(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】記録装置、記録方法及び記録物の製造方法
(51)【国際特許分類】
B41M 5/00 20060101AFI20220412BHJP
C09D 11/30 20140101ALI20220412BHJP
C09D 11/54 20140101ALI20220412BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20220412BHJP
B05D 5/04 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
B41M5/00 100
C09D11/30
C09D11/54
B41J2/01 123
B41J2/01 125
B41J2/01 305
B41J2/01 501
B41M5/00 132
B41M5/00 112
B05D5/04
(21)【出願番号】P 2018024258
(22)【出願日】2018-02-14
【審査請求日】2020-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】齋賀 拓也
(72)【発明者】
【氏名】藤田 勇祐
(72)【発明者】
【氏名】宮越 亮
【審査官】野田 定文
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-193579(JP,A)
【文献】特開2017-222833(JP,A)
【文献】特開2017-114934(JP,A)
【文献】国際公開第2017/069077(WO,A1)
【文献】特開2013-022910(JP,A)
【文献】特開2016-117872(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 5/00 - 5/52
B41J 2/01 - 2/215
C09D 11/00 - 11/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレンからなる記録媒体に、
ウレタン樹脂粒子及び水
からなる処理液を付着させる処理手段と、前記処理液が付着した記録媒体を加圧する加圧手段と、
前記記録媒体に対してインクを付与するインク付与手段と、を有し、
前記記録媒体の表面自由エネルギーをγ
A、テフロンシャーレに前記処理液を採り、乾燥させて形成した塗膜の表面自由エネルギーをγ
Bとしたとき、式(γ=γ
A-γ
B)で表されるγが
-2mJ/m
2
以上10mJ/m
2
以下であり、
前記記録媒体に前記処理液を付着させ、乾燥させて形成した塗工層において剛体振り子型物性試験により測定した対数減衰率が0.30以下であることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記記録媒体が連続したフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記処理液が色材を含まないことを特徴とする請求項1又は2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記加圧手段が搬送ローラーであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の記録装置。
【請求項5】
前記インク付与手段は、加圧された前記記録媒体に対して
インクを付与し、
前記インクは、色材、有機溶剤及び水を
含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の記録装置。
【請求項6】
前記
ウレタン樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)が-50℃以上100℃以下であることを特徴とする請求項1から
5のいずれかに記載の記録装置。
【請求項7】
前記処理液全量に対する前記
ウレタン樹脂粒子の含有量が1質量%以上50質量%以下であることを特徴とする請求項1から
6のいずれかに記載の記録装置。
【請求項8】
前記処理液の表面張力が25℃で40mN/m以下であることを特徴とする請求項1から
7のいずれかに記載の記録装置。
【請求項9】
ポリプロピレンからなる記録媒体に、
ウレタン樹脂粒子及び水
からなる処理液を付着させる処理工程と、前記処理液が付着した記録媒体を加圧する加圧工程と、
前記記録媒体に対してインクを付与するインク付与工程と、を有し、
前記記録媒体の表面自由エネルギーをγ
A、テフロンシャーレに前記処理液を採り、乾燥させて形成した塗膜の表面自由エネルギーをγ
Bとしたとき、式(γ=γ
A-γ
B)で表されるγが
-2mJ/m
2
以上10mJ/m
2
以下であり、
前記記録媒体に前記処理液を付着させ、乾燥させて形成した塗工層において剛体振り子型物性試験により測定した対数減衰率が0.30以下であることを特徴とする記録方法。
【請求項10】
ポリプロピレンからなる記録媒体に、
ウレタン樹脂粒子及び水
からなる処理液を付着させる処理工程と、前記処理液が付着した記録媒体を加圧する加圧工程と、加圧された前記記録媒体に対して、色材、有機溶剤及び水を含むインクを付与するインク付与工程と、を有し、
前記記録媒体の表面自由エネルギーをγ
A、テフロンシャーレに前記処理液を採り、乾燥させて形成した塗膜の表面自由エネルギーをγ
Bとしたとき、式(γ=γ
A-γ
B)で表されるγが
-2mJ/m
2
以上10mJ/m
2
以下であり、
前記記録媒体に前記処理液を付着させ、乾燥させて形成した塗工層において剛体振り子型物性試験により測定した対数減衰率が0.30以下であることを特徴とする記録物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置、記録方法及び記録物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンターは低騒音、低ランニングコスト、カラー印刷が容易であるなどの利点を有することから、デジタル信号の出力機器として一般家庭に広く普及している。
【0003】
従来、印刷対象には普通紙など吸収性のメディアが一般的に用いられていたが、近年では対象が多様化しており、例えば商業印刷用のインク吸収性の低い印刷用塗工紙や、食品包装材料などインク非吸収性のプラスチックフィルムに対しても、インクジェット記録方法により、従来のメディアと同等以上の画像品質、印刷速度の高速化が要求されている。
【0004】
