(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-05
(45)【発行日】2022-04-13
(54)【発明の名称】応力発光計測装置及び応力発光計測方法
(51)【国際特許分類】
G01L 1/00 20060101AFI20220406BHJP
G01L 1/24 20060101ALI20220406BHJP
G01N 21/70 20060101ALI20220406BHJP
G01N 21/63 20060101ALI20220406BHJP
G01B 11/16 20060101ALI20220406BHJP
【FI】
G01L1/00 B
G01L1/00 E
G01L1/00 G
G01L1/24 Z
G01N21/70
G01N21/63 Z
G01B11/16 H
(21)【出願番号】P 2021524856
(86)(22)【出願日】2020-06-02
(86)【国際出願番号】 JP2020021758
(87)【国際公開番号】W WO2020246462
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2021-11-29
(31)【優先権主張番号】P 2019106376
(32)【優先日】2019-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徐 超男
(72)【発明者】
【氏名】津田 智哉
【審査官】森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特許第6654159(JP,B2)
【文献】特許第6594366(JP,B2)
【文献】特許第6470863(JP,B1)
【文献】特許第6470864(JP,B1)
【文献】特許第6499363(JP,B1)
【文献】特許第6938335(JP,B2)
【文献】特許第3314083(JP,B1)
【文献】特許第5007971(JP,B2)
【文献】特許第5234546(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/00
G01L 1/24
G01B 11/16
G01N 21/63
G01N 21/70
本件特許出願に対応する国際特許出願PCT/JP2020/021758の調査結果が利用された。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
応力発光体が発する光を
連続的に複数回検知するように構成された検知装置と、
前記検知装置により検知された前記応力発光体の発光の分布を示す画像を表示するように構成された表示装置と、
前記応力発光体に力が加えられたときの前記応力発光体の発光パターンに基づいて、前記応力発光体に力が加えられたときの前記応力発光体のひずみを算出するように構成された処理装置とを備え、
前記表示装置は、前記画像上の特定領域における前記応力発光体の輝度及びひずみの少なくとも一方の推移を前記画像とともに表示するように構成される、応力発光計測装置。
【請求項2】
前記表示装置は、前記画像上においてユーザが前記特定領域を指定可能に構成される、請求項1に記載の応力発光計測装置。
【請求項3】
前記処理装置は、前記特定領域における前記輝度の平均値、及び前記特定領域における前記ひずみの平均値の少なくとも一方を算出するように構成され、
前記表示装置は、算出された前記輝度の平均値及び前記ひずみの平均値の少なくとも一方の推移を前記画像とともに表示するように構成される、請求項1又は請求項2に記載の応力発光計測装置。
【請求項4】
前記処理装置は、前記特定領域における前記輝度の中央値、及び前記特定領域における前記ひずみの中央値の少なくとも一方を算出するように構成され、
前記表示装置は、算出された前記輝度の中央値及び前記ひずみの中央値の少なくとも一方の推移を前記画像とともに表示するように構成される、請求項1又は請求項2に記載の応力発光計測装置。
【請求項5】
応力発光体が発する光を
連続的に複数回検知するステップと、
検知された前記応力発光体の発光の分布を示す画像を表示するステップと、
前記応力発光体に力が加えられたときの前記応力発光体の発光パターンを取得するステップと、
取得された前記発光パターンに基づいて、前記応力発光体に力が加えられたときの前記応力発光体のひずみを算出するステップと、
前記画像上の特定領域における前記応力発光体の輝度及びひずみの少なくとも一方の推移を前記画像とともに表示するステップとを含む、応力発光計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、応力発光体を用いた応力発光計測装置及び応力発光計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
応力発光体の発光現象に基づいて応力発光体のひずみを計測することにより、応力発光体が塗布或いは混入された試料や構造物等のひずみを解析する技術が知られている。応力発光体は、エネルギー状態が高められるとエネルギーを放出して発光する部材であり、外部から機械的な力が与えられると、内部に生じる応力に応じて発光する。応力発光体の発光強度(輝度)とひずみ量とに相関があることから、カメラ等の撮像装置で応力発光体を撮像し、応力発光体の輝度から応力発光体のひずみを計測することができる。
【0003】
