(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-06
(45)【発行日】2022-04-14
(54)【発明の名称】携帯型画像形成装置用治具、携帯型画像形成システム、及び、携帯型画像形成装置用治具セット
(51)【国際特許分類】
B41J 3/28 20060101AFI20220407BHJP
【FI】
B41J3/28
(21)【出願番号】P 2018118751
(22)【出願日】2018-06-22
【審査請求日】2021-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】中村 光孝
(72)【発明者】
【氏名】原田 泰成
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-012748(JP,A)
【文献】特開平03-057661(JP,A)
【文献】実開平02-068562(JP,U)
【文献】実開昭63-165958(JP,U)
【文献】実開平01-146949(JP,U)
【文献】実開平01-085042(JP,U)
【文献】特開平08-310051(JP,A)
【文献】特開2002-052741(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0069620(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査直交方向における携帯型画像形成装置の位置決め基準となる装置位置決め基準部を有し、前記携帯型画像形成装置を走査方向へ走査することにより記録材に画像を形成するための携帯型画像形成装置用治具であって、
前記走査直交方向における前記記録材に対する前記携帯型画像形成装置用治具の位置決め基準となる冶具位置決め基準部を有
し、
前記冶具位置決め基準部は、前記走査直交方向における前記装置位置決め基準部からの距離が互いに異なる複数の走査直交方向位置にそれぞれ設けられており、
前記複数の走査直交方向位置は、走査直交方向の幅が互いに異なる予め決められた複数種類の記録材に対して、対応する冶具位置決め基準部に合わせて、前記携帯型画像形成装置用治具を位置決めした場合に、該記録材の走査直交方向中央位置に画像が形成される位置に設定されていることを特徴とする携帯型画像形成装置用治具
。
【請求項2】
請求項
1に記載の携帯型画像形成装置用治具において、
前記携帯型画像形成装置を前記装置位置決め基準部に合わせて位置決めしたときに該携帯型画像形成装置によって画像が形成される走査直交方向位置を指し示す画像形成位置指標を有することを特徴とする携帯型画像形成装置用治具。
【請求項3】
請求項
2に記載の携帯型画像形成装置用治具において、
前記画像形成位置指標に対し、1回の走査で1行の画像を形成するときの行間に相当する行間距離をあけた走査直交方向位置を指し示す行間指標を有することを特徴とする携帯型画像形成装置用治具。
【請求項4】
走査直交方向における携帯型画像形成装置の位置決め基準となる装置位置決め基準部を有し、前記携帯型画像形成装置を走査方向へ走査することにより記録材に画像を形成するための携帯型画像形成装置用治具であって、
前記走査直交方向における前記記録材に対する前記携帯型画像形成装置用治具の位置決め基準となる冶具位置決め基準部と、
前記携帯型画像形成装置を前記装置位置決め基準部に合わせて位置決めしたときに該携帯型画像形成装置によって画像が形成される走査直交方向位置を指し示す画像形成位置指標とを有し、
前記画像形成位置指標に対し、1回の走査で1行の画像を形成するときの行間に相当する行間距離をあけた走査直交方向位置を指し示す行間指標を有することを特徴とする携帯型画像形成装置用治具。
【請求項5】
請求項4に記載の携帯型画像形成装置用治具において、
前記冶具位置決め基準部は、前記走査直交方向における前記装置位置決め基準部からの距離が互いに異なる複数の走査直交方向位置にそれぞれ設けられていることを特徴とする携帯型画像形成装置用治具。
【請求項6】
請求項
3乃至5のいずれか1項に記載の携帯型画像形成装置用治具において、
前記行間指標は、前記画像形成位置指標とは異なる形態であることを特徴とする携帯型画像形成装置用治具。
【請求項7】
請求項
3乃至6のいずれか1項に記載の携帯型画像形成装置用治具において、
前記行間距離は、前記携帯型画像形成装置における画像形成部の走査直交方向長さに設定されていることを特徴とする携帯型画像形成装置用治具。
【請求項8】
請求項
3乃至
7のいずれか1項に記載の携帯型画像形成装置用治具において、
複数分の行に対応して前記行間指標が複数設けられ、
隣り合う2つの行間指標の間に該行間指標よりも小さな指標を有することを特徴とする携帯型画像形成装置用治具。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の携帯型画像形成装置用治具において、
前記冶具位置決め基準部は、前記記録材上の予め決められた基準箇所の走査直交方向位置を指し示す記録材位置指標を含むことを特徴とする携帯型画像形成装置用治具。
【請求項10】
請求項9に記載の携帯型画像形成装置用治具において、
前記基準箇所は、前記走査直交方向における前記記録材の端部であることを特徴とする携帯型画像形成装置用治具。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の携帯型画像形成装置用治具において、
前記携帯型画像形成装置の走査方向位置を予め決められた走査開始位置に位置決めしたときに該携帯型画像形成装置による画像形成が開始される記録材上の走査方向位置を指し示す画像形成開始位置指標を有することを特徴とする携帯型画像形成装置用治具。
【請求項12】
請求項11に記載の携帯型画像形成装置用治具において、
前記画像形成開始位置指標は、前記携帯型画像形成装置の走査方向位置を前記走査開始位置に位置決めしたときに該携帯型画像形成装置の走査方向前方側の端部が位置する走査方向位置を指し示すことを特徴とする携帯型画像形成装置用治具。
【請求項13】
請求項11に記載の携帯型画像形成装置用治具において、
前記画像形成開始位置指標は、前記携帯型画像形成装置の走査方向位置を前記走査開始位置に位置決めしたときに該携帯型画像形成装置の画像形成部が位置する走査方向位置を指し示すことを特徴とする携帯型画像形成装置用治具。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の携帯型画像形成装置用治具において、
前記携帯型画像形成装置の走査を開始する走査開始位置に該携帯型画像形成装置を位置決めする位置決め基準となる走査開始位置決め基準部を有することを特徴とする携帯型画像形成装置用治具。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載の携帯型画像形成装置用治具において、
前記記録材が載置された台面又は該記録材の面に対して接触する接触面に、該台面又は該記録材の面との間の摩擦係数を高める摩擦部材を有することを特徴とする携帯型画像形成装置用治具。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか1項に記載の携帯型画像形成装置用治具において、
前記走査方向に沿って延びる1又は2以上の記録材基準線及び前記走査直交方向に沿って延びる1又は2以上の記録材基準線の少なくとも一方を備えていることを特徴とする携帯型画像形成装置用治具。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれか1項に記載の携帯型画像形成装置用治具において、
前記装置位置決め基準部は、前記携帯型画像形成装置の被当接部の走査直交方向両側から当接することにより該携帯型画像形成装置の走査直交方向位置を規制することを特徴とする携帯型画像形成装置用治具。
【請求項18】
請求項17に記載の携帯型画像形成装置用治具において、
前記装置位置決め基準部は、前記携帯型画像形成装置の被当接部である突起が入り込む、走査方向に延びる溝であることを特徴とする携帯型画像形成装置用治具。
【請求項19】
走査方向へ手動で走査することにより記録材に画像を形成する携帯型画像形成装置と、
請求項1乃至18のいずれか1項に記載の携帯型画像形成装置用治具とから構成されることを特徴とする携帯型画像形成システム。
【請求項20】