しかし、このようなメディアでは、着弾したインクの液滴が浸透しない又は極めて浸透しにくいため、塗膜とメディアの密着性が乏しいことが問題となる。特に印刷速度の高速化に伴い、記録媒体の搬送や巻き取りの際、記録面に圧力が加わった状態での摩擦で塗膜の剥離が発生する場合がある。
【0005】
このような剥離の抑制を目的として、樹脂を含有した処理液の塗膜をメディア表面に形成し、その部分にインクを着弾させて印字する方法が提案されている。処理液に含まれる樹脂粒子がメディアの表面に皮膜を形成し、プライマーの役割を果たすことで密着力を増加させ、耐擦性を向上させる方法が知られている。
【0006】
特許文献1では、インクジェット記録方法について、被記録媒体の記録領域に樹脂液を付着させる樹脂液付着工程と、記録領域にインク組成物を付着させるインク組成物付着工程を設けることにより、耐摩擦性を向上させる技術を開示している。
【0007】
特許文献1に開示されている技術では、樹脂を含む処理液が塗布されてはいるが、画像が形成された記録媒体の表面が他の物体(例えば搬送ローラー)と擦れると、記録媒体上の画像が剥離する、処理液の塗工部分に傷が付くなどの問題が発生する場合があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる現状を鑑みてなされたものであり、記録媒体上の処理液層の密着性(耐剥離性)及び耐擦性(耐擦過性)を向上させる記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の記録装置は、ポリプロピレンからなる記録媒体に、ウレタン樹脂粒子及び水からなる処理液を付着させる処理手段と、前記処理液が付着した記録媒体を加圧する加圧手段と、前記記録媒体に対してインクを付与するインク付与手段と、を有し、前記記録媒体の表面自由エネルギーをγA、テフロンシャーレに前記処理液を採り、乾燥させて形成した塗膜の表面自由エネルギーをγBとしたとき、式(γ=γA-γB)で表されるγが-2mJ/m
2
以上10mJ/m
2
以下であり、前記記録媒体に前記処理液を付着させ、乾燥させて形成した塗工層において剛体振り子型物性試験により測定した対数減衰率が0.30以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、記録媒体上の処理液層の密着性(耐剥離性)及び耐擦性(耐擦過性)を向上させる記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る記録装置の一例を示す模式図である。
【
図2】
図1の前処理部の処理液塗布装置を示す模式図である。
【
図3】
図1のインクジェット記録部のインクジェットヘッドを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る記録装置、記録方法及び記録物の製造方法について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0013】
(記録装置及び記録方法)
本発明に係る記録装置は、非吸収性又は低吸収性の記録媒体(以下、特に記載がなければ単に記録媒体と称する)に処理液を付着させる処理手段と、前記処理液が付着した記録媒体を加圧する加圧手段と、を有するものである。前記処理液は樹脂粒子及び水を含み、表面処理用液体組成物として用いることができる。
本発明に係る記録方法は、記録媒体に処理液を付着させる処理工程と、前記処理液が付着した記録媒体を加圧する加圧工程と、を有するものである。
また、必要に応じて記録手段及び記録工程を有していてもよい。
【0014】
<処理手段及び処理工程>
前記処理液を記録媒体に付着させる方法としては、例えば、ロールコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、グラビアオフセットコート法、バーコート法、ロールコート法、インクジェット方式などを用いることができる。
【0015】
本発明における処理液の塗工層を記録媒体上に形成することにより、非吸収性又は低吸収性の記録媒体に対して印字画像の密着性を向上させることができる。
【0016】
<加圧手段及び加圧工程>
加圧する方法としては、特に制限されるものではないが、処理液が付着した面(処理面とも称する)側から加圧してもよいし、処理液が付着していない面(非処理面とも称する)側から加圧してもよいし、処理面及び非処理面の両方から加圧してもよい。
記録媒体に処理液を付着させた後に加圧することにより、処理液と記録媒体の密着性を向上させることができる。
【0017】
加圧する方法としては、例えば、搬送ローラー、ヒートローラー等が挙げられる。この他にも、例えば、処理液を塗布する塗布ローラーと、塗布ローラーと対向する対向ローラーとによりニップを形成し、ニップ部分に記録媒体を通すことにより加圧してもよい。また、上記の他にも、処理液を付着させた後に、記録媒体を巻き取ることで加圧してもよく、この場合、処理面に対して非処理面が接触して加圧することになる。
【0018】
これらの中でも、処理面に直接接触して加圧する方法が好ましく、上記の塗布ローラーと対向ローラーを用いて加圧する方法が特に好ましい。
また、搬送ローラーを用いることが好ましく、この場合、処理液塗布後、乾燥装置内部での記録媒体の搬送距離を増加させ、同じ搬送速度でもより長い時間乾燥させることが可能となる。
加圧手段は、1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0019】
<記録手段及び記録工程>
必要に応じて記録手段及び記録工程を有していてもよく、例えばインク付与手段及びインク付与工程が挙げられる。記録手段及び記録工程は、上記の手段及び工程により記録媒体に処理液を付着させ、加圧した後に、例えばインクジェット方式等によりインクを付与する。
【0020】
本発明の記録装置の一例について
図1乃至
図4を参照して説明する。
図1は記録装置の一例を示す模式図であり、
図2は
図1に示す記録装置の前処理部の処理液塗布装置を示す図である。
図3は、
図1のインクジェット記録部のインクジェットヘッドを示す模式図であり、
図4は、
図1のヘッドユニットの拡大図である。
【0021】
図1において、記録装置300は、記録媒体搬送部301と、記録媒体203に処理液を塗布する前処理部302と、処理液が塗布された記録媒体203を乾燥させる第一の乾燥部303と、乾燥した記録媒体203に水性顔料インクを吐出して画像を形成するインクジェット記録部304と、画像が形成された記録媒体に後処理液を塗布する後処理部305と、後処理液が塗布された記録媒体203を乾燥させる第二の乾燥部306で構成されている。
【0022】
