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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-08
(45)【発行日】2022-04-18
(54)【発明の名称】半導体用接着フィルム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20220411BHJP
   C09J 133/04 20060101ALI20220411BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20220411BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20220411BHJP
   C09J 7/30 20180101ALI20220411BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20220411BHJP
   C09J 161/04 20060101ALI20220411BHJP
   H01L 23/00 20060101ALI20220411BHJP
【FI】
H01L21/52 E
C09J133/04
C09J11/06
C09J163/00
C09J7/30
C09J11/04
C09J161/04
H01L23/00 C
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020528415
(86)(22)【出願日】2018-12-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 KR2018016352
(87)【国際公開番号】W WO2019151645
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2020-05-25
(31)【優先権主張番号】10-2018-0013603
(32)【優先日】2018-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0157086
(32)【優先日】2018-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ミン・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ヒジュン・キム
(72)【発明者】
【氏名】クワン・ジュ・イ
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-030043(JP,A)
【文献】特開2013-136766(JP,A)
【文献】特開2009-286977(JP,A)
【文献】特開2012-124465(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/52
H01L 21/301
H01L 23/00
C09J 7/00-50
C09J 11/00-08
C09J 133/04-16
C09J 163/00-10
C09J 161/04-16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着バインダー;および放熱フィラーを含む第1層;および
前記第1層の少なくとも一面に形成され、接着バインダーおよび磁性フィラーを含む第2層;を含み、
前記第1層および第2層それぞれに含まれる接着バインダーは、エポキシ系官能基を含む(メタ)アクリレート系繰り返し単位と、芳香族官能基を含む(メタ)アクリレート系繰り返し単位とを含む(メタ)アクリレート系樹脂;フェノール樹脂を含む硬化剤;およびエポキシ樹脂;を含み、
前記(メタ)アクリレート系樹脂の水酸基当量が0.15eq/kg以下である、半導体用接着フィルム。
【請求項2】
前記(メタ)アクリレート系樹脂中の芳香族官能基を含む(メタ)アクリレート系官能基の含量が2~40重量%である、請求項1に記載の半導体用接着フィルム。
【請求項3】
前記放熱フィラーは、アルミナ(Al)、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、炭化ケイ素(SiC)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化亜鉛(ZnO)および水酸化アルミニウム(Al(OH))からなる群より選択された1種以上を含む、請求項1または2に記載の半導体用接着フィルム。
【請求項4】
前記第1層は、放熱フィラー0.1~50重量%を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の半導体用接着フィルム。
【請求項5】
前記磁性フィラーは、鉄-シリコン-アルミニウム合金、鉄-シリコン合金、鉄-クロム-シリコン合金、鉄-クロム合金、ニッケル-鉄合金、カルボニル鉄、ニッケル-亜鉛フェライトおよびマンガン-亜鉛フェライトからなる群より選択された1種以上を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の半導体用接着フィルム。
