(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】位置検出装置、画像形成装置、および位置検出方法
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20220412BHJP
B41J 29/393 20060101ALI20220412BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
H04N1/00 C
B41J29/393 101
G03G21/00 502
(21)【出願番号】P 2018012048
(22)【出願日】2018-01-26
【審査請求日】2020-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】池本 龍馬
(72)【発明者】
【氏名】中澤 政元
(72)【発明者】
【氏名】二角 大祐
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-126948(JP,A)
【文献】特開2005-221582(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/393
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の撮像素子を1次元ないし2次元に配列した読取デバイス
で読み取った記録媒体の画像から、当該記録媒体の外形形状と当該
記録媒体上の画像パターンの位置とを第1の検出結果として検出する第1位置検出部と、
前記読取デバイスを制御して、
温度の影響による伸縮量が小さい位置基準部材に配置されるものであって当該読取デバイスの
温度変化に起因する伸縮量及び設置時の傾き量に基づいて、当該読取デバイスの位置に対応する
当該位置基準部材に配置されるマークを第2の検出結果として検出する第2位置検出部と、
前記読取デバイスの
温度変化による主走査方向の伸縮量と
当該伸縮量で補正した
当該読取デバイスの
主走査方向に対する傾き量とを前記第2の検出結果
から算出し、
当該伸縮量と
当該傾き量と
に基づいて前記第1の検出結果
から算出した前記記録媒体上の画像パターンの画像書き込み位置を補正する制御部と、
を備えることを特徴とする位置検出装置。
【請求項2】
前記マークは、
前記読取デバイスの主走査方向に対して第一の角度をなす第1の基準マークを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記マークは、
前記読取デバイスの主走査方向に対して第一の角度をなす第1の基準マークと、前記読取デバイスの主走査方向に対して第二の角度をなす第2の基準マークと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記第1の基準マークは、前記読取デバイスの主走査方向の補正が可能な位置に対応して前記位置基準部材に所定の間隔で複数配置される、
ことを特徴とする
請求項2ないし請求項3に記載の位置検出装置。
【請求項5】
前記第2の基準マークは、前記第1の基準マークに対して、前記読取デバイスの副走査位置で重複するように配置される、
ことを特徴とする請求項3に記載の位置検出装置。
【請求項6】
前記第1の基準マークおよび前記第2の基準マークは、前記読取デバイスの主走査方向を分割した複数の領域において、当該読取デバイスの主走査方向の補正が可能な位置に対応して前記位置基準部材にそれぞれ配置される、
ことを特徴とする請求項3に記載の位置検出装置。
【請求項7】
前記位置基準部材は、前記読取デバイスに対して正反射光が入射されるように設置される、
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の位置検出装置。
【請求項8】
前記第2位置検出部は、前記読取デバイスへの給電の度に、前記位置基準部材に配置された前記マークの検出を行う、
ことを特徴とする請求項1ないし7の何れか一項に記載の位置検出装置。
【請求項9】
前記第2位置検出部は、前記
記録媒体の外形形状と当該
記録媒体上の画像パターンの位置を検出するジョブの開始命令を受信する度に、前記位置基準部材に配置された前記マークの検出を行う、
ことを特徴とする請求項1ないし7の何れか一項に記載の位置検出装置。
【請求項10】
読取デバイスと、
前記読取デバイスの所定の位置に対応するマークが配置された位置基準部材と、
請求項1ないし9の何れか一項に記載の位置検出装置と、
プリントエンジン部と、
前記プリントエンジン部に対する記録媒体の搬送を制御する搬送制御部と、
前記位置検出装置から通知された画像書込位置情報に基づいて、前記プリントエンジン部を制御して前記記録媒体への画像書き込みを行う印刷制御部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
位置検出装置で実行される位置検出方法であって、
複数の撮像素子を1次元ないし2次元に配列した読取デバイス
で読み取った記録媒体の画像から、当該記録媒体の外形形状と当該
記録媒体上の画像パターンの位置とを第1の検出結果として検出する第1位置検出工程と、
前記読取デバイスを制御して、
温度の影響による伸縮量が小さい位置基準部材に配置されるものであって当該読取デバイスの
温度変化に起因する伸縮量及び設置時の傾き量に基づいて、当該読取デバイスの位置に対応する
当該位置基準部材に配置されるマークを第2の検出結果として検出する第2位置検出工程と、
前記読取デバイスの
温度変化による主走査方向の伸縮量と
当該伸縮量で補正した
当該読取デバイスの
主走査方向に対する傾き量とを前記第2の検出結果
から算出し、
当該伸縮量と
当該傾き量と
に基づいて前記第1の検出結果
から算出した前記記録媒体上の画像パターンの画像書き込み位置を補正する補正工程と、
を含むことを特徴とする位置検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置検出装置、画像形成装置、および位置検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被搬送物の搬送位置および当該被搬送物に対する処理位置の補正を目的として、被搬送物の外形エッジ位置と当該被搬送物に対する処理位置とをCIS(Contact Image Sensor)等の読取デバイスで読み取る技術が開示されている。
【0003】
特許文献1には、一次元方向の基準マークが複数並んだ基準スケールと被搬送物上の印刷パターンとを読取デバイスで同時に読み取った読取結果に基づいて印刷パターンの印刷位置を算出し、スキャン画像の副走査むらを補正する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術によれば、読取デバイスのセンサの状態(画素位置)の変化により、読取デバイス(モジュール、センサチップ)の取り付け角度の補正を正確に行えず、補正値に誤差を生じてしまう、という問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、読取デバイスの取り付け角度の補正を正確に行いつつ、読取デバイスの発熱起因の伸縮によって発生した位置検出結果の誤差を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の位置検出装置は、複数の撮像素子を1次元ないし2次元に配列した読取デバイスで読み取った記録媒体の画像から、当該記録媒体の外形形状と当該記録媒体上の画像パターンの位置とを第1の検出結果として検出する第1位置検出部と、前記読取デバイスを制御して、温度の影響による伸縮量が小さい位置基準部材に配置されるものであって当該読取デバイスの温度変化に起因する伸縮量及び設置時の傾き量に基づいて、当該読取デバイスの位置に対応する当該位置基準部材に配置されるマークを第2の検出結果として検出する第2位置検出部と、前記読取デバイスの温度変化による主走査方向の伸縮量と当該伸縮量で補正した当該読取デバイスの主走査方向に対する傾き量とを前記第2の検出結果から算出し、当該伸縮量と当該傾き量とに基づいて前記第1の検出結果から算出した前記記録媒体上の画像パターンの画像書き込み位置を補正する制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、読取デバイスの取り付け角度の補正を正確に行いつつ、読取デバイスの発熱起因の伸縮によって発生した位置検出結果の誤差を低減することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態にかかる印刷システムのハードウェア構成の一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、媒体位置検出装置における読取デバイスと位置基準部材との対応位置関係を示す模式図である。
