(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】液体を吐出する装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20220412BHJP
B41J 2/21 20060101ALI20220412BHJP
B41J 2/015 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
B41J2/01 203
B41J2/01 401
B41J2/01 451
B41J2/21
B41J2/015 101
(21)【出願番号】P 2018050402
(22)【出願日】2018-03-19
【審査請求日】2020-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】230100631
【氏名又は名称】稲元 富保
(72)【発明者】
【氏名】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】寒川 哲幹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 大樹
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-222140(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0204147(US,A1)
【文献】特開2017-109479(JP,A)
【文献】特開2019-142106(JP,A)
【文献】特開2016-155247(JP,A)
【文献】特開2016-150548(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する複数のノズルを有する液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドを駆動して、基準パターン及び調整パターンとなる隣接する複数の矩形パターンを異なる駆動条件で印刷するパターン印刷手段と、
前記液体吐出ヘッドに与える駆動波形に倍率を乗じる複数の補正テーブルと、
記複数の補正テーブルの内の使用する補正テーブルを選択する手段と、を備えている
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項2】
液体を吐出する複数のノズルを有する液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドを駆動して、基準パターン及び調整パターンとなる隣接する複数の矩形パターンを異なる駆動条件で印刷するパターン印刷手段と、を備え、
連続する前記矩形パターンは、液体を吐出させるノズルの数にかかわらず、基準となる駆動波形に一律の倍率を乗じた駆動波形で駆動して印刷
し、
前記液体吐出ヘッドに与える駆動波形に倍率を乗じる複数の補正テーブルと、
記複数の補正テーブルの内の使用する補正テーブルを選択する手段と、を備えている
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項3】
液体を吐出する複数のノズルを有する液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドを駆動して、基準パターン及び調整パターンとなる隣接する複数の矩形パターンを異なる駆動条件で印刷するパターン印刷手段と、を備え、
連続する前記矩形パターンは、液体を吐出させるノズルの数にかかわらず、基準となる駆動波形に一律の倍率を乗じた駆動波形で駆動して印刷し、
前記駆動条件に応じて前記矩形パターンのサイズを変更して印刷する
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項4】
液体を吐出する複数のノズルを有する液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドを駆動して、基準パターン及び調整パターンとなる隣接する複数の矩形パターンを異なる駆動条件で印刷するパターン印刷手段と、を備え、
連続する前記矩形パターンは、液体を吐出させるノズルの数にかかわらず、基準となる駆動波形に一律の倍率を乗じた駆動波形で駆動して印刷し、
連続する前記矩形パターンは非吐出を含む2種類以上の異なる滴サイズの液滴で構成する
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項5】
液体を吐出する複数のノズルを有する液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドを駆動して、基準パターン及び調整パターンとなる隣接する複数の矩形パターンを異なる駆動条件で印刷するパターン印刷手段と、を備え、
連続する前記矩形パターンは、液体を吐出させるノズルの数にかかわらず、基準となる駆動波形に一律の倍率を乗じた駆動波形で駆動して印刷し、
前記矩形パターンを異なるノズル数で印刷する
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項6】
前記液体吐出ヘッドに与える駆動波形に倍率を乗じる複数の補正テーブルと、
