(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】カラー表示装置、車両内外装部材、照明灯用ランプ、表示用看板及び車両
(51)【国際特許分類】
G09F 13/04 20060101AFI20220405BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
G09F13/04 J
B60K35/00 Z
(21)【出願番号】P 2019560787
(86)(22)【出願日】2019-05-22
(86)【国際出願番号】 JP2019020237
(87)【国際公開番号】W WO2019225636
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2019-11-05
(31)【優先権主張番号】P 2018098034
(32)【優先日】2018-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018130485
(32)【優先日】2018-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019010521
(32)【優先日】2019-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【氏名又は名称】伏見 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】丸谷 隆雄
(72)【発明者】
【氏名】澤田 忠義
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-003489(JP,A)
【文献】実公昭52-022236(JP,Y1)
【文献】特開2010-266613(JP,A)
【文献】特開平09-101752(JP,A)
【文献】特開2009-092993(JP,A)
【文献】特開2010-044874(JP,A)
【文献】特開2014-115381(JP,A)
【文献】米国特許第04535396(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 13/00-13/46
B60K 35/00-37/06
F21S 41/00-45/70
F21V 1/00- 8/00
F21V 9/00-15/04
G02B 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色透光性基材と、遮光性基材と、少なくとも一部が前記着色透光性基材と前記遮光性基材との間に位置する光源部と、
黒着色剤を含有する透光性部材と、を有し、
前記着色透光性基材の全光線透過率が18%以下であり、
前記光源部は、出射光が前記着色透光性基材を透過するように配置され
、
前記黒着色剤を含有する透光性部材は前記光源部と前記着色透光性基材との間に位置する、
カラー表示装置。
【請求項2】
着色透光性基材と、遮光性基材と、前記着色透光性基材と前記遮光性基材との間に位置する光源部と、
黒着色剤を含有する透光性部材と、を有し、
前記着色透光性基材の全光線透過率が18%以下であり、
前記光源部は、出射光が前記着色透光性基材を透過するように配置され
、
前記黒着色剤を含有する透光性部材は前記光源部と前記着色透光性基材との間に位置する、
カラー表示装置。
【請求項3】
前記遮光性基材が開口部を有する箱状成形体であり、
前記着色透光性基材が、前記遮光性基材の前記開口部を形成する外縁部と接合されている、
請求項1又は2に記載のカラー表示装置。
【請求項4】
前記着色透光性基材が開口部を有する箱状成形体であり、
前記遮光性基材が、前記着色透光性基材の前記開口部を形成する外縁部と接合されている、
請求項1又は2に記載のカラー表示装置。
【請求項5】
前記着色透光性基材が所定の情報を表示する表示部を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のカラー表示装置。
【請求項6】
前記表示部が、前記着色透光性基材の少なくとも一方の主面に設けられた、前記所定の情報を形成する意匠パターンが形成された遮光性部材を備え、
前記遮光性部材が前記光源部からの出射光を遮断することにより、前記表示部に前記所定の情報を表示する、
請求項5に記載のカラー表示装置。
【請求項7】
前記表示部が、前記着色透光性基材の前記光源部とは反対側の主面の少なくとも一部の領域に形成された光出射機構を備え、
前記光出射機構が前記光源部からの出射光を放出することにより、前記表示部に前記所定の情報を表示する、
請求項5に記載のカラー表示装置。
【請求項8】
前記光源部が面状光源を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のカラー表示装置。
【請求項9】
前記光源部が発光ダイオード光源を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のカラー表示装置。
【請求項10】
前記発光ダイオード光源が、黒色の回路基板上に形成されている、請求項9に記載のカラー表示装置。
【請求項11】
前記発光ダイオード光源が白色発光ダイオード光源又は赤色発光ダイオード光源であり、
前記着色透光性基材が下記式(1)を満たす、
請求項9又は10に記載のカラー表示装置。
T
600≦60%、かつ、60%<T
675・・・(1)
式(1)中、T
600は波長600nmにおける光路長2mmに換算した光線透過率であり、T
675は波長675nmにおける光路長2mmに換算した光線透過率である。
【請求項12】
前記発光ダイオード光源が白色発光ダイオード光源又は青色発光ダイオード光源であり、
前記着色透光性基材が波長400nm以上475nm未満の範囲に光線透過率のピークを有し、かつ、下記式(2)及び(3)の少なくとも一方を満たす、
請求項9又は10に記載のカラー表示装置。
T
400/475≧5% ・・・(2)
T
675≦60%、かつ、60%≦T
750・・・(3)
式(2)中、T
400/475は、波長400nm以上475nm未満の範囲における光路長2mmに換算した光線透過率の最大値であり、式(3)中、T
675は波長675nmにおける光路長2mmに換算した光線透過率であり、T
750は、波長750nmにおける光路長2mmに換算した光線透過率である。
【請求項13】
前記発光ダイオード光源が白色発光ダイオード光源又は緑色発光ダイオード光源であり、
前記着色透光性基材が波長475nm以上600nm未満の範囲に光線透過率のピークを有し、かつ、下記式(4)を満たす、
請求項9又は10に記載のカラー表示装置。
T
475/600≧10% ・・・(4)
式(4)中、T
475/600は、波長475nm以上600nm未満の範囲における光路長2mmに換算した光線透過率の最大値である。
【請求項14】
光拡散部材をさらに有し、
前記光拡散部材は前記光源部と前記着色透光性基材との間に位置する、
請求項1~13のいずれか1項に記載のカラー表示装置。
【請求項15】
前記黒着色剤を含有する透光性部材が光拡散性を有する、請求項
1~14のいずれか1項に記載のカラー表示装置。
【請求項16】
前記着色透光性基材が、透明樹脂と、染料及び顔料からなる群から選択される少なくとも1種の着色剤と、を含む、
請求項1~
15のいずれか1項に記載のカラー表示装置。
【請求項17】
前記着色透光性基材が、透明樹脂と、波長380nm以上880nm以下の範囲における吸光度の最大値を示す波長が互いに異なる2種類以上の染料と、を含み、
前記2種類以上の染料は、いずれも、吸光度の最大値を示す波長が450nm以上700nm未満の範囲にあり、かつ、下記式(1-1)及び(1-2)を満たす、
請求項1~
16のいずれか1項に記載のカラー表示装置。
λ(i+1)-λ(i)<180 (1-1)
880-λ(n)≧200 (1-2)
式(1-1)及び(1-2)中、λ(i)は、前記染料のうちの一つである染料(i)の、波長が450nm以上850nm以下の範囲における吸光度の最大値を示す波長(単位:nm)であり、iは1以上(n-1)以下の整数であり、nは2以上の整数であって、前記着色透光性基材に含まれる前記染料の種類の数を示し、λ(1)<λ(2)<・・・<λ(n)である。
【請求項18】
前記着色透光性基材の形状が平板状又は凹曲面若しくは凸曲面を有する板状である、請求項1~
17のいずれか1項に記載のカラー表示装置。
【請求項19】
請求項1~
18のいずれか1項に記載のカラー表示装置を含む車両内外装部材。
【請求項20】
前記車両内外装部材が、車両用ライトカバー、スカッフプレート、ドアトリム、メーターパネル、オーディオシステムの表示パネル、カーナビゲーションシステムの表示パネル及びピラーからなる群から選択されるいずれか1つである、請求項
