(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-08
(45)【発行日】2022-04-18
(54)【発明の名称】グラフト共重合体粉末の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08F 265/06 20060101AFI20220411BHJP
C08L 51/06 20060101ALI20220411BHJP
C08L 25/12 20060101ALI20220411BHJP
【FI】
C08F265/06
C08L51/06
C08L25/12
(21)【出願番号】P 2020560898
(86)(22)【出願日】2019-10-10
(86)【国際出願番号】 KR2019013278
(87)【国際公開番号】W WO2020080735
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2020-10-30
(31)【優先権主張番号】10-2018-0125522
(32)【優先日】2018-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ミン・ジュン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ヨン・ファン
(72)【発明者】
【氏名】ボン・クン・アン
(72)【発明者】
【氏名】ワン・レ・ジョ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・ウォン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ジ・ユン・ジョン
【審査官】中村 英司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/174395(WO,A1)
【文献】特表2014-530957(JP,A)
【文献】特開平04-306252(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 265/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)反応器に
C
4
からC
8
のアルキ
ルアクリレート系単量
体を投入し重合してシードを製造するステップ;
2)前記シードの存在下に、
C
4
からC
8
のアルキ
ルアクリレート系単量体を投入し重合してコアを製造するステップ;及び
3)前記コアの存在下に、芳香族ビニル系単量体及びビニルシアン系単量体を投入し重合してグラフト共重合体ラテックスを製造するステップ;
4)前記グラフト共重合体ラテックスにアルキルメタクリレート系重合体を投入して凝集するステップを含む、グラフト共重合体粉末の製造方法
であって、
前記1)ステップで投入されるアルキルアクリレート系単量体の総重量は、前記グラフト共重合体粉末の製造方法で投入する単量体の総重量に対して、1から20重量%で投入され、
前記2)ステップで投入されるアルキルアクリレート系単量体は、前記グラフト共重合体粉末の製造方法で投入する単量体の総重量に対して、25から55重量%で投入され、
前記3)ステップで投入される芳香族ビニル系単量体及びビニルシアン系単量体の総重量は、前記グラフト共重合体粉末の製造方法で投入する単量体の総重量に対して、40から60重量%で投入され、前記芳香族ビニル系単量体とビニルシアン系単量体は、65:35から85:15の重量比で投入され、
前記4)ステップで投入されるアルキルメタクリレート系重合体は、前記グラフト共重合体粉末の製造方法で投入する単量体の合計100重量部に対して、0.5から20重量部で投入される、グラフト共重合体粉末の製造方法。
【請求項2】
前記アルキルメタクリレート系重合体は、ラテックス形態で投入される、請求項1に記載のグラフト共重合体粉末の製造方法。
【請求項3】
前記ラテックス形態のアルキルメタクリレート系重合体は、乳化重合法で製造されたものである、請求項2に記載のグラフト共重合体粉末の製造方法。
【請求項4】
前記アルキルメタクリレート系重合体は、重量平均分子量が30,000から2,000,000g/molである、請求項1~3のいずれか一項に記載のグラフト共重合体粉末の製造方法。
【請求項5】
前記アルキルメタクリレート系重合体は、重量平均分子量が40,000から1,500,000g/molである、請求項1~4のいずれか一項に記載のグラフト共重合体粉末の製造方法。
【請求項6】
前記アルキルメタクリレート系重合体は、ガラス転移温度が60から140℃である、請求項1~5のいずれか一項に記載のグラフト共重合体粉末の製造方法。
【請求項7】
前記アルキルメタクリレート系重合体は、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(プロピルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(エチルヘキシルメタクリレート)及びポリ(デシルメタクリレート)からなる群から選択される1種以上である、請求項1~6のいずれか一項に記載のグラフト共重合体粉末の製造方法。
【請求項8】
前記アルキルメタクリレート系重合体を前記グラフト共重合体粉末の製造方法で投入する単量体の合計100重量部に対して、1から15重量部で投入する、請求項1~
7のいずれか一項に記載のグラフト共重合体粉末の製造方法。
【請求項9】
前記コアは、平均粒径が40から120nmである、請求項1~
8のいずれか一項に記載のグラフト共重合体粉末の製造方法。
【請求項10】
請求項1から請求項
9のいずれか一項に記載の製造方法で製造された第1グラフト共重合体粉末;及び芳香族ビニル系単量体単位及びビニルシアン系単量体単位を含むマトリックス共重合体を含む、熱可塑性樹脂組成物。
【請求項11】
アクリルゴム質重合体に芳香族ビニル系単量体及びビニルシアン系単量体がグラフト重合された第2グラフト共重合体粉末をさらに含む、請求項1
0に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項12】
請求項1
0又は1
1に記載の熱可塑性樹脂組成物から製造され、
下記式で表される△Eが3以下である熱可塑性樹脂成形品:
【数1】
前記式において、L’は、熱可塑性樹脂成形品に6,000時間SAE J1960条件で光を照射した後、CIE LAB色座標計で測定したL値であり、L
Oは、光の照射前にCIE LAB色座標計で測定したL値であり、
a’は、熱可塑性樹脂成形品に6,000時間SAE J1960条件で光を照射した後、CIE LAB色座標計で測定したa値であり、a
Oは、光の照射前にCIE LAB色座標計で測定したa値であり、
b’は、熱可塑性樹脂成形品に6,000時間SAE J1960条件で光を照射した後、CIE LAB色座標計で測定したb値であり、b
Oは、光の照射前にCIE LAB色座標計で測定したb値である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本発明は、2018年10月19日に出願された韓国特許出願第10-2018-0125522号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容を本明細書の一部として含む。
【0002】
本発明は、グラフト共重合体粉末の製造方法に関し、基本物性を維持しながら、耐候性、表面光沢及び外観品質が改善されたグラフト共重合体粉末の製造方法を提供することである。
【背景技術】
【0003】
