(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】ドレッグス改質剤、及びドレッグス改質方法
(51)【国際特許分類】
D21C 11/02 20060101AFI20220405BHJP
C02F 11/147 20190101ALI20220405BHJP
【FI】
D21C11/02 C
C02F11/147 ZAB
(21)【出願番号】P 2020206566
(22)【出願日】2020-12-14
【審査請求日】2021-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【氏名又は名称】渡邊 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100147865
【氏名又は名称】井上 美和子
(74)【代理人】
【識別番号】100130683
【氏名又は名称】松田 政広
(72)【発明者】
【氏名】駿河 圭二
(72)【発明者】
【氏名】柏木 聡
(72)【発明者】
【氏名】氏家 章吾
(72)【発明者】
【氏名】豊岡 康広
(72)【発明者】
【氏名】山本 英男
【審査官】春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-138336(JP,A)
【文献】特開2005-200821(JP,A)
【文献】特公昭57-007560(JP,B2)
【文献】特開2010-084279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21B1/00-D21J7/00
C02F11/00-11/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルドン酸及び/又はその分子内ラクトンもしくはその塩、及び/又は、(メタ)アクリル酸系重合体もしくはその塩を
分散剤として含有する、
ドレッグススラリー及び/又はドレッグス残渣に添加するためのドレッグス改質剤。
【請求項2】
洗浄後のドレッグスに添加するために用いるものである、請求項1に記載のドレッグス改質剤。
【請求項3】
アルドン酸及び/又はその分子内ラクトン、もしくはその塩を
分散剤として含有する、ドレッグス改質剤。
【請求項4】
洗浄後のドレッグスに添加するために用いるものである、
請求項3に記載のドレッグス改質剤。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか一項に記載のドレッグス改質剤をドレッグススラリーに対して添加する、ドレッグス改質方法。
【請求項6】
ドレッグス含水率低減方法、又は、ドレッグスからの残アルカリ分回収率向上方法である、請求項
5に記載のドレッグス改質方法。
【請求項7】
水分測定装置を用いてドレッグス残渣の含水率をモニタリングし、当該含水率からドレッグススラリーに対するドレッグス改質
可能な剤の添加量を制御する、ドレッグス改質方法。
【請求項8】
前記水分測定装置が、光学式水分計である、請求項
7に記載のドレッグス改質方法。
【請求項9】
前記含水率が所定の範囲より増加した場合には、前記ドレッグス改質可能な剤の添加量を増加させること、又は、前記含水率が所定の範囲より減少した場合には、前記ドレッグス改質可能な剤の添加量を減少させることを、フィードバック制御する、請求項7又は8に記載のドレッグス改質方法。
【請求項10】
前記ドレッグス改質
可能な剤が、請求項1~
4のいずれか一項に記載のドレッグス改質剤である、請求項
7、8又は9に記載のドレッグス改質方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドレッグス改質剤、及びドレッグス改質方法などに関する。
【背景技術】
【0002】
パルプ製造の緑液処理工程では、緑液クラリファイヤからドレッグススラリーが排泥されており、このドレッグススラリーの固形分濃度は8~10質量%であり、約90質量%の緑液が含まれ、強アルカリ性である。このドレッグススラリーは、そのまま系外に廃棄するのではなく、洗浄工程及び濃縮工程を経て、ろ液及びドレッグス残渣に分けられている。ろ液は、残アルカリ分(NaOH、Na2S、Na2CO3など)として回収され再利用されているが、回収されなかった残りのドレッグス残渣は、排水処理場へ送られるか、産業廃棄物として廃棄されている。
【0003】
ドレッグス成分とは、回収ボイラーから発生するスメルトに含まれる不活性不純物のことをいい、当該不活性不純物は、未燃カーボン、SiO2、Mgの化合物、Fe2O3、Al2O3、Cr2O3などの成分を含んでいる。緑液クラリファイヤにおいて、排泥として分離され抜出されたスラリーにはドレッグス成分が含まれており、抜出されるスラリーをドレッグススラリーと呼ぶこともある。このドレッグススラリーは、難ろ過性であり、さらに強アルカリ性でもあるため、洗浄性及び脱水性が悪く、脱水後のドレッグス残渣のアルカリ度も高い。
このような難ろ過性で強アルカリ性のドレッグススラリーを効率よく処理する方法が、例えば、特許文献1及び特許文献2に、提案されている。
【0004】
特許文献1には、ベルトフィルターの排出ロール近傍に複数個のエアーノズルを有するエアーパイプを付設し、ベルト状濾布で前記排出ロールまで搬送されて来るフィルターケーキを、前記エアーパイプからの吹き出しエアーによってベルト状濾布から剥離する方法が開示されている。
【0005】
特許文献2には、クラフトパルプ製造過程において生ずるドレッグスを脱水洗浄するに際し、ドラム式プリコートフイルターを使用し、薬品回収工程において生成する苛性化マッド(炭酸カルシウム)をろ過して必要な厚さに形成したプリコート層によりドレッグスをろ過する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平7-305288号公報
【文献】特開2000-239987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、特許文献1及び特許文献2のように、脱水機を用いて機械的にドレッグススラリーから水分を除去してドレッグススラリーの固形分を濃縮する濃縮工程を経て、ドレッグススラリーから、残アルカリ分を含むろ液とドレッグス残渣とに分けていた。しかしながら、従来の濃縮工程では、沈降濃縮式での分離不良、ドラムフィルター式での脱水不良が生じるために、ドレッグススラリーからの残アルカリ分の回収が不十分となり、結果として残アルカリ分の多いドレッグス残渣になっていた。
【0008】
そこで、本発明は、緑液処理で発生するドレッグススラリー又はドレッグス残渣をより良好に改質する技術を提供することを主な目的とする。
【0009】
本明細書において、「ドレッグス残渣」とは、「ドレッグススラリーが脱水されたもの」として表現する。
また、本明細書において、「ドレッグススラリー又はドレッグス残渣」を「ドレッグス」ともいう。
また、本明細書において、「ドレッグス改質」とは、ドレッグスの性質が改良されていることをいう。当該「ドレッグス改質」とは、例えば、ドレッグス中のドレッグス成分の分散性を向上できること、ドレッグスの粘度を低減できること、ドレッグスの含水率を低減できること、ドレッグスから残アルカリ分を低減できること、ドレッグスから残アルカリ分の回収率を向上できること、ドレッグスを路盤材などに再利用可能な再生材料にできることなどが挙げられ、これらから1種又は2種以上を選択することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、鋭意検討した結果、薬剤として分散剤を用いること及び/又はドレッグス残渣の含水率をモニタリングして添加薬剤を調整することで、緑液処理で発生するドレッグススラリー又はドレッグス残渣をより良好に改質することができることを見出した。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
【0011】
本発明は、分散剤を含有するドレッグス改質剤を提供するものである。
前記分散剤が、カルボン酸化合物であってもよい。
前記分散剤が、カルボン酸化合物であり、当該カルボン酸化合物が、ポリヒドロキシカルボン酸もしくはその塩、及び/又は、ポリカルボン酸ポリマーもしくはその塩であってもよい。
前記ポリヒドロキシカルボン酸もしくはその塩が、アルドン酸及び/又はその分子内ラクトン、もしくはその塩であってもよい。
前記ポリカルボン酸ポリマーもしくはその塩が、(メタ)アクリル酸系重合体もしくはその塩であってもよい。
前記分散剤は、洗浄後のドレッグスに添加するために用いるものであってもよい。
【0012】
本発明は、前記ドレッグス改質剤をドレッグススラリーに対して添加する、ドレッグス改質方法を提供することができる。
前記方法は、ドレッグス含水率低減方法、又は、ドレッグスからの残アルカリ分回収率向上方法であってもよい。
【0013】
本発明は、水分測定装置を用いてドレッグス残渣の含水率をモニタリングし、当該含水率からドレッグススラリーに対するドレッグス改質剤の添加量を制御する、ドレッグス改質方法を提供することができる。
前記水分測定装置が、光学式水分計であってもよい。
前記ドレッグス改質剤が、前記分散剤を含有するドレッグス改質剤であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、緑液処理で発生したドレッグススラリー又はドレッグス残渣をより良好に改質する技術を提供することができる。
