(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】懸濁物質の堆積抑制方法、ピッチ障害の抑制方法および懸濁物質の堆積検出方法
(51)【国際特許分類】
D21H 21/02 20060101AFI20220405BHJP
D21F 1/00 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
D21H21/02
D21F1/00
(21)【出願番号】P 2021078810
(22)【出願日】2021-05-06
(62)【分割の表示】P 2019205069の分割
【原出願日】2019-11-12
【審査請求日】2021-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100131705
【氏名又は名称】新山 雄一
(72)【発明者】
【氏名】桂 仁樹
【審査官】長谷川 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-017334(JP,A)
【文献】国際公開第2012/070644(WO,A1)
【文献】特開2004-017005(JP,A)
【文献】特開2019-015427(JP,A)
【文献】国際公開第2006/137183(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21B1/00-1/38
D21C1/00-11/14
D21D1/00-99/00
D21F1/00-13/12
D21G1/00-9/00
D21H11/00-27/42
D21J1/00-7/00
C02F1/00-1/78
C02F7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抄紙設備における水系に配置される槽の底部に、水中の懸濁物質が堆積するのを抑制する懸濁物質の堆積抑制方法であって、
前記槽内に存在する水に対して酸素含有ガスを吹き込むことによって、撹拌および曝気を行う曝気工程と、
前記撹拌および前記曝気による前記槽内の水中に存在する懸濁物質の存在状態の経時的変化を検出する検出工程と、
前記検出工程での検出結果に基づいて、前記抄紙設備の稼働中に、前記槽内に、酸素含有ガスおよびスライムコントロール剤のうちの少なくともいずれかを供給し、前記槽内の懸濁物質の堆積を抑制する制御工程と、
を備え、
前記検出工程は、前記槽の高さ方向に複数配置された、温度計、濁度計およびMLSS計のうちの少なくともいずれかによ
って、温度または濁度について測定される
、複数の測定結果の差に基づいて、前記槽内の水中に存在する懸濁物質の存在状態の経時的変化を検出する、懸濁物質の堆積抑制方法。
【請求項2】
抄紙設備における水系に配置される槽より、ピッチが発生するのを抑制するピッチ障害の抑制方法であって、
前記槽内に存在する水に対して酸素含有ガスを吹き込むことによって、撹拌および曝気を行う曝気工程と、
前記撹拌および前記曝気による前記槽内の水中に存在する懸濁物質の存在状態の経時的変化を検出する検出工程と、
前記検出工程での検出結果に基づいて、前記抄紙設備の稼働中に、前記槽内に、酸素含有ガスおよびピッチコントロール剤のうちの少なくともいずれかを供給し、前記槽内のピッチの発生を抑制する制御工程と、
を備え、
前記検出工程は、前記槽の高さ方向に複数配置された、温度計、濁度計およびMLSS計のうちの少なくともいずれかによ
って、温度または濁度について測定される
、複数の測定結果の差に基づいて、前記槽内の水中に存在する懸濁物質の存在状態の経時的変化を検出する、ピッチ障害の抑制方法。
【請求項3】
抄紙設備における水系に配置される槽の底部に、水中の懸濁物質が堆積するのを検出する懸濁物質の堆積検出方法であって、
前記槽内に存在する水に対して酸素含有ガスを吹き込むことによって、撹拌および曝気を行う曝気工程と、
前記撹拌および前記曝気による前記槽内の水中に存在する懸濁物質の存在状態の経時的変化
から、前記懸濁物質の堆積を検出する検出工程と、
を備え、
前記検出工程は、前記槽の高さ方向に複数配置された、温度計、濁度計およびMLSS計のうちの少なくともいずれかによ
って、温度または濁度について測定される
、複数の測定結果の差に基づいて、前記槽内の水中に存在する懸濁物質の存在状態の経時的変化を検出する、懸濁物質の堆積検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、懸濁物質の堆積抑制方法、ピッチ障害の抑制方法および懸濁物質の堆積検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紙の製造(製紙)は、パルプ原料を水質に分散させた原料スラリーを抄紙することにより行われている。この製紙に際して、微細繊維、デンプン、填料などのパルプ原料から派生する懸濁物質を含む白水が、抄紙機などから多量に排出される。この白水は、水資源の有効活用や再利用の観点から、原料の希釈水として再度抄紙工程の水系を循環させて用いている。
【0003】
しかしながら、白水の滞留時間の長い槽では、白水に含まれる懸濁物質が沈殿し、槽の底部に堆積することがある。このように懸濁物質が槽の底部に堆積すると、その内部に酸素が供給されなくなり、嫌気性状態となる。このような環境下では、嫌気性微生物が発生し活性化して、還元物質を水中に放出して嫌気化させる。さらに、嫌気化した水が、抄紙工程の水系を循環して原料の希釈に使用されるため、白水循環系全体が嫌気化し、白水循環系全体で嫌気性微生物が活性化する。そして、このようにして活性化された嫌気性微生物が、紙の強度を向上させるための澱粉を分解し、所望する強度の紙が得られなくなることがある。また、白水循環系では、微生物から発生するスライムの抑制のために使用されるスライムコントロール剤の多くは酸化剤であるから、還元物質は、このスライムコントロール剤と反応して、所望のスライム抑制効果が得られなくなることもある。
【0004】
さらに、嫌気性微生物は、以上で説明したようにして澱粉を分解し消費した後、有機酸を生成する。一方で、白水循環系には填料として炭酸カルシウムが添加されるが、この炭酸カルシウムは有機酸と反応して溶解し、カルシウムイオンが白水循環系に増加する。そして、このようにして増加したカルシウムイオンは、紙力剤、サイズ剤、染料など紙の品質を向上させるための剤が紙へ定着することを阻害し、所望する品質の紙が得られなくなることもある。
【0005】
そこで、例えば特許文献1および2においては、白水に対して酸素含有ガスを曝気して、白水循環系を好気性条件に変えて還元物質の生成を抑制する方法が開示されている。そして、このような方法によれば、白水循環系に添加するスライムコントロール剤の量を低減させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5952230号公報
