(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】重合体、有機膜組成物、およびパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
C08G 8/00 20060101AFI20220405BHJP
G03F 7/11 20060101ALI20220405BHJP
G03F 7/26 20060101ALI20220405BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
C08G8/00 Z
G03F7/11 503
G03F7/26 511
G03F7/11 502
H01L21/30 578
H01L21/30 573
(21)【出願番号】P 2016205456
(22)【出願日】2016-10-19
【審査請求日】2019-09-27
(31)【優先権主張番号】10-2015-0148199
(32)【優先日】2015-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】朴 惟 廷
(72)【発明者】
【氏名】梁 善 暎
(72)【発明者】
【氏名】權 孝 英
【審査官】中落 臣諭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/024779(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/158169(WO,A1)
【文献】特表2017-516137(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G4/00-16/06
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式1で表される構造単位を50モル%以上で含み、重量平均分子量が2,000~20,000である重合体:
【化1】
前記化学式1中、
A
1およびA
2は、それぞれ独立して
、置換もしくは非置換のヘテロ芳香族環基であり、
Bは、2価の有機基であり、かつBの左側に位置する単位と同一であることはなく、以下の構造(2)および構造(3)であることもなく、
【化2】
(ここで、Ar
i、Ar
ii、Ar
iiiおよびAr
ivは、独立してフェニレン性またはナフタレン性部位であり;R
3およびR
4は、独立して、水素、C1-C8アルキルまたはC1-C8アルコキシであり、およびR
5およびR
6は、独立して、水素、C1-C8アルキルまたはC1-C8アルコキシであり;)
Xは、O、S、Te、Se、またはNR
aであり、ここでR
aは、水素原子、置換もしくは非置換のC1~C30アルキル基、置換もしくは非置換のC3~C30シクロアルキル基、置換もしくは非置換のC6~C30アリール基、置換もしくは非置換のC7~C30アリールアルキル基、置換もしくは非置換のC1~C30ヘテロアルキル基、置換もしくは非置換のC2~C30ヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換のC2~C30ヘテロ環基、置換もしくは非置換のC2~C30アルケニル基、置換もしくは非置換のC2~C30アルキニル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子またはこれらの組み合わせであり、
Yは、置換もしくは非置換のC6~C30アリール基、または置換もしくは非置換のC3~C30ヘテロアリール基であり、
*は、連結地点である。
【請求項2】
前記化学式1において、Yは、下記グループ1から選択されるいずれか一つに由来する1価の基であり、前記1価の基が置換もしくは非置換されたものである、請求項1に記載の重合体:
【化3】
前記グループ1中、
各化合物が前記化学式1に連結される地点は特に限定されない。
【請求項3】
前記化学式1において、A
1およびA
2は、それぞれ独立して、1個の環からなる構造、または2個~4個の環が縮合されてなる構造を有する基である、請求項1または2に記載の重合体。
【請求項4】
前記化学式1において、A
1およびA
2は、それぞれ独立して、下記グループ2から選択されるいずれか一つに由来する3価の基であり、前記3価の基が置換もしくは非置換されたものである、請求項1~3のいずれか1項に記載の重合体:
【化4】
前記グループ2中、
Z
20~Z
22は、それぞれ独立して、窒素原子(N
)であり
、
Z
23およびZ
24は、それぞれ独立して
、O、
SまたはNR
eであり、ここ
でR
eは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換のC1~C10アルキル基、またはハロゲン原子であり、
各化合物が前記化学式1に連結される地点は特に限定されない。
【請求項5】
前記Bは、下記の化学式2で表される、請求項1~4のいずれか1項に記載の重合体であり、
【化5】
前記化学式2中、
a、bおよびcは、それぞれ独立して、0~2の整数であり、且つ同時に0であることがなく、
Lは、下記グループ3で選択されるいずれか一つから誘導された2価の基であり、前記2価の基が置換もしくは非置換されたものであり、
【化6】
前記グループ3中、
Mは、置換もしくは非置換のC1~C5アルキレン基、O、S、SO
2、またはC=Oである。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の重合体と、
溶媒と、
を含む有機膜組成物。
【請求項7】
前記重合体を有機膜組成物の総含有量に対して0.1重量%~50重量%で含む、請求項6に記載の有機膜組成物。
【請求項8】
基板上に材料層を形成する段階と、
前記材料層上に請求項6または7に記載の有機膜組成物を塗布する段階と、
