(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-05
(45)【発行日】2022-04-13
(54)【発明の名称】廃水焼却方法および廃水焼却装置
(51)【国際特許分類】
F23G 5/46 20060101AFI20220406BHJP
【FI】
F23G5/46 A
F23G5/46 Z
(21)【出願番号】P 2020543590
(86)(22)【出願日】2019-12-23
(86)【国際出願番号】 KR2019018280
(87)【国際公開番号】W WO2020241998
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2020-08-14
(31)【優先権主張番号】10-2019-0062733
(32)【優先日】2019-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】キム、テ-ウ
(72)【発明者】
【氏名】イ、ソン-キュ
【審査官】岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-523718(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1773080(KR,B1)
【文献】中国特許出願公開第108558101(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23G 5/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃水を蒸発器に供給し、蒸発させるステップ(S10)と、
前記蒸発器から排出される蒸発器の上部排出ストリームを焼却炉に供給し、焼却するステップ(S20)と、
前記焼却炉から排出される第1焼却炉排出ストリームと第2焼却炉排出ストリームを混合し、混合排出ストリームを形成するステップ(S30)と、
前記混合排出ストリームと空気ストリームを第1熱交換器で熱交換させるステップ(S40)とを含み、
前記第1焼却炉排出ストリームの温度は、前記第2焼却炉排出ストリームの温度よりも高く、前記第1焼却炉排出ストリームは、第3熱交換器で前記第1熱交換器を通過した空気ストリームと熱交換した後、前記第2焼却炉排出ストリームと混合されて前記混合排出ストリームを形成し、
前記第1熱交換器を通過した混合排出ストリームは、
前記廃水と、第2熱交換器で熱交換された後、大気中に排出される、廃水焼却方法。
【請求項2】
前記第2熱交換器で熱交換された廃水は、前記蒸発器に供給される、請求項
1に記載の廃水焼却方法。
【請求項3】
前記第2熱交換器を通過した廃水の温度は、前記第2熱交換器を通過する前の廃水の温度よりも高い、請求項
1または
2に記載の廃水焼却方法。
【請求項4】
前記第2熱交換器を通過した廃水の温度は、50℃~130℃である、請求項
1~
3のいずれかに記載の廃水焼却方法。
【請求項5】
前記大気中に排出されるストリームの温度は、125℃以下である、請求項1~
4のいずれかに記載の廃水焼却方法。
【請求項6】
供給される廃水を蒸発させ、蒸発された上部排出ストリームを焼却炉に供給する蒸発器と、
前記蒸発器から上部排出ストリームが供給され、前記蒸発器の上部排出ストリームを焼却し、第1焼却炉排出ストリームおよび第2焼却炉排出ストリームを第3混合器に供給する焼却炉と、
前記焼却炉から第1焼却炉排出ストリームおよび第2焼却炉排出ストリームが供給され、前記第1焼却炉排出ストリームと第2焼却炉排出ストリームを混合した混合排出ストリームを第1熱交換器に供給する第3混合器と、
前記第3混合器から供給された混合排出ストリームと、供給された空気ストリームを熱交換する第1熱交換器と、
前記供給される第1熱交換器を通過した混合排出ストリームを
廃水と熱交換し、熱交換した前記混合排出ストリームを大気中に排出する第2熱交換器と、
前記焼却炉から排出された第1焼却炉排出ストリームおよび第2焼却炉排出ストリームの中、温度が高い第1焼却炉排出ストリームを、前記第1熱交換器を通過した空気ストリームと熱交換し、熱交換した第1焼却炉排出ストリームを第3混合器に供給する第3熱交換器をさらに含む、廃水焼却装置。
【請求項7】
前記焼却炉は、蓄熱式焼却炉(Regeneration Thermal Oxidizer)である、請求項