記複数の補正テーブルの内の使用する補正テーブルを選択する手段と、を備えている
ことを特徴とする請求項
3ないし5のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
【請求項7】
前記矩形パターンの読み取り結果から隣り合う前記矩形パターンの色差が最小となる前記補正テーブルを選択する
ことを特徴とする請求項1
、2又は6に記載の液体を吐出する装置。
【請求項8】
前記矩形パターンの読み取り結果から隣り合う前記矩形パターンの境界における隙間及び重複が最小となる前記補正テーブルを選択する
ことを特徴とする請求項1
、2、6又は7に記載の液体を吐出する装置。
【請求項9】
1画面内で隣り合う前記矩形パターンの境界部の撮像結果から前記1画面内における色の偏差が最小となる前記補正テーブルを選択する
ことを特徴とする請求項1
、2、6、7又は8に記載の液体を吐出する装置。
【請求項10】
前記駆動条件に応じて前記矩形パターンのサイズを変更して印刷する
ことを特徴とする請求項1
、2、4又は5に記載の液体を吐出する装置。
【請求項11】
1つの前記矩形パターンの両側又は片側に当該矩形パターンと前記駆動条件の異なる前記矩形パターンを印刷する
ことを特徴とする請求項1ないし
10のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
【請求項12】
連続する前記矩形パターンは1色又は2色以上の異なる色で印刷する
ことを特徴とする請求項1ないし
11のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
【請求項13】
連続する前記矩形パターンは1又は2以上の異なる駆動波形で駆動されるノズルで印刷する
ことを特徴とする請求項1ないし
12のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
【請求項14】
連続する前記矩形パターンは非吐出を含む2種類以上の異なる滴サイズの液滴で構成する
ことを特徴とする請求項1
、2、3又は5に記載の液体を吐出する装置。
【請求項15】
前記矩形パターンを異なるノズル数で印刷する
ことを特徴とする請求項1
、2、3又は4に記載の液体を吐出する装置。
【請求項16】
連続する前記矩形パターンは、液体を吐出させるノズルの数にかかわらず、基準となる駆動波形に一律の倍率を乗じた駆動波形で駆動して印刷する
ことを特徴とする請求項1に記載の液体を吐出する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体を吐出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体吐出ヘッドを使用する装置では、例えば同時に駆動するノズル数によって吐出特性が変動して品質が安定しなくなることがある。
【0003】
従来、基準のノズル数で印刷した基準ラインと、調整するノズル数で印刷した調整ラインとを含む調整パターンと、基準ラインのみで構成される基準パターンとを印刷し、基準パターンの濃度と調整パターンの濃度が同じになるように駆動波形を補正する補正テーブルを選択するようにしたものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の構成にあっては、駆動ノズル数を変えた調整ラインを複数回のスキャンで印刷するために、キャリッジ動作の繰り返し誤差の影響によってと調整ラインの位置ずれが生じて、調整パターンが駆動ノズル数を正確に反映しなくなり、補正精度が低下するという課題がある。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、補正精度を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の請求項1に係る液体を吐出する装置は、
液体を吐出する複数のノズルを有する液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドを駆動して、基準パターン及び調整パターンとなる隣接する複数の矩形パターンを異なる駆動条件で印刷するパターン印刷手段と、
前記液体吐出ヘッドに与える駆動波形に倍率を乗じる複数の補正テーブルと、
記複数の補正テーブルの内の使用する補正テーブルを選択する手段と、を備えている
構成とした。
【0008】
本発明によれば、補正精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る液体を吐出する装置の一例に機構部の平面説明図である。
【
図3】液体吐出ヘッドの一例のノズル配列方向と直交する方向(液室長手方向)の断面説明図である。
【
図4】同じくノズル配列方向(液室短手方向)の断面説明図である。
【
図6】ヘッド駆動制御に係る部分の一例のブロック説明図である。
【
図7】本発明に係るパターン印刷及び駆動波形の生成に係る部分のブロック説明図である。
【
図8】本発明の第1実施形態における矩形パターンの印刷及び読み取りの説明に供する説明図である。
【
図9】本発明の第2実施形態における矩形パターンの印刷の説明に供する説明図である。
【