【請求項6】
前記第2層は、磁性フィラー0.1~50重量%を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の半導体用接着フィルム。
【請求項7】
前記(メタ)アクリレート系樹脂、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂総重量に対する前記(メタ)アクリレート系樹脂の重量の比率が0.55~0.95である、請求項1からのいずれか一項に記載の半導体用接着フィルム。
【請求項8】
前記(メタ)アクリレート系樹脂は、前記芳香族官能基を含む(メタ)アクリレート系官能基を3~30重量%含む、請求項1からのいずれか一項に記載の半導体用接着フィルム。
【請求項9】
前記芳香族官能基は、炭素数6~20のアリール基(aryl);または炭素数6~20のアリール基および炭素数1~10のアルキレン基を含むアリールアルキレン基;である、請求項1からのいずれか一項に記載の半導体用接着フィルム。
【請求項10】
前記フェノール樹脂は、100℃以上の軟化点を有する、請求項1からのいずれか一項に記載の半導体用接着フィルム。
【請求項11】
前記フェノール樹脂は、ビスフェノールAノボラック樹脂およびビフェニルノボラック樹脂からなる群より選択された1種以上を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の半導体用接着フィルム。
【請求項12】
前記エポキシ樹脂の軟化点は、50~120℃である、請求項1から11のいずれか一項に記載の半導体用接着フィルム。
【請求項13】
前記エポキシ樹脂のエポキシ当量は、100~300g/eqである、請求項1から12のいずれか一項に記載の半導体用接着フィルム。
【請求項14】
前記第1層は、1μm~300μmの厚さを有し、
前記第2層は、1μm~300μmの厚さを有し、
前記第1層の厚さに対する前記第2層の厚さの比率が0.2~5である、
請求項12に記載の半導体用接着フィルム。
【請求項15】
前記(メタ)アクリレート系樹脂は、5000~1,000,000の重量平均分子量を有する、請求項1から14のいずれか一項に記載の半導体用接着フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は、2018年2月2日付韓国特許出願第10-2018-0013603および2018年12月7日付韓国特許出願第10-2018-0157086号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、半導体用接着フィルムに関するものであって、より詳しくは、向上した硬化物性で半導体チップの信頼性を高めることができ、高い耐熱性および接着力と共に向上した機械的物性を実現するだけでなく、優れた熱伝導特性および電磁波吸収性能を実現することができる半導体用接着フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0003】
最近、電子機器の小型化、高機能化、大容量化傾向が拡大され、これによる半導体パッケージの高密度化、高集積化に対する必要性が急激に大きくなることによって半導体チップの大きさがますます大きくなっており、集積度面でも改善するためにチップを多段に積層するスタックパッケージ方法が次第に増加している。
【0004】
このように多段の半導体スタックパッケージの使用によってチップの厚さは薄くなり回路の集積度は高まっており、チップ自体のモジュラスは低くなって製造工程や最終製品の信頼性に問題を引き起こしている。このような問題を解決するために半導体パッケージング過程に使用される接着剤の物性を強化する方法が試みられてきた。
【0005】
また、最近、半導体チップの厚さが薄くなることによって既存のブレード切削過程でチップが損傷されて収率が低下する問題があり、これを解決するためにブレードで先ず半導体チップを切削した後に研磨する製造過程が提示されている。このような製造過程で、接着剤は分断されていないのでレーザを用いて接着剤を切断した後、低温で基材フィルムのエキスパンディング過程を通じて分断している。また、最近は、チップ上の回路を保護するためにレーザを用いずにひたすら低温エキスパンディング過程と熱収縮過程を通じて接着剤を分断する工程を適用している。
【0006】
