IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社リコーの特許一覧

<>
  • 特許-乾燥装置及び画像形成システム 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】乾燥装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   F26B 23/00 20060101AFI20220412BHJP
   F26B 25/00 20060101ALI20220412BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20220412BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20220412BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20220412BHJP
   B05C 9/14 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
F26B23/00 A
F26B25/00 Z
B41J2/01 125
B41J2/01 301
G03G15/20 505
B05C5/00 101
B05C9/14
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018049272
(22)【出願日】2018-03-16
(65)【公開番号】P2019158304
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】星野 好昭
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-101297(JP,A)
【文献】特開2004-307793(JP,A)
【文献】特開2002-221090(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 23/00
F26B 25/00
B41J 2/01
G03G 15/20
B05C 5/00
B05C 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に付与されている、有機溶剤及び水を含む液体を乾燥させるための乾燥装置であって、
前記有機溶剤を含む液体を乾燥させる乾燥手段と、
前記乾燥手段により前記有機溶剤及び前記水を含む液体を乾燥させる際に気化した前記有機溶剤及び水蒸気を燃焼させ、発生させた熱エネルギーを供給する熱供給手段と、
前記熱供給手段で燃焼させる際に気化した有機溶剤に含まれる水蒸気の量を調整する水蒸気量調整手段と、
前記熱供給手段で発生させた前記熱エネルギーを用いて発電した電力を前記乾燥装置に供給する電力供給手段と、
を有することを特徴とする乾燥装置。
【請求項2】
前記有機溶剤を含む液体が、インク溶液である請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項3】
前記熱供給手段が、発生させた前記熱エネルギーの一部又は全部を前記乾燥手段に供給する請求項1から2のいずれかに記載の乾燥装置。
【請求項4】
前記電力供給手段が、発電した電力の一部又は全部を前記乾燥手段に供給する請求項1から3のいずれかに記載の乾燥装置。
【請求項5】
前記水蒸気量調整手段は、前記熱供給手段で燃焼させる際の気化した前記有機溶剤が、3,040ppm以上27,360ppm未満の水蒸気を含むように調整する請求項1から4のいずれかに記載の乾燥装置。
【請求項6】
前記熱供給手段が、ガスタービンエンジンである請求項1から5のいずれかに記載の乾燥装置。
【請求項7】
前記ガスタービンエンジンが、空気軸受を用いたガスタービンを有する請求項6に記載の乾燥装置。
【請求項8】
前記有機溶剤及び水を含む液体を前記基材上に付与して画像を形成する画像形成装置と、
請求項1から7のいずれかに記載の乾燥装置と、
を有することを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ロール紙などに高速で連続的に印刷するようなインクジェット画像形成装置では、印刷の際に用紙に付着させたインクを迅速に乾燥させるために非常に多くエネルギーを必要とする。
【0003】
