(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-05
(45)【発行日】2022-04-13
(54)【発明の名称】ジメチロールブタナールの製造方法及びこれを用いたトリメチロールプロパンの製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 45/75 20060101AFI20220406BHJP
C07C 47/19 20060101ALI20220406BHJP
C07C 31/22 20060101ALI20220406BHJP
C07C 29/141 20060101ALI20220406BHJP
B01J 31/02 20060101ALI20220406BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20220406BHJP
【FI】
C07C45/75
C07C47/19
C07C31/22
C07C29/141
B01J31/02 102Z
C07B61/00 300
(21)【出願番号】P 2020552888
(86)(22)【出願日】2019-07-10
(86)【国際出願番号】 KR2019008471
(87)【国際公開番号】W WO2020085613
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2020-09-29
(31)【優先権主張番号】10-2018-0125970
(32)【優先日】2018-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ミン-チ
(72)【発明者】
【氏名】オム、ソンシク
(72)【発明者】
【氏名】チョン、タウォン
(72)【発明者】
【氏名】キム、テ-ユン
(72)【発明者】
【氏名】コ、トン-ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ミ-ヨン
【審査官】奥谷 暢子
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0047257(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0118808(KR,A)
【文献】特開平10-231264(JP,A)
【文献】特表2016-501202(JP,A)
【文献】米国特許第05763690(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
B01J
C07B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
n-ブチルアルデヒド(n-BAL)及びパラホルムアルデヒド(PFA, paraformaldehyde)を水及びアルキルアミン触媒下でアルドール反応させる工程を含み、
前記パラホルムアルデヒド:
前記水の重量比は、1:(0.35~0.85)である、ジメチロールブタナールの製造方法。
【請求項2】
前記n-ブチルアルデヒド:
前記パラホルムアルデヒドのモル比は、1:(2.5~4)である、請求項1に記載のジメチロールブタナールの製造方法。
【請求項3】
前記n-ブチルアルデヒド:
前記アルキルアミン触媒のモル比は、1:(0.1~0.3)である、請求項1又は2に記載のジメチロールブタナールの製造方法。
【請求項4】
前記アルドール反応させる工程は、n-ブチルアルデヒド、パラホルムアルデヒド及び水を反応器に投入した後に、
前記アルキルアミン触媒を反応器に投入する工程で行われる、請求項1~3のいずれか一項に記載のジメチロールブタナールの製造方法。
【請求項5】
前記アルドール反応させる工程は、20℃~50℃の温度で行われる、請求項1~4のいずれか一項に記載のジメチロールブタナールの製造方法。
【請求項6】
前記アルキルアミン触媒は、トリメチルアミン(trimethylamine)、トリエチルアミン(triethylamine, TEA)、トリプロピルアミン(tripropylamine)及びジイソプロピルエチルアミン(diisopropylethylamine)のうち1種以上を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のジメチロールブタナールの製造方法。
【請求項7】
前記アルドール反応させる工程の後に、
アルコール溶媒を用いて抽出工程を行うステップをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のジメチロールブタナールの製造方法。
【請求項8】
