(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-06
(45)【発行日】2022-04-14
(54)【発明の名称】画像形成装置、現像装置、及び作像ユニット
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20220407BHJP
G03G 15/08 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
G03G21/00 530
G03G21/00 370
G03G15/08 310
(21)【出願番号】P 2018050423
(22)【出願日】2018-03-19
【審査請求日】2021-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】木村 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 裕
(72)【発明者】
【氏名】菊地 裕
(72)【発明者】
【氏名】濱田 大輔
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-122540(JP,A)
【文献】特開2002-311711(JP,A)
【文献】特開2015-004940(JP,A)
【文献】特開2017-207723(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像担持体と、これに担持される潜像を現像しつつ余剰の現像剤を排出口から外部に排出する現像装置と、これの内部の空気を吸引する吸引手段とを備える画像形成装置において、
前記現像装置の内部から前記排出口を通じて前記現像装置の外部に向かう気流の発生を促す処理を所定のタイミングで実施する制御手段を設け
、
前記気流の発生を促す処理が、前記現像装置を駆動しつつ、前記吸引手段による吸引を停止させる吸引停止中現像駆動処理であり、
所定の前記タイミングとして、前記潜像担持体の駆動を停止した後、新たな画像を形成するために前記潜像担持体の駆動を開始するまでの期間における所定のタイミングで、前記吸引停止中現像駆動処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置
。
【請求項2】
潜像担持体と、これに担持される潜像を現像しつつ余剰の現像剤を排出口から外部に排出する現像装置と、これの内部の空気を吸引する吸引手段とを備える画像形成装置において、
前記現像装置の内部から前記排出口を通じて前記現像装置の外部に向かう気流の発生を促す処理を所定のタイミングで実施する制御手段を設け、
前記吸引手段が、逆駆動によって前記現像装置内に空気を送る送気力を発揮するものであり、
前記気流の発生を促す処理が、前記吸引手段の逆駆動によって前記現像装置内に送気する送気処理であ
り、
所定の前記タイミングとして、ユーザーから画像形成命令を受けた後、前記潜像担持体の駆動を開始するまで、あるいは前記現像装置の駆動を開始するまで、の期間における所定のタイミングで、前記送気処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置
。
【請求項3】
請求項
2の画像形成装置において、
所定の前記タイミングとして、前記潜像担持体上の潜像の現像を終えた後、前記潜像担持体の駆動を停止させるまで、あるいは前記現像装置の駆動を停止させるまで、の期間における所定のタイミングで、前記送気処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
潜像担持体と、これに担持される潜像を現像しつつ余剰の現像剤を排出口から外部に排出する現像装置と、これの内部の空気を吸引する吸引手段とを備える画像形成装置において、
前記現像装置の内部から前記排出口を通じて前記現像装置の外部に向かう気流の発生を促す処理を所定のタイミングで実施する制御手段を設け、
前記吸引手段が、逆駆動によって前記現像装置内に空気を送る送気力を発揮するものであり、
前記気流の発生を促す処理が、前記吸引手段の逆駆動によって前記現像装置内に送気する送気処理であり、
所定の前記タイミングとして、前記潜像担持体上の潜像の現像を終えた後、前記潜像担持体の駆動を停止させるまで、あるいは前記現像装置の駆動を停止させるまで、の期間における所定のタイミングで、前記送気処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1、2、3
又は4の画像形成装置において、
前記潜像担持体上で現像されたトナー像を転写体に転写する転写手段と、これによる転写工程を経た前記潜像担持体の表面に付着しているトナーを除去する除去手段と、前記排出口から排出される現像剤を受け入れて搬送先に向けて搬送するための第一搬送路と、前記除去手段から排出されるトナーを受け入れて前記搬送先に向けて搬送するための第二搬送路とを設け、前記第一搬送路と前記第二搬送路とを連通させたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1、2、3、4
又は5の画像形成装置において、
前記現像装置として、表面に担持した現像剤を表面移動によって前記潜像担持体との対向領域に搬送して前記潜像を現像する現像部材を前記潜像担持体の表面移動方向に沿って複数設けたものを用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
潜像担持体に担持される潜像を現像する現像装置であって、
請求項1、2、3、4、5
又は6の画像形成装置に搭載されることを特徴とする現像装置。
【請求項8】
潜像担持体と、これに担持される潜像を現像する現像装置とを一つのユニットとして、一体的に画像形成装置本体に着脱される作像ユニットであって、
請求項1、2、3、4、5
又は6の画像形成装置に搭載されることを特徴とする作像ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、現像装置、及び作像ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、潜像担持体と、これに担持される潜像を現像しつつ余剰の現像剤を排出口から外部に排出する現像装置と、これの内部の空気を吸引する吸引手段とを備える画像形成装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の画像形成装置は、潜像担持体としての感光体、現像装置、吸引ファン、及び現像剤補給装置を備えている。現像剤補給装置は、トナーとキャリアとを含有する現像剤を現像装置に補給することで、現像に伴ってトナーを消費した現像装置内の現像剤のトナー濃度を回復させる。現像剤の補給によって現像装置内の現像剤の嵩が増して排出口の高さに達すると、余剰分の現像剤が排出口からオーバーフローして現像装置外に排出される。このとき、ある程度劣化したキャリアが排出されることで、現像装置内のキャリアの品質低下が防止される。吸引手段としての吸引ファンは、吸気によって現像装置内の気圧上昇を防止して、現像装置内からのトナー飛散の発生を抑える。
