(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット、液体を吐出する装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20220412BHJP
【FI】
B41J2/14 605
B41J2/14 301
(21)【出願番号】P 2017213790
(22)【出願日】2017-11-06
【審査請求日】2020-09-16
(31)【優先権主張番号】P 2017002053
(32)【優先日】2017-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】岩間 正美
(72)【発明者】
【氏名】▲おとめ▼ 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】吉田 崇裕
(72)【発明者】
【氏名】木平 孝和
(72)【発明者】
【氏名】中井 貴之
(72)【発明者】
【氏名】安藤 汐視
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 勇
(72)【発明者】
【氏名】吉田 竜二
(72)【発明者】
【氏名】阿部 貫思
(72)【発明者】
【氏名】岩田 純一
(72)【発明者】
【氏名】石井 勝也
(72)【発明者】
【氏名】小▲高▼ 俊道
【審査官】亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-025663(JP,A)
【文献】特開2013-059894(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0165228(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する複数のノズルと、
前記複数のノズルに各々連通する複数の個別液室と、
前記複数の個別液室に各々連通し、前記液体を前記複数の個別液室に供給する複数の個別供給流路と、
前記複数の個別供給流路に通じる供給側共通液室と、
前記複数の個別液室に各々連通
し、前記液体を前記複数の個別液室から排出する複数の個別排出流路と、
前記複数の個別排出流路に通じる排出側共通液室と、
前記個別排出流路と前記排出側共通液室との間に配置されたフィルタと、を備え、
前記フィルタと前記個別排出流路との間には、前記フィルタに面し、2以上の前記個別排出流路に通じる中間排出流路を有し、
前記中間排出流路の前記液体の流れ方向と直交する方向の断面積は、前記個別排出流路の前記液体の流れ方向と直交する方向の断面積よりも広い
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
液体を吐出する複数のノズルと、
前記複数のノズルに各々連通する複数の個別液室と、
前記複数の個別液室に各々連通し、前記液体を前記複数の個別液室に供給する複数の個別供給流路と、
前記複数の個別供給流路に通じる供給側共通液室と、
前記複数の個別液室に各々連通
し、前記液体を前記複数の個別液室から排出する複数の個別排出流路と、
前記複数の個別排出流路に通じる排出側共通液室と、
前記個別排出流路と前記排出側共通液室との間に配置されたフィルタと、を備え、
前記フィルタと前記個別排出流路との間には、前記フィルタに面し、2以上の前記個別排出流路に通じる中間排出流路を有し、
前記中間排出流路と前記フィルタとの境界部分の断面積は、前記個別排出流路と前記中間排出流路との境界部分の断面積よりも広い
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記中間排出流路には、上流側中間排出流路と下流側中間排出流路が含まれ、
前記下流側中間排出流路は2以上の前記上流側中間排出流路に通じている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記中間排出流路には、上流側中間排出流路と下流側中間排出流路が含まれ、
2つの隣り合う
前記上流側
中間排出流路間の隔壁と2つの隣り合う
前記下流側
中間排出流路間の隔壁とはノズル配列方向における位置がずれている
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記供給側共通液室と前記個別液室との間で、2以上の前記個別液室に通じる中間供給流路と、を有し、
前記中間排出流路及び前記中間供給流路を形成する板状部材を備え、
隣り合う前記中間排出流路間の隔壁と隣り合う前記中間供給流路間の隔壁とはノズル配列方向における位置がずれている
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
隣り合う前記中間排出流路間の隔壁の間隔と、隣り合う前記中間供給流路間の隔壁の間隔とは、同じである
