対する入力および表示が可能なものであれば、クラウドサーバ100が備えるものに限らず、例えば、クラウドサーバ100に対してネットワーク12を介して接続された端末装置(例えば、パーソナルコンピュータ等)が備えるものであってもよい。
【0018】
(クラウドサーバ100およびメール転送サーバ30の機能構成)
図3は、本発明の一実施形態に係るクラウドサーバ100およびメール転送サーバ30の機能構成を示す図である。
【0019】
図3に示すように、メール転送サーバ30は、メール情報転送サービス32を備えている。メール情報転送サービス32は、「転送部」の一例である。メール情報転送サービス32は、ユーザ端末20から送信された電子メールを受信する。そして、メール情報転送サービス32は、当該電子メールに対する各種チェック(例えば、スパムチェック、ウィルスチェック等)を行う。さらに、メール情報転送サービス32は、当該電子メールから各種メール情報(例えば、送信元アドレス、送信先アドレス、メールアドレスのうちドメイン名やローカル部、本文、件名、テナントID等)および添付ファイルを抽出して、当該メール情報および当該添付ファイルを、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)のPOSTリクエストにより、クラウドサーバ100へ転送する。
【0020】
一方、クラウドサーバ100は、メール処理モジュール112、一時ファイル保存モジュール114、認証モジュール116、イベント通知モジュール118、アプリ管理モジュール120、I/Oサービス122を備える。
【0021】
メール処理モジュール112は、「取得部」および「識別情報発行部」の一例である。メール処理モジュール112は、メール転送サーバ30から転送されたメール情報および添付ファイルを受け取る。そして、メール処理モジュール112は、受け取ったメール情報に基づいて、後述する認証モジュール116に認証を行わせることにより、認証モジュール116からアクセストークンを取得する。また、メール処理モジュール112は、受け取ったメール情報および添付ファイルを、後述する一時ファイル保存モジュール114に保存させ、一時ファイル保存モジュール114から、メール情報および添付ファイルの保存先のアドレスを取得する。また、メール処理モジュール112は、メール情報および添付ファイルの保存先のアドレスを一意に識別するための識別情報である、メールIDを発行する。さらに、メール処理モジュール112は、後述するイベント通知モジュール118に対して、イベント登録要求を行うことにより、イベント通知モジュール118にイベントの通知を行わせる。
【0022】
一時ファイル保存モジュール114は、「保存部」の一例である。一時ファイル保存モジュール114は、メール処理モジュール112からの保存要求に応じて、メール情報および添付ファイルを一時的に保存する。そして、一時ファイル保存モジュール114は、メール情報および添付ファイルの保存先のアドレスを、メール処理モジュール112へ返す。
【0023】
認証モジュール116は、「認証部」の一例である。認証モジュール116は、メール処理モジュール112からの認証要求に応じて、メール情報の送信元のユーザの認証を行う。例えば、認証モジュール116は、メール情報に含まれている送信元アドレス、送信先アドレス、およびテナントIDを認証情報として、当該認証情報が、予め認証情報データベースに登録されている認証情報であれば、メール情報の送信元のユーザが正規のユーザであると判断する。そして、認証モジュール116は、メール情報の送信元のユーザが正規のユーザであると判断した場合、アクセストークンを発行し、当該アクセストークンを、メール処理モジュール112へ返す。さらに、認証モジュール116は、各処理モジュールからの確認要求に応じて、アクセストークンが有効か否かの判断を行い、その判断結果を、確認要求の要求元の処理モジュールへ返す。
【0024】
イベント通知モジュール118は、「イベント通知部」の一例である。イベント通知モジュール118は、メール処理モジュール112からのイベント登録要求に応じて、当該イベント登録要求に対応するイベント通知設定ファイルを参照することにより、当該イベント登録要求に対応するイベントの種類、通知先等の確認を行う。そして、イベント通知モジュール118は、イベント通知設定ファイルの設定に従い、確認された通知先(後述するアプリ管理モジュール120)に対して、イベントの通知を行う。
【0025】