【0004】
この画像形成装置は、排出口を開閉するシャッター部材又は弁部材も備えており、吸引ファンによる吸引を実施するときにシャッター部材又は弁部材によって排出口を閉じるようになっている。これにより、現像装置外にオーバーフローした現像剤中のトナーを、吸引ファンによって排出口を通じて吸引して排出口に付着させてしまうことを防止して、排出口にトナーを堆積させることに起因する現像剤のオーバーフロー不良を軽減することができるとされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、かかる構成では、シャッター部材又は弁部材を設けることでコストアップを引き起こしてしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、潜像担持体と、これに担持される潜像を現像しつつ余剰の現像剤を排出口から外部に排出する現像装置と、これの内部の空気を吸引する吸引手段とを備える画像形成装置において、前記現像装置の内部から前記排出口を通じて前記現像装置の外部に向かう気流の発生を促す処理を所定のタイミングで実施する制御手段を設け、前記気流の発生を促す処理が、前記現像装置を駆動しつつ、前記吸引手段による吸引を停止させる吸引停止中現像駆動処理であり、所定の前記タイミングとして、前記潜像担持体の駆動を停止した後、新たな画像を形成するために前記潜像担持体の駆動を開始するまでの期間における所定のタイミングで、前記吸引停止中現像駆動処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、現像装置の排出口を開閉するシャッター部材や弁部材を設けることによるコストアップを回避しつつ、排出口にトナーを堆積させることに起因する現像剤のオーバーフロー不良を軽減することができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係るプリンタの一例を示す概略構成図。
【
図2】同プリンタにおけるY用の作像ユニットの内部を、プリンタ本体の正面側から示す概略構成図。
【
図3】同吸引ファンを作動させているときの現像装置の内部を、プリンタ本体の左側方から示す概略構成図。
【
図4】同吸引ファンを作動させているときの同現像装置及び共通搬送路の内部を、プリンタ本体の背面側から示す概略構成図。
【
図5】同吸引ファンの作動状態と、同現像装置のホース接続部における風速と、同現像装置の内圧との関係の一例を示すグラフ。
【
図6】吸引停止中現像駆動処理の実施時における同現像装置及び共通搬送路の内部を、プリンタ本体の背面側から示す概略構成図。
【
図7】同プリンタの電気回路の一部を示すブロック図。
【
図8】実施例に係るプリンタの現像装置及び共通ダクトを示す概略構成図。
【
図9】同プリンタにおけるプリントジョブ終了時の各機器の駆動状態を示すタイミングチャート。
【
図10】変形形態に係るプリンタにおけるプリントジョブ開始時の各機器の駆動状態を示すタイミングチャート。
【
図11】同プリンタにおけるプリントジョブ終了時の各機器の駆動状態を示すタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、電子写真方式によって画像を形成する画像形成装置としてのプリンタに本発明を適用した一実施形態について説明する。
【0010】
まず、実施形態に係るプリンタの基本的な構成について説明する。
図1は、実施形態に係るプリンタの一例を示す概略構成図である。このプリンタは、二つの光書込ユニット1YM、1CKと、Y,M,C,Kのトナー像を形成するための四つの作像ユニット2Y,2M,2C,2Kとを備えている。また、給紙路75、転写前搬送路78、手差し給紙路77、手差しトレイ76、レジストローラ対79、搬送ベルトユニット80、定着装置84、搬送切替装置85、排紙路94、排紙ローラ対86等も備えている。更には、排紙トレイ87、第一給紙カセット91、第二給紙カセット92、再送装置等も備えている。
【0011】
第一給紙カセット91及び第二給紙カセット92は、それぞれ内部に記録紙Pの束を収容している。そして、給紙ローラ91a,92aの回転駆動により、紙束における一番上の記録紙Pを給紙路75に向けて送り出す。この給紙路75には、後述する二次転写ニップの直前で記録紙Pを搬送するための転写前搬送路78が続いている。第一給紙カセット91,第二給紙カセット92から送り出された記録紙Pは、給紙路75を経て転写前搬送路78に進入する。
【0012】
プリンタ筐体における側面には、手差しトレイ76が筐体に対して開閉可能に配設されており、筐体に対して開いた状態でトレイ上面に紙束が手差しされる。手差しされた紙束における一番上の記録紙Pは、手差しトレイ76の送出ローラによって転写前搬送路78に向けて送り出される。
【0013】
二つの光書込ユニット1YM,1CKのそれぞれは、レーザーダイオード、ポリゴンミラー、各種レンズなどを有している。プリンタ外部のスキャナーによって読み取られた画像情報や、パーソナルコンピュータから送られてくる画像情報に基づいて、レーザーダイオードを駆動して、作像ユニット2Y,2M,2C,2Kの感光体3Y,3M,3C,3Kを光走査する。具体的には、作像ユニット2Y,2M,2C,2Kの感光体3Y,3M,3C,3Kは、駆動装置によってそれぞれ図中反時計回り方向に回転駆動される。光書込ユニット1YMは、駆動中の感光体3Y,3Mのそれぞれに対して、レーザー光を回転軸線方向に偏向させながら照射することで、光走査処理を行う。これにより、感光体3Y,3Mのそれぞれには、Y画像情報及びM画像情報に基づいた静電潜像が形成される。また、光書込ユニット1CKは、駆動中の感光体3C,3Kのそれぞれに対して、レーザー光を回転軸線方向に偏向させながら照射することで、光走査処理を行う。これにより、感光体3C,3Kのそれぞれには、C画像情報及びK画像情報に基づいた静電潜像が形成される。
【0014】