【文献】特許第6002095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1および2の方法を行う場合、白水に対する酸素含有ガスは、通常、過去の実績などに基づいて一定量を供給している。しかしながら、白水に含まれる懸濁物質は必ずしも一定とは限らないから、槽内に堆積する懸濁物質も一定とは限らない。したがって、一定量の酸素含有ガスを供給して稼動すると、槽内に堆積する懸濁物質を好気性にするのに必要な量に対して過不足が生じ得る。特に、酸素含有ガスの量が不足する場合には、嫌気性微生物が活性化して還元性物質が増加し、適切に抄紙を行うことができなくなることがある。そのため、処理すべき水系の環境に応じて酸素含有ガスの供給をより適切に制御する必要がある。
【0008】
また、抄紙設備の槽内には、通常、必要に応じてスライムコントロール剤を添加する。例えば、特許文献1および2では、貯槽の白水中の酸化還元電位を測定しており、この酸化還元電位に基づいてスライムコントロール剤を添加するが、酸化還元電位は、嫌気性微生物が活性化してはじめて変化するものであるから、嫌気性微生物が急激に活性化した場合などにスライムコントロール剤を事後的に添加しても、白水の環境によっては嫌気性微生物の活性化を抑制し切れず不良品が生じさせることがある。そのため、処理すべき水系の環境に応じてスライムコントロール剤の供給をより適切に制御する必要がある。
【0009】
さらに、槽内の水中には、澱粉、サイズ剤、ラテックス及びカゼイン等から構成されるピッチが含まれている。このピッチにより、ピッチ障害が引き起こされて不良品を生じさせることがある。そのため、ピッチコントロール剤を添加してピッチ障害の発生を抑制している。しかしながら、抄紙設備の槽内に堆積物が堆積していると、ピッチコントロール剤の効果が十分に発揮できず大量のピッチコントロール剤が必要になり得る。そのため、処理すべき水系の環境に応じてピッチコントロール剤の供給を適切に制御する必要がある。
【0010】
以上のとおり、抄紙設備を連続して稼動する際に、酸素含有ガス、スライムコントロール剤またはピッチコントロール剤の供給量を適切に制御することにより、貯槽中の堆積物やピッチに起因して生じる不良品の発生を低減するためには、なお改良の余地があった。
【0011】
本発明は、以上のような実情に鑑みてなされたものであり、抄紙設備を連続して稼動する際に、酸素含有ガス、スライムコントロール剤またはピッチコントロール剤を適切に制御することにより、貯槽から発生する堆積物やピッチに起因して生じる不良品の発生を低減することができる、新たな懸濁物質の堆積抑制方法、ピッチ障害の抑制方法およびそれらのような方法に用いることができる懸濁物質の堆積検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、抄紙設備における、水系に配置される槽の底部に、水中の懸濁物質が堆積するのを抑制する懸濁物質の堆積抑制方法であって、槽内に存在する水に対して酸素含有ガスを吹き込むことによって、撹拌および曝気を行う曝気工程と、撹拌および曝気による槽内の水中に存在する懸濁物質の存在状態の経時的変化を検出する検出工程と、検出工程での検出結果に基づいて、抄紙設備の稼働中に、槽内に、酸素含有ガスおよびスライムコントロール剤のうちの少なくともいずれかを供給し、槽内の懸濁物質の堆積を抑制する制御工程と、を備える、懸濁物質の堆積抑制方法によれば、抄紙設備を連続して稼動する際に、酸素含有ガス、スライムコントロール剤またはピッチコントロール剤の供給量をより適切に制御することにより、貯槽の堆積物に起因して生じる不良品の発生を低減することができることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に、本発明は、以下のものを提供する。
【0013】
(1)抄紙設備における水系に配置される槽の底部に、水中の懸濁物質が堆積するのを抑制する懸濁物質の堆積抑制方法であって、前記槽内に存在する水に対して酸素含有ガスを吹き込むことによって、撹拌および曝気を行う曝気工程と、前記撹拌および前記曝気による前記槽内の水中に存在する懸濁物質の存在状態の経時的変化を検出する検出工程と、前記検出工程での検出結果に基づいて、前記抄紙設備の稼働中に、前記槽内に、酸素含有ガスおよびスライムコントロール剤のうちの少なくともいずれかを供給し、前記槽内の懸濁物質の堆積を抑制する制御工程と、を備える、懸濁物質の堆積抑制方法。
【0014】
(2)前記検出工程は、温度計、濁度計、MLSS計および超音波センサーのうちの少なくとも1つを用いて、前記槽内の水中に存在する懸濁物質の存在状態の経時的変化を検出する、上記(1)に記載の懸濁物質の堆積抑制方法。
【0015】
(3)前記検出工程は、超音波センサーを用いた画像解析結果に基づいて、前記槽内に存在する水中の懸濁物質の存在状態の経時的変化を検出する、上記(1)に記載の懸濁物質の堆積抑制方法。
(4)抄紙設備における水系に配置される槽より、ピッチが発生するのを抑制するピッチ障害の抑制方法であって、前記槽内に存在する水に対して酸素含有ガスを吹き込むことによって、撹拌および曝気を行う曝気工程と、前記撹拌および前記曝気による前記槽内の水中に存在する懸濁物質の存在状態の経時的変化を検出する検出工程と、前記検出工程での検出結果に基づいて、前記抄紙設備の稼働中に、前記槽内に、酸素のガスおよびピッチコントロール剤のうちの少なくともいずれかを供給し、前記槽内のピッチの発生を抑制する制御工程と、を備える、ピッチ障害の抑制方法。
【0016】
(5)抄紙設備における水系に配置される槽の底部に、水中の懸濁物質が堆積するのを検出する懸濁物質の堆積検出方法であって、前記槽内に存在する水に対して酸素含有ガスを吹き込むことによって、撹拌および曝気を行う曝気工程と、前記撹拌および前記曝気による前記槽内の水中に存在する懸濁物質の存在状態の経時的変化を検出する検出工程と、備える、懸濁物質の堆積検出方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、抄紙設備を連続して稼動する際に、酸素含有ガス、スライムコントロール剤またはピッチコントロール剤の供給量をより適切に制御することにより、貯槽の堆積物に起因して生じる不良品の発生を低減することができる懸濁物質の堆積抑制方法、ピッチ障害の抑制方法およびそれらのような方法に用いることができる懸濁物質の堆積検出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態に係る抄紙設備の一態様を示す図である。
【
図2】温度の測定方法を説明するための槽の縦断面模式図である。
【
図3】試験例1の温度差率の経時変化を示すグラフである。
【
図4】対照試験例1の温度差率の経時変化を示すグラフである。
【
図5】濁度の測定方法を説明するための槽の縦断面模式図である。
【
図6】試験例2の濁度差率の経時変化を示すグラフである。
【
