(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-06
(45)【発行日】2022-04-14
(54)【発明の名称】材料試験装置及び材料試験方法
(51)【国際特許分類】
G01N 3/32 20060101AFI20220407BHJP
【FI】
G01N3/32 A
G01N3/32 S
(21)【出願番号】P 2017189654
(22)【出願日】2017-09-29
【審査請求日】2020-08-18
(31)【優先権主張番号】P 2016199416
(32)【優先日】2016-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(72)【発明者】
【氏名】波戸 友徳
(72)【発明者】
【氏名】津村 孝
【審査官】西浦 昌哉
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-302880(JP,A)
【文献】特開2010-163686(JP,A)
【文献】特開2008-058017(JP,A)
【文献】特開平08-327519(JP,A)
【文献】特開昭52-119379(JP,A)
【文献】米国特許第07409869(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/00- 3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス雰囲気中で試験片に荷重負荷を与える材料試験装置であって、
試験片を囲繞する筐体と、
前記筐体内の大気を排出する排気手段と、
前記筐体内に雰囲気ガスを供給する雰囲気ガス供給手段と、
前記筐体内の雰囲気の酸素濃度を測定する酸素濃度測定手段と、
前記酸素濃度測定手段で測定された酸素濃度に応じて、前記筐体内が所定の酸素濃度となるように前記雰囲気ガス供給手段を制御する制御手段とを有
し、
前記排気手段は、
前記筐体に固定された大気排出口と、
前記筐体の外側に配置された逆止弁と、
前記大気排出口から延伸して前記逆止弁に連結し、さらに前記逆止弁から延伸して建屋外に連通して大気開放される配管からなる
ことを特徴とする材料試験装置。
【請求項2】
前記材料試験装置は、
前記試験片を加熱する加熱手段を
さらに備え
る請求項1に記載の材料試験装置。
【請求項3】
前記材料試験装置は、
前記試験片を加熱冷却する加熱冷却手段を
さらに備え、前記加熱冷却手段
を構成する冷却手
段は前記雰囲気ガスを冷媒として
前記試験片に吹き付けるノズルを有
する請求項1に記載の材料試験装置。
【請求項4】
試験片を囲繞した筐体内に雰囲気ガスを供給しつつ
前記筐体内の大気を
前記筐体の外部に排出して前記筐体内
を前記雰囲気
ガスで置換
する工程と、
前記置換する工程によって低下する前記筐体内の酸素濃度を随時測定しつつ
、前記雰囲気ガスの供給を制御する
工程と、を有し、
前記筐体内を所定の酸素濃度に維持しながら
前記試験片に荷重負荷を与えることを特徴とする材料試験方法。
【請求項5】
前記材料試験方法は、
前記試験片を加熱
する工程をさらに有し、
前記試験片を所定の試験温度に保持して前記試験片
に引張・圧縮の荷重負荷を与える高温低サイクル疲労試験
である請求項
4に記載の材料試験方法。
【請求項6】
前記材料試験方法は、
前記試験片を
拘束して加熱冷却
する工程をさらに有し、
前記試験片
に加熱と冷却による温度変化を繰り返し与えて熱疲労破壊を起こさせる熱疲労寿命試験
である請求項
4に記載の材料試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス雰囲気中で試験片に荷重負荷を与えて材料の強度特性を評価するための材料試験装置及び材料試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
新しい材料を開発する場合には、材料の有する機械的な強度特性を評価して材料が破壊に至るメカニズムを仮説、考察した上で組成や組織の最適化を図ることが不可欠である。材料の強度特性としては、疲労特性、引張特性、曲げ特性、ねじり特性、疲労亀裂進展特性、クリープ特性、破壊靭性特性、衝撃特性等が挙げられる。これらの強度特性は、例えば、単に材料自体の有する力学的な強度のみならず、材料が暴露される環境、即ち例えば酸化雰囲気や硫化雰囲気、高温高圧、極低温など様々な環境に起因した亀裂の生成や進展の影響を受けてその特性が決定づけられている。
【0003】
