(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-08
(45)【発行日】2022-04-18
(54)【発明の名称】反射防止用光学フィルタおよび有機発光装置
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20220411BHJP
G02B 1/11 20150101ALI20220411BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20220411BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20220411BHJP
H05B 33/02 20060101ALI20220411BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220411BHJP
【FI】
G02B5/30
G02B1/11
G09F9/30 365
H01L27/32
H05B33/02
H05B33/14 A
(21)【出願番号】P 2019540411
(86)(22)【出願日】2018-01-25
(86)【国際出願番号】 KR2018001126
(87)【国際公開番号】W WO2018139875
(87)【国際公開日】2018-08-02
【審査請求日】2019-07-25
(31)【優先権主張番号】10-2017-0011940
(32)【優先日】2017-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0009386
(32)【優先日】2018-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ウン・ヒェ・イ
(72)【発明者】
【氏名】セルゲイ・ベリャーエフ
(72)【発明者】
【氏名】シン・ヨン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジ・ヨン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ムン・ス・パク
(72)【発明者】
【氏名】ヒョク・ユン
(72)【発明者】
【氏名】スン・クグ・キム
【審査官】沖村 美由
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-021146(JP,A)
【文献】特表2015-501955(JP,A)
【文献】特開2004-240012(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0266296(US,A1)
【文献】特開2002-062424(JP,A)
【文献】特開2005-070097(JP,A)
【文献】特開2016-126342(JP,A)
【文献】特表2016-501384(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
G02B 1/11
G09F 9/30
H01L 27/32
H05B 33/02
H01L 51/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
面内光軸を有し、1/4波長位相遅延特性を有する第1位相差フィルム、
光軸が位相差フィルムの平面に対して一定の角度に傾斜した第2位相差フィルムおよび
一方向に形成された吸収軸を有する偏光子を順に含み、
前記第1位相差フィルムの光軸は、前記偏光子の吸収軸と40度~50度の角度をなし、
前記第2位相差フィルムの光軸の前記第2位相差フィルム平面への投影は、前記偏光子の吸収軸と±10度以内の角度をなし、
前記第2位相差フィルムは、液晶層を含み、
前記液晶層は、屈折率異方性の絶対値が0.05~0.25である棒状の液晶分子を含み、
前記第2位相差フィルムの光軸の傾斜角は35度~50度であり、ここで傾斜角は位相差フィルムの光軸と位相差フィルムの平面がなす最小角を意味し、
前記第2位相差フィルムの厚さは0.4μm~2.2μmである、反射防止用光学フィルタ。
【請求項2】
前記第1位相差フィルムの550nm波長の光に対する面上位相差は、120nm~160nmである、請求項1に記載の光学フィルタ。
【請求項3】
前記第1位相差フィルムは、下記の数式2を満足する、請求項1または2に記載の光学フィルタ:
[数式2]
R(450)/R(550)<R(650)/R(550)
数式2において、R(λ)はλnm光に対する位相差フィルムの面上位相差である。
【請求項4】
前記第1位相差フィルムの外側にCプレートをさらに含む、請求項1から
3の何れか一項に記載の光学フィルタ。
【請求項5】
前記偏光子の外側に反射防止層をさらに含む、請求項1から
4の何れか一項に記載の光学フィルタ。
【請求項6】
請求項1から
5の何れか一項に記載された光学フィルタおよび有機発光表示パネルを含む、有機発光装置。
【請求項7】
前記光学フィルタの第1位相差フィルムは、偏光子に比べて有機発光表示パネルに隣接するように配置される、請求項
6に記載の有機発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は反射防止用光学フィルタおよび有機発光装置に関するものである。