前記有機膜組成物を熱処理してハードマスク層を形成する段階と、
前記ハードマスク層上にシリコン含有薄膜層を形成する段階と、
前記シリコン含有薄膜層上にフォトレジスト層を形成する段階と、
前記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階と、
前記フォトレジストパターンを用いて前記シリコン含有薄膜層および前記ハードマスク層を選択的に除去して前記材料層の一部を露出する段階と、
前記材料層の露出した部分をエッチングする段階と、
を含むパターン形成方法。
【請求項9】
前記有機膜組成物を塗布する段階を、スピンオンコーティング法により行う、請求項8に記載のパターン形成方法。
【請求項10】
前記フォトレジスト層を形成する段階の前に、底面反射防止層(BARC)を形成する段階をさらに含む、請求項8または9に記載のパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合体、前記重合体を含む有機膜組成物、そして前記有機膜組成物を用いたパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体産業は数百ナノメートルサイズのパターンから数~数十ナノメートルサイズのパターンを有する超微細技術へ発展しつつある。このような超微細技術を実現するためには効果的なリソグラフィー技術が必須である。従来のリソグラフィー技術は、半導体基板上に材料層を形成し、その上にフォトレジスト層をコーティングし、露光および現像してフォトレジストパターンを形成した後、前記フォトレジストパターンをマスクとして材料層をエッチングする過程を含む。
【0003】
近年、形成しようとするパターンのサイズダウンに伴い、前述した従来のリソグラフィー技術だけでは良好なプロファイルを有する微細パターンを形成することが難しい。これによって、リソグラフィー技術の進展が必要となった。
【0004】
特許文献1では、リソグラフィー工程において、エッチングしようとする材料層とフォトレジスト層との間にハードマスク層(hardmask layer)と呼ばれる有機膜を形成する方法が開示されている。ハードマスク層は、選択的エッチング過程を通じてフォトレジストの微細パターンを材料層に転写する中間膜としての役割を果たす。したがって、ハードマスク層は多重エッチング処理に耐えられるように十分な耐熱性または耐エッチング性が求められる。
【0005】
一方、近年、ハードマスク層を化学気相蒸着法の代わりにスピンオンコーティング(spin-on coating)法により形成することが提案されている。スピンオンコーティング法は、工程が容易であるだけでなく、ギャップフィル(gap-fill)特性または平坦化特性を改善することができる。微細パターンを実現するためには、多重パターンの形成が必須であり、この際、ハードマスク層でパターン間の溝を容易に埋め込むことが必要となる。また、被加工基板に段差がある場合や、パターン密部およびパターン疎部がウエハー上に共に存在する場合、ハードマスク層により下層を平坦化させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、耐エッチング性と、ギャップフィル特性および平坦化特性とを同時に満たす有機膜を形成する方法は、まだ不十分である。前述したハードマスク層の特性を同時に満足できる有機膜組成物が要求されている。
【0008】
したがって、本発明の目的は、耐エッチング性を確保しながら、ギャップフィル特性および平坦化特性が向上した重合体を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、機械的特性と膜コーティング性を同時に確保することができる有機膜組成物を提供することにある。
【0010】
本発明のさらなる他の目的は、前記有機膜組成物を用いたパターン形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、前記課題を達成するために鋭意検討した結果、以下の構成を有する重合体、前記重合体を含む有機膜組成物、および前記有機膜組成物を用いたパターン形成方法により達成できることを見出し、本発明を完成させた。
1.下記の化学式1で表される構造単位を含む重合体:
【0012】
【0013】
前記化学式1中、
A1およびA2は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の芳香族環基、または置換もしくは非置換のヘテロ芳香族環基であり、
Bは、2価の有機基であり、
Xは、O、S、Te、Se、またはNRaであり、ここでRaは、水素原子、置換もしくは非置換のC1~C30アルキル基、置換もしくは非置換のC3~C30シクロアルキル基、置換もしくは非置換のC6~C30アリール基、置換もしくは非置換のC7~C30アリールアルキル基、置換もしくは非置換のC1~C30ヘテロアルキル基、置換もしくは非置換のC2~C30ヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換のC2~C30ヘテロ環基、置換もしくは非置換のC2~C30アルケニル基、置換もしくは非置換のC2~C30アルキニル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子またはこれらの組み合わせであり、
Yは、置換もしくは非置換のC6~C30アリール基、または置換もしくは非置換のC3~C30ヘテロアリール基であり、
*は、連結地点である。
【0014】
2.前記化学式1において、Yは、下記グループ1に置換された化合物のうちのいずれか一つから誘導された1価の基であり、前記1価の基が置換もしくは非置換されたものである、上記1に記載の重合体:
【0015】
【0016】
前記グループ1中、
各化合物が前記化学式1に連結される地点は特に限定されない。
