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特許7053066ポリアミド-イミド共重合体およびこれを含むポリアミド-イミドフィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】ポリアミド-イミド共重合体およびこれを含むポリアミド-イミドフィルム
(51)【国際特許分類】
   C08G 73/14 20060101AFI20220405BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
C08G73/14
C08J5/18 CFG
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020518016
(86)(22)【出願日】2018-10-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-10
(86)【国際出願番号】 KR2018012129
(87)【国際公開番号】W WO2019117445
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2020-04-01
(31)【優先権主張番号】10-2017-0169717
(32)【優先日】2017-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0121996
(32)【優先日】2018-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ユナ
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ヒョン サム
(72)【発明者】
【氏名】キム、ビョン グク
(72)【発明者】
【氏名】エオム、ヤン シク
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、サン ヨル
(72)【発明者】
【氏名】キム、サン ゴン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ドゥク フン
【審査官】堀内 建吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-241196(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0130004(US,A1)
【文献】国際公開第2016/108631(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 73/14
C08J 5/18
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される第1繰り返し単位、
下記化学式2で表される第2繰り返し単位、および
下記化学式3で表される第3繰り返し単位を含み、
前記第1繰り返し単位に対して、前記第2繰り返し単位および第3繰り返し単位の総合のモル比が3:7~6:4であり、
第2繰り返し単位:第3繰り返し単位のモル比が10:90~50:50である、
ポリアミド-イミド共重合体:
[化学式1]
【化1】
上記化学式1で、
は、それぞれの繰り返し単位で同一であるか互いに異なり、それぞれ独立して単一結合、-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)-、-Si(CH-、-(CH-(ここで、1≦p≦10)、-(CF-(ここで、1≦q≦10)、-C(CH-、-C(CF-、-C(=O)NH-、または炭素数6~30の2価の芳香族有機基であり;
は、それぞれの繰り返し単位で同一であるか互いに異なり、それぞれ独立して-H、-F、-Cl、-Br、-I、-CF、-CCl、-CBr、-CI、-NO、-CN、-COCH、-CO、炭素数1~10の三個の脂肪族有機基を有するシリル基、炭素数1~10の脂肪族有機基、または炭素数6~20の芳香族有機基であり;
n1およびm1は、それぞれ独立して0~3の整数であり;
は、それぞれの繰り返し単位で同一であるか互いに異なり、それぞれ独立して一つ以上のトリフルオロメチル基(-CF)を含む炭素数6~30の2価の芳香族有機基を含み;前記芳香族有機基は単独で存在するか;2つ以上の芳香族有機基が互いに接合されて2価の縮合環を形成するか;または2つ以上の芳香族有機基が単一結合、フルオレニレン基、-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)-、-Si(CH-、-(CH-(ここで、1≦p≦10)、-(CF-(ここで、1≦q≦10)、-C(CH-、-C(CF-、または-C(=O)NH-によって連結されており、;
は、それぞれ独立して単一結合または-NH-であり;
[化学式2]
【化2】
[化学式3]
【化3】
上記化学式2および化学式3で、