図7】対象試験例2の濁度差率の経時変化を示すグラフである。
【
図8】超音波センサーを用いた画像解析方法を説明するための槽の縦断面模式図である。
【
図9】試験例3における槽内の堆積物の画像解析結果を示す図である。
【
図10】対照試験例3における槽内の堆積物の画像解析結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の具体的な実施形態について、詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
【0020】
≪懸濁物質の堆積抑制方法≫
本実施形態に係る懸濁物質の堆積抑制方法は、抄紙設備における水系に配置される槽の底部に、水中の懸濁物質が堆積するのを抑制するものである。
【0021】
より具体的に、本実施形態に係る懸濁物質の堆積抑制方法は、槽内に存在する水に対して酸素含有ガスを吹き込むことによって、撹拌および曝気を行う曝気工程と、撹拌および曝気による槽内の水中に存在する懸濁物質の存在状態の経時的変化を検出する検出工程と、検出工程での検出結果に基づいて、抄紙設備の稼働中に、槽内に、酸素含有ガスおよびスライムコントロール剤のうちの少なくともいずれかを供給し、槽内の懸濁物質の堆積を抑制する制御工程と、を備えることを特徴とする。
【0022】
上述したとおり、従来の技術では、抄紙設備の稼働中に、槽内の懸濁物質の存在状態は確認しておらず、一定の種類や量の酸素含有ガスを供給していた。しかしながら、懸濁物質が底部に堆積して、酸素含有ガスが十分でなくなると、堆積した懸濁物質内に嫌気性微生物が増加し、さらに水中に還元物質が増加して、スライムコントロール剤の必要が多くなる。
【0023】
これに対し、本実施形態に係る懸濁物質の堆積抑制方法は、水に対して酸素含有ガスを吹き込んで撹拌および曝気を行ったことによる、槽内の水中に存在する懸濁物質の存在状態の経時的変化を検出し、その検出の結果に基づいて、抄紙設備の稼働中に、槽内に、酸素含有ガスおよびスライムコントロール剤のうちの少なくともいずれかの供給を制御する。
【0024】
これによって、酸素含有ガスおよびスライムコントロール剤のうち少なくともいずれかを、実際の槽内の懸濁物質の状態に合わせて調整することができる。特に、槽内に存在する懸濁物質のうち、槽の底部に堆積しているものは、嫌気性微生物を増加させ得る。酸素含有ガスの曝気量を調整して、槽の底部に堆積している懸濁物質中に酸素を導入したり、懸濁物質を浮遊させたりすることにより、嫌気性微生物の増加を抑制し、そこからスライムが発生することを抑制することができる。また、槽の底部に懸濁物質が堆積し、その内部が嫌気状態になったとしても、嫌気性微生物が増加する前にスライムコントロール剤を適量添加すれば、嫌気性微生物の急激な増加が抑制できる。
【0025】
本明細書において、「懸濁物質の堆積抑制」とは、槽内に存在する水に対して酸素含有ガスを吹き込むことによって、撹拌して、槽の底部に堆積した懸濁物質を浮上させて堆積を抑制することと、嫌気性微生物によって懸濁物質から発生するスライムを抑制することの2つのうち少なくとも1つの意義を有する。
【0026】
本明細書において、「パルプ原料」とは、紙パルプを製造するための原料をいう。具体的に、パルプ原料としては、少なくともパルプを含むものであり、その他に各種の製紙用薬剤を含んでいてもよい。
【0027】
パルプ原料のうちパルプとしては、特に限定されず、例えば広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)等の化学パルプ、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)等の機械パルプ、段ボール古紙、ライナー古紙、雑誌古紙、新聞古紙、地券古紙等から再生した古紙パルプ、上白古紙パルプ、脱墨古紙パルプなどを用いることができる。なお、原料パルプは、これらのうち1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
パルプ原料のうち製紙用薬剤としては、特に限定されず、例えば界面活性剤、ワックス、サイズ剤、填料、防錆剤、導電剤、消泡剤、分散剤、粘性調整剤、凝集剤、凝結剤、紙力増強剤、歩留向上剤、紙粉脱落防止剤、嵩高剤などを用いることができる。なお、製紙用薬剤は、これらのうち1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
槽としては、抄紙設備に配置されるものであれば特に限定されず、例えば白水サイロ、ろ液槽、余剰白水槽、処理水槽などが挙げられる。なお、これらの抄紙設備における配置の一例などの詳細については後述する。
【0030】
以下、本実施形態に係る懸濁物質の堆積抑制方法について、工程ごとに詳細に説明する。
【0031】
<曝気工程>
曝気工程は、槽内に存在する水に対して酸素含有ガスを吹き込むことによって、撹拌および曝気を行う工程である。
【0032】
このようにして、槽内に存在する水に対して酸素含有ガスを吹き込むことによって、槽の底部に堆積した懸濁物質を好気性条件に変化させるとともに、懸濁物質を流動させて浮遊させることができる。そして、これにより、還元性物質の生成を抑制し、またピッチの疎水基による抄紙設備の各部などへの結合を上記流動作用により物理的に抑制することができる。
【0033】
酸素含有ガスとしては、特に限定されず、例えば酸素ガス単体、空気等の酸素を含む混合ガス等が挙げられる。これらの中では、入手容易性の観点から、混合ガスが好ましく、空気がより好ましい。混合ガスには、酸素以外のガスとしては、窒素、二酸化炭素などが含まれていてもよい。酸素含有ガスは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0034】
酸素含有ガスを吹き込む方法としては、特に限定されず、散気管を用いる方法が挙げられる。具体的には、散気管の気泡の排出口を、槽の底部から上方に向け気泡を排出し、酸素と水(特に堆積した懸濁物質)との接触効率を高めることができる。散気管としては、特に限定されず、例えば排気口が直径1mm以上5mm以下の口径を有するものが挙げられる。なお、散気管としては1つを用いることも、複数を用いることもできる。散気管を複数用いる場合、このような排気口を、例えば5cm以上50cm以下毎に配置する。
【0035】
散気管の位置としては、槽内に存在する水に対して酸素含有ガスを吹き込む位置であれば特に限定されず、槽内および槽外の少なくとも1箇所に設ければよい。散気管を槽内に設ける場合、槽内の位置も特に限定されないが、少なくとも1つは、上述したとおり槽の底部から上方に向けて気泡を排出して酸素含有ガスを吹き込むことが好ましい。
【0036】
散気管を底部に設ける場合、その散気管による吹き込み量としては、特に限定されないが、例えば散気管1つあたり、槽の単位底面積(1m2)あたり0.5m3/時間以上10m3/時間以下であることが好ましい。このような吹き込み量で酸素含有ガスを吹き込むことにより、効率的に撹拌および曝気を行うことができ、嫌気性微生物の活性化を抑制することができる。