作像ユニット2Y,2M,2C,2Kのそれぞれは、潜像担持体としてのドラム状の感光体3Y,3M,3C,3Kを有している。また、感光体3Y,3M,3C,3Kの周囲に配設された各種機器を一つのユニットとして共通の保持体で保持しており、それらがプリンタ本体に対して着脱可能になっている。四つの作像ユニット2Y,2M,2C,2Kは、後述する中間転写ベルト61の上側張架面の移動方向に沿って並べられたいわゆるタンデム型の構成になっている。各作像ユニット2Y,2M,2C,2Kは、互いに使用するトナーの色が異なる点を除いて同様の構成になっている。以下、Y色の作像ユニット2Yを例にして説明する。
【0015】
図2は、Y用の作像ユニット2Yの内部を、プリンタ本体の正面側から示す概略構成図である。
作像ユニット2Yは、感光体3Yの他に、これの表面に形成された静電潜像をYトナー像に現像するための現像装置20Yを有している。また、回転駆動される感光体3Yの表面に対して一様帯電処理を施す帯電装置5Y、Y用の一次転写ニップを通過した後の感光体3Yの表面に付着している転写残トナーをクリーニングするドラムクリーニング装置10Yも有している。更には、感光体3Yの表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置15Yなども有している。
【0016】
感光体3Yとしては、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材の塗布による感光層を形成したドラム状のものを用いている。但し、無端ベルト状のものを用いてもよい。
【0017】
帯電装置5Yは、感光体3Yに当接するように配置された帯電ローラ6Yと、これに当接して回転する帯電ローラクリーナー7Yとを有している。
【0018】
現像装置20Yは、第一現像ローラ21Y、第二現像ローラ22Y、供給スクリュー23Y、回収スクリュー24Y、傾斜スクリュー25Y、吸引ダクト26Y等を有している。現像装置20Yの内部には、磁性キャリアとトナーとを含む現像剤が収容されており、3つのスクリュー(23Y,24Y,25Y)によって現像装置20Y内を循環搬送される。現像部材としての第一現像ローラ21Y、第二現像ローラ22Yは、潜像担持体たる感光体3Yの表面移動方向に沿って並べて配置されている。これらの現像ローラ(21Y、22Y)は何れも、回転可能な円筒状の現像スリーブ(21Ya、22Ya)と、それの内部において連れ回らないように固定されたマグネットロール(22Yb、22Yb)とを具備している。そして、現像剤をマグネットロールの磁力によって現像スリーブの表面上に担持させながら、現像スリーブの回転駆動によって感光体3Yに対向する現像領域に搬送する。
【0019】
現像装置20Yに具備される3つのスクリューのうち、供給スクリュー23Yによって搬送される現像剤は、第一現像ローラ21Yの第一現像スリーブ21Yaに担持された後、第一現像スリーブ21aと感光体3Yとが対向する第一現像領域に搬送される。第一現像スリーブ21Yaには、交流電圧と、トナーの帯電極性と同極性(マイナス極性)の直流電圧との重畳による重畳電圧からなる現像バイアスが印加されている。現像バイアスが交流電圧による交流成分を含んでいることで、第一現像スリーブ21Yaの表面上には所定の周期で極性を反転させる交番電界が形成される。この交番電界により、第一現像スリーブ21Yaに担持された現像剤中において、磁性キャリア表面からのトナー粒子の離脱を促して、現像性を高めることが可能になる。
【0020】
現像バイアスの直流電圧の極性がトナーの帯電極性と同極性であることで、現像バイアスの平均電位の極性がトナーの帯電極性と同極性になる。直流電圧の絶対値は、感光体3Yの地肌部(一様帯電後に光照射を受けていない部分)電位の絶対値よりも小さくなっている。加えて、感光体3Yに担持された静電潜像の電位の絶対値よりも大きくなっている。このため、第一現像領域では、第一現像スリーブ21Yaと感光体3Yの地肌部との間において、トナーに対して、感光体3Y側から第一現像スリーブ21Ya側に向けて静電移動させる非現像ポテンシャルが作用する。この一方で、第一現像スリーブ21Yaと感光体3Yの静電潜像との間において、トナーに対して、第一現像スリーブ21Ya側から感光体3Y側に向けて静電移動させる現像ポテンシャルが作用する。このため、第一現像スリーブ21Yaに担持された現像剤に含まれるマイナス極性のトナーが、現像剤の磁性キャリア表面から離脱して感光体3Yの静電潜像に選択的に付着する。これにより、静電潜像が現像されてYトナー像になる。
【0021】
第一現像領域を通過した第一現像スリーブ21Yaの表面上の現像剤は、第二現像スリーブ22Yaの表面に受け渡される。そして、第二現像スリーブ22Yaの回転に伴って第二現像領域へと搬送される。第二現像領域では、第一現像領域と同様にして、感光体3Y上の静電潜像が現像される。その後、第二現像スリーブ22Ya上の現像剤は、第二現像スリーブ22Yaの表面から離脱して回収スクリュー24Yに回収される。そして、回収スクリュー24Yから傾斜スクリュー25Yに受け渡された後、傾斜スクリュー44から供給スクリュー23Yに受け渡される。
【0022】
第一現像スリーブ21Yaと、これに近接しつつ第一現像スリーブ21Yaよりも感光体3Yの表面移動方向の下流側に配設された第二現像スリーブ22Yaとは、何れも図中で感光体3Yの左側方に位置しつつ、時計回り方向に回転する。これにより、感光体3Yとの対向領域である現像領域において、自らの表面を感光体3Yの表面と同じ方向に表面移動させる。
【0023】
ドラムクリーニング装置10Yは、感光体3Yの回転軸方向に長尺な弾性部材であるクリーニングブレード11Yと、排出スクリュー12Yとを有している。クリーニングブレード11Yにおけるその長尺方向に延びる一辺(当接辺)をエッジ部として感光体3Yの表面に押しつけて、感光体3Y表面上の転写残トナー等の不要な付着物を引き離し除去する。除去されたトナーは、廃トナーとして排出スクリュー12Yによって作像ユニット2Yの外に排出される。
【0024】
潤滑剤塗布装置15Yは、潤滑剤塗布ブラシローラ16Yと、固形潤滑剤17Yと、均しブレード19Yとを有している。固形潤滑剤17Yは、ブラケット18Yに保持され、加圧手段によって潤滑剤塗布ブラシローラ16Y側に加圧されている。潤滑剤塗布ブラシローラ16Yは、感光体3Yの回転方向に対して連れまわり方向に回転し、固形潤滑剤17Yを削りとって感光体3Yの表面に潤滑剤を塗布する。均しブレード19Yは、その長尺方向に延びる一辺(当接辺)をエッジ部として感光体3Yの表面に押しつけられており、感光体3Y表面上の潤滑剤を均す。
【0025】