特開2010-190865号公報(特許文献1)は、このような応力発光体の発光現象に基づいて応力発光体のひずみパターン(ひずみ量及びひずみ速度)を精度よく解析可能な応力発光解析装置を開示する。この応力発光解析装置では、応力発光体に力が加えられたときに、応力発光体が発する光(応力発光)がカメラ等の検知装置によって検知される。そして、応力発光の発光パターンが特定され、特定された発光パターンから応力発光体のひずみパターンが算出される。算出されたひずみパターンは、表示装置へ出力されて表示される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カメラ等の検知装置により撮像された応力発光体の画像(発光画像)によって、応力発光体に力が加えられたときに応力発光体が発する光(応力発光)の分布の様子を観察することが可能である。しかしながら、そのような発光画像からは、たとえば、応力発光量が大きい領域や詳細な分析を必要とする領域等における発光量(輝度)やひずみを定量的に評価することは難しい。
【0006】
本開示は、かかる問題を解決するためになされたものであり、本開示の目的は、応力発光体の発光量(輝度)やひずみを詳細に分析するための情報をユーザに提示可能な応力発光計測装置及び応力発光計測方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示における応力発光計測装置は、検知装置と、表示装置と、処理装置とを備える。検知装置は、応力発光体が発する光を検知するように構成される。表示装置は、検知装置により検知された応力発光体の発光の分布を示す画像(発光画像)を表示するように構成される。処理装置は、応力発光体に力が加えられたときの応力発光体の発光パターンに基づいて、応力発光体に力が加えられたときの応力発光体のひずみを算出するように構成される。表示装置は、発光画像上の特定領域における応力発光体の輝度及びひずみの少なくとも一方の推移を発光画像とともに表示するように構成される。
【0008】
また、本開示における応力発光計測方法は、応力発光体が発する光を検知するステップと、検知された応力発光体の発光の分布を示す画像(発光画像)を表示するステップと、応力発光体に力が加えられたときの応力発光体の発光パターンを取得するステップと、取得された発光パターンに基づいて、応力発光体に力が加えられたときの応力発光体のひずみを算出するステップと、発光画像上の特定領域における応力発光体の輝度及びひずみの少なくとも一方の推移を発光画像とともに表示するステップとを含む。
【0009】
この応力発光計測装置及び応力発光計測方法においては、発光画像上の特定領域における応力発光体の輝度及びひずみの少なくとも一方の推移が発光画像とともに表示される。これにより、特定領域の輝度或いはひずみを詳細に分析することが可能となる。このように、この応力発光計測装置及び応力発光計測方法によれば、応力発光体の発光量(輝度)やひずみを詳細に分析するための情報をユーザに提示することができる。
【0010】
表示装置は、発光画像上においてユーザが特定領域を指定可能に構成されてもよい。
このような構成により、ユーザは、発光画像上で指定した所望の領域(特定領域)の輝度或いはひずみの推移を発光画像とともに参照することで、所望の領域の状態を詳細に分析することが可能となる。
【0011】
処理装置は、特定領域における輝度の平均値、及び特定領域におけるひずみの平均値の少なくとも一方を算出するように構成されてもよい。そして、表示装置は、算出された輝度の平均値及びひずみの平均値の少なくとも一方の推移を発光画像とともに表示するように構成されてもよい。
【0012】
或いは、処理装置は、特定領域における輝度の中央値、及び特定領域におけるひずみの中央値の少なくとも一方を算出するように構成されてもよい。そして、表示装置は、算出された輝度の中央値及びひずみの中央値の少なくとも一方の推移を発光画像とともに表示するように構成されてもよい。
【0013】
上記のような構成とすることにより、特定領域における輝度或いはひずみのノイズを除去して特定領域の輝度或いはひずみを詳細かつ適切に分析することができる。
【発明の効果】
【0014】
本開示における応力発光計測装置及び応力発光計測方法によれば、応力発光体の発光量(輝度)やひずみを詳細に分析するための情報をユーザに提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施の形態に従うひずみ計測装置の全体構成を示す図である。
【
図2】試料に塗布された応力発光体の一例を示す図である。
【
図3】撮像装置により撮像された応力発光体の輝度の推移例を示す図である。
【
図4】応力発光体の応力発光量の推移を示す図である。
【
図5】応力発光量の大きさと応力発光体のひずみとの関係を定性的に示す図である。
【
図6】応力発光量の時間変化率と応力発光体のひずみとの関係を定性的に示す図である。
【
図8】発光画像表示部において領域指定部により指定される領域を示す図である。
【
図10】応力発光体のひずみを算出するひずみ算出処理の詳細を説明するフローチャートである。
【
図11】
図10のステップS110において実行される残光データ取得処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図12】
図10のステップS120において実行される応力発光データ取得処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図13】
