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特許7055486重合体、これを含むコーティング組成物およびこれを用いた有機発光素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-08
(45)【発行日】2022-04-18
(54)【発明の名称】重合体、これを含むコーティング組成物およびこれを用いた有機発光素子
(51)【国際特許分類】
   C08F 12/32 20060101AFI20220411BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220411BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20220411BHJP
【FI】
C08F12/32
H05B33/14 A
H05B33/22 D
H05B33/10
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020554494
(86)(22)【出願日】2019-08-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-29
(86)【国際出願番号】 KR2019010424
(87)【国際公開番号】W WO2020036459
(87)【国際公開日】2020-02-20
【審査請求日】2020-10-05
(31)【優先権主張番号】10-2018-0095968
(32)【優先日】2018-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ミン・スク・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】エスダー・カン
(72)【発明者】
【氏名】ボムグ・カン
(72)【発明者】
【氏名】ジェスン・ペ
(72)【発明者】
【氏名】ジェチョル・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジヨン・シン
(72)【発明者】
【氏名】ソク・ジェ・ソ
(72)【発明者】
【氏名】ヒョンイル・パク
(72)【発明者】
【氏名】ビョン・ユン・リム
(72)【発明者】
【氏名】ドゥウォン・リム
【審査官】西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/005318(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/107117(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0232763(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106631983(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F、H01L、H05B
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される単位を含む重合体。
【化1】
前記化学式1中、
L1は、直接結合;アルキル基で置換または非置換のフェニレン基;アルキル基で置換または非置換のナフチレン基;アルキル基で置換または非置換のビフェニレン基;アルキル基で置換または非置換の2価のフルオレニル基;もしくはアリール基で置換または非置換の2価のカルバゾリル基であり、
l1は、1~10の整数であり、
Ar1およびAr2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、アリール基で置換または非置換のアリール基;ヘテロアリール基で置換されたアリール基;アルキル基で置換されたアリール基;アルキル基で置換されたアリール基で置換されたアリール基;アリール基で置換されたヘテロアリール基で置換されたアリール基;もしくはアリール基で置換または非置換のヘテロアリール基であり、
R1~R8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;ヒドロキシ基;シアノ基;置換または非置換のアルキル基;置換または非置換のシクロアルキル基;置換または非置換のアルコキシ基;置換または非置換のアリール基;もしくは置換または非置換のヘテロアリール基であり、
r4、r6およびr8は、それぞれ独立して、1~4の整数であり、
r5およびr7は、それぞれ独立して、1~3の整数であり、
前記r4が2以上の場合、前記2以上のR4は、互いに同一または異なり、
前記r5が2以上の場合、前記2以上のR5は、互いに同一または異なり、
前記r6が2以上の場合、前記2以上のR6は、互いに同一または異なり、
前記r7が2以上の場合、前記2以上のR7は、互いに同一または異なり、
前記r8が2以上の場合、前記2以上のR8は、互いに同一または異なり、
前記l1が2以上の場合、前記2以上のL1は、互いに同一または異なり、
nは、単位の繰り返し数として、1~10,000の整数である。
【請求項2】
前記化学式1で表される単位は、下記化学式1‐1で表される、請求項1に記載の重合体。
【化2】
前記化学式1‐1中、
L1、l1、Ar1、Ar2およびnの定義は、前記化学式1で定義した通りである。
【請求項3】
前記化学式1で表される単位は、下記構造から選択される、請求項1に記載の重合体。
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
前記構造において、
nは、単位の繰り返し数として、1~10,000の整数である。
【請求項4】
前記重合体の数平均分子量は、5,000g/mol~1、000,000g/molである、請求項1~3のいずれか一項に記載の重合体。
【請求項5】
前記重合体の分子量分布は、1~10である、請求項1~4のいずれか一項に記載の重合体。
【請求項6】
下記化学式2で表される単量体。
【化7】
前記化学式2中、
L1は、直接結合;アルキル基で置換または非置換のフェニレン基;アルキル基で置換または非置換のナフチレン基;アルキル基で置換または非置換のビフェニレン基;アルキル基で置換または非置換の2価のフルオレニル基;もしくはアリール基で置換または非置換の2価のカルバゾリル基であり、
l1は、1~10の整数であり、
Ar1およびAr2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、アリール基で置換または非置換のアリール基;ヘテロアリール基で置換されたアリール基;アルキル基で置換されたアリール基;アルキル基で置換されたアリール基で置換されたアリール基;アリール基で置換されたヘテロアリール基で置換されたアリール基;もしくはアリール基で置換または非置換のヘテロアリール基であり、
R1~R8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;ヒドロキシ基;シアノ基;置換または非置換のアルキル基;置換または非置換のシクロアルキル基;置換または非置換のアルコキシ基;置換または非置換のアリール基;もしくは置換または非置換のヘテロアリール基であり、
r4、r6およびr8は、それぞれ独立して、1~4の整数であり、
r5およびr7は、それぞれ独立して、1~3の整数であり、
前記r4が2以上の場合、前記2以上のR4は、互いに同一または異なり、
前記r5が2以上の場合、前記2以上のR5は、互いに同一または異なり、
前記r6が2以上の場合、前記2以上のR6は、互いに同一または異なり、
前記r7が2以上の場合、前記2以上のR7は、互いに同一または異なり、
前記r8が2以上の場合、前記2以上のR8は、互いに同一または異なり、
前記l1が2以上の場合、前記2以上のL1は、互いに同一または異なる。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか一項に記載の化学式1で表される単位を含む重合体を含む、コーティング組成物。
【請求項8】
請求項に記載の化学式2で表される単量体を含む、コーティング組成物。
【請求項9】
第1の電極と、
前記第1の電極と対向して備えられた第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に備えられた1層以上の有機物層とを含み、
前記有機物層のうち1層以上は、請求項1から5のいずれか一項に記載の化学式1で表される単位を含む重合体を含む、有機発光素子。
【請求項10】
前記化学式1で表される単位を含む重合体を含む有機物層のシクロヘキサノンに対する溶解度は、0.05wt%以下である、請求項に記載の有機発光素子。
【請求項11】
前記化学式1で表される単位を含む重合体を含む有機物層は、正孔輸送層、正孔注入層、または正孔輸送と正孔注入を同時に行う層である、請求項に記載の有機発光素子。
【請求項12】
第1の電極を準備するステップと、前記第1の電極上に1層以上の有機物層を形成するステップと、前記有機物層上に第2の電極を形成するステップとを含み、
前記1層以上の有機物層を形成するステップは、請求項1から5のいずれか一項に記載の化学式1で表される単位を含む重合体を含むコーティング組成物、または請求項に記載の化学式2で表される単量体を含むコーティング組成物を用いて有機物層を形成するステップを含む有機発光素子の製造方法であって、
前記コーティング組成物を用いて有機物層を形成するステップは、前記第1の電極上に前記コーティング組成物をコーティングするステップと、前記コーティングされたコーティング組成物を熱処理または光処理するステップとを含む、有機発光素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合体、これを含むコーティング組成物およびこれを用いて形成された有機発光素子に関する。
【0002】
本出願は、2018年8月17日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10‐2018‐0095968号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
有機発光現象は、特定の有機分子の内部プロセスによって電流が可視光に変換される例の一つである。有機発光現象の原理は次の通りである。アノードとカソードとの間に有機物層を位置させた時、2つの電極の間に電流をかけると、カソードとアノードからそれぞれ電子と正孔が有機物層に注入される。有機物層に注入された電子と正孔は再結合して励起子(exciton)を形成し、この励起子が再び基底状態に落ちながら光を発する。このような原理を利用する有機電界発光素子は、一般的に、カソードおよびアノードと、その間に位置した有機物層、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層を含む有機物層とから構成される。
【0004】
有機発光素子で使用される物質としては、純粋な有機物質または有機物質と金属が錯体をなす錯化合物がほとんどを占めており、用途に応じて、正孔注入物質、正孔輸送物質、発光物質、電子輸送物質、電子注入物質などに分けられる。ここで、正孔注入物質や正孔輸送物質としては、p‐型の性質を有する有機物質、すなわち、酸化しやすく、酸化の際、電気化学的に安定した状態を有する有機物が主に使用されている。一方、電子注入物質や電子輸送物質としては、n‐型の性質を有する有機物質、すなわち、還元しやすく、還元の際、電気化学的に安定した状態を有する有機物が主に使用されている。発光物質としては、p‐型の性質とn‐型の性質を同時に有する物質、すなわち、酸化と還元の状態のいずれでも安定した形態を有する物質が好ましく、励起子が形成されたときに、これを光に変換する発光効率の高い物質が好ましい。
【0005】
上述の他、有機発光素子で使用される物質は、以下のような性質をさらに有することが好ましい。
【0006】
第一に、有機発光素子で使用される物質は、熱安定性に優れたものが好ましい。有機発光素子の中では、電荷の移動によるジュール熱(joule heating)が発生するためである。現在、正孔輸送層物質として主に使用されているNPB(N,N´‐ジ(1‐ナフチル)‐N,N´‐ジフェニル‐(1,1´‐ビフェニル)‐4,4´‐ジアミン)は、ガラス転移温度が100℃以下の値を有するため、高い電流を要する有機発光素子に使用することは難しいという問題がある。
【0007】
第二に、低電圧駆動が可能な高効率の有機発光素子を得るためには、有機発光素子内に注入された正孔または電子が、発光層にスムーズに伝達されるとともに、注入された正孔と電子が発光層の外に離脱しないようにしなければならない。このために、有機発光素子に使用される物質は、適切なバンドギャップ(band gap)とHOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)またはLUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)エネルギー準位を有する必要がある。現在、溶液塗布法によって製造される有機発光素子において正孔輸送物質として使用されるPEDOT:PSS(Poly(3,4‐ethylenediocythiophene)doped:poly(styrenesulfonic acid))の場合、発光層物質として使用される有機物のLUMOエネルギー準位に比べLUMOエネルギー準位が低いため、高効率および長寿命の有機発光素子を製造するには不都合である。
