(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】遅延時間測定装置、半導体装置及び遅延時間の測定方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/28 20060101AFI20220405BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20220405BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20220405BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
G01R31/28 V
H01L21/66 F
H01L27/04 T
(21)【出願番号】P 2017186117
(22)【出願日】2017-09-27
【審査請求日】2020-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079119
【氏名又は名称】藤村 元彦
(74)【代理人】
【識別番号】100147728
【氏名又は名称】高野 信司
(72)【発明者】
【氏名】藪下 敦士
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/076799(WO,A1)
【文献】特開平4-69700(JP,A)
【文献】特開昭61-220044(JP,A)
【文献】特開2016-40875(JP,A)
【文献】特開2002-162441(JP,A)
【文献】特開平6-75022(JP,A)
【文献】米国特許第5764598(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/28
H01L 21/66
H01L 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路素子の遅延時間を測定する遅延時間測定装置であって、
前記回路素子の入力端で受けた信号と前記回路素子から出力された信号とを合成した合成信号を生成する合成部、及び前記合成信号中に表れるパルスを計数して計数値を得るカウンタを含む遅延測定補助回路と、
時間経過につれてパルス幅が所定の増加値ずつ増加するパルスの列を含むパルス信号を前記回路素子の前記入力端に供給し、前記パルス毎に前記パルスの前縁部の時点から所定期間経過した時点での前記カウンタの前記計数値が1であるか否かを判定し、前記計数値が1であると判定された際の前記パルス幅を前記回路素子の測定遅延時間として得る遅延測定処理部と、を有することを特徴とする遅延時間測定装置。
【請求項2】
前記パルスの列の先頭のパルスのパルス幅は前記回路素子の仕様上の遅延時間よりも小であり、前記所定期間は前記回路素子の仕様上の遅延時間よりも長いことを特徴とする請求項1に記載の遅延時間測定装置。
【請求項3】
前記増加値は、前記遅延時間における仕様上の許容誤差に対応した大きさを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の遅延時間測定装置。
【請求項4】
前記合成部は、前記回路素子の前記入力端で受けた信号と前記回路素子から出力された信号との論理和又は論理積の結果を前記合成信号として生成する論理ゲートを含み、
前記カウンタは、前記合成信号を自身のクロック端子で受けて、前記合成信号に表れる前記パルスの数を0から計数し、前記計数値が2に到達したら前記計数値を0に戻す計数動作を繰り返すカウンタであることを特徴とする請求項1~3のいずれか1に記載の遅延時間測定装置。
【請求項5】
前記回路素子及び前記遅延測定補助回路は同一の半導体チップに形成されており、
前記遅
延測定処理部は、前記半導体チップのテストを行うテスタに含まれていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1に記載の遅延時間測定装置。
【請求項6】
直列に接続されている第1~第r(rは2以上の整数)の回路素子の遅延時間を測定する遅延時間測定装置であって、
前記第1の回路素子の入力端で受けた信号と前記第1~第rの前記回路素子の各々から出力された信号とを合成した合成信号を生成する合成部、及び前記合成信号中に表れるパルスの数を計数して計数値を得るカウンタを含む遅延測定補助回路と、
時間経過につれてパルス幅が所定の増加値ずつ増加するパルスの列を含むパルス信号を前記回路素子の前記入力端に供給し、前記パルス毎に前記パルスの前縁部の時点から所定期間経過した時点での前記カウンタの計数値が
rであるか否かを判定し、前記計数値が
rであると判定された際の前記パルス幅を最小の遅延時間を表す第1の測定遅延時間とし、引き続き前記パルス毎に前記パルスの前縁部の時点から前記所定期間経過した時点での前記カウンタの計数値が1であるか否かを判定し、前記計数値が1であると判定された際の前記パルス幅を最大の遅延時間を表す第2の測定遅延時間として得る遅延測定処理部と、を有することを特徴とする遅延時間測定装置。
【請求項7】
入力端で受けた信号を遅延して出力する回路素子と、
遅延測定補助回路と、を有し、
前記遅延測定補助回路は、
前記回路素子の入力端の信号と前記回路素子から出力された信号とを合成した合成信号を生成する合成部と、
前記合成信号中に表れるパルスの数を計数して前記パルスの数を表す計数
値を出力するカウンタと、を含
み、
前記カウンタは、前記計数値をリセットするリセット信号を受けるリセット端子付きの3進カウンタであることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
前記合成部は、前記回路素子の前記入力端で受けた信号と前記回路素子から出力された信号との論理和又は論理積の結果を前記合成信号として生成する論理ゲートを含み、
前記カウンタは、前記合成信号を自身のクロック端子で受けて、前記合成信号に表れる前記パルスの数を0から計数し、前記計数値が2に到達したら前記計数値を0に戻す計数動作を繰り返すカウンタであることを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
直列に接続されている第1~第r(rは2以上の整数)の回路素子と、
遅延測定補助回路と、を有し、
前記遅延測定補助回路は、
前記第1の回路素子の入力端の信号と前記第1~第rの回路素子の各々から出力された信号とを合成した合成信号を生成する合成部と、
前記合成信号中に表れるパルスの数を計数して前記パルスの数を表す計数
値を出力するカウンタと、を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
前記合成部は、前記第1の回路素子の入力端で受けた信号と前記第1~第rの前記回路素子の各々から出力された信号との論理和又は論理積の結果を前記合成信号として生成する論理ゲートを含み、
前記カウンタは、前記合成信号を自身のクロック端子で受けて、前記合成信号に表れる前記パルスの数を0から計数し、前記計数値が(r+1)に到達したら前記計数値を0に戻す計数動作を繰り返すカウンタであることを特徴とする請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
回路素子の遅延時間を測定する遅延時間の測定方法であって、
前記回路素子の入力端で受けた信号と前記回路素子から出力された信号とを合成した合成信号を生成し、