およびY2'は、それぞれの繰り返し単位で同一であるか互いに異なり、それぞれ独立して一つ以上のトリフルオロメチル基(-CF)を含む炭素数6~30の2価の芳香族有機基であり;前記芳香族有機基は単独で存在するか;2つ以上の芳香族有機基が互いに接合されて2価の縮合環を形成するか;または2つ以上の芳香族有機基が単一結合、フルオレニレン基、-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)-、-Si(CH-、-(CH-(ここで、1≦p≦10)、-(CF-(ここで、1≦q≦10)、-C(CH-、-C(CF-、または-C(=O)NH-によって連結されており、;
、E 3' 、E 、およびE 4' は、-NH-であり、
およびE 2' は、単一結合である。
【請求項2】
前記第1繰り返し単位に対して、前記第2繰り返し単位および第3繰り返し単位の総合モル比が3:7~4:6であり、
前記第2繰り返し単位:第3繰り返し単位のモル比が30:70~45:55である、
請求項1に記載のポリアミド-イミド共重合体。
【請求項3】
前記第1繰り返し単位に対して、前記第2繰り返し単位および第3繰り返し単位の総合のモル比が4.5:5.5~6:4であり、
前記第2繰り返し単位:第3繰り返し単位のモル比が20:80~40:60である、
請求項1に記載のポリアミド-イミド共重合体。
【請求項4】
前記第1繰り返し単位は、下記化学式1-1で表される繰り返し単位を含む、
請求項1から3のいずれか1項に記載のポリアミド-イミド共重合体:
[化学式1-1]
【化4】
上記化学式1-1で、
、R、n1およびm1は、化学式1で定義したとおりである。
【請求項5】
前記第2繰り返し単位は、下記化学式2-1で表される繰り返し単位を含む、
請求項1から4のいずれか1項に記載のポリアミド-イミド共重合体:
[化学式2-1]
【化5】
【請求項6】
前記第3繰り返し単位は、下記化学式3-1で表される繰り返し単位を含む、
請求項1から5のいずれか1項に記載のポリアミド-イミド共重合体:
[化学式3-1]
【化6】
【請求項7】
重量平均分子量が10,000~1,000,000g/molである、
請求項1から6のいずれか1項に記載のポリアミド-イミド共重合体。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載のポリアミド-イミド共重合体を含む、
ポリアミド-イミドフィルム。
【請求項9】
400nm~800nm波長領域で測定された厚さ方向リタデーション(Rth)が4,000nm~6,000nmである、
請求項8に記載のポリアミド-イミドフィルム。
【請求項10】
ASTM D1925による380~780nmの波長の領域で測定された黄変指数(Y.I.)が2.0~10.0である、
請求項8または9に記載のポリアミド-イミドフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
【0002】
本出願は2017年12月11日付韓国特許出願第10-2017-0169717号および2018年10月12日付韓国特許出願第10-2018-0121996号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0003】
本発明は、ポリアミド-イミド共重合体およびこれを含むポリアミド-イミドフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0004】
芳香族ポリアミド-イミド樹脂は大部分非結晶性構造を有する高分子であって、剛直な鎖構造によって優れた耐熱性、耐化学性、電気的特性、および寸法安定性を示す。このようなポリアミド-イミド樹脂は、電気/電子、宇宙、航空および自動車などの材料として広く使用されている。
【0005】
しかし、全芳香族ポリアミド-イミド樹脂は、優れた耐熱性にもかかわらず、大部分不溶、不融であって成形および加工性が低下し、樹脂の加工のために通常の加工装備の使用が難しい問題点があった。
【0006】
したがって、ポリアミド-イミド樹脂の優れた耐熱性および高温での機械的物性低下は最少化しながらも溶融成形性を改善しようとする研究が多様に行われており、例えば、ポリアミド-イミド樹脂内鎖の柔軟性を増加させることができるように、-O-、-S-グループなどを導入する方法、メタ置換体や体積が大きい分子構造を導入する方法などが提案された。前記提案によるポリアミド-イミド樹脂は曲がった構造または脂肪族環化合物によって十分な耐熱性を示しにくく、これを使用して製造されたフィルムは劣悪な機械的物性を示す限界が依然として存在する。
【0007】
また、ポリアミド-イミド樹脂がフレキシブルディスプレイ素材として使用される場合に、熱的特性および機械的特性以外にも光学的特性に優れることが要求され、このような物性を同時に要求される水準で満足させにくい問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、耐熱性および機械的物性に優れながらも、優れた光学的特性を示すポリアミド-イミド共重合体を提供するためのものである。
【0009】
そして、本発明は、前記ポリアミド-イミド共重合体を含むポリイミドフィルムを提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、下記化学式1で表される第1繰り返し単位、下記化学式2で表される第2繰り返し単位、および下記化学式3で表される第3繰り返し単位を含み、第2繰り返し単位:第3繰り返し単位のモル比が10:90~50:50である、ポリアミド-イミド共重合体を提供する:
