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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】配信システム、配信方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 51/00 20220101AFI20220412BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
H04L51/00
H04N1/00 C
H04N1/00 127Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018024456
(22)【出願日】2018-02-14
(65)【公開番号】P2019139660
(43)【公開日】2019-08-22
【審査請求日】2020-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】和泉 直孝
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-211894(JP,A)
【文献】特開2009-205527(JP,A)
【文献】特開2014-235697(JP,A)
【文献】特開2015-176401(JP,A)
【文献】特開2002-230250(JP,A)
【文献】千代田 尚道,ワークフローシステム,東芝技術公開集 VOL.20-38 ,株式会社東芝,第20-38巻
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 51/00
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子データを生成する電子機器と、
前記電子機器から電子データを受信する電子データ受信手段と、
前記電子データを第一の情報処理装置に送信する電子データ送信手段と、を有し、
前記電子データ受信手段は電子メールとして前記電子データを受信する、メールサーバである第二の情報処理装置と、
前記第二の情報処理装置から前記電子データを取得する電子データ取得手段と、
前記電子データ取得手段が取得した前記電子データが有する情報に基づいて、前記電子データにワークフローを実行するか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段がワークフローを実行すると判断した前記電子データにワークフローを実行する実行手段と、を有し、
前記電子データ取得手段は、電子メールとして前記電子データを取得し、
前記判断手段は、前記電子メールの送信元、件名、又は、本文の少なくとも1つが予め定められた条件を満たす場合に、前記電子メールに添付された添付データにワークフローを実行すると判断するものであり、
前記本文には前記ワークフローを指定する指定情報が記述されており、
前記実行手段は、前記本文に記述された前記指定情報に基づいて前記電子データに対して実行するワークフローを決定する第一の情報処理装置と、を有する配信システム。
【請求項2】
電子データを生成する電子機器と、
前記電子機器から電子データを受信する電子データ受信手段と、
前記電子データを第一の情報処理装置に送信する電子データ送信手段と、を有する第二の情報処理装置と、
前記第二の情報処理装置から前記電子データを取得する電子データ取得手段と、
前記電子データ取得手段が取得した前記電子データが有する情報に基づいて、前記電子データにワークフローを実行するか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段がワークフローを実行すると判断した前記電子データにワークフローを実行する実行手段と、を有する第一の情報処理装置と、を有し、
前記電子機器は、ユーザを認証する認証手段と、
前記認証手段が認証したユーザに対応づけられたワークフローの識別情報を前記電子データと共に前記第二の情報処理装置に送信する送信手段と、を有する配信システム。
【請求項3】
前記判断手段は、前記電子データがワークフローの入力となりうるか否かを判断することを特徴とする請求項1又は2に記載の配信システム。
【請求項4】
前記判断手段は、電子メールの本文に記述された前記電子データのフォーマットに基づいて前記電子メールの添付データにワークフローを実行するか否かを判断することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の配信システム。
【請求項5】
前記電子データ取得手段は、
予め定められたタイミングになると前記第二の情報処理装置に対し前記電子データを要求することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の配信システム。
【請求項6】
前記電子データ送信手段は、前記電子機器から受信した前記電子データを前記第一の情報処理装置に対しプッシュ送信することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の配信システム。
【請求項7】
電子データを生成する電子機器と、
前記電子機器から電子データを受信する電子データ受信手段と、
前記電子データを第一の情報処理装置に送信する電子データ送信手段と、を有する第二の情報処理装置と、
前記第二の情報処理装置から前記電子データを取得する電子データ取得手段と、
前記電子データ取得手段が取得した前記電子データが有する情報に基づいて、前記電子データにワークフローを実行するか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段がワークフローを実行すると判断した前記電子データにワークフローを実行する実行手段と、を有する第一の情報処理装置と、を有し、
前記第二の情報処理装置はファイルサーバであり、
前記電子データ受信手段は、ファイルとして前記電子データを受信し、
前記電子データ取得手段は、ファイルとして前記電子データを取得し、
前記判断手段は、前記ファイルのファイル名に含まれる送信元、ワークフローへの入力とする旨、又は、前記電子データのフォーマットの少なくとも1つが予め定められた条件を満たす場合に、前記ファイルにワークフローを実行すると判断し、
前記ファイル名には前記ワークフローを指定する指定情報が記述されており、
前記実行手段は、前記ファイル名に含まれる前記指定情報に基づいて前記電子データに対して実行するワークフローを決定する配信システム。
【請求項8】
前記判断手段は、前記電子データがワークフローの入力となりうるか否かを判断することを特徴とする請求項7に記載の配信システム。
【請求項9】
前記電子機器は、ユーザを認証する認証手段と、
前記認証手段が認証したユーザに対応づけられたワークフローの識別情報を前記電子データと共に前記第二の情報処理装置に送信する送信手段と、
を有することを特徴とする請求項7又は8に記載の配信システム。
【請求項10】
電子機器が電子データを生成するステップと、
メールサーバである第二の情報処理装置の電子データ受信手段が、前記電子機器から電子メールとして電子データを受信するステップと、
前記電子データを第一の情報処理装置に送信するステップと、
第一の情報処理装置の電子データ取得手段が前記第二の情報処理装置から電子メールとして電子データを取得するステップと、
第一の情報処理装置の判断手段が、前記電子データ取得手段が取得した前記電子データが有する情報に基づいて、前記電子データにワークフローを実行するか否かを判断するステップと、
前記第一の情報処理装置の実行手段が、前記判断手段がワークフローを実行すると判断した前記電子データにワークフローを実行するステップと、を有し
前記判断手段は、前記電子メールの送信元、件名、又は、本文の少なくとも1つが予め定められた条件を満たす場合に、前記電子メールに添付された添付データにワークフローを実行すると判断するものであり、
前記本文には前記ワークフローを指定する指定情報が記述されており、
前記実行手段は、前記本文に記述された前記指定情報に基づいて前記電子データに対して実行するワークフローを決定する配信方法。
【請求項11】
電子機器が電子データを生成するステップと、
第二の情報処理装置の電子データ受信手段が、前記電子機器から電子データを受信するステップと、
前記電子データを第一の情報処理装置に送信するステップと、
第一の情報処理装置の電子データ取得手段が前記第二の情報処理装置から前記電子データを取得するステップと、
第一の情報処理装置の判断手段が、前記電子データ取得手段が取得した前記電子データが有する情報に基づいて、前記電子データにワークフローを実行するか否かを判断するステップと、
前記第一の情報処理装置の実行手段が、前記判断手段がワークフローを実行すると判断した前記電子データにワークフローを実行するステップと、
前記電子機器の認証手段がユーザを認証するステップと、
前記認証手段が認証したユーザに対応づけられたワークフローの識別情報を前記電子データと共に前記第二の情報処理装置に送信するステップと、