一方、最近、電子機器および電子部品が軽薄短小化される傾向によって電気素子の集積度が高まっており、電気エネルギーで作動する電気素子の発熱量も大きく増加している。これにより、電子機器内部で発生した熱を効果的に分散して発散させる放熱特性の向上に対する要求が高まっている。また、電気素子の集積度が高まることによって電磁波の発生量も増加し、このような電磁波が電子機器の接合部、連結部などを通じて漏出して他の電気素子または電子部品の誤作動を誘発するか人体免疫機能を弱化させるなどの有害な作用を及ぼす問題点が現れた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、向上した硬化物性で半導体チップの信頼性を高めることができ、高い耐熱性および接着力と共に向上した機械的物性を実現するだけでなく、優れた熱伝導特性および電磁波吸収性能を実現することができる半導体用接着フィルムを提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書では、接着バインダー;および放熱フィラーを含む第1層;および前記第1層の少なくとも一面に形成され、接着バインダーおよび磁性フィラーを含む第2層;を含み、前記第1層および第2層それぞれに含まれる接着バインダーはエポキシ系官能基を含む(メタ)アクリレート系繰り返し単位と芳香族官能基を含む(メタ)アクリレート系繰り返し単位とを含む(メタ)アクリレート系樹脂;フェノール樹脂を含む硬化剤;およびエポキシ樹脂;を含む、半導体用接着フィルムが提供される。
【0009】
発明の具体的な実施形態の半導体用接着フィルムについてより詳細に説明する。
本明細書で、‘フィラー’は、複合シートに熱伝導特性または電磁波吸収性能などの特定性質を付与するために充填される物質を意味する。
【0010】
また、本明細書で、重量平均分子量は、GPC法によって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(単位:g/mol)を意味する。前記GPC法によって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を測定する過程では、通常知られた分析装置と示差屈折検出器(Refractive Index Detector)などの検出器および分析用カラムを使用することができ、通常適用される温度条件、溶媒、flow rateを適用することができる。前記測定条件の具体的な例として、30℃の温度、クロロホルム溶媒(Chloroform)および1mL/minのflow rateが挙げられる。
【0011】
発明の一実施形態によれば、接着バインダー;および放熱フィラーを含む第1層;および前記第1層の少なくとも一面に形成され、接着バインダーおよび磁性フィラーを含む第2層;を含み、前記第1層および第2層それぞれに含まれる接着バインダーはエポキシ系官能基を含む(メタ)アクリレート系繰り返し単位と芳香族官能基を含む(メタ)アクリレート系繰り返し単位とを含む(メタ)アクリレート系樹脂;フェノール樹脂を含む硬化剤;およびエポキシ樹脂;を含む、半導体用接着フィルムを提供することができる。
【0012】
本発明者らは、半導体素子の接着またはパッケージングに使用できる成分に対する研究を行って、前記特定組成を有する接着バインダーを含みそれぞれ放熱フィラーおよび磁性フィラーを含む2種類の層を含む半導体用接着フィルムが、向上した硬化物性で半導体チップの信頼性を高めることができ、高い耐熱性および接着力と共に向上した機械的物性を実現するだけでなく、優れた熱伝導特性および電磁波吸収性能を実現することができるという点を実験を通じて確認して発明を完成した。
【0013】
前記第1層および第2層それぞれに含まれる接着バインダーは、エポキシ系官能基を含む(メタ)アクリレート系繰り返し単位と芳香族官能基を含む(メタ)アクリレート系繰り返し単位を含むことができる。
【0014】
前記(メタ)アクリレート系樹脂が芳香族官能基を含む(メタ)アクリレート系繰り返し単位を含むことによって、前記半導体用接着フィルムは含まれる成分間のより高い相溶性および結合力を確保し高い弾性を有することができ、相対的に向上した初期引張モジュラスを有することができる。
【0015】
また、前記(メタ)アクリレート系樹脂がエポキシ系官能基を含む(メタ)アクリレート系繰り返し単位を含むことによって、前記半導体用接着フィルムはより均一且つ堅固な内部構造を有するようになって極薄ウエハーの多段積層時高い耐衝撃性を確保することができ、半導体製造以後電気的特性を向上させることができる。
【0016】
また、前記(メタ)アクリレート系樹脂は、0.15eq/kg以下、または0.10eq/kg以下の水酸基当量を示して、前記樹脂組成物の他の成分、例えばエポキシ樹脂またはフェノール樹脂と相溶性を阻害しないながらもエポキシと共により円滑且つ均一に硬化され、特に前記半導体用接着フィルムがより均一且つ堅固な内部構造を有することができるようにする。
【0017】
前記(メタ)アクリレート系樹脂の水酸基当量が高い場合、例えば0.15eq/kg超過する場合、エポキシ樹脂またはフェノール樹脂などとの相溶性が低下して前記半導体用接着フィルムの外観特性や機械的物性の均一性が低下することがある。
【0018】
前記(メタ)アクリレート系樹脂中の芳香族官能基を含む(メタ)アクリレート系官能基の含量が2~40重量%、または3~30重量%または5~25重量%であってもよい。
【0019】
前記(メタ)アクリレート系樹脂中の芳香族官能基を含む(メタ)アクリレート系官能基の含量が過度に低ければ、前記エポキシ樹脂またはフェノール樹脂との相溶性が増大される効果が微小なことがあり、また、最終的に製造される接着フィルムの吸湿性を低下させる効果が微小である。
【0020】
前記(メタ)アクリレート系樹脂中の芳香族官能基を含む(メタ)アクリレート系官能基の含量が過度に高ければ、前記半導体用接着フィルムの接着力が低下することがある。