時間経過につれてパルス幅が所定の増加値ずつ増加するパルスの列を含むパルス信号を前記回路素子の前記入力端に供給し、
前記パルス毎に前記パルスの前縁部の時点から所定期間経過するまでの間に前記合成信号中に表れるパルスの数が1であるか否かを判定し、前記パルスの数が1であると判定された際の前記パルス幅を前記回路素子の測定遅延時間として得ることを特徴とする遅延時間の測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路素子の遅延時間を測定する遅延時間測定装置、半導体装置、及び遅延時間の測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体IC(Integrated Circuit)チップ等の半導体装置の製品出荷時のテストでは、当該半導体装置に形成されている回路が正常に動作するか否かの確認が行われる。
【0003】
ところで、半導体装置に形成されている回路内には遅延素子が含まれる場合があり、近年、製品出荷時のテストで、このような遅延素子の遅延時間を測定することが望まれている。
【0004】
例えば、テスタにより半導体装置の入力端子を介して遅延素子にテスト信号を供給すると共に、そのテスト信号の供給開始時点から、遅延素子から出力された信号が半導体装置の出力端子に表れるまでの時間を測定することにより、この遅延素子の遅延時間を求める。
【0005】
また、半導体装置内に遅延測定用回路を設けることにより、当該半導体装置に形成されている回路の遅延時間を測定するようにした技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
この遅延測定用回路は、所定のパルス幅を有する制御信号に応じて、遅延時間の測定対象回路の遅延時間分のパルス幅を有するパルスを生成するチョッパ回路を備える。当該遅延測定用回路では、チョッパ回路から出力されたパルスのパルス幅を所定幅ずつ段階的に狭めたパルスを順に生成し、生成されたパルスの数をカウンタによって計数する。そして、パルス幅を所定幅ずつ狭めているが故にカウンタでパルスの計数が出来なくなった時点でのパルスの計数値に上記した所定幅を乗算した結果に、カウンタで計数可能な最小限のパルス幅、つまり限界パルス幅を加算したものを測定対象回路の遅延時間とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記したように半導体装置の入力端子にテスト信号を供給してから、遅延素子を経た信号が半導体装置の出力端子に表れるまでの遅延時間を測定する場合、この遅延時間には、入力又は出力端子から遅延素子までの経路での遅延時間が含まれている。よって、測定対象回路のみの遅延時間を精度良く測定することができない。
【0009】
一方、特許文献1に開示されている方法では、チョッパ回路から出力されたパルスのパルス幅を段階的に所定幅ずつ狭めるにあたり、インバータ又はナンド素子の素子遅延を利用して、この所定幅を設定している。このようなインバータ又はナンド素子の素子遅延は、製造上のバラツキ或いは環境温度等により変動する。
【0010】
また、特許文献1に開示されている方法では、チョッパ回路から出力されたパルスの数をカウンタで計数し、当該カウンタでパルスの計数動作が不可となったことをもって、パルスのパルス幅が限界パルス幅より小さくなったと判断している。この際、カウンタで計数可能なパルスの限界パルス幅は、製造上のバラツキ或いは環境温度等により変動する。
【0011】
以上のことから、特許文献1に開示されている方法でも、測定対象の回路素子の遅延時間を精度良く測定することができないという問題があった。
【0012】
そこで、本発明は、測定対象となる回路素子の遅延時間を高い精度で測定することが可能な遅延時間測定装置、半導体装置及び遅延時間の測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る遅延時間測定装置は、回路素子の遅延時間を測定する遅延時間測定装置であって、前記回路素子の入力端で受けた信号と前記回路素子から出力された信号とを合成した合成信号を生成する合成部、及び前記合成信号中に表れるパルスを計数して計数値を得るカウンタを含む遅延測定補助回路と、時間経過につれてパルス幅が所定の増加値ずつ増加するパルスの列を含むパルス信号を前記回路素子の前記入力端に供給し、前記パルス毎に前記パルスの前縁部の時点から所定期間経過した時点での前記カウンタの前記計数値が1であるか否かを判定し、前記計数値が1であると判定された際の前記パルス幅を前記回路素子の測定遅延時間として得る遅延測定処理部と、を有する。
【0014】
また、本発明に係る遅延時間測定装置は、直列に接続されている第1~第r(rは2以上の整数)の回路素子の遅延時間を測定する遅延時間測定装置であって、前記第1の回路素子の入力端で受けた信号と前記第1~第rの前記回路素子の各々から出力された信号とを合成した合成信号を生成する合成部、及び前記合成信号中に表れるパルスの数を計数して計数値を得るカウンタを含む遅延測定補助回路と、時間経過につれてパルス幅が所定の増加値ずつ増加するパルスの列を含むパルス信号を前記回路素子の前記入力端に供給し、前記パルス毎に前記パルスの前縁部の時点から所定期間経過した時点での前記カウンタの計数値が(r-1)であるか否かを判定し、前記計数値が(r-1)であると判定された際の前記パルス幅を最小の遅延時間を表す第1の測定遅延時間とし、引き続き前記パルス毎に前記パルスの前縁部の時点から前記所定期間経過した時点での前記カウンタの計数値が1であるか否かを判定し、前記計数値が1であると判定された際の前記パルス幅を最大の遅延時間を表す第2の測定遅延時間として得る遅延測定処理部と、を有する。
【0015】
本発明に係る半導体装置は、入力端で受けた信号を遅延して出力する回路素子と、遅延測定補助回路と、を有し、前記遅延測定補助回路は、前記回路素子の入力端の信号と前記回路素子から出力された信号とを合成した合成信号を生成する合成部と、前記合成信号中に表れるパルスの数を計数して前記パルスの数を表す計数値を出力するカウンタと、を含み、前記カウンタは、前記計数値をリセットするリセット信号を受けるリセット端子付きの3進カウンタであることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る半導体装置は、直列に接続されている第1~第r(rは2以上の整数)の回路素子と、遅延測定補助回路と、を有し、前記遅延測定補助回路は、前記第1の回路素子の入力端の信号と前記第1~第rの回路素子の各々から出力された信号とを合成した合成信号を生成する合成部と、前記合成信号中に表れるパルスの数を計数して前記パルスの数を表す計数値を出力するカウンタと、を含む。
【0017】
本発明に係る遅延時間の測定方法は、回路素子の遅延時間を測定する遅延時間の測定方法であって、前記回路素子の入力端で受けた信号と前記回路素子から出力された信号とを合成した合成信号を生成し、時間経過につれてパルス幅が所定の増加値ずつ増加するパルスの列を含むパルス信号を前記回路素子の前記入力端に供給し、前記パルス毎に前記パルスの前縁部の時点から所定期間経過するまでの間に前記合成信号中に表れるパルスの数が1であるか否かを判定し、前記パルスの数が1であると判定された際の前記パルス幅を前記回路素子の測定遅延時間として得る。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、遅延時間の測定対象となる回路素子の入力端で受けた信号と、当該回路素子から出力された信号とを合成した合成信号を生成し、時間経過につれてパルス幅が所定の増加値ずつ増加するパルスの列を含むパルス信号を、この回路素子の入力端に供給する。ここで、パルス毎に、パルスの前縁部の時点から所定期間経過するまでの間に上記した合成信号中に表れるパルス数を計数する。そして、パルス数が1となった際の上記パルス幅を回路素子の測定遅延時間として得る。