アプリ管理モジュール120は、「特定部」、「ジョブ登録部」、「アプリ管理部」、および「アドレス生成部」の一例である。例えば、アプリ管理モジュール120は、アプリケーションを一意に識別するためのアプリインスタンスIDと、テナントIDと、実行対象とするワークフローのリクエスト先URL(Uniform Resource Locator)とを、互いに対応付けて、IOフロー管理テーブルによって管理する。また、アプリ管理モジュール120は、IOフロー管理テーブルを参照することにより、アプリインスタンスIDおよびテナントIDに基づいて、実行対象とするワークフローのリクエスト先URLを特定することができる。そして、アプリ管理モジュール120は、当該URLに対して、ジョブの実行要求を送信することにより、実行対象とされたワークフローをI/Oサービス122に登録し、当該ワークフローをI/Oサービス122に実行させることができる。
【0026】
また、アプリ管理モジュール120は、ワークフロー毎に生成された複数のアプリケーションを管理する。アプリケーションは、ワークフローによって順次実行される一連の複数の処理の処理内容、処理順序、処理パラメータ等が設定される。各アプリケーションは、当該アプリケーションが生成された際に付与されたアプリインスタンスIDによって、一意に識別可能である。なお、アプリケーションは、例えば、クラウドサーバ100と接続された端末装置から、生成および設定変更が可能である。
【0027】
I/Oサービス122は、「ワークフロー実行部」の一例である。I/Oサービス122は、各種ワークフローの実行を制御する。例えば、I/Oサービス122は、アプリ管理モジュール120によって登録された、ワークフローのジョブを実行する。この際、I/Oサービス122は、アプリ管理モジュール120から送信されたジョブの実行要求のリクエスト先URLにより、実行可能な複数のワークフローの中から、実行すべきワークフローを特定することができる。また、この際、I/Oサービス122は、一時ファイル保存モジュール114から一時保存された添付ファイルを取得し、当該添付ファイルを用いて、ワークフローのジョブを実行する。なお、I/Oサービス122は、実行すべきワークフローに対応するアプリケーションの設定(例えば、複数の処理の処理内容、処理順序、処理パラメータ等)にしたがって、当該ワークフローを実行する。
【0028】
なお、上記したクラウドサーバ100の各機能は、例えば、クラウドサーバ100において、ROM102またはHDD104に記憶されたプログラムを、CPU101が実行することにより実現される。CPU101が実行するプログラムは、予めクラウドサーバ100に導入された状態で提供されてもよく、外部から提供されてクラウドサーバ100に導入されるようにしてもよい。後者の場合、このプログラムは、外部記憶媒体(例えば、USBメモリ、メモリカード、CD-ROM等)によって提供されてもよく、ネットワーク(例えば、インターネット等)上のサーバ等からダウンロードすることによって提供されるようにしてもよい。
【0029】
(情報処理システム10による処理の手順)
図4および図5は、本発明の一実施形態に係る情報処理システム10による処理の手順の一例を示すシーケンス図である。
【0030】
まず、図4に示すように、ユーザ端末20が、電子メールを送信する(1)。ここで、電子メールの送信先アドレスは、「{アプリインスタンスID}.{テナントID}@{環境名}.{ホスト名}」という構成を有している。アプリインスタンスIDは、実行対象とするワークフローに対応する識別情報である。テナントIDは、電子メールの送信元のユーザが属するテナント(組織)に割り当てられた識別情報である。すなわち、本実施形態の情報処理システム10では、電子メールの送信先アドレスにより、アプリインスタンスIDおよびテナントIDを、ユーザが指定できるようになっている。例えば、アプリインスタンスIDを「ai00001」とし、テナントIDを「tenant01」とし、環境名を「na」とし、ホスト名を「hostname.com」とする場合、電子メールの送信先アドレスは、「ai00001.tenant01@na.hostname.com」となる。アプリ管理モジュール120は、アプリインスタンスIDと、テナントIDと、実行対象とするワークフローのリクエスト先URLとが対応付けられたIOフロー管理テーブルを保持している。これにより、アプリ管理モジュール120は、ユーザ端末20から送信された電子メールに設定されているアプリインスタンスIDおよびテナントIDにより、実行対象とするワークフローを特定することができる。なお、アプリ管理モジュール120が保持するIOフロー管理テーブルの一例については、図6を用いて後述する。