これらの環境影響のうち、特に金属材料の場合には、酸素を含む大気雰囲気による酸化の影響が大きく、さらに高温の環境下では酸化の影響が顕著となることが知られている。このため、材料開発にあたって材料の強度特性を正確に評価するためには、酸素による酸化の影響を排除して材料の強度特性を把握、評価することを求められることがある。
【0004】
従来より材料試験において、大気による酸化の影響を排除して強度特性を評価するために、評価対象の材料からなる試験片を筐体やチャンバと呼ばれる容器(以下、筐体という)の中に収納設置して密閉状態に置き、この筐体内を真空にして又はアルゴンや窒素等の不活性ガスを供給して不活性の雰囲気として、試験片に荷重負荷を与えて試験することが行われている。例えば、高温雰囲気での材料試験として、特許文献1には、試験片を囲む筐体と、この筐体内を加熱する手段と、試験片の高温雰囲気における酸化を防止するために筐体内に不活性ガスを供給する手段とを備えた高温雰囲気材料試験機の記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
試験片がこれを取り巻く周囲の雰囲気によって酸化されることを抑制するためには、試験片と酸素を含む大気とを遮断するように試験片を筐体で囲んで密閉するとともに、前述したように筐体内を真空にするか、または特許文献1の試験機で示すように、筐体内に不活性ガスを供給することで筐体内の大気を排除する必要がある。筐体内を真空にして大気を排除する場合には、筐体内を真空吸引する際に筐体外から大気が侵入することを防止するために筐体の気密性を確保する必要がある。筐体の気密性確保のためには、筐体と試験装置との嵌合部や摺動部に、パッキン、Oリング、ベローズ等の簡易安価なシール手段を用いることが考えられる。しかし試験環境が高温であったり、試験時間が長時間に亘る試験の場合には、簡易安価なシール手段では、シール手段が熱による変形や劣化、摺動による摩耗などを起こしやすく、これにより筐体外からの大気の侵入が生ずるので気密性を確保することは容易ではない。一方、完全な気密性を確保するためには複雑特殊かつ高価な密閉構造が必要となる。筐体内を真空にする場合には真空ポンプなどの特殊装置の設置を要するが、これにくわえて複雑高価なシール手段を設置することは材料試験に要する費用が増大して経済的でない。
【0007】
また、筐体内に不活性ガスを供給することで筐体内の大気を排除する場合には、筐体内を真空吸引して大気を排出後に不活性ガスを供給して雰囲気を置換するか、或いは特許文献1の試験機で示すように、筐体内の大気を排出しつつ不活性ガスを供給することとなる。何れの場合も筐体内を真空にする場合と同様に筐体の気密性を確保する必要があり、完全な気密性確保のためには、前述のとおり複雑特殊かつ高価な密閉構造が必要となる。くわえて、筐体内の大気を排出しつつ不活性ガスを供給する場合には、密閉構造のみならず大気を排出するための排気構造も必要となり試験装置は一層複雑な構造となる。
【0008】
なお、特許文献1では、段落0007に「不活性ガスを加熱炉1内に導入すると、やがて加熱炉1内に不活性ガスが充満し、加熱炉1内の残留ガスがすべて加熱炉1と両ロッド4、8とのすきま等から排出され、加熱炉1内は不活性ガスだけの雰囲気となる。」との記載があるように、特定の排気構造を設けることなく、筐体と試験装置の構成部材との嵌合部にある隙間から筐体内の残留ガスである大気を排出する構造としている。この記載から特許文献1の密閉構造は完全な気密性を確保した完全密閉状態ではなく、略密閉状態の構造(以下、略密閉構造ということがある)と考えられる。略密閉構造の場合、シール手段は簡易安価となるものの、気密性が不十分で筐体内の酸素濃度が上昇して試験片の酸化を抑制できない虞があるばかりか、シール手段の経時劣化や大気圧の変化などにより筐体内の酸素濃度が変動して試験片の酸化の程度にバラツキを生じて正確な試験結果を得られない虞がある。
【0009】
さらに、特許文献1の試験装置では、段落0020に「酸素等が加熱炉1内に混入することを防止するために、試験中も不活性ガスの供給は継続することが望ましい」との記載がある。しかし、試験中に不活性ガスの供給を継続することは、試験が長時間に亘る場合、不活性ガスを多量に消費することとなり試験費用が増大して不経済であるのみならず、不活性ガスの排出先が室内である場合は窒息の危険など安全上の問題がある。
【0010】