最近、ASAグラフト共重合体を含む自動車用熱可塑性樹脂組成物に対して耐熱性だけでなく、耐候性強化の要求が増加している。
【0004】
よって、粒径が小さいコアを使用する方法が提案されたが、機械的特性及び流動性が低下するという問題が発生した。また、シェルの製造時にメチルメタクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート系単量体を芳香族ビニル系単量体及びビニルシアン系単量体とともにグラフト重合させる方法が提案されたが、耐熱性及び機械的特性が低下するという問題が発生した。また、ASAグラフト共重合体をコンパウンディング時にポリ(メチルメタクリレート)を投入する方法が提案されたが、耐候性は向上するものの、耐熱性及び機械的特性が低下するという問題が発生した。
【0005】
これによって、耐熱性、耐候性及び耐衝撃性が全て優れたグラフト共重合体に対する開発が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、グラフト共重合体粉末の基本物性を維持しながら、耐候性、表面光沢及び外観品質が改善されたグラフト共重合体粉末の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した課題を解決するために、本発明は、反応器にアルキル(メタ)アクリレート系単量体、芳香族ビニル系単量体及びビニルシアン系単量体からなる群から選択される1種以上を投入し重合してシードを製造するステップ;前記シードの存在下に、アルキル(メタ)アクリレート系単量体を投入し重合してコアを製造するステップ;及び前記コアの存在下に、芳香族ビニル系単量体及びビニルシアン系単量体を投入し重合してグラフト共重合体ラテックスを製造するステップ;前記グラフト共重合体ラテックスにアルキルメタクリレート系重合体を投入して凝集するステップを含むグラフト共重合体粉末の製造方法を提供する。
【0008】
また、本発明は、前述した製造方法で製造された第1グラフト共重合体粉末;及び芳香族ビニル系単量体単位及びビニルシアン系単量体単位を含むマトリックス共重合体を含む熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【0009】
また、本発明は、前述した熱可塑性樹脂組成物で製造され、熱可塑性樹脂組成物で製造され、下記式で表される△Eが3以下である熱可塑性樹脂成形品を提供する:
【数1】
【0010】
前記式において、L’は、熱可塑性樹脂成形品に6,000時間SAE J1960条件で光を照射した後、CIE LAB色座標計で測定したL値であり、LOは、光の照射前にCIE LAB色座標計で測定したL値であり、
a’は、熱可塑性樹脂成形品に6,000時間SAE J1960条件で光を照射した後、CIE LAB色座標計で測定したa値であり、aOは、光の照射前にCIE LAB色座標計で測定したa値であり、
b’は、熱可塑性樹脂成形品に6,000時間SAE J1960条件で光を照射した後、CIE LAB色座標計で測定したb値であり、bOは、光の照射前にCIE LAB色座標計で測定したb値である。
【発明の効果】
【0011】
本発明のグラフト共重合体粉末の製造方法によれば、耐衝撃性などの基本物性を維持しながら、耐候性、表面光沢及び外観品質が顕著に改善されたグラフト共重合体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に対する理解を助けるために本発明をさらに詳しく説明する。
【0013】
本明細書及び特許請求の範囲に用いられた用語や単語は、通常的かつ辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自身の発明を最良の方法で説明するために用語の概念を適宜定義することができるという原則に即して、本発明の技術的思想に適合する意味と概念に解釈されなければならない。
【0014】
本発明において、アルキルメタクリレート系重合体の重量平均分子量は、溶出液としてテトラヒドロフラン(THF)を用い、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、waters breeze)を用いて標準PS(ポリスチレン標準;standard polystyrene)試料に対する相対値で測定することができる。
【0015】
本発明において、アルキル(メタ)アクリレート系架橋重合体及びアルキルメタクリレート系重合体のガラス転移温度は、示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimeter)で測定することができる。
【0016】
本発明において、シード、コア及びグラフト共重合体の平均粒径は、動的光散乱(dynamic light scattering)法を用いて測定することができ、詳しくはNicomp380装置(製品名、製造社:PSS)を用いて測定することができる。
【0017】
本明細書において、平均粒径は、動的光散乱法により測定される粒度分布における算術平均粒径、すなわち散乱強度平均粒径を意味することができる。
【0018】
本発明において、△E値は、促進耐候性試験装置(weather-o-meter、ATLAS社のCi4000、キセノンアークランプ、Quartz(inner)/S.Boro(outer)フィルター、irradiznce 0.55W/m2 at 340nm)適用してSAE J1960条件で6,000時間試験を進めて測定することができる。
【0019】
下記△Eは、促進耐候性実験前後の算術平均値であり、値が0に近いほど、耐候性に優れることを示すことができる。
【数2】
【0020】
前記式において、L’は、熱可塑性樹脂成形品に6,000時間SAE J1960条件で光を照射した後、CIE LAB色座標計で測定したL値であり、LOは、光の照射前にCIE LAB色座標計で測定したL値であり、
a’は、熱可塑性樹脂成形品に6,000時間SAE J1960条件で光を照射した後、CIE LAB色座標計で測定したa値であり、aOは、光の照射前にCIE LAB色座標計で測定したa値であり、
b’は、熱可塑性樹脂成形品に6,000時間SAE J1960条件で光を照射した後、CIE LAB色座標計で測定したb値であり、bOは、光の照射前にCIE LAB色座標計で測定したb値である。
【0021】
本発明において、「グラフト共重合体粉末の製造方法で投入する単量体等の総重量」は、「シード、コア及びグラフト共重合体ラテックスの製造で投入されるアルキル(メタ)アクリレート系単量体、芳香族ビニル系単量体及びビニルシアン系単量体の総重量」を意味することができる。
【0022】
1.グラフト共重合体粉末の製造方法
本発明の一実施形態によるグラフト共重合体粉末の製造方法は、1)反応器にアルキル(メタ)アクリレート系単量体、芳香族ビニル系単量体及びビニルシアン系単量体からなる群から選択される1種以上を投入し重合してシードを製造するステップ;2)前記シードの存在下に、アルキル(メタ)アクリレート系単量体を投入し重合してコアを製造するステップ;及び3)前記コアの存在下に、芳香族ビニル系単量体及びビニルシアン系単量体を投入し重合してグラフト共重合体ラテックスを製造するステップ;4)前記グラフト共重合体ラテックスにアルキルメタクリレート系重合体を投入して凝集するステップを含む。
【0023】
一方、本発明の一実施形態によるグラフト共重合体粉末の製造方法に含まれた1)から4)ステップに対して以下で詳しく説明する。
【0024】
1)ステップ:シード製造ステップ
先ず、反応器にアルキル(メタ)アクリレート系単量体、芳香族ビニル系単量体及びビニルシアン系単量体からなる群から選択される1種以上を投入し重合してシードを製造する。