【0008】
その他にも、有機発光素子に使用される物質は、化学的安定性、電荷移動度、電極や隣接した層との界面特性などに優れていなければならない。すなわち、有機発光素子に使用される物質は、水分や酸素による物質の変形が少ない必要がある。また、適切な正孔または電子移動度を有することで、有機発光素子の発光層において正孔と電子の密度が均衡をなすようにして、励起子の形成を極大化する必要がある。また、素子の安定性のために、金属または金属酸化物を含む電極との界面を良好にする必要がある。
【0009】
上述の他、溶液工程用の有機発光素子で使用される物質は、以下のような性質をさらに有すべきである。
【0010】
第一に、保存可能な均質な溶液を形成できなければならない。商用化された蒸着工程用物質の場合、結晶性が良くて溶液に溶けにくかったり、溶液を形成しても結晶が出やすいため、保存期間に応じて溶液の濃度勾配が変化したり、不良素子を形成する可能性が大きい。
【0011】
第二に、溶液工程が行われる層は、他の層に対して溶媒および物質耐性を有すべきである。そのために、VNPB(N4,N4´‐ジ(ナフタレン‐1‐イル)‐N4,N4´‐ビス(4‐ビニルフェニル)ビフェニル‐4,4´‐ジアミン)のように、硬化装置を導入して溶液塗布後の熱処理あるいはUV(ultraviolet)照射により、基板上で自ら架橋結合した高分子を形成、または次の工程に対する十分な耐性を有する高分子を形成できる物質が好ましく、HATCN(ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル:Hexaazatriphenylenehexacarbonitrile)のように自ら溶媒耐性を有することができる物質も好ましい。一般的には、OLED(ORGANIC LIGHT EMITTING DEVICE)で使用されるアリールアミン系単分子の場合、自ら次の工程の溶媒に対する耐性を有することがないため、溶液工程用のOLEDに使用可能なアリールアミン系単分子化合物は、硬化装置を導入しなければならない。
【0012】
したがって、当技術分野においては、前記のような要件を備える有機物の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】韓国公開特許公報第10‐2004‐0028954号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、重合体、これを含むコーティング組成物およびこれを用いて形成された有機発光素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一実施態様は、下記化学式1で表される単位を含む重合体を提供する。
【0016】
【化1】
【0017】
前記化学式1中、
L1は、直接結合;置換または非置換のフェニレン基;置換または非置換のナフチレン基;置換または非置換のビフェニレン基;置換または非置換の2価のフルオレニル基;もしくは置換または非置換の2価のカルバゾリル基であり、
l1は、1~10の整数であり、
Ar1およびAr2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換または非置換のアリール基;もしくは置換または非置換のヘテロアリール基であり、
R1~R8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;ヒドロキシ基;シアノ基;置換または非置換のアルキル基;置換または非置換のシクロアルキル基;置換または非置換のアルコキシ基;置換または非置換のアリール基;もしくは置換または非置換のヘテロアリール基であり、
r4、r6およびr8は、それぞれ、1~4の整数であり、
r5およびr7は、それぞれ、1~3の整数であり、
前記r4が2以上の場合、前記2以上のR4は、互いに同一または異なり、
前記r5が2以上の場合、前記2以上のR5は、互いに同一または異なり、
前記r6が2以上の場合、前記2以上のR6は、互いに同一または異なり、
前記r7が2以上の場合、前記2以上のR7は、互いに同一または異なり、
前記r8が2以上の場合、前記2以上のR8は、互いに同一または異なり、
前記l1が2以上の場合、前記2以上のL1は、互いに同一または異なり、
nは、単位の繰り返し数として、1~10,000の整数である。
【0018】
本発明の他の実施態様は、下記化学式2で表される単量体を提供する。
【0019】
【化2】
【0020】
前記化学式2中、
L1は、直接結合;置換または非置換のフェニレン基;置換または非置換のナフチレン基;置換または非置換のビフェニレン基;置換または非置換の2価のフルオレニル基;もしくは置換または非置換の2価のカルバゾリル基であり、
l1は、1~10の整数であり、
Ar1およびAr2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換または非置換のアリール基;もしくは置換または非置換のヘテロアリール基であり、
R1~R8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;ヒドロキシ基;シアノ基;置換または非置換のアルキル基;置換または非置換のシクロアルキル基;置換または非置換のアルコキシ基;置換または非置換のアリール基;もしくは置換または非置換のヘテロアリール基であり、
r4、r6およびr8は、それぞれ独立して、1~4の整数であり、
r5およびr7は、それぞれ独立して、1~3の整数であり、
前記r4が2以上の場合、前記2以上のR4は、互いに同一または異なり、
前記r5が2以上の場合、前記2以上のR5は、互いに同一または異なり、
前記r6が2以上の場合、前記2以上のR6は、互いに同一または異なり、
前記r7が2以上の場合、前記2以上のR7は、互いに同一または異なり、
前記r8が2以上の場合、前記2以上のR8は、互いに同一または異なり、
前記l1が2以上の場合、前記2以上のL1は、互いに同一または異なる。
【0021】
また、本発明の一実施態様は、前記化学式1で表される単位を含む重合体を含むコーティング組成物を提供する。
【0022】
本発明の他の実施態様は、前記化学式2で表される単量体を含むコーティング組成物を提供する。
【0023】
本発明の一実施態様は、第1の電極と、前記第1の電極と対向して備えられた第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に備えられた1層以上の有機物層とを含む有機発光素子であって、前記有機物層のうち1層以上は、前記化学式1で表される単位を含む重合体を含む有機発光素子を提供する。
【0024】
また、本発明の一実施態様は、第1の電極を準備するステップと、前記第1の電極上に1層以上の有機物層を形成するステップと、前記有機物層上に第2の電極を形成するステップとを含み、前記1層以上の有機物層を形成するステップは、上述の化学式1で表される単位を含む重合体を含むコーティング組成物、または上述の化学式2で表される単量体を含むコーティング組成物を用いて有機物層を形成するステップを含む有機発光素子の製造方法であって、前記コーティング組成物を用いて有機物層を形成するステップは、前記第1の電極上に前記コーティング組成物をコーティングするステップと、前記コーティングされたコーティング組成物を熱処理または光処理するステップとを含む有機発光素子の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一実施態様に係る化学式1で表される単位を含む重合体を用いて形成した有機物層は、一部の溶媒に対する溶解度が非常に低いため、前記重合体を用いて形成した有機物層上に、溶液工程により積層工程を行うことができる。
【0026】
本発明の一実施態様に係る化学式1で表される単位を含む重合体は、スピロビフルオレン構造の特異性によってガラス転移温度が高いだけでなく、π‐πスタッキング(stacking)が低くて結晶性が低く、溶媒への溶解度に優れる。
【0027】
また、本発明の一実施態様に係る重合体は、有機発光素子の有機物層の材料として使用され、有機発光素子の駆動電圧を下げることができる。
【0028】
また、本発明の一実施態様に係る重合体は、有機発光素子の有機物層の材料として使用され、光効率を向上させることができる。
【0029】
また、本発明の一実施態様に係る重合体は、有機発光素子の有機物層の材料として使用され、素子の寿命特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の一実施態様に係る有機発光素子の例を図示した図である。
図2】単量体1のLC‐MSデータを示す図である。
図3】単量体1のHPLC分析グラフを示す図である。
図4】単量体2のLC‐MSデータを示す図である。
図5】単量体2のHPLC分析グラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0032】
本発明は、前記化学式1で表される単位を含む重合体を提供する。
【0033】
本発明は、また、前記化学式2で表される単量体を提供する。
【0034】
本発明の一実施態様において、前記化学式1で表される単位を含む重合体は、ランダム重合体またはブロック重合体である。
【0035】
本明細書において、「単位」とは、単量体が重合体に含まれて繰り返される構造として、単量体が重合によって重合体の中に結合した構造を意味する。
【0036】
本明細書において、「単位を含む」とは、当該単位が重合体内の主鎖に含まれるという意味である。
【0037】
本明細書において、「単量体」は、前記重合体を構成する単位になる単量体または単位体を意味する。
【0038】
本発明の一実施態様において、前記化学式1で表される単位は、スピロビフルオレンを含むことから、従来のようにフルオレンまたはカルバゾールを含む単位よりも立体障害が最小化し、これを含む重合体の硬化度を高めることができる。
【0039】
また、前記化学式1で表される単位を含む重合体は、一部の溶媒に対して溶媒耐性(Solvent orthogonality)を有することから、前記化学式1で表される単位を含む重合体を用いて形成した有機物層上に、溶液工程を用いて、他の有機物層を形成することができる。
【0040】
前記化学式1で表される単位を含む重合体を、有機発光素子の正孔輸送層、正孔注入層、または正孔輸送および注入を同時に行う層に使用する場合、製造された正孔輸送層、正孔注入層、または正孔輸送および注入を同時に行う層の均一性と表面特性などにも優れるため、素子の性能および寿命特性を向上させることができる。
【0041】
また、前記化学式1で表される単位を含む重合体は、スピロビフルオレンを含む単分子化合物に比べ分子量の調節が容易であり、これを含む溶液の粘度調節も容易である。
【0042】
本発明の一実施態様に係る重合体を使用すると、溶液工程によって有機物層の形成が可能である。一実施態様において、本発明の一実施態様に係る化学式1で表される単位を含む重合体は、テトラヒドロフラン(THF);またはトルエンのような溶媒類に溶解され得るが、これに限定されない。
【0043】
本発明の一実施態様に係る化学式1で表される単位を含む重合体は、シクロケトン;シクロアルカン(cycloalkane);またはジオキサンなどの溶媒に対して溶媒耐性を有する。
【0044】
一実施態様において、前記化学式1で表される単位を含む重合体を含む有機物層のシクロヘキサノンに対する溶解度は、0.05wt%以下である。
【0045】
一実施態様において、前記化学式1で表される単位を含む重合体を含む有機物層のジオキサンに対する溶解度は、0.05wt%以下である。
【0046】
一実施態様において、前記化学式1で表される単位を含む重合体を含む有機物層のシクロヘキサンに対する溶解度は、0.05wt%以下である。
【0047】
一実施態様において、前記化学式1で表される単位を含む重合体を含む有機物層のシクロヘキサン;シクロヘキサノン;またはジオキサンに対する溶解度は、0wt%以上である。
【0048】
一実施態様において、有機物層が特定の溶媒に溶解されるか否かは、当該有機物層を溶解度を測定しようとする溶媒に浸漬した後、取り出し、特定の溶媒にさらす前・後の有機物層のUV吸収値の差を測定することで確認することができる。ここで、溶媒にさらす有機物層は、有機物層の単独層の形態であってもよく、当該有機物層が最外層に備えられた形態の積層体であってもよい。有機物層が最外層に備えられた形態の積層体とは、2層以上の層が順に備えられた積層体において、層の積層方向に当該有機物層が最後の層に備えられた形態の構造を意味する。
【0049】
より具体的には、有機物層の特定の溶媒にさらす前の最大吸収波長でのUV吸収強度をaとし、前記有機物層の特定の溶媒にさらした後の最大吸収波長でのUV吸収強度をbとしたとき、b/a*100は、97%以上である。前記 b/a*100が97%以上100%以下であると、特定の溶媒に対して溶媒耐性を有するものと理解し得る。
【0050】
一実施態様において、有機発光素子の特定の有機物層をなす材料は、当該有機物層を有機発光素子から取出し、MSおよびNMR分析により分析することができる。
【0051】
一実施態様において、前記化学式1で表される単位を含む重合体をトルエンに2wt%で溶解した組成物をガラス板にスピンコーティングし、230℃で30分間熱処理して、厚さ20nmの有機物層を形成したとき、前記有機物層のシクロヘキサノンに対する溶解度は、0.05wt%以下である。
【0052】