なお、本発明の効果は、ここに記載された効果に必ずしも限定されるものではなく、本明細書中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る第一実施形態の一例を示す概略図である。
【
図2】本発明に係る第二実施形態の一例を示す概略図である。
【
図3】本発明に係る第二実施形態の脱水工程の一例を示す概略図である。
【
図4】本発明に係る第二実施形態のフローチャートの一例を示す図である。
【
図5】
図5Aは、本発明に係る薬剤におけるドレッグス残渣の含水率の結果(実施例)を示す図である。縦軸が含水率(%)であり、横軸は、左から、ブランク(0mg/L)、実施例:グルコン酸ナトリウム(500mg/L及び5000mg/L)、実施例:ポリアクリル酸ナトリウム(5000mg/L)。
図5Bは、本発明に係る薬剤におけるドレッグス残渣の含水率の結果を示す図である。縦軸が含水率(%)であり、横軸は、左から、ブランク(0mg/L)、比較例:ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(500mg/L及び5000mg/L)。
【
図6】試験例2において、近赤外水分計を使用したときのドレッグス残渣の含水率(%)(横軸)と、手分析でのドレッグス残渣の含水率(%)(縦軸)との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が限定されて解釈されることはない。なお、数値における上限値と下限値は、所望により、任意に組み合わせることができる。
【0017】
1.本実施形態に係るドレッグス改質剤
本実施形態に係るドレッグス改質剤などの薬剤は、分散剤を含有することが好適である。当該分散剤は、ドレッグスに含まれる無機物質を液体中又はスラリー中に分散可能な剤であることが好適である。当該分散剤は、ドレッグスの粘度を低減可能なドレッグス粘度低減剤であってもよい。
【0018】
1-1.ドレッグス
本実施形態の薬剤を使用するドレッグスは、緑液クラリファイヤにより排泥されたドレッグススラリーが好ましいが、ドレッグス残渣であってもよい。本実施形態の薬剤を、ドレッグススラリー又はドレッグス残渣に対して、添加し混合することで、ドレッグススラリー又はドレッグス残渣の改質が可能である。ドレッグスの形態は、特に限定されず、スラリー状、固形状などいずれでもよいが、スラリー状が好ましい。
【0019】
本実施形態の薬剤を使用するドレッグススラリー又はドレッグス残渣の性状は、特に限定されない。
ドレッグススラリー又はドレッグス残渣のpHは、好ましくは11以上、より好ましくは12以上、さらに好ましくは13以上である。
また、ドレッグススラリーの固形分濃度(蒸発残分)は、好ましくは1~40%、より好ましくは5~40%、さらに好ましくは8~30%である。全アルカリ度(Na2O換算値)は、特に限定されないが、好ましくは5~40g-Na2O/L、より好ましくは10~30g-Na2O/Lである。ファンネル粘度は、特に限定されないが、ドレッグスを60℃に加温したときに、好ましくは5~50秒、より好ましくは10~40秒である。
【0020】
1-2.分散剤
本実施形態に用いる分散剤として、ドレッグス成分(好適にはドレッグス中の無機物質)を分散可能な剤であれば特に限定されないが、例えば、カルボン酸化合物、及び/又は、リン酸塩系分散剤などが挙げられる。
分散剤として、例えば、ポリヒドロキシカルボン酸又はその塩、ポリカルボン酸ポリマー又はその塩、及び不飽和脂肪酸塩などのカルボン酸化合物、並びに、リン酸塩系分散剤などが挙げられ、これらから選択される1種又は2種以上を使用することができる。これら分散剤として、公知の製造方法にて製造可能なもの又は市場において入手可能なものを用いることができる。
本実施形態において、カルボン酸化合物とは、分子内に1つ又は2つ以上の置換又は非置換のカルボキシル基を有する化合物をいう。置換のカルボキシル基として、カルボン酸とアルコールから成るカルボン酸アルキルエステルなどが挙げられ、当該アルキル基の炭素数は1~8が好ましい。分子内に1個以上8個以下のカルボキシル基を有し、分子量(M.W.)として、好ましくは50~1000、より好ましくは90~500の範囲のものである。
【0021】
分散剤のうち、より良好な流動性及び脱水性の観点から、カルボン酸化合物が好ましい。
カルボン酸化合物のうち、ポリヒドロキシカルボン酸、ポリカルボン酸ポリマー、及びこれらの塩から選択される1種又は2種以上が、好ましい。
カルボン酸化合物として、さらに好ましくは、アルドン酸及び/又はその分子内ラクトン、(メタ)アクリル酸系重合体、並びにこれらの塩から選択される1種又は2種以上である。
【0022】
本実施形態において、前記塩として、特に限定されないが、例えば、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム、カリウムなど)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム、マグネシウムなど)、アンモニウム塩(例えば、アンモニア、有機アンモニウム(例えば、第一級、第二級、第三級、第四級アンモニウム塩)など)などが挙げられ、これらから選択される1種又は2種以上を使用することができる。
【0023】
<ポリヒドロキシカルボン酸又はその塩>
本実施形態に用いるポリヒドロキシカルボン酸又はその塩は、特に限定されないが、ヒドロキシ基及びカルボキシル基を有し、分子の末端にカルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物が挙げられる。
【0024】
ポリヒドロキシカルボン酸分子中のカルボキシル基の数は、単数又は複数のいずれでもよく、より具体的には、1~3が好ましくは、より好ましくは1~2であり、より具体的には、ポリヒドロキシモノカルボン酸及び/又はポリヒドロキシジカルボン酸が好ましい。
【0025】
ポリヒドロキシカルボン酸として、特に限定されないが、エリトロン酸;グルコン酸、マンノン酸、グロン酸、グルクロノラクトンなどのアルドン酸及びその分子内ラクトン;グルクロン酸、ガラクツロン酸などのウロン酸などのポリヒドロキシモノカルボン酸;サッカリン(グルカル酸)、メソ酒石酸、酒石酸などの糖酸などのポリヒドロキシジカルボン酸;などが挙げられるが、これらに限定されない。当該ポリヒドロキシカルボン酸として、これらから選択される1種又は2種以上を使用することができる。
【0026】
ポリヒドロキシカルボン酸として、さらに好ましくはポリヒドロキシモノカルボン酸である。ポリヒドロキシモノカルボン酸として、好ましくは、〔化学式1〕:HO-CH2-[CH(OH)]n-COOHである。当該〔化学式1〕中のnは、整数であり、この数は特に限定されないが、1~8までの整数が好ましい。
ポリヒドロキシカルボン酸のうち、アルドン酸が好ましく、このアルドン酸のうち、グルコン酸がより好ましい。
【0027】
<ポリカルボン酸ポリマー又はその塩>
本実施形態に用いるポリカルボン酸ポリマーとは、置換又は非置換のカルボキシル基を有する水溶性高分子重合体が挙げられ、非置換のカルボキシル基が好ましい。当該「重合体」は、モノポリマー又はコポリマーのいずれでもよい。ポリカルボン酸ポリマー塩であってもよい。
ポリカルボン酸ポリマーとして、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸系重合体、マレイン酸系重合体、ポリクエン酸、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリ(3-ヒドロキシ)酪酸、及びポリイタコン酸などが挙げられ、これらから選択される1種又は2種以上を使用することができる。(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸、メタクリル酸、又はこれらの組み合わせのことをいう。
【0028】
カルボキシル基ポリマーとして、以下の(メタ)アクリル酸系重合体及び/又はマレイン酸系重合体が好ましく、より好ましくは(メタ)アクリル酸系重合体である。これら重合体は、塩の形態であってもよく、例えばポリアクリル酸ナトリウムなどのポリアクリル酸塩などが挙げられる。
以下に(メタ)アクリル酸系重合体、マレイン酸系重合体について説明する。
【0029】
〔(メタ)アクリル酸系重合体〕
本実施形態に用いる(メタ)アクリル酸系重合体として、(メタ)アクリル酸系モノポリマー及び/又は(メタ)アクリル酸系コポリマーを使用することができる。
(メタ)アクリル酸系モノポリマーとして、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸単独重合体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単独重合体などが挙げられる。
【0030】
「(メタ)アクリル酸アルキルエステル」におけるアルキル基として、特に限定されないが、アルキル基の炭素数1~18が好ましく、より具体的には、例えば、メチル、エチル、ブチルなどの直鎖アルキル(炭素数1~4など);2-エチルヘキシルなどの分岐鎖アルキル(炭素数3~8など);2-ジメチルアミノエチル、2-ヒドロキシエチルなどのアミノ基、ヒドロキシ基などの置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられる。当該アミノ基及びヒドロキシ基は、置換基を単数又は複数有してもよく、当該置換基はアルキル基(例えば炭素数1~3)が好ましい。これら(メタ)アクリル酸アルキルエステルから選択される1種又は2種以上を使用することができる。