【0025】
平均粒径が小さいシードを短い時間で製造するためには、アルキル(メタ)アクリレート系単量体を単独投入して重合することが好ましく、平均粒径が大きいシードを製造するためには、芳香族ビニル系単量体及びビニルシアン系単量体を共に投入して重合することが好ましい。
【0026】
前記アルキル(メタ)アクリレート系単量体は、架橋反応によりガラス転移温度が-20℃以下、-70℃から20℃、または-50℃から25℃であるアルキル(メタ)アクリレート系架橋重合体、すなわち、アルキル(メタ)アクリレート系ゴムを製造できるものであれば、特に限定しない。
【0027】
前記アルキル(メタ)アクリレート系架橋重合体が前述したガラス転移温度を満たすと、苛酷な環境でも優れた弾性と機械的特性を維持することができる。前述した範囲を超過すると、十分な機械的特性が確保されないことがある。
【0028】
前記アルキル(メタ)アクリレート系単量体は、C4からC10のアルキル(メタ)アクリレート系単量体であってよく、C4からC8のアルキル(メタ)アクリレート系単量体が好ましい。
【0029】
前記アルキル(メタ)アクリレート系単量体は、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、及びデシル(メタ)アクリレートからなる群から選択される1種以上であってよく、このうちブチルアクリレートがより好ましい。
【0030】
前記芳香族ビニル系単量体は、スチレン、α-メチルスチレン、α-エチルスチレン、及びp-メチルスチレンからなる群から選択される1種以上であってよく、このうちスチレンが好ましい。
【0031】
前記ビニルシアン系単量体は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フェニルアクリロニトリル、α-クロロアクリロニトリル及びエタクリロニトリルのうち選択される1種以上であってよく、このうちアクリロニトリルが好ましい。
【0032】
前記1)ステップで投入される単量体等の総重量は、前記グラフト共重合体粉末の製造方法で投入する単量体等の総重量に対して、1から20重量%または3から15重量%で投入されてよく、このうち3から15重量%で投入されることが好ましい。前述した範囲を満たすと、耐候性、流動性、耐衝撃性及び耐化学性、着色性などのバランスに優れたグラフト共重合体を製造することができる。
【0033】
前記シードは、平均粒径が20から80nmまたは25から50nmであってよく、このうち25から50nmが好ましい。前述した範囲を満たすと、重合時に安定性に優れ、耐候性及び耐衝撃性に優れたグラフト共重合体を製造することができる。
【0034】
前記重合は、乳化重合であってよく、55から85℃または60から80℃で行われてよく、このうち60から80℃で行われることが好ましい。前述した範囲を満たすと、乳化重合が安定的に行われ得る。
【0035】
前記1)ステップでは、開始剤、乳化剤、架橋剤、グラフティング剤、電解質及び水からなる群から選択される1種以上が反応器にさらに投入されてよい。
【0036】
前記開始剤は、ラジカル開始剤であってよく、前記開始剤は、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過リン酸カリウム、過酸化水素などの無機過酸化物;t-ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、p-メンタンヒドロパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、3,5,5-トリメチルヘキサノールパーオキサイド、t-ブチルパーオキシイソブチレートなどの有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、及びアゾビスイソ酪酸(ブチル酸)メチルからなる群から選択された1種以上であってよく、このうち無機過酸化物が好ましく、過硫酸カリウムがより好ましい。
【0037】
前記開始剤は、前記グラフト共重合体粉末の製造方法で投入する単量体等の合計100重量部に対して、0.01から3重量部または0.02から2.5重量部で投入されてよく、このうち0.02から2.5重量部で投入されることが好ましい。前述した範囲を満たすと、重合を容易に行うことができる。
【0038】
前記乳化剤は、アルキルスルホコハク酸金属塩、アルキル硫酸エステル金属塩、ロジン酸金属塩及び二量体酸の金属塩からなる群から選択される1種以上であってよく、このうちアルキル硫酸エステル金属塩が好ましく、ドデシル硫酸ナトリウムがより好ましい。
【0039】
前記アルキルスルホコハク酸金属塩は、ジシクロヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、及びジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸カリウムからなる群から選択される1種以上であってよい。
【0040】
前記アルキル硫酸エステル金属塩は、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、オレイル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸カリウム及びオクタデシル硫酸カリウムからなる群から選択される1種以上であってよい。
【0041】
前記ロジン酸金属塩は、ロジン酸カリウム塩及びロジン酸ナトリウム塩からなる群から選択される1種以上であってよい。
【0042】
前記乳化剤は、前記グラフト共重合体粉末の製造方法で投入する単量体等の合計100重量部に対して、0.01から5重量部または0.05から4.5重量部で投入されてよく、このうち0.05から4.5重量部で投入されることが好ましい。前述した範囲を満たすと、目的とする平均粒径を有するシード、具体的には、シードラテックスを容易に製造することができる。
【0043】
前記架橋剤は、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールエトキシレートジアクリレート、ヘキサンジオールプロポキシレートジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールエトキシレートジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールプロポキシレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチルプロパンエトキシレートトリ(メタ)アクリレート、トリメチルプロパンプロポキシレートトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシレートトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールプロポキシレートトリ(メタ)アクリレート、ビニルトリメトキシシランからなる群から1種以上であってよく、このうちエチレングリコールジメタクリレートが好ましい。
【0044】
前記架橋剤は、前記グラフト共重合体粉末の製造方法で投入する単量体等の合計100重量部に対して、0.01から1重量部または0.02から0.8重量部で投入されてよく、このうち0.02から0.8重量部で投入されることが好ましい。前述した範囲を満たすと、前記1)ステップで投入される単量体等の一部は、架橋重合されて架橋物として製造でき、残りは、前記架橋物にグラフト重合されて目的とする平均粒径を有するシードとして製造できるようにする。
【0045】