【0011】
[化学式1]
【化1】
【0012】
上記化学式1で、
【0013】
は、それぞれの繰り返し単位で同一であるか互いに異なり、それぞれ独立して単一結合、-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)-、-Si(CH-、-(CH-(ここで、1≦p≦10)、-(CF-(ここで、1≦q≦10)、-C(CH-、-C(CF-、-C(=O)NH-、または炭素数6~30の2価の芳香族有機基であり;
は、それぞれの繰り返し単位で同一であるか互いに異なり、それぞれ独立して-H、-F、-Cl、-Br、-I、-CF、-CCl、-CBr、-CI、-NO、-CN、-COCH、-CO、炭素数1~10の三個の脂肪族有機基を有するシリル基、炭素数1~10の脂肪族有機基、または炭素数6~20の芳香族有機基であり;
n1およびm1は、それぞれ独立して0~3の整数であり;
は、それぞれの繰り返し単位で同一であるか互いに異なり、それぞれ独立して一つ以上のトリフルオロメチル基(-CF)を含む炭素数6~30の2価の芳香族有機基を含み;前記芳香族有機基は単独で存在するか;2つ以上の芳香族有機基が互いに接合されて2価の縮合環を形成するか;または2つ以上の芳香族有機基が単一結合、フルオレニレン基、-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)-、-Si(CH-、-(CH-(ここで、1≦p≦10)、-(CF-(ここで、1≦q≦10)、-C(CH-、-C(CF-、または-C(=O)NH-によって連結されており、;
は、それぞれ独立して単一結合または-NH-であり;
[化学式2]
【化2】
[化学式3]
【化3】
上記化学式2および化学式3で、
およびY2'は、それぞれの繰り返し単位で同一であるか互いに異なり、それぞれ独立して一つ以上のトリフルオロメチル基(-CF)を含む炭素数6~30の2価の芳香族有機基であり;前記芳香族有機基は単独で存在するか;2つ以上の芳香族有機基が互いに接合されて2価の縮合環を形成するか;または2つ以上の芳香族有機基が単一結合、フルオレニレン基、-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)-、-Si(CH-、-(CH-(ここで、1≦p≦10)、-(CF-(ここで、1≦q≦10)、-C(CH-、-C(CF-、または-C(=O)NH-によって連結されており、;
、E2'、E、E3'、EおよびE4'は、それぞれ独立して単一結合または-NH-である。
【0014】
また、本発明によれば、前記ポリアミド-イミド共重合体を含むポリアミド-イミドフィルムが提供される。
【0015】
以下、発明の実施形態によるポリアミド-イミド共重合体およびこれを含むポリアミド-イミドフィルムについて詳しく説明する。
【0016】
それに先立ち、本明細書で明示的な言及がない限り、専門用語は単に特定実施例を言及するためのものであり、本発明を限定することを意図しない。
【0017】
本明細書で使用される単数形態は、文句がこれと明確に反対の意味を示さない限り複数形態も含む。
【0018】
本明細書で使用される'含む'の意味は特定特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分を具体化し、他の特定特性、領域、整数、段階、動作、要素、成分および/または群の存在や付加を除外させるのではない。
【0019】
そして、本明細書で'第1'および'第2'のように序数を含む用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的で使用され、前記序数によって限定されない。例えば、本発明の権利範囲内で第1構成要素は第2構成要素に命名されてもよく、同様に第2構成要素は第1構成要素に命名されてもよい。
【0020】
本明細書で、重量平均分子量は、GPC法によって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する。前記GPC法によって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を測定する過程では、通常知られた分析装置と示差屈折検出器(Refractive Index Detector)などの検出器および分析用カラムを使用することができ、通常適用される温度条件、溶媒、flow rateを適用することができる。
【0021】
I.ポリアミド-イミド共重合体
【0022】
本発明の一実施形態によれば、前述の化学式1で表される第1繰り返し単位、下記化学式2で表される第2繰り返し単位および下記化学式3で表される第3繰り返し単位を含むポリアミド-イミド共重合体が提供される。
【0023】
ポリアミド-イミド共重合体は多様な分野に適用され、様々な物性を同時に満足させることが要求される。本発明者らの継続的な研究の結果、ポリアミド-イミド共重合体を製造することにおいて、アミド由来繰り返し単位に2種の特定構造を導入することによって、共重合体の熱的特性、機械的特性と光学的特性を同時に改善することができるのを発見した。具体的には、共重合体製造時ジアシルハライド、ジカルボン酸およびジカルボキシレート化合物をそれぞれ特定構造で限定し、これらのモル比を限定することによって、ポリアミド-イミド共重合体の機械的物性と耐熱性を優れた水準で維持しながら、樹脂の光学的特性を共に向上させることができるのを確認した。特に、非等方性を示して、フレキシブルディスプレイなどへの適用が容易であるようにした。