感光体3Yの上方には、除電ランプが配設されており、この除電ランプも作像ユニット2Yの一部になっている。除電ランプは、潤滑剤塗布装置15Yを通過した後の感光体3Y表面を光照射によって除電する。除電された感光体3Yの表面は、帯電装置5Yによって一様に帯電された後、上述した光書込ユニット1YMによる光走査が施される。
【0026】
Y用の作像ユニット2Yについて説明したが、M、C、K用の作像ユニット2M,2C,2Kも、Y用のものと同様の構成になっている。
【0027】
図1に示されるように、四つの作像ユニット2Y,2M,2C,2Kの下方には、転写ベルトユニット60が配設されている。この転写ベルトユニット60は、複数のローラによって張架している無端状の中間転写ベルト61を、感光体3Y,3M,3C,3Kに当接させながら、何れか一つのローラの回転駆動によって図中時計回り方向に走行(無端移動)させる。これにより、感光体3Y,3M,3C,3Kと中間転写ベルト61とが当接するY、M、C、K用の一次転写ニップが形成されている。
【0028】
Y、M、C、K用の一次転写ニップの近傍では、中間転写ベルト61のベルトループ内に配設された一次転写ローラ62Y,62M,62C,62Kによって中間転写ベルト61を感光体3Y,3M,3C,3Kに向けて押圧している。これら一次転写ローラ62Y,62M,62C,62Kのそれぞれには、電源から出力される一次転写バイアスが印加されている。これにより、Y、M、C、K用の一次転写ニップには、感光体3Y,3M,3C,3K上のトナー像を中間転写ベルト61に向けて静電移動させる一次転写電界が形成される。
【0029】
図中時計回り方向の無端移動に伴ってY、M、C、K用の一次転写ニップを順次通過していく中間転写ベルト61の外周面には、各一次転写ニップでトナー像が順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト61の外周面には四色重ね合わせトナー像が形成される。
【0030】
中間転写ベルト61の図中下方には、二次転写ローラ72が配設されている。この二次転写ローラ72は、中間転写ベルト61における二次転写バックアップローラ68に対する掛け回し箇所にベルトループ外側から当接して二次転写ニップを形成している。これにより、中間転写ベルト61の外周面と二次転写ローラ72とが当接する二次転写ニップが形成されている。
【0031】
二次転写ローラ72には電源から出力される二次転写バイアスが印加されている。一方、ベルトループ内の二次転写バックアップローラ68は接地されている。これにより、二次転写ニップ内に二次転写電界が形成されている。
【0032】
二次転写ニップの図中右側方には、上述のレジストローラ対79が配設されており、ローラ間に挟み込んだ記録紙Pを中間転写ベルト61上の四色重ね合わせトナー像に同期させ得るタイミングで二次転写ニップに送り出す。二次転写ニップ内では、中間転写ベルト61上の四色重ね合わせトナー像が二次転写電界やニップ圧の影響によって記録紙Pに二次転写され、記録紙Pの白色と相まってフルカラー画像となる。
【0033】
二次転写ニップを通過した中間転写ベルト61の外周面には、二次転写ニップで記録紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、中間転写ベルト61に当接するベルトクリーニング装置70によってクリーニングされる。
【0034】
二次転写ニップを通過した記録紙Pは、中間転写ベルト61から離間して、搬送ベルトユニット80に受け渡される。この搬送ベルトユニット80は、無端ベルト状の搬送ベルト81を駆動ローラ83と従動ローラ82とによって張架しながら、駆動ローラ83の回転駆動によって図中反時計回り方向に無端移動させる。そして、二次転写ニップから受け渡された記録紙Pを搬送ベルト81の外周面に保持しながら、搬送ベルト81の無端移動に伴って搬送して定着装置84に受け渡す。
【0035】
定着装置84の付近においては、搬送切替装置85、再送路88、スイッチバック路89、スイッチバック後搬送路90等により、再送手段が構成されている。具体的には、搬送切替装置85は、定着装置84から受け取った記録紙Pのその後の搬送先を、排紙路94と再送路88とで切り替える。記録紙Pの第一面だけに画像を形成する片面モードのプリントジョブの実行時には、記録紙Pの搬送先を排紙路94に設定する。これにより、第一面だけに画像が形成された記録紙Pを、排紙路94経由で排紙ローラ対86に送って、機外の排紙トレイ87上に排紙する。
【0036】
また、記録紙Pの両面のそれぞれに対して画像を形成する両面モードのプリントジョブの実行時において、両面にそれぞれ画像が定着された記録紙Pを定着装置84から受け取ったときにも、記録紙Pの搬送先を排紙路94に設定する。これにより、両面に画像が形成された記録紙Pを、機外の排紙トレイ87上に排紙する。一方、両面モードのプリントジョブの実行時において、第一面だけに画像が定着された記録紙Pを定着装置84から受け取ったときには、記録紙Pの搬送先を再送路88に設定する。
【0037】
再送路88には、スイッチバック路89が繋がっており、再送路88に送られた記録紙Pはこのスイッチバック路89に進入する。そして、記録紙Pの搬送方向の全領域がスイッチバック路89に進入すると、記録紙Pの搬送方向が逆転されて、記録紙Pがスイッチバックする。スイッチバック路89には、再送路88の他に、スイッチバック後搬送路90が繋がっており、スイッチバックした記録紙Pは、このスイッチバック後搬送路90に進入する。このとき、記録紙Pの上下が反転する。そして、上下反転した記録紙Pは、スイッチバック後搬送路90と給紙路75とを経由して二次転写ニップに再送される。二次転写ニップで第二面にもトナー像が転写された記録紙Pは、定着装置84を経由して第二面にトナー像が定着された後、搬送切替装置85と排紙路94と排紙ローラ対86とを経由して、排紙トレイ87上に排紙される。
【0038】
プリンタ筐体内の上部には、Y現像剤,M現像剤,C現像剤,K現像剤を収容する現像剤収容器93Y,93M,93C,93Kが配設されている。現像剤収容器93Y,93M,93C,93K内のY現像剤,M現像剤,C現像剤,K現像剤は、Y,M,C,K用の現像剤補給装置によって現像装置20Y,20M,20C,20Kに適宜補給される。
【0039】
図2に示されるように、このプリンタの現像装置20Yは、第一現像スリーブ21Ya、第二現像スリーブ22Yaという二本の現像スリーブを有している。これらの現像スリーブが回転すると、現像装置20Yのケーシングにおけるスリーブ露出用開口からケーシング内に空気が取り込まれることで、現像装置20Y内の気圧が上昇する。すると、ケーシング内の浮遊トナーが、ケーシングのスリーブ露出用開口や繋ぎ目の隙間などからケーシング外に飛散して、プリンタ筐体内を汚してしまう。近年の高速化に伴い,二本の現像スリーブの回転駆動による現像装置20Y内の内圧上昇が顕著になってきている。