【0019】
よって、本発明によれば、遅延時間の測定対象となる回路素子が形成されている半導体装置の外部端子から、当該回路素子の入力端(出力端)までの間で生じる遅延分が含まれないので、精度の高い遅延時間測定を行うことが可能となる。
【0020】
また、本発明では、カウンタで計数動作が不可となるような、限界パルス幅よりも狭いパルスを扱うことはない。よって、測定対象回路の遅延時間に対応したパルス幅を有するパルスのパルス幅を段階的に狭めたパルスを順に生成しつつパルスの数をカウンタで計数し、その計数動作が不可となった時点での計数値に基づき遅延時間を測定する装置に比べて、高い精度で遅延時間の測定を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る遅延時間測定装置が含まれるテストシステム100の構成を示すブロック図である。
【
図2】半導体ICチップ200に形成されている遅延測定補助回路10及び測定対象となる回路素子TGの一例を示す回路図である。
【
図3】テスタ300に含まれる遅延測定処理部30が実行する遅延測定処理の手順を表すフローチャートである。
【
図4】
図3に示す遅延測定処理による遅延測定補助回路10の動作を表すタイムチャートである。
【
図5】直列接続されている回路素子TG1及びTG2の遅延時間を測定する場合に採用する遅延測定補助回路10の構成を示す回路図である。
【
図6】直列接続されている回路素子TG1及びTG2の遅延時間を測定する場合にテスタ300が実行する遅延測定処理の一例を表すフローチャートである。
【
図7】
図6に示す遅延測定処理による遅延測定補助回路10の動作を表すタイムチャートである。
【
図8】
図6に示す遅延測定処理による遅延測定補助回路10の動作を表すタイムチャートである。
【
図9】直列接続されているr(rは2以上の整数)個の回路素子TG1~TGrの遅延時間を測定する場合に採用される遅延測定補助回路10の構成を示す回路図である。
【
図10】
図9に示される遅延測定補助回路10の変形例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明に係る遅延時間測定装置を含むテストシステム100の構成を示すブロック図である。テストシステム100は、半導体IC(Integrated Circuit)チップ200と、当該半導体ICチップ200の製品出荷時におけるテストを行うテスタ300と、を含む。
【0024】
半導体ICチップ200には、
図2に示すように、遅延時間の測定対象となる回路素子TGと、本発明に係る遅延時間測定装置に含まれる遅延測定補助回路10と、が形成されている。
【0025】
回路素子TGは、自身の入力端に供給されたパルス信号をその波形を維持したまま遅延して出力する例えば遅延素子である。
【0026】
遅延測定補助回路10は、2入力のオアゲート12と、カウンタ13とを含む。
【0027】
オアゲート12の第1の入力端はノードn1を介して遅延時間の測定対象となる回路素子TGの入力端に接続されており、オアゲート12の第2の入力端はノードn2を介して回路素子TGの出力端に接続されている。
【0028】
オアゲート12は、回路素子TGに入力された2値の入力信号と、回路素子TGから出力された2値の出力信号との論理和を求める。オアゲート12は、当該論理和により、回路素子TGに入力された2値の入力信号と、回路素子TGから出力された2値の出力信号とを合成した合成信号Ctを生成し、これをカウンタ13のクロック端子に供給する。
【0029】
カウンタ13は、合成信号Ct中に表れる論理レベル1の正極性のパルスの数を以下のように計数する。
【0030】
すなわち、カウンタ13は、初期値「0」からパルスの数を計数し、その計数値が「2」に到達したら、次のパルスで計数値を初期値「0」に戻すという計数動作を繰り返す。カウンタ13は、その計数値を表す計数値信号CDを半導体ICチップ200の外部端子Psを介してテスタ300に供給する。尚、計数値信号CDは、一旦、半導体ICチップ200に形成されているレジスタ(図示せず)等に保持されてから、半導体ICチップ200の外部端子Pdを介してテスタ300に供給されても良い。
【0031】
尚、
図2に示す一例では、カウンタ13を遅延測定処理部30などのテスタ300側に設けるのではなく、遅延測定補助回路10内に設けている。これは、オアゲート12からの出力信号を直接出力する場合には、その波形が崩れることで検査に誤りが生じる惧れが大きくなるからである。そこで、遅延測定補助回路10内にカウンタ13を設けることで、当該回路内でカウントデータを生成して出力するため、このような惧れを小さくすることができる。
【0032】
カウンタ13のリセット端子Rは、ノードn3を介して半導体ICチップ200の内部回路(図示せず)が利用するリセット用の外部端子Pdrに接続されている。当該外部端子Pdrはテスタ300と接続されている。カウンタ13は、テスタ300から外部端子Pdrを介して例えば論理レベル0のリセット信号RSTが供給された場合に、上記した計数値をリセット、つまり初期値の「0」に設定する。
【0033】
テスタ300は、各種のテスト信号を半導体ICチップ200に供給して内部回路を動作させ、その動作結果を期待値と比較することにより、当該半導体ICチップ200が良品であるか否かを確認する、いわゆる機能テストを行う。
【0034】
更に、テスタ300は、
図3に示す遅延測定フローに従った手順で、半導体ICチップ200に形成されている遅延測定補助回路10及び回路素子TGを動作させることにより、回路素子TGの遅延時間を測定する遅延測定処理部30を含む。
【0035】
図3において、先ず、遅延測定処理部30は、所定のパルス幅W0を、初期のパルス幅Wとして設定する(ステップS11)。尚、パルス幅W0は、回路素子TGにおける仕様上の遅延時間よりも小である。
【0036】
次に、遅延測定処理部30は、リセット信号RSTを、半導体ICチップ200の外部端子Pdrを介して遅延測定補助回路10のカウンタ13のリセット端子Rに供給する(ステップS12)。これにより、当該カウンタ13の計数値が「0」にリセットされる。
【0037】
次に、遅延測定処理部30は、パルス幅Wを有するパルスDPを含む遅延測定パルス信号を、半導体ICチップ200の外部端子Pdを介して回路素子TGの入力端に供給する(ステップS13)。
【0038】
遅延測定処理部30は、パルスDPの前縁部の時点から所定の測定待機期間Sbだけ待機(ステップS14)してから、カウンタ13から出力された計数値信号CDにて表される計数値が「1」であるか否かを判定する(ステップS15)。尚、測定待機期間Sbは、例えば仕様上において規定されている回路素子TGの遅延時間に所定のマージン期間を加えた期間長を有する。すなわち、測定待機期間Sbは、回路素子TGの仕様上の遅延時間よりも長い。更に、測定待機期間Sbは、遅延測定パルス信号によるパルスDPの周期よりも短い。
【0039】