ことを特徴とする請求項5に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
前記個別液室の一部の壁面を形成する振動板を有し、
前記フィルタは前記振動板を形成する振動板部材に設けられている
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項8】
前記フィルタの径はノズル径よりも小さい
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか記載の液体吐出ヘッド。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の液体吐出ヘッドを含む
ことを特徴とする液体吐出ユニット。
【請求項10】
前記液体吐出ヘッドに供給する液体を貯留するヘッドタンク、前記液体吐出ヘッドを搭載するキャリッジ、前記液体吐出ヘッドに液体を供給する供給機構、前記液体吐出ヘッドの維持回復を行う維持回復機構、前記液体吐出ヘッドを主走査方向に移動させる主走査移動機構の少なくともいずれか一つと前記液体吐出ヘッドとを一体化した
ことを特徴とする請求項9に記載の液体吐出ユニット。
【請求項11】
請求項1ないし8のいずれかに記載の液体吐出ヘッド、又は、請求項9若しくは10に記載の液体吐出ユニットを備えている
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット、液体を吐出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を吐出する液体吐出ヘッドとして、個別液室に供給された液体の内の吐出されなかった液体を排出流路から排出側共通液室に戻し、液体を循環させることで、個別液室内に混入した気泡の排出性の向上及び液体の特性変化の抑制を図る循環型ヘッドが知られている。
【0003】
従来、圧力室にそれぞれ個別に連通して設けられた個別供給流路と、各個別供給流路と連通する共通供給流路を形成した共通供給流路形成部材を備え、共通供給流路形成部材の共通供給流路内にフィルタが設けられ、フィルタを間にして共通供給流路内が、フィルタよりも液体流れ方向上流側に形成された上流側共通供給流路と、フィルタよりも液体流れ方向下流側に形成された下流側共通供給流路に分かれており、上流側共通供給流路内ならびに下流側共通供給流路内に、それぞれノズルの配列方向と直交する方向に延びる上流側格子部と下流側格子部をノズルの配列方向に沿って当該格子部と隣の格子部との間に4~16の前記個別供給流路があるように間隔をおいて複数それぞれ形成したものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液体吐出ヘッドにおいては、液体とともにゴミなどの異物が個別液室内に流入すると、ノズルの目詰まりを生じて吐出不良や吐出不能になることがある。そこで、一般的には、特許文献1に開示されているように個別液室の上流側にフィルタが配置されている。
【0006】
これに対して、循環型ヘッドのように排出流路を有する場合、排出流路から排出側共通液室に液体が流れることからフィルタを配置することは行われていない。しかし、ヘッド組立時などには異物が排出側共通液室から排出流路に混入するおそれがあり、これを避けるために排出流路の下流側にもフィルタを配置することが考えられる。
【0007】
しかしながら、排出流路の下流側にフィルタを配置した場合、気泡がフィルタでトラップされて排出流路内に留まると、気泡滞留量の違いによってノズルメニスカス圧力のばらつきが発生し、吐出特性にばらつきが生じるおそれがある。
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、ヘッド内への異物の混入を抑制するとともに、気泡滞留による吐出特性のばらつきを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明に係る液体吐出ヘッドは、
液体を吐出する複数のノズルと、
前記複数のノズルに各々連通する複数の個別液室と、
前記複数の個別液室に各々連通し、前記液体を前記複数の個別液室に供給する複数の個別供給流路と、
前記複数の個別供給流路に通じる供給側共通液室と、
前記複数の個別液室に各々連通し、前記液体を前記複数の個別液室から排出する複数の個別排出流路と、
前記複数の個別排出流路に通じる排出側共通液室と、
前記個別排出流路と前記排出側共通液室との間に配置されたフィルタと、を備え、
前記フィルタと前記個別排出流路との間には、前記フィルタに面し、2以上の前記個別排出流路に通じる中間排出流路を有し、
前記中間排出流路の前記液体の流れ方向と直交する方向の断面積は、前記個別排出流路の前記液体の流れ方向と直交する方向の断面積よりも広い