一実施態様において、前記化学式1で表される単位を含む重合体をトルエンに2wt%で溶解した組成物をガラス板にスピンコーティングし、230℃で30分間熱処理して、厚さ20nmの有機物層を形成したとき、前記有機物層のジオキサンに対する溶解度は、0.05wt%以下である。
【0053】
一実施態様において、前記化学式1で表される単位を含む重合体をトルエンに2wt%で溶解した組成物をガラス板にスピンコーティングし、230℃で30分間熱処理して、厚さ20nmの有機物層を形成したとき、前記有機物層のシクロヘキサンに対する溶解度は、0.05wt%以下である。
【0054】
本明細書において、
【化3】
は、異なる置換基または結合部に結合する部位を意味する。
【0055】
本明細書において、ある部材が他の部材「上に」位置しているとしたとき、これは、ある部材が他の部材に接している場合だけでなく、両部材の間にさらに他の部材が存在する場合も含む。
【0056】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」としたとき、これは、特別に反対の意味の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0057】
本明細書において、置換基の例示は、以下で述べるが、これに限定されるものではない。
【0058】
前記「置換」という用語は、化合物の炭素原子に結合した水素原子が他の置換基に変わることを意味し、置換される位置は、水素原子が置換される位置、すなわち、置換基が置換可能な位置であれば限定されず、2以上置換される場合、2以上の置換基は、互いに同一または異なっていてもよい。
【0059】
本明細書において、「置換または非置換の」という用語は、重水素;ハロゲン基;ヒドロキシ基;シアノ基;アルキル基;シクロアルキル基;アルケニル基;アルコキシ基;アリールオキシ基;アミン基;アリール基;およびヘテロアリール基からなる群から選択される1以上の置換基で置換されているか、前記例示されている置換基のうち2以上の置換基が連結された置換基で置換されるか、もしくはいかなる置換基も有していないことを意味する。例えば、「2以上の置換基が連結された置換基」は、ビフェニル基であってもよい。すなわち、ビフェニル基は、アリール基であってもよく、2個のフェニル基が連結された置換基としても解釈され得る。
【0060】
本明細書において、ハロゲン基の例としては、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素がある。
【0061】
本明細書において、アルキル基は、直鎖または分岐鎖であってもよく、炭素数は、特に限定されないが、1~30であることが好ましい。具体例としては、メチル、エチル、プロピル、n‐プロピル、イソプロピル、ブチル、n‐ブチル、イソブチル、tert‐ブチル、sec‐ブチル、1‐メチル‐ブチル、1‐エチル‐ブチル、ペンチル、n‐ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert‐ペンチル、ヘキシル、n‐ヘキシル、1‐メチルペンチル、2‐メチルペンチル、3,3‐ジメチルブチル、2‐エチルブチル、ヘプチル、n‐ヘプチル、1‐メチルヘキシル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、オクチル、n‐オクチル、tert‐オクチル、1‐メチルヘプチル、2‐エチルヘキシル、2‐プロピルペンチル、n‐ノニル、2,2‐ジメチルヘプチル、1‐エチルプロピル、1,1‐ジメチルプロピル、イソヘキシル、2‐メチルペンチル、4‐メチルヘキシル、5‐メチルヘキシルなどがあるが、これに限定されるものではない。
【0062】
本明細書において、シクロアルキル基は、特に限定されないが、炭素数3~30であることが好ましく、具体的には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、3‐メチルシクロペンチル、2,3‐ジメチルシクロペンチル、シクロヘキシル、3‐メチルシクロヘキシル、4‐メチルシクロヘキシル、2,3‐ジメチルシクロヘキシル、3,4,5‐トリメチルシクロヘキシル、4‐tert‐ブチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどがあるが、これに限定されるものではない。
【0063】
本明細書において、アルケニル基は、直鎖または分岐鎖であってもよく、炭素数は、特に限定されないが、2~30であることが好ましい。具体例としては、ビニル、1‐プロペニル、イソプロペニル、1‐ブテニル、2‐ブテニル、3‐ブテニル、1‐ペンテニル、2‐ペンテニル、3‐ペンテニル、3‐メチル‐1‐ブテニル、1,3‐ブタジエニル、アリル、1‐フェニルビニル‐1‐イル、2‐フェニルビニル‐1‐イル、2,2‐ジフェニルビニル‐1‐イル、2‐フェニル‐2‐(ナフチル‐1‐イル)ビニル‐1‐イル、2,2‐ビス(ジフェニル‐1‐イル)ビニル‐1‐イル、スチルベニル基、スチレニル基などがあるが、これに限定されるものではない。
【0064】
本明細書において、アルコキシ基は、直鎖、分岐鎖または環状鎖であってもよい。アルコキシ基の炭素数は、特に限定されないが、炭素数1~30であることが好ましい。具体的には、メトキシ、エトキシ、n‐プロポキシ、イソプロポキシ、n‐ブトキシ、イソブトキシ、tert‐ブトキシ、sec‐ブトキシ、n‐ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、n‐ヘキシルオキシ、3,3‐ジメチルブチルオキシ、2‐エチルブチルオキシ、n‐オクチルオキシ、n‐ノニルオキシ、n‐デシルオキシ、ベンジルオキシ、p‐メチルベンジルオキシなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0065】
本明細書において、アリール基は、特に限定されないが、炭素数6~30であることが好ましく、前記アリール基は、単環式または多環式であってもよい。
【0066】
前記アリール基が単環式アリール基である場合、炭素数は、特に限定されないが、炭素数6~30であることが好ましい。具体的には、単環式アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0067】
前記アリール基が多環式アリール基である場合、炭素数は、特に限定されないか、炭素数10~30であることが好ましい。具体的には、多環式アリール基としては、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、フェナレニル基、ペリレニル基、クリセニル基、フルオレニル基などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0068】
本明細書において、前記フルオレニル基は、置換されてもよく、隣接した基同士が互いに結合して環を形成してもよい。
【0069】
前記フルオレニル基が置換される場合、置換されたフルオレニル基は、例えば、下記化合物から選択されるいずれか一つであってもよいが、これに限定されない。
【0070】
【化4】
【0071】
本明細書において、「隣接した」基は、当該置換基が置換された原子と直接連結された原子に置換された置換基、当該置換基と立体構造的に最も近く位置した置換基、もしくは当該置換基が置換された原子に置換された他の置換基を意味し得る、ベンゼン環でオルト(ortho)位置に置換された2個の置換基および脂肪族環で同一炭素に置換された2個の置換基は、互いに「隣接した」基と解釈され得る。
【0072】
本明細書において、ヘテロアリール基は、炭素ではない原子、ヘテロ原子を1以上含むものであり、具体的には、前記ヘテロ原子は、O、N、SeおよびSからなる群から選択される原子を1以上含むことができる。炭素数は、特に限定されないが、炭素数2~30であることが好ましく、前記ヘテロアリール基は、単環式または多環式であってもよい。ヘテロアリール基の例としては、チオフェニル基、フラニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、ピリジニル基、ビピリジニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、アクリジニル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、キノリニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、フタラジニル基、ピリドピリミジニル基、ピリドピラジニル基、ピラジノピラジニル基、イソキノリニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾチオフェニル基、ベンゾフラニル基、フェナントリジニル基(phenanthridine)、フェナントロリニル基(phenanthroline)、イソオキサゾリル基、チアジアゾリル基、フェノチアジニル基およびジベンゾフラニル基などがあるが、これに限定されるものではない。
【0073】
本明細書において、アリールオキシ基中のアリール基は、上述のアリール基の例示の通りである。具体的には、アリールオキシ基としては、フェノキシ基、p‐トリルオキシ基、m‐トリルオキシ基、3,5‐ジメチル‐フェノキシ基、2,4,6‐トリメチルフェノキシ基、p‐tert‐ブチルフェノキシ基、3‐ビフェニルオキシ基、4‐ビフェニルオキシ基、1‐ナフチルオキシ基、2‐ナフチルオキシ基、4‐メチル‐1‐ナフチルオキシ基、5‐メチル‐2‐ナフチルオキシ基、1‐アントラセニルオキシ基、2‐アントラセニルオキシ基、9‐アントリルオキシ基、1‐フェナントレニルオキシ基、3‐フェナントレニルオキシ基、9‐フェナントレニルオキシ基などがあるが、これのみに限定されるものではない。
【0074】
本明細書において、アミン基は、‐NH、アルキルアミン基、N‐アルキルアリールアミン基、アリールアミン基、N‐アリールヘテロアリールアミン基、N‐アルキルヘテロアリールアミン基、およびヘテロアリールアミン基からなる群から選択されてもよく、炭素数は、特に限定されないが、1~30であることが好ましい。アミン基の具体例としては、メチルアミン基、ジメチルアミン基、エチルアミン基、ジエチルアミン基、フェニルアミン基、ナフチルアミン基、ビフェニルアミン基、アントラセニルアミン基、9‐メチル‐アントラセニルアミン基、ジフェニルアミン基、ジトリルアミン基、N‐フェニルトリルアミン基、トリフェニルアミン基、N‐フェニルビフェニルアミン基、N‐フェニルナフチルアミン基、N‐ビフェニルナフチルアミン基、N‐ナフチルフルオレニルアミン基、N‐フェニルフェナントレニルアミン基、N‐ビフェニルフェナントレニルアミン基、N‐フェニルフルオレニルアミン基、N‐フェニルテルフェニルアミン基、N‐フェナントレニルフルオレニルアミン基、N‐ビフェニルフルオレニルアミン基などがあるが、これに限定されるものではない。
【0075】
本明細書において、N‐アルキルアリールアミン基は、アミン基のNにアルキル基およびアリール基が置換されたアミン基を意味する。前記N‐アルキルアリールアミン基中のアルキル基とアリール基は、上述のアルキル基およびアリール基の例示の通りである。
【0076】
本明細書において、N‐アリールヘテロアリールアミン基は、アミン基のNにアリール基およびヘテロアリール基が置換されたアミン基を意味する。前記N‐アリールヘテロアリールアミン基中のアリール基とヘテロアリール基は、上述のアリール基およびヘテロアリール基の例示の通りである。
【0077】
本明細書において、N‐アルキルヘテロアリールアミン基は、アミン基のNにアルキル基およびヘテロアリール基が置換されたアミン基を意味する。前記N‐アルキルヘテロアリールアミン基中のアルキル基とヘテロアリール基は、上述のアルキル基およびヘテロアリール基の例示の通りである。
【0078】
本明細書において、アルキルアミン基の例としては、置換または非置換のモノアルキルアミン基、もしくは置換または非置換のジアルキルアミン基がある。前記アルキルアミン基中のアルキル基は、直鎖または分岐鎖のアルキル基であってもよい。前記アルキル基を2以上含むアルキルアミン基は、直鎖のアルキル基、分岐鎖のアルキル基、または直鎖のアルキル基と分岐鎖のアルキル基を同時に含むことができる。例えば、前記アルキルアミン基中のアルキル基は、上述のアルキル基の例示から選択され得る。
【0079】
本明細書において、アリールアミン基の例としては、置換または非置換のアリールアミン基、もしくは置換または非置換のジアリールアミン基がある。前記ジアリールアミン基は、単環式アリール基、多環式アリール基、または単環式アリール基と多環式アリール基を同時に含むことができる。例えば、前記アリールアミン基中のアリール基は、上述のアリール基の例示から選択され得る。
【0080】
本明細書において、ヘテロアリールアミン基の例としては、置換または非置換のモノヘテロアリールアミン基、もしくは置換または非置換のジヘテロアリールアミン基がある。前記ジヘテロアリールアミン基は、単環式ヘテロアリール基、多環式ヘテロアリール基、または単環式ヘテロアリール基と多環式ヘテロアリール基を同時に含むことができる。例えば、前記ヘテロアリールアミン基中のヘテロアリール基は、上述のヘテロアリール基の例示から選択され得る。
【0081】
本明細書において、アリーレン基は、アリール基に結合位置が2か所あるもの、すなわち、2価の基を意味する。これらは、それぞれ2価の基であること以外は、上述のアリール基の説明が適用され得る。