【0002】
本出願は2017年1月25日付韓国特許出願第10-2017-0011940号および2018年1月25日付韓国特許出願第10-2018-0009386号に基づいた優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【背景技術】
【0003】
最近モニターまたはテレビなどの軽量化および薄型化が要求されており、このような要求により有機発光装置(organic light emitting device、OLED)が注目されている。有機発光装置は、自ら発光する自発光型表示装置であって、別途のバックライトが不要であるため厚さを減らすことができ、フレキシブル表示装置を具現するのに有利である。
【0004】
一方、有機発光装置は有機発光表示パネルに形成された金属電極および金属配線によって外部光を反射させることがあり、反射した外部光によって視認性とコントラスト比が低下して表示品質が低下しかねない。特許文献1(大韓民国特許公開第2009-0122138号)のように有機発光表示パネルの一面に円偏光板を付着して前記反射した外部光が外部に漏れ出るのを減らすことができる。
【0005】
しかし、現在開発されている円偏光板は視野角依存性が強いため、側方に行くほど反射防止性能が低下して視認性に劣る問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願が解決しようとする課題は、正面だけでなく側方でも全方位反射防止性能に優れている光学フィルタおよび前記光学フィルタを適用して視認性が改善した有機発光装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願は反射防止用光学フィルタに関するものである。
図1は、前記光学フィルタを例示的に示している。
図1に示した通り、前記光学フィルタは、第1位相差フィルム10、第2位相差フィルム20および偏光子30を順に含むことができる。前記第1位相差フィルムは面内光軸を有し、1/4波長位相遅延特性を有し得る。前記第2位相差フィルムは厚さ方向に沿って一定に傾斜した光軸を有し得る。このような特性を有する第2位相差フィルムをコンスタントチルトフィルム(Constant Tilt Film)と称することができる。前記偏光子は一方向に形成された吸収軸を有し得る。
【0008】
本明細書で偏光子は、入射光に対して選択的透過および吸収特性を示す素子を意味する。偏光子は例えば、多様な方向に振動する入射光から、いずれか一方向に振動する光は透過し、残りの方向に振動する光は吸収することができる。
【0009】
前記光学フィルタに含まれる偏光子は線偏光子であり得る。本明細書で線偏光子は、選択的に透過する光がいずれか一方向に振動する線偏光であり、選択的に吸収する光が前記線偏光の振動方向と直交する方向に振動する線偏光である場合を意味する。
【0010】
前記線偏光子としては、例えば、PVA延伸フィルムなどのような高分子延伸フィルムにヨウ素を染色した偏光子または配向された状態で重合された液晶をホストとし、前記液晶の配向により配列された異方性染料をゲストとするゲスト-ホスト型偏光子を使用できるがこれに制限されるものではない。
【0011】
本出願の一実施例によると、前記偏光子としてはPVA延伸フィルムを使うことができる。前記偏光子の透過率乃至偏光度は本出願の目的を考慮して適切に調節され得る。例えば前記偏光子の透過率は、42.5%~55%であり得、偏光度は65%~99.9997%であり得る。
【0012】
本明細書で角度を定義する時、垂直、水平、直交または平行などの用語を使う場合、これは目的とする効果を損なわない範囲での実質的な垂直、水平、直交または平行を意味するものであって、例えば、製造誤差(error)または偏差(variation)等を勘案した誤差を含むものである。例えば、前記それぞれの場合は、約±15度以内の誤差、約±10度以内の誤差または約±5度以内の誤差を含み得る。
【0013】
本明細書で位相差フィルムは光学異方性フィルムであって、複屈折を制御することによって入射偏光を変換できる素子を意味し得る。本明細書で位相差フィルムのx軸、y軸およびz軸を記載する時、特に言及しない限り、前記x軸は位相差フィルムの面内遅相軸と平行な方向を意味し、y軸は位相差フィルムの面内進相軸と平行な方向を意味し、z軸は位相差フィルムの厚さ方向を意味する。前記x軸とy軸は、面内で互いに直交し得る。本明細書で位相差フィルムが棒状の液晶分子を含む場合、遅相軸は前記棒状の長軸方向を意味し得、ディスク状の液晶分子を含む場合、遅相軸は前記ディスク状の法線方向を意味し得る。本明細書で位相差フィルムの光軸を記載する時、特に別途に規定しない限り、遅相軸を意味する。本明細書で位相差フィルムの屈折率を記載する時、特に規定しない限り、約550nm波長の光に対する屈折率を意味する。
【0014】
本明細書で位相差フィルムの面上位相差(Rin)は下記の数式1で計算される。
【0015】
[数式1]
Rin=d×(nx-ny)
数式1において、Rinは面上位相差であり、dは位相差フィルムの厚さであり、nxおよびnyはそれぞれ前記定義したx軸およびy軸方向の屈折率である。
【0016】