本発明の目的は、上記した課題に鑑み、簡易な構造であっても試験雰囲気の酸素濃度の上昇や変動を抑制して、しかも安価かつ安全にガス雰囲気中での強度特性を評価できる材料試験装置及び材料試験方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成されている。即ち、本発明の材料試験装置は、ガス雰囲気中で試験片に荷重負荷を与える材料試験装置であって、試験片を囲繞する筐体と、前記筐体内の大気を排出する排気手段と、前記筐体内に雰囲気ガスを供給する雰囲気ガス供給手段と、前記筐体内の雰囲気の酸素濃度を測定する酸素濃度測定手段と、前記酸素濃度測定手段で測定された酸素濃度に応じて、前記筐体内が所定の酸素濃度となるように前記雰囲気ガス供給手段を制御する制御手段とを有し、前記排気手段は、前記筐体に固定された大気排出口と、前記筐体の外側に配置された逆止弁と、前記大気排出口から延伸して前記逆止弁に連結し、さらに前記逆止弁から延伸して建屋外に連通して大気開放される配管からなることを特徴とする。
【0012】
本発明の材料試験装置は、前記試験片を加熱する加熱手段をさらに備えることで、試験片の高温低サイクル疲労試験を行なう材料試験装置とすることができる。また、本発明の材料試験装置は、前記試験片を加熱冷却する加熱冷却手段をさらに備え、前記加熱冷却手段を構成する冷却手段には前記雰囲気ガスを冷媒として試験片に吹き付けるノズルを有することで、試験片の熱疲労試験を行なう材料試験装置とすることができる。
【0013】
本発明の材料試験方法は、試験片を囲繞した筐体内に雰囲気ガスを供給しつつ筐体内の大気を前記筐体の外部に排出して前記筐体内を前記雰囲気ガスで置換する工程と、
前記置換する工程によって低下する前記筐体内の酸素濃度を随時測定しつつ、前記雰囲気ガスの供給を制御する工程と、を有し、前記筐体内を所定の酸素濃度に維持しながら前記試験片に荷重負荷を与えることを特徴とする。
【0014】
本発明の材料試験方法は、前記酸素濃度を大気中の酸素濃度以下の任意の濃度に設定して試験を行なうことができる。
【0015】
本発明の材料試験方法は、前記試験片を加熱する工程をさらに有することで、前記試験片を所定の試験温度に保持して前記試験片に引張・圧縮の荷重負荷を与える高温低サイクル疲労試験とすることができる。また、本発明の材料試験方法は、前記試験片を拘束して加熱冷却する工程をさらに有することで、前記試験片に加熱と冷却による温度変化を繰り返し与えて熱疲労破壊を起こさせる熱疲労寿命試験とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、上述した構成を具備することで、簡易な構造であっても試験雰囲気の酸素濃度の上昇や変動を抑制して、しかも安価かつ安全にガス雰囲気中での強度特性を評価できる材料試験装置及び材料試験方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る材料試験装置の概略構成図である。
【
図2】本発明の実施の形態2に係る材料試験装置の加熱冷却コイルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照してさらに詳しく説明する。なお、本発明は以下の実施の形態により何ら限定されるものではない。
【0019】
(実施の形態1)
実施の形態1では、本発明の材料試験装置及び材料試験方法のうち、試験片を加熱して行なう試験の一例として、ガス雰囲気中において、評価対象の金属材料からなる試験片を一定の温度に保持して、一定の歪み振幅で引張・圧縮の荷重負荷を与えることで、試験片に繰返し歪みを加除することで熱疲労破壊を起こさせる高温低サイクル疲労試験(LCF:Low-Cycle Fatigue)を行う試験装置及びその試験方法を例示するものである。
【0020】
図1は、実施の形態1に係る材料試験装置の概略構成図を示す。
図1で、材料試験装置1は、テーブル2と、テーブル2上に立設固定された複数のコラム4と、コラム4に昇降可能に支持固定されるクロスヘッド3と、テーブル2の下方に設置される図示しない電動又は油圧ポンプを駆動源として作動する荷重負荷手段と、を備えている。クロスヘッド3には固定ロッド5が固定され、固定ロッド5の先端に上側のチャック5aが装着され、また荷重負荷手段にはテーブル2を貫通して上方に延出する負荷ロッド6が連結され、負荷ロッド6の先端に下側のチャック6aが装着されている。試験片10は、その両端が上下一対のチャック5a、6aで把持固定されて材料試験機1に取り付け保持されている。
【0021】
高温での試験片10の疲労寿命を評価するため、試験片10は加熱手段71により加熱、保持されて試験に供される。加熱手段71は、
図1に示すリング状の加熱コイル72、何れも図示しない高周波誘導加熱装置、温度調整装置及び温度センサから構成されている。
【0022】