【
図3】
図3は、伸張後の読取デバイスによる位置検出結果の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、位置基準部材を用いた補正後の読取デバイスによる位置検出結果の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、読取デバイスが主走査方向に対して傾いて設置されている例を示す図である。
【
図6】
図6は、傾いて組み付けられている読取デバイスによる位置検出結果の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、位置基準部材と読取デバイスとの深度方向の位置関係を示す図である。
【
図8】
図8は、位置基準部材と読取デバイスとの位置関係の別の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、印刷システムのハードウェアの電気的接続の一例を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、印刷システムの機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図11】
図11は、記録媒体の外形形状と記録媒体上の画像パターンの位置を示す図である。
【
図12】
図12は、読取デバイスの主走査位置による変化量の違いについて説明する図である。
【
図15】
図15は、基準ラインとなるマークの他の例を示す図である。
【
図16】
図16は、画像書込位置通知処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【
図17-1】
図17-1は、媒体位置検出装置における読取デバイスと位置基準部材との対応位置関係の変形例を示す模式図である。
【
図17-2】
図17-2は、主走査位置毎の伸張量を示すグラフである。
【
図18-1】
図18-1は、媒体位置検出装置における読取デバイスと位置基準部材との対応位置関係の変形例を示す模式図である。
【
図18-2】
図18-2は、主走査位置毎の伸張量を示すグラフである。
【
図19】
図19は、第2の実施の形態にかかる媒体位置検出装置における読取デバイスと位置基準部材との対応位置関係を示す模式図である。
【
図20】
図20は、傾き量の検出手法および副走査方向の補正手法を示す図である。
【
図21】
図21は、マークの縦線と横線とが直交していない例を示す図である。
【
図22】
図22は、第3の実施の形態にかかる読取デバイスのセンサチップの実装位置の実態について説明する図である。
【
図23】
図23は、読取デバイスのセンサチップの実装例を示す図である。
【
図24】
図24は、媒体位置検出装置における読取デバイスと位置基準部材との対応位置関係を示す模式図である。
【
図25】
図25は、読取デバイスに対する主走査位置の補正手法を例示的に説明する図である。
【
図26】
図26は、第4の実施の形態にかかる読取デバイスの発熱による高さ(深度)方向の反りについて説明する図である。
【
図27】
図27は、読取デバイスにおける高さ(深度)方向の反りに対応する位置基準部材上のマークの縦線の配置例について説明する図である。
【
図28】
図28は、第5の実施の形態にかかるマークを構成する縦線および横線の配置関係の最適化について説明する図である。
【
図29】
図29は、第6の実施の形態にかかる画像書込位置通知処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、位置検出装置、画像形成装置、および位置検出方法の実施の形態を詳細に説明する。以下では、位置検出装置、画像形成装置が、短時間で大量の枚数を連続して印刷する商業印刷機(プロダクションプリンティング機)などの印刷装置を含む印刷システムに適用された場合を例に挙げて説明するが、これに限定されるものではない。
【0010】
(第1の実施の形態)
[印刷システムのハードウェア構成の説明]
図1は、第1の実施の形態にかかる印刷システム1のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
図1に示すように、画像形成装置である印刷システム1は、印刷装置100と、媒体位置検出装置200(位置検出装置の一例)と、スタッカ300と、を備える。
【0011】
印刷装置100は、オペレーションパネル101と、タンデム式の電子写真方式の作像部103Y、103M、103C、103Kと、転写ベルト105と、二次転写ローラ107と、給紙部109と、搬送ローラ対102と、定着ローラ104と、反転パス106と、を備える。
【0012】
オペレーションパネル101は、印刷装置100や媒体位置検出装置200に対して各種操作入力を行ったり、各種画面を表示したりする操作表示部である。
【0013】
作像部103Y、103M、103C、103Kは、それぞれ、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、及びクリーニング工程)が行われることによりトナー像が形成され、形成されたトナー像を転写ベルト105に転写する。本実施の形態では、作像部103Y上にイエロートナー像が形成され、作像部103M上にマゼンタトナー像が形成され、作像部103C上にシアントナー像が形成され、作像部103K上にブラックトナー像が形成されるものとするが、これに限定されるものではない。
【0014】
転写ベルト105は、作像部103Y、103M、103C、及び103Kから重畳して転写されたトナー像(フルカラーのトナー画像)を二次転写ローラ107の二次転写位置に搬送する。本実施の形態では、転写ベルト105には、まず、イエロートナー像が転写され、続いて、マゼンタトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像が順次重畳して転写されるものとするが、これに限定されるものではない。
【0015】
給紙部109は、処理対象(被搬送物)である複数の記録媒体が重ね合わせて収容されており、記録媒体を給紙する。記録媒体としては、例えば、記録紙(転写紙)が挙げられるが、これに限定されず、例えば、コート紙、厚紙、OHP(Overhead Projector)シート、プラスチックフィルム、プリプレグ、及び銅箔など画像を記録可能な媒体であればどのようなものであってもよい。
【0016】
搬送ローラ対102は、給紙部109により給紙された記録媒体を搬送路a上で矢印s方向に搬送する。
【0017】
二次転写ローラ107は、転写ベルト105により搬送されたフルカラーのトナー画像を、搬送ローラ対102により搬送された記録媒体上に二次転写位置で一括転写する。
【0018】
定着ローラ104は、フルカラーのトナー画像が転写された記録媒体を加熱及び加圧することにより、フルカラーのトナー画像を記録媒体に定着する。
【0019】
印刷装置100は、片面印刷の場合、フルカラーのトナー画像が定着された記録媒体である印刷物を媒体位置検出装置200へ送る。一方、印刷装置100は、両面印刷の場合、フルカラーのトナー画像が定着された記録媒体を反転パス106へ送る。
【0020】
反転パス106は、送られた記録媒体をスイッチバックすることにより記録媒体の表面・裏面を反転して矢印t方向に搬送する。反転パス106により搬送された記録媒体は、搬送ローラ対102により再搬送され、二次転写ローラ107により前回と逆側の面にフルカラーのトナー画像が転写され、定着ローラ104により定着され、印刷物として、媒体位置検出装置200およびスタッカ300へ送られる。
【0021】
印刷装置100の下流に位置する媒体位置検出装置200は、読取デバイス201と、位置基準部材202と、を備える。
【0022】
読取デバイス201は、例えば、複数の撮像素子(CMOSイメージセンサ)をライン状に並べたCIS(Contact Image Sensor:密着型イメージセンサ)等により実現できる。読取デバイス201は、読み取り対象からの反射光を受光して、画像信号を出力する。具体的には、読取デバイス201は、印刷装置100から送られた記録媒体の搬送位置および当該記録媒体に対する処理位置(印刷位置)を読取対象とする。また、読取デバイス201は、位置基準部材202を読取対象とする。
【0023】
そして、媒体位置検出装置200は、読み取りが完了した記録媒体をスタッカ300へ排紙する。
【0024】
スタッカ300は、トレイ301を備える。スタッカ300は、媒体位置検出装置200により排紙された記録媒体をトレイ301にスタックする。
【0025】
次に、媒体位置検出装置200における読取デバイス201と位置基準部材202とについて説明する。
【0026】