【0021】
前記芳香族官能基は、炭素数6~20のアリール基(aryl);または炭素数6~20のアリール基および炭素数1~10のアルキレン基を含むアリールアルキレン基であってもよい。
【0022】
前記エポキシ系官能基を含む(メタ)アクリレート系繰り返し単位は、エポキシ炭素数3~20のシクロアルキルメチル(メタ)アクリレート繰り返し単位を含むことができる。前記“エポキシ炭素数3~20のシクロアルキルメチル”は、エポキシ基が結合された炭素数3~30のシクロアルキルがメチル基に置換された構造を意味する。前記エポキシ炭素数3~20のシクロアルキルメチル(メタ)アクリレートの一例として、グリシジル(メタ)アクリレートまたは3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0023】
一方、前記(メタ)アクリレート系樹脂は、反応性官能基を含むビニル系繰り返し単位および炭素数1~10のアルキル基を含む(メタ)アクリレート系官能基からなる群より選択された1以上の繰り返し単位をさらに含むことができる。
【0024】
前記反応性官能基は、アルコール、アミン、カルボン酸、エポキシド、イミド、(メタ)アクリレート、ニトリル、ノルボルネン、オレフィン、ポリエチレングリコール、チオールおよびビニル基からなる群より選択された1種以上の官能基を含むことができる。
【0025】
前記(メタ)アクリレート系樹脂が反応性官能基を含むビニル系繰り返し単位および炭素数1~10のアルキル基を含む(メタ)アクリレート系官能基からなる群より選択された1以上の繰り返し単位をさらに含む場合、前記(メタ)アクリレート系樹脂は前記エポキシ系官能基を含む(メタ)アクリレート系繰り返し単位を0.1~20重量%、または0.5~10重量%含むことができる。
【0026】
前記(メタ)アクリレート系樹脂は、-10℃~20℃、または-5℃~15℃のガラス転移温度を有することができる。前述のガラス転移温度を有する(メタ)アクリレート系樹脂を使用することによって前記半導体用接着フィルムが高い接着力を確保することができ、薄膜フィルムなどの形態に製造するのが容易である。
【0027】
また、前記(メタ)アクリレート系樹脂は、5000~1,000,000、または100,000~900,000の重量平均分子量を有することができる。
【0028】
一方、前記半導体用接着フィルムで、前記(メタ)アクリレート系樹脂、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂総重量に対する前記(メタ)アクリレート系樹脂の重量の比率が0.55~0.95であってもよい。
【0029】
前記半導体用接着フィルムが前記(メタ)アクリレート系樹脂、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂総重量に対して前記(メタ)アクリレート系樹脂を前述の範囲で含むことによって、前記半導体用接着フィルムは初期引張時相対的に高いモジュラスを示しながらも高い弾性、優れた機械的物性および高い接着力を実現することができる。
【0030】
前記(メタ)アクリレート系樹脂、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂総重量に対する前記(メタ)アクリレート系樹脂の重量比が前述の範囲より低い場合、前記半導体用接着フィルムの接着性が減ってウエハーではぬれ性が減り、これは均一な分断性を期待できないようにし、信頼性の面ではウエハーと接着フィルム界面間の密着力低下によって接着力低下を招いて信頼性がぜい弱になることがある。
【0031】
そして、前記(メタ)アクリレート系樹脂、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂総重量に対する前記(メタ)アクリレート系樹脂の重量比が前述の範囲より高い場合、前記半導体用接着フィルムを常温で5%~15%伸張時発生するモジュラスが十分でないことがあり、前記接着フィルムが有する常温での引張率は非常に大きく高まることがある。
前記半導体用接着フィルムで、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂の重量比率は最終的に製造される製品の特性を考慮して調節可能であり、例えば10:1~1:10の重量比であってもよい。
【0032】
一方、前記半導体用接着フィルムに含まれる硬化剤は、100℃以上の軟化点を有するフェノール樹脂を含むことができる。前記フェノール樹脂は、100℃以上、または110℃~160℃、または115℃~150℃の軟化点を有することができる。
【0033】
前記半導体用接着フィルムは相対的に高い軟化点を有するフェノール樹脂を含むことができ、このように100℃以上、または110℃~160℃、または115℃~150℃の軟化点を有するフェノール樹脂は前記液状エポキシ樹脂および前記(メタ)アクリレート系樹脂と共に接着成分の基材(またはマトリックス)を形成することができ、前記接着フィルムが常温でより高い引張モジュラスと優れた接着力を有するようにし、半導体に最適化された流動特性を有するようにする。