【0031】
(メタ)アクリル酸系コポリマーとして、特に限定されないが、(メタ)アクリル酸の単量体と、これ以外の共重合可能な不飽和単量体又は不飽和オリゴマーとが重合した共重合体が挙げられる。
本実施形態に用いる(メタ)アクリル酸系重合体として、上述した(メタ)アクリル酸系の単独重合体及び共重合体から1種又は2種以上を使用することができる。
【0032】
なお、共重合可能な不飽和単量体として、特に限定されないが、例えば、マレイン酸、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-ヒドロキシ-3-アリロキシ-1-プロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アクリルアミド、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、ヘキセン、2-エチルヘキセン、ペンテン、イソペンテン、オクテン、イソオクテン、ビニルアルコール、ビニルメチルエーテル、及びビニルエチルエーテルなど及びそれらの塩が挙げられる。共重合可能なオリゴマーとして、特に限定されないが、前記共重合可能な不飽和単量体から選択された1種又は2種以上から得られた共重合可能なオリゴマーなどが挙げられる。前記共重合可能な不飽和単量体及び前記共重合可能なオリゴマーとして、これらから選択された1種又は2種以上を使用してもよい。
【0033】
〔マレイン酸系重合体〕
本実施形態に用いるマレイン酸系重合体として、特に限定されないが、例えば、無水マレイン酸単独重合体、無水マレイン酸-酢酸ビニル共重合体、無水マレイン酸-スチレン共重合体、及び無水マレイン酸-アクリロニトリル共重合体などが挙げられる。
マレイン酸系共重合体は、マレイン酸の単量体と、これ以外の前記共重合可能な不飽和単量体又は不飽和オリゴマーとが重合した共重合体が挙げられる。
マレイン酸系重合体として、上述したマレイン酸系の単独重合体及び共重合体から選択される1種又は2種以上を使用することができる。
【0034】
ポリカルボン酸ポリマーのうち、(メタ)アクリル酸系重合体が好ましく、より好ましくはアクリル酸系重合体であり、さらに好ましくはアクリル酸単独重合体であり、よりさらに好ましくはポリアクリル酸ナトリウムである。
【0035】
前記ポリカルボン酸ポリマーは、重量平均分子量が、10の3乗オーダー~4乗オーダーであることが好ましく、より具体的には200~50,000の範囲にあるものが好ましく、500~30,000の範囲にあるものがより好ましく、800~30,000の範囲にあるものがさらに好ましく、より好ましくは1,000~20,000である。
【0036】
〔カルボン酸ポリマーの重量平均分子量の測定方法〕
本実施形態に用いる「カルボン酸ポリマー」又は水溶性高分子重合体の重量平均分子量は、標準ポリスチレンを標準物質として、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)分析により、測定することができる。
【0037】
<不飽和脂肪酸塩>
本実施形態に用いる不飽和脂肪酸塩として、例えば、直鎖、分岐鎖又は環状鎖のいずれでもよく、このうち、直鎖不飽和脂肪酸が好ましい。また、不飽和脂肪酸塩の炭素数は、特に限定されないが、5~12が好ましい。直鎖不飽和脂肪酸のうち、オレイン酸塩、リノール酸塩、リノレン酸塩、アラキドン酸塩などが挙げられ、これらから選択される1種又は2種以上を使用することができる。
【0038】
<リン酸塩系分散剤>
本実施形態に用いるリン酸塩系分散剤として、例えば、水溶性リン酸塩などが挙げられ、当該水溶性リン酸塩として、ヘキサメタリン酸塩、トリポリリン酸塩、オルトリン酸塩、メタリン酸塩、ポリリン酸塩などが挙げられ、これらから選択される1種又は2種以上を使用することができる。このうち、ヘキサメタリン酸塩が好ましい。
【0039】
1-3.任意成分
本実施形態に係るドレッグス改質剤などの薬剤には、上記分散剤以外に、本発明の効果を損なわない範囲内で、適宜、任意成分を含んでもよい。当該任意成分として、特に限定されないが、例えば、pH調整剤、消泡剤、防食剤、スケール防止剤、殺菌剤、殺藻剤などの種々の水処理薬剤から選択される1種又は2種以上を使用してもよい。
【0040】
1-4.本実施形態に用いる分散剤の使用又は用途
本実施形態に用いる分散剤は、ドレッグス改質作用、ドレッグス含水率低減作用、ドレッグス分散作用、ドレッグス粘度低減作用、及び残アルカリ分回収率向上作用などを有するので、当該分散剤を、ドレッグス改質剤、ドレッグス含水率低減剤、ドレッグス分散剤、ドレッグス粘度低減剤、残アルカリ分回収率向上剤などの薬剤に含有させることができ、又はこれら薬剤に使用することができる。本発明は、前記分散剤自体を、上述したドレッグス改質剤などの薬剤として使用することもできる。本発明は、ドレッグス改質、ドレッグス含水率低減、ドレッグス分散、ドレッグス粘度低減、残アルカリ分回収率向上などの目的のために用いる、前記分散剤もしくは分散剤成分又はその使用を提供することができる。また、前記分散剤又は分散剤成分は、上述したドレッグス改質剤などの薬剤又は製剤を製造するために使用することができる。また、本発明は、前記分散剤をドレッグスに対して使用する又は添加する、ドレッグス改質方法、ドレッグス含水率低減方法、ドレッグス分散方法、ドレッグス粘度低減方法、ドレッグスからの残アルカリ分回収率向上方法などを提供することも可能である。
【0041】
本実施形態に係る薬剤の形態は、特に限定されず、液状、スラリー状又は粉末状であってもよく、また、本発明に係る薬剤は、組成物であってもよい。
【0042】
本実施形態に係る薬剤の使用方法、使用量、使用場所などは、後述する本実施形態に係るドレッグスの改質方法を適宜採用することができる。
本実施形態に係る薬剤を、ドレッグススラリー及び/又はドレッグス残渣に対して添加することが好ましく、より好適にはドレッグススラリーに対して添加することであり、さらに好適には、緑液クラリファイヤでの引抜き以降のドレッグススラリーである。
通常、緑液処理により発生したドレッグススラリーに対して、廃棄の前に、ドレッグス残渣を得るために、ドレッグス脱水工程が行われる。このため、本実施形態の薬剤を、ドレッグス脱水工程におけるドレッグススラリーに対して添加することが好ましく、より好ましくは、洗浄後のドレッグススラリーに対して添加することが好ましく、洗浄後であって濃縮前、濃縮中若しくは濃縮後のドレッグススラリー、又はシャワーラインのドレッグススラリーのいずれでもよい。さらにより好ましくは、本実施形態で係る薬剤を、洗浄後であって濃縮前又は濃縮中のドレッグススラリーに対して添加することである。当該濃縮方法として、沈降濃縮方法、ドラムフィルター方法、又はこれらの組み合わせた方法が好ましいが、これらに限定されない。
通常、脱水工程を経て得られたドレッグス残渣は、水系外に出される。
【0043】
1-5.本実施形態の薬剤を用いて改質されたドレッグス
本実施形態の薬剤を用いることによって、緑液処理で発生したドレッグスをより良好に改質する技術を提供することができる。
さらに、本実施形態の薬剤を用いて得られたドレッグス残渣は良好に改質されており、改質されたドレッグス残渣は、例えば、含水率が低減されていること、残アルカリ分が低減されていること、粘度が低減されていることなどから少なくも1つの性質を有する。このことにより、本実施形態の改質されたドレッグス残渣は、路盤材などに再利用可能は再生材料にしやすいなどの利点も有する。また、本実施形態の薬剤を使用することによって、残アルカリ分の回収率向上、含水率低減によって、ドレッグス残渣の廃棄量をより低減でき、搬送量及び廃棄コストも低減できる。
【0044】
なお、「1.本発明の実施形態に係るドレッグス改質剤」では、後述する「2.」などの説明が、本実施形態にも当てはまり、当該説明を適宜採用することができる。
【0045】
2.本実施形態に係るドレッグス改質方法
2-1.本実施形態に係るドレッグス改質方法の概要
本実施形態に係るドレッグス改質方法は、薬剤を用いるドレッグス改質方法を提供することができる。当該薬剤は、ドレッグスを改質可能な薬剤であれば特に限定されないが、上記「1.」の本実施形態の薬剤を用いることが好ましい。
このように、本実施形態のドレッグス改質方法によって、緑液処理で発生したドレッグスをより良好に改質する技術を提供することができる。
また、本実施形態に係るドレッグス改質方法は、ドレッグス含水率低減方法、ドレッグス分散方法、ドレッグス粘度低減方法、ドレッグスからの残アルカリ分回収率向上方法などから選択される1種又は2種以上にも適用することができる。
なお、本発明の実施形態に係るドレッグス改質方法では、上記「1.」などの構成と重複する、ドレッグス、分散剤、薬剤などの各構成などの説明については適宜省略するが、当該「1.」などの説明が、本実施形態にも当てはまり、当該説明を適宜採用することができる。
【0046】
本実施形態のドレッグス改質方法として、以下の第一実施形態の方法及び第二実施形態の方法などを提供することができるが、これらに特に限定されない。
本実施形態のドレッグス改質方法は、本第一実施形態として、本実施形態のドレッグス改質剤などの薬剤を用いることを特徴とするドレッグス改質方法を提供することができる。