図2は、媒体位置検出装置200における読取デバイス201と位置基準部材202との対応位置関係を示す模式図である。
図2においては、(a)低温時、(b)高温時におけるそれぞれの読取デバイス201の状態を示している。
図2に示すように、位置基準部材202は、低温時における読取デバイス201の主走査方向の中心の撮像素子である中心画素に対応する位置を、基準位置(支持点)として設置される。
【0027】
また、読取デバイス201も、位置基準部材202の基準位置に対応する中心画素に相当する位置を基準位置(支持点)として設置される。なお、
図2においては説明のために位置基準部材202と読取デバイス201と記録媒体とを2次元に並べて説明している。実際は、読取デバイス201は、位置基準部材202および記録媒体を対向する位置で読み取る。
【0028】
ところで、
図2に示すように、読取デバイス201は、自己発熱や周囲温度上昇による高温時には、低温時に比べて読取デバイス201の基板長が主走査方向に伸張する。そのため、低温時と高温時とでは、記録媒体の搬送位置および当該記録媒体に対する印刷位置を検出する際に用いる読取デバイス201の画素番号が異なってしまい、読取デバイス201の読み取り結果に誤差が生じてしまう。
【0029】
具体的には、
図2に示すように、低温時に対して、高温時の読取デバイス201が左右に伸張した場合(
図2の例では位置基準部材202の中心を基準位置)、低温時におけるp1画素目(読取デバイス201の左端を0画素目としている)およびp2画素目が、高温時においては位置が左右にずれることになる。つまり、低温時におけるp1画素目からp2画素目までの物理長と高温時におけるp1画素目からp2画素目までの物理長は一致しないことがわかる。なお、読取デバイス201の伸縮によって副走査位置の変化量は主走査位置の変化量に比べて無視できるほど小さいものとする。
【0030】
ここで、
図3は伸張後の読取デバイス201による位置検出結果の一例を示す図である。
図3に示すように、記録媒体のエッジから画像パターンのエッジまでの長さが主走査方向aと副走査方向aで一致した記録媒体が、伸張後の読取デバイス201で位置検出された場合、主走査方向の記録媒体のエッジから画像パターンのエッジまでの長さが異なった長さで検出されてしまう。このような場合、結果として誤った画像位置補正が行われてしまうことになる。
【0031】
そこで、
図2に示すように、位置基準部材202は、読取デバイス201の主走査方向の一端部(先端部)の撮像素子である先頭画素に対応する位置、および読取デバイス201の主走査方向の他端部(後端部)の撮像素子である後尾画素に対応する位置に、基準ラインであるマークMを配置している。なお、本実施の形態では、位置基準部材202上のマークMを副走査方向に平行な縦線(第1の基準マーク)としているが、読取デバイス201で位置を特定できる形状であれば縦線以外の形状(丸形状など)であっても構わない。また、位置基準部材202における基準位置(支持点)からマークMまでの間隔は寸法管理されており、既知のD[mm]と定義される。
【0032】
位置基準部材202に配置されるマークMは、読取デバイス201の主走査方向の補正が可能な位置に配置される。読取デバイス201の温度変化に起因する伸縮を想定し、位置基準部材202の適切な位置にマークMを設けることによって、読取デバイス201の伸縮状態を問わず、高精度な記録媒体の端部、画像パターンの位置の検出を実現することができる。
【0033】
位置基準部材202は、周辺部材の発熱影響等による膨張・伸縮が発生すると、絶対的な位置基準として機能せず、位置検出精度の悪化を招いてしまう。そこで、位置基準部材202は、読取デバイス201の基板に比べて線膨張係数が低く、位置検出において周囲温度の影響による伸縮量が無視できるほどに小さい材料によって構成されている。本実施の形態においては、想定される温度変化範囲、線膨張係数を考慮し、位置基準部材202は、ガラスで形成されている。なお、位置基準部材202の材料はこれに限るものではなく、読取デバイス201の温度変化範囲が広い場合に精度の高い媒体位置検出を実現するためには、石英ガラスなどを用いるのがより好適である。
【0034】
このように読取デバイス201で位置基準部材202上の基準ラインであるマークM(縦線)を読み取り、基準位置からマークMまでの既知の幅(D[mm])と、マークMを読み取るまでの画素幅(伸縮の影響を含む)の情報から、1画素相当の長さを算出した上で記録媒体のエッジおよび印刷パターン位置を読み取ることで、それらの位置を正確に検出することができる。
【0035】
ここで、
図4は位置基準部材202を用いた補正後の読取デバイス201による位置検出結果の一例を示す図である。
図4に示すように、記録媒体のエッジと画像パターンのエッジとの距離の検出を正しく行うことができる。
【0036】
加えて、読取デバイス201は、製造時の組み付けバラツキによって主走査方向に対して傾いて設置されてしまう場合がある。ここで、
図5は読取デバイス201が主走査方向に対して傾いて設置されている例を示す図、
図6は傾いて組み付けられている読取デバイス201による位置検出結果の一例を示す図である。
図5に示すように、読取デバイス201が主走査方向に対して傾いて設置されてしまった場合においても、
図6に示すように読取デバイス201による記録媒体の読取画像イメージは歪んでしまい、正しく位置検出を行うことができず、結果として誤った画像位置補正が行われてしまうことになる。
【0037】
すなわち、前述の位置検出において主走査位置だけでなく、読取デバイス201の設置時の傾き量も正確に検出することができれば、更なる品質の向上が期待できる。ただし、読取デバイス201の設置時の傾き量は小さいものとし、主走査位置の変化量は副走査位置の変化量に比べて無視できるほど小さいものとする。
【0038】
なお、上述した読取デバイス201の設置時の傾き量の検出については、読取デバイス201の伸縮検出結果を補正量として用いることが必要である。読取デバイス201が熱により伸縮している(もしくは反っている)場合、読取デバイス201による読取結果には自身が伸縮した(反った)影響が含まれている。つまり、読取デバイス201による傾き量検知において、“組み付け傾き”と“センサの伸縮”との2つの要因を持っている(複合要因)にも関わらず、傾きをそのまま検出しようとした場合には、検出誤差が生じてしまうからである。
【0039】
図7は、位置基準部材202と読取デバイス201との深度方向の位置関係を示す図である。通常、CIS等の読取デバイス201は、高さ(深度)方向に依存して、画像特性が変化する特性を持っている。このような画像特性の代表例として、一般的には、
・MTF(焦点深度)
・照明深度
が挙げられる。また、読取デバイス201によっては、高さ(深度)方向の依存に加え、主走査方向位置によっても特性が異なる性質を持つものもある。
【0040】
そこで、本実施の形態においては、読取デバイス201が記録媒体を読み取る際の深度(高さ)方向位置と、読取デバイス201が位置基準部材202上のマークMを読み取る際の深度(高さ)方向位置とが一致するように、位置基準部材202と読取デバイス201とが配置されている。これにより、深度方向に依存する読取デバイス201の画像特性差の影響を極力低減することによって、位置検出の精度向上を図ることができる。
【0041】
図8は、位置基準部材202と読取デバイス201との位置関係の別の一例を示す図である。位置基準部材202上の基準ラインであるマークMの明暗がはっきりしているほど、読取デバイス201によってマークMをより検知し易くなる。そこで、
図8に示すように、位置基準部材202を傾けて読取デバイス201に正反射光が入射されるような構成としてもよい。このように構成することにより、マークMは黒色で十分反射光が返ってこないことを想定すると、位置基準部材202上のマークMが有る領域と無い領域での明暗を強調でき、マークMをより検知し易くなる。また、位置基準部材202としてガラスを用いる場合、ガラスの背景として白色部材を設けることで、上記の明暗を目立たせることができる。さらに、マークMを白色、背景を黒色部材としても良い。
【0042】
図9は、印刷システム1のハードウェアの電気的接続の一例を示すブロック図である。
【0043】
図9に示すように、印刷システム1は、コントローラ10とエンジン部(Engine)60とエンジン部(Engine)70とをPCIバスで接続した構成となる。コントローラ10は、印刷システム1の全体の制御、描画、通信、及び操作表示部であるオペレーションパネル101からの入力を制御するコントローラである。エンジン部60は、PCIバスに接続可能なエンジンであり、例えば、読取デバイス201等のスキャナエンジンなどである。エンジン部60には、エンジン部分に加えて、シェーディング補正やガンマ変換などの画像処理部分も含まれる。エンジン部70は、PCIバスに接続可能なエンジンであり、例えば、作像部103Y、103M、103C、103Kを含むプロッタ等のプリントエンジンなどである。