【0082】
本明細書において、ヘテロアリーレン基は、ヘテロアリール基に結合位置が2か所あるもの、すなわち、2価の基を意味する。これらは、それぞれ2価の基であること以外は、上述のヘテロアリール基の説明が適用され得る。
【0083】
本明細書の一実施態様によると、前記化学式1中、R1~R8は、水素である。
【0084】
本明細書の一実施態様によると、前記化学式1で表される単位は、下記化学式1‐1で表される。
【0085】
【化5】
【0086】
前記化学式1‐1中、
L1、l1、Ar1、Ar2およびnの定義は、前記化学式1で定義した通りである。
【0087】
本明細書の一実施態様によると、前記化学式1は、下記化学式1‐2で表される。
【化6】
【0088】
前記化学式1‐2中、
L1、l1、Ar1、Ar2、n、R1~R8およびr4~r8の定義は、前記化学式1で定義した通りである。
【0089】
本明細書の一実施態様によると、前記化学式1は、下記化学式1‐3で表される。
【0090】
【化7】
【0091】
前記化学式1‐3中、
L1、l1、Ar1、Ar2、n、R1~R8およびr4~r8の定義は、前記化学式1で定義した通りである。
【0092】
本明細書の一実施態様によると、前記化学式1は、下記化学式1‐4で表される。
【0093】
【化8】
【0094】
前記化学式1‐4中、
L1、l1、Ar1、Ar2、n、R1~R8およびr4~r8の定義は、前記化学式1で定義した通りである。
【0095】
本明細書の一実施態様によると、前記化学式2は、下記化学式2‐2で表される。
【化9】
【0096】
前記化学式2‐2中、
L1、l1、Ar1、Ar2、n、R1~R8およびr4~r8の定義は、前記化学式2で定義した通りである。
【0097】
本明細書の一実施態様によると、前記化学式2は、下記化学式2‐3で表される。
【化10】
【0098】
前記化学式2‐3中、
L1、l1、Ar1、Ar2、n、R1~R8およびr4~r8の定義は、前記化学式2で定義した通りである。
【0099】
本明細書の一実施態様によると、前記化学式2は、下記化学式2‐4で表される。
【化11】
【0100】
前記化学式2‐4中、
L1、l1、Ar1、Ar2、n、R1~R8およびr4~r8の定義は、前記化学式2で定義した通りである。
【0101】
本発明の一実施態様によると、前記化学式1および2中、L1は、直接結合;アルキル基で置換または非置換のフェニレン基;ナフチレン基;ビフェニレン基;アルキル基で置換または非置換の2価のフルオレニル基;もしくはアリール基で置換または非置換の2価のカルバゾリル基である。
【0102】
本発明の一実施態様によると、前記化学式1および2中、L1は、直接結合;メチル基で置換または非置換のフェニレン基;ナフチレン基;ビフェニレン基;メチル基で置換または非置換の2価のフルオレニル基;もしくはフェニル基で置換または非置換の2価のカルバゾリル基である。
【0103】
本発明の一実施態様によると、前記化学式1および2中、L1は、直接結合であるか、下記構造から選択されるいずれか一つである。
【0104】
【化12】
【0105】
前記構造において、Rは、アリール基であり、
R´およびR´´は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;またはアルキル基であり、
【化13】
は、前記化学式1のスピロビフルオレンコアまたはNに結合する部位であり、
前記構造は、アルキル基でさらに置換されてもよい。
【0106】
本発明の一実施態様によると、前記Rは、フェニル基である。
【0107】
本発明の一実施態様によると、前記R´およびR´´は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;またはメチル基である。
【0108】
本発明の一実施態様によると、前記R´およびR´´は、水素である。
【0109】
本発明の一実施態様によると、前記R´およびR´´は、メチル基である。
【0110】
本発明の一実施態様によると、前記L1は、直接結合であるか、下記構造から選択されるいずれか一つであり、下記構造は、アルキル基でさらに置換されてもよい。
【0111】
【化14】
【0112】
本発明の一実施態様によると、L1は、下記構造から選択されるいずれか一つであり、下記構造は、アルキル基でさらに置換されてもよい。
【0113】
【化15】
【0114】
【化16】
【0115】
【化17】
【0116】
【化18】
【0117】
本発明の一実施態様によると、前記l1が2以上である場合、前記L1は、直列構造で連結される。例えば、前記L1が2価のカルバゾリル基;またはフェニレン基であり、l1が2である場合、
【化19】
であってもよく、連結構造は、これに限定されるものではない。
【0118】
本発明の一実施態様によると、前記l1が2以上である場合、前記L1は、直列構造で連結される。例えば、前記L1が2価のカルバゾリル基;またはフェニレン基であり、l1が3である場合、
【化20】
であってもよく、連結構造は、これに限定されるものではない。
【0119】
本発明の一実施態様によると、前記l1は、1~4の整数である。
【0120】
本発明の一実施態様によると、前記l1は、1~3の整数である。
【0121】
本発明の一実施態様によると、前記l1は、1である。
【0122】
本発明の一実施態様によると、前記l1は、2である。
【0123】
本発明の一実施態様によると、前記l1は、3である。
【0124】
本発明の一実施態様によると、前記Ar1およびAr2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、アリール基で置換または非置換のアリール基;ヘテロアリール基で置換されたアリール基;アルキル基で置換されたアリール基;アルキル基で置換されたアリール基で置換されたアリール基;アリール基で置換されたヘテロアリール基で置換されたアリール基;もしくはアリール基で置換または非置換のヘテロアリール基である。
【0125】
本発明の一実施態様によると、前記Ar1およびAr2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、アリール基で置換または非置換のフェニル基;ビフェニル基;ヘテロアリール基で置換されたフェニル基;アルキル基で置換されたフルオレニル基;アルキル基で置換されたアリール基で置換されたフェニル基;アリール基で置換されたヘテロアリール基で置換されたフェニル基;アリール基で置換または非置換のカルバゾリル基;もしくはスピロビフルオレニル基である。
【0126】
本発明の一実施態様によると、前記Ar1およびAr2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、フェニル基で置換または非置換のフェニル基;ビフェニル基;ジベンゾフラニル基で置換されたフェニル基;ジメチルフルオレニル基で置換されたフェニル基;メチル基で置換されたフルオレニル基;メチル基で置換されたフルオレニル基で置換されたフェニル基;フェニル基で置換されたカルバゾリル基で置換されたフェニル基;フェニル基で置換または非置換のカルバゾリル基;もしくはスピロビフルオレニル基である。
【0127】
本発明の一実施態様によると、前記Ar1およびAr2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、フェニル基;ビフェニル基;9,9‐ジメチルフルオレニル基;9‐フェニルカルバゾリル基;9‐フェニルカルバゾリル基で置換されたフェニル基;ジベンゾフラニル基で置換されたフェニル基;または9,9´‐スピロビフルオレニル基である。
【0128】
本発明の一実施態様によると、前記化学式1で表される単位は、下記構造から選択される。
【0129】
【化21】
【0130】
【化22】
【0131】
【化23】
【0132】
【化24】
【0133】
前記構造において、
nは、単位の繰り返し数として、1~10,000の整数である。
【0134】
本発明において、前記化学式1で表される単位を含む重合体は、化学式1で表される単位100モル%で構成された重合体である。
【0135】
本発明において、前記化学式1で表される単位を含む重合体は、前記化学式1で表される単位が直鎖状に配列された重合体である。
【0136】
本発明において、前記重合体の末端基は、水素であってもよい。
【0137】
本発明の一実施態様において、前記重合体の数平均分子量は、5,000g/mol~1,000,000g/molであってもよい。具体的には、5,000g/mol~300,000g/molであってもよい。
【0138】
本発明の一実施態様において、nは、繰り返し数として、4~200の整数である。
【0139】
本発明の一実施態様において、nは、繰り返し数として、4~150の整数である。
【0140】
本発明の一実施態様において、nは、繰り返し数として、4~100の整数である。
【0141】
本発明の一実施態様において、前記重合体は、1~10の分子量分布を有することができる。好ましくは、前記重合体は、1~3の分子量分布を有する。
【0142】
前記分子量は、クロロベンゼンを溶媒として、GPCで測定し、数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を測定したものであり、分子量分布は、重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除した数値、すなわち、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)を意味する。
【0143】
具体的には、本明細書において、分子量分析は、GPC装置により行った。カラムとしては、PL mixed Bx2を使用し、溶媒としては、テトラヒドロフラン(THF)(0.45μmに濾過して使用)を使用した。1.0mL/minの流速と1mg/mLの試料濃度で測定した。試料は、100μLを注入し、カラム温度は、40℃に設定した。検出器(Detector)としては、Agilent RI detectorを使用し、PS(ポリスチレン)で基準を設定した。ChemStationプログラムによりデータプロセッシング(Data processing)を行った。
【0144】
本発明は、前記化学式1で表される単位を含む重合体を含むコーティング組成物を提供する。
【0145】
本発明は、前記化学式2で表される単量体を含むコーティング組成物を提供する。
【0146】
本発明の一実施態様によると、前記化学式1で表される単位を含む重合体を含むコーティング組成物は、溶媒をさらに含んでもよい。
【0147】
本発明の一実施態様によると、前記化学式2で表される単量体を含むコーティング組成物は、溶媒をさらに含んでもよい。
【0148】
本発明の一実施態様において、前記化学式1で表される単位を含む重合体を含むコーティング組成物は、液状であってもよい。本発明の一実施態様において、前記化学式2で表される単量体を含むコーティング組成物は、液状であってもよい。前記「液状」は、常温および常圧で液体状態であることを意味する。
【0149】
本発明の一実施態様において、前記溶媒は、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、1,2‐ジクロロエタン、1,1,2‐トリクロロエタン、クロロベンゼン、o‐ジクロロベンゼンなどの塩素系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒;トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、メシチレンなどの芳香族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n‐ペンタン、n‐ヘキサン、n‐ヘプタン、n‐オクタン、n‐ノナン、n‐デカンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセロソルブアセテートなどのエステル系溶媒;エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリル、1,2‐ヘキサンジオールなどの多価アルコールおよびその誘導体;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノールなどのアルコール系溶媒;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒;およびN‐メチル‐2‐ピロリドン、N,N‐ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒;メチルベンゾエート、ブチルベンゾエート、3‐フェノキシベンゾエートなどのベンゾエート系溶媒;テトラリンなどの溶媒が挙げられるが、本発明の一実施態様に係る重合体または単量体を溶解または分散することができる溶媒であれば可能であり、これらに限定されるものではない。
【0150】
他の実施態様において、前記溶媒は、1種単独で使用するか、または2種以上の溶媒を混合して使用してもよい。
【0151】
他の実施態様において、前記溶媒の沸点は、好ましくは40℃~250℃、より好ましくは60℃~230℃であるが、これに限定されるものではない。
【0152】
他の実施態様において、前記単独あるいは混合溶媒の粘度は、好ましくは1cP~10cP、より好ましくは3cP~8cPであるが、これに限定されるものではない。