このため、高速で連続的に印刷するような装置においては、少しでも消費電力の低減できるように様々な技術が開発されている。例えば、ユーザが近づくとスリープモードから復帰する画像形成装置において、単にユーザが近づいただけではスリープモードから復帰しないようにして必要以上に消費電力を増やさないようにする技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、有機溶剤を含む液体を乾燥させる際に気化した有機溶剤を分解処理するとともに、分解処理で発生したエネルギーを装置内で再利用することができる乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための手段としての本発明の乾燥装置は、有機溶剤を含む液体を乾燥させるための乾燥装置であって、前記有機溶剤を含む液体を乾燥させる乾燥手段と、前記乾燥手段により前記有機溶剤を含む液体を乾燥させる際に気化した前記有機溶剤を燃焼させ、発生させた熱エネルギーを供給する熱供給手段と、前記熱供給手段で発生させた前記熱エネルギーを用いて発電した電力を前記乾燥装置に供給する電力供給手段と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、有機溶剤を含む液体を乾燥させる際に気化した有機溶剤を分解処理するとともに、分解処理で発生したエネルギーを装置内で再利用することができる乾燥装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明の乾燥装置を有する本発明の画像形成システムの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(乾燥装置)
本発明の乾燥装置は、有機溶剤を含む液体を乾燥させるための乾燥装置であって、有機溶剤を含む液体を乾燥させる乾燥手段と、乾燥手段により有機溶剤を含む液体を乾燥させる際に気化した有機溶剤を燃焼させ、発生させた熱エネルギーを供給する熱供給手段と、熱供給手段で発生させた熱エネルギーを用いて発電した電力を乾燥装置に供給する電力供給手段と、を有する。
【0009】
本発明の乾燥装置及び画像形成システムは、従来技術の画像形成装置における消費電力を低減する技術では、ロール紙などに高速で連続的に印刷するような画像形成装置を電力供給が不安定な地域で稼働させることは困難な場合があるという知見に基づくものである。
また、本発明の乾燥装置及び画像形成システムは、このような場合、電力供給を安定にしようとすると、変電設備などの電力供給のインフラを導入するために莫大な時間や費用がかかってしまうという問題があるという知見にも基づくものである。
さらに、本発明の乾燥装置及び画像形成システムは、有機溶剤を含むインクで高速で連続的に画像形成する際にインクの乾燥により気化する有機溶媒の量が多く、有機溶媒を回収しても不純物が多いため再利用が困難な場合があるという知見に基づくものである。
【0010】
乾燥装置は、乾燥手段と、熱供給手段と、電力供給手段とを有し、更に必要に応じてその他の手段を有する。
【0011】
<乾燥手段>
乾燥手段としては、有機溶剤を含む液体を乾燥させることができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。乾燥手段としては、電力供給手段から供給された電力を用いることが好ましく、熱供給手段から供給された熱エネルギーを用いることがより好ましい。これにより、乾燥装置は、熱供給手段及び電力供給手段の少なくともいずれかで発生したエネルギーを装置内で再利用することができる。
乾燥手段としては、例えば、温風を吹き付ける温風ノズル、IR(赤外線)ヒーターなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0012】
<<液体>>
液体としては、有機溶剤を含んでいれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、印刷分野で用いるインク溶液、いわゆる3Dプリンタで用いる立体造形物用材料液などが挙げられる。他の分野での液体としては、例えば、プリンテッドエレクトロニクス分野で用いるパターン形成用液、医薬技術分野で用いる細胞懸濁液、食品加工分野で用いる天然色素を含有する溶液などが挙げられる。
液体の粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、既存のインクジェット方式で吐出しやすい観点から30mPa・s以下が好ましい。
また、液体は、基材上に付与された状態で乾燥手段により乾燥されることが好ましい。
【0013】
-基材-