【0040】
そこで、このプリンタでは、現像装置20Yの駆動中に、現像装置20Y内の気圧上昇を抑えるために、現像装置20Y内の空気を吸引ファンによって吸引するようになっている。
【0041】
図3は、吸引ファン105を作動させているときの現像装置20Yの内部を、プリンタ本体の左側方から示す概略構成図である。同図において、現像装置20Yのケーシングにおける図中の左側端部には、吸引ファンから延びてくる吸引ホースを接続するためのホース接続部33Yが設けられており、これは排気フィルター34Yを内包している。また、ケーシングにおける図中の右側端部には、吸気口及びこれの内部にセットされたフィルター29Yが設けられている。
【0042】
現像装置20Y内の上部には、各スクリューの長手方向に沿って延びる吸引ダクト26Yが配設されている。この吸引ダクト26Yの下面には、ケーシング内の空気を吸引ダクト26Y内に取り込むための開口が設けられている。また、この吸引ダクト26Yは、図中右側の端部がフィルター29Yを内包した吸引口に連通している一方で、図中左側の端部が排気フィルター34Yを内包するホース接続部33Yに連通している。
【0043】
図中の太矢印は、現像装置20Y内における空気の流れを示している。吸引ファンが作動すると、吸引ホースと、現像装置20Y内の吸引ダクト26Yとを通じて現像装置20Y内の空気が吸引されて、ホース接続部33Y内の排気フィルター34Yを通過して吸引ホースへ排気される。これにより、現像装置20Y内の気圧上昇が抑えられる。排気の直前に排気フィルター34Yを通ることで、トナーなどの汚れを一緒に排気してしまうことが防止される。
【0044】
現像装置20Y内の気圧が通常よりも下がり始めると、現像装置20Yのケーシングに設けられた吸引口(フィルター29Yを内包)を通じて外部の空気が現像装置20Y内に吸気される。これにより、現像装置20Y内の気圧低下が抑えられる。吸気のときに、外気をファイルターに通すことで、現像装置20Y内へのホコリ等の異物の進入が防止される。
【0045】
同図において、現像剤をオーバーフローさせるための排出口は傾斜スクリュー25Yの後ろに隠れて見えていないが、図中矢印Aのように排出口から現像剤がオーバーフローする。この一方で、現像装置20Yに搭載されたトナー濃度センサーにより、現像装置20Yの傾斜スクリュー25Yによって搬送される現像剤のトナー濃度が、現像装置20Yに搭載されたトナー濃度センサーによって検知される。後述する制御部は、その検知結果が目標値を下回ると、Y用の現像剤補給装置を所定量だけ駆動して、現像剤収容器(
図1の93Y)内のY現像剤を現像装置20Y内に補給する。この補給と、前述のオーバーフローとにより、現像装置20Y内の現像剤中の磁性キャリアを少しずつ入れ替える。
【0046】
現像装置20Y内では、現像剤中の磁性キャリアが各種スクリューとの摺擦などにより、物理的負荷を受けて、表層のコート層を磨耗したり、この逆にコート層にトナー樹脂や添加剤を付着させたりする。摩耗や添加物の付着は、磁性キャリアのトナー帯電性能を低下させる。この低下を進行させた劣化キャリアは、感光体の地肌部にトナーを付着させる地肌部汚れ、トナー飛散などの原因になる。このプリンタでは、現像装置20Y内の磁性キャリアを定期交換する手間を省くために、上述のようにして現像装置20Y内の磁性キャリアを少しずつ自動的に入れ替えるようになっている。これにより、磁性キャリアを定期交換しなくても、現像装置20Y内での劣化キャリアの発生を防止することができる。
【0047】
図中矢印Aで示される、排出口からの現像剤のオーバーフローが起こる箇所では、吸引ファンの吸引力により、その排出口の外の空気が現像装置20Y内に取り込まれる。
【0048】
図4は、吸引ファン105を作動させているときの現像装置20Y及び共通搬送路30Yの内部を、プリンタ本体の背面側から示す概略構成図である。
図4では、現像装置20Yを
図2とは逆方向から示している。
【0049】
図2に示されるドラムクリーニング装置10Yは、
図4に示されるトナー排出路13Yを有している。ドラムクリーニング装置10Y内で排出スクリュー12Y(
図2参照)によって搬送される廃トナーは、
図4に示されるトナー排出路13Y内に落とし込まれて、共通搬送路30Y内に重力落下する。
【0050】
共通搬送路30Yは、四つの作像ユニット(2Y,2M,2C,2K)から排出される廃トナーや現像剤を搬送するものである。この共通搬送路30Yには、ドラムクリーニング装置10Yのトナー排出路13Yの他に、現像装置20Yの現像剤排出路28Yが鉛直方向上側から接続されている。また、剤投入パイプ32Yが鉛直方向下側から接続されている。
【0051】
現像装置20Yの傾斜スクリュー25Yによって搬送される現像剤のうち、余剰の現像剤は、廃現像剤として排出口27Yからオーバーフローした後、重力により、第一搬送路たる現像剤排出路28Yを通じて共通搬送路30Y内に落下する。共通搬送路30Yでは、廃棄剤搬送スクリュー31Yの回転駆動により、廃現像剤や廃トナーが作像ユニット(2Y,2M,2C,2K)の並び方向に搬送される。そして、剤投入パイプ32Y内に落とし込まれた後、廃棄剤収容器に収容される。
【0052】
吸引ファンが作動しているときには、図中太矢印で示されるように、排出口27Yの外側に吸引力が発生し、この吸引力は共通搬送路30Y内に伝わる。そして、廃棄剤搬送スクリュー31Yによって搬送される廃トナーや廃現像剤中のトナーが、現像装置20Yの現像剤排出路28Y内に吸い込まれて排出口27Yに付着する。この付着トナーが堆積すると、排出口27Yの開口面積を低下させて、排出口27Yを通じた現像装置20Y内からの現像剤のオーバーフローを妨げてしまう。
【0053】
現像剤が排出口27Yから良好にオーバーフローしなくなると、現像装置20Y内における現像剤の量が過剰になって、現像剤の循環不良が発生する。すると、第二現像スリーブ22Yaが現像に寄与させた直後の現像剤を回収スクリュー24Y内に落下させることができずに、トナー濃度の低い現像剤を第二現像領域に再搬送して現像濃度不足を引き起こしてしまう。また、各種スクリューや各種現像スリーブの駆動力を発揮するモーターのトルクが上昇したり、各種スクリューや各種現像スリーブと、現像剤との摩擦力が増加して現像装置20Y内の温度上昇を招いたりしてしまう。
【0054】
次に、実施形態に係るプリンタの特徴的な構成について説明する。