記録媒体搬送部301は、給紙装置307と、複数の搬送ローラーと、巻き取り装置308で構成されている。そして、記録媒体203は、ロール状に巻かれた連続したフィルムであり、搬送ローラーにより給紙装置307から巻き出された後、搬送され、巻き取り装置308によって巻き取られる。
【0023】
記録媒体搬送部301から搬送された記録媒体203は、前処理部302の処理液を収容してなる処理液収容容器204から処理液が供給され、塗布される。
【0024】
図2に示すように、処理液収容容器204の内部に、処理液205が貯留されている。ここで、攪拌・供給ローラー206、移送ローラー207及び薄膜化ローラー208により、塗布ローラー209の表面に、処理液205の薄膜が形成される。そして、塗布ローラー209は、回転する対向ローラー201に押し付けられながら回転し、その間を記録媒体203が通過することで、記録媒体203の表面に処理液205が塗布される。このとき、圧力調整装置202により、対向ローラー201と塗布ローラー209の間のニップ圧を調整することができ、処理液205の塗布量を制御することができる。
【0025】
また、塗布ローラー209及び対向ローラー201の回転速度を調整することにより、処理液205の塗布量を制御することもできる。塗布ローラー209、対向ローラー201は、駆動モーター等の動力源により駆動され、動力源のエネルギーを調整することにより、塗布ローラー209、対向ローラー201の回転速度を制御することができる。
【0026】
このように、塗布ローラー209を用いて、記録媒体203の記録領域に処理液205を塗布すると、比較的粘度の高い処理液205を記録媒体203上に薄く塗布することができ、塗膜の耐擦性のばらつき発生を抑制することができる。なお、処理液205は、記録媒体203の記録領域の全域に塗布してもよいし、画像が形成される領域のみに塗布してもよい。
【0027】
処理液収容容器204は、処理液205が充填されているものであり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材を構成することもできる。
前記処理液収容容器204としては、その形状、構造、大きさ、材質に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できる。
【0028】
処理液205が塗布された記録媒体203は、第一の乾燥部303のヒートローラー311、312により、乾燥させる。具体的には、処理液205が塗布された記録媒体203は、搬送ローラーにより、ヒートローラー311、312に搬送される。ヒートローラー311、312は、通常、50~100℃に熱せられているため、処理液205が塗布された記録媒体203は、ヒートローラー311、312からの接触伝熱により、水分が蒸発し、乾燥する。
【0029】
第一の乾燥部303における乾燥手段としては、ヒートローラーに限定されず、赤外線乾燥装置、マイクロ波乾燥装置、温風装置等が挙げられ、2種以上併用してもよい。
なお、処理液205が塗布される前の記録媒体を加熱してもよい。
【0030】
乾燥した記録媒体203は、インクジェット記録部304により、画像データに応じて、画像が形成される。
【0031】
インクジェット記録部304は、フルライン型のヘッドであり、記録媒体203の搬送方向に対して、上流側から、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)に対応する4つのインクジェットヘッド304K、304C、304M、304Yが配置されている。
【0032】
図3に示すように、ブラック(K)のインクジェットヘッド304Kは、記録媒体203の搬送方向に対して、直交する方向に、4つのヘッドユニット304K-1、304K-2、304K-3、304K-4を千鳥状に配列することにより、記録媒体203の記録領域の幅を確保している。
【0033】
また、
図4に示すように、ヘッドユニット304K-1のノズル面309には、ヘッドユニット304K-1の長手方向に沿って、ノズル310が配列され、ノズル列が形成されている。
なお、ノズル列は、複数列形成されていてもよい。
【0034】
また、インクジェットヘッド304C、304M、304Yも同様の構成であり、4つのインクジェットヘッド304K、304C、304M、304Yは、同じピッチを保持して搬送方向に配列されている。これにより、1回の記録動作で記録領域の幅全体に画像を形成することができる。
【0035】
画像が形成された記録媒体203は、必要に応じて、後処理部305で後処理液が塗布されてもよい。
後処理液は、画像が形成された記録媒体203上に、透明な保護層を形成することができる。なお、後処理液は、記録媒体203の記録領域の全域に塗布してもよいし、画像が形成された領域のみに塗布してもよい。
【0036】
画像が形成された記録媒体203又は後処理液が塗布された記録媒体203は、第二の乾燥部306のヒートローラー313、314により、第一の乾燥部303と同様にして、乾燥させる。
乾燥した記録媒体203は、巻き取り装置308により巻き取られる。
なお、巻き取り装置308により巻き取られる前の記録媒体203を乾燥させる巻き取り前乾燥部をさらに設置してもよい。
【0037】
<処理液>
本発明において、処理液は樹脂粒子及び水を含み、記録媒体の表面自由エネルギーをγA、テフロンシャーレに処理液を採り、乾燥させて形成した塗膜の表面自由エネルギーをγBとしたとき、式(γ=γA-γB)で表されるγが-10mJ/m2以上15mJ/m2以下であり、非吸収性又は低吸収性の記録媒体に処理液を付着させ、乾燥させて形成した塗工層において剛体振り子型物性試験により測定した対数減衰率が0.30以下である。以下、詳細を説明する。
【0038】
<<表面自由エネルギー>>
2つの物質間に生じる分子間相互作用の大きさには表面張力(mN/m)が関与している。液体の表面張力は、例えば、Wilhelmy法、懸滴法、輪環法で定量することが可能であるが、物質が固体の場合直接測定することができないため、同じ次元をもつ表面自由エネルギー(mJ/m2)を計算によって求める。表面自由エネルギーの大きさが近い固体は分子間相互作用が生じやすく、高い密着性を発現する。
【0039】
本発明では、記録媒体の表面自由エネルギーをγA、前記処理液を用いて形成した塗膜の表面自由エネルギーをγBとしたとき、式(γ=γA-γB)で表されるγが0に近いほど密着力が向上する。特に-10mJ/m2以上15mJ/m2以下の範囲では記録媒体と塗膜の密着性に優れるため好ましく、γが-2mJ/m2以上10mJ/m2以下の範囲ではさらに好ましい。