前記グラフティング剤は、アリルメタクリレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルアミン及びトリアリルアミンからなる群から選択される1種以上であってよく、このうちアリルメタクリレートが好ましい。
【0046】
前記グラフティング剤は、前記グラフト共重合体粉末の製造方法で投入する単量体等の合計100重量部に対して、0.001から3.0重量部または0.005から2.5重量部で投入されてよく、このうち0.005から2.5重量部で投入されることが最も好ましい。前述した範囲を満たすと、前記1)ステップで投入される単量体等の一部は、架橋重合されて架橋物として製造でき、残りは、前記架橋物にグラフト重合されて目的とする平均粒径を有するシードとして製造できるようにする。
【0047】
前記電解質は、KCl、NaCl、KHCO3、NaHCO3、K2CO3、Na2CO3、KHSO3、NaHSO4、Na2S2O7、K4P2O7、K3PO4、Na3PO4またはNa2HPO4、KOH及びNaOHからなる群から選択される1種以上であってよく、このうちKOHが好ましい。
【0048】
前記電解質は、前記グラフト共重合体粉末の製造方法で投入する単量体等の合計100重量部に対して、0.001から1重量部または0.01から0.8重量部で投入されてよく、このうち0.01から0.8重量部で投入されることが好ましい。前述した範囲を満たすと、平均粒径が小さいシード、具体的にはシードラテックスを安定的に収得することができる。
【0049】
前記水は、蒸留水またはイオン交換水であってよい。
【0050】
2)ステップ:コア製造ステップ
次いで、前記シードの存在下に、アルキル(メタ)アクリレート系単量体を投入し重合してコアを製造する。
【0051】
前記アルキル(メタ)アクリレート系単量体の種類は、前述した通りであり、このうちブチルアクリレートが好ましい。
【0052】
前記アルキル(メタ)アクリレート系単量体は、前記グラフト共重合体粉末の製造方法で投入する単量体等の総重量に対して、25から55重量%または30から50重量%で投入されてよく、このうち30から50重量%で投入されることが好ましい。前述した範囲を満たすと、耐候性、流動性及び耐化学性のバランスに優れたグラフト共重合体を製造することができる。
【0053】
前記アルキル(メタ)アクリレート系単量体は、一定の速度で連続投入されてよく、前述した方法で投入されると、重合時に除熱及び過多発熱による暴走を容易に抑制することができる。
【0054】
前記重合は、乳化重合であってよく、55から85℃または60から80℃で行われてよく、このうち60から80℃で行われることが好ましい。前述した範囲を満たすと、乳化重合が安定的に行われ得る。
【0055】
前記コアは、前記シードより平均粒径より大きく、平均粒径が40から120nmまたは50から80nmであってよく、このうち50から80nmが好ましい。前述した範囲を満たすと、重合時に安定性に優れ、耐候性、着色性及び衝撃強度に優れたグラフト共重合体を製造することができる。
【0056】
前記2)ステップでは、開始剤、乳化剤、架橋剤、グラフティング剤、及び水からなる群から選択される1種以上がさらに投入されてよく、重合時に除熱及び過多発熱による暴走を容易に抑制するために、C4からC10のアルキル(メタ)アクリレート系単量体と共に一定の速度で連続投入されてよい。
【0057】
前記開始剤の種類は、前述した通りであり、このうち無機過酸化物が好ましく、過硫酸カリウムがより好ましい。
【0058】
前記開始剤は、前記グラフト共重合体粉末の製造方法で投入する単量体等の合計100重量部に対して、0.01から3重量部または0.02から2.5重量部で投入されてよく、このうち0.02から2.5重量部で投入されることが好ましい。前述した範囲を満たすと、重合を容易に行うことができる。
【0059】
前記乳化剤の種類は、前述した通りであり、このうちアルキル硫酸エステル金属塩が投入されることが好ましく、ドデシル硫酸ナトリウムがより好ましい。
【0060】
前記乳化剤は、前記グラフト共重合体粉末の製造方法で投入する単量体等の合計100重量部に対して、0.01から5重量部または0.05から4.5重量部で投入されてよく、このうち0.05から4.5重量部で投入されることが好ましい。前述した範囲を満たすと、目的とする平均粒径を有するコアを容易に製造することができる。
【0061】
前記架橋剤の種類は、前述した通りであり、このうちエチレングリコールジメタクリレートが好ましい。
【0062】
前記架橋剤は、前記グラフト共重合体粉末の製造方法で投入する単量体等の合計100重量部に対して、0.01から1重量部または0.02から0.8重量部で投入されてよく、このうち0.02から0.8重量部で投入されることが好ましい。前述した範囲を満たすと、前記2)ステップで投入される単量体等の一部は、シードとともに架橋重合されて架橋物として製造でき、残りは、前記架橋物にグラフト重合されて目的とする平均粒径を有するコアとして製造できるようにする。
【0063】
前記グラフティング剤の種類は、前述した通りであり、このうちアリルメタクリレートが好ましい。
【0064】
前記グラフティング剤は、前記グラフト共重合体粉末の製造方法で投入する単量体等の合計100重量部に対して、0.01から3.0重量部、0.02から2.5重量部で投入されてよく、このうち0.02から2.5重量部で投入されることが最も好ましい。前述した範囲を満たすと、前記2)ステップで投入される単量体等の一部は、シードとともに架橋重合されて架橋物として製造でき、残りは、前記架橋物にグラフト重合されて目的とする平均粒径を有するコアとして製造できるようにする。
【0065】
前記水は、蒸留水またはイオン交換水であってよい。
【0066】
3)ステップ:ラテックス製造のステップ
次いで、前記コアの存在下に、芳香族ビニル系単量体及びビニルシアン系単量体を投入し重合してグラフト共重合体ラテックスを製造する。
【0067】
前記芳香族ビニル系単量体及びビニルシアン系単量体の種類は、前述した通りである。
【0068】
前記芳香族ビニル系単量体及びビニルシアン系単量体の総重量は、前記グラフト共重合体粉末の製造方法で投入する単量体等の総重量に対して、40から60重量%または45から55重量%で投入されてよく、このうち45から55重量%で投入されることが好ましい。前述した範囲を満たすと、耐候性、流動性及び耐化学性のバランスに優れたグラフト共重合体が製造され得る。
【0069】
前記芳香族ビニル系単量体とビニルシアン系単量体は、65:35から85:15または70:30から80:20の重量比で投入されてよく、このうち70:30から80:20の重量比で投入されることが好ましい。前述した範囲を満たすと、グラフト共重合体粉末の流動性及び耐化学性のバランスに優れるという利点がある。
【0070】
前記芳香族ビニル系単量体とビニルシアン系単量体は、一定の速度で連続投入されてよく、前述した方法で投入されると、重合時に除熱及び過多発熱による暴走を容易に抑制することができる。
【0071】
前記重合は乳化重合であってよく、50から85℃または60から80℃で行われてよく、このうち60から80℃で行われることが好ましい。前述した範囲を満たすと、乳化重合が安定的に行われ得る。
【0072】
前記グラフト共重合体は、コアより平均粒径より大きく、平均粒径が60から150nmまたは65から105nmであってよく、このうち65から105nmが好ましい。前述した範囲を満たすと、重合時に安定性に優れ、耐候性及び衝撃強度に優れたグラフト共重合体を製造することができる。
【0073】