を有する配信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配信システム、及び配信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子黒板が更に多機能になりオフィス等で業務効率の改善に役立っている。電子黒板は、接続されたパソコンが投影する会議資料の表示、資料への手書きの受け付け、Webページの表示、及び、他拠点の電子黒板との表示内容の共有等が可能である。また、他拠点との音声通話や音声の録音も可能である。電子黒板は会議に限らず、思考の整理、及び、大画面を利用した画像の制作などにも幅広く利用されている。
【0003】
電子黒板が表示した画面はスクリーンショットとしてファイルに保存することができ、電子黒板が再度、表示したり印刷したりできるだけでなく、電子メール等で配信できるため、議事録の作成や配信も容易になる。したがって、会議に関する間接工数の削減という点でもパソコンに比べて優位性がある。
【0004】
ところで、複合機のスキャン機能やFAX受信機能を利用したソリューションが知られている。このようなソリューションでは決まった手順で画像データに対し一連の処理が行われるためワークフロー処理と呼ばれる場合も多い。例えば、複合機が原稿をスキャンして得た画像データにOCR(Optical Character Reader)を施してPDFに変換し、電子メールで送信したり、フォルダに配信したりするワークフロー等が知られている。
【0005】
このように電子黒板や複合機によってペーパーレス化が促進され、書類の整理に要する時間や用紙の消費量が減るなど作業コストの削減が見込まれる。
【0006】
ユーザがワークフローを活用して、すでに電子化されているデータをワークフローに沿って配信したい場合がある。しかし、ワークフローは複合機がスキャナで原稿を読み取って得た画像データを入力とするため、複合機に一度、印刷させ更にスキャナで読み取る必要がある。このような不都合に対し、電子化されたデータを配信のための入力として指定可能とすることで、電子データと画像データを併せて配信する画像配信システムが考案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のような入力方法ではユーザが配信したい電子データを都度指定する必要があるため、操作性が低下してしまう。そこで、例えば電子メール等で電子黒板が画像データを複合機に送信することが検討される。しかしながら、この方法では、複合機が受信した全ての画像データに対しワークフローを実行するおそれがあるという問題がある。
【0008】
例えば、複合機が単に印刷するために電子メールで画像データを受信する場合、あるいは文書などの電子ファイルを蓄積するために電子メールでデータを受信する場合もある状況において、電子黒板が受信した全ての画像データをワークフローの入力とすることは好ましくない。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑み、取得したデータのうち適切なデータに対しワークフローを実行できる配信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題に鑑み、本発明は、電子データを生成する電子機器と、前記電子機器から電子データを受信する電子データ受信手段と、前記電子データを第一の情報処理装置に送信する電子データ送信手段と、を有し、前記電子データ受信手段は電子メールとして前記電子データを受信する、メールサーバである第二の情報処理装置と、前記第二の情報処理装置から前記電子データを取得する電子データ取得手段と、前記電子データ取得手段が取得した前記電子データが有する情報に基づいて、前記電子データにワークフローを実行するか否かを判断する判断手段と、前記判断手段がワークフローを実行すると判断した前記電子データにワークフローを実行する実行手段と、を有し、前記電子データ取得手段は、電子メールとして前記電子データを取得し、前記判断手段は、前記電子メールの送信元、件名、又は、本文の少なくとも1つが予め定められた条件を満たす場合に、前記電子メールに添付された添付データにワークフローを実行すると判断するものであり、前記本文には前記ワークフローを指定する指定情報が記述されており、前記実行手段は、前記本文に記述された前記指定情報に基づいて前記電子データに対して実行するワークフローを決定する第一の情報処理装置と、を有する配信システムを提供する。
【発明の効果】
【0011】
取得したデータのうち適切なデータに対しワークフローを実行できる配信システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】配信システムの動作の概略を説明する図の一例である。
図2】配信システムの概略構成図の一例である。
図3】複合機の概略的なハードウェア構成を示したブロック図の一例である。
図4】メールサーバの概略的なハードウェア構成図の一例である。
図5】電子黒板のハードウェア構成図の一例である。
図6】配信システムが有する電子黒板、メールサーバ、及び、複合機の機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。
図7】ワークフロー定義の新規作成時における設定画面の一例を示す図である。
図8】ワークフローの設定画面の一例を示す図である。
図9】ワークフロー定義の一例を示す図である。
図10】メール送信というプラグインの詳細設定画面の一例を示す図である。
図11】配信システムの全体的な動作手順を示すシーケンス図の一例である。
図12】電子黒板のメール送信部が作成する電子メールの一例を示す図である。
図13】電子メールがワークフローの入力となりうるか否かを処理判断部が判断する手順を示すフローチャート図の一例である。
図14】複合機が本実施例の配信システムの動作の概略を説明する図の一例である。
図15】ファイル名に基づくファイルが入力となりうるか否かの判断方法を説明する図の一例である。
図16】配信システムの動作の概略を説明する図の一例である(実施例2)。
図17】配信システムが有する電子黒板、メールサーバ、及び、ワークフローサーバの機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である(実施例2)。
図18】配信システムの全体的な動作手順を示すシーケンス図の一例である(実施例2)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0014】
<本実施形態の配信システムの概略>
本実施形態の配信システムは、電子黒板のような画像データの配信機能に制限がある機器から送信された画像データを、入力となりうるか否かの判断の後、ワークフローの入力として与えることができる。送信された画像データをワークフローの入力とすることができれば、画像データが変わってもワークフローを変更することなく配信先装置に電子データを配信できる。
【0015】
なお、配信システム100には、複合機40内にワークフローサーバが搭載されている形態(サーバレス版)、及び、ワークフローサーバを必要とする形態(サーバ版)の2パターンが存在する。本実施例ではサーバレス版を説明する。
【0016】
図1は、本実施例の配信システム100の動作の概略を説明する図の一例である。
(1)電子黒板2は表示した画面からスクリーンショットなどで生成された画像データを電子メールに添付してメールサーバ20に送信する。
(2)複合機40にはこのメールサーバ20が登録されており、複合機40はメールサーバ20に対して定期的に電子メールの有無を問い合わせるポーリング行う。
(3)新しい電子メールがある場合、複合機40は電子メールを受信する。
(4)複合機40は受信前に又は受信後にワークフローの入力となり得る電子メールか否かを判断する。ワークフローの入力となり得る電子メールについては後述する。
(5)ワークフローの入力となり得る電子メールの場合、複合機40は電子メールに添付された画像データ(添付データの一例)を取り出し、ワークフロー等によって予め決まっている処理を行う。複合機40はワークフローの各処理が施された画像データを配信先装置60に配信する。
【0017】
このように、電子黒板2から配信したい画像を添付して電子メールを送信することで、複合機40が画像を入力にしてワークフローを実行し、ワークフローで予め定められた配信先装置60に配信できる。したがって、ユーザが都度画像データを指定しなくても、電子黒板2の画像データを入力とすることができる。また、複合機40はワークフローの入力となり得る電子メールに添付された画像データのみをワークフローの対象にするので外部から取得した画像データのうち適切な画像データに対してのみワークフローを実行できる。
【0018】
<用語について>
ワークフローの入力となり得る電子メールとは、外部から送信された電子データのうちワークフローの入力となる条件を満たす電子メールである。例えば、送信元、ワークフローの入力とする旨が指定されていること、又は、画像データのフォーマットが所定のフォーマットであること等の条件が設定されている。
【0019】
<システム構成例>
図2は、本実施例の配信システム100の概略構成図の一例である。配信システム100は、ネットワークNを介して接続されたメールサーバ20、複合機40、電子黒板2、及び、配信先装置60を有する。