本明細書で位相差フィルムの面上位相差を記載する時、特に規定しない限り、約550nm波長の光に対する面上位相差を意味する。
【0017】
本明細書で逆波長分散特性は下記の数式2を満足する特性を意味し得、正常波長分散特性(normal wavelength dispersion)は下記の数式3を満足する特性を意味し得、フラット波長分散特性(flat wavelength dispersion)は下記の数式4を満足する特性を意味し得る。
【0018】
[数式2]
R(450)/R(550)<R(650)/R(550)
【0019】
[数式3]
R(450)/R(550)>R(650)/R(550)
【0020】
[数式4]
R(450)/R(550)=R(650)/R(550)
数式2~4において、R(λ)はλnm光に対する位相差フィルムの面上位相差である。
【0021】
本明細書で下記の数式5を満足する位相差フィルムをいわゆる+Aプレートと呼称することができ、下記の数式6を満足する位相差フィルムを+Cプレートと呼称することができる。
【0022】
[数式5]
nx>ny=nz
【0023】
[数式6]
nx=ny<nz
数式5~6において、nx、nyおよびnzはそれぞれ前記定義したx軸、y軸およびnz方向の屈折率である。
【0024】
前記光学フィルタは、第1位相差フィルム、第2位相差フィルムおよび偏光子を順に含むことができる。このような配置順序を満足する場合、正面だけでなく側方で全方位反射防止性能を向上させるのに有利であり得る。
【0025】
前記第1位相差フィルムは面内光軸を有することができる。すなわち前記第1位相差フィルムは面方向と平行な光軸を有することができる。前記第1位相差フィルムの光軸は、前記偏光子の吸収軸と約40度~50度、約43度~47度、具体的には約45度をなすことができる。第1位相差フィルムの光軸と偏光子の吸収軸とが前記角度範囲をなす場合、正面だけでなく側方で全方位反射防止性能を向上させるのに有利であり得る。
【0026】
前記第1位相差フィルムは、1/4波長位相遅延特性を有し得る。本明細書で「n波長位相遅延特性」は、少なくとも一部の波長範囲内で、入射光をその入射光の波長のn倍だけ位相遅延させることができる特性を意味し得る。したがって、前記1/4波長位相遅延特性は少なくとも一部の波長範囲内で、入射光をその入射光の波長の1/4倍だけ位相遅延させることができる特性を意味し得る。前記第1位相差フィルムの550nm波長の光に対する面上位相差は120nm~160nmであり得る。前記面上位相差は具体的には、120nm以上、130nm以上、135nm以上であり得、160nm以下、150nm以下または140nm以下であり得る。
【0027】
前記第1位相差フィルムは逆波長分散特性(reverse wavelength dispersion)を有することができる。例えば、前記第1位相差フィルムは入射光の波長が増加するほど面内位相差が増加する特性を有し得る。前記入射光は例えば300nm~800nmであり得る。
【0028】
一つの例示において、前記第1位相差フィルムのR(450)/R(550)値は0.99以下であり得る。一つの例示において、前記R(450)/R(550)値は0.6~0.99の範囲内であり得る。前記R(450)/R(550)値は例えば、0.6以上、0.65以上、0.7以上または0.75以上であり得、0.99以下、0.95以下、0.9以下、0.85以下または0.8以下であり得る。前記第1位相差フィルムのR(650)/R(550)の値は、前記R(450)/R(550)よりも大きい値を有しつつ、1.01~1.19、1.05~1.15または1.09~1.11であり得る。
【0029】
前記第1位相差フィルムは、一軸性位相差フィルムであり得る。例えば、前記第1位相差フィルムは前記数式5を満足する+Aプレートであり得る。
【0030】
前記第1位相差フィルムは高分子フィルムであり得る。前記高分子フィルムとしては、PC(ポリカーボネート(polycarbonate))、ノルボルネン樹脂(norbonene resin)、PVA(ポリビニルアルコール(poly(vinyl alcohol)))、PS(ポリスチレン(polystyrene))、PMMA(ポリ(メチルメタクリレート)(poly(methyl methacrylate)))、PP(ポリプロピレン(polypropylene))等のポリオレフィン、Par(ポリアリレート(poly(arylate)))、PA(ポリアミド(polyamide))、PET(ポリエチレンテレフタレート(poly(ethylene terephthalate)))またはPS(ポリスルホン(polysulfone))等を含むフィルムを使うことができる。前記高分子フィルムを適切な条件で延伸または収縮処理して複屈折性を付与して前記第1位相差フィルムとして使うことができる。
【0031】
前記第1位相差フィルムは液晶フィルムであり得る。前記液晶フィルムは液晶分子を配向および重合させた状態で含むことができる。前記液晶分子は重合性液晶分子であり得る。本明細書で重合性液晶分子は、液晶性を示し得る部位、例えばメソゲン(mesogen)骨格などを含み、重合性官能基を一つ以上含む分子を意味し得る。また、重合性液晶分子を重合された形態で含むとは、前記液晶分子が重合されて液晶フィルム内で液晶高分子の主鎖または側鎖のような骨格を形成している状態を意味し得る。前記液晶フィルムは前記液晶分子を、例えば、水平配向された状態で含むことができる。本明細書で「水平配向」は、液晶分子を含む液晶フィルムの遅相軸が液晶フィルムの平面に対して水平に配向された状態を意味し得る。
