(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】半導体記憶装置及びデータ書込方法
(51)【国際特許分類】
G11C 16/26 20060101AFI20220405BHJP
【FI】
G11C16/26 100
(21)【出願番号】P 2021063729
(22)【出願日】2021-04-02
(62)【分割の表示】P 2016255783の分割
【原出願日】2016-12-28
【審査請求日】2021-04-02
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 俊郎
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-117510(JP,A)
【文献】特開平5-159590(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0213897(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 16/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
行列状に配置された複数のメモリセルにおいて、同一のワード線及び一対のビット線により選択される一対のメモリセルによって1ビットのデータが記憶される半導体装置であって、
前記一対のメモリセルが配置された行に対応して設けられた前記ワード線の前記行毎に、各行のメモリセルと同一のワード線によって選択されるよう設けられ、且つ所定の数の前記一対のメモリセル毎に、前記一対のメモリセルに前記1ビットのデータが書き込まれる際に、前記一対のメモリセルにおける前記1ビットのデータの消去状態を検出されるためのデータが書き込まれる消去状態検出用メモリセルと、
前記消去状態検出用メモリセルの出力と、基準電流とを比較した比較結果を出力するアンプ回路と、
を備えた半導体記憶装置。
【請求項2】
前記一対のメモリセルが接続された比較回路をさらに備えた
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記ワード線は、前記メモリセルが配置された行に対応して設けられ、
前記ビット線は、前記メモリセルが配置された列に対応して設けられた
請求項1または請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記比較結果に基づいて、前記消去状態を検出する検出部をさらに備えた、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記一対のメモリセルを前記消去状態とする際に前記一対のメモリセルの各々に流れる消去電流を、前記一対のメモリセルに前記1ビットのデータを書き込む際に前記一対のメモリセルの各々に流れる書込電流よりも大きくする制御を行う制御部をさらに備えた、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記基準電流は、前記書込電流よりも大きく、前記消去電流よりも小さい、
請求項5に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記基準電流は、外部の装置から供給される、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
行列状に配置された複数のメモリセルにおいて、同一のワード線及び一対のビット線により選択される一対のメモリセルによって1ビットのデータが記憶される半導体記憶装置におけるデータ書込方法であって、
前記一対のメモリセルが配置された行に対応して設けられた前記ワード線の前記行毎に、各行のメモリセルと同一のワード線によって選択されるよう設けられた消去状態検出用メモリセルに、所定の数の前記一対のメモリセル毎に前記一対のメモリセルに前記1ビットのデータが書き込まれる際に、前記一対のメモリセルにおける前記1ビットのデータの消去状態を検出するためのデータを書き込み、
アンプ回路により、前記消去状態検出用メモリセルの出力と、基準電流とを比較した比較結果を出力し、
前記比較結果に基づいて、前記所定の数の前記一対のメモリセル毎に、データの書き込みを制御する、
データ書込方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体記憶装置及びデータ書込方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、1つのメモリセルに1ビットのデータを記憶する、いわゆる1セル1データ方式の半導体記憶装置が知られている。この1セル1データ方式の半導体記憶装置では、1つのメモリセルに、「1」を表すデータまたは「0」を表すデータが記憶される(書き込まれる)。当該メモリセルからデータを読み出す際は、当該メモリセルから出力される電流と、基準電流とを比較した比較結果に基づいて、当該メモリセルに記憶されているデータが「0」または「1」のいずれを表しているかを判定する。