【0044】
コントローラ10は、CPU(Central Processing Unit)11と、ノースブリッジ(NB)13と、システムメモリ(MEM-P)12と、サウスブリッジ(SB)14と、ローカルメモリ(MEM-C)17と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)16と、ハードディスクドライブ(HDD)18とを有し、ノースブリッジ(NB)13とASIC16との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス15で接続した構成となる。また、MEM-P12は、ROM12aと、RAM12bとをさらに有する。
【0045】
CPU11は、印刷システム1の全体制御を行うものであり、NB13、MEM-P12およびSB14からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。
【0046】
NB13は、CPU11とMEM-P12、SB14、AGPバス15とを接続するためのブリッジであり、MEM-P12に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタおよびAGPターゲットとを有する。
【0047】
MEM-P12は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM12aとRAM12bとからなる。ROM12aは、プログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM12bは、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いる書き込みおよび読み出し可能なメモリである。
【0048】
SB14は、NB13とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB14は、PCIバスを介してNB13と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインタフェース(I/F)部なども接続される。
【0049】
ASIC16は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス15、PCIバス、HDD18およびMEM-C17をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC16は、PCIターゲットおよびAGPマスタと、ASIC16の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM-C17を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、エンジン部60やエンジン部70との間でPCIバスを介したデータ転送を行うPCIユニットとからなる。このASIC16には、PCIバスを介してUSB40、IEEE1394(the Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)インタフェース(I/F)50が接続される。オペレーションパネル101はASIC16に直接接続されている。
【0050】
MEM-C17は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリであり、HDD18は、画像データの蓄積、プログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。
【0051】
AGPバス15は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレーターカード用のバスインターフェースであり、MEM-P12に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレーターカードを高速にするものである。
【0052】
本実施の形態の印刷システム1で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0053】
さらに、本実施の形態の印刷システム1で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態の印刷システム1で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0054】
[印刷システム1の機能構成の説明]
次に、印刷システム1のCPU11がHDD18やROM12aに記憶されたプログラムを実行することによって発揮する機能について説明する。なお、ここでは従来から知られている機能については説明を省略し、本実施の形態の印刷システム1が発揮する特徴的な機能について詳述する。
【0055】
図10は、印刷システム1の機能構成を示す機能ブロック図である。
【0056】
図10に示すように、印刷システム1のCPU11は、第1位置検出部111、第2位置検出部112、制御部113、印刷制御部114、として機能する。なお、CPU11は、第1位置検出部111、第2位置検出部112、制御部113、印刷制御部114、の他に、記録媒体の搬送を制御する搬送制御部等の機能を実現してもよいことは、言うまでもない。
【0057】
なお、本実施の形態においては、印刷システム1が発揮する特徴的な機能をCPU11がプログラムを実行することにより実現するものとしたが、これに限るものではなく、例えば、上述した各部の機能のうちの一部または全部が専用のハードウェア回路で実現されてもよい。
【0058】
第1位置検出部111は、読取デバイス201で読み取った画像から、記録媒体の外形形状と、記録媒体上の画像パターンの位置とを検出する(第1の検出結果)。
【0059】
ここで、
図11は記録媒体の外形形状と記録媒体上の画像パターンの位置を示す図である。
図11に示すように、記録媒体の外形形状は、記録媒体の四隅Oの位置を検出することにより推定される。また、記録媒体上の画像パターンの位置は、画像書込領域を定義する記録媒体の四隅Oの近傍に形成されたL字形状の画像パターンPの位置を検出することにより推定される。
【0060】
第1位置検出部111は、上述のようにして、記録媒体の位置(記録媒体の外形形状)と画像パターン位置の2つの検出結果を第1の検出結果とする。
【0061】
第2位置検出部112は、読取デバイス201で読み取った画像から、位置基準部材202上に配置されたマークMの位置を検出する(第2の検出結果)。
【0062】
そして、制御部113は、第2の検出結果に応じて読取デバイス201の状態を把握し、補正パラメータとして保持する。また、制御部113は、第1の検出結果と第2の検出結果を検出した読取デバイス201の撮像素子とに基づいて読取デバイス201の伸縮量を検出し、処理対象である記録媒体に対する処理位置(画像書込位置)を補正する。
【0063】
図2に示す設置例では、位置基準部材202の基準位置を低温時における読取デバイス201の主走査方向の略中央を基準位置(支持点)として設置している。
図2に示すように、読取デバイス201の略中央が基準位置(支持点)である場合には、基準位置を中心として主走査先端、後端側それぞれに向かって読取デバイス201の基板の伸縮が発生することになる。しかしながら、読取デバイス201の基板の伸縮によって読取デバイス201の画素位置がずれた場合でも、制御部113は、位置基準部材202のマークMを読み取り、以下の処理を実施することで、正確に読取デバイス201の傾き補正をすることができる。
1.位置基準部材202上に配置されたマークMの位置を検出することで、主走査位置の補正値(第1の補正値)を決定(センサ伸縮検出)
2.マークMの位置により得られる読取デバイス201の傾き量(第2の補正値)を1.で得た結果を用いて補正(組み付け傾き検出)
【0064】
ここで、
図12は読取デバイス201の主走査位置による変化量の違いについて説明する図である。
図12に示す例は、総画素数Xに対して、その1/2に相当する画素番号X/2を基準位置(支持点)とした場合の一例である。
図12に示すように、主走査方向の略中央X/2が基準の場合において、伸張量が主走査位置に対して左右対称に比例関係で伸張するのであれば、X/2を中心として主走査の先端、後端に向かって伸張量が大きくなる。前述したように、位置基準部材202の複数のマークM(縦線)は基準位置から既知の幅(D[mm])で設けられており、制御部113は、マークM(縦線)を検出した画素位置から主走査方向の補正値を決める。
【0065】
【0066】