図10のステップS130において実行されるひずみ量算出処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図14】応力発光体のひずみを算出するためのひずみ算出モデルの導出方法を説明するフローチャートである。
【
図15】処理装置により実行される表示装置の表示制御の処理手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0017】
図1は、本実施の形態に従うひずみ計測装置の全体構成を示す図である。このひずみ計測装置は、本開示の「応力発光計測装置」の一実施例に相当する。ひずみ計測装置は、応力発光体の発光現象に基づいて応力発光体のひずみを計測する。応力発光体は、外部からエネルギーが与えられると発光する物体であり、代表的には、ユウロピウム添加アルミン酸ストロンチウムや、マンガン添加硫化亜鉛等を添加した粉末状のセラミック微粒子である。この粉末状の微粒子をたとえば塗料に含ませて対象物に塗布することにより、応力が生じた箇所の微粒子が発光し、その発光強度(輝度)からひずみが計測される。
【0018】
図1を参照して、ひずみ計測装置10は、光源20と、撮像装置30と、処理装置40と、記憶装置50と、表示装置60とを備える。
【0019】
光源20は、応力発光体を励起するための励起光を発生する。応力発光体は、励起光が照射されることにより所定状態に励起される。ひずみが生じた応力発光体を撮像装置30で撮像可能な程度に発光させるためには、応力発光体に励起光を照射してエネルギー状態を高めておくことが有効であり、応力発光体に外力を加える前に光源20により応力発光体に励起光が照射される。応力発光体の励起状態によって、応力発光体に外力を付与したときの発光強度が異なるため、光源20による励起光の照射エネルギー及び照射時間は一定とされる。これにより、応力発光体は一定状態に励起される。光源20には、たとえばLED(Light Emitting Diode)を用いることができる。
【0020】
撮像装置30は、応力発光体が発する光を撮像するための装置である。撮像装置30は、応力発光体の発光強度を検知し、発光強度に応じた輝度を処理装置40へ出力する。この撮像装置30は、応力発光体が発する光を検知する「検知装置」に相当する。なお、検知された発光強度の輝度への変換は、処理装置40において行なってもよい。撮像装置30には、たとえばCCD(Charge Coupled Device)カメラを用いることができる。
【0021】
処理装置40は、CPU(Central Processing Unit)42と、メモリ44と、各種信号を入出力するための入出力バッファ46とを含んで構成される。CPU42は、ハードディスクやソリッドステートディスク等の外部記憶装置(記憶装置50でもよい。)に格納されているプログラムをメモリ44に展開して実行する。外部記憶装置に格納されるプログラムは、処理装置40の処理手順が記されたプログラムである。処理装置40は、これらのプログラムに従って、ひずみ計測装置10における各種制御を実行する。この制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で処理することも可能である。処理装置40によって実行される主要な処理については、後ほど詳しく説明する。
【0022】
記憶装置50は、撮像装置30によって撮像された応力発光体の画像(発光画像)のデータや、処理装置40により算出される応力発光体のひずみの分布を示す画像(ひずみ画像)のデータを記憶する。また、記憶装置50は、応力発光体のひずみ量を算出するためのひずみ算出モデルを記憶する。画像データを記憶する記憶装置と、ひずみ算出モデルを記憶する記憶装置とは、個別に設けてもよい。記憶装置50には、たとえばハードディスクやソリッドステートディスク等を用いることができる。
【0023】
表示装置60は、撮像装置30によって撮像される応力発光体の画像(発光画像)を表示する。表示装置60は、撮像装置30によって撮像された応力発光体の発光画像を処理装置40から受けてリアルタイムに表示することができる。この表示装置60は、表示された発光画像上においてユーザが所望の領域を指定可能に構成される。このため、表示装置60は、たとえば、ユーザが操作可能なタッチパネルを備えるディスプレイによって構成される。
【0024】
そして、表示装置60は、応力発光体の発光画像上でユーザにより指定された領域(特定領域)における応力発光体の輝度又はひずみの推移を発光画像とともに表示する。この実施の形態では、指定された特定領域の輝度の推移を表示するか、それともひずみの推移を表示するかをユーザが選択可能であり、選択された方の推移が発光画像とともに表示装置60に表示される。表示装置60の表示構成については、後ほど詳しく説明する。
【0025】
図2は、試料に塗布された応力発光体の一例を示す図である。
図2を参照して、応力発光体100は、たとえば、塗料の状態にしてエアブラシや刷毛等により試料110に塗布される。中央の丸部は、試料110及び応力発光体100に形成された孔である。なお、応力発光体100は、樹脂等に混入させて試料110に貼り付ける等してもよい。
【0026】
以下では、応力発光体100は、
図2に示されるように塗料の状態にして試料110に塗布されるものとし、試料110に引張力を付与した場合の応力発光体100のひずみ(ひいては試料110のひずみ)が計測されるものとする。
【0027】