本実施形態のドレッグス改質方法は、本第二実施形態として、ドレッグス残渣をモニタリングすることを特徴とするドレッグス改質方法を提要することができる。
以下に、本実施形態におけるパルプ製造の概要、本第一実施形態の方法、本第二実施形態の方法について、説明する。
【0047】
2-2.本実施形態におけるパルプ製造の概要
本実施形態の方法が適用可能なパルプ製造系の一例として、
図1に、パルプ製造系1の概略構成図を示すが、本実施形態の方法はこのパルプ製造系1の適用に限定されず、様々なパルプ製造系に適用することができる。
パルプ製造系1は、蒸解系10と、黒液処理系20と、緑液清澄化系30と、消和・苛性化系40と、を備えることができる。これら系は、
図1において実線で示される管で互いに連通され、全体として循環路を構成してもよい。
以下、各構成要素について詳細に説明する。
【0048】
<2-2-1.蒸解系>
蒸解系10は、蒸解釜11を有し、この蒸解釜11の下流にはパルプ精製部が設けられていてもよい。蒸解釜11には、パルプの原料である木材チップと、水酸化ナトリウムを含有する白液とが投入され、木材チップの蒸解が行われる。
これによって生じたパルプはパルプ精製部へと移送され、漂白、抄紙工程などを順次受け、紙が製造される。一方で、廃液である黒液は、水酸化ナトリウムの回収などのため、後述するエバポレータ21へと移送される。
【0049】
<2-1-2.黒液処理系>
黒液処理系20は、上流から順に、エバポレータ21と、ボイラ22と、を有してもよい。黒液は、エバポレータ21で濃縮された後、ボイラ22へと移送され、このボイラ22内で燃焼される。これにより、黒液に含有されていた無機ナトリウム塩が溶融し、ボイラ22の底部からスメルトとして排出される。排出されたスメルトは、溶解タンク31へと移送される。
【0050】
なお、ボイラ22には、熱エネルギーを回収するための熱回収系が設けられていてよい。このような熱回収系としては、従来公知のものが使用できる(例えば、特開平6-212586号公報参照)。
【0051】
<2-2-3.緑液清澄化系>
緑液清澄化系30は、上流から順に、溶解タンク31と、緑液クラリファイヤ32と、清澄緑液タンク33と、を有してもよい。スメルトは、溶解タンク31において水に撹拌され、溶解又は分散する。これにより、水酸化ナトリウムに加え、炭酸ナトリウムを豊富に含有する緑液(「粗緑液」ともいう。)が生成される。溶解タンク31には、図示しない送液ポンプが設けられており、粗緑液はこの送液ポンプに吸引され、緑液クラリファイヤ32へと移送される。粗緑液は、残存する未溶解成分が、緑液クラリファイヤ32において除去される。その後、清澄緑液タンク33へと移送されて貯留され、やがて苛性化系41へと移送される。
【0052】
本実施形態における緑液清澄化に用いられる装置として、重力沈降方式の装置、強制ろ過方式の装置などが挙げられるが、これに特に限定されない。重力沈降方式の代表的な緑液クラリファイヤが好ましい。
緑液クラリファイヤとして、特に限定されないが、例えば、多段クラリファイヤ、ユニットクラリファイヤ、貯槽兼用型クラリファイヤ、沈降濃縮式クラリファイヤなどが挙げられ、このうち、貯槽兼用型が好ましい。
【0053】
緑液清澄化装置において、粗緑液と緑液処理薬剤とを混合し固液分離することで、粗緑液に残存する未溶解成分などの不純物を粗緑液から除去する清澄化処理を行っている。この清澄化処理後により、不純物が除去された清澄緑液を得ることができる。このとき、緑液清澄化装置では、不純物などのドレッグスを含むスラッジ(緑液泥)が生成され蓄積される。このため、一定割合で(一定間隔にて又は一定量に達したとき)、緑液清澄化装置から蓄積されたスラッジを除去するため、引抜きポンプを用いてスラッジの引抜きを適宜行っている。
【0054】
<2-2-3-1.ドレッグス脱水工程(ドレッグス脱水系)>
一般的に、緑液クラリファイヤから引抜かれたスラッジは、ドレッグス成分を含み粘性のあるスラリー状であり、このスラリー状のドレッグスを脱水するドレッグス脱水工程を行うことで、ドレッグススラリーからろ液とドレッグス残渣とに分離し、このろ液は残アルカリ分として回収されて再利用され、ドレッグス成分を含むドレッグス残渣は排水設備へ送られるか、廃棄物として廃棄されている。
【0055】
本実施形態におけるドレッグス脱水工程では、ドレッグスの固形分を濃縮する濃縮工程を少なくとも含んでいることが好ましく、より好ましくは、ドレッグスを洗浄する洗浄工程、及び濃縮工程を順次または同時に行うことである。
また、本実施形態におけるドレッグス脱水系は、ドレッグスの固形分を濃縮するように構成されている濃縮装置を少なくとも備えることが好ましく、より好ましくは、ドレッグスを洗浄するように構成されている洗浄装置と当該濃縮装置とを備えることである。
【0056】
洗浄工程により、ドレッグス中の残アルカリ分濃度を低減するとともに洗浄液から残アルカリ分を回収することができるので、アルカリロス及び環境問題などの観点から、洗浄工程を行うことが、好ましく、濃縮工程前に洗浄工程を行うことがより好ましい。
また、濃縮工程により、ドレッグス含水率低減、及びドレッグス中の残アルカリ分の低減ができるので、廃棄などの観点から、濃縮工程を行うことが好ましい。
【0057】
濃縮工程で行われる濃縮方法として、特に限定されないが、例えば、沈降濃縮方法、ドレッグスフィルター方法、及びこれらを組み合わせた方法などが多く採用される。これら方法を実施する装置として、例えば、沈降濃縮装置、ドレッグスフィルター装置、これらを組み合わせた装置などが挙げられる。
例えば、沈降濃縮装置の一例として、ドレッグスを撹拌機付きの希釈タンクで洗浄用温水で洗浄した後に、ドレッグスウォッシャーで濃縮し、さらに洗浄ドレッグスとして廃棄又はドレッグスフィルターに移送されるように構成されている沈降濃縮装置などが挙げられる。
例えば、ドレッグスフィルター方法として、特に限定されないが、例えば、ドラムフィルター方法、ベルトフィルター方法、及びプレコートフィルター方法から選択される1種又は2種以上が一般的に採用されうる。これら方法を実施する装置として、ドラムフィルター装置、ベルトフィルター装置、プレコートフィルター装置などが挙げられる。
例えば、ベルトフィルター装置の一例として、ドレッグス残渣を移送するベルト上で、振動などにてドレッグス残渣の薄い層を形成させ、このドレッグス残渣を剥ぎ取って廃棄するように構成されているベルトフィルター装置が挙げられる。
【0058】
<2-2-4.消和・苛性化系>
消和・苛性化系40は、苛性化系41と、白液クラリファイヤ42と、白液タンク43と、を有してもよい。消和・苛性化系40は、この白液クラリファイヤ42の下流に位置するライムマッドフィルター45、キルン44をさらに有してもよい。苛性化系41、白液クラリファイヤ42、白液タンク43は、互いに連通され、全体として循環路を構成する。
【0059】
苛性化系41へと移送された緑液は、この苛性化系41において、キルン44から供給された酸化カルシウムと混合される。この混合に関して、より詳細に説明する。
【0060】
苛性化系41は、スレーカ411と、このスレーカ411の下流に位置する複数の苛性化反応槽412とを有してもよい。スレーカ411に移送された緑液(通常、90~100℃、pH13~14)は、同じくスレーカ411に供給された酸化カルシウム及び/又は購入などによる系外からの酸化カルシウムと、混合される。これにより、酸化カルシウムが水で消和されて水酸化カルシウムが生成される。その後、苛性化反応槽412へと移送されると、緑液中の炭酸ナトリウムが水酸化カルシウムと反応し、水酸化ナトリウム及び炭酸カルシウムが生成される。
【0061】
このようにして得られた白液は、白液クラリファイヤ42へと移送される。この白液クラリファイヤ42において、不溶性の炭酸カルシウムが沈降され分離された後、白液は白液タンク43に貯留され、やがて蒸解釜11へと循環して再利用されることになる。一方で、分離された炭酸カルシウムは、ライムマッドフィルター45で脱水後、キルン44へと回収され、焙焼されて酸化カルシウムへと戻って、苛性化系41において再利用される。
【0062】
2-3.本第一実施形態におけるドレッグス改質剤などの薬剤を用いる、ドレッグス改質方法
本第一実施形態に係るドレッグス改質方法では、上記「1.」「2-1.」「2-2.」、下記「2-4.」「3.」などの構成と重複する、ドレッグス、分散剤、薬剤などの各構成などの説明については適宜省略するが、当該「1.」「2-1.」「2-2.」などの説明が、本実施形態にも当てはまり、当該説明を適宜採用することができる。
本第一実施形態に係るドレッグス改質方法は、上記「1.」のドレッグス改質剤などの薬剤を、ドレッグスに対して添加することが好適である。
【0063】
本第一実施形態に係るドレッグス改質方法は、ドレッグスに対してドレッグス改質剤を添加することが好適である。さらに、脱水工程において洗浄後のドレッグスにドレッグス薬剤を添加することがより好適である。
当該薬剤として、分散剤が好適であり、カルボン酸化合物がより好適であり、このうち、ポリヒドロキシカルボン酸、ポリカルボン酸ポリマー、及びその塩から選択される1種又は2種以上が、より好適である。さらに、アルドン酸及びその分子内ラクトン、(メタ)アクリル酸系共重合体、及びこれらの塩から選択される1種又は2種以上が、さらにより好適である。
【0064】