19に記載の車両内外装部材。
【請求項21】
請求項1~
18のいずれか1項に記載のカラー表示装置を含む照明灯用ランプ。
【請求項22】
請求項1~
18のいずれか1項に記載のカラー表示装置を含む表示用看板。
【請求項23】
請求項
19若しくは
20に記載の車両内外装部材又は請求項
21に記載の照明灯用ランプを含む車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー表示装置、車両内外装部材、照明灯用ランプ、表示用看板及び車両に関する。
本願は、2018年5月22日に日本に出願された特願2018-098034号、2018年7月10日に日本に出願された特願2018-130485号及び2019年1月24日に日本に出願された特願2019-010521号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
車両内外装部材、照明灯用ランプ及び表示用看板(以下、単に「車両内外装部材等」と略する。)の用途では、市場の要求する色調及び所定の情報を表示するカラー表示装置に対する需要がある。
近年、車両内外装部材等の用途では、光源点灯時には有彩色又は無彩色の色調を呈して存在感を発揮し、一方、光源消灯時には黒色の無彩色の色調(漆黒色)を呈して存在感を消したり、表面の段差や継ぎ目を目立たなくしたりできること、即ち、意匠性に優れたカラー表示装置が要求されている。さらに、最近では、車両内外装部材等の大型化が進み、また、遠方からの視認性に優れていることが要求されていることから、高輝度なカラー表示装置が要求されている。
【0003】
特許文献1には、光拡散剤を含み暗色に着色された基材シートと、特定の記号又は色を表示するためのマスク部とを有する、内部照明方式に用いる表示板が開示されている。
【0004】
特許文献2には、着色層を備えた表示パネルと、その背後に配置される透過部材と、上記透過部材の背後に配置される導光体と、上記導光体に光を導入する光源とを備えた表示装置が開示されている。
【0005】
特許文献3には、透視部と所定の表示意匠を形成する表示部を有する前面側筐体、表示手段、及び、導光部材を、この順に備えた表示装置が開示されている。
【0006】
特許文献4には、表示部が形成された表示パネル、着色部材、及び、回路基板上に配置された光源を、この順に備えた照明装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平2-34891号公報
【文献】特開2018-049131号公報
【文献】特開2017-062121号公報
【文献】特開2016-205826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の表示板を、カラー表示装置に適用した場合、カラー表示装置の内部に入光した外部照明の光や外乱光によって、光源消灯時には本来黒色に視認されるべき表示板の表示部分が白っぽく視認されてしまう。また、光源点灯時には、表示板の表示部分が所定の色調より白っぽく視認されてしまう。
特許文献2~4には、光源消灯時に黒の無彩色を呈することについて何ら記載がない。特許文献2~4に記載された装置は、光源消灯時に、視認者に対して存在感を消すことができず、表面の段差及び継ぎ目が視認できる状態にあり、意匠性が十分とはいえなかった。また、輝度が不十分であり、大型部材への適用性及び遠方からの視認性が不十分であった。
【0009】
本発明は、意匠性に優れ、高い輝度を有するカラー表示装置、車両内外装部材、照明灯用ランプ、表示用看板及び車両を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は以下の発明によって解決される。
[1]着色透光性基材と、遮光性基材と、少なくとも一部が前記着色透光性基材と前記遮光性基材との間に位置する光源部と、を有し、前記着色透光性基材の全光線透過率が18%以下であり、前記光源部は、出射光が前記着色透光性基材を透過するように配置されている、カラー表示装置。
[2] 着色透光性基材と、遮光性基材と、上記着色透光性基材と上記遮光性基材との間に位置する光源部と、を有し、上記着色透光性基材の全光線透過率が18%以下であり、上記光源部は、出射光が上記着色透光性基材を透過するように配置されている、カラー表示装置。
[3] 上記遮光性基材が開口部を有する箱状成形体であり、上記着色透光性基材が、上記遮光性基材の上記開口部を形成する外縁部と接合されている、[1]又は[2]に記載のカラー表示装置。
[4] 上記着色透光性基材が開口部を有する箱状成形体であり、上記遮光性基材が、上記着色透光性基材の上記開口部を形成する外縁部と接合されている、[1]又は[2]に記載のカラー表示装置。
[5] 上記着色透光性基材が所定の情報を表示する表示部を有する、[1]~[4]のいずれか1つに記載のカラー表示装置。
[6] 上記表示部が、上記着色透光性基材の少なくとも一方の主面に設けられた、上記所定の情報を形成する意匠パターンが形成された遮光性部材を備え、上記遮光性部材が上記光源部からの出射光を遮断することにより、上記表示部に上記所定の情報を表示する、[5]に記載のカラー表示装置。
[7] 上記表示部が、上記着色透光性基材の上記光源部とは反対側の主面の少なくとも一部の領域に形成された光出射機構を備え、上記光出射機構が上記光源部からの出射光を放出することにより、上記表示部に上記所定の情報を表示する、[5]に記載のカラー表示装置。
[8] 上記光源部が面状光源を含む、[1]~[7]のいずれか1つに記載のカラー表示装置。
[9] 上記光源部が発光ダイオード光源を含む、[1]~[7]のいずれか1つに記載のカラー表示装置。
[10] 上記発光ダイオード光源が、黒色の回路基板上に形成されている、[9]に記載のカラー表示装置。
[11] 上記発光ダイオード光源が白色発光ダイオード光源又は赤色発光ダイオード光源であり、上記着色透光性基材が下記式(1)を満たす、[9]又は[10]に記載のカラー表示装置。
T600≦60%、かつ、60%<T675・・・(1)
式(1)中、T600は波長600nmにおける光路長2mmに換算した光線透過率であり、T675は波長675nmにおける光路長2mmに換算した光線透過率である。
[12] 上記発光ダイオード光源が白色発光ダイオード光源又は青色発光ダイオード光源であり、上記着色透光性基材が波長400nm以上475nm未満の範囲に光線透過率のピークを有し、かつ、下記式(2)及び(3)の少なくとも一方を満たす、[9]又は[10]に記載のカラー表示装置。
T400/475≧5% ・・・(2)
T675≦60%、かつ、60%≦T750・・・(3)
式(2)中、T400/475は、波長400nm以上475nm未満の範囲における光路長2mmに換算した光線透過率の最大値であり、式(3)中、T675は波長675nmにおける光路長2mmに換算した光線透過率であり、T750は、波長750nmにおける光路長2mmに換算した光線透過率である。
[13] 上記発光ダイオード光源が白色発光ダイオード光源又は緑色発光ダイオード光源であり、上記着色透光性基材が波長475nm以上600nm未満の範囲に光線透過率のピークを有し、かつ、下記式(4)を満たす、[9]又は[10]に記載のカラー表示装置。
T475/600≧10% ・・・(4)
式(4)中、T475/600は、波長475nm以上600nm未満の範囲における光路長2mmに換算した光線透過率の最大値である。
[14] 光拡散部材をさらに有し、上記光拡散部材は上記光源部と上記着色透光性基材との間に位置する、[1]~[13]のいずれか1つに記載のカラー表示装置。
[15] 黒着色剤を含有する透光性部材をさらに有し、上記黒着色剤を含有する透光性部材は上記光源部と上記着色透光性基材との間に位置する、[1]~[13]のいずれか1つに記載のカラー表示装置。
[16] 上記黒着色剤を含有する透光性部材が光拡散性を有する、[15]に記載のカラー表示装置。
[17] 上記着色透光性基材が、透明樹脂と、染料及び顔料からなる群から選択される少なくとも1種の着色剤と、を含む、[1]~[16]のいずれか1つに記載のカラー表示装置。
[18] 上記着色透光性基材が、透明樹脂と、波長380nm以上880nm以下の範囲における吸光度の最大値を示す波長が互いに異なる2種類以上の染料と、を含み、上記2種類以上の染料は、いずれも、吸光度の最大値を示す波長が450nm以上700nm未満の範囲にあり、かつ、下記式(1-1)及び(1-2)を満たす、[1]~[17]のいずれか1つに記載のカラー表示装置。
λ(i+1)-λ(i)<180 (1-1)
880-λ(n)≧200 (1-2)
