(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】流体吸収製製品
(51)【国際特許分類】
B32B 27/00 20060101AFI20220405BHJP
B32B 5/26 20060101ALI20220405BHJP
B01J 20/26 20060101ALI20220405BHJP
C08F 220/04 20060101ALI20220405BHJP
A61F 13/534 20060101ALI20220405BHJP
A61F 13/53 20060101ALI20220405BHJP
A61F 13/535 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
B32B27/00 K
B32B5/26
B01J20/26 D
C08F220/04
A61F13/534 110
A61F13/53 300
A61F13/535 100
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017067912
(22)【出願日】2017-03-30
【審査請求日】2020-03-27
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2016/077851
(32)【優先日】2016-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】WO
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ノアベアト ヘアファート
(72)【発明者】
【氏名】ソムヤテ ソンケウ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】タニャトーン シトフンソッド
【審査官】石塚 寛和
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-521962(JP,A)
【文献】特表2011-529755(JP,A)
【文献】特開2006-297373(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
B01J 20/00-20/28、20/30-20/34
C08J 3/00-3/28、99/00
C08F 6/00-246/00、301/00
A61F 13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側層(91)及び下側層(92)という少なくとも2つの層を有する流体吸収性芯材(80)であって、前記層はそれぞれ、吸水性ポリマー粒子と繊維材料との合計に対して、繊維材料を0~10質量%、及び吸水性ポリマー粒子を90~100質量%含有し、
上側層(91)内にある前記吸水性ポリマー粒子は表面架橋されており、かつ少なくとも0.89の球形度を有し、前記吸収性芯材は、少なくとも0.65のCRC
AP/TAC
AP比を示し、かつ不織布材料(94)が、前記上側層(91)と前記下側層(92)との間に挟まれている、
前記流体吸収性芯材(80)。
【請求項2】
上側層(91)内にある吸水性ポリマー粒子が、少なくとも30g/gのAUL(21g/cm
2)を有する、請求項1に記載の流体吸収性芯材(80)。
【請求項3】
下側層(92)内にある吸水性ポリマー粒子が、少なくとも0.89の球形度を有する、請求項1又は2に記載の流体吸収性芯材(80)。
【請求項4】
上側層(91)が、
吸水性ポリマー粒子を100質量%含有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の流体吸収性芯材(80)。
【請求項5】
下側層(92)が、
吸水性ポリマー粒子を100質量%含有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の流体吸収性芯材(80)。
【請求項6】
前記
吸水性ポリマー粒子が、流体吸収性芯材(80)の少なくとも1つの層(91、92)内にある別個の領域に配置されている、請求項1から5までのいずれか1項に記載の流体吸収性芯材(80)。
【請求項7】
層(91、92)が、接着剤、超音波接合、及び/又は熱接合によって不織布材料(94)に貼り合わされている、請求項1から6までのいずれか1項に記載の流体吸収性芯材(80)。
【請求項8】
上側シート(95)及び/又は下側シート(96)が、上側層(91)及び下側層(92)の表面にそれぞれ、接着剤を用いて取り付けられている、請求項1から7までのいずれか1項に記載の流体吸収性芯材(80)。
【請求項9】
前記取り付けが、接着
剤、超音波接合、及び/又は熱接合によって行われている、請求項8に記載の流体吸収性芯材(80)。
【請求項10】
流体吸収性芯材(80)が、接着剤を10質量%以下含有する、請求項1から9までのいずれか1項に記載の流体吸収性芯材(80)。
【請求項11】
前記吸水性ポリマー粒子が、各層(91、92)において異なっている、請求項1から10までのいずれか1項に記載の流体吸収性芯材(80)。
【請求項12】
(A)上側の液体透過性シート(89)、
(B)下側の液体不透性シート(83)、
(C)請求項1から11までのいずれか1項に記載の流体吸収性芯材(80)、
(D)(89)と(80)との間にある、任意の捕捉・分配層(D)、
(F)その他の任意の要素
を有する吸収性製品。
【請求項13】
上側シート(95)、及び/又は下側シート(96)がそれぞれ、上側の液体透過性シート(89)、及び/又は下側の液体不透性シート(83)に相当する、請求項12に記載の吸収性製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された特性を有する、特にリウェット性(液もどり)が改善された吸収性芯材(80)及び吸収性製品に関する。吸収性芯材は、少なくとも2つの層(91)(92)を有しており、これらの層はそれぞれ、吸水性ポリマー粒子と繊維材料との合計に対して、繊維材料を0~10質量%、及び吸水性ポリマー粒子を90~100質量%含有する。ここで、上側層(91)内にある表面架橋された吸水性ポリマー粒子は、少なくとも0.89の球形度を有し、吸収性芯材(80)は、少なくとも0.65のCRCAP/TACAP比を示す。
【背景技術】
【0002】
流体吸収性製品の製造は、論文の“Modern Superabsorbent Polymer Technology”、F.L. Buchholz 及びA.T. Graham著、Wiley-VCH, 1998年、p. 252~258に記載されている。
【0003】
現在、市場で入手可能な使い捨ておむつは通常、液体透過性のトップシート(A)(89)、液体不透性バックシート(B)(83)、層(A)と層(B)との間にある吸水性貯蔵層(吸収性芯材)(C)(80)、及び層(A)と層(C)との間にある捕捉・分配層(D)からなる。
【0004】
流体吸収性製品の幾つかの層は通常、明確な機能(例えば上側の液体透過層についての乾燥性(ドライネス)、下側の液体不透層について濡れることのない水蒸気透過性、可撓性であり、水蒸気透過性の流体吸収性芯材)を満たし、これによって吸収速度が速くなり、体液を大量に保持できる。
【0005】
吸水性ポリマー粒子の製造は同様に、論文の“Modern Superabsorbent Polymer Technology”、F.L. Buchholz、及びA.T. Graham著、Wiley-VCH, 1998年、p.71~103に記載されている。吸水性ポリマー粒子はまた、「流体吸収性ポリマー粒子」、「超吸収性ポリマー」、又は「超吸収剤」とも呼ばれる。
【0006】
モノマー溶液の液滴を重合させることによる吸水性ポリマー粒子の製造は例えば、欧州特許出願公開第0348180号明細書(EP 0 348 180 A1)、国際公開第96/40427号(WO 96/40427 A1)、米国特許第5269980号明細書(US 5,269,980)、国際公開第2008/009580号(WO 2008/009580 A1)、国際公開第2008/052971号(WO 2008/052971 A1)、国際公開第2011/026876号(WO2011/026876 A1)、国際公開第2011/117263号(WO 2011/117263 A1)、及び国際公開第2014/079694号(WO 2014/079694)に記載されている。
【0007】
近年では、非常に薄い使い捨てオムツが流行している。薄型使い捨てオムツを製造するために、吸水性貯蔵層におけるセルロース繊維の割合が低減されてきており、ほとんど含まれていない場合もある。
【0008】
超薄型流体吸収性製品のための芯材構造は、吸収紙から作製することができる。このような構造は例えば、国際公開第2011/086842号(WO2011/086842)、欧州特許出願公開第2565031号明細書(EP 2 565 031 A1)、欧州特許出願公開第2668936号明細書(EP 2 668 936 A1)に記載されている。
【0009】
しかしながら、吸収紙構造を備える公知の超薄型流体吸収性製品には、流体の捕捉、漏れ、及びリウェット性(液もどり)に関して欠点がある。
【0010】
論文“Modern Superabsorbent Polymer Technology”、F.L. Buchholz、及びA.T. Graham著、Wiley-VCH, 1998によれば、吸水性ポリマー粒子のFSCは、そのCRCに依存する。しかしながらこの依存性はそれぞれ、吸収性芯材又は吸収性製品のような吸収性構造にとってはもはや有効ではない。
【0011】
超吸収剤の性能によって吸収性構造の性能を予想することは容易ではない。とりわけ流体捕捉性と貯蔵性に関して、吸水性ポリマーの層を少なくとも2つ有する吸収性芯材/製品では、特に予想が困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】欧州特許出願公開第0348180号明細書
【文献】国際公開第96/40427号
【文献】米国特許第5269980号明細書
【文献】国際公開第2008/009580号
【文献】国際公開第2008/052971号
【文献】国際公開第2011/026876号
【文献】国際公開第2011/117263号
【文献】国際公開第2014/079694号
【文献】国際公開第2011/086842号
【文献】欧州特許出願公開第2565031号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2668936号明細書
【非特許文献】
【0013】
【文献】“Modern Superabsorbent Polymer Technology”、F.L. Buchholz 及びA.T. Graham著、Wiley-VCH, 1998年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って本発明の課題は、流体捕捉性、貯蔵性、保持性、及びリウェット性について、多層の吸収性芯材/吸収紙の性能を予測できる、信頼性のあるツールを提供することである。
【0015】
本発明の課題はまた、改善された芯材構造を有する、吸収性芯材/吸収紙、及び吸収性製品を提供することである。
【0016】
本発明の課題はさらに、漏れを回避するためにそれぞれ改善された流体貯蔵性能を有する、吸収性芯材及び吸収性製品を提供することである。
【0017】
本発明の課題はまた、それぞれ改善されたリウェット性を有する、吸収性芯材及び吸収性製品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題は、上側層(91)及び下側層(92)の、少なくとも2つの層を有する吸収性芯材(80)であって、各層が、吸水性ポリマー粒子と繊維材料との合計に対して、繊維材料を0~10質量%、及び吸水性ポリマー粒子を90~100質量%含有し、ここで、上側層(91)内にある吸水性ポリマー粒子が、少なくとも0.89の球形度を有し、吸収性芯材(80)が、少なくとも0.65のCRCAP/TACAP比を示す吸収性芯材によって、解決される。
【0019】
上記課題はさらに、上側のティッシュ層(95)、吸水性ポリマー粒子の上側層(91)、吸水性ポリマー粒子の下側層(92)、吸水性ポリマー粒子の上側層(91)と、吸水性ポリマー粒子の下側層との間にある少なくとも1つの不織布材料層(94)、及び下側のティッシュ層(96)を有する流体吸収性芯材(80)によって解決される。これらの層は、接着剤、超音波接合、及び/又は熱接合によって接続されていることが好ましい。
【0020】
上記課題はまた、
(A)上側の液体透過性シート(89)、
(B)下側の液体不透性シート(83)、及び
(C)上側層(91)及び下側層(92)という、少なくとも2つの層を有する流体吸収性芯材、各層は、吸水性ポリマー粒子と繊維材料との合計に対して、繊維材料を0~10質量%、及び吸水性ポリマー粒子を90~100質量%含有する、
(D)(A)と(D)との間にある、任意の捕捉・分配層(D)
(E)その他の任意の要素
を有する流体吸収性製品によって解決され、
ここで上側層(91)内にある吸水性ポリマー粒子は好ましくは、少なくとも0.89の球形度を有し、吸収性芯材は、少なくとも0.65というCRCAP/TACAP比を示す。
【0021】
上記課題はさらに、上側の液体透過性シート(89)と、下側の液体不透性シート(83)との間にある流体吸収性芯材(80)を有する流体吸収性製品によって解決され、この製品は、上側のティッシュ層(95)、吸水性ポリマー粒子の上側層(91)、吸水性ポリマー粒子の下側層(92)、吸水性ポリマー粒子の上側層(91)と、吸水性ポリマー粒子の下側層(92)との間に挟まれた少なくとも1つの不織布材料(94)、及び下側のティッシュ層(96)を有するものである。これらの層は、接着剤、超音波接合、及び/又は熱接合によって接続されていることが好ましい。
【0022】
本発明による流体吸収性構造、例えば流体吸収性芯材、及び流体吸収性製品はそれぞれ、改善された液体捕捉性、及び液体保持性を示す。
【0023】
少なくとも0.65、好ましくは0.7、より好ましくは0.75という比(CRCAP/TACAP)が、吸収性芯材及び吸収性製品の良好な性能をそれぞれ保証する。CRCAP及びTACAPの値は、完成した吸収性芯材/吸収紙について測定する。TACAPに対するCRCAPの比は、流体捕捉性、及び貯蔵性、及び保持性に関して、吸収性芯材/吸収紙の性能全体についての、1つの測定法である。
【0024】
本発明によれば特に、少なくとも2つの層状の芯材/吸収紙は、少なくとも上側層(91)中に、球形度が少なくとも0.89である吸水性ポリマー粒子を含有する。
【0025】
さらに本発明の別の実施形態によれば、吸収性芯材の各層は、吸水性ポリマー粒子を少なくとも100gsm含有する。
【0026】
適切な吸水性ポリマーは、
a)少なくとも1種のエチレン系不飽和モノマー、このモノマーは酸基を含有し、少なくとも部分的に中和されていてよく、
b)任意で、1種以上の架橋剤、
c)少なくとも1種の開始剤、
d)任意で、a)で言及したモノマーと共重合可能なエチレン系不飽和モノマー1種以上、
e)任意で、1種以上の水溶性ポリマー、及び
f)水、
を含有するモノマー溶液を重合させることにより、吸水性ポリマー粒子を形成する工程、及び吸水性ポリマー粒子を、少なくとも1種の表面後架橋剤で被覆する工程、及び被覆された吸水性ポリマー粒子を熱により表面後架橋する工程を含む方法によって製造される。
【0027】
周辺の、加熱された気相においてモノマーの液滴を重合させて、吸水性ポリマー粒子を製造することが好ましい(例えば国際公開第2008/040715号(WO 2008/040715 A2)、国際公開第2008/052971号(WO 2008/052971 A1)、国際公開第2008/069639号(WO 2008/069639 A1)、及び国際公開第2008/086976号(WO 2008/086976 A1)、国際公開第2014/079694号(WO 2014/079694)、国際公開第2015/028327号(WO 2015/028327)、国際公開第2015/028158号(WO 2015/028158)に記載された系を用いる)。
【0028】
発明の詳細な説明
A:定義
本明細書で使用する、「流体吸収性製品」とは、体から放出された液体を捕捉及び貯蔵することができる、あらゆる三次元の固体材料をいう。好ましい流体吸収性製品は、使用者の体と接触して着用されることが意図されている使い捨ての流体吸収性製品であり、例えばパンティライナー、生理用ナプキン、月経用品、失禁用挿入物/パッド、おむつ、トレーニングパンツおむつ、ブラ用パッド、陰唇部挿入物/パッド、又は体液を吸収するために有用な他の製品である。
【0029】
本明細書で使用するように、「流体吸収性構成要素」とは、流体吸収性製品の流体取り扱い性(体液の捕捉、輸送、分配、及び貯蔵を含む)を主に担う流体吸収性製品の要素をいう。
【0030】
本明細書で使用する、「流体吸収性芯材」、「吸収性芯材」、又は「吸収紙」という用語は、少なくとも2つの吸水性ポリマー粒子層、及び任意で繊維材料、不織布材料、ティッシュ材料、及び任意で接着剤を有する流体吸収性構成要素をいう。流体吸収性芯材とは、流体吸収性製品の流体取り扱い性/管理(体液の捕捉、輸送、分配、貯蔵、及び保持を含む)を主に担うものである。
【0031】
本明細書で使用するように「層」という用語は、主に長さと幅にわたって広がる流体吸収性構成要素をいう。
【0032】
本明細書で使用するように、「x方向」という用語は長さを示し、「y方向」という用語は、流体吸収性構成要素、層、芯材、又は製品の幅を示す。一般的に、「x-y方向」という用語は、流体吸収性構成要素、層、芯材、若しくは製品の高さ又は厚さと直交する平面をいう。
【0033】
本明細書で使用するように「z方向」という用語は、流体吸収性構成要素、層、芯材、若しくは製品の長さ及び幅と直交する次元を表す。一般的に「z方向」という用語は、流体吸収性構成要素、層、芯材、若しくは製品の高さをいう。
【0034】
本明細書で使用するように、「坪量」という用語は、1平方メートル当たりの流体吸収性芯材の質量を示し、流体吸収性製品の基材を含む。坪量は、流体吸収性芯材の別個の領域で特定する:前部全体平均とは、芯材の前部遠位端部に対して、芯材の中心から前方5.5cmに向かった流体吸収性芯材の坪量である:曝露ゾーン(insult zone)とは、芯材の中心から前方5.5cm、後方0.5cmの流体吸収性芯材の坪量である:後部全体平均とは、芯材の後部遠位端部に対して、芯材の中心から後方5.5cmに向かった流体吸収性芯材の坪量である。
【0035】
さらに、「上側」という用語は、流体吸収性製品の着用者により近い流体吸収性構成要素をいうと理解されるべきである。一般的にトップシートとは、流体吸収性製品の着用者に最も近い構成要素であり、以下では「上側の液体透過層」とも記載する。逆に、「下側」という用語は、流体吸収性製品の着用者からは遠い流体吸収性構成要素をいう。一般的に、バックシートとは、流体吸収性製品の着用者からさらに遠い要素であり、以下では、「下側の液体透過層」とも記載する。
【0036】
本明細書に記載するように、「液体透過性」とは、液体を透過する基材、層、又は積層体を言い、すなわち体液、例えば尿、経血、及び/又は分泌物が、その厚さを通じてすぐに浸透する。
【0037】
本明細書で使用するように、「液体不透性」とは、通常の使用条件で液体が接触する点において、一般的には層の平面に対して垂直方向に、体液を通過させない基材、層、又は積層体をいう。
【0038】
本明細書で使用するように、「基材(chassis)」とは、上側の液体透過層、及び下側の液体不透層、吸収性製品のための弾性及び閉鎖系を有する流体吸収性材料をいう。
【0039】
本明細書で使用するように、「親水性」という用語は、繊維上に置いた水による繊維の濡れ性をいう。「親水性」という用語は、接触角と、体液の表面張力によって規定される。Robert F. Gouldの定義によれば(1964年、American Chemical Society publication "Contact angle, wettability and adhesion")、液体と繊維(特に繊維表面)との間の接触角が90゜未満であるか、又は液体が、この同じ表面で自然と広がる傾向を有する場合に、繊維は親水性といえる。
【0040】
逆に「疎水性」とは、90゜より大きい接触角を示さない、又は繊維表面にわたって液体が自然に広がらない繊維をいう。
【0041】
本明細書で使用するように、「体液」という用語は、人間又は動物の体によって産生、及び放出されるあらゆる流体を言い、例えば尿、経血、糞、膣分泌物などである。
【0042】
本明細書で使用するように、「通気性」とは、流体吸収性製品から蒸気を逃しながらも、流体の漏れを防止する基材、層、フィルム、又は積層体をいう。通気性のある基材、層、フィルム、又は積層体は、多孔質ポリマーフィルム、スパンボンド法による層、及びメルトブローンによる層からの不織布積層体、多孔質ポリマーフィルム、及び不織布からの積層体であり得る。
【0043】
本明細書で使用するように、「縦方向」という用語は、腰の端部から、流体吸収性製品の反対側の腰部へと垂直に走る方向をいう。
【0044】
B.吸水性ポリマー粒子
吸水性ポリマー粒子は、
g)少なくとも1種のエチレン系不飽和モノマー、このモノマーは酸基を含有し、少なくとも部分的に中和されていてよく、
h)任意で、1種以上の架橋剤、
i)少なくとも1種の開始剤、
j)任意で、a)で言及したモノマーと共重合可能なエチレン系不飽和モノマー1種以上、
k)任意で、1種以上の水溶性ポリマー、及び
l)水、
を含有するモノマー溶液を重合させることにより、吸水性ポリマー粒子を形成する工程、及び吸水性ポリマー粒子を、少なくとも1種の表面後架橋剤で被覆する工程、及び被覆された吸水性ポリマー粒子を熱により表面後架橋する工程を含む方法によって製造される。
【0045】
吸水性ポリマー粒子における残留モノマーの含分は好ましくは、表面後架橋剤による被覆前に、0.03~15質量%の範囲にあり、好ましい表面後架橋剤は、アルキレンカーボネートであり、熱による表面後架橋の間の温度は、100~180℃の範囲にある。
【0046】
吸水性ポリマー粒子は一般的に、水に不溶性だが、水膨潤性である。
【0047】
モノマーa)は好ましくは水溶性である、すなわち、23℃における水への溶解性が通常、水100g当たり少なくとも1g、好ましくは水100g当たり少なくとも5g、より好ましくは水100g当たり少なくとも25g、最も好ましくは水100g当たり少なくとも35gである。
【0048】
適切なモノマーa)は例えば、エチレン系不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、及びイタコン酸である。特に好ましいモノマーは、アクリル酸、及びメタクリル酸である。特に好ましいのは、アクリル酸である。
【0049】
さらなる適切なモノマーa)は例えば、エチレン系不飽和スルホン酸、例えばビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、及び2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)である。
【0050】
不純物は、重合に対して大きな影響を与え得る。特別に精製されたモノマーa)が好ましい。有用な精製法は、国際公開第2002/055469号(WO 2002/055469 A1)、国際公開第2003/078378号(WO 2003/078378 A1)、及び国際公開第2004/035514号(WO 2004/035514 A1)に開示されている。適切なモノマーa)は、国際公開第2004/035514号(WO 2004/035514 A1)に従って精製されたアクリル酸であり、これはアクリル酸を99.8468質量%、酢酸を0.0950質量%、水を0.0332質量%、プロピオン酸を0.0203質量%、フルフラールを0.0001質量%、無水マレイン酸を0.0001質量%、ジアクリル酸を0.0003質量%、及びヒドロキノンモノメチルエーテルを0.0050質量%含有するものである。
【0051】
重合されたジアクリル酸は、熱分解による残留モノマーの供給源である。プロセスの間の温度が低い場合、ジアクリル酸の濃度はもはや重要では無く、ジアクリル酸をより高い割合(すなわち、500~10,000ppm)で有するアクリル酸も、本発明によるプロセスに使用できる。
【0052】
モノマーa)の全量におけるアクリル酸、及び/又はアクリル酸塩の含分は、好ましくは少なくとも50mol%、より好ましくは少なくとも90mol%、最も好ましくは少なくとも95molである。
【0053】
モノマーa)の酸基は通常、0~100mol%の範囲、好ましくは25~85mol%の程度、好適には50~80mol%の程度、より好適には60~75mol%で部分的に中和されており、このためには慣用の中和剤が使用でき、好適にはアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属炭酸塩、又はアルカリ金属炭酸水素塩、及びこれらの混合物を使用する。アルカリ金属塩の代わりに、アンモニア、又は有機アミン(例えばトリエタノールアミン)を使用することができる。マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、亜鉛、又はアルミニウムの酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、及び水酸化物を、粉末、スラリー、又は溶液として、また上記中和剤のいずれかの混合物を使用することもできる。混合物の例は、アルミン酸ナトリウム溶液である。ナトリウムとカリウムはアルカリ金属としてとりわけ好ましいが、特に好ましいのは水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、又は炭酸水素ナトリウム、及びこれらの混合物である。中和は通常、水溶液として、溶融物として、又は好ましくは固体として、中和剤中で混合することによって行う。例えば、水含分が50質量%を著しく下回る水酸化ナトリウムは、融点が23℃超のワックス状材料として存在し得る。この場合、断片状材料として、又は高温での溶融物として、計量添加することが可能である。