【0032】
前記第2位相差フィルムは厚さ方向に沿って一定に傾斜した光軸を有することができる。本明細書で光軸が傾斜するとは、光軸が位相差フィルムの平面に対して一定の角度に傾斜したことを意味し得る。本明細書で傾斜角は光軸と位相差フィルムの平面がなす最小角を意味し得る。一つの例示において、第2位相差フィルムが棒状の液晶分子を含む場合、傾斜角は棒状の長軸方向と位相差フィルムの平面がなす角度を意味し得る。他の一つの例示において、第2位相差フィルムがディスク状の液晶分子を含む場合、傾斜角はディスク法線方向と位相差フィルムの平面がなす角度を意味し得る。前記傾斜角は例えば、0度超過~90度未満であり得、後述するように、反射防止性能を考慮して傾斜角範囲は適切に調節され得る。
【0033】
第2位相差フィルムの光軸の傾斜方向は偏光子の吸収軸と平行をなすことができる。本明細書で用語光軸の傾斜方向は、前記光軸の第2位相差フィルムの平面への投影を意味し得る。第2位相差フィルムの光軸の傾斜方向と偏光子の吸収軸とが平行をなす場合、正面だけでなく側面で全方位反射防止性能を向上させるのに有利であり得る。第2位相差フィルムの光軸の傾斜方向と偏光子の吸収軸は例えば、0度以上の角度をなすことができ、4度未満、3.5度以下、3度以下、2.5度以下、2度以下、1.5度以下、1度以下または0.5度以下の角度をなすことができ、好ましくは0度をなすことができる。
【0034】
前記第2位相差フィルムの厚さは例えば、0.3μm~3μmであり得る。前記厚さ範囲内で、全方位において反射防止特性が優秀な光学フィルタを提供することができる。第2位相差フィルムの厚さは、後述する光学フィルタの構造に応じて、前記範囲内で調節されることによって、全方位反射防止特性をさらに向上させることができる。
【0035】
前記第2位相差フィルムは逆波長分散特性を有し得る。逆波長分散特性に対する具体的な事項は、前記第1位相差フィルムの項目で記述した内容が同様に適用され得る。一つの例示において、前記第2位相差フィルムのR(450)/R(550)値は、0.77~0.99、好ましくは0.82~0.95であり得る。第2位相差フィルムが逆波長分散特性を有する場合、反射率特性がさらに改善する効果が得られる。
【0036】
前記第2位相差フィルムは液晶層を含むことができる。前記液晶層は液晶分子を含むことができる。前記液晶層は屈折率異方性の絶対値が0.01~0.25である液晶分子を含むことができる。本明細書で屈折率異方性(△n)は、異常屈折率(extraordinary refractive index、ne)-正常屈折率(ordinary refractive index、no)の値を意味し得る。本明細書で異常屈折率は液晶層の遅相軸方向の屈折率を意味し得、正常屈折率は液晶層の進相軸方向の屈折率を意味し得る。前記屈折率異方性は、例えば0.01以上、0.03以上、0.04以上または0.05以上であり得、0.25以下、0.2以下、0.18以下、0.16以下、0.14以下または0.12以下であり得る。一つの例示において、液晶層が棒状の液晶分子を含む場合、屈折率異方性値は正の数であり得、ディスク状の液晶分子を含む場合、屈折率異方性値は負の数であり得る。
【0037】
前記液晶層は棒状の液晶分子またはディスク状の液晶分子を含むことができる。
【0038】
前記棒状の液晶分子としては、分子構造に直鎖のアルキル基やアルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基などが置換されて棒状構造を有して液晶性を示す化合物を含むことができる。このような棒状の液晶分子としては、いわゆるネマチック相(Nematic phase)を形成するものとして知られている液晶化合物を使うことができる。本明細書で用語「ネマチック相」は、液晶分子の位置に対する規則性はないが長軸方向に秩序を有して配列された液晶相を意味し得る。一つの例示において、前記棒状の液晶化合物は架橋性または重合性官能基を有することができる。架橋性または重合性官能基としては、特に制限されないが例えば、アルケニル基、エポキシ基、シアノ基、カルボキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基などが例示され得る。
【0039】