【0031】
次に、メール転送サーバ30において、メール情報転送サービス32が、ユーザ端末20から送信された電子メールを受信すると、メール情報転送サービス32が、当該電子メールがスパムメールであるか否かを確認する(1.1)。また、メール情報転送サービス32が、当該電子メールがウィルスに感染しているか否かを確認する(1.2)。そして、メール情報転送サービス32は、当該電子メールからメール情報(例えば、送信元アドレス、送信先アドレス、テナントID等)および添付ファイルを抽出して、当該メール情報および当該添付ファイルを、HTTPのPOSTリクエストにより、クラウドサーバ100へ転送する(1.3)。なお、メール転送サーバ30からクラウドサーバ100へ転送されるメール情報の一例については、図7を用いて後述する。
【0032】
次に、クラウドサーバ100において、メール処理モジュール112が、メール転送サーバ30から転送されたメール情報および添付ファイルを受け取ると、メール処理モジュール112が、認証モジュール116に対して、メール情報の送信元のユーザの認証要求を送信する(1.3.1)。認証モジュール116は、当該認証要求に応じて、メール情報の送信元のユーザの認証を行う。具体的には、認証モジュール116は、テナントID(組織識別情報)と、ユーザID(ユーザ識別情報)と、ユーザメールアドレスとが対応付けられたユーザ登録情報テーブルを保持している。そして、認証モジュール116は、ユーザ登録情報テーブルを参照し、メール情報の送信先アドレスに含まれているテナントIDと、メール情報の送信先アドレス(ユーザメールアドレス)との組み合わせに対応する、ユーザIDが存在するか否かを判断する。そして、認証モジュール116は、ユーザIDが存在すると判断した場合、ユーザの認証に成功したと判断し、アクセストークンを発行して、当該アクセストークンを、メール処理モジュール112へ返す。なお、認証モジュール116が保持するユーザ登録情報テーブルの一例については、図8を用いて後述する。
【0033】
次に、メール処理モジュール112は、添付ファイルの保存要求を、一時ファイル保存モジュール114へ送信する(1.3.2)。一時ファイル保存モジュール114は、当該保存要求に応じて、添付ファイルを保存する。そして、一時ファイル保存モジュール114は、添付ファイルの保存先のアドレスを、メール処理モジュール112へ返す。なお、一時ファイル保存モジュール114から返される添付ファイルの保存先のアドレスの一例については、図9を用いて後述する。
【0034】
また、メール処理モジュール112は、メール情報の保存要求を、一時ファイル保存モジュール114へ送信する(1.3.3)。一時ファイル保存モジュール114は、当該保存要求に応じて、メール情報を保存する。そして、一時ファイル保存モジュール114は、メール情報の保存先のアドレスを、メール処理モジュール112へ返す。なお、一時ファイル保存モジュール114から返されるメール情報の保存先のアドレスの一例については、図10を用いて後述する。
【0035】
そして、メール処理モジュール112は、メールIDを発行し(1.3.4)、当該メールIDと、添付ファイルの保存先のアドレスと、メール情報の保存先のアドレスとを対応付けて、メール情報管理テーブルに登録する。なお、メール処理モジュール112が保持するメール情報管理テーブルの一例については、図11を用いて後述する。
【0036】
さらに、メール処理モジュール112は、イベント通知モジュール118に対して、イベント登録要求を送信する(1.3.5)。当該イベント登録要求は、アクセストークン、テナントID、ユーザID、およびメールIDを、パラメータとして含む。
【0037】
続いて、図5に示すように、イベント通知モジュール118は、メール処理モジュール112から送信されたイベント登録要求を受信すると、イベント通知の通知先および通知内容を確認する(1.3.5.1)。具体的には、イベント通知モジュール118は、イベント通知設定の設定ファイルを予め保持している。そして、イベント通知モジュール118は、メール処理モジュール112から送信されたイベント登録要求を受信すると、当該イベント登録要求(テナントIDおよびユーザID)に対応する設定ファイルを参照することにより、イベント通知の通知先および通知内容を確認する。
【0038】
そして、イベント通知モジュール118は、確認された通知先および通知内容により、アプリ管理モジュール120に対して、イベント通知を行う(1.3.5.2)。当該イベント通知は、アクセストークン、テナントID、ユーザID、およびメールIDを、パラメータとして含む。