ドレッグス改質剤を添加する場所は、緑液クラリファイヤからスラッジ(ドレッグススラリー)を引抜き処理した以降の場所(例えば、配管、装置、流路など)でもよく、例えば、引抜き処理以降のライン又は流路、脱水場所(例えば、洗浄場所、濃縮場所)などが挙げられるが、これらに限定されない。ドレッグス脱水工程を実施できる場所又はその上流(当該実施場所と接続されている配管又は流路など)が好ましい。なお、これらの場所を、装置としてもよく、例えば濃縮装置(例えば、沈降濃縮装置、ドレッグスフィルター装置など)などを備える脱水装置であってもよい。
【0065】
添加する際の薬剤量は、特に限定されないが、ドレッグスを含む処理水中に、より好適な下限値として、好ましくは100mg/L以上、より好ましくは300mg/L以上、さらに好ましくは500mg/L以上、さらにより好ましくは1000mg/L以上、より好ましくは3000mg/L以上、より好ましくは4000mg/L以上であり、より好適な上限値として、好ましくは10000mg/L以下、より好ましくは8000mg/L以下、より好ましくは7000mg/L以下、より好ましくは6000mg/L以下である。より好適な範囲として、より好ましくは100~10000mg/L、さらに好ましくは300~8000mg/Lである。
【0066】
添加する際のドレッグスの温度は、特に限定されないが、好適な下限値として、好ましくは20℃以上、より好ましくは30℃以上、さらに好ましくは40℃以上であり、また、好適な上限値として、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下、さらに好ましくは60℃以下であり、より好適な数値範囲として、より好ましくは40~70℃である。
添加する際のドレッグスのpHは、好ましくは11以上、より好ましくは12以上である。
【0067】
本第一実施形態におけるドレッグス改質方法の例
図1を参照して、本第一実施形態におけるドレッグス改質方法の一例を説明するが、本実施形態はこれに限定されない。なお、上記「2-2-3.緑液清澄化系」などの構成と重複する説明は適宜省略する。
本第一実施形態における緑液清澄化系30は、黒液処理系20から送られてきた、スメルトを含む粗緑液を清澄化し、消和・苛性化系40に清澄緑液を送るように構成されており、具体的には、溶解タンク31と、緑液クラリファイヤ32と、清澄緑液タンク33とを備えられている。さらに、緑液清澄化系30は、緑液クラリファイヤ32で発生するスラッジ(ドレッグススラリー)を引抜き、このドレッグススラリーを脱水することで、ろ液とスラッジ残渣を得、ろ液は残アルカリ分としてパルプ製造系内で再利用し、スラッジ成分を含むスラッジ残渣は系外に廃棄するように構成されているドレッグス脱水系50を備える。
【0068】
本第一実施形態のドレッグス脱水系50は、ドレッグスを洗浄するための洗浄装置(図示せず)及び洗浄後にドレッグスの固形分を濃縮する濃縮装置51を備える。本第一実施形態では、さらに、ドレッグスの含水率の低減を向上させるために、脱水工程におけるドレッグスに対して薬剤を添加するように構成されている薬剤添加部52を備える。当該薬剤添加部52は、ドレッグスに対して、適切な薬剤量になるように、薬剤の種類及び添加量、添加温度などの添加条件を調整し制御するように構成されている。
【0069】
本実施形態の薬剤を用いることで、濃縮工程において、ドレッグス固形分をより良好に濃縮することができ、ドレッグス残渣の含水率をより低減できる。本実施形態の薬剤を用いることで、ドレッグスの改質を容易に行うことができる。濃縮装置51にて得られたろ液は、清澄緑液タンク33に移送され、残アルカリ分として回収され、消和・苛性化系にて再利用される。濃縮装置51にて得られたドレッグス残渣は、改質されたドレッグス、良好に分散されたドレッグス、又は粘度低減されたドレッグスとして、路盤材などに再利用可能な再生材料として使用することができる。また、ドレッグス残渣の廃棄量を低減でき、搬送量及び廃棄コストも低減することができる。
【0070】
2-4.本第二実施形態に係るドレッグス残渣のモニタリングを用いる、ドレッグス改質方法
なお、本第二実施形態に係るドレッグス残渣のモニタリングを用いる、ドレッグス改質方法では、上記「1.」、「2-1.」「2-2.」、「2-3.」、下記「2-5.」「3.」などの構成と重複する、ドレッグス脱水系、分散剤、薬剤、ドレッグス改質方法などの各構成などの説明については適宜省略するが、当該「1.」「2-1.」「2-2.」「2-3.」「2-4.」「3.」などの説明が、本実施形態にも当てはまり、当該説明を適宜採用することができる。
【0071】
従来、ドレッグス脱水工程において、ドレッグスの濃縮が適切でなく、含水率が高い状態で系外に出されることがあり、ドレッグス残渣の含水率が十分に低減できていないことで、産廃費用や運送費用がかかっていた。また、ドレッグス中に含まれる水分には、有価物たる残アルカリ分も含まれるため、ドレッグス脱水工程において、残アルカリ分を含むろ液を十分に回収できず、アルカリロスとなっていた。
しかしながら、従来、ドレッグスは、高粘度であってかつ高アルカリであるため取り扱いも難しく、ドレッグス測定専用の測定装置もなく手分析でドレッグスの性状を分析していた。このため、従来、ドレッグス分析の回数は極めて少なく、ドレッグスの管理は十分に行われてこなかった。このため正確にドレッグスの状態が把握できず、ドレッグス脱水工程において、系外に出すドレッグス残渣の含水率が十分に低減できない状態にあった。
【0072】
本発明者らは、鋭意検討した結果、ドレッグス脱水工程において、濃縮工程におけるドレッグス残渣の含水率を水分測定装置にてモニタリングすること、このときの含水率からドレッグスに対する薬剤の添加量を調整し制御することを発想し得た。
【0073】
すなわち、第二実施形態に係るドレッグス改質方法としては、水分測定装置を用いてドレッグス残渣の含水率をモニタリングすることが、好ましい。さらに、第二実施形態に係るドレッグス改質方法としては、水分測定装置を用いてドレッグス残渣の含水率をモニタリングし、当該含水率からドレッグス(好適には、ドレッグススラリー)に対する薬剤の添加量を制御することが、より好ましい。当該薬剤として、前記分散剤が好ましく、より好ましくは前記ドレッグス改質剤である。
【0074】
<ドレッグス残渣の含水率のモニタリング>
モニタリングをする監視場所は、ドレッグス脱水系、すなわちドレッグス脱水工程を実施できる場所のいずれでもよいが、好ましくは、濃縮場所及び当該濃縮以降の場所(濃縮装置、ライン又は流路など)であり、系外に送られるまでである。濃縮場所及び当該濃縮以降の場所として、例えば、沈降濃縮装置及び沈降濃縮処理以降の場所、ドレッグスフィルター装置及びドレッグスフィルター処理以降の場所が挙げられる。さらに、好ましくは濃縮以降の場所であり、より好ましくは、沈降濃縮以降の場所、及び/又はドレッグスフィルター処理以降後の場所であり、さらに好ましくは、ドレッグスフィルター処理以降の場所である。また、モニタリング数は、単数又は複数のいずれでもよい。これにより、より簡便に、より精度よく、ドレッグス残渣の含水率をモニタリングすることができる。
【0075】
<水分測定装置>
ドレッグス残渣の含水率をモニタリングする際に、当該含水率を測定するための水分測定装置又は水分測定方法は、特に限定されない。水分測定装置にて、測定されたドレッグス残渣の含水率は、外部又は内部に送信される。当該内部又は外部は、例えば、コンピュータ、データベース、クラウドシステム、ネットワークシステムなどであってもよく、外部又は内部に備えられた記憶部又は制御部であってもよい。
水分測定装置として、好ましくは光学式水分測定装置(光学式水分計)であり、当該光学式水分測定装置として、例えば、近赤外水分計、γ線密度計などが挙げられるが、これに限定されない。また、水分測定装置は、非接触型が好ましく、非接触型であっても、手分析(蒸発残分)と同様の含水率の増減の傾向を得ることができる。
【0076】
本実施形態において、単数又は複数の水分測定装置を、対象物の上方に設置することが好ましい。設置の一例として、ドレッグスフィルター(例えば、ベルトフィルター)上を移動するスラッジ残渣の上方に、水分測定装置を少なくとも1つ設置することが、簡便に設置できモニタリングが行い易い観点から、より好ましい。
水分測定装置と対象物との距離は、使用する水分測定装置(例えば、近赤外水分計など)の機種に応じて適宜設定することができる。また、水分測定装置の検出部は、特に限定されず、水分測定可能なラインセンサカメラ(CMOSなど)であってもよい。
水分測定装置の使用温度は、特に限定されないが、好ましくは0~40℃、より好ましくは5~40℃であり、使用湿度範囲は、特に限定されないが、好ましくは30~80%RHである。
【0077】
また、本実施形態において水分測定装置を用いる場合、手分析による測定結果と本実施形態に用いる水分測定装置による測定結果との関連性(例えば、
図6に示すような正比例の相関関係)に基づき、制御部などにて、水分測定装置の測定結果を、手分析による測定結果に変換してもよい。当該手分析による測定結果は、記憶部に記憶されていてもよい。この変換を利用することにより、手分析で使用している薬剤添加量のデータのストックを活用することができる。なお、手分析の測定結果に限定されず、手分析の測定結果に代えて、他の分析方法の測定結果や、記憶されている過去の測定結果を用いてもよい。
【0078】