【0034】
これに反し、前記フェノール樹脂の軟化点が前述の範囲未満である場合、前記半導体用接着フィルムが有する常温での引張モジュラスが低下するか常温引張率が大きく増加することがあり、また、前記フィルムが有する溶融粘度が減少するかまたはモジュラスが低下することがあり、また前記接着フィルムを結合する過程や前記接着フィルムが高温条件に長時間露出される場合に流れ落ち(bleed out)が複数発生することがある。
【0035】
また、前記フェノール樹脂は、80g/eq~400g/eqの水酸基当量、または90g/eq~250g/eqの水酸基当量、または100g/eq~178g/eqの水酸基当量、または210~240g/eq水酸基当量を有することができる。前記フェノール樹脂が前述の水酸基当量範囲を有することによって、短い硬化時間でも硬化度を高めることができ、これにより、前記半導体用接着フィルムが常温でより高い引張モジュラスと優れた接着力の特性を付与することができる。
【0036】
前記フェノール樹脂は、ビスフェノールAノボラック樹脂およびビフェニルノボラック樹脂からなる群より選択された1種以上を含むことができる。
【0037】
一方、前記エポキシ樹脂は、前記半導体用接着フィルムの硬化度調節や接着性能などを高める役割を果たすことができる。
【0038】
前記エポキシ樹脂の具体的な例としては、ビフェニル系エポキシ樹脂、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、4官能性エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂およびジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂からなる群より選択された1種以上の高分子樹脂が挙げられる。
【0039】
前記エポキシ樹脂の軟化点は、50℃~120℃であってもよい。前記エポキシ樹脂の軟化点が過度に低ければ前記半導体用接着フィルムの粘着力が高まってダイシング後チップピックアップ性が低下することがあり、前記エポキシ樹脂の軟化点が過度に高ければ前記半導体用接着フィルムの高温での流動性が低下することがあり、前記半導体用接着フィルムの接着力が低下することがある。
前記エポキシ樹脂のエポキシ当量は、100~300g/eqであってもよい。
【0040】
前記硬化剤は、アミン系硬化剤、および酸無水物系硬化剤からなる群より選択された1種以上の化合物をさらに含むことができる。前記硬化剤の使用量は最終的に製造される接着フィルムの物性などを考慮して適切に選択することができ、例えば、前記エポキシ樹脂100重量部を基準にして10~700重量部、または30~300重量部で使用できる。
【0041】
前記半導体用接着フィルムは、硬化触媒をさらに含むことができる。
前記硬化触媒は前記硬化剤の作用や前記半導体用接着フィルムの製造過程で硬化を促進させる役割を果たし、半導体接着フィルムなどの製造に使用されると知られた硬化触媒を大きな制限なく使用することができる。例えば、前記硬化触媒としては、リン系化合物、ホウ素系化合物およびリン-ホウ素系化合物およびイミダゾール系化合物からなる群より選択された1種以上を使用することができる。前記硬化触媒の使用量は最終的に製造される接着フィルムの物性などを考慮して適切に選択することができ、例えば、前記液状および固状エポキシ樹脂、(メタ)アクリレート系樹脂およびフェノール樹脂の総合100重量部を基準にして0.5~10重量部で使用できる。
【0042】
前記半導体用接着フィルムは、ジルコニウム、アンチモン、ビスマス、マグネシウムおよびアルミニウムからなる群より選択された1種以上の金属を含む金属酸化物;多孔性シリケート;多孔性アルミノシリケート;またはゼオライトを含むイオン捕捉剤をさらに含むことができる。
【0043】
前記ジルコニウム、アンチモン、ビスマス、マグネシウムおよびアルミニウムからなる群より選択された1種以上の金属を含む金属酸化物の例としては、酸化ジルコニウム、アンチモンの酸化物、ビスマスの酸化物、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、アンチモンビスマス系酸化物、ジルコニウムビスマス系酸化物、ジルコニウムマグネシウム系酸化物、マグネシウムアルミニウム系酸化物、アンチモンマグネシウム系酸化物、アンチモンアルミニウム系酸化物、アンチモンジルコニウム系酸化物、ジルコニウムアルミニウム系酸化物、ビスマスマグネシウム系酸化物、ビスマスアルミニウム系酸化物またはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0044】
前記イオン捕捉剤は前記半導体用接着フィルム内部に存在する金属イオンまたはハロゲンイオンなどを吸着する役割を果たすことができ、これにより、前記接着フィルムと接触する配線の電気的信頼性を増進させることができる。
【0045】
前記半導体用接着フィルム中のイオン捕捉剤の含量が大きく制限されるわけではないが、遷移金属イオンとの反応性、作業性および前記半導体用接着フィルムの重量を基準にして0.01~20重量%、好ましくは0.01~10重量%で含まれてもよい。