構成とした。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ヘッド内への異物の混入を抑制するとともに、気泡滞留による吐出特性のばらつきを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る液体吐出ヘッドの一例の外観斜視説明図である。
【
図2】同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向の断面説明図である。
【
図3】同ヘッドのノズル配列方向の断面説明図である。
【
図4】本発明の第1実施形態におけるノズル配列方向と直交する方向の断面説明図である。
【
図5】同じく
図4のX-X線に相当するノズル配列方向の要部断面説明図である。
【
図6】同じく流路部材の要部分解平面説明図である。
【
図7】本発明の第2実施形態におけるノズル配列方向の要部断面説明図である。
【
図8】同じく中間排出流路を形成する板状部材の分解平面説明図である。
【
図9】本発明の第3実施形態におけるノズル配列方向に沿う要部断面説明図である。
【
図10】同じく中間排出流路を形成する板状部材の分解平面説明図である。
【
図11】本発明の第4実施形態における中間排出流路及び中間供給流路を形成する板状部材の平面説明図である。
【
図12】本発明の第5実施形態における中間排出流路及び中間供給流路を形成する板状部材の平面説明図である。
【
図13】本発明に係る液体を吐出する装置の一例の要部平面説明図である。
【
図15】本発明に係る液体吐出ユニットの他の例の要部平面説明図である。
【
図16】本発明に係る液体吐出ユニットの更に他の例の正面説明図である。
【
図17】本発明に係る液体を吐出する装置の他の例の概略説明図である。
【
図18】同装置のヘッドユニットの平面説明図である。
【
図19】同装置における液体循環システムの一例の説明に供するブロック説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。本発明に係る液体吐出ヘッドの概要について
図1ないし
図3を参照して説明する。
図1は同液体吐出ヘッドの外観斜視説明図、
図2は同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向の断面説明図、
図3は同ヘッドのノズル配列方向の断面説明図である
【0013】
この液体吐出ヘッドは、ノズル板1と、流路板2と、壁面部材としての振動板部材3とを積層接合している。そして、振動板部材3の振動領域(振動板)30を変位させる圧電アクチュエータ11と、ヘッドのフレーム部材を兼ねている共通液室部材20と、カバー29を備えている。なお、流路板2と振動板部材3で構成される部分を流路部材40という。
【0014】
ノズル板1は、液体を吐出する複数のノズル4を有している。
【0015】
流路板2は、ノズル4にノズル連通路5を介して通じる個別液室6、個別液室6に通じる供給側流体抵抗部7、供給側流体抵抗部7に通じる個別供給流路8、ノズル配列方向において隣り合う2以上の個別供給流路8に通じる中間供給流路82を形成している。
【0016】
振動板部材3は、流路板2の個別液室6の壁面を形成する変形可能な振動領域30を有する。ここでは、振動板部材3は2層構造(限定されない)とし、流路板2側から薄肉部を形成する第1層と、厚肉部を形成する第2層で形成され、第1層で個別液室6に対応する部分に変形可能な振動領域30を形成している。
【0017】
そして、振動板部材3の個別液室6とは反対側に、振動板部材3の振動領域30を変形させる駆動手段(アクチュエータ手段、圧力発生手段)としての電気機械変換素子を含む圧電アクチュエータ11を配置している。
【0018】
この圧電アクチュエータ11は、ベース部材13上に接合した圧電部材12にハーフカットダイシングによって溝加工して所要数の柱状の圧電素子12A、12Bを所定の間隔で櫛歯状に形成している。
【0019】
そして、圧電素子12Aを振動板部材3の振動領域(振動板)30に形成した島状の厚肉部である凸部30aに接合している。また、圧電素子12Bを振動板部材3の厚肉部である凸部30bに接合している。
【0020】
この圧電部材12は、圧電層と内部電極とを交互に積層したものであり、内部電極がそれぞれ端面に引き出されて外部電極が設けられ、外部電極にフレキシブル配線部材15が接続されている。
【0021】
共通液室部材20は、供給側共通液室10と排出側共通液室50を形成する。供給側共通液室10は供給ポート71に通じ、排出側共通液室50は排出ポート72に通じている(
図1)。
【0022】
また、流路板2は、各個別液室6にノズル連通路5を介して通じる流路板2の面方向に沿う個別排出流路51と、ノズル配列方向において隣り合う2以上の個別排出流路51に通じる中間排出流路52を形成している。
【0023】
さらに、供給側共通液室10と中間供給流路82との間には供給側フィルタ91を配置し、排出側共通液室50と中間排出流路52との間には排出側フィルタ92を配置している。
【0024】