【0039】
アプリ管理モジュール120は、イベント通知モジュール118からのイベント通知を受けると、メール処理モジュール112に対して、メール情報の取得要求を送信する(1.3.5.2.1)。当該取得要求は、アクセストークンおよびメールIDを、パラメータとして含む。
【0040】
メール処理モジュール112は、アプリ管理モジュール120から送信されたメール情報の取得要求を受信すると、認証モジュール116に対して、当該取得要求に含まれているアクセストークンの確認要求を送信する(1.3.5.2.1.1)。認証モジュール116は、当該確認要求を受信すると、当該アクセストークンが正当なアクセストークンであるか否かを判断し、その判断結果をメール処理モジュール112へ返す。
【0041】
また、メール処理モジュール112は、アプリ管理モジュール120から送信されたメール情報の取得要求を受信すると、一時ファイル保存モジュール114に対して、当該取得要求に含まれているメールIDに対応する、メール情報および添付ファイルの保存先のアドレスの取得要求を送信する(1.3.5.2.1.2)。一時ファイル保存モジュール114は、当該取得要求を受信すると、メールIDに対応するメール情報および添付ファイルの保存先のアドレスを、メール情報管理テーブルから取得し、当該メール情報および添付ファイルの保存先のアドレスを、メール処理モジュール112へ返す。メール処理モジュール112は、当該メール情報および添付ファイルの保存先のアドレスを、アプリ管理モジュール120へ返す。
【0042】
アプリ管理モジュール120は、メール処理モジュール112から返された、メール情報および添付ファイルの保存先のアドレスを受け取ると、当該アドレスに格納されているメール情報を参照し、当該メール情報に含まれている送信先アドレスから、アプリインスタンスIDを特定する。そして、アプリ管理モジュール120は、自身が保持するIOフロー管理テーブル(図6参照)を参照することにより、当該アプリインスタンスIDに対応するワークフローのURLを特定する(1.3.5.2.2)。さらに、アプリ管理モジュール120は、当該URLに対して、ジョブの実行要求を送信する(1.3.5.2.3)。この実行要求は、アクセストークンおよび添付ファイルの保存先のアドレスを含む。
【0043】
I/Oサービス122は、アプリ管理モジュール120から送信されたジョブの実行要求を受信すると、認証モジュール116に対して、当該実行要求に含まれているアクセストークンの確認要求を送信する(1.3.5.2.3.1)。認証モジュール116は、当該確認要求を受信すると、当該アクセストークンが正当なアクセストークンであるか否かを判断し、その判断結果をI/Oサービス122へ返す。
【0044】
そして、I/Oサービス122は、一時ファイル保存モジュール114に対して、添付ファイルの取得要求を送信する(1.3.5.2.3.2)。この取得要求は、アクセストークンおよび添付ファイルの保存先のアドレスを含む。
【0045】
一時ファイル保存モジュール114は、I/Oサービス122から送信された添付ファイルの取得要求を受信すると、認証モジュール116に対して、当該取得要求に含まれているアクセストークンの確認要求を送信する(1.3.5.2.3.2.1)。認証モジュール116は、当該確認要求を受信すると、当該アクセストークンが正当なアクセストークンであるか否かを判断し、その判断結果を一時ファイル保存モジュール114へ返す。
【0046】
そして、一時ファイル保存モジュール114は、I/Oサービス122から送信された添付ファイルの取得要求に含まれている、添付ファイルの保存先のアドレスから、添付ファイルを取得して、当該添付ファイルを、I/Oサービス122へ返す。
【0047】
I/Oサービス122は、一時ファイル保存モジュール114から返された添付ファイルを受け取ると、当該添付ファイルを用いて、アプリ管理モジュール120からジョブの実行要求が送信されたURLによって特定されるワークフローのジョブを実行する(1.3.5.2.3.3)。そして、I/Oサービス122は、ジョブの完了通知を、アプリ管理モジュール120へ送信する。
【0048】
(アプリ管理モジュール120が保持するIOフロー管理テーブルの一例)