【0046】
一方、前記半導体用接着フィルムは、カップリング剤および無機充填剤からなる群より選択された1種以上の添加剤をさらに含むことができる。前記カップリング剤および無機充填剤の具体的な例が限定されるのではなく、半導体パッケージング用接着剤に使用できると知られた成分を大きな制限なく使用することができる。
【0047】
前述のように、前記第1層は、接着バインダー;および放熱フィラーを含むことができる。
【0048】
前記放熱フィラーは、半導体用接着フィルムに使用されて電気素子などで発生する熱を急速にヒートシンクに伝達する作用または効果を発揮することができる。このような放熱フィラーの具体的な例として、アルミナ(Al)、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、炭化ケイ素(SiC)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化亜鉛(ZnO)、水酸化アルミニウム(Al(OH))またはこれらの混合物などが挙げられる。
【0049】
前述のように、前記第2層は、接着バインダーおよび磁性フィラーを含むことができる。
【0050】
前記磁性フィラーは、軟磁性金属合金粒子またはフェライト系磁性粒子を含むことができる。前記軟磁性金属合金粒子は外部から磁場が印加された時に速かに磁化できる金属合金を含むことができ、半導体用接着フィルムで特定周波数の電磁波ノイズを吸収して除去する作用または効果を実現することができる。このような磁性粒子の具体的な例として、鉄-シリコン-アルミニウム合金、鉄-シリコン合金、鉄-クロム-シリコン合金、鉄-クロム合金、ニッケル-鉄合金、カルボニル鉄、これらの混合物またはこれらの合金などが挙げられる。前記フェライト系磁性粒子はセラミック系物質として外部磁場に容易に磁化されるスピネル構造の物質を含むことができ、その具体的な例としてニッケル-亜鉛フェライト、マンガン-亜鉛フェライト、これらの混合物またはこれらの合金などが挙げられる。
【0051】
前記磁性フィラーの形状には特別な制限がなく、例えば球形、円形、板状形、多面体、回転体などの形状であってもよい。
【0052】
このように、前述の接着バインダーと共に放熱フィラーおよび磁性フィラーをそれぞれ含む半導体用接着フィルムは、前記構造および組成によって特定の熱伝導度特性と周波数によるRadiated EMIノイズを選択的に吸収できる特徴を有することができる。
【0053】
一方、前記第1層および前記第2層はそれぞれ1μm~300μmの厚さを有することができる。また、前記第1層および前記第2層はそれぞれ1μm以上、3μm以上、5μm以上、10μm以上の厚さを有することができる。また、前記第1層および前記第2層はそれぞれ300μm以下、または100μm以下、または90μm以下、または70μm以下の厚さを有することができる。
【0054】
前記第1層および前記第2層間の厚さ比率などが大きく限定されるのではないが、前述の固有の効果を最適化するために前記第1層の厚さに対する前記第2層の厚さの比率が0.2~5であってもよい。
【0055】
前記半導体用接着フィルムを常温で0.3mm/secの速度で5%まで引張時、モジュラスが100MPa以上であってもよい。また、前記半導体用接着フィルムを常温で0.3mm/secの速度で10%伸張時発生するモジュラスが55MPa以上であり、15%伸張時発生するモジュラスが40MPa以上であってもよい。
【0056】
前記半導体用接着フィルムは半導体チップの多段積層構造のパッケージに適用されてより安定した構造および優れた耐熱性および耐衝撃性などの機械的物性を実現し、またリフロー亀裂などを防止することができ、特に半導体製造過程で適用される高温条件に長時間露出されてもボイド(void)が実質的に発生しないようになる。
【0057】
また、前記半導体用接着フィルムは高い破断強度および低い破断伸びを有して刃を用いたウエハー切断方法だけでなくその他の非接触式接着剤切断方法、例えばDBG(Dicing Before Grinding)にも適用可能であり、また低温でも分断性に優れて切断後室温に放置しても再粘着の可能性が低くて半導体製造工程の信頼性および効率を高めることができる。
【0058】
前記接着フィルムは、リードフレームまたは基板とダイを接着するか、ダイとダイを接着するダイアタッチフィルム(DAF)として使用できる。これにより、前記接着フィルムはダイボンディングフィルムまたはダイシングダイボンディングフィルムなどの形態に加工できる。
【発明の効果】
【0059】
本発明によれば、向上した硬化物性で半導体チップの信頼性を高めることができ、高い耐熱性および接着力と共に向上した機械的物性を実現するだけでなく、優れた熱伝導特性および電磁波吸収性能を実現することができる半導体用接着フィルムが提供できる。
【0060】