6に記載の廃水焼却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年05月28日付けの韓国特許出願第10‐2019‐0062733号に基づく優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、廃水焼却方法および廃水焼却装置に関し、より詳細には、廃水の焼却時に発生する廃熱をリサイクルする省エネルギー型廃水焼却方法および廃水焼却装置に関する。
【背景技術】
【0003】
炭化水素化合物の総称である揮発性有機化合物は、化学工場、廃水処理場、自動車工場などの塗装作業の際に発生し、悪臭がひどい物質であって、オゾンなどの光化学スモッグ原因物質であるだけでなく、発癌性を有する有害物質であり、地球温暖化と成層圏オゾン層破壊の原因物質として、環境および健康に悪い影響を及ぼすなど、様々な形態で大気に影響を与える。したがって、前記揮発性有機化合物を含んでいる廃水は、そのまま外部に排出される場合、深刻な環境汚染をもたらすため、先ず、廃水内の汚染物質を処理した後に排出しなければならない。
【0004】
現在知られている廃水内の揮発性有機化合物の処理技術としては、焼却法、吸着法、吸収法、冷却凝縮法、生物学的処理および分離膜技術などが挙げられ、このうち、蓄熱式焼却炉が多く用いられている。
【0005】
蓄熱式焼却炉(Regeneration Thermal Oxidizer、RTO)とは、既存の直火式間接熱交換熱焼却方式(一般焼却炉方式)の代わりに、揮発性有機化合物を含有する廃ガスを焼却した後、焼却する時に発生する熱を、表面積が広く半永久的に使用可能なセラミック(Ceramic)充填材により回収することで、焼却炉のランニングコストを著しく低減することができる設備であって、焼却炉の運転にかかるコストが少なく、設置面積を最小化することができる。また、蓄熱式焼却炉の処理効率は、99%以上と非常に高く、2次汚染要因が少ないという利点がある。
【0006】
しかし、上記蓄熱式焼却炉を用いて、揮発性有機化合物を含む廃水を焼却する際、焼却炉(Furnace)に廃水を直接噴射するため、焼却炉に過剰な熱量(エネルギー)が供給されなければならないだけでなく、熱回収設計が高度化していないため、大気に排出されるストリームの温度が相当高温であり、エネルギーの無駄使いが増加するという問題がある。
【0007】
したがって、かかる従来の問題を解決するために、廃水焼却の際、エネルギーを節約するための設計が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、上記発明の背景となる技術で言及した問題を解決するために、省エネルギー型廃水焼却方法および装置を提供することである。
【0009】
すなわち、本発明は、廃水焼却の際に発生する廃熱を熱交換によりリサイクルすることで、廃水の焼却に必要なエネルギーを節約し、大気に排出されるストリームの温度を下げるための廃水焼却方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するための本発明の一実施形態によると、本発明は、廃水を蒸発器に供給し、蒸発させるステップ(S10)と、前記蒸発器から排出される蒸発器の上部排出ストリームを焼却炉に供給し、焼却するステップ(S20)と、前記焼却炉から排出される第1焼却炉排出ストリームと第2焼却炉排出ストリームを混合し、混合排出ストリームを形成するステップ(S30)と、前記混合排出ストリームと空気ストリームを第1熱交換器で熱交換させるステップ(S40)とを含み、前記第1熱交換器を通過した混合排出ストリームは、第2熱交換器で熱交換された後、大気中に排出される廃水焼却方法を提供する。
【0011】
また、本発明は、供給される廃水を蒸発させ、蒸発された上部排出ストリームを焼却炉に供給する蒸発器と、前記蒸発器から上部排出ストリームが供給され、前記蒸発器の上部排出ストリームを焼却し、第1焼却炉排出ストリームおよび第2焼却炉排出ストリームを第3混合器に供給する焼却炉と、前記焼却炉から第1焼却炉排出ストリームおよび第2焼却炉排出ストリームが供給され、前記第1焼却炉排出ストリームと第2焼却炉排出ストリームを混合した混合排出ストリームを第1熱交換器に供給する第3混合器と、前記第3混合器から供給された混合排出ストリームと、供給された空気ストリームを熱交換する第1熱交換器と、供給される前記第1熱交換器を通過した混合排出ストリームを熱交換し、熱交換した前記混合排出ストリームを大気中に排出する第2熱交換器とを含む廃水焼却装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