前記アルコール溶媒は、2-エチルヘキサノール(2-ethyl hexanol, 2-EH)である、請求項7に記載のジメチロールブタナールの製造方法。
【請求項9】
前記アルドール反応させる工程後に生成されるアルドール反応物:
前記アルコール溶媒の重量比は、1:(0.3~1.5)である、請求項7又は8に記載のジメチロールブタナールの製造方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のジメチロールブタナールの製造方法によってジメチロールブタナールを製造するステップ;及び
金属触媒下で水素化反応させてトリメチロールプロパン(TMP)を製造するステップ を含む、トリメチロールプロパンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2018年10月22日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2018-0125970号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、ジメチロールブタナールの製造方法及びこれを用いたトリメチロールプロパンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
トリメチロールプロパン(trimethylolpropane, TMP)は、多様な方法で製造されることができ、その中の一つは、下記のようにn-ブチルアルデヒド(n-BAL)、ホルムアルデヒド(FA)をアルカリ金属(主に、NaOH)触媒下にカニッツァーロ (Cannizzaro)反応を通じて行われる。
【0004】
【0005】
商業化工程で主に使用されるカニッツァーロ(Cannizzaro)反応によるTMPの製造方法は、TMP1mol当たり1molの金属ギ酸塩(formate salt)が副産物として生成されて、効率的ではない。
【0006】
トリメチロールプロパンは、常温で白色結晶物質であり、アルキド樹脂、飽和ポリエステル、合成潤滑油、ポリウレタン樹脂、及び可塑剤の分野などの多様な分野で原料物質として広く使用される。よって、産業的に重要な原料物質であるトリメチロールプロパンを経済的な方法で生産するための研究が持続的に行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願は、ジメチロールブタナールの製造方法及びこれを用いたトリメチロールプロパンの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の一実施態様は、
n-ブチルアルデヒド(n-BAL)及びパラホルムアルデヒド(PFA, paraformaldehyde)を水及びアルキルアミン触媒下にアルドール反応させる工程を含み、
上記パラホルムアルデヒド:水の重量比は、1 :(0.35~0.85)である、ジメチロールブタナールの製造方法を提供する。
【0009】
また、本願の別の実施態様は、
上記ジメチロールブタナールの製造方法によってジメチロールブタナールを製造するステップ; 及び
金属触媒下で水素化反応させてトリメチロールプロパン(TMP)を製造するステップ
を含む、トリメチロールプロパンの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本願の一実施態様に係るジメチロールブタナールの製造方法は、従来のホルマリンの代りにパラホルムアルデヒドを適用することにより水の含量を調節することができ、これによって有効成分の収率(yield)及びDMB(ジメチロールブタナール)選択度を高めて、工程効率を効果的に高めることができる。
【0011】
また、本願の一実施態様によって製造されたジメチロールブタナールを水素化反応の原料として使用して、トリメチロールプロパンを高い効率で得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本願についてより詳細に説明する。
【0013】
本願において、「抽出効率」は、投入された抽出原料中に含まれた目的とする抽出物質の重量に対して、抽出後の抽出溶媒内に含まれる抽出物質の重量の比と定義される。
【0014】
また、本願において、「収率」は、反応で実際に生産される生産物の量を、理論上期待できる最大生産量で割った値と定義される。
【0015】
また、本願において、「転換率(%)」は、反応物が生成物に転換される割合を言い、例えば、FA転換率は、下記の式で定義されることができる。
【0016】
転換率(%)=[(反応したFAのモル数)/(供給されたFAのモル数)]×100
【0017】
また、本願において、「選択度(%)」は、DMBの変化量をFAの変化量で割った値と定義される。例えば、DMB選択度は、下記の式で表されることができる。