式(1-1)及び(1-2)中、λ(i)は、上記染料のうちの一つである染料(i)の、波長が450nm以上850nm以下の範囲における吸光度の最大値を示す波長(単位:nm)であり、iは1以上(n-1)以下の整数であり、nは2以上の整数であって、上記着色透光性基材に含まれる上記染料の種類の数を示し、λ(1)<λ(2)<・・・<λ(n)である。
[19] 上記着色透光性基材の形状が平板状又は凹曲面若しくは凸曲面を有する板状である、[1]~[18]のいずれか1つに記載のカラー表示装置。
[20] [1]~[19]のいずれか1つに記載のカラー表示装置を含む車両内外装部材。
[21] 上記車両内外装部材が、車両用ライトカバー、スカッフプレート、ドアトリム、メーターパネル、オーディオシステムの表示パネル、カーナビゲーションシステムの表示パネル及びピラーからなる群から選択されるいずれか1つである、[20]に記載の車両内外装部材。
[22] [1]~[19]のいずれか1つに記載のカラー表示装置を含む照明灯用ランプ。
[23] [1]~[19]のいずれか1つに記載のカラー表示装置を含む表示用看板。
[24] [20]若しくは[21]に記載の車両内外装部材又は[22]に記載の照明灯用ランプを含む車両。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、意匠性に優れ、高い輝度を有するカラー表示装置、車両内外装部材、照明灯用ランプ、表示用看板及び車両を提供できる。
【0012】
本発明のカラー表示装置は、意匠性と輝度に優れていることから、近年大型化が進み、かつ、遠方からの視認性とが要求される車両用ライトカバー、スカッフプレート、ドアトリム、メーターパネル、オーディオ・カーナビゲーションシステムの表示パネル、及びピラー等の車両内外装部材、照明灯用ランプ及び表示用看板等の用途に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、面状光源を光源部として有するカラー表示装置の模式的側面図である。
【
図2】
図2は、LED光源を光源部として有し、前記LED光源が黒色の回路基板上に形成された、カラー表示装置の模式的側面図である。
【
図3】
図3は、LED光源を光源部として有し、前記LED光源が黒色の回路基板上に形成された、カラー表示装置の模式的側面図である。
【
図4】
図4は、遮光性部材により、表示部に所定の情報を表示する着色透光性基材の模式的斜視図である。
【
図5】
図5は、光出射機構が表面に形成された着色透光性基材の模式的斜視図である。
【
図6】
図6は、着色透光性基材の形状が凸曲面を有する板状であるカラー表示装置の模式的側面図である。
【
図7】
図7は、着色透光性基材と光源部との間に、光拡散部材と、遮光性部材として黒色のカッテイングシートを有するカラー表示装置の模式的側面図である。
【
図8】
図8は、遮光性部材として用いられる黒色のカッテイングシートの模式的正面図である。
【
図9】
図9は、実施例1の着色透光性基材の光線透過率を示すグラフである。
【
図10】
図10は、実施例2の着色透光性基材の光線透過率を示すグラフである。
【
図11】
図11は、実施例3の着色透光性基材の光線透過率を示すグラフである。
【
図12】
図12は、比較例1の着色透光性基材の光線透過率を示すグラフである。
【
図13】
図13は、比較例2の着色透光性基材の光線透過率を示すグラフである。
【
図14】
図14は、比較例3の着色透光性基材の光線透過率を示すグラフである。
【
図15】
図15は、比較例4の着色透光性基材の光線透過率を示すグラフである。
【
図16】
図16は、比較例5の着色透光性基材の光線透過率を示すグラフである。
【
図17】
図17は、実施例6のカラー表示装置の外観写真である。(a)光源消灯時 (b)光源点灯時
【
図18】
図18は、着色透光性基材と光源部(LED光源)との間に、黒色透光性部材を有するカラー表示装置の模式的側面図である。
【
図19】
図19は、着色透光性基材と光源部(面状光源)との間に、黒色透光性部材を有するカラー表示装置の模式的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味し、「A~B」は、A以上B以下であることを意味する。
「LED」はLight Emitting Diode(発光ダイオード)の略称である。
【0015】
以下、本発明のカラー表示装置、車両内外装部材、照明灯用ランプ、表示用看板及び車両の実施形態について説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない限り、種々の変形が可能である。
【0016】
[カラー表示装置]
本発明のカラー表示装置は、
図1~3に示すように、着色透光性基材10と、遮光性基材20と、着色透光性基材10と遮光性基材20との間に位置する光源部30(40)とを有する。
着色透光性基材10と遮光性基材20との間には、前記光源部30(40)の少なくとも一部が位置しても良いし、前記光源部30(40)の全部が位置しても良い。
着色透光性基材10の全光線透過率は18%以下である。全光線透過率の測定方法は後述する。
光源部30(40)は、該光源部の出射面から出射される出射光が着色透光性基材10を透過するように配置されている。
本発明のカラー表示装置の一実施形態においては、
図1~3に示すように、着色透光性基材10と遮光性基材20とから形成される空間部25に、光源部30(40)を配置する。着色透光性基材10と遮光性基材20との間に空間部25を設けることにより、光源部30(40)からの出射光を、強度を損なうことなく、着色透光性基材10に導入し、カラー表示装置の外部に取り出すことができる。その結果、本発明のカラー表示装置は、高い輝度を得ることができる。
【0017】
光源部30(40)の点灯時(光源点灯時)には、着色透光性基材10の背面側(視認者側とは反対側)に設置した光源部の出射光を利用して、着色透光性基材10を所望の有彩色又は無彩色の色調で発光表示したり、着色透光性基材10に所定の情報を表示したりできる。そのため、カラー表示装置の視認者は、その存在を良好に知覚することができる。
【0018】
光源部からの出射光を着色透光性基材10に均一に照射するためには、
図7に示すように、着色透光性基材10(a~c)と光源部40(a~c)との間に、公知の光拡散シートや公知の光拡散フィルム等の光拡散部材55(
図7)又は黒着色剤を含有する透光性部材(黒色透光性部材56)(
図18及び
図19)を配置することが好ましい。
【0019】
光源部の消灯時(光源消灯時)には、カラー表示装置の視認者から見て、着色透光性基材10越しに、遮光性基材20が視認(透視)される。そのため、黒色の色調が強調されるようになり、着色透光性基材10自体が有する黒色感と相まって、着色透光性基材10の表面の段差及び継ぎ目を目立たせないようにしたり、カラー表示装置自体を目立たせないようにしたりすることができる。
【0020】
すなわち、光源部を点灯すること又は消灯することにより、視認者側からカラー表示装置を正視したときのカラー表示装置の外観(見栄え)が一風変わった斬新さのある(面白みのある)ものとなる。その結果、本発明は、新規な見栄えを実現し得るカラー表示装置を提供できる。
【0021】
本発明のカラー表示装置の実施形態は、
図1又は
図2に示すように、遮光性基材20が開口部を有する箱状成形体であり、着色透光性基材10が遮光性基材20の開口部を形成する外縁部と接合されていてもよいし、
図3に示すように、着色透光性基材10が開口部を有する箱状成形体であり、遮光性基材20が着色透光性基材10の開口部を形成する外縁部と接合されていてもよい。
本明細書において、「着色透光性基材(遮光性基材)の開口部」とは、着色透光性基材(遮光性基材)が箱型の形状であるときに、着色透光性基材(遮光性基材)と、遮光性基材(着色透光性基材)との間に存在する空間であって、側壁の底壁から離れた側の縁に囲まれる空間を意味する。
【0022】
開口部の形状は、光源部30(40)の出射光を着色透光性基材10に導くことができるものであれば、特に限定されない。
【0023】
<着色透光性基材>
着色透光性基材は、本発明のカラー表示装置の構成要素の一つである。
着色透光性基材10は、光源部の点灯時(光源点灯時)には、着色透光性基材10の背面側(視認者側とは反対側)に設置した光源部の出射光を利用して、着色透光性基材10を所望の有彩色又は無彩色の色調で発光表示できるので、カラー表示装置の視認者は、その存在を良好に知覚することができる。
【0024】
着色透光性基材10は、有彩色又は無彩色に着色されている。
着色透光性基材10と組み合わせて使用する光源部30(40)の波長特性に応じて、適切な光線透過率を有する着色透光性基材10を、適宜選択して用いることができる。