本実施形態の方法では、ドレッグススラリーに薬剤を添加する添加工程、ドレッグス残渣の含水率の測定を行う測定工程、含水率が所定の範囲以上に増加した場合には薬剤添加量を増加させ、含水率が所定の範囲以上に減少した場合には薬剤添加量を減少させる制御工程を、フィードバック制御にて行うことができる。このため、本実施形態の方法では、手分析の測定結果を用いなくとも、水分測定装置の測定結果に基づき、薬剤添加量を調整することも可能である。なお、本実施形態の方法では、制御工程を少なくとも含むことが好ましく、添加工程及び測定工程の順序は、特に限定されず、添加工程次いで測定工程の順、測定工程次いで添加工程の順、同時期のいずれでもよい。
【0079】
近赤外線による方法は、一例として、市販製品、例えば株式会社ケット科学研究所製の近赤外水分計「KJT-130」(商品名)などを使用する方法を採用することができるが、これに特に限定されない。近赤外線とは、可視光線より波長の長く、赤色の外側にある見えない光(780~2500nm:NIR)であり、水分に対しよく吸収するため、近赤外線を含む光を照射してその反射率を測定することで含水率を測定することができる。光源として、例えば、タングステンランプ、LEDなどが挙げられるがこれらに限定されず、当該光源と分光フィルターとを用いることで特定の近赤外線にすることができる。測定方式として、近赤外線反射方式が好ましい。波長方式は、3波長方式、5波長方式などが挙げられるが、3波長方式が、費用コストの観点から、好ましい。
また、後記〔実施例〕に示すように、近赤外線による方法の測定結果(ドレッグス含水率)と、乾燥機による方法(蒸発残分)の測定結果(ドレッグス含水率)とは、
図6に示すように、比例関係にあることが認められたため、ドレッグス含水率を近赤外線による方法にて測定することが、より良好な精度の観点から、好ましい。
【0080】
<薬剤添加の制御>
本第二実施形態で使用する薬剤は、ドレッグスが分散可能な剤であれば特に限定されないが、前記ドレッグス改質剤を用いることが好ましい。
本第二実施形態では、前記モニタリングから得られたドレッグス残渣の含水率から、ドレッグスに対する薬剤の添加量を調整し制御する。本第二実施形態における薬剤の添加の制御は、前記モニタリングから得られたドレッグス残渣の含水率から、ドレッグス(好適にはドレッグススラリー)に対する薬剤の添加量を調整し制御するように構成されていることが好ましい。
薬剤の添加場所は、本第一実施形態の「ドレッグス改質剤を添加する場所」と同じであることが好ましく、より好ましくは、洗浄場所後のライン又は流路、濃縮場所に薬剤を流入させるためのライン又は流路、及び濃縮場所のいずれか1種又は2種以上である。
また、本実施形態における装置又はシステムは、本実施形態の薬剤添加の制御工程に従って動作又は実施を行うことができる。
【0081】
本第二実施形態におけるより好適な態様の例1を以下に説明するが、本第二実施形態はこれに限定されない。
【0082】
本第二実施形態におけるより好適な態様の例1について、
図4を参照して、説明する。
ステップ100において、制御部は、水分測定装置にドレッグス残渣の含水率をモニタリングさせる。制御部は、水分測定装置に対して、モニタリングにて得られた含水率の結果を、制御部に送信させるように指示してもよい。なお、制御部は、水分測定装置の測定結果と、手分析(蒸発残分)による含水率との整合性をとるように、水分測定装置の測定結果を、手分析(蒸発残分)による含水率換算に変換してもよい。手分析(蒸発残分)による含水率は、予めドレッグス残渣の含水率(蒸発残分)を記憶されている記憶部から制御部に送信し、制御部が手分析(蒸発残分)による含水率換算の演算式を算出しこれを用いてもよく、他の部で算出された含水率換算の演算式を、制御部が受信しこれを用いてもよい。水分測定装置の測定結果である含水率を、蒸発残分の含水率にするための含水率換算演算式として、特に限定されず、現場ごとに適切な演算式を求めることもできるが、例えば式1;Y=aX+bの演算式において、aを1~4程度、より好ましくは2~3、bを10~40程度、より好ましくは20~30を設定してもよい。
Y=aX+b・・・式1
Y;手分析(蒸発残分)による含水率%
X;水分測定装置による含水率%
a;一次関数の傾き
b;一次関数の切片
【0083】
ステップ101において、制御部は、モニタリングにて得られた含水率が、所定の含水率になっているかどうかを判定する。この判定の時期は、適宜設定することができ、例えば、常時のような連続的であってもよく、時間間隔や日時、曜日等を設定するような定期的であってもよい。制御部は、「モニタリングにて得られた含水率」及び/又は判定基準となる「所定の含水率」を、参照データとして、測定部又は記憶部から読み込むことができる。記憶部は、当該内部又は外部に備えられていてもよい。
「モニタリングにて得られた含水率」は、連続的に又は定期的に水分測定装置にてリアルタイムに「得られた含水率」であってもよく、また、水分測定装置にて連続的に又は定期的に測定され、記憶部に記憶されている含水率のデータから、判定部によって、時間間隔や日時、曜日等を考慮して「含水率データ」を選択し、読み込まれた「含水率データ」であってもよい。
「所定の含水率」は、仮設定していたものを、現場の状況(例えば、水系の管理状況や運転状況、ドレッグス残渣の状況など)に応じて、適宜変更してもよい。所定の含水率のデータは、記憶部に予め記憶していたものであってもよく、必要に応じて制御部に送信されうる。
【0084】
ステップ102において、制御部は、第一判定として、第一含水率設定値にて判定する。このとき、第一含水率設定値より高い(YES)と判定した場合には、薬剤添加量を増量するように、薬剤添加部に指示する。第一含水率設定値として、蒸発残分による含水率換算において、好ましくは60%以下、より好ましくは55%以下である。制御部は、含水率が60%を超えた場合は、薬剤添加量を増量するように薬剤添加部に指示し、ステップ101に戻る。
【0085】
ステップ103において、制御部は、第二判定として、第一含水率設定値より低い(NO)と判定した場合には、次いで第二含水率設定値にて判定する。このとき第二含水率設定値より低い(YES)と判定したときには、薬剤添加量を減量するように薬剤添加部に指示する。第二含水率設定値として、蒸発残分による含水率換算において、好ましくは40%未満、より好ましくは30%未満である。制御部は、含水率が40%を切った場合は、薬剤添加量を減量するように薬剤添加部に指示し、ステップ101に戻る。
第二含水率設定値より高い(NO)と判定した場合には、薬剤添加量をそのままの状態にするように薬剤添加部に指示する、又は、薬剤添加部に特に指示をせず、薬剤添加量を維持する。ステップ101に戻る。
【0086】
ステップ104及びステップ105において、操作者は手動入力によって、本第二実施形態を終了することもできる。
このようにすることによって、ドレッグス残渣の含水率を適切な範囲内に調整することができる。これにより、ドレッグス改質、ドレッグス含水率低減、ドレッグス分散、ドレッグス粘度低減、ドレッグスからの残アルカリ分回収率向上などが良好に行うことができる。
【0087】
なお、上記ステップ102及び103では、制御部は、蒸発残分による含水率を基準に判定しているが、水分測定装置の測定による含水率を基準にして判定してもよく、この場合、ユーザが蒸発残分による含水率を確認できるように、蒸発残分による含水率に変換し、表示部にて蒸発残分による含水率換算を表示してもよい。
また、上記には、ステップ102にて「所定の含水率」の上限設定による薬剤添加量の制御、次いで、ステップ103にて「所定の含水率」の下限設定による薬剤添加量の制御を行っているが、「所定の含水率」の下限設定による薬剤添加量の制御、次いで「所定の含水率」の上限設定による薬剤添加量の制御の順でも行うことも可能である。
【0088】
本第二実施形態におけるドレッグス改質方法の一例
図2及び
図3を参照して、本第二実施形態におけるドレッグス改質方法の一例を説明するが本実施形態はこれに限定されない。なお、上記「2-2-3.緑液清澄化系」などの構成と重複する説明は適宜省略する。
本第二実施形態における緑液清澄化系は、黒液処理系20から送られてきた、スメルトを含む粗緑液を清澄化し、消和・苛性化系40に清澄緑液を送るように構成されており、具体的には、溶解タンク31と、緑液クラリファイヤ32と、清澄緑液タンク33とを備えられている。さらに、緑液清澄化系は、緑液クラリファイヤ32で発生するドレッグススラリーを脱水することで、ろ液とスラッジ残渣を得、ろ液は残アルカリ分としてパルプ製造系内で再利用し、スラッジ残渣は系外に廃棄するように構成されているドレッグス脱水系50を備える。
【0089】
本第二実施形態のドレッグス脱水系50は、ドレッグススラリーを洗浄するための洗浄装置(図示せず)及び洗浄後にドレッグススラリーの固形分を濃縮する濃縮装置51を備える。
本第二実施形態では、さらに、ドレッグス残渣の含水率の低減を向上させるために、脱水工程におけるドレッグススラリーに対して薬剤を添加するように構成されている薬剤添加部52を備える。当該薬剤添加部52は、ドレッグススラリーに対して、適切になるように、薬剤の種類及び添加量、添加温度などの添加条件を調整し制御するように構成されている。
【0090】
本第二実施形態では、さらに、ドレッグス残渣の含水率の低減を向上させるために、濃縮後のドレッグス残渣の含水率を測定するように構成されている水分測定装置53を備える。