【0017】
3.前記化学式1において、前記A1およびA2は、それぞれ独立して、1個の環からなる構造、または2個~4個の環が融合されてなる構造を有する基である、上記1または2に記載の重合体。
【0018】
4.前記化学式1において、前記A1およびA2は、それぞれ独立して、下記グループ2に置換された化合物のうちのいずれか一つから誘導される3価の基であり、前記3価の基が置換もしくは非置換されたものである、上記1~3のいずれか一つに記載の重合体:
【0019】
【0020】
前記グループ2中、
Z20~Z22は、それぞれ独立して、窒素原子(N)、CRbであり、ここで前記Rbは、水素原子、置換もしくは非置換のC1~C10アルキル基、またはハロゲン原子であり、
Z23およびZ24は、それぞれ独立して、C=O、O、S、CRcRd、またはNReであり、ここでRc~Reは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換のC1~C10アルキル基、またはハロゲン原子であり、
各化合物が前記化学式1に連結される地点は特に限定されない。
【0021】
5.前記化学式1中、前記Bは、下記の化学式2で表される、上記1~4のいずれか一つに記載の重合体:
【0022】
【0023】
前記化学式2中、
a、bおよびcは、それぞれ独立して、0~2の整数であり、且つ同時に0であることがなく、
Lは、下記グループ3で選択されるいずれか一つから誘導される2価の基であり、前記2価の基が置換もしくは非置換されたものであり、
【0024】
【0025】
前記グループ3中、
Mは、置換もしくは非置換のC1~C5アルキレン基、-O-、-S-、-SO2-、またはC=Oである。
【0026】
6.重量平均分子量は、1,000~20,000である、上記1~5のいずれか一つに記載の重合体。
【0027】
7.前記1~6のいずれか一つに記載の重合体と、溶媒とを含む、有機膜組成物。
【0028】
8.前記重合体を、有機膜組成物の総含有量に対して0.1重量%~50重量%で含む前記7に記載の有機膜組成物。
【0029】
9.基板上に材料層を形成する段階と、前記材料層上に前記有機膜組成物を塗布する段階と、前記有機膜組成物を熱処理してハードマスク層を形成する段階と、前記ハードマスク層上にシリコン含有薄膜層を形成する段階と、前記シリコン含有薄膜層上にフォトレジスト層を形成する段階と、前記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階と、前記フォトレジストパターンを用いて前記シリコン含有薄膜層および前記ハードマスク層を選択的に除去して前記材料層の一部を露出する段階と、前記材料層の露出した部分をエッチングする段階と、を含むパターン形成方法。
【0030】
10.前記有機膜組成物を塗布する段階を、スピンオンコーティング法により行う、前記9に記載のパターン形成方法。
【0031】
11.前記フォトレジスト層を形成する段階の前に、底面反射防止層(BARC)を形成する段階をさらに含む、前記9または10に記載のパターン形成方法。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、耐エッチング性を確保しながらも、ギャップフィル特性および平坦化特性が向上した重合体を提供できる。また、本発明によれば、溶液工程でのコーティング性に優れる有機膜組成物を提供できる。前記有機膜組成物を使用することで、親水性度が増加され、下部膜質との親和度が向上することができる。また、本発明によれば、機械的特性と平坦化特性を同時に満足する膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】平坦化特性を評価するための計算式2を説明するための参考図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳細に説明する。しかし、本発明は、多様な異なる形態に実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0035】
本明細書で別途の定義がない限り、「置換」とは、化合物中の水素原子がハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、カルボキシル基やその塩、スルホン酸基やその塩、燐酸基やその塩、C1~C30アルキル基、C2~C30アルケニル基、C2~C30アルキニル基、C6~C30アリール基、C7~C30アリールアルキル基、C1~C30アルコキシ基、C1~C30ヘテロアルキル基、C2~C30ヘテロアリール基、C3~C30ヘテロアリールアルキル基、C3~C30シクロアルキル基、C3~C15のシクロアルケニル基、C6~C15シクロアルキニル基、C2~C30ヘテロシクロアルキル基およびこれらの組み合わせから選択された置換基で置換されたことを意味する。
【0036】
また、本明細書で別途の定義がない限り、「ヘテロ」とは、N、O、SおよびPから選択されたヘテロ原子を1~3個含有したものを意味する。
【0037】
また、本明細書で別途の定義がない限り、「*」は、化合物または化合物の部分(moiety)の連結地点を示す。
【0038】
また、A化合物から「誘導された1価の基」とは、A化合物内の1個の水素原子が結合手によって置換されて形成された1価の基を意味する。例えば、ベンゼンから誘導された1価の基は、フェニル基となる。また、A化合物から「誘導された2価の基」とは、A化合物内の2個の水素原子が結合手によって置換されて2個の連結地点が形成された2価の基を意味する。例えば、ベンゼンから誘導された2価の基は、フェニレン基となる。同様に、A化合物から「誘導された3価の基」とは、A化合物内の3個の水素原子が結合手によって置換されて3個の連結地点が形成された3価の基を意味する。
【0039】