【0040】
固体の表面自由エネルギー(表面張力)は以下の方法で算出する。試験片の表面に少量の溶媒を滴下し、θ/2法における接触角を測定する。このとき、溶媒の表面張力は既知のものを使用する。測定した溶媒の接触角に基づき、拡張Fowkes式を用いることにより、自由エネルギーを算出できることが知られている。液体の表面張力をγL、固体の表面自由エネルギーをγS、接触角をθとすると拡張Fowkes式は次式で表される。
γL(1+cosθ)=2(γLγS)1/2
【0041】
非特許文献1において北崎-畑らは、Fowkes式を拡張し、表面自由エネルギーを分子間力の種類で3つの成分に分解している。一般的な非極性な分子間力だけでなく、極性や水素結合性の分子間力をもつ系にも適用可能なことを明らかにしている。
【0042】
接触角を測定する溶媒の表面張力(mN/m)の各成分と固体の表面自由エネルギー(mJ/m2)は関連性があり、溶媒の非極性な分子間力の非極性成分γd、双極子による分子間力の極性成分γp、ヒドロキシ基による水素結合成分γhの各成分と接触角がわかれば固体の表面自由エネルギーを計算できる。
【0043】
表面自由エネルギーの合計値をγtotalとすると、γtotal=γd+γp+γhとなり、拡張Fowkes式は、
γL(1+cosθ)=2[(γL
dγS
d)1/2+(γL
pγS
p)1/2+(γL
hγS
h)1/2]
で表される。成分が既知の3種類の溶媒で接触角を測定し、上記の式を用いることによって固体の表面自由エネルギー及び合計値を算出することができる。
【0044】
さらに、表面自由エネルギーの測定精度を良くするために、4種類以上の溶媒を使用し、線形回帰によって各成分求める。拡張Fowkes式をさらに変形して、
1+cosθ=[(2/γL)(γL
d)1/2](γS
d)1/2+[(2/γL)(γL
p)1/2](γS
p)1/2+[(2/γL)(γL
h)1/2](γS
h)1/2
とし、式を簡略化するため、
y=1+cosθ
d=(γS
d)1/2
p=(γS
p)1/2
h=(γS
h)1/2
x1=[(2/γL)(γL
d)1/2]
x2=[(2/γL)(γL
p)1/2]
x3=[(2/γL)(γL
h)1/2]
とおくと、拡張Fowkes式は、
y=dx1+px2+hx3
と表すことができる。
【0045】
ここで、n種類の溶媒を使用したとすると上記の式がn個成り立つ。
yi=dxi1+pxi2+hxi3(i=1~n)
【0046】
n=4以上のときに生じる誤差をεとすると以下のように表すことができる。
εi=yi-(dxi1+pxi2+hxi3)
【0047】
この誤差の二乗の総和S(d,p,h)は以下のように表すことができる。
S(d,p,h)=Σ(εi)2=Σ[yi-(dxi1+pxi2+hxi3)]2
【0048】
S(d,p,h)が最小となるのは、∂S/∂d=0、∂S/∂p=0、∂S/∂h=0のときであるから、次の3つの方程式が成り立つ。
Σxi1
2d+Σxi1xi2p+Σxi1xi3h=Σxi1yi
Σxi2xi1d+Σxi2
2p+Σxi2xi3h=Σxi2yi
Σxi3xi1d+Σxi3xi2p+Σxi3
2h=Σxi3yi
【0049】
この3元連立方程式を解いてd、p、hを求め、固体の表面自由エネルギー(γd、γp、γh)を算出する。
ただし、d、p、hのいずれかが負の値となる場合、γ1/2<0となり不適である。その場合は不適な成分値を0として計算することで近似値を求める。
【0050】
接触角の測定に使用する溶媒は表面張力の成分値が既知である他は特に限定されないが、例えば以下の溶媒が挙げられる。
グループA:ヘキサデカン、テトラデカン、ドデカン、ウンデカン、デカン、ノナン、オクタン、ヘプタン、ヘキサン
グループB:ジヨードメタン、1,1,2,2-テトラブロモエタン、1-ブロモナフタレン、トリクロロビフェニル、テトラクロロエタン
グループC:β-チオジグリコール、グリセリン、ホルムアミド、ジエチレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、水
【0051】
以上から4種以上の溶媒を選ぶと、表面自由エネルギーの算出精度が向上するため好ましく、また2つ以上のグループから選択することがさらに好ましく、グループBから2種類以上かつグループCから2種類以上選択することが特に好ましい。
【0052】
<<剛体振り子型物性試験>>
本発明における対数減衰率Δは次の方法により測定される。剛体振り子型物性試験機を使用し、振り子の支点を試料上に設置し、振り子を振動させたときの自由振動周期及び振動振幅を測定する。剛体振り子型物性試験機は特に限定されないが、例として、RPT-3000(エー・アンド・デイ製)などが使用できる。
【0053】
対数減衰率Δは剛体振り子型物性試験機により測定した、波数nの振動振幅をAnとすると、次式で求めることができる。
Δ=[ln(A1/A2)+ln(A2/A3)+・・・+ln(An/An+1)]
【0054】
本発明では、前記対数減衰率Δが0.3以下であるとき、塗工層表面のタック(べたつき)が抑えられることで、摩擦による塗工層の剥離や欠損が生じにくくなり、密着性と耐擦性に優れる。Δが0.2以下のときさらに耐擦性が向上するためより好ましい。
【0055】
対数減衰率を小さくするために、樹脂には架橋構造を含むことが好ましい。さらに樹脂のTgを高くすることにより対数減衰率を小さくすることができ、-50℃~100℃が好ましく、-15~80℃がより好ましい。
【0056】
<<樹脂粒子>>
本発明では、非吸収性及び低吸収性の記録媒体に印字した場合においても画像の剥離防ぐことを目的として、処理液に樹脂粒子を含有する。
【0057】
本発明における樹脂粒子を構成する樹脂としては、電荷の反発もしくは立体反発によって水中で分散可能な樹脂粒子であることが好ましく、公知のものから適宜選択できる。前記樹脂としては例えば、ウレタン樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン-ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂などが挙げられる。これらは1種又は2種以上を併用してもよい。
【0058】
前記樹脂は、極性の大きい構造を有することで塗膜の表面自由エネルギーγBの極性成分、水素結合成分を増加させることができる。このような樹脂の含有率をメディア種によって適宜選択することでγを好適な範囲にすることができる。