図10】駆動波形の補正方法の説明に供する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明に係る液体を吐出する装置の一例について
図1及び
図2を参照して説明する。
図1は同液体を吐出する装置としての印刷装置の機構部の平面説明図、
図2は同じく要部側面説明図である。
【0011】
この印刷装置100は、シリアル型装置である。左右の側板101A、101Bに架け渡した主ガイド部材102及び従ガイド板103などのガイド機構でキャリッジ105を主走査方向に移動可能に保持している。
【0012】
キャリッジ105には、3つの液体吐出ユニット110(110a~110c)を搭載している。液体吐出ユニット110は、液体吐出手段としての液体吐出ヘッド(ヘッド)111と、ヘッド111に液体を供給するサブタンク112とを一体化して構成している。また、キャリッジ105には、本発明に係る矩形パターンを読み取る読み取りセンサ560を備えている。
【0013】
装置本体側には、各色の液体を収容した複数のメインタンク(液体カートリッジ)120が交換可能に装着されるカートリッジホルダ121が配置されている。このカートリッジホルダ121に装着されたメインタンク120から送液ポンプなどによって各色の供給チューブで構成した液体経路123を介して各液体吐出ユニット110のヘッド111に各色の液体が供給される。
【0014】
一方、シート材130を搬送方向に搬送するために、シート材130を吸着してヘッド111に対向して搬送する搬送手段140を備えている。
【0015】
搬送手段140は、搬送ローラ141と、搬送ローラ141に加圧されて接触する加圧ローラ142と、ヘッド111に対向するプラテン部材143と、プラテン部材143の吸引孔143aを介してシート材130を吸着する吸引機構部144などで構成される。なお、図では吸引孔143aは部分的に図示しているが、プラテン部材143の全体に配置される。
【0016】
また、キャリッジ105の主走査方向の一方側にはヘッド111の維持回復(メンテナンス)を行う維持回復機構150が配置されている。
【0017】
維持回復機構150は、例えばヘッド111のノズル面111aをキャッピングするキャップ151と、ノズル面111aを払拭するウェブ154とワイパ部材155を含む払拭ユニット152を備えている。払拭ユニット152はメインフレーム156上に配置されている。
【0018】
この印刷装置100においては、シート材130を搬送ローラ141及び加圧ローラ142によってプラテン部材143上を吸着しながら搬送方向に搬送する。
【0019】
そこで、キャリッジ105を主走査方向に移動させながら印刷信号に応じてヘッド111を駆動することにより、停止しているシート材130に所要の色の液体を吐出して1行分を印刷し、シート材130を所定量搬送後、次の行の印刷を行うことを繰り返して印刷し、シート材130を排出する。
【0020】
次に、液体吐出ヘッドの一例について
図3及び
図4を参照して説明する。
図3は同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向(液室長手方向)の断面説明図、
図4は同じくノズル配列方向(液室短手方向)の断面説明図である。
【0021】
この液体吐出ヘッド111は、ノズル板1と、流路板2と、振動板部材3とを接合している。そして、振動板部材3を変位させる圧電アクチュエータ11と、共通流路部材としてフレーム部材20とを備えている。
【0022】
これにより、液滴を吐出する複数のノズル4に通じる個別液室(圧力室、加圧室などとも称される。)6、個別液室6に液体を供給する流体抵抗部を兼ねた液体供給路7と、液体供給路7に通じる液導入部8とを形成している。隣り合う個別液室6はノズル配列方向で隔壁6Aによって隔てられている。
【0023】
そして、フレーム部材20の共通流路としての共通流路10から振動板部材3に形成したフィルタ部9を通じて、液導入部8、液体供給路7を経て複数の個別液室6に液体を供給する。
【0024】
圧電アクチュエータ11は、振動板部材3の個別液室6の壁面を形成する変形可能な振動領域30を挟んで、個別液室6とは反対側に配置されている。
【0025】
この圧電アクチュエータ11は、ベース部材13上に接合した複数の積層型圧電部材12を有している。圧電部材12にはハーフカットダイシングによって溝加工して、駆動波形を与える柱状の圧力発生素子としての圧電素子12Aと、支柱12Bを所定の間隔で櫛歯状に形成している。
【0026】
そして、圧電素子12Aを振動板部材3の振動領域30に形成した島状の凸部3aに接合している。また、支柱12Bを振動板部材3の凸部3bに接合している。
【0027】
この圧電部材12は、圧電層と内部電極とを交互に積層したものであり、内部電極がそれぞれ端面に引き出されて外部電極が設けられ、圧電素子12Aの外部電極に駆動波形を与えるための可撓性を有するフレキシブル配線基板としてのFPC15が接続されている。
【0028】
フレーム部材20には、ヘッドタンクや液体カートリッジから液体が供給される共通流路10が形成されている。
【0029】
この液体吐出ヘッド111においては、例えば圧電素子12Aに印加する電圧を中間電位Veから下げることによって圧電素子12Aが収縮し、振動板部材3の振動領域30が下降して個別液室6の容積が膨張することで、個別液室6内に液体が流入する。