【0003】
このような1セル1データ方式の半導体記憶装置を低電圧下で使用する場合、データが書き込まれたメモリセルから出力される電流値が、低くなってしまい、基準電流との比較がし難くなる場合がある。
【0004】
これに対して、同一のワード線によって選択される一対の(2つの)メモリセルにおいて1ビットのデータを記憶する、いわゆる2セル1データ方式といわれる記憶方式の半導体記憶装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
2セル1データ方式の半導体記憶装置では、一対のメモリセルの一方(正セル)と他方(負セル)とで異なるデータを記憶しておき、正セルから出力される電流と、負セルから出力される電流とを比較した比較結果に基づいて、当該一対のメモリセルに記憶されているデータが「0」または「1」のいずれを表しているかを判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の2セル1データ方式における半導体記憶装置のメモリセル(メモリセルブロック)にデータを書き込む際、データの書き込み対象となるメモリセルが既にデータが書き込まれた書込状態なのか、データの消去状態なのか不明な場合があった。
【0008】
ところで、2セル1データ方式の半導体記憶装置では、データ幅毎に書き込み対象のメモリセルDQにデータを書き込む際に、書き込み対象のメモリセルDQのいずれかが書込状態である場合、消去単位毎にメモリセルDQのデータを他の記憶装置(例えば、RAM等)に一旦、記憶させた後、メモリセルDQのデータを消去して消去状態とする。その後、他の記憶装置に記憶させたデータに書き込みたいデータが合成されたデータを、半導体記憶装置のメモリセルブロックに書き込む。
【0009】
従来の2セル1データ方式の半導体記憶装置では、データを書き込ませる際に、書き込み対象のメモリセルが消去状態であるか否かが不明であったため、書き込み対象のメモリセルが書込状態であると仮定していた。そのため、従来の半導体記憶装置では、データを書き込ませる際に、データの消去単位毎に、メモリセルのデータを他の(外部の)記憶装置に書き込ませていた。例えば、書き込むデータの量が1ワードであるが、データの消去単位が1024ワードである場合があり、このように書き込むデータ量と、データの消去単位とを比較すると、一般的に消去単位の方が大きいため、書き込みを行うセル以外のデータも消去されてしまう場合がある。そのため、従来の半導体記憶装置では、データの消去単位毎に、メモリセルのデータを他の(外部の)記憶装置にデータに書き込ませる必要があった。
【0010】
従来の半導体記憶装置では、このように外部の記憶装置にデータを一旦書き込ませた後、メモリセルのデータを消去する消去動作を行い、さらに書き込むデータを合成し、合成したデータをメモリセルブロックに書き込む書き込み動作を行っていた。
【0011】
本発明は、1ビットのデータを記憶する一対のメモリセルにおいて当該1ビットのデータが消去状態であるか否かを検出することができる、半導体記憶装置及びデータ書込方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の半導体記憶装置は、行列状に配置された複数のメモリセルにおいて、同一のワード線及び一対のビット線により選択される一対のメモリセルによって1ビットのデータが記憶される半導体装置であって、前記一対のメモリセルが配置された行に対応して設けられた前記ワード線の前記行毎に、各行のメモリセルと同一のワード線によって選択されるよう設けられ、且つ所定の数の前記一対のメモリセル毎に、前記一対のメモリセルに前記1ビットのデータが書き込まれる際に、前記一対のメモリセルにおける前記1ビットのデータの消去状態を検出されるためのデータが書き込まれる消去状態検出用メモリセルと、前記消去状態検出用メモリセルの出力と、基準電流とを比較した比較結果を出力するアンプ回路と、を備える。
【0013】