極性の大きい構造の例として、アミノ基、アミド基、ウレア基、イソシアネート基、ヒドロキシ基、カルボニル基、カルボキシル基、スルホ基、エステル結合などが挙げられる。特にヒドロキシ基、カルボキシル基、スルホ基は電荷の偏りを生じ、極性が増大するため好ましい。
【0059】
前記樹脂粒子は、ウレタン樹脂、アクリル樹脂から選ばれる少なくとも1つであるとき、ガラス転移温度の制御が比較的容易であり好ましい。特にウレタン樹脂は乾燥塗膜と記録媒体の密着力にも優れるためさらに好ましい。
【0060】
前記ウレタン樹脂の製造方法は、従来一般的に用いられている方法を用いることができ、例えば以下の方法が挙げられる。
無用剤又は有機溶剤下で、(A)ポリマーポリオール、(B)短鎖多価アルコール、(C)アニオン性基を有する多価アルコール、(D)ポリイソシアネートを反応させてイソシアネート末端ウレタンプレポリマーを製造する。次いで、前記イソシアネート末端ウレタンプレポリマー中のアニオン性基を必要に応じて中和し、ポリアミンと反応させて鎖伸長反応を行い、さらに水を投入して分散させ、必要に応じて系内の有機溶剤を除去することで得られる。
【0061】
前記有機溶剤としては、例えばケトン類、エーテル類、酢酸エステル類、ニトリル類、アミド類などが挙げられる。
【0062】
短鎖多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,3-ブタントリオール、ペトリオール等が挙げられる。
【0063】
前記ポリオールとしては特に制限ははく、目的に応じて適宜選択することができる。中でも、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリカプロラクトンに由来する構造を有することで、対数減衰率が減少し、耐擦性が向上するため好ましく、ポリカーボネート、ポリエステルがより好ましい。
【0064】
前記ウレタン樹脂の構成比率として[Dの当量数/(Aの当量数+Bの当量数+Cの当量数)]が1.0以上、1.5以下のとき耐擦性が向上するため好ましい。
【0065】
前記アクリル樹脂の製造方法は、従来一般的に用いられている方法を用いることができ、例えば以下の方法が挙げられる。アクリル系モノマーを水相にて反応性乳化剤と混合して乳化液を調製し、過酸化物を含む酸性の水溶液中に投入し、必要に応じてpHを調整することで得ることができる。
【0066】
前記アクリル系モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、N,N’-ジメチルアミノエチルメタクリレート、アクリル酸エステルモノマー、メタクリル酸エステルモノマー、アミド系アクリレート、カルボン酸含有モノマー、などが挙げられる。
【0067】
前記アクリル樹脂は、1.0%以上、10%以下の架橋剤を含むことで架橋構造により対数減衰率が減少するため、耐擦性が向上する。また、架橋剤としては特に限定されないが、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(エトキシエトキシ)シラン、ビニルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリス(エトキシエトキシ)シラン、3-アクリロキシプロピルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリス(エトキシエトキシ)シラン、3-メタクリロキシプロピルトリス(メチルエチルケトオキシム)シランなどが挙げられる。
【0068】
また、前記アクリル樹脂は、反応性乳化剤に由来する構造を有していることが好ましい。前記反応性乳化剤としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、反応性や粒径の制御の観点からイオン性の反応性乳化剤が好ましい。また、ラジカル重合性二重結合を有する乳化剤を使用することがより好ましい。該反応性乳化剤としては、例えば、アクアロンHS-10(第一工業製薬製)、ラムテルS-180(花王製薬製)、エレミノールJS-2(三洋化成製)などが挙げられる。これらは1種類又は2種類以上を併用してもよい。
【0069】
前記処理液中の樹脂粒子の含有量は、処理液全量に対して固形分として0.5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、1質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。0.5質量%以上では樹脂が充分に基材を被覆することができるため耐擦性が向上し、50質量%以下であれば膜厚が過剰に厚くならないため、粒子の合着や架橋による内部応力が生じにくく、塗膜とメディアの密着性が向上する。
【0070】
前記樹脂は、乾燥した塗膜状態でのガラス転移温度が-50℃~100℃が好ましく、-15~80℃がより好ましい。前記ガラス転位温度が-50℃以上であると、印刷後に処理液の塗膜部分のタックが生じにくいため耐擦性が向上し、ガラス転移温度が100℃以下では処理液の塗膜部分の樹脂粒子が熱で合着しやすくなり、表面が均一な塗膜となるため対数減衰率が減少し、耐擦性が向上する。
【0071】
前記樹脂粒子を構成する樹脂は、GPCによる重量平均分子量が10,000~500,000の範囲であることが好ましい。前記重量平均分子量が10,000以上であると乾燥後の処理液の塗膜の強度が増加し耐擦性が向上する。重量平均分子量が500,000以下であると、粒子が粗大化することがなく処理液の保存安定性が向上するため好適である。
【0072】
前記樹脂粒子は、分散状態でのメジアン粒子径D50が80~250nmの範囲であることが好ましく、100~200nmがより好ましい。前記樹脂粒子の粒子径が80nm以上であると処理液の粘度が増加しにくく、250nm以下であると表面が平滑な塗膜を形成するため耐擦性が向上する。
【0073】
<<水>>
処理液中における水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、処理液の乾燥性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%~60質量%がより好ましい。
【0074】
本発明の液体組成物の媒体は、水性媒体であるが、必要に応じて水以外のものを添加しても良く、例えば、乾燥性の制御を目的とした水溶性有機溶剤が挙げられる。
【0075】
<<処理液の作製方法>>
本発明の処理液は、例えば前記構成成分を水性媒体中に分散又は溶解し、更に必要に応じて攪拌混合して作製する。攪拌混合は、通常の攪拌羽を用いた攪拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機等で行うことができる。