【0153】
他の実施態様において、前記化学式1で表される単位を含む重合体を含むコーティング組成物の濃度および前記化学式2で表される単量体を含むコーティング組成物の濃度は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、0.1wt/v%~20wt/v%、より好ましくは0.5wt/v%~5wt/v%であるが、これに限定されるものではない。
【0154】
本発明の一実施態様において、前記化学式1で表される単位を含む重合体を含むコーティング組成物;および前記化学式2で表される単量体を含むコーティング組成物は、それぞれ独立して、熱重合開始剤および光重合開始剤からなる群から選択される1種または2種以上の添加剤をさらに含んでもよい。
【0155】
一実施態様において、前記化学式2で表される単量体を含むコーティング組成物は、熱重合開始剤をさらに含んでもよい。
【0156】
前記熱重合開始剤は、メチルエチルケトンペルオキシド、メチルイソブチルケトンペルオキシド、アセチルアセトンペルオキシド、メチルシクロヘキサノンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、イソブチリルペルオキシド、2,4‐ジクロロベンゾイルペルオキシド、ビス‐3,5,5‐トリメチルヘキサノイルペルオキシド、ラウリルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,5‐ジメチル‐2,5‐(t‐ブチルオキシ)‐ヘキサン、1,3‐ビス(t‐ブチルペルオキシ‐イソプロピル)ベンゼン、t‐ブチルクミル(cumyl)ペルオキシド、ジt‐ブチルペルオキシド、2,5‐ジメチル‐2,5‐(ジt‐ブチルペルオキシ)ヘキサン、トリス‐(t‐ブチルペルオキシ)トリアジン、1,1‐ジt‐ブチルペルオキシ‐3,3,5‐トリメチルシクロヘキサン、1,1‐ジt‐ブチルペルオキシシクロヘキサン、2,2‐ジ(t‐ブチルペルオキシ)ブタン、4,4‐ジ‐(t‐ブチルペルオキシ)吉草酸n‐ブチルエステル、2,2‐ビス(4,4‐t‐ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、t‐ブチルペルオキシイソブチレート、ジt‐ブチルペルオキシヘキサヒドロテレフタレート、t‐ブチルペルオキシ‐3,5,5‐トリメチルヘキサエート、t‐ブチルペルオキシベンゾエート、ジt‐ブチルペルオキシトリメチルアジペートなどの過酸化物、あるいはアゾビスイソブチルニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキシルニトリルなどのアゾ系があるが、これに限定されるものではない。
【0157】
前記光重合開始剤は、ジエトキシアセトフェノン、2,2‐ジメトキシ‐1,2‐ジフェニルエタン‐1‐オン、1‐ヒドロキシ‐シクロヘキシル‐フェニル‐ケトン、4‐(2‐ヒドロキシエトキシ)フェニル‐(2‐ヒドロキシ‐2‐プロピル)ケトン、2‐ベンジル‐2‐ジメチルアミノ‐1‐(4‐モルホリノフェニル)ブタノン‐1,2‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐1‐フェニルプロパン‐1‐オン、2‐メチル‐2‐モルホリノ(4‐メチルチオフェニル)プロパン‐1‐オン、1‐フェニル‐1,2‐プロパンジオン‐2‐(o‐エトキシカルボニル)オキシムなどのアセトフェノン系またはケタール系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン、4‐ヒドロキシベンゾフェノン、2‐ベンゾイルナフタレン、4‐ベンゾイルビフェニル、4‐ベンゾイルフェニルエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4‐ベンゾイルベンゼンなどのベンゾフェノン系光重合開始剤、2‐イソプロピルチオキサントン、2‐クロロチオキサントン、2,4‐ジメチルチオキサントン、2,4‐ジエチルチオキサントン、2,4‐ジクロロチオキサントンなどのチオキサントン系光重合開始剤があり、その他の光重合開始剤としては、エチルアントラキノン、2,4,6‐トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6‐トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキシド、ビス(2,4,6‐トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4‐ジメトキシベンゾイル)‐2,4,4‐トリメチルペンチルホスフィンオキシド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10‐フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0158】
また、光重合促進効果を有するものを単独でまたは前記光重合開始剤と併用して用いてもよい。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4‐ジメチルアミノ安息香酸エチル、4‐ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2‐ジメチルアミノ)エチル、4,4´‐ジメチルアミノベンゾフェノンなどがあるが、これに限定されるものではない。
【0159】
本発明は、また、前記コーティング組成物を用いて形成された有機発光素子を提供する。
【0160】
本発明は、第1の電極と、前記第1の電極と対向して備えられた第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に備えられた1層以上の有機物層とを含み、前記有機物層のうち1層以上は、上述の化学式1で表される単位を含む重合体を含む、有機発光素子を提供する。
【0161】
本発明の一実施態様において、第1の電極と、前記第1の電極と対向して備えられた第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に備えられた1層以上の有機物層とを含み、前記有機物層のうち1層以上は、前記化学式1で表される単位を含む重合体を含むコーティング組成物を用いて形成される。
【0162】
本発明のさらに他の実施態様は、第1の電極と、前記第1の電極と対向して備えられた第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に備えられた1層以上の有機物層とを含み、前記有機物層のうち1層以上は、上述の化学式2で表される単量体を含むコーティング組成物の硬化物を含む、有機発光素子を提供する。
【0163】
一実施態様において、前記化学式2で表される単量体を含むコーティング組成物の硬化物は、前記コーティング組成物が熱処理または光処理によって硬化された状態であってもよい。
【0164】
本発明の一実施態様において、前記第1の電極はカソードであり、前記第2の電極はアノードである。
【0165】
他の実施態様において、前記第1の電極はアノードであり、前記第2の電極はカソードである。
【0166】
本発明の一実施態様において、前記第1の電極はアノードであり、前記第2の電極はカソードであり、前記1層以上の有機物層は、発光層を含み、前記化学式1で表される単位を含む重合体を含む有機物層は、前記アノードと前記発光層との間に備えられる。
【0167】
本発明の一実施態様において、前記化学式1で表される単位を含む重合体を含む有機物層は、正孔輸送層、正孔注入層、または正孔輸送と正孔注入を同時に行う層である。
【0168】
本発明の一実施態様において、前記化学式1で表される単位を含む重合体を含む有機物層は、正孔輸送層である。
【0169】
本発明の一実施態様において、前記化学式1で表される単位を含む重合体を含む有機物層は、正孔注入層である。
【0170】
本発明の一実施態様において、前記化学式1で表される単位を含む重合体を含む有機物層は、正孔輸送と正孔注入を同時に行う層である。
【0171】
本発明の他の実施態様において、前記化学式2で表される単量体を含むコーティング組成物の硬化物を含む有機物層は、正孔輸送層、正孔注入層、または正孔輸送と正孔注入を同時に行う層である。
【0172】
本発明の一実施態様において、前記化学式2で表される単量体を含むコーティング組成物の硬化物を含む有機物層は、正孔輸送層である。
【0173】
本発明の一実施態様において、前記化学式2で表される単量体を含むコーティング組成物の硬化物を含む有機物層は、正孔注入層である。
【0174】
本発明の一実施態様において、前記化学式2で表される単量体を含むコーティング組成物の硬化物を含む有機物層は、正孔輸送と正孔注入を同時に行う層である。
【0175】
本発明の一実施態様において、前記化学式1で表される単位を含む重合体を含むコーティング組成物;および前記化学式2で表される単量体を含むコーティング組成物は、それぞれ独立して、pドーピング物質をさらに含んでもよい。
【0176】
本発明の一実施態様において、前記pドーピング物質は、FTCNQ;およびホウ素アニオンからなる群から選択される少なくとも一つを含む。
【0177】
本発明の一実施態様において、前記ホウ素アニオンは、ハロゲン基を含む。
【0178】
本発明の一実施態様において、前記ホウ素アニオンは、Fを含む。
【0179】
本発明の一実施態様において、前記pドーピング物質は、下記構造式から選択される1種または2種以上である。
【0180】
【化25】
【0181】
本発明の一実施態様において、前記化学式1で表される単位を含む重合体を含むコーティング組成物が前記pドーピング物質を含む場合、前記コーティング組成物のうち前記化学式1で表される単位を含む重合体とpドーピング物質は、99:1~70:30の重量比で含まれ、好ましくは90:10~70:30の重量比で含まれる。
【0182】
本発明の一実施態様において、前記化学式2で表される単量体を含むコーティング組成物が前記pドーピング物質を含む場合、前記コーティング組成物のうち前記化学式2で表される単量体とpドーピング物質は、99:1~70:30の重量比で含まれ、好ましくは90:10~70:30の重量比で含まれる。
【0183】
本発明の一実施態様において、前記有機発光素子は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、電子ブロック層および正孔ブロック層からなる群から選択される1層または2層以上をさらに含んでもよい。
【0184】
他の実施態様において、有機発光素子は、基板上に、アノード、1層以上の有機物層およびカソードが順に積層された正方向構造(normal type)の有機発光素子であってもよい。
【0185】
他の実施態様において、有機発光素子は、基板上に、カソード、1層以上の有機物層およびアノードが順に積層された逆方向構造(inverted type)の有機発光素子であってもよい。
【0186】
本発明の有機発光素子の有機物層は、単層構造からなってもよく、2層以上の有機物層が積層された多層構造からなってもよい。例えば、本発明の有機発光素子は、有機物層として、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などを含む構造を有することができる。しかし、有機発光素子の構造は、これに限定されず、より少ない数またはより多い数の有機層を含んでもよい。
【0187】
例えば、本発明の一実施態様に係る有機発光素子の構造は、図1に例示されている。
【0188】
前記図1には、基板101上に、第1の電極201、正孔注入層301、正孔輸送層401、発光層501、電子輸送層601および第2の電極701が順に積層された有機発光素子の構造が例示されている。一実施態様において、前記電子輸送層601の代わりに電子注入および輸送を同時に行う層が備えられてもよい。
【0189】
本発明の一実施態様において、前記図1の正孔注入層301、正孔輸送層401または発光層501は、前記化学式1で表される単位を含む重合体を含むコーティング組成物を用いて形成され得る。
【0190】
本発明の一実施態様において、前記図1の正孔注入層301は、前記化学式1で表される単位を含む重合体を含むコーティング組成物を用いて形成され得る。
【0191】
本発明の一実施態様において、前記図1の正孔輸送層401は、前記化学式1で表される単位を含む重合体を含むコーティング組成物を用いて形成され得る。
【0192】
前記図1は、有機発光素子を例示したものであり、これに限定されない。
【0193】
前記有機発光素子が複数個の有機物層を含む場合、前記有機物層は、同一の物質または相違する物質で形成され得る。
【0194】
本発明の有機発光素子は、有機物層のうち1層以上が、本発明の一実施態様に係るコーティング組成物を用いて形成される以外は、当技術分野において公知の材料と方法により製造され得る。
【0195】
例えば、本発明の有機発光素子は、基板上に、アノード、有機物層およびカソードを順に積層して製造することができる。この際、スパッタリング法(sputtering)や電子ビーム蒸着法(e‐beam evaporation)といったPVD(physical Vapor Deposition)法を用いて、基板上に、金属または伝導性を有する金属酸化物またはこれらの合金を蒸着してアノードを形成し、その上に、正孔注入層、正孔輸送層、発光層および電子輸送層を含む有機物層を形成した後、その上に、カソードとして使用可能な物質を蒸着して製造され得る。かかる方法の他にも、基板上に、カソード物質から有機物層およびアノード物質を順に蒸着して有機発光素子を製造してもよい。