【0018】
選択度(%)=[(生成されたDMBのモル数)/(反応したFAのモル数)]×100
【0019】
TMPを製造するカニッツァーロ(Cannizzaro)反応の場合、n-BALが反応を通じて TMPが生成されながら、ギ酸塩が副産物として共に生成される。しかし、本願の一実施態様に係るトリメチロールプロパンの製造方法においては、アルドール反応後、DMBを抽出方式で分離してから、水素化工程を経てTMPが生成されるので、副産物がほとんど生成されない。
【0020】
アルドール反応後、DMBと一部のTMPが形成されることによって少量の塩が生成され、これを除去しないと、その後の水素化反応時の反応性及び安定性を低下させる。トリメチロールプロパンを水素化反応で製造する場合、1段階のアルドール反応後に、トリメチロールプロパンの前段階物質であるジメチロールブタナール(DMB)の効果的な分離が必要である。
【0021】
また、上記アルドール反応に適用されるホルマリン(Formalin)は、約42%のホルムアルデヒド(Formaldehyde)が約56%の水に溶けており、残りはMeOHから構成されている。上記ホルマリン(Formalin)を使用すると、アルドール縮合反応物に約40%程度の水分が残っていて、その後の分離工程である抽出工程で抽出効率を低減させる原因となる。
【0022】
そこで、本願においては、アルドール縮合反応物に含まれる水分の含量を減らして、上記抽出効率を高めようとした。
【0023】
本願の一実施態様に係るジメチロールブタナールの製造方法は、n-ブチルアルデヒド(n-BAL)及びパラホルムアルデヒド(PFA, paraformaldehyde)を水及びアルキルアミン触媒下でアルドール反応させる工程を含み、上記パラホルムアルデヒド:水の重量比は、1 :(0.35~0.85)である。
【0024】
本願の一実施態様において、上記アルドール反応させる工程が行われる反応器は、アルドール反応に使用できる反応器であれば、特に制限されない。例えば、上記反応器は、ジャケット式(jacket type)の反応器であってもよいが、これにのみ限定されるものではない。
【0025】
本願の一実施態様において、上記アルドール反応させる工程において、上記反応器には n-ブチルアルデヒド、パラホルムアルデヒド、水及びアルキルアミン触媒が同時に投入されてもよく、これらのうち一部が先に反応器に投入されてもよい。例えば、反応効率をより向上するためには、n-ブチルアルデヒド、パラホルムアルデヒド及び水を反応器に先に投入した後、アルキルアミン触媒を反応器にゆっくり投入するのが好ましい。また、上記n-ブチルアルデヒド、パラホルムアルデヒド、水及びアルキルアミン触媒を反応器に投入した後、撹拌するステップをさらに含むことができる。また、上記n-ブチルアルデヒド、パラホルムアルデヒド及びアルキルアミン触媒を第1反応器に投入した後、反応と同時に撹拌するステップが行われることができる。すなわち、反応と撹拌とが同時に行われることができる。上記撹拌するステップの撹拌速度は、150rpm~350rpmであってもよく、より好ましくは200rpm~300rpmであってもよい。
【0026】
本願の一実施態様において、上記パラホルムアルデヒド:水の重量比は、1:(0.35~0.85)であってもよく、1:(0.38~0.8)であってもよい。上記水の重量比が0.35未満の場合には、PFAが水にゆっくり溶けて反応速度が遅くなる。よって、転換率及び収率が減少し、蒸留水がほとんどない場合、反応が起きない。また、上記水の重量比が0.85を超過する場合には、従来の42%ホルムアルデヒド(formaldehyde)を使用すること(反応物内の水分:約40%)と水分含量において大きな差がなく、転換率は高いがDMB選択度が減少するようになる。また、上記水の重量比が0.85を超過する場合には、反応生成物内の水分含量が高く、DMB含量が相対的に少ないので、アルドール反応後、抽出工程時に同一の抽出効率を示すために溶媒(solvent)の使用量が増加するようになる。
【0027】
本願の一実施態様において、上記n-ブチルアルデヒド:パラホルムアルデヒドのモル比は、1:(2.5~4)であってもよく、1:(2.8~3.7)であってもよい。上記 n-ブチルアルデヒド1モルを基準にパラホルムアルデヒドが2.5モル未満の場合には、反応収率が急激に低下するおそれがあり、4モルを超過する場合には、反応収率の増加幅に比べて反応後に回収しなければならないパラホルムアルデヒドの量が急激に増加して、経済性に劣るおそれがある。
【0028】