さらに、上記目的を達成するために、本発明のデータ書込方法は、行列状に配置された複数のメモリセルにおいて、同一のワード線及び一対のビット線により選択される一対のメモリセルによって1ビットのデータが記憶される半導体記憶装置におけるデータ書込方法であって、前記一対のメモリセルが配置された行に対応して設けられた前記ワード線の前記行毎に、各行のメモリセルと同一のワード線によって選択されるよう設けられた消去状態検出用メモリセルに、所定の数の前記一対のメモリセル毎に前記一対のメモリセルに前記1ビットのデータが書き込まれる際に、前記一対のメモリセルにおける前記1ビットのデータの消去状態を検出するためのデータを書き込み、アンプ回路により、前記消去状態検出用メモリセルの出力と、基準電流とを比較した比較結果を出力し、前記比較結果に基づいて、前記所定の数の前記一対のメモリセル毎に、データの書き込みを制御する、データ書込方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、1ビットのデータを記憶する一対のメモリセルにおいて当該1ビットのデータが消去状態であるか否かを検出することができる、という効果を奏する。
【0015】
本発明によれば、半導体記憶装置にデータを書き込ませる際に、書き込み対象のメモリセルが消去状態であるか否かを検出できる。従来の半導体装置では、書き込み対象のメモリセルの状態にかかわらず、一旦消去動作を行った後に、書き込み動作を行っていた。これに対して、本発明によれば、消去状態であることを検出した場合、消去動作を行わずに、そのままデータを書き込ませる書込動作を行うことができる、という効果を奏する。
【0016】
そのため、本発明によれば、従来の半導体記憶装置に比べて、データの書き込みに要する時間を短縮することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1実施形態における半導体記憶装置の一例の概略を表す構成図である。
【
図2】第1実施形態におけるメモリセルブロックの一例を表す構成図。
【
図3】第1実施形態の半導体記憶装置における2セル1データ方式に関する構成の一例を示した回路図である。
【
図4】第1実施形態のコントロールブロックの制御による、データDIN[n:0]の書込処理の流れの一例を表したフローチャートである。
【
図5】第2実施形態における半導体記憶装置の一例の概略を表す構成図である。
【
図6】第2実施形態の半導体記憶装置における2セル1データ方式に関する構成の一例を示した回路図である。
【
図7】第2実施形態のコントロールブロックの制御による、データDIN[n:0]の書込処理の流れの一例を表したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、図面を参照して、各実施形態を詳細に説明する。
【0019】
[第1実施形態]
まず、本実施形態の半導体記憶装置の構成について説明する。
図1には、本実施形態の半導体記憶装置10の一例の概略を表す構成図を示す。
【0020】
図1に示すように、本実施形態の半導体記憶装置10は、メモリセルブロック20、消去検出用メモリセルブロック22、書込回路24、28、比較回路26、アンプ回路30、ロウデコーダ32、カラムスイッチ34、I/Oポート36、及びコントロールブロック40、を備える。
【0021】
本実施形態のメモリセルブロック20は、
図2に一例を示すように、複数のメモリセルDQが行列状(マトリクス状)に配置されている。本実施形態の半導体記憶装置10には、一例として、x+1本のワード線W(W[0]~W[x])が、メモリセルDQが配置された行に対応して設けられている。
図2に示すように、本実施形態の半導体記憶装置10の消去検出用メモリセルブロック22のメモリセルDQは、メモリセルの各行(各ワード線W)に対応して1つずつ(一列)設けられている。また、本実施形態の半導体記憶装置10には、一例として、(y+2)×2本のビット線BL(BL[0]、/BL[0]~BL[y]、/BL[y]、BL[E]、/BL[E])が、メモリセルDQが配置された列に対応して設けられている。なお、メモリセルブロック20におけるメモリセルDQの行数(ビット線BLの本数)は、データ幅n+1の倍数(整数倍)であれば特に限定されない。
【0022】
本実施形態の半導体記憶装置10は、同一のワード線W及び一対のビット線BL(BL、/BL)により選択される一対のメモリセルDQ(DQ[0、0]~DQ[x、y])によって1ビットのデータが記憶される、いわゆる2セル1データ方式の記憶装置である。
図3には、本実施形態の半導体記憶装置10の2セル1データ方式に関する構成の一例を示した回路図を示す。なお、
図3では、図示を簡略化するために、1本のワード線Wによって選択可能なメモリセルDQ群23のみを図示しており、また、データ幅n+1に応じた構成のみを図示している。本実施形態の半導体記憶装置10の一例としては、フラッシュメモリが挙げられる。
【0023】