図3は、撮像装置30により撮像された応力発光体100の輝度の推移例を示す図である。輝度は、応力発光体100の発光強度に比例するため、この図は、応力発光体100の発光強度の推移を表わす。また、この図では、撮像装置30のある1画素に対応する輝度が示されている。すなわち、この図は、撮像装置30のある1画素に対応する部位の発光強度(輝度)の推移を表わしている。
【0028】
図3を参照して、時刻t0において、光源20による励起光の照射が終了したものとする。励起光の照射が終了すると、応力発光体100は発光することでエネルギーを放出し、時間の経過とともに輝度は低下する。
【0029】
時刻t1において、
図2に示したような引張力が試料110に付与されることにより、応力発光体100に外力(機械的エネルギー)が付与される。なお、試料110に付与する力は、試料110を塑性変形させるものではなく、試料110は弾性変形をするものとする。すなわち、引張力が付与されてひずみが生じた試料110は、力が除去されると、力を付与する前の状態に復帰する。
【0030】
外力が付与されると、応力発光体100の発光強度が増加し、輝度が高くなる(実線k1)。なお、以下では、外力を受けて応力が生じたことによる発光を「応力発光」と称し、応力発光による輝度の増分を「応力発光量(輝度)」と称する場合がある。
【0031】
そして、時刻t2において外力が除去されると、輝度は、再び時間の経過とともに低下する。なお、点線k2は、試料110に引張力が付与されない場合、すなわち、応力発光体100に外力が付与されない場合の輝度の推移を示す。この点線k2は、応力発光体100の残光量(輝度)を示すものである。
【0032】
図4は、応力発光体100の応力発光量の推移を示す図である。応力発光量は、応力発光体100に外力を付与したときの全発光量(輝度)から残光量(輝度)を差引くことによって得られ、
図3に示した点線k2をベースとした場合の実線k1の推移に相当する。
【0033】
図4を参照して、時刻t1において外力が付与されると、応力発光量が増加し、時刻t2において外力が除去された後は、応力発光量は時間の経過とともに減少する。
【0034】
図5は、応力発光量の大きさと応力発光体100のひずみとの関係を定性的に示す図である。
図5において、横軸は、応力発光量の(輝度)を示し、縦軸は、応力発光体100のひずみを示す。
【0035】
図5を参照して、励起光によって応力発光体100が一定状態に励起され、応力発光量の時間変化率(輝度変化率)が一定であるとの条件下では、応力発光量が大きいほど応力発光体100のひずみも大きい。
【0036】
図6は、応力発光量の時間変化率と応力発光体100のひずみとの関係を定性的に示す図である。
図6において、横軸は、応力発光量の時間変化率である輝度変化率を示し、縦軸は、応力発光体100のひずみを示す。
【0037】
図6を参照して、励起光によって応力発光体100が一定状態に励起され、応力発光量の大きさが一定であるとの条件下では、輝度変化率が大きいほど応力発光体100のひずみは小さい。
【0038】
図5,
図6に示されるように、応力発光体100のひずみは、応力発光量の大きさに依存するとともに、応力発光量の時間変化率にも依存する。そこで、たとえば、応力発光体が塗布された標準試料を用いて、種々の条件で標準試料に力を加えたときの発光パターン(応力発光量の大きさ及び時間変化率)とひずみとの関係を予め求めておき、その関係を用いて、応力発光体100に力が加えられたときの発光パターンから応力発光体100のひずみを算出することが可能である。
【0039】
この実施の形態では、撮像装置30(
図1)により撮像される応力発光体100の発光画像が表示装置60にリアルタイムに表示される。そして、表示装置60に表示された発光画像によって、応力発光体100に力が加えられたときに応力発光体100が発する光(応力発光)の分布の様子を観察することが可能である。しかしながら、発光画像からは、たとえば、応力発光量が大きい領域や詳細な分析を必要とする領域等における発光量(輝度)やひずみを定量的に評価することは難しい。
【0040】
そこで、この実施の形態に従うひずみ計測装置10では、表示装置60に表示された発光画像上の特定領域における応力発光体100の輝度又はひずみの推移が、表示装置60において発光画像とともに表示される。これにより、発光画像上の特定領域の輝度或いはひずみを詳細に分析することが可能となる。
【0041】
上記の特定領域については、表示装置60に表示された発光画像上においてユーザが指定する。これにより、ユーザは、発光画像上で指定した所望の領域(特定領域)の輝度或いはひずみの推移を発光画像とともに参照することで、所望の領域の状態を詳細に分析することができる。また、このひずみ計測装置10では、指定された特定領域の輝度及びひずみのいずれの推移を表示させるかについても、ユーザが選択することができる。以下、これらを実現する構成について詳しく説明する。
【0042】
図7は、表示装置60の表示構成の一例を示す図である。
図7を参照して、表示装置60は、発光画像表示部62と、トレンド表示部66と、表示選択部70とを含む。発光画像表示部62は、撮像装置30により撮像された応力発光体100の画像(発光画像)を処理装置40(
図1)から受けて表示する。
【0043】
発光画像表示部62上には、発光画像(図示せず)に重ねて領域指定部64が表示されている。領域指定部64が示す枠は、発光画像表示部62に表示された発光画像上においてユーザが所望の領域(特定領域)を指定するためのものである。ユーザは、