【0024】
(i)イミド由来繰り返し単位:第1繰り返し単位
【0025】
[化学式1]
【化4】
【0026】
上記化学式1で、
は、それぞれの繰り返し単位で同一であるか互いに異なり、それぞれ独立して単一結合、-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)-、-Si(CH-、-(CH-(ここで、1≦p≦10)、-(CF-(ここで、1≦q≦10)、-C(CH-、-C(CF-、-C(=O)NH-、または炭素数6~30の2価の芳香族有機基であり;
は、それぞれの繰り返し単位で同一であるか互いに異なり、それぞれ独立して-H、-F、-Cl、-Br、-I、-CF、-CCl、-CBr、-CI、-NO、-CN、-COCH、-CO、炭素数1~10の三個の脂肪族有機基を有するシリル基、炭素数1~10の脂肪族有機基、または炭素数6~20の芳香族有機基であり;
n1およびm1は、それぞれ独立して0~3の整数であり;
は、それぞれの繰り返し単位で同一であるか互いに異なり、それぞれ独立して一つ以上のトリフルオロメチル基(-CF)を含む炭素数6~30の2価の芳香族有機基を含み;前記芳香族有機基は単独で存在するか;2つ以上の芳香族有機基が互いに接合されて2価の縮合環を形成するか;または2つ以上の芳香族有機基が単一結合、フルオレニレン基、-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)-、-Si(CH-、-(CH-(ここで、1≦p≦10)、-(CF-(ここで、1≦q≦10)、-C(CH-、-C(CF-、または-C(=O)NH-によって連結されており、;
は、それぞれ独立して単一結合または-NH-である。
【0027】
ここで、前記単一結合は、前記化学式1でRが両側のグループを単純に連結する化学結合である場合を意味する。
【0028】
は、それぞれの繰り返し単位で同一であるか互いに異なり、それぞれ独立して-H、-F、-Cl、-Br、-I、-CF、-CCl、-CBr、-CI、-NO、-CN、-COCH、-CO、炭素数1~10の三個の脂肪族有機基を有するシリル基、炭素数1~10の脂肪族有機基、または炭素数6~20の芳香族有機基であってもよい。
【0029】
n1およびm1は、それぞれ独立して0~3の整数であってもよい。
【0030】
は、それぞれの繰り返し単位で同一であるか互いに異なり、それぞれ独立して炭素数3~10の脂肪族有機基であってもよい。
【0031】
は、それぞれ独立して単一結合または-NH-であってもよい。
【0032】
ここで、前記単一結合は、前記化学式1で各置換基の両側のグループを単純に連結する化学結合である場合を意味する。
【0033】
好ましくは、前記第1繰り返し単位は、下記化学式1-1で表される繰り返し単位を含むことができる:
【0034】
[化学式1-1]
【化5】
【0035】
上記化学式1-1で、
、R、n1およびm1は、化学式1で定義したとおりである。
【0036】
(ii)アミド由来繰り返し単位:第2繰り返し単位および第3繰り返し単位
【0037】
[化学式2]
【化6】
【0038】
[化学式3]
【化7】
【0039】
上記化学式2および化学式3で、
およびY2'は、それぞれの繰り返し単位で同一であるか互いに異なり、それぞれ独立して一つ以上のトリフルオロメチル基(-CF)を含む炭素数6~30の2価の芳香族有機基であり;前記芳香族有機基は単独で存在するか;2つ以上の芳香族有機基が互いに接合されて2価の縮合環を形成するか;または2つ以上の芳香族有機基が単一結合、フルオレニレン基、-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)-、-Si(CH-、-(CH-(ここで、1≦p≦10)、-(CF-(ここで、1≦q≦10)、-C(CH-、-C(CF-、または-C(=O)NH-によって連結されており、;
、E2'、E、E3'、EおよびE4'は、それぞれ独立して単一結合または-NH-である。
【0040】
前記第2繰り返し単位および第3繰り返し単位はアミド由来繰り返し単位であって、前記化学式2および化学式3中で、-C(=O)-A-C(=O)-形態の2価の連結基はジアシルハライド、ジカルボン酸およびジカルボキシレートからなる群より選択された1種以上の化合物から誘導されたものである。前記第2繰り返し単位で、2個の-C(=O)-はA(
【化8】
)に対してメタ位置に位置し、
第3繰り返し単位で2個の-C(=O)-はA(
【化9】
)に対してパラ位置に位置する。
【0041】
好ましくは、前記第2繰り返し単位は、下記化学式2-1で表される繰り返し単位を含むことができる:
[化学式2-1]
【化10】
【0042】
好ましくは、前記第3繰り返し単位は、下記化学式3-1で表される繰り返し単位を含むことができる:
[化学式3-1]
【化11】
【0043】