加熱コイル72は、試験片10の外周を囲むように設置されるとともに、高周波誘導加熱装置に接続され、高周波誘導加熱装置から加熱コイル72に高周波電流が流されて試験片10を誘導加熱する。高周波誘導加熱装置は、一端を加熱コイル72に、他端を図示しない温度調整装置に接続され、温度調整装置は、試験片10の表面に貼付けた図示しない温度センサに接続されている。温度調整装置は、温度調整装置に予め設定された所定温度と温度センサの計測温度とに基づいて、加熱コイル72に通電する高周波誘導加熱装置からの高周波電流を制御して、試験片10を所定の試験温度(例えば、900℃)に加熱、保持する。試験片10の加熱手段としては、誘導加熱に限定されず、それ以外の加熱手段として抵抗加熱や赤外線加熱を用いても良い。なお、上記した他に、材料試験装置1は、試験片10に作用する荷重を測定するロードセル、試験片10に生ずるひずみを測定する変位計等を付設されて強度特性を計測できるようにしている。
【0023】
実施の形態1の材料試験装置1は、上述した荷重負荷手段及び加熱手段71等の従来知られた構成を備えた高温低サイクル疲労試験装置である。実施の形態1の材料試験装置1は、さらに、本発明の特徴となる構成として、試験片10等を囲繞して収納する筐体11、排気手段21、雰囲気ガス供給手段31、酸素濃度測定手段41及び制御手段51を備えることで、ガス雰囲気中での高温低サイクル疲労試験を可能としている。
【0024】
即ち、材料試験装置1は、試験片10を囲繞し収納する筐体11と、筐体11に連設され筐体11内の大気を排出する排気手段21と、筐体11に連設され筐体11内に雰囲気ガスを供給する雰囲気ガス供給手段31と、筐体11内に設置され筐体11内の雰囲気の酸素濃度を測定する酸素濃度計からなる酸素濃度測定手段41と、酸素濃度測定手段41で測定された酸素濃度に応じて、筐体11内が所定の酸素濃度となるように雰囲気ガス供給手段31を制御する制御手段51と、を有している。
【0025】
筐体11は、その外周壁を材料試験装置1を構成する複数のコラム4、固定ロッド5及び負荷ロッド6が貫通している。筐体11は、その外周壁と、それを貫通する複数のコラム4、固定ロッド5及び負荷ロッド6と、の嵌合部がパッキン等によりシールされて、後述する筐体11内に供給される雰囲気ガスを外部に漏らさないとともに、筐体11外から筐体11内に大気が侵入しないよう気密状態を保持した密閉構造としている。なお、筐体11は、完全な気密状態でなくともよく、筐体11内を雰囲気ガスで置換して弱陽圧に保つことのできる程度の雰囲気調整能力を有する略密閉構造のものであればよい。筐体11を簡易安価なシール手段からなる略密閉構造で構成することで、材料試験に要する費用を節約できる。なお、実施の形態1においては、筐体11を複数のコラム4、固定ロッド5及び負荷ロッド6が貫通した態様を示したが、これは一例に過ぎず、例えば筐体11の容積をより小さくして、筐体11を固定ロッド5及び負荷ロッド6のみが貫通した態様としてもよいし、筐体11の容積をさらに小さくして、筐体11をチャック5a、6aのみが貫通した態様としてもよい。
【0026】
筐体11には、筐体11内をガス雰囲気とするために、大気排出口22を介して排気手段21及びガス供給口32を介して雰囲気ガス供給手段31がそれぞれ連設している。
【0027】
排気手段21は、筐体11に固定さた大気排出口22、大気排出口22の下流に配置された逆止弁23及び逆止弁23から下流へ延びる配管を有し、該配管は建屋外に連通している。雰囲気ガス供給手段31は、筐体11に固定されたガス供給口32、ガス供給口32の上流に配置された流量制御弁33及び流量制御弁33から上流へ延びる配管を有し、該配管は窒素を収容する不活性ガス源34に連通しており、流量制御弁33を開くことで筐体11内に不活性ガスを供給することができる。なお、不活性ガス源34としては窒素の他にアルゴン、炭酸ガス又はヘリウム等を用いることができる。また不活性ガス源34としては具体的には気体ガスボンベや液化ガスボンベを用いることができる。
【0028】
酸素濃度測定手段41は、筐体11内に付設して筐体11内の酸素濃度を測定検出するとともに制御手段51にその測定結果を出力する。酸素濃度測定手段41としては、酸素濃度計や酸素センサなどの検出手段を採用できる。制御手段51は、雰囲気ガス供給手段31の流路上の流量制御弁33と酸素濃度測定手段41とに接続している。制御手段51は、材料試験に先立って筐体11内の酸素濃度を予め設定する酸素濃度設定機能と、酸素濃度測定手段41での計測酸素濃度とに基づいて、雰囲気ガス供給手段31の流量制御弁33に弁の開閉信号を出力する機能とを備える。そして制御手段51は、酸素濃度測定手段41で計測された酸素濃度に応じて、雰囲気ガス供給手段31を制御、即ち流量制御弁33の開閉を制御することで、所望の流量の雰囲気ガスを筐体11内に供給して筐体11内が所定の酸素濃度となるように維持する。
【0029】