また、本明細書において、「芳香族環基」との語は、芳香族環基および芳香族環含有基を包含する。同様にして、「ヘテロ芳香族環基」との語は、環中に少なくとも1個のヘテロ原子を有する芳香族環基、および環中に少なくとも1個のヘテロ原子を有する芳香族環含有基を包含する。
【0040】
また、本明細書において、範囲を示す「X~Y」は、XおよびYを含み、「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20~25℃)/相対湿度40~50%の条件で行う。
【0041】
以下、本発明の一実施形態に係る重合体を説明する。
【0042】
本発明の一実施形態に係る重合体は、下記の化学式1で表される構造単位を含み、
【0043】
【0044】
前記化学式1中、
A1およびA2は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の芳香族環基、または置換もしくは非置換のヘテロ芳香族環基であり、
Bは、2価の有機基であり、
Xは、O、S、Te、Se、またはNRaであり、ここでRaは、水素原子、置換もしくは非置換のC1~C30アルキル基、置換もしくは非置換のC3~C30シクロアルキル基、置換もしくは非置換のC6~C30アリール基、置換もしくは非置換のC7~C30アリールアルキル基、置換もしくは非置換のC1~C30ヘテロアルキル基、置換もしくは非置換のC2~C30ヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換のC2~C30ヘテロ環基、置換もしくは非置換のC2~C30アルケニル基、置換もしくは非置換のC2~C30アルキニル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子またはこれらの組み合わせであり、
Yは、置換もしくは非置換のC6~C30アリール基、または置換もしくは非置換のC3~C30ヘテロアリール基であり、
*は、連結地点である。
【0045】
前記化学式1で表される構造単位は、3級炭素を含んでもよい。ここで、「3級炭素」とは、炭素に結合した4個の水素原子のうち3個の部位が水素原子以外の他の基で置換された形態の炭素を意味する。本発明の一実施形態に係る重合体は、3級炭素を含む構造単位を含むことによって、芳香族環同士が重なって積もることを防ぐことができる。これによって、基本的な耐エッチング性を確保しながらも分子間相互作用、例えばπ-πスタッキング(π-π stacking)を減少させて、優れた溶解度も示すことができる。
【0046】
また、前記重合体は、その構造単位内に窒素、酸素、または硫黄のようなヘテロ原子を含むことによって重合体の極性が大きくなって親水性が増加し、下部膜質、例えばシリコンウエハーとの親和力が向上して有機膜性能をより向上させることができる。
【0047】
前記化学式1において芳香族環を示すA1およびA2は、互いに同一でも異なっていてもよく、これらは他の官能基、例えばヒドロキシ基により置換された形態であってもよい。例えば、前記A1およびA2は、それぞれ独立して、1個の環からなる構造、または2個~4個の環が融合されている構造を有する基であってもよい。
【0048】
すなわち、A1およびA2は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の3価芳香族環基、または置換もしくは非置換の3価ヘテロ芳香族環基であることが好ましい。
【0049】
非置換の3価芳香族環基は、一つ以上の芳香族環を含む炭素環芳香族系を有する3価基を意味する。なお、芳香族基が2以上の環を含む場合には、前記2以上の環は、互いに融合されてもよい。具体的には、非置換の3価芳香族環基としては、ベンゼン、ビフェニル、ペンタレン、インデン、ナフタレン、アントラセン、アズレン、ヘプタレン、アセナフチレン、フェナレン、フルオレン、フェナントレン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、エチル-クリセン、ペリレン、ペンタフェン、ペンタセン、テトラフェニレン、トリナフチレンなどの芳香族環化合物内の3個の水素原子が結合手によって置換されて形成された3価芳香族環基を挙げることができる。
【0050】
非置換の3価ヘテロ芳香族環基は、N、O、SおよびPのうち選択された1個以上のヘテロ原子を含み、残りの環原子がCである一つ以上の芳香族環からなる系を有する3価基を意味する。ここで、ヘテロ芳香族環基が2以上の環を含む場合、2以上の環は、互いに融合されてもよい。具体的には、非置換の3価ヘテロ芳香族環基としては、ピラゾール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、テトラゾール、オキサジアゾール、ピロール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、トリアジン、カルバゾール、インドール、ベンゾインドール、キノリン、イソキノン、ベンゾイミダゾール、イミダゾピリジン、イミダゾピリミジン、ベンゾチオフェンなどのヘテロ芳香族環化合物内の3個の水素原子が結合手によって置換されて形成された3価ヘテロ芳香族環基を挙げることができる。
【0051】
より具体的には、前記A1およびA2は、下記グループ2に置換された化合物のうちのいずれか一つから誘導される3価の基であり、前記3価の基は、少なくとも一つの水素原子が置換もしくは非置換されたものであってもよいが、これに限定されない。
【0052】
【0053】
前記グループ2中、
Z20~Z22は、それぞれ独立して、窒素原子(N)、CRbまたはこれらの組み合わせであり、ここでRbは、水素原子、置換もしくは非置換のC1~C10アルキル基、ハロゲン原子またはこれらの組み合わせであり、