【0020】
ネットワークNは、複合機40、電子黒板2又は配信先装置60が設置されている拠点などに構築されているLAN、LANをインターネットに接続するプロバイダのプロバイダネットワーク、及び、回線事業者が提供する回線等により構築されている。ネットワークNが複数のLANを有する場合、ネットワークはWANやインターネットと呼ばれる。この他、VPN(Virtual Private Network)や広域イーサネット(登録商標)が含まれていてもよい。ネットワークNは有線又は無線のどちらで構築されてもよく、また、有線と無線が組み合わされていてもよい。また、3G、LTE(Long Term Evolution)、4Gなどの携帯電話網により接続される場合、LANはなくてもよい。
【0021】
電子黒板2は少なくともタッチパネルを有しておりユーザが描いた手書き内容を点の座標として取り込んで大型のディスプレイに表示する。この他、PC(Personal Computer)と接続されPCが表示する画面を電子黒板2が表示する機能、電子黒板2が表示するPCの画面と手書き内容を保存する機能、手書き内容を遠隔地にある他の電子黒板2と共有する機能などを有している。
【0022】
電子黒板2には、SMTP(Send Mail Transfer Protocol)サーバのIPアドレスとポート番号が設定されている。電子黒板2が送信する電子メールはいったんこのSMTPサーバに送信され、SMTPサーバが宛先のメールアドレスのドメインから特定したメールサーバ20に電子メールを転送する。
【0023】
複合機40は、配信システム100の処理を行う情報処理装置である。一般的な配信システム100において複合機40は画像データの入力装置の役割を担う。すなわち、原稿をスキャナで読み取り画像データを作成する。更に、本実施例の複合機40はワークフローサーバの機能を有しており、後述するワークフロー定義にしたがって、読み取った画像データをOCR(Optical Character Reader)処理したり、PDFに変換したりするなどして配信先装置60に送信することなどを行う。複合機40は画像データの入力手段としての使い方も可能であるが、本実施形態では画像データは電子黒板2から電子メール等で送信されるため、複合機40が原稿を読み取って画像データを生成する必要がない。
【0024】
複合機40の「複合」とは、プリント、FAX送受信、原稿のスキャン、及び、コピーなどの複数の機能を有することを意味するが、本実施形態では複合機40が複数の機能を有することは必要でない。一般の配信システム100では、複合機40はスキャナの機能を有することが望まれるが、本実施形態では情報処理装置の機能を有すればよい。したがって、複合機40は、例えば、プリンタ、印刷装置、スキャナ装置、FAX装置、コピー機などでもよい。また、複合機40は、MFP(Multi-Function Peripheral)、複写機、コピー機、画像形成装置、又は、オフィス機器などと呼ばれていてもよい。
【0025】
更に、複合機40は情報処理装置の機能を有する、PC、プロジェクタ、HUD(Head Up Display)装置、電子黒板2、テレビ会議端末、デジタルサイネージなどでもよい。本実施形態では画像を生成する必要がないためである。
【0026】
複合機40には、POP3サーバ又はIMAPサーバとしてのメールサーバ20のIPアドレスとポート番号が設定されている。また、認証用のユーザID(アカウント)とパスワードも設定されている。複合機40が所定のタイミングでメールサーバ20にアクセスすると、認証の成立により複合機40のメールアドレスを宛先とする電子メールを受信することができる。
【0027】
メールサーバ20は、少なくとも電子メールの受信側の機能を有するメールサーバである。受信側の機能としてはPOP(Post Office Protocol )というプロトコルが知られている。現在使われているバージョンは3なのでPOP3と呼ばれる。また、IMAPというプロトコルも知られている。両者の違いは電子メールを保管する場所であり、POP3では受信端末側(本実施例では複合機40)が電子メールを受信して保管するが、IMAPではメールサーバ20が電子メールを保管する。本実施形態ではどちらのプロトコルを採用しても良いが、説明の便宜上、POP3を前提にして説明する。
【0028】
メールサーバ20には電子黒板2から直接、又は、SMTPというプロトコルで1つ以上のSMTPサーバから転送された電子メールが蓄積される。電子黒板2は複合機40のメールアドレスを宛先にして電子メールを送信するが、SMTPサーバはメールアドレスをDNSサーバでPOP3サーバのIPアドレスに変換して、このPOP3サーバに転送する。一般にはいくつかのルーティングを経て複合機40に設定されたIPアドレスを有するメールサーバ20に到達する。複合機40は予め設定されているユーザIDとパスワードをメールサーバ20に送信して、認証が成立すると自機宛の電子メールをメールサーバ20から取得する。
【0029】
配信先装置60は、配信システム100において複合機40が処理した画像データが送信される配信先の装置である。配信先の装置の一例として、PC60a、タブレット端末60b、及び、サーバ60cが図示されているが配信先はこれらに限られず、例えばネットワークストレージなどでもよい。記憶手段と通信手段を有する装置であれば配信先装置60となりうる。PC60aが配信先装置60の場合、複合機40はワークフロー定義に設定されている配信先フォルダにSMB(Server Message Block)などのプロトコルで画像データを送信する。タブレット端末60bが配信先装置60の場合、複合機40はワークフロー定義に設定されているメールアドレスを宛先にして画像データを送信する。サーバ60cが配信先装置60の場合、複合機40はワークフロー定義に設定されているサーバのIPアドレスに、HTTP、FTP(File Transfer Protocol)、又はWebDAV等で画像データを送信する。なお、配信先装置と配信方法の組み合わせなどは一例に過ぎない。
【0030】
<ハードウェア構成例>
<<複合機>>
図3は、複合機40の概略的なハードウェア構成を示したブロック図の一例である。複合機40では、コントローラ410に対し、操作パネル411、FCU(Facsimile Control Unit)412、USB(Universal Serial Bus)413、IEEE1394(the Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)インタフェース414がPCI(Peripheral Component Interface)バス416を介して接続されている。
【0031】
コントローラ410は、複合機40全体の制御と描画、通信、操作パネル411からの入力を制御するコントローラである。 エンジン部415は、PCIバス416に接続可能なプリンタエンジンなどであり、たとえば白黒プロッタ、1ドラムカラープロッタ、4ドラムカラープロッタ、スキャナ又はファックスユニットなどである。
【0032】
なお、このエンジン部415には、プロッタなどのいわゆるエンジン部分に加えて、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれる。
【0033】
コントローラ410は、CPU401と、ノースブリッジ(NB)403と、システムメモリ(MEM‐P)402と、サウスブリッジ(SB)404と、ローカルメモリ(MEM‐C)407と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)406と、ハードディスクドライブ(HDD)408とを有し、ノースブリッジ(NB)403とASIC406との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス405で接続した構成となる。
【0034】
また、MEM‐P402は、ROM(Read Only Memory)402aと、RAM(Random Access Memory)402bと、を更に有する。
【0035】
CPU401は、複合機40の全体制御を行うものであり、NB403、MEM‐P402及びSB404からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。
【0036】
NB403は、CPU401とMEM‐P402、SB404、AGPバス405とを接続するためのブリッジであり、MEM‐P402に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタ及びAGPターゲットとを有する。
【0037】
MEM‐P402は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM402aとRAM402bとからなる。
【0038】
ROM402aは、プログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM402bは、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いる書き込み及び読み出し可能なメモリである。