ステップS15において、計数値信号CDにて表される計数値が「1」ではないと判定された場合、遅延測定処理部30は、パルス幅Wに所定の増加値gを加えたものを新たなパルス幅Wとして設定する(ステップS16)。尚、増加値gは、例えば半導体ICチップ200の仕様上において許容されている回路素子TGの遅延時間の許容誤差値に対応した大きさを有する。
【0040】
ステップS16の実行後、遅延測定処理部30は、ステップS12の実行に戻り、再び前述したステップS12~S15の動作を行う。
【0041】
ここで、ステップS15において、計数値信号CDにて表される計数値が「1」であると判定されると、遅延測定処理部30は、現時点のパルス幅Wを回路素子TGの測定遅延時間とし、この測定遅延時間を表す測定遅延時間信号DTを生成する(ステップS17)。
【0042】
このように、遅延測定処理部30は、ステップS15において計数値信号CDにて表される計数値が「1」であると判定されるまで、ステップS12~S16による一連の測定処理を繰り返し実行する。これにより、遅延測定処理部30は、時間経過に伴いパルスDPのパルス幅が増加値gずつ増加するパルスDPの系列を含む遅延測定パルス信号を回路素子TGの入力端に供給する。尚、パルスDPの列における先頭のパルスDPのパルス幅W0は、回路素子TGにおける仕様上の遅延時間よりも小さい。
【0043】
この間、遅延測定処理部30は、パルスDP毎に、このパルスDPの前縁部から測定待機期間Sbが経過するまでの間にカウンタ13で計数されたパルス数(CD)を取り込み、このパルス数が「1」となった際のパルス幅Wを回路素子TGの測定遅延時間とする。
【0044】
以下に、テスタ300が
図3に示す遅延測定処理を遅延測定補助回路10及び回路素子TGに施した際における遅延測定補助回路10の動作を、
図4に示されるタイムチャートに沿って詳細に説明する。
[測定処理ds1]
遅延測定処理部30は、ステップS12~S16による第1巡目の測定処理ds1では、先ず、論理レベル0のリセット信号RSTを遅延測定補助回路10のカウンタ13のリセット端子Rに供給することにより、カウンタ13の計数値を「0」にリセットする(S12)。次に、遅延測定処理部30は、
図4に示すようにパルス幅W0を有するパルスDPを回路素子TGの入力端に供給する(S13)。これにより、ノードn1を介して当該パルスDPを含むパルス信号が遅延測定補助回路10のオアゲート12に供給される。すると、オアゲート12は、このパルス幅W0を有するパルスDPを含む合成信号Ctを、カウンタ13のクロック端子に供給する。これにより、カウンタ13は、
図4に示すように、合成信号CtにおけるパルスDPの立ち上がりエッジ部のタイミングで、計数値信号CDにて表される計数値を「0」から「1」にカウントアップする。
【0045】
ここで、回路素子TGは、上記したパルス幅W0を有するパルスDPを遅延時間DLYだけ遅延させたパルスDPdを出力する。当該パルスDPdは、ノードn2を介してオアゲート12に供給される。この際、パルスDPのパルス幅W0は、回路素子TGの遅延時間DLYよりも小さい。よって、オアゲート12は、上記したような1つ目のパルスDPに対応したパルスに続いて、2つ目のパルスDPdに対応したパルスが表れる合成信号Ctを、カウンタ13のクロック端子に供給する。これにより、カウンタ13は、
図4に示すように、合成信号CtにおけるパルスDPdに対応したパルスの立ち上がりエッジ部のタイミングで、計数値信号CDにて表される計数値を「1」から「2」にカウントアップする。
【0046】
遅延測定処理部30は、パルス幅W0を有するパルスDPの立ち上がりエッジ部の時点から測定待機期間Sbだけ待機(S14)した後に、カウンタ13から出力された計数値信号CDを取り込み、その計数値が「1」であるか否かを判定する(S15)。この際、
図4に示すように、測定処理ds1では、計数値信号CDによって表される計数値は「2」である。よって、遅延測定処理部30は、現在のパルス幅W0に増加値gを加えたものを新たなパルス幅(W0+g)として設定し(S16)、引き続き、第2巡目の測定処理ds2を実行する。
[測定処理ds2]
測定処理ds2では、遅延測定処理部30は、
図4に示すように、先ず、論理レベル0のリセット信号RSTをカウンタ13のリセット端子Rに供給することにより、当該カウンタ13の計数値を「0」にリセットする(S12)。次に、遅延測定処理部30は、
図4に示すようにパルス幅(W0+g)を有するパルスDPを回路素子TGの入力端に供給する(S13)。これにより、ノードn1を介して当該パルスDPを含む信号がオアゲート12に供給される。すると、オアゲート12は、このパルス幅(W0+g)を有するパルスDPに対応したパルスを含む合成信号Ctを、カウンタ13のクロック端子に供給する。これにより、カウンタ13は、
図4に示すように、合成信号CtにおけるパルスDPに対応したパルスの立ち上がりエッジ部のタイミングで、計数値信号CDにて表される計数値を「0」から「1」にカウントアップする。
【0047】
ここで、回路素子TGは、上記したパルス幅(W0+g)を有するパルスDPを遅延時間DLYだけ遅延させたパルスDPdを出力する。当該パルスDPdは、ノードn2を介してオアゲート12に供給される。この際、パルスDPのパルス幅(W0+g)は、
図4に示すように回路素子TGの遅延時間DLYよりも小さい。よって、オアゲート12は、1つ目のパルスDPに対応したパルスに引き続き、2つ目のパルスDPdに対応したパルスが表れる合成信号Ctを、カウンタ13のクロック端子に供給する。これにより、カウンタ13は、
図4に示すように、合成信号CtにおけるパルスDPdに対応したパルスの立ち上がりエッジ部のタイミングで、計数値信号CDにて表される計数値を「1」から「2」にカウントアップする。
【0048】
遅延測定処理部30は、パルス幅(W0+g)を有するパルスDPの立ち上がりエッジ部の時点から測定待機期間Sbの経過後に(S14)、カウンタ13から出力された計数値信号CDにて示される計数値が「1」であるか否かを判定する(S15)。この際、
図4に示すように、測定処理ds2では、計数値信号CDにて示される計数値は「2」である。よって、遅延測定処理部30は、現在のパルス幅(W0+g)に増加値gを加えたものを新たなパルス幅(W0+2g)として設定し(S16)、引き続き、第3巡目の測定処理ds3を実行する。
[測定処理ds3]
測定処理ds3においても、測定処理ds2と同様に遅延測定処理部30は、論理レベル0のリセット信号RSTにより、一旦、カウンタ13の計数値を「0」にリセットする(S12)。そして、パルス幅(W0+2g)を有するパルスDPを回路素子TGの入力端に供給し(S13)、測定待機期間Sbだけ待機(S14)した後に、遅延測定処理部30は、カウンタ13の計数値が「1」であるか否かを判定する(S15)。尚、測定処理ds3では、
図4に示すようにパルスDPのパルス幅(W0+2g)は、回路素子TGの遅延時間DLYよりも小さい。よって、測定処理ds3においても、測定処理ds2と同様に、1つ目のパルスDPに対応したパルスに続き2つ目のパルスDPdに対応したパルスが表れる合成信号Ctが、カウンタ13のクロック端子に供給される。
【0049】
従って、測定処理ds3でもカウンタ13の計数値は「2」となるので、遅延測定処理部30は、現在のパルス幅(W0+2g)に増加値gを加えたものを新たなパルス幅(W0+3g)として設定し(S16)、引き続き、第4巡目の測定処理ds4を実行する。