【0054】
任意で、モノマー溶液に、又はモノマー溶液の出発材料に、金属イオン(例えば鉄イオン)をマスクするためのキレート剤を1種以上、安定化のために添加することが可能である。適切なキレート剤は例えば、アルカリ金属クエン酸塩、クエン酸、アルカリ金属酒石酸塩、アルカリ金属ラクテート及びグリコレート、三リン酸五ナトリウム、エチレンジアミンテトラアセテート、ニトリロ三酢酸、及びTrilon(登録商標)、例えばTrilon(登録商標)C(五ナトリウムジエチレントリアミンペンタアセテート)、Trilon(登録商標)D(三ナトリウム(ヒドロキシエチル)-エチレンジアミントリアセテート)、及びTrilon(登録商標)M(メチルグリシン二酢酸)という名称で知られた全てのキレート剤である。
【0055】
モノマーa)は通常、重合阻害剤、好ましくはヒドロキノンモノエーテルを、貯蔵のための阻害剤として含有する。
【0056】
モノマー溶液は好ましくは、アクリル酸塩はアクリル酸として考慮して、それぞれアクリル酸に対して、最大250質量ppm、より好ましくは130質量ppm以下、最も好ましくは70質量ppm以下、好ましくは10質量ppm以下、より好ましくは30質量ppm以下、特に約50ppm以下、ヒドロキノンモノエーテルを含有する。モノマー溶液は例えば、適切なヒドロキノンモノエーテル含分を有するアクリル酸を用いて作製できる。しかしながらヒドロキノンモノエーテルは、吸収によって、例えば活性炭に吸収させることによって、モノマー溶液から除去することもできる。
【0057】
好ましいヒドロキノンモノエーテルは、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)、及び/又はα-トコフェロール(ビタミンE)である。
【0058】
適切な架橋剤b)は、架橋に適した基を少なくとも2個有する化合物である。このような基は例えば、フリーラジカルメカニズムによりポリマー鎖へと重合可能なエチレン系不飽和基、及びモノマーa)の酸基と共有結合を形成することが可能な官能基である。さらに、モノマーa)の酸基少なくとも2個と配位結合を形成可能な多価金属イオンもまた、適切な架橋剤b)である。
【0059】
架橋剤b)は好ましくは、フリーラジカルにより重合可能な基を少なくとも2個有する化合物であり、これはフリーラジカルメカニズムによってポリマー網目構造へと重合させることができる。適切な架橋剤b)は例えば、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルアミン、テトラアリルアンモニウムクロリド、テトラアリルオキシエタン(例えば欧州特許出願公開第0530438号明細書(EP 0 530 438 A1)に記載のもの)ジアクリレートとトリアクリレート(欧州特許出願公開第0547847号明細書(EP 0 547 847 A1)、欧州特許出願公開第0559476号明細書(EP 0 559 476 A1)、欧州特許出願公開第0632068号明細書(EP 0 632 068 A1)、国際公開第93/21237号(WO 93/21237 A1)、国際公開第2003/104299号(WO 2003/104299 A1)、国際公開第2003/104300号(WO 2003/104300 A1)、国際公開第2003/104301号(WO 2003/104301 A1)、及び独国特許出願公開第10331450号明細書(DE 103 31 450 A1)に記載のもの)、アクリレート基に加えて、さらなるエチレン系不飽和基を有する混合型アクリレート(独国特許出願公開第10331456号明細書(DE 103 314 56 A1)、及び独国特許出願公開第10355401号明細書(DE 103 55 401 A1)に記載のもの)、又は架橋剤混合物(例えば独国特許出願公開第19543368号明細書(DE 195 43 368 A1)、独国特許出願公開第19646484号明細書(DE 196 46 484 A1)、国際公開第90/15830号(WO 90/15830 A1)、及び国際公開第2002/32962号(WO 2002/32962 A2)に記載のもの)である。
【0060】
適切な架橋剤b)はとりわけ、ペンタエリトリトールトリアリルエーテル、テトラアリルオキシエタン、ポリエチレングリコールジアリルエーテル(分子量が400~20000g/molのポリエチレングリコールをベースとするもの)、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、15回エトキシ化されたトリメチロールプロパン、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、及びトリアリルアミンである。
【0061】
特に好ましい架橋剤b)は、アクリル酸若しくはメタクリル酸でエステル化されてジアクリレート又はトリアクリレートになった、ポリエトキシ化及び/又はプロポキシ化されたグリセリンである(例えばWO 2003/104301 A1に記載のもの)。3回~18回エトキシ化されたグリセリンのジアクリレート及び/又はトリアクリレートは、特に有利である。特に好ましいのは、1~5回エトキシ化及び/又はプロポキシ化されたグリセリンのジアクリレート及び/又はトリアクリレートである。最も好ましいのは、3~5回エトキシ化及び/又はプロポキシ化されたグリセリンのトリアクリレートであり、特に3回エトキシ化されたグリセリンのトリアクリレートである。
【0062】
架橋剤b)の量は好ましくは、それぞれモノマーa)に対して、0.0001~0.6質量%、より好ましくは0.001~0.2質量%、最も好ましくは0.01~0.06%である。架橋剤b)の量が増加するにつれて、遠心分離容量(CRC)は減少し、21.0g/cm2の圧力下での吸収性(AUL)は、最大値を通過する。
【0063】
表面後架橋された本発明のポリマー粒子は意外なことに、重合工程の間、非常に僅かな架橋剤を必要とするのみであるか、又は架橋剤を全く必要としない。そこで、本発明の特に好ましい実施形態では、架橋剤b)を使用しない。
【0064】
使用する架橋剤c)は、重合条件下で遊離基へと分解する全ての化合物であってよく、例えば過酸化物、ヒドロペルオキシド、過酸化水素、過硫酸塩、アゾ化合物、及びレドックス系開始剤である。水溶性開始剤を使用するのが好ましい。幾つかの場合において、様々な開始剤の混合物を使用することが有利であり、それは例えば過酸化水素と、ペルオキソ二硫酸ナトリウム若しくはペルオキソ二硫酸カリウムとの混合物である。過酸化水素と、ペルオキソ二硫酸ナトリウムとの混合物は、あらゆる割合で使用できる。
【0065】
特に好ましい開始剤c)は、アゾ開始剤、例えば2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、及び2,2’-アゾビス[2-(5-メチル-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸)、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸)ナトリウム塩、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、及び光開始剤、例えば2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、及び1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、レドックス系開始剤、例えば過硫酸ナトリウム/ヒドロキシメチルスルフィン酸、アンモニウムペルオキソジスルフェート/ヒドロキシメチルスルフィン酸、過酸化水素/ヒドロキシメチルスルフィン酸、過硫酸ナトリウム/アスコルビン酸、アンモニウムペルオキソジスルフェート/アスコルビン酸、及び過酸化水素/アスコルビン酸、光開始剤、例えば1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、及びこれらの混合物である。しかしながら使用される還元成分は、好ましくは2-ヒドロキシ-2-スルフィナト酢酸のナトリウム塩、2-ヒドロキシ-2-スルホナト酢酸の二ナトリウム塩、及び重亜硫酸ナトリウムの混合物である。このような混合物は、Brueggolite(登録商標)FF6、及びBrueggolite(登録商標)FF7(ドイツ国Heilbronn在、Brueggemann Chemicals社製)として得られる。本発明の範囲ではもちろんまた、2-ヒドロキシ-2-スルフィナト酢酸、及び2-ヒドロキシ-2-スルホナト酢酸の精製した塩又は酸を使用することもでき、後者はBlancolen(登録商標)ドイツ国Heilbronn在、Bruggemann Chemicals社製)という商標名で、ナトリウム塩として手に入る。
【0066】
開始剤は慣用の量、モノマーa)に対して例えば0.001~5質量%の量、好ましくは0.01~2質量%の量、最も好ましくは0.05~0.5質量%の量で使用する。
【0067】
モノマーa)と共重合可能なエチレン系不飽和モノマーd)の例は、アクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、及びジエチルアミノプロピルメタクリレートである。
【0068】
有用な水溶性ポリマーe)には、ポリビニルアルコール、酸の側鎖基を有する変性ポリビニルアルコール(例えばPoval(登録商標)K(ドイツFrankfurt在、Kuraray Europe GmbH社製)、ポリビニルピロリドン、デンプン、デンプン誘導体、変性セルロース、例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、又はヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン、ポリグリコール、又はポリアクリル樹脂、ポリエステル、及びポリアミド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、コポリ乳酸-ポリグリコール酸、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、アクリル酸及びマレイン酸の水溶性コポリマー(Sokalan(登録商標)ドイツ国Ludwigshafen在、BASF SE社製)であり、好ましくはデンプン、デンプン誘導体、及び変性セルロースである。
【0069】
最適な作用のために、好ましい重合阻害剤は、溶解された酸素を必要とする。よって、モノマー溶液から、重合前に不活性化(すなわち不活性ガス、好ましくは窒素を流すこと)によって、溶解された酸素を除去することができる。還元剤を添加することによって、溶解された酸素の濃度を低下させることも可能である。モノマー溶液の酸素濃度は好ましくは、重合前に1質量ppm未満、より好ましくは0.5質量ppm未満に低下させる。
【0070】
モノマー溶液の水含分は好ましくは、65質量%未満、好ましくは62質量%未満、より好ましくは60質量%未満、最も好ましくは58%未満である。
【0071】
モノマー溶液は20℃における動的粘度が、好ましくは0.002~0.02Pa・s、より好ましくは0.004~0.015Pa・s、最も好ましくは0.005~0.01Pa・sである。液滴生成における平均液滴直径は、動的粘度が上昇するにつれて大きくなる。
【0072】
モノマー溶液は20℃における密度が、好ましくは1~1.3g/cm3、より好ましくは1.05~1.25g/cm3、最も好ましくは1.1~1.2g/cm3である。
【0073】
モノマー溶液は20℃における表面張力が、0.02~0.06N/m、より好ましくは0.03~0.05N/m、最も好ましくは0.035~0.0045N/mである。液滴生成における平均液滴直径は、表面張力が上昇するにつれて大きくなる。
【0074】
重合
モノマー溶液を重合させる。
【0075】
例えば国際公開第2008/040715号(WO 2008/040715 A2)、国際公開第2008/052971号(WO 2008/052971 A1)、国際公開第2008/069639号(WO 2008/069639 A1)、及び国際公開第2008/086976号(WO 2008/086976 A1)、国際公開第2015/028327号(WO 2015/028327)、国際公開第2015/028158号(WO 2015/028158)に記載されたシステムを用いて、加熱された周辺気相においてモノマーの液滴を重合させ、吸水性ポリマー粒子を製造することが好ましい。
【0076】
特に、少なくとも本発明による吸収性芯材(80)又は本発明による流体吸収性製品の上側層(91)は、加熱された周辺気相においてモノマー液滴を重合させることにより製造された吸水性ポリマー粒子をそれぞれ含有する。
【0077】
液滴は好ましくは、液滴化プレートによって生成させる。液滴化プレートとは、多数の穿孔を有するプレートであり、液体が上部から穿孔へと入る。液滴化プレート、又は液体を振動させることができ、これにより理想的な単分散性液滴の連鎖が、各穿孔において液滴化プレートの下側で生じる。好ましい実施形態では、液滴化プレートを揺らさない。
【0078】
本発明の範囲においては、穿孔直径が異なる2種以上の液滴化プレートを使用することができ、これによって所望の粒径範囲が作製できる。各液滴化プレートは、1つの穿孔直径のみを有するのが好ましいが、1つのプレートに様々な穿孔直径が混ざっていてもよい。
【0079】
穿孔の数とサイズは、所望の容量と液滴サイズに従って選択する。液滴直径は通常、穿孔直径の1.9倍である。ここで重要なのは、液滴化すべき液体が、穿孔を早く通過し過ぎないことであり、穿孔にわたる圧力損失が大きすぎないことである。さもなくば、液体は液滴化せずに、むしろ高い動的エネルギーにより液体ジェット流が分裂される(噴霧される)。穿孔1つ当たりの処理量と穿孔直径に基づくレイノルズ数は好ましくは、2000未満、好ましくは1600未満、より好ましくは1400未満、最も好ましくは1200未満である。
【0080】
液滴化プレートの下側は少なくとも部分的に、水に関して好ましくは少なくとも60°、より好ましくは少なくとも75°、最も好ましくは少なくとも90°の接触角を有する。接触角は、表面に関する、液体(特に水)の濡れ性の測定手段であり、慣用の方法、例えばASTM D 5725に従って測定できる。接触角が小さいことは、濡れ性が良好なことを表し、接触角が大きいことは、濡れ性が悪いことを表す。
【0081】
液滴化プレートが、水に対して接触角が低い材料(例えばドイツ建材コード番号が1.4571である鋼)からなっていることが可能であり、また水に対する接触角が大きい材料で被覆することができる。有用な被覆には例えば、フッ素ポリマー、例えばペルフルオロアルコキシエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン/クロロトリフルオロエチレンのコポリマー、エチレン/テトラフルオロエチレンのコポリマー、及びフッ化ポリエチレンが含まれる。
【0082】
この被覆は、分散液として基材に適用することができ、この場合に溶媒は引き続き蒸発させ、被覆を熱処理する。ポリテトラフルオロエチレンについてこれは、例えば米国特許第3243321号明細書(US 3,243,321)に記載されている。
【0083】
さらなる被覆工程は、"Thin Films"という見出しで電子版の"Ullmanns Encyclopedia of Industrial Chemistry" (Updated Sixth Edition, 2000 Electronic Release)に見られる。
【0084】
この被覆はさらに、化学的なニッケル化の過程で、ニッケル層に組み込むことができる。液滴化プレートの濡れ性が悪いと、狭い液滴サイズ分布の単分散性液滴が作製されることになる。
【0085】
液滴化プレートは穿孔を、好ましくは少なくとも5個、より好ましくは少なくとも25個、最も好ましくは少なくとも50個、かつ好ましくは最大2000個、より好ましくは最大1500個、最も好ましくは最大1000個有する。
【0086】
穿孔の直径は、所望の液滴サイズに適合させる。
【0087】
穿孔の間隔は通常、2~50mm、好ましくは3~40mm、より好ましくは4~30mm、最も好ましくは5~25mmである。穿孔の間隔がより狭いと、重合液滴の凝集につながりかねない。
【0088】
穿孔サイズの直径面積は、1900~22300μm2、より好ましくは7800~20100μm2、最も好ましくは11300~17700μm2である。円形の穿孔は好ましくは、穿孔サイズが50~170μm、より好ましくは100~160μm、最も好ましくは120~150μmである。
【0089】
平均粒径を最適化するため、様々な穿孔直径を有する液滴化プレートが使用できる。その変更は、プレート上の様々な穿孔によって、又は様々なプレートを用いることによって行うことができ、ここで各プレートは、異なる穿孔直径を有する。平均粒径分布は、単峰性、双峰性、又は多峰性であり得る。最も好ましくは、単峰性、又は双峰性である。
【0090】
穿孔を通過する際のモノマー溶液の温度は、好ましくは5~80℃、より好ましくは10~70℃、最も好ましくは30~60℃である。
【0091】
気体は、反応チャンバを通じて流れる。キャリアガスは反応チャンバを通じて、モノマー溶液の自由落下液滴に対して並流に導入される(すなわち、上部から下方へ)。一回通過した後、気体は好ましくは少なくとも部分的に、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、循環ガスとして反応チャンバへと再利用する。通常、キャリアガスの一部は、通過する度に、好ましくは最大10%、より好ましくは最大3%、最も好ましくは最大1%、放出される。
【0092】
キャリアガスの酸素含分は好ましくは、0.1~25体積%、より好ましくは1~10体積%、最も好ましくは2~7体積%である。本発明の範囲では、酸素不含のキャリアガスを使用することもできる。酸素と同様に、キャリアガスは好ましくは窒素を含有する。キャリアガスの窒素含分は好ましくは、少なくとも80体積%、より好ましくは少なくとも90体積%、最も好ましくは少なくとも95体積%である。キャリアガスとしてあり得るその他のものは、二酸化炭素、アルゴン、キセノン、クリプトン、ネオン、ヘリウム、六フッ化硫黄である。キャリアガスのあらゆる混合物が使用できる。空気をキャリアガスとして使用することもできる。キャリアガスにはまた、水及び/又はアクリル酸蒸気が負荷されていてよい。
【0093】
ガス速度は好ましくは、反応帯域における流れが方向付けられるように、例えば一般的な流れ方向に対向する対流が存在しないように調整されており、ガス速度は好ましくは0.1~2.5m/s、より好ましくは0.3~1.5m/s、さらに好ましくは0.5~1.2m/s、最も好ましくは0.7~0.9m/sである。
【0094】
ガス入口温度、すなわちガスが反応帯域に入る温度は、好ましくは160~200℃、より好ましくは165~195℃、さらに好ましくは170~190℃、最も好ましくは175~185℃である。
【0095】
反応帯域に入るガスの水蒸気含分は、好ましくは乾燥ガス1kg当たり0.01~0.15kg、より好ましくは乾燥ガス1kg当たり0.02~0.12kg、最も好ましくは乾燥ガス1kg当たり0.03~0.10kgである。
【0096】
ガス入口温度は、ガス出口温度、すなわちガスが反応帯域を出る温度が、150℃未満、好ましくは90~140℃、より好ましくは100~130℃、さらに好ましくは105~125℃、最も好ましくは110~120℃であるように制御する。
【0097】
吸水性ポリマー粒子は、3つの区分に分けることができる:第一種の吸水性ポリマー粒子は、空隙を1つ有する粒子であり、第二種の吸水性ポリマー粒子は、1個より多くの空隙を有する粒子であり、第三種の吸水性ポリマー粒子は、目に見える空隙を有さない固体粒子である。
【0098】
吸水性ポリマー粒子の形状は、重合の間の反応条件によって制御できる。1つの空隙を有する粒子(第一種)を多量に有する吸水性ポリマー粒子は、低いガス速度と、高いガス出口温度を用いることによって作製できる。1つより多い空隙を有する粒子(第二種)を多量に有する吸水性ポリマー粒子は、高いガス速度と、低いガス出口温度を用いることによって作製できる。
【0099】
1つより多い空隙を有する粒子(第二種)は、機械的安定性が改善されている。
【0100】
この反応は、高圧、又は減圧下で行うことができ、好ましくは大気圧を1~100mbar下回る圧力、より好ましくは大気圧を1.5~50mbar下回る圧力、最も好ましくは大気圧を2~10mbar下回る圧力で行うことができる。反応排出ガス、すなわち反応チャンバを出るガスは、熱交換器で冷却することができる。これにより水、及び未変換のモノマーa)が圧縮される。反応排出ガスは、少なくとも部分的に再加熱され、循環ガスとして反応チャンバへと再循環できる。反応排出ガスの一部は放出され、新鮮な気体と置き換えることができ、この場合に反応排出ガスに存在する水、及び未変換のモノマーa)は、除去、及び再循環できる。
【0101】
熱統合系、すなわち、排ガスの冷却における排熱の一部を、循環ガスを加熱するために使用するのが特に好ましい。
【0102】
反応器は、トレース加熱することができる。この場合にトレース加熱は、壁面温度が少なくとも5℃、内部反応器温度を上回り、反応器の壁における縮合が確実に防止されるように調整する。
【0103】
熱による後処理
液滴化により得られる吸水性ポリマー粒子は、残分モノマーの含分を所望の値に調整するため、熱による後処理に供することができる。
【0104】
一般的に残分モノマーの水準は、加工パラメータの設定に影響され、それは例えば、吸水性粒子の後処理の温度である。残留モノマーは、比較的高温、また比較的長い滞留時間で除去できる。ここで重要なのは、吸水性ポリマー粒子を乾燥させすぎないことである。粒子が乾燥しすぎた場合、残留モノマーは僅かしか減少しない。水含分が高すぎると、吸水性ポリマー粒子のケーク化傾向が増大する。
【0105】
熱による後処理は、流動床で行うことができる。本発明の好ましい実施形態では、内部流動床を使用する。内部流動床とは、液滴化重合の生成物を、反応帯域下部の流動床に蓄積することを意味する。
【0106】
残留モノマーは、熱による後処理の間に除去できる。ここで重要なのは、吸水性ポリマー粒子を乾燥させすぎないことである。粒子が乾燥しすぎた場合、残留モノマーは僅かしか減少しない。水含分が高すぎると、吸水性ポリマー粒子のケーク化傾向が増大する。
【0107】
流動化状態において、ポリマー粒子の動的エネルギーは、ポリマー粒子間の凝集又は接着ポテンシャルよりも大きい。
【0108】
流動化状態は、流動床によって達成できる。この床では、吸水性ポリマー粒子に対して上方への流れがあるため、粒子が流動床を形成する。流動床の高さは、ガス比率とガス速度、すなわち流動床(ガスの動的エネルギー)の圧力降下によって調整する。
【0109】
流動床におけるガス流の速度は、0.3~2.5m/s、より好ましくは0.4~2.0m/s、最も好ましくは0.5~1.5m/sである。
【0110】
内部流動床の底部にわたる圧力降下は好ましくは、1~100mbar、より好ましくは3~50mbar、最も好ましくは5~25mbarである。
【0111】
吸水性ポリマー粒子の湿分は、熱による後処理終了後に好ましくは1~20質量%、より好ましくは2~15質量%、さらに好ましくは3~12質量%、最も好ましくは5~8質量%である。熱による後処理の間の吸水性ポリマー粒子の温度は、20~140℃、好ましくは40~110℃、より好ましくは50~105℃、最も好ましくは60~100℃である。
【0112】
内部流動床における平均滞留時間は、10~300分、好ましくは60~270分、より好ましくは40~250分、最も好ましくは120~240分である。
【0113】
流動床の条件は、流動床を出る吸水性ポリマーの残留モノマーの量を減少させるために、調整できる。残留モノマーの量は、さらなる水蒸気を用いた熱による後処理によって、0.1質量%未満の水準に低下させることができる。
【0114】
ガスの水蒸気含分は、好ましくは乾燥ガス1kg当たり0.005~0.25kg、より好ましくは乾燥ガス1kg当たり0.01~0.2kg、最も好ましくは乾燥ガス1kg当たり0.02~0.15kgである。
【0115】
さらなる水蒸気を用いることにより、流動床を出る吸水性ポリマーの残留モノマーの量が、0.03~15質量%、好ましくは0.05~12質量%、より好ましくは0.1~10質量%、さらに好ましくは0.15~7.5質量%、最も好ましくは0.2~5質量%、最も好ましくは0.25~2.5質量%であるように、流動床の条件を調整することができる。
【0116】
吸水性ポリマーにおける残留モノマーの水準は、後に作製される表面架橋された吸水性ポリマー粒子の特性に大きな影響を与える。これはつまり、非常に少ない水準の残留モノマーであっても避けなければならないということである。
【0117】
熱による後処理は、外部流動床において完全に、又は少なくとも部分的に行うことが好ましい。外部流動床の稼働条件は、前述の内部流動床のための範囲内にある。
【0118】
或いは、熱による後処理を、可動式混合用具を備える外部混合機(例えば国際公開第2011/117215号(WO 2011/117215 A1)に記載のもの)、好ましくは水平式混合機、例えばスクリュー式混合機、ディスク式混合機、スクリューベルト式混合機、及びパドル式混合機で行うことが好ましい。適切な混合機は例えば、Becker shovel mixers(ドイツ国Paderborn在、Gebr. Loedige Maschinenbau GmbH)、Nara paddle mixers(ドイツ国Frechen在、NARA Machinery Europe)、Pflugschar(登録商標)plowshare mixers(ドイツ国Paderborn 在、Gebr. Loedige Maschinenbau GmbH)、Vrieco-Nauta Continuous Mixers(オランダ国Doetinchem在、Hosokawa Micron BV)、Processall Mixmill Mixers(米国Cincinnati在、Processall Incorporated)、及びRuberg continuous flow mixers(ドイツ国Nieheim在、Gebrueder Ruberg GmbH & Co KG)である。Ruberg continuous flow mixers、Becker shovel mixers、及びPflugschar(登録商標)plowshare mixersが好ましい。