また、本発明の廃水焼却方法および廃水焼却装置によると、廃水焼却の際に発生する廃熱を回収し、熱交換により蒸発器に供給されるストリームを加熱することで、蒸発器で廃水の加熱のために必要な燃料の使用を減少させることができる。
【0013】
また、本発明の廃水焼却方法および廃水焼却装置によると、廃水焼却の際に発生する廃熱を回収し、熱交換によりリサイクルすることで、大気に排出されるストリームの温度を下げる効果も得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態による廃水焼却方法による工程フローチャートである。
【
図2】本発明の一実施形態による廃水焼却方法による工程フローチャートである。
【
図3】比較例による廃水焼却方法による工程フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の説明および請求の範囲で使用されている用語や単語は、通常的または辞書的な意味に限定して解釈してはならず、発明者らは、自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に則って、本発明の技術的思想に合致する意味と概念に解釈すべきである。
【0016】
本発明において、「ストリーム(stream)」という用語は、工程内の流体(fluid)の流れを意味し得、また、配管内で流れる流体自体を意味し得る。具体的には、前記「ストリーム」という用語は、各装置を連結する配管内で流れる流体自体および流体の流れを同時に意味し得る。また、前記流体は、気体(gas)または液体(liquid)を意味し得る。
【0017】
以下、本発明に関する理解を容易にするために、本発明をより詳細に説明する
【0018】
本発明によると、廃水焼却方法が提供される。前記廃水焼却方法であって、廃水を蒸発器に供給し、蒸発させるステップ(S10)と、前記蒸発器から排出される蒸発器の上部排出ストリームを焼却炉に供給し、焼却するステップ(S20)と、前記焼却炉から排出される第1焼却炉排出ストリームと第2焼却炉排出ストリームを混合し、混合排出ストリームを形成するステップ(S30)と、前記混合排出ストリームと空気ストリームを第1熱交換器で熱交換させるステップ(S40)とを含み、前記第1熱交換器を通過した混合排出ストリームは、第2熱交換器で熱交換された後、大気中に排出される廃水焼却方法を提供することができる。
【0019】
本発明の一実施形態によると、前記廃水とは、消費生活と産業活動をする現代社会にて物質的文明活動の副産物として各種の廃棄物が排出され続けるが、その中で、液体形態で排出されるものなどを意味し得る。具体的には、廃水は、出処に応じて大別され、家庭廃水と工場廃水などに分けられる。家庭廃水は、各家庭および家庭と同様に廃物質を排出する公共建物および営業建物などから排出される廃水を意味し得、工場廃水は、各工場から排出される廃水を意味し、広義的には産業廃水と言え、すべての産業施設から排出される廃水の総称であり得る。
【0020】
本発明の一実施形態によると、前記廃水は、工業の生産工程で使用される様々な化学物質を含有している液状の工場廃水であり得る。例えば、前記廃水は、水、メタノール、ブタノール、ネオペンチルグリコール、塩化ナトリウムおよびブチルアルデヒド、オクタノール、トリメチルアミンなどを含む有機物からなるものであってもよい。
【0021】
本発明の一実施形態によると、前記廃水を蒸発器に供給し、蒸発させるステップ(S10)は、例えば、前記蒸発器に廃水を供給し、加熱して廃水を蒸発させ、且つ水蒸気、有機物および可塑性物質などを含む上部排出ストリームと、スラッジを含む下部排出ストリームとにそれぞれ分離することができる。この際、下部排出ストリームは、すぐ廃水処理場に移動させることができる。
【0022】
本発明の一実施形態によると、前記廃水を蒸発器に供給し、蒸発させるステップ(S10)は、複数回行われて、上部排出ストリームと下部排出ストリームをより効果的に分離することができる。例えば、第1蒸発器100に廃水を供給し、加熱して廃水を蒸発させる第1蒸発器100の上部排出ストリームと、第1蒸発器100の下部排出ストリームとにそれぞれ分離することができる。次に、前記第1蒸発器100の下部排出ストリームを第2蒸発器110を用いて2次蒸発させ、第2蒸発器110の上部排出ストリームと、第2蒸発器110の下部排出ストリームとに分離することができる。この際、前記第2蒸発器110の上部排出ストリームは、前記第1蒸発器100の上部排出ストリームと第1混合器200で混合され排出され得、第2蒸発器110の下部排出ストリームは、廃水処理場に移動させることができる。