図6は、本発明の一実施形態に係るアプリ管理モジュール120が保持するIOフロー管理テーブルの一例を示す図である。図6に示すように、IOフロー管理テーブルにおいては、アプリインスタンスIDおよびテナントIDに対して、実行対象とするワークフローのリクエスト先URL(IOフローURL)が対応付けられている。これにより、アプリ管理モジュール120は、IOフロー管理テーブルを参照することにより、ユーザ端末20から送信された電子メールの送信先アドレスに設定されている、アプリインスタンスIDおよびテナントIDから、実行対象とするワークフローを特定することができる。
【0049】
(クラウドサーバ100へ転送されるメール情報の一例)
図7は、本発明の一実施形態に係る情報処理システム10において、メール転送サーバ30からクラウドサーバ100へ転送されるメール情報の一例を示す図である。図7では、一例として、ユーザ端末20から、送信先アドレスを「ai00001.tenant01@na.hostname.com」とする電子メールが送信された際に、メール転送サーバ30からクラウドサーバ100へ転送されるメール情報を表している。
【0050】
図7に示すメール情報において、「to」に設定されている「ai00001.tenant01@na.hostname.com」は、ユーザ端末20から送信された電子メールに設定されている送信先アドレスを示す。この送信先アドレスは、ローカル部にアプリインスタンスID「ai00001」と、テナントID「tenant01」とを含んだものとなっている。すなわち、この送信先アドレスは、IOフロー管理テーブルから実行対象とするワークフローを特定することが可能なものとなっている。
【0051】
また、「from」に設定されている「user01@hoge.co.jp」は、ユーザ端末20から送信された電子メールに設定されている送信元アドレスを示す。当該送信元アドレスは、ローカル部にユーザ識別情報「user01」を含む。また、「subject」に設定されている「メールジョブ投入」は、ユーザ端末20から送信された電子メールに設定されている件名を示す。また、「body」に設定されている「ファイルを添付しています」は、ユーザ端末20から送信された電子メールに設定されている本文を示す。
【0052】
クラウドサーバ100は、図7に示すようなメール情報を、メール転送サーバ30から受け取ることで、当該メール情報(アプリインスタンスIDおよびテナントID)に基づいて特定されるワークフローを、当該メール情報とともに転送されてきた添付ファイルを用いて実行することができる。
【0053】
(ユーザ登録情報テーブルの一例)
図8は、本発明の一実施形態に係る認証モジュール116が保持するユーザ登録情報テーブルの一例を示す図である。図8に示すように、ユーザ登録情報テーブルにおいては、ユーザIDに対して、テナントIDおよびユーザメールアドレスが対応付けられている。これにより、認証モジュール116は、ユーザ登録情報テーブルを参照することにより、メール情報の送信先アドレスに含まれているテナントIDと、メール情報の送信先アドレスとの組み合わせに対応する、ユーザIDが存在するか否かを判断することができる。そして、認証モジュール116は、ユーザIDが存在する場合には、ユーザの認証に成功したと判断して、アクセストークンを発行することができる。
【0054】
(添付ファイルの保存先のアドレスの一例)
図9は、本発明の一実施形態に係る一時ファイル保存モジュール114から返される添付ファイルの保存先のアドレスの一例を示す図である。図9は、メール処理モジュール112からの要求に応じて、一時ファイル保存モジュール114が添付ファイルを保存したときに、一時ファイル保存モジュール114からメール処理モジュール112へ返されるデータの一例を表している。当該データにおいて、「urls」に設定されている「http://vsapi.na.hostname.internal/tmpfiles/tenant01/user01/files/file01_01.jpg」は、添付ファイルの保存先のアドレスを示す。
【0055】
(メール情報の保存先のアドレスの一例)
図10は、本発明の一実施形態に係る一時ファイル保存モジュール114から返されるメール情報の保存先のアドレスの一例を示す図である。図10は、メール処理モジュール112からの要求に応じて、一時ファイル保存モジュール114がメール情報を保存したときに、一時ファイル保存モジュール114からメール処理モジュール112へ返されるデータの一例を表している。当該データにおいて、「url」に設定されている「http://vsapi.na.hostname.internal/tmpfiles/tenant01/user01/mailinfoes/mailinfo01」は、メール情報の保存先のアドレスを示す。
【0056】
(メール情報の保存先のアドレスの一例)