【0196】
本発明は、また、前記コーティング組成物を用いて形成された有機発光素子の製造方法を提供する。ここで、コーティング組成物とは、化学式1で表される単位を含む重合体を含むコーティング組成物;または前記化学式2で表される単量体を含むコーティング組成物を意味する。
【0197】
具体的には、本発明の一実施態様において、第1の電極を準備するステップと、前記第1の電極上に1層以上の有機物層を形成するステップと、前記有機物層上に第2の電極を形成するステップとを含み、前記1層以上の有機物層を形成するステップは、上述の化学式1で表される単位を含む重合体を含むコーティング組成物、または上述の化学式2で表される単量体を含むコーティング組成物を用いて有機物層を形成するステップを含む、有機発光素子の製造方法であって、前記コーティング組成物を用いて有機物層を形成するステップは、前記第1の電極上に前記コーティング組成物をコーティングするステップと、前記コーティングされたコーティング組成物を熱処理または光処理するステップとを含む、有機発光素子の製造方法を提供する。
【0198】
本発明の一実施態様において、前記コーティング組成物を用いて形成された有機物層は、スピンコーティングまたはインクジェット法により形成される。
【0199】
さらに他の実施態様において、前記コーティング組成物を用いて形成された有機物層は、印刷法により形成される。
【0200】
本発明の態様において、前記印刷法は、例えば、インクジェットプリンティング、ノズルプリンティング、オフセットプリンティング、転写プリンティングまたはスクリーンプリンティングなどがあるが、これに限定されるものではない。
【0201】
本発明の一実施態様に係るコーティング組成物は、構造的な特性によって溶液工程が適し、印刷法により形成可能であるため、素子の製造時に時間および費用的に経済的な効果がある。
【0202】
本発明の一実施態様において、前記コーティング組成物を用いて有機物層を形成するステップは、第1の電極上に前記コーティング組成物をコーティングするステップと、前記コーティングされたコーティング組成物を熱処理または光処理するステップとを含む。
【0203】
本発明の一実施態様において、前記熱処理または光処理するステップにおいて、熱処理する時間は、好ましくは1時間以内、より好ましくは30分以内である。
【0204】
本発明の一実施態様において、前記熱処理または光処理するステップにおいて、熱処理する雰囲気は、好ましくはアルゴン、窒素などの不活性気体である。
【0205】
一実施態様において、前記コーティング組成物として、前記化学式1で表される単位を含む重合体を含むコーティング組成物を使用する場合には、前記コーティングされたコーティング組成物を熱処理または光処理するステップは、コーティングされたコーティング組成物から溶媒を除去するステップであってもよい。
【0206】
一実施態様において、前記コーティング組成物として、前記化学式2で表される単量体を含むコーティング組成物を使用する場合には、前記コーティングされたコーティング組成物を熱処理または光処理するステップは、化学式2で表される単量体のアルケニル基が重合に参加して前記化学式1で表される単位を含む重合体を形成し、且つ溶媒が除去されるステップであってもよい。
【0207】
前記コーティング組成物を用いて有機物層を形成するステップにおいて、前記熱処理または光処理ステップを含む場合には、コーティング組成物が薄膜化した構造が含まれた有機物層を提供することができる。この場合、前記コーティング組成物を用いて形成された有機物層の表面上に蒸着された溶媒によって溶解されたり、形態学的に影響を受けるか分解されることを防止することができる。
【0208】
したがって、前記コーティング組成物を用いて形成された有機物層は、特定の溶媒に対する抵抗性があり、その特定の溶媒を使用した溶液蒸着法を繰り返して行い、多層を形成することができる。また、この場合、有機物層の安定性が増大し、素子の寿命特性を高めることができる。
【0209】
本発明の一実施態様において、前記重合体を含むコーティング組成物としては、高分子結合剤に混合して分散させたコーティング組成物を用いることができる。
【0210】
本発明の一実施態様において、高分子結合剤としては、電荷輸送を極めて妨げないことが好ましく、また、可視光に対する吸収が強くないものが好ましく用いられる。高分子結合剤としては、ポリ(N‐ビニルカルバゾール)、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリ(p‐フェニレンビニレン)およびその誘導体、ポリ(2,5‐チエニレンビニレン)およびその誘導体、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサンなどが挙げられる。
【0211】
また、本発明の一実施態様に係る有機物層は、前記化学式1で表される単位を含む重合体を単独で含んでもよく、他の単量体や他の重合体をさらに含んでもよい。
【0212】
前記アノード物質としては、通常、有機物層への正孔注入がスムーズに行われるように、仕事関数が大きい物質が好ましい。本発明で使用可能なアノード物質の具体例としては、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金のような金属またはこれらの合金;亜鉛酸化物、インジウム酸化物、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)のような金属酸化物;ZnO:AlまたはSnO:Sbのような金属と酸化物の組み合わせ;ポリ(3‐メチルチオフェン)、ポリ[3,4‐(エチレン‐1,2‐ジオキシ)チオフェン](PEDOT)、ポリピロールおよびポリアニリンのような伝導性高分子などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0213】
前記カソード物質としては、通常、有機物層への電子注入が容易に行われるように仕事関数が小さい物質であることが好ましい。カソード物質の具体例としては、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタン、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、スズおよび鉛のような金属またはこれらの合金;LiF/AlまたはLiO/Alのような多層構造物質などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0214】
前記正孔注入層は、電極から正孔を注入する層であり、正孔注入物質としては、正孔を輸送する能力を有することで、アノードでの正孔注入効果、発光層または発光材料に対して優れた正孔注入効果を有し、発光層で生成された励起子の電子注入層または電子注入材料への移動を防止し、また、優れた薄膜形成能力を有する化合物が好ましい。正孔注入物質のHOMO(highest occupied molecular orbital)が、アノード物質の仕事関数と周辺有機物層のHOMOとの間であることが好ましい。正孔注入物質の具体例としては、金属ポルフィリン(porphyrin)、オリゴチオフェン、アリールアミン系の有機物、ヘキサニトリルヘキサアザトリフェニレン系の有機物、キナクリドン(quinacridone)系の有機物、ペリレン(perylene)系の有機物、アントラキノンおよびポリアニリンとポリチオフェン系の伝導性高分子などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0215】
前記正孔輸送層は、正孔注入層から正孔を受け取って発光層まで正孔を輸送する層であり、前記有機発光素子が、前記化学式1で表される単位を含む重合体を含む正孔輸送層以外のさらなる正孔輸送層を含む場合、正孔輸送物質としては、アノードや正孔注入層から正孔の輸送を受け発光層に移し得る物質であって、正孔に対する移動性が大きい物質が好適である。具体例としては、アリールアミン系の有機物、伝導性高分子、および共役部分と非共役部分がともに存在するブロック共重合体などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0216】
前記電子ブロック層は、電子注入層から注入された電子が発光層を経て正孔注入層に入ることを防止することで、素子の寿命と効率を向上させ得る層であり、必要に応じて、公知の材料を使用して、発光層と正孔注入層との間の適切な部分に形成され得る。
【0217】
前記発光物質としては、正孔輸送層と電子輸送層からそれぞれ正孔と電子の輸送を受けて結合させることで、可視光線領域の光を発することができる物質であって、蛍光や燐光に対する量子効率が良好な物質が好ましい。具体例としては、8‐ヒドロキシ‐キノリンアルミニウム錯体(Alq);カルバゾール系化合物;二量体化スチリル(dimerized styryl)化合物;BAlq;10‐ヒドロキシベンゾキノリン‐金属化合物;ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾールおよびベンゾイミダゾール系の化合物;ポリ(p‐フェニレンビニレン)(PPV)系の高分子;スピロ(spiro)化合物;ポリフルオレン;またはルブレンなどがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0218】
前記発光層は、ホスト材料およびドーパント材料を含むことができる。ホスト材料としては、縮合芳香族環誘導体またはヘテロ環含有化合物などがある。具体的には、縮合芳香族環誘導体としては、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、ナフタレン誘導体、ペンタセン誘導体、フェナントレン化合物、フルオランテン化合物などがあり、ヘテロ環含有化合物としては、カルバゾール誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ラダー型フラン化合物、ピリミジン誘導体などがあるが、これらに限定されない。
【0219】
ドーパント材料としては、芳香族アミン誘導体、スチリルアミン化合物、ホウ素錯体、フルオランテン化合物、金属錯体などがある。具体的には、芳香族アミン誘導体としては、置換または非置換のアリールアミン基を有する縮合芳香族環誘導体として、アリールアミン基を有するピレン、アントラセン、クリセン、ペリフランテンなどがあり、スチリルアミン化合物としては、置換または非置換のアリールアミンに少なくとも1個のアリールビニル基が置換されている化合物として、アリール基、シリル基、アルキル基、シクロアルキル基およびアリールアミン基からなる群から選択される1または2以上の置換基が置換した又は非置換の化合物を使用することができる。具体的には、スチリルアミン、スチリルジアミン、スチリルトリアミン、スチリルテトラアミンなどがあるが、これに限定されない。また、金属錯体としては、イリジウム錯体、白金錯体などがあるが、これらに限定されない。
【0220】
前記電子輸送層は、電子注入層から電子を受け取って発光層まで電子を輸送する層であり、電子輸送物質としては、カソードからきちんと電子の注入を受けて発光層に移し得る物質であって、電子に対する移動性が大きい物質が好適である。具体例としては、8‐ヒドロキシキノリンのAl錯体;Alqを含む錯体;有機ラジカル化合物;またはヒドロキシフラボン‐金属錯体などがあるが、これらのみに限定されるものではない。電子輸送層は、従来技術により使用されているように、任意の所望のカソード物質とともに使用することができる。特に、適切なカソード物質は、低い仕事関数を有し、アルミニウム層またはシルバー層が後に続く通常の物質である。具体的には、セシウム、バリウム、カルシウム、イッテルビウム、およびサマリウムであり、それぞれの場合、アルミニウム層またはシルバー層が後に続く。
【0221】
前記電子注入層は、電極から電子を注入する層であり、電子を輸送する能力を有し、カソードからの電子注入効果、発光層または発光材料に対する優れた電子注入効果を有し、発光層で生成された励起子の正孔注入層への移動を防止し、また、薄膜形成能力に優れた化合物が好ましい。具体的には、フルオレノン、アントラキノジメタン、ジフェノキノン、チオピランジオキシド、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、ペリレンテトラカルボン酸、フレオレニリデンメタン、アントロンなどとそれらの誘導体、金属錯体化合物および含窒素五員環誘導体などがあるが、これらに限定されない。
【0222】
前記金属錯体化合物としては、8‐ヒドロキシキノリナトリチウム、ビス(8‐ヒドロキシキノリナト)亜鉛、ビス(8‐ヒドロキシキノリナト)銅、ビス(8‐ヒドロキシキノリナト)マンガン、トリス(8‐ヒドロキシキノリナト)アルミニウム、トリス(2‐メチル‐8‐ヒドロキシキノリナト)アルミニウム、トリス(8‐ヒドロキシキノリナト)ガリウム、ビス(10‐ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム、ビス(10‐ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)亜鉛、ビス(2‐メチル‐8‐キノリナト)クロロガリウム、ビス(2‐メチル‐8‐キノリナト)(o‐クレゾラート)ガリウム、ビス(2‐メチル‐8‐キノリナト)(1‐ナフトラート)アルミニウム、ビス(2‐メチル‐8‐キノリナト)(2‐ナフトラート)ガリウムなどがあるが、これらに限定されない。