【0039】
SB404は、NB403とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB404は、PCIバスを介してNB403と接続されており、このPCIバスには、ネットワークI/F409なども接続される。ASIC406は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス405、PCIバス416、HDD408及びMEM‐C407をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。
【0040】
このASIC406は、PCIターゲット及びAGPマスタと、ASIC406の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM‐C407を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、エンジン部415との間でPCIバスを介したデータ転送を行うPCIユニットとを有する。
【0041】
ネットワークI/F409はネットワークNを介してメールサーバ20等と通信するための通信装置であり、例えばNIC(Network Interface Card)である。
【0042】
操作パネル411はASIC406に直接接続されている。MEM‐C407は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリである。HDD408は、画像データの蓄積、プログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。
【0043】
また、HDD408は、複合機40で実行されるプログラム408pを記憶する。AGPバス405は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレーターカード用のバスインターフェースであり、MEM‐P402に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレーターカードを高速にするものである。
【0044】
なお、図示する複合機40のハードウェア構成図は一例に過ぎず、例えば操作パネルをタブレット端末などの情報処理装置で実現したデバイス等もあり、ハードウェア構成は複合機40によって異なってよい。
【0045】
<<メールサーバ>>
図4は、メールサーバ20の概略的なハードウェア構成図の一例である。メールサーバ20は、CPU201と、CPU201が使用するデータの高速アクセスを可能とするメモリ202とを備える。CPU201及びメモリ202は、システム・バス203を介して、メールサーバ20の他のハードウェア要素、例えば、グラフィックス・ドライバ204及びネットワーク・ドライバ(NIC)205へと接続されている。
【0046】
グラフィックス・ドライバ204は、バスを介してLCD206に接続されて、CPU201による処理結果をモニタする。また、ネットワーク・ドライバ205は、トランスポート層レベル及び物理層レベルでメールサーバ20をネットワークNへと接続して、複合機40又は電子黒板2とのセッションを確立させている。
【0047】
システム・バス203には、更にI/Oバス・ブリッジ207が接続されている。I/Oバス・ブリッジ207の下流側には、PCIなどのI/Oバス208を介して、IDE、ATA、ATAPI、シリアルATA、SCSI、USBなどにより、HDD(ハードディスクドライブ)209などの記憶装置が接続されている。HDD209はメールサーバ20の全体を制御するプログラム209pを記憶している。HDD209はSSD(Solid State Drive)でもよい。
【0048】
また、I/Oバス208には、USBなどのバスを介して、キーボード及びマウス(ポインティング・デバイスと呼ばれる)などの入力装置210が接続され、システム管理者などのオペレータによる入力及び指令を受け付けている。
【0049】
なお、図示したメールサーバ20のハードウェア構成は、1つの筐体に収納されていたりひとまとまりの装置として備えられていたりする必要はなく、メールサーバ20が備えていることが好ましいハード的な要素を示す。また、クラウドコンピューティングに対応するため、本実施例のメールサーバ20の物理的な構成は固定的でなくてもよく、負荷に応じてハード的なリソースが動的に接続・切断されることで構成されてよい。
【0050】
<<電子黒板のハードウェア構成>>
続いて、図5を用いて、本実施形態の電子黒板2のハードウェア構成を説明する。なお、図5は、電子黒板2のハードウェア構成図である。
【0051】
図5に示されているように、電子黒板2は、電子黒板2全体の動作を制御するCPU101、IPL等のCPU101の駆動に用いられるプログラムを記憶したROM102、CPU101のワークエリアとして使用されるRAM103、電子黒板2用のプログラム等の各種データを記憶するSSD104、通信ネットワーク9との通信を制御するネットワークコントローラ105、及び、USBメモリ5との通信を制御する外部記憶コントローラ106を備えている。
【0052】
また、電子黒板2は、ノートPC6のディスプレイに対して映像情報を静止画又は動画として表示させるキャプチャデバイス111、グラフフィックスを専門に扱うGPU(Graphics Processing Unit)112、及び、GPUからの出力画像をディスプレイ3やテレビ会議端末7へ出力するために画面表示の制御及び管理を行うディスプレイコントローラ113を備えている。
【0053】
更に、電子黒板2は、接触センサ115の処理を制御するセンサコントローラ114、ディスプレイ3上に電子ペン4やユーザの手H等が接触したことを検知する接触センサ115を備えている。この接触センサ115は、赤外線遮断方式による座標の入力及び座標の検出を行う。この座標の入力及び座標の検出する方法は、ディスプレイ3の上側両端部に設置された2つ受発光装置が、ディスプレイ3に平行して複数の赤外線を放射し、ディスプレイ3の周囲に設けられた反射部材によって反射されて、受光素子が放射した光の光路と同一の光路上を戻って来る光を受光する方法である。接触センサ115は、物体によって遮断された2つの受発光装置が放射した赤外線のID(Identification)をセンサコントローラ114に出力し、センサコントローラ114が、物体の接触位置である座標位置を特定する。なお、以下に示す全ての各IDは、識別情報の一例である。
【0054】
また、接触センサ115としては、赤外線遮断方式に限らず、静電容量の変化を検知することにより接触位置を特定する静電容量方式のタッチパネル、対向する2の抵抗膜の電圧変化によって接触位置を特定する抵抗膜方式のタッチパネル、接触物体が表示部に接触することによって生じる電磁誘導を検知して接触位置を特定する電磁誘導方式のタッチパネルなどの種々の検出手段を用いてもよい。
【0055】
また、電子黒板2は、電子ペンコントローラ116を備えている。この電子ペンコントローラ116は、電子ペン4と通信することで、ディスプレイ3へのペン先のタッチやペン尻のタッチの有無を判断する。なお、電子ペンコントローラ116が、電子ペン4のペン先及びペン尻だけでなく、電子ペン4のユーザが握る部分や、その他の電子ペンの部分のタッチの有無を判断するようにしてもよい。
【0056】
更に、電子黒板2は、CPU101、ROM102、RAM103、SSD104、ネットワークコントローラ105、外部記憶コントローラ106、キャプチャデバイス111、GPU112、センサコントローラ114、及び電子ペンコントローラ116を、電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等のバスライン120を備えている。
【0057】
なお、電子黒板2用のプログラムは、CD-ROM等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して流通させるようにしてもよいし、プログラム配信用のサーバから配信されてもよい。
【0058】
<機能について>
図6は、配信システム100が有する電子黒板2、メールサーバ20、及び、複合機40の機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。
【0059】
<<電子黒板>>
電子黒板2は、認証部11、画像生成部12及びメール送信部13は有する。電子黒板2が有するこれらの機能は、図5に示した電子黒板2が有するCPU101がSSD104等に記憶されたプログラムを実行して電子黒板2が有するハードウェア要素と協働することで実現される機能又は手段である。
【0060】
また、電子黒板2は図5に示したSSD104、RAM103又はROM102に構築されたユーザ情報DB14を有する。ユーザ情報DB14にはユーザに関する情報が記憶されている。
【0061】
【表1】