また、前記半導体用接着フィルムは、多様な半導体パッケージ製造方法で適用可能であり、半導体チップと基板や下層のチップなどの支持部材との接着工程で高い信頼性を確保するようにし、半導体パッケージで半導体チップを実装時要求される耐熱性、耐湿性および絶縁性を確保しながら優れた作業性を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0061】
発明の具体的な実施形態を下記の実施例でより詳細に説明する。但し、下記の実施例は発明の具体的な実施形態を例示するものに過ぎず、本発明の内容が下記の実施例によって限定されるのではない。
【実施例
【0062】
[合成例1:熱可塑性樹脂1の合成]
トルエン100gにブチルアクリレート70g、アクリロニトリル15g、グリシジルメタクリレート5gおよびベンジルメタクリレート10gを混合して80で約12時間反応してグリシジル基が分枝鎖として導入されたアクリレート樹脂1(重量平均分子量約90万、ガラス転移温度14℃)を合成した。
そして、前記アクリレート樹脂1をジクロロメタンに溶解させた後、冷却させ、0.1N KOHメタノール溶液で滴定して水酸基当量が約0.03eq/kgである点を確認した。
【0063】
[合成例2:熱可塑性樹脂2の合成]
トルエン100gにブチルアクリレート65g、アクリロニトリル15g、グリシジルメタクリレート5gおよびベンジルメタクリレート15gを混合して80で約12時間反応してグリシジル基が分枝鎖として導入されたアクリレート樹脂2(重量平均分子量約52万、ガラス転移温度14℃)を合成した。
そして、前記アクリレート樹脂2をジクロロメタンに溶解させた後、冷却させ、0.1N KOHメタノール溶液で滴定して水酸基当量が約0.03eq/kgである点を確認した。
【0064】
[合成例3:熱可塑性樹脂3の合成]
トルエン100gにブチルアクリレート60g、アクリロニトリル15g、グリシジルメタクリレート5gおよびベンジルメタクリレート20gを混合して80で約12時間反応してグリシジル基が分枝鎖として導入されたアクリレート樹脂3(重量平均分子量約52万、ガラス転移温度15℃)を合成した。
そして、前記アクリレート樹脂3をジクロロメタンに溶解させた後、冷却させ、0.1N KOHメタノール溶液で滴定して水酸基当量が約0.03eq/kgである点を確認した。
【0065】
[実施例1~3:半導体用接着フィルムの製造]
1.接着バインダーおよび放熱フィラーを含む第1層の製造
(1)実施例1
エポキシ樹脂の硬化剤であるフェノール樹脂KA-1160(DIC社製品、クレゾールノボラック樹脂、水酸基当量190g/eq、軟化点:65℃)4g、エポキシ樹脂EOCN-103S(日本化薬製品、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量214g/eq、軟化点:80℃)2g、液状エポキシ樹脂RE-310S(日本化学製品、ビスフェノールAエポキシ樹脂、エポキシ当量180g/eq)5g、アルミナフィラーCB-P05とDAW-05を混合したフィラー85gをメチルエチルケトン溶媒下でミリング機を用いてミリングする。
【0066】
その後、この混合物に熱可塑性アクリレート樹脂1(Mw:52万、ガラス転移温度:10℃)4g、シランカップリング剤A-187(GE東芝シリコン、ガンマ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)0.1g、硬化促進剤DICY0.1g、2MA-OK0.1gを入れ2時間追加的にミリングして半導体接着用樹脂組成物溶液(固形分80重量%濃度)を得た。このミリング液を自動塗工機を用いて厚さ20μmの第1層を得た。
【0067】
(2)実施例2~3
下記表1のように組成を異にした点を除いて実施例1と同様な方法で厚さ20μmの第1層を得た。
【0068】
【表1】
【0069】
(使用成分の説明)
KA-1160:クレゾールノボラック樹脂(DIC社、軟化点約90℃、水酸基当量:110g/eq)
KPH-75:ザイロックノボラック樹脂(DIC社、軟化点約75℃、水酸基当量:175g/eq)
RE-310S:ビスフェノールAエポキシ樹脂(エポキシ当量218g/eq、液状)
EOCN-103S:クレゾールノボラックエポキシ(日本化薬(株)、エポキシ当量214g/eq、軟化点:80℃)
NC-3000-H:ビフェニルノボラックエポキシ樹脂(エポキシ当量180g/eq、軟化点65℃)
【0070】
<充填剤>
CB-P05:昭和電工社のアルミナフィラー、平均粒径5μm
DAW-05:デンカ社のアルミナフィラー、平均粒径0.5μm
【0071】
<アクリレート樹脂>
アクリル樹脂1:ブチルアクリレート:アクリロニトリル:グリシジルメタクリレート:ベンジルメタクリレート=70:15:5:10の組成比で合成したアクリル樹脂(重量平均分子量約90万、ガラス転移温度14℃)
アクリル樹脂2:ブチルアクリレート:アクリロニトリル:グリシジルメタクリレート:ベンジルメタクリレート=65:15:5:15の組成比で合成したアクリル樹脂(重量平均分子量約52万、ガラス転移温度14℃)
アクリル樹脂3:ブチルアクリレート:アクリロニトリル:グリシジルメタクリレート:ベンジルメタクリレート=60:15:5:20の組成比で合成したアクリル樹脂(重量平均分子量約52万、ガラス転移温度15℃)