請求項17又は18に記載の携帯型画像形成装置用治具と、
前記携帯型画像形成装置に装着されることで該携帯型画像形成装置の前記被当接部を形成する被当接部部品とから構成されることを特徴とする携帯型画像形成装置用治具セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型画像形成装置用治具、携帯型画像形成システム、及び、携帯型画像形成装置用治具セットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、走査直交方向における携帯型画像形成装置の位置決め基準となる装置位置決め基準部を有し、その装置位置決め基準部によって走査直交方向における携帯型画像形成装置の位置を規制しつつ携帯型画像形成装置を走査方向へ走査することにより、記録材に画像を形成するための携帯型画像形成装置用治具が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、手動式プリンタ(携帯型画像形成装置)の走査時の位置ずれや斜行を防止するための手動式プリンタガイド機構(携帯型画像形成装置用治具)が開示されている。この手動式プリンタガイド機構は、上下ガイドと左右ガイドによって形成される四角形のガイド枠内に、上下ガイド間に嵌合されるように溝付き長板が設けられている。この溝付き長板に設けられた溝は、ガイド枠の上下方向に延びており、手動式プリンタのボス部がはまり込んで当該溝に沿ってスライドできるようになっている。この手動式プリンタガイド機構によれば、用紙(記録材)の4辺を押さえるようにガイド枠を用紙上に置き、溝付き長板の溝に手動式プリンタのボス部をはめ込んで手動式プリンタを上下方向へ手動で走査することにより、走査直交方向の一定位置に画像を形成できるとされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の携帯型画像形成装置用治具においては、記録材に対する携帯型画像形成装置用治具の位置決めがユーザーの目視によって行われるため、画像を形成したい記録材上の目標位置に対する画像の形成位置が走査直交方向へずれやすいという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、走査直交方向における携帯型画像形成装置の位置決め基準となる装置位置決め基準部を有し、前記携帯型画像形成装置を走査方向へ走査することにより記録材に画像を形成するための携帯型画像形成装置用治具であって、前記走査直交方向における前記記録材に対する前記携帯型画像形成装置用治具の位置決め基準となる冶具位置決め基準部を有し、前記冶具位置決め基準部は、前記走査直交方向における前記装置位置決め基準部からの距離が互いに異なる複数の走査直交方向位置にそれぞれ設けられており、前記複数の走査直交方向位置は、走査直交方向の幅が互いに異なる予め決められた複数種類の記録材に対して、対応する冶具位置決め基準部に合わせて、前記携帯型画像形成装置用治具を位置決めした場合に、該記録材の走査直交方向中央位置に画像が形成される位置に設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、画像形成位置の走査直交方向位置を記録材上の目標位置に精度よく合わせることができるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係るHMPを斜め上方から示す外観斜視図。
【
図3】同HMPの上部ユニットを下部ユニットに対して開いた状態を示す斜視図。
【
図5】同HMPの電気回路の一部を示すブロック図。
【
図6】実施形態に係る治具を斜め上方から示す外観斜視図。
【
図7】同治具を用いて、水引の画像が印字されたA4サイズの熨斗用紙に、同HMPにより表書きや名前の文字画像を形成する際の説明図。
【
図9】同治具の用紙位置決め基準部材を示す拡大図。
【
図10】同治具に対してHMPの走査方向位置を予め決められた走査開始位置(ホームポジション)に位置決めさせた状態を示す説明図。
【
図11】同HMPに取り付けられるアタッチメントを示す拡大図。
【
図12】同治具を熨斗用紙上にセットした状態を示す説明図。
【
図13】同治具に対して同HMPをセットした状態を示す説明図。
【
図14】同HMPをホームポジションに位置決めする操作を説明する説明図。
【
図15】同HMPを手動走査して熨斗用紙に表書き及び名前の文字画像を形成したときの説明図。
【
図16】熨斗用紙に対し、表書きの文字画像を形成した後に、これから2人の名前の文字画像を走査直交方向へ2行となるように形成する場合の説明図。
【
図17】同治具を熨斗用紙上にセットした状態を示す説明図。
【
図18】1行目の文字画像を形成した後、2行目の文字画像を形成する目標位置に合うように、同治具を熨斗用紙上にセットした状態を示す説明図。
【
図19】(a)は、治具に対し、アタッチメント200を取り外した状態のHMPの走査方向位置をホームポジションに位置決めさせた状態を示す説明図。(b)は、治具に対し、アタッチメント200を取り付けた状態のHMPの走査方向位置をホームポジションに位置決めさせた状態を示す説明図。
【
図20】短冊型の熨斗用紙に対し、表書きの文字画像を形成する場合の説明図。
【
図21】治具の画像形成開始位置指標を、HMPをホームポジションに位置決めしたときにHMPの記録部が位置する走査方向位置を指し示すように形成した変形例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を、携帯型画像形成装置であるハンディモバイル型プリンタ(以下「HMP」という。)と、携帯型画像形成装置用治具(以下、単に「治具」という。)とから構成される携帯型画像形成システムに適用した一実施形態について説明する。
まず、本実施形態に係るHMPの基本的な構成について説明する。
【0009】
図1は、本実施形態に係るHMP1を斜め上方から示す外観斜視図である。
同図に示されるHMP1は、上部ユニット2と下部ユニット3とから主に構成されている。HMP1は、全体的におおよそ直方体形状を有しており、その走査方向(=印字方向:図中矢印X方向)の幅は、ユーザーが掌で掴める程度である。
【0010】
HMP1の筐体は、後述するインクジェットヘッドの記録部(画像形成部)を用紙などの記録材に対面させる面である記録面30、これの反対面である上面31、走査方向(図中矢印X方向)に向く左側面32などを有している。また、走査方向に向く右側面33、走査直交方向(図中矢印Y方向)に向く背面34、走査直交方向に向く正面35なども有している。なお、走査直交方向は、HMP1の走査方向に対して直交する方向である。
【0011】
同図に示されるHMP1は、記録面30を鉛直方向下方に向けつつ、上面31を鉛直方向上方に向ける姿勢になっている。上面31の外縁内(枠内)には、プリントボタン14と、電源ボタン15とが設けられている。また、上部ユニット2の左側面32には、USB接続口6が設けられている。
【0012】
USB接続口6は、USBケーブルを接続するためのものである。HMP1に設けられた充電式のバッテリー(後述する
図3の符号51)に対し、USB接続口6に接続したUSBケーブルを介して外部の電源から電力を供給することで、バッテリーを充電することができる。
【0013】
ユーザーは電源ボタン15を長押しすることによってHMP1の電源の入切(ON/OFF)を切り替えることができる。電源を入れた状態では、スマートフォンなどの外部機器との近距離無線通信により、HMP1の上部ユニット2内に設けられた制御基板に対して画像情報を取得させることができる。その後、記録面30を記録材の表面に対面させる姿勢でHMP1を記録材の表面上に置いた後、プリントボタン14を一度押してから、
図2に示されるようにHMP1を走査方向(図中矢印X方向)に沿って移動させることで、記録材の表面に画像を形成することができる。なお、このHMP1は、ユーザーの移動操作(手動走査)によって走査方向(図中矢印X方向)に沿って往復移動させる場合、往路と復路のそれぞれで、記録材の表面に画像を形成することができる。
【0014】
記録材は、用紙などの紙類に限定されるものではなく、OHP、布、段ボール、包装容器、ガラス、基板など、画像記録可能なあらゆるものが含まれる。
【0015】
図3は、上部ユニット2を下部ユニット3に対して開いた状態のHMP1を示す斜視図である。