表1はユーザ情報DB14に記憶されている情報を模式的に示す。ユーザ情報DB14にはユーザID、パスワード、優先ワークフロー、ワークフロー名、件名、及び、本文の各項目が対応付けられている。ユーザIDはユーザを識別又は特定するための識別情報である。IDはIdentificationの略であり識別子や識別情報という意味である。IDは複数の対象から、ある特定の対象を一意的に区別するために用いられる名称、符号、文字列、数値又はこれらのうち1つ以上の組み合わせをいう。他のIDについても同様である。パスワードはユーザが本人であることを電子黒板2が確認するための秘密情報である。優先ワークフローはユーザが電子メールを送信する際に優先的に設定されるワークフローIDである。ワークフロー名は優先ワークフローの名称、件名は電子メールの件名に自動的に設定される文章、本文は電子メールの本文に自動的に設定される文章である。このようにユーザの認証が成立するとワークフローも自動的に決まるため、ユーザはワークフローを指定したり、件名及び本文を記載したりする必要がない。当然ながら、ユーザは任意にワークフローを指定したり、件名及び本文を記載したりすることもできる。
【0062】
認証部11はユーザを認証する。例えば、パスワードとユーザID、ICカード、又は、生体認証情報のいずれで認証してもよい。
【0063】
画像生成部12はディスプレイ3に表示された画像を取り込み、画像データを生成する。取り込むとはディスプレイ3に表示されている画像の画像データを生成することをいう。「キャプチャする」と称する場合がある。
【0064】
メール送信部13は、ユーザ情報DB14に対応付けられている件名と本文を電子メールに設定し、例えばユーザが選択した複合機40のメールアドレスを宛先に設定する。本文のFormatには画像データのファイル形式、Target projectには優先ワークフロー、及びPriorityにはNormal(通常の優先度)を設定する。更に、電子メールに画像データを添付し、予め設定されているSMTPサーバに送信する。このSMTPサーバが図1のメールサーバ20の場合もある。ユーザは電子メールを編集して本文を編集できる(例えば、自分の好きなワークフローを電子メールの本文で設定することもできる。)。
【0065】
<<メールサーバ>>
メールサーバ20は、メール受付部21、及び、メール配信部22を有する。メールサーバ20が有するこれらの機能は、図4に示したHDD209からメモリ202に展開されたプログラム209pをCPU201が実行することにより実現されている機能又は手段である。なお、このプログラム209pは、プログラム配信用のサーバから配信されてもよいし、USBメモリや光記憶媒体などの可搬性の記憶媒体に記憶された状態で配布されてもよい。
【0066】
また、メールサーバ20は図4に示したHDD209又はメモリ202に構築されたメール蓄積DB23を有する。メール蓄積DB23には各電子黒板2から送信されたメールが蓄積される。
【0067】
【表2】
表2はメール蓄積DB23に記憶されているメールを模式的に示す。メール蓄積DB23には、送信元メールアドレス、宛先メールアドレス、件名、本文、及び、添付ファイルの各項目がメールごとに記憶されている。送信元メールアドレスはメールを送信した電子黒板2のメールアドレスである。宛先メールアドレスは複合機40のメールアドレスである。件名はメールのタイトルであり、本文はメールの本文である。添付ファイルは、ユーザの操作により複合機40が取り込んだ画像データである。表2では1つのメールに複数の画像データが添付されているが、1つの画像データが取り込まれるごとに1つのメールに添付され送信されてもよい。
【0068】
電子メールに添付され画像データが送信された場合、送信元メールアドレス、件名、及び、本文の少なくとも1つに基づいて、複合機40がワークフローの入力となり得る電子メールか否かを判断する。本文の「Format」は画像データのファイル形式(フォーマット)を示す。表2の例では「jpeg」というファイル形式であることが通知されている。本文の「Target project」はワークフロー定義を指定する項目名(指定情報の一例)である。表2の例では「send to team」という名称のワークフロー定義が指定されている。本文の「Priority」は画像データがワークフローで処理されるための優先度である。表2の例では「normal」という優先度が指定されている。複合機は、本文に「Format」「Target project」「Priority」の各項目があるか否かを判断することができる。そして、更に「Format」が予め定められた画像データのファイル形式であるか否かを判断することができる。
【0069】
図6に戻って説明する。メール受付部21は、電子黒板2が送信した電子メールを直接、又は1つ以上のSMTPサーバを介して取得する。メール受付部21は取得したメールをメール蓄積DB23に記憶させる。メール配信部22は複合機40から送信されたユーザIDとパスワードで複合機40の認証が成立すると、認証した複合機40のメールアドレスを宛先とするメールをメール蓄積DB23から読み出して、複合機40に送信する。ユーザIDは通常、メールアドレスのうち@よりも前の部分なので複合機40のメールアドレスが容易に特定される。これにより、複合機40は自機宛のメールとメールに添付された画像データを取得できる。
【0070】
<<複合機>>
複合機40は、プログラム実行部41、処理実行部42、メール取得部43、及び、処理判断部44を有する。複合機40が有するこれらの機能は、図3に示した複合機40のCPU401がHDD408等に記憶されたプログラム408pを実行し、複合機40のハードウェア要素と協働することにより実現される機能又は手段である。
【0071】
また、複合機40は、図3に示したHDD408、MEM-P402又はMEM-C407等により構築される記憶部49を有する。記憶部49には、定義情報記憶部46が構築され、処理判断テーブル47が記憶されている。定義情報記憶部46に1つ以上のワークフロー定義が記憶されている。ワークフロー定義の作成方法及びその具体例については図7図10で説明する。
【0072】
【表3】
表3は、定義情報記憶部46に記憶されているワークフロー定義の一例を示す。定義情報記憶部46にはワークフローID、ワークフロー名、及び、ファイル名が対応付けて登録されている。ワークフローIDはワークフロー定義を一意に識別又は特定するための識別情報である。ワークフロー名はユーザがワークフロー定義を判別するための名称である。ファイル名はワークフロー定義が記述されたファイルである。ファイル形式はxml(Extensible Markup Language)の他、JSONでも他の形式でもよい。
【0073】
【表4】
表4は処理判断テーブル47の一例を示す。処理判断テーブル47には差出人、件名、及び、本文の各項目が対応付けて登録されている。差出人、件名、及び、本文の各項目は、ワークフローの入力となりうる電子メールか否かの条件(判断基準)を示す。3つの項目全てで処理判断テーブル47と一致することが要求されるのか、1つ又は2つでよいのかは適宜、管理者などにより設定される。また、本文の条件のうち「Target project」と「Priority」の設定値は任意となっているが、これらの値を条件とすることもできる。
【0074】
表4では、1つの判断基準(レコード)しか登録されていないが、管理者は複数の判断基準を登録することができる。
【0075】
図6に戻って説明する。メール取得部43は、上記のようにユーザIDとパスワードをメールサーバ20に送信して認証を受けると共に、認証が成立するとメールサーバ20から自機(複合機40)のメールアドレスを宛先とする電子メールを取得する(受信する)。メール取得部43は、取得した電子メールを処理判断部44に送出する。
【0076】
処理判断部44は、処理判断テーブル47に登録された差出人、件名、及び、本文と電子メールの差出人、件名、及び、本文を比較することで、ワークフローの入力となりうる電子メールか否かを判断する。ワークフローの入力となりうる電子メールであると判断した場合、処理判断部44は電子メールをメール取得部43に返す。メール取得部43はこの電子メールをプログラム実行部41に送出する。
【0077】
なお、電子メールの受信後に処理判断部44が判断するのでなく、メール取得部43がワークフローの入力となりうる電子メールのみをメールサーバ20から取得してもよい。この場合、メール取得部43が処理判断部44の機能を兼ねて処理判断テーブル47に登録された差出人、件名、及び、本文が記載された電子メールのみをメールサーバ20から受信する。
【0078】
プログラム実行部41は、予め登録された複数のプラグイン45を有し、処理実行部42からの制御にしたがって各プラグイン45を実行する。プラグイン45はワークフローが有する処理と1対1に対応する。プラグイン45は、例えばOCR、PDF化、メール送信、フォルダ配信等にそれぞれが対応している。原則的に各プラグイン45は互いに異なる処理を実行するが、同じ処理を実行するプラグイン45が存在してもよい。
【0079】