【0037】
酸素含有ガスの吹込みは、連続的に行っても、また、間歇的に行ってもよい。間歇的に行う場合、一回当たりの酸素含有ガスの吹込みを行う時間としては、特に限定されないが、3分以上30日以下、好ましくは4分以上20日以下である。酸素含有ガスの吹込みを行う時間が3分以上であることにより、水(特に堆積した懸濁物質)に酸素を充分に供給できる。酸素含有ガスの吹込みを行う時間が30日超であっても、酸素を水に充分に供給できるが、それに見合った効果は得られない。また、酸素含有ガスの吹込みを停止する時間としては、特に限定されないが、3分以上30日以下、好ましくは4分以上20日以下である。
【0038】
<検出工程>
検出工程は、撹拌および曝気による槽内の水中に存在する懸濁物質の存在状態の経時的変化を検出する工程である。
【0039】
懸濁物質の存在状態の経時的変化を検出する方法としては、特に限定されず、例えば温度計、濁度計、MLSS計(Mixed Liquor Suspended Solids、活性汚泥浮遊物質)、超音波センサー、直線状のパイプの少なくとも1つを用いた方法が挙げられる。このうち、温度計、濁度計および超音波センサーの少なくとも1つを用いた方法が好ましく、超音波センサーを少なくとも用いた方法がより好ましい。
【0040】
なお、これらの検出は、連続的に行っても、間歇的に行ってもよい。また、得られた電気的信号やデータは、連続的または間歇的に、計算機、データロガー、シーケンサなどに、有線または無線で送信して、それらの経時変化を記録してもよい。
【0041】
また、正確な検出を行う観点から、温度計、濁度計、MLSS計、超音波センサーには汚れの付着を防止する機構(例えば定期的に洗浄を行う洗浄機構)を設けることが好ましい。
【0042】
以下、それぞれの方法について具体的に説明する。
【0043】
(温度計を用いる場合)
槽の底部に懸濁物質が堆積すると、その箇所については水の流れが生じにくくなり、その箇所よりも上方の懸濁物質が堆積していない箇所と比較して温度が低くなる。そこで、槽の高さまたは水の高さ(液高さ)(または、それらの半分の高さ、数分の一の高さ)を複数(例えば、2以上)に等分し、それぞれの箇所(高さ)に温度計を、高さ方向に一直線上になるように配置する。これにより、少なくとも温度が上方に比べて著しく低い(例えば、すぐ上の温度計の値と比較して20%低いなど)箇所については懸濁物質が存在することを検知することができる。
【0044】
温度計としては、槽内の水の水温を測定できるものであれば特に限定されない。
【0045】
温度計の数としては、少なくとも層の高さ方向に2つ設ければ特に限定されないが、多いほど正確に測定することができるので、例えば槽の高さ方向に3以上設けることが好ましく、4以上設けることがより好ましく、5以上設けることがさらに好ましい。また、槽の高さ方向の温度計の数としては、例えば1000以下、500以下、100以下、50以下、20以下、10以下であってもよい。
【0046】
温度計の水平方向(槽の高さ方向と垂直な面方向)の位置として、特に限定されず、壁面近傍、槽の中心などあらゆる箇所に設けることができる。
【0047】
高さ方向に等分して配置した複数の温度計は、水平方向に1箇所のみに配置すればよいが、懸濁物質の堆積量が水平方向の位置によって異なる場合がある。このような場合に備えて、高さ方向に等分して配置した複数の温度計を、水平方向にも複数個所に配置してもよい。
【0048】
(濁度計またはMLSS計を用いる場合)
槽の底部に懸濁物質が堆積すると、その箇所については濁度が増加し、その箇所よりも上方の懸濁物質が堆積していない箇所と比較して濁度が高くなる。そこで、槽の高さまたは水の高さ(液高さ)(または、それらの半分の高さ、数分の一の高さ)を複数(例えば、2以上)に等分し、それぞれの箇所(高さ)に濁度計またはMLSS計を、高さ方向に一直線上になるように配置する。また、このとき、高さ方向に複数配置された濁度計またはMLSS計の全てを、水平方向(槽の高さ方向と垂直な面方向)のうち、同じ方向を向けるようにして配置する。そして、高さ方向に複数配置された濁度計またはMLSS計の全てについて、同時期に測定を行う。これにより、少なくとも濁度が上方に比べて著しく高い(例えば、すぐ上の濁度計またはMLSS計の値と比較して30%高いなど)箇所については懸濁物質が存在することを検知することができる。
【0049】
濁度計またはMLSS計の数としては、少なくとも層の高さ方向に2つ設ければ特に限定されないが、多いほど正確に測定することができるので、例えば槽の高さ方向に3以上設けることが好ましく、4以上設けることがより好ましく、5以上設けることがさらに好ましい。また、槽の高さ方向の濁度計またはMLSS計の数としては、例えば1000以下、500以下、100以下、50以下、20以下、10以下であってもよい。
【0050】
濁度計またはMLSS計の水平方向(槽の高さ方向と垂直な面方向)の位置として、特に限定されず、壁面近傍、槽の中心などあらゆる箇所に設けることができる。
【0051】
濁度計またはMLSS計の水平方向(槽の高さ方向と垂直な面方向)のうちの向きとして、特に限定されず、壁面近傍、槽の中心などあらゆる箇所に向けることができるが、水平方向の位置も含め、濁度を測定するのに十分な距離を担保する必要がある。
【0052】
高さ方向に等分して配置した複数の濁度計またはMLSS計は、水平方向に1箇所のみに配置すればよいが、懸濁物質の堆積量が水平方向の位置によって異なる場合がある。このような場合に備えて、高さ方向に等分して配置した複数の濁度計またはMLSS計を、水平方向にも複数個所に配置してもよい。
【0053】
なお、槽の高さ方向に濁度計またはMLSS計を複数設ける以外に、濁度計またはMLSS計を槽の高さ方向に沿って移動させながら測定する方法も挙げられる。
【0054】
(超音波センサーを用いる場合)
超音波は伝わっていく途中で徐々に減衰するが、その伝搬経路の途中に物性(音響インピーダンス)が変わる境界があると、その境界で超音波の一部が反射して逆方向に伝わる。この現象を利用し、水面またはその近傍に超音波センサーを配置して超音波を水面から槽の底部の方向に照射し、反射した波を超音波センサーで検出する。懸濁物質が堆積した箇所は、通常の水とは物性が異なるので、懸濁物質が堆積した箇所と、懸濁物質が堆積していない箇所を区別することができる。この検出結果は、少なくとも、槽の高さ方向に1次元的に得られるものであっても、2次元的に画像解析結果として得られるものであってもよい。このように超音波センサーを用いて得た結果は、槽内の実際の堆積物を高い精度で反映させたものであり、他の方法と比較しても高い精度で懸濁物質の存在状態(特に、堆積状態)を検出することができる。特に、2次元的な画像解析結果は、より高い精度で懸濁物質の存在状態(特に、堆積状態)を検出することができる。