このように構成した液体吐出ヘッドにおいては、例えば圧電素子12Aに与える電圧を基準電位(中間電位)から下げることによって圧電素子12Aが収縮し、振動板部材3の振動領域30が引かれて個別液室6の容積が膨張することで、個別液室6内に液体が流入する。
【0025】
その後、圧電素子12Aに印加する電圧を上げて圧電素子12Aを積層方向に伸長させ、振動板部材3の振動領域30をノズル4に向かう方向に変形させて個別液室6の容積を収縮させることにより、個別液室6内の液体が加圧され、ノズル4から液体が吐出される。
【0026】
また、ノズル4から吐出されない液体はノズル4を通過して個別排出流路51から排出側共通液室50に排出され、排出側共通液室50から外部の循環経路を通じて供給側共通液室10に再度供給される。
【0027】
なお、ヘッドの駆動方法については上記の例(引き-押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行なうこともできる。
【0028】
次に、本発明の第1実施形態について
図4ないし
図6を参照して説明する。
図4は同実施形態におけるノズル配列方向と直交する方向の断面説明図、
図5は同じく
図4のA-A線に相当するノズル配列方向の要部断面説明図である。
図6は同じく流路部材の要部分解平面説明図である。
【0029】
本実施形態においては、前述したように、流路板2には、個別液室6と反対側であるノズル板1側に、ノズル連通路5を介して個別液室6に通じる個別排出流路51が設けられ、排出側共通液室50は各個別排出流路51に通じている。
【0030】
そして、個別排出流路51と排出側共通液室50との間には、排出側フィルタ92が配置されている。この排出側フィルタ92の上流側(個別排出流路51側)には、排出側フィルタ92に面し、ノズル配列方向において隣り合う2以上(
図5の例では4つ)の個別排出流路51に通じる中間排出流路52を有している。
【0031】
この中間排出流路52の液体の流れ方向と直交する方向の断面積(開口断面積)は個別排出流路51の液体の流れ方向と直交する方向の断面積(開口断面積)よりも広くしている。
【0032】
言い換えれば、中間排出流路52とフィルタ92との境界部分92Bの断面積は、個別排出流路51と中間排出流路52との境界部分51Bの断面積よりも広くしている。少なくともこのような構成であれば、中間排出流路52と個別排出流路51とで液体の流れ方向が異なっている場合や、中間排出流路52と個別排出流路51の断面積が位置によって変化する場合でも、吐出のばらつきを低減することができる。
【0033】
なお、
図5では境界部分51B及び境界部分92Bの位置を図面の左端部分としているが、これは例示であって、上述した断面積の大小関係は他の個別排出流路51や他のフィルタ92においても同様である。
【0034】
ここで、本実施形態では、流路板2は、ノズル板1側から複数枚の板状部材(薄層部材)41~44を積層接合して形成され、これらの板状部材41~44と振動板部材3を積層接合して流路部材40が構成されている。
【0035】
流路板2を構成する板状部材41には、
図6(a)に示すように、個別排出流路51を構成する貫通溝部(溝形状の貫通穴の意味)51aが形成されている。
【0036】
同じく板状部材42には、
図6(b)に示すように、板状部材41の貫通溝部51aに通じて個別排出流路51の一部51Aを構成する貫通溝部51bが形成されている。
【0037】
同じく板状部材43には、
図6(c)に示すように、個別供給流路8を構成する貫通溝部8aと、中間排出流路52を構成する貫通溝部52aが形成されている。隣り合う中間排出流路52に対応する貫通溝部52a、52aは隔壁54aで区画されている。
【0038】
同じく板状部材44には、
図6(d)に示すように、中間供給流路82を構成する貫通溝部82aと、中間排出流路52を構成する貫通溝部52bが形成されている。隣り合う中間供給流路82に対応する貫通溝部82a、82aは隔壁84aで区画されている。隣り合う中間排出流路52に対応する貫通溝部52b、52bは隔壁54bで区画されている。
【0039】
振動板部材3には、
図6(e)に示すように、中間排出流路52と排出側共通液室50との間に介在する排出側フィルタ92と、中間供給流路82と供給側共通液室10との間に介在する供給側フィルタ91とが設けられている。
【0040】
このように、この液体吐出ヘッドにおいては、個別排出流路51及び中間排出流路52と排出側共通液室50との間に排出側フィルタ92を配置しているので、ヘッドの組み立てを行うときに、排出側共通液室50から個別排出流路51に異物が侵入することを防止できる。したがって、ヘッド内への異物の混入を抑制することができる。
【0041】