【0119】
熱による後架橋は、非連続的な外部混合機、又は連続的な外部混合機で行うことができる。
【0120】
非連続的な外部混合機で使用されるガスの量は好ましくは、それぞれ吸水性ポリマー粒子1kgに対して、0.01~5Nm3/h、好ましくは0.05~2Nm3/h、最も好ましくは0.1~0.5Nm3/hである。
【0121】
連続的な外部混合機で使用されるガスの量は好ましくは、それぞれ吸水性ポリマー粒子の処理量kg/hに対して、0.01~5Nm3/h、好ましくは0.05~2Nm3/h、最も好ましくは0.1~0.5Nm3/hである。
【0122】
ガスの他の構成成分は、好ましくは窒素、二酸化炭素、アルゴン、キセノン、クリプトン、ネオン、ヘリウム、空気、又は空気/窒素混合物であり、より好ましくは、窒素、又は酸素を10体積%未満含有する空気/窒素混合物である。酸素は、変色につながることがある。
【0123】
吸水性ポリマー粒子の形状はまた、熱による後処理の間の反応条件によって制御できる。1つの空隙を有する粒子(第一種)を多量に有する吸水性ポリマー粒子は、高い生成物温度と、短い滞留時間を用いることによって作製できる。2つ以上の空隙を有する粒子(第二種)を多量に有する吸水性ポリマー粒子は、低い生成物温度と、長い滞留時間を用いることによって作製できる。
【0124】
表面後架橋
ポリマー粒子は、特性をさらに改善させるために、表面後架橋することができる。
【0125】
表面後架橋剤とは、ポリマー粒子のカルボキシレート基と少なくとも2つの共有結合を形成可能な基を有する化合物である。適切な化合物は例えば、多官能性アミン、多官能性アミドアミン、多官能性エポキシドであり(欧州特許出願公開第008302号明細書(EP 0 083 022 A2)、欧州特許出願公開第0543303号明細書(EP 0 543 303 A1)、及び欧州特許出願公開第0937736号明細書(EP 0 937 736 A2)に記載)、二官能性若しくは多官能性アルコール(独国特許出願公開第3314019号明細書(DE 33 14 019 A1)、独国特許出願公開第3523617号明細書(DE 35 23 617 A1)、及び欧州特許出願公開第0450922号明細書(EP 0 450 922 A2)に記載)、又はβ-ヒドロキシアルキルアミド(独国特許出願公開第10204938号明細書(DE 102 04 938 A1)、及び米国特許第6239230号明細書(US 6,239,230)に記載)である。また、エチレンオキシド、アジリジン、グリシドール、オキセタン、及びこれらの誘導体が使用できる。
【0126】
ポリビニルアミン、ポリアミドアミン、及びポリビニルアルコールは、多官能性ポリマーの表面後架橋剤の例である。
【0127】
さらに、独国特許第4020780号明細書(DE 40 20 780 C1)はアルキレンカーボネートを、独国特許出願公開第19807502号明細書(DE 198 07 502 A1)は1,3-オキサゾリジン-2-オンとその誘導体、例えば2-ヒドロキシ-1,3-オキサゾリジン-2-オンを、独国特許第19807992号明細書(DE 198 07 992 C1)はビス-及びポリ-1,3-オキサゾリジン-2-オンを、欧州特許出願公開第0999238号明細書(EP 0 999 238 A1)はビス-及びポリ-1,3-オキサゾリジンを、独国特許出願公開第19854573号明細書(DE 198 54 573 A1)は2-オキソテトラヒドロ-1,3-オキサゾリンとその誘導体を、独国特許出願公開第19854574号明細書(DE 198 54 574 A1)はN-アシル-1,3-オキサゾリジン-2-オンを、独国特許出願公開第10204937号明細書(DE 102 04 937 A1)は環状尿素を、独国特許出願公開第10334584号明細書(DE 103 34 584 A1)は二環式アミドアセタールを、欧州特許出願公開第1199327号明細書(EP 1 199 327 A2)はオキセタン、及び環状尿素を、及び国際公開第2003/31482号(WO 2003/31482 A1)はモルホリン-2,3-ジオンとその誘導体を、適切な表面後架橋剤として記載している。
【0128】
さらに、さらなる重合性エチレン系不飽和基を有する表面後架橋剤を使用することも可能である(例えば独国特許出願公開第3713601号明細書(DE 37 13 601 A1)に記載)。
【0129】
少なくとも1種の表面後架橋剤は、アルキレンカーボネート、1,3-オキサゾリジン-2-オン、ビス-及びポリ-1,3-オキサゾリジン-2-オン、ビス-及びポリ-1,3-オキサゾリジン、2-オキソテトラヒドロ-1,3-オキサジン、N-アシル-1,3-オキサゾリジン-2-オン、環状尿素、二環式アミドアセタール、オキセタン、及びモルホリン-2,3-ジオンから選択される。適切な表面後架橋剤は、エチレンカーボネート、3-メチル-1,3-オキサゾリジン-2-オン、3-メチル-3-オキセタンメタノール、1,3-オキサゾリジン-2-オン、3-(2-ヒドロキシエチル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン、1,3-ジオキサン-2-オン、又はこれらの混合物である。
【0130】
表面後架橋剤のあらゆる適切な混合物を使用することもできる。特に好ましくは、1,3-ジオキソラン-2-オン(エチレンカーボネート)と1,3-オキサゾリジン-2-オンとの混合物を使用する。このような混合物は、1,3-ジオキソラン-2-オン(エチレンカーボネート)を相応する2-アミノアルコール(例えば2-アミノエタノール)と混合し、部分的に反応させることによって得られ、この混合物は、反応からのエチレングリコールを含有していてよい。
【0131】
少なくとも1種のアルキレンカーボネートを、表面後架橋剤として使用するのが好ましい。適切なアルキレンカーボネートは、1,3-ジオキソラン-2-オン(エチレンカーボネート)、4-メチル-1,3-ジオキソラン-2-オン(プロピレンカーボネート)、4,5-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-オン、4,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-オン、4-エチル-1,3-ジオキソラン-2-オン、4-ヒドロキシメチル-1,3-ジオキソラン-2-オン(グリセリンカーボネート)、1,3-ジオキサン-2-オン(トリメチレンカーボネート)、4-メチル-1,3-ジオキサン-2-オン、4,6-ジメチル-1,3-ジオキサン-2-オン、及び1,3-ジオキセパン-2-オンであり、好ましくは1,3-ジオキソラン-2-オン(エチレンカーボネート)、及び1,3-ジオキサン-2-オン(トリメチレンカーボネート)であり、最も好ましいのは、1,3-ジオキソラン-2-オン(エチレンカーボネート)である。
【0132】
表面後架橋剤の量は好ましくは、それぞれポリマーに対して、0.1~10質量%、より好ましくは0.5~7.5質量%、最も好ましくは1~5%である。
【0133】
吸水性ポリマー粒子における残留モノマーの含分は、表面後架橋剤による被覆の前に、0.03~15質量%、好ましくは0.05~12質量%、より好ましくは0.1~10質量%、さらに好ましくは0.15~7.5質量%、最も好ましくは0.2~5質量%、最も好ましくは0.25~2.5質量%の範囲にある。
【0134】
吸水性ポリマー粒子の湿分は、熱による表面後架橋の前に、好ましくは1~20質量%、より好ましくは2~15質量%、最も好ましくは3~10質量%である。
【0135】
多価カチオンは、表面後架橋剤に加えて、熱による表面後架橋前、その間、又はその後に、粒子表面に適用することができる。
【0136】
本発明による方法で使用可能な多価カチオンは例えば、二価のカチオン、例えば亜鉛、マグネシウム、カルシウム、鉄、及びストロンチウムのカチオン、三価カチオン、例えばアルミニウム、鉄、クロム、希土類金属、及びマンガンのカチオン、四価カチオン、例えばチタン、及びジルコニウムのカチオン、及びこれらの混合物である。対イオンとしてあり得るのは、塩化物イオン、臭化物イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、メタンスルフェートイオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硝酸イオン、水酸化物イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオン、グリコホスフェートイオン、及びカルボン酸イオン、例えば酢酸イオン、グリコール酸イオン、酒石酸イオン、ギ酸イオン、プロピオン酸イオン、3-ヒドロキシプロピオン酸イオン、ラクトアミド、及び乳酸イオン、並びにこれらの混合物である。硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、及び乳酸アルミニウムが好ましい。乳酸アルミニウムが、より好ましい。本発明を乳酸アルミニウムの使用と組み合わせて用いることにより、低い遠心分離容量(CRC)で合計液体吸収量が著しく高い吸水性ポリマー粒子が作製できる。
【0137】
金属塩は別にして、多価カチオンとしてポリアミン、及び/又はポリマー性アミンを使用することもできる。単独の金属塩は、金属塩のあらゆる混合物、及び/又は上記ポリアミンと同様に、使用できる。
【0138】
好ましい多価カチオン、及び相応するアニオンは、国際公開第2012/045705号(WO 2012/045705 A1)に記載されており、ここで参照を以て本願に組み込まれるものとする。好ましいポリビニルアミンは、国際公開第2004/024816号(WO 2004/024816 A1)に記載されており、ここで参照を以て本願に組み込まれるものとする。
【0139】
多価カチオンの量は例えば、それぞれポリマーに対して、0.001~1.5質量%、好ましくは0.005~1質量%、より好ましくは0.02~0.8質量%である。
【0140】
多価金属カチオンの添加は、表面後架橋の前、その後、又はそれと同時に行うことができる。使用する調整条件と稼働条件に応じて、均質な表面被覆と多価カチオンの分配、又は不均一な、通常はまだら状の被覆を得ることができる。2つのタイプの被覆、及びこれらのあらゆる混合体は、本発明の範囲において有用である。
【0141】
表面後架橋は通常、表面後架橋剤の溶液を、ヒドロゲル又は乾燥ポリマー粒子に吹き付けるように行う。噴霧後に、表面後架橋剤で被覆したポリマー粒子を熱により乾燥させ、冷却する。
【0142】
表面後架橋剤溶液の噴霧は、可動式の混合用具を備える混合機、例えばスクリュー式混合機、ディスク式混合機、及びパドル式混合機で行うのが好ましい。適切な混合機は例えば、vertical Schugi Flexomix(登録商標)mixers(オランダ国、Doetinchem在、Hosokawa Micron BV社製)、Turbolizers(登録商標)mixers(オランダ国、Doetinchem在、Hosokawa Micron BV社製)、horizontal Pflugschar(登録商標)plowshare mixers (ドイツ国、Paderborn在、Gebr. Loedige Maschinenbau GmbH社製)、Vrieco-Nauta Continuous Mixers(オランダ国、Doetinchem在、Hosokawa Micron BV社製)、Pro-cessall Mixmill Mixers(米国、Cincinnati在、Processall Incorporated社製)、及びRuberg continuous flow mixers(ドイツ国、Nieheim在、Gebrueder Ruberg GmbH & Co KG社製)である。Ruberg continuous flow mixers、及びhorizontal Pflugschar(登録商標)plowshare mixersが好ましい。表面後架橋剤溶液はまた、流動床へと吹き付けることもできる。
【0143】
表面後架橋剤の溶液は、熱による表面後処理の間に、吸水性ポリマー粒子に吹き付けることもできる。このような場合、表面後架橋剤は、熱による後処理混合機の軸に沿って一回で、又は複数回に分けて添加することができる。1つの実施形態では、熱による後処理工程の終了後に、表面後架橋剤を添加することが好ましい。熱による表面後処理工程の間に表面後架橋剤の溶液を添加することの特別な利点としては、表面後架橋剤を添加する混合機を別途用意するための技術的な労力を排除、又は削減できることである。
【0144】
表面後架橋剤は通常、水溶液として使用する。非水性溶液は、表面の濡れ性を改善させるため、またポリマー粒子への表面後架橋剤の浸透深さを調整するために、添加、使用することができる。
【0145】
熱による表面後架橋剤は好ましくは、接触式乾燥機、より好ましくはパドル式乾燥機、最も好ましくはディスク式乾燥機で行う。適切な乾燥機は例えば、Hosokawa Bepex(登録商標)horizontal paddle driers(ドイツ国、Leingarten在、Hosokawa Micron GmbH社製)Hosokawa Bepex(登録商標)disk driers(ドイツ国、Leingarten在、Hosokawa Micron GmbH社製)、Holo-Flite(登録商標)dryers(米国、Danville在、Metso Miner-als Industries Inc.)、及びNara paddle driers(ドイツ国、Frechen在、NARA Machinery Europe)。さらに、流動床乾燥機を使用することもできる。後者の場合、反応時間は、その他の実施形態に比べて短縮できる。
【0146】
水平式乾燥機を使用する場合、乾燥機を通じて流れる適切な生成物を付与するために、乾燥機を地表に対して数度傾けてセットすることがしばしば有利である。この角度は、固定しても、調整可能であってもよく、通常は0~10°、好ましくは1~6°、最も好ましくは2~4°である。
【0147】
1つの装置に2つの異なる加熱帯域を有する接触式乾燥機が使用できる。例えばNara paddle driersは、加熱帯域をたった1つ、又は2つの加熱帯域を利用できる。加熱帯域を2つ以上有する乾燥機を用いる利点は、熱による後処理、及び/又は表面後架橋の異なるフェーズを組み合わせられることである。
【0148】
熱い第一の加熱帯域を有し、これに同じ乾燥機において温度保持帯域が続く、接触式乾燥機を使用することができる。この設定により、生成物温度の迅速な上昇と、余剰の液体の蒸発が第一の加熱帯域において可能になり、その一方で、乾燥機の残りの部分は、反応を完全にするため安定的に、生成物温度を保持するだけである。
【0149】
温かい第一の加熱帯域を有し、これに熱い加熱帯域が続く、接触式乾燥機を使用することもできる。第一の温かい帯域において、熱による後処理を行うか、又は完全に行い、その一方で、表面後架橋は、後続の熱い帯域で行う。
【0150】
通常は、唯一の温度を有するパドル式加熱器を使用する。
【0151】
当業者であれば、所望の最終製品特性と、重合工程から得られるベースポリマーの品質に応じて、これらのあらゆる設定を選択する。
【0152】
熱による表面後架橋は、ジャケットの加熱、温かい空気又は水蒸気の吹き込みによって、混合機自体で行うことができる。同様に適しているのは、下流式乾燥機、例えば棚式乾燥機、回転管式炉、又は加熱式スクリューである。流動床乾燥機で混合及び乾燥することが特に有利である。
【0153】
熱による表面後架橋温度として好ましいのは、100~195℃の範囲、たいていは100~180℃の範囲、好ましくは120~170℃の範囲、より好ましくは130~165℃の範囲、最も好ましくは140~160℃の範囲である。反応混合物又は乾燥機中でこの温度における好ましい滞留時間は、好ましくは少なくとも5分、より好ましくは少なくとも20分、最も好ましくは少なくとも40分であり、通常は最大120分である。
【0154】
熱による表面後架橋の後、ポリマー粒子を冷却するのが好ましい。この冷却は好ましくは、接触式冷却器、より好ましくはパドル式冷却器、最も好ましくはディスク式冷却器で行う。適切な冷却器は例えば、Hosokawa Bepex(登録商標)horizontal paddle coolers(ドイツ国、Leingarten在、Hosokawa Micron GmbH社製)、Hosokawa Bepex(登録商標)disk coolers(ドイツ国、Leingarten在、Hosokawa Micron GmbH社製)、Holo-Flite(登録商標)coolers(米国、Danville在、Metso Minerals Industries Inc社製)、及びNara paddle coolers(ドイツ国、Frechen在、NARA Machinery Europe社製)である。さらに、流動床冷却器を使用することもできる。
【0155】
冷却器においてポリマー粒子を、20~150℃の範囲、好ましくは40~120℃の範囲、より好ましくは60~100℃の範囲、最も好ましくは70~90℃の範囲に冷却する。接触式冷却器を用いる場合には特に、温水を用いた冷却が好ましい。
【0156】
被覆
特性を改善するために吸水性ポリマー粒子を、被覆、及び/又は任意で湿潤化することができる。熱による後架橋のために用いる内部流動床、外部流動床、及び/又は外部混合機、及び/又は別個の被覆機(ミキサー)は、吸水性ポリマー粒子を被覆するために使用できる。さらに、冷却器、及び/又は別個の被覆機(ミキサー)が、表面後架橋された吸水性ポリマー粒子を被覆/湿潤化するために使用できる。捕捉性を制御するため、また透過性(SFC又はGBP)を改善させるために適切な被覆は例えば、無機の不活性基材、例えば水不溶性金属塩、有機ポリマー、カチオンポリマー、アニオンポリマー、及び多価金属カチオンである。色安定性を改善させるための適切な被覆は例えば、還元剤、キレート剤、及び酸化防止剤である。塵芥吸着のために適切な被覆は例えば、ポリオールである。ポリマー粒子の不所望のケーク化傾向に対して適切な被覆は例えば、Aerosil(登録商標)200、及び界面活性剤、例えばSpan(登録商標)20、及びPlantacare(登録商標)818 UPである。好ましい被覆は、アルミニウムジヒドロキシモノアセテート、硫酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、アルミニウム3-ヒドロキシプロピオネート、酢酸ジルコニウム、クエン酸、又はこれらの水溶性塩、Blancolen(登録商標)、Brueggolite(登録商標)FF7、Cublen(登録商標)、Span(登録商標)20、及びPlantacare(登録商標)818 UPである。
【0157】
遊離酸の代わりに上記酸の塩を用いる場合、好ましい塩は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、ジルコニウム塩、チタン塩、亜鉛塩、及びアンモニウム塩である。
【0158】
Cublen(登録商標)(ドイツ国、Burgstaedt在、Zschimmer & Schwarz Mohsdorf GmbH & Co KG)という名称で、以下の酸、及び/又はアルカリ金属塩(好ましくはNa塩及びK塩)が手に入り、本発明の範囲において、例えば完成製品に色安定性を付与するために使用できる:1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸、アミノ-トリス(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミン-テトラ(メチレンホスホン酸)、ヒドロキシエチル-アミノ-ジ(メチレンホスホン酸)、2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸、ビス(ヘキサメチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸))である。
【0159】
最も好ましくは、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸を、又はこれらと、ナトリウム、カリウム、又はアンモニウムとの塩を使用する。上記Cublenes(登録商標)のあらゆる混合物が使用できる。
【0160】
或いは、重合で使用するための上記キレート剤のいずれかを、完成生成物へと被覆することができる。
【0161】
適切な無機の不活性物質は、ケイ酸塩、例えばモンモリロナイト、カオリナイト、及びタルク、ゼオライト、活性炭、ポリケイ酸、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウム、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、二酸化チタン、及び酸化鉄(II)である。ポリケイ酸を用いるのが好ましく、これはその製造形態に基づき、沈降シリカとフュームドシリカに分けられる。これら2種は市販で手に入り、それぞれ、Silica FK、Sipernat(登録商標)、Wessalon(登録商標)(沈降シリカ)、及びAerosil(登録商標)(フュームドシリカ)という名称である。無機の不活性物質は、水性、若しくは水混和性の分散剤における分散液として、又はバルクで使用することができる。
【0162】
吸水性ポリマー粒子を無機不活性物質で被覆する場合、使用する無機不活性物質の量は、吸水性ポリマー粒子に対して、好ましくは0.05~5質量%、より好ましくは0.1~1.5質量%、最も好ましくは0.3~1質量%である。
【0163】
適切な有機ポリマーは、ポリアルキルメタクリレート、又は熱可塑性樹脂(例えばポリ塩化ビニル)、ワックス(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、又はポリテトラフルオロエチレンをベースとするもの)である。他の例は、スチレン/イソプレン/スチレンのブロックコポリマー、又はスチレン/ブタジエン/スチレンのブロックコポリマーである。その他の例は、シラン基含有ポリビニルアルコールであり、これはPoval(登録商標)R(ドイツ国、Frankfurt在、Kuraray Europe GmbH)という名称で得られる。
【0164】
適切なカチオンポリマーは、ポリアルキレンポリアミン、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、及びポリ第四級アミンのカチオン誘導体である。
【0165】
ポリ第四級アミンは例えば、ヘキサメチレンジアミン、ジメチルアミン、及びエピクロロヒドリンの縮合生成物、ジメチルアミン、及びエピクロロヒドリンの縮合生成物、ヒドロキシエチルセルロース、及びジアリルジメチルアンモニウムクロリドのコポリマー、アクリルアミド、及びα-メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドのコポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、エピクロロヒドリン、及びトリメチルアミンの縮合生成物、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドのホモポリマー、及びエピクロロヒドリンをアミドアミンに付加させた生成物である。加えて、ポリ第四級アミンは、ジメチルスルフェートをポリマー(例えばポリエチレンイミン、ビニルピロリドンとジメチルアミノエチルメタクリレートとのコポリマー、又はエチルメタクリレートとジエチルアミノエチルメタクリレートとのコポリマー)と反応させることによって得られる。ポリ第四級アミンは、幅広い分子量範囲で入手できる。
【0166】
しかしながら、カチオンポリマーを粒子表面に生成させることも可能であり、これは、自身で網目構造を形成可能な試薬(例えばエピクロロヒドリンをポリアミドアミンに付加した生成物)によって、又は添加された架橋剤と反応可能なカチオンポリマー(例えばポリアミン、又はポリイミンを、ポリエポキシド、多官能性エステル、多官能性酸、又は多官能性(メタ)アクリレートと組み合わせて)を施与することによって、可能である。
【0167】
第一級若しくは第二級アミノ基を有するすべての多官能性アミン(例えばポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、及びポリリシン)を使用することができる。本発明による方法で吹き付ける液体は好ましくは、少なくとも1種のポリアミン(例えばポリビニルアミン、又は一部加水分解されたポリビニルホルムアミド)を含有する。
【0168】
カチオンポリマーは、水性若しくは水混和性の溶媒中における溶液として、水性若しくは水混和性の分散剤における分散液として、又はバルクで使用することができる。
【0169】
吸水性ポリマー粒子をカチオンポリマーで被覆する場合、カチオンポリマーの使用量は、吸水性ポリマー粒子に対して通常、0.001質量%以上、通常は0.01質量%以上、好ましくは0.1~15質量%、より好ましくは0.5~10質量%、最も好ましくは1~5質量%である。
【0170】
適切なアニオンポリマーは、ポリアクリレート(酸の形態、又は塩として一部中和された形態)、アクリル酸とマレイン酸とのコポリマー(Sokalan(登録商標)という名称でドイツ国、Ludwigshafen在、BASF SE社から得られる)、及びイオン電荷が組み込まれたポリビニルアルコール(Poval(登録商標)Kという名称で、ドイツ国、Frankfurt在、Kuraray Europe GmbHから得られる)である。
【0171】