図5は、吸引ファンの作動状態と、現像装置20Yのホース接続部33Yにおける風速と、現像装置20Yの内圧との関係の一例を示すグラフである。図中のy軸よりも左側の座標では、吸引ファンを作動させている場合の風速及び内圧を示している。また、x軸よりも右側の座標では、吸引ファンを停止させている場合の風速及び内圧を示している。何れの座標においても、現像装置20Yを駆動している状態での結果を示している。風速において、マイナスの数値は、ホース接続部33Y内において、吸引ファン側から現像装置20Y内に向かう方向の気流であることを示している。
【0055】
吸引ファンを作動させても、その回転速度が比較的小さい場合には、ホース接続部33Y内における気流の向きが、吸気ファン側から現像装置20Y内へ向かう方向になる。現像スリーブ(21Ya,22Ya)の回転に伴って現像装置20Yの外から中に空気が取り込まれた後、フィルター29Y及び吸引口を通過して現像装置20Yの外に出ようとする気流の力が、吸引ファンに吸引されようとする気流の力よりも強いからである。吸引ファンをある程度の回転速度で回転させると、ホース接続部33Y内の気流の向きが吸引ファン側に向かう方向に変わる。
【0056】
吸引ファンを停止させると、現像スリーブ(21Ya,22Ya)の回転に伴って現像装置20Yの外から中に空気が取り込まれることによる内圧の上昇が起こる。その数値は、現像スリーブの回転速度によって異なるが、回転速度がある程度の値であると、
図6に示されるように、現像装置20Yの排出口27Yを通じて現像装置20Y内から現像剤排出路28Y内へ向かう気流が発生する。この気流により、排出口27Yに付着したトナーを現像剤排出路28Yに向けて吹き飛ばすことが可能である。これにより、排出口27Yにトナーを堆積させることに起因する現像剤のオーバーフロー不良を軽減することができる。
【0057】
図7は、実施形態に係るプリンタの電気回路の一部を示すブロック図である。同図において、制御手段としての制御部100は、プリンタの各機器の駆動を制御したり、各種の演算処理をしたりするものであって、CPU、RAM、ROM、不揮発性メモリーなどを有している。この制御部100には、現像剤補給モーター101Y,101M,101C,101K、作像モーター102Y,102M,102C,102K、部分駆動クラッチ103Y,103M,103C,103Kなどが電気接続されている。また、ファンドライバー104を介して吸引ファン105が電気接続されている。また、ベルト駆動モーター106、転写モーター107、給紙モーター108、定着モーター109、排紙モーター110なども電気接続されている。
【0058】
現像剤補給モーター101Y,101M,101C,101Kは、Y,M,C,K用の現像剤補給装置の駆動源である。また、作像モーター102Y,102M,102C,102Kは、作像ユニット2Y,2M,2C,2Kの駆動源である。また、部分駆動クラッチ103Y,103M,103C,103Kは、作像モーター102Y,102M,102C,102Kの駆動力の伝達を入切するものである。具体的には、作像ユニット2Y,2M,2C,2Kにおける感光体3Y,M,C,K、帯電装置5Y,5M,5C,5K、ドラムクリーニング装置10Y,10M,10C,10K、及び潤滑剤塗布装置15Y,15M,15C,15Kへの伝達を入切する。部分駆動クラッチ103Y,103M,103C,103Kが駆動力の伝達を「入」の状態にすると、作像ユニット2Y,2M,2C,2Kにおける全ての装置が駆動する。これに対し、部分駆動クラッチ103Y,103M,103C,103Kが駆動力の電圧を「切」の状態にすると、作像ユニット2Y,2M,2C,2Kにおける各装置のうち、現像装置20Y,20M,20C,20Kだけが駆動する。
【0059】
ファンドライバー104は、吸引ファン105の回転を制御するものである。また、ベルト駆動モーター106は、中間転写ベルト61を無端移動させるために回転駆動するベルトループ内のローラの駆動源である。また、転写モーター107は、一次転写ローラ62Y,62M,62C,62Kや、二次転写ローラ72の駆動源である。また、給紙モーター108は、給紙系のローラの駆動源である。また、定着モーター109は、定着装置84の駆動源である。また、排紙モーター110は、排紙系のローラの駆動源である。
【0060】
制御手段としての制御部100は、感光体3Y,3M,3C,3K上の静電潜像を何れも現像していない所定のタイミングにおいて、吸引ファン105を停止させた状態で現像装置20Y,20M,20C,20Kを駆動する吸引停止中現像駆動処理を実施する。この吸引停止中現像駆動処理により、現像装置20Y,20M,20C,20Kのそれぞれについて、装置内から排出口(例えば27Y)を通じて現像剤排出路(例えば28Y)に向かう吹き出し気流を発生させる。この吹き出し気流により、排出口に付着したトナーを現像剤排出路内に吹き飛ばす。
【0061】
かかる構成では、特許文献1に記載の画像形成装置とは異なり、排出口を開閉するシャッター部材や弁部材を設けることによるコストアップを回避しつつ、排出口にトナーを堆積させることに起因する現像剤のオーバーフロー不良を軽減することができる。
【0062】
次に、実施形態に係るプリンタに、より特徴的な構成を付加した実施例について説明する。なお、以下に特筆しない限り、実施例に係るプリンタの構成は、実施形態と同様である。
[実施例]
図8は、実施例に係るプリンタの現像装置20Y及び共通ダクト35Yを示す概略構成図である。この現像装置20Yには、吸引ホースの代わりに、共通ダクト35Yが接続されており、この共通ダクトを通じて吸引ファン105が現像装置20Y内の空気を吸引する。
【0063】
共通ダクト35Yには、帯電接続部35Yaが設けられており、この帯電接続部35Yaは、帯電装置(
図2の5Y:但し、
図2は
図8とは逆方向から現像装置20Yを示している)に接続されて帯電装置内に連通している。
【0064】
吸引ファン105が作動すると、現像装置20Y内の空気が吸引されるとともに、帯電装置(5Y)内の空気が吸引される。後者の吸引により、帯電装置(5Y)内のオゾンを吸引する専用のファンを設けることなく、帯電装置(5Y)内でのオゾンの蓄積を防止することができる。
【0065】
制御部100は、上述した吸引停止中現像駆動処理を、次のタイミングで実施する。即ち、プリントジョブの終了のために感光体3Y,3M,3C,3Kの駆動を停止させた後、新たな画像を形成するために新たなプリントジョブを開始して感光体3Y,3M,3C,3Kの駆動を開始するまでの期間における所定のタイミングである。このタイミングでは、感光体3Y,3M,3C,3Kの駆動を停止させていることで、感光体3Y,3M,3C,3Kを帯電させるための帯電装置5Y,5M,5C,5Kの駆動も停止させている。このため、吸引ファン105を停止させる吸引停止中駆動処理を実施しても、帯電装置5Y,5M,5C,5K内におけるオゾンの蓄積を防止することができる。