また、着色透光性基材10の全光線透過率は18%以下である。着色透光性基材10の全光線透過率が18%以下であることにより、光源部30(40)の消灯時(光源消灯時)には、着色透光性基材10が有する有彩色又は無彩色の色調が目立つことを抑えられ、かつ、遮光性基材20の黒色の色調と着色透光性基材10自体が有する黒色感とが相まって、カラー表示装置は黒色の色調(漆黒色)を呈する。その結果、光源消灯時には、カラー表示装置の視認者に対して、カラー表示装置を目立たせないようにすることができる。
光源部と着色透光性基材との組み合わせは、後述する。
【0025】
着色透光性基材10の形状は、特に限定されるものではなく、平板状、又は凹曲面若しくは凸曲面を少なくとも一部の領域に有する板状とすることができる。着色透光性基材10の形状が、
図6に示すように、凸曲面を有する板状である場合には、本発明のカラー表示装置を、車両用ライトカバー、スカッフプレート、ドアトリム、メーターパネル、オーディオ・カーナビゲーションシステムの表示パネル、及びピラー等の車両内外装部材の用途に好適に用いることができる。
【0026】
(表示部)
着色透光性基材10は、
図4及び
図5に示すように、光源点灯時に有彩色又は無彩色の色調を呈することに加え、文字や数字、マーク・記号、サインのような所定の情報を表示する表示部60を有することができる。
【0027】
表示部60の一実施形態は、
図4に示すように、着色透光性基材10の前方側(視認者側)及び背面側(視認者側とは反対側)の少なくとも一方の主面に、遮光性(例えば黒色)の遮光性部材50を設けたものである。
上記遮光性部材50には、所定の情報を表示するためのネガ状の光透過部51が形成されている。光源点灯時には、光源部30(40)からの出射光の一部を遮光性部材50で遮断する。これにより、所定の情報が表示部60に表示され、カラー表示装置の視認者は着色透光性基材10に表示される所定の情報を透視(視認)することができる。
本明細書において、「着色透光性基材の主面」とは、着色透光性基材10を構成する面のうち、厚さ方向に対して概ね垂直な面を意味する。
遮光性部材50は、例えば、着色透光性基材10の少なくとも一方の主面に黒色の不透光性インクを用いて印刷形成された不透光性印刷層、又は
図8に示すような、着色透光性基材の少なくとも一方の主面に貼り付けられる、黒色のカッテイングシートである。
【0028】
表示部60の別の一実施形態は、
図5に示すような、視認者側を向く着色透光性基材10の前方側(視認者側)の主面の少なくとも一部の領域に、光出射機構70が形成されたものである。光出射機構70は、着色透光性基材10に導入された光源部30(40)からの出射光を、本発明のカラー表示装置の外部(視認者側)に放出させるための機構である。光源点灯時に、光源部30(40)からの出射光を光出射機構70から放出することにより、カラー表示装置の視認者は所定の情報を透視(視認)することができる。
光出射機構70を形成する方法としては、例えば、国際公開第2011/115124号、国際公開第2014/132905号又は国際公開第2014/65304号に開示されている方法が挙げられる。具体的には、着色透光性基材10の主面の表面にレーザー照射して、微小な凹部又は凸部を形成する方法、公知のエンボス加工法や公知の機械切削法等により、着色透光性基材10の主面の表面に微小な凹部又は凸部を形成する方法、又はアクリル樹脂等の透明なバインダ樹脂中に酸化チタン粒子等の散乱体を分散させた樹脂層を、着色透光性基材10の主面の表面に形成する方法である。これらの中で、光出射の効率の面から、主面の表面に微小な凹部又は凸部を形成させる方法が好ましい。
【0029】
(着色透光性基材を構成する材料)
着色透光性基材を構成する材料の種類は、特に限定されるものではなく、染料若しくは顔料(以下、染料及び顔料をあわせて、適宜「着色剤」ともいう。)を含む透明樹脂又は染料若しくは顔料を含むガラスを用いることができる。
染料については、後述する。
顔料としては、公知の無機顔料を用いることができる。例えば、赤色が要求される場合には弁柄(三酸化二鉄)、カドミウムレッド、青色が要求される場合には群青、紺青等のフェロシアン系顔料の珪酸塩系顔料、コバルトブルー、緑色が要求される場合にはチタンコバルト系グリーン、コバルトグリーン、レアメタル系化合物等が挙げられる。
本発明においては、着色透光性基材の透過光の色調又は漆黒性、若しくは、カラー表示装置の輝度を、着色剤の種類・含有量等を調整することにより容易に所望の値に制御できることから、着色透光性基材は、着色剤として少なくとも染料を含むことが、好ましい。
【0030】
ガラスは、透明性と耐候性に優れているので、カラー表示装置の輝度が良好となり、屋外での使用に適している。
【0031】
透明樹脂は、加工性に優れているので、着色透光性基材を複雑な形状に加工できるので、カラー表示装置の意匠性を良好にできる。また、透明樹脂は、軽量性に優れているので、カラー表示装置を配設するときの作業性や車両の軽量化に好適である。
【0032】
透明樹脂は、少なくとも可視光領域で高い光線透過率を有する透明熱可塑性樹脂であれば、特に制限されるものではなく、公知の透明熱可塑性樹脂を用いることができる。透明性に優れ、カラー表示装置の輝度が良好となる観点から、メタクリル樹脂(アクリル酸系モノマーおよびメタクリル酸系モノマーを含む単量体成分から得られる樹脂)、ポリカーボネート樹脂及びポリスチレン樹脂から選ばれる少なくとも一種が好ましい。特に、メタクリル樹脂は、透明性、耐候性及び耐衝撃性に優れているので、車両内外装部材、照明灯用ランプ及び表示用看板の用途に好適である。
【0033】
上述した透明樹脂の重量平均分子量や数平均分子量は、着色透光性基材の成形方法や加工条件、カラー表示装置の使用用途等に応じて、当業者が周知技術に従って適宜設定することができる。
上述した透明樹脂には、衝撃強度改質剤、離型剤、紫外線吸収剤、重合抑制剤、酸化防止剤、難燃化剤等の添加剤を本発明の効果を損なわない範囲で含有させてもよい。
【0034】
(メタクリル樹脂)
本発明において透明樹脂として用いることができるメタクリル樹脂は、特に限定されないが、メタクリル酸メチル(以下、「MMA」と略する。)の単独重合体、又はMMAとMMA以外の単量体(以下、「他の単量体」と略する。)との共重合体(以下、「MMA共重合体」と略する。)であって、MMA由来の繰り返し単位(以下、「MMA単位」と略する。)の含有率が、MMA共重合体の総質量の70質量%以上100質量%未満であるMMA共重合体が好ましい。
【0035】
上記他の単量体は、MMAと共重合可能なものであれば、特に限定されない。
上記他の単量体の例は、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル化合物、スチレン、α-メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物である。
メタクリル樹脂の市販品としては、アクリペット(登録商標)VH、MD、MF、IRK304、VRL40(いずれも商品名、三菱ケミカル社製)等が挙げられる。
【0036】
(ポリカーボネート樹脂)
本発明において透明樹脂として用いることができるポリカーボネート樹脂としては、例えば、公知の二価フェノールと公知のカルボニル化剤とを界面重縮合法や溶融エステル交換法などで反応させることにより得られるもの;公知のカーボネートプレポリマーを固相エステル交換法などで重合させることにより得られるもの;公知の環状カーボネート化合物を開環重合法で重合させることにより得られるものなどが挙げられる。
ポリカーボネート樹脂の市販品としては、パンライトシリーズ(商品名、帝人化成社製)、ユーピロンシリーズ(商品名、三菱エンジニアリングプラスチック社製)、SDポリカシリーズ(商品名、住友ダウ社製)、カリバー(商品名、ダウケミカル社製)、CZシリーズ及びPCZシリーズ(商品名、三菱ガス化学社製)、APECシリーズ(商品名、バイエル社製)等が挙げられる。
【0037】
(ポリスチレン樹脂)
本発明において透明樹脂として用いることができるポリスチレン樹脂は、スチレン(以下、「St」と略する。)の単独重合体、又は、St由来の繰り返し単位(以下、「St単位」と略する。)の含有率が、該ポリスチレン樹脂の総質量に対して、50質量%以上100質量%未満であるスチレン共重合体を挙げることができる。
ポリスチレン樹脂としては、具体的にはポリスチレン、スチレン-アクリロニトリル樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂、メタクリル酸メチル-スチレン樹脂(MS樹脂)が挙げられる。好ましくは、メタクリル酸メチル-スチレン樹脂である。
ポリスチレンの市販品としては、PSJポリスチレンやETシリーズ、(商品名、PSジャパン社製)が挙げられる。
MS樹脂の市販品として、エスチレンMSシリーズ(商品名、新日鉄住金化学社製)や、セビアンMASシリーズ、MASシリーズ(商品名、ダイセルポリマー社製)が挙げられる。