本発明によるポリアミド-イミド共重合体は、前記第2繰り返し単位および第3繰り返し単位のモル比が10:90~50:50であり、前記モル比を満足することによって、共重合体の熱的特性、機械的特性および光学的特性を同時に向上させることができる。
【0044】
具体的に、前記第2繰り返し単位のmeta位置の結合構造によるFlexibility向上効果と、第3繰り返し単位のpara位置の結合構造によるrigidな特性に起因した機械的物性の向上効果とが組み合わせられて共重合体の熱的特性、機械的特性および光学的特性を同時に向上させることができる。
【0045】
前記第2繰り返し単位および第3繰り返し単位のモル比が前述の範囲を逸脱した場合、ヘイズ(Haziness)が増加するか、黄変が発生するなどの耐熱性低下の問題が発生することがある。
【0046】
本発明によるポリアミド-イミド共重合体は、好ましくはイミド由来第1繰り返し単位に対して、前記アミド由来第2繰り返し単位および第3繰り返し単位の総合のモル比が5:5~2:8(1:1~1:4)、または4.5:5.5~3:7(約1:1.22~1:2.33)、または4:6~3:7であってもよい。前記モル比と前述の第2繰り返し単位および第3繰り返し単位のモル比を同時に満足することによって、前記ポリアミドイミド樹脂フィルムの機械的特性、熱的特性および光学的特性を全て高い水準に向上させることができる。
【0047】
本発明によるポリアミド-イミド共重合体は、好ましくはイミド由来第1繰り返し単位に対して、前記アミド由来第2繰り返し単位および第3繰り返し単位の総合のモル比が3:7~6:4であってもよく、前記モル比と前述の第2繰り返し単位および第3繰り返し単位のモル比条件を同時に満足することによって、共重合体の機械的特性、熱的特性および光学的特性を全て高い水準に向上させることができる。
【0048】
また、前記ポリアミドイミドブロック共重合体で、前記第1繰り返し単位:前記第2繰り返し単位および第3繰り返し単位の総合間のモル比が3:7~4:6である時、前記第2繰り返し単位:第3繰り返し単位のモル比が20:80~50:50、または30:70~45:55であってもよく、さらに好ましくは30:70であってもよい。前記範囲を同時に満足する場合、前記ポリアミドイミド樹脂フィルムの機械的特性、熱的特性および光学的特性を全て高い水準に向上させることができる。
【0049】
また、前記ポリアミドイミドブロック共重合体で、前記第1繰り返し単位に対して、前記第2繰り返し単位および第3繰り返し単位の総合のモル比が4.5:5.5~6:4である時、前記第2繰り返し単位:第3繰り返し単位のモル比が20:80~40:60であってもよい。前記範囲を同時に満足する場合、前記ポリアミドイミド樹脂フィルムの機械的特性、熱的特性および光学的特性を全て高い水準に向上させることができる。
【0050】
本発明の一実施形態において、ポリアミド-イミド共重合体は、前記第1繰り返し単位、第2繰り返し単位および第3繰り返し単位以外に下記化学式4で表される第4繰り返し単位をさらに含むことができる:
【0051】
[化学式4]
【化12】
【0052】
上記化学式4で、
1'は、それぞれの繰り返し単位で同一であるか互いに異なり、それぞれ独立して炭素数6~30の2価の芳香族有機基を含み;前記芳香族有機基は単独で存在するか;2つ以上の芳香族有機基が互いに接合されて2価の縮合環を形成するか;または2つ以上の芳香族有機基が単一結合、フルオレニレン基、-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)-、-Si(CH-、-(CH-(ここで、1≦p≦10)、-(CF-(ここで、1≦q≦10)、-C(CH-、-C(CF-、または-C(=O)NH-によって連結されていてもよい。
【0053】
2'は、それぞれの繰り返し単位で同一であるか互いに異なり、それぞれ独立して-H、-F、-Cl、-Br、-I、-CF、-CCl、-CBr、-CI、-NO、-CN、-COCH、-CO、炭素数1~10の三個の脂肪族有機基を有するシリル基、炭素数1~10の脂肪族有機基、または炭素数6~20の芳香族有機基であってもよい。
【0054】
n2およびm2は、それぞれ独立して0~3の整数であってもよい。
【0055】
1'は、それぞれの繰り返し単位で同一であるか互いに異なり、それぞれ独立して一つ以上のトリフルオロメチル基(-CF)を含む炭素数6~30の2価の芳香族有機基であり、前記芳香族有機基は単独で存在するか;2つ以上の芳香族有機基が互いに接合されて2価の縮合環を形成することができ;または2つ以上の芳香族有機基が単一結合、フルオレニレン基、-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)-、-Si(CH-、-(CH-(ここで、1≦p≦10)、-(CF-(ここで、1≦q≦10)、-C(CH-、-C(CF-、または-C(=O)NH-によって連結されていてもよい。
【0056】
1'は、それぞれ独立して単一結合または-NH-であってもよい。
【0057】
前記のように第1繰り返し単位、第2繰り返し単位および第3繰り返し単位を全て含むポリアミド-イミドブロック共重合体は、前述の第2繰り返し単位および第3繰り返し単位のモル比、イミド由来第1繰り返し単位およびアミド由来第2繰り返し単位および第3繰り返し単位のモル比を特定範囲で満足することによって、共重合体の機械的特性、熱的特性および光学的特性を同時に向上させることができる。