本願の一実施態様において、上記n-ブチルアルデヒド:アルキルアミン触媒のモル比は、1:(0.1~0.3)であってもよく、1:(0.15~0.25)であってもよい。 上記n-ブチルアルデヒド1モルを基準にアルキルアミン触媒が0.1モル未満の場合には、反応速度が遅くなって反応時間が増加するおそれがあり、0.3モルを超過する場合には、多くの量の触媒を使用するから経済性に劣るおそれがある。
【0029】
本願の一実施態様において、上記アルドール反応させる工程は、20℃~50℃の温度で行われることができ、30℃~40℃の温度で行われることができる。上記アルドール反応させる工程の温度が20℃未満の場合には、転換率が減少し、反応速度が遅くなって、総反応時間が増加する問題点が発生するおそれがある。また、上記アルドール反応させる工程の温度が50℃を超過する場合には、副反応が増加して収率が減少するおそれがある。
【0030】
本願の一実施態様において、上記アルキルアミン触媒は、炭素数3~20のアルキルアミンを含むことができる。より具体的に、上記アルキルアミン触媒は、トリメチルアミン(trimethylamine)、トリエチルアミン(triethylamine, TEA)、トリプロピルアミン(tripropylamine)及びジイソプロピルエチルアミン(diisopropylethylamine)のうち1種以上を含むことができ、好ましくはトリエチルアミンを含むことができる。
【0031】
本願の一実施態様において、上記アルドール反応させる工程の後に、アルコール溶媒を用いて抽出工程を行うステップをさらに含むことができる。上記アルコール溶媒は、炭素数2~10のアルコール溶媒であってもよい。具体的に、上記アルコール溶媒は、炭素数6~8のアルコール溶媒であってもよく、好ましくは炭素数8のアルコール溶媒であってもよい。本明細書の一実施態様において、上記アルコール溶媒は、2-エチルヘキサノール(2-ethylhexanol, 2-EH)であってもよい。
【0032】
本願の一実施態様において、上記アルドール反応させる工程後に生成されるアルドール反応物:アルコール溶媒の重量比は、1:(0.3~1.5)であってもよく、1:(0.5~1.3)であってもよい。上記アルコール溶媒の重量比が0.3未満の場合には、抽出効率が減少するおそれがあり、1.5を超過する場合には、抽出効率は増加し得るが、溶媒の使用量が増加するので、使用された溶媒を処理するコストが増加するようになって、好ましくない。
【0033】
本願の一実施態様において、上記抽出するステップにおいて、抽出温度は、25℃~90℃が好ましく、具体的には30℃~70℃が好ましい。上記抽出温度を満す場合に、抽出収率を増加させることができる。
【0034】
本願の一実施態様に係るトリメチロールプロパンの製造方法は、上記ジメチロールブタナールの製造方法によってジメチロールブタナールを製造するステップ; 及び金属触媒下で水素化反応させてトリメチロールプロパン(TMP)を製造するステップを含む。
【0035】
本願の一実施態様において、上記金属触媒は、銅系金属触媒であってもよい。上記銅系金属触媒は、水素化反応に用いられる触媒であれば、制限されない。
【0036】
本願の一実施態様において、上記トリメチロールプロパンの製造方法に使用される反応器は、バッチ式(Batch type)の水素化反応器であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0037】
本願の一実施態様において、上記水素化反応の反応温度は、80℃~150℃であってもよく、好ましくは100℃~140℃であってもよく、より好ましくは110℃~130℃であってもよい。上記水素化反応の反応圧力は、2MPa~7MPa(20bar~70bar)であってもよい。好ましくは2.5MPa~5MPa(25bar~50bar)であってもよい。上記水素化反応の反応温度及び反応圧力が上述した範囲を満す場合に、高い収率でトリメチロールプロパンを製造することができる。
【0038】
本願の一実施態様において、上記水素化反応のとき、ジメチロールブタナール1モルを基準に水素(H2)のモル比が、1~3であってもよく、好ましくは1~2であってもよい。
【0039】
本願の一実施態様において、上記トリメチロールプロパンを製造するステップは、トリメチロールプロパンを70%以上の収率で製造することができ、75%以上の収率で製造することができる。
【0040】
本願の一実施態様において、上記トリメチロールプロパンの製造方法は、トリメチロールプロパンを水素化反応によって製造した後、精製するステップをさらに含むことができる。
【実施例】
【0041】
以下、本願を具体的に説明するために、実施例を挙げて詳細に説明する。ところが、本願に係る実施例は、種々の異なる形態に変形されることができ、本願の範囲が以下に述べる実施例に限定されるものとは解釈されない。本願の実施例は、当業界における平均的な知識を有する者に本願をより完全に説明するために提供されるものである。