図11は、本発明の一実施形態に係るメール処理モジュール112が保持するメール情報管理テーブルの一例を示す図である。図11に示すように、メール情報管理テーブルにおいては、メールIDに対して、メール情報の保存先のアドレスと、添付ファイルの保存先のアドレスとが対応付けられている。メール情報の保存先のアドレスおよび添付ファイルの保存先のアドレスは、一時ファイル保存モジュール114が、メール情報および添付ファイルを保存したときに、一時ファイル保存モジュール114から、メール処理モジュール112へ返されたものである。メールIDは、メール処理モジュール112が、メール情報の保存先のアドレスおよび添付ファイルの保存先のアドレスを受け取ったときに、メール処理モジュール112によって、これらのアドレスに対して発行されたものである。これにより、メール処理モジュール112は、他のモジュールからメール情報の取得要求を受け取ったとき、メール情報管理テーブルを参照することにより、当該取得要求に含まれているメールIDから、当該メールIDに対応するメール情報の保存先のアドレスおよび添付ファイルの保存先のアドレスを取得することができる。
【0057】
(イベント通知設定の設定ファイルの一例)
図12は、本発明の一実施形態に係るイベント通知モジュール118が保持するイベント通知設定の設定ファイルの一例を示す図である。
【0058】
図12に示す設定ファイルにおいて、「eventType」は、通知するイベントの種類を示す。例えば、図12に示す例では、「eventType」に「email」が設定されており、メール処理モジュール112からのイベント登録要求に対応するイベント通知設定ファイルであることを示す。
【0059】
また、図12に示す設定ファイルにおいて、「rules」は、イベント通知を行う場合の条件を示す。例えば、図12に示す例では、「rules」は、テナントID(tenantId)およびユーザID(userId)を条件として含んでいる。具体的には、図12に示す設定ファイルでは、テナントIDとして「tenant01」が設定されている。また、図12に示す設定ファイルでは、ユーザIDとして「*」が設定されている。これは、当該設定ファイルが、テナントID「tenant01」に属する全てのユーザIDに対して適用される設定ファイルであることを表している。
【0060】
また、図12に示す設定ファイルにおいて、「actions」は、イベントの通知先および通知方法を示す。例えば、図12に示す例では、「actions」は、「actionType」、「requestUrl」、および「requestHeaders」を条件として含んでいる。
【0061】
「actionType」は、イベントの通知方法が設定される。例えば、図12に示す例では、「actionType」に「HTTP」が設定されている。これは、HTTPリクエストによりイベント通知を行うことを表す。
【0062】
「requestUrl」は、イベントの通知先のURLが設定される。例えば、図12に示す例では、「requestUrl」に「https://www.na.hostname.com/appdata/internal/mail/jobs」が設定されている。このURLは、アプリ管理モジュール120が持つイベント通知の受信用のAPI(Application Programming Interface)パスである。
【0063】
「requestHeaders」は、イベント通知の際のHTTPリクエストのヘッダーに付与する値が設定される。例えば、図12に示す例では、「requestHeaders」に対し、コンテンツタイプおよび文字コードを指定する、「Content-Type: application/json; charset=utf-8」が設定されている。
【0064】
イベント通知モジュール118は、メール処理モジュール112からのイベント登録要求に応じて、図12に示すような、イベント登録要求に対応するイベント通知設定ファイルを参照することにより、当該イベント登録要求に対応するイベントの種類、通知先等の確認を行う。そして、イベント通知モジュール118は、イベント通知設定ファイルの設定に従い、確認された通知先(アプリ管理モジュール120が保持するイベント通知の受信用のAPIパス)に対して、イベントの通知を行う。
【0065】
(ワークフロー設定画面の一例)