[測定処理ds4]
測定処理ds4においても、測定処理ds3と同様に遅延測定処理部30は、先ず、論理レベル0のリセット信号RSTによってカウンタ13の計数値を「0」にリセットする(S12)。そして、パルス幅(W0+3g)を有するパルスDPを回路素子TGの入力端に供給(S13)し、測定待機期間Sbだけ待機(S14)した後に、遅延測定処理部30は、カウンタ13の計数値が「1」であるか否かを判定する(S15)。
【0050】
尚、測定処理ds4では、
図4に示すようにパルスDPのパルス幅(W0+3g)は、回路素子TGの遅延時間DLYと等しい。よって、測定処理ds4では、
図4に示すように、パルスDPを含むノードn1の信号と、パルスDPdを含むノードn2の信号との論理和を表す合成信号Ctには、論理レベル1を有する単一のパルスだけが表れることになる。これにより、測定処理ds4では、カウンタ13の計数値は「1」となるので、遅延測定処理部30は、現時点のパルス幅(W0+3g)を回路素子TGの遅延時間DLYとして表す測定遅延時間信号DTを生成する(S17)。つまり、回路素子TGの遅延時間DLYが(W0+3g)であると測定されるのである。
【0051】
以上のように、上記した実施例では、半導体ICチップ200に形成されている回路素子TGの遅延時間を測定する為に、当該半導体ICチップ200内に遅延測定補助回路10を設けている。
【0052】
遅延測定補助回路10は、遅延測定の対象となる回路素子の入力端で受けた信号とこの回路素子から出力された信号とを合成した合成信号Ctを生成する合成部としてのオアゲート12と、この合成信号中に表れるパルスの数を計数して計数値を得るカウンタ13を含む。
【0053】
更に、本発明では、テスタ300に含まれる遅延測定処理部30が、先ず、時間経過につれてパルス幅が増加値gずつ増加するパルスDPの列を含むパルス信号を、遅延測定の対象となる回路素子TGの入力端に供給する。
【0054】
ここで、パルスDPのパルス幅が回路素子TGの遅延時間よりも小さい場合には、合成信号Ct中には、当該パルスDPに対応した第1のパルスに続き、回路素子TGによって遅延して出力されたパルスDPdに対応した第2のパルスが表れる。よって、この際、合成信号Ct中に表れるパルスの数は「2」となる。
【0055】
一方、パルスDPのパルス幅が回路素子TGの遅延時間以上となる場合には、合成信号Ct中において、パルスDPに対応したパルスと、回路素子TGにて遅延して出力されたパルスDPdに対応したパルスとが互いに重なる。よって、この際、合成信号Ct中に表れるパルスの数は「1」となる。
【0056】
つまり、上記したようなパルス信号を回路素子TGに供給すると、パルスDP毎に、そのパルスの前縁部の時点から所定期間(Sb)経過するまでの間に合成信号中に表れるパルスの数が「1」となる際のパルス幅(W)が、回路素子TGの遅延時間と等しくなる。
【0057】
そこで、遅延測定処理部30は、先ず、時間経過につれてパルス幅Wが増加値gずつ増加するパルスDPの系列を含むパルス信号を回路素子TGに供給する(S13)。ここで、遅延測定処理部30は、パルスDP毎に、そのパルスの前縁部から所定期間(Sb)経過(S14)した時点でのカウンタ13の計数値が「1」であるか否かを判定する(S15)。この際、遅延測定処理部30は、カウンタ13の計数値が「1」であると判定された際のパルス幅Wを回路素子TGの測定遅延時間とする(S17)。
【0058】
よって、遅延測定補助回路10を用いた遅延時間測定によれば、測定された遅延時間情報には、半導体ICチップ200の外部端子から回路素子TGの入力端及び出力端の間で生じる遅延分が含まれないので、高い精度で遅延時間の測定が可能となる。
【0059】
また、遅延測定補助回路10では、カウンタ13のクロック端子に、当該カウンタ13で計数動作が可能な最低限のパルス幅よりも狭いパルスを含むパルス信号が入力されることはない。尚、この限界パルス幅は、製造上のバラツキ或いは環境温度等に伴い変動するので、当該限界パルス幅付近のパルス幅を有するパルス信号がカウンタのクロック端子に供給された場合には、このカウンタが計数動作を行うか否かは不明となる。
【0060】
よって、測定対象回路の遅延時間に対応したパルス幅を有するパルスのパルス幅を段階的に狭めたパルスを順次生成しつつそのパルスの数をカウンタで計数し、当該カウンタで計数動作が不可となった時点でのパルスの計数値に基づき、遅延時間を求める装置に比べて、高い精度で遅延時間の測定を行うことが可能となる。
【0061】
尚、上記した実施例では、単一の回路素子TGの遅延時間を測定する場合を例にとって、テスタ300及び遅延測定補助回路10による遅延時間の測定動作を説明したが、遅延時間の測定対象とする回路素子の数は1つに限定されない。
【0062】
図5は、直列に接続されている2個の回路素子TG1及びTG2の遅延時間を測定する際に設ける遅延測定補助回路10の構成を示す回路図である。
【0063】
図5に示される遅延測定補助回路10は、3入力のオアゲート22と、カウンタ23とを含む。
【0064】
オアゲート22の第1の入力端はノードn0を介して回路素子TG1の入力端に接続されている。また、オアゲート22の第2の入力端はノードn1を介して回路素子TG1の出力端及び回路素子TG2の入力端に接続されており、オアゲート22の第3の入力端はノードn2を介して回路素子TG2の出力端に接続されている。
【0065】
オアゲート22は、ノードn0を介して入力された2値の信号(論理レベル0又は1)と、ノードn1を介して入力された2値の信号と、ノードn2を介して入力された2値の信号との論理和を求める。オアゲート22は、当該論理和により、回路素子TG1に入力された2値の入力信号と、回路素子TG1及びTG2各々から出力された2値の出力信号とを合成した合成信号Ctを生成し、これをカウンタ23のクロック端子に供給する。
【0066】
カウンタ23は、合成信号Ct中に表れる論理レベル1の正極性のパルスの数を以下のように計数する。
【0067】
すなわち、カウンタ23は、初期値「0」からパルスの数を計数し、その計数値が「3」に到達したら、次のパルスで計数値を初期値「0」に戻すという計数動作を繰り返す。カウンタ23は、その計数値を表す計数値信号CDを半導体ICチップ200の外部端子Psを介してテスタ300に供給する。尚、計数値信号CDは、一旦、半導体ICチップ200に形成されているレジスタ(図示せず)等に保持されてから、半導体ICチップ200の外部端子Pdを介してテスタ300に供給されても良い。
【0068】
カウンタ23のリセット端子Rは、ノードn3を介して半導体ICチップ200の内部回路(図示せず)が利用するリセット用の外部端子Pdrに接続されている。当該外部端子Pdrはテスタ300と接続されている。カウンタ23は、テスタ300から外部端子Pdrを介して例えば論理レベル0のリセット信号RSTが供給された場合に、上記した計数値をリセット、つまり初期値の「0」に設定する。
【0069】
図6は、回路素子TG1及びTG2の遅延時間を測定する為に、テスタ300に含まれる遅延測定処理部30が、
図5に示す遅延測定補助回路10、回路素子TG1及びTG2を含む半導体ICチップ200に施す遅延測定処理を表すフローチャートである。
【0070】
図6において、先ず、遅延測定処理部30は、所定のパルス幅W0を、初期のパルス幅Wとして設定する(ステップS11)。
【0071】