本実施形態では、さらに、薬剤添加部52の薬剤添加を制御する制御部55が備えられており、当該制御部55は、水分測定装置53からの含水率データの信号を受信することができ、水分測定装置53によるドレッグス残渣の水分測定を制御してもよい。
【0091】
本実施形態のように、水分測定装置を用いてドレッグス残渣の含水率をモニタリングすることで、ドレッグスに対する薬剤が適切な状態にあるかどうかを判定し、これに基づき、薬剤添加量を調整し制御することができる。このときの判定ステップは、例えば上述のステップ100~105でもよい。
【0092】
本第二実施形態における制御によって、濃縮工程において、ドレッグススラリーの固形分がより良好に濃縮することができ、ドレッグス残渣の含水率をより低減できる。本実施形態の薬剤を用いることで、ドレッグス残渣の改質を容易に行うことができる。濃縮装置51にて得られたろ液は、清澄緑液タンク33に移送され、残アルカリ分として回収され、消和・苛性化系にて再利用される。濃縮装置51にて得られたドレッグス残渣は、改質されたドレッグス残渣、良好に分散されたドレッグス残渣、又は粘度低減されたドレッグス残渣として、路盤材などに再利用可能は再生材料として使用することができる。また、ドレッグス残渣の廃棄量を低減でき、搬送量及び廃棄コストも低減することができる。
【0093】
2-5.その他の実施形態
また、本実施形態の方法を、上述したドレッグス改質方法などの方法を実施又は管理するための装置(例えば、コンピュータ、ノートパソコン、デスクトップパソコン、タブレットPC、PLC、サーバ、クラウドサービスなど)又は当該装置に備える制御部(当該制御部はCPUなどを含む)によって実現させることも可能である。また、本実施形態の方法を、記録媒体(不揮発性メモリ(USBメモリなど)、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)、CD、DVD、ブルーレイなど)などを備えるハードウェア資源にプログラムとして格納し、前記制御部によって実現させることも可能である。前記制御部によって、上述したドレッグス改質、残アルカリ分回収率向上などのシステムなど、当該制御部もしくは当該システムを備える装置を提供することも可能である。また、当該管理装置には、タッチパネルやキーボードなどの入力部、ネットワークや内部若しくは外部アクセスなどの通信部、タッチパネルやディスプレイなどの表示部などを備えてもよい。
【0094】
一例として、本実施形態は、コンピュータに、ドレッグスに対して薬剤を添加する機能を含むドレッグス改質を、実現させるプログラムを提供することができる。
本実施形態は、ドレッグスに対して本実施形態の分散剤を添加する機能を含むドレッグス改質を実現させるプログラムを提供することができる。
本実施形態は、ドレッグス残渣の含水率をモニタリングする機能と、当該含水率からドレッグスに対する薬剤の添加量を制御する機能とを含むドレッグス改質を実現させるプログラムを提供することができる。
本実施形態のプログラムはこれらに限定されず、一例として、当該プログラムを装置にて本実施形態の方法を実施することもできる。
【0095】
なお、本実施形態の方法を実施する装置、本実施形態の方法を実行するためのプログラム、当該プログラムを記憶する記録媒体では、上記「1.」、「2.」などの構成と重複する、ドレッグス脱水系、分散剤、薬剤、ドレッグス改質方法などの各構成などの説明については適宜省略するが、当該「1.」、「2.」などの説明が、本実施形態にも当てはまり、当該説明を適宜採用することができる。
【0096】
3.本実施形態に係るドレッグス脱水系
本実施形態に係るドレッグス脱水系では、上記「1.」、「2.」などの構成と重複する、ドレッグス脱水系、分散剤、薬剤、ドレッグス改質方法などの各構成などの説明については適宜省略するが、当該「1.」、「2.」などの説明が、本実施形態にも当てはまり、当該説明を適宜採用することができる。
本実施形態に係るドレッグス脱水系は、水分測定装置を用いてドレッグス残渣の含水率をモニタリングし、当該含水率からドレッグススラリーに対するドレッグス改質剤の添加量を制御するように構成されている、ドレッグス改質を制御する装置とを備えることが、この含水率からドレッグススラリーに対する薬剤の添加量を適切に調整するように制御できるので、好ましい。これにより、ドレッグス残渣の含水率を低減できるとともに、さらにドレッグススラリーの状態に適合した薬剤添加量にし、薬剤使用量を低減することも可能である。
さらに、本実施形態に係るドレッグス脱水系は、濃縮後のドレッグス残渣の含水率をモニタリング可能なように構成されている水分測定装置を備えることが好ましい。
さらに、本実施形態に係るドレッグス脱水系は、ドレッグススラリーの固形分を濃縮する濃縮装置及び、ドレッグススラリーに対して薬剤を添加する薬剤添加装置を備えることが好ましく、さらにドレッグススラリーを洗浄する洗浄装置を備えることがより好ましい。
【0097】
より好ましい態様として、本実施形態のドレッグス脱水系は、ドレッグススラリーを洗浄する洗浄装置と、ドレッグススラリーの固形分を濃縮する濃縮装置とを備えるドレッグス脱水系であり、さらに、濃縮後のドレッグス残渣の含水率をモニタリング可能なように構成されている水分測定装置と、この含水率からドレッグススラリーに対する薬剤の添加量を適切に調整するように制御できるように構成されている制御部又は制御装置とを、備える、ドレッグス脱水系を提供することができる。これにより、ドレッグスに対して適切に薬剤を注入することができ、より良好にドレッグスを改質することができる。
【0098】
本技術は、以下のような構成を採用することができる。
〔1〕
分散剤を含有するドレッグス改質剤。
〔2〕
前記分散剤が、カルボン酸化合物、及び/又は、リン酸塩系分散剤である、前記〔1〕に記載のドレッグス改質剤。当該ドレッグス改質剤は、ドレッグス含水率低減剤、ドレッグス分散剤、ドレッグス粘度低減剤、又は残アルカリ分回収率向上剤のいずれかであってもよい。
〔3〕
前記分散剤が、カルボン酸化合物である、前記〔1〕に記載のドレッグス改質剤。
前記カルボン酸化合物は、ポリヒドロキシカルボン酸又はその塩、ポリカルボン酸ポリマー又はその塩、及び不飽和脂肪酸塩などのカルボン酸化合物、並びに、リン酸塩系分散剤から選択される1種又は2種以上であることが好適である。
〔4〕
前記分散剤が、カルボン酸化合物であり、
当該カルボン酸化合物が、ポリヒドロキシカルボン酸もしくはその塩、及び/又は、ポリカルボン酸ポリマーもしくはその塩である、前記〔1〕~〔3〕のいずれか1つに記載のドレッグス改質剤。
前記ポリヒドロキシカルボン酸もしくはその塩が、アルドン酸及び/又はその分子内ラクトン、もしくはその塩である、及び/又は、前記ポリカルボン酸ポリマーもしくはその塩が、(メタ)アクリル酸系重合体もしくはその塩である、ことが好適である。
〔5〕
前記分散剤が、カルボン酸化合物であり、
当該カルボン酸化合物が、グルコン酸もしくはその塩、及び/又は、ポリ(メタ)アクリル酸塩である、前記〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載のドレッグス改質剤。
〔6〕
前記薬剤が、引抜き後以降のドレッグスに添加するために用いるものである、前記〔1〕~〔5〕のいずれか一項に記載のドレッグス改質剤。より好適には、前記薬剤が、洗浄後のドレッグスに添加するために用いるものであることが好適である。
【0099】
〔7〕
ドレッグスを改質するために用いる、分散剤又は分散剤の使用。当該分散剤は、前記〔1〕~〔6〕のいずれか1つに記載されたものであることが好適である。
〔8〕
ドレッグス改質剤を製造するための分散剤の使用。当該ドレッグス改質剤は、前記〔1〕~〔6〕のいずれか1つに記載されたものであることが好適である。
【0100】
〔9〕
前記〔1〕~〔6〕のいずれか一つに記載のドレッグス改質剤をドレッグススラリーに対して添加する、ドレッグス改質方法。ドレッグス改質方法は、ドレッグス含水率低減方法、ドレッグス分散方法、ドレッグス粘度低減方法、又はドレッグスからの残アルカリ分回収率向上方法のいずれかであってもよい。
【0101】
〔10〕
水分測定装置を用いてドレッグス残渣の含水率をモニタリングし、当該含水率からドレッグススラリーに対するドレッグス改質剤の添加量を制御する、ドレッグス改質方法。
前記水分測定装置が、非接触型であることが好適である。
〔11〕
前記水分測定装置が、光学式水分計(好適には近赤外水分計)又はγ線密度計である、前記〔10〕に記載のドレッグス改質方法。
〔12〕
前記ドレッグス改質剤が、前記〔1〕~〔6〕のいずれか一つに記載のドレッグス改質剤である、前記〔10〕又は〔11〕に記載のドレッグス改質方法。
〔13〕
ドレッグス残渣の含水率をモニタリングするように構成されている水分測定装置と、
当該含水率からドレッグススラリーに対してドレッグス改質剤を添加するように構成されている薬剤添加装置とを備える、ドレッグス改質装置。
さらに、水分測定装置を用いてドレッグス残渣の含水率をモニタリングし、当該含水率からドレッグススラリーに対するドレッグス改質剤の添加量を制御するように構成されている制御装置を備えてもよい。
〔14〕
水分測定装置を用いてドレッグス残渣の含水率をモニタリングし、当該含水率からドレッグススラリーに対するドレッグス改質剤の添加量を制御するように構成されている、ドレッグス改質を制御する装置。当該制御装置は、好適には、コンピュータである。
〔15〕