前記3)ステップでは、開始剤、活性化剤、乳化剤、分子量調節剤、及び水からなる群から選択される1種以上がさらに投入されてよく、アルキル(メタ)アクリレート系単量体と共に一定の速度で連続投入されてよい。
【0074】
前記開始剤の種類は、前述した通りであり、このうち有機過酸化物が好ましく、クメンヒドロパーオキサイドがより好ましい。
【0075】
前記開始剤は、前記グラフト共重合体粉末の製造方法で投入する単量体等の合計100重量部に対して、0.01から3重量部または0.02から2.5重量部で投入されてよく、このうち0.02から2.5重量部で投入されることが好ましい。前述した範囲を満たすと、重合を容易に行うことができる。
【0076】
前記活性化剤は、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、ナトリウムエチレンジアミンテトラアセテート、硫酸第一鉄、デキストロース、ピロリン酸ナトリウム、無水ピロリン酸ナトリウム及び硫酸ナトリウムからなる群から選択される1種以上であってよく、このうち硫酸第一鉄、デキストロース及びピロリン酸ナトリウムからなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
【0077】
前記活性化剤は、前記グラフト共重合体粉末の製造方法で投入する単量体等の合計100重量部に対して、0.01から1重量部または0.1から0.8重量部で投入されてよく、このうち0.1から0.8重量部で投入されることが好ましい。前述した含量を満たすと、重合開始を促進することができる。
【0078】
前記乳化剤の種類は、前述した通りであり、このうちロジン酸金属塩が好ましく、ロジン酸カリウム塩がより好ましい。
【0079】
前記乳化剤は、前記グラフト共重合体粉末の製造方法で投入する単量体等の合計100重量部に対して、0.1から3重量部または0.5から2.5重量部で投入されてよく、このうち0.5から2.5重量部で投入されることが好ましい。前述した範囲を満たすと、目的とする平均粒径を有するグラフト共重合体を容易に製造することができる。
【0080】
前記分子量調節剤は、α-メチルスチレンダイマー、t-ドデシルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、n-オクチルメルカプタンのようなメルカプタン類、四塩化炭素、塩化メチレン、臭化メチレンのようなハロゲン化炭化水素、テトラエチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムジスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィドのような硫黄含有化合物であってよい。好ましくは、t-ドデシルメルカプタンであってよい。
【0081】
前記分子量調節剤は、前記グラフト共重合体粉末の製造方法で投入する単量体等の合計100重量部に対して、0.001から1重量部または0.01から0.8重量部で投入されてよく、このうち0.01から0.8重量部で投入されることが好ましい。前述した範囲を満たすと、シェルの重量平均分子量を適宜維持して機械的特性及び表面特性がより改善されたグラフト共重合体を製造することができる。
【0082】
前記水は、蒸留水またはイオン交換水であってよい。
【0083】
4)ステップ:粉末製造ステップ
次いで、前記グラフト共重合体ラテックスにアルキルメタクリレート系重合体を投入して凝集する。
【0084】
前記アルキルメタクリレート系重合体が4)ステップで投入されることにより、グラフト共重合体の重合には影響を及ぼさず、これによりグラフト共重合体粉末の耐衝撃性などの基本物性の低下なしに、耐候性、表面光沢及び外観品質を顕著に改善させることができる。
【0085】
前記アルキルメタクリレート系重合体が前記1)から3)ステップで投入されると、グラフト共重合体の基本物性の低下を引き起こし得る。前記アルキルメタクリレート系重合体がコンパウンディング時に投入されると、耐衝撃性が顕著に低下するだけでなく、4)ステップで投入される場合に比べ、耐候性及び外観品質の改善効果が大きくない。
【0086】
一方、前記アルキルメタクリレート系重合体は、優れた表面特性を具現するために硬質重合体であることが好ましい。
【0087】
前記アルキルメタクリレート系重合体は、ガラス転移温度が60から140℃または80から130℃であり、このうち80から130℃が好ましい。前述した範囲を満たすと、耐候性、加工性及び外観品質が全て優れたグラフト共重合体を製造することができる。前述した範囲未満であれば、外観品質が低下し、前述した範囲超過であれば、加工時に混練性が低下し得る。
【0088】
前記アルキルメタクリレート系重合体は、重量平均分子量が30,000から2,000,000g/molまたは40,000から1,500,000g/molであってよく、このうち40,000から1,500,000g/molが好ましい。前述した範囲を満たすと、耐候性、耐衝撃性及び外観品質が全て優れたグラフト共重合体を製造することができる。
【0089】
前記アルキルメタクリレート系重合体は、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(プロピルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(エチルヘキシルメタクリレート)及びポリ(デシルメタクリレート)からなる群から選択される1種以上であってよく、このうちポリ(メチルメタクリレート)が好ましい。
【0090】
前記アルキルメタクリレート系重合体は、前記グラフト共重合体粉末の製造方法で投入する単量体等の合計100重量部に対して、0.5から20重量部または1から15重量部で投入することが好ましく、このうち1から15重量部で投入することがより好ましい。前述した範囲を満たすと、耐衝撃性の低下を防止しながら、耐候性及び外観品質を改善させることができる。
【0091】
一方、前記アルキルメタクリレート系重合体は、前記グラフト共重合体ラテックスと混合が容易で共に凝集されるために、ラテックス形態であることが好ましい。
【0092】
前記ラテックス形態のアルキルメタクリレート系重合体は、アルキルメタクリレート系単量体を用いて乳化重合法、すなわち前記アルキルメタクリレート系単量体、開始剤、乳化剤、及び水を投入した後、乳化重合して製造されてよい。このとき、乳化重合は、60から80℃または65から75℃で行われてよく、このうち65から75℃で行われることが好ましい。
【0093】
前記アルキルメタクリレート系単量体は、乳化重合によりガラス転移温度が60から140℃であるアルキルメタクリレート系重合体を製造できるものであれば、特に限定しない。
【0094】
前記アルキルメタクリレート系単量体は、C1からC10のアルキルメタクリレート系単量体であってよい。前記C1からC10のアルキルメタクリレート系単量体は、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、エチルヘキシルメタクリレート、及びデシルメタクリレートからなる群から選択される1種以上であってよく、このうちメチルメタクリレートが好ましい。
【0095】
前記開始剤の種類は、前述した通りであり、このうち過硫酸カリウムが好ましい。
【0096】
前記開始剤は、前記アルキルメタクリレート系単量体100重量部に対して、0.1から5重量部または0.5から3重量部で投入されてよく、このうち0.5から1.5重量部で投入されることが好ましい。前述した条件を満たすと、所望の分子量を有するアルキルメタクリレート系重合体を製造することができる。
【0097】
前記乳化剤の種類は、前述した通りであり、このうちドデシルベンゼン硫酸ナトリウムが好ましい。