適切な多価金属カチオンは、Mg2+、Ca2+、Al3+、Sc3+、Ti4+、Mn2+、Fe2+/3+、Co2+、Ni2+、Cu+/2+、Zn2+、Y3+、Zr4+、Ag+、La3+、Ce4+、Hf4+、及びAu+/3+であり、好ましい金属カチオンは、Mg2+、Ca2+、Al3+、Ti4+、Zr4+、及びLa3+であり、特に好ましい金属カチオンは、Al3+、Ti4+、及びZr4+である。金属カチオンは、単独で使用するか、又は相互の混合物で使用できる。適切な上記金属カチオンの金属塩は、使用すべき溶媒中で充分な可溶性を有するこれらすべてである。特に適切な金属塩は、弱性錯体アニオン、例えば塩化物イオン、水酸化物イオン、炭酸イオン、酢酸イオン、ギ酸イオン、プロピオン酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、及びメタンスルフェートイオンである。金属塩は好ましくは溶液として、又は安定的な水性コロイド分散液として使用する。金属塩のために使用する溶媒は、水、アルコール、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、及びこれらの混合物であり得る。特に好ましいのは、水、及び水/アルコールの混合物、例えば水/メタノール、水/イソプロパノール、水/1,3-プロパンジオール、水/1,2-プロパンジオール/1,4ブタンジオール、又は水/プロピレングリコールである。
【0172】
吸水性ポリマー粒子を多価金属カチオンで被覆する場合、使用する多価金属カチオンの量は、吸水性ポリマー粒子に対して、好ましくは0.05~5質量%、より好ましくは0.1~1.5質量%、最も好ましくは0.3~1質量%である。
【0173】
適切な還元剤は例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム(重亜硫酸ナトリウム)、亜ジチオン酸ナトリウム、スルフィン酸、及びスルフィン酸塩、アスコルビン酸、次亜リン酸水素ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、及びリン酸、並びにリン酸塩である。しかしながら好ましくは、次亜リン酸塩、例えば次亜リン酸ナトリウム、スルフィン酸塩、例えば2-ヒドロキシ-2-スルフィナト酢酸の二ナトリウム塩、アルデヒドの付加生成物、例えば2-ヒドロキシ-2-スルホナト酢酸のジナトリウム塩である。しかしながら使用される還元剤は例えば、2-ヒドロキシ-2-スルフィナト酢酸のナトリウム塩、2-ヒドロキシ-2-スルホナト酢酸の二ナトリウム塩、及び重亜硫酸ナトリウムの混合物であり得る。このような混合物は、Brueggolite(登録商標)FF6、及びBrueggolite(登録商標)FF7(ドイツ国Heilbronn在、Bruggemann Chemicals社製)として得られる。精製した2-ヒドロキシ-2-スルホナト酢酸、及びそのナトリウム塩もまた、Blancolen(登録商標)という名称で同じ会社から手に入り、有用である。
【0174】
還元剤は通常、適切な溶媒(好ましくは水)中の溶液の形で使用される。還元剤は、純粋な物質として使用することができ、又は上記還元剤のあらゆる混合物が使用できる。
【0175】
吸水性ポリマー粒子を還元剤で被覆する場合、使用する還元剤の量は、吸水性ポリマー粒子に対して、好ましくは0.01~5質量%、より好ましくは0.05~2質量%、最も好ましくは0.1~1質量%である。
【0176】
適切なポリオールは、分子量が400~20000g/molのポリエチレングリコール、ポリグリセリン、3~100回エトキシ化されたポリオール、例えばトリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、イノシトール、ペンタエリトリトール、及びネオペンチルグリコールである。特に適切なポリオールは、7~20回エトキシ化されたグリセリン、又はトリメチロールプロパンであり、例えばPolyol TP 70(登録商標)(スウェーデン国、Perstorp在、Perstorp AB社製)である。吸水性ポリマー粒子の水性抽出物の表面張力を問題にならない程度にしか低下させないため、後者が特に有利である。ポリオールは好ましくは、水性若しくは水と混和性の溶媒中の溶液として使用する。
【0177】
ポリオールは表面後架橋の前、その間、又はその後に添加することができる。表面後架橋の後に添加するのが好ましい。上記ポリオールのあらゆる混合物が使用できる。
【0178】
吸水性ポリマー粒子をポリオールで被覆する場合、ポリオールの使用量は、吸水性ポリマー粒子に対して、好ましくは0.005~2質量%、より好ましくは0.01~1質量%、最も好ましくは0.05~0.5質量%である。
【0179】
被覆は、可動式の混合用具を備える混合機、例えばスクリュー式混合機、ディスク式混合機、パドル式混合機、及びドラム式コーターで行うのが好ましい。適切な混合機は例えば、horizontal Pflugschar(登録商標)plowshare mixers(ドイツ国、Paderborn在、Gebr. Loedige Maschinenbau GmbH社製)、Vrieco-Nauta Continuous Mixers(ドイツ国、Doetinchem在、Hosokawa Micron BV社製)、Processall Mixmill Mixers(米国、Cincinnati在、Processall Incorporated社製)、及びRuberg continuous flow mixers(ドイツ国、Nieheim在、Gebrueder Ruberg GmbH & Co KG社製)である。さらに、混合のために流動床を使用することもできる。
【0180】
アグロメレート化
吸水性ポリマー粒子はさらに選択的にアグロメレート化することができる。アグロメレート化は、重合、熱による後処理、熱による表面後架橋、又は被覆の後に行うことができる。
【0181】
有用なアグロメレート化助剤には、水、及び水と混和性の有機溶媒、例えばアルコール、テトラヒドロフラン、及びアセトンが含まれる。水溶性ポリマーがさらに使用できる。
【0182】
アグロメレート化のためには、アグロメレート化助剤を含有する溶液を、吸水性ポリマー粒子に吹き付ける。溶液による吹き付けは例えば、可動式混合装置を有する混合機で行うことができ、それは例えば、スクリュー式混合機、パドル式混合機、ディスク式混合機、スキ型混合機、及びシャベル型混合機である。有用な混合機には例えば、Loedige(登録商標)mixers、Bepex(登録商標)mixers、Nauta(登録商標)mixers、Processall(登録商標)mixers、及びSchugi(登録商標)mixersが含まれる。垂直式混合機が好ましい。流動床装置が、特に好ましい。
【0183】
熱による後処理、表面後架橋、及び任意の被覆の組み合わせ
熱による後処理と、熱による表面後架橋の工程を、1つの方法工程にまとめるのが好ましい。このような組み合わせにより、低コストの装備を用いることができ、さらに工程を低温で、すなわちコスト面で効率よく稼働させることができ、熱分解による変色と、完成した製品の性能特性の損失を回避できる。
【0184】
混合機は、熱による後処理の部分で記載した装置のあらゆる選択肢から選択することができる。Ruberg continuous flow mixers、Becker shovel mixers、及びPflugschar(登録商標)plowshare mixersが好ましい。
【0185】
表面後架橋溶液を、撹拌しながら吸水性ポリマー粒子に吹き付けるのが特に好ましい。
【0186】
熱による後処理/表面後架橋に続いて、吸水性ポリマー粒子を所望の湿分水準まで乾燥させ、この工程については、表面後架橋の部分で記載したあらゆる乾燥機が選択できる。しかしながら、この特に好ましい実施形態では乾燥のみを行うのが好ましいので、単純に、また低コストで加熱できる接触式乾燥機が使用できる(例えばHolo-Flite(登録商標)dryer(米国、Danville在、Metso Minerals Industries Inc.)。或いは、流動床が使用できる。所定の、狭い滞留時間で生成物を乾燥させる必要がある場合、トーラス状ディスク式乾燥機、又はパドル式乾燥機、例えばNara paddle dryer(ドイツ国、Frechen在、NARA Machinery Europe社製)が使用できる。
【0187】
本発明の好ましい実施形態において、表面後架橋の部分で述べた多価カチオンは、表面後架橋剤の添加の前、又はその間、又はその後に、水平式混合機の軸に沿った異なる添加点を用いて、粒子表面に適用する。
【0188】
熱による後処理、熱による表面後後処理、表面後架橋、及び被覆の工程を、1つの方法工程にまとめるのが非常に好ましい。適切な被覆は、被覆の部分で述べたカチオンポリマー、界面活性剤、及び無機の不活性物質である。被覆剤は、表面後架橋剤の添加の前、又はその間、又はその後に、水平式混合機の軸に沿った異なる添加点も用いて、粒子表面に適用できる。
【0189】
多価カチオン及び/又はカチオンポリマーは、残留表面後架橋剤のためのさらなる捕捉剤として働くことができる。表面後架橋剤は、多価カチオン及び/又はカチオンポリマーの前に添加して、表面後架橋剤を最初に反応させる。
【0190】
界面活性剤及び/又は無機不活性物質は、この工程の間、周辺湿度条件での付着又はケーク化を避けるために使用できる。好ましい界面活性剤は、非イオン性、及び両性の界面活性剤である。好ましい無機不活性物質は、粉末又は分散液の形態の沈降シリカ、及びフュームドシリカである。
【0191】
溶液/分散液を作製するために使用する液体の合計量は通常、加工すべき吸水性ポリマー粒子の全質量に対して、0.01~25質量%、好ましくは0.5~12質量%、より好ましくは2~7質量%、最も好ましくは3~6質量%である。
【0192】
【図面の簡単な説明】
【0193】
【
図4】3つの液滴化プレートを有する液滴化ユニットの配置
【
図5】9つの液滴化プレートを有する液滴化ユニットの配置
【
図6】9つの液滴化プレートを有する液滴化ユニットの配置
【
図11】内部流動床のためのレーキ型撹拌機(上から見た図)
【
図12】内部流動床のためのレーキ型撹拌機(横断面図)
【
図17】本発明による吸収性芯材(80)、又はいわゆる吸収紙の概略図
【0194】
符号の説明
1 乾燥ガス取り入れ管、
2 乾燥ガス量測定部、
3 ガス分配器、
4 液滴化ユニット、
4a 液滴化ユニット、
4b 液滴化ユニット、
4c 液滴化ユニット、
5 反応帯域(噴霧乾燥機の環状部)、
6 コーン、
7 T_出口測定部、
8 塔の排ガス管、
9 粉塵除去ユニット、
10 送風機、
11 冷却ノズル、
12 冷却塔、向流冷却、
13 熱交換器、
14 ポンプ、
15 ポンプ、
16 水出口、
17 送風機、
18 排ガス出口、
19 窒素取り入れ部、
20 熱交換器、
21 送風機、
22 熱交換器、
24 水負荷量測定部、
25 調整した内部流動床ガス、
26 内部流動床生成物温度測定部、
27 内部流動床、
28 ロータリーバルブ、
29 シーブ、
30 最終生成物、
31 スタチックミキサ、
32 スタチックミキサ、
33 開始剤原料、
34 開始剤原料、
35 モノマー原料、
36 再生するための微粒子フラクション出口、
37 ガス乾燥ユニット、
38 モノマー分離ユニット、
39 ガス取り込み管、
40 ガス排出管、
41 ガス乾燥ユニットから冷却塔への水出口、
42 排水出口、
43 T_出口測定部(塔の円周にある3つの測定箇所の平均温度)、
45 開始剤原料と事前に混合したモノマー、
46 噴霧乾燥塔の壁、
47 液滴化ユニット外部配管、
48 液滴化ユニット内部配管、
49 液滴化カセット、
50 テフロン(登録商標)ブロック、
51 弁、
52 開始剤原料と事前に混合したモノマー取り入れ管接続部、
53 液滴化プレート、
54 対向プレート、
55 温度制御水のための流路、
56 モノマー溶液のための、デッドスペースがない流路、
57 液滴化カセットのステンレス鋼製ブロック、
58 4つのセグメントを有する、内部流動床の底部、
59 セグメントの分裂開口部、
60 レーキ型撹拌機、
61 レーキ型撹拌機の熊手、
62 混合機、
63 任意の被覆原料、
64 後架橋剤原料、
65 熱による乾燥(表面後架橋)、
66 冷却器、
67 任意の被覆/水原料、
68 コーター、
69 被覆/水原料、
70 ベースポリマー原料、
71 排出帯域、
72 堰開口部、
73 堰板、
74 堰の高さ100%、
75 堰の高さ50%、
76 シャフト、
77 排出コーン、
78 傾き角α、
79 温度センサ(T1~T6)、
80 パドル(軸の偏り90℃)。
【発明を実施するための形態】
【0195】
乾燥ガスを、分配器(3)を介して、噴霧式乾燥機の上部に供給する(
図1参照)。乾燥ガスを一部、バッグハウスフィルター(9)又は冷却塔(12)を介して、再循環させる(乾燥ガスループ)。噴霧式乾燥機内部の圧力は、大気圧を下回る。
【0196】
噴霧式乾燥機の出口温度は好ましくは、環状部の端部にある円周において3点で測定する(
図3参照)。単独の測定部(43)は、円筒形噴霧式乾燥機の平均出口温度を計算するために使用する。
【0197】
1つの好ましい実施形態では、冷却塔(12)からのモノマーをモノマー原料(35)へとリサイクルするために、モノマー分離ユニット(38)を使用する。このモノマー分離ユニットは例えば、特に、モノマーを水及びポリマー粒子から分離するための、マイクロ濾過、限外濾過、ナノ濾過、及び逆浸透膜ユニットの組み合わせである。適切な膜分離系は例えば、論文の「Membranen: Grundlagen, Verfahren und Industrielle Anwendungen」、K. Ohlrogge、及びK. Ebert著、Wiley-VCH, 2012 (ISBN: 978-3-527-66033-9)に記載されている。
【0198】
生成物は、内部流動床(27)に蓄積させる。調整した内部流動床ガスを、導管(25)を介して内部流動床(27)へと供給する。内部流動床ガスの相対湿度は好ましくは、モリエ線図を用いて冷却塔への温度により制御する。
【0199】
噴霧式乾燥機の排ガスを、粉塵除去ユニット(9)を介して濾過し、急冷/冷却のために冷却塔(12)に送る。粉塵除去ユニット(9)の後で、冷却塔(12)の後にガスを予熱するための回復熱交換システムが使用できる。粉塵除去ユニット(9)は、好ましくは80~180℃、より好ましくは90~150℃、最も好ましくは100~140℃の温度でトレース加熱できる。
【0200】
粉塵除去ユニットのための例は、バッグハウスフィルター、膜、サイクロン、粉塵圧縮機(dust compactor)であり、例えば論文の「Staubabscheiden」、F. Loeffler著、Georg Thieme Verlag, Stuttgart, 1988 (ISBN 978-3137122012)、及び「Staubabscheidung mit Schlauchfiltern und Taschenfiltern」、F. Loeffler、H. Dietrich、及びW. Flatt著、Vieweg, Braunschweig, 1991 (ISBN 978-3540670629)に記載されている。
【0201】
最も好ましいのはサイクロンであり、例えばLTG Aktiengesellschaft社製のZSA/ZSB/ZSC型のサイクロン式/遠心分離式の除去機、及びVentilatorenfabrik Oelde GmbH社製、Camfil Farr International社製、及びMikroPul GmbH社製のサイクロン式除去機である。
【0202】
余剰な水は冷却塔(12)から、冷却塔(12)内部で(一定の)充填水準を制御することによってポンプで排出する。冷却塔(12)における水は、向流で冷却ノズル(11)を介してガスへと給送され、熱交換器(13)によって冷却し、これによって冷却塔(12)内の温度は、好ましくは40~71℃、より好ましくは46~69℃、最も好ましくは49~65℃、さらにより好ましくは51~60℃である。冷却塔(12)内部の水は、モノマーa)の蒸気を洗い流すための中和剤を添加することによって、アルカリ性のpHに設定する。冷却塔(12)からの水溶液は、モノマー溶液の製造のために返送することができる。
【0203】
冷却塔の排ガスは、ガス乾燥ユニット(37)と、調整した内部流動床ガス(27)に分けることができる。
【0204】
ガス乾燥ユニットの原理は、論文の「Leitfaden fuer Lueftungs- und Klimaanlagen - Grundlagen der Thermodynamik Komponenten einer Vollklimaanlage Normen und Vorschriften」、L. Keller著、Oldenbourg Industrieverlag, 2009 (ISBN 978-3835631656)に記載されている。
【0205】
ガス乾燥ユニットとしては例えば、空気・ガス冷却システムを、水平流式(例えばスウェーデン在、Munter社のDH 5000型)、又は垂直流式(例えばスウェーデン在、Munter社のDV 270型)のガスミスト除去機又は液滴セパレータ(デミスタ)、例えば羽根型液滴セパレータと組み合わせて使用することができる。羽根型デミスタは、連続的なガス流から、慣性による衝突(inertial impaction)によって液状の液滴を取り除く。連行された液状の液滴を運ぶガスが、羽根の正弦曲線の経路を通って移動するにつれて、液状液滴の密度がより高くなり、ついていけなくなり、その結果、羽根のブレードが回転する度に、これらの液滴は羽根表面にぶつかる。液滴のほとんどが、羽根面に付着する。液滴が同じ位置で羽根のブレードにぶつかると、凝集がおこる。凝集した液滴はその後、重力によって流れ落ちる。
【0206】
ガス冷却システムとしては、あらゆる気/気、又は気/液の熱交換器を使用することができる。封止されたプレート型熱交換器が好ましい。
【0207】
1つの実施形態では、ガス分配器(3)のための原料として乾燥空気を使用することができる。空気をガスとして使用する場合、空気は空気取り込み管(39)を介して輸送することができ、前述のようにガス乾燥ユニット(37)で乾燥させることができる。冷却塔(12)の後、内部流動床に使用しなかった空気は、
図2に示したように、プラントの外部排出管(40)を介して輸送する。
【0208】
ガス乾燥ユニット(37)で冷却された水は部分的に、冷却塔(12)のための洗浄水として使用することができ、又は廃棄してよい。
【0209】
ガス温度は、熱交換器(20)、及び(22)を介して制御する。熱い乾燥ガスを、ガス分配器(3)を介して、並流式噴霧乾燥機に供給する。ガス分配器(3)は好ましくは、乾燥ガスの量に応じて、好ましくは1~100mbar、より好ましくは2~30mbar、最も好ましくは4~20mbarの圧力低下をもたらす一連のプレートからなる。所望の場合は、乱流及び/又は遠心分離速度も、ノズル又はじゃま板を用いることにより、乾燥ガスに導入することができる。
【0210】
調整された内部流動床ガスを、導管(25)を介して、内部流動床(27)に供給する。流動床ガスの水蒸気含分は、冷却塔(12)内の温度によって制御することができる。内部流動床(27)内の生成物残留液は、ロータリーバルブ(28)の回転速度によって制御できる。
【0211】
内部流動床(27)内のガス量は、粒子が内部流動床(27)内において自由に乱流で動くように選択する。内部流動床(27)における生成物の高さは、ガスがある場合、少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、さらにより好ましくは少なくとも40%、ガスが無い場合よりも高い。
【0212】
生成物は、内部流動床(27)から、ロータリーバルブ(28)を介して排出する。内部流動床(27)内の生成物残留液は、ロータリーバルブ(28)の回転速度によって制御できる。シーブ(29)は、規格を超えるもの、塊を篩い分けするために用いる。
【0213】
モノマー溶液は好ましくは、第一のモノマーa)を中和剤と、任意で第二の架橋剤b)と混合することによって作製する。中和の間の温度は、好ましくは5~60℃、より好ましくは8~40℃、最も好ましくは10~30℃で、熱交換器と循環への圧送によって制御する。フィルターユニットは好ましくは、圧送後の循環で使用する。開始剤は、液滴化装置の上流で、スタチックミキサ(31)及び(32)によって、導管(33)及び(34)を介してモノマー溶液へと計量供給する(
図1及び2参照)。好ましくは過酸化物溶液(温度が好ましくは5~60℃、より好ましくは10~50℃、最も好ましくは15~40℃の温度のもの)を導管(33)を介して、好ましくはアゾ開始剤溶液(温度が好ましくは2~30℃、より好ましくは3~15℃、最も好ましくは4~8℃のもの)を、導管(34)を介して添加する。各開始剤は好ましくは循環に圧送し、制御弁を介して、各液滴化ユニットに供給する。第二のフィルターユニットは好ましくは、スタチックミキサ(32)の後に使用する。液滴化前の配管で完全な開始剤パッケージが添加混合されたモノマー溶液の平均滞留時間は、好ましくは60秒未満、より好ましくは30秒未満、最も好ましくは10秒未満である。
【0214】
噴霧乾燥機の上部にモノマー溶液を供給するため、3つの液滴化ユニットを使用するのが好ましい(
図4参照)。しかしながら、工程の処理量と生成物の品質を最適化するために必要なあらゆる数の液滴化装置が使用できる。従って、本発明においては少なくとも1つの液滴化装置を使用し、形状的に許される数の液滴化装置が使用できる。
【0215】
液滴化ユニットは、液滴化カセット(49)のための開口部を有する外部配管(47)からなる(
図7参照)。液滴化カセット(49)は、内部配管(48)と接続している。PTFEブロック(50)をシーリングとして端部に有する内部配管(48)は、維持管理のための方法を稼働させる間、外部配管(51)へと、また外部配管(51)から押し出すことができる。
【0216】
液滴化カセット(57)の温度は、流路(55)における水によって、好ましくは5~80℃、より好ましくは10~70℃、最も好ましくは30~60℃に制御する(
図8参照)。
【0217】
液滴化カセットは、好ましくは10~2000個、より好ましくは50~1500個、最も好ましくは100~1000個の穿孔を有する。穿孔サイズの直径面積は、1900~22300μm2、より好ましくは7800~20100μm2、最も好ましくは11300~17700μm2である。この穿孔は、環状、正方形、三角形、又はその他の形状であり得る。環状の穿孔は、穿孔サイズが50~170μm、より好ましくは100~160μm、最も好ましくは120~150μmであるのが好ましい。穿孔の長さ対、穿孔の直径の比率は好ましくは、0.5~10、より好ましくは0.8~5、最も好ましくは1~3である。入口穿孔流路を用いる場合、液滴化プレート(53)は、穿孔長さよりも大きい厚さを有することができる。液滴化プレート(53)は好ましくは、国際公開第2008/086976号(WO 2008/086976 A1)に開示されているような長さと幅である。液滴化プレートごとに穿孔の列を複数使用することができ、例えば1~20列、より好ましくは2~5列である。
【0218】
液滴化カセット(57)は、事前に混合したモノマー及び開始剤溶液を均一に分配するために、停滞する体積を実質的に有していない流路(56)と、2枚の液滴化プレート(53)からなる。液滴化プレート(53)は、好ましくは1~90°、より好ましくは3~45°、最も好ましくは5~20°の角度が付けられた配置構成である。各液滴化プレート(53)は好ましくは、熱及び/又は化学的に耐性のある材料から作製されており、それは例えばステンレス鋼、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリアリールスルホン、例えばポリスルホン、若しくはポリフェニルスルホン、又はフッ素ポリマー、例えばペルフルオロアルコキシエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオリド、エチレン/クロロトリフルオロエチレンのコポリマー、エチレン/テトラフルオロエチレンのコポリマー、及びフッ化ポリエチレンである。国際公開第2007/031441号(WO 2007/031441 A1)に開示されたように被覆された液滴化プレートも使用できる。液滴化プレートのための材料の選択は、液滴の形成が成されることを除いて制限されないが、その表面において重合の開始を触媒しない材料を使用するものが好ましい。
【0219】
液的化カセットの配置は好ましくは、噴霧式乾燥機において回転対象に、又は均一に配置されている(例えば
図3~5参照)。
【0220】
好ましい実施形態において、液滴化プレート(53)の角度配置構成は、中心では小さく、それから外側に大きくなる(例えば4a=3°、4b=5°、4c=8°、
図5参照)。
【0221】
液滴化ユニットあたりの開始剤溶液を含むモノマーの処理量は、好ましくは10~4000kg/h、より好ましくは100~1000kg/h、最も好ましくは200~600kg/hである。穿孔あたりの処理量は好ましくは、0.1~10kg/h、より好ましくは0.5~5kg/h、最も好ましくは0.7~2kg/hである。
【0222】
並流の噴霧式乾燥機(5)の開始は、以下の手順で行うことができる:
・冷却塔(12)の開始、
・送風機(10)及び(17)の開始、
・熱交換器(20)の開始、
・乾燥ガス循環を95℃に加熱、
・窒素取り入れ部(19)を介して、窒素の供給を開始、
・残留酸素が、4質量%未満になるまで待つ、
・乾燥ガス循環を加熱、
・温度105℃で、水の供給を開始(図示せず)、及び
・目的温度で、水の供給を停止し、液滴化ユニット(4)を介して、モノマーの供給を開始。
【0223】
並流の噴霧式乾燥機(5)の停止は、以下の手順で行うことができる:
・モノマー供給の停止、及び水の供給を開始(図示せず)、
・熱交換器(20)の停止、
・熱交換器(13)を介して乾燥ガス循環を冷却、
・温度105℃で、水の供給を停止、
・60℃の温度で、窒素取り入れ部(19)を介した窒素の供給を停止、
・乾燥ガス循環に、空気を供給(図示せず)。
【0224】
損傷を避けるために、並流の噴霧式乾燥機(5)について、加熱と冷却を非常に注意深く行わなければならない。あらゆる急な温度変化は回避しなければならない。
【0225】
内部流動床の底部における開口部は、吸水性ポリマー粒子が、
図9に記載された循環に流れるように配置されていなければならない。