図示のように、上部ユニット2は、下部ユニット3に対して開閉するように下部ユニット3に支持されている。下部ユニット3の内部空間には、HMP1の各機器に電源供給するためのバッテリー51が搭載されている。
【0016】
また、下部ユニット3の内部には、記録部とインクタンクとを一体で備えるインクタンク一体型のインクジェットヘッド40(インクカートリッジ)が着脱可能に装着される。このとき、インクの液滴を吐出する記録部が鉛直方向下方に向けられる。このインクジェットヘッド40は、記録部からインクの液滴を吐出して画像記録を行うものである。
【0017】
上部ユニット2の内面には、下部ユニット3内に装着されたインクジェットヘッド40を押さえて係止するためのヘッド押さえ板バネ37が固定されている。
【0018】
このHMP1では、下部ユニット3内において、バッテリー51をインクジェットヘッド40の側方に位置させているため、上方に位置させる構成に比べてHMP1の高さを低くできる。これにより、HMP51の重心位置を低くでき、移動操作(手動走査)時等におけるHMP1の転倒を抑制することができる。
【0019】
図4は、HMP1を記録面側から見たときの底面図である。
同図において、HMP1の記録面30には、下部ユニット(
図3の符号3)内に装着されたインクジェットヘッド40の記録部41を外部に露出させるための開口30aが設けられている。記録部41は、複数の吐出孔41aを有しており、アクチュエータ(駆動源)を駆動させることによりそれぞれの吐出孔41aからインクの液滴を個別に吐出することが可能である。
【0020】
記録部41は、インクジェットヘッド40の基板のうち、基板面方向において吐出孔41aを囲むように設けられている複数のインナーリードよりも内側(吐出孔41aの側)の領域である。このHMP1では、基板における記録部41の領域を白色に塗装して、周囲の黒色の領域とはっきり区別できるようにしている。つまり、白色の領域は、記録部41であることを示す目印になっている。この目印の形は、図示のように矩形状になっている。
【0021】
インクジェットヘッド40においては、インクを吐出するための駆動源として、積層型圧電素子や薄膜型圧電素子等を用いた電気機械変換素子(圧電アクチュエータ等)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子、振動板と対向電極とからなる静電アクチュエータなどを用いることができる。
【0022】
記録部41の吐出孔41aから吐出されるインク(液体)は、吐出孔41aから吐出可能な粘度や表面張力を有する液体であればよく、特に限定されないが、常温常圧下において、又は加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下になるものであることが好ましい。具体的には、インク(液体)は、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、等を含む溶液、懸濁液、乳濁液等である。これらは、例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0023】
記録面30の外縁内には、記録材上におけるHMP1の位置を検知する検知手段としての位置検知センサー8、回転可能な左側第一ローラ部17a、左側第二ローラ部17b、右側第一ローラ部18a、右側第二ローラ部18bなどが設けられている。
【0024】
HMP1は、ユーザーによって走査方向に移動操作(手動走査)されるときに、記録材の表面上に接触している前述した4つのローラ部をタイヤのように回転させる。このようなローラ部が設けられていることで、ユーザーはHMP1を走査方向に沿って直進させることが容易になる。このとき、記録材の表面に接触させているのは、HMP1の四つのローラ部だけであり、記録面30は記録材の表面に接触させない。このため、インクジェットヘッド40の記録部41と記録材の表面との距離を一定に保って、所望の高画質の画像を形成することができる。
【0025】
位置検知センサー8は、記録材の表面までの距離や表面状態(例えば凹凸)を検知したり、HMP1の移動距離を検知したりするセンサーであり、例えばパソコンの光学式マウス(ポインティングデバイス)などで使用されているものと同様のものを利用できる。位置検知センサー8は、置かれている場所(記録材)に光を照射し、その部分の状態を「模様」として読み取る。そして、位置検知センサー8の動きに対してその「模様」がどのように移動するのかを連続して捉えることで、移動量を算出する。
【0026】
図5は、HMP1の電気回路の一部を示すブロック図である。
制御基板57は、各種の演算処理やプログラム実行を行うCPU55、近距離無線通信用のBt(Bluetooth(登録商標))基板52、データを一時記憶するRAM53、ROM54、記録制御部56などを有している。この制御基板57は、上部ユニット(
図1の符号2)の中空内において、USB接続口(
図2の符号6)の裏側の位置に固定されている。
【0027】
Bt基板52は、スマートフォンやタブレット端末などの外部機器との近距離無線通信(Bluetooth通信)によってデータ通信を行うものである。また、ROM54は、HMP1のハードウェア制御を行うファームウェアや、インクジェットヘッド40の駆動波形データ等を格納するものである。また、記録制御部56は、インクジェットヘッド40を駆動させるためのデータ処理を実行したり、駆動波形を生成したりするものである。
【0028】
制御基板57には、ジャイロセンサー58、位置検知センサー8、LEDランプ59、インクジェットヘッド40、プリントボタン14、電源ボタン15、バッテリー51などが電気的に接続されている。
【0029】
ジャイロセンサー58は、周知の技術により、HMP1の傾きや回転角度を検知して、その結果を制御基板57に送信するものである。LEDランプ59は、プリントボタン14における光透過性の材料からなる外装カバーの内部に設けられ、プリントボタン14を発光させるものである。
【0030】
電源ボタン15を押してHMP1の電源を入れると、各モジュールに電力が供給され、CPU55はROM54に格納されているプログラムに基づいて起動動作を開始し、プログラムや各データをRAM53に展開する。画像データを外部機器から近距離無線通信によって受信すると、記録制御部56は、受信した画像データに応じた駆動波形を生成する。そして、位置検知センサー8によって検知された記録材の表面上の位置に応じた画像を形成するようにインクジェットヘッド40からのインクの吐出を制御する。
【0031】
先に
図5に示した制御基板57は、外部機器との近距離無線通信によって画像データを取得すると、LEDランプ59を点滅させることで、光透過性のあるプリントボタン14を発光点滅させる。これを見たユーザーは、HMP1の画像データ取得が終了したことを知る。その後、HMP1を記録材上に置いて、プリントボタン14を押す。
【0032】
一方、制御基板57は、LEDランプ59の点滅制御を開始すると、プリントボタン14が押されるのを待機する。そして、プリントボタン14が押されると、LEDランプ59を連続点灯させることで、プリントボタン14を連続発光させる。これを見たユーザーは、HMP1の走査方向への移動操作(手動走査)を開始する。
【0033】
HMP1の移動操作(手動走査)を終えたユーザーは、HMP1を記録材から取り上げて卓上などに置く。位置検知センサー8は、HMP1が記録材上から取り上げられたとき、位置の検知ができなくなる。制御基板57は、位置検知センサー8が位置を検知しなくなったタイミングで、LEDランプ59を消灯させて、プリントボタン14の発光を停止させる。これを見たユーザーは、HMP1のプリント用の処理が終了したことを把握することができる。
【0034】
なお、移動操作(手動走査)中にプリントボタン14を押し続ける必要はない。移動操作に先立ってプリントボタン14を押して離せば、位置検知センサー8による検知結果に基づく画像形成処理が、画像形成の終了まで、もしくは位置検知センサー8による位置検知不能まで継続される。
【0035】
次に、本実施形態に係る治具の構成について説明する。
図6は、本実施形態に係る治具100を斜め上方から示す外観斜視図である。