図13で示している位置基準部材202上の左側のマークM(縦線)を検出した画素をXf画素目とし、位置基準部材202上の右側のマークM(縦線)を検出した画素をXr画素目とする。すなわち、
図13に示すように、第2位置検出部112は、標準環境下(例えば低温時)において、読取デバイス201により読み取った画像から、位置基準部材202上に配置されたマークM(ML,MR)の位置に対応する画素番号Xf,Xr(単位:dot)を補正パラメータとして検出する(第2の検出結果)。
【0067】
続いて、第1位置検出部111は、読取デバイス201で読み取った画像から、記録媒体の外形形状と、記録媒体上の画像パターンの位置とを検出する(第1の検出結果)。ここで、第1の検出結果を
・記録媒体の先端位置:X1L(単位:dot)
・記録媒体の後端位置:X1R(単位:dot)
・画像パターンの先端位置:X2L(単位:dot)
・画像パターンの後端位置:X2R(単位:dot)
と定義する。
【0068】
次に、制御部113は、補正パラメータ(Xf,Xr)を用いて読取デバイス201の1画素(撮像素子)に相当する物理長pix_f、pix_rを算出する。読取デバイス201の画素番号Xcが基準位置に相当する場合、以下演算式にてpix_f、pix_rを算出する。
基準位置から主走査先端側 pix_f=D/Xc-Xf(単位:mm/dot)
基準位置から主走査後端側 pix_r=D/Xr-Xc(単位:mm/dot)
【0069】
そして、制御部113は、記録媒体に対する画像書込位置を補正する。任意の主走査位置Xaにおける、補正後の主走査位置X’af,X’arは以下の式で表される。以後、主走査位置/副走査位置を長さ換算したパラメータには「’」を付することとする。
X’af=Xa×pix_f (Xa<Xcの時) (単位:mm)
X’ar=Xa×pix_r (Xa>Xcの時) (単位:mm)
【0070】
加えて、制御部113は、読取デバイス201の主走査方向に対する傾き量(第2の補正値)を検出するとともに、副走査方向の補正を行う。
【0071】
読取デバイス201が主走査方向に対して角度θで設置されている場合、更に副走査方向の補正を行う。読取デバイス201の傾き量(第2の補正値)は、例えば読取デバイス201による副走査方向へのスキャン動作で基準ラインであるマークM(縦線)を読み取ったときに、2つのマークM(縦線)のエッジを読んだライン数の差から検出できる。
【0072】
ここで、
図14は傾き量の検出手法を示す図である。
図14は、主走査方向に対して傾きθで設置された読取デバイス201によって位置基準部材202を読み取った画像データを示すものである。
図14に示す画像データにおいて、位置基準部材202上の2つのマークMが縦線であった場合であっても、ミクロ的な観点で見ればマークMを長方形として捉えることができる。
図14に示す画像データ中のマークMの拡大図のように、制御部113は、主走査の情報x1(x2)と副走査の情報y1(y2)と、2つの情報を得ることが可能である。
【0073】
制御部113は、読取デバイス201の基準位置の主走査位置をX’c、読取デバイス201の基準位置の副走査位置をY’c、マークM(縦線)を読み取った際の副走査方向の位置情報をそれぞれ、Y’af,Y’arとすると、制御部113は、読取デバイス201の傾き量(第2の補正値)をそれぞれslope_f,slope_rとして下記の式に基づいて算出する。
slope_f=(Y’c-Y’af)/(X’C-X’af)
slope_r=(Y’ar-Y’C)/(X’ar-X’c)
【0074】
ここで、理想的には、slope_fとslope_rとは一致する。ただし、読取デバイス201の撮像素子(CMOSイメージセンサ)の実装状態によっては、一致しない場合も起こり得る。このとき、上記式のように補正後の主走査位置(X’afおよびX’ar)を計算に用いることで、正確に読取デバイス201の傾き検知を行うことが可能になる。
【0075】
図15は、基準ラインとなるマークMの他の例を示す図である。
図15に示すように、基準ラインとなるマークMは縦線に限らず、正方形、三角形、L字、十字など種々のマークで実施可能である。
【0076】
制御部113は、第1位置検出部111および第2位置検出部112に対してエッジ検出開始タイミングを示す制御信号を出力する。第1位置検出部111および第2位置検出部112は、エッジ検出開始タイミングを起点に、記録媒体の外形形状と記録媒体上の画像パターンの位置とを検出する処理や、位置基準部材202上に配置されたマークMの位置を検出する処理を行う。
【0077】
制御部113は、補正パラメータ(Xf,Xr)を用いて補正した記録媒体に対する画像書込位置を画像書込位置情報に変換し、印刷制御部114に通知する。
【0078】
印刷制御部114は、制御部113から通知された画像書込位置情報に基づいてエンジン部70を制御し、記録媒体への画像書き込み制御を行う。
【0079】
次に、印刷システム1が実行する画像書込位置通知処理について説明する。
【0080】
ここで、
図16は画像書込位置通知処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
図16に示すように、電源ONによって印刷システム1に電源が供給されると(ステップS1)、制御部113は、第2位置検出部112に対して、位置基準部材202上に配置されたマークMの位置(Xf,Xr)を検出するための制御信号を出力する(ステップS2)。
【0081】
第2位置検出部112は、制御信号を受信すると、読取デバイス201を制御して位置基準部材202上に配置されたマークMの読み取りを行い、マークMの位置(Xf,Xr)を検出する(ステップS3)。マークMの位置(Xf,Xr)は、位置基準部材202上に配置された2つのマークMにそれぞれ対応するように検出される。
【0082】
第2位置検出部112は、マークMの位置(Xf,Xr)を検出結果として制御部113に送信する(ステップS4)。
【0083】
制御部113は、送信されたマークMの位置(Xf,Xr)を記憶部であるRAM12b等に記憶する(ステップS5)。
【0084】
その後、制御部113は、ユーザからの印刷ジョブのジョブ開始命令を受けるまで(ステップS6のNo)、待機する。
【0085】
印刷ジョブのジョブ開始命令を受けると(ステップS6のYes)、制御部113は、画像パターンが印刷された記録媒体を読取デバイス201の読取位置まで搬送する(ステップS7)。
【0086】
次いで、制御部113は、第1位置検出部111に対して、搬送された記録媒体の外形形状と記録媒体上の画像パターンの位置とを検出するための制御信号を出力する(ステップS8)。
【0087】
第1位置検出部111は、制御信号を受信すると、読取デバイス201を制御して搬送された記録媒体の外形形状と記録媒体上の画像パターンの位置の読み取りを行い、記録媒体の外形形状と記録媒体上の画像パターンの位置を検出する(ステップS9)。より詳細には、下記に示す各種位置を検出する。
・記録媒体の先端位置:X1L(単位:dot)
・記録媒体の後端位置:X1R(単位:dot)
・画像パターンの先端位置:X2L(単位:dot)
・画像パターンの後端位置:X2R(単位:dot)
【0088】
第1位置検出部111は、記録媒体の外形形状と記録媒体上の画像パターンの位置を検出結果として制御部113に送信する(ステップS10)。
【0089】
次いで、制御部113は、Xf,Xrを補正パラメータとして用いて、記録媒体の端部位置~画像パターンの端部位置であるΔXL、ΔXRを算出するとともに、読取デバイス201の傾き量(第2の補正値)を算出する(ステップS11)。ここで、記録媒体における主走査方向の先端を基準とした画像位置ΔXL、記録媒体における主走査方向の後端を基準とした画像位置ΔXRは、下記のように定義される。
ΔXL=(X2L-X1L)×pix_f [mm]
ΔXR=(X1R-X2R)×pix_r [mm]
【0090】
制御部113は、記録媒体に対する画像書込位置であるΔXL、ΔXRおよび傾き量を画像書込位置情報に変換し、印刷制御部114に通知する(ステップS12)。
【0091】
このように本実施の形態によれば、位置基準部材202を設置し、位置基準部材202上のマークMの位置を読取デバイス201で検出して、読取デバイス201の熱による主走査方向の画素位置ずれに対する補正値(第1の補正値)を得るとともに、当該補正値(主走査位置ずれ)で読取デバイス201の取り付け角度の傾き量(第2の補正値)を補正して書き込み位置を補正することによって、下記の検出結果の精度を向上させることができる。
・記録媒体に印刷された画像パターンの位置
・記録媒体の外形エッジ位置の位置
これにより、読取デバイス201の取り付け角度の補正を正確に行いつつ、読取デバイス201の発熱起因の伸縮によって発生した位置検出結果の誤差を低減することができる。
【0092】