【0223】
前記正孔ブロック層は、正孔のカソード到達を阻止する層であり、一般的に、正孔注入層と同一の条件で形成され得る。具体的には、オキサジアゾール誘導体やトリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、アルミニウム錯体(aluminum complex)などがあるが、これらに限定されない。
【0224】
本発明に係る有機発光素子は、使用される材料によって、前面発光型、後面発光型、または両面発光型であってもよい。
【実施例
【0225】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本発明に係る実施例は、種々の異なる形態に変形可能であり、本発明の範囲が以下に述べる実施例に限定されると解釈されない。本発明の実施例は、当業界において平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0226】
<単量体1の合成>
【化26】
【0227】
1)化合物3‐Aの合成
化合物1‐A 50g(105.4mmol、1eq)と化合物2‐A 31.2g(211mmol、2eq)を300gのテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、80℃の浴(bath)で10分間攪拌した。KCO 37.89g(274mmol、2.6eq)を300mLの水に溶解した後、10分間滴加した。Pd触媒3.66g(3.2mmol、0.03eq)を還流下で投入する。2時間攪拌した後、エチルアセテート(EA)/HOで水洗して有機層を分離し、溶媒を真空乾燥した。n‐ヘキサン(n‐Hex)とエチルアセテート(EA)を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製した後、テトラヒドロフラン(THF)とエタノールで再結晶し、白色の固体である化合物3‐Aを得た。
【0228】
2)単量体1の合成
化合物3‐A 2.4g(5mmol、1eq)および化合物4‐A 2.82g(5mmol、1eq)を20mlの1,4‐ジオキサン(1,4‐Dioxane)に溶解し、120℃の浴(bath)で30分間攪拌した。KCO 5.1g(37mmol、1.75eq)を40mLの水に溶解した後、その溶液の内部温度を90℃に維持しながら10分間滴加した。Pd触媒0.077g(0.15mmol、0.03eq)を還流下で投入した。1時間攪拌した後、エチルアセテート(EA)/HOで水洗して有機層を分離し、溶媒を真空乾燥した。n‐ヘキサン(n‐Hex)とジクロロメタン(DCM)を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製した後、n‐ヘキサン(n‐Hex)で再結晶し、単量体1 3.58gを得た。
MS:[M+H]=853
【0229】
<単量体2の合成>
【化27】
【0230】
1)化合物3‐Bの合成
化合物1‐B 15g(60.95mmol、1.0eq)と化合物2‐B 36.06g(64mmol、1.05eq)を200mLのテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、80℃の浴(bath)で10分間攪拌した。KCO 10.95g(79mmol、1.3eq)を87mLの水に溶解した後、10分間滴加した。Pd触媒2.11g(1.8mmol、0.03eq)を還流下で投入した。12時間攪拌した後、エチルアセテート(EA)/HOで水洗して有機層を分離し、溶媒を真空乾燥した。n‐ヘキサン(n‐Hex)とエチルアセテート(EA)を用いてMPLC(Medium Pressure Liquid Chromatography)により精製した後、n‐ヘキサン(n‐Hex)で再結晶し、化合物3‐Bを得た。
【0231】
2)単量体2の合成
化合物3‐A 3g(6mmol、1eq)および化合物3‐B 4g(7mmol、1.1eq)を15gの無水トルエンに溶解し、130℃の浴(bath)で10分間攪拌した。ナトリウムtert‐ブトキシド(NaOt‐Bu)1.45g(15mmol、2.5eq)を投入した。Pd触媒0.077g(0.15mmol、0.03eq)を還流下で投入した。1時間攪拌した後、エチルアセテート(EA)/HOで水洗して有機層を分離し、溶媒を真空乾燥した。n‐ヘキサン(n‐Hex)とジクロロメタン(DCM)を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製した後、n‐ヘキサン(n‐Hex)で再結晶し、白色の固体である単量体2 1.84gを得た。
MS:[M+H]=1018
【0232】
<単量体3の合成>
【化28】
【0233】
1)化合物3‐Cの合成
化合物1‐C 13.5g(47.7mmol、1.0eq)、化合物2‐C 18.4g(57.26mmol、1.2eq)、NaOt‐Bu 6.42g(66.8mmol、1.4eq)および1,10‐フェナントロリン1.72g(9.54mmol、0.2eq)を140mLのDMFに溶解し、80℃の浴(bath)で10分間攪拌した。CuI 0.91g(4.77mmol、10mol%)を投入した後、12時間攪拌する。エチルアセテート(EA)/HOで水洗して有機層を分離し、溶媒を真空乾燥した。n‐ヘキサン(n‐Hex)とエチルアセテート(EA)を用いてMPLC(Medium Pressure Liquid Chromatography)により精製した後、n‐ヘキサン(n‐Hex)で再結晶し、化合物3‐Cを得た。
【0234】
2)化合物4‐Cの合成
化合物3‐C 10g(21mmol、1.0eq)とBPin 13.3g(52.4mmol、2.5eq)を1,4‐ジオキサン(Dioxane)300mLに溶解し、80℃の浴(bath)で10分間攪拌した。KOAc 8.86g(90.3mmol、4.3eq)とPd(dppf)Cl・DCM 1.38g(1.89mmol、0.09eq)を投入した。110℃の浴(bath)で12時間攪拌した後、エチルアセテート(EA)/HOで水洗して有機層を分離し、溶媒を真空乾燥した。n‐ヘキサン(n‐Hex)とジクロロメタン(DCM)を用いてMPLC(Medium Pressure Liquid Chromatography)により精製した後、n‐ヘキサン(n‐Hex)で再結晶し、化合物4‐Cを得た。
【0235】
3)単量体3の合成
化合物4‐C 31.8g(60.74mmol、1.0eq)および化合物3‐A 33.24g(66.8mmol、1.1eq)を300mLのテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、80℃の浴(bath)で10分間攪拌した。KCO 10.95g(79mmol、1.3eq)を90mLの水に溶解した後、10分間滴加した。Pd触媒2.11g(1.8mmol、0.03eq)を還流下で投入した。12時間攪拌した後、エチルアセテート(EA)/HOで水洗して有機層を分離し、溶媒を真空乾燥した。n‐ヘキサン(n‐Hex)とエチルアセテート(EA)を用いてMPLC(Medium Pressure Liquid Chromatography)により精製した後、n‐ヘキサン(n‐Hex)で再結晶し、白色の固体である単量体3を44.5g得た。
MS:[M+H]=813
【0236】
<単量体4の合成>
【化29】
【0237】
化合物1‐Cの代わりに化合物1‐Dを使用し、化合物2‐Cの代わりに化合物2‐Dを使用した以外は、単量体3の合成と同じ方法で単量体4を合成した。
MS:[M+H]=929
【0238】
<単量体5の合成>
【化30】
【0239】
1)化合物3‐Eの合成
化合物1‐E 15.01g(26.6mmol、1.0eq)と化合物2‐E 13.3g(42.6mmol、1.6eq)を150mLのテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、80℃の浴(bath)で10分間攪拌した。CSCO 43.4g(133mmol、5.0eq)を90mLの水に溶解した後、10分間滴加した。Pd(PPh 1.54g(1.33mol、0.05eq)を還流下で投入した。65℃の浴(bath)で12時間攪拌した後、エチルアセテート(EA)/HOで水洗して有機層を分離し、溶媒を真空乾燥した。n‐ヘキサン(n‐Hex)とエチルアセテート(EA)を用いてMPLC(Medium Pressure Liquid Chromatography)により精製した後、n‐ヘキサン(n‐Hex)で再結晶し、化合物3‐Eを得た。
【0240】
2)化合物4‐Eの合成
化合物3‐E 10g(14.95mmol、1.0eq)とBPin 9.49g(37.4mmol、2.5eq)を1,4‐ジオキサン(Dioxane)100mLに溶解し、80℃の浴(bath)で10分間攪拌した。KOAc 6.21g(64.28mmol、4.3eq)とPd(dppf)Cl・DCM 0.98g(1.35mmol、0.09eq)を投入した。110℃の浴(bath)で12時間攪拌した後、エチルアセテート(EA)/HOで水洗して有機層を分離し、溶媒を真空乾燥した。n‐ヘキサン(n‐Hex)とジクロロメタン(MC)を用いてMPLC(Medium Pressure Liquid Chromatography)により精製した後、n‐ヘキサン(n‐Hex)で再結晶し、化合物4‐Eを得た。
【0241】
3)単量体5の合成
化合物4‐E 43.5g(60.74mmol、1.0eq)および化合物3‐A 33.24g(66.8mmol、1.1eq)を300mLのテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、80℃の浴(bath)で10分間攪拌した。KCO 10.95g(79mmol、1.3eq)を90mLの水に溶解した後、10分間滴加した。Pd触媒2.11g(1.8mmol、0.03eq)を還流下で投入した。110℃の浴(bath)で12時間攪拌した後、エチルアセテート(EA)/HOで水洗して有機層を分離し、溶媒を真空乾燥した。n‐ヘキサン(n‐Hex)とエチルアセテート(EA)を用いてMPLC(Medium Pressure Liquid Chromatography)により精製した後、n‐ヘキサン(n‐Hex)で再結晶し、白色の固体である単量体5を55g得た。
MS:[M+H]=1005
【0242】
<単量体6の合成>
【化31】
【0243】
化合物2‐Eの代わりに化合物1‐Fを使用した以外は、単量体5の合成と同じ方法で単量体6を合成した。
MS:[M+H]=929
【0244】
<単量体7の合成>
【化32】
【0245】
化合物2‐Eの代わりに化合物1‐Gを使用した以外は、単量体5の合成と同じ方法で単量体7を合成した。
MS:[M+H]=957
【0246】
<単量体8の合成>
【化33】
【0247】
化合物2‐Eの代わりに化合物1‐Hを使用した以外は、単量体5の合成と同じ方法で単量体8を合成した。
MS:[M+H]=979
【0248】
<単量体9の合成>
【化34】
【0249】
1)化合物2‐Iの合成
化合物3‐A 13.2g(26.6mmol、1.0eq)と化合物1‐I 4.58g(29.3mmol、1.1eq)を100mLのテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、80℃の浴(bath)で10分間攪拌した。CSCO 43.4g(133mmol、5.0eq)を90mLの水に溶解した後、10分間滴加した。Pd(PPh 1.54g(1.33mol、0.05eq)を還流下で投入した。65℃の浴(bath)で12時間攪拌した後、エチルアセテート(EA)/HOで水洗して有機層を分離し、溶媒を真空乾燥した。n‐ヘキサン(n‐Hex)とエチルアセテート(EA)を用いてMPLC(Medium Pressure Liquid Chromatography)により精製した後、n‐ヘキサン(n‐Hex)で再結晶し、化合物2‐Iを得た
【0250】
2)単量体9の合成
化合物3‐B 3.6g(6mmol、1eq)と化合物2‐I 3.49g(6.6mmol、1.1eq)を36mlの無水トルエンに溶解し、130℃の浴(bath)で10分間攪拌した。ナトリウムtert‐ブトキシド(NaOt‐Bu)1.45g(15mmol、2.5eq)を投入した。Pd触媒0.15g(0.3mmol、0.05eq)を還流下で投入した。1時間攪拌した後、エチルアセテート(EA)/HOで水洗して有機層を分離し、溶媒を真空乾燥した。n‐ヘキサン(n‐Hex)とジクロロメタン(DCM)を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製した後、n‐ヘキサン(n‐Hex)で再結晶し、白色の固体である単量体9を5.25g得た。
MS:[M+H]=1094
【0251】
<単量体10の合成>
【化35】
【0252】
化合物1‐Iの代わりに化合物1‐Jを使用し、化合物3‐Bの代わりに化合物2‐Dを使用した以外は、単量体9の合成と同じ方法で単量体10を合成した。
MS:[M+H]=969
【0253】
<単量体11の合成>
【化36】
【0254】