次に、遅延測定処理部30は、リセット信号RSTを、半導体ICチップ200の外部端子Pdrを介して遅延測定補助回路10のカウンタ23のリセット端子Rに供給する(ステップS12)。これにより、当該カウンタ23の計数値が「0」にリセットされる。
【0072】
次に、遅延測定処理部30は、パルス幅Wを有するパルスDPを含む遅延測定パルス信号を、半導体ICチップ200の外部端子Pdを介して回路素子TG1の入力端に供給する(ステップS13)。
【0073】
遅延測定処理部30は、パルスDPの前縁部の時点から所定の測定待機期間Scだけ待機(ステップS14)してから、カウンタ23から出力された計数値信号CDにて表される計数値が「2」であるか否かを判定する(ステップS15a)。尚、測定待機期間Scは、例えば仕様上において規定されている回路素子TG1の遅延時間と回路素子TG2の遅延時間とを加算した時間に、所定のマージン期間を加えた期間長を有する。すなわち、測定待機期間Scは、回路素子TG1の仕様上の遅延時間と、回路素子TG2の仕様上の遅延時間とを加算した時間よりも長い。更に、測定待機期間Scは、遅延測定パルス信号によるパルスDPの周期よりも短い。
【0074】
ステップS15aにおいて、計数値信号CDにて表される計数値が「2」ではないと判定された場合、遅延測定処理部30は、パルス幅Wに、所定の増加値gを加えたものを新たなパルス幅Wとして設定する(ステップS16)。
【0075】
ステップS16の実行後、遅延測定処理部30は、ステップS12の実行に戻り、再び前述したステップS12~S14及びS15aの動作を行う。
【0076】
ここで、ステップS15aにおいて計数値信号CDで表される計数値が「2」であると判定されると、遅延測定処理部30は、現時点のパルス幅Wを、回路素子TG1及びTG2のうちで遅延時間が小さい方の測定遅延時間とし、これを表す測定遅延時間信号DT1を生成する(ステップS17a)。
【0077】
ステップS17aの実行後、遅延測定処理部30は、パルス幅Wに増加値gを加えたものを新たなパルス幅Wとして設定する(ステップS21)。
【0078】
次に、遅延測定処理部30は、リセット信号RSTを、半導体ICチップ200の外部端子Pdrを介して遅延測定補助回路10のカウンタ23のリセット端子Rに供給する(ステップS22)。これにより、当該カウンタ23の計数値が「0」にリセットされる。
【0079】
次に、遅延測定処理部30は、パルス幅Wを有するパルスDPを含む遅延測定パルス信号を、半導体ICチップ200の外部端子Pdを介して回路素子TG1の入力端に供給する(ステップS23)。
【0080】
遅延測定処理部30は、パルスDPの前縁部の時点から所定の測定待機期間Scだけ待機(ステップS24)してから、カウンタ23から出力された計数値信号CDにて表される計数値が「1」であるか否かを判定する(ステップS25)。
【0081】
ステップS25において、計数値信号CDにて表される計数値が「1」ではないと判定された場合、遅延測定処理部30は、上記したステップS21の実行に戻り、前述したステップS21~S25の動作を再び実行する。
【0082】
一方、ステップS25において、計数値信号CDで表される計数値が「1」であると判定されると、遅延測定処理部30は、現時点のパルス幅Wを、回路素子TG1及びTG2のうちで遅延時間が大きい方の測定遅延時間とし、これを表す測定遅延時間信号DT2を生成する(ステップS26)。
【0083】
このように、遅延測定処理部30は、先ず、ステップS15aにおいて計数値信号CDにて表される計数値が「2」であると判定されるまで、ステップS12~S16による一連の測定処理を繰り返し実行する。
【0084】
これにより、遅延測定処理部30は、時間経過に伴いパルスDPのパルス幅が増加値gずつ増加するパルスDPの列を含む遅延測定パルス信号を回路素子TG1の入力端に供給する。尚、パルスDPの列における先頭のパルスDPのパルス幅W0は、回路素子TG1及びTG2の仕様上の遅延時間よりも小さい。
【0085】
この間、遅延測定処理部30は、パルスDP毎に、このパルスDPの前縁部から測定待機期間Scが経過した時点でのカウンタ23の計数値(CD)が「2」であるか否かを判定する。ここで、遅延測定処理部30は、カウンタ23の計数値が「2」であると判定された際のパルス幅Wを、回路素子TG1及びTG2のうちで遅延時間が小さい方の遅延時間を表す測定時間(DT1)とする。
【0086】
そして、引き続き、遅延測定処理部30は、ステップS25において計数値信号CDにて表される計数値が「1」であると判定されるまで、ステップS21~S25による一連の測定処理を繰り返し実行する。
【0087】
これにより、遅延測定処理部30は、引き続き時間経過に伴いパルスDPのパルス幅が増加値gずつ増加するパルスDPの列を含む遅延測定パルス信号を回路素子TG1の入力端に供給する。
【0088】
この間、遅延測定処理部30は、パルスDP毎に、このパルスDPの前縁部から測定待機期間Scが経過した時点でのカウンタ23の計数値(CD)が「1」であるか否かを判定する。ここで、遅延測定処理部30は、カウンタ23の計数値が「1」であると判定された際のパルス幅Wを、回路素子TG1及びTG2のうちで遅延時間が大きい方の遅延時間を表す測定時間(DT2)とする。
【0089】
すなわち、
図6に示す遅延測定処理を、
図5に示す遅延測定補助回路10、回路素子TG1及びTG2に施すことにより、当該回路素子TG1及びTG2のうちで遅延時間が小さい方の遅延時間(DT1)と遅延時間が大きい方の遅延時間(DT2)が測定される。
【0090】
以下に、
図6に示す遅延測定処理によって回路素子TG1及びTG2各々の遅延時間を測定する動作の一例を、
図7及び
図8に示されるタイムチャートに沿って説明する。
[測定処理ds1]
遅延測定処理部30は、ステップS12~S16による第1巡目の測定処理ds1では、先ず、論理レベル0のリセット信号RSTを遅延測定補助回路10のカウンタ23のリセット端子Rに供給することにより、カウンタ23の計数値を「0」にリセットする(S12)。次に、遅延測定処理部30は、
図7に示すようにパルス幅W0を有するパルスDPを回路素子TG1の入力端に供給する(S13)。これにより、ノードn0を介して当該パルスDPを含む信号が遅延測定補助回路10のオアゲート22に供給される。すると、オアゲート22は、このパルス幅W0を有するパルスDPに対応したパルスを含む合成信号Ctを、カウンタ23のクロック端子に供給する。これにより、カウンタ23は、
図7に示すように、合成信号CtにおけるパルスDPに対応したパルスの立ち上がりエッジ部のタイミングで、計数値信号CDにて表される計数値を「0」から「1」にカウントアップする。
【0091】
ここで、回路素子TG1は、上記したパルス幅W0を有するパルスDPを受けると、これを
図7に示すように遅延時間DLY1だけ遅延させたパルスDPd1を出力する。当該パルスDPd1は、ノードn1を介してオアゲート22に供給される。この際、パルスDPのパルス幅W0は、回路素子TG1の遅延時間DLY1よりも小さい。よって、オアゲート22は、上記したような1つ目のパルスDPに対応したパルスに続いて、2つ目のパルスDPd1に対応したパルスが表れる合成信号Ctを、カウンタ23のクロック端子に供給する。これにより、カウンタ23は、
図7に示すように、合成信号CtにおけるパルスDPd1に対応したパルスの立ち上がりエッジ部のタイミングで、計数値信号CDにて表される計数値を「1」から「2」にカウントアップする。