【0058】
また、本発明の一実施形態によるポリアミド-イミド共重合体は、10,000~1,000,000g/mol、好ましくは15,000~800,000g/molの重量平均分子量を有することができる。前記分子量を満足する場合、本発明が目的とする機械的特性、熱的特性および光学的特性をさらに向上させることができる。
【0059】
一方、前記ポリアミド-イミド共重合体は、前記第1繰り返し単位を形成する化合物を適切な溶媒で混合して反応を開始する段階;前記段階の反応混合物に前記第2繰り返し単位を形成する化合物を添加して反応させる段階;前記段階の反応混合物に前記第3繰り返し単位を形成する化合物を添加して反応させる段階;および前記段階の反応混合物にアセティックアンヒドリド(acetic anhydride)、ピリジン(pyridine)のような化合物を添加して化学的イミド化反応を誘導するか、Azeotropic Distillation(共沸蒸留法)でアミック酸の熱的イミド化反応を誘導する段階をさらに含むことができる。
【0060】
また、前記ポリアミド-イミド共重合体が前記第4繰り返し単位を追加的に含む場合には、前記第1繰り返し単位を形成する化合物を適切な溶媒で混合して反応を開始する段階;前記段階の反応混合物に前記第2繰り返し単位を形成する化合物を添加して反応させる段階;前記段階の反応混合物に前記第3繰り返し単位を形成する化合物を添加して反応させる段階;前記段階の反応混合物に前記第4繰り返し単位を形成する化合物を添加して反応させる段階;および前記段階の反応混合物にアセティックアンヒドリド(acetic anhydride)、ピリジン(pyridine)のような化合物を添加して化学的イミド化反応を誘導するか、Azeotropic Distillation(共沸蒸留法)でアミック酸の熱的イミド化反応を誘導する段階をさらに含むことができる。
【0061】
前記ポリイミドブロック共重合体の製造には、低温溶液重合、界面重合、溶融重合、固相重合などを用いることができる。
【0062】
II.ポリアミド-イミドフィルム
【0063】
発明の他の一実施形態によれば、前述のポリアミド-イミド共重合体を含むポリアミド-イミドフィルムが提供される。
【0064】
前述のように、本発明者らの継続的な研究の結果、アミド由来繰り返し単位に特定構造を導入することによって、共重合体の熱的特性、機械的特性と光学的特性を同時に改善することができるのを発見した。特に、イミド由来繰り返し単位(第1繰り返し単位)と特定構造が導入されたアミド由来繰り返し単位(第2繰り返し単位および第3繰り返し単位)を特定比率で調節することによって、ポリアミド-イミド共重合体の機械的物性と耐熱性を優れた水準で維持しながら、樹脂の光学的特性、特に非等方性を実現することができるのを確認した。
【0065】
これによって、前記ポリアミド-イミドブロック共重合体を含むポリイミドフィルムは熱的特性に優れ、同時に高い機械的物性が要求される多様な成形品の材料として使用できる。特に、非等方性を実現するので、本発明によるポリイミドフィルムは電機電子製品、特に、フレキシブルディスプレイなどへの適用が容易である。
【0066】
本発明の一実施形態において、前記ポリイミドフィルムは、20~100μmの厚さを有する試片に対して、400nm~800nm波長で測定された厚さ方向リタデーション(Rth)4,000nm~6,000nmであってもよく、好ましくは、4,000nm~5,500nmまたは4,050nm~5,200nmであってもよい。前記範囲の厚さ方向リタデーション(Rth)値を満足することによって、優れた光学的特性を有することができ、非等方性を実現して、フレキシブルディスプレイなどに使用するに容易である。
【0067】
前記厚さ方向のリタデーション(Rth)は、通常知られた測定方法および測定装置を通じて確認することができる。例えば、厚さ方向のリタデーション(Rth)の測定装置としては、AXOMETRICS社製の商品名アクソスキャン(AxoScan)、プリズムカプラー(Prism Coupler)などが挙げられる。
【0068】
厚さ方向のリタデーション(Rth)の測定条件としては、前記共重合体フィルムに対して、プリズムカプラー(Prism Coupler)を使用して400nm~800nm領域で屈折率を測定し、前記屈折率値をアクソスキャン(AxoScan)にインプットした後、温度:25℃、湿度:40%の条件下、波長400nm~800nmの光を使用して、ポリアミド-イミド樹脂フィルムの厚さ方向のリタデーションを測定し、求められた厚さ方向のリタデーション測定値(測定装置の自動測定(自動計算)による測定値)に基づいて、フィルムの厚さ10μm当りリタデーション値に換算することによって求めることができる。
【0069】
また、厚さ方向のリタデーション(Rth)の測定に用いる「前記ポリアミド-イミド樹脂フィルムの屈折率」の値は、リタデーションの測定対象になるフィルムを形成するポリアミド-イミド樹脂を含む未延伸フィルムを形成した後、このような未延伸フィルムを測定試料として使用し(また、測定対象になるフィルムが未延伸フィルムである場合には、そのフィルムをそのまま測定試料として使用することができる)、屈折率測定装置(株式会社アタゴ製の商品名「NAR-1TSOLID」)を使用し、400~800nm光源を使用し、23℃の温度条件で、測定試料の面内方向(厚さ方向とは垂直の方向)の400~800nmの光に対する屈折率を測定して求めることができる。