つまり、個別排出流路51から排出側共通液室50に液体が流れることから、液体中の異物の除去を目的として個別排出流路51と排出側共通液室50との間にフィルタを設ける必要はないが、例えばヘッドを組み立てるときに、排出側共通液室50から個別排出流路51に異物が侵入することを防止するために排出側フィルタ92を設けている。
【0042】
また、個別排出流路51と排出側共通液室50との間に排出側フィルタ92を設けることで、排出側共通液室50から個別排出流路51に液体が逆流した場合に、排出側共通液室50から異物が個別排出流路51に流入することを防止できる。
【0043】
なお、供給側フィルタ91のフィルタ孔91aの径及び排出側フィルタ92のフィルタ孔92aの径は、いずれもノズル4の径(ノズル径)よりも小さくしている。これにより、ノズル4に詰まる異物を除去することができる。
【0044】
そして、排出側フィルタ92の上流側に、隣り合う2以上の個別排出流路51に通じる中間排出流路52を設けているので、1つの個別排出流路51に繋がる排出側フィルタ92の面積が大きくなる。
【0045】
したがって、個別排出流路51側からの気泡が排出側フィルタ92で滞留しても、中間排出流路52に対応する排出側フィルタ92の面積に対する気泡で覆われる面積の割合が小さくなるので、気泡滞留による影響が低減して、吐出特性のバラツキが低減する。
【0046】
つまり、個別排出流路51がそのままの排出側フィルタ92に臨んでいると、対応する排出側フィルタ92の面積は1つの個別排出流路51分の面積しかない。そのため、気泡が滞留した場合、滞留した気泡によって排出側フィルタ92の当該個別排出流路51に対押する領域の大半が覆われることになる。
【0047】
その結果、当該個別排出流路51の流体抵抗が高くなり、ノズル4のメニスカス圧力が高くなって吐出量が多くなる。また、各個別排出流路51における気泡滞留量の違いが発生することで、ノズル4のメニスカス圧力にばらつきが生じるので、吐出特性にばらつきが発生する。
【0048】
これに対して、2以上の個別排出流路51に通じる中間排出流路52を、個別排出流路51と排出側フィルタ92との間に設けることで、1つの個別排出流路51が対応する排出側フィルタ92の面積が広くなるので、気泡滞留による影響が分散されて小さくなり、吐出特性のばらつきが低減する。
【0049】
また、すべての個別排出流路51を1つの中間排出経路52に対応させるのではなく、2以上の個別排出流路51に対応させた中間排出流路52を複数設けている。これにより、すべての個別排出流路51に対応する1つの中間排出経路52を設ける場合よりも、個別排出流路51から排出側フィルタ92に流入するときの液体の流速が高くなり、排出側フィルタ92を気泡が通過しやすくなり、気泡排出性が向上する。
【0050】
次に、本発明の第2実施形態について
図7及び
図8を参照して説明する。
図7は同実施形態におけるノズル配列方向の要部断面説明図、
図8は同じく中間排出流路を形成する板状部材の分解平面説明図である。
【0051】
本実施形態では、中間排出流路52は、隣り合う2以上の個別排出流路51に通じる上流側中間排出流路52Aと、隣り合う2以上の上流側中間排出流路52Aに通じる下流側中間排出流路52Bとを含んでいる。
【0052】
このように、段階的に中間排出流路52の面積が広がることで、気泡滞留の影響をより抑制するために中間排出流路52Bで規定されるような大きな断面積の中間排出経路を設ける場合であっても、流速の低下を抑えることができて、気泡排出性を向上できる。
【0053】
次に、本発明の第3実施形態について
図9及び
図10を参照して説明する。
図9は同実施形態におけるノズル配列方向の要部断面説明図、
図10は同じく中間排出流路を形成する板状部材の分解平面説明図である。
【0054】
本実施形態では、前記第2実施形態と同様に中間排出流路52は、隣り合う2以上の個別排出流路51に通じる上流側中間排出流路52Aと、隣り合う2以上の上流側中間排出流路52Aに通じる下流側中間排出流路52Bとを含んでいる。
【0055】
そして、上流側中間排出流路52Aを区画する隔壁54aと下流側中間排出流路52Bを区画する隔壁54bとは、ノズル配列方向にずれて配置している。
【0056】
これにより、中間排出流路52A、52Bはノズル配列方向において全域が共通化される。したがって、気泡滞留による影響をさらに分散することができ、吐出特性のばらつきを低減できる。
【0057】
また、排出側フィルタ92に対向する中間排出流路52Bは区画されていることで、すべての個別排出流路51を区画のない1つの中間排出経路52に対応させた場合に比べて、相対的に流速の低下を抑えることができて、気泡排出性を向上できる。さらに、ノズル配列方向で隔壁54a、54bが千鳥状に配置されることで、板状部材43、44の剛性を保つこともできる。
【0058】
次に、本発明の第4実施形態について
図11を参照して説明する。
図11は同実施形態における中間排出流路及び中間供給流路を形成する板状部材の平面説明図である。
【0059】