次に実施の形態1の材料試験装置1を用いた材料試験方法について説明する。上述のように構成した材料試験装置1に、チャック5a、6aにより試験片10を固定した後、試験片10を筐体11で囲繞する。次いで、加熱手段71を作動して加熱コイル72により試験片10を所定の試験温度に加熱、保持する。一方、雰囲気ガス供給手段31により筐体11内に雰囲気ガスとなる窒素を供給しつつ、排気手段21により筐体11内の大気を外部に排出する。この際、筐体11内の大気及び雰囲気ガス供給手段31から供給される余剰な窒素は、排気手段21の大気排出口22から排出されて、筐体11内は酸素を含んだ大気から窒素からなる不活性ガス主体の雰囲気に置換される。即ち、実施の形態1の材料試験方法では、試験片10を囲繞した筐体11内に雰囲気ガスを供給しつつ大気を排出して筐体11内の雰囲気を置換する。
【0030】
筐体11内の雰囲気の置換についてより具体的に説明すると、雰囲気ガス供給手段31の流量制御弁33を開き、不活性ガス源34から吐出した窒素をガス供給口32から筐体11内に送る。窒素の供給にともなって、筐体11内の大気は、大気排出口22とその下流に配置した逆止弁23を経由して建屋外に排出されて筐体11内の酸素濃度は低下していく。ここで、筐体11から建屋外に排出される大気は、逆止弁23により再び筐体11内に逆流することはない。酸素濃度測定手段41は、筐体11内の酸素濃度を随時、測定して、その測定結果を制御手段51に出力する。制御手段51は、酸素濃度測定手段41で測定した酸素濃度が予め設定した所定の酸素濃度に達した時点で流量制御弁33に弁を閉じる信号を出力し、流量制御弁33は弁を閉じて窒素の供給を停止する。
【0031】
なお、加熱コイル72による試験片10の加熱と、筐体11内の雰囲気の置換と、の順番は順不同であって、両者を同時に行ってもよく、何れか一方を先行して行ってもよい。試験の開始初期の試験片10の僅かな酸化を抑制する観点からは、筐体11内の雰囲気の置換を先行して行った後、加熱コイル72による試験片10の加熱を行うことが好ましい。
【0032】
上記のとおり、筐体11内を大気から窒素に置換することで、試験片10が所定の酸素濃度のガス雰囲気で取り囲まれることとなり、試験片10を高温にする材料試験であっても試験片10の酸化が抑制されるので、酸化の影響を排除した材料試験が可能となる。
【0033】
次に、所定の酸素濃度からなるガス雰囲気中におかれ、所定の試験温度に加熱、保持された状態にある試験片10に対して、図示しない荷重負荷手段を作動し、荷重負荷手段に連結した負荷ロッド6を介して、試験片10に所要の引張・圧縮の荷重を繰返し作用させて負荷を与えることによって高温低サイクル疲労試験を行なう。
【0034】
ここで、試験中の材料試験装置1の動作と作用について説明する。実施の形態1の材料試験方法では、筐体11内の酸素濃度を随時測定しつつ雰囲気ガスの供給を制御することで、筐体11内を所定の酸素濃度に維持しながら試験を行なう。材料試験装置1の筐体11は、略密閉構造であるため、試験中に筐体11の外周壁と、負荷ロッド6等の材料試験装置1の構成部材との嵌合部に存在する僅かな隙間を通して、筐体11内の雰囲気ガスが漏洩する一方で、筐体11外から大気が侵入して酸素濃度が上昇、変動することがある。しかしながら、実施の形態1の材料試験方法によれば、試験中の筐体11内の酸素濃度の上昇や変動を抑制することが可能となる。
【0035】
即ち、酸素濃度測定手段41は、試験中随時、筐体11内の酸素濃度を測定検出している。筐体11外から侵入した大気によって筐体11内の酸素濃度が、制御手段51で設定した所定の酸素濃度を超えると、制御手段51は、流量制御弁33を開ける信号を出力し、流量制御弁33は、弁を開けて不活性ガス源34から筐体11内に窒素を供給する。窒素の供給により余剰となった筐体11内の雰囲気ガスは、排気手段21の大気排出口22から排出されて逆止弁23を通過し、排気手段21の配管を経由して建屋外に大気開放される。そして雰囲気ガス供給手段31からの窒素の供給により、筐体11内の酸素濃度が所定の酸素濃度以下となると流量制御弁33が閉じて窒素の供給を停止する。
【0036】
このように、酸素濃度測定手段41、制御手段51及び流量制御弁33の連動により、筐体11内の酸素濃度を随時測定しつつ窒素の供給を制御することで、筐体11の外周壁と材料試験装置1の構成部材との嵌合部の隙間に起因して又は材料試験装置1のシール手段の経時劣化や大気圧の変化により、筐体11内に大気が侵入して試験中に筐体11内の酸素濃度が上昇したり変動したりすることを抑制する。これにより、酸素による酸化の影響を排除して材料の強度特性を把握、評価することが可能となる。
【0037】