【0092】
回路素子TG2は、パルス幅W0を有するパルスDPd1を受けると、これを
図7に示すように遅延時間DLY2だけ遅延させたパルスDPd2を出力する。当該パルスDPd2は、ノードn2を介してオアゲート22に供給される。この際、パルスDPd1のパルス幅W0は、回路素子TG2の遅延時間DLY2よりも小さい。よって、オアゲート22は、上記したような2つ目のパルスDPd1に対応したパルスに続いて、3つ目のパルスDPd2に対応したパルスが表れる合成信号Ctを、カウンタ23のクロック端子に供給する。これにより、カウンタ23は、
図7に示すように、合成信号CtにおけるパルスDPd2に対応したパルスの立ち上がりエッジ部のタイミングで、計数値信号CDにて表される計数値を「2」から「3」にカウントアップする。
【0093】
遅延測定処理部30は、パルスDPの立ち上がりエッジ部の時点から測定待機期間Scだけ待機(S14)してから、カウンタ23から出力された計数値信号CDを取り込み、その計数値が「2」であるか否かを判定する(S15a)。この際、
図7に示すように、第1巡目の測定処理ds1では、計数値信号CDによって表される計数値は「3」である。よって、遅延測定処理部30は、現在のパルス幅W0に増加値gを加えたものを新たなパルス幅(W0+g)として設定し(S16)、引き続き、第2巡目の測定処理ds2を実行する。
[測定処理ds2]
測定処理ds2では、遅延測定処理部30は、
図7に示すように、先ず、論理レベル0のリセット信号RSTをカウンタ23のリセット端子Rに供給することにより、当該カウンタ23の計数値を「0」にリセットする(S12)。次に、遅延測定処理部30は、
図7に示すようにパルス幅(W0+g)を有するパルスDPを回路素子TG1の入力端に供給する(S13)。これにより、ノードn0を介して当該パルスDPを含む信号がオアゲート22に供給される。すると、オアゲート22は、このパルス幅(W0+g)を有するパルスDPを含む合成信号Ctを、カウンタ23のクロック端子に供給する。これにより、カウンタ23は、
図7に示すように、合成信号CtにおけるパルスDPに対応したパルスの立ち上がりエッジ部のタイミングで、計数値信号CDにて表される計数値を「0」から「1」にカウントアップする。
【0094】
ここで、回路素子TG1は、上記したパルス幅(W0+g)を有するパルスDPを遅延時間DLY1だけ遅延させたパルスDPd1を出力する。当該パルスDPd1は、ノードn1を介してオアゲート22に供給される。この際、パルスDPのパルス幅(W0+g)は、
図7に示すように回路素子TG1の遅延時間DLY1よりも小さい。よって、オアゲート22は、1つ目のパルスDPに対応したパルスに引き続き、2つ目のパルスDPd1に対応したパルスが表れる合成信号Ctを、カウンタ23のクロック端子に供給する。これにより、カウンタ23は、
図7に示すように、合成信号CtにおけるパルスDPd1に対応したパルスの立ち上がりエッジ部のタイミングで、計数値信号CDにて表される計数値を「1」から「2」にカウントアップする。
【0095】
回路素子TG2は、パルス幅(W0+g)を有するパルスDPd1を受けると、これを
図7に示すように遅延時間DLY2だけ遅延させたパルスDPd2を出力する。当該パルスDPd2は、ノードn2を介してオアゲート22に供給される。この際、パルスDPd1のパルス幅(W0+g)は、回路素子TG2の遅延時間DLY2よりも小さい。よって、オアゲート22は、上記したような2つ目のパルスDPd1に対応したパルスに続いて、3つ目のパルスDPd2に対応したパルスが表れる合成信号Ctを、カウンタ23のクロック端子に供給する。これにより、カウンタ23は、
図7に示すように、合成信号CtにおけるパルスDPd2に対応したパルスの立ち上がりエッジ部のタイミングで、計数値信号CDにて表される計数値を「2」から「3」にカウントアップする。
【0096】
遅延測定処理部30は、パルス幅(W0+g)を有するパルスDPの立ち上がりエッジ部の時点から測定待機期間Scだけ待機(S14)した後に、カウンタ23から出力された計数値信号CDにて示される計数値が「2」であるか否かを判定する(S15a)。この際、
図7に示すように、測定処理ds2では、計数値信号CDにて示される計数値は「3」である。よって、遅延測定処理部30は、現在のパルス幅(W0+g)に増加値gを加えたものを新たなパルス幅(W0+2g)として設定し(S16)、引き続き、第3巡目の測定処理ds3(図示せず)を実行する。
[測定処理ds3]
測定処理ds3においても、測定処理ds2と同様に遅延測定処理部30は、カウンタ23の計数値を「0」にリセットする(S12)。そして、パルス幅(W0+2g)を有するパルスDPを回路素子TG1入力端に供給(S13)し、測定待機期間Scだけ待機(S14)した後に、遅延測定処理部30は、カウンタ23の計数値が「1」であるか否かを判定する(S15)。尚、測定処理ds3では、パルスDPのパルス幅(W0+2g)は、回路素子TG1の遅延時間DLY1よりも小さく、パルスDPのパルス幅(W0+2g)は、回路素子TG2の遅延時間DLY2よりも小さい。
【0097】
よって、測定処理ds3においても、測定処理ds2と同様に、パルスDP、DPd1、及びDPd2に夫々対応した3つのパルスが順に表れる合成信号Ctが、カウンタ23のクロック端子に供給される。
【0098】
従って、測定処理ds3でもカウンタ23の計数値は「3」となるので、遅延測定処理部30は、現在のパルス幅(W0+2g)に増加値gを加えたものを新たなパルス幅(W0+3g)として設定し(S16)、引き続き、第4巡目の測定処理ds4を実行する。
[測定処理ds4]
測定処理ds4では、遅延測定処理部30は、
図8に示すように、論理レベル0のリセット信号RSTによってカウンタ23の計数値を「0」にリセットする(S12)。そして、パルス幅(W0+3g)を有するパルスDPを回路素子TG1の入力端に供給(S13)し、測定待機期間Scだけ待機(S14)した後に、遅延測定処理部30は、カウンタ23の計数値が「2」であるか否かを判定する(S15a)。
【0099】
ここで、測定処理ds4では、
図8に示すように、パルスDPのパルス幅(W0+3g)は、回路素子TG1の遅延時間DLY1より小さいが、パルスDPd1のパルス幅(W0+3g)は、回路素子TG2の遅延時間DLY2と等しい。
【0100】
よって、測定処理ds4では、
図8に示すように、ノードn0、n1及びn2各々の信号の論理和を表す合成信号Ctには、パルスDPに対応したパルスと、パルスDPd1及びDPd2に対応した単一のパルスと、が表れることになる。
【0101】
これにより、カウンタ23の計数値は「2」となるので、遅延測定処理部30は、現時点のパルス幅(W0+3g)を、回路素子TG1及びTG2のうちで遅延時間が小さい方の測定遅延時間とし、これを表す測定遅延時間信号DT1を生成する(S17a)。引き続き、遅延測定処理部30は、第5巡目の測定処理ds5を実行する。
[測定処理ds5]
測定処理ds5では、遅延測定処理部30は、現在のパルス幅(W0+3g)に増加値gを加えたものを新たなパルス幅(W0+4g)として設定する(S21)。次に、遅延測定処理部30は、
図8に示すように、論理レベル0のリセット信号RSTによってカウンタ23の計数値を「0」にリセットする(S22)。そして、遅延測定処理部30は、