【0030】
その後、圧電素子12Aに印加する電圧を上げて圧電素子12Aを積層方向に伸長させ、振動板部材3の振動領域30をノズル4方向に変形させて個別液室6の容積を収縮させる。これにより、個別液室6内の液体が加圧され、ノズル4から液体が吐出(噴射)される。
【0031】
そして、圧電素子12Aに印加する電圧を基準電位に戻すことによって振動板部材3の振動領域30が初期位置に復元し、個別液室6が膨張して負圧が発生するので、共通流路10から液体供給路7を通じて個別液室6内に液体が充填される。そこで、ノズル4のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の吐出のための動作に移行する。
【0032】
次に、この印刷装置の制御部の概要について
図5を参照して説明する。なお、
図5は同制御部のブロック説明図である。
【0033】
この制御部500は、装置全体の制御を司るCPU501と、CPU501が実行する本発明に係る処理を実行するためのプログラムを含む各種プログラムなどの固定データを格納するROM502と、画像データ等を一時格納するRAM503とを含む主制御部500Aを備えている。
【0034】
また、制御部500は、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ(NVRAM)504と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理する画像処理部505とを備えている。
【0035】
また、制御部500は、ヘッド111を駆動制御するためのヘッド制御部や駆動波形生成部を含むヘッド駆動制御部508を備えている。ヘッド駆動制御部508は、キャリッジ105側に設けたヘッドドライバ(ドライバIC)509を介してヘッド111を駆動制御する
【0036】
また、制御部500は、キャリッジ105を移動走査する主走査モータ551を駆動するキャリッジ駆動部510と、搬送ローラ141を駆動する送りモータ552及び吸引機構部144を駆動する搬送系駆動部511とを備えている。
【0037】
また、制御部500は、液体カートリッジ120から各ヘッド111側への送液などを行う送液ポンプ部553を駆動する供給系駆動部512と、維持回復機構150を駆動するメンテナンス駆動部515とを備えている。
【0038】
また、制御部500は、I/O部513を備えている。I/O部513は、読み取りセンサ560からの読み取り信号、各種のセンサ群570からの情報を取得し、装置の制御に必要な情報を抽出し、各種の制御に使用する。
【0039】
また、制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル514が接続されている。
【0040】
また、制御部500は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、画像読み取り装置、撮像装置などのホスト590のプリンタドライバ591とのデータ、信号の送受などを行うためのI/F506備えている。
【0041】
そして、制御部500のCPU501は、I/F506に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、画像処理部505にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行い、この画像データをヘッド駆動制御部508を介してヘッドドライバ509に転送する。
【0042】
ヘッド駆動制御部508は、画像データをシリアルデータで転送するとともに、画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、制御信号などをヘッドドライバ509に出力する。
【0043】
このヘッド駆動制御部508は、ROM502から読み出される駆動波形の波形データをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動波形生成部を含む。そして、1の駆動パルス或いは複数の駆動パルスで構成される駆動波形を生成してヘッドドライバ509に対して出力する。
【0044】
ヘッドドライバ509は、シリアルに入力されるヘッド111の1行分に相当する画像データに基づいてヘッド駆動制御部508から与えられる駆動波形を構成する駆動パルスを選択してヘッド111の圧電素子12Aに対して与える。これにより、ヘッド111を駆動する。このとき、駆動波形を構成するパルスの一部又は全部或いはパルスを形成する波形要素の全部又は一部を選択することによって、例えば、大滴、中滴、小滴など、大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
【0045】
次に、ヘッド駆動制御に係る部分の一例について
図6のブロック説明図を参照して説明する。
【0046】
ヘッド駆動制御部508は、駆動波形生成部701を含んでいる。また、画像データに応じた2ビットの画像データ(階調信号0、1)と、クロック信号、ラッチ信号、駆動波形を構成する駆動パルスを選択する選択信号(滴制御信号又はマスク信号)を出力するヘッド制御部702を含んでいる。
【0047】