【0076】
<<表面張力>>
前記処理液の表面張力は、25℃で40mN/m以下の範囲であると、記録媒体に塗布したときのぬれ性が向上し、密着性が向上するため好ましい。
【0077】
<<その他の材料>>
本発明における処理液は、必要に応じて色材等のその他の材料を含んでいてもよいが、色材を含まないことが好ましい。なお、色材は特に制限されるものではなく、適宜変更すことが可能であり、例えば、インクの項目で挙げられるものを用いることができる。
【0078】
<後処理液>
前記後処理液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、またはパラフィンワックス等を含む後処理液を用いることができる。後処理液を用いることにより、印字画像の保護や光沢性を向上させることができる。
【0079】
<インク>
インク付与手段で用いられるインクは、色材、有機溶剤及び水を含む。
【0080】
<<有機溶剤>>
本発明に使用する有機溶剤としては特に制限されず、水溶性有機溶剤を用いることができる。例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、エチル-1,2,4-ブタントリオール、1,2,3-ブタントリオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ε-カプロラクタム、γ-ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の有機溶剤を用いることが好ましい。
【0081】
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物も好適に使用される。炭素数8以上のポリオール化合物の具体例としては、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールなどが挙げられる。
グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
【0082】
<<水>>
インクにおける水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%~60質量%がより好ましい。
【0083】
<<色材>>
色材としては特に限定されず、顔料、染料を使用可能である。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。また、混晶を使用しても良い。
顔料としては、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンダ顔料、シアン顔料、白色顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
無機顔料として、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
また、有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性の良いものが好ましく用いられる。その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料が挙げられる。
さらに、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155、180、185、213、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、207、208、209、213、219、224、254、264、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3、15:4(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36、等がある。
染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35が挙げられる。
【0084】
インク中の色材の含有量は、画像濃度の向上、良好な定着性や吐出安定性の点から、0.1質量%以上15質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以上10質量%以下である。
【0085】
<記録媒体>
本発明に用いる非吸収性又は低吸収性の記録媒体(単に記録媒体と称することがある)としては、適宜変更することができる。記録媒体の素材としては、光沢紙、特殊紙などを用いることもできるが、プラスチックを原料とする記録媒体に対して好適に用いることができる。
【0086】
本発明における前記記録媒体とは、水透過性、吸収性及び/又は吸着性が低い表面を有する基材を指しており、内部に多数の空洞があっても外部に開口していない材質も含まれる。より定量的には、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m2以下である基材を指す。前記記録媒体としては特に限定されないが、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ナイロンフィルム、塩化ビニル樹脂フィルム、ポリカーボネートフィルムなどのプラスチックフィルムを好適に使用することができる。
【0087】
前記ポリプロピレンフィルムの例としては、東洋紡製P-2002、P-2161、P-4166、SUNTOX製PA-20、PA-30、PA-20W、フタムラ化学製FOA、FOS、FORなどが挙げられる。
前記ポリエチレンテレフタレートフィルムの例としては、東洋紡製E-5100、E-5102、東レ製P60、P375、帝人デュポンフィルム製G2、G2P2、K、SLなどが挙げられる。
前記ナイロンフィルムの例としては、東洋紡製ハーデンフィルムN-1100、N-1102、N-1200、ユニチカ製ON、NX、MS、NKなどが挙げられる。
【0088】
記録媒体としては、連続したフィルムであることが好ましい。ここで、「連続した」とあるのは、長さが1189mm(A0サイズの長辺)以上であることを意味し、1200mm以上であることが好ましい。また、連続したフィルムとしては、
図1の例における給紙装置307に示されるように、ロール状に巻かれた状態で記録装置300に備えられることが好ましい。
【0089】
(記録物の製造方法)