前記ディスク状の液晶分子としては、分子中心を母核とし、直鎖のアルキル基やアルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基などがその直鎖として放射状に置換されて円盤状の構造を有し、液晶性を示す化合物を含むことができる。このようなディスク状の液晶分子としては、いわゆるディスコチック相(Discotic phase)を形成するものとして知られている液晶化合物を使うことができる。一般的にディスク状の液晶化合物は、負の屈折率異方性(1軸性)を有するものであり、例えば、C.DestradeなどのMol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体;B.KohneなどのAngew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体;およびJ.M.LehnなどのJ.Chem.Commun.、1794頁(1985年)、J.ZhangなどのJ.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系またはフェニルアセチレン系マクロサイクルなどが挙げられる。一つの例示において、前記円盤状の液晶化合物は架橋性または重合性官能基を有することができる。架橋性または重合性官能基としては、特に制限されないが例えば、アルケニル基、エポキシ基、シアノ基、カルボキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基などが例示され得る。
【0040】
前記液晶層は前記液晶分子を傾斜配向した状態で含むことができる。本明細書で傾斜配向は液晶分子が液晶層の平面に対して一定の角度に傾くように整列した配向状態を意味し得、具体的には垂直にまたは水平に配向されない状態を意味し得る。具体的には、前記傾斜配向は液晶層内のすべての液晶分子の傾斜角の差が±5度以下、±3度以下、±1度以下、好ましくはすべての液晶分子の傾斜角が同じである配向状態を意味し得る。具体的には、前記傾斜配向は液晶層の厚さをx軸とし、該当厚さに対応する局部傾斜角(local tilt angle)をy軸として図示されたグラフが、傾きが0に隣接するグラフである配向状態を意味し得る。
【0041】
第2位相差フィルムの光軸の傾斜角は例えば、10度~65度であり得る。前記傾斜角範囲内で、全方位において反射防止特性が優秀な光学フィルタを提供することができる。第2位相差フィルムの光軸の傾斜角は、後述する光学フィルタの構造に従って、前記範囲内で調節されることによって、全方位反射防止特性をさらに向上させることができる。
【0042】
図2は、棒状の液晶分子Rを含む第2位相差フィルム20を含む光学フィルタを例示的に示す。
図3は、ディスク状の液晶分子Dを含む第2位相差フィルム
20を含む光学フィルタを例示的に示す。
【0043】
前記液晶分子の傾斜配向は、当業界に公知とされている液晶の傾斜配向方式によって遂行することができる。例えば、紫外線を傾斜するように照射して形成した光配向膜上に液晶分子をコーティングしたり液晶層に磁場を印加して傾斜配向を誘発することができる。
【0044】
本出願の光学フィルタは前記第2位相差フィルムの光学物性を調節することによって、正面だけでなく側面で反射防止性能を効果的に向上させることができる。
【0045】
一つの例示において、第2位相差フィルムは棒状の液晶分子を含むことができる。この場合、前記第2位相差フィルムの光軸の傾斜角は、25度~65度であり得る。前記傾斜角は例えば、25度以上、30度以上または35度以上であり得、65度以下、60度以下、55度以下または50度以下であり得る。この場合、前記第2位相差フィルムの厚さは0.35μm~2.2μmであり得る。前記厚さは具体的には、0.35μm以上または0.4μm以上であり得、2.2μm以下、2.0μm以下または1.8μm以下であり得る。前記第2位相差フィルムを適用する場合、前記光学フィルタは正面で反射率が約1%以下であって、優秀な反射防止性能を示すことができる。
【0046】
第2位相差フィルムが棒状の液晶分子を含む場合、前記第2位相差フィルムの光軸の傾斜角は35度~50度であり得る。この場合、前記第2位相差フィルムの厚さは0.4μm~2.2μmであり得る。前記第2位相差フィルムを適用する場合、前記光学フィルタは60度側面で反射率が約1%未満、0.8%以下、0.6%以下、0.5%以下または0.4%以下とさらに優秀な反射防止性能を示すことができる。
【0047】
第2位相差フィルムが棒状の液晶分子を含む場合、前記液晶分子の屈折率異方性により、60度側面で反射防止性能を効果的に向上させるための第2位相差フィルムの厚さが調節され得る。一つの例示において、前記液晶分子の屈折率異方性が0.04~0.06である場合、第2位相差フィルムの光軸の傾斜角は35度~50度であり、第2位相差フィルムの厚さが1.8μm~2.2μmであると、60度側面でさらに優秀な反射防止性能を示すことができる。他の例示において、前記液晶分子の屈折率異方性が0.07~0.09である場合、第2位相差フィルムの光軸の傾斜角は35度~50度であり、第2位相差フィルムの厚さが1.15μm~1.3μmであると、60度側面でさらに優秀な反射防止性能を示すことができる。他の例示において、前記液晶分子の屈折率異方性が0.1~0.14である場合、第2位相差フィルムの光軸の傾斜角は35度~50度であり、第2位相差フィルムの厚さが0.8μm~0.9μmであると、60度側面でさらに優秀な反射防止性能を示すことができる。他の例示において、前記液晶分子の屈折率異方性が0.2~0.3、具体的には、0.24~0.26である場合、第2位相差フィルムの光軸の傾斜角は35度~50度であり、第2位相差フィルムの厚さが0.35μm~0.45μm、具体的には、0.4μmであると、60度側面でさらに優秀な反射防止性能を示すことができる。一つの例示において、第2位相差フィルムはディスク状の液晶分子を含むことができる。この場合、前記第2位相差フィルムの光軸の傾斜角は10度~35度であり得る。前記傾斜角は例えば、10度以上、15度以上または20度以上であり得、35度以下または30度以下であり得る。この場合、前記第2位相差フィルムの厚さは1μm~3μmであり得る。前記厚さは例えば、1μm以上、1.25μm以上または1.5μm以上であり得、3μm以下であり得る。前記第2位相差フィルムを適用する場合、前記光学フィルタは正面で反射率が約1%以下であって、優秀な反射防止性能を示すことができる。