また、給電の度に、位置基準部材202上のマークMの位置を検出することによって、定期的に読取デバイス201の伸縮状態を把握して、補正パラメータを更新する。これによって、検出精度の安定化向上が期待できる。
【0093】
なお、本実施の形態においては、読取デバイス201として、所謂、等倍光学系であるCISを適用したが、これに限るものではない。例えば、読取デバイス201は、光源と、複数の反射部材(ミラー)と、結像レンズ、リニアイメージセンサなどで構成される、所謂、縮小光学系の読み取りデバイスであっても構わず、読み取り対象物の位置を検出できるデバイスであれば、位置検出精度を向上することが可能である。
【0094】
なお、本実施の形態においては、読取デバイス201は、読取デバイス201の中央から左右対称に主走査位置に比例して伸張することを想定したが、これに限るものではなく、読取デバイス201の状態変化の場合に応じて基準ラインであるマークMの縦線の配置を変えることで、対応可能となる。
【0095】
ここで、
図17-1は媒体位置検出装置200における読取デバイス201と位置基準部材202との対応位置関係の変形例を示す模式図、
図17-2は主走査位置毎の伸張量を示すグラフである。
図17-1においては、(a)低温時、(b)高温時におけるそれぞれの読取デバイス201の状態を示している。
図17-1に示すように、位置基準部材202は、低温時における読取デバイス201の主走査方向の一端部(先端部)の撮像素子である先頭画素に対応する位置を、基準位置(支持点)として設置される。
図17-1においては、読取デバイス201の画素の伸張量(変化量)は、主走査方向に一様であることを前提とする。上記前提の場合、
図17-2に示すように、ある温度変化(低温→高温)が生じた際の読取デバイス201の画素の伸張量(基準位置を基準とする)は、画素番号Xにおける伸張量=Aである場合、画素番号X/2における伸張量=A/2となる。つまり、主走査方向の他端部(後端部)に向かうほど、温度伸張による累積誤差が大きくなっており、検出精度(誤差)も悪化する。
【0096】
図17-2に示すように、読取デバイス201の画素の伸張量(変化量)が主走査位置に対して比例関係であれば、少なくとも1箇所でもマークMの縦線があれば、任意の主走査位置の補正が可能である(位置基準部材202上のマークMの縦線は必ずしも複数本ある必要は無い)。
【0097】
また、
図18-1は媒体位置検出装置200における読取デバイス201と位置基準部材202との対応位置関係の変形例を示す模式図、
図18-2は主走査位置毎の伸張量を示すグラフである。
図18-1に示す例では、読取デバイス201の画素の伸張量は、主走査の後端に向かう程、著しく大きくなっていく。
図18-2では、画素番号Xにおける伸張量Aである場合、画素番号X/2における伸張量A/10になる例を示している。
【0098】
図18-2に示すように、読取デバイス201の画素の伸張量(変化量)が主走査位置に比例して伸張しない場合は、伸張量(変化量)の関数が既知であればマークMの縦線は1本であれば十分である。また、伸張量(変化量)の関数が未知であれば、基準位置近辺の伸張量(変化量)は小さいとし、基準点から離れている位置での伸張量(変化量)は大きいというように、簡単に2領域に分けて考えると、読取デバイス201の1画素に相当する物理長をD1,D2と領域に対して分けて考えれば良い。
【0099】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0100】
第2の実施の形態は、位置基準部材202上の基準ラインであるマークMとして縦線に加えて横線を用いた点で、マークMとして縦線のみを用いた第1の実施の形態と異なる。以下、第2の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態と異なる箇所について説明する。
【0101】
ここで、
図19は第2の実施の形態にかかる媒体位置検出装置200における読取デバイス201と位置基準部材202との対応位置関係を示す模式図である。
図19においては、読取デバイス201が主走査方向に対して傾いて設置されている例を示す。
【0102】
図19に示すように、位置基準部材202は、別の角度を持った2種の基準ラインで構成されるマークMを配置している。本実施の形態においては、別の角度を持った2種の基準ラインの1つは、読取デバイス201の主走査方向の一端部(先端部)の撮像素子である先頭画素に対応する位置、および読取デバイス201の主走査方向の他端部(後端部)の撮像素子である後尾画素に対応する位置に配置されるものであって副走査方向に平行な第1の基準マークである“縦線”である。別の角度を持った2種の基準ラインのもう1つは、読取デバイス201の主走査方向に平行な第2の基準マークである“横線”である。なお、本実施の形態においては、マークMの“縦線”を先頭画素に対応する位置および後尾画素に対応する位置にそれぞれ配置するようにしたが、これに限るものではなく、先頭画素または後尾画素に対応する位置以外の位置に配置するようにしてもよい。
【0103】
読取デバイス201の基板の伸縮によって読取デバイス201の画素位置がずれた場合でも、制御部113は、位置基準部材202のマークMを読み取り、以下の処理を実施することで、正確に読取デバイス201の傾き補正をすることができる。
1.位置基準部材202上に配置されたマークM(縦線)の位置を検出することで、主走査位置の補正値(第1の補正値)を決定(センサ伸縮検出)
2.位置基準部材202上に配置されたマークM(横線)を検出することで得られる読取デバイス201の傾き量(第2の補正値)を1.で得た結果を用いて補正(組み付け傾き検出)
【0104】
制御部113は、上記1.の主走査方向の補正について、
図13を用いて説明した主走査方向の補正と同様の処理を行う。
【0105】
加えて、制御部113は、読取デバイス201の主走査方向に対する傾き量(第2の補正値)を検出するとともに、副走査方向の補正を行う。
【0106】
ここで、
図20は傾き量の検出手法および副走査方向の補正手法を示す図である。
図20に示すように、読取デバイス201の基準位置の主走査位置をX’c、読取デバイス201の基準位置の副走査位置をY’c、マークM(横線)を読み取った際の副走査方向の位置情報をそれぞれ、Y’af,Y’arとすると、制御部113は、読取デバイス201の傾き量(第2の補正値)をそれぞれslope_f,slope_rとして下記の式に基づいて算出する。
slope_f=(Y’c-Y’af)/(X’C-X’af)
slope_r=(Y’ar-Y’C)/(X’ar-X’c)
【0107】
ここで、理想的には、slope_fとslope_rとは一致する。ただし、読取デバイス201のセンサ素子の実装状態によっては、一致しない場合も起こり得る。このとき、上記式のように補正後の主走査位置(X’afおよびX’ar)を計算に用いることで、正確に読取デバイス201の傾き検知を行うことが可能になる。
【0108】
なお、マークM(横線)が読取デバイス201の撮像素子(CMOSイメージセンサ)の幅よりも長い場合、制御部113は、読取デバイス201上の任意の副走査位置Y’aを下記式によって求めることができる。
Y’a=Y’c-slope_f×(X’c-X’a) (ただし、Y’a<Y’c)
Y’a=Y’c+slope_r×(X’a-X’c) (ただし、Y’a>Y’c)
【0109】
制御部113は、読取デバイス201上の任意の副走査位置Y’a分を、実際に読み取った画像データの副走査位置に補正することで、読取デバイス201の状態変化があっても、読取デバイス201の傾き分を補正することができる。
【0110】
このように本実施の形態によれば、位置基準部材202を設置し、位置基準部材202上のマークMの位置を読取デバイス201で検出して、読取デバイス201の熱による主走査方向の画素位置ずれに対する補正値(第1の補正値)を得るとともに、当該補正値(主走査位置ずれ)で読取デバイス201の取り付け角度の傾き量(第2の補正値)を補正して書き込み位置を補正することによって、下記の検出結果の精度を向上させることができる。
・記録媒体に印刷された画像パターンの位置
・記録媒体の外形エッジ位置の位置
これにより、読取デバイス201の取り付け角度の補正を正確に行いつつ、読取デバイス201の発熱起因の伸縮によって発生した位置検出結果の誤差を低減することができる。
【0111】
なお、本実施の形態においては、基準ラインであるマークMの縦線と横線の配置について、説明の簡易化のために主走査方向および副走査方向に平行になる(すなわち、マークMの縦線と横線とが直交する)ものとしたが、これに限るものではない。位置基準部材202上に基準ラインであるマークMがどのように描かれているか(マークMの縦線と横線がどのような角度で描かれているか)が既知であることを条件として、上述の補正結果に、その角度情報を入れれば、計算可能である。