【0023】
本発明の一実施形態によると、前記蒸発器から排出される蒸発器の上部排出ストリームを焼却炉300に供給し、焼却するステップ(S20)は、蓄熱式焼却炉(Regeneration Thermal Oxidizer、RTO)により行われ得、前記蒸発器の上部排出ストリームを焼却炉300に供給し、予熱ステップおよび焼却ステップを経ることができる。この際、前記蒸発器の上部排出ストリームは、前記第1蒸発器100の上部排出ストリームおよび第2蒸発器110の上部排出ストリームが、第1混合器200で混合され排出されるストリームであってもよい。
【0024】
本発明の一実施形態によると、前記蒸発器の上部排出ストリームは、蒸発過程で、温度が100℃以上に増加していてもよい。この場合、前記100℃以上の温度を有する蒸発器の上部排出ストリームは、焼却炉300に供給され、それ自体で燃料として活用され得る。
【0025】
前記蒸発器の上部排出ストリームは、先ず、蓄熱層で蓄熱されたセラミック媒体と直接接触し、予熱されながら焼却炉300に入ることができる。この際、予熱温度は、蓄熱式焼却炉300の蓄熱効率設計に応じて異なり得るが、自体燃消しながら発生する燃焼熱と合わせられて、ほぼ焼却炉300温度である800℃以上の温度まで予熱され得る。前記予熱されたストリームは、焼却炉300で完全焼却処理された後、他の蓄熱層へ通過しながらセラミック媒体に熱を与えてセラミック媒体を加熱し、焼却炉300排出ストリームは、一部冷却され得る。
【0026】
本発明の一実施形態によると、前記焼却炉300から排出される第1焼却炉排出ストリームと第2焼却炉排出ストリームの混合排出ストリームは、S40ステップにおいて空気ストリームと熱交換され得る。具体的には、前記混合排出ストリームは、第1熱交換器400に供給され、前記第1熱交換器400に供給される空気ストリームに熱を伝達することができる。
【0027】
前記第1熱交換器400を通過した空気ストリームは、蒸発器の上部排出ストリームと混合され、焼却炉300に供給され得る。具体的には、前記第1熱交換器400で熱交換された空気ストリームは、蒸発器の上部排出ストリームと第2混合器210で混合され、焼却炉300に供給され得る。また、前記第1熱交換器400を通過した混合排出ストリームは、第2熱交換器410に供給され、熱交換された後、大気中に排出され得る。
【0028】
また、本発明の一実施形態によると、前記廃水は、前記第1熱交換器400を通過した混合排出ストリームと、前記第2熱交換器410で熱交換された後、蒸発器に供給され得る。前記第1熱交換器400および第2熱交換器410での熱交換は、互いに異なる二つのストリームの向流(counter‐current flow)、並流(co‐current flow)、または直交流(cross flow)によって互いに熱交換が実施され得る。例えば、前記第1熱交換器400では、前記混合排出ストリームは、空気ストリームに熱を伝達しながら第2熱交換器410に供給され、前記第2熱交換器410で廃水に熱を伝達した後、大気に排出され得、これにより、廃水焼却工程において熱を効果的にリサイクルすることができ、大気に排出されるストリームの温度を下げることができる。
【0029】
また、前記空気ストリームは、混合排出ストリームから熱を得て温度が上昇し、これは、焼却炉300に供給されて、焼却炉で必要なエネルギーの一部の代わりに使用することができる。また、前記廃水は、第1熱交換器400を通過した混合排出ストリームから熱を得て、充分に加熱された状態で蒸発器に供給され得、蒸発器で廃水を加熱するために要するエネルギーを節約することができる。
【0030】
本発明の一実施形態によると、前記第2熱交換器410を通過した廃水の温度は、前記第2熱交換器410を通過する前の廃水の温度よりも高くてもよい。具体的には、上述のように、前記廃水は、前記第1熱交換器400を通過した混合排出ストリームと、第2熱交換器410で熱交換を行う。この際、前記廃水は、前記第1熱交換器400を通過した混合排出ストリームから熱の提供を受けることで、第2熱交換器410を通過しながら温度が上昇する。例えば、前記第2熱交換器410を通過した廃水の温度は、50℃~130℃、55℃~120℃または60℃~110℃であってもよい。これは、前記第2熱交換器410を通過する前の廃水の温度である20℃~40℃に比べ、著しく高くなったことが分かる。