図9に示した底部は、4つのセグメント(58)を有する。セグメント(58)における開口部(59)は、隣のセグメント(58)の方向へと気流を方向付けることを導くスリット形状である。
図10は、開口部(59)の拡大図を示す。
【0226】
開口部は、孔又はスリットの形状を有することができる。孔の直径は好ましくは、0.1~10mm、より好ましくは0.2~5mm、最も好ましくは0.5~2mmである。スリットの長さは好ましくは、1~100mm、より好ましくは2~20mm、最も好ましくは5~10mmであり、その幅は好ましくは0.5~20mm、より好ましくは1~10mm、最も好ましくは2~5mmである。
【0227】
図11及び
図12は、内部流動床で使用可能なレーキ型撹拌機(60)を示す。レーキの熊手(61)は、ジグザグの配置を有する。レーキ式撹拌機の速度は好ましくは、0.5~20rpm、より好ましくは1~10rpm、最も好ましくは2~5rpmである。
【0228】
内部流動床を開始するために、内部流動床を好ましくは5~50cm、より好ましくは10~40cm、最も好ましくは15~30cm、吸水性ポリマー粒子の層で充填することができる。
【0229】
表面後架橋された吸水性ポリマー粒子は、球形度が少なくとも0.89であり、遠心分離容量(CRC)が少なくとも34g/g、AUL(0.3psi、21g/cm2)(EDANA 442.2-02)が少なくとも30g/g、抽出可能成分のレベルが10%未満であるのが好ましい。
【0230】
上側層(91)内にある吸水性ポリマー粒子は、少なくとも34g/gのCRCを有するのが、さらに好ましい。
【0231】
上側層(91)内にある吸水性ポリマー粒子は、21g/cm2の圧力下で少なくとも30g/gの荷重下吸水性AUL(EDANA 442.2-02)を有するのが好ましい。
【0232】
表面後架橋された吸水性ポリマー粒子は、非常に高い遠心分離保持容量(CRC)、及び荷重下吸水性(AUL、21g/cm2)を示すことが特に有利であり、これらのパラメータの合計(=CRC+AUL(21g/cm2)は少なくとも65g/g、好ましくは少なくとも70g/g、最も好ましくは少なくとも75g/gである。
【0233】
遠心分離保持容量(CRC)は表面後架橋された吸水性ポリマー粒子の最大液体保持容量であるため、このパラメータを最大化することは興味深い。しかしながら、荷重下吸収性(AUL)は、衛生用製品においてさらなる液体を、製品構造を通じて容易に通過させ、この液体を迅速に取り込むために重要である。
【0234】
吸水性ポリマー粒子は、遠心分離保持容量(CRC)が、34~75g/g、好ましくは36~65g/g、より好ましくは39~60g/g、最も好ましくは40~55g/gである。
【0235】
吸水性ポリマー粒子は、荷重下吸水性AUL(0.3psi、21g/cm2)が、30~50g/g、好ましくは32~45g/gである。
【0236】
吸水性ポリマー粒子は、抽出可能成分のレベルが、10質量%未満、好ましくは9質量%未満、より好ましくは8質量%未満、最も好ましくは6質量%未満である。
【0237】
本発明に適した吸水性ポリマー粒子は、平均球形度が0.80~0.95、好ましくは0.82~0.93、より好ましくは0.84~0.91、最も好ましくは0.85~0.90である。球形度(SPHT)は、以下のように規定される:
【数1】
ここでAは断面積であり、Uはポリマー粒子の断面円周である。平均球形度は、体積平均球形度である。
【0238】
平均球形度は例えば、Camsizer(登録商標)image analysis system(ドイツ国Haan在、Retsch Technology GmbH社製)により測定できる。
【0239】
測定のためには、漏斗を介して生成物を導入し、秤量流路を有する落下シャフトへと運ぶ。粒子が軽い壁面を伝って落下する間、これらはカメラによって選択的に記録される。記録されたイメージは、選択したパラメータに従いソフトウェアによって評価する。
【0240】
丸さを特定するために、球形度と呼ばれるパラメータをプログラムにおいて用いる。報告されるパラメータは、体積平均球形度の平均であり、粒子の体積は、xcminの直径当量によって測定される。xcminの直径当量を特定するために、合計で32の異なる空間方向の合計について最も長い弦直径を、それぞれの場合に測定する。直径当量xcminは、これら32の弦直径の最も短いものである。粒子を記録するために、いわゆるCCDズームカメラ(CAM-Z)を使用する。秤量流路を制御するため、0.5%というカメラの検知ウィンドウにおける表面カバー割合を予め規定する。
【0241】
球形度が比較的低い吸水性ポリマー粒子は、ポリマービーズが重合の間、又は重合の後に凝集した場合に、逆相懸濁重合によって得られる。
【0242】
少なくとも本発明による吸収性芯材(吸収紙)の上側層(91)内に含まれる吸水性ポリマー粒子、及び本発明による流体吸収性製品はそれぞれ、疎水性溶媒を好ましくは0.005質量%未満、より好ましくは0.002質量%未満、最も好ましくは0.001質量%未満含有する。疎水性溶媒の含分は、ガスクロマトグラフィーにより、例えばヘッドスペース型技術によって特定できる。本発明の範囲において疎水性溶媒は、水と非混和性であるか、又は僅かに混和性である。疎水性溶媒の典型的な例は、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエンである。
【0243】
本発明に有用な吸水性ポリマー粒子は、分散剤の含分が、通常は1質量%未満、好ましくは0.5質量%未満、より好ましくは0.1質量%未満、最も好ましくは0.05質量%未満である。
【0244】
適切な吸水性ポリマー粒子は、かさ密度が好ましくは0.6~1g/cm3、より好ましくは0.65~0.95g/cm3、最も好ましくは0.7~0.9g/cm3である。
【0245】
本発明において有用な吸水性ポリマー粒子の平均粒子直径は好ましくは、200~550μm、より好ましくは250~500μm、最も好ましくは350~450μmである。
【0246】
吸水性ポリマー粒子の1種は、別の方法(例えば溶液重合)によって製造された他の吸水性ポリマー粒子と混合することができる。
【0247】
C.流体吸収性製品
流体吸収性製品は、以下のものから構成される:
(A)上側の液体透過層(89)
(B)下側の液体不透層(83)
(C)少なくとも2つの層を有する、(89)と(83)との間にある流体吸収性芯材(80)、
ここで各層は、吸水性ポリマー材料と繊維材料との合計に対して、
繊維材料を0~10質量%、及び吸水性ポリマー粒子を90~100質量%含有し、
好ましくは繊維材料を0~5質量%、及び吸水性ポリマー粒子を95~100質量%含有し、
より好ましくは繊維材料を0質量%、及び吸水性ポリマー粒子を100質量%含有し、
(D)(A)と(C)との間にある任意の捕捉・分配層、及び
(F)その他の任意要素。
【0248】
(89)と(83)との間にある流体吸収性芯材(80)は好ましくは、以下のものを備える:
上側のティッシュ層(95)、吸水性ポリマー粒子を含有する上側層(91)、及び吸水性ポリマー粒子を含有する下側層(92)、吸水性ポリマー粒子を含有する上側層(91)と下側層(92)との間に挟まれた少なくとも1つの不織布材料製層(94)。
【0249】
流体吸収性製品とは例えば、失禁用パッド、及び成人向け失禁用ブリーフ、又はおむつ、及び乳児用トレーニングパンツを意味すると理解される。適切な流体吸収性製品(流体吸収性構成要素を含む)は、繊維材料、及び任意で吸水性ポリマー粒子を有し、繊維状織布、又は基材、層、シート、及び/又は流体吸収性芯材のためのマトリックスが形成される。
【0250】
適切な流体吸収性製品は、幾つかの層から構成され、その個々の要素は、好ましくは規定の機能パラメータ、例えば上側の透過層(89)についての乾燥性、下側の液体不透層(83)について濡れないで水蒸気を透過する特性、可撓性で水蒸気透過性の薄い流体吸収性芯材(80)(これによって吸収速度が迅速になり、かつ体液を大量に保持可能になる)、及び上側層(89)と芯材(80)との間にある任意の捕捉・分配層(D)(放出された体液の輸送及び分配層として働く)を示さなければならない。これらの個々の要素は、完成した流体吸収性製品が、可撓性、水蒸気通気性、乾燥性、着用時快適性、使用者に接する側での保護、及び液体保持、逆戻り、及び衣服側における湿気の通過防止に関する基準全体を満たすように組み合わせる。これらの層の特定の組み合わせにより、高い保護水準と、消費者に対する快適性をともに満たす流体吸収性製品が得られる。
【0251】
本発明による流体吸収性製品のための芯材構造は、吸収紙(80)から作製される。吸収紙は通常、ティッシュ、吸水性ポリマー粒子の層、及び不織布を有するサンドイッチ構造である。異なる要素は、接着剤、超音波接合、及び/又は熱接合によって接続されていることが好ましい。
【0252】
流体吸収性製品については、流体分配の観点で、捕捉・分配層を有することが特に有利である。透過性の高い吸水性ポリマー粒子を備える流体吸収性芯材を有する流体吸収性製品については、小さくて薄い捕捉・分配層(D)を使用することができる。
【0253】
捕捉・分配層(D)は、放出された体液を輸送、及び分配する層として作用し、通常は効率的な液体分配をもたらすよう、下側にある流体吸収性芯材によって最適化されている。従って、液体を迅速に一時的に保持するために、必要な空隙スペースをもたらし、下側にある流体吸収性芯材のカバー面積が、必要な液体分配をもたらし、捕捉・分配層が迅速に脱水されるように、流体吸収性芯材の性能に適合させる。
【0254】
流体吸収性製品、及びその製造方法は例えば、以下の公開公報と、そこで述べられた文献に記載されており、これらの内容はここで参照を以て本願に組み込まれるものとする:欧州特許出願公開第2301499号明細書(EP 2 301 499 A1)、欧州特許出願公開第2314264号明細書(EP 2 314 264 A1)、欧州特許出願公開第2387981号明細書(EP 2 387 981 A1)、欧州特許出願公開第2486901号明細書(EP 2 486 901 A1)、欧州特許出願公開第2524679号明細書(EP 2 524 679 A1)、欧州特許出願公開第2524680号明細書(EP 2 524 680 A1)、欧州特許出願公開第2565031号明細書(EP 2 565 031 A1)、米国特許第6972011号明細書(US 6,972,011)、米国特許出願公開第2011/0162989号明細書(US 2011/0162989)、米国特許出願公開第2011/0270204号明細書(US 2011/0270204)、国際公開第2010/004894号(WO 2010/004894 A1)、国際公開第2010/004895号(WO 2010/004895 A1)、国際公開第2010/076857号(WO 2010/076857 A1)、国際公開第2010/082373号(WO 2010/082373 A1)、国際公開第2010/118409号(WO 2010/118409 A1)、国際公開第2010/133529号(WO 2010/133529 A2)、国際公開第2010/143635号(WO 2010/143635 A1)、国際公開第2011/084981号(WO 2011/084981 A1)、国際公開第2011/086841号(WO 2011/086841 A1)、国際公開第2011/086842号(WO 2011/086842 A1)、国際公開第2011/086843号(WO 2011/086843 A1)、国際公開第2011/086844号(WO 2011/086844 A1)、国際公開第2011/117997号(WO 2011/117997 A1)、国際公開第2011/136087号(WO 2011/136087 A1)、国際公開第2012/048879号(WO 2012/048879 A1)、国際公開第2012/052173号(WO 2012/052173 A1)、国際公開第2012/052172号(WO 2012/052172 A1)。
【0255】
【0256】
流体吸収性製品は、少なくとも2つの吸水性ポリマー粒子層を備える吸収性芯材(80)、トップ(91)、少なくとも2つのティッシュ層に挟まれたボトム(92)、トップ(95)、ボトム(96)、及び少なくとも2つの吸水性ポリマー粒子層(91,92)に挟まれた、少なくとも1つの不織布(94)(例えばエアスルー結合された、かさ高い不織布)を有する。これらの層は、例えば接着剤、超音波接合、又はあらゆる適切な方法により、相互に結合されていてよい。芯材構造(80)全体は任意で、さらなる不織布シート又はティッシュ層(86)(いわゆる芯材包装)によって取り囲まれている/包まれており、また接着剤によってサンドイッチ構造状の吸収性芯材(80)に任意で接続されている。
【0257】
さらに、吸収性製品は、芯材(80)又は芯材包装(86)の上部に(それぞれ、上側の液体透過性シート、又はカバー体(89)(例えばエンボス加工されたスパンボンド不織布)の下部に)捕捉・分配層を有することができ、また下側の液体不透性シート(83)を有することができる。レッグ・カフ(81)、及び何らかの弾性体(88)が存在していてよい。
【0258】
液体透過性シート、又は液体透過層(A)(89)
液体透過性シート(A)(89)は一般的に、肌と直接接触する層である。よって、液体透過層(89)は好ましくは、しなやかで、柔らかい感じがするものであり、使用者の肌に不快感をもたらさない。一般的に、「液体透過性」という用語は、液体、すなわち体液、例えば尿、経血、及び/又は膣分泌物が、その厚さを通過して直ちに透過可能なことをいう。液体透過層(89)の基本的な機能は捕捉であり、また体液を着用者から流体吸収性芯材へと輸送することである。液体透過層(89)は通常、当業者に公知のあらゆる材料、例えば不織布材料、フィルム、又はこれらの組み合わせから形成される。適切な液体透過性シート(A)(89)は、慣用の合成若しくは半合成の繊維、又は二成分繊維、又はポリエステル、レーヨン、若しくは天然繊維のフィルム、又はこれらの組み合わせからなる。不織布材料の場合、繊維は一般的に、結合剤、例えばポリアクリレートによって結合されているのが望ましい。さらに、液体透過性シートは、弾性構成要素を含有することができ、これによって一方向、又は二方向に伸ばせる弾性特性が示される。
【0259】
ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンビニルアセテート、不溶性若しくは可溶性のポリビニルアルコール、ポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレンなどである。
【0260】
フィルムの例は、開口部を備える熱可塑性フィルム、開口部を有する可撓性フィルム、液圧成形された熱可塑性フィルム、網状の熱可塑性フィルム、多孔質発泡体、網状の発泡体、及び熱可塑性スクリムである。
【0261】
変性された、若しくは変性されていない適切な天然繊維の例には、木綿、バガス、ケンプ、亜麻、絹、ウール、木材パルプ、化学変性した木材パルプ、ジュート、レーヨン、エチルセルロース、及び酢酸セルロースが含まれる。
【0262】
繊維材料は、天然繊維若しくは合成繊維、又はこれらの組み合わせを有することができる。好ましい材料は、ポリエステル、レーヨン、及びこれらの組み合わせであり、ポリエチレン、及びポリプロピレンである。流体吸収性構成要素の成分としての繊維材料は、親水性、又は疎水性であってよく、或いは、親水性繊維と疎水性繊維との組み合わせであり得る。流体吸収性構成要素内部における親水性/疎水性の比率の選択、ひいては親水性及び疎水性繊維の量は、流体取り扱い特性と、生じる流体吸収性構成要素の吸水性ポリマー粒子の量次第である。
【0263】
親水性の繊維の例は、セルロース繊維、変性セルロース繊維、レーヨン、ポリエステル繊維、例えばポリエチレンテレフタレート、親水性ナイロンなどである。親水性繊維はまた、例えば界面活性剤処理、又はシリカ処理によって親水化された疎水性繊維からも得られる。よって親水性熱可塑性繊維は、ポリオレフィン、例えば、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステルなどから、界面活性剤処理、又はシリカ処理によって誘導される。
【0264】
上側層の強度と一体性を向上させるために、繊維は一般的に結合箇所を有し、これが層内部で繊維間の架橋剤として働く。
【0265】
織布における強化繊維のための技術は、機械的な結合、熱による結合、及び化学的な結合である。機械的な結合の工程において繊維は、機械的に(例えば水流により(スパンレース))絡み合い、織布に一体性をもたらす。熱による結合は、融点が低いポリマーの存在下において温度を上昇させることによって行われる。熱による結合工程の例は、スパンボンド、スルーエア結合、及び樹脂結合である。
【0266】
一体性を向上させるための好ましい手段は、熱による結合、スパンボンド、樹脂結合、スルーエア結合、及び/又はスパンレースである。
【0267】
熱による結合の場合、熱可塑性材料は、繊維に添加する。熱による処理の場合、熱可塑性材料の少なくとも一部が溶融し、毛細管現象により繊維の交差点へと移動する。これらの交差点は、冷却後に固化して結合箇所となり、繊維状マトリックスの一体性を向上させる。さらに、化学的に強化したセルロース繊維の場合、熱可塑性材料の溶融、及び移動は生じる繊維層の孔径を増大させる効果をもたらし、その一方で密度と坪量は保たれる。湿った時には、構造及び層の一体性は、安定的なままである。要約すると、熱可塑性材料の添加により、排出された体液の流体透過性が改善し、このため捕捉特性が改善する。
【0268】
ポリオレフィンを含む適切な熱可塑性材料は例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン、ポリエステル、コポリエステル、ポリビニルアセテート、ポリエチルビニルアセテート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリル樹脂、ポリアミド、コポリアミド、ポリスチレン、ポリウレタン、及び上記ポリマーのあらゆるコポリマーである。
【0269】
適切な熱可塑性繊維は、単独のポリマー(すなわち一成分繊維)から作製できる。或いは、これらは2つ以上のポリマー(例えば二成分繊維、又は多成分繊維)から作製できる。「二成分繊維」という用語は、シェルとは異なる繊維材料から作製された芯材を有する熱可塑性繊維をいう。通常、これら2つの繊維材料は融点が異なり、ここでは一般的に、外殻が低温で溶融する。二成分繊維は、外殻の厚さが、二成分繊維の断面積を通じて平坦であるか、又は平坦ではないかによって、同心的、又は偏心的であってよい。繊維の厚さが薄くても比較的強度が高い、偏心的な二成分繊維が有利である。さらなる二成分繊維は、「捲縮されていない(曲げられていない)」、又は「捲縮された(曲げられた)」という特徴を示し、さらなる二成分繊維は、表面潤滑性の態様が異なり得る。
【0270】
二成分繊維の例には、以下のポリマーの組み合わせが含まれる:ポリエチレン/ポリプロピレン、ポリエチルビニルアセテート/ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリエステル、ポリプロピレン/ポリエステル、コポリエステル/ポリエステルなど。
【0271】
適切な熱可塑性材料は、融点が、層の繊維に損傷を与える温度よりも低いが、その温度は通常、流体吸収性製品を貯蔵する温度を下回らない。融点は好ましくは、約75℃~175℃である。熱可塑性繊維の通常の長さは、約0.4~6cm、好ましくは約0.5~1cmである。熱可塑性繊維の直径は、デニール(9000メーターあたりのグラム数)、又はデシテックス(10000メーターあたりのグラム数)で規定する。通常の熱可塑性繊維は、デシテックスが約1.2~20の範囲、好ましくは約1.4~10の範囲である。
【0272】
流体吸収性構成材の一体性を向上させるためのさらなる手段が、スパンボンド技術である。スパンボンド法による繊維層の製造の性質は、ポリマー顆粒を連続的なフィラメントへと直接紡糸し、続いて繊維層を製造することに基づく。
【0273】
スパンボンドウェブは、押出成形され紡糸された繊維を、可動式ベルト上へと均一にランダムで堆積させることにより製造され、次いで熱により繊維を結合させる。空気噴射によりウェブを作製する工程の間、繊維が分離される。繊維の結合は、加熱したローラ、又は熱した針を適用することによって生じ、これによりポリマーが部分的に溶融し、繊維が融合する。分子の配向性は融点を上昇させるので、それほど高度に引き取られなかった繊維は、熱による結合繊維として使用できる。ポリエチレン、又はエチレン/プロピレンのランダムコポリマーを、低融点結合箇所として使用する。
【0274】
スパンボンド法に加えて、樹脂結合の技術はまた、熱による結合という主題にも属する。結合箇所を生じさせるためのこの技術は、特定の接着剤(例えばエポキシ、ポリウレタン、及びアクリル樹脂系のもの)を、繊維材料に添加し、生じるマトリックスを熱により処理する。こうして織布は、樹脂及び/又は熱可塑性樹脂と結合され、繊維材料に分散される。
【0275】
さらなる熱による結合技術として、スルーエア結合は、繊維材料の表面に熱い空気を適用することに関連するものである。熱い空気は、繊維状ウェブの上方を循環するが、繊維状ウェブには入っていかない。結合箇所は、結合剤の添加により生じる。スルーエア熱結合で使用される適切な結合剤には、結晶性結合剤繊維、二成分結合剤繊維、及び粉末が含まれる。結晶性結合剤繊維又は粉末を用いる場合、結合剤は完全に溶融し、不織布断面にわたって溶融液滴を形成する。結合は、冷却した時にこれらの点で起こる。外殻/芯材結合剤繊維の場合、外殻は結合剤であり、芯材は担体繊維である。スルーエアオーブンを用いて製造された生成物は、バルク状で、開孔性で、柔らかく、強く、伸展性があり、通気性があり、吸収性である傾向がある。スルーエア結合に続く直接冷間カレンダーによって、熱間ロールカレンダー加工された製品と、スルーエア結合された製品との間の厚さが、圧縮せずに生じる。冷間カレンダー加工の後であってもこの生成物は、面的に結合された熱間カレンダー加工された材料と比べて比較的柔らかく、より可撓性で、より伸展性がある。
【0276】
スパンレーシング(液圧絡ませ法)は、織布の一体性を向上させるためのさらなる手段である。緩い繊維から形成された織布(通常はエアレイド法、又はウェットレイド法)は、まず圧縮し、事前に湿らせて、エアポケットを排除する。スパンレースの技術は、複数の列の水流の高速噴射を使用し、多孔質ベルト上、又は動いている穿孔型、又はパターン化したスクリーンにあるウェブに、繊維が相互に結ばれるように当てる。水圧は一般的に、最初の噴射機から最後の噴射機へと増大する。150barという高い圧力が、水流を織布に向けるために使用される。この圧力は、たいていの不織布繊維にとって充分であるが、特別な適用ではさらに高い圧力が使用できる。
【0277】
スパンレース法は、繊維を絡ませ、これにより繊維を一体化させる、水の噴射を用いる不織布製造システムである。柔らかくて襞があり、比較的強度が高いことが、スパンレース法不織布の主な特徴である。
【0278】
最新の調査では、生じる液体透過層の幾つかの構造的特徴が判明している。例えば、層の厚さは非常に重要であり、x-y方向とともに、層の捕捉/分配特性に影響を与える。さらに幾つかの特徴的な構造を一体化させる場合、捕捉・分配特性は、層の三次元的な構造に応じて方向付けることができる。よって、液体透過層の機能において、三次元のポリエチレンが好ましい。
【0279】
よって、適切な液体透過層(A)(89)は、上記の熱による結合、スパンボンド、樹脂結合、又はスルーエア結合による繊維から作製された不織布層である。さらなる適切な液体透過層は、三次元ポリエチレン層、及びスパンレースである。
【0280】
三次元ポリエチレン層、及びスパンレースは好ましくは、坪量が12~22gsmである。
【0281】
液体透過層(A)(89)は、流体吸収性構造にわたって部分的に、又は完全に延伸し、全ての好ましい側方フラップ部、側方包装要素、羽根、及び耳へ延伸し、かつ/又はこれらの一部を形成する。
【0282】
液体不透性シート、又は液体不透層(B)(83)
液体不透層(B)(83)は、吸収され、流体吸収性芯材によって保持される浸出物が、流体吸収性製品と接触している製品(例えばベッドのシーツ、ズボン、パジャマ、及び下着)を濡らすことを防止する。よって液体不透層(B)(83)は、織布、又は不織布材料、ポリマーフィルム、例えばポリエチレン若しくはポリプロピレンの熱可塑性フィルム、又は複合材料、例えばフィルムでコーティングした不織布材料を有することができる。
【0283】
適切な液体不透層(83)には、不織布、プラスチック、及び/又はプラスチックと不織布の積層体が含まれる。プラスチック材料、及び/又はプラスチックと不織布の積層体はともに、適切に通気性である。これは液体不透層(B)(83)が、流体吸収性材料から蒸気を逃がすということである。こうして液体不透層は、規定の水蒸気透過速度と同時に、不透性の水準を有する。これらの特性を組み合わせるため、適切な液体不透層は少なくとも2つの層を有し、それは例えば、特定の坪量と孔径を有する繊維状不織布からの積層体、及び特定の厚さを有し、任意で多孔質構造を有する第二の層としては、例えばポリビニルアルコールの連続的な三次元フィルムである。このような積層体は、バリアとして作用し、液体輸送性、又は湿気透過性を示さない。よって、適切な液体不透層は、繊維状不織布である少なくとも1つの多孔質織布の第一の通気性層(例えばメルトブロー法による層の複合材織布、又は合成繊維から作製されたスパンボンド法による不織布層の複合材織布)、及び液体不透層ポリマーフィルムからなる弾性のある三次元織布の少なくとも1つの第二の層(例えばプラスチック、任意で毛細管として作用する細孔を有するもの)であり、これらは好ましくは、フィルムの平面に対して垂直ではなく、フィルムの平面に対して90°未満の角度で配置されている。
【0284】
適切な液体不透性シートは、水蒸気を通す。液体不透層は好ましくは、水蒸気透過速度(WVTR)が24時間あたり少なくとも100gsm、好ましくは24時間あたり少なくとも約250gsm、最も好ましくは24時間あたり少なくとも約500gsmである水蒸気透過性材料から構築されている。
【0285】