【0048】
第2位相差フィルムがディスク状の液晶分子を含む場合、前記第2位相差フィルムの光軸の傾斜角は、例えば20度~30度であり得る。この場合、前記第2位相差フィルムの厚さは1.05μm~2.95μmであり得る。前記第2位相差フィルムを適用する場合、前記光学フィルタは60度側面で反射率が約1%未満、0.8%以下または0.6%以下であって、さらに優秀な反射防止性能を示すことができる。
【0049】
第2位相差フィルムがディスク状の液晶分子を含む場合、前記液晶分子の屈折率異方性により、60度側面で反射防止性能を効果的に向上させるための第2位相差フィルムの厚さが調節され得る。一つの例示において、前記液晶分子の屈折率異方性が0.07~0.09である場合、第2位相差フィルムの光軸の傾斜角は20度~30度であり、第2位相差フィルムの厚さが2.2μm~2.6μmであると、60度側面でさらに優秀な反射防止性能を示すことができる。他の例示において、前記液晶分子の屈折率異方性が0.1~0.14である場合、第2位相差フィルムの光軸の傾斜角は20度~30度であり、第2位相差フィルムの厚さが1.5μm~1.85μmであると、60度側面でさらに優秀な反射防止性能を示すことができる。
【0050】
第2位相差フィルムが棒状の液晶分子を含む場合、前記第2位相差フィルムの550nm波長の光に対する面上位相差は90nm~105nmであり得る。第2位相差フィルムがディスク状の液晶分子を含む場合、前記第2位相差フィルムの550nm波長の光に対する面上位相差は160nm~250nmであり得る。
【0051】
前述した通り、第2位相差フィルムは棒状またはディスク状の液晶分子を含み、傾斜角、厚さなどを適切に調節することによって正面だけでなく側面で反射防止性能を向上させることができる。一つの例示において、第2位相差フィルムが棒状の液晶分子を含む場合、ディスク状の液晶分子を含む場合に比べて、側面で全方位反射防止性能を向上させるのにさらに有利であり得る。
【0052】
前記光学フィルタはCプレートをさらに含むことができる。
図4に示した通り、前記Cプレート40は前記第1位相差フィルム10の外側に、すなわち第2位相差フィルムが配置された反対の側面に配置され得る。
【0053】
前記Cプレートはポリマー材料またはUV硬化型液晶フィルムを含むことができ、使用可能なフィルムとしては垂直配向された液晶フィルム(Homeotropic aligned Liquid Crystal Film)、二軸延伸されたポリカーボネート(biaxial stretched Polycarbonate)等が可能である。
【0054】
前記光学フィルタは表面処理層をさらに含むことができる。前記表面処理層としては、反射防止層などを例示することができる。前記表面処理層は前記偏光子の外側に、すなわち第2位相差フィルムが配置された反対の側面に配置され得る。前記反射防止層としては、屈折率が異なる2個以上の層の積層体などを使用できるがこれに制限されるものではない。
【0055】
前記光学フィルタの第1位相差フィルム、第2位相差フィルムおよび偏光子は、粘着剤または接着剤を通じて付着しているかあるいは直接コーティングによって互いに積層されていてもよい。前記粘着剤または接着剤としては、光学透明粘着剤または接着剤を使うことができる。
【0056】
前記光学フィルタは正面だけでなく側面で全方位反射防止性能が優秀であり得る。前記光学フィルタは例えば正面で測定した反射率が1%以下であり得る。前記光学フィルタは、例えば正面を基準として60度側面で測定した反射率が1%未満、0.8%以下、0.6%以下、0.5%以下または0.4%以下であり得る。前記反射率は可視光領域内のいずれか一つの波長の光に対する反射率、例えば、380nm~780nm範囲のうちいずれか一つの波長の光に対する反射率であるか、あるいは可視光の全領域に属する光に対する反射率であり得る。前記反射率は、例えば、光学フィルタの偏光子側で測定した反射率であり得る。前記60度側面での反射率は、60度側面で0度~360度の全方位で測定された反射率のうち最小反射率を意味するか、または0度~360度の全方位で測定されたすべての反射率を意味するか、0度~360度の全方位で測定された反射率の平均反射率を意味し得る。本出願の光学フィルタは、外部光の反射を防止することができるため、有機発光装置の視認性を改善することができる。外部から入射する非偏光された光(incident unpolarized light)(以下「外部光」という)は偏光子を通過する時、二つの偏光直交成分のうち一つの偏光直交成分、すなわち第1偏光直交成分だけが透過し、偏光された光は第1位相差フィルムを通過するとき、円偏光に変わり得る。前記円偏光された光は、基板、電極などを含んだ有機発光表示装置の表示パネルで反射しながら円偏光の回転方向が変わるようになり、前記円偏光された光が第1位相差フィルムを再び通過しながら二つの偏光直交成分のうち他の一つの偏光直交成分、すなわち第2偏光直交成分に変換される。前記第2偏光直交成分は偏光子を通過することができず、外部に光が放出されないため、外部光の反射防止効果を有することができる。