本実施形態に係る治具100は、HMP1の走査方向(X方向)に延びる長尺平板状の走査直交方向位置決め部材101と、HMP1の走査直交方向(Y方向)に延びる長尺平板状の用紙位置決め基準部材102とが、互いの相対位置関係が固定されるように一体成型されたものである。具体的には、治具100は、走査直交方向位置決め部材101の一端部と用紙位置決め基準部材102の一端部とが固定部103で互いに連結された略L字形状であり、L字定規のような形状となっている。治具100の基材は、後述する用紙(記録材)に治具100を重ねて置いても、治具100に重なる部分の用紙を視認できるように、光透過性の材料が好ましく、透明であるのがより好ましい。
【0036】
本実施形態の治具100の走査直交方向位置決め部材101上には、走査直交方向(Y方向)におけるHMP1の位置決め基準となる装置位置決め基準部として、走査方向(X方向)に延びる溝110が形成されている。この溝110は、後述するHMP1に備わった突起が入り込むことで、溝110の内壁面が当該突起の走査直交方向両側から当接し、これによりHMP1の走査直交方向位置を規制するものである。そして、この溝110によってHMP1の走査直交方向位置を規制しつつHMP1を走査方向(X方向)へ移動操作(手動走査)することにより、HMP1を走査方向へ直進させることができ、走査直交方向へのずれが少ない画像を用紙上に形成することができる。
【0037】
なお、本実施形態では、装置位置決め基準部を、HMP1に備わった突起が入り込む溝110で構成しているが、HMP1に備わった被当接部の走査直交方向両側から当接することによりHMP1の走査直交方向位置を規制できる構成であれば、溝110に限られない。
【0038】
また、本実施形態の装置位置決め基準部は、HMP1の走査直交方向両側への変位を規制する構成であるが、HMP1の走査直交方向片側のみへの変位を規制する構成であってもよい。例えば、走査直交方向位置決め部材101の側面(走査直交方向を向く面)にHMP1の側面(例えば背面34)を押し当てるようにHMP1の移動操作(手動走査)する場合には、走査直交方向位置決め部材101の当該側面が、装置位置決め基準部として機能する。
【0039】
また、本実施形態の治具100の走査直交方向位置決め部材101上には、走査直交方向(Y方向)に沿って延びる1又は2以上の記録材基準線としての用紙基準線111が形成されている。この用紙基準線111は、基材上に印字されたものである。このような用紙基準線111を設けることで、走査直交方向へ延びる用紙上の基準線分(例えば、用紙上に描かれた走査直交方向へ延びる線分、走査直交方向へ延びる用紙端部(端辺)など)が治具100の当該用紙基準線111と平行になるように、用紙に対して治具100をセットすることにより、用紙上に形成される画像が斜めに形成されてしまう事態を抑制しやすい。
【0040】
また、本実施形態の治具100の走査直交方向位置決め部材101上には、走査方向(X方向)に沿って延びる1又は2以上の記録材基準線としての用紙基準線112が形成されている。この用紙基準線112は、基材上に印字されたものである。このような用紙基準線112を設けることで、走査方向へ延びる用紙上の基準線分(例えば、用紙上に描かれた走査方向へ延びる線分、走査方向へ延びる用紙端部(端辺)など)が治具100の当該用紙基準線112と平行になるように、用紙に対して治具100をセットすることにより、用紙上に形成される画像が斜めに形成されてしまう事態を抑制しやすい。
【0041】
一方、本実施形態の治具100の用紙位置決め基準部材102上には、走査直交方向(Y方向)における用紙に対する治具100の位置決め基準となる冶具位置決め基準部が設けられている。本実施形態の冶具位置決め基準部は、用紙上の予め決められた基準箇所の走査直交方向位置を指し示す記録材位置指標である。本実施形態の記録材位置指標は、用紙の走査直交方向一端部を基準箇所とし、その用紙の走査直交方向一端部の走査直交方向位置を指し示す用紙端部位置指標130である。この用紙端部位置指標130は、基材上に印字されたものである。
【0042】
本実施形態の用紙端部位置指標130は、
図6に示すように、走査直交方向(Y方向)において、溝110からの距離が互いに異なる複数の走査直交方向位置にそれぞれ設けられている。各用紙端部位置指標130が設けられている複数の走査直交方向位置は、走査直交方向の幅が互いに異なる予め決められた複数種類の用紙上の走査直交方向一端部(用紙上の基準箇所)が、対応する用紙端部位置指標130に合わさるように、用紙に対して治具100を位置決めした場合に、HMP1の記録部41の走査直交方向位置が、用紙上の予め決められた目標位置に位置決めされるように設定されている。
【0043】
本実施形態の治具100において、用紙端部位置指標130の位置は、対応する用紙上の予め決められた目標位置が当該用紙の走査直交方向中央位置となるように、設定されている。すなわち、各用紙端部位置指標130の走査直交方向位置は、対応するサイズの用紙の一端部(基準箇所)を当該用紙端部位置指標130に合わせた場合に、当該用紙の走査直交方向中央位置に画像が形成されるように、設定されている。
【0044】
図7は、治具100を用いて、水引の画像が印字されたA4サイズの熨斗用紙Pに、HMP1により表書きや名前の文字画像を形成する際の説明図である。
図7の例では、熨斗用紙Pの走査直交方向(Y方向)における中央位置が、表書きや名前の文字画像を形成する目標位置となる。この場合、ユーザーは、まず、治具100の用紙位置決め基準部材102に形成されているA4の用紙端部位置指標130に熨斗用紙Pの走査直交方向一端部が合うように、熨斗用紙Pの上に治具100をセットする。
【0045】
ユーザーは、熨斗用紙Pに対して治具100がずれないように、セットした治具100を片手で押さえる。そして、もう一方の手でHMP1を把持し、HMP1の突起が治具100の走査直交方向位置決め部材101に形成されている溝110に入り込むように、治具100に対してHMP1をセットする。そして、ユーザーは、HMP1の走査方向位置を予め決められた走査開始位置(ホームポジション)に位置させた後、プリントボタン14を押して、突起が溝110に沿って移動するようにHMP1を走査方向(X方向)に沿って移動操作(手動走査)する。これにより、HMP1の記録制御部56によって生成された駆動波形に従ってHMP1の記録部41の吐出孔41aからインクの液滴が吐出され、インクによる文字画像(表書きや名前)が、熨斗用紙Pの走査直交方向中央位置(目標位置)に形成される。
【0046】
本実施形態における治具100によれば、用紙上の走査直交方向一端部(基準箇所)を、当該用紙に対応する用紙端部位置指標130に合わせるように、用紙に対して治具100をセットすることで、用紙上の走査直交方向一端部(基準箇所)に対し、溝110(装置位置決め基準部)の走査直交方向位置を精度よく位置決めすることができる。そして、このようにして用紙に対して位置決めされた治具100の溝110にHMP1の突起を嵌め込むことにより、当該溝110に対してHMP1の走査直交方向位置が合わせられる結果、用紙上の走査直交方向一端部に対してHMP1の走査直交方向位置が位置決めされる。これにより、走査直交方向において、用紙に画像が形成される画像形成位置が、用紙に画像を形成したい目標位置に一致する。したがって、その後、ユーザーが、治具100の溝110によって走査直交方向位置が規制されたHMP1を、走査方向(X方向)へ移動操作(手動走査)することにより、用紙上の目標位置に対して走査直交方向(Y方向)へのずれが少ない画像を、当該用紙上に形成することができる。
【0047】
図8は、治具100の底面を示す斜視図である。
本実施形態の治具100は、用紙が載置された台面又は用紙の上面に対して接触する接触面(底面)に、当該台面又は当該用紙の上面との間の摩擦係数を治具100の基材面よりも高める摩擦部材150が設けられている。この摩擦部材150は、当該台面又は当該用紙に対する治具100の滑り止めとして機能し、用紙と治具100との相対的なずれを抑制する。
【0048】
図9は、治具100の用紙位置決め基準部材102を示す拡大図である。
治具100の用紙位置決め基準部材102上に形成される用紙端部位置指標130は、走査方向(X方向)に延びるライン状の指標(マーク)で構成されている。本実施形態の用紙端部位置指標130は、「短冊55mm」、「B6」、「A5」、「B5」、「A4」、「B4」といった、予め決められた複数種類の用紙サイズに応じた各走査直交方向位置に、それぞれ設けられている。各用紙端部位置指標130は、ユーザーが用紙の種類(サイズ)を区別して認識できるような表示が付されており、具体的には用紙サイズを示す「A4」等の文字が付されている。