図8に示されるように、発光画像表示部62上において複数の点65を指定することにより領域を指定することができる。なお、
図8では、4つの点65を指定することにより矩形状の領域が形成される例が示されているが、領域の形状はこれに限定されるものではなく、3点又は5点以上を指定可能としてもよいし、円形状の領域を指定可能としてもよい。
【0044】
再び
図7を参照して、トレンド表示部66は、発光画像表示部62上において領域指定部64により指定された領域(特定領域)における応力発光体100の輝度又はひずみの推移を表示する。トレンド表示部66において特定領域の輝度の推移を表示するか、それともひずみの推移を表示するかは、表示選択部70において設定される。
【0045】
表示選択部70は、トレンド表示部66に特定領域の輝度の推移を表示するか、それともひずみの推移を表示するかを、ユーザが選択するための操作部である。たとえば、ユーザが表示選択部70をタッチすることにより、輝度の推移を表示させるか、それともひずみの推移を表示させるかを選択することができる。
【0046】
この
図7では、表示選択部70において「輝度」が選択されており、トレンド表示部66には、発光画像表示部62上において領域指定部64により指定された領域における応力発光体100の輝度の推移が表示されている。そして、この例では、領域指定部64により指定された領域に含まれる複数画素の輝度の平均値が処理装置40において時々刻々と算出され、その算出された輝度平均値の推移がトレンド表示部66に表示されている。なお、領域指定部64により指定された領域に含まれる複数画素の輝度の平均値に代えて、上記複数画素の輝度の中央値の推移をトレンド表示部66に表示してもよい。
【0047】
図9は、表示装置60の他の表示態様を示す図である。
図9を参照して、この例では、表示選択部70において「ひずみ」が選択されており、トレンド表示部66には、発光画像表示部62上において領域指定部64により指定された領域における応力発光体100のひずみの推移が表示されている。
【0048】
表示選択部70において「ひずみ」が選択されている場合には、領域指定部64により指定された領域について、画素毎に輝度に基づくひずみが処理装置40によりリアルタイムに算出される(ひずみの算出方法については後述)。そして、算出された複数画素のひずみの平均値が処理装置40により算出され、その算出されたひずみの平均値の推移がトレンド表示部66に表示される。これにより、領域指定部64におけるひずみの推移がリアルタイムにトレンド表示部66に表示される。なお、領域指定部64により指定された領域における複数画素のひずみの平均値に代えて、複数画素のひずみの中央値の推移をトレンド表示部66に表示してもよい。
【0049】
このように、領域指定部64により指定された領域のひずみの推移をトレンド表示部66に表示することにより、たとえば、点線67で示される所定のしきい値をひずみが超える瞬間の外力の大きさや応力発光体100全体の発光状況(ひずみ状況)等を分析することができる。
【0050】
以下、
図1に示した処理装置40の処理内容について詳しく説明する。以下では、まず
図10から
図14を用いて、応力発光体100のひずみを算出する処理の概要について説明し、
図15において、表示装置60の表示を制御する処理について説明する。
【0051】
図10は、応力発光体100のひずみを算出するひずみ算出処理の詳細を説明するフローチャートである。なお、このフローチャートに示される処理は、撮像装置30の画素毎に実行される。
【0052】
図10を参照して、処理装置40は、まず、応力発光体100の残光量のデータを取得する残光データ取得処理を実行する(ステップS110)。残光データ取得処理の詳細については、後ほど
図11を用いて説明する。
【0053】
次いで、処理装置40は、試料110に引張力を付与することにより応力発光体100に力が加えられたときの発光量のデータ(応力発光データ)を取得する応力発光データ取得処理を実行する(ステップS120)。応力発光データ取得処理の詳細については、後ほど
図12を用いて説明する。
【0054】
そして、処理装置40は、ステップS110において取得された残光量のデータと、ステップS120において取得された応力発光データとから、応力発光体100のひずみ量を算出するひずみ量算出処理を実行する(ステップS130)。
【0055】
図11は、
図10のステップS110において実行される残光データ取得処理の手順の一例を示すフローチャートである。なお、上述のように
図10のひずみ算出処理は撮像装置30の画素毎に実行されるので、このフローチャートに示される処理も、撮像装置30の画素毎に実行される。
【0056】
図11を参照して、処理装置40は、光源20から応力発光体100へ励起光を照射するように光源20を制御する(ステップS210)。そして、処理装置40は、励起光の照射開始から所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS220)。この所定時間は、励起光によって応力発光体100が所定のエネルギー状態まで高められるのに必要な時間であり、たとえば、光源20から出力される励起光の強度及び応力発光体100の種類によって決定される。
【0057】