本実施形態では、中間排出流路52の隔壁54bと中間供給流路82の隔壁82aとは、ノズル配列方向において、互い違いに設けている。
【0060】
これにより、板状部材の剛性を確保できる。
【0061】
次に、本発明の第5実施形態について
図12を参照して説明する。
図12は同実施形態における中間排出流路及び中間供給流路を形成する板状部材の平面説明図である。
【0062】
本実施形態では、中間排出流路52の隔壁54b、54b間の間隔L1と中間供給流路82の隔壁84a、84a間の間隔L2とは同じ(ほぼ同じを含む)にしている。
【0063】
これにより、板状部材の剛性を部材内で均一化することができ、強度を確保できる。
【0064】
なお、上記各実施形態においては、中間供給流路を有する構成で説明しているが、個別供給流路がそのまま供給側共通液室に通じる構成とすることもできる。
【0065】
次に、本発明に係る液体を吐出する装置の一例について
図13及び
図14を参照して説明する。
図13は同装置の要部平面説明図、
図14は同装置の要部側面説明図である。
【0066】
この装置は、シリアル型装置であり、主走査移動機構493によって、キャリッジ403は主走査方向に往復移動する。主走査移動機構493は、ガイド部材401、主走査モータ405、タイミングベルト408等を含む。ガイド部材401は、左右の側板491A、491Bに架け渡されてキャリッジ403を移動可能に保持している。そして、主走査モータ405によって、駆動プーリ406と従動プーリ407間に架け渡したタイミングベルト408を介して、キャリッジ403は主走査方向に往復移動される。
【0067】
このキャリッジ403には、本発明に係る液体吐出ヘッド404及びヘッドタンク441を一体にした液体吐出ユニット440を搭載している。液体吐出ユニット440の液体吐出ヘッド404は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色の液体を吐出する。また、液体吐出ヘッド404は、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配置し、吐出方向を下方に向けて装着している。
【0068】
液体吐出ヘッド404の外部に貯留されている液体を液体吐出ヘッド404に供給するための供給機構494により、ヘッドタンク441には、液体カートリッジ450に貯留されている液体が供給される。
【0069】
供給機構494は、液体カートリッジ450を装着する充填部であるカートリッジホルダ451、チューブ456、送液ポンプを含む送液ユニット452等で構成される。液体カートリッジ450はカートリッジホルダ451に着脱可能に装着される。ヘッドタンク441には、チューブ456を介して送液ユニット452によって、液体カートリッジ450から液体が送液される。
【0070】
この装置は、用紙410を搬送するための搬送機構495を備えている。搬送機構495は、搬送手段である搬送ベルト412、搬送ベルト412を駆動するための副走査モータ416を含む。
【0071】
搬送ベルト412は用紙410を吸着して液体吐出ヘッド404に対向する位置で搬送する。この搬送ベルト412は、無端状ベルトであり、搬送ローラ413と、テンションローラ414との間に掛け渡されている。吸着は静電吸着、あるいは、エアー吸引などで行うことができる。
【0072】
そして、搬送ベルト412は、副走査モータ416によってタイミングベルト417及びタイミングプーリ418を介して搬送ローラ413が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。
【0073】
さらに、キャリッジ403の主走査方向の一方側には搬送ベルト412の側方に液体吐出ヘッド404の維持回復を行う維持回復機構420が配置されている。
【0074】
維持回復機構420は、例えば液体吐出ヘッド404のノズル面(ノズルが形成された面)をキャッピングするキャップ部材421、ノズル面を払拭するワイパ部材422などで構成されている。
【0075】
主走査移動機構493、供給機構494、維持回復機構420、搬送機構495は、側板491A,491B、背板491Cを含む筐体に取り付けられている。
【0076】
このように構成したこの装置においては、用紙410が搬送ベルト412上に給紙されて吸着され、搬送ベルト412の周回移動によって用紙410が副走査方向に搬送される。
【0077】
そこで、キャリッジ403を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて液体吐出ヘッド404を駆動することにより、停止している用紙410に液体を吐出して画像を形成
する。
【0078】
このように、この装置では、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えているので、高画質画像を安定して形成することができる。