KG-3015:アクリレート系樹脂(グリシジルメタクリレート系繰り返し単位3重量%、重量平均分子量約87万、ガラス転移温度:10℃)
KG-3096:アクリレート系樹脂(グリシジルメタクリレート系繰り返し単位3重量%、重量平均分子量約15万、ガラス転移温度:17℃)
【0072】
<添加剤>
DICY:Dicyandiamide
2MAOK:Imidazole-based hardening accelerator
【0073】
2.接着バインダーおよび磁性フィラーを含む第2層の製造
エポキシ樹脂の硬化剤であるフェノール樹脂KA-1160(DIC社製品、クレゾールノボラック樹脂、水酸基当量190g/eq、軟化点:65℃)4g、エポキシ樹脂EOCN-103S(日本化薬製品、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量214g/eq、軟化点:80℃)2g、液状エポキシ樹脂RE-310S(日本化学製品、ビスフェノールAエポキシ樹脂、エポキシ当量180g/eq)5g、Mn-ferriteとMnMgSr-ferriteフィラーを混合したフィラー85gをメチルエチルケトン溶媒下でミリング機を用いてミリングする。その後、この混合物に熱可塑性アクリレート樹脂1(重量平均分子量約90万、ガラス転移温度14℃)4g、シランカップリング剤A-187(GE東芝シリコン、ガンマ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)0.1g、硬化促進剤DICY0.1g、2MA-OK0.1gを入れ2時間追加的にミリングして半導体接着用樹脂組成物溶液(固形分80重量%濃度)を得た。このミリング液を自動塗工機を用いて、前記製造された第1層上に20μmの厚さで形成して第2層を製造した。
【0074】
[実験例:半導体用接着フィルムの物性評価]
実験例1:フィルムの平坦化処理
前記実施例で得られた半導体用接着フィルムを70℃SUS ROLL熱ラミネート機を通過して表面を平坦化し、平坦化程度はOptical profilerを用いてフィルムの中心線平均粗さ(Ra)を測定した。
【0075】
実験例2:第1層フィルムの熱伝導度測定
前記実施例で得られた半導体用接着フィルムの第1層のみをコーティングおよび平坦化処理を行い、ゴムロールラミネート機を用いて600μm厚さになるまで積層した。
このように得られたフィルムは硬化して最終的に硬化フィルムを得た。この試片を10mm×10mm単位で試片を製造し、Lazer flash方式の熱伝導度機器LFA467を用いて熱伝導度を測定した。
【0076】
実験例3:第2層フィルムの透磁率測定
前記実施例で得られた半導体用接着フィルムの第2層のみをコーティングおよび平坦化処理を行い、ゴムロールラミネート機を用いて数mm厚さで積層する。このように得られたフィルムはToroidal shaped形状に硬化してサンプルを得て、このようなサンプルを用いてImpedance Analyzer(E4991A)またはVector Network Analyzer(E5071C)を用いて周波数別磁化率と磁化損失値を測定した。
【0077】
実験例4:フィルムの粘度測定
前記実施例で得られた半導体用接着フィルムをコーティングおよび平坦化処理を行い、ゴムロールラミネート機を用いて600μm厚さになるまで積層した。このフィルムを8mm円形試片を製造した後にTA社のARES-G2を用いて粘度を測定した。
【0078】
実験例5:ウエハーぬれ性測定
前記実施例で得られた半導体用接着フィルムをコーティングおよび平坦化処理を行って得られたフィルムを直径22cmの円形に製造した。このフィルムを粘着層がコーティングされたPOフィルムにラミネートしてダイシングダイボンディングフィルムを製造した。これとは別途に、80μmウエハーをダイシングフィルムにラミネーションし、8mm×8mmの大きさに切断した後、マウンティング機器を用いて70℃で分断されたウエハーと接着フィルム熱ラミネートを実施しながら接着フィルムの未接着有無を判別した。
【0079】
実験例6:硬化中残存ボイド除去模写実験
前記実施例で得られた半導体用接着フィルムを直径22cmの円形に製造した。このフィルムを粘着層がコーティングされたPOフィルムにラミネートしてダイシングダイボンディングフィルムを製造し、マウンティング機器を用いて70℃でウエハーと熱ラミネーションを実施した。その後、12mm×10mmの大きさでウエハーと接着フィルムをダイシングした。
そして、PCBの上に放熱フィルムをダイアタッチし、7気圧、135℃30分加圧硬化を実施し、その後、超音波イメージ装置を用いてPCB全体をスキャニングして放熱フィルムの埋立性を評価した。
【0080】
【表2】
【0081】
上記表2で確認されるように、実施例1~3の半導体用接着フィルムは分子量と組成が制御されたアクリル樹脂を含んで、優れた熱伝導度とウエハー付着性を有するという点が確認された。また、実施例の第2層に適用されるEMI吸収素材に対する周波数別磁化損失値が1~3GHzの間でtanα=11を有することによってこの領域帯でRadiated EMIノイズを吸収する能力を有することが分かる。