【0112】
ここで、
図21はマークMの縦線と横線とが直交していない例を示す図である。
図21に示す例では、マークMの縦線を副走査方向に対してθ1で設け、マークMの横線を主走査方向に対してθ2で設けている。
【0113】
たとえば、
図21に示すように、基準位置からマークMの縦線の中心位置までの距離をD(既知)とすると、マークMの縦線の中心位置を把握したうえで主走査位置を補正すればよい。つまり、マークMの縦線と副走査方向が成す角θ1は、必ずしも設ける縦線全て共通の角度である必要は無い。
【0114】
一方、マークMの横線を設けている角度θ2が既知であれば、任意の主走査位置X’gaに対する横線の副走査位置Y’gaは既知の値である。このため、前述の方法で読取デバイス201の傾きslope_aを求める際の分子にY’gaを加算もしくは減算することで補正可能となる。
【0115】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態について説明する。
【0116】
第3の実施の形態は、読取デバイス201の基板上の各センサチップに対して1つのマークMの縦線がそれぞれ読み取れるように、位置基準部材202上に複数のマークMの縦線を等間隔で配列するようにした点が、第1の実施の形態ないし第2の実施の形態と異なる。以下、第3の実施の形態の説明では、第1の実施の形態ないし第2の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態ないし第2の実施の形態と異なる箇所について説明する。
【0117】
ここで、
図22は第3の実施の形態にかかる読取デバイス201のセンサチップの実装位置の実態について説明する図である。
図22に示すように、読取デバイス201に適用されるCISは、一般的に、複数画素を有するセンサチップを、主走査方向に複数配列することによって、必要な主走査有効読取長を確保する構成で知られている。
【0118】
ここで、CISを読取デバイス201に適用する際の課題について説明する。
図23は、読取デバイス201のセンサチップの実装例を示す図である。
図23に示すように、隣接するセンサチップ間のギャップは、通常、所定の物理長(例えば1画素)の間隔をあけて実装されるが、これは公差を持つことで知られている。
図23に示すように、読取デバイス201の隣接する各センサチップ間の間隔は、必ずしも等しくならない。そのため、
図23に示すように、記録媒体の先端位置と画像パターンの先端位置とが隣接する2つのセンサチップ間に跨った形で位置検出する場合においては、隣接する2つのセンサチップ間の間隔が不明であり、かつ、隣接するセンサチップ毎にその値はばらついてしまう、という問題がある。
【0119】
更に、センサチップを実装する基板には、センサチップを駆動・制御する複数の半導体部品が実装されるのが一般的であり、各部品の基板上の配置(レイアウト)や各部品の個々の自己発熱量の差異によって、基板全体の発熱分布は必ずしも一様にはならない。従って、読取デバイス201の基板の主走査方向位置による伸縮量も一様とはならず、読取デバイス201の隣接するセンサチップ間のギャップの伸縮量が等しくならない可能性が考えられる。
【0120】
そこで、上記した課題(位置検出誤差要因)を考慮し、更なる位置検出精度の向上を図るために、以下のような構成が考えられる。
【0121】
ここで、
図24は媒体位置検出装置200における読取デバイス201と位置基準部材202との対応位置関係を示す模式図である。
図24に示すように、読取デバイス201のセンサチップの個々の長さ(主走査幅)は基板長より短い。そのため、本実施の形態においては、読取デバイス201の基板長の伸縮量に比べて、読取デバイス201のセンサチップ内の各画素の伸縮量は無視できるほどに小さく、読取デバイス201の隣接するセンサチップ間の間隙が温度変化により伸縮するという前提のもとに、以下説明していく。
【0122】
図24に示すように、本実施の形態では、読取デバイス201の基板上の各センサチップに対してそれぞれマークMの縦線が読み取れるように、位置基準部材202上に複数のマークMの縦線を等間隔で配置する。
【0123】
すなわち、
図24に示すように、位置基準部材202に配置する基準ラインであるマークMの縦線の間隔を、K番目のセンサチップのN画素目と隣り合うセンサチップ(K-1番目、K+1番目)のN画素目までの距離を理想的な距離Dcとし、読取デバイス201の基板上の各センサチップに対して少なくともマークMの縦線を1本読み取れるような構成とする。
【0124】
媒体位置検出装置200は、記録媒体の端部位置や画像パターンの端部位置を検出する前に、位置基準部材202上のマークMの縦線の位置を読取デバイス201により読み取って、読取デバイス201の各センサチップ毎に対応するマークMの縦線の位置を検出して、補正パラメータとする。
【0125】
ここで、
図25は読取デバイス201に対する主走査位置の補正手法を例示的に説明する図である。
図25に示すように、K番目のセンサチップ内でマークMの縦線を読み取った画素番号をX(K)とし、K+1番目のセンサチップ内でマークMの縦線を読み取った画素番号をX(K+1)とすると、読取デバイス201のセンサ1画素に相当する物理長:pix(K,K+1)は、下記の式で表される。
Pix(K,K+1)=Dc/(X(K+1)-X(K)) [mm/dot]
【0126】
よって、任意の主走査位置Xaにおける補正後の主走査位置X’aは、下記の式で表される。
X’a=Xa×pix(K,K+1) [mm]
(ただし、X(K)<Xa<X(K+1))
【0127】
なお、上記においては隣り合うセンサチップに対しての例を示したが、これに限るものではない。例えば、K番目のセンサチップからnチップ離れたK+n番目のセンサチップに注目した場合、読取デバイス201のセンサ1画素に相当する物理長:pix(K,K+1)は、下記の式で表される。
Pix(K,K+n)=(Dc×n)/(X(K+n)-X(K)) [mm/dot]
【0128】
よって、任意の主走査位置Xaにおける補正後の主走査位置X’aは、下記の式で表される。
X’a=Xa×pix(K,K+n) [mm]
(ただし、X(K+n-1)<Xa<X(K+n))
上述したように、読取デバイス201の隣接するセンサチップ間の間隔は必ずしも等しくないため、X(K+n)の1チップ前~X(K+n)に上式を使用するのが望ましい。
【0129】
制御部113は、このようにして算出した主走査位置の補正後の値X’aを副走査位置の検出に用いる。
【0130】
このように本実施の形態によれば、読取デバイス201のセンサチップの実装公差や、読取デバイス201の発熱影響による伸縮量に依らず、位置検出精度の向上が期待できる。
【0131】
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態について説明する。
【0132】
第4の実施の形態は、読取デバイス201の主走査方向の伸縮のみならず、高さ(深度)方向の反りも考慮した点が、第1の実施の形態ないし第3の実施の形態と異なる。以下、第4の実施の形態の説明では、第1の実施の形態ないし第3の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態ないし第3の実施の形態と異なる箇所について説明する。
【0133】
ここで、
図26は第4の実施の形態にかかる読取デバイス201の発熱による高さ(深度)方向の反りについて説明する図である。
図26に示すように、読取デバイス201は、自己発熱や周囲温度上昇によって、主走査方向の伸縮の他、高さ(深度)方向の反りが生じ、主走査方向の倍率誤差を生じさせるケースがあることが一般的に知られている。
【0134】
例えば、
図26(a)に示すように、読取デバイス201に高さ(深度)方向の反りが無い場合には、
幅:L1(単位:mm)に相当する画素幅=A(単位:dot)
幅:L2(単位:mm)に相当する画素幅=B(単位:dot)
である。これに対して、
図26(b)に示すように、読取デバイス201に高さ(深度)方向の反りが有る場合には、
幅:L1(単位:mm)に相当する画素幅=A’(単位:dot)
幅:L2(単位:mm)に相当する画素幅=B’(単位:dot)
である。ここで、A≠A’、B≠B’である。つまり、同じ物理長に対して、読取デバイス201による検出画素幅が異なることになる。
【0135】
図27は、読取デバイス201における高さ(深度)方向の反りに対応する位置基準部材202上のマークMの縦線の配置例について説明する図である。
図27に示すように、本実施の形態の媒体位置検出装置200は、読取デバイス201の反り量に対応するように、位置基準部材202上に所定間隔でマークMの縦線を配置している。
【0136】
より詳細には、