【0057】
本出願の光学フィルタは、側面から入射する外部光の反射も効果的に防止することができるため、有機発光装置の側面視認性を改善することができる。例えば、視野角の偏光補償原理を通じて側面から入射する外部光の反射も効果的に防止することができる。
【0058】
本出願の光学フィルタは、有機発光装置に適用され得る。
図5は前記有機発光装置を例示的に図示した断面図である。
図5を参照すると、前記有機発光装置は有機発光表示パネル200と有機発光表示パネル200の一面に位置する光学フィルタ100を含む。前記光学フィルタの第1位相差フィルム
10が偏光子
30に比べて有機発光表示パネル200に隣接するように配置され得る。
【0059】
前記有機発光表示パネルは、ベース基板、下部電極、有機発光層、上部電極および封止基板などを含むことができる。前記下部電極および上部電極のうち一つはアノード(anode)であり、他の一つはカソード(cathode)であり得る。アノードは正孔(hole)が注入される電極であって、仕事関数(work function)が高い導電物質で作製され得、カソードは電子が注入される電極であって、仕事関数が低い導電物質で作製され得る。下部電極および上部電極のうち少なくとも一つは発光した光が外部に出ることができる透明導電物質で作製され得、例えばITOまたはIZOであり得る。有機発光層は下部電極と上部電極に電圧が印加された時に発光できる有機物質を含むことができる。
【0060】
下部電極と有機発光層との間および上部電極と有機発光層との間には、付帯層をさらに含むことができる。付帯層は電子と正孔のバランスを取るための正孔輸送層(hole transporting layer)、正孔注入層(hole injecting layer)、電子注入層(electron injecting layer)および電子輸送層(electron transporting layer)を含むことができるが、これに限定されるものではない。封止基板は、ガラス、金属および/または高分子で作製され得、下部電極、有機発光層および上部電極を封止して外部からの水分および/または酸素の流入を防止することができる。
【0061】
光学フィルタ100は、有機発光表示パネルから光が出る側に配置され得る。例えば、ベース基板側に光が出る背面発光(bottom emission)構造である場合、ベース基板の外側に配置され得、封止基板側に光が出る前面発光(top emission)構造である場合、封止基板の外側に配置され得る。光学フィルタ100は、外部光が有機発光表示パネル200の電極および配線などのように金属で作られた反射層によって反射して有機発光装置の外側に出てくることを防止することによって、有機発光装置の表示特性を改善することができる。また、光学フィルタ100は前述した通り、正面だけでなく側面でも反射防止効果を有するため、側面視認性を改善することができる。
【発明の効果】
【0062】
本出願の光学フィルタは正面だけでなく側面でも全方位反射防止性能が優秀であり、前記光学フィルタは有機発光装置に適用されて視認性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図1】本出願の一実施例に係る光学フィルタの例示的な断面図である。
【
図2】棒状の液晶分子を適用した光学フィルタの例示的な断面図である。
【
図3】ディスク状の液晶分子を適用した光学フィルタの例示的な断面図である。
【
図4】C-プレートを適用した光学フィルタの例示的な断面図である。
【
図5】本出願の一実施例に係る有機発光装置の断面図である。
【
図6】比較例1の光学フィルタのシミュレーション評価結果である。
【
図7】実施例1の光学フィルタのシミュレーション評価結果である。
【
図8】実施例2の光学フィルタのシミュレーション評価結果である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
以下、実施例および比較例を通じて前記の内容をより具体的に説明するが、本出願の範囲は下記に提示された内容によって制限されるものではない。
【0065】
シミュレーション評価1