【0098】
前記乳化剤は、前記アルキルメタクリレート系単量体100重量部に対して、0.1から10重量部または0.5から5重量部で投入されてよく、このうち0.5から5重量部で投入されることが好ましい。前述した条件を満たすと、所望の分子量を有するアルキルメタクリレート系重合体を製造することができる。
【0099】
前記乳化重合時、電解質及び分子量調節剤が更に投入されてよい。
【0100】
前記電解質の種類は、前述した通りであり、このうちNa2CO3が好ましい。
【0101】
前記電解質は、アルキルメタクリレート系単量体100重量部に対して、0.01から2重量部または0.1から1重量部で投入されてよく、このうち0.1から1重量部で投入されることが好ましい。前述した条件を満たすと、重合時にラテックス安定性を確保することができる。
【0102】
前記分子量調節剤の種類は、前述した通りであり、このうちn-オクチルメルカプタンが好ましい。
【0103】
前記分子量調節剤は、アルキルメタクリレート系単量体100重量部に対して、10重量部以下または0.5から3重量部で投入されてよく、このうち0.5から3重量部で投入されることが好ましい。前述した条件を満たすと、所望の分子量を有するアルキルメタクリレート系重合体を製造することができる。
【0104】
前記4)ステップでは、前記グラフト共重合体と前記アルキルメタクリレート系重合体がよく混合され得るように、撹拌工程が追加されてよい。
【0105】
前記4)ステップでは、凝集剤が投入されてよい。
【0106】
前記凝集剤は、H2SO4、MgSO4及びCaCl2からなる群から選択される1種以上であってよく、CaCl2が好ましい。
【0107】
前記凝集剤は、前記グラフト共重合体粉末の製造方法で投入する単量体等の合計100重量部に対して、0.1から5重量部または0.5から3重量部で投入されてよく、このうち0.5から3重量部で投入されることが好ましい。前述した範囲を満たすと、前記グラフト共重合体ラテックスとアルキルメタクリレート系重合体が容易に凝集され得る。
【0108】
前記4)ステップは、75から95℃または80から90℃で行われてよく、このうち80から90℃で行われることが好ましい。前述した範囲を満たすと、前記グラフト共重合体ラテックスとアルキルメタクリレート系重合体が容易に凝集され得る。
【0109】
本発明の一実施形態によるグラフト共重合体粉末の製造方法は、前記4)ステップが完了すると、熟成、脱水、洗浄、乾燥工程などをさらに行い、グラフト共重合体粉末を製造することができる。
【0110】
2.熱可塑性樹脂組成物
本発明の他の一実施形態による熱可塑性樹脂組成物は、前述した本発明のグラフト共重合体粉末の製造方法により製造されたグラフト共重合体粉末(以下、便宜上「第1グラフト共重合体粉末」という);及び芳香族ビニル系単量体単位及びビニルシアン系単量体単位を含むマトリックス共重合体を含む。
【0111】
前記マトリックス共重合体に含まれた芳香族ビニル系単量体単位は、スチレン、α-メチルスチレン、α-エチルスチレン及びp-メチルスチレンからなる群から選択される1種以上から由来した単位であってよく、このうちα-メチルスチレンから由来した単位が好ましい。
【0112】
前記マトリックス共重合体に含まれたビニルシアン系単量体単位は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フェニルアクリロニトリル、α-クロロアクリロニトリル及びエタクリロニトリルのうち選択される1種以上から由来した単位であってよく、このうちアクリロニトリルから由来した単位が好ましい。
【0113】
前記マトリックス共重合体は、芳香族ビニル系単量体単位とビニルシアン系単量体単位を60:40から80:20または65:35から75:25の重量比で含んでよく、このうち65:35から75:25の重量比で含むことが好ましい。前述した含量を満たすと、耐熱性、流動性及び耐化学性が全て優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。
【0114】
前記熱可塑性樹脂組成物は、前記グラフト共重合体粉末(第1グラフト共重合体粉末)とマトリックス共重合体を60:40から10:90または55:45から15:85の重量比で含んでよく、このうち55:45から15:85の重量比で含むことが好ましい。前述した範囲を満たすと、耐候性、耐熱性、流動性、耐化学性及び外観特性に優れた熱可塑性樹脂組成物を製造することができる。
【0115】
前記熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃性をより改善させるために、前述した本発明の方法により製造されたグラフト共重合体粉末以外に、他のグラフト共重合体粉末(以下、便宜上「第2グラフト共重合体粉末」という)をさらに含んでよい。
【0116】
前記第2グラフト共重合体粉末は、アルキルメタクリレート系重合体を投入するステップを経ずに製造されるものであって、アルキルメタクリレート系重合体を含む第1グラフト共重合体粉末とはその組成が異なる。
【0117】
具体的には、前記第2グラフト共重合体粉末は、アクリルゴム質重合体に芳香族ビニル系単量体及びビニルシアン系単量体がグラフト重合されたグラフト共重合体である。
【0118】
前記アクリルゴム質重合体は、アルキル(メタ)アクリレート系単量体の重合体またはアルキル(メタ)アクリレート系単量体と、芳香族ビニル系単量体及びビニルシアン系単量体のうち少なくとも1種の単量体の混合物の重合体であってよい。
【0119】
第2グラフト共重合体粉末の製造に用いられるアルキル(メタ)アクリレート系単量体、芳香族ビニル系単量体及びビニルシアン系単量体の種類は、前述した通りである。
【0120】
一方、前記第2グラフト共重合体は、コアを形成するアクリルゴム質重合体の平均粒径が平均粒径が300から450nm程度であることが好ましい。
【0121】
前記のような第2グラフト共重合体粉末としては、市販のアクリルゴム質グラフト共重合体を使用するか、または前述した1)~3)ステップを経て製造することもできる。このとき、前記4)ステップ、すなわち、アルキルメタクリレート系重合体との凝集ステップは行わない。
【0122】
前記熱可塑性樹脂組成物は、前記熱可塑性樹脂組成物の総重量に対して、前記第1グラフト共重合体30から50重量%;前記第2グラフト共重合体1から10重量%;及び前記マトリックス共重合体45から65重量%で含んでよく、好ましくは前記第1グラフト共重合体35から45重量%;前記第2グラフト共重合体2から7重量%;及び前記マトリックス共重合体50から60重量%で含まれてよい。前述した範囲を満たすと、耐候性、耐衝撃性及び外観品質が全て優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。
【0123】
前記熱可塑性樹脂組成物は、用途に応じて染料、顔料、滑剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、熱安定剤、補強剤、充填剤、難燃剤、発泡剤、可塑剤または無光沢剤などの添加剤をさらに含んでよい。
【0124】
3.熱可塑性樹脂成形品
本発明のまた他の一実施形態による熱可塑性樹脂成形品は、本発明の他の一実施形態による熱可塑性樹脂組成物で製造され、下記式で表される△Eが3以下、好ましくは2.4以下であってよい:
【数3】
【0125】
前記式において、L’は、熱可塑性樹脂成形品に6,000時間SAE J1960条件で光を照射した後、CIE LAB色座標計で測定したL値であり、LOは、光の照射前にCIE LAB色座標計で測定したL値であり、