【0070】
また、測定試料が未延伸であるため、フィルムの面内方向の屈折率は、面内のいずれの方向においても一定になり、このような屈折率の測定によって、その等方性ポリアミド-イミド樹脂フィルムの固有の屈折率を測定することができる(また、測定試料が未延伸であるため、面内の遅延軸方向の屈折率をNxとし、遅延軸方向と垂直の面内方向の屈折率をNyとした場合、Nx=Nyとなる)。このように、未延伸フィルムを用いてポリアミド-イミド樹脂フィルムの固有の屈折率(400nm~800nm)を測定し、得られた測定値を前述の厚さ方向のリタデーション(Rth)の測定に用いる。ここにおいて、測定試料の等方性ポリアミドイミド樹脂フィルムのサイズは、前記屈折率測定装置に使用できる大きさであればよく、特に制限されず、一辺が1cmである正四角形(縦横1cm)で厚さ13μmの大きさにしてもよい。
【0071】
本発明の一実施形態において、前記ポリアミド-イミドフィルムは、20~100μmの厚さを有する試片に対して、ASTM D1925による380~780nmの波長で測定された黄変指数(yellow index、Y.I.)が2.0~10.0であり、好ましくは2.2~7.0または2.5~5.0であってもよい。前記範囲の黄変指数値を満足することによって、優れた光学的特性を有することができて、様々な電機電子製品に適用されるに容易である。
【0072】
前記ポリアミド-イミドフィルムは、前記ポリアミド-イミド共重合体を使用して乾式法、湿式法のような通常の方法によって製造できる。例えば、前記ポリアミド-イミドフィルムは、前記共重合体を含む溶液を任意の支持体上にコーティングして膜を形成し、前記膜から溶媒を蒸発させて乾燥する方法で得られる。必要によって、前記ポリアミド-イミドフィルムに対する延伸および熱処理を行うことができる。
【0073】
本発明によるポリアミド-イミドフィルムは、無色の透明性と共に高い機械的物性、光学的物性が要求される多様な成形品の材料として使用できる。例えば、前記ポリアミド-イミドブロック共重合体を含むポリアミド-イミドフィルムは、ディスプレイ用基板、ディスプレイ用保護フィルム、タッチパネル、フレキシブル(flexible)またはフォルダブル(foldable)機器のカバーフィルムなどとして適用できる。
【発明の効果】
【0074】
本発明によるポリアミド-イミド共重合体は、熱的安定性に優れ同時に機械的物性に優れ、優れた光学的特性を実現することができる、ポリアミド-イミドフィルムの提供を可能にする。
【発明を実施するための形態】
【0075】
以下、発明の理解のために好ましい実施例を提示する。しかし、下記の実施例は発明を例示するためのものに過ぎず、発明をこれらのみで限定するのではない。
【0076】
【実施例
【0077】
[製造例]-ポリアミド-イミド共重合体の製造
【0078】
製造例1
【0079】
ディーン-スターク(dean-stark)装置とコンデンサが装着された500mLの丸底フラスコに2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(2,2'-bis(trifluoromethly)benzidine)、4,4'-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタリックアンヒドリド(4,4'-(hexafluoroisopropylidene)diphthalic anhydride)およびジメチルアセトアミド(dimethylacetamide)を反応器に入れて常温で反応を開始した。窒素雰囲気下で前記反応混合物を氷水を用いて0℃で4時間攪拌した。
【0080】
4時間後に反応物を常温に取り出した後、ここに2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(2,2'-bis(trifluoromethyl)benzidine)、イソフタロイルジクロリド(isophthaloyl dichloride、IPC)、4,4'-ビフェニルジカルボニルクロリド(4,4'-Biphenyldicarbonyl Chloride、BPC)およびジメチルアセトアミド(dimethylacetamide)を入れ、窒素雰囲気で常温の温度(25℃±3℃)で反応を開始した。4時間の反応でポリアミック酸高分子形成後、前記反応混合物にアセティックアンヒドリド(acetic anhydride)およびピリジン(pyridine)を添加し、40℃温度のオイルバス(oil bath)で15時間攪拌して化学的イミド化反応を行った。
【0081】
反応終了後、水とエタノール(1:1(v/v))に沈殿させて下記構造の第1繰り返し単位、第2繰り返し単位および第3繰り返し単位を含むポリアミド-イミドブロック共重合体A-1を得た(重量平均分子量約200,000g/mol)。得られた共重合体は第1繰り返し単位:第2繰り返し単位および第3繰り返し単位の総合に対するモル比(1)が50:50であり、第2繰り返し単位:第3繰り返し単位のモル比(2))が20:80である。