【0079】
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの他の例について
図15を参照して説明する。
図15は同ユニットの要部平面説明図である。
【0080】
この液体吐出ユニットは、前記液体を吐出する装置を構成している部材のうち、側板491A、491B及び背板491Cで構成される筐体部分と、主走査移動機構493と、キャリッジ403と、液体吐出ヘッド404で構成されている。
【0081】
なお、この液体吐出ユニットの例えば側板491Bに、前述した維持回復機構420、及び供給機構494の少なくともいずれかを更に取り付けた液体吐出ユニットを構成することもできる。
【0082】
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの更に他の例について
図16を参照して説明する。
図16は同ユニットの正面説明図である。
【0083】
この液体吐出ユニットは、流路部品444が取付けられた液体吐出ヘッド404と、流路部品444に接続されたチューブ456で構成されている。
【0084】
なお、流路部品444はカバー442の内部に配置されている。流路部品444に代えてヘッドタンク441を含むこともできる。また、流路部品444の上部には液体吐出ヘッド404と電気的接続を行うコネクタ443が設けられている。
【0085】
次に、本発明に係る液体を吐出する装置の他の例について
図17及び
図18を参照して説明する。
図17は同装置の概略説明図、
図18は同装置のヘッドユニットの平面説明図である。
【0086】
この装置は、連続媒体510を搬入する搬入手段501と、搬入手段501から搬入された連続媒体510を印刷手段505に案内搬送する案内搬送手段503と、連続媒体510に対して液体を吐出して画像を形成する印刷を行う印刷手段505と、連続媒体510を乾燥する乾燥手段507と、連続媒体510を排出する排出手段509などを備えている。
【0087】
連続媒体510は搬入手段501の元巻きローラ511から送り出され、搬入手段501、案内搬送手段503、乾燥手段507、排出手段509の各ローラによって案内、搬送されて、排出手段509の巻取りローラ591にて巻き取られる。
【0088】
この連続媒体510は、印刷手段505において、搬送ガイド部材559上をヘッドユニット550及びヘッドユニット555に対向して搬送され、ヘッドユニット550から吐出される液体によって画像が形成され、ヘッドユニット55から吐出される処理液で後処理が行われる。
【0089】
ここで、ヘッドユニット550には、例えば、媒体搬送方向上流側から、4色分のフルライン型ヘッドアレイ551K、551C、551M、551Y(以下、色の区別しないときは「ヘッドアレイ551」という。)が配置されている。
【0090】
各ヘッドアレイ551は、液体吐出手段であり、それぞれ、搬送される連続媒体510に対してブラックK,シアンC、マゼンタM、イエローYの液体を吐出する。なお、色の種類及び数はこれに限るものではない。
【0091】
ヘッドアレイ551は、例えば、
図21に示すように、本発明に係る複数の液体吐出ヘッド(これを、単に「ヘッド」ともいう。)1000をベース部材552上に千鳥状に並べて配置したものであるが、これに限らない。
【0092】
次に、この装置における液体循環システムの一例について
図19を参照して説明する。
図19は同システムの説明に供するブロック説明図である。
【0093】
液体循環システム630は、メインタンク602、ヘッド1000、供給タンク631、循環タンク632、コンプレッサ633、真空ポンプ634、第1送液ポンプ635、第2送液ポンプ636、供給側圧力センサ637、循環側圧力センサ638、レギュレータ(R)639a,639bなどで構成されている。
【0094】
供給側圧力センサ637は、供給タンク631とヘッド1000との間であって、ヘッド1000の供給ポート71(
図1参照)に繋がった供給流路側に接続されている。循環側圧力センサ638は、ヘッド1000と循環タンク632との間であって、ヘッド1000の排出ポート72(
図1参照)に繋がった排出流路側に接続されている。
【0095】
循環タンク632の一方は、第1送液ポンプ635を介して供給タンク631と接続されており、循環タンク632の他方は第2送液ポンプ636を介してメインタンク602と接続されている。
【0096】
これにより、供給タンク631から供給ポート71を通ってヘッド1000内に液体が流入し、排出ポート72から排出されて循環タンク632へ排出される。そして、さらに第1送液ポンプ635によって循環タンク632から供給タンク631へ液体が送られることによって液体が循環する。
【0097】