本発明の記録物の製造方法は、非吸収性又は低吸収性の記録媒体に、樹脂粒子及び水を含む処理液を付着させる処理工程と、前記処理液が付着した記録媒体を加圧する加圧工程と、加圧された前記記録媒体に対して、色材、有機溶剤及び水を含むインクを付与するインク付与工程と、を有する。記録媒体、処理液、インクは上述のものを用いることができ、処理工程、加圧工程及びインク付与工程は上述のものを用いることができる。
また、記録媒体の表面自由エネルギー、塗膜の表面自由エネルギー、塗工層における剛体振り子型物性試験を用いて測定した対数減衰率は、上述の要件を満たすものである。
【0090】
本発明によって得られる記録物は、本発明の記録装置、記録方法を用いて画像が形成されたものである。記録媒体に処理液を付着させ、インクを付着させることにより画像が形成される。本発明によれば優れた品質を有する記録物が得られる。
【実施例】
【0091】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、例中の「部」は「質量部」であり、「%」は、評価基準中のものを除き、「質量%」である。また、実施例4、5とあるのは、本発明に含まれない参考例4、5とする。
【0092】
(実施例1)
<処理液1の合成>
ポリマーポリオール(T-5651) 50.0部
2,2-ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸 3.1部
トリエチルアミン 1.6部
アセトン 43.7部
からなる混合物を、攪拌翼、温度計、還流管を備えた0.5Lのセパラブルフラスコに仕込み、窒素を導入しながら40℃に加熱して原材料を溶解させた。次いで、イソホロンジイソシアネート26.4部、2-エチルヘキサン酸すず(II)を1滴加え、80℃に昇温して4時間反応させた。その後40℃に降温し、イオン交換水150.6部を加えて微粒子化し、ジエチレントリアミン2.3部を加え、4時間反応させた。最後にアセトンを除去することにより、固形分濃度35質量%のウレタン樹脂粒子分散液を得た。これを[処理液1]とした。
【0093】
(実施例2)
<処理液2の合成>
プロピレングリコール 177.0部
テレフタル酸ジメチル 129.0部
アジピン酸ジメチル 174.0部
アセトン 44.0部
からなる混合物を、攪拌翼、温度計、還流管を備えた0.5Lのセパラブルフラスコに仕込み、窒素を導入しながら130℃に加熱して原材料を溶解させた。次いで、チタンテトライソプロポキシド0.14部を加え、攪拌しながら230℃まで4時間かけて昇温し、230℃でさらに3時間反応させた。その後、チタンテトライソプロポキシド0.07部を追加して2時間保持した後、窒素導入を止め、15kPa減圧下でさらに2時間反応させることで、ポリエステルポリオールを得た。前記ポリエステルポリオールを表1に記載配合にし、その他の材料を表1の配合と種類にした以外は同様にして、固形分濃度35質量%のウレタン樹脂粒子分散液を得た。これを[処理液2]とした。
【0094】
(実施例3)
<処理液3の合成>
[処理液1]の合成において、材料を表1に記載の種類と配合にした以外は同様にして、固形分濃度35質量%のウレタン樹脂粒子分散液を得た。これを[処理液3]とした。
【0095】
(実施例4)
<処理液4の合成>
メタクリル酸メチル 40.8部
アクリル酸2-エチルヘキシル 57.2部
ビニルトリエトキシシラン 7.5部
アクアロンHS-10(乳化剤) 0.3部
イオン交換水 34部
からなる混合物を、ホモミキサーを用いて乳化し、均一な乳白色の乳化液を得た。
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管を備えた1Lのフラスコ内に、イオン交換水230部を仕込み、窒素を導入しながら70℃に昇温した。次いで、10%アクアロンHS-10(第一工業製薬製)水溶液1.5部、5%過硫酸アンモニウム水溶液4.2部を投入し、硫酸でpHを3となるよう調節した。次いで、あらかじめ調整しておいた乳化液を2.5時間かけて連続的に滴下した。また、滴下開始から3時間経過するまでの間1時間毎に15%過硫酸アンモニウム水溶液2.5部を投入した。滴下終了後70℃で2時間熟成した後に冷却し、28%アンモニア水でpHが7~8となるよう調節し、固形分濃度39質量%のアクリル樹脂粒子分散液を得た。これを[処理液4]とした
【0096】
(実施例5)
<処理液5の合成>
[処理液4]の合成において、材料を表1に記載の種類と配合にした以外は同様にして、固形分濃度39質量%のアクリル樹脂粒子分散液を得た。これを[処理液5]とした。
【0097】
(実施例6)
<処理液6の合成>
[処理液1]の合成において、材料を表1に記載の種類と配合にした以外は同様にして、固形分濃度34質量%のウレタン樹脂粒子分散液を得た。これを[処理液6]とした。
【0098】
(比較例1)
<処理液7の合成>
樹脂粒子としてアウローレンS-6475(日本製紙製)を使用し、イオン交換水で固形分濃度を35%に調節した。これを[処理液7]とした。
【0099】
(比較例2)
<処理液8の合成>
[処理液4]の合成において、材料を表1に記載の種類と配合にした以外は同様にして、固形分濃度38質量%のアクリル樹脂粒子分散液を得た。これを[処理液8]とした。
【0100】
(比較例3)
<処理液9の合成>
[処理液1]の合成において、材料を表1に記載の種類と配合にした以外は同様にして、固形分濃度35質量%のウレタン樹脂粒子分散液を得た。これを[処理液9]とした。
【0101】
(比較例4)
<処理液10の合成>
[処理液4]の合成において、材料を表1に記載の種類と配合にした以外は同様にして、固形分濃度39質量%のアクリル樹脂粒子分散液を得た。これを[処理液10]とした。
【0102】
(測定及び評価)
前記樹脂のガラス転移温度は、DSCシステムQ-2000(TAインスツルメント製)を用いて測定できる。具体的には、アルミニウム製の試料容器に入れた樹脂約5.0mgを装置にセットし、窒素気流下にて以下の測定条件にて測定を行った。2回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、中点法にてガラス転移温度を求めた。
(1)-70まで冷却後5分保持
(2)10℃/minで160℃まで昇温
(3)-70まで冷却後5分保持
(4)10℃/minで160℃まで昇温
【0103】
前記処理液の表面張力は表面張力計(協和界面科学製、DY-500)を用い、Wilhelmy法にて測定した。Wilhelmy法は、測定子(白金プレート)が液体の表面に触れた際に発生する測定子を液中に引き込もうとする力を読み取ることによって、表面張力を測定する方法であり、表面張力の値は処理液の温度が25℃のものを用いた。
【0104】