Z23およびZ24は、それぞれ独立して、C=O、O、S、CRcRd、NRe、またはこれらの組み合わせであり、ここでRc~Reは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換のC1~C10アルキル基、ハロゲン原子またはこれらの組み合わせであり、
前記グループ2に置換された各化合物が前記化学式1に連結される3個の地点は、特に限定されないのは当然である。この際、A1およびA2に存在してもよい置換基としては、上述した通りであり、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、C6~C20アリール基等が好ましく、平坦化特性の観点から、ヒドロキシ基であることがより好ましい。
【0054】
一方、前記化学式1中、Yは、置換もしくは非置換の1価芳香族環基であることが好ましい。なお、芳香族環基が2以上の環を含む場合には、前記2以上の環は、互いに融合されてもよい。具体的には、非置換の1価芳香族環基としては、ベンゼン、ビフェニル、ペンタレン、インデン、ナフタレン、アントラセン、アズレン、ヘプタレン、アセナフチレン、フェナレン、フルオレン、フェナントレン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、エチル-クリセン、ペリレン、ペンタフェン、ペンタセン、テトラフェニレン、トリナフチレンなどの芳香族環化合物内の1個の水素原子が結合手によって置換されて形成された1価芳香族環基を挙げることができる。
【0055】
より具体的には、前記化学式1中、Yは、下記グループ1に置換された化合物のうちのいずれか一つから誘導された1価の基であり、前記1価の基は、少なくとも一つの水素原子が置換もしくは非置換されたものであってもよいが、これに限定されない。
【0056】
【0057】
前記グループ1において、各化合物が前記化学式1に連結される地点は特に限定されない。この際、Yに存在してもよい置換基としては、上述した通りであり、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、C6~C20アリール基等が好ましく、平坦化特性の観点から、ヒドロキシ基であることがより好ましい。すなわち、前記グループ1において、各化合物は、例えば少なくとも一つのヒドロキシ基により置換されたものであってもよいが、これに限定されない。
【0058】
一方、前記重合体の構造単位で連結基を示すBは、例えば下記の化学式2で表されてもよい。
【0059】
【0060】
前記化学式2中、
a、bおよびcは、それぞれ独立して、0~2の整数であり、且つ同時に0であることがなく、
Lは、下記グループ3で選択されるいずれか一つから誘導される2価の基であり、前記2価の基が置換もしくは非置換されたものである。
【0061】
【0062】
前記グループ3中、
Mは、置換もしくは非置換のC1~C5アルキレン基、-O-、-S-、-SO2-、またはC=Oである。この際、Lに存在してもよい置換基としては、上述した通りであり、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、C6~C20アリール基が好ましく、平坦化特性の観点から、ヒドロキシ基であることがより好ましい。
【0063】
前記重合体は、前記化学式1で表される部分を複数個含むことができ、前記複数個の部分は、互いに同じ構造を有していても、互いに異なる構造を有していてもよい。
【0064】
前記重合体は、下記の化学式3で表現される構造単位をさらに含むことができる。
【0065】
【0066】
前記化学式3中、
Dは、置換もしくは非置換の芳香族環含有基であり、
Eは、2価の有機基であり、
*は、連結地点である。
【0067】
例えば、前記化学式3中のDは、下記グループ4に置換された化合物のうちのいずれか一つから誘導された2価の基であり、前記2価の基は、少なくとも一つの水素原子が置換もしくは非置換されたものであってもよいが、これに限定されない。
【0068】
【0069】
前記グループ4中、
Q1およびQ2は、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換のC1~C20アルキレン基、置換もしくは非置換のC3~C20シクロアルキレン基、置換もしくは非置換のC6~C20アリーレン基、置換もしくは非置換のC2~C20ヘテロアリーレン基、置換もしくは非置換のC2~C20アルケニレン基、置換もしくは非置換のC2~C20アルキニレン基、C=O、NRf、酸素(O)、硫黄(S)またはこれらの組み合わせであり、
Q3は、窒素(N)、CRgまたはこれらの組み合わせであり、
前記RfおよびRgは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換のC1~C10アルキル基、ハロゲン原子またはこれらの組み合わせであってもよく、
グループ4で連結地点は特に限定されない。
【0070】
本発明に係る重合体の重量平均分子量は1,000~20,000であることが好ましく、1,500~10,000であることがより好ましく、2,000~5,000であることが特に好ましい。前記範囲の重量平均分子量を有することによって前記重合体を含む有機膜組成物(例えば、ハードマスク組成物)の炭素含有量および溶媒に対する溶解度を調節して最適化することができる。
【0071】
<有機膜組成物>
本発明の他の実施形態によれば、前述した重合体と、溶媒とを含む有機膜組成物を提供する。
【0072】
前記溶媒は、前記重合体に対する十分な溶解性または分散性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、メトキシプロパンジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、エチルラクテート、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、メチルピロリドン、メチルピロリジノン、アセチルアセトンおよび3-エトキシプロピオン酸エチルから選択される少なくとも一つを含むことができる。