また、供給タンク631にはコンプレッサ633がつなげられており、供給側圧力センサ637で所定の正圧が検知されるように制御される。一方、循環タンク632には真空ポンプ634がつなげられており、循環側圧力センサ638で所定の負圧が検知されるよう制御される。
【0098】
これにより、ヘッド1000内を通って液体を循環させつつ、メニスカスの負圧を一定に保つことができる。
【0099】
また、ヘッド1000のノズル4から液体を吐出すると、供給タンク631及び循環タンク632内の液体量が減少していく。そのため、適宜、第2送液ポンプ636を用いて、メインタンク602から循環タンク632に液体を補充する。メインタンク602から循環タンク632への液体補充のタイミングは、循環タンク632内の液体の液面高さが所定高さよりも下がったときに液体補充を行うなど、循環タンク632内に設けた液面センサなどの検知結果によって制御することができる。
【0100】
本願において、吐出される液体は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0101】
液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
【0102】
「液体吐出ユニット」は、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体が含まれる。例えば、「液体吐出ユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
【0103】
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
【0104】
例えば、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットのヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
【0105】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
【0106】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。また、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されているものがある。
【0107】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。
【0108】
また、液体吐出ユニットとして、ヘッドタンク若しくは流路部品が取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。このチューブを介して、液体貯留源の液体が液体吐出ヘッドに供給される。
【0109】
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
【0110】
「液体を吐出する装置」には、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて液体を吐出させる装置が含まれる。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を 気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0111】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0112】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0113】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0114】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0115】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0116】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0117】
また、「液体を吐出する装置」としては、他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0118】
なお、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【符号の説明】
【0119】
1 ノズル板
2 流路板
3 振動板
4 ノズル
5 ノズル連通路
6 個別液室
9 供給側フィルタ
10 供給側共通液室
11 圧電アクチュエータ
20 共通液室部材(フレーム部材)
50 排出側共通液室
51 個別排出流路
52 中間排出流路
92 排出側フィルタ
403 キャリッジ
404 液体吐出ヘッド
440 液体吐出ユニット
630 液体循環システム
1000 液体吐出ヘッド