前記樹脂粒子の分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定装置(例えば、HLC-8220GPC(東ソー製))を用いて測定できる。カラムとしては、TSKgel SuperHZM-H 15cm 3連(東ソー製)を使用した。測定する樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)(安定剤含有、和光純薬製)にて0.15質量%溶液にし、0.2μmフィルターで濾過した後、その濾液を試料として用いた。前記THF試料溶液を測定装置に100mL注入し、温度40℃の環境下にて、流速0.35μL/分で測定した。
分子量は単分散ポリスチレン標準試料より作成された検量線を用いて計算を行った。前記標準ポリスチレン試料としては、昭和電工製ShowdexSTANDARDシリーズ及びトルエンを用いた。以下の3種類の単分散ポリスチレン標準試料のTHF溶液を作成し、上記の条件で測定を行い、ピークトップの保持時間を単分散ポリスチレン標準試料の光散乱分子量として検量線を作成した。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いた。
【0105】
溶液A:S-7450(2.5mg)、S-678(2.5mg)、S-46.5(2.5mg)、S-2.90(2.5mg)、THF(50mL)
溶液B:S-3730(2.5mg)、S-257(2.5mg)、S-19.8(2.5mg)、S-0.580(2.5mg)、THF(50mL)
溶液C:S-1470(2.5mg)、S-112(2.5mg)、S-6.93(2.5mg)、トルエン(2.5mg)、THF(50mL)
【0106】
前記樹脂粒子のメジアン粒子径(D50)は、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置(例えば、ELSZ-1000S(大塚電子製))を用いて測定することができる。
【0107】
<表面自由エネルギー>
処理液塗膜の試験片は、直径50mmのテフロンシャーレに処理液を5mL採り、70℃のオーブンで12時間以上乾燥させたものを使用した。測定には、接触角計(協和界面製)を使用し、以下の5種類の溶媒を25℃50%RHの環境下において記録媒体及び処理液の塗膜に0.05mL滴下、接液から5.0秒後の接触角を測定した。
【0108】
ヨウ化メチレン [γd=46.8、γp=4.0、γh=0、(mN/m)]
1-ブロモナフタレン[γd=44.4、γp=0.2、γh=0、(mN/m)]
エチレングリコール [γd=30.1、γp=0、γh=17.6、(mN/m)]
ホルムアミド [γd=35.1、γp=1.6、γh=21.5、(mN/m)]
水(超純水) [γd=29.1、γp=1.3、γh=42.4、(mN/m)]
【0109】
各溶媒の表面張力の成分は公知の値を使用した。接触角から算出した記録媒体の表面自由エネルギーをγA、塗膜の表面自由エネルギーをγBとしたとき、式(γ=γA-γB)で表されるγを算出した。
【0110】
<対数減衰率>
剛体振り子試験機(エー・アンド・デイ製、RPT-3000W)を使用し、振り子の支点には丸棒型シリンダーエッジRBP-040、剛体振り子にはFRB-100、試料の固定にはFSM-300を使用し、支点を処理液塗工層に置いた際の振動の減衰率を測定した。試験片は、処理液をバーコーター(巻き線径:0.1mm、付着量2.8g/m2)により、コロナ放電処理されたOPPフィルム(二軸延伸ポリプロピレン、東洋紡製パイレンP2161)に塗工し、直径85mmのゴム製のローラーで処理面を加圧したものを70℃のオーブンにて12時間乾燥させて塗工層を形成し、幅25mmの短冊状に切り取ったものを使用した。試験片に対し、25℃50%RHの環境下における、振り子の振幅の対数減衰率を算出した。
【0111】
<密着性評価>
処理液をバーコーター(巻き線径:0.1mm、付着量2.8g/m2)により、コロナ放電処理されたOPPフィルム(二軸延伸ポリプロピレン、東洋紡製、パイレンP2161)に塗工し、直径85mmのゴム製のローラーで処理面を加圧した後、70℃のオーブンにて12時間乾燥させて塗工層を形成した。前記フィルムを短冊状に切り取り、両面テープ(3M製、超強力両面テーププレミアゴールドスーパー多用途薄手)を使用し、前記塗工層を硬質エポキシ樹脂製の基板に貼り付けて固定した。
次いで、引っ張り強度試験機(島津製作所製、卓上形精密万能試験機AGS-X)を使用し、上記フィルムの端部と基板を試験機に固定した状態で基板に対して180°の角度で引き剥がす際の試験力を測定した。短冊状のフィルムは長さ100mm、幅10mm、試験速度は300(mm/分)、測定開始後最初の25mmの長さの測定値は無視し、その後引き剥がされた50mmの長さの試験力の平均を密着力とした。4.0N/10mm以上を合格とした。
【0112】
<耐擦性評価>
処理液塗工層の試験片は前記密着性評価と同様の方法で作成した。
次いで、クロックメーター(大栄科学精器製作所製、クロックメーターC-1)を用いて、処理液の塗膜と摩擦用白綿布を9Nの荷重にて摩擦し、摩擦部分の状態を目視で判定し、下記の基準により耐擦過性を評価した。測定は25℃50%RHの環境にて行った。A又はBを合格とした。
【0113】
[評価基準]
A:20往復の摩擦で傷を生じない
B:20往復の摩擦で塗膜に擦り傷を生じるが、剥離はしていない
C:20往復の摩擦で下地が一部露出
D:20往復未満で荷重部分の下地が完全に露出
【0114】
【0115】
【0116】
以上、本発明の記録装置を用いることで、非吸収性又は低吸収性の記録媒体に優れた密着性かつ耐擦性を有する処理液層を形成することができる。これにより高速かつ耐久性に優れた品質の記録物が得られる。
【符号の説明】
【0117】
201 対向ローラー
202 圧力調整装置
203 記録媒体
204 処理液収容容器
205 処理液
206 攪拌・供給ローラー
207 移送ローラー
208 薄膜化ローラー
209 塗布ローラー
300 記録装置
301 記録媒体搬送部
302 前処理部
303 第一の乾燥部
304 インクジェット記録部
305 後処理部
306 第二の乾燥部
307 給紙装置
308 巻き取り装置
304K、304C、304M、304Y インクジェットヘッド
304K-1、304K-2、304K-3、304K-4 ヘッドユニット
310 ノズル
311、312、313、314 ヒートローラー
【先行技術文献】
【特許文献】
【0118】
【非特許文献】
【0119】
【文献】日本接着協会誌、1972年、Vol.8、No.3、131~141頁