【0038】
<遮光性基材>
遮光性基材は、本発明のカラー表示装置の構成要素の一つである。
遮光性基材20は、全体としては遮光性を有し、かつ、光源部30(40)が配置される側の壁面(内側壁面)が黒色の無彩色(漆黒色)を有している。遮光性基材の外側壁面は、遮光性基材が遮光性を損なわない範囲で、任意の色調を有することができる。
本発明のカラー表示装置は、遮光性基材20を有しているので、光源部の消灯時(光源消灯時)には、カラー表示装置の視認者から見て、着色透光性基材10越しに、遮光性基材20の内側壁面が視認(透視)されるので、黒色の色調が強調されるようになり、着色透光性基材10自体が有する黒色感と相まって、着色透光性基材10の表面の段差や継ぎ目を目立たせなくしたり、カラー表示装置自体を目立たせないようにしたりできる。
遮光性基材20は、特に限定されるものではなく、例えば、公知の合成樹脂にカーボンブラックや公知の染料・顔料を配合して、黒色に調色した黒色合成樹脂や、公知の金属板の内側壁面を黒色に塗装したものを用いることができる。黒色合成樹脂を用いれば、内側壁面を黒色に塗装する操作が不要になる。
【0039】
<光源部>
光源部は、本発明のカラー表示装置の構成要素の一つである。
光源部30(40)は、着色透光性基材10と遮光性基材20との間に、前記光源部の出射面から出射される出射光が着色透光性基材10を透過するように配置されている。上述したように、着色透光性基材10と遮光性基材20との間には、前記光源部30(40)の少なくとも一部が位置しても良いし、前記光源部30(40)の全部が位置しても良い。
具体的には、
図1~3に示すように、光源部30(40)は、着色透光性基材10と遮光性基材20とから形成される空間部25に配置され、光源部30(40)からの出射光が着色透光性基材10を透過するように配置されている。
光源部の実施形態は、特に限定されるものではなく、例えば、
図1に示すような面状光源30、又は
図2及び
図3に示すようなLED光源40である。
【0040】
(面状光源)
上記光源部は、面状光源を含むことができる。
面状光源の形態は、特に限定されない。例えば、
図1に示すように、光源部として、透明樹脂からなるシート状の導光体29の側端部にLED光源35が隣接して配置されたエッジライト式の面状発光体を、光源部(面状光源)30(以下、「面状光源30」という、)として用いることができる。この場合、LED光源35を配置する場所は特に限定されるものではなく、着色透光性基材10と遮光性基材20間に配置されていなくてもよいし、或いは配置されていてもよい。
面状光源30は、着色透光性基材10と遮光性基材20とから形成される空間部25に、面状光源30の主面が、着色透光性基材10の主面に沿うように配置することができる。面状光源30の出射面の少なくとも一部が、着色透光性基材10と遮光性基材20の間にあり、且つ、出射面からの出射光は、着色透光性基材10へと至り、これにより着色透光性基材10がバックライト照明される。
面状光源30の形態は、特に限定されない。また、例えば、面状光源として、透明樹脂からなるシート状の導光体の背面側(視認者側とは反対側)の主面に、LED光源を隣接して配置した、直下型の導光体を用いることができる。上記LED光源として、後述するLED光源と同様のものを使用できる。
光源部として面状光源30を用いる場合、着色透光性基材10を単一の光源で照明することが可能となり、専用の光源が不要となる。そのため、コストアップを避けながら新規な見栄えを実現することができる。
上記導光体に用いられる透明樹脂の材料の種類は、特に限定されるものではなく、公知の透明樹脂に、公知の光拡散剤を配合した光拡散性の透明樹脂材料を用いることができる。上記透明樹脂としては、例えば、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂及びポリスチレン樹脂を用いることができる。特に、面状光源の透明性、輝度及び耐候性に優れている観点から、メタクリル樹脂が好ましい。上記光拡散剤としては、例えば、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウムなど公知の微粒子が使用できる。透明樹脂がメタクリル樹脂の場合は、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛が好ましく、二酸化チタンがより好ましい。
【0041】
(LED光源)
上記光源部は、LED光源を含むことができる。
上述したように、着色透光性基材の全光線透過率を18%以下とすることで、光源消灯時に、視認者に対して、カラー表示装置を目立たせないようにすることができる。LED光源は単色光の光を高い光出力で発光できるので、光源部としてLED光源を用いることで、本発明のカラー表示装置は、例え着色透光性基材の全光線透過率が18%以下であっても、光源点灯時には、視認者に対して、所望の有彩色の色調を十分な輝度で呈することができる。
さらに、光源部にLED光源を用いた場合、着色透光性基材の光線透過率のパターンを適宜選択して、前記光線透過率のパターンと、LED光源の発光波長とを、適切に組み合わせることにより、光源点灯時に、所望の有彩色の色調を、鮮明に呈することができる。
本発明において、LED光源には、白色光を発するチップ型発光ダイオード(白色LED)、青色光を発するチップ型発光ダイオード(青色LED)、緑色光を発するチップ型発光ダイオード(緑色LED)、及び、赤色光を発するチップ型発光ダイオード(赤色LED)からなる群より選ばれる一種を用いることができる。
【0042】
白色LEDの種類は、特に限定されるものではなく、公知の白色LEDを用いることができる。具体的には、下記の3種類の発光方式の白色LEDを挙げることができる。
(1)青色LEDを用いて黄色発光の蛍光体を励起して白色光を得る方式(方式1)
(2)青色LED、緑色LED及び赤色LEDの3原色から放射される光を混合して白色光を作る方式(方式2)
(3)青色より波長の短いLED光源(近紫外LED又は紫色発光LED)を用いて、赤/緑/青発光の蛍光体を励起させる方式(方式3)
低コストで駆動でき、発光効率に優れる観点からは、方式1の白色LEDが好ましい。また、高輝度で、表示色を任意に変えることができる観点からは、方式2の白色LEDが好ましい。
【0043】
視認者から見たときに、LED光源が透けて点状に視認(透視)されるときは、着色透光性基材とLED光源との間に、公知の光拡散シート又は公知の光拡散フィルム等の光拡散部材を配置して、LED光源の出射光を拡散させ、着色透光性基材に均一に照射することで、LED光源が透けて点状に視認(透視)されることを防止できる。
【0044】
本発明のカラー表示装置は、着色透光性基材とLED光源との間に、黒着色剤を含有する透光性部材(以下、「黒色透光性部材」という。)を配置することができる。本発明における黒色透光性部材とは、着色透光性基材が所定の色調を視認される程度にLED光源の出射光を透過する、黒色に着色された透光性部材のことをいう。黒色透光性部材を配置することで、カラー表示装置内部に入光した外部照明の光や外乱光(以下、単に「外乱光」という。)が、上記黒色透光性部材で吸収されるので、カラー表示装置内部における外乱光の反射・散乱を防止できる。黒色透光性部材で反射・散乱を防止することで、LED光源の光源消灯時には、本来黒色に視認されるべき着色透光性基材が白っぽく視認される現象を防止できる。さらに、光源点灯時には、上述した作用・効果と相まって、着色透光性基材が所定の色調でより鮮明に視認される。
【0045】
黒色透光性部材としては、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂等の公知の透明樹脂に、カーボンブラックや公知の染料・顔料を配合して、黒色に調色した、シート状又はフィルム状の透光性部材を用いることができる。
【0046】
さらに、黒色透光性部材に、公知の光拡散剤を配合した、光拡散性を有する透光性部材を用いることで、上述したように、LED光源が透けて点状に視認(透視)されることを防止できる。上記光拡散剤は、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウムなど公知の微粒子が使用できる。透明樹脂がメタクリル樹脂の場合は、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛が好ましく、二酸化チタンがより好ましい。
黒色透光性部材としては、例えば、三菱ケミカル社製のアクリペット(登録商標)VH PTS0042やVH PTS0043等のシート状成形体又はフィルム状成形体を用いることができる。
【0047】
上記光源部としては、LED光源が、黒色の回路基板上に形成されている発光素子を用いることがより好ましい。具体的には、