処理実行部42は、プログラム実行部41と通信してメールの本文で指定されたTarget projectに基づいてワークフローを決定し、このワークフローを実行する。処理実行部42は定義情報記憶部46に記憶されているこのワークフロー定義(ファイル)を読み出して、処理とその順番を解析する。そして、処理に対応するプラグイン45に画像データを送出してその実行を要求する。プラグイン45から処理された画像データ(画像データから別の形式のデータに変換されていてもよい)を取得すると、ワークフロー定義の処理の順番に、プラグイン45への処理の要求を繰り返す。このように、電子黒板2から送信された画像データにワークフローで決まった処理を実行できる。
【0080】
<ワークフロー定義>
図7は、ワークフロー定義の新規作成時における設定画面310の一例を示す図である。本実施例では、ワークフローの設定は配信システム100の管理者が操作する複合機40で行われるものとして説明するが、管理者が使用する端末又は一般のユーザが使用する端末から設定されてもよい。ワークフローの設定によりワークフローが定義される。
【0081】
複合機40は所定のサーバ(例えば、ワークフロー設定用のサーバ、実施例2のワークフローサーバなどである)と通信して設定画面310を表示する。設定画面310は、追加可能なプラグイン45(プログラム)のリストが表示されるプラグインリスト欄301と、ワークフロー定義欄302を有する。プラグインリスト欄301には、ワークフローにおいて実行可能な全てのプラグイン45を示すアイコン94(94-1~94-6)が表示される。プラグイン45は、管理者又はユーザからみた処理の最小単位であり実際にはプログラムである。
【0082】
図7に示すように、ワークフローの新規作成時のワークフロー定義欄302には、スタートマーク91のみを含む流れ図90が表示される。複合機40は、管理者が、スタートマーク91のみを含む流れ図90にアイコン94を追加することに応じて、ワークフローに対して新たなプラグイン45の実行を追加してワークフロー定義を作成する。このように、複合機40の操作パネル411上で管理者はアイコンを移動することでワークフロー定義を新規に作成することができる。
【0083】
図8は、ワークフローの設定画面310の一例を示す図である。図8(a)は、途中まで作成されたワークフローの流れ図90が表示された設定画面310を示す。なお、ワークフローは最低1つのプラグイン45を有すればよく、図7の流れ図90で完成していてもよい。流れ図90は、スタートを示すスタートマーク91と、実行されるプラグイン45を示すアイコン92(92-1~92-4)と、矢印93(93-1~93-4)とを含む。矢印93は、スタートマーク91及びそれぞれのアイコン92の間を接続して、プラグイン45の実行順序を表す。
【0084】
図8(b)は、図8(a)に対しプラグイン45が追加された設定画面310を示す。プラグインリスト欄301に表示されたアイコン94-2を流れ図90に追加する操作を管理者が行うことに応じて、複合機40はワークフローに新たなプラグイン45の実行を追加する。このように、管理者はプラグイン45を流れ図に追加するという操作でワークフローを定義でき、複合機40は流れ図に応じたワークフロー定義を作成することができる。作成されたワークフロー定義は複合機40の定義情報記憶部46に記憶される。
【0085】
図7図8ではワークフローの新規の作成方法を説明したが、すでに定義済みのワークフローを管理者が編集したり改良したりすることもできる。管理者は定義情報記憶部46からワークフロー定義を読み出す。複合機40は、管理者の操作に応じて、ワークフローに既に組み込まれたプラグイン45を削除又は追加したり、既に組み込まれたプラグイン45の実行順序を変更したりすることができる。
【0086】
図9は、ワークフロー定義の一例を示す図である。複合機40は、電子黒板2が送信した画像データに対し、例えば図9に示されるようなワークフロー定義にしたがって、プラグイン45を実行させる。
【0087】
図9によれば、複合機40は、メールサーバ20から受信した画像データに対し、第1の処理として、OCRを行うプラグイン45を実行する。すなわち、文字認識を行う。続いて、第2の処理として、複合機40は、認識した文字を透明テキストで画像データに重畳させてPDF化するプラグイン45を実行する。
【0088】
続いて、第3の処理として、複合機40は、メール配信をするプラグイン45を実行する。メール配信は、図10にて後述する宛先に例えば画像データ(複合機40が処理した電子データであり画像データに限られない)を電子メールで送信する処理である。また、第4の処理として、複合機40は第3の処理(メール配信)と並行して、FTP配信をするプラグイン45を実行する。FTP配信は、ネットワーク上のFTPサーバにデータをFTPで送信して蓄積させる処理である。
【0089】
また、ワークフロー定義欄302のいずれかのプラグイン45を管理者がダブルクリック等すると、複合機40は当該プラグイン45の詳細を設定する詳細設定画面を表示する。
【0090】
図10は、メール送信というプラグイン45の詳細設定画面320の一例を示す図である。図10に示される詳細設定画面320は、送信先アドレスの設定領域321、添付文書タイプ設定欄322、添付文書の名前の設定領域323、自機のURLの添付設定欄324、本文の設定領域325を有する。また、送信先に自分を含めるか否かの設定欄326、デフォルト(初期設定)の電子メールドメインの設定欄327、及び、エラー通知の有無に関する設定欄328を有する。図10ではメール送信のプラグイン45の詳細設定画面320を説明したが、他のプラグイン45についてもプラグイン45の処理に対応した詳細設定画面320が表示される。なお、図10はワークフロー定義における配信先の設定を説明しており、電子黒板2が送信する電子メールの宛先の設定ではない点に注意されたい。
【0091】
<動作手順>
図11は、配信システム100の全体的な動作手順を示すシーケンス図の一例である。図11の処理は例えば、ユーザが電子黒板2を使用すると開始される。
【0092】
S1:まず、ユーザは認証操作を行う。例えば、ユーザIDとパスワードを入力する。
【0093】
S2:電子黒板2の認証部11は認証操作を受け付けて、ユーザが入力したユーザIDとパスワードがユーザ情報DB14に登録されているか否かにより認証が成立するか否かを判断する。本実施例では認証が成立したものとして説明する。
【0094】
S3:次に、ユーザは画像を取り込む操作を行う。例えば、所定のボタンを押下する。
【0095】
S4:電子黒板2の画像生成部12はこの操作を受け付けて、電子黒板2がディスプレイ3に表示している画面を取り込み、画像データを生成する。画像データはいくつ生成されてもよい。
【0096】
S5:次に、ユーザは電子メールを複合機40へ送信する操作を行う。例えば、複合機40のメールアドレスをアドレス帳から選択する。あるいは、「ワークフローへ転送」のような予め決まったボタンを押下する。
【0097】
S6:電子黒板2のメール送信部13はこれらの操作を受け付け、電子メールを作成する。作成される電子メールを図12にて説明する。
【0098】
S7:メール送信部13は作成した電子メールを添付された画像データと共にメールサーバ20に送信する。仮に電子黒板2がメールサーバ20と通信できなかった場合、画像データの送信を中止する。例えば、電子黒板2がディスプレイ3に「メールサーバ20と通信できません。画像データの送信を中止しました」等を表示する。これにより、ユーザは画像データを送信できなかったことを把握できる。なお、管理者にメールサーバ20と通信できない旨を電子メールなどで通知するとなおよい。
【0099】
S8:複合機40のメール取得部43は所定のタイミングで自機宛のメールの有無をメールサーバ20に問い合わせる。ステップS8の時点ではメールサーバ20が電子メールを受信していない。所定のタイミングは定期的でもよいし、複合機40の負荷が閾値以下に低下したタイミング等でもよい。このように、複合機40があるサーバレスの配信システム100では複合機40の都合がよいタイミングで電子メールを取得できる。一方、ユーザから見ると送信した画像データに対しワークフローが開始されるまでに時間がかかる可能性がある。
【0100】
S9:メールサーバ20のメール受付部21はメール蓄積DB23に電子メールを蓄積する。
【0101】
S10:複合機40のメール取得部43は所定のタイミングで自機宛のメールの有無をメールサーバ20に問い合わせる。
【0102】
S11:ステップS10の時点ではメールサーバ20が電子メールを受信しているので、メールサーバ20のメール配信部22は複合機40宛の電子メールを複合機40に送信する。なお、メールサーバ20は画像データのデータサイズを考慮して複合機40に電子メールを送信するか否かを判断し、画像データのデータサイズが閾値以上の場合は、電子メールを送信しない。これは、複合機40によっては大容量のデータの受信が制限されているためである。大容量のデータの受信が制限されている場合、電子メールが受信されずにネットワークリソースが無駄になる。この閾値は、複合機40側の制限又はHDD容量などを考慮して管理者がメールサーバ20に設定しておく。あるいは、複合機40が複合機40側の制限又はHDD容量をメールサーバ20に通知して、メールサーバ20が閾値を設定してもよい。