化合物1‐Iの代わりに化合物1‐Kを使用し、化合物3‐Bの代わりに化合物3‐Kを使用した以外は、単量体9の合成と同じ方法で単量体11を合成した。
MS:[M+H]=1067
【0255】
<単量体12の合成>
【化37】
【0256】
1)化合物3‐Lの合成
化合物1‐L 19.76g(60.95mmol、1.0eq)と化合物2‐L 20.50g(64mmol、1.05eq)を200mLのテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、80℃の浴(bath)で10分間攪拌した。KCO 10.95g(79mmol、1.3eq)を87mLの水に溶解した後、10分間滴加した。Pd触媒2.11g(1.8mmol、0.03eq)を還流下で投入した。12時間攪拌した後、エチルアセテート(EA)/HOで水洗して有機層を分離し、溶媒を真空乾燥した。n‐ヘキサン(n‐Hex)とエチルアセテート(EA)を用いてMPLC(Medium Pressure Liquid Chromatography)により精製した後、n‐ヘキサン(n‐Hex)で再結晶し、化合物3‐Lを得た。
【0257】
2)単量体12の合成
化合物3‐L 2.63g(6mmol、1eq)および化合物3‐A 3.28g(6.6mmol、1.1eq)を15gの無水トルエンに溶解し、130℃の浴(bath)で10分間攪拌した。ナトリウムtert‐ブトキシド(NaOt‐Bu)1.45g(15mmol、2.5eq)を投入した。Pd触媒0.077g(0.15mmol、0.03eq)を還流下で投入した。1時間攪拌した後、エチルアセテート(EA)/HOで水洗して有機層を分離し、溶媒を真空乾燥した。n‐ヘキサン(n‐Hex)とジクロロメタン(DCM)を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製した後、n‐ヘキサン(n‐Hex)で再結晶し、白色の固体である単量体12を4.82g得た。
MS:[M+H]=853
【0258】
<単量体13の合成>
【化38】
【0259】
化合物1‐Lの代わりに化合物1‐Mを使用し、化合物2‐Lの代わりに化合物2‐Mを使用した以外は、単量体12の合成と同じ方法で単量体13を合成した。
MS:[M+H]=902
【0260】
<単量体14の合成>
【化39】
【0261】
1)化合物3‐Nの合成
化合物1‐N 1.11g(6mmol、1eq)と化合物2‐N 2.37g(6.6mmol、1.1eq)を15mlの無水トルエンに溶解し、80℃の浴(bath)で10分間攪拌した。ナトリウムtert‐ブトキシド(NaOt‐Bu)1.45g(15mmol、2.5eq)とPd触媒0.03g(0.06mmol、0.01eq)を80℃下で投入した。1時間攪拌した後、エチルアセテート(EA)/HOで水洗して有機層を分離し、溶媒を真空乾燥した。n‐ヘキサン(n‐Hex)とジクロロメタン(DCM)を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製した後、n‐ヘキサン(n‐Hex)で再結晶し、白色の固体である化合物3‐Nを得た。
【0262】
2)単量体14の合成
化合物3‐N 2.90g(6mmol、1eq)と化合物2‐I 3.49g(6.6mmol、1.1eq)を30mlの無水トルエンに溶解し、120℃の浴(bath)で10分間攪拌した。ナトリウムtert‐ブトキシド(NaOt‐Bu)1.45g(15mmol、2.5eq)とPd触媒0.15g(0.30mmol、0.05eq)を還流下で投入した。1時間攪拌した後、エチルアセテート(EA)/HOで水洗して有機層を分離し、溶媒を真空乾燥した。n‐ヘキサン(n‐Hex)とジクロロメタン(DCM)を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製した後、n‐ヘキサン(n‐Hex)で再結晶し、白色の固体である単量体14を4.92g得た。
MS:[M+H]=975
【0263】
<単量体15の合成>
【化40】
【0264】
1)化合物3‐Oの合成
化合物1‐O 19.93g(60.95mmol、1.0eq)と化合物2‐O 37.65g(128mmol、2.10eq)を200mLのテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、80℃の浴(bath)で10分間攪拌した。KCO 21.9g(158mmol、2.6eq)を87mLの水に溶解した後、10分間滴加した。Pd触媒2.11g(1.8mmol、0.03eq)を還流下で投入した。12時間攪拌した後、エチルアセテート(EA)/HOで水洗して有機層を分離し、溶媒を真空乾燥した。n‐ヘキサン(n‐Hex)とエチルアセテート(EA)を用いてMPLC(Medium Pressure Liquid Chromatography)により精製した後、n‐ヘキサン(n‐Hex)で再結晶し、化合物3‐Oを得た。
【0265】
2)単量体15の合成
化合物3‐O 3.01g(6mmol、1eq)と化合物3‐A 3.28g(6.6mmol、1.1eq)を15gの無水トルエンに溶解し、130℃の浴(bath)で10分間攪拌した。ナトリウムtert‐ブトキシド(NaOt‐Bu)1.45g(15mmol、2.5eq)を投入した。Pd触媒0.077g(0.15mmol、0.03eq)を還流下で投入した。1時間攪拌した後、エチルアセテート(EA)/HOで水洗して有機層を分離し、溶媒を真空乾燥した。n‐ヘキサン(n‐Hex)とジクロロメタン(DCM)を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製した後、n‐ヘキサン(n‐Hex)で再結晶し、白色の固体である単量体15を5.07g得た。
MS:[M+H]=917
【0266】
<重合体1の製造>
【化41】
【0267】
単量体1(500mg)およびアゾビスイソブチロニトリル(Azobisisobutyronitrile;AIBN)(1.2mg)をエチルアセテート(EA)に入れ、窒素置換下で、25℃で12時間反応させた。反応後に生成された沈殿物を濾過し、重合体1を製造した。
Mn:37100g/mol、Mw:78600g/mol
【0268】
<重合体2~15の製造>
単量体1の代わりに下記表1の単量体を使用した以外は、重合体1の製造方法と同じ方法で重合体2~15を製造した。
【0269】
<重合体P1およびP2の製造>
単量体1の代わりに下記表1の単量体を使用した以外は、重合体1の製造方法と同じ方法で重合体P1およびP2を製造した。
【0270】
【化42】
【0271】
【表1】
【0272】
<実施例1‐1>
ITO(indium tin oxide)が150nmの厚さで薄膜コーティングされたガラス基板を、洗剤を溶解した蒸留水に入れて超音波で洗浄した。この際、洗剤としては、フィッシャー社(Fischer Co.)製を使用し、蒸留水としては、ミリポア社(Millipore Co.)製のフィルタ(Filter)で2回濾過した蒸留水を使用した。ITOを30分間洗浄した後、蒸留水で2回繰り返して超音波洗浄を10分間行った。蒸留水洗浄が終了した後、イソプロピル、アセトンの溶剤で超音波洗浄を行って乾燥してから、前記基板を5分間洗浄した後、グローブボックスに基板を輸送した。
【0273】
ITO透明電極上に、前記重合体1および下記化合物M(8:2の重量比)の2wt/v%トルエンコーティング組成物をスピンコーティング(4000rpm)し、200℃で30分間熱処理(硬化)して、厚さ40nmの正孔注入層を形成した。真空蒸着装置に移送した後、前記正孔注入層上に下記化合物Gを真空蒸着し、厚さ20nmの正孔輸送層を形成した。前記正孔輸送層上に下記化合物Hと下記化合物Iを92:8の重量比で20nmの厚さで真空蒸着し、発光層を形成した。前記発光層上に下記化合物Jを35nmの厚さで真空蒸着し、電子注入および輸送層を形成した。前記電子注入および輸送層上に、厚さ1nmのLiFと厚さ100nmのアルミニウムを順に蒸着し、カソードを形成した。
【0274】
前記の過程で、有機物の蒸着速度は、0.04nm/sec~0.07nm/sec、LiFの蒸着速度は、0.03nm/sec、アルミニウムの蒸着速度は、0.2nm/secを維持し、蒸着時の真空度は、2×10-7torr~5×10-6torrを維持した。
【0275】
【化43】
【0276】
<比較例1‐1>
重合体1の代わりに下記表2の重合体を使用した以外は、実施例1‐1と同じ方法で比較例1‐1の有機発光素子を製造した。
【0277】
<実施例2‐1>
ITO(indium tin oxide)が150nmの厚さで薄膜コーティングされたガラス基板を、洗剤を溶解した蒸留水に入れて超音波で洗浄した。この際、洗剤としては、フィッシャー社(Fischer Co.)製を使用し、蒸留水としては、ミリポア社(Millipore Co.)製のフィルター(Filter)で2回濾過した蒸留水を使用した。ITOを30分間洗浄した後、蒸留水で2回繰り返して超音波洗浄を10分間行った。蒸留水洗浄が終了した後、イソプロピル、アセトンの溶剤で超音波洗浄を行って乾燥してから、前記基板を5分間洗浄した後、グローブボックスに基板を輸送した。
【0278】
ITO透明電極上に、化合物Kおよび化合物L(8:2の重量比)の2wt/v%のシクロヘキサノンに溶解したコーティング組成物をスピンコーティング(4000rpm)し、230℃で30分間熱処理(硬化)して、厚さ40nmの正孔注入層を形成した。前記正孔注入層上に前記重合体1をトルエンに2wt%で溶解した組成物をスピンコーティングし、230℃で30分間熱処理して、厚さ20nmの正孔輸送層を形成した。前記正孔輸送層上に下記化合物Hと下記化合物Iを92:8の重量比で2wt/v%のシクロヘキサノンに溶解したコーティング組成物をスピンコーティング(4000rpm)し、150℃で30分間熱処理して、厚さ25nmの発光層を形成した。真空蒸着装置に移送した後、前記発光層上に下記化合物Jを35nmの厚さで真空蒸着し、電子注入および輸送層を形成した。前記電子注入および輸送層上に、厚さ1nmのLiFと厚さ100nmのアルミニウムを順に蒸着し、カソードを形成した。
【0279】
【化44】
【0280】
前記の過程で、有機物の蒸着速度は、0.04nm/sec~0.07nm/sec、LiFの蒸着速度は、0.03nm/sec、アルミニウムの蒸着速度は、0.2nm/secを維持し、蒸着時の真空度は、2×10-7torr~5×10-6torrを維持した。
【0281】
<実施例2‐2~2‐13>
重合体1の代わりに下記表2の重合体を使用した以外は、実施例2‐1と同じ方法で実施例2‐2~2‐13の有機発光素子を製造した。
【0282】
<比較例2‐1および2‐2>
重合体1の代わりに下記表2の重合体を使用した以外は、実施例2‐1と同じ方法で比較例2‐1および2‐2の有機発光素子を製造した。
【0283】
<比較例2‐3>
実施例2‐1の正孔輸送層を形成するときに、重合体1の代わりに下記化合物P3を使用した以外は、実施例2‐1と同じ方法で比較例2‐3の有機発光素子を製造した。
【0284】
【化45】
【0285】
<素子評価>
前記実施例および比較例で製造した有機発光素子に対して、10mA/cmの電流密度での駆動電圧、外部量子効率(external quantum efficiency、EQE)、輝度および寿命を測定した結果を下記表2に示した。前記外部量子効率は、(放出された光子の数)/(注入された電荷キャリアの数)で求めた。T90は、輝度が、初期の輝度(500nit)から90%に減少するまでかかる時間を意味する。
【0286】
【表2】
【0287】
スピロビフルオレンを含む重合体を正孔注入層に使用した実施例1‐1の素子は、スピロビフルオレンを含んでいない重合体を使用した比較例1‐1の素子に比べ、外部量子効率が約38%改善し、寿命が約216%改善したことを確認することができた。スピロビフルオレンを含む重合体を正孔輸送層に使用した実施例2‐1の素子は、スピロビフルオレンを含んでいない重合体を使用した比較例2‐1の素子に比べ、外部量子効率が約15%改善し、寿命が約190%以上改善したことを確認することができた。
【0288】
また、本明細書の一実施態様に係る重合体は、有機溶媒に対する溶解度に優れ、コーティング組成物の製造が容易である。前記表1の結果から、前記コーティング組成物を用いて均一なコーティング層を形成することができ、膜の安定性にも優れることから、有機発光素子においてより優れた性能を示すことを確認した。
【0289】
また、実施例2‐1~2‐13の素子の例から、本発明の一実施態様に係る化学式1の単位を含む重合体は、シクロヘキサノンなどの溶媒に対して耐性を有することを確認した。すなわち、本発明の一実施態様に係る化学式1の単位を含む重合体で有機物層を形成する場合、その有機物層上に、溶液工程を用いて、他の有機物層を形成できるという利点がある。
【0290】
比較例2‐3の素子は、正孔輸送層を、化合物P3の単分子を使用して形成したものである。しかし、化合物P3を用いて形成した正孔輸送層上に発光層組成物をスピンコーティングしたとき、化合物P3がシクロヘキサノンに溶解して、発光層の形成が困難で、素子を製造することができなかった。そのため、前記表2の比較例2‐3のデータ値の測定が不可能であった。
【符号の説明】
【0291】
101:基板
201:第1の電極
301:正孔注入層
401:正孔輸送層
501:発光層
601:電子輸送層
701:第2の電極
図1
図2
図3
図4
図5