【0049】
本実施形態の治具100に設けられる各種指標(マーク)や各種表示は、樹脂印刷等の印字、シール部品の貼付、基材への加工処理などによって設けられる。印字や貼付によって設ける場合、それぞれの指標や表示の目的の違いによって、指標や表示の種類ごとに色分けしてもよい。
【0050】
また、本実施形態の用紙位置決め基準部材102には、HMP1の突起を溝110に嵌め込んでHMP1の走査直交方向位置を位置決めしたときにHMP1によって画像が形成される走査直交方向位置を指し示す画像形成位置指標120が設けられている。この画像形成位置指標120は、三角形状のマーク、あるいは、三角形状のマークと走査方向に延びる線分とからなる矢印によって構成されている。本実施形態では、画像形成位置指標120が指し示す走査直交方向位置が、形成される画像のどの位置を指し示すものであるかをユーザーに認識できるようにする表示を設けるのが好ましい。
図9の例では、画像形成位置指標120に「文字中央」という文字画像(表示)が付され、これにより、当該画像形成位置指標120が、形成される画像(文字)の走査直交方向中央位置を指し示していることをユーザーが認識できるようになっている。
【0051】
また、本実施形態の走査直交方向位置決め部材101には、
図9に示すように、HMP1の走査方向位置を予め決められた走査開始位置(ホームポジション)に位置決めしたときにHMP1による画像形成が開始される記録材上の走査方向位置を指し示す画像形成開始位置指標140が設けられている。これにより、ユーザーは、走査方向(X方向)において、用紙上のどの位置から画像形成が開始されるのか、用紙上のどの位置に画像が形成されるのか、を把握することができる。本実施形態では、画像形成開始位置指標140に「印字開始」という文字画像(表示)が付され、これにより、当該画像形成開始位置指標140である矢印が、画像形成が開始される位置を指し示していることをユーザーが認識できるようになっている。
【0052】
図10は、治具100に対してHMP1の走査方向位置を予め決められた走査開始位置(ホームポジション)に位置決めさせた状態を示す説明図である。
本実施形態では、治具100の用紙位置決め基準部材102の内側端面102a(
図9中下側の端面)にHMP1の右側面33が当接するようにセットしたときに、HMP1の走査方向位置が予め決められた走査開始位置(ホームポジション)に位置決めされる。このとき、HMP1に取り付けられる被当接部部品であるアタッチメント200に設けられた突起201を治具100の溝110にセットすると、画像形成開始位置指標140がアタッチメント200に隠れてユーザーに視認できなくなる。
【0053】
そのため、本実施形態では、HMP1のアタッチメント200上に、画像形成開始位置指標210が形成されている。この画像形成開始位置指標210は、
図10の例では、矢印の刻印で構成されているが、その形状や形成方法などには特に限定はない。本実施形態の治具100に設けられる画像形成開始位置指標140は、HMP1がホームポジションにセットされたとき、そのHMP1のアタッチメント200上における画像形成開始位置指標210と同じ走査方向位置に位置することになる。
【0054】
図11は、HMP1に取り付けられるアタッチメント200を示す拡大図である。
本実施形態のHMP1には、これに取り付けられるアタッチメント200上に突起201が設けられている。この突起201は、治具100の溝110に入り込むことで、溝110の内壁面が走査直交方向両側から当接される被当接部であり、この当接によって当該突起201が設けられるHMP1の走査直交方向の両側への変位が規制される。
【0055】
本実施形態の突起201は、走査直交方向において同じ位置であって、走査方向において互いに異なる位置に、複数設けられている。このような複数の突起201が溝110に入り込むことで、Z方向に延びるZ軸回りのHMP1の回転が規制され、HMP1を走査方向(X方向)へ手動走査するときのHMP1の姿勢が安定し、より高品質な画像を形成することができる。
【0056】
本実施形態の突起201は、HMP1に対して着脱自在に取り付けられるアタッチメント200に設けられている。治具100を用いずにHMP1で画像を形成する場合、突起201は不要であるため、その場合にはHMP1からアタッチメント200を取り外すことができる。すなわち、本実施形態のアタッチメント200は、治具100と一緒に使用されるものである。このようにアタッチメント200を取り外し可能にしたことで、治具100を用いずにHMP1で画像形成する場合には、HMP1からアタッチメント200を取り外すことで、HMP1を小型化でき、HMP1の操作性や取扱姓を向上させることができる。なお、本実施形態において、アタッチメント200は必ずしもHMP1に対して着脱自在である必要はない。
【0057】
次に、本実施形態の治具100を用いて、HMP1により、A4サイズの熨斗用紙Pの走査直交方向中央位置に表書き及び名前の文字画像を形成する手順について説明する。
まず、ユーザーは、
図12に示すように、熨斗用紙Pの上に治具100を置く。そして、これから熨斗用紙P上に形成しようとしている表書きである「お祝い」という文字画像Pa1の上端位置(画像形成開始位置)が、画像形成開始位置指標140と同じ走査方向位置となるように、治具100と熨斗用紙Pとの相対位置を調整する。
【0058】
また、ユーザーは、治具100の用紙位置決め基準部材102に形成されているA4の用紙端部位置指標130が、熨斗用紙Pの走査直交方向一端部Pbと同じ走査直交方向位置となるように、治具100と熨斗用紙Pとの相対位置を調整する。これにより、これから熨斗用紙P上に形成しようとしている表書きの文字画像Pa1の走査直交方向中央位置が、治具100の用紙位置決め基準部材102に形成されている画像形成位置指標120が指し示す走査直交方向位置と同じ位置になる。
【0059】
更に、ユーザーは、熨斗用紙Pの走査直交方向一端部Pbが走査方向(X方向)と平行になるように、治具100と熨斗用紙Pとの相対位置を調整する。この調整方法は、種々存在する。例えば、熨斗用紙Pに印字されている水引画像Pcは、熨斗用紙Pの走査直交方向一端部Pbに対して直交する方向に延在していることから、この水引画像Pcの延在方向が治具100の走査直交方向位置決め部材101上に設けられる用紙基準線111と平行になるように、治具100と熨斗用紙Pとの相対位置を調整してもよい。また、熨斗用紙Pの走査方向一端部(例えば
図12中の上端辺)は、熨斗用紙Pの走査直交方向一端部Pbに対して直交する方向に延在しており、かつ、治具100の用紙位置決め基準部材102の内側端面102aが走査直交方向に平行であることから、熨斗用紙Pの上端辺が治具100の用紙位置決め基準部材102の内側端面102aと平行になるように、治具100と熨斗用紙Pとの相対位置を調整してもよい。
【0060】
このようにして、治具100と熨斗用紙Pとの相対位置を調整したら、ユーザーは、熨斗用紙Pに対して治具100がずれないように治具100を片手で押さえつつ、もう一方の手でHMP1を把持する。そして、
図13に示すように、HMP1のアタッチメント200上の突起201が治具100の走査直交方向位置決め部材101に形成されている溝110に入り込むように、治具100に対してHMP1をセットする。これにより、HMP1は、走査直交方向(Y方向)の位置が規制されつつ、走査方向(X方向)へは移動自在になる。
【0061】
更に、ユーザーは、このように治具100に対してHMP1をセットしたら、
図14に示すように、HMP1を図中矢印Aに示す向きへ移動操作して、治具100の用紙位置決め基準部材102の内側端面102a(
図9中下側の端面)に、HMP1の右側面33を突き当てる。これにより、HMP1の走査方向位置は、予め決められた走査開始位置(ホームポジション)に位置決めされる。すなわち、治具100の用紙位置決め基準部材102の内側端面102a(
図9中下側の端面)は、HMP1の走査を開始する走査開始位置にHMP1を位置決めする位置決め基準となる走査開始位置決め基準部として機能している。
【0062】