図13は、本発明の一実施形態に係るクラウドサーバ100において表示装置106に表示されるアプリケーション設定画面の一例を示す図である。既に説明したとおり、クラウドサーバ100においては、ワークフロー毎に、当該ワークフローに関する各種設定(例えば、複数の処理の処理内容、処理順序、処理パラメータ等)がなされたアプリケーションが生成される。このアプリケーションは、アプリ管理モジュール120によって生成および管理される。また、I/Oサービス122は、このアプリケーションの設定に従って、ワークフローを実行する。例えば、アプリケーションの管理ユーザは、クラウドサーバ100に接続された端末装置から、アプリケーションの生成および設定変更を行うことができる。図13に示す設定画面1300は、アプリケーションの生成および設定変更を行う際に、端末装置のディスプレイに表示されるアプリケーション設定画面の一例である。
【0066】
図13に示すように、設定画面1300は、チェックボックス1302を備えている。チェックボックス1302は、電子メールからのワークフローの実行を有効にするためのものである。例えば、チェックボックス1302が有効化された状態で、アプリケーションが生成された場合、当該アプリケーションは、電子メールからのワークフローの実行が可能なものとなる。
【0067】
アプリ管理モジュール120は、アプリケーションを生成する際、当該アプリケーションに対して、アプリインスタンスIDを付与する。また、アプリ管理モジュール120は、アプリインスタンスIDと、当該アプリケーションに対して設定されたテナントIDとを用いて、当該アプリケーションを実行するための送信先メールアドレスを自動生成する。これにより、送信先メールアドレスとアプリケーションとが、互いに対応付けられることとなる。すなわち、この送信先メールアドレスに電子メールを送信することにより、このアプリケーションに対応するワークフローを実行することが可能となる。
【0068】
なお、アプリケーションは、電子メールからのワークフローの実行のみならず、他の実行方法(例えば、クラウドサーバ100に接続されたMFPによるスキャン等)からのワークフローの実行にも使用されるものである。すなわち、このアプリケーションは、複数種類の実行方法で共用されるものであり、当該アプリケーションの設定変更を行うことで、当該設定変更を、複数種類の実行方法に反映することができる。
【0069】
また、アプリケーション設定画面では、アプリケーションの利用を許可するテナントIDおよびユーザIDを設定することが可能である。すなわち、アプリケーション設定画面において、アプリケーションの利用を許可するテナントIDおよびユーザIDの設定を変更することで、当該設定変更を、複数種類の実行方法に反映することができる。
【0070】
以上説明したように、本発明の一実施形態に係る情報処理システム10は、電子メールに含まれるメール情報と、前記電子メールに添付された添付ファイルとを取得し、メール情報に基づいて、実行すべきワークフローを特定し、特定されたワークフローを添付ファイルを用いて実行することができる。すなわち、本発明の一実施形態に係る情報処理システム10は、ユーザ端末20から送信される電子メールに含まれるメール情報に、実行すべきワークフローの識別情報を含めることで、複数のワークフローの中から、任意のワークフローを選択的に実行することができる。したがって、本発明の一実施形態に係る情報処理システム10によれば、添付ファイルが付与された電子メールを送信することによって、当該添付ファイルを用いた多様な機能を実行することができる。また、本発明の一実施形態に係る情報処理システム10によれば、電子メールの送信機能を有する如何なる端末装置からであっても、ワークフローを実行することができる。
【0071】
特に、本発明の一実施形態に係る情報処理システム10は、メール情報に含まれている電子メールの送信先アドレスから、実行すべきワークフローを特定することができる。すなわち、本発明の一実施形態に係る情報処理システム10は、電子メールの本文等に対して特別な設定を行うことなく、電子メールの送信先アドレスに実行すべきワークフローの識別情報を含めることで、複数のワークフローの中から、任意のワークフローを選択的に実行することができる。したがって、本発明の一実施形態に係る情報処理システム10によれば、ユーザ端末20からの実行すべきワークフローの指定を、容易且つ確実に行うことができる。
【0072】
また、本発明の一実施形態に係る情報処理システム10は、アプリケーションに対する設定を行うことにより、送信先アドレスとワークフローとを互いに対応付けることができる。特に、本発明の一実施形態に係る情報処理システム10は、アプリケーションを生成する際に、ワークフローと対応付けられる送信先アドレスを自動生成することができる。このため、本発明の一実施形態に係る情報処理システム10によれば、ワークフローと、当該ワークフローを実行するための送信先アドレスとの対応付けを、容易且つ確実に行うことができる。