ステップS220において所定時間が経過したものと判定されると(ステップS220においてYES)、処理装置40は、光源20から応力発光体100への励起光の照射を終了するように光源20を制御する(ステップS230)。
【0058】
励起光の照射が終了すると、残光データの取得が開始される。具体的には、撮像装置30の露光時間(たとえば100ミリ秒)毎に、撮像装置30によって応力発光体100の発光強度が検知され、発光強度に応じた輝度が処理装置40へ出力される。
【0059】
そして、処理装置40は、励起光の照射終了から所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS240)。この所定時間は、応力発光体100からの残光量が規定レベルまで低下するのに必要な時間であり、たとえば、励起光による応力発光体100の励起状態及び応力発光体100の種類によって決定される。
【0060】
ステップS240において所定時間が経過したものと判定されると(ステップS240においてYES)、処理装置40は、励起光の照射終了からの輝度データ(残光データ)を照射終了からの経過時間とともに時系列に記憶装置50に保存する(ステップS250)。上述のように、この
図11に示される一連の処理は撮像装置30の画素毎に実行されるので、残光データも画素毎に取得されて記憶装置50に保存される。
【0061】
図12は、
図10のステップS120において実行される応力発光データ取得処理の手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理も、
図11に示した残光データ取得処理と同様に撮像装置30の画素毎に実行される。
【0062】
図12を参照して、ステップS310~S330の処理は、それぞれ
図11に示したステップS210~S230の処理と同じである。
【0063】
ステップS330において励起光の照射が終了すると、応力発光データの取得が開始される。具体的には、撮像装置30の露光時間(たとえば100ミリ秒)毎に、撮像装置30によって応力発光体100の発光強度が検知され、発光強度に応じた輝度が時系列に処理装置40へ出力される。
【0064】
この応力発光データ取得処理では、ステップS330において励起光の照射が終了すると、処理装置40は、励起光の照射終了から所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS340)。この所定時間は、応力発光体100に外力を付与するタイミングを規定するものであり、
図3に示される時刻t0~t1の時間に相当する。
【0065】
ステップS340において所定時間が経過したものと判定されると(ステップS340においてYES)、処理装置40は、試料110に力(たとえば引張力)を加えることによって応力発光体100に外力を付与するための処理を実行する(ステップS350)。外力の付与は、
図3に示される時刻t1~t2に相当する時間Δtの間行なわれる。
【0066】
そして、処理装置40は、外力の付与が行なわれてから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS360)。この所定時間は、応力発光体100の輝度が規定レベルまで低下するのに必要な時間である。
【0067】
ステップS360において所定時間が経過したものと判定されると(ステップS360においてYES)、処理装置40は、励起光の照射終了からの輝度データ(応力発光データ)を照射終了からの経過時間とともに時系列に記憶装置50に保存する(ステップS370)。上述のように、この
図12に示される一連の処理は撮像装置30の画素毎に実行されるので、応力発光データも画素毎に取得されて記憶装置50に保存される。
【0068】
図13は、
図10のステップS130において実行されるひずみ量算出処理の手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理も、上述の残光データ取得処理(
図11)及び応力発光データ取得処理(
図12)と同様に撮像装置30の画素毎に実行される。
【0069】
図13を参照して、処理装置40は、応力発光データ取得処理(
図12)により取得された応力発光データ(輝度)と、残光データ取得処理(
図11)により取得された残光データ(輝度)とを記憶装置50から時系列順に読出すためのカウンタiを1とする(ステップS410)。
【0070】
次いで、処理装置40は、応力発光データ取得処理により取得されたi番目の応力発光データ(輝度)と、残光データ取得処理により取得されたi番目の残光データ(輝度)とを記憶装置50から読出し、応力発光データと残光データとの差分(すなわち応力発光量)を算出する(ステップS420)。
【0071】
次いで、処理装置40は、ステップS420において算出された応力発光量の変化率(前回値との差分)を算出する(ステップS430)。なお、i=1のときは、変化率は0とする。
【0072】
次いで、処理装置40は、取得された発光パターン(ステップS420において算出された応力発光量の大きさ、及びステップS430において算出された輝度変化率)に基づいて、記憶装置50に記憶されたひずみ算出モデルを用いてひずみ量を算出する(ステップS440)。
【0073】
ひずみ算出モデルは、応力発光体の発光パターンとひずみとの関係を規定するものである。ひずみ算出モデルは、この応力発光体100のひずみ計測に先立って、標準試料を用いて予め求められ、記憶装置50に記憶されている。ひずみ算出モデルの導出方法については、後ほど