以上のようにして、HMP1をホームポジションにセットしたら、ユーザーは、プリントボタン14を押し、HMP1の突起201が治具100の溝110に沿って移動するようにHMP1を走査方向(X方向)に沿って移動操作(手動走査)する。これにより、
図15に示すように、熨斗用紙Pの走査直交方向中央位置(目標位置)に、表書きの文字画像Pa1及びこれに続いて名前の文字画像Pa2が形成される。表書きの文字画像Pa1と名前の文字画像Pa2のように、熨斗用紙Pの走査直交方向の同じ位置に形成する画像であれば、
図15に示すように、一度の手動走査で形成することができる。
【0063】
次に、治具100を用いて、1つの用紙に対してHMP1の手動走査を複数回行うことにより画像を形成する手順について説明する。
図16は、熨斗用紙Pに対し、表書きである「お祝い」の文字画像Pa1を形成した後に、これから2人の名前の文字画像Pa2,Pa3を走査直交方向へ2行となるように形成する場合の説明図である。
図16に示すように、2人の名前の文字画像Pa2,Pa3は、いずれも熨斗用紙Pの走査直交方向中央位置からずれた位置が、画像を形成する目標位置となっている。ここで、本実施形態の治具100におけるA4の用紙端部位置指標130は、上述したとおり、これにA4サイズの熨斗用紙Pの走査直交方向一端部を合わせた場合に、ホームポジションに位置決めしたHMP1を手動走査して画像形成すると、熨斗用紙Pの走査直交方向中央位置に画像中心が位置するように画像形成が行われるというものである。そのため、用紙端部位置指標130に熨斗用紙Pの走査直交方向一端部を合わせて画像形成すると、熨斗用紙P上の目標位置に2人の名前の文字画像Pa2,Pa3を形成することができない。
【0064】
このような場合、ユーザーは、熨斗用紙Pの上に治具100を置いたら、
図17に示すように、これから熨斗用紙P上に形成しようとしている2行の文字画像Pa2,Pa3の上端位置(画像形成開始位置)が、画像形成開始位置指標140と同じ走査方向位置となるように、治具100と熨斗用紙Pとの相対位置を調整する。また、ユーザーは、
図17に示すように、治具100の用紙位置決め基準部材102に形成されている画像形成位置指標120が、これから熨斗用紙P上に形成しようとしている2行の文字画像Pa2,Pa3のうちの一方である「中村」の文字画像Pa2の目標位置(走査直交方向の目標位置)に合うように、治具100と熨斗用紙Pとの相対位置を調整する。
【0065】
そして、上述と同様に、ユーザーは、熨斗用紙Pの走査直交方向一端部Pbが走査方向(X方向)と平行になるように、治具100と熨斗用紙Pとの相対位置を調整したら、ユーザーは、HMP1のアタッチメント200上の突起201が治具100の溝110に入り込むように、治具100に対してHMP1をセットし、HMP1の走査方向位置を予め決められた走査開始位置(ホームポジション)に位置決めする。その後、ユーザーは、プリントボタン14を押し、HMP1の突起201が治具100の溝110に沿って移動するようにHMP1を走査方向(X方向)に沿って移動操作(手動走査)することで、熨斗用紙Pの目標位置に、1行目の名前の文字画像Pa2が形成される。
【0066】
このようにして1行目の名前の文字画像Pa2を形成したら、次に、ユーザーは、2行目の名前の文字画像Pa3を形成するために、治具100と熨斗用紙Pとの相対位置を調整しなおす。
【0067】
ここで、本実施形態の治具100の用紙位置決め基準部材102には、画像形成位置指標120に対し、1回の走査で1行の画像を形成するときの行間に相当する行間距離をあけた走査直交方向位置を指し示す行間指標160が設けられている。この行間指標160は、用紙位置決め基準部材102上の互いに異なる複数の走査直交方向位置にそれぞれ設けられている。このような行間指標160が治具100に設けられていることで、複数行にわたる画像を形成する場合に、ユーザーは行間距離の目安を認識でき、一定の行間距離で複数行にわたる画像を形成することが容易になる。
【0068】
行間指標160の走査直交方向位置を決めるための行間距離は、HMP1の仕様(HMP1によって形成可能な最大画像の走査直交方向長さ等)やユーザーの使用態様(ユーザーが使用する文字画像の大きさ等)に応じて、適宜設定することができる。本実施形態の治具100では、行間距離を、HMP1のインクジェットヘッド40における記録部41の走査直交方向長さに設定して、各行間指標160の走査直交方向位置が決められている。これによれば、行間指標160に合わせて複数行にわたる画像を形成する場合に、隣り合う各行の画像が互いに重なってしまうような事態を避けることができる。
【0069】
また、上述のように記録部41の走査直交方向長さに行間距離を設定することで、HMP1による走査直交方向最大長の画像形成により、複数行にわたる複数の部分画像を形成し、これらの部分画像を合わせて1つの合体画像を用紙上に形成するような場合に、部分画像間における走査直交方向のズレを抑制して、高品質な合体画像を形成することが容易となる。
【0070】
また、本実施形態における治具100では、隣り合う2つの行間指標160の間に、これらの行間指標160よりも小さな補助的指標161が設けられている。これにより、ユーザーは、行間指標160によって示される行間距離とは異なる行間距離で複数行にわたる画像を形成したい場合に、補助的指標161も目安に入れて、狙いの行間距離となるように、治具100と熨斗用紙Pとの相対位置を調整できる。よって、行間指標160によって示される行間距離とは異なる行間距離で複数行にわたる画像を形成したい場合でも、一定の行間距離で複数行にわたる画像を形成することが容易になる。
【0071】
また、本実施形態において、行間指標160は、ユーザーが画像形成位置指標120と区別して認識しやすいように、画像形成位置指標120とは異なる形態(形状、模様、色彩、寸法など)であるのが好ましい。本実施形態の行間指標160は、その形状が画像形成位置指標120と同様に三角形状のマークによって構成されているが、その色彩が画像形成位置指標120とは異なっている。具体的には、例えば、画像形成位置指標120が黒色であるのに対し、行間指標160は白色である。
【0072】
ユーザーは、2行目の名前の文字画像Pa3を形成する場合、既に画像形成済みである1行目の名前の文字画像Pa2の走査直交方向中央位置が、画像形成位置指標120の隣りに位置する行間指標160が指し示す位置に合うように、治具100と熨斗用紙Pとの相対位置を調整しなおす。具体的には、熨斗用紙Pを固定した状態で治具100を
図18中矢印Bの方向へ移動させ、1行目の名前の文字画像Pa2の走査直交方向中央位置を、画像形成位置指標120の隣りの行間指標160が指し示す位置に一致させる。これにより、
図18に示すように、治具100の用紙位置決め基準部材102に形成されている画像形成位置指標120が、これから熨斗用紙P上に形成しようとしている2行目の文字画像Pa3の目標位置(走査直交方向の目標位置)に合うように、治具100と熨斗用紙Pとの相対位置が調整される。
【0073】
その後、上述と同様に、ユーザーは、HMP1のアタッチメント200上の突起201が治具100の溝110に入り込むように、治具100に対してHMP1を再びセットし、HMP1の走査方向位置を予め決められた走査開始位置(ホームポジション)に位置決めする。そして、ユーザーは、プリントボタン14を押し、HMP1の突起201が治具100の溝110に沿って移動するようにHMP1を走査方向(X方向)に沿って移動操作(手動走査)することで、熨斗用紙Pの目標位置に、2行目の名前の文字画像Pa3が形成される。
【0074】
次に、本実施形態の治具100における画像形成開始位置指標140について更に説明する。
図19(a)及び(b)は、治具100に対してHMP1の走査方向位置をホームポジションに位置決めさせた状態を示す説明図であり、
図19(a)はアタッチメント200をHMP1から取り外した状態のものであり、
図19(b)はアタッチメント200をHMP1に取り付けた状態のものである。
【0075】