【0073】
また、本発明の一実施形態に係る情報処理システム10は、アプリケーションを、電子メールからのワークフローの実行のみならず、他の実行方法からのワークフローの実行にも使用することができる。このため、本発明の一実施形態に係る情報処理システム10によれば、アプリケーションの設定変更を行うことで、当該設定変更を、電子メールからのワークフローの実行を含む、複数種類の実行方法に反映することができる。
【0074】
特に、本発明の一実施形態に係る情報処理システム10は、アプリケーションに、ワークフローの実行を許可するユーザに関する設定を含めることができる。このため、本発明の一実施形態に係る情報処理システム10によれば、ワークフローの実行を許可するユーザに関する設定を、複数種類の実行方法で共有することができる。
【0075】
また、本発明の一実施形態に係る情報処理システム10は、電子メールの送信先アドレスに設定されたテナントIDと、電子メールの送信元アドレスから特定されるユーザIDとに基づいて、電子メールの送信元のユーザの認証を行うことができる。このため、本発明の一実施形態に係る情報処理システム10によれば、電子メールの本文等に対して特別な設定を行うことなく、電子メールの送信元のユーザの認証を容易且つ確実に行うことができる。
【0076】
また、本発明の一実施形態に係る情報処理システム10は、電子メールの送信元のユーザの認証に成功した場合、当該成功を確認可能にするためのアクセストークンを発行することができる。これにより、本発明の一実施形態に係る情報処理システム10は、電子メールの送信元のユーザの認証成功をアクセストークンで管理し、当該アクセストークンをモジュール間で受け渡すことができる。各モジュールは、必要に応じて、アクセストークンを用いて電子メールの送信元のユーザの認証成功を確認することができる。
【0077】
また、本発明の一実施形態に係る情報処理システム10は、メール情報および添付ファイルを一時的に保存し、保存されたメール情報および添付ファイルにアクセスするための識別情報(メールID)を発行することができる。これにより、本発明の一実施形態に係る情報処理システム10は、メール情報および添付ファイルを識別情報で管理し、当該識別情報をモジュール間で受け渡すことができる。各モジュールは、必要に応じて、識別情報を用いてメール情報および添付ファイルを取得することができる。
【0078】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【0079】
例えば、上記実施形態において、クラウドサーバ100が備えることとした機能の一部または全部を、情報処理システム10が備える一または複数の他の情報処理装置(例えば、サーバ装置、パーソナルコンピュータ、MFP等)に設けるようにしてもよい。
【0080】
また、例えば、上記実施形態では、電子メールの送信先アドレスに、テナントIDおよびアプリインスタンスIDを含めるようにしているが、これに限らず、例えば、電子メールの本文、タイトル等に、テナントIDおよびアプリインスタンスIDを含めるようにしてもよい。
【0081】
また、例えば、上記実施形態では、クラウドサーバ100が、メール転送サーバ30からメール情報および添付ファイルを取得するようにしているが、これに限らず、例えば、クラウドサーバ100が、ユーザ端末20から送信された電子メールを受信して、当該電子メールから、メール情報および添付ファイルを取得するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0082】
10 情報処理システム
12 ネットワーク
20 ユーザ端末
30 メール転送サーバ
32 メール情報転送サービス(転送部)
40 画像形成装置
100 クラウドサーバ
112 メール処理モジュール(取得部、識別情報発行部)
114 一時ファイル保存モジュール(保存部)
116 認証モジュール(認証部)
118 イベント通知モジュール(イベント通知部)
120 アプリ管理モジュール(特定部、ジョブ登録部、アプリ管理部、アドレス生成部)
122 I/Oサービス(ワークフロー実行部)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0083】
【文献】特開2005-269422号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13