【0082】
[第1繰り返し単位]
【化13】
【0083】
[第2繰り返し単位]-アミド繰り返し単位(IPC由来)
【化14】
【0084】
[第3繰り返し単位]-アミド繰り返し単位(BPC由来)
【化15】
【0085】
製造例2~8、10および11
【0086】
前記製造例1で下記表1に記載されたモル比(1および2)を満足するように各単量体投入比率を調節してポリアミド-イミド共重合体を製造した。
【0087】
製造例9
【0088】
前記製造例1で4,4'-ビフェニルジカルボニルクロリド(4,4'-Biphenyldicarbonyl Chloride、BPC)の代わりにテレフタロイルジクロリド(terephthaloyl dichloride、TPC)を使用して、第3繰り返し単位の代わりに下記の第2-2繰り返し単位を含む共重合体を製造した。
【0089】
[第2-2繰り返し単位]-アミド繰り返し単位(TPC由来)
【化16】
【0090】
実施例および比較例
【0091】
前記製造例から得られたポリアミド-イミド共重合体を前記製造例で製造したポリアミドイミド試料をジメチルアセトアミド(dimethylacetamide)に溶かして約10wt%の溶液を製造した。前記溶液をガラス板の上にバーコーター(Bar Coater)装備を通じてcastingし、この時、乾燥温度は80℃、140℃に順次に制御した。実験の結果、50μmの厚さを有する実施例および比較例のポリアミド-イミドフィルムを製造した(表1参照)。
【0092】
【表1】
【0093】
*Imide:Amide1は、第1繰り返し単位:第2繰り返し単位+第3繰り返し単位のモル比を示す。
【0094】
*Amide繰り返し単位比率2は、第2繰り返し単位(または第2-2繰り返し単位):第3繰り返し単位(または第2-2繰り返し単位)のモル比を示す。
【0095】
試験例
【0096】
前記実施例および比較例で製造したポリアミド-イミドフィルムを下記の方法で物性を評価し、その結果を下記表2に示した。
【0097】
1)黄変指数(Y.I.、Yellow Index)
【0098】
実施例および比較例で製造したポリアミド-イミドフィルムサンプル(厚さ50±2μm)に対して、UV-2600 UV-Vis Spectrometer(SHIMADZU)を用いてASTM D1925の測定法によって黄変指数を測定し、その結果を表2に記載した。
【0099】
2)ヘイズ(Hazeness)
【0100】
実施例および比較例で製造したポリアミド-イミドフィルムサンプル(厚さ50±2μm)に対して、COH-400 Spectrophotometer(NIPPON DENSHOKU INDUSTRIES)を用いてASTM D1003の測定法によってヘイズを測定し、その結果を表2に記載した。
【0101】
3)弾性係数(Elastic Modulus、GPa)
【0102】
実施例および比較例で製造したポリアミド-イミドフィルムサンプル(厚さ50±2μm)に対して、Zwich/Roell z005(5kN)を使用してStrain rateは12.5mm/minの条件下で弾性係数(Elastic Modulus)(GPa)を測定し、その結果を表2に記載した。
【0103】
4)厚さ方向位相差Rth(厚さ方向位相差値、nm)
【0104】
実施例および比較例で製造したポリアミド-イミドフィルムサンプル(厚さ50±2μm)に対して、プリズムカプラー(Prism Coupler)を使用して、400nm~800nmでの屈折率値を計算した。その後、測定装置としてAXOMETRICS社製の商品名「アクソスキャン(AxoScan)」を使用し、それぞれの高分子フィルムの屈折率(前述の屈折率の測定によって求められたフィルムの400nm~800nmnmの光に対する屈折率)の値をインプットした後、温度:25℃、湿度:40%の条件下、波長400nm~800nmの光を使用し、厚さ方向のリタデーションを測定した後、求められた厚さ方向のリタデーション測定値(測定装置の自動測定による測定値)を使用して、フィルムの厚さ10μm当りリタデーション値に換算することによって求めた。
【0105】
【表2】
【0106】
前記表1で確認できるように、本発明によって特定構造を有する2種のアミド繰り返し単位を特定含量比で組み合わせて含むことによって、アミド-イミド共重合体の熱的特性、機械的特性と光学的特性を同時に改善できるのを確認することができた。
【0107】
本発明が限定したアミド由来繰り返し単位のうちの一部を含まない比較例1および2の場合、黄変指数が上昇し、Rth値が6,000以上になってフィルム自体のrigidityが大きくなってフレキシブルディスプレイ適用しにくい。また、本発明が限定したアミド由来繰り返し単位以外に他の構造の繰り返し単位を含む比較例3の場合、実施例に比べて機械的物性が顕著に低下される問題が発生することを確認した。
【0108】
特に、本願発明のアミド繰り返し単位の比率を逸脱して、第3繰り返し単位が過量で混合された比較例4の場合、黄変指数とヘイズが顕著に増加する問題があるのを確認し、第2繰り返し単位が過量で混合された比較例5の場合、機械的物性が顕著に低下される問題があるのを確認した。