図2又は
図3に示すように、光源部(LED光源)40(以下、「LED光源40」という。)を着色透光性基材10と対向するように黒色の回路基板41上に実装したLED基板42が挙げられる。
黒色の回路基板41は、例えばガラスエポキシ系基材に配線パターンが施された配線基板からなり、例えばLED光源40と、抵抗、コンデンサ等の回路部品とが上記配線パターンに導通接続されている。
光源消灯時には、視認者から黒色の回路基板41は視認されにくくなるので、黒の遮光性基材20が視認者から見たカラー表示装置の存在感を低くする効果と相まって、車両内外装部材等の意匠性をより優れたものにできる。
【0048】
上述したように、本発明の光源部と、上述した所定の光線透過率を有する着色透光性基材とを組み合わせて用いることにより、光源点灯時に所望の有彩色又は無彩色を呈するカラー表示装置を得ることができる。光源部と着色透光性基材との組み合わせは、後述する。
【0049】
LED光源40の個数は、着色透光性基材10の形状(面積)や遮光性基材20の形状(面積)に対応させて必要な個数だけ設ければよい。
【0050】
<着色透光性基材とLED光源の組み合わせ>
本発明のカラー表示装置は、着色透光性基材の光線透過率と、LED光源の発光波長を組み合わせることにより、光源点灯時に、所望の有彩色の色調を呈することができる。
以下、カラー表示装置が赤色、青色及び緑色の色調を呈するときの、着色透光性基材とLED光源の具体的な組み合わせを説明する。
【0051】
(赤色の色調)
カラー表示装置が、光源点灯時に、赤色の色調を呈する場合の構成例について説明する。光源部としては、上述したように、LED光源又は面状光源を用いることができる。
上記LED光源としては、白色発光ダイオード(白色LED)又は赤色発光ダイオード(赤色LED)を用いることができる。
【0052】
上記着色透光性基材としては、下記式(1)を満たすものを用いることができる。
T600≦60%、かつ、60%<T675・・・(1)
式(1)中、T600は波長600nmにおける光路長2mmに換算した光線透過率であり、T675は波長675nmにおける光路長2mmに換算した光線透過率である。
【0053】
着色透光性基材は、上記式(1)を満たすことにより、光源部(白色LED又は赤色LED)から発光された赤色の光を選択的に透過するので、カラー表示装置は、光源点灯時に赤色の色調を呈することができる。
【0054】
上記式(1)を満たす着色透光性基材を得る方法としては、上述した透明樹脂に、公知の赤色染料又は紫色染料を単独又は2種以上を併用して含有させることができる。
公知の赤色染料としては、例えば、カラーインデックスがSolvent Red52やSolvent Red111等の公知のアントラキノン系染料、Solvent Red135やSolvent Red179やPigment Red149等の公知のペリノン系染料、Pigment Red122等のキナクリドン系染料を挙げることができる。
公知の紫色染料としては、特に限定されるものではなく、例えば、カラーインデックスがSolvent Violet36やDisperse Violet28等の公知のアントラキノン系染料を挙げることができる。
これらの赤色染料又は紫色染料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらの染料の種類や組み合わせは、特に限定されるものではなく、当業者が、カラー表示装置が所望の有彩色を呈するように、周知技術に従って、適宜選択して使用することができる。
【0055】
(青色の色調)
カラー表示装置が、光源点灯時に、青色の色調を呈する場合の構成例について説明する。光源部としては、上述したように、LED光源又は面状光源を用いることができる。
上記LED光源としては、白色発光ダイオード(白色LED)又は青色発光ダイオード(青色LED)を用いることができる。
【0056】
上記着色透光性基材としては、波長400nm以上475nm未満の範囲に光線透過率のピークを有し、かつ、下記式(2)及び(3)の少なくとも一方を満たすものを用いることができる。
かつ T400/475≧5% ・・・(2)
T675≦60%、かつ、60%≦T750・・・(3)
式(2)中、T400/475は、波長400nm以上475nm未満の範囲における光路長2mmに換算した光線透過率の最大値であり、式(3)中、T675は波長675nmにおける光路長2mmに換算した光線透過率であり、T750は、波長750nmにおける光路長2mmに換算した光線透過率である。
【0057】
着色透光性基材は、上記式(2)を満たすことにより、光源部(白色LED又は青色LED)から発光された青色の光を選択的に透過するので、カラー表示装置は、光源点灯時に青色の色調を呈することができる。
光源部が白色LEDの場合に、着色透光性基材は、上記式(3)を満たすことにより、光源部から発光された青色の光に加えて、赤色の光を透過するので、カラー表示装置は、光源点灯時に深みのある青色(紫色)の色調を呈することができる。
【0058】
上記式(2)又は(3)を満たす着色透光性基材を得る方法としては、上述した透明樹脂に、公知の青色染料又は紫色染料を単独又は2種以上を併用して含有させることができる。
公知の青色染料としては、特に限定されるものではなく、例えば、カラーインデックスがSolvent Blue87、Solvent Blue94等の公知のアントラキノン系染料、Pigment Blue15:1等の公知のフタロシアニン系染料、Pigment Blue29等の公知の無機系染料を挙げることができる。
公知の紫色染料としては、特に限定されるものではなく、例えば、カラーインデックスがSolvent Violet13等の公知のアントラキノン系染料を挙げることができる。
これらの青色染料又は紫色染料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらの染料の種類や組み合わせは、特に限定されるものではなく、当業者が、カラー表示装置が所望の有彩色を呈するように、周知技術に従って、適宜選択して使用することができる。
【0059】
(緑色の色調)
カラー表示装置が、光源点灯時に、緑色の色調を呈する場合の構成例について説明する。光源部としては、上述したように、LED光源又は面状光源を用いることができる。
上記LED光源としては、白色発光ダイオード(白色LED)又は緑色発光ダイオード(緑色LED)を用いることができる。
【0060】
上記着色透光性基材としては、波長475nm以上600nm未満の範囲に光線透過率のピークを有し、かつ、下記式(4)を満たすものを用いることができる。
T475/600≧10% ・・・(4)
式(4)中、T475/600は、波長475nm以上600nm未満の範囲における光路長2mmに換算した光線透過率の最大値である。
【0061】
着色透光性基材は、上記式(4)を満たすことにより、光源部(白色LED又は緑色LED)から発光された緑色の光を選択的に透過するので、カラー表示装置は、光源点灯時に緑色の色調を呈することができる。
【0062】
上記式(4)を満たす着色透光性基材を得る方法としては、上述した透明樹脂に、公知の緑色染料を含有させることができる。
公知の緑色染料としては、特に限定されるものではなく、例えば、Solvent Green3、Solvent Green28等の公知のアントラキノン系染料、Solvent Green5等の公知のペリレン系染料、Pigment Green7等の公知のフタロシアニン系染料を挙げることができる。
これらの緑色染料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらの染料の種類や組み合わせは、特に限定されるものではなく、当業者が、カラー表示装置が所望の有彩色を呈するように、周知技術に従って、適宜選択して使用することができる。
【0063】
(染料)
上述した赤色、青色及び緑色のいずれかの色調を呈する着色透光性基材を構成する材料としては、上述した透明樹脂と染料を含む着色透過性樹脂を用いることができる。
上記着色透過性樹脂は、波長が380nm以上880nm以下の範囲における吸光度の最大値を示す波長が互いに異なる2種類以上の染料を含み、かつ、上記2種類以上の染料が、吸光度の最大値を示す波長が450nm以上700nm未満の範囲にあり、かつ、下記式(1-1)及び(1-2)を満たすことが、好ましい。
λ(i+1)-λ(i)<180 (1-1)
880-λ(n)≧200 (1-2)
式(1-1)及び(1-2)中、λ(i)は、前記染料のうちの一つである染料(i)の、波長が450nm以上850nm以下の範囲における吸光度の最大値を示す波長(単位:nm)であり、iは1以上(n-1)以下の整数であり、nは2以上の整数であって、前記着色透光性基材に含まれる前記染料の種類の数を示し、λ(1)<λ(2)<・・・<λ(n)である。