a’は、熱可塑性樹脂成形品に6,000時間SAE J1960条件で光を照射した後、CIE LAB色座標計で測定したa値であり、aOは、光の照射前にCIE LAB色座標計で測定したa値であり、
b’は、熱可塑性樹脂成形品に6,000時間SAE J1960条件で光を照射した後、CIE LAB色座標計で測定したb値であり、bOは、光の照射前にCIE LAB色座標計で測定したb値である。
【0126】
前述した条件を満たすと、耐候性が顕著に優れた熱可塑性樹脂成形品を製造することができる。
【0127】
以下、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように、発明の実施例に対して詳しく説明する。しかし、本発明は、いくつか異なる形態に具現されてよく、ここで説明する実施例に限定されない。
【実施例】
【0128】
<ポリ(メチルメタクリレート)の製造>
製造例1
窒素置換された反応器に、メチルメタクリレート100重量部、蒸留水200重量部、乳化剤としてドデシルベンゼン硫酸ナトリウム5重量部、電解質としてNa2CO30.2重量部、分子量調節剤としてn-オクチルメルカプタン2.5重量部を一括投入し、前記反応器の内温を70℃に上げた後、過硫酸カリウム1.0重量部を投入して反応を開始した。前記反応器の内温を70℃に維持させながら60分間重合を行い、重量平均分子量が40,000g/molであり、ガラス転移温度が110℃であるポリ(メチルメタクリレート)ラテックスを製造した。
【0129】
製造例2
n-オクチルメルカプタンを2.5重量部の代わりに1.5重量部を投入することを除き、製造例1と同様の方法で重量平均分子量が60,000g/molであり、ガラス転移温度が110℃であるポリ(メチルメタクリレート)ラテックスを製造した。
【0130】
製造例3
n-オクチルメルカプタンを2.5重量部の代わりに0.1重量部を投入することを除き、製造例1と同様の方法で重量平均分子量が100,000g/molであり、ガラス転移温度が110℃であるポリ(メチルメタクリレート)ラテックスを製造した。
【0131】
製造例4
n-オクチルメルカプタンを投入しないことを除き、製造例1と同様の方法で重量平均分子量が1,000,000g/molであり、ガラス転移温度が110℃であるポリ(メチルメタクリレート)ラテックスを製造した。
【0132】
実施例1
<シードの製造>
窒素置換された反応器に、ブチルアクリレート6.5重量部、乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウム1.5重量部、架橋剤としてエチレングリコールジメタクリレート0.04重量部、グラフティング剤としてアリルメタクリレート0.015重量部、電解質としてKOH0.1重量部及び蒸留水60重量部を一括投入し、70℃まで昇温させた後、開始剤として過硫酸カリウム0.04重量部を一括投入して反応を開始した。その後、1時間重合した後、終了してシード(平均粒径:34nm)を収得した。
【0133】
<コアの製造>
前記シードが収得された反応器に、ブチルアクリレート43.5重量部、乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウム0.7重量部、架橋剤としてエチレングリコールジメタクリレート0.25重量部、グラフティング剤としてアリルメタクリレート0.09重量部、蒸留水35重量部及び開始剤として過硫酸カリウム0.03重量部を混合した混合物を70℃で2時間一定の速度で連続投入しながら重合し、投入終了後1時間さらに重合した後、終了してコア(平均粒径:65nm)を収得した。
【0134】
<グラフト共重合体ラテックスの製造>
前記コアが収得された反応器に、蒸留水23重量部、スチレン38重量部、アクリロニトリル12重量部、乳化剤としてロジン酸カリウム塩1.8重量部、分子量調節剤としてt-ドデシルメルカプタン0.1重量部、及び開始剤としてクメンヒドロパーオキサイド0.05重量部を含む第1混合物と、活性化剤としてピロリン酸ナトリウム0.09重量部、デキストロース0.12重量部、硫酸第一鉄0.002重量部を含む第2混合物をそれぞれ75℃で2.5時間一定の速度で連続投入しながら重合した。連続投入が完了した後、75℃で1時間さらに反応させ、60℃まで冷却させて重合反応を終了し、グラフト共重合体ラテックス(平均粒径:85nm)を製造した。
【0135】
<グラフト共重合体粉末の製造>
前記グラフト共重合体ラテックスに製造例1のポリ(メチルメタクリレート)ラテックス5重量部(固形分基準)を投入し撹拌して混合物を製造した後、前記混合物を塩化カルシウム水溶液(蒸留水500重量部、塩化カルシウム1重量部)に常圧、85℃で10分間投入して共凝集し、95℃で5分間熟成し、脱水及び洗浄して、90℃の熱風で30分間乾燥した後、グラフト共重合体粉末Aを製造した。
【0136】
<熱可塑性樹脂組成物の製造>
第1グラフト共重合体粉末として前記のように製造されたグラフト共重合体粉末A40重量部、第2グラフト共重合体粉末としてLG化学社のSA927 4重量部、及びマトリックス共重合体としてLG化学社の100UH56重量部を混合して熱可塑性樹脂組成物Aを製造した。
【0137】
実施例2
製造例1のポリ(メチルメタクリレート)ラテックス5重量部の代わりに、製造例2のポリ(メチルメタクリレート)ラテックスを3重量部(固形分基準)投入したことを除き、実施例1と同様の方法でグラフト共重合体粉末Bを製造した。
【0138】
また、グラフト共重合体粉末Aの代わりに、グラフト共重合体粉末Bを使用した点を除き、実施例1と同様の方法で熱可塑性樹脂組成物Bを製造した。
【0139】
実施例3
製造例1のポリ(メチルメタクリレート)ラテックス5重量部の代わりに、製造例2のポリ(メチルメタクリレート)ラテックスを5重量部(固形分基準)投入したことを除き、実施例1と同様の方法でグラフト共重合体粉末Cを製造した。
【0140】
また、グラフト共重合体粉末Aの代わりに、グラフト共重合体粉末Cを使用した点を除き、実施例1と同様の方法で熱可塑性樹脂組成物Cを製造した。
【0141】
実施例4
製造例1のポリ(メチルメタクリレート)ラテックス5重量部の代わりに、製造例2のポリ(メチルメタクリレート)ラテックスを10重量部(固形分基準)投入したことを除き、実施例1と同様の方法でグラフト共重合体粉末Dを製造した。
【0142】
また、グラフト共重合体粉末Aの代わりに、グラフト共重合体粉末Dを使用した点を除き、実施例1と同様の方法で熱可塑性樹脂組成物Dを製造した。
【0143】
実施例5
製造例1のポリ(メチルメタクリレート)ラテックス5重量部の代わりに、製造例3のポリ(メチルメタクリレート)ラテックスを5重量部(固形分基準)投入したことを除き、実施例1と同様の方法でグラフト共重合体粉末Eを製造した。
【0144】
また、グラフト共重合体粉末Aの代わりに、グラフト共重合体粉末Eを使用した点を除き、実施例1と同様の方法で熱可塑性樹脂組成物Eを製造した。
【0145】
実施例6
製造例1のポリ(メチルメタクリレート)ラテックス5重量部の代わりに、製造例4のポリ(メチルメタクリレート)ラテックスを5重量部(固形分基準)投入したことを除き、実施例1と同様の方法でグラフト共重合体粉末Fを製造した。
【0146】
また、グラフト共重合体粉末Aの代わりに、グラフト共重合体粉末Fを使用した点を除き、実施例1と同様の方法で熱可塑性樹脂組成物Fを製造した。
【0147】
比較例1
<シードの製造>