前記〔13〕に記載のドレッグス改質装置又は〔14〕に記載のドレッグス改質制御装置を備える、ドレッグス脱水系又はドレッグス脱水装置。当該ドレッグス脱水系又はドレッグス脱水装置は、緑液処理系もしくは緑液処理装置、又は、パルプ製造系もしくは製造装置であってもよい。
【実施例】
【0102】
以下の試験例を挙げて、本発明の実施形態について説明をする。なお、本発明の範囲は試験例に限定されるものではない。
【0103】
<試験例1:ドレッグス改質剤を用いた試験例>
【0104】
[ドレッグススラリー]
ドレッグススラリーとして、某製紙工場の苛性化工程から採取した薬剤無添加のドレッグススラリーを用い、このドレッグススラリーの性状を表1に示した。
【0105】
【0106】
ドレッグススラリーのpHの測定は、HRIBA社製のハンディpHメータにて測定した。
ドレッグススラリーの含水率は、蒸発残分にて、ドレッグス残渣の含水率を求めた。具体的には、試料100mLを、あらかじめ質量をはかり恒量を得た蒸発皿(乾燥前)にとり、これを105℃~110℃の乾燥器で恒量に達するまで乾燥し、デシケーター中で放冷した後蒸発皿の増量(乾燥後)をはかって、蒸発残分とした。〔乾燥前の試料質量-乾燥後の試料質量/乾燥前の試料質量〕×100(%)から、含水率(%)を求めた。
ドレッグススラリーの全アルカリ度(Na2O換算値)とは、SCAN-N 30:85に準じて求めたものである("Total, active and effective alkali", SCAN-N 30:85, Scandinavian pulp, paper and board testing committee.)。
ドレッグススラリーの粘性(ファンネル粘度)の測定は、西日本試験機のファンネル粘度計 S-251/流下型粘度計を使い、スラリーを60℃に加温し、500mL通過時間を測定した。
【0107】
[試験方法]
ドレッグススラリーをポリ瓶に50mL採取し、温浴中で所定温度(60℃)まで加熱した。このドレッグススラリー中に、薬剤500mg/L、及び5000mg/Lの所定量になるように薬剤を添加し、均一になるよう十分混合した。混合したスラリー全量を吸引濾過器(最大吸引圧力:-0.070MPa)でNo.5Aろ紙 6mmを入れた桐山漏斗にスラリーを投入、60秒間吸引濾過した。
濾過後の脱水ケーキ全量を取り出し、ろ紙を剥がし湿潤質量を測定した(Ww)。
その後、105℃の乾燥器内で12時間以上乾燥し、放冷後に乾燥質量を測定した(Wd)。脱水ケーキ中の含水率を次式より求めた。
脱水ケーキ中の含水率(質量%)=[(Ww-Wd)/Ww]×100
【0108】
<薬剤>
薬剤1:グルコン酸ナトリウム
薬剤2:アクリル酸単独重合体(Na)(上記<カルボン酸ポリマーの重量平均分子量の測定方法>による重量平均分子量1,000~20,000)
薬剤3:ノニオン性界面活性剤 ポリオキシアルキレンアルキルエーテル
【0109】
<試験例1の結果・考察>
図5に、薬剤1~薬剤3を各ドレッグススラリーに対して添加した場合、その添加後の脱水ケーキ中の含水率の評価を示した。
石灰泥フィルター処理の際に、石灰泥の脱水に使用されているノニオン性界面活性剤タイプの薬剤3のポリオキシアルキレナルキルエーテルをドレッグススラリーに添加し混合したが、ドレッグスの含水率の低減が認められなかった。逆に、薬剤使用量500mg/Lと5000mg/Lのポリオキシアルキレナルキルエーテルを使用したときのドレッグス含水率は、ブランク(無添加)のときのドレッグスの含水率よりも、上昇したことを確認した。すなわち、石灰泥の含水率低下作用を有するノニオン性界面活性剤であるポリオキシアルキレナルキルエーテルに、ドレッグスの含水率の低減が認められず、かえって上昇が認められた。
【0110】
薬剤1のグルコン酸ナトリウムを、粘性のあるドレッグススラリーに添加し混合することで、ドレッグスの含水率の低減を確認した。
薬剤2のアクリル酸単独重合体を、粘性のあるドレッグススラリーに添加し混合した場合でも、ドレッグスの含水率の低減を確認したが、グルコン酸ナトリウムを使用した方がドレッグスの含水率低下作用に優れた効果を示した。
薬剤無添加の場合この粘性は26.8秒であったが、薬剤1及び薬剤2ともに、粘性のあるドレッグススラリーに対してそれぞれを添加し混合した場合、それぞれの粘性度は、5000mg/L添加で26.0秒及び26.5秒であり、ドレッグス固形分の分散性が向上したため、ドレッグスの粘度低下が認められた。
このように、薬剤1及び薬剤2ともに分散タイプの薬剤といえ、ドレッグススラリーに混合したときに良好な分散性も確認できた。
【0111】
よって、粘性のあるスラリー状のドレッグスに対して、グルコン酸塩、アクリル酸単独重合体のような分散剤を添加し混合することで、ドレッグスの含水率をより良好に低減させることができるとともにドレッグスの粘度をより良好に低減させることができた。よって、グルコン酸塩、アクリル酸単独重合体のような分散剤によって、ドレッグスの性状を改質することができた。さらに、ドレッグスの含水率を低減させることで、ドレッグスから回収するろ液量を増加させることができ、これにより、ろ液、すなわち残アルカリ分の回収率をより良好に向上させることができた。
【0112】
<試験例2:水分測定装置によるドレッグス改質方法の試験例>
【0113】
[ドレッグス残渣]
ドレッグス残渣として、某製紙工場の苛性化工程から採取した薬剤無添加のドレッグス残渣(表1のドレッグススラリー1)を用いた。
ドレッグス残渣に、水道水を添加して、含水率を任意に代えた試料を3つ作成し、この3つについて、手分析(蒸発残分)及び近赤外水分計にて測定し、これらの結果を
図5に示す。
【0114】
<近赤外水分計によるドレッグス残渣の含水率の測定方法>
ドレッグス残渣の含水率を、株式会社ケット科学研究所製の近赤外水分計「KJT-130」(商品名)にて、上方から、測定した。
<近赤外水分計KJT-130>
測定方式:近赤外線反射方式(3波長方式)
再現性:0±0.O05(校正板使用時)
測定距離:本体より150±25mm
測定径:約φ25mm
応答時間:約2秒
使用温度範囲:10℃~40℃
使用湿度範囲:O%~80%(結露なきこと)
【0115】
手分析の場合、上述した「ドレッグススラリーの含水率(蒸発残分)」にて、ドレッグススラリーをドレッグス残渣に代えて、ドレッグス残渣の含水率を求めた。
【0116】
ドレッグス残渣の含水率について、手分析(蒸発残分)と、近赤外水分計とで、それぞれ測定し、
図6に示すように3点プロットを行った。3点は直線上にあり、これらには高い正の相関関係があることが認められた(相関係数 0.99907;回帰直線 y=2.3471x+27.606)。この回帰直線を演算式として用い、この演算式に基づき水分測定装置の測定結果を蒸発残分の含水率に変換することができた。この相関関係に基づき、式1;Y=aX+bの演算式において、aを1~4程度、より好ましくは2~3、bを10~40程度、より好ましくは20~30と設定することができた。
これにより、近赤外水分計のような非接触型の水分測定装置であっても、得られた測定結果は、手分析によるドレッグス残渣の含水率の測定結果と相関関係にあることが確認できた。これにより、近赤外水分計のような非接触型の水分測定装置でも、ドレッグス残渣の含水率の増減も測定できることが確認できた。さらに、非接触型の水分測定装置は、手分析よりも簡便に測定でき、さらに手分析では難しいモニタリングもできるという利点を有する。また、非接触型の水分測定装置を用いることで、連続的又は断続的といった任意の期間でのドレッグススラリー及びドレッグス残渣のモニタリングも可能である。
【0117】
このことから、非接触型の水分測定装置を用いて、ドレッグス残渣の含水率のモニタリングをリアルタイムに行い、このモニタリングの水分測定結果に基づき、ドレッグススラリーに対する薬剤添加量の増減を調整するというフィードバック制御することができることが確認できた。これにより、緑液処理で発生したドレッグスをより良好に改質することができる。この技術を用いることで、特にドレッグス残渣の含水率の低減が簡便に行え、しかも薬剤使用量及びドレッグス残渣の搬送量の低減化による低コスト化も可能である。
【符号の説明】
【0118】
1a,1b パルプ製造系; 10 蒸解系; 11 蒸解釜; 20 黒液処理系; 21 エバポレータ; 22 ボイラ; 30a,30b 緑液清澄(粗緑液の処理)系; 31 溶解タンク(分散); 32 緑液クラリファイヤ(清澄); 33 清澄緑液タンク; 40 消和・苛性化系; 41 苛性化系; 42 白液クラリファイヤ; 43 白液タンク; 44 キルン; 411 スレーカ; 412 苛性化反応槽; 45 ライムマッドフィルター; 50a,50b ドレッグス脱水系(脱水装置);51 濃縮部(;52 薬剤添加部;53 水分測定部;55 制御部;56 洗浄部(ドレッグス希釈タンク);57 第一濃縮部(ドレッグスウォッシャー);58 第二濃縮部(ドレッグスフィルター);60 ドレッグス残渣(脱水ケーキ)
【要約】
【課題】 本発明は、緑液処理で発生したドレッグスをより良好に改質する技術を提供すること。
【解決手段】 本発明は、分散剤を含有するドレッグス改質剤を提供することができる。本発明は、前記ドレッグス改質剤をドレッグスに対して添加する、ドレッグス改質方法を提供することができる。本発明は、水分測定装置を用いてドレッグス残渣の含水率をモニタリングし、当該含水率からドレッグスに対するドレッグス改質剤の添加量を制御する、ドレッグス改質方法を提供することができる。
【選択図】
図1