【0073】
前記有機膜組成物は、前記重合体を0.1重量%~50重量%で含むことが好ましく、1重量%~30重量%で含むことがより好ましく、3重量%~15重量%で含むことが特に好ましい。前記範囲で重合体を含むことによって有機膜の厚さ、表面粗さおよび平坦化の程度を調節することができる。
【0074】
前記有機膜組成物は、追加的に界面活性剤、架橋剤、熱酸発生剤、可塑剤などの添加剤をさらに含むことができる。
【0075】
前記界面活性剤は、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルピリジニウム塩、ポリエチレングリコール、第4級アンモニウム塩などを用いることができるが、これに限定されない。
【0076】
前記架橋剤は、例えば、メラミン系、置換尿素系、またはこれらポリマー系などが挙げられる。好ましくは、少なくとも2個の架橋形成置換基を有する架橋剤であり、例えば、メトキシメチル化グリコルリル、ブトキシメチル化グリコルリル、メトキシメチル化メラミン、ブトキシメチル化メラミン、メトキシメチル化ベンゾグアナミン、ブトキシメチル化ベンゾグアナミン、メトキシメチル化尿素、ブトキシメチル化尿素、メトキシメチル化チオ尿素、ブトキシメチル化チオ尿素などの化合物を用いることができる。
【0077】
また、前記架橋剤としては、耐熱性の高い架橋剤を用いることができる。耐熱性の高い架橋剤としては、分子内に芳香族環(例えば、ベンゼン環、ナフタレン環)を有する架橋形成置換基を含有する化合物を用いることができる。
【0078】
前記熱酸発生剤は、例えば、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウムp-トルエンスルホン酸、サリチル酸、スルホサリチル酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ナフタレンカルボン酸などの酸性化合物または/および2,4,4,6-テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2-ニトロベンジルトシレート、その他に有機スルホン酸アルキルエステルなどを用いることができるが、これに限定されない。
【0079】
前記添加剤は、前記有機膜組成物100重量部に対して約0.001~40重量部で含まれてもよい。前記範囲で含むことによって有機膜組成物の光学的特性を変更させずに溶解度を向上させることができる。
【0080】
本発明のまた他の実施形態によれば、前述した有機膜組成物を用いて製造された有機膜を提供する。前記有機膜は、前述した有機膜組成物を、例えば、基板上にコーティングした後、熱処理過程を通じて硬化された形態であってもよく、例えば、ハードマスク層、平坦化膜、犠牲膜、充填剤など、電子デバイスに使用される有機薄膜を含むことができる。
【0081】
<パターン形成方法>
以下、前述した有機膜組成物を用いてパターンを形成する方法について説明する。
【0082】
本発明の一実施形態に係るパターン形成方法は、基板上に材料層を提供する段階と、前記材料層上に前述した重合体および溶媒を含む有機膜組成物を適用する段階と、前記有機膜組成物を熱処理してハードマスク層を形成する段階と、前記ハードマスク層上にシリコン含有薄膜層を形成する段階と、前記シリコン含有薄膜層上にフォトレジスト層を形成する段階と、前記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階と、前記フォトレジストパターンを用いて前記シリコン含有薄膜層および前記ハードマスク層を選択的に除去して前記材料層の一部を露出する段階と、前記材料層の露出した部分をエッチングする段階と、を含む。
【0083】
前記基板は、例えば、シリコンウエハー、ガラス基板または高分子基板であってもよい。
【0084】
前記材料層は、最終的にパターンしようとする材料であり、例えば、アルミニウム、銅などのような金属層、シリコンのような半導体層または酸化ケイ素、窒化ケイ素などのような絶縁層であってもよい。前記材料層は、例えば、化学気相蒸着方法により形成されてもよい。
【0085】
前記有機膜組成物を塗布する段階は、前述したとおりであり、有機膜組成物を溶液形態で製造してスピンオンコーティング方法により塗布してもよい。すなわち、前記有機膜組成物を塗布する段階は、スピンオンコーティング方法により行ってもよい。この時、前記有機膜組成物の塗布厚さは、特に限定されないが、例えば、約50~10,000Åの厚さに塗布されてもよい。
【0086】
前記有機膜組成物を熱処理する段階において、処理温度は100~500℃であることが好ましい。また、処理時間は10秒~1時間行うことが好ましく、20秒~20分であることがより好ましく、30秒~5分であることが特に好ましい。
【0087】
前記シリコン含有薄膜層は、例えば、SiCN、SiOC、SiON、SiOCN、SiCおよび/またはSiNなどの物質で形成することができる。
【0088】
また前記フォトレジスト層を形成する段階の前に、前記シリコン含有薄膜層上部に底面反射防止層(bottom anti-reflective coating、BARC)をさらに形成することもできる。
【0089】
前記フォトレジスト層を露光する段階は、例えば、ArF、KrFまたはEUVなどを用いて行うことができる。また露光後、約100~500℃で熱処理工程を行うことができる。
【0090】
前記材料層の露出した部分をエッチングする段階は、エッチングガスを用いた乾式エッチングで行うことができ、エッチングガスは、例えばCHF3、CF4、Cl2、BCl3またはこれらの混合ガスを用いることができるが、これに限定されない。