窒素置換された反応器に、ブチルアクリレート6.5重量部、乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウム1.5重量部、架橋剤としてエチレングリコールジメタクリレート0.04重量部、グラフティング剤としてアリルメタクリレート0.015重量部、電解質としてKOH0.1重量部及び蒸留水60重量部を一括投入し、70℃まで昇温させた後、開始剤として過硫酸カリウム0.04重量部を一括投入して反応を開始した。その後、1時間重合した後、終了してシード(平均粒径:34nm)を収得した。
【0148】
<コアの製造>
前記シードが収得された反応器に、ブチルアクリレート43.5重量部、乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウム0.7重量部、架橋剤としてエチレングリコールジメタクリレート0.25重量部、グラフティング剤としてアリルメタクリレート0.09重量部、蒸留水35重量部及び開始剤として過硫酸カリウム0.03重量部を混合した混合物を70℃で2時間一定の速度で連続投入しながら重合し、投入終了後1時間さらに重合した後、終了してコア(平均粒径:65nm)を収得した。
【0149】
<グラフト共重合体ラテックスの製造>
前記コアが収得された反応器に、蒸留水23重量部、スチレン38重量部、アクリロニトリル12重量部、乳化剤としてロジン酸カリウム塩1.8重量部、分子量調節剤としてt-ドデシルメルカプタン0.1重量部、及び開始剤としてクメンヒドロパーオキサイド0.05重量部を含む第1混合物と、活性化剤としてピロリン酸ナトリウム0.09重量部、デキストロース0.12重量部、硫酸第一鉄0.002重量部を含む第2混合物をそれぞれ75℃で2.5時間一定の速度で連続投入しながら重合した。連続投入が完了した後、75℃で1時間さらに反応させ、60℃まで冷却させて重合反応を終了し、グラフト共重合体ラテックス(平均粒径:85nm)を製造した。
【0150】
<グラフト粉末の製造ステップ>
前記のように製造されたグラフト共重合体ラテックスを塩化カルシウム水溶液(蒸留水500重量部、塩化カルシウム1重量部)に常圧、85℃で10分間投入して凝集し、95℃で5分間熟成し、脱水及び洗浄し、90℃の熱風で30分間乾燥した後、グラフト共重合体粉末Gを製造した。
【0151】
<熱可塑性樹脂組成物の製造>
第1グラフト共重合体粉末として前記のように製造されたグラフト共重合体粉末G40重量部、第2グラフト共重合体粉末としてLG化学社のSA927 4重量部、及びマトリックス共重合体としてLG化学社の100UH56重量部を混合して熱可塑性樹脂組成物Gを製造した。
【0152】
比較例2
グラフト共重合体ラテックスの製造において、スチレン38重量部、アクリロニトリル12重量部の代わりに、スチレン35重量部、アクリロニトリル12重量部、メチルメタクリレート3重量部を投入したことを除き、比較例1と同様の方法でグラフト共重合体粉末Hを製造した。
【0153】
また、グラフト共重合体粉末Gの代わりに、グラフト共重合体粉末Hを使用した点を除き、比較例1と同様の方法で熱可塑性樹脂組成物Hを製造した。
【0154】
比較例3
第1グラフト共重合体粉末として比較例1で製造されたグラフト共重合体粉末G40重量部、第2グラフト共重合体粉末としてLG化学社のSA927 4重量部、マトリックス共重合体としてLG化学社の100UH53重量部及びポリ(メチルメタクリレート)(商品名:BA611 grade、製造社:LGMMA社)3重量部を混合し、熱可塑性樹脂組成物Iを製造した。
【0155】
比較例4
第1グラフト共重合体粉末として比較例1で製造されたグラフト共重合体粉末G40重量部、第2グラフト共重合体粉末としてLG化学社のSA927 4重量部、マトリックス共重合体としてLG化学社の100UH53重量部及びポリ(メチルメタクリレート(商品名:IH830、製造社:LGMMA社)3重量部を混合し、熱可塑性樹脂組成物Jを製造した。
【0156】
一方、下記表1にグラフト共重合体A~Hのシェル組成及び製造に用いられたアルキルメタクリレート系重合体の仕様及び含量を記載した。
【0157】
【0158】
実験例1
実施例及び比較例の熱可塑性樹脂組成物100重量部に、滑剤1.5重量部、酸化防止剤1.0重量部及び紫外線安定剤1.0重量部を均一に混合した後、220℃で36Φ押出混練機を用いてペレットを製造し、射出して試片を製造した。試片の物性を下記のような方法で測定し、その結果を表2に示した。
【0159】
(1)耐候性(△E)-促進耐候性試験装置(weather-o-meter、ATLAS社 Ci4000、キセノンアークランプ、Quartz(inner)/S.Boro(outer)フィルター、irradiznce 0.55W/m
2 at 340nm)でSAE J1960条件で6,000時間試験しており、下記△Eは、促進耐候性の実験前後の算術平均値であり、値が0に近いほど耐候性が優れることを示す。
【数4】
【0160】
前記式において、L’は、熱可塑性樹脂成形品に6,000時間SAE J1960条件で光を照射した後、CIE LAB色座標計で測定したL値であり、LOは、光の照射前にCIE LAB色座標計で測定したL値であり、
a’は、熱可塑性樹脂成形品に6,000時間SAE J1960条件で光を照射した後、CIE LAB色座標計で測定したa値であり、aOは、光の照射前にCIE LAB色座標計で測定したa値であり、
b’は、熱可塑性樹脂成形品に6,000時間SAE J1960条件で光を照射した後、CIE LAB色座標計で測定したb値であり、bOは、光の照射前にCIE LAB色座標計で測定したb値である。
【0161】
(2)アイゾッド衝撃強度(kg・cm/cm):試片の厚さを1/4Inとして、ASTM256に基づいて測定した。
【0162】
(3)射出光沢(45゜):ASTM D528に基づいて測定した。
【0163】
実験例2
実施例及び比較例の熱可塑性樹脂組成物をPVCと共押出して表面特性を確認した。
【0164】
具体的に、PVC層は、130ΦL/D20二軸押出混練機を介して170℃で溶融混練した。前記熱可塑性樹脂組成物は、60ΦL/D20単軸押出混練機を介して180℃で溶融混練した。共押出時にPVCと前記熱可塑性樹脂組成物は9:1の重量比で共押出ダイに供給され、この後、水冷式校正器(calibrator)を通過して最終の共押出試片を製造した。試片の物性を下記のような方法で測定し、その結果を表2に示した。
【0165】
(4)共押出光沢:「(3)射出光沢」に記載の方法で測定した。
【0166】
【0167】
表2を参照すれば、ポリ(メチルメタクリレート)ラテックスを同一量で投入した実施例1、実施例3、実施例5及び実施例6は、ポリ(メチルメタクリレート)ラテックスの重量平均分子量が低いほど、耐候性、射出光沢、共押出光沢に優れ、ポリ(メチルメタクリレート)の重量平均分子量が高いほど、衝撃強度に優れることが確認できた。
【0168】
重量平均分子量が同一のポリ(メチルメタクリレート)ラテックスを投入した実施例2から実施例4の場合、投入量が増加するほど、耐候性、射出光沢、共押出光沢は改善され、投入量が減少するほど、衝撃強度に優れることが確認できた。
【0169】
そして、実施例1から実施例6は、ポリ(メチルメタクリレート)ラテックスを投入しない比較例1に比べ、耐候性、射出光沢及び共押出光沢が全て優れることが確認できた。
【0170】
実施例1から実施例6は、ポリ(メチルメタクリレート)ラテックスを投入せず、シェルの製造時にメチルメタクリレートを投入した比較例2に比べ、耐候性、衝撃強度、射出光沢、及び共押出光沢が全て優れることが確認できた。
【0171】
一方、コンパウンディング過程でポリ(メチルメタクリレート)を投入した比較例3及び4は、実施例1から6に比べ耐候性、衝撃強度、射出光沢、共押出光沢が全て低下することが確認できた。