本実施形態では、上述したように、HMP1をホームポジションに位置決めしたときにHMP1による画像形成が開始される記録材上の走査方向位置を指し示す画像形成開始位置指標140が、治具100の走査直交方向位置決め部材101上に設けられている。本実施形態のHMP1における制御基板57は、プリントボタン14が押された後、HMP1が走査方向への移動を開始してから規定距離を移動した後に画像形成を開始するように制御している。この規定距離は、任意に設定できるが、本実施形態では、ホームポジション時におけるHMP1の走査方向前方側の外装稜線、すなわち、HMP1の左側面32が位置する走査方向位置と、ホームポジション時におけるHMP1の記録部41(より詳しくは、記録部41の走査方向前方側の端部)の走査方向位置との間の距離に設定されている。これにより、ホームポジションのHMP1を走査方向へ移動させ始めると、ホームポジション時におけるHMP1の走査方向前方側の外装稜線(HMP1の左側面32)が位置する走査方向位置から、画像形成が開始される。
【0076】
本実施形態では、治具100に画像形成開始位置指標140が設けられていることで、HMP1をホームポジションにセットすることなく、用紙に対して治具100を位置決めして、用紙上の目標の画像形成開始位置から適切に画像形成を開始することができる。また、ホームポジション時におけるHMP1の走査方向前方側の外装稜線(HMP1の左側面32)が位置する走査方向位置から画像形成が開始されることを知らないユーザーであっても、治具100の画像形成開始位置指標140を見ることで、画像形成開始位置を把握することができる。
【0077】
次に、治具100を用いて、走査直交方向長さの短いサイズの用紙(例えば短冊サイズ)に対してHMP1の手動走査を行うことにより画像を形成する手順について説明する。
図20は、短冊型の熨斗用紙P’に対し、表書きである「お祝い」の文字画像Pa1を形成する場合の説明図である。
走査直交方向長さが長い用紙であれば、その用紙の走査直交方向一端部を治具100の走査直交方向位置決め部材101で押さえることができるので、治具100に対する用紙の走査方向における位置決めには特に制限はない。したがって、例えば、用紙の走査方向一端部(図中上端部)の位置から画像形成を開始することも可能である。
【0078】
しかしながら、短冊型の熨斗用紙P’の場合、走査直交方向長さが短いため、治具100の走査直交方向位置決め部材101では熨斗用紙P’を押さえることができない。そのため、
図20に示すように、熨斗用紙P’の走査方向一端部(図中上端部)を治具100の用紙位置決め基準部材102で押さえる必要がある。そのため、治具100に対する用紙の走査方向における位置決めは、熨斗用紙P’の走査方向一端部(図中上端部)を治具100の用紙位置決め基準部材102で押さえる位置に制限される。その結果、治具100の用紙位置決め基準部材102で押えられた熨斗用紙P’の走査方向一端部(図中上端部)から、ホームポジションにセットしたHMP1の画像形成開始位置までの間の用紙部分には、画像を形成することができない。すなわち、
図20の符号Lpで示す余白部分が生じる。
【0079】
この余白部分Lpの長さを短くする方法としては、プリントボタン14を押してホームポジションのHMP1の走査方向への移動操作(手動走査)を開始してから、画像形成が始まるまでの移動距離の設定を短くすることが考えられる。この方法によって余白部分Lpの長さを最も短くできるのは、プリントボタン14を押してホームポジションのHMP1の走査方向への移動操作(手動走査)を開始した時点から画像形成を開始することである。この場合、ホームポジションにHMP1を位置決めしたときにHMP1の記録部41が位置する走査方向位置が、画像形成開始位置となる。
【0080】
このように動作するHMP1に対しては、
図21に示すように、治具100の走査直交方向位置決め部材101に設けられる画像形成開始位置指標140’を、HMP1の走査方向位置を予め決められた走査開始位置(ホームポジション)に位置決めしたときにHMP1の記録部41が位置する走査方向位置を指し示すように形成すればよい。この場合、余白部分Lp’の長さを短くでき、走査直交方向長さの短い短冊型の熨斗用紙P’であっても、より上端部に近い位置から画像を形成することができる。
【0081】
なお、本実施形態では、携帯型画像形成装置がインクジェット方式のHMP1である例について説明したが、他の画像形成方法による携帯型画像形成装置であってもよい。例えば、感熱方式、又は熱転写方式など適宜な画像形成方式の携帯型画像形成装置であってもよい。
【0082】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[第1態様]
第1態様は、走査直交方向(Y方向)における携帯型画像形成装置(例えばHMP1)の位置決め基準となる装置位置決め基準部(例えば溝110)を有し、前記携帯型画像形成装置を走査方向(X方向)へ走査することにより、記録材(例えば熨斗用紙P)に画像を形成するための携帯型画像形成装置用治具(例えば治具100)であって、前記走査直交方向における前記記録材に対する前記携帯型画像形成装置用治具の位置決め基準となる冶具位置決め基準部(例えば用紙端部位置指標130)を有することを特徴とするものである。
本態様に係る携帯型画像形成装置用治具(以下、適宜「治具」という。)は、走査直交方向における記録材に対する治具の位置決め基準となる冶具位置決め基準部を有する。これにより、記録材上の予め決められた基準箇所(例えば記録材の走査直交方向一端部)に対して治具位置決め基準部を合わせるように記録材に対して治具をセットすることで、記録材上の基準箇所に対する装置位置決め基準部の走査直交方向位置を精度よく位置決めできる。このようにして記録材上の基準箇所に対して走査直交方向位置が位置決めされた装置位置決め基準部に、携帯型画像形成装置(以下、適宜「装置」という。)の走査直交方向位置を合わせ、これにより走査直交方向位置が規制された状態の装置を走査方向へ走査する。本態様によれば、記録材上の基準箇所と、これを合わせる冶具位置決め基準部と、装置位置決め基準部との位置関係が、当該位置関係によって定まる記録材上の画像形成位置が記録材上の目標位置に一致するように設定されることで、画像形成位置の走査直交方向位置を記録材上の目標位置に精度よく合わせることができる。
【0083】
[第2態様]
第2態様は、第1態様において、前記冶具位置決め基準部は、前記記録材上の予め決められた基準箇所の走査直交方向位置を指し示す記録材位置指標を含むことを特徴とするものである。
これによれば、記録材上の予め決められた基準箇所(例えば記録材の走査直交方向一端部)に冶具位置決め基準部を合わせるように記録材に対して治具をセットすることで、記録材上の基準箇所に対する装置位置決め基準部の走査直交方向位置を精度よく位置決めすることができる。
【0084】
[第3態様]
第3態様は、第2態様において、前記基準箇所は、前記走査直交方向における前記記録材の端部であることを特徴とするものである。
これによれば、ユーザーが記録材上の基準箇所に冶具位置決め基準部を合わせやすい。よって、画像形成位置の走査直交方向位置を記録材上の目標位置に精度よく合わせることができる。
【0085】
[第4態様]
第4態様は、第1乃至第3態様のいずれかにおいて、前記冶具位置決め基準部は、前記走査直交方向における前記装置位置決め基準部からの距離が互いに異なる複数の走査直交方向位置にそれぞれ設けられていることを特徴とするものである。
これによれば、走査直交方向長さが互いに異なる複数種類の記録材に対応することができる。
【0086】
[第5態様]
第5態様は、第4態様において、前記複数の走査直交方向位置は、走査直交方向の幅が互いに異なる予め決められた複数種類の記録材に対して、対応する冶具位置決め基準部に合わせて、前記携帯型画像形成装置用治具を位置決めした場合に、該記録材の走査直交方向中央位置に画像が形成される位置に設定されていることを特徴とするものである。
これによれば、記録材の走査直交方向中央位置に画像が形成したい場合に、画像形成位置の走査直交方向位置を記録材上の目標位置に精度よく合わせることができる。
【0087】
[第6態様]
第6態様は、第1乃至第5態様のいずれかにおいて、前記携帯型画像形成装置を前記装置位置決め基準部に合わせて位置決めしたときに該携帯型画像形成装置によって画像が形成される走査直交方向位置を指し示す画像形成位置指標120を有することを特徴とするものである。
これによれば、画像形成位置の走査直交方向位置を記録材上の目標位置に形成する際、ユーザーは、記録材上の目標位置を画像形成位置指標の指し示す位置に合わせることで、画像形成位置を目標位置に合わせることができる。よって、記録材上に基準箇所となるものが存在しない場合でも、画像形成位置の走査直交方向位置を記録材上の目標位置に精度よく合わせることができる。