【0103】
S12:複合機40のメール取得部43は電子メールを取得するので、処理判断部44は電子メールがワークフローの入力となりうるか否かを判断する。この判断の詳細を図13のフローチャート図にて説明する。なお、図11の説明では、電子メールの受信後に入力となりうるか否かを判断しているが、ステップS10、S11で判断して、複合機40はワークフローの入力となりうる電子メールのみを受信してよい。
【0104】
S13:電子メールがワークフローの入力になりうる場合、複合機40の処理実行部42が本文で指定されたワークフロー定義を定義情報記憶部46から読み出して、プログラム実行部41のプラグイン45を呼びだしてワークフローを実行する。電子メールがワークフローの入力になりえない場合、処理判断部44は電子メールを破棄する。更に、電子メールが破棄された旨を記憶しておき、ユーザが後から記録を確認できるとなおよい。
【0105】
S14:ワークフローの処理の一部において、複合機40のプログラム実行部41のプラグイン45のうち配信を担当するプラグイン45がワークフロー定義に設定されている配信先装置60に画像データを配信する。
【0106】
<<電子メールの一例>>
図12は、電子黒板2のメール送信部13が作成する電子メールの一例を示す。この電子メールは差出人欄330、件名欄331、及び、本文欄332を有する。電子黒板2のメール送信部13は、電子黒板2に設定された自機のメールアドレスを差出人欄330に設定する。また、メール送信部13は、ユーザがアドレス帳から複合機40のメールアドレスを選択したこと、又は、「ワークフローへ転送」のような決まったボタンを押下したことに基づいて、ユーザ情報DB14に設定されている件名を件名欄331に設定する。同様に、ユーザ情報DB14に設定されている本文を本文欄332に設定する。本文の「Format:」には画像データのファイル形式を設定し、「Target project:」には優先ワークフローのワークフロー名を設定し、「Priority:」にはnormalを設定する。
【0107】
なお、件名は予め決まっている固定値でもよいし、ワークフローが1つしかない場合は、本文でワークフローを指定する必要がない。また、本文のワークフロー名はワークフローIDで指定されてもよい。
【0108】
<<ワークフローの入力となりうるか否かの判断>>
図13は、電子メールがワークフローの入力となりうるか否かを処理判断部44が判断する手順を示すフローチャート図の一例である。図13では、処理判断テーブル47の全ての判断基準(条件)が満たされる場合にワークフローの入力となりうると判断する場合を説明する。
【0109】
まず、処理判断部44は差出人が処理判断テーブル47に登録されているか否かを判断する(S101)。すなわち、差出人が電子黒板2か否かを判断する。これにより予め定めた送信元が送信する電子メールをワークフローの入力にできる。ステップS101の判断がNoの場合、処理判断部44は電子メールに添付された画像データがワークフローの入力でないと判断する(S106)。
【0110】
ステップS101の判断がYesの場合、処理判断部44は件名が処理判断テーブル47に登録されているか否かを判断する(S102)。これによりワークフローの入力とする旨が明確な電子メールをワークフローの入力にできる。ステップS102の判断がNoの場合、処理判断部44は電子メールに添付された画像データがワークフローの入力でないと判断する(S106)。
【0111】
ステップS102の判断がYesの場合、処理判断部44は本文に処理判断テーブル47に登録されたFormat、Target project、及び、Priorityの各項目が記載されているか否かを判断する(S103)。これにより本文の記載要件にしたがっている電子メールをワークフローの入力にできる。ステップS103の判断がNoの場合、処理判断部44は電子メールに添付された画像データがワークフローの入力でないと判断する(S106)。
【0112】
ステップS103の判断がYesの場合、処理判断部44は画像データのフォーマットが処理判断テーブル47に登録されているか否かを判断する(S104)。これにより予め定めたファイル形式の電子データが添付された電子メールをワークフローの入力にできる。ステップS104の判断がNoの場合、処理判断部44は電子メールに添付された画像データがワークフローの入力でないと判断する(S106)。
【0113】
ステップS104の判断がYesの場合、処理判断部44は電子メールに添付された画像データがワークフローの入力であると判断する(S105)。
【0114】
なお、処理判断部44は更に、電子黒板2が送信した画像データが複合機40まで正常に送信されたか否かを判断するとなおよい。ネットワークの輻輳などにより、画像データの一部が送信されないこと、本文が文字化けすること、又は、本文が破損すること等が起こりうる。処理判断部44は、画像データの属性に記載されたサイズと画像データの実際のサイズ、メールのヘッダ等に記載のサイズと本文の実際のサイズが異なる場合、又は、文字の並びが辞書にないような場合に(文字化け)ワークフローを実行しない。また、その旨を複合機40に記録し管理者に通知することが好ましい。ユーザが複合機40を操作することで、ワークフローが実行されなかった理由を把握できる。また、管理者は不具合が生じたことを把握して改善することができる。
【0115】
<複合機がファイルで画像データを取得する場合>
本実施例では、電子メールに添付された画像データがメールサーバ20から複合機40に送信されるが、画像データがファイルとして複合機40に送信されてもよい。
【0116】
図14は、複合機40が本実施例の配信システム100の動作の概略を説明する図の一例である。図1と比較すると、図14ではメールサーバ20がファイルサーバ70に置き換わっている。図14の構成では電子メールのプロトコルに制限されず、電子黒板2とファイルサーバ70は一般的なファイルの送受信のプロトコルで通信することが可能になる。
【0117】
なお、ファイルサーバ70は、ファイルを蓄積する機能を有するサーバであればよい。例えば、任意のサーバ、ネットワークストレージ、又は、クラウドストレージ等でよい。ファイルサーバ70のハードウェア構成はメールサーバ20と同様であるか、又は、異なっていても本実施例の説明には支障がないものとする。また、電子黒板2とファイルサーバ70の間では予め認証が行われており、ファイルサーバ70のなりすまし等は生じないものとする。
(1)電子黒板2はスクリーンショットなどで作成した画像データをファイルとしてファイルサーバ70に送信する。送信時のプロトコルはFTP、HTTP、WebDAV等、一般的な通信プロトコルでよい。
(2)複合機40にはこのファイルサーバ70のIPアドレスとポート番号が登録されており、複合機40はファイルサーバ70に対して定期的にポーリング行う。
(3)新しいファイルがある場合、複合機40はこのファイルを受信する。
(4)複合機40は受信前に又は受信後にワークフローの入力となり得るファイルか否かを判断する。
(5)ワークフローの入力となり得るファイルの場合、複合機40はワークフロー等によって予め決まっている処理をファイルに行う。複合機40はワークフローの各処理が施された画像データを配信先装置60に配信する。
【0118】
図14のように電子メールが利用されない場合、電子メールの送信元、件名、及び本文を使ってファイルがワークフローの入力となりうるか否かを判断することができない。そこで、ファイル名を使ってファイルが入力となりうるか否かを判断する。
【0119】
図15は、ファイル名に基づくファイルが入力となりうるか否かの判断方法を説明する図の一例である。図15(a)はファイル名の規則を示す図であり、図15(b)はファイル名の一例を示す。
【0120】
例えば、ファイル名を「送信元の電子黒板のID」+「宛先の複合機のID」+「ワークフローへの入力を表す記号」+「ワークフローID」+「Format」+「.拡張子」のように構成する。「ワークフローへの入力を表す記号」は一般に使用される文字列や数字列でなければよいが、例えば、電子メールの件名を使用してよい。なお、ファイル名にPriorityを含めることもできる。
【0121】
この規則に従うと、実際のファイル名は例えば「WB01_mfp1_inputforworkflow_001_jpeg.jpg」のようになる。ファイルサーバ70は「宛先の複合機のID」で識別した複合機40にファイルを送信する。また、複合機40の処理判断部44は、ファイル名の先頭から区切り文字の「_」までの文字列で送信元の電子黒板2のIDを判断し、次の「_」までの文字列で自機宛のファイルかどうかを判断し、次の「_」までの文字列でワークフローに入力されるファイルかどうかを判断し、次の「_」までの文字列でワークフローIDを判断し、次の「_」までの文字列でフォーマットを判断する。
【0122】
このように本実施形態の配信システム100は、メールサーバ20を介さなくても電子黒板2からの画像データをワークフローの入力にすることができる。
【0123】
<まとめ>