【0031】
また、本発明の一実施形態によると、前記第1焼却炉排出ストリームの温度は、前記第2焼却炉排出ストリームの温度よりも高くてもよい。例えば、前記第1焼却炉排出ストリームの温度は、400℃~500℃、420℃~480℃または440℃~460℃であってもよく、前記第2焼却炉排出ストリームの温度は、100℃~250℃、130℃~220℃または170℃~190℃であってもよい。このように、焼却炉300から排出されるストリームを比較的高温の第1焼却炉排出ストリームと低温の第2焼却炉排出ストリームとに分けてエネルギーをリサイクルすることで、より効果的にエネルギーを節約することができる。
【0032】
また、本発明の一実施形態によると、前記焼却炉300から排出される第1焼却炉排出ストリームは、蒸気発生装置500を通過したストリームであってもよい。具体的には、前記焼却炉300から排出される第1焼却炉排出ストリームは、焼却炉300から排出されたときには、800℃~1,000℃の高温で排出され得、この際、前記高温の第1焼却炉排出ストリームは、蒸気発生装置500を通過しながら400℃~500℃に温度が低くなり、この過程で、熱エネルギーをスチームの形成にリサイクルすることができる。このように、第1焼却炉排出ストリームが蒸気発生装置500を通過しながら、第1焼却炉排出ストリームの廃熱から形成されたスチームは、貯蔵可能であり、様々な工程で熱源として使用できるという利点がある。
【0033】
また、本発明の一実施形態によると、前記第1焼却炉排出ストリームは、前記第1熱交換器400を通過した空気ストリームと、前記第3熱交換器420で熱交換され得る。前記第1焼却炉排出ストリームと第1熱交換器400を通過した空気ストリームは、第3熱交換器420で互いに向流(counter‐current flow)、並流(co‐current flow)、または直交流(cross flow)によって互いに熱交換が実施され得る。具体的には、前記第1焼却炉排出ストリームは、第1熱交換器400を通過した空気ストリームと、第3熱交換器420で熱交換されることで、空気ストリームに熱を提供して、廃水焼却の熱源としてリサイクルすることができる。これと同時に、第3熱交換器420で熱交換された前記第1焼却炉排出ストリームは、低くなった温度で第2焼却炉排出ストリームと混合されて混合排出ストリームを形成することができ、前記混合排出ストリームは、空気ストリームと、第1熱交換器400で熱交換されることで、より低い温度で大気に排出され得る。
【0034】
また、本発明の一実施形態によると、前記第3熱交換器420を通過した第1焼却炉排出ストリームの温度は、前記第3熱交換器420を通過する前の第1焼却炉排出ストリームの温度よりも低くてもよい。具体的には、上述のように、前記第1焼却炉排出ストリームは、第3熱交換器420で第1熱交換器400を通過した空気ストリームと熱交換を行う。この際、前記第1焼却炉排出ストリームは、空気ストリームに熱を提供することで、第3熱交換器420を通過した後の温度は低くなる。例えば、前記第3熱交換器420を通過した第1焼却炉排出ストリームの温度は、250℃~350℃、270℃~330℃または280℃~300℃であってもよい。これは、前記第1焼却炉排出ストリームの第3熱交換器420を通過する前の温度である400℃~500℃に比べ、低くなったことが分かる。
【0035】
また、本発明の一実施形態によると、前記第1熱交換器400を通過した空気ストリームは、第3熱交換器420を通過して焼却炉300に供給され得、前記第3熱交換器420を通過した空気ストリームの温度は、第3熱交換器420を通過する前よりも高くてもよい。具体的には、前記第3熱交換器420を通過する前の空気ストリームの温度は、180℃~230℃、190℃~220℃または200℃~210℃であってもよい。また、第3熱交換器420を通過した後の空気ストリームの温度は、250℃~350℃、260℃~320℃または270℃~300℃であってもよい。具体的には、前記空気ストリームの場合、焼却炉300から排出されるストリームから第1熱交換器400および第3熱交換器420を介して熱交換を行って熱を得ることで、高温の状態で焼却炉300に供給され得る。この場合、空気が常温で焼却炉300に供給される場合と比較して、焼却炉300で空気を加熱するために要するエネルギーを節約することができる。