また、実施の形態1の材料試験装置1によれば、材料試験に必要な費用を抑制できる。材料試験装置1は、真空ポンプなどの特殊装置や複雑高価なシール手段の設置が不要なので装置自体の設備コストを抑制できる。さらに上記したとおり、実施の形態1の材料試験方法によれば、筐体11内の酸素濃度に応じて窒素の供給を制御しているので高価な不活性ガスの使用量を節約できる。即ち、従来知られた特許文献1の試験装置を用いた試験方法のように試験雰囲気に酸素が侵入することを防止するために試験中も不活性ガスの供給を継続する試験方法では、疲労試験のように試験時間が長時間に亘る場合に多量の不活性ガスを消費することとなる。これに対して実施の形態1の材料試験方法によれば、試験中に継続して不活性ガスを供給するのではなく、筐体11に侵入する大気による酸素濃度の上昇を抑制するに必要な窒素のみを筐体11内に供給する。このため、疲労試験のように試験時間が長時間であっても筐体11内に供給する窒素は少量で済むのでランニングコストを抑制できる。このように実施の形態1の材料試験装置1及び材料試験方法では、設備コストとランニングコストの両方を抑制できるので、試験費用を安価にできる。
【0038】
さらに、実施の形態1の材料試験装置1によれば、排気手段21の配管が建屋外に連通しているので安全である。即ち、所定の酸素濃度を維持するために筐体11内に供給される窒素の供給量に応じて、筐体11からは余剰な雰囲気ガスが筐体11外に排出される。その際、排出される雰囲気ガスは、筐体11の外周壁と材料試験装置1の構成部材との嵌合部の隙間ではなく、そのほとんどが排気手段21を経由して筐体11外に排出される。これは、前記隙間の流路抵抗と排気手段21の配管の流路抵抗を比較すると、前者よりも後者が遙かに小さいため、雰囲気ガスはより流れやすい排気手段21を経由して排出されるためである。実施の形態1の材料試験装置1おいては、建屋外に連通する配管を含む排気手段21を設けたことで、筐体11内から前記隙間を介して漏洩する窒素は極微量であって、材料試験装置1の設置された室内など建屋の内部に充満しないので窒息の危険性が低く、安全上の問題を回避できる。
【0039】
くわえて、実施の形態1の材料試験方法によれば、酸素を含む大気雰囲気による酸化の影響を排除した材料試験を可能ならしめる一方で、酸素濃度設定機能を有する制御手段51によって筐体11内の酸素濃度を任意に設定することで、所望の酸化性のガス雰囲気中で材料試験を実施することができる。これによって、大気中の酸素濃度(約21%)以下であって、かつ特定の酸素濃度を有するガス雰囲気中で使用される材料の強度特性を評価できるという効果を奏する。
【0040】
例えば自動車のエンジンに付設されるターボチャージャー(過給機)のタービンハウジング等の排気系部品は、高温で酸化性の排気ガスに曝される。自動車のエンジンは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどエンジンの種別や、エンジン毎の固有の燃焼特性によって、その燃焼室から排出される排気ガスの温度や成分が相違し、これらの相違が排気系部品の耐熱性、耐久性等に大きな影響を及ぼしている。排気ガスの酸化性の程度は、排気ガスの温度と排気ガス中の酸素濃度とによりほぼ決定づけられる。排気ガス中の酸素濃度(酸素含有量の容量比)は、例えばガソリンエンジンでは0.01~5%程度、ディーゼルエンジンでは5~21%程度となる。
【0041】
排気系部品を構成する材料の強度特性は、実際のエンジンから排出される排気ガスの温度や酸素濃度と同等の条件となるように試験雰囲気を設定して評価する必要がある。実施の形態1の材料試験方法によれば、筐体11内のガス雰囲気を、任意かつ所定の酸素濃度に設定して、しかもその上昇や変動を抑制して安定に維持しながら材料試験することが可能である。即ち、実施の形態1の材料試験方法では、酸素濃度を大気中の酸素濃度以下の任意の濃度に設定して試験を行なうことができる。
【0042】
上述のとおり、実施の形態1に示した構成を具備することで、本発明の材料試験装置及び材料試験方法は、その装置が略密閉構造を含む簡易な構造であっても、試験片を取り巻く試験雰囲気の酸素濃度の上昇や変動を抑制して、所定の酸素濃度を安定に維持した状態で、しかも安価かつ安全にガス雰囲気中での高温低サイクル疲労試験を行うことができる。
【0043】
(実施の形態2)
実施の形態1では、一定の高温下での疲労試験について例示したが、実施の形態2では温度変動試験、即ち熱疲労寿命試験について例示する。実施の形態2では、本発明の材料試験装置及び材料試験方法のうち、試験片を加熱冷却して行なう試験の一例として、ガス雰囲気中において、評価対象の金属材料からなる試験片を拘束して加熱と冷却による温度振幅(温度変化)を繰返し与えることで、加熱冷却にともなう膨張収縮を機械的に拘束して試験片に熱応力(熱歪み)を生じさせて熱疲労破壊を起こさせる熱疲労寿命試験(TMF:Thermo-Mechanical Fatigue)を行う試験装置及びその試験方法を例示するものである。