図14を用いて説明する。
【0074】
ステップS440においてひずみ量が算出されると、処理装置40は、算出されたひずみ量を記憶装置50に保存する(ステップS450)。その後、処理装置40は、応力発光データ及び残光データが終了したか否かを判定し、未演算のデータがまだ残っていれば(ステップS460においてNO)、カウンタiをカウントアップして(ステップS470)、ステップS420へ処理を戻す。なお、未演算のデータが残っていなければ(ステップS460においてYES)、エンドへと処理が移行される。
【0075】
図14は、応力発光体100のひずみを算出するためのひずみ算出モデルの導出方法を説明するフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、
図10に示したひずみ算出処理が実行される前に予め実行され、導出されたひずみ算出モデルは、
図13のステップS440において用いられる。
【0076】
図14を参照して、応力発光体が塗布された標準試料が準備される(ステップS510)。この標準試料は、応力発光体の塗布量(厚み)が均一に構成されているものである。
【0077】
次いで、ステップS520において、標準試料の残光量を示す残光データが取得される。残光データの取得は、
図10のステップS110における残光データ取得処理と同じ手順によって行なわれる。
【0078】
続いて、ステップS530~S550において、標準試料にたとえば引張力を付与することによって応力発光体に外力が付与された場合に、応力発光体に実際に生じるひずみが測定される。このステップS530~S550の処理は、力を付与する速度(標準試料の引張速度)を変えて複数パターン実施される。
【0079】
具体的には、ステップS530において、標準試料をある引張力で引っ張ることにより応力発光体に外力が付与され、応力発光体の発光量を示す応力発光データが取得される。この応力発光データの取得は、
図12に示した応力発光データ取得処理と同じ手順によって行なわれる。なお、この応力発光データも、残光データと同様に撮像装置30の画素毎に取得する必要はなく、全画素の平均値であってもよいし、ある画素に基づく応力発光データを代表値としてもよい。
【0080】
次いで、ステップS540において、ステップS530において取得された応力発光データと、ステップS520において取得された残光データとを用いて発光パターン(応力発光量の大きさ及び時間変化率)が算出される。この発光パターンの算出は、
図13に示したひずみ量算出処理のステップS420,S430と同じ手順によって行なわれる。
【0081】
さらに、ステップS550において、ひずみゲージ(図示せず)の測定値が取得される。すなわち、標準試料については、実際のひずみ量を測定するためのひずみゲージが設けられており、ステップS530において外力が付与されたときの実際のひずみ量がひずみゲージによって測定される。
【0082】
外力の付与速度を変えてステップS530~S550の処理が複数パターン実施されることにより、発光パターンとひずみ(測定値)との関係が多数得られる。
【0083】
そして、ステップS560において、ステップS530~S550の処理によって得られた多数のデータを用いて、発光パターン(応力発光量の大きさ及び時間変化率)とひずみとの関係を示すひずみ算出モデルが導出される。なお、このひずみ算出モデルは、回帰分析に基づく回帰式であってもよいし、得られたデータに基づくマップやテーブル等であってもよい。そして、導出されたひずみ算出モデルは、記憶装置50に記憶される。
【0084】
なお、上記では、応力発光体は、塗料の状態にして試料に塗布されるものとしたが、応力発光体が混入された樹脂等の試料についても、同様の手法でひずみを算出することができる。すなわち、応力発光体の混入量(濃度)によっても、応力発光体の発光量及び残光量(輝度)が異なるところ、標準試料を用いて、種々の発光パターンとひずみとの関係を予め求めて記憶装置50に記憶しておき、その関係を用いて、計測対象である応力発光体100に力が加えられたときの発光パターンから、応力発光体100のひずみを算出することができる。
【0085】
次に、処理装置40による表示装置60の表示制御について説明する。上述のように、表示装置60は、撮像装置30により撮像された応力発光体100の発光画像を表示するとともに、発光画像上で指定された領域(特定領域)における応力発光体100の輝度又はひずみの推移を発光画像とともに表示する。
【0086】
図15は、処理装置40により実行される表示装置60の表示制御の処理手順を説明するフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、応力発光データ取得処理(
図10のステップS120、
図12)の実行中に、所定の時間毎に繰り返し実行される。
【0087】
図15を参照して、処理装置40は、撮像装置30により応力発光体100を撮像することによって得られる輝度データ(応力発光データ)を表示装置60へ出力する(ステップS610)。これにより、表示装置60の発光画像表示部62(
図7,
図9)に応力発光体100の発光画像が表示される。
【0088】
次いで、処理装置40は、表示装置60の表示選択部70において、トレンド表示部66の表示設定が「輝度」であるか「ひずみ」であるかを判定する(ステップS615)。表示選択部70における選択状態は、表示装置60からの信号に基づいて判定される。