基材としては、液体を付与可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、記録媒体、壁紙、3Dプリンタのステージ、電子回路基板用シートなどが挙げられる。
記録媒体としては、例えば、ロール紙や連続帳票等の連続した用紙、所定のサイズに切断されたカット紙などが挙げられる。
電子回路基板用シートとしては、例えば、プリプレグなどが挙げられる。
【0014】
-有機溶剤-
有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トルエン、ベンゼン、フロン類、ジクロロメタンなどが挙げられる。
【0015】
<熱供給手段>
熱供給手段は、乾燥手段により有機溶剤を含む液体を乾燥させる際に気化した有機溶剤を燃焼させ、発生させた熱エネルギーを供給する。熱供給手段は、発生させたエネルギーを装置内で再利用するという観点から、発生させた熱エネルギーの一部又は全部を乾燥手段に供給することが好ましい。
【0016】
熱供給手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ガスタービンエンジンが好ましい。熱供給手段がガスタービンエンジンであると、気化した有機溶剤を燃焼させてタービンを回転させ、得られた回転エネルギーを電力供給手段に伝達でき、かつ有機溶剤を燃焼させた際に発生した高温の温風を乾燥手段に送ることができる。これにより、電力供給手段は、熱供給手段から伝達された回転エネルギーを用いて電力を発電することができ、かつ乾燥手段は、熱供給手段から送られた高温の温風で有機溶剤を含む液体を乾燥させることができる。
ガスタービンエンジンとしては、空気軸受を用いたガスタービンを有することが好ましく、マイクロガスタービンエンジンがより好ましい。ガスタービンエンジンが空気軸受を用いたガスタービンを有すると、空気軸受では潤滑油が不要であるため保守が容易になる点で有利である。また、ガスタービンエンジンがマイクロガスタービンエンジンであると、小型であるため、室内やビルの屋上に設置が可能なる点で有利である。
なお、気化した有機溶剤を燃焼させた高温の温風を、乾燥手段に送り液体を乾燥させるために用いる際には、温度調整のために系外から取り入れた空気と混合してもよい。
【0017】
なお、熱供給手段は、乾燥手段により有機溶剤を含む液体を乾燥させる際に気化した有機溶剤を燃料として燃焼させるが、気化した有機溶剤の量が燃料として不足する場合には、別の燃料を燃焼させてもよい。
【0018】
<電力供給手段>
電力供給手段は、熱供給手段で発生させた熱エネルギーを用いて発電した電力を乾燥装置に供給する。
電力供給手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
電力供給手段は、発電した電力の一部又は全部を乾燥手段に供給することが好ましい。
【0019】
このように、本発明の乾燥装置は、有機溶剤を含む液体を乾燥させる際に気化した有機溶剤を燃焼させ、発生させた熱エネルギー及びそれを用いて発電した電力を乾燥装置内に供給する。これにより、本発明の乾燥装置は、有機溶剤を含む液体を乾燥させる際に気化した有機溶剤を分解処理するとともに、分解処理で発生したエネルギーを乾燥装置内で再利用することができる。
【0020】
<その他の手段>
その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水蒸気量調整手段を有することが好ましい。
【0021】
水蒸気量調整手段は、熱供給手段で燃焼させる際の気化した有機溶剤に含まれる水蒸気の量を調整することができる。
熱供給手段で燃焼させる際の気化した有機溶剤としては、3,040ppm以上27,360ppm未満の水蒸気を含むことが好ましい。気化した有機溶剤に含まれる水蒸気が3,040ppm以上であると、燃焼の際に煙の発生を抑制し、熱供給手段のバーナなどの高温部の寿命を延ばすことができるとともに、NOの発生を減少させることができる。また、熱供給手段は、気化した有機溶剤と水蒸気との混合ガスを燃焼するため、有機溶剤の種類によらず安定して燃焼させることができる。また、気化した有機溶剤に含まれる水蒸気が27,360ppm未満であると、用紙への水分の戻りを低減、即ち乾燥性の悪化を抑制することができる。
また、有機溶剤を含む液体がインク溶液であると、インク溶液には水が含まれているため、気化した有機溶剤に水蒸気を容易に含ませることができる。
【0022】
(画像形成システム)
画像形成システムとしては、有機溶剤を含む液体を基材上に付与して画像を形成する画像形成装置と、上述の乾燥装置と、を有する。この画像形成システムでは、画像形成装置が画像を形成するために基材上に付与した有機溶剤を含む液は、上述の乾燥装置により乾燥される。