【0036】
また、本発明の一実施形態によると、前記第1熱交換器400を通過した混合排出ストリームは、第2熱交換器410で廃水と熱交換した後に大気中に排出され、前記大気中に排出されるストリームの温度は、125℃以下であってもよい。例えば、前記廃水焼却工程で大気に排出されるストリームの温度は、50℃~120℃、60℃~110℃または65℃~110℃であってもよい。これは、既存の蓄熱式焼却炉を用いた廃水焼却の際、大気に排出されるストリームの温度に比べ、著しく低い温度である。これにより、本発明による廃水焼却方法では、既存の廃水焼却工程で大気に高温のストリームを排出する場合、白い煙(白煙)が発生する問題を解決し、多量の熱を廃水焼却工程内でリサイクルし、これにより多量のエネルギーを節約したことが分かる。具体的には、本発明による廃水焼却方法は、前記高温の第1焼却炉排出ストリームが有している熱をスチーム発生装置500でスチームを形成するのに1次的にリサイクルし、前記第1熱交換器400で空気ストリームと熱交換することで2次的にリサイクルし、前記第2熱交換器410で廃水と熱交換することで3次的にリサイクルすることで、エネルギーを効果的に節約した。
【0037】
また、本発明の一実施形態によると、前記廃水を蒸発器に供給し、蒸発させるステップ(S10)において、必要な場合、廃水の加熱のために必要なエネルギーを得るために燃料が投入され得る。例えば、廃水を蒸発器に供給し、蒸発させるステップで必要な熱量(エネルギー)は、5.0Gcal/hr以下であってもよく、例えば、前記蒸発器で要する熱量は、0Gcal/hr~5.0Gcal/hr、2Gcal/hr~5.0Gcal/hrまたは4Gcal/hr~4.8Gcal/hrであってもよい。
【0038】
また、本発明の一実施形態によると、前記焼却炉300から排出される第2焼却炉排出ストリームの一部は、焼却炉300に還流し、焼却炉300の予熱および加熱にリサイクルすることができる。
【0039】
また、本発明の一実施形態によると、前記焼却炉300で廃水の焼却をより容易に行うために、空気をさらに供給してもよい。
【0040】
また、本発明の一実施形態によると、前記蒸発器の下部排出ストリームは、廃水処理場に移動し、前記廃水処理場で発生するガス(off gas)を焼却炉300に供給することができる。これにより、本発明による廃水焼却方法は、廃水の焼却だけでなく、廃水処理場で発生するガスの焼却を同時に行うことができる。
【0041】
本発明によると、廃水焼却装置が提供される。前記廃水焼却装置は、供給される廃水を蒸発させ、蒸発した上部排出ストリームを焼却炉に供給する蒸発器と、前記蒸発器から上部排出ストリームが供給され、前記蒸発器の上部排出ストリームを焼却し、第1焼却炉排出ストリームおよび第2焼却炉排出ストリームを第3混合器に供給する焼却炉と、前記焼却炉から第1焼却炉排出ストリームおよび第2焼却炉排出ストリームが供給され、前記第1焼却炉排出ストリームと第2焼却炉排出ストリームを混合した混合排出ストリームを第1熱交換器に供給する第3混合器と、前記第3混合器から供給された混合排出ストリームと、供給された空気ストリームを熱交換する第1熱交換器と、供給される前記第1熱交換器を通過した混合排出ストリームを熱交換し、熱交換した前記混合排出ストリームを大気中に排出する第2熱交換器とを含むことができる。
【0042】
本発明の一実施形態によると、前記焼却炉300から排出された第1焼却炉排出ストリームを熱交換し、熱交換した第1焼却炉排出ストリームを第3混合器220に供給する第3熱交換器420をさらに含んでもよい。
【0043】
本発明の一実施形態によると、前記本発明による廃水焼却装置は、上記の廃水焼却方法による工程を実施するための装置であってもよい。
【0044】
本発明の一実施形態によると、前記本発明による廃水
焼却装置は、下記
図1~
図2を参照して説明することができる。例えば、前記廃水
焼却装置は、供給される廃水を1次に蒸発させて、水蒸気、有機物および可塑性物質などを含
む上部排出ストリームと、スラッジを含
む下部排出ストリームとに分離する第1蒸発器100を含むことができる。また、前記第1蒸発器100から排出された
下部排出ストリームは、第2蒸発器110を用いて2次に蒸発させて
、上部排出ストリームと