【0088】
[第7態様]
第7態様は、第6態様において、前記画像形成位置指標に対し、1回の走査で1行の画像を形成するときの行間に相当する行間距離をあけた走査直交方向位置を指し示す行間指標160を有することを特徴とするものである。
これによれば、一定の行間距離で複数行の画像を形成することが容易となる。
【0089】
[第8態様]
第8態様は、第7態様において、前記行間指標は、前記画像形成位置指標とは異なる形態であることを特徴とするものである。
これによれば、行間指標と画像形成位置指標とをユーザーが区別して認識しやすいので、これらを間違えてユーザーが認識してしまう事態を抑制できる。
【0090】
[第9態様]
第9態様は、第7又は第8態様において、前記行間距離は、前記携帯型画像形成装置における画像形成部の走査直交方向長さに設定されていることを特徴とするものである。
これによれば、行間指標に合わせて複数行にわたる画像を形成する場合に、隣り合う各行の画像が互いに重なってしまうような事態を避けることができる。また、複数行にわたる複数の部分画像を形成し、これらの部分画像を合わせて1つの合体画像を用紙上に形成するような場合に、部分画像間における走査直交方向のズレを抑制して、高品質な合体画像を形成することが容易となる。
【0091】
[第10態様]
第10態様は、第7乃至第9態様のいずれかにおいて、複数分の行に対応して前記行間指標が複数設けられ、 隣り合う2つの行間指標の間に該行間指標よりも小さな指標161を有することを特徴とするものである。
これによれば、ユーザーは、行間指標によって示される行間距離とは異なる行間距離で複数行にわたる画像を形成する場合に、行間指標の間に設けられる小さな指標も目安に入れて、狙いの行間距離となるように、記録材に対して治具をセットできる。よって、行間指標によって示される行間距離とは異なる行間距離で複数行にわたる画像を形成したい場合でも、一定の行間距離で複数行にわたる画像を形成することが容易になる。
【0092】
[第11態様]
第11態様は、第1乃至第10態様のいずれかにおいて、前記携帯型画像形成装置の走査方向位置を予め決められた走査開始位置(ホームポジション)に位置決めしたときに該携帯型画像形成装置による画像形成が開始される記録材上の走査方向位置を指し示す画像形成開始位置指標140を有することを特徴とするものである。
これによれば、ユーザーは、走査方向において、記録材上のどの位置から画像形成が開始されるのか、記録材上のどの位置に画像が形成されるのか、を事前に把握することができる。よって、画像形成位置の走査方向位置を記録材上の目標位置に精度よく合わせることができる。
【0093】
[第12態様]
第12態様は、第11態様において、前記画像形成開始位置指標は、前記携帯型画像形成装置の走査方向位置を前記走査開始位置に位置決めしたときに該携帯型画像形成装置の走査方向前方側の端部が位置する走査方向位置を指し示すことを特徴とするものである。
これによれば、ユーザーは、冶具に対して装置をセットした後、走査方向において、記録材上のどの位置から画像形成が開始されるのか、記録材上のどの位置に画像が形成されるのか、を直感的に把握しやすい。
【0094】
[第13態様]
第13態様は、第11態様において、前記画像形成開始位置指標は、前記携帯型画像形成装置の走査方向位置を前記走査開始位置に位置決めしたときに該携帯型画像形成装置の画像形成部が位置する走査方向位置を指し示すことを特徴とするものである。
これによれば、走査方向上流側の余白部分(画像を形成できない部分)の長さをより短くすることができる。
【0095】
[第14態様]
第14態様は、第1乃至第13態様のいずれかにおいて、前記携帯型画像形成装置の走査を開始する走査開始位置に該携帯型画像形成装置を位置決めする位置決め基準となる走査開始位置決め基準部(例えば用紙位置決め基準部材102の内側端面102a)を有することを特徴とするものである。
これによれば、装置の走査方向位置を所定の走査開始位置(ホームポジション)に精度よく位置決めすることができるので、画像形成位置の走査方向位置を記録材上の目標位置に精度よく合わせることができる。
【0096】
[第15態様]
第15態様は、第1乃至第14態様のいずれかにおいて、前記記録材が載置された台面又は該記録材の面に対して接触する接触面に、該台面又は該記録材の面との間の摩擦係数を高める摩擦部材150を有することを特徴とするものである。
これによれば、記録材が載置された台面や記録材に対して治具100が滑りにくくなり、より安定して高い位置精度の画像形成を行うことができる。
【0097】
[第16態様]
第16態様は、第1乃至第15態様のいずれかにおいて、前記走査方向に沿って延びる1又は2以上の記録材基準線(例えば用紙基準線112)及び前記走査直交方向に沿って延びる1又は2以上の記録材基準線(例えば用紙基準線111)の少なくとも一方を備えていることを特徴とするものである。
これによれば、走査方向へ延びる記録材上の基準線分が治具の走査方向へ延びる記録材基準線と平行になるように、あるいは、走査直交方向へ延びる記録材上の基準線分が治具の走査直交方向へ延びる記録材基準線と平行になるように、記録材に対して治具をセットすることにより、記録材上に形成される画像が斜めに形成されてしまう事態を抑制しやすい。
【0098】
[第17態様]
第17態様は、第1乃至第16態様のいずれかにおいて、前記装置位置決め基準部は、前記携帯型画像形成装置の被当接部(例えば突起201)の走査直交方向両側から当接することにより該携帯型画像形成装置の走査直交方向位置を規制することを特徴とするものである。
これによれば、装置における走査直交方向の一方側への変位だけでなく両側への変位が規制されるので、ユーザーは、装置を走査方向に沿って直進させることが容易になる。よって、より高品質な画像を形成することができる。
【0099】
[第18態様]
第18態様は、第17態様において、前記装置位置決め基準部は、前記携帯型画像形成装置の被当接部である突起201が入り込む、走査方向に延びる溝110であることを特徴とするものである。
これによれば、装置の直進性を簡易な構成で実現できる。
【0100】
[第19態様]
第19態様は、走査方向へ手動で走査することにより記録材に画像を形成する携帯型画像形成装置と、第1乃至第18態様のいずれかの携帯型画像形成装置用治具とから構成される携帯型画像形成システムである。
これによれば、画像形成位置の走査直交方向位置を記録材上の目標位置に精度よく合わせることができる。
【0101】
[第20態様]
第20態様は、第17又は第18に記載態様の携帯型画像形成装置用治具と、前記携帯型画像形成装置に装着されることで該携帯型画像形成装置の前記被当接部を形成する被当接部部品(例えばアタッチメント200)とから構成される携帯型画像形成装置用治具セットである。
これによれば、既存の装置に被当接部部品を装着することにより、画像形成位置の走査直交方向位置を記録材上の目標位置に精度よく合わせることができる。
【符号の説明】
【0102】
1 :HMP
2 :上部ユニット
3 :下部ユニット
6 :USB接続口
8 :位置検知センサー
14 :プリントボタン
15 :電源ボタン
17 :左側ローラユニット
18 :右側ローラユニット
30 :記録面
30a :開口
31 :上面
32 :左側面
33 :右側面
34 :背面
35 :正面
37 :ヘッド押さえ板バネ
40 :インクジェットヘッド
41 :記録部
41a :吐出孔
51 :バッテリー
52 :Bt基板
53 :RAM
54 :ROM
55 :CPU
56 :記録制御部
57 :制御基板
58 :ジャイロセンサー
59 :LEDランプ
100 :治具
101 :走査直交方向位置決め部材
102 :用紙位置決め基準部材
102a :内側端面
103 :固定部
110 :溝
111,112:用紙基準線
120 :画像形成位置指標
130 :用紙端部位置指標
140,140':画像形成開始位置指標
150 :摩擦部材
160 :行間指標
161 :補助的指標
200 :アタッチメント
201 :突起
210 :画像形成開始位置指標
Lp,Lp':余白部分
P,P':熨斗用紙
Pa1~Pa3:文字画像
Pb :走査直交方向一端部
Pc :水引画像
X :走査方向
Y :走査直交方向
【先行技術文献】
【特許文献】
【0103】