液体不透性(B)(83)は好ましくは、疎水性材料を含有する不織布から作製されており、それは例えば、合成繊維、又はプラスチック(例えばポリエチレン)を含有する液体不透性ポリマーフィルムである。液体不透層の厚さは好ましくは、15~30μmである。
【0286】
さらに、液体不透性シート(B)(83)は好ましくは、不織布と、12~15gsmの密度を有する不織布を有するプラスチックと、10~20μmの厚さを有するポリエチレン層とから構成されている。
【0287】
液体不透層(B)(83)は通常、流体吸収性構造にわたって部分的に、又は完全に延伸し、全ての好ましい側方フラップ部、側方包装要素、羽根、及び耳へ延伸し、かつ/又はこれらの一部を形成する。
【0288】
流体吸収性芯材(C)(80)
流体吸収性芯材(C)(80)は、上側の液体透過層(A)(89)と、下側の液体不透層(B)(83)の間に配置される。
【0289】
本発明によれば、流体吸収性芯材(80)は、吸収紙から作製することができる。
【0290】
流体吸収性芯材の一体性を向上させるために、芯材(80)は任意で、カバー(86)を備えていてよい(例えばティッシュ包装)。このカバー(86)は、ホットメルト、超音波接合、熱接合、又は当業者に公知の接合の組み合わせによって、側方接続部における接合、及び/又は遠位接続部における接合により、流体吸収性芯材(80)の上部及び/又は底部に存在していてよい。さらにこのカバー(86)は、材料のまとまったシートを有する流体吸収性芯材全体を包含することができ、このシートはひいては包装として機能する。包装は、完全包装として、部分包装として、又はCラップとして可能である。
【0291】
芯材カバー(86)の材料は、あらゆる公知の基材を有することができ、これには不織布、織布、衣服、テキスタイル、フィルム、ティッシュ、及び2つ以上の基材若しくは織布の積層体が含まれる。芯材カバー材料は、天然繊維、例えばセルロース、木綿、亜麻、リネン、麻、絹、毛皮、毛、及び天然に産生する無機繊維を含有することができる。芯材カバー材料はまた、合成繊維、例えばレーヨン、及びリヨセル(セルロース由来のもの)、多糖類(デンプン)、ポリオレフィン繊維(ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリアミド、ポリエステル、ブタジエンスチレンブロックコポリマー、ポリウレタン、及びこれらの組み合わせを含有することができる。芯材カバー(86)は合成繊維、又はティッシュを有するのが好ましい。
【0292】
繊維は、単一成分であるか、又は多成分であり得る。多成分繊維は、ホモポリマー、コポリマー、又はこれらのブレンドを有することができる。
【0293】
本発明による吸収性芯材(80)、又はいわゆる吸収紙の概略図が、
図17に示してある。
【0294】
本発明によれば、吸収紙(80)は、薄くて可撓性の、適切な吸収性材料の単独層(91,92)を少なくとも2つ有する。これらの層はそれぞれ、巨視的には二次元的、平面的であり、その他の次元に比べると、厚さが非常に薄い。この層には、超吸収性材料を層全体に組み込むことができる。
【0295】
これらの層は、様々な濃度を有することができ、かつ約90~100%の範囲の濃度を示す様々な吸水性ポリマー材料を有することができる。
【0296】
層(91,92)は、接着剤(93)の添加によって、又は機械的に、熱により、又は超音波接合により、又はこれらの組み合わせによって、それぞれつなげるのが好ましく、このなかで接着剤が好ましい。
【0297】
さらに、吸水性ポリマー粒子は、芯材(80)内、特に各層(91,92)内で別個の領域、空間、又はポケットに置くことが好ましい(例えば少なくとも1種の接着剤によって補助する)。
【0298】
吸水性ポリマー材料を吸収性芯材、特に各層(91,92)に挿入する適用技術は、当業者に公知であり、体積的な方法、減量法、又は重力式であり得る。公知の技術には、振動システムによる適用、単式若しくは複式のオーガーシステム、供給ロール、重りベルト、流動床体積システム、及び重量式スプリンクラー、及び/又は噴霧システムが含まれる。挿入のためのさらなる技術は、落下式供給系コンセンサス、及び反圧適用、又は流体吸収性ポリマー材料の真空印刷法である。
【0299】
流体吸収性芯材(80)(吸収紙)内にある吸水性ポリマー粒子の量は、おむつ大(Lサイズ)の場合、100gsm~500gsm、好ましくは200gsm~450gsm、より好ましくは250gsm~300gsmであり、ここで各層は、吸水性ポリマー粒子を少なくとも50gsm、好ましくは少なくとも100gsm、含有する。
【0300】
吸収紙、又は吸収性芯材(80)はそれぞれまた、短繊維のエアレイド不織布材料(94)などのその他の材料の層を少なくとも1つ有することができる。不織布材料は例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステルなどの不織布、セルロース繊維材料、例えば当業者に公知の紙のティッシュ又は紙タオル、ワックスで被覆された紙、波形の紙材料など、又は化学パルプである。前記層には、層全体にわたって超吸収剤を組み込むこともできる。前記層にはさらに、二成分結合繊維を組み込むことができる。
【0301】
吸収性芯材(80)内部にある不織布(94)は通常、単独層であり、例えばエアスルー結合プロセスにより作製されている。合計坪量は、約10~100gsm、好ましくは40~60gsmである。
【0302】
吸収性芯材(80)はさらに、少なくとも2つのティッシュ層(95,96)を有することができる。ティッシュ層とは、ティッシュ材料(例えば紙)に限られず、不織布のこともいう。層(95,96)の材料は、あらゆる種類の公知の基材(織布、衣類、繊維、及びフィルム)を含むことができる。ティッシュ層(95,96)は、天然繊維、例えばセルロース、木綿、亜麻、リネン、麻、絹、毛皮、毛、及び天然に産生する無機繊維を含有することができる。ティッシュ層(95,96)はまた、合成繊維、例えばレーヨン、及びリヨセル(セルロース由来のもの)、多糖類(デンプン)、ポリオレフィン繊維(ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリアミド、ポリエステル、ブタジエンスチレンブロックコポリマー、ポリウレタン、及びこれらの組み合わせを含有することができる。ティッシュ層は、セルロース繊維を有するのが好ましい。ティッシュ層は、引張強度、及び一体性をもたらすために、約50%が無垢材パルプから、50%が化学的なビスコース繊維から、45gsm超で作製されるのが好ましい。
【0303】
本発明によれば、上側、及び下泡のティッシュ層(95,96)はそれぞれ、合計坪量が、10~100gsm、好ましくは30~80gsmである。
【0304】
本発明による吸収性芯材/吸収紙(80)は、少なくとも2つの吸水性ポリマー粒子層を有し、その一方はトップ側(91)に置かれ、もう一方はボトム(92)に置かれる。2つの層は、例えば接着剤(93)、超音波接合、及び/又は熱接合によって、例えばエアスルー結合された不織布材料(94)(この不織布材料は、前記2つの層(91,92)に挟まれている)に接続されている。芯材の良好な一体性のために、上側シート(ティッシュ層)(95)及び/又は下側シート(ティッシュ層)(96)が、吸水性ポリマー粒子の上側層(91)及び吸水性ポリマー粒子の下側層(92)の表面にそれぞれつなげられている。
【0305】
本発明によれば、流体吸収性芯材(80)は、接着剤を20質量%以下、好ましくは10質量%以下、含有する。接着剤は、ホットメルト接着剤であるのが好ましい。
【0306】
吸収紙又は吸収性芯材(80)はそれぞれ、合計坪量が約150gsm~約2000gsm、好ましくは約300gsm~約750gsm、より好ましくは約500gsm~約650gsmである。
【0307】
本発明によれば、少なくとも2つの層(91)、(92)はそれぞれ、少なくとも1種の吸水性ポリマー粒子を含有する。
【0308】
各層(91,92)内における吸水性ポリマー粒子は、異なっていてよい。
【0309】
少なくとも1つの層(91又は92)が、吸水性ポリマー粒子のブレンドを含有することが好ましいこともある。
【0310】
上側の液体透過性シート(トップシート(89))に面した上側層(91)が、少なくとも0.89の球形度を有する、表面架橋された吸水性ポリマー粒子を含有することが好ましい。
【0311】
ポリマー粒子のCRCは好ましくは、少なくとも34g/gである。CRCは好ましくは、少なくとも36g/gであり、より好ましくは38g/gである。
【0312】
ポリマー粒子のAUL(21g/cm2)は好ましくは、少なくとも30g/gである。AULは好ましくは、少なくとも32g/gであり、より好ましくは34g/gである。
【0313】
本発明のさらなる対象によれば、下側層(92)の吸水性ポリマーが、0.89の球形度を有することが好ましい。
【0314】
本発明によれば、吸水性ポリマー粒子は、表面架橋されている。
【0315】
本発明による吸収紙の1つの実施形態において、上側層(91)は、吸水性ポリマー粒子を100質量%含有し、かつ/又は下側層(92)は、吸水性ポリマー粒子を100質量%含有する。
【0316】
本発明によれば、好ましい吸収紙は、それぞれ1平方メートルあたり130グラムの吸水性ポリマー粒子を含有する(g/m2)、トップ層(91)及びボトム層(92)を有する。2つの層は、0.5g/m2のホットメルト接着剤によって、50g/m2のエアスルー結合された不織布材料(94)上に貼り合わせ(93)されており、それから、トップ(95)及びボトム(96)にある45g/m2の圧縮ティッシュ(綿状パルプ)層によって、表面に2.0g/m2で適用されたホットメルト接着剤を用いて、挟まれる。ホットメルト接着剤は、トップ層及びボトム層の両方について、2.5g/m2で使用する。
【0317】
流体吸収性芯材の密度は、0.1~0.25g/cm3、好ましくは0.1~0.28g/cm3の範囲にある。流体吸収性芯材の厚さは、おむつの場合、1~8mmの範囲、好ましくは1~5mmの範囲、より好ましくは1.5~3mmの範囲にあり、失禁用製品の場合、3~15mmの範囲にある。
【0318】
さらに、流体吸収性芯材が、少なくとも0.65、好ましくは0.65より大きい、好ましくは少なくとも0.7、より好ましくは少なくとも0.75のCRCAP/TACAP比を示すことが好ましい。これによって、吸収性芯材及び吸収性製品の良好な性能が、それぞれ保証される。特に流体貯蔵性、及びリウェット性について、保証される。
【0319】
図18は、吸収性芯材のためのあり得る製造方法を説明している。
【0320】
第一の吸水性ポリマー(230)を、不織布材料(250)の片側に滴下する。接着剤(200)を、トップティッシュ紙(210)に適用する。それからティッシュ紙(210)を、吸水性ポリマー(230)を担持する不織布(250)の側で積層する。その後、不織布(250)をひっくり返し、第二の吸水性ポリマー(240)を不織布(250)の反対側に滴下する。接着剤(200)を、ボトムに、又は下側のティッシュ紙(260)に適用する。それからティッシュ紙(260)を、吸水性ポリマー(240)を担持する不織布(250)の側で積層する。最後に、吸収紙を切って、所望の幅、及びねじりにする。
【0321】
流体吸収性芯材(80)は通常、均一なサイズ又は特性を有する。適切な流体吸収性芯材はまた、層状になった流体吸収性芯材が存在する場合、芯材の形状、及び/又は吸水性ポリマー粒子の含分、及び/又は吸水性ポリマー粒子の含分の分布、及び/又は異なる層の寸法に応じて、異形材化された構造を有することもできる。
【0322】
芯材は、上から見た場合(x-y方向)、矩形、又は狭くなるクロッチ領域を備える解剖学的形状、又はその他のあらゆる形状であり得る。
【0323】
流体吸収性芯材(C)(80)を上から見た面積は好ましくは、少なくとも200cm2、より好ましくは少なくとも250cm2、最も好ましくは少なくとも300cm2である。上から見た面積は、上側の液体透過層と向かい合っている芯材の一部である。
【0324】
流体吸収性芯材は、当業者に知られた流体吸収性製品に通常存在するさらなる添加剤を含有することができる。例示的な添加剤は、流体吸収性芯材を強化、及び安定化するための繊維である。ポリエチレンを、流体吸収性芯材の強化のために使用するのが好ましい。
【0325】
流体吸収性芯材を強化するためのさらなる適切な安定剤は、結合剤としても働く材料である。
【0326】
流体吸収性芯材の異なる領域で使用される結合剤材料の種類、又は結合剤の量を変えることによって、特性化された安定性を得ることが可能になる。例えば、様々な融点を示す様々な結合剤材料が、流体吸収性芯材の領域で使用できる(例えば芯材の中心領域では融点が低いものを用い、中心から遠い領域では比較的融点が高いものを用いる)。適切なバインダー材料は、接着性、若しくは非接着性の繊維、連続的、若しくは非連続的に押し出された繊維、二成分ステープル繊維、非弾性繊維、及び噴霧された液状結合剤、又はこれら結合剤材料のあらゆる組み合わせであり得る。
【0327】
さらに、熱可塑性構成要素は通常、芯材層の一体性を向上させるために加えられる。熱可塑性構成要素は、1種の熱可塑性ポリマー、又は熱可塑性ポリマーのブレンドを含有することができる。或いは、熱可塑性構成要素は、少なくとも1種の熱可塑性ポリマーを、熱可塑性希釈剤(例えば粘着剤、可塑剤、又はあらゆる添加剤、例えば酸化防止剤)とともに有するホットメルト接着剤を含有することができる。熱可塑性構成要素はさらに、例えば結晶性ポリプロピレン、及び非晶質ポリαオレフィン、又はスチレンブロックコポリマー、及びワックスの混合物を含む、感圧性ホットメルト接着剤を含有することができる。
【0328】
匂い制御剤、香料、及び/又は匂い制御添加剤は、任意で添加する。適切な匂い制御添加剤は、従来技術で公知の流体吸収性製品を運ぶ際にもたらされる匂いを経時的に低減させるあらゆる物質である。よって、適切な匂い制御添加剤は、無機材料、例えばゼオライト、活性炭、ベントナイト、シリカ、アエロジル、珪藻土、粘土、キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、シクロデキストリン、アミノポリカルボン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、アミノホスフェート、多官能性芳香族化合物、N,N-ジコハク酸である。
【0329】
適切な匂い制御添加剤はさらに、無水物基(例えば無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水ポリマレイン酸、又は無水ポリイタコン酸)を有する化合物、マレイン酸と、C2~C8オレフィン若しくはスチレンとのコポリマー、ポリマレイン酸無水物、又は無水マレイン酸と、イソブテン、ジイソブテン、若しくはスチレンとのコポリマー、酸基(例えばアスコルビン酸、安息香酸、サリチル酸、又はソルビン酸)を有する化合物、及び酸基を有するモノマーの流体可溶性ポリマー、C3~C5モノ不飽和カルボン酸のホモポリマー又はコポリマーである。
【0330】
最新の開発は、湿分表示添加剤を添加することを提案している。
【0331】
適切な湿分表示添加剤は、ソルビタンモノオレエート、及びポリエトキシ化され、水素化されたヒマシ油である。湿分表示添加剤の量は好ましくは、流体吸収性芯材の質量に対して約0.0001~2質量%である。
【0332】
任意の捕捉・分配層(D)
任意の捕捉・分配層(D)は、上側層(A)(89)と、流体吸収性芯材(C)(80)の間に位置しており、好ましくは放出された体液を効率的に獲得するため、また体液を流体吸収性構成材の他の領域若しくは他の層に輸送及び分配するために構築されており、ここで体液が固定化され、貯蔵される。こうして上側層が、放出された液体を捕捉・分配層(D)に移動させ、これを流体吸収性芯材へと分配する。
【0333】
捕捉・分配層(D)は繊維材料を含有し、任意で吸水性ポリマー粒子を含有する。
【0334】
繊維材料は、親水性、又は疎水性であってよく、或いは、親水性繊維と疎水性繊維との組み合わせであり得る。これは天然繊維、合成繊維、又はこれら両方の組み合わせから誘導されていてよい。
【0335】
適切な捕捉・分配層は、セルロース繊維、及び/又は変性セルロース繊維、及び/又は合成繊維、又はこれらの組み合わせから作製される。よって、適切な捕捉・分配層は、セルロース繊維、特に木材化学パルプを含有することができる。さらなる適切な親水性、疎水性繊維、また変性若しくは非変性の天然繊維の例は、「液体透過性シート、又は液体透過層(A)(89)」の箇所で挙げたものである。
【0336】
流体保持特性と分配特性をともに得るためには特に、変性セルロース繊維を使用するのが好ましい。変性セルロース繊維の例は、化学的に処理したセルロース繊維、特に化学的に硬化したセルロース繊維である。「化学的に硬化したセルロース繊維」という用語は、繊維の高度を向上させるため、化学的な手段により硬化させたセルロース繊維を意味する。このような手段には、表面被覆、表面架橋、及び含浸物の形態での化学硬化剤の添加が含まれる。適切なポリマー硬化剤には、以下のものが含まれ得る:窒素含有基を有するカチオン変性デンプン、ラテックス、湿潤強度増加樹脂、例えばポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、ポリアクリルアミド、ウレアホルムアルデヒド、及びメラミンホルムアルデヒド樹脂、及びポリエチレンイミン樹脂である。
【0337】
硬化にはまた、例えばポリマー鎖を架橋させることによって、化学的な構造を変化させることが含まれる。こうして架橋剤は、繊維に適用することができ、これにより繊維内部の架橋結合が化学的に形成される。セルロース繊維はさらに、架橋結合によって個別の形状で硬化させることができる。適切な化学的硬化剤は通常、モノマー架橋剤であり、これにはC2~C8ジアルデヒド、酸官能性を有するC2~C8モノアルデヒド、特にC2~C9ポリカルボン酸が含まれる。
【0338】
変性セルロース繊維は好ましくは化学的に処理されたセルロース繊維である。特に好ましいのはカール繊維であり、これはセルロース繊維を酢酸で処理することによって得られる。セルロース繊維及び変性セルロース繊維の坪量は好ましくは、50~200gsmである。
【0339】
適切な捕捉・分配層にはさらに、合成繊維が含まれる。合成繊維の公知の例は、「液体透過性シート、又は液体透過層(A)(89)」の箇所で挙げたものである。別のあり得る可能性は、液体透過性シート、又は液体透過層(A)と、捕捉・分配層の2つの機能を有する三次元ポリエチレンフィルムである。
【0340】
さらに、セルロース繊維の場合のように、親水性の合成繊維が好ましい。親水性の合成繊維は、疎水性繊維を化学的に変性することによって得られる。親水化は好ましくは、疎水性繊維の表面処理によって行う。こうして、疎水性繊維の表面には、非イオン性若しくはイオン性界面活性剤による処理によって、例えば繊維に界面活性剤を噴霧することによって、又は繊維を界面活性剤に浸すことによって、親水性が付与できる。恒久的に親水性の合成繊維が、さらに好ましい。
【0341】
捕捉・分配層の繊維材料は、層の強度と一体性を向上させるために固定することができる。織布における強化繊維のための技術は、機械的な結合、熱による結合、及び化学的な結合である。織布の一体性を向上させるための異なる方法の詳細な記述は、「液体透過性シート、又は液体透過層(A)(89)」の箇所で述べた通りである。
【0342】
好ましい捕捉・分配層は繊維材料と、その中に分配された吸水性ポリマー粒子を含有する。吸水性ポリマー粒子は、緩い繊維から層を形成する工程の間に添加することができるか、又は層の形成後に、モノマー溶液を添加し、紫外線誘導性重合技術によって被覆溶液を重合させることができる。よって「その場で」の重合は、吸水性ポリマー粒子を適用するためのさらなる方法である。
【0343】
よって適切な捕捉・分配層は、繊維材料を80~100質量%、及び吸水性ポリマー粒子を0~20質量%含有し、好ましくは繊維材料を85~99.9質量%、及び吸水性ポリマー粒子を0.1~15質量%、より好ましくは繊維材料を90~99.5質量%、及び吸水性ポリマー粒子を0.5~10質量%、最も好ましくは繊維材料を95~99質量%、及び吸水性ポリマー粒子を1~5質量%、含有する。
【0344】
好ましい捕捉・分配層は、吸水性ポリマー粒子の濃度に応じて、坪量が20~200gsmの範囲、最も好ましくは40~60gsmの範囲にある。
【0345】
或いは液体不透層(D)は、(A)(89)と(C)(80)の間に、分配層として働き、供給された尿を、表面に沿って流体吸収性芯材(C)(80)の下側の側方部位へと迅速に輸送する合成樹脂フィルムを有する。上側の液体不透層(D)は、下側の流体吸収性芯材(C)(80)よりも小さいのが好ましい。液体不透層(D)の材料については、特に制限は無い。樹脂、例えばポリチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、又は架橋されたポリビニルアルコールから作製されたフィルム、及び空気透過性だが液体不透性の、いわゆる「通気性」フィルムであって、上記樹脂から作製されたものが使用できる。
【0346】
上側の液体不透層(D)は好ましくは、迅速な捕捉と流体の分配双方のために、多孔質ポリエチレンフィルムを有する。
【0347】
或いは、捕捉・分配層として働く、流体吸収性芯材の上部に緩く分配された合成繊維の束を使用することができる。適切な合成繊維は、コポリエステル、ポリアミド、コポリアミド、ポリ乳酸、ポリプロピレン、又はポリエチレン、ビスコース、又はこれらのブレンドの合成繊維である。さらなる二成分繊維が使用できる。合成繊維成分は、円形断面を有する1種の繊維から構成されていてよいか、又は異なる断面形状を有する2種類の繊維のブレンドから構成されていてよい。合成繊維は、非常に迅速な輸送と流路化を保証するように配置されている。好ましくは、ポリエチレン繊維の束を使用する。
【0348】
その他の任意の要素(F)
1.レッグカフ
不織布材料を含有する典型的なレッグカフは、直接押出成形法により作製でき、その間に繊維と不織布材料が同時に作製されるか、又は事前に孔を空けた繊維の積層工程によって作製でき、これは後の時点で不織布材料に置くことができる。直接押出成形法の例には、スパンボンド、メルトブロー、溶剤紡糸、電解紡糸、及びこれらの組み合わせが含まれる。積層法の例には、湿式積層法と乾式積層法(例えばエアレイ、カーディング)が含まれる。上記工程の組み合わせには、スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド(sms)、スパンボンド・メルトブロー・メルトブロー・スパンボンド(smms)、スパンボンド・カーディング(sc)、スパンボンド・エアレイド(sa)、メルトブロー・エアレイド(ma)、及びこれらの組み合わせが含まれる。直接押出成形法を含むこれらの組み合わせは、同じ時点で、又は後続の時点で組み合わせることができる。上記例では、1つ以上の個々の層が、それぞれの方法によって作製できる。よって、「sms」とは、3層の不織布材料を、「smsms」、又は「ssmms」は、5層の不織布材料を意味する。通常、小文字(sms)が各層を示すのに対して、大文字(SMS)は、同様の隣接層をまとめたものを示す。
【0349】
さらに、適切なレッグカフは、弾性ストランドを備える。
【0350】
sms、smms、又はsmsmsという層の組み合わせを示す合成繊維製のレッグカフが好ましい。密度が13~17gsmである不織布が好ましい。レッグカフは、2つの弾性ストランドを備えるのが好ましい。
【0351】
2.弾性体
弾性体は、着用者の胴体周り(例えば腰、及び脚)で流体吸収性製品を確実に保持するため、また柔軟に閉鎖するために使用され、封じ込め性とフィット感が改善される。脚部弾性体は、外部層と内部層若しくは流体吸収性製品との間に、又は外部衣服に面するカバーと、使用者に面する体側のライナーとの間に位置している。適切な弾性体には、熱可塑性ポリウレタン、弾性材料、ポリ(エーテルアミド)ブロックコポリマー、熱可塑性ゴム、スチレンブタジエンコポリマー、シリコーンラバー、天然ゴム、合成ゴム、スチレンイソプレンコポリマー、スチレンエチレンブチレンコポリマー、ナイロンコポリマー、セグメント化されたポリウレタン及び/又はエチレンビニルアセテートコポリマーを含有するスパンデックス繊維のシート、リボン、又はストランドが含まれる。弾性体は、伸ばした後に基材に固定することができるか、又は伸ばした基材に固定することができる。さもなくば、弾性体は基材に固定子、それから弾性化又は収縮させることができる(例えば熱の適用によって)。
【0352】
3.閉鎖系
閉鎖系には、テープタブ、曝露ゾーン、弾性体、プルアップ、及びベルト系、又はこれらの組み合わせが含まれ得る。
【0353】
第一の腰部領域の少なくとも一部は、閉鎖系により第二の腰部領域の一部に結合されており、これによって流体吸収性製品は定位置に保たれ、脚部開孔、及び流体吸収性製品の腰部が形成される。流体吸収性製品は好ましくは、再度閉鎖可能な閉鎖系を備える。
【0354】
この閉鎖系は、再度封止可能であるか、又は恒常的なものであり、これにはあらゆる適切な材料が含まれ、それは例えば、プラスチック、エラストマー、フィルム、発泡体、不織布基材、織布基材、紙、ティッシュ、積層体、繊維強化プラスチックなど、又はこれらの組み合わせである。閉鎖系は好ましくは、柔軟な材料を有し、着用者の肌を不快にさせることなく、滑らかに柔らかく機能する。
【0355】
閉鎖系の要素の一部が、接着テープであるか、又は第一の腰部領域の横方向端部に配置された、横方向に延伸する一対のタブを有する。テープタブは通常、体の前面に取り付けられ、第一の腰部バンドの各コーナーから横方向に延びる。これらのタブは、内側に面する接着性表面を有し、これは通常、使用前には薄い、除去可能なカバーシートによって保護される。
【0356】
適切なテープタブは、熱可塑性ポリマー、例えばポリエチレン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、エチレンビニルアセテート、エチレンビニルアルコール、エチレンビニルアセテート、又はエチレンアクリル酸コポリマーから作製することができる。
【0357】
適切な閉鎖系はさらに、フックのフック部とループファスナーを有し、対になる部分は、フックのループ部とループファスナーを有する。
【0358】