【0066】
図9は、実施例に係るプリンタにおけるプリントジョブ終了時の各機器の駆動状態を示すタイミングチャートである。全ての頁について、感光体3Y,3M,3C,3K上の静電潜像の現像を終えると、駆動中だった給紙モーター108を停止させる。その後しばらくすると、時点t1において、吸引ファン105、ベルト駆動モーター106、転写モーター107、給紙モーター108、定着モーター109、及び排紙モーター110の駆動も停止させる。一般的なプリンタであれば、このとき、作像モーター102Y,102M,102C,102Kの駆動も終了してプリントジョブが完了するのであるが、実施例に係るプリンタでは、作像モーター102Y,102M,102C,102Kを駆動したままにする。そして、部分駆動クラッチ103Y,103M,103C,103KをOFFにして駆動力の伝達を「切」の状態にする。これにより、作像ユニット(2Y~K)の感光体(3Y~K)、帯電装置(5Y~K)、ドラムクリーニング装置(ドラムCL装置)(10Y~K)、及び潤滑剤塗布装置(15Y~K)の駆動を停止させる。
【0067】
図示のように、時点t1では、感光体3Y,3M,3C,3K、及び吸引ファン105を停止させた状態で、現像装置20Y,20M,20C,20Kを駆動している。つまり、時点t1において、吸引停止中現像駆動処理が開始される。この吸引停止中駆動処理を、所定の時間だけ継続した後、時点t2において終了させる。このとき、作像モーター102Y,102M,102C,102Kの駆動を停止させることで、現像装置20Y,20M,20C,20Kの駆動を停止させる。
【0068】
次に、実施形態に係るプリンタにおける一部の構成を他の構成に変形した変形形態について説明する。なお、以下に特筆しない限り、変形形態に係るプリンタの構成は、実施形態と同様である。
【0069】
変形形態に係るプリンタの作像ユニット2Y,2M,2C,2Kは、上述した実施例と同様に、吸引ホースの代わりに共通ダクト(例えば
図8の35)を有している。吸引ファン105としては、逆転駆動によって現像装置20Y,20M,20C,20K内に空気を送る送気力を発揮するものが用いられている。ファンドライバー104が制御部100からの制御信号を受けて、吸引ファン105の停止、正転駆動、及び逆転駆動を制御する。
【0070】
制御部100は、吸引停止中現像駆動処理の代わりに、送気処理を実施する。この送気処理では、感光体3Y,3M,3C,3K上の静電潜像を何れも現像していない所定のタイミングにおいて、吸引ファン105を逆転駆動して現像装置20Y,20M,20C,20K内に送気する。この送気により、現像装置20Y,20M,20C,20Kのそれぞれについて、装置内から排出口(例えば27Y)を通じて現像剤排出路(例えば28Y)に向かう吹き出し気流を発生させる。この吹き出し気流により、排出口に付着したトナーを現像剤排出路内に吹き飛ばす。
【0071】
かかる構成においても、特許文献1に記載の画像形成装置とは異なり、排出口を開閉するシャッター部材や弁部材を設けることによるコストアップを回避しつつ、排出口にトナーを堆積させることに起因する現像剤のオーバーフロー不良を軽減することができる。
【0072】
図10は、変形形態に係るプリンタにおけるプリントジョブ開始時の各機器の駆動状態を示すタイミングチャートである。同図において、プリンタは、時点taにおいてユーザーからの画像形成命令を受ける。すると、時点tbにおいて、それまで停止させていた吸引ファン105を逆転駆動させて送気処理を開始する。その後、時点tcにおいて送気処理を終了するとともに、吸引ファン105を正転駆動させて作像処理を開始する。このとき、作像モーター102Y,102M,102C,102K、ベルト駆動モーター106、転写モーター107、給紙モーター108、及び定着モーター109の駆動も開始する。
【0073】
なお、実施形態のように部分駆動クラッチ103Y,103M,103C,103Kを設けている場合には、次のようにしてもよい。即ち、作像モーター102Y,102M,102C,102Kを駆動させ、作像ユニット2Y,2M,2C,2Kの各装置のうち、現像装置20Y,20M,20C,20Kの駆動だけを停止させ、他の装置を駆動する。同時に、ベルト駆動モーター106、転写モーター107、給紙モーター108、及び定着モーター109の駆動も開始する。これと前後して、吸引ファン105の逆転駆動によって送気処理を開始する。
【0074】
図11は、変形形態に係るプリンタにおけるプリントジョブ終了時の各機器の駆動状態を示すタイミングチャートである。制御部100は、全ての頁について、感光体3Y,3M,3C,3K上の静電潜像の現像を終えると、駆動中だった給紙モーター108を停止させる。その後しばらくすると、時点t1において、送気処理を開始する。このとき、それまで正転駆動していた吸引ファン105を逆転駆動させて吸引から送気に切り替える。同時に、作像モーター102Y,102M,102C,102K、ベルト駆動モーター106、転写モーター107、給紙モーター108、定着モーター109、排紙モーター110の駆動を停止させる。この送気処理については、所定の時間だけ継続した後、時点t2において終了させる。このとき、吸引ファン105を停止させる。
【0075】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[第1態様]
第1態様は、潜像担持体(例えば感光体3Y,3M,3C,3K)と、これに担持される潜像を現像しつつ余剰の現像剤を排出口(例えば排出口27Y)から外部に排出する現像装置(例えば現像装置20Y,20M,20C,20K)と、これの内部の空気を吸引する吸引手段(例えば吸引ファン105)とを備える画像形成装置(例えばプリンタ)において、前記現像装置の内部から前記排出口を通じて前記現像装置の外部に向かう気流の発生を促す処理を所定のタイミングで実施する制御手段(例えば制御部)を設けたことを特徴とするものである。
【0076】
第1態様においては、排出口に対して現像装置の内部から外部に向かう気流を発生させることで、現像装置の外部側における排出口の周囲箇所に付着したトナーを気流によって外部側に吹き飛ばす。これにより、シャッター部材や弁部材を設けることなく排出口へのトナー堆積を抑える。よって、シャッター部材や弁部材を設けることによるコストアップを回避しつつ、排出口にトナーを堆積させることに起因する現像剤のオーバーフロー不良を軽減することができる。