【0089】
ステップS615において、トレンド表示部66の表示設定が「輝度」であると判定されると(ステップS615において「輝度」)、処理装置40は、発光画像表示部62上において領域指定部64により指定された領域に含まれる複数画素の輝度データ(応力発光データ)の代表値を算出する(ステップS620)。この実施の形態では、代表値として、領域指定部64により指定された領域に含まれる複数画素の輝度データの平均値が算出されるが、この平均値に代えて、当該領域に含まれる複数画素の輝度データの中央値を代表値としてもよい。
【0090】
そして、処理装置40は、算出された輝度データの代表値(平均値)を表示装置60へ出力する(ステップS625)。これにより、表示装置60のトレンド表示部66(
図7)に、領域指定部64により指定された領域(特定領域)の輝度平均値の推移が表示される(トレンド表示)。
【0091】
一方、ステップS615においてトレンド表示部66の表示設定が「ひずみ」であると判定されると(ステップS615において「ひずみ」)、処理装置40は、領域指定部64により指定された領域に含まれる画素毎にステップS630~S640の処理を実行する。具体的には、処理装置40は、ステップS610において取得される応力発光データ(輝度)と、残光データ(輝度)との差分を算出する(ステップS630)。
【0092】
なお、残光データは、残光データ取得処理(
図11)により事前に取得されて記憶装置50に記憶されており、ステップS610において取得される応力発光データと同期する残光データ(励起光の照射が終了してからの時刻が同等の残光データ)が記憶装置50から取得される。
【0093】
次いで、処理装置40は、応力発光量の時間変化率を示す輝度変化率を算出する(ステップS635)。そして、処理装置40は、ステップS630において算出された応力発光データと残光データとの差分値と、ステップS635において算出された輝度変化率とに基づいて、記憶装置50に記憶されたひずみ算出モデルを用いてひずみを算出する(ステップS640)。
【0094】
ステップS630~S640において、領域指定部64により指定された領域に含まれる画素毎にひずみが算出されると、処理装置40は、当該領域に含まれる複数画素のひずみの代表値を算出する(ステップS645)。この実施の形態では、代表値として、領域指定部64により指定された領域に含まれる複数画素のひずみの平均値が算出されるが、この平均値に代えて、当該領域に含まれる複数画素のひずみの中央値を代表値としてもよい。
【0095】
そして、処理装置40は、算出されたひずみの代表値(平均値)を表示装置60へ出力する(ステップS650)。これにより、表示装置60のトレンド表示部66(
図9)に、領域指定部64により指定された領域(特定領域)のひずみ平均値の推移が表示される(トレンド表示)。
【0096】
以上のように、この実施の形態においては、表示装置60において、発光画像上の特定領域における応力発光体100の輝度又はひずみの推移が発光画像とともに表示される。これにより、特定領域の輝度或いはひずみを詳細に分析することが可能となる。このように、この実施の形態によれば、応力発光体100の発光量(輝度)やひずみを詳細に分析するための情報をユーザに提示することができる。
【0097】
そして、特定領域は、表示装置60に表示された発光画像上で領域指定部64により指定可能であるので、ユーザは、発光画像上で所望の領域を指定してその領域(特定領域)の輝度或いはひずみを詳細に分析することができる。
【0098】
また、この実施の形態によれば、領域指定部64により指定された領域(特定領域)における輝度又はひずみの平均値(或いは中央値)の推移が発光画像とともに表示されるので、特定領域における輝度或いはひずみのノイズを除去して特定領域の輝度或いはひずみを詳細かつ適切に分析することができる。
【0099】
なお、上記の実施の形態では、表示装置60において応力発光体100の発光画像とともに輝度の推移を表示するか、それともひずみの推移を表示するかを、ユーザが選択するものとしたが、輝度及びひずみの双方の推移を表示装置60において発光画像とともに表示するようにしてもよい。
【0100】
また、上記の実施の形態では、
図10のステップS120において、応力発光データを時系列順に取得して全データを記憶装置50に一旦保存し、その後、ステップS130において、時系列順にひずみ量を纏めて算出するものとしたが、時々刻々と応力発光データが取得されるタイミングでひずみ量を算出してもよい。すなわち、ステップS120において、時々刻々と応力発光データが取得される毎に、
図13のステップS420~S450の処理を実行するようにしてもよい。
【0101】
また、上記の実施の形態では、
図10のフローチャートに示される処理は、撮像装置30の画素毎に実行されるものとしたが、ステップS110において取得される残光データ、及びステップS120において取得される応力発光データは、所定の面積を有する領域における複数の画素の平均値であってもよい。そして、それらを用いて、ステップS130においてひずみ量を算出してもよい。
【0102】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0103】
10 計測装置、20 光源、30 撮像装置、40 処理装置、42 CPU、44 メモリ、46 入出力バッファ、50 記憶装置、60 表示装置、100 応力発光体、110 試料。