、下部排出ストリームとに分離することができる。この際、第2
蒸発器110下部ストリームは、廃水処理場に移動し、第2
蒸発器110上部ストリームは、第1
蒸発器100上部ストリームと、第1混合器200で混合され排出され得る。
【0045】
前記第1混合器200から排出されたストリームは、第2混合器210に供給され、前記第2混合器210で、廃水処理場で発生したガス(off gas)および空気(Fresh Air)ストリームとともに混合され得る。この際、前記空気ストリームは、第1熱交換器400、または第1熱交換器400および第3熱交換器420を通過しながら熱交換されていてもよく、前記廃水は、第1蒸発器100に供給される前に、第2熱交換器410を介して熱交換されていてもよい。例えば、前記廃水は、第2熱交換器410で第1熱交換器400を通過した混合排出ストリームと熱交換されていてもよい。
【0046】
前記第2混合器210から排出される混合ストリームは、焼却炉300に移動することができる。前記焼却炉300には、選択的に、別の燃料もしくは空気の投入が可能である。
【0047】
前記焼却炉300では、第2混合器210から排出される混合ストリームを焼却し、第1焼却炉排出ストリームおよび第2焼却炉排出ストリームへ、温度によって分離して排出することができる。前記第1焼却炉排出ストリームと第2焼却炉排出ストリームは、第3混合器220で混合され得る。この際、前記第1焼却炉排出ストリームは、第3熱交換器420で熱交換された後、前記第2焼却炉排出ストリームと、第3混合器220で混合され得る。
【0048】
前記第1焼却炉排出ストリームは、第3混合器220に供給される前に、蒸気発生装置500を通過しながらスチームを形成した後、第3混合器220に供給され得る。前記第3混合器220で混合された混合排出ストリームは、第1熱交換器400に供給され、前記第1熱交換器400で空気(Fresh Air)ストリームと熱交換を経た後、第2熱交換器410に供給され得、前記第2熱交換器410で熱交換された混合排出ストリームは、大気に放出され得る。
【0049】
前記第1熱交換器400、または第1熱交換器400および第3熱交換器420で熱交換された空気ストリームは、焼却炉300に供給され得る。例えば、前記熱交換された空気ストリームは、前記第2混合器210に供給され、第1混合器200から排出される蒸発器の上部排出ストリームおよび廃水処理場から排出されるガスと混合した後、焼却炉300に供給され得る。
【0050】
以上、本発明による廃水焼却方法および装置について記載および図面に図示しているが、前記の記載および図面の図示は、本発明を理解するための核心的な構成のみを記載および図示したものであって、前記記載および図面に図示した工程および装置の他に、別に記載および図示していない工程および装置は、本発明による廃水焼却方法および装置を実施するために適宜応用され用いられ得る。
【実施例】
【0051】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明する。しかし、下記の実施例は、本発明を例示するためのものであって、本発明の範疇および技術思想の範囲内で様々な変更および修正が可能であることは、通常の技術者にとって明白なことであり、これらにのみ本発明の範囲が限定されるものではない。
【0052】
(実施例1)
図1に図示されている工程フローチャートに対して、ASPENTECH社製のASPEN Plusシミューレータを用いて、工程をシミュレーションした。
【0053】
この際、第1蒸発器に供給される廃水の温度は30℃と、圧力は0.2kg/sqcmgと、質量流量は10,000kg/hrと設定し、廃水の成分は、87.57重量比の水と4.90重量比のメタノール、2.33重量比のブタノール、1.65重量比のネオペンチルグリコール(NPG)、2.91重量比の塩化ナトリウム、その他の数量のブチルアルデヒド、オクタノール、トリメチルアミンなどが含まれている。
【0054】
また、焼却炉に供給される空気ストリームは20℃に設定し、組成は、21モル質量比の酸素と79モル質量比の窒素に設定し、廃水の成分は、水87.57重量%、メタノール4.90重量%、ブタノール2.33%、ネオペンチルグリコール(NPG)1.65重量%、塩化ナトリウム2.91重量%およびブチルアルデヒド、オクタノール、トリメチルアミンなどを含む有機物0.64重量%からなっている。
【0055】
また、焼却炉に供給される空気ストリームは20℃に設定し、組成は、酸素21モル%および窒素79モル%に設定した。