【0064】
上記着色透過性樹脂が、波長が380nm以上880nm以下の範囲における吸光度の最大値を示す波長が互いに異なる2種類以上の染料を含むことにより、特定の広い波長範囲における光をカットして、インナーレンズの全光線透過率を低くすることができるので、光源消灯時に車両用表示の漆黒性がより良好となる。
【0065】
さらに、上記2種類以上の染料の組み合わせにより、全光線透過率を低くしつつ、かつ、上記2種類以上の染料の吸光度の最大値を示す波長が450nm以上700nm未満の範囲にあり、かつ、上記式(1-1)及び(1-2)を満たすことにより、光源点灯時に車両用表示は、620nm~780nmの波長を有する光が透過して、赤色系の有彩色の色調をより良好に呈することができる。
【0066】
上記式(1-2)の「880-λ(n)」の値の下限は、赤色の波長領域の光を十分な光量で透過して、光源点灯時に車両用表示が赤色系の有彩色の色調を高い輝度で呈して、意匠性が良好となる観点から、200以上である。240以上がより好ましく、280以がさらに好ましい。「880-λ(n)」の値の上限は、黄色の波長領域の光をカットして赤色の波長領域の光を透過して、光源点灯時に車両用表示が赤色系の有彩色の色調を良好に呈することができる観点から、400以下である。380以下がより好ましく、360以下がさらに好ましい。
【0067】
上記式(1-1)の「λ(i+1)-λ(i)」の値の上限は、赤色の光の透過光量を確保して、光源点灯時に車両用表示が赤色系の有彩色の色調を十分な輝度で呈することができる観点から、180未満である。140未満がより好ましく、100未満がさらに好ましい。「λ(i+1)-λ(i)」の値の下限は、特に制限されるものではなく、特定の広い波長範囲における光をカットして、黄色の光の透過光量を制限して、光源点灯時に車両用表示が赤色系の有彩色の色調を良好に呈する観点から、通常は20以上である。40以上がより好ましく、60以上がさらに好ましい。
なお、本発明において、吸光度は、分光光度計を用いて測定される。
具体的な染料の種類については後述する。
上記式(1-1)、式(1-2)を満たす着色透光性基材を得る方法としては、上述した透明樹脂に、上述した公知の染料を単独又は2種以上を併用して含有させることができる。
【0068】
[車両内外装部材]
本発明の車両内外装部材は、上述した本発明のカラー表示装置を含むので、意匠性と視認性に優れている。具体的には、光源部を点灯すること又は消灯することにより、視認者側から車両内外装部材を正視したときの車両内外装部材の外観(見栄え)が一風変わった斬新さのある(面白みのある)ものとなる。その結果、本発明の車両内外装部材は、新規な見栄えを実現し得る。
車両内外装部材の具体例は、車両用ライトカバー、スカッフプレート、ドアトリム、メーターパネル、オーディオ・カーナビゲーションシステムの表示パネル及びピラーであり、これらからなる群から選択されるいずれか1つが好ましい。
【0069】
[照明灯用ランプ]
本発明の照明灯用ランプとは、照明灯の発光部に使用される発光装置又は照明灯具のことをいう。
本発明の照明灯用ランプは、上述した本発明のカラー表示装置を含むので、意匠性と視認性に優れている。具体的には、光源部を点灯すること又は消灯することにより、視認者側から照明灯用ランプを正視したときの照明灯用ランプの外観(見栄え)が一風変わった斬新さのある(面白みのある)ものとなる。その結果、本発明の照明灯用ランプは、新規な見栄えを実現し得る。
本発明の照明灯用ランプの具体例としては、屋内照明用灯具、道路照明用灯具、誘導用表示灯、警報用表示灯が挙げられる。
【0070】
[表示用看板]
本発明の表示用看板は、上述した本発明のカラー表示装置を含むので、意匠性と視認性に優れている。具体的には、光源部を点灯すること又は消灯することにより、視認者側から表示用看板を正視したときの表示用看板の外観(見栄え)が一風変わった斬新さのある(面白みのある)ものとなる。その結果、本発明の表示用看板は、新規な見栄えを実現し得る。
本発明の表示用看板の具体例としては、内照式の、店舗用看板、壁面看板及び電飾スタンド等が挙げられる。
【0071】
[車両]
本発明の車両は、上述した本発明の車両内外装部材又は上述した本発明の照明灯用ランプを含むので、視認性に優れており、光源部を点灯/消灯することで、視認者側から正視したときの外観(見栄え)が一風変わった斬新さのある(面白みのある)ものとなり、新規な見栄えを実現し得るので、意匠性に優れている。
【実施例】
【0072】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0073】
[測定方法]
実施例及び比較例における測定方法を以下に記載する。
【0074】
<光線透過率の測定方法>
着色透光性基材の380nm以上780nm以下の波長の光の光線透過率は、380nm以上780nm以下の波長の光を上述した方法で得られた試験片の背面から透過させ、試験片表面から透過した光について、分光測色計(機種名「U4100」、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて測定した。
【0075】
<透過光の色の測定方法>
カラー表示装置について、各実施例で用いた光源部からの光を着色透光性基材の背面から入射させ、着色透光性基材の表面から透過した光の色を目視により確認した。
【0076】
<全光線透過率の測定方法>
車両用表示灯のレンズの全光線透過率は、ISO 13468-1:1996に準拠して、透過率計(機種名「HM-100」、村上色彩技術研究所社製)を用いて測定した。
「0%」は、検出限界を超えた低値であり、透過率計の読取精度から少なくとも0.1%以下であることを意味する。
【0077】
[化合物の略号]
実施例及び比較例で使用した化合物の略号は以下の通りである。
メタクリル樹脂(1):メタクリル酸メチル(MMA)-アクリル酸メチル(MA)共重合体(商品名:アクリペット(登録商標)VH、三菱ケミカル社製)
メタクリル樹脂導光板(2):製造例1で作成したメタクリル樹脂板
染料(1):カラーインデックスがSolvent Red 179の染料、吸光度の最大値を示す波長が475nm。
染料(2):カラーインデックスがDisperse Violet 28の染料、吸光度の最大値を示す波長が555nm。
染料(3):カラーインデックスがSolvent Violet 13の染料、吸光度の最大値を示す波長が580nm。
染料(4):カラーインデックスがSolvent Green 28の染料、吸光度の最大値を示す波長が685nm。
染料(5):カラーインデックスがSolvent Red135の染料、吸光度の最大値を示す波長が495nm。
染料(6):カラーインデックスがSolvent Blue 94の染料、吸光度の最大値を示す波長が585nm。
染料(7):カラーインデックスがSolvent Green 3の染料、吸光度の最大値を示す波長が635nm。
【0078】
[製造例1]
(メタクリル樹脂板の作製)
ポリメタクリル酸メチル20質量%及びメタクリル酸メチル80質量%を含有する単量体溶液(以下、「シラップ」という)100部に、平均粒子径200nmの酸化チタン0.00006部を分散させ、分散シラップを得た。
次いで、上記分散シラップ100部に、重合開始剤として2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.03部を添加し、30分間攪拌して重合性原料シラップを作製した。
2枚の強化ガラス板(縦700mm、横700mm及び厚さ6mm)を、強化ガラス板の周辺部にポリ塩化ビニル製の無端チューブを介して、対向させて配置して得られた鋳型の中に上記重合性原料シラップを注入し、板厚3mmになるように所定の間隔に調整後、70℃の温水中に浸漬して2時間重合させ、次いで130℃の空気浴にて1時間重合させて縦650mm、横650mm及び厚さ3mmのメタクリル樹脂板を得て、これをメタクリル樹脂導光板(2)とした。
【0079】
[実施例1]
(着色透光性基材の作成)
透明樹脂としてメタクリル樹脂(1)100質量部、染料として染料(1)0.10質量部及び染料(2)0.08質量部を、二軸押出機(機種名「PCM45」、(株)池貝製)に供給し、250℃で混練し、ペレット状の着色樹脂組成物を得た。
得られた着色樹脂組成物のペレットを、射出成形機(機種名「N70A」、(株)日本製鋼所製)に供給し、成形温度を260℃とし、
図9に示す光線透過率を有する着色透光性基材(厚み2mm×幅100mm×長さ350mmの平板)を得た。
【0080】
(カラー表示装置の作成)