本実施形態の半導体記憶装置10では、I/Oポート36を介して外部の装置から入力されたデータDIN[n:0]を、MCU(Micro Control Unit)やCPU(Central Processing Unit)等の外部の装置から入力される制御信号に基づいて、コントロールブロック40がメモリセルブロック20に記憶させる。本実施形態のコントロールブロック40が、本発明の検出部及び制御部の一例である。
【0024】
コントロールブロック40は、制御信号に基づいて、ワード線Wのアドレスをロウデコーダ32に出力する。ロウデコーダ32は、入力されたアドレスに基づきワード線Wを選択する。また、コントロールブロック40は、制御信号に基づいて、データ幅に応じたビット線BLのアドレスをカラムスイッチ34に出力する。カラムスイッチ34は、入力されたアドレスに基づき、データ幅に応じてビット線BLを選択し、選択したビット線BLと、書込回路24及び比較回路26とを接続する。例えば、カラムスイッチ34は、データ幅が8ビットの場合、16本(8組×2本=16本)のビット線BLを選択する。なお、
図3では、カラムスイッチ34の記載を省略している。
【0025】
図3に示すように、I/Oポート36を介して入力されたデータDIN[0:n](DIN[0]~[n])は、書込回路24(24[0]~24[n])を介して、メモリセルDQに書き込まれる。本実施形態の半導体記憶装置10では、1ビットのデータDINを書き込む場合には、正セルDQ[+]と負セルDQ[-]とで書き込まれるデータ(「1」または「0」)が異なる。また、メモリセルブロック20からデータを読み出す場合は、比較回路26(26[0]~26[n])には、一対のメモリセルDQの出力がビット線BLを介して非反転入力端子に入力され、またビット線/BLを介して反転入力端子に入力される。そして、比較回路26の比較結果を表すデータDO(DO[n:0])がI/Oポート36を介して外部に出力される。
【0026】
比較回路26から出力される比較結果(記憶データ)の真理値表を表1に示す。
【0027】
【0028】
表1に示すように、一対のメモリセルDQに「0」を表すデータを書き込む場合、正セルDQ[+]には「0」が、負セルDQ[-]には「1」が書き込まれ、比較回路26から出力される比較結果が「0」になる。また、一対のメモリセルDQに「1」を表すデータを書き込む場合、正セルDQ[+]には「1」が、負セルDQ[-]には「0」が書き込まれ、比較回路26から出力される比較結果が「1」になる。
【0029】
一方、本実施形態の半導体記憶装置10では、表1に示すように、一対のメモリセルDQに1ビットのデータを記憶させていない状態、すなわちデータの消去状態では、正セルDQ[+]には「1」が、負セルDQ[-]には「1」が書き込まれる。この場合、比較回路26から出力される比較結果が不定となる。
【0030】
なお、本実施形態の半導体記憶装置10のコントロールブロック40では、一対のメモリセルDQを消去状態とする際に、メモリセルDQに流れる消去電流が、一対のメモリセルDQに1ビットのデータを書き込む際に、一対のメモリセルDQに流れる書込電流よりも大きい(消去電流>書込電流)。
【0031】
また、本実施形態の半導体記憶装置10では、一例として
図3に示すように、消去検出用メモリセルブロック22のメモリセルDQ[E]には、データの入力がグランド電位(GND)に固定された書込回路28によってデータが書き込まれる。そのため、本実施形態のメモリセルDQ[E]には、データ幅毎に一対のメモリセルDQにデータを書き込む際に、「0」が書き込まれる。セルブロックDQ[E](DQ[E+])の出力はビット線BL[E]を介してアンプ回路30の非反転入力端子に入力される。一方、アンプ回路30の反転入力端子には、ビット線/BL[E]を介して、外部に設けられた電流源から供給される基準電流REFが入力される。
【0032】
アンプ回路30は、ビット線BL[E]を介して入力されるメモリセルDQ[E+]の出力と、基準電流REFとを比較し、比較結果を表すデータDO[E]をコントロールブロック40に出力する。基準電流REFは、書込電流よりも大きく、消去電流よりも電流値が小さい。そのため、同一のワード線Wに接続される一対のメモリセルDQ全てがデータの消去状態の場合、アンプ回路30からは「1」を表すデータD0[E]が出力される。一方、同一のワード線Wに接続される一対のメモリセルDQのうち一組でもデータが書き込まれた場合(書込状態の場合)、アンプ回路30からは「0」を表すデータD0[E]が出力される。
【0033】