【0091】
前記エッチングされた材料層は、複数のパターンで形成されてもよく、前記複数のパターンは、金属パターン、半導体パターン、絶縁パターンなど多様化することができ、例えば、半導体集積回路デバイス内の多様なパターンで適用可能である。
【実施例】
【0092】
以下、実施例を通じて前述した本発明の実施形態をより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は、単に説明の目的のためのものに過ぎず、本発明の範囲を制限するものではない。
【0093】
(合成例)
合成例1
フラスコに14-フェニル-14H-ジベンゾ[a,j]キサンテン-2,12-ジオール(14-phenyl-14H-dibenzo[a,j]xanthene-2,12-diol)5.0g(0.013mol)、1,4-ビス(メトキシメチル)ベンゼン2.13g(0.013mol)およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート15gを添加して溶液を準備した。前記溶液にジエチルスルフェート0.1gを添加した後、100℃で24時間攪拌した。重合が完了されると、メタノールに沈殿させてモノマーおよび低分子量体を除去して下記の化学式1aで表される構造単位を含む重合体(Mw:2500、分子量分布PDI:2.1)を得た。
【0094】
【0095】
合成例2
フラスコに12-(4-ヒドロキシフェニル)-12H-ベンゾ[a]キサンテン-3,10-ジオール(12-(4-hydroxyphenyl)-12H-benzo[a]xanthene-3,10-diol)10.0g(0.026mol)、パラホルムアルデヒド1.56g(0.052mol)、1-ヒドロキシピレン5.67g(0.026mol)およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート35gを添加して溶液を準備した。パラトルエンスルホン酸0.22g(1.3mmol)を添加した後、120℃で12時間攪拌した。重合が完了されると、メタノールに沈殿させてモノマーおよび低分子量体を除去して下記の化学式1bで表される構造単位を含む重合体(Mw:3800、PDI:2.4)を得た。
【0096】
【0097】
合成例3
フラスコに9-(ピレン-1-イル)-9H-キサンテン-3,6-ジオール(9-(pyren-1-yl)-9H-xanthene-3,6-diol)12.4g(0.03mol)、パラホルムアルデヒド0.9g(0.03mol)およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート25gを添加して溶液を準備した。前記溶液にジエチルスルフェート0.2gを添加した後、120℃で20時間攪拌した。重合が完了されると、メタノールに沈殿させてモノマーおよび低分子量体を除去して下記の化学式1cで表される構造単位を含む重合体(Mw:4500、分子量分布PDI:2.9)を得た。
【0098】
【0099】
合成例4
フラスコに14-(ナフタレン-2-イル)-14H-ジベンゾ[a,j]チオキサンテン(14-(naphthalen-2-yl)-14H-dibenzo[a,j]thioxanthene)10.0g(0.024mol)、4-ヒドロキシベンズアルデヒド(4-hydroxybenzaldehyde)2.93g(0.024mol)およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート25gを添加して溶液を準備した。前記溶液にパラトルエンスルホン酸0.2g(1.2mmol)を添加した後、100℃で24時間攪拌した。重合が完了されると、メタノールに沈殿させてモノマーおよび低分子量体を除去して下記の化学式1dで表される構造単位を含む重合体(Mw:2750、分子量分布PDI:1.9)を得た。
【0100】
【0101】
合成例5
フラスコに下記の化学式1e-1で表されるモノマー5.0g(0.014mol)、パラホルムアルデヒド0.42g(0.013mol)およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10gを添加して溶液を準備した。前記溶液にパラトルエンスルホン酸0.12g(0.7mmol)を添加した後、120℃で50時間攪拌した。重合が完了されると、メタノールに沈殿させてモノマーおよび低分子量体を除去して下記の化学式1eで表される構造単位を含む重合体(Mw:3000、分子量分布PDI:2.4)を得た。
【0102】
【0103】
比較合成例1
フラスコにメタクレゾール(m-cresol)10.0g(0.092mol)、パラホルムアルデヒド2.76g(0.092mol)およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート25gを添加して溶液を準備した。前記溶液にパラトルエンスルホン酸0.12g(0.7mmol)を添加した後、100℃で12時間攪拌した。重合が完了されると、メタノールに沈殿させてモノマーおよび低分子量体を除去して下記の化学式Aで表される構造単位を含む重合体(Mw:15,000、分子量分布PDI:3.8)を得た。
【0104】
【0105】
比較合成例2
フラスコに1-ヒドロキシピレン(1-hydroxypyrene)10.0g(0.046mol)、パラホルムアルデヒド1.38g(0.046mol)およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート20gを添加して溶液を準備した。前記溶液にパラトルエンスルホン酸0.17g(1.0mmol)を添加した後、100℃で24時間攪拌した。重合が完了されると、メタノールに沈殿させてモノマーおよび低分子量体を除去して下記の化学式Bで表される構造単位を含む重合体(Mw:3,000、分子量分布PDI:2.1)を得た。