適切な機械的閉鎖系には、曝露ゾーンが含まれる。機械的な閉鎖系は、外部カバーへと直接固定することができる。曝露ゾーンは、流体吸収性製品の領域として働くことができ、この流体吸収性製品へと、テープタブを掛けるのが望ましい。曝露ゾーンは、ベース材料と、複数のテープタブを有することができる。テープタブは、曝露ゾーンのベース材料に埋め込むことができる。ベース材料は、ループ材料を有することができる。ループ材料は、裏材と、裏材に取り付けられた不織スパンボンドウェブの層を有することができる。
【0359】
よって適切な曝露ゾーンは、スパンボンドによって作製することができる。スパンボンド不織布は、メルトスパン繊維から、押出溶融された熱可塑性材料によって作製される。二軸配向性のポリプロピレン(BOPP)が好ましく、又は機械的な閉鎖系の場合には、歯ブラシ状/閉鎖ループが好ましい。
【0360】
さらに適切な機械的閉鎖系には、可撓性の腹側及び/又は背中側で個別の腰部バンド、流体吸収性製品(例えばパンツ又はプルアップ)に対して遠位端部に位置している可撓性の腹側及び/又は背中側ゾーンとして役に立つ弾性体ユニットが含まれる。弾性体ユニットにより、トレーニングパンツのように、着用者が流体吸収性製品を引き下げることが可能になる。
【0361】
適切なパンツ型流体吸収性製品は、前方の腹側部、後方の背中側部、クロッチ部、前方及び後方の部分を横方向に接続させるための側方部、臀部領域、弾性体腰部領域、及び液密な外部層を有する。臀部領域は、使用者の腰の周りに配置されている。使い捨てのパンツ型流体吸収性製品(プルアップ)は、好ましい可撓性、ストレッチ性、漏れ防止性、及びフィット性を有するため、着用者に優れた快適性がもたらされ、移動性と自由度が改善される。
【0362】
適切なプルアップは、熱可塑性フィルム、シート、及び積層体を有し、弾性率が低く、引張強度が良好であり、弾性回復率が高い。
【0363】
適切な閉鎖系はさらに、流体吸収性製品の固定デバイス内部における弾性領域を作製するために、弾性体を有することができる。弾性体により、漏れに対する適度な性能を維持しながら、腰部及び脚部開口において着用者に対する流体吸収性製品の快適なフィット性が得られる。
【0364】
適切な弾性体は、蒸気透過性と液体遮断特性を有する弾性ポリマー又はエラストマー性接着材料である。好ましい弾性体は、伸ばした後、もとの長さに相当する長さに引き込み可能である。
【0365】
適切な閉鎖系はさらにベルト系を有し、このベルト系は、着用者の体に流体吸収性製品を柔軟に固定するため、また着用者に改善されたフィット感をもたらすための、腰部ベルト及び脚部ベルトを備える。適切な腰部ベルトは、2つの弾性体ベルト(左側の弾性ベルトと右側の弾性ベルト)を備える。左側の弾性ベルトは、左側の角度端部のそれぞれと係合する。右側の弾性ベルトは、右側の角度端部のそれぞれと係合する。左側と右側のベルトは、吸収性衣服が平らに置かれている場合、弾性的に延びる。それぞれのベルトは、流体吸収性製品の前方及び後方に接続しており、これらの間で延伸して、腰部の穴と脚部の穴を形成する。
【0366】
ベルト系は好適には、弾性体から作製されており、これによって流体吸収性製品の快適なフィット性が得られ、漏れに対する適度な性能が維持される。
【0367】
好ましい閉鎖系は、流体吸収性製品のフレームの後部背面端部に位置する長手側端部に対して耳部の片側に取り付けられたいわゆる「弾性耳部」である。市販で得られる流体吸収性製品は、ストレッチ可能な耳部、又は側面パネルを有し、これらはストレッチ可能な積層体、例えば単成分若しくは二成分繊維から作製された不織布から作られている。特に好ましい閉鎖系は、異なる各繊維状材料(例えばメルトブロー法による繊維、スパンボンド繊維)の幾つかの層の芯材を有するストレッチ可能な積層体、第一の融点を有する第一のポリマーを有する芯材と、第二のポリマーを有する外殻とを有する多成分繊維を有するストレッチ可能な積層体、及び前記積層体を作製するための、上部及び底部表面としての、エラストマー材料の織布である。
【0368】
D.流体吸収性製品の構築
本発明はさらに、構成要素と、流体吸収性製品を得るための前述の層、フィルム、シート、ティッシュ、又は基材の接合に関する。少なくとも2つの、好ましくは全ての層、フィルム、シート、ティッシュ、又は基材を接合させる。
【0369】
適切な流体吸収性製品には、単独、又は複数の流体吸収性芯材系が含まれる。好ましくは流体吸収性製品には、単一、又は二重の流体吸収性芯材系が含まれる。
【0370】
流体吸収性芯材(80)の適切な流体貯蔵層は、繊維材料を0~20質量%、吸水性ポリマー材料を80~100質量%含有する。繊維材料が存在する場合、繊維材料は均一に、又は不均一に吸水性ポリマー粒子と混合される。流体吸収性芯材の適切な流体貯蔵層(層状の流体吸収性芯材系含む)は、吸水性ポリマー材料を100%含有するか、又は繊維材料と吸水性ポリマー粒子との均一若しくは不均一な混合物を含有する。
【0371】
吸水性ポリマー粒子を固定化するために、隣接する層を、熱可塑性材料により固定し、これによって結合部が表面全体にわたって、或いは接合部の個別の領域にわたって形成される。後者の場合、空隙とポケットは、吸水性粒子を担持するよう構築されている。接合部の領域は、規則的な、又は不規則なパターンを有することができ、それは例えば、流体吸収性芯材の長手軸に沿ったパターン、又は多角形のパターン、例えば五角形、又は六角形である。接合面自体は、直径が約0.5mm~2mmの直角、環状、又は正方形の形状であってよい。接合面を有する流体吸収性製品は、濡れ強度がより良好である。
【0372】
製品、フレーム、及びその中に含まれる構成要素の構築は、当業者に公知のホットメルト接着剤の個別の適用によって行われ、制御される。その例は例えば、Dispomelt 505B、Dispomelt Cool 1101、またBostik, Henkel, or Fuller社製の特定の機能性接着剤である。
【0373】
適用された体液の吸い上げを保証するために、好ましい流体吸収性製品は、より良好な輸送のために流路を有する。流路は、圧縮力によって作製できる(例えば流体吸収性芯材に対して、トップシート)。圧縮力は、例えば2つの加熱したカレンダーローラの間での熱処理によって適用できる。トップシートと流体吸収性芯材の両方における圧縮の作用として、流路が形成されるように変形する。体液はこの流路に沿って、吸収される位置へと流れ、漏れが防止される。さもなくば、圧縮によってより高密度につながる。これが、陰部の流体を流路に流すための流路の第二の作用である。従って、おむつへの圧縮力は、流体吸収性製品の構造的一体性を改善させる。
【0374】
流体吸収性製品は通常、少なくとも1つの上側の液体透過層(89)、少なくとも1つの下側の液体不透層(83)、及び層(89)と層(83)との間にある少なくとも1つの流体吸収性芯材(80)を有し、任意でその他の層を有する。
【0375】
本発明による流体吸収性製品は、改善されたリウェット性と、流体捕捉特性を有する。
【0376】
本発明による流体吸収性製品は、
(A)上側の液体透過性シート(89)
(B)下側の液体不透性シート(83)
(C)上側シート(89)と、下側シート(83)との間にある流体吸収性芯材であって、この芯材は、吸水性ポリマー粒子を含有する上側層(91)及び下側層(92)という少なくとも2つの層を有するものであり、各層は、吸水性ポリマー粒子と繊維材料との合計に対して、繊維材料を0~10質量%、及び吸水性ポリマー粒子を90~100質量%含有し、
(D)(89)と(80)との間にある、任意の捕捉・配分層(D)、
(F)その他の任意の要素、
を有し、ここで、上側層内にある吸水性ポリマー粒子は、少なくとも0.89の球形度、及び少なくとも34g/gのCRCを有する。
【0377】
本発明による流体吸収性製品はさらに、以下のものを有する:
(89)と(83)との間にある流体吸収性芯材、及び下側のティッシュ層(95,96)、吸水性ポリマー粒子を含有する上側層(91)、吸水性ポリマー粒子を含有する下側層(92)、上側層(91)と下側層(92)との間に挟まれた不織布材料(94)、ここでこれらの層は、接着剤、超音波接合、及び/又は熱接合によって接続されている。
【0378】
上側層(91)内にある吸水性ポリマー粒子が、少なくとも0.89の球形度を有することも好ましい。
【0379】
さらに、上側層(91)の吸水性ポリマー粒子について、AUL(0.3psi、21g/cm2)(EDANA 442.2-02)は、少なくとも30g/gである。
【0380】
吸水性ポリマー粒子のCRC及びAUL(21g/cm2、DANA 442.2-02)の合計が、少なくとも65g/gであることも好ましいことがある。
【0381】
上側層内にある吸水性ポリマー粒子の特性は特に、吸収性芯材の特徴、及び吸収性製品全体のそれぞれに対して、大きな影響をもたらす。
【0382】
本発明によれば、上側層(91)及び/又は下側層(92)は、吸水性ポリマー粒子を少なくとも90質量%、好ましくは95質量%、より好ましくは100質量%、含有する。
【0383】
流体吸収性製品の特性をより良好に調整するためには、吸水性ポリマーを含有する層が、異なる特性を示すことが好ましいので、各層内にある吸水性ポリマー粒子は、異なる。
【0384】
体液吸収性の制御を向上させるために、1種以上のさらなる流体吸収性芯材を添加することが、有利であり得る。第一の流体吸収性芯材に、第二の流体吸収性芯材を添加することにより、体液の移動及び分配についてより多くの可能性がもたらされる。さらに、排出される体液をより多く、保持することができる。異なる吸水性ポリマー濃度及び含分を示す幾つかの層を組み合わせる可能性によって、幾つかの流体吸収性芯材が含まれていても、流体吸収性製品の厚さを、最小限に減らすことができる。
【0385】
手法:
測定は、特に記載しない限り、23±2℃の大気温度、及び50±10%の相対大気湿度で行うべきである。吸水性ポリマーは、測定前に完全に混合する。
【0386】
"WSP"標準試験法は、"Standard Test Methods for the Nonwovens Industry"に、またこれと関連して刊行された"Worldwide Strategic Partners" EDANA (European Disposables and Nonwovens Association、ベルギー国、ブラッセル在、Avenue Eugene Plasky, 157, 1030、www.edana.org)、及びINDA (Association of the Nonwoven Fabrics Industry、米国1100 Crescent Green, Suite 1 15, Cary, N.C. 27518、www.inda.org)に記載されている。これらの刊行物は、EDANAとINDAの双方から得られる。
【0387】
加速老化試験
測定1(当初の色):内径9cmのプラスチック皿を、超吸収性ポリマー粒子で満たす。その表面をペトリ皿の縁の高さで、ナイフにより平らにし、CIE色度と、HC60値を測定する。
【0388】
測定2(老化後):内径9cmのプラスチック皿を、超吸収性ポリマー粒子で満たす。その表面をペトリ皿の縁の高さで、ナイフにより平らにする。それから、プラスチック皿(カバー無し)を、60℃及び相対湿度86%の湿度調節チャンバに移す。プラスチック皿を湿度調節チャンバから、7日後、14日後、及び21日後に取り出し、室温に冷却し、CIE色度を測定する。
【0389】
非荷重下吸収性(AUNL)
吸水性ポリマー粒子の非荷重下吸収性は、EDANA推奨試験番号WSP 242.3 (11) "Gravimetric Determination of Absorption Under Pressure"と同様に測定するのだが、ただし、21.0g/cm2の質量の代わりに、0.0g/cm2の質量を用いる。
【0390】
荷重下吸収性(AUL)
吸水性ポリマー粒子の荷重下吸収性は、EDANA推奨試験番号WSP 242.3 (11) "Gravimetric Determination of Absorption Under Pressure"により測定する。
【0391】
高荷重下吸収性(AUHL)
吸水性ポリマー粒子の高荷重下吸収性は、EDANA推奨試験番号WSP 242.3 (11) "Gravimetric Determination of Absorption Under Pressure"と同様に測定するのだが、ただし、21.0g/cm2の質量の代わりに、49.2g/cm2の質量を用いる。
【0392】
かさ密度
吸水性ポリマー粒子のかさ密度(BD)は、EDANA推奨試験番号WSP 250.3 (11) "Gravimetric Determination of flow rate, Gravimetric Determination of Density"により測定する。
【0393】
坪量
坪量は、流体吸収性芯材の別個の領域(前面全体の平均、曝露ゾーン及び後部全体の平均)で特定する。
【0394】
製品の不織布面を、検査用テーブルに縦方向にピン止めする。曝露箇所について、流体吸収性製品に印を付ける。製品上の曝露箇所は、試験すべきオムツの種類と性別に従ってマークする(すなわち、女児用のものは流体吸収性芯材の中心、男女兼用の場合には2.5cm前、男児用の場合には5cm前)。
【0395】
それから、以下のゾーンのための線を、試験すべきおむつに応じて、流体吸収性製品上に引く。例えば、男児用おむつについては:
・前面全体平均ゾーンについては、芯材の遠位前端部に対して芯材の中心の5.5cm前方、
・曝露ゾーンについては、芯材の中心から5.5cm前側の曝露ゾーンと、0.5cm後後方、
・後部全体平均ゾーンについては、芯材の遠位後ろ端部に対して芯材の中心の0.5cm後方。
【0396】
ゾーンの長さ(ZL)と幅(ZW)をそれぞれ記録する。それから事前に印を付けたゾーンを切り取り、各ゾーンの質量(ZWT)を記録する。
【0397】
坪量を計算する前に、各領域の面積をそれぞれまず、以下のように計算しなければならない:
ゾーン面積(ZA)=(ZW×ZL)[cm2]。
【0398】
ゾーン坪量(ZBW)は、以下のように算出される:
ゾーンの坪量(BW)=ZWT/(ZW*ZL)*10000[g/m2]。
【0399】
例えば、ZWが6cmであり、ZLが10cmであり、ZWTが4.5gである場合、ゾーンの坪量(ZBW)は以下のようになる:
ZBW=4.5g/(6cm×10cm)*10000=750gsm。
【0400】
1平方センチメートルあたりのグラムから1平方メートルあたりのグラムへの換算:
10000×g/cm2=g/m2
1平方センチメートルあたりのグラム(g/cm2)から1平方メートルあたりのグラム(g/m2)への換算:
0.0001×g/m2=g/cm2。
【0401】
遠心分離保持容量(CRC)(EDANA 441.2-02)
吸水性ポリマー粒子の遠心分離容量は、EDANA推奨試験番号WSP 241.3 (11) "Free Swell Capacity in Saline, After Centrifugation"により測定し、ここで遠心分離容量のより大きな値については、より大きなティーバッグを用いなければならない。
【0402】
色度(color Value)(CIE色数[L、a、b])
色度の測定は、比色計の「LabScan XE S/N LX17309(HunterLab; Reston、米国)」によって、CIELABの手順(Hunterlab, Volume 8, 1996, Issue 7, p.1~4)に従って行う。色は、三次元系の色座標L、a、及びbによって記載する。Lは明度を特定し、ここでL=0がクロであり、L=100が白である。a及びbについての値はそれぞれ、赤/緑の色軸、又は黄色/青の色軸にある色の位置を記載し、ここで正のa値は、赤い色を表し、負のa値は緑色を表し、正のb値は黄色を表し、負のb値は青色を表す。
【0403】
色度の測定は、DIN 5033-6に従って三刺激値法で行う。
【0404】
抽出可能成分
吸水性ポリマーにおける抽出可能成分のレベルは、EDANA推奨試験番号WSP 470.2-05 "Extractables"により測定する。
【0405】
自由膨潤速度(FSR)
乾燥した吸水性ポリマー粒子1.00g(=W1)を25mlのガラスビーカーに秤量し、ガラスビーカーの底部に均一に分配する。それから、0.9%の塩化ナトリウム溶液20mlを、第二のガラスビーカーに配分し、このビーカーの中身を、第一のビーカーへと迅速に添加し、ストップウォッチを始動させる。塩溶液の最後の一滴が吸収されたらすぐに、液体表面における反射が消えたことを確認し、ストップウォッチを止める。第二のビーカーから注ぎ、第一のビーカーにおいてポリマーにより吸収された液体の正確な量は、第二のビーカー(=W2)を再度秤量することによって、正確に特定される。ストップウォッチで測定した吸収に必要な時間は、tで示される。表面において液体の最後の一滴が消える時間を、時間tと規定する。
【0406】
自由膨潤速度(FSR)は、以下のように算出する:
FSR[g/gs]=W2/(W1×t)。
【0407】
しかしながら、ヒドロゲル形成ポリマーの湿分が3質量%以下の場合、質量W1は、この湿分に対して修正しなければならない。
【0408】
自由膨潤性(FSC)
吸水性ポリマー粒子の自由膨潤性は、EDANA推奨試験番号WSP 240.3 (11)、「Free Swell Capacity in Saline, Gravimetric Determination」によって行い、ここでより高い自由膨潤性については、より大きなティーバッグを使用しなければならない。
【0409】
球形度、又は丸さ
平均球形度は、100~1,000μmの粒径画分を用いて、Camsizer(登録商標)image analysis system (ドイツ国Haan在、Retsch Technology GmbH社製)により測定する。
【0410】
湿度含分
吸水性ポリマー粒子の湿度含分は、EDANA推奨試験番WSP 230.3 (11)、「Mass Loss Upon Heating」によって測定する。
【0411】
粒子サイズ分布
吸水性ポリマー粒子の粒子サイズ分布は、EDANA推奨試験番号WSP 220.3 (11)、「Particle Size Distribution」によって行う。
【0412】
ここで平均粒径(d50)は、50質量%まで累積的に上昇するメッシュサイズの値である。
【0413】
粒子サイズの多分散性αの度合いは、以下の式によって算出される:
α=(d84.13-d15.87)/(2×d50)
ここで、d15.87、及びd84.13は、累積的に15.87質量%、又は84.13質量%にまで上昇するメッシュサイズの値である。
【0414】
リウェット値
この試験は、脱イオン水中で0.9質量%のNaCl溶液に複数回曝露させることからなる。リウェット性は、圧力下で放出された流体製品の量によって測定する。リウェット性は、それぞれの曝露後に測定する。
【0415】
流体吸収性製品を不織布側で、試験テーブル上で縦方向に挟んで止める。曝露箇所は、試験すべきオムツの種類と性別に従ってマークする(すなわち、女児用のものは流体吸収性芯材の中心、男女兼用の場合には2.5cm前、男児用の場合には5cm前)。噴出体が、印を付けた曝露点の真上になるように、分液漏斗を試験体の中心の上方に配置する。
【0416】
一回目の曝露として、食塩水溶液(0.9質量%)を100g、漏斗を介して一度に流体吸収性製品に注ぐ。液体を10分間吸収させ、その後、直径が9cmで、乾燥質量(D1)が分かっている濾紙(Whatman(登録商標))を10枚重ねたものを、流体吸収性製品上の曝露点にわたって置く。濾紙の上部に、直径が8cmである2.5kgの重しを加える。2分経った後、重しを取り外し、濾紙を再び量ると、湿った状態の質量の値(D2)が得られる。
【0417】
リウェット値は、以下のようにして計算する:
RV(g)=D2-D1
二回目の曝露のリウェット性のために、一回目の曝露手順を繰り返す。食塩水溶液50g(0.9質量%)、及び濾紙を20枚使用する。
【0418】
三回目の曝露のリウェット性のために、以下のようにして、一回目の曝露手順を繰り返す。以下の3回目、4回目、及び5回目の曝露それぞれについて、食塩水溶液(0.9質量%)を50g、濾紙をそれぞれ30枚、40枚、及び50枚使用する。
【0419】
荷重下リウェット性(RUL)
この試験は、流体吸収性製品が、0.7psi(49.2g/cm2)の圧力下で10分間、維持した後に放出する流体の量を測定するものであり、それから複数回、別個に曝露させる。荷重下リウェット性は、圧力下で流体吸収性製品が放出する流体の量である。荷重下リウェット性は、それぞれの曝露後に測定する。
【0420】
流体吸収性製品を不織布側で、試験テーブル上で縦方向に挟んで止める。曝露箇所は、試験すべきオムツの種類と性別に従ってマークする(すなわち、女児用のものは流体吸収性芯材の中心、男女兼用の場合には2.5cm前、男児用の場合には5cm前)。パースペックスチューブを備え、中央に開口部(直径2.3cm)を有する3.6kgの円形の重し(直径10cm)を、事前にマークしておいた曝露点に置く。
【0421】
一回目の曝露のために食塩水溶液(0.9質量%)を100g、パースペックスチューブへと一度に注ぐ。流体吸収性製品へと流体が完全に吸収されるのに必要となる時間を記録する。10分が経過したら、負荷を取り外し、直径が9cmで、乾燥質量(W1)が分かっている濾紙(Whatman(登録商標))を15枚重ねたものを、流体吸収性製品上にある曝露点にわたって置く。濾紙の上部に、直径が8cmである2.5kgの重しを加える。2分が経過したら、重しを取り外し、濾紙を再び量ると、湿った状態の質量の値(W2)が得られる。
【0422】
荷重下リウェット性は、以下のようにして計算する:
RUL(g)=W2-W1
二回目の曝露の荷重下リウェット性のために、一回目の手順を繰り返す。食塩水溶液50g(0.9質量%)、及び濾紙を25枚使用する。
【0423】
三回目の曝露の荷重下リウェット性のために、以下のようにして、一回目の曝露手順を繰り返す。以下の3回目、4回目、及び5回目の曝露それぞれについて、食塩水溶液(0.9質量%)を50g、濾紙をそれぞれ、35枚、及び40枚使用する。
【0424】
残留モノマー
吸水性ポリマー粒子における残留モノマーの水準は、EDANA推奨試験番号WSP 210.3- (11)、「Residual Monomers」により測定される。
【0425】
食塩水流れ誘導性(SFC)
欧州特許出願公開第0640330号明細書(EP 0 640 330 A1)に記載されているような食塩水流れ誘導性は、吸水性ポリマー粒子の膨潤ゲル層のゲル層透過性として特定されるが、前記特許出願の19頁、及び
図8に記載された装置は、ガラスフリット(40)がもはや使用されないように修正されており、プランジャ(39)は、シリンダ(37)と同じポリマー材料から成り、接触表面全体にわたってそれぞれ均一に分配された直径9.65mmの穿孔を21個有する。その手順と測定値の評価は、欧州特許出願公開第0640330号明細書(EP 0 640 330 A1)と同じである。流速は、自動的に記録される。
【0426】
食塩水流れ誘導性(SFC)は、以下のように算出する:
SFC[cm3s/g]=(Fg(t=0)×L0)/(dxAxWP)
ここでFg(t=0)は、NaCL溶液の流速(g/秒)であり、これはFg(t)の線形回帰によって得られ、流れのデータは、t=0に対する補外によって特定され、L0は、ゲル層の厚さ(cm)であり、dは、NaCl溶液の密度であり(g/cm3)、Aは、ゲル層の表面面積であり(cm2)、WPは、ゲル層にわたる静力学的圧力である(dyn/cm2)。
【0427】
(TACAP)、及び(CRCAP)
吸収紙の合計吸収性(TACAP)及び遠心分離保持容量(CRCAP)
合計吸収性(TACAP)は、0.9%の食塩水溶液を30±1分間にわたって吸収する吸収紙の能力を測定する。試験の間にSAPが失われるのを防ぐために、検体を不織布シートで包み、その重さを量る(WD)。それから試料を0.9%の食塩水溶液に30分間、浸す。その後、試料の中心線で2分間、棒に吊して、余剰な液体を排出する。それから、湿った状態の質量(WW)を記録する。
【0428】
合計吸収性(TACAP、g)=WW(g)-WD(g)
湿った状態の質量を量った後、試料をスピンドライヤーに置き(速度1400rpm)、3分間、スピン乾燥させる。スピン後に、その質量(WS)を量る。
【0429】
吸収紙の遠心分離保持容量(CRCAP、g)=WS(g)-WD(g)
EDANA試験法は例えば、EDANA(Avenue Eugene Plasky 157, B-1030 Brussels、ベルギー在)から得られる。
【実施例】
【0430】
実施例
例1
このプロセスは
図1に示すように、一体型流動床(27)を有する並流式噴霧乾燥プラントで行った。反応帯域(5)は、高さが22m、直径が3.4mであった。内部流動床(IFB)は、直径が3mであり、高さが0.25mであった。
【0431】
乾燥ガスは、ガス分配器(3)を介して、噴霧乾燥機の上部で供給した。乾燥ガスは、粉塵分離ユニット(9)としてのサイクロンと、冷却塔(12)とを介して、その一部を再循環させた(乾燥ガス循環)。乾燥ガスは、残留酸素を1~4体積%含有する窒素であった。重合開始前に、残留酸素が4体積%未満になるまで、乾燥ガス循環を窒素で満たした。反応帯域(5)への乾燥ガスの気体速度は、0.81m/sであった。噴霧乾燥機内部の圧力は、周囲圧力を4mbar下回っていた。
【0432】
反応帯域(5)を出るガスの温度は、
図3に示したように、噴霧乾燥機の環状部分端部で、円周部の3箇所で測定した。3つの独立した測定部(43)を、平均温度を算出するために使用した(噴霧乾燥機出口温度)。乾燥ガス循環を加熱し、モノマー溶液の計量供給を開始する。この時間から、熱交換器(20)によりガス入口温度を調整することによって、噴霧乾燥外部温度を119℃に制御した。ガス入口温度は167℃であった。乾燥ガスの水蒸気含分は、表1に示してある。
【0433】
堰の高さに達するまで、生成物を内部流動床(27)内に保留した。温度が112℃の調整された内部流動床ガスを、管(25)を介して、内部流動床(27)に供給した。内部流動床(27)における内部流動床ガスの気体速度は、0.65m/sだった。生成物の滞留時間は、150分だった。内部流動床(27)における吸水性ポリマー粒子の温度は、80℃だった。