【0023】
<画像形成装置>
画像形成装置としては、有機溶剤を含む液体を基材上に付与して画像を形成することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
なお、画像とは、文字や図形などに限らず、加飾や装飾などを目的としたものであってもよい。
【0024】
有機溶剤を含む液体を基材上に付与する手段としては、例えば、液体吐出ヘッドなどが挙げられる。
液体吐出ヘッドの液体を吐出するエネルギー発生源としては、例えば、圧電アクチュエータ、サーマルアクチュエータ、静電アクチュエータなどが挙げられる。
圧電アクチュエータとしては、例えば、積層型圧電素子、薄膜型圧電素子などが挙げられる。
サーマルアクチュエータとしては、例えば、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いたものが挙げられる。
静電アクチュエータとしては、例えば、振動板と対向電極からなるものが挙げられる。
【0025】
このように、本発明の画像形成システムは、本発明の乾燥装置を有することにより、画像形成にあたり、有機溶剤を含む液体を乾燥させる際に気化した有機溶剤を分解処理するとともに、分解処理で発生したエネルギーを画像形成システム内で再利用できる。
【実施例
【0026】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
なお、下記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好ましい数、位置、形状等にすることができる。
【0027】
図1は、本発明の乾燥装置を有する本発明の画像形成システムの一例を示す説明図である。
図1に示すように、画像形成システム100は、画像形成装置110と、乾燥装置120と、を有する。画像形成システム100では、高速で連続的に画像を形成するインクジェット方式の画像形成装置110がロール紙上に付与したインク溶液を、乾燥装置120が乾燥する。また、インク溶液には、有機溶剤及び水が含まれている。
【0028】
画像形成装置110は、ロール紙111と、給紙側搬送ローラ対112と、インクジェットヘッドユニット113と、排紙側搬送ローラ対114と、巻取り機構115と、を有する。
【0029】
基材としてのロール紙111は、図1中矢印Aが示す基材の搬送方向において最も上流に配置されている。ロール紙111は、図示しない回転軸により回転可能に軸支されており、給紙側搬送ローラ対112により繰り出される。
なお、以下では図1中矢印Aが示す基材の搬送方向を「搬送方向A」と称することがある。
【0030】
給紙側搬送ローラ対112は、搬送方向Aにおけるロール紙111の下流に配置されている。給紙側搬送ローラ対112は、ロール紙111を挟持して搬送方向Aに搬送する。
【0031】
インクジェットヘッドユニット113は、搬送方向Aにおける給紙側搬送ローラ対112の下流に配置されている。インクジェットヘッドユニット113は、ブラック,シアン、マゼンタ、イエローの4色分のフルライン型ヘッドを備えており、直下を搬送されるロール紙111に対して各色のインク溶液を付与する。なお、各色のインク溶液には有機溶剤及び水が含まれている。また、インク溶液の色の種類及び数は、これに限るものではない。
【0032】
排紙側搬送ローラ対114は、搬送方向Aにおけるインクジェットヘッドユニット113の下流に配置されている。排紙側搬送ローラ対114は、給紙側搬送ローラ対112と連動してロール紙111を張架しながら巻取り機構115に搬送する。
【0033】
巻取り機構115は、搬送方向Aにおける排紙側搬送ローラ対114の下流に配置されている。排紙側搬送ローラ対114から搬送されたロール紙111を巻き取る。
【0034】
乾燥装置120は、乾燥手段121と、ガスタービンエンジン122と、発電機123と、を有する。
【0035】
乾燥手段121は、搬送方向Aにおけるインクジェットヘッドユニット113の下流、かつ搬送方向Aにおける排紙側搬送ローラ対114の上流に配置されている。乾燥手段121には、搬送されるロール紙111に向けて温風を吹き付ける温風ノズル121aが設置されている。
温風ノズル121aは、インクジェットヘッドユニット113によりロール紙111に付与されたインク溶液に対し、温風を吹き付けて乾燥させる。