以上説明したように、本実施例の配信システム100は、電子黒板2から配信したい画像を添付してメール又はファイルで送信することで、複合機40が画像を入力にしてワークフローを実行し、予め定められた配信先装置60に配信できる。したがって、ユーザが都度画像データを指定しなくても、電子黒板2の画像データを入力とすることができる。また、複合機40はワークフローの入力となり得る電子メールに添付された画像データのみをワークフローの対象にするので取得した画像データのうち適切な画像データに対してのみワークフローを実行できる。
【実施例2】
【0124】
本実施例では、サーバを必要とする形態(サーバ版)の配信システム100を説明する。
【0125】
図16は、本実施例の配信システム100の動作の概略を説明する図の一例である。図16では主に図1との相違を説明する。図16では複合機40が存在せず、代わりにワークフローサーバ80が存在する。
(1)電子黒板2はスクリーンショットなどで作成した画像データをメールサーバ20に送信する。
(2)メールサーバ20は新しい電子メールを受信すると、ワークフローサーバ80に電子メールを送信する。
【0126】
以降の処理は実施例1と同様でよい。
(3)ワークフローサーバ80は電子メールがワークフローの入力となり得る電子メールか否かを判断する。
(4)ワークフローの入力となり得る電子メールの場合、ワークフローサーバは電子メールに添付された画像データを取り出し、ワークフロー等によって予め決まっている処理を行う。ワークフローサーバはワークフローの各処理が施された画像データを配信先装置60に配信する。
【0127】
本実施例の配信システム100は、ワークフローサーバ80がメールサーバ20に電子メールの有無を問い合わせる必要がないので、実施例1よりも早期にワークフローを開始できる。その他の効果は実施例1と同様である。
【0128】
なお、本実施例において、図3~5において同一の符号を付した構成要素は同様の機能を果たすので、主に本実施例の主要な構成要素についてのみ説明する場合がある。なお、ワークフローサーバ80のハードウェア構成はメールサーバ20と同様であるか、又は、異なっていても本実施例の説明には支障がないものとする。
【0129】
<機能について>
図17は、配信システム100が有する電子黒板2、メールサーバ20、及び、ワークフローサーバ80の機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。なお、図17の説明では主に図6との相違を説明する。電子黒板2とメールサーバ20の構成は実施例1の図6と同様でよいがメール配信部22の機能が実施例1と異なっている。また、ワークフローサーバの機能は実施例1の複合機40と同様でよいが、メール取得部43の機能が異なる。
【0130】
本実施例のメール取得部43はPOP3やIMAPなどのメールの受信プロトコルに制限されることなく、メールサーバ20から電子メールを受信できる。メールサーバ20のメール配信部22は宛先がワークフローサーバ80の電子メールをワークフローサーバ80にプッシュ送信する。プッシュ送信とは、ワークフローサーバ80から問い合わせなくてもメールサーバ20が主導して電子メールを送信できることをいう。ワークフローサーバ80のメールアドレスとワークフローサーバ80のIPアドレス(及びポート番号)がメールサーバ20において対応付けられており、メール配信部22は宛先がワークフローサーバ80の電子メールをワークフローサーバ80に送信できる。このようにワークフローサーバ80からメールサーバ20に電子メールの有無を問い合わせる必要がない。
【0131】
メール取得部43は、メールサーバ20から送信された電子メールを受信する。メールサーバ20とワークフローサーバの間の通信は、一般的な通信プロトコル(FTP、HTTP、WebDAV等)でよい。このような一般的な通信プロトコルで送信された電子データはそもそも電子メールと呼ばない可能性があるが、電子メールの送信元、件名、本文の情報を含むことは可能である。このため、本実施例ではメールサーバ20がワークフローサーバ80に送信する電子データも電子メールと称する。なお、メールサーバ20とワークフローサーバ80の間では予め認証が行われており、ワークフローサーバ80のなりすまし等は生じないものとする。
【0132】
<動作手順>
図18は、本実施例の配信システム100の全体的な動作手順を示すシーケンス図の一例である。図18の説明では主に図11との相違を説明する。本実施例では、図11に存在したステップS8,S10のワークフローサーバ80(複合機40)からメールサーバ20への問い合わせが不要である。その他の処理は図11と同様でよい。
【0133】
S11:メールサーバ20のメール配信部22は電子メールをワークフローサーバ80に送信する。電子メールとしての形式を保っていなくてもよく、電子メールが含む情報を電子データとしてワークフローサーバ80に送信すればよい。以降の処理は図11と同様でよい。
【0134】
なお、メールサーバ20がワークフローサーバ80への電子メールの送信に失敗した場合、成功するまで一定時間ごとに送信を繰り返すことが好ましい。これにより、ワークフローサーバ80が停止中又は高負荷で受信できない場合でも、電子黒板2が送信した画像データを失うことなくワークフローの入力にすることができる。
【0135】
<まとめ>
本実施例の配信システム100は、ワークフローサーバ80がメールサーバ20に電子メールの有無を問い合わせる必要がないので、実施例1よりも早期にワークフローを開始できる。また、実施例1と同様に、電子黒板2から配信したい画像を添付してメールを送信することで、複合機40が画像を入力にしてワークフローを実行し、予め定められた配信先装置60に配信できる。したがって、ユーザが都度画像データを指定しなくても、電子黒板2の画像データを入力とすることができる。また、複合機40はワークフローの入力となり得る電子メールに添付された画像データのみをワークフローの対象にするので取得した画像データのうち適切な画像データに対してのみワークフローを実行できる。
【0136】
なお、本実施例においてもメールサーバ20はファイルサーバ70に置き換えることができる。また、本実施例においても、ワークフローサーバ80がメールサーバ20に、自機宛の電子メールの有無を問い合わせることは可能である。したがって、ワークフローサーバ80が受信する前に電子メールがワークフローの入力となりうるか否かを判断することができる。
【0137】
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0138】
例えば、電子黒板2がワークフローに入力するデータは画像データに限られない。例えば、テキストデータ、PDF、HTMLデータ、又は音声データなど、ワークフローの入力となったり配信されたりする電子データであれば電子黒板2が送信できる。
【0139】
また、電子黒板2は画像データを送信できる電子機器であればよい。例えば、特定のPCのように決まったPCからの電子メールをワークフローへの入力にすることができる。この場合、送信元が特定のPCのメールアドレスであることがワークフローの入力となりうる為の判断基準となる。なお、特定のPCは特定のユーザのPCでもよい。あるいは、特定のPC又は特定のユーザのメールアドレスと称してもよい。
【0140】
また、実施例1においては複合機40とは別にワークフローサーバ80が存在してもよいし、実施例2においては複数のワークフローサーバ80が存在してもよい。これにより、より高度又は複雑なワークフローを実現できる。
【0141】
また、実施例1,2においてファイルサーバ70には、商用サービス(Googleドライブ(登録商標)、ONEドライブ(登録商標)等)を利用できる。
【0142】
また、図6などの構成例は、電子黒板2、メールサーバ20,複合機40、ファイルサーバ70,及びワークフローサーバ80の処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本願発明が制限されることはない。また、電子黒板2、メールサーバ20,複合機40、ファイルサーバ70,及びワークフローサーバ80の処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
【0143】
なお、メール受付部21は電子データ受信手段の一例であり、メール送信部13は電子データ送信手段の一例であり、メール取得部43は電子データ取得手段の一例であり、処理判断部44は判断手段の一例であり、処理実行部42は実行手段の一例である。メールサーバ20及びファイルサーバ70は第二の情報処理装置の一例であり、複合機40及びワークフローサーバ80は第一の情報処理装置の一例である。認証部11は認証手段の一例であり、メール送信部13は送信手段の一例である。
【符号の説明】
【0144】
2 :電子黒板
20 :メールサーバ
40 :複合機
60 :配信先装置
70 :ファイルサーバ
80 :ワークフローサーバ
100 :配信システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0145】
【文献】特開2016-192805号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18