【0044】
実施の形態2の材料試験装置は、後述する加熱冷却手段において、試験片の冷却のための冷媒として雰囲気ガスを用いる点を除き、それ以外は、実施の形態1と同様のテーブル、コラム、クロスヘッド及び試験片を把持固定するチャックと、試験片に対して繰返し熱応力(熱歪み)を付与することのできる加熱冷却手段等の従来知られた構成を備えた熱疲労試験装置である。実施の形態2で試験片に与える荷重負荷は、実施の形態1での荷重負荷手段に替わって、後述する加熱冷却手段によって生じさせる熱応力によって与えられる。実施の形態2の材料試験装置は、さらに実施の形態1と同様に、本発明の特徴となる構成として、試験片等を囲繞して収納する筐体、排気手段、雰囲気ガス供給手段、酸素濃度測定手段及び制御手段とを備えることで、ガス雰囲気中での熱疲労寿命試験を可能としている。
【0045】
図2は、実施の形態2に係る材料試験装置の加熱冷却手段81を構成する加熱冷却コイル82の断面図を示す。
図2で、試験片10は、その両端が図示しない上下一対のチャックで把持固定されて材料試験機に取り付け保持されるとともに、その外周を囲むように設置されたリング状の加熱冷却コイル82で包囲されている。
【0046】
試験片10の熱疲労寿命を評価するため、試験片10は加熱冷却コイル82を含む加熱手段と冷却手段とからなる加熱冷却手段81により、加熱と冷却の冷熱サイクルが付与されて試験に供される。
【0047】
加熱冷却コイル82は、
図2に示すように2つの角パイプを内外に配置した二重のパイプ構造となっており、外周側の角パイプには、加熱冷却コイル82自体を冷却するための冷却水を流通させる水通路83が形成され、内周側の角パイプには試験片10を冷却するための冷媒である冷却ガスを流通させるガス通路84が形成されている。加熱冷却コイル82の内周面には周方向に多数のノズル84aが形成されており、この各ノズル84aから試験片10の表面に向けて冷却ガスを吹き付けることによって加熱された試験片10を冷却することができる。
【0048】
加熱手段は、加熱冷却コイル82と、何れも図示しない従来知られた高周波誘導加熱装置、温度調整装置、温度センサ及び冷水供給装置とから構成され、高周波誘導加熱装置から加熱冷却コイル82に高周波電流を通電して、試験片10を所定の試験温度(例えば、1000℃)に加熱、保持するとともに、冷水供給装置から加熱冷却コイル82の水通路83に冷却水を流して加熱冷却コイル82自体の溶損を防止する。
【0049】
冷却手段は、加熱冷却コイル82、何れも図示しない従来知られた冷風供給装置、温度調整装置及び温度センサから構成され、加熱冷却コイル82のガス通路84に冷媒である冷却ガスを流しノズル84aからこれを噴出して、試験片10を所定の試験温度(例えば、150℃)に冷却(必要に応じてさらに当該試験温度に保持)する。ここで温度調整装置及び温度センサは加熱手段と冷却手段で各々個別に具備する必要はなく共有してもよい。
【0050】
冷風供給装置は、加熱冷却コイル82のガス通路84の上流に図示しない流量制御弁を介して窒素を収容する不活性ガス源に連通しており、流量制御弁を開閉して冷却ガスとなる窒素の噴出と停止を制御する。
【0051】
実施の形態2の材料試験装置においては、実施の形態1と同様に構成して筐体内に雰囲気ガスを供給して雰囲気を置換するとともに所定の酸素濃度となるように維持することにくわえて、筐体内に供給する雰囲気ガスを、加熱された試験片を冷却するための冷却ガスとして用いる。なお、不活性ガス源は、筐体内の雰囲気を置換するための雰囲気ガス供給手段と試験片を冷却する冷却手段とで、各々個別に具備してもよいし共有してもよい。
【0052】
次に実施の形態2の材料試験装置を用いた材料試験方法について説明する。実施の形態2においても実施の形態1と同様に構成した材料試験装置に、チャックにより試験片10を固定、拘束した後、試験片10を筐体で囲繞する。次いで雰囲気ガス供給手段、排気手段、酸素濃度測定手段及び制御手段により筐体内に雰囲気ガスとなる窒素を供給しつつ、筐体内の大気を排出して、筐体内を所定の酸素濃度の雰囲気に置換する。
【0053】
次に、加熱冷却手段81により加熱工程と冷却工程を繰り返すことで、拘束状態の試験片10に対して冷熱サイクルを付与する。加熱工程では、加熱手段を作動して高周波誘導加熱装置から加熱冷却コイル82に高周波電流を通電して試験片10を所定の試験温度に加熱、保持する。なお、加熱冷却コイル82の溶損を防止するため、試験中は常時、冷水供給装置から加熱冷却コイル82内の水通路83に冷却水を流通させる。