【0055】
超音波センサーの数としては、特に限定されず、1以上の任意の数を設けてよいが、少なくとも1つ設ければ測定可能である。
【0056】
(直線状のパイプを用いる場合)
両端が開いた、槽内の水の水面高さよりも高い直線状のパイプを、水面から底部へ向けて差し込み、一方の端部が槽の底部に達した後、もう一方の端部を密閉して、パイプを引き上げると、そのパイプ内の高さ方向は、槽内の高さ方向の懸濁物質の存在状態を反映したものとなっている。
【0057】
また、検出工程では、上述した水中の懸濁物質の存在状態に加えて、槽内の水の酸化還元電位を測定してもよい。
【0058】
(酸化還元電位計を用いる場合)
酸化還元電位は、少なくとも1つの酸化還元電位計を配置して、槽内の水の酸化還元電位を測定すればよい。ただし槽の底部に懸濁物質が堆積し、さらに嫌気性状態となり嫌気性微生物が増加すると、その箇所については酸化還元電位が低下し、その箇所よりも上方の懸濁物質が堆積していない箇所と比較して酸化還元電位が低くなり誤差を生じることもある。そこで、槽の高さまたは水の高さ(または、それらの半分の高さ、数分の一の高さ)を複数(例えば、2以上)に等分し、それぞれの箇所(高さ)に酸化還元電位計を、高さ方向に一直線上になるように配置する。これにより、少なくとも酸化還元電位が上方に比べて著しく低い箇所については嫌気性微生物が存在することを検知することができる。
【0059】
酸化還元電位計の数としては、特に限定されず多いほど正確に測定することができる、例えば槽の高さ方向に3以上設けることが好ましく、4以上設けることがより好ましく、5以上設けることがさらに好ましい。また、槽の高さ方向の酸化還元電位計の数としては、例えば1000以下、500以下、100以下、50以下、20以下、10以下であってもよい。
【0060】
酸化還元電位計の水平方向(槽の高さ方向と垂直な面方向)の位置として、特に限定されず、壁面近傍、槽の中心などあらゆる箇所に設けることができる。
【0061】
酸化還元電位計の水平方向(槽の高さ方向と垂直な面方向)のうちの向きとして、特に限定されず、壁面近傍、槽の中心などあらゆる箇所に向けることができるが、水平方向の位置も含め、濁度を測定するのに十分な距離を担保する必要がある。
【0062】
高さ方向に等分して配置した複数の酸化還元電位計は、水平方向に1箇所のみに配置すればよいが、懸濁物質の堆積量が水平方向の位置によって異なる場合がある。このような場合に備えて、高さ方向に等分して配置した複数の酸化還元電位計を、水平方向にも複数個所に配置してもよい。
【0063】
なお、槽の高さ方向に酸化還元電位計を複数設ける以外に、酸化還元電位計を槽の高さ方向に沿って移動させながら測定する方法も挙げられる。
【0064】
この酸化還元電位の検出は、連続的に行っても、間歇的に行ってもよい。また、得られた電気的信号やデータは、連続的または間歇的に、計算機、データロガー、シーケンサなどに、有線または無線で送信して、それらの経時変化を記録してもよい。
【0065】
正確な検出を行う観点から、酸化還元電位計には汚れの付着を防止する機構(例えば定期的に洗浄を行う洗浄機構)を設けることが好ましい。
【0066】
<制御工程>
制御工程は、検出工程での検出結果に基づいて、抄紙設備の稼働中に、槽内に、酸素含有ガスおよびスライムコントロール剤のうちの少なくともいずれかを供給し、槽内の懸濁物質の堆積を抑制する工程である。
【0067】
検出工程での検出結果に基づいた、酸素含有ガスの供給方法としては、特に限定されないが、酸素含有ガスの量の増減、酸素含有ガス中の酸素量の増減、ガス供給速度の増減、ガス供給圧力の増減などが挙げられる。
【0068】
検出工程での検出結果に基づいた、スライムコントロール剤の供給方法としては、特に限定されないが、スライムコントロール剤の量の増減、(溶媒などを混合して添加する場合には)スライムコントロール剤の濃度の増減、(間歇的に添加する場合には)添加間隔の増減などが挙げられる。
【0069】
以下、検出工程における懸濁物質の存在状態の経時的変化を検出する方法ごとに、具体的な酸素含有ガスおよびスライムコントロール剤の供給の制御について説明する。
【0070】
超音波センサーを用いる場合には、槽の底部に堆積した懸濁物質の高さが直接的に得られる。検出工程での検出結果を参照して、槽内に存在する白水に対して所定時間酸素含有ガスの吹き込み前後を対比して、堆積した懸濁物質の高さがどのように変化したか分析する。例えば、酸素含有ガスの吹き込み後の懸濁物質の高さが、酸素含有ガスの吹き込み前の懸濁物質の高さと比較して、0~10%増加した場合には、それ以降の単位時間あたりの酸素含有ガスの曝気量またはスライムコントロール剤の添加量を、それ以前の単位時間あたりの酸素含有ガスの曝気量またはスライムコントロール剤の添加量に対し5~10%減少させる。また、酸素含有ガスの吹き込み後の懸濁物質の高さが、酸素含有ガスの吹き込み前の懸濁物質の高さと比較して、10~20%増加した場合には、それ以降の単位時間あたりの酸素含有ガスの曝気量またはスライムコントロール剤の添加量を、それ以前の単位時間あたりの酸素含有ガスの曝気量またはスライムコントロール剤の添加量に対し0~5%減少させる。さらに、酸素含有ガスの吹き込み後の懸濁物質の高さが、酸素含有ガスの吹き込み前の懸濁物質の高さと比較して、20%以上増加した場合には、それ以降の単位時間あたりの酸素含有ガスの曝気量またはスライムコントロール剤の添加量を、それ以前の単位時間あたりの酸素含有ガスの曝気量またはスライムコントロール剤の添加量に対し10%以上増加させる。
【0071】
また、温度計、濁度計またはMLSS計を用いる場合には、槽の底部に堆積した懸濁物質中の温度(温度計)または濁度(濁度計またはMLSS計)が得られる。検出工程での検出結果を参照して、槽内に存在する白水に対して所定時間酸素含有ガスの吹き込み前後を対比して、堆積した懸濁物質の温度または濁度がどのように変化したか分析する。例えば、酸素含有ガスの吹き込み後の懸濁物質の温度または濁度が、酸素含有ガスの吹き込み前の懸濁物質の温度または濁度と比較して、0~10%増加した場合には、それ以降の単位時間あたりの酸素含有ガスの曝気量またはスライムコントロール剤の添加量を、それ以前の単位時間あたりの酸素含有ガスの曝気量またはスライムコントロール剤の添加量に対し5~10%減少させる。また、酸素含有ガスの吹き込み後の懸濁物質の温度または濁度が、酸素含有ガスの吹き込み前の懸濁物質の温度または濁度と比較して、10~20%増加した場合には、それ以降の単位時間あたりの酸素含有ガスの曝気量またはスライムコントロール剤の添加量を、それ以前の単位時間あたりの酸素含有ガスの曝気量またはスライムコントロール剤の添加量に対し0~5%減少させる。さらに、酸素含有ガスの吹き込み後の懸濁物質の温度または濁度が、酸素含有ガスの吹き込み前の懸濁物質の温度または濁度と比較して、20%以上増加した場合には、それ以降の単位時間あたりの酸素含有ガスの曝気量またはスライムコントロール剤の添加量を、それ以前の単位時間あたりの酸素含有ガスの曝気量またはスライムコントロール剤の添加量に対し10%以上増加させる。