【0434】
噴霧乾燥機の排ガスを、粉塵分離ユニット(9)としてのサイクロンで濾過し、急冷/冷却のために冷却塔(12)に送った。余剰な水は冷却塔(12)から、冷却塔(12)内部で(一定の)充填水準を制御することによってポンプで排出した。冷却塔(12)内部にある水は、熱交換器(13)によって冷却し、向流でガスに給送した。冷却塔(12)を出るガスの温度と水蒸気含分は、表1に示されている。冷却塔(12)内部にある水は、水酸化ナトリウム水溶液を添加することによりアルカリ性のpHに調整して、アクリル酸蒸気を洗い流した。
【0435】
冷却塔(12)を出るガスは、乾燥ガス取り入れ管(1)と、調整された内部流動床ガス(25)に分けた。ガス温度は、熱交換器(20)、及び(22)を介して制御した。熱い乾燥ガスを、ガス分配器(3)を介して、並流式噴霧乾燥機に供給した。ガス分配器(3)は、乾燥ガス量に応じて2~4mbarの圧力液滴をもたらす一連のプレートからなる。
【0436】
生成物を、内部流動床(27)から、ロータリーバルブ(28)を介して、シーブ(29)へと排出した。シーブ(29)は、800μm超の粒子直径を有する規格外のもの/塊を篩い分けするために使用した。規格外のもの/塊の質量は、表1に示してある。
【0437】
モノマー溶液は、第一のアクリル酸を、3回エトキシ化されたグリセロールトリアクリレート(内部架橋剤)と混合し、それから37.3質量%のアクリル酸ナトリウム溶液と混合することによって製造した。得られるモノマー溶液の温度は、熱交換器の使用、及び循環への給送により、10℃に制御した。メッシュサイズが250μmのフィルターユニットを、給送後の循環で使用した。
図1に示したように、開始剤を液滴化の上流で、スタチックミキサ(31)及び(32)により、(33)及び(34)を介して、モノマー溶液に計量供給した。温度が20℃のペルオキソ二硫酸ナトリウム溶液を、導管(33)を介して添加し、[2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド溶液を、温度が10℃のBrueggolite(登録商標)FF7及びBlancolen(登録商標)HPとともに、導管(34)を介して添加した。各開始剤を循環に給送し、各液滴化ユニットへと制御バルブを介して添加した。メッシュサイズが140μmの第二のフィルターユニットを、スタチックミキサ(32)後に使用した。モノマー溶液を噴霧乾燥機の上部に添加するため、
図4に示したように、3つの液滴化ユニットを使用した。
【0438】
液滴化ユニットは、
図5に示したように、液滴化カセット(49)のための開口部を有する外部配管(47)からなっていた。液滴化カセット(49)は、内部配管(48)と接続していた。シーリングとして端部にPTFEブロック(50)を有する内部配管(48)は、メンテナンス工程のための作業工程の間、外部配管(47)へと、また外部配管(47)から、押し出すことができる。
【0439】
液滴化カセット(49)の温度は、
図8に示したように、流入流路(55)への水によって8℃に制御した。液滴化カセット(49)は、穿孔(直径170μm、穿孔の間隔15mm)を256個有していた。液滴化カセット(49)は、事前に混合したモノマーと開始剤溶液とを均一に分布させるための、流れない体積を実質的に有さない流入流路(56)と、1つの液滴化プレート(53)からなっていた。液滴化プレート(53)は、角度3゜で配置構成されていた。液滴化プレート(53)は、ステンレス鋼からなっており、その長さは630mm、幅は128mm、厚さは1mmであった。
【0440】
噴霧乾燥機への原料は、以下のものからなっていた:アクリル酸9.56質量%、アクリル酸ナトリウム33.73質量%、3回エトキシ化されたグリセロールトリアクリレート0.018質量%(純度は約85質量%)、[2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド0.071質量%、Brueggolite(登録商標)FF7(ドイツ国、Heilbronn在、Brueggemann Chemicals)0.0028質量%、Blancolene(登録商標)HP(ドイツ国、Heilbronn在、Brueggemann Chemicals)0.036質量%、ペルオキソ二硫酸ナトリウム0.054質量%、及び水。中和度は73%であった。穿孔1個当たりの原料は、1.4kg/hであった。
【0441】
こうして得られる吸水性ポリマー粒子を分析した。その条件と結果が、表1~3にまとめてある。
【0442】
例2:ベースポリマー
このプロセスは
図1に示すように、一体型流動床(27)を有する並流式噴霧乾燥プラントで行った。反応帯域(5)の高さは22mであり、その直径は3.4mであった。内部流動床(IFB)は、直径が3mであり、高さが0.25mであった。
【0443】
乾燥ガスは、ガス分配器(3)を介して、噴霧乾燥機の上部で供給した。乾燥ガスは、粉塵分離ユニット(9)としてのサイクロンと、冷却塔(12)とを介して、その一部を再循環させた(乾燥ガス循環)。乾燥ガスは、残留酸素を1~4体積%含有する窒素であった。重合開始前に、残留酸素が4体積%未満になるまで、乾燥ガス循環を窒素で満たした。反応帯域(5)における乾燥ガスの気体速度は、0.79m/sだった。噴霧乾燥機内部の圧力は、周囲圧力を4mbar下回っていた。
【0444】
反応帯域(5)を出るガスの温度は、
図3に示したように、噴霧乾燥機の環状部分端部で、円周部の3箇所で測定した。3つの独立した測定部(43)を、平均温度を算出するために使用した(噴霧乾燥機出口温度)。乾燥ガス循環を加熱し、モノマー溶液の計量供給を開始する。この時間から、熱交換器(20)によりガス入口温度を調整することによって、噴霧乾燥外部温度を115℃に制御した。ガス入口温度は167℃であり、乾燥ガスの水蒸気含分は、表1に示してある。
【0445】
堰の高さに達するまで、生成物を内部流動床(27)内に保留した。温度が108℃に調整された内部流動床ガスを、管(25)を介して、内部流動床(27)に供給した。内部流動床(27)における内部流動床ガスの気体速度は、0.65m/sだった。生成物の滞留時間は、150分だった。内部流動床(27)における吸水性ポリマー粒子の温度は、79℃だった。
【0446】
噴霧乾燥機の排ガスを、粉塵分離ユニット(9)としてのサイクロンで濾過し、急冷/冷却のために冷却塔(12)に送った。余剰な水は冷却塔(12)から、冷却塔(12)内部で(一定の)充填水準を制御することによってポンプで排出した。冷却塔(12)内部にある水は、熱交換器(13)によって冷却し、向流でガスに給送した。冷却塔(12)を出るガスの温度と水蒸気含分は、表1に示されている。冷却塔(12)内部にある水は、水酸化ナトリウム水溶液を添加することによりアルカリ性のpHに調整して、アクリル酸蒸気を洗い流した。
【0447】
冷却塔(12)を出るガスは、乾燥ガス取り入れ管(1)と、調整された内部流動床ガス(25)に分けた。ガス温度は、熱交換器(20)、及び(22)を介して制御した。熱い乾燥ガスを、ガス分配器(3)を介して、並流式噴霧乾燥機に供給した。ガス分配器(3)は、乾燥ガス量に応じて2~4mbarの圧力液滴をもたらす一連のプレートからなる。
【0448】
生成物を、内部流動床(27)から、ロータリーバルブ(28)を介して、シーブ(29)へと排出した。シーブ(29)は、800μm超の粒子直径を有する規格外のもの/塊を篩い分けするために使用した。規格外のもの/塊の質量は、表1に示してある。
【0449】
モノマー溶液は、第一のアクリル酸を、3回エトキシ化されたグリセロールトリアクリレート(内部架橋剤)と混合し、それから37.3質量%のアクリル酸ナトリウム溶液と混合することによって製造した。得られるモノマー溶液の温度は、熱交換器の使用、及び循環への給送により、10℃に制御した。メッシュサイズが250μmのフィルターユニットを、給送後の循環で使用した。
図1に示したように、開始剤を液滴化の上流で、スタチックミキサ(31)及び(32)により、(33)及び(34)を介して、モノマー溶液に秤り入れた。温度が20℃のペルオキソ二硫酸ナトリウム溶液を、導管(33)を介して添加し、[2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド溶液を、温度が10℃のBrueggolite(登録商標)FF7とともに、導管(34)を介して添加した。各開始剤を循環に給送し、各液滴化ユニットへと制御バルブを介して添加した。メッシュサイズが140μmの第二のフィルターユニットを、スタチックミキサ(32)後に使用した。モノマー溶液を噴霧乾燥機の上部に添加するため、
図4に示したように、3つの液滴化ユニットを使用した。
【0450】
液滴化ユニットは、
図5に示したように、液滴化カセット(49)のための開口部を有する外部配管(47)からなっていた。液滴化カセット(49)は、内部配管(48)と接続していた。シーリングとして端部にPTFEブロック(50)を有する内部配管(48)は、メンテナンス工程のための作業工程の間、外部配管(47)へと、また外部配管(47)から、押し出すことができる。
【0451】
液滴化カセット(49)の温度は、
図8に示したように、流入流路(55)への水によって8℃に制御した。液滴化カセット(49)は、穿孔(直径170μm、穿孔の間隔15mm)を256個有していた。液滴化カセット(49)は、事前に混合したモノマーと開始剤溶液とを均一に分布させるための、流れない体積を実質的に有さない流入流路(56)と、1つの液滴化プレート(53)からなっていた。液滴化プレート(53)は、角度3°で配置構成されていた。液滴化プレート(53)は、ステンレス鋼からなっており、その長さは630mm、幅は128mm、厚さは1mmであった。
【0452】
噴霧乾燥機への原料は、以下のものからなっていた:アクリル酸9.56質量%、アクリル酸ナトリウム33.73質量%、3回エトキシ化されたグリセロールトリアクリレート0.018質量%(純度は約85質量%)、[2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド0.071質量%、Brueggolite(登録商標)FF7(ドイツ国、Heilbronn在、Brueggemann Chemicals)0.0028質量%、ペルオキソ二硫酸ナトリウム0.071質量%、及び水。中和度は73%であった。穿孔1個当たりの原料は、1.4kg/hであった。
【0453】
こうして得られる吸水性ポリマー粒子を分析した。その条件と結果が、表1~3にまとめてある。
【0454】
例3:ベースポリマー
このプロセスは
図1に示すように、一体型流動床(27)を有する並流式噴霧乾燥プラントで行った。反応帯域(5)の高さは22mであり、その直径は3.4mであった。内部流動床(IFB)は、直径が3mであり、高さが0.25mであった。
【0455】
乾燥ガスは、ガス分配器(3)を介して、噴霧乾燥機の上部で供給した。乾燥ガスは、粉塵分離ユニット(9)としてのサイクロンと、冷却塔(12)とを介して、その一部を再循環させた(乾燥ガス循環)。乾燥ガスは、残留酸素を1~4体積%含有する窒素であった。重合開始前に、残留酸素が4体積%未満になるまで、乾燥ガス循環を窒素で満たした。反応帯域(5)における乾燥ガスの気体速度は、0.79m/sだった。噴霧乾燥機内部の圧力は、周囲圧力を4mbar下回っていた。
【0456】
反応帯域(5)を出るガスの温度は、
図3に示したように、噴霧乾燥機の環状部分端部で、円周部の3箇所で測定した。3つの独立した測定部(43)を、平均温度を算出するために使用した(噴霧乾燥機出口温度)。乾燥ガス循環を加熱し、モノマー溶液の計量供給を開始する。この時間から、熱交換器(20)によりガス入口温度を調整することによって、噴霧乾燥外部温度を115℃に制御した。ガス入口温度は167℃であり、乾燥ガスの水蒸気含分は、表1に示してある。
【0457】
堰の高さに達するまで、生成物を内部流動床(27)内に保留した。温度が117℃の調整された内部流動床ガスを、管(25)を介して、内部流動床(27)に供給した。内部流動床(27)における内部流動床ガスの気体速度は、0.65m/sだった。生成物の滞留時間は、150分だった。内部流動床(27)における吸水性ポリマー粒子の温度は、78℃だった。
【0458】
噴霧乾燥機の排ガスを、粉塵分離ユニット(9)としてのサイクロンで濾過し、急冷/冷却のために冷却塔(12)に送った。余剰な水は冷却塔(12)から、冷却塔(12)内部で(一定の)充填水準を制御することによってポンプで排出した。冷却塔(12)内部にある水は、熱交換器(13)によって冷却し、向流でガスに給送した。冷却塔(12)を出るガスの温度と水蒸気含分は、表1に示されている。冷却塔(12)内部にある水は、水酸化ナトリウム水溶液を添加することによりアルカリ性のpHに調整して、アクリル酸蒸気を洗い流した。
【0459】
冷却塔(12)を出るガスは、乾燥ガス取り入れ管(1)と、調整された内部流動床ガス(25)に分けた。ガス温度は、熱交換器(20)、及び(22)を介して制御した。熱い乾燥ガスを、ガス分配器(3)を介して、並流式噴霧乾燥機に供給した。ガス分配器(3)は、乾燥ガス量に応じて2~4mbarの圧力液滴をもたらす一連のプレートからなる。
【0460】
生成物を、内部流動床(27)から、ロータリーバルブ(28)を介して、シーブ(29)へと排出した。シーブ(29)は、800μm超の粒子直径を有する規格外のもの/塊を篩い分けするために使用した。規格外のもの/塊の質量は、表1に示してある。
【0461】
モノマー溶液は、第一のアクリル酸を、3回エトキシ化されたグリセロールトリアクリレート(内部架橋剤)と混合し、それから37.3質量%のアクリル酸ナトリウム溶液と混合することによって製造した。得られるモノマー溶液の温度は、熱交換器の使用、及び循環への給送により、10℃に制御した。メッシュサイズが250μmのフィルターユニットを、給送後の循環で使用した。
図1に示したように、開始剤を液滴化の上流で、スタチックミキサ(31)及び(32)により、(33)及び(34)を介して、モノマー溶液に秤り入れた。温度が20℃のペルオキソ二硫酸ナトリウム溶液を、導管(33)を介して添加し、[2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド溶液を、温度が10℃のBrueggolite(登録商標)FF7及びBlancolen(登録商標)HPとともに、導管(34)を介して添加した。各開始剤を循環に給送し、各液滴化ユニットへと制御バルブを介して添加した。メッシュサイズが140μmの第二のフィルターユニットを、スタチックミキサ(32)後に使用した。モノマー溶液を噴霧乾燥機の上部に添加するため、
図4に示したように、3つの液滴化ユニットを使用した。
【0462】
液滴化ユニットは、
図5に示したように、液滴化カセット(49)のための開口部を有する外部配管(47)からなっていた。液滴化カセット(49)は、内部配管(48)と接続していた。シーリングとして端部にPTFEブロック(50)を有する内部配管(48)は、メンテナンス工程のための作業工程の間、外部配管(47)へと、また外部配管(47)から、押し出すことができる。
【0463】
液滴化カセット(49)の温度は、
図8に示したように、流入流路(55)への水によって8℃に制御した。液滴化カセット(49)は、穿孔(直径170μm、穿孔の間隔15mm)を256個有していた。液滴化カセット(49)は、事前に混合したモノマーと開始剤溶液とを均一に分布させるための、流れない体積を実質的に有さない流入流路(56)と、1つの液滴化プレート(53)からなっていた。液滴化プレート(53)は、角度3°で配置構成されていた。液滴化プレート(53)は、ステンレス鋼からなっており、その長さは630mm、幅は128mm、厚さは1mmであった。
【0464】
噴霧乾燥機への原料は、以下のものからなっていた:アクリル酸9.56質量%、アクリル酸ナトリウム33.73質量%、3回エトキシ化されたグリセロールトリアクリレート0.013質量%(純度は約85質量%)、[2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド0.071質量%、Brueggolite(登録商標)FF7(ドイツ国、Heilbronn在、Brueggemann Chemicals)0.0028質量%、Blancolene(登録商標)HP(ドイツ国、Heilbronn在、Brueggemann Chemicals)0.054質量%、ペルオキソ二硫酸ナトリウム0.099質量%、及び水。中和度は73%であった。穿孔1個当たりの原料は、1.4kg/hであった。
【0465】
こうして得られる吸水性ポリマー粒子を分析した。その条件と結果が、表1~3にまとめてある。
【0466】
表1:例1~7についての重合プロセス条件
【表1】
・水蒸気含分CC:冷却塔(12)を出るガスの水蒸気含分
・水蒸気含分GD:ガス分配器(3)の前にあるガスの水蒸気含分
・Tガス入口:ガス分配器(3)の前にあるガスの温度
・Tガス出口:反応帯域(5)を出るガスの温度
・TガスIFB:導管(25)を介して内部流動床(27)に入るガスの温度
・T IFB:流動床(27)にある吸水性ポリマー粒子の温度
・T CC:冷却塔(12)を出るガスの温度
・T GDU:ガス乾燥ユニット(37)を出るガスの温度。
【0467】
表2:吸水性ポリマー粒子(ベースポリマー)の特性
【表2】
【0468】
表3:吸水性ポリマー粒子(ベースポリマー)の粒子サイズ分布(PSD)、篩い画分分析により測定
【表3】
【0469】
例4、及び5
一般的な説明
Schugi Flexomix(登録商標)(Flexomix 160型、オランダ国Doetinchem在、Hosokawa Micron B.V.社製)内で、2000rpmの速度で、2つ又は3つの円形噴霧ノズルシステム(重力式供給噴霧設定、SU4型外部混合、流体キャップ60100、及びエアキャップSS-120、米国Illinois州Wheaton在、Spraying Systems Co社製)を用いて、ベースポリマーを表面後架橋剤溶液で被覆し、それからベースポリマー原料(70)で満たし、熱乾燥機(65)(NPD 5W-18型、オランダ国Waddinxveen在、GMF Gouda社製)により、6rpmというシャフト(76)速度で乾燥させた。熱乾燥機(65)は、シャフトの偏り90°で2つのパドル(80)を有しており、2つの可撓性堰板(73)によって排出帯域(71)を固定している。
図15に示したように堰はそれぞれ、堰高さが最小50%(75)であり、堰高さが最大100%(74)である堰開口部(75)を有する。
【0470】
フロアプレートと熱乾燥機との間の傾き角α(78)は、約3°であった。熱乾燥機の堰高さは、約40~150分という滞留時間に相応して、約700~750kg/m3の生成物密度により、50~100%であった。熱乾燥機内での生成物温度は、120~165℃の範囲にあった。乾燥後、表面後架橋したポリマーは、排出コーン(77)を介して、冷却器(NPD 5W-18型、オランダ国Waddinxveen在、GMF Gouda社製)へと輸送し、表面後架橋したポリマーを、11rpmの速度、堰高さ145mmで約60℃に冷却した。冷却後に、材料を最小150μm、最大710μmの区分サイズに篩い分けした。
【0471】
例4
エチレンカーボネート、水、Plantacare(登録商標)UP 818(ドイツ国Ludwigshafen在、BASF SE社製)、及び乳酸アルミニウム水溶液(22質量%)を事前混合し、表5にまとめたように、表面後架橋剤溶液として用いた。乳酸アルミニウムとしては、Lothragon(登録商標)Al 220(ドイツ国Emmerthal在、Dr. Paul Lohmann GmbH社製)を使用した。
【0472】
温度が約25℃のPlantacare(登録商標)UP 818の0.05%水溶液を5.0質量%、3つの冷却器のうち第一の冷却器にある2つのノズルを用いて冷却器へとさらに添加した。これらのノズルは、生成物床の下方に設置した。
【0473】
こうして得られる吸水性ポリマー粒子を分析した。その試験条件と結果が、表4~6にまとめてある。
【0474】
例5
エチレンカーボネート、水、Span(登録商標)20(ドイツ国Nettetal在、Croda社製)、乳酸アルミニウム水溶液(22質量%)を事前混合し、表5にまとめたように、表面後架橋剤溶液として用いた。乳酸アルミニウムとしては、Lothragon(登録商標)Al 220(ドイツ国Emmerthal在、Dr. Paul Lohmann GmbH社製)を使用した。
【0475】
Span(登録商標)20溶液(ドイツ国Nettetal在、Croda社製)の0.125%水溶液4.0質量%、及び5.7%の乳酸アルミニウム水溶液4.4質量%を、3つの冷却器のうち第一の冷却器にある2つのノズルを用いて冷却器へとさらに添加した。両方の溶液は、温度が約25℃だった。これらのノズルは、生成物床の下方に設置した。
【0476】
こうして得られる吸水性ポリマー粒子を分析した。その試験条件と結果が、表4~8にまとめてある。
【0477】
表4:表面後架橋のための熱乾燥のプロセス条件(SXL)
【表4】
【0478】
表5:ヒータ内で熱処理し、冷却器内で再度湿潤化した表面後架橋剤調製物
【表5】
【0479】
表6:表面後架橋後のポリマー粒子の物理的特性
【表6】
【0480】
表7:表面後架橋後のポリマー粒子の粒子サイズ分布・篩い画分
【表7】
【0481】
表8:表面後架橋後のポリマー粒子の色安定性(加速老化試験)
【表8】
【0482】
例6
吸収紙の製造
ホットメルト接着剤(2.0gsm)(Bostik社製の建築用ホットメルト接着剤)を、ティッシュボトム層(45gsm)(Fujian Qiao Dong-Paper Co., Ltd.社製の圧縮ティッシュ)に吹き付け、それからSAP(ボトム層)を、130gsmの負荷でローラフィーダー(市販で手に入るSAPフィーダー、ローラ型)を用いてティッシュに適用する。嵩だかな不織布材料(50gsm)(エアスルー結合されたポリエステル不織布、Fujian Qiao Dong-Paper Co., Ltd.社製)を積層設備に供給し、ホットメルト接着剤を不織布に吹き付ける(0.5gsm)。それからホットメルト接着剤を含有する不織布を、ティッシュ層、ホットメルト接着剤、及びSAPで積層する。こうして、吸収紙のボトム層が得られる。
【0483】
ホットメルト接着剤(2.0gsm)を別のティッシュシート(トップ層)(Fujian Qiao Dong-Paper Co., Ltd.社製の圧縮ティッシュ層)に吹き付けることにより、別の層を製造し、それから別の種類のSAP(130gsm)をこのティッシュ層に適用する。こうして、吸収紙の第二の層が得られる。
【0484】
それから第一及び第二の層を、ホットメルト接着剤(0.5gsm)(Bostik社製の建築用ホットメルト接着剤)を用いて、圧縮ローラ(市販で手に入る金属圧縮ローラ)を通過させることによって、積層させる。これによって、完成した吸収紙が得られる。
【0485】
吸収紙は、超吸収性ポリマー(SAP)の2つの層から成り、そのうちの1つはトップ側(91)に置き、もう1つはシート(92)の底部に置く。トップ及びボトムのSAP層はともに、1平方メートルあたり130グラム含有する(g/m
2)。2つの層を、0.5g/m
2のホットメルト接着剤によって、50g/m
2のエアスルー結合された不織布材料(94)上に貼り合わせ(93)、それからトップ(95)及びボトム(96)にある45g/m
2の圧縮ティッシュ層である2つの層によって、表面に2.0g/m
2で適用されたホットメルト接着剤を用いて、挟む。ホットメルト接着剤は、トップ層及びボトム層の両方について、2.5g/m
2で使用する(番号は
図17に関するもの)。
【0486】
積層シート(以下では検体という)を、幅95mm、長さ400mmに切断する。
【0487】
この寸法に切断した吸収紙を、事前に作製したテープ式オムツのポケット部(エンボス加工された2層の不織布トップシートをg/m2で有する)に挿入する(Daddy Baby diapers、Lサイズ、テープ式、Fuzhou Angel Commodity Co., Ltd社製)。この検体は、捕捉層を有さない。スパンボンド不織布のレッグカフは2つとも、高さが35mmであり、2つの弾性ストランドを有する。両側について、鋲止めしたレッグカフと吸収性芯材との距離は、幅10mmである。吸収性芯材の寸法は、使用する吸収紙の寸法と同じである。
【0488】
おむつサンプルの製造
エンボス加工された2層の不織布トップシートを有する、市販の52gsmのテープ式オムツ(Daddy Baby diapers、Lサイズ、テープ式、Fuzhou Angel Commodity Co., Ltd社製)。おむつのサンプルを、バックシートから中央で切り取る。本来の吸収性芯材を、慎重に取り除く。このおむつサンプルは、捕捉層を有さない。スパンボンド不織布のレッグカフ(左右)は2つとも、高さが35mmであり、2つの弾性ストランドを有する。両側について、鋲止めしたレッグカフと吸収性芯材との距離は、幅10mmである。その他の材料は、同じであり、おむつのポケット部のように空いている。
【0489】
実験室で積層した吸収紙をはさみで切断し、長さ400mm、幅95mmの寸法にする。吸収紙のシートを挿入し、おむつのポケット部に配置する。このおむつサンプルを、それから接着テープにより慎重に封止し、実験室試験用のおむつサンプルを作製する。
【0490】
例7~12:
トップ層(91)、及びボトム層若しくは下側層(92)に異なる吸水性ポリマーを含有する吸収紙を製造した:
それぞれの吸収紙について、TACAP、CRCAPの値を測定する。その結果が、表9にまとめてある。
【0491】
【0492】
例13~18
例7~12に記載した吸収紙を、前述のように作製した。それぞれの吸収紙を、おむつのポケット部に前述のように挿入し、RULを測定する。その結果が、表10にまとめてある。
【0493】
表10:荷重下リウェット性(RUL)試験の結果
【表10】
【0494】
リウェット値の結果(g)は、例4及び5の両方の組み合わせが、4回目の曝露後に、他の組み合わせと比較して、最も低いリウェット値をもたらすことを示している。