【0077】
[第2態様]
第2態様は、第1態様であって、前記気流の発生を促す処理が、前記現像装置を駆動しつつ、前記吸引手段による吸引を停止させる吸引停止中現像駆動処理であることを特徴とするものである。
【0078】
第2態様では、吸引停止中現像駆動処理において、吸引手段を停止させた状態で現像装置を駆動することで、現像装置の内圧を一時的に上昇させて、現像装置の内部から排出口を通じて外部に向かう気流を発生させることができる。
【0079】
[第3態様]
第3態様は、第1態様であって、前記吸引手段が、逆駆動によって前記現像装置内に空気を送る送気力を発揮するものであり、前記気流の発生を促す処理が、前記吸引手段の逆駆動によって前記現像装置内に送気する送気処理であることを特徴とするものである。
【0080】
第3態様では、送気処理において、吸引手段を逆駆動させることで、現像装置の内部から排出口を通じて現像装置の外部に向かう気流を発生させることができる。
【0081】
[第4態様]
第4態様は、第2態様において、所定の前記タイミングとして、前記潜像担持体の駆動を停止した後、新たな画像を形成するために前記潜像担持体の駆動を開始するまでの期間における所定のタイミングで、前記吸引停止中現像駆動処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
【0082】
第4態様においては、画像形成動作中に現像装置の排出口にトナーを付着させてしまっても、それを放置することなく、作像の終了直後に付着トナーを気流によって現像装置の外部に向けて吹き飛ばして除去することができる。
【0083】
[第5態様]
第5態様は、第3態様において、所定の前記タイミングとして、ユーザーから画像形成命令を受けた後、前記潜像担持体の駆動を開始するまで、あるいは前記現像装置の駆動を開始するまで、の期間における所定のタイミングで、前記送気処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
【0084】
第5態様においては、現像装置の排出口に付着しているトナーを送気処理によって現像装置の外部に向けて吹き飛ばして除去してから、画像形成動作を行う。これにより、前回の画像形成動作で排出口に付着してしまったトナーの上に新たなトナーを付着させることを抑えることができる。
【0085】
[第6態様]
第6態様は、第3又は第5態様において、所定の前記タイミングとして、前記潜像担持体上の潜像の現像を終えた後、前記潜像担持体の駆動を停止させるまで、あるいは前記現像装置の駆動を停止させるまで、の期間における所定のタイミングで、前記送気処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
【0086】
第6態様においては、画像形成動作中に現像装置の排出口にトナーを付着させてしまっても、それを放置することなく、作像の終了直後に付着トナーを現像装置の外部に向けて吹き飛ばして除去することができる。
【0087】
[第7態様]
第7態様は、第1、第2、第3、第4、第5又は第6態様において、前記潜像担持体上で現像されたトナー像を転写体(例えば中間転写ベルト61)に転写する転写手段(例えば転写ベルトユニット60)と、これによる転写工程を経た前記潜像担持体の表面に付着しているトナーを除去する除去手段(例えばドラムクリーニング装置10Y)と、前記排出口から排出される現像剤を受け入れて搬送先(例えば廃剤収容器)に向けて搬送するための第一搬送路(例えば現像剤排出路28Y)と、前記除去手段から排出されるトナーを受け入れて前記搬送先に向けて搬送するための第二搬送路(例えばトナー排出路13Y)とを設け、前記第一搬送路と前記第二搬送路とを連通させた(例えば共通搬送路30Y)ことを特徴とするものである。
【0088】
第7態様においては、第一搬送路と第二搬送路とを連通させたことで、搬送先まで共通の搬送路(例えば共通搬送路30Y)でトナー及び現像剤を搬送して低コスト化及び装置小型化を図ることができる。また、連通により、第一搬送路に排出された現像剤中のトナーに加えて、第二搬送路に排出されたトナーも現像装置の排出口に付着させる可能性があるが、堆積抑制手段によって排出口でのトナーの堆積を抑えることができる。
【0089】
[第8態様]
第8態様は、第1、第2、第3、第4、第5、第6又は第7態様において、前記現像装置として、表面に担持した現像剤を表面移動によって前記潜像担持体との対向領域に搬送して前記潜像を現像する現像部材(例えば第一現像ローラ21、第二現像ローラ22)を前記潜像担持体の表面移動方向に沿って複数設けたものを用いたことを特徴とするものである。
【0090】
かかる構成では、複数の現像部材によって現像を行うことで、大きな現像部材を一つ設けてその周囲のデッドスペースを無駄に確保してしまう構成に比べて、装置の大型化を抑えつつ、現像効率の向上を図ることができる。加えて、現像装置の内部から排出口を通じて外部に向かう気流を所定のタイミングで発生させることで、複数の現像部材の駆動によって現像装置の排出口に付着させ易くなったトナーの堆積を抑えることが出来る。
【0091】
[第9態様]
第9態様は、潜像担持体に担持される潜像を現像する現像装置であって、
第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7又は第8態様に搭載されることを特徴とするものである。
【0092】
[第10態様]
第10態様は、潜像担持体と、これに担持される潜像を現像する現像装置とを一つのユニットとして、一体的に画像形成装置本体に着脱される作像ユニット(例えば作像ユニット2Y,2M,2C,2K)であって、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7又は第8態様に搭載されることを特徴とするものである。
【符号の説明】
【0093】
2Y,2M,2C,2K:作像ユニット
3Y,3M,3C,3K:感光体(潜像担持体)
10Y:ドラムクリーニング装置(除去手段)
13Y:トナー排出路(第二搬送路)
20Y,20M,20C,20K:(現像装置)
21Y:第一現像ローラ(現像部材)
22Y:第二現像ローラ(現像部材)
27Y:排出口
28Y:現像剤排出路(第一搬送路)
30Y:共通搬送路(連通)
60:転写ベルトユニット(転写手段)
61:中間転写ベルト(転写体)
100:制御部(制御手段)
105:吸引ファン(吸引手段)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0094】