【0054】
冷却工程では、加熱冷却コイル82への高周波電流の通電を停止するとともに、冷却手段を作動して冷風供給装置の不活性ガス源から加熱冷却コイル82内のガス通路84に冷却ガスとなる窒素を流通させるとともにノズル84aから試験片10の表面に向けて窒素を吹き付けて試験片10を所定の試験温度に冷却する。
【0055】
加熱工程と冷却工程での試験片10の加熱冷却の温度制御は、温度調整装置に予め設定した加熱冷却の温度パターンと、試験片10の表面に貼付けた温度センサの計測温度とに基づいて、加熱冷却コイル82に通電する高周波誘導加熱装置からの高周波電流を制御することで加熱時の温度を制御し、一方、冷風供給装置の流量制御弁の開度を制御して加熱冷却コイル82のノズル84aからの冷却ガスの吹き付け量を調節することで冷却時の温度を制御することにより行う。このような加熱冷却の温度制御により、試験片10に対して、任意の温度振幅(例えば、150℃から1000℃)での冷熱サイクルを与えることができる。
【0056】
実施の形態2の材料試験方法において、試験片10の冷却のために冷却ガスとして供給される窒素は、筐体内のガス雰囲気を一定に保つには余剰な場合があり筐体内の酸素濃度を低下させるように作用することがある。酸素濃度が低下すると、酸素濃度を任意の濃度に設定して試験を行なう場合には所望の試験ができないため筐体内に酸素を供給することが考えられる。酸素の供給手段としては、雰囲気ガス供給手段又は試験片を冷却する冷却手段の流路上に、流量制御弁を介して酸素又は大気を収容する酸素供給源を連通させてもよいし、これらの手段とは別個に、筐体に酸素供給口を設けて、酸素供給口、流量制御弁及び酸素供給源を配管で連通させてもよい。酸素の供給手段の流路上の流量制御弁を制御手段に接続し、筐体内の酸素濃度に応じて酸素の供給手段の流量制御弁を制御して、所望の流量の酸素又は大気を筐体内に供給する。これによって試験片10の冷却のために窒素を供給しても、筐体内は所定の酸素濃度に維持される。
【0057】
上記のとおり、筐体内を大気から窒素に置換することで、試験片10が所定の酸素濃度のガス雰囲気で取り囲まれるとともに、加熱された試験片10を冷却する際に、酸素を含んだ大気を冷媒とするのではなく、雰囲気ガスと同様の窒素を冷媒として試験片10に吹き付けるようにしたので、試験片10を加熱冷却する材料試験であっても試験片10の酸化が抑制されるので、酸化の影響を排除した材料試験が可能となる。
【0058】
次に、所定の酸素濃度からなるガス雰囲気中におかれ、拘束された状態にある試験片10に対して、加熱冷却手段81を作動し、加熱冷却コイル82による加熱とノズル84aからの冷却ガスの吹きつけによる冷却とによる冷熱サイクルを繰返し与える。この冷熱サイクルによって試験片10に温度振幅にともなう熱応力を繰返し作用させて負荷を与えることで熱疲労試験を行なう。
【0059】
上述のとおり、実施の形態2に示した構成を具備することで、本発明の材料試験装置及び材料試験方法は、その装置が略密閉構造を含む簡易な構造であっても、試験片を取り巻く試験雰囲気の酸素濃度の上昇や変動を抑制して、所定の酸素濃度を安定に維持した状態で、しかも安価かつ安全にガス雰囲気中での熱疲労試験を行うことができる。
【0060】
上記の実施の形態1及び2では、疲労試験として試験片を加熱する高温低サイクル疲労試験(実施の形態1)及び試験片を加熱冷却する熱疲労試験(実施の形態2)について説明したが、本発明による材料試験装置及び材料試験方法はこれらに限定されず、荷重負荷手段や試験片の取り付け治具等の構成、或いは高温、常温及び氷点下など試験環境の温度などを適宜変更することにより、引張試験、圧縮試験、曲げ試験、捩り試験、衝撃試験、クリープ試験等の材料試験に適用できることは言うまでもない。例えば、荷重負荷手段を、試験片に長時間連続的に荷重を加え続けることができる構成とすれば、高温でのクリープ試験を行うことができる。このように本発明の材料試験装置及び材料試験方法によれば、種々の材料試験に適用可能であり、酸化の影響を排除したガス雰囲気下における強度特性を測定することができる。
【符号の説明】
【0061】
1:材料試験装置
2:テーブル
3:クロスヘッド
4:コラム
5:固定ロッド
6:負荷ロッド
5a、6a:チャック
10:試験片
11:筐体
21:排気手段
22:大気排出口
23:逆止弁
31:雰囲気ガス供給手段
32:ガス供給口
33:流量制御弁
34:不活性ガス源
41:酸素濃度測定手段
51:制御手段
71:加熱手段
72:加熱コイル
81:加熱冷却手段
82:加熱冷却コイル
83:水通路
84:ガス通路
84a:ノズル