【0056】
(実施例2)
図2に図示されている工程フローチャートに対して、ASPENTECH社製のASPEN Plusシミューレータを用いて、工程をシミュレーションした以外は、実施例1と同一の方法で実施した。
【0057】
(比較例)
図3に図示されている工程フローチャートに対して、ASPENTECH社製のASPEN Plusシミューレータを用いて、工程をシミュレーションした以外は、実施例1と同一の方法で実施した。
図3は、本願による廃水焼却工程において、第2熱交換器もしくは第3熱交換器を除去した場合の工程フローチャートである。
【0058】
(実験例)
前記実施例1~2および比較例による工程シミュレーションの結果、工程の流れによるそれぞれのストリームに対する温度を下記表1に示し、第1蒸発器100の消費熱量を下記表2に示した。
【0059】
【0060】
【0061】
先ず、前記表1を参照して、実施例1および2による廃水焼却工程の流れと比較例による廃水焼却工程の流れとを比較すると、第2熱交換器410もしくは第3熱交換器420を設置することで、大気に放出されるストリームの温度、第1蒸発器100に供給されるストリームの温度に大きい差を示すことを確認することができる。
【0062】
具体的には、実施例1および2の廃水焼却工程で、第2熱交換器410を設置することで、第1熱交換器400で熱交換された混合排出ストリームをすぐ大気に放出するのではなく、前記熱交換された混合排出ストリームを第2熱交換器410に供給し、廃水ともう一度熱交換させた後、大気に放出する。一方、第2熱交換器410を設置していない比較例の廃水焼却工程の場合には、第1熱交換器400で熱交換された混合排出ストリームがすぐ大気に放出される。したがって、実施例1~実施例2および比較例の廃水焼却工程で大気に排出されるストリームの温度は、それぞれ105.0℃、69.2℃および155.0℃と、実施例1および2の場合、比較例の大気排出温度と比較して著しく低いことが分かる。特に、第2熱交換器410とともに第3熱交換器420が設置された実施例2の場合、工程内で熱をより効果的に再使用し、大気排出ストリームの温度がより低いことが分かる。つまり、実施例1および2では、第2熱交換器410もしくは第3熱交換器420を設置することで、50℃~85.8℃に対応する熱をリサイクルして廃水を予熱することで、蒸発器で廃水を加熱するために要する熱量を節約できるということが分かる。
【0063】
また、廃水は、第1蒸発器100に供給されるが、前記実施例1および2の廃水焼却工程では、前記廃水を第2熱交換器410で予熱した後に第1蒸発器100に供給する。一方、第2熱交換器410を設置していない比較例の場合には、廃水をすぐ第1蒸発器100に供給する。具体的には、比較例の場合、30.0℃の廃水をすぐ第1蒸発器100に供給するが、実施例1および実施例2の場合には、廃水を第2熱交換器410で第1熱交換器400を通過した混合排出ストリームと熱交換させた後に第1蒸発器100に供給する。この際、実施例1および実施例2の前記第2熱交換器410で熱交換された廃水の温度は、それぞれ100.0℃および64.2℃と、比較例と比較して著しく高い温度であることが分かる。
【0064】
また、第3熱交換器420が設置された実施例2の場合、空気ストリームが、第1熱交換器400で第3混合器220から供給されるストリームと熱交換され、前記第1熱交換器400で熱交換された空気ストリームは、第3熱交換器420で第1焼却炉排出ストリームとまた熱交換される。このように、第1熱交換器400および第3熱交換器420を通過しながら熱を得た空気ストリームは、焼却炉300にまた供給されるが、この場合、空気ストリームの温度は、240.3℃と、比較例の171.7℃と比較して著しい温度差を示し、前記温度の差だけ焼却炉300で廃水を焼却するために要する熱を節約できるということが分かる。
【0065】
また、第2熱交換器410もしくは第3熱交換器420を設置しているか否かによる省エネルギー効果は、前記表2からも確認することができる。前記表2を参照すると、実施例1および実施例2の場合、第1蒸発器100で使用された熱量が、それぞれ4.101Gcal/hrおよび4.694Gcal/hrと、比較例の第1蒸発器100で使用された熱量である5.023Gcal/hrと比較すると、0.329Gcal/hr~0.922Gcal/hrほどエネルギーを節減したことが分かる。