シミュレーション評価(Dimos software、AUTRONIC-MELCHERS(株))のために、可視光の全波長においていずれも反射率が50%である反射板、第1位相差フィルム、第2位相差フィルムおよび偏光子が順に配置された構造を設定した。偏光子は一方向に吸収軸を有し、単体透過率(Ts)が42.5%であり、位相差がないTAC(トリアセチルセルロース(Tri-Acetyl-cellulose))フィルムが積層された構造に設定した。第2位相差フィルムは屈折率異方性(△n)が0.08である棒状の液晶分子を含み、厚さ方向に沿って一定に傾斜した光軸を有するように設定した(コンスタントチルトフィルム(Constant Tilt Film))。第2位相差フィルムの光軸の平面への投影が偏光子の吸収軸と平行(0度)をなすように設定した。第1位相差フィルムは面内光軸を有し、550nm波長の光に対するRin値が137nmであり、R(450)/R(550)が0.77になるように設定した。第1位相差フィルムの光軸は偏光子の吸収軸と45度をなすように設定した。下記の表1は第2位相差フィルムの光軸の傾斜角による正面反射率が1%以下である第2位相差フィルムの厚さをシミュレーション評価した結果を表している。また、下記の表1は正面を基準として60度側面で、0度~360度の全方位で測定された反射率のうち最小反射率およびその場合の第2位相差フィルムの厚さをシミュレーション評価した結果を表している。前記反射率は550nm波長に対して偏光子側で測定した値である。
【0066】
【0067】
シミュレーション評価2
第2位相差フィルムが屈折率異方性(△n)が0.12である棒状の液晶分子を含むように設定したことを除いてはシミュレーション1と同じ方式でシミュレーション評価を遂行してその結果を下記の表2に記載した。
【0068】
【0069】
シミュレーション評価3
第2位相差フィルムが屈折率異方性(△n)がそれぞれ0.05、0.08、0.12および0.25である棒状の液晶分子を含むように設定したことを除いてはシミュレーション1と同じ方式でシミュレーション評価を準備した。下記の表3は第2位相差フィルムの光軸の傾斜角および屈折率異方性による、正面で60度側面方向で測定された最小反射率およびその場合の第2位相差フィルムの厚さをシミュレーション評価した結果を表している。
【0070】
【0071】
シミュレーション評価4
第2位相差フィルムが屈折率異方性(△n)が-0.08であるディスク状の液晶分子を含むように設定したことを除いてはシミュレーション評価1と同じ方式でシミュレーション評価を遂行してその結果を下記の表4に記載した。
【0072】
【0073】
シミュレーション評価5
第2位相差フィルムが屈折率異方性(△n)が-0.12であるディスク状の液晶分子を含むように設定したことを除いてはシミュレーション評価1と同じ方式でシミュレーション評価を遂行してその結果を下記の表5に記載した。
【0074】
【0075】
シミュレーション評価6
シミュレーション評価のために、偏光子、第1位相差フィルムおよび反射板が順に配置された構造を比較例1として設定した。
【0076】
シミュレーション評価のために、偏光子、第2位相差フィルム(屈折率異方性が0.12である棒状の液晶分子を含み、厚さが0.9μmであり、傾斜角が45°であるコンスタントチルトフィルム(Constant tilt film))、第1位相差フィルムおよび反射板が順に配置された構造を実施例1として設定した。実施例1の偏光子は位相差がないTACフィルムが積層された構造である。シミュレーション評価のために、偏光子、第2位相差フィルム(屈折率異方性が-0.12であるディスク状の液晶分子を含み、厚さが1.2μmであり、傾斜角が25°であるコンスタントチルトフィルム(Constant tilt film))、第1位相差フィルムおよび反射板が順に配置された構造を実施例2として設定した。実施例2の偏光子は厚さ方向位相差(Rth)が-30nmであるTACフィルムが積層された構造である。
【0077】
前記で特に言及された事項を除いてはシミュレーション評価1の方式に設定した。比較例1、実施例1および実施例2に対して、方位角0度~360度にしたがって正面を基準として、60度側面で反射率を測定し、その結果を
図6(比較例1)、
図7(実施例1)および
図8(実施例2)に図示した。
図6~
図8から実施例1および2が比較例1に比べて60度側面で全方位反射率が低いことを確認することができる。
【0078】
シミュレーション評価7
シミュレーション評価のために、偏光子、第2位相差フィルム(屈折率異方性が-0.01であるディスク状の液晶分子を含み、厚さが2.1μmであり、傾斜角が30°であるコンスタントチルトフィルム(Constant tilt film))、第1位相差フィルムおよび反射板が順に配置された構造を設定した。前記反射板としては、可視光の全波長においていずれも反射率が100%である反射板を使用した。第2位相差フィルムの光軸平面への投影が偏光子の吸収軸となす角度がそれぞれ0度、4度、8度、12度および16度になるように配置した5個のサンプルを設定した。
【0079】
前記で特に言及された事項を除いてはシミュレーション評価1の方式に設定した。前記5個のサンプルに対して、方位角0度~360度にしたがって正面を基準として60度側面で平均反射率を測定し、その結果を下記の表6および
図9に記載した。第2位相差フィルムの光軸平面への投影が偏光子の吸収軸がなす角度が0度であるサンプル1が、前記角度がそれぞれ4度、8度、12度および16度であるサンプル2~5に比べて、60度側面で全方位反射率が低いことを確認することができる。
【0080】
【符号の説明】
【0081】
10:第1位相差フィルム
20:第2位相差フィルム
30:偏光子
R:棒状液晶分子
D:ディスク形状液晶分子
T:傾斜角
40:Cプレート
100:光学フィルタ
200:有機発光表示パネル