【0106】
【0107】
(ハードマスク組成物の製造)
実施例1
合成例1で得られた重合体をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(propylene glycol monomethyl ether acetate、PGMEA)とシクロヘキサノン(cyclohexanone)(7:3(v/v))の混合溶媒に溶かした後、濾過してハードマスク組成物を製造した。目的とした厚さにより前記重合体の含有量は前記ハードマスク組成物総重量に対して3~15重量%の含有量範囲に調節した。
【0108】
実施例2
合成例1で得られた重合体の代わりに合成例2で得られた重合体を用いたことを除き、実施例1と同様な方法によりハードマスク組成物を製造した。
【0109】
実施例3
合成例1で得られた重合体の代わりに合成例3で得られた重合体を用いたことを除き、実施例1と同様な方法によりハードマスク組成物を製造した。
【0110】
実施例4
合成例1で得られた重合体の代わりに合成例4で得られた重合体を用いたことを除き、実施例1と同様な方法によりハードマスク組成物を製造した。
【0111】
実施例5
合成例1で得られた重合体の代わりに合成例5で得られた重合体を用いたことを除き、実施例1と同様な方法によりハードマスク組成物を製造した。
【0112】
比較例1
合成例1で得られた重合体の代わりに比較合成例1で得られた重合体を用いたことを除き、実施例1と同様な方法によりハードマスク組成物を製造した。
【0113】
比較例2
合成例1で得られた重合体の代わりに比較合成例2で得られた重合体を用いたことを除き、実施例1と同様な方法によりハードマスク組成物を製造した。
【0114】
(評価)
評価1:溶解度実験
合成例1~5、および比較合成例1および2で得られた重合体をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(propylene glycol monomethyl ether acetate、PGMEA)に10重量%の濃度になるように溶解した時、溶けていない部分があるかを肉眼で確認した。
【0115】
その結果は下記表1のとおりである。
【0116】
【0117】
表1で、「○」は、肉眼で観察して溶けていない固形分が観察されず、溶解度が良好であると評価されたものを意味し、「×」は、肉眼で観察して溶けていない固形分が観察されて溶解度が良好でないと評価されたものを意味する。
【0118】
表1を参照すると、合成例1~5による重合体は、比較合成例1~2に比べて溶解度が改善されたことが分かる。
【0119】
評価2:耐エッチング性
シリコンウエハーの上に実施例1~5並びに比較例1で製造したハードマスク組成物(重合体含有量:10重量%)をそれぞれ塗布し、次に、200℃で2分間ベーク工程を経て薄膜を形成した。その後、K-MAC社の薄膜厚さ測定器で前記薄膜の厚さを測定した。
【0120】
次に、前記薄膜にCFx混合気体(CHF3/CF4混合気体)を用いて100秒間乾式エッチングした後、薄膜の厚さを測定し、下記計算式1によりエッチング率(bulk etch rate、BER)を計算した。
【0121】
【0122】
その結果は表2のとおりである。
【0123】
【0124】
表2を参照すると、実施例1~5によるハードマスク組成物から形成された薄膜は、比較例1によるハードマスク組成物から形成された薄膜と比較して、エッチングガスに対する十分な耐エッチング性があり、バルクエッチング特性が向上することを確認できる。
【0125】
評価3:接触角の実験
シリコンウエハーの上に実施例1~5と比較例2によるハードマスク組成物(重合体含有量:10重量%)をそれぞれ塗布し、次に、200℃で2分間ベーク工程を経て薄膜を形成した。次に、形成されたハードマスク薄膜についてDSA100(KRUSS社)接触角測定器で接触角を測定した。
【0126】
その結果は表3のとおりである。
【0127】
【0128】
表3を参照すると、実施例1~5によるハードマスク組成物から形成された薄膜は、比較例2によるハードマスク組成物から形成された薄膜と比較して、小さい接触角値を有することによってシリコンウエハーとの親和度に優れていることを確認できる。
【0129】
評価4:平坦化特性およびギャップフィル特性の評価
パターン化されたシリコンウエハーに実施例1~5並びに比較例1および2によるハードマスク組成物を、ベーク後の厚さが2000Åになるように調節して(重合体含有量:ハードマスク組成物の5重量%)スピンオンコーティングし、400℃で2分間熱処理して薄膜を形成した。
【0130】
まず、SEMで観察されたパターン断面のイメージからハードマスク層の厚さを測定して
図1に示す計算式2により段差を数値化した。平坦化特性はh
1およびh
2の差が大きくないほど優れているものである。
【0131】
一方、パターン断面を電子走査顕微鏡(SEM)で観察してボイド(void)発生有無によりギャップフィル特性を評価した。ボイドが発生しなければギャップフィルが相対的によく、ボイドが発生すればギャップフィル特性が相対的によくないものである。
【0132】
その結果は下記表4のとおりである。
【0133】
【0134】
表4を参照すると、実施例1~5によるハードマスク組成物から形成された薄膜は、比較例1および2によるハードマスク組成物から形成された薄膜と比較して、平坦化特性およびギャップフィル性能に優れていることを確認できる。
【0135】
以上で本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の多様な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。