【0042】
<実施例>
<実施例1>
温度調節が可能な1L反応器にn-BAL(n-butylaldehyde)120gとPFA(paraformaldehyde)180gを投入した後、蒸留水を入れて撹拌した。このとき、蒸留水はPFA重量に対し0.4倍で投入した。塩基触媒であるTEA25gをゆっくり滴加して、反応を開始した。35℃に温度を調節しながら、6時間反応した。上記n-BAL:PFAのモル比は、1:3.6であり、上記n-BAL:TEAのモル比は、1:0.15であった。
【0043】
<実施例2>
実施例1において、上記蒸留水をPFA重量に対し0.46倍で投入したこと以外には、実施例1と同様に行った。
【0044】
<実施例3>
実施例1において、上記蒸留水をPFA重量に対し0.78倍で投入したこと以外には、実施例1と同様に行った。
【0045】
<実施例4>
分液漏斗(Separatory funnel)に実施例2のアルドール反応物200gを投入した後、反応物の1倍重量にあたる2-エチルヘキサノール(2-Ethyl hexanol)を投入した。5分間ハンドシェイク(hand shaking)後、30分間放置して、エキストラクト(extract)とラフィネート(raffinate)とを分離した。
【0046】
<実施例5>
実施例4で抽出時に反応物の0.8倍重量にあたる2-エチルヘキサノール(2-Ethyl hexanol)を投入したこと以外には、実施例4と同様に行った。
【0047】
<実施例6>
実施例4で抽出時に反応物の0.6倍重量にあたる2-エチルヘキサノール(2-Ethyl hexanol)を投入したこと以外には、実施例4と同様に行った。
【0048】
<比較例1>
温度調節が可能な1L反応器にn-BAL120gとホルマリン(formalin)430g(H2O/FA=1.3)を投入した後、塩基触媒TEA25gをゆっくり滴加して、反応を開始した。35℃に温度を調節しながら、3時間反応した。上記n-BAL:FAのモル比は、1:3.6であり、上記n-BAL:TEAのモル比は、1:0.15であった。
【0049】
<比較例2>
温度調節が可能な1L反応器にn-BAL120gとPFA180gを投入した後、蒸留水を入れて撹拌した。このとき、蒸留水はPFA重量に対し0.01倍で投入した。塩基触媒であるTEA25gをゆっくり滴加して反応を開始した。35℃に温度を調節しながら、6時間反応した。上記n-BAL:PFAのモル比は、1:3.6であり、上記n-BAL:TEAのモル比は、1:0.15であった。
【0050】
<比較例3>
比較例2において、上記蒸留水をPFA重量に対し0.2倍で投入したこと以外には、比較例2と同様に行った。
【0051】
<比較例4>
分液漏斗(Separatory funnel)に比較例1のアルドール反応物200gを投入した後、反応物の1倍重量にあたる2-エチルヘキサノール(2-Ethyl hexanol)を投入した。5分間ハンドシェイク(hand shaking)後、30分間放置して、エキストラクト(extract)とラフィネート(raffinate)とを分離した。
【0052】
<比較例5>
比較例4で抽出時に反応物の2倍重量にあたる2-エチルヘキサノール(2-Ethyl hexanol)を投入したこと以外には、比較例4と同様に行った。
【0053】
<比較例6>
比較例4で抽出時に反応物の6倍重量にあたる2-エチルヘキサノール(2-Ethyl hexanol)を投入したこと以外には、比較例4と同様に行った。
【0054】
<実験例1>
上記実施例1~3、及び比較例1~3のアルドール反応工程後に生成される反応物のGC分析、FA分析、水分分析を進行して組成を確認し、転換率、収率、選択度などを計算した。 その結果は、下記表1に示す。
【0055】
【0056】
上記比較例2では、反応が進行されなかった。
【0057】
<実験例2>
上記実施例4~6、及び比較例4~6の抽出工程後、GC分析、FA分析、水分分析を進行して、各層の組成を確認し、抽出効率を計算した。その結果は、下記表2に示す。
【0058】
【0059】
上記結果のように、本願の一実施態様に係るジメチロールブタナールの製造方法は、従来のホルマリンの代りにパラホルムアルデヒドを適用することにより水の含量を調節することができ、これによって、有効成分の収率(yield)及びDMB(ジメチロールブタナール) 選択度を高めて、工程効率を効果的に高めることができる。
【0060】
また、本願の一実施態様によって製造されたジメチロールブタナールを水素化反応の原料として使用して、トリメチロールプロパンを高い効率で得ることができる。