本実施形態の半導体記憶装置10のコントロールブロック40は、アンプ回路30から入力されるデータDO[E]に基づいて、データ幅に応じた複数の一対のメモリセルDQについてデータの消去状態及び書込状態のいずれであるかを検出する。本実施形態のコントロールブロック40は、一例として、この検出結果に応じて、一対のメモリセルDQへのデータの書込を制御する。
【0034】
図4には、本実施形態のコントロールブロック40の制御による、データDIN[n:0]の書込処理の流れの一例を表したフローチャートを示す。コントロールブロック40は、メモリセルブロック20に書き込みを行わせるための制御信号が外部から入力されると、データの消去単位毎(所定の数のワード線W毎)に、
図4に示したデータDIN[n:0]の書込処理を実行する。
【0035】
ステップS100でコントロールブロック40は、アンプ回路30から出力されたデータDO[E]を検出し、データDO[E]が「1」を表しているか否かを判定する。
【0036】
上述したように、同一のワード線Wに接続される一対のメモリセルDQの全てが消去状態の場合、データD0[E]は「1」を表す。データDO[E]が「1」を表している場合、肯定定となり、ステップS102へ移行する。
【0037】
ステップS102でコントロールブロック40は、制御信号に基づいて、データDIN[n:0]を記憶させる(書き込ませる)書込動作を行った後、
図4に示した書込処理を終了する。本実施形態では、一例としてステップS102でコントロールブロック40は、一対のメモリセルDQに応じたワード線Wのアドレスをロウデコーダ32に出力し、データ幅に応じたビット線BLのアドレスをカラムスイッチ34に出力する。
【0038】
ステップS102の書込動作により、データDIN[n:0]が、書込回路24によってメモリセルDQに書き込まれる。
【0039】
一方、上述したように、同一のワード線Wに接続される一対のメモリセルDQの少なくとも1つが書込状態の場合、データD0[E]は「0」を表す。データDO[E]が「0」を表している場合、ステップS100の判定が否定定となり、ステップS104へ移行する。
【0040】
本実施形態の半導体記憶装置10では、一対のメモリセルDQにデータが書き込まれている場合、消去単位毎に当該データを消去して消去状態とした後、新しくデータの書き込みを行う。
【0041】
そこで、コントロールブロック40は、ステップS104で消去動作を実行する。本実施形態の半導体記憶装置10では、消去動作を行う場合、消去単位に応じたメモリセルDQに書き込まれているデータ及びメモリセルDQ[E]のデータが同時に消去される。消去単位は、例えば、ワード線Wの本数に基づいて定められる。そのため、本実施形態の半導体記憶装置10では、消去単位毎に、メモリセルDQに書き込まれているデータを読み出して、半導体記憶装置10外部の記憶装置(例えば、RAM:Random Access Memory等)に一旦、記憶させた後、メモリセルDQのデータを消去して消去状態にする。
【0042】
なお、このように外部の記憶装置にデータを一旦、記憶させた場合、当該記憶装置に記憶されたデータと、メモリセルブロック20に書き込みを行いたいデータとを合成し、合成したデータをメモリセルブロック20に書き込む。なお、このようなデータの合成は、例えば、MCUやCPU等の外部の装置で行ってもよいし、コントロールブロック40が行ってもよい。
【0043】
そこで、次のステップS106でコントロールブロック40は、制御信号に基づいて、合成されたデータをメモリセルブロック20に記憶させる(書き込ませる)書込動作を行った後、
図4に示した書込処理を終了する。
【0044】
このように、本各実施形態の半導体記憶装置10は、同一のワード線W及び一対のビット線BL、/BLにより選択される一対のメモリセルDQによって1ビットのデータが記憶される半導体記憶装置10である。本実施形態の半導体記憶装置10は、データ幅に応じた所定の数の一対のメモリセルDQ毎に、一対のメモリセルDQに1ビットのデータが書き込まれる際に、一対のメモリセルDQにおける1ビットのデータの消去状態を検出するためのデータが書き込まれる消去検出用メモリセルブロック22と、消去検出用メモリセルブロック22のメモリセルDQ[E]の出力と、基準電流REFとを比較した比較結果を表すデータDO[E]出力するアンプ回路30と、を備える。
【0045】
従って、本実施形態の半導体記憶装置10では、アンプ回路30から出力されるデータDO[E]に基づいてコントロールブロック40が、メモリセルDQの状態が消去状態及び書込状態のいずれであるかを検出することができる。
【0046】
[第2実施形態]
本実施形態の半導体記憶装置10は、メモリセルブロック20のメモリセルDQの状態(消去状態または書込状態)を判定するための構成が、第1実施形態の半導体記憶装置10と異なっている。以下では、本実施形態の半導体記憶装置10について、第1実施形態の半導体記憶装置10と異なる構成及び動作について詳細に説明し、同一の構成及び動作については説明を簡略化または省略する。