【0072】
スライムコントロール剤としては、特に限定されず、例えば有機系抗菌剤、無機系抗菌剤等が挙げられる。
【0073】
有機系抗菌剤としては、特に限定されず、例えばメチレンビスチオシアネート、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、4,5-ジクロロ-2-n-オクチルイソチアゾリン-3-オン、1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン、2-n-オクチルイソチアゾリン-3-オン、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、2,2-ジブロモ-3-ニトリロプロピオンアミド、2-ブロモ-2-ブロモメチルグルタロニトリル、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、2,2-ジブロモ-2-ニトロエタノール、1,1-ジブロモ-1-ニトロ-2-プロパノール、1,1-ジブロモ-1-ニトロ-2-アセトキシエタン、1,1-ジブロモ-1-ニトロ-2-アセトキシプロパン、2-ブロモ-2-ニトロ-1,3-ジアセトキシプロパン、トリブロモニトロメタン、β-ブロモ-β-ニトロスチレン、5-ブロモ-5-ニトロ-1,3-ジオキサン、5-ブロモ-2-メチル-5-ニトロ-1,3-ジオキサン、1,2-ビス(ブロモアセトキシ)エタン、1,2-ビス(ブロモアセトキシ)プロパン、1,4-ビス(ブロモアセトキシ)-2-ブテン、メチレンビスブロモアセテート、ベンジルブロモアセテート、N-ブロモアセトアミド、2-ブロモアセトアミド、ジクロログリオキシム、α-クロロベンズアルドキシム、α-クロロベンズアルドキシムアセテート、2-(p-ヒドロキシフェニル)グリオキシロヒドロキシモイルクロライド、トリヨードアリルアルコール、5-クロロ-2,4,6-トリフルオロイソフタロニトリル、2,4,5,6-テトラクロロイソフタロニトリル、3,3,4,4-テトラクロロテトラヒドロチオフェン-1,1-ジオキシド、4,5-ジクロロ-1,2-ジチオール-3-オン、ヘキサブロモジメチルスルホン、グルタルアルデヒド、オルトフタルアルデヒド、ジクロロフェン、第四級アンモニウム塩などが挙げられる。
【0074】
これらの中では、より高い抗菌効果が期待できる2,2-ジブロモ-3-ニトリロプロピオンアミド、2,2-ジブロモ-2-ニトロエタノールが好ましい。
【0075】
無機系抗菌剤としては、特に限定されず、例えば次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸バリウム等の次亜塩素塩、二酸化塩素、塩素化イソシアヌル酸、結合塩素型化合物等が挙げられる。
【0076】
これらの中では、適度な酸化力を有し、溶存有機物との反応性が低い次亜塩素酸ナトリウム、結合塩素型化合物が好ましい。
【0077】
結合塩素型化合物は、通常、遊離塩素を放出する塩素ドナーと、アンモニア、アンモニウム塩、有機窒素化合物のいずれかとを適当な条件で反応させることで生成する。塩素ドナーとしては、特に制限されず、例えば次亜塩素酸ナトリウムが使用される。アンモニウム塩としては、例えば塩化アンモニウム、臭化アンモニウム等のハロゲン化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム等が挙げられ、有機アミンとしては、例えばスルファミン酸や尿素等も使用される。また、水中で次亜塩素酸及び/又は次亜臭素酸を生じる化合物もよく、例えば塩素、二酸化塩素、高度さらし粉、次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸アンモニウム、次亜塩素酸マグネシウム、次亜臭素酸、次亜臭素酸ナトリウム、次亜臭素酸カリウム、次亜臭素酸カルシウム、次亜臭素酸アンモニウム、次亜臭素酸マグネシウム、クロル化及び/又はブロム化ヒダントイン類、クロル化及び/又はブロム化イソシアヌル酸及びそのナトリウム塩やカリウム塩等が挙げられる。
【0078】
結合塩素型化合物としては、公知の方法に従って製造したものを用いることもできるが、例えば栗田工業株式会社製「ファジサイド」(登録商標)として商業的に入手可能でもある。この「ファジサイド」(登録商標)は、臭化アンモニウムと次亜塩素酸ナトリウムの1:1反応物(モル比)である。
【0079】
スライムコントロール剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、スライムコントロール剤の添加を1度に行ってもよく、複数回に分けて行ってもよい。
【0080】
スライムコントロール剤の水系への添加方法としては、特に限定されず、スライムコントロール剤をそのまま添加してもよく、スライムコントロール剤を溶媒に溶解又は分散させて、溶液として使用することもできる。上記溶媒としては、特に限定されず、例えば水、有機溶媒、それらの混合溶媒等が挙げられる。
【0081】
スライムコントロール剤の水系への添加量としては、特に限定されず、固形分換算で、0.1mg/l以上1000mg/l以下、好ましくは1mg/l以上100mg/l以下である。濃度が0.1mg/l以上1000mg/lであることにより、スライムの発生を十分に抑制できる傾向がある。
【0082】
また、曝気と、スライムコントロール剤の添加は同時に行なってもよく、間を空けて行ってもよい。
【0083】
≪ピッチ障害の抑制方法≫
本実施形態に係るピッチ障害の抑制方法は、抄紙設備における水系に配置される槽より、ピッチが発生するのを抑制するものである。
【0084】
より具体的に、本実施形態に係るピッチ障害の抑制方法は、槽内に存在する水に対して酸素含有ガスを吹き込むことによって、撹拌および曝気を行う曝気工程と、撹拌および曝気による槽内の水中に存在する懸濁物質の存在状態の経時的変化を検出する検出工程と、検出工程での検出結果に基づいて、抄紙設備の稼働中に、槽内に、酸素含有ガスおよびピッチコントロール剤のうちの少なくともいずれかを供給し、槽内のピッチの発生を抑制する制御工程と、を備えるものである。
【0085】
上述したとおり、ピッチコントロール剤のピッチ障害の抑制効果は、槽内の懸濁物質の堆積の状態に大きく依存する。そこで、槽内の懸濁物質の存在状態の経時的変化を検出し、その検出結果に基づいて、酸素含有ガスおよびピッチコントロール剤のうちの少なくともいずれかを供給する。これにより、槽内の懸濁物質の存在状態の経時的変化を考慮して、ピッチコントロール剤を適量で添加することができる。
【0086】
なお、曝気工程および検出工程については、上述した堆積抑制方法と同様であるため、ここでは制御工程のみついて説明する。