図8に示すようにパルス幅(W0+4g)を有するパルスDPを回路素子TG1の入力端に供給(S23)し、測定待機期間Scだけ待機(S24)した後に、カウンタ23の計数値が「1」であるか否かを判定する(S25)。
【0102】
ここで、測定処理ds5では、
図8に示すように、パルスDPのパルス幅(W0+4g)は回路素子TG1の遅延時間DLY1と等しく、パルスDPd1のパルス幅(W0+4g)は、回路素子TG2の遅延時間DLY2よりも大きい。
【0103】
よって、測定処理ds5では、
図8に示すように、ノードn0、n1及びn2各々の信号の論理和を表す合成信号Ctには、パルスDP、DPd1及びDPd2が重なった単一のパルスだけが表れることになる。従って、カウンタ23の計数値は「1」となるので、遅延測定処理部30は、現時点のパルス幅(W0+4g)を、回路素子TG1及びTG2のうちで遅延時間が大きい方の測定遅延時間とし、これを表す測定遅延時間信号DT2を生成する(S26)。
【0104】
このように、直列に接続されている回路素子TG1及びTG2の遅延時間を測定する場合には、
図5に示す回路構成の遅延測定補助回路10を採用し、
図6に示される遅延測定処理を施す。
【0105】
これにより、回路素子TG1及びTG2のうちで遅延時間が小さい方の測定遅延時間として(W0+3g)が測定され、遅延時間が大きい方の測定遅延時間として(W0+4g)が測定される。よって、かかる遅延時間測定によれば、各回路素子の遅延時間が仕様上の規定範囲内にあるか否かを判定することが可能となる。
【0106】
尚、
図5に示す構成では、3入力のオアゲート22と、カウンタ23とを含む遅延測定補助回路10により2つの回路素子TG1及びTG2の遅延時間を測定している。よって、2つの回路素子TG1及びTG2の遅延時間を測定する為に、
図2に示す2入力のオアゲート12とカウンタ13とを含む遅延測定補助回路10を2系統分設ける場合に比して、回路規模を縮小化することができる。
【0107】
また、
図5に示す実施例では、直列に接続されている2個の回路素子TG1及びTG2各々の遅延時間を測定する場合に設ける遅延測定補助回路10の構成を示しているが、遅延時間の測定対象となる回路素子の直列段数は2段に限定されない。
【0108】
例えば、直列に接続されているr(rは2以上の整数)個の回路素子TG1~TGrの遅延時間を測定する場合には、
図9に示すような遅延測定補助回路10を半導体ICチップ200に形成すれば良い。
【0109】
図9に示す遅延測定補助回路10は、(r+1)入力のオアゲート102と、カウンタ103と、を含む。
【0110】
オアゲート102は、回路素子TG1の入力端の信号及び回路素子TG2~TGr各々の出力端の信号を、ノードn0~ノードnrを介して受ける。オアゲート102は、これら回路素子TG1の入力端の信号、及び回路素子TG2~TGr各々の出力端の信号の論理和を表す合成信号Ctを、カウンタ103のクロック端子に供給する。
【0111】
カウンタ103は、合成信号Ct中に表れる論理レベル1の正極性のパルスの数を以下のように計数する。
【0112】
すなわち、カウンタ103は、初期値「0」からパルスの数を計数し、その計数値が「r+1」に到達したら、次のパルスで計数値を初期値「0」に戻すという計数動作を繰り返す。カウンタ103は、その計数値を表す計数値信号CDを、半導体ICチップの外部端子Pdを介して外部出力する。また、カウンタ103は、半導体ICチップの外部端子Pdrに論理レベル0のリセット信号RSTを受けた場合に、上記した計数値をリセット、つまり初期値の「0」に設定する。
【0113】
要するに、直列に接続されている第1~第r(rは2以上の整数)の回路素子の遅延時間を測定する遅延時間測定装置としては、以下の遅延測定補助回路及び遅延測定処理部を含むものであれば良い。
【0114】
つまり、遅延測定補助回路(10)は、第1の回路素子(TG1)の入力端で受けた信号と第1~第rの回路素子(TG1~TGr)の各々から出力された信号とを合成した合成信号(Ct)を生成する合成部(102)と、合成信号中に表れるパルスの数を計数して係数値を得るカウンタ(103)と、を含む。
【0115】
遅延測定処理部(30)は、先ず、時間経過につれてパルス幅(W)が所定の増加値(g)ずつ増加するパルス(DP)の列を含むパルス信号を回路素子の入力端に供給する。ここで、遅延測定処理部は、パルス毎に、そのパルスの前縁部の時点から所定期間(Sc)経過した時点での上記カウンタの計数値が(r-1)であるか否かを判定し、(r-1)であると判定された際のパルス幅(W)を最小の遅延時間を表す第1の測定遅延時間(DT1)として得る。つまり、第1~第rの回路素子(TG1~TGr)各々の遅延時間のうちで最小の遅延時間が測定される。
【0116】
そして、引き続き遅延測定処理部(30)は、パルス毎に、そのパルスの前縁部の時点から所定期間(Sc)経過した時点でのカウンタの計数値が「1」であるか否かを判定し、「1」であると判定された際のパルス幅(W)を最大の遅延時間を表す第2の測定遅延時間(DT2)として得る。つまり、第1~第rの回路素子(TG1~TGr)各々の遅延時間のうちで最大の遅延時間が測定される。
【0117】
尚、
図9に示す回路素子TG1~TGrのうちから、遅延時間の測定対象とする回路素子TGを任意に指定できるような構成を採用しても良い。
【0118】
図10は、かかる点に鑑みて為された、
図9に示す構成の変形例を示す回路図である。
【0119】
図10に示す構成では、遅延測定補助回路10として、スイッチSW0~SWrを新たに追加した点を除く他の構成、つまりオアゲート102及びカウンタ103については、
図9に示すものと同一である。スイッチSW0~SWrは、夫々が独立してオン状態及びオフ状態のうちの一方の状態に設定される、例えばMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のトランジスタからなる。
【0120】
スイッチSW0は、オン状態時に、回路素子TG1の入力端とオアゲート102の第1の入力端とを接続する。スイッチSWk(kは1~rの整数)は、オン状態時に、回路素子TGkの出力端と、オアゲート102の第kの入力端とを接続する。
【0121】
ここで、例えば回路素子TG1~TGrのうちでTG2のみを遅延時間の測定対象として指定する場合には、スイッチSW0~SWrのうちのSW1及びSW2のみをオン状態に設定し、他のスイッチSW0及びSW3~SWrを全てオフ状態に設定する。
【0122】
尚、上記実施例では、入力された信号を遅延して出力する遅延素子を測定対象としているが、入力された信号のパルス幅を維持したまま出力する回路素子であれば、信号遅延を目的としない回路素子、或いは複数の回路素子からなる回路ブロックを測定対象としても良い。
【0123】
また、上記実施例では、パルスDPが論理レベル1の正極性パルスであることから、回路素子(TG、TG1)に入力される信号と出力された信号とを合成する合成部として、オアゲート(12、22、102)を採用している。しかしながら、パルスDPが論理レベル0の負極性パルスである場合には、この合成部として、各入力の論理積結果を合成信号Ctとして生成するアンドゲートを採用しても良い。
【符号の説明】
【0124】
10 遅延測定補助回路
12、22、102 オアゲート
13、23、103 カウンタ
30 遅延測定処理部
100 テストシステム
200 半導体 ICチップ
300 テスタ