【0047】
図5には、本実施形態の半導体記憶装置10の一例の概略を表す構成図を示す。
図5に示すように、本実施形態の半導体記憶装置10は、第1実施形態の半導体記憶装置10(
図1参照)の消去検出用メモリセルブロック22及び書込回路28に代わり、セレクタ回路42を備えている点で、第1実施形態の半導体記憶装置10と異なっている。
【0048】
図6には、本実施形態の半導体記憶装置10における2セル1データ方式に関する構成の一例を示した回路図を示す。なお、
図6では、
図3と同様に、図示を簡略化するために、1本のワード線Wによって選択可能なメモリセルDQ群23のみを図示しており、また、データ幅n+1に応じた構成のみを図示している。
【0049】
本実施形態の半導体記憶装置10では、メモリセルDQのデータを消去する消去単位毎に、最初に1ビットのデータが書き込まれる一対のメモリセルDQが予め定められている。本実施形態の半導体記憶装置10では、一例として、所定本数のワード線W毎に、当該ワード線Wによって選択される一対のメモリセルDQのうち、ビット線BL及び/BLによって選択される1組の一対のメモリセルDQ[n]に最初にデータが書き込まれる。
【0050】
本実施形態の半導体記憶装置10では、一例として
図6示すように、アンプ回路30の非反転入力端子には、ビット線BL[n]を介して入力されるメモリセルDQ[n+]の出力またはビット線/BL[n]を介して入力されるメモリセルDQ[n-]の出力が入力される。また、アンプ回路30の反転入力端子には、第1実施形態のアンプ回路30と同様に、基準電流REFが入力される。なお、本実施形態における基準電流REF、書込電流、及び消去電流の関係は、第1実施形態の半導体記憶装置10と同様になっている。
【0051】
本実施形態のアンプ回路30は、メモリセルDQ[n+]の出力またはメモリセルDQ[n-]の出力と、基準電流REFとを比較し、比較結果を表すデータDO[E]をコントロールブロック40に出力する。
【0052】
セレクタ回路42は、コントロールブロック40から出力された制御信号に基づいて、アンプ回路30の非反転入力端子に接続されるビット線BLを、ビット線BL[n]またはビット線/BL[n]に切り替える。
【0053】
図7には、本実施形態のコントロールブロック40の制御による、データDIN[n:0]の書込処理の流れの一例を表したフローチャートを示す。コントロールブロック40は、メモリセルブロック20に書き込みを行わせるための制御信号が外部から入力されると、データの消去単位毎(所定の数のワード線W毎)に、
図7に示したデータDIN[n:0]の書込処理を実行する。
【0054】
ステップS200でコントロールブロック40は、セレクタ回路42に制御信号を出力し、セレクタ回路42により、ビット線BL[n]とアンプ回路30の非反転入力端子とを接続させる。
【0055】
次のステップS202でコントロールブロック40は、この状態でアンプ回路30から出力される第1データDO[E]を取得する。
【0056】
次の、ステップS204でコントロールブロック40は、セレクタ回路42に制御信号を出力し、セレクタ回路42により、ビット線/BL[n]とアンプ回路30の非反転入力端子とを接続させる。
【0057】
次のステップS206でコントロールブロック40は、この状態でアンプ回路30から出力される第2データDO[E]を取得する。
【0058】
次のステップS208でコントロールブロック40は、第1データDO[E]及び第2データDO[E]が一致し、かつ共に1(第1データ=第2データ=1)であるか否かを判定する。
【0059】
第1実施形態の表1に示したように、一対のメモリセルDQ[n]が消去状態の場合、メモリセルDQ[n+]には「1」を表すデータが記憶され、メモリセルDQ[n-]にも「1」を表すデータが記憶される。メモリセルDQ[n+]及びDQ[n-]に記憶されているデータが同一であるため、第1データDO[E]と、第2データDO[E]とが同一になる。
【0060】
一方、第1実施形態の表1に示したように、一対のメモリセルDQ[n]に「0」を表す1ビットのデータが書き込まれている場合、メモリセルDQ[n+]には「0」を表すデータが記憶され、メモリセルDQ[n-]には「1」を表すデータが記憶される。また、一対のメモリセルDQ[n]に「1」を表す1ビットのデータが書き込まれている場合、メモリセルDQ[n+]には「1」を表すデータが記憶され、メモリセルDQ[n-]には「0」を表すデータが記憶される。いずれの場合も、メモリセルDQ[n+]とメモリセルDQ[n-]とで記憶されているデータが異なるため、第1データDO[E]と、第2データDO[E]とが異なることになる。