【0087】
<制御工程>
制御工程は、検出工程での検出結果に基づいて、抄紙設備の稼働中に、槽内に、酸素含有ガスおよびピッチコントロール剤のうちの少なくともいずれかを供給し、槽内のピッチの発生を抑制する工程である。
【0088】
以下、検出工程における懸濁物質の存在状態の経時的変化を検出する方法ごとに、具体的な酸素含有ガスおよびピッチコントロール剤の供給の制御について説明する。なお、曝気工程および検出工程は、いずれも、上述した懸濁物質の堆積抑制方法と共通するため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0089】
超音波センサーを用いる場合には、槽の底部に堆積した懸濁物質の高さが直接的に得られる。検出工程での検出結果を参照して、槽内に存在する白水に対して所定時間酸素含有ガスの吹き込み前後を対比して、堆積した懸濁物質の高さがどのように変化したか分析する。例えば、酸素含有ガスの吹き込み後の懸濁物質の高さが、酸素含有ガスの吹き込み前の懸濁物質の高さと比較して、0~10%増加した場合には、それ以降の単位時間あたりの酸素含有ガスの曝気量またはピッチコントロール剤の添加量を、それ以前の単位時間あたりの酸素含有ガスの曝気量またはピッチコントロール剤の添加量に対し5~10%減少させる。また、酸素含有ガスの吹き込み後の懸濁物質の高さが、酸素含有ガスの吹き込み前の懸濁物質の高さと比較して、10~20%増加した場合には、それ以降の単位時間あたりの酸素含有ガスの曝気量またはピッチコントロール剤の添加量を、それ以前の単位時間あたりの酸素含有ガスの曝気量またはピッチコントロール剤の添加量に対し0~5%減少させる。さらに、酸素含有ガスの吹き込み後の懸濁物質の高さが、酸素含有ガスの吹き込み前の懸濁物質の高さと比較して、20%以上増加した場合には、それ以降の単位時間あたりの酸素含有ガスの曝気量またはピッチコントロール剤の添加量を、それ以前の単位時間あたりの酸素含有ガスの曝気量またはピッチコントロール剤の添加量に対し10%以上増加させる。
【0090】
また、温度計、濁度計またはMLSS計を用いる場合には、槽の底部に堆積した懸濁物質中の温度(温度計)または濁度(濁度計またはMLSS計)が得られる。検出工程での検出結果を参照して、槽内に存在する白水に対して所定時間酸素含有ガスの吹き込み前後を対比して、堆積した懸濁物質の温度または濁度がどのように変化したか分析する。例えば、酸素含有ガスの吹き込み後の懸濁物質の温度または濁度が、酸素含有ガスの吹き込み前の懸濁物質の温度または濁度と比較して、0~10%増加した場合には、それ以降の単位時間あたりの酸素含有ガスの曝気量またはピッチコントロール剤の添加量を、それ以前の単位時間あたりの酸素含有ガスの曝気量またはピッチコントロール剤の添加量に対し5~10%減少させる。また、酸素含有ガスの吹き込み後の懸濁物質の温度または濁度が、酸素含有ガスの吹き込み前の懸濁物質の温度または濁度と比較して、10~20%増加した場合には、それ以降の単位時間あたりの酸素含有ガスの曝気量またはピッチコントロール剤の添加量を、それ以前の単位時間あたりの酸素含有ガスの曝気量またはピッチコントロール剤の添加量に対し0~5%減少させる。さらに、酸素含有ガスの吹き込み後の懸濁物質の温度または濁度が、酸素含有ガスの吹き込み前の懸濁物質の温度または濁度と比較して、20%以上増加した場合には、それ以降の単位時間あたりの酸素含有ガスの曝気量またはピッチコントロール剤の添加量を、それ以前の単位時間あたりの酸素含有ガスの曝気量またはピッチコントロール剤の添加量に対し10%以上増加させる。
【0091】
ピッチコントロール剤としては、特に限定されず、界面活性剤(カチオン性、アニオン性、非イオン性)・ポリマー(水溶性、カチオン性モノマー、カチオン性、アニオン性、両性、非イオン性、アルカリ化合物、コポリマー、四級アンモニウム系、エステル系、エーテル系、アルコール系、グリコール系、エーテルエステル系、メタアクリル系、ポリビニルアルコール、ポリアミド、アクリルアミド、ポリエーテルエステルアミド、アルキルアミン、アルキレンジアミン、ジアリルアミン、ポリエチレンイミン、ピロリドン、ポリアミン/エピハロヒドリン、ヒドロキシアルキルセルロース、変性シリコーン、フェノール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、ポロキサマー、テルペンアルコーツ系、無機材料(無機塩、アルカリ金属塩、アルミニウム化合物、鉄化合物、カルシウム化合物、タルク、ベントナイト、ゼオライト、珪藻土、マイカ、ホワイトカーボン)、澱粉、蛋白質、酵素、シクロデキストリン、水溶性セルロース、有機酸、ホスホン酸、グルコン酸、リンゴ酸、クエン酸、酢酸、スルホン酸、マレイン酸、酒石酸、乳酸、グリコール酸、硫酸、ワックス、鉱物油、植物油、動物油、乳化剤、酸化剤、キレート剤などが挙げられる。
【0092】
ピッチコントロール剤としては、例えば栗田工業株式会社製「スパンプラス」(登録商標)が商業的に入手可能である。ピッチコントロール剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、ピッチコントロール剤の添加は1度に行っても良く、複数回に分けて行ってもよい。ピッチコントロール剤の水系への添加量は、特に限定されず、対SSで0.1mg/l以上10,000mg/l以下である。
【0093】
≪懸濁物質の堆積検出方法≫
本実施形態に係る懸濁物質の堆積検出方法は、抄紙設備における、パルプ原料中の成分から派生した懸濁物質を含む白水が循環する白水循環系、および白水循環系に導入する水系のうちの少なくとも一方に配置される槽の底部に、白水中の懸濁物質が堆積するのを検出する懸濁物質の堆積検出方法である。
【0094】
より具体的に、本実施形態に係る懸濁物質の堆積検出方法は、槽内に存在する白水に対して酸素含有ガスを吹き込むことによって、撹拌および曝気を行う曝気工程と、撹拌および前記曝気による前記槽内に存在する白水中の懸濁物質の存在状態の経時的変化を検出する検出工程と、を備えることを特徴とする。
【0095】
そして、このような堆積検出方法は、上述した懸濁物質の堆積抑制方法やピッチ障害の抑制方法に代表されるように、槽内の懸濁物質の堆積量に基づいて、抄紙設備の維持管理などの制御を行う場合に有用である。
【0096】
≪抄紙設備の一例≫
以下、以上で述べた懸濁物質の堆積抑制方法および懸濁物質の堆積検出方法を適用することができる抄紙設備について、図を用いて具体的に説明する。なお、本発明は、以下の具体的な抄紙設備に一切限定されるものではない。
【0097】