図27に示すように、読取デバイス201における高さ(深度)方向の反り量が主走査方向の所定位置から両端部に向かって急激に大きくなる。このため、本実施の形態においては、
・反り量が大きい主走査方向の両端領域:間隔が比較的狭い、既知のD1
・反り量が小さい主走査方向の中央領域:間隔が比較的広い、既知のD2
とし、反りによる検出精度誤差への影響が大きい領域ほど間隔を狭くする。
【0137】
制御部113は、このようにして算出した主走査位置の補正後の値を副走査位置の検出に用いることで、読取デバイス201の状態変化に対しても読取デバイス201の傾きを補正することができ、記録媒体の正確な位置検出が可能となる。
【0138】
なお、位置基準部材202上のマークMの縦線の配置パターンについては、本実施の形態に記載の内容に限定されるものではない。
図27では位置基準部材202上のマークMの縦線の間隔を2種類としているが、主走査方向の両端部から主走査方向の略中央部に向かって、徐々にマークMの縦線の間隔が狭くなるよう、間隔の粗密を設ける方法であっても構わない。
【0139】
このように本実施の形態によれば、読取デバイス201の主走査方向の伸縮のみならず、高さ(深度)方向の反りも考慮した高精度な記録媒体の端部、画像位置の検出を実現することができる。
【0140】
(第5の実施の形態)
次に、第5の実施の形態について説明する。
【0141】
第5の実施の形態は、マークMを構成する縦線および横線の配置関係の最適化を図るようにした点が、第1の実施の形態ないし第4の実施の形態と異なる。以下、第5の実施の形態の説明では、第1の実施の形態ないし第4の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態ないし第4の実施の形態と異なる箇所について説明する。
【0142】
ここで、
図28は第5の実施の形態にかかるマークMを構成する縦線および横線の配置関係の最適化について説明する図である。媒体位置検出装置200は、前述の通り、マークMの縦線を読み取って読取デバイス201の伸張量を補正し、その補正量を用いてマークMの横線を読み取ったことによって得られた副走査位置の補正をしている。そのため、マークMを構成する縦線および横線を読み取る時間間隔Δtを短くし、両者を読む間に状態変化が起きないことが望ましい。
【0143】
マークMを構成する縦線および横線を読み取る時間間隔を短くするには、
図28(a)に示すように位置基準部材202上のマークMを構成する縦線と横線とを離すのではなく、
図28(b)に示すように縦線と横線とを読取デバイス201の副走査位置にて重複するように配置することが望ましい。位置基準部材202上のマークMを構成する縦線と横線とを読取デバイス201の副走査位置にて重ならせるように配置することで、縦線および横線を読み取る読取範囲が狭くなり、マークMを構成する縦線および横線を読み取る時間間隔が短くなる。
【0144】
図28(a)においてマークMを構成する縦線と横線とを読み取る時間をΔt1とし、
図28(b)においてマークMを構成する縦線と横線とを読み取る時間をΔt2とすると、Δt1>Δt2となる。したがって、
図28(b)に示す配置の方が読取デバイス201の状態変化に対して強くなる(急峻な温度変化でも傾き検知誤差は小さくなる)。また、マークMを構成する縦線と横線とを読み取る時間間隔Δtが短いほど、検出時間自体も短縮することができる。
【0145】
なお、読取デバイス201としてエリアセンサを用いれば、マークMを構成する縦線と横線を同時に読み取ることができ、Δt=0となり、経時変化による誤差はなくなる。
【0146】
このように本実施の形態によれば、比較的短い時間間隔でマークMを構成する縦線と横線とを読み取ることができるので、読取デバイス201の傾き量(第2の補正値)をより正確に検知することができる。
【0147】
(第6の実施の形態)
次に、第6の実施の形態について説明する。
【0148】
第6の実施の形態は、ジョブ開始命令ごとに位置基準部材202上に配置されたマークMの位置を検出するようにした点が、第1の実施の形態ないし第5の実施の形態と異なる。以下、第6の実施の形態の説明では、第1の実施の形態ないし第5の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態ないし第5の実施の形態と異なる箇所について説明する。
【0149】
ここで、
図29は第6の実施の形態にかかる画像書込位置通知処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
図29に示すように、電源ONによって印刷システム1に電源が供給されると(ステップS21)、制御部113は、ユーザからの印刷ジョブ開始命令を受けるまで(ステップS22のNo)、待機する。
【0150】
印刷ジョブ開始命令を受けると(ステップS22のYes)、制御部113は、第2位置検出部112に対して、位置基準部材202上に配置されたマークMの位置(Xf,Xr)を検出するための制御信号を出力する(ステップS23)。
【0151】
第2位置検出部112は、制御信号を受信すると、読取デバイス201を制御して位置基準部材202上に配置されたマークMの読み取りを行い、マークMの位置(Xf,Xr)を検出する(ステップS24)。
【0152】
第2位置検出部112は、マークMの位置(Xf,Xr)を検出結果として制御部113に送信する(ステップS25)。
【0153】
制御部113は、送信されたマークMの位置(Xf,Xr)を記憶部であるRAM12b等に記憶する(ステップS26)。
【0154】
次いで、制御部113は、画像パターンが印刷された記録媒体を読取デバイス201の読取位置まで搬送する(ステップS27)。
【0155】
また、制御部113は、第1位置検出部111に対して、搬送された記録媒体の外形形状と記録媒体上の画像パターンの位置とを検出するための制御信号を出力する(ステップS28)。
【0156】
第1位置検出部111は、制御信号を受信すると、読取デバイス201を制御して搬送された記録媒体の外形形状と記録媒体上の画像パターンの位置の読み取りを行い、記録媒体の外形形状と記録媒体上の画像パターンの位置を検出する(ステップS29)。より詳細には、下記に示す各種位置を検出する。
・記録媒体の先端位置:X1L(単位:dot)
・記録媒体の後端位置:X1R(単位:dot)
・画像パターンの先端位置:X2L(単位:dot)
・画像パターンの後端位置:X2R(単位:dot)
【0157】
第1位置検出部111は、記録媒体の外形形状と記録媒体上の画像パターンの位置を検出結果として制御部113に送信する(ステップS30)。
【0158】
次いで、制御部113は、X1L、X1R、X2L、X2Rのそれぞれに対応する(Xf,Xr)を補正パラメータとして用いて、記録媒体の端部位置~画像パターンの端部位置であるΔXL、ΔXRを算出するとともに、読取デバイス201の傾き量(第2の補正値)を算出する(ステップS31)。
【0159】
制御部113は、記録媒体に対する画像書込位置であるΔXL、ΔXRおよび傾き量を画像書込位置情報に変換し、印刷制御部114に通知する(ステップS32)。
【0160】
このように本実施の形態によれば、給電後から印刷ジョブ開始までの経過時間によって読取デバイス201の伸縮状態が変化することを考慮し、印刷ジョブ開始命令を受けた場合、記録媒体の読み取り動作を開始する前に、位置基準部材202上のマークMの位置を検出することによって、読取デバイス201の傾き量(第2の補正値)および伸縮状態を把握して、補正パラメータを更新するので、更なる検出精度の安定化が期待できる。
【0161】
なお、上記各実施の形態では、本発明の位置検出装置、画像形成装置を、電子写真方式の印刷装置を含む印刷システムに適用した例を挙げて説明したが、これに限るものではなく、インクジェット方式の印刷装置を含む印刷システムにも適用することができる。
【0162】
また、上記各実施の形態では、本発明の位置検出装置、画像形成装置を、商業印刷機(プロダクションプリンティング機)などの印刷装置を含む印刷システムに適用した例を挙げて説明したが、これに限るものではなく、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【0163】
さらに、上記各実施の形態では、本発明の位置検出装置を、画像形成分野の位置検出に適用した例を挙げて説明したが、これに限るものではなく、例えばFA分野における検品などの様々な分野の位置検出アプリケーションに応用が可能である。
【符号の説明】
【0164】
1 位置検出装置、画像形成装置
111 第1位置検出部
112 第2位置検出部
113 制御部
201 読取デバイス
202 位置基準部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0165】