【0061】
すなわち、本実施形態の半導体記憶装置10では、メモリセルDQ[n]が消去状態の場合、第1データDO[E]と、第2データDO[E]と同一となり、書込状態の場合、第1データDO[E]と、第2データDO[E]とが異なる。
【0062】
第1データDO[E]と、第2データDO[E]とが同一の場合、ステップS208の判定が肯定判定となり、ステップS210へ移行する。
【0063】
ステップS210でコントロールブロック40は、第1実施形態の書込処理(
図4参照)のステップS102の書込動作と同様の書込動作を行った後、本書込処理を終了する。
【0064】
一方、第1データDO[E]と、第2データDO[E]とが異なる場合、ステップS208の判定が否定判定となり、ステップS212へ移行する。
【0065】
ステップS212でコントロールブロック40は、第1実施形態の書込処理のステップS104の消去動作と同様の消去動作を行い、次のステップS214でコントロールブロック40は、第1実施形態の書込処理のステップS106の書込動作と同様の書込動作を行った後、本書込処理を終了する。
【0066】
このように本実施形態の半導体記憶装置10は、同一のワード線W及び一対のビット線BL、/BLにより選択される一対のメモリセルDQによって1ビットのデータが記憶される半導体記憶装置10である。本実施形態の半導体記憶装置10は、一対のメモリセルDQ[n]のうちのいずれか一方のメモリセルDQ(DQ[n+]またはDQ[n-])の出力と、基準電流REFとを比較した比較結果を出力するアンプ回路30と、書き込み対象となるメモリセルDQの消去状態を検出するために一対のメモリセルDQ[n]におけるデータの消去状態を検出する際に、アンプ回路30の非反転入力端子に出力が入力されるメモリセルDQを、一対のメモリセルDQ[n]のうちのメモリセルDQ[n+]またはDQ[n-]のいずれとするかを切り替えるセレクタ回路42と、を備える。
【0067】
従って、本実施形態の半導体記憶装置10では、アンプ回路30から出力されるデータDO[E]に基づいてコントロールブロック40が、メモリセルDQの状態が消去状態及び書込状態のいずれであるかを検出することができる。
【0068】
本実施形態の半導体記憶装置10では、第1実施形態の半導体記憶装置10と比較して、消去検出用メモリセルブロック22を要しないため、半導体記憶装置10の面積を小さくすることができる。
【0069】
なお、本実施形態の半導体記憶装置10では、メモリセルブロック20におけるデータの消去単位毎に、セレクタ回路42を設ける形態について説明したが当該形態に限定されないことはいうまでもない。例えば、消去単位毎に最初にデータが記憶される(書き込まれる)一対のメモリセルDQが予め定められていない場合、1行分の一対のメモリセルDQ(全てのビット線BL、/BLの対)毎に、セレクタ回路42を設ける形態としてもよい。
【0070】
以上説明したように、上記各実施形態の半導体記憶装置10では、アンプ回路30から出力されるデータDO[E]に基づいて、メモリセルDQの状態が消去状態及び書込状態のいずれであるかを検出することができる。
【0071】
上記各実施形態の半導体記憶装置10では、データDIN[n:0]を書き込ませる際に、書き込み対象のメモリセルDQが消去状態であるか否かを検出できるため、消去状態であることを検出した場合、そのままデータDIN[n:0]を書き込ませる書込動作を行うことができる。
【0072】
このように、上記各実施形態の半導体記憶装置10では、従来の半導体記憶装置に比べて、データの書き込みに要する時間を短縮することができる。
【0073】
なお、上記各実施形態の半導体記憶装置10では、書き込み対象のメモリセルDQの状態が書込状態及び消去状態のいずれであるかをコントロールブロック40が検出する形態について説明したが、当該形態に限定されない。例えば、半導体記憶装置10の外部のMCU等の装置が、当該検出を行うようにしてもよい。
【0074】
また、その他の上記各実施の形態で説明した半導体記憶装置10、メモリセルブロック20、及びコントロールブロック40等の構成及び動作は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0075】
10 半導体記憶装置
20 メモリセルブロック
22 消去検出用メモリセルブロック
26 比較回路
30 アンプ回路
40 コントロールブロック
42 セレクタ回路
BL(BL、/BL) ビット線
DQ メモリセル
W ワード線