図1は、本実施形態に係る抄紙設備の一態様を示す図である。原料パルプスラリー製造装置1は、原料パルプスラリーを製造するための装置であり、マシンタンク2と配管を介して接続されている。マシンタンク2は、原料パルプスラリーを保管するタンクであり、ファンポンプ27、ファンポンプ3によりスクリーン4を経由してインレット5に送る。インレット5に送られた原料パルプスラリーをワイヤーパート6に供給し、脱水する。脱水された湿潤シート7をプレスパート8からドライヤーパート9に送る。ワイヤーパート6で分離された白水10は、白水サイロ11に貯留する。白水サイロ11に貯留された白水の一部は、原料と共にインレット5に送られ、また、ファンポンプ23を介して余剰白水槽13にも送られる。余剰白水槽13に送られた白水は、ファンポンプ25を介して固液分離装置15に送られ、固形分は排出または原料系統に回収される(16)。一方で。固液分離装置15で生じたろ液は、ファンポンプ26を介して、原料パルプスラリー製造装置1または、マシンタンク2より排出されるパルプスラリーと混合されて、白水循環系に導入される。また、白水循環系に導入する水系19は、処理水槽20に貯留された後、ファンポンプ24を介して、余剰白水槽13に導入される。なお、白水サイロ11、余剰白水槽13、ろ液槽17、処理水槽20には、スライムコントロール剤12、14、18、21がそれぞれ添加される。
【0098】
そして、このような抄紙設備において、上述した懸濁物質の堆積抑制方法および懸濁物質の堆積検出方法は、白水循環系(抄紙系)に限られず、抄紙設備内に配置されるあらゆる槽に適用することができる。具体的に、懸濁物質の堆積抑制方法および懸濁物質の堆積検出方法は、白水サイロ11、余剰白水槽13、ろ液槽17、処理水槽20などの槽の懸濁物質の堆積抑制および堆積検出に有効である。
【0099】
このような槽において、槽内の水に対し酸素含有ガスを曝気するとともに、堆積物の状態について検出を行い、その結果に基づいて酸素含有ガス、スライムコントロール剤、ピッチコントロール剤の少なくともいずれかを添加して、堆積物の抑制またはピッチ障害の抑制を行うことにより、貯槽の堆積物やピッチに起因して生じる不良品の発生を低減することができる。
【実施例】
【0100】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。
【0101】
〔試験例1〕
抄紙設備内に設けられた高さ4m、直径4mの円筒型の余剰白水槽内の白水に対し、高さ方向に10cmごとに直径2mmの口径を有する散気管を用いて、散気管1つあたり、槽の底面積について単位面積1m2あたり2m3/時間の空気により連続的に曝気した。まず、余剰白水槽の清掃を行い、堆積物を完全に除去した状態から稼働を開始した。開始から8日経過した時点で稼働を一旦停止し、2日間槽内の清掃をして堆積物を完全に除去した状態から再度稼働を9日間行い(最初の開始から19日経過後)、その後稼動を停止した。以下に示す方法で、抄紙設備の稼働中、余剰白水槽内の水の温度の測定を行った。
【0102】
〔試験例2〕
余剰白水槽内の水の濁度の測定を行った以外、試験例1と同様に試験を行った。
【0103】
〔試験例3〕
余剰白水槽内の水について超音波センサーを用いた画像解析を行った以外、試験例1と同様に試験を行った。
【0104】
〔対照試験例1〕
空気による曝気を行わなかったこと以外、上記試験例1と同様に試験を行った。
【0105】
〔対照試験例2〕
空気による曝気を行わなかったこと以外、上記試験例2と同様に試験を行った。
【0106】
〔対照試験例3〕
空気による曝気を行わなかったこと以外、上記試験例3と同様に試験を行った。
【0107】
なお、試験例1~3、対照試験例1~3は、それぞれ同じ時期に行ったものではない。
【0108】
(温度の測定)
図2は、温度の測定方法を説明するための槽の縦断面模式図である。槽の高さを100%、槽の底部を0%としたときに、槽の高さ方向に約0~25%の間の水の温度を測定するための第1の温度計を槽の高さ方向に12.5%の位置に、槽の高さ方向に約30~50%の間の水の温度を測定するための第2の温度計を槽の高さ方向に40%の位置にそれぞれ配置した。これら第1の温度計および第2の温度計が示す温度を経時的に測定するとともに、第2の温度計が示す温度に対する、第2の温度計が示す温度と第1の温度計が示す温度の差(第2の温度計が示す温度-第1の温度計が示す温度)を算出した(以下、「温度差率」という。)。
図3は、試験例1の温度差率の経時変化を示すグラフである。また、
図4は、対照試験例1の温度差率の経時変化を示すグラフである。なお、この系では、温度差率が20%以上となったら、堆積物の堆積が多くなったといえる。
【0109】
(濁度の測定)
図5は、濁度の測定方法を説明するための槽の縦断面模式図である。槽の高さを100%、槽の底部を0%としたときに、槽の高さ方向に約0~25%の間の水の濁度を測定するための第1の濁度計を槽の高さ方向に12.5%の位置に、槽の高さ方向に約30~50%の間の水の濁度を測定するための第2の濁度計を槽の高さ方向に40%の位置にそれぞれ配置した。これら第1の濁度計および第2の濁度計が示す濁度を経時的に測定するとともに、第2の濁度計が示す濁度に対する、第1の濁度計が示す濁度と第2の濁度計が示す濁度の差(第1の濁度計が示す濁度-第2の濁度計が示す濁度)を算出した(以下、「濁度差率」という。)。
図6は、試験例2の濁度差率の経時変化を示すグラフである。また、
図7は、対象試験例2の濁度差率の経時変化を示すグラフである。なお、この系では、濁度差率が30%以上となったら、堆積物の堆積が多くなったといえる。
【0110】
(超音波センサーを用いた画像解析)
図8は、超音波センサーを用いた画像解析方法を説明するための槽の縦断面模式図である。槽の上方に超音波センサー(クリソニック、栗田工業株式会社製)を用いて、槽の内部の堆積物の状態について画像解析を行った。
図9は、試験例1における槽内の堆積物の画像解析結果を示す図である。また、
図10は、対照試験例1における槽内の堆積物の画像解析結果を示す図である。
【0111】
(堆積物高さの測定)
稼働停止の際に、槽内底部に堆積した堆積物をメジャーで測定した。なお、試験例3および対象試験例3において測定した堆積物高さと、稼働停止直前に超音波センサーを用いた画像解析により測定した堆積物高さは一致した。
【0112】
(酸化還元電位の測定)
酸化還元電位(TRX-98、東興化学研究所株式会社製)を用いて、槽上部の水の酸化還元電位を測定した。
【0113】
(還元物質濃度の測定)
稼働停止の際に、槽からポンプで送液される白水をサンプリング弁から採取し、その白水についてJIS K 0102:2008に準拠して、亜硫酸イオンの量を測定した。
【0114】
【符号の説明】
【0115】
1 原料製造工程
2 マシンタンク
3 ファンポンプ
4 スクリーン
5 インレット
6 ワイヤーパート
7 湿潤シート
8 プレスパート
9 ドライヤーパート
10 白水
11 白水サイロ
12,14,18,21 スライムコントロール剤
13 余剰白水槽
15 固液分離装置
16 固形分を排出又は原料系統に回収
17 ろ液槽
19 白水循環系に導入する水系
20 処理水槽
22 白水循環系
23,24,25,26 ファンポンプ