また、乾燥手段121は、インク溶液を乾燥させるための温風と、インク溶液を乾燥させる際に気化したインク溶液中の有機溶剤及び気化したインク溶液中の水(水蒸気)とが外部に漏れないようにカバー121bで覆われている。気化した有機溶剤及び水蒸気は、乾燥手段121に設置されている排気口121cから排気管121dを通じてガスタービンエンジン122に送られる。
なお、排気管121dには、ガスタービンエンジン122に送られる水蒸気の量を調整可能な調整手段を備えていることが好ましい。
【0036】
ガスタービンエンジン122には、排気管121dの他に燃料としての可燃ガスが供給されるガス供給管122aが設けられている。
ガスタービンエンジン122は、ガス供給管122aから供給される可燃ガス、排気管121dから送られる気化した有機溶剤及び水蒸気の混合ガスを燃焼する。ガスタービンエンジン122は、混合ガスを燃焼させて発生した高温の温風を、インク溶液の乾燥に用いるために温風配送管122bを通じて温風ノズル121aに送る。この際、ガスタービンエンジン122で発生させた温風の温度がインク溶液の乾燥に適さない高温である場合には、温風配送管122bに備えた外気ダクト122cから外気を取り入れて、インク溶液の乾燥に適した温度まで温風の温度を下げることができる。
【0037】
発電機123は、混合ガスを燃焼させて発生したガスタービンエンジン122の回転エネルギーを電力に変換する。発電機123が発電した電力は、乾燥装置120あるいは画像形成装置110で再利用することができる。本実施例では、発電機123は、乾燥手段121を動作させるために送電ライン123aを介して送電する。
【0038】
このように、本発明の乾燥装置110は、有機溶剤を含む液体を乾燥させる際に気化した有機溶剤を燃焼させ、発生させた熱エネルギー及びそれを用いて発電した電力を乾燥装置110に供給する。これにより、本発明の乾燥装置110は、有機溶剤を含む液体を乾燥させる際に気化した有機溶剤を分解処理するとともに、分解処理で発生したエネルギーを乾燥装置110内で再利用することができる。また、本発明の乾燥装置110を有する本発明の画像形成システム100であれば、乾燥装置110が有機溶剤を分解処理して発生したエネルギーを画像形成システム100内で再利用することができる。
【0039】
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 有機溶剤を含む液体を乾燥させるための乾燥装置であって、
前記有機溶剤を含む液体を乾燥させる乾燥手段と、
前記乾燥手段により前記有機溶剤を含む液体を乾燥させる際に気化した前記有機溶剤を燃焼させ、発生させた熱エネルギーを供給する熱供給手段と、
前記熱供給手段で発生させた前記熱エネルギーを用いて発電した電力を前記乾燥装置に供給する電力供給手段と、
を有することを特徴とする乾燥装置である。
<2> 前記有機溶剤を含む液体は、基材上に付与されている前記<1>に記載の乾燥装置である。
<3> 前記有機溶剤を含む液体が、インク溶液である前記<1>から<2>のいずれかに記載の乾燥装置である。
<4> 前記熱供給手段が、発生させた前記熱エネルギーの一部又は全部を前記乾燥手段に供給する前記<1>から<3>のいずれかに記載の乾燥装置である。
<5> 前記電力供給手段が、発電した電力の一部又は全部を前記乾燥手段に供給する前記<1>から<4>のいずれかに記載の乾燥装置である。
<6> 前記熱供給手段で燃焼させる際の気化した前記有機溶剤が、3,040ppm以上27,360ppm未満の水蒸気を含む前記<1>から<5>のいずれかに記載の乾燥装置である。
<7> 前記熱供給手段が、ガスタービンエンジンである前記<1>から<6>のいずれかに記載の乾燥装置である。
<8> 前記ガスタービンエンジンが、空気軸受を用いたガスタービンを有する前記<7>に記載の乾燥装置である。
<9> 前記有機溶剤を含む液体を前記基材上に付与して画像を形成する画像形成装置と、
前記<1>から<8>のいずれかに記載の乾燥装置と、
を有することを特徴とする画像形成システムである。
【0040】
前記<1>から<8>のいずれかに記載の乾燥装置、前記<9>に記載の画像形成システムによれば、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0041】
【文献】特開2005-017938号公報
【符号の説明】
【0042】
100 画像形成システム
110 画像形成装置
111 ロール紙(基材)
113 インクジェットヘッドユニット
120 乾燥装置
121 乾燥手段
122 ガスタービンエンジン(熱供給手段)
123 発電機(電力供給手段)
図1