遮光性基材として、所定量のカーボンブラックを配合した、遮光性を有するアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(ABS樹脂)を射出成形して得られた、開口部を有する箱状成形体を用いた。
また、光源部として、製造例1で作成したメタクリル樹脂導光板(2)の側端面部に白色LEDを隣接して配置したものを面状光源として用いた。
上記着色透光性基材、上記遮光性基材及び上記光源部を用いて、
図1に示す構成のカラー表示装置を得た。得られたカラー表示装置の評価結果を表2に示す。
得られたカラー表示装置は、光源点灯時には赤色の色調を呈し、光源消灯時には黒色の色調(漆黒色)を呈した。
なお、λ(2)-λ(1)=80(nm)、880-λ(2)=325(nm)であり、上記式(1-1)及び(1-2)を満たしていた。
【0081】
[実施例2]
染料の種類と配合量を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同じ条件で、
図10に示す光線透過率を有する着色透光性基材を得た。また、光源部として、メタクリル樹脂導光板(2)の代わりに、青色LEDを黒色の回路基板上に実装したLED基板を、上記着色透光性基材と遮光性基材とから形成される空間部に、縦方向及び横方向に10mm間隔で複数個並べて配置した。
上記着色樹脂組成物、上記遮光性基材及び上記光源部を用いて、実施例1と同様の方法で、
図2に示す構成のカラー表示装置を得た。得られたカラー表示装置の評価結果を表2に示す。
得られたカラー表示装置は、光源点灯時には青色の色調を呈し、光源消灯時には黒色の色調(漆黒色)を呈した。
【0082】
[実施例3]
染料の種類と配合量を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同じ条件で、
図11に示す光線透過率を有する着色透光性基材を得た。
また、光源部として、実施例2の光源部において青色LEDの代わりに、緑色LEDを用いた以外は、実施例2と同様の方法で、
図2に示す構成のカラー表示装置を得た。得られたカラー表示装置の評価結果を表2に示す。
得られたカラー表示装置は、光源点灯時には緑色の色調を呈し、光源消灯時には黒色の色調(漆黒色)を呈した。
【0083】
[比較例1]
染料の種類と配合量を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同じ条件で、
図12に示す光線透過率を有する着色透光性基材を得た。
また、光源部として実施例2の光源部において青色LEDのかわりに赤色LEDを用いた以外は、実施例2と同様の方法で、
図2に示す構成のカラー表示装置を得た。得られたカラー表示装置の評価結果を表2に示す。
【0084】
[比較例2]
染料の種類と配合量を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同じ条件で、
図13に示す光線透過率を有する着色透光性基材を得た。
実施例2と同様の方法で、
図2に示す構成のカラー表示装置を得た。得られたカラー表示装置の評価結果を表2に示す。
【0085】
[比較例3]
染料の種類と配合量を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同じ条件で、
図14に示す光線透過率を有する着色透光性基材を得た。
実施例2と同様の方法で、
図2に示す構成のカラー表示装置を得た。得られたカラー表示装置の評価結果を表2に示す。
【0086】
[比較例4]
染料の種類と配合量を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同じ条件で、
図15に示す光線透過率を有する着色透光性基材を得た。
また、光源部として実施例2の光源部において青色LEDのかわりに緑色LEDを用いた以外は、実施例2と同様の方法で、
図2に示す構成のカラー表示装置を得た。得られたカラー表示装置の評価結果を表2に示す。
【0087】
[比較例5]
染料の種類と配合量を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同じ条件で、
図16に示す光線透過率を有する着色透光性基材を得た。
また、光源部として実施例2の光源部において青色LEDのかわりに緑色LEDを用いた以外は、実施例2と同様の方法で、
図2に示す構成のカラー表示装置を得た。得られたカラー表示装置の評価結果を表2に示す。
【0088】
比較例1のカラー表示装置は、光源点灯時には赤色の色調を呈したが、光源消灯時には黒色の色調(漆黒色)を呈さず、赤色の色調を呈した。
比較例2及び比較例3のカラー表示装置は、光源点灯時には青色の色調を呈したが、光源消灯時には黒色の色調(漆黒色)を呈さず、青色の色調を呈した。
比較例4及び比較例5のカラー表示装置は、光源点灯時には緑色の色調を呈したが、光源消灯時には黒色の色調(漆黒色)を呈さず、緑色の色調を呈した。
【0089】
【0090】
【0091】
[実施例4]
図4に示すように、着色透光性基材10の背面側(視認者側とは反対側)の表面に、
図8に示す黒色のカッテイングシートを遮光性部材として配置した以外は、実施例1と同様にして、カラー表示装置を得た。得られたカラー表示装置は、光源点灯時には、
図8に示す所定の情報を、赤色の色調で呈し、光源消灯時には黒色の色調(漆黒色)を呈した。
【0092】
[実施例5]
図5に示すように、着色透光性基材10の前方側(視認者側)の表面に、光出射機構70を形成した以外は、実施例1と同様にして、カラー表示装置を得た。得られたカラー表示装置は、光源点灯時には、
図5に示す所定の情報を、透視(視認)することができ、光源消灯時には黒色の色調(漆黒色)を呈した。
【0093】
[実施例6]
図7に示すように、実施例1の着色透光性基材10a、メタクリル樹脂導光板2の無着色透光性基材10b及び実施例2の着色透光性基材10cの背面側視認者側とは反対側の表面に、
図8に示す黒色のカッテイングシートを遮光性部材52として配置し、さらに遮光性部材52と光源部40との間に光拡散部材55を配置した。さらに、光源部として、赤色LED40aの出射光が着色透光性基材10aに導入され、白色LED40bの出射光が無着色透光性基材10bに導入され、青色LED40cの出射光が着色透光性基材10aに導入されるように、各LED光源を配置した。上記以外は、実施例2と同様にして、カラー表示装置を得た。
得られたカラー表示装置は、
図17aに示すように光源消灯時には黒色の色調(漆黒色)を呈し、
図17bに示すように、光源点灯時には所定の情報が視認された。
【0094】
[実施例7]
図18に示すように、実施例6のカラー表示装置の光拡散部材55を、黒色透光性部材56として、三菱ケミカル社製のアクリペット(登録商標)VH PTS0043の射出成形板(2mm厚)に置き換えた以外は、実施例6と同様にして、カラー表示装置を作成した。
得られたカラー表示装置は、光源消灯時には黒色の色調(漆黒色)を呈し、光源点灯時には所定の情報が視認された。
なお、光源消灯時には、実施例6のカラー表示装置の表示部60は白っぽく視認されたが、本実施例のカラー表示装置は、黒色透光性部材56により外乱光の影響を除けるので、実施例6のカラー表示装置と比較すると、表示部60が白っぽく視認されることなく、表示部60に黒色の色調がより強調されて視認された。
さらに、光源点灯時には、本実施例のカラー表示装置は、黒色透光性部材56により外乱光の影響を除けるので、実施例6のカラー表示装置と比較すると、表示部60に所定の色調がより鮮明に視認された。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明のカラー表示装置は、意匠性に優れ、高い輝度を有するので、車両内外装部材や、照明灯用ランプ及び表示用看板に好適に用いることができる。
特に、車両内外装部材の用途では、車両用ライトカバー、スカッフプレート、ドアトリム、メーターパネル、オーディオシステムの表示パネル、カーナビゲーションシステムの表示パネル、及びピラー等に好適に用いることができる。
さらに、車両内外装部材として本発明の車両内外装部材又は本発明の照明灯用ランプを含む車両は、光源部を点灯/消灯することで、視認者側から正視したときの外観(見栄え)が一風変わった斬新さのある(面白みのある)ものとなり、新規な見栄えを実現し得るので、意匠性に優れている。
【符号の説明】
【0096】
D カラー表示装置
10,10a,10c 着色透光性基材
10b 無着色透光性基材
20 遮光性基材
25 空間部
29 導光板
30 光源部(面状光源)
35 LED光源
40 光源部(LED光源)
40a 赤色LED
40b 白色LED
40c 青色LED
41 黒色の回路基板
42 LED基板
50,52 遮光性部材
51 光透過部
55 光拡散部材
56 黒色透光性部材
60 表示部
70 光出射機構