ここで、駆動波形生成部701には1駆動周期毎にROM502に格納されている波形データがヘッド制御部702からの信号で読み出されて与えられ、1駆動周期内に、液体を吐出させる複数の駆動パルス(駆動信号)が時系列で配置された駆動波形Vcomが生成出力される。
【0048】
なお、選択信号は、ヘッドドライバ509のスイッチ手段であるアナログスイッチASの開閉を滴毎に指示する信号である。駆動波形Vcomの駆動周期に合わせて選択すべき駆動パルス(又は波形要素で)Hレベル(ON)に状態遷移し、非選択時にはLレベル(OFF)に状態遷移する。
【0049】
ヘッドドライバ509は、シフトレジスタ711と、ラッチ回路712と、デコーダ713と、レベルシフタ714と、アナログスイッチアレイ715とを備えている。
【0050】
シフトレジスタ711は、ヘッド制御部702からの転送クロック(シフトクロック)及びシリアル画像データ(階調データ:2ビット/1チャンネル(1ノズル)を入力する。ラッチ回路712は、シフトレジスタ711の各レジスト値をラッチ信号によってラッチする。
【0051】
デコーダ713は、階調データと選択信号をデコードして結果を出力する。レベルシフタ714は、デコーダ713のロジックレベル電圧信号をアナログスイッチアレイ715のアナログスイッチASが動作可能なレベルへとレベル変換する。
【0052】
アナログスイッチアレイ715のアナログスイッチASは、レベルシフタ714を介して与えられるデコーダ713の出力でオン/オフ(開閉)される。
【0053】
アナログスイッチアレイ715のアナログスイッチASは、圧電素子112Aの個別電極に接続され、駆動波形生成部701からの駆動波形Vcomが入力されている。したがって、シリアル転送された画像データ(階調データ)と選択信号をデコーダ713でデコードした結果に応じてアナログスイッチASがオンにする。これにより、駆動波形Vcomを構成する所要の駆動パルス(あるいは波形要素)が通過して(選択されて)、圧電素子112Aの個別電極に与えられる。
【0054】
次に、本発明に係るパターン印刷及び駆動波形の生成に係る部分について
図7のブロック説明図を参照して説明する。
【0055】
パターン印刷手段801は、パターンデータ格納手段802に格納された矩形パターンのデータを読み出し、ヘッド制御部702を介してヘッド111を駆動させ、隣接する矩形パターン800を異なる駆動条件で印刷させる。このとき、パターン印刷手段801は、走査系制御手段803を介してキャリッジ105及び搬送手段140を駆動させる。
【0056】
読み取り手段804は、印刷された矩形パターン800を読み取る。
【0057】
補正テーブル格納手段805には、駆動波形Vcomの補正倍率と駆動するノズル数(圧電素子数)との関係を対応付けた複数の補正テーブルが格納されている。
【0058】
テーブル選択手段806は、読み取り手段804の読み取り結果と駆動ノズル数計数手段811の計数結果から、補正テーブル格納手段805に格納された補正テーブルを選択して、選択した補正テーブルの倍率を波形データ格納手段813から読み出される駆動波形データに乗じる。
【0059】
駆動ノズル数計数手段811は、ヘッド111からの液体吐出前に、画像データから予め液体を吐出するノズル数(駆動する圧電素子112Aの数)を計数する。
【0060】
波形データ格納手段813には、例えば基準となる駆動波形の波形データが格納されている。
【0061】
次に、本発明の第1実施形態における矩形パターンの印刷及び読み取りについて
図8も参照して説明する。
図8は同説明に供する説明図である。
【0062】
パターン印刷手段801によって隣接する複数の矩形パターン300である基準パターン301と調整パターン302を異なる駆動条件で印刷する。ここでは、駆動条件として駆動ノズル数に応じて、副走査方向の幅を変えながら基準パターン301、調整パターン302を印刷している。
【0063】
このとき、基準パターン301と調整パターン302は必ず隣接するように配置している。ここでは、少なくとも、調整パターン302の片側には基準パターン301を印刷している。調整パターン302の両側に基準パターン301を印刷することもできる。
【0064】
このように、基準パターン301と調整パターン302は必ず隣接するように配置することで、キャリッジ動作や搬送の繰り返し誤差の影響を抑制することができる。
【0065】
これにより、矩形パターンが駆動ノズル数を正確に反映することになり、補正精度が向上する。
【0066】
また、ここで、
図8(a)は大滴を使用して印刷したパターンを、
図8(b)は中滴を使用して印刷したパターンを、
図8(c)は小滴を使用して印刷したパターンを示している。
【0067】
このように、滴サイズ毎に基準パターン301と調整パターン302を印刷することで、滴サイズに応じた補正倍率を設定することができる。
【0068】
また、連続する矩形パターン300(基準パターン301と調整パターン302)は1色又は2色以上の異なる色で印刷する。
【0069】
また、連続する矩形パターン300(基準パターン301と調整パターン302)は1又は2以上の異なる駆動波形で駆動されるノズルで印刷する。
【0070】
また、連続する矩形パターン300(基準パターン301と調整パターン302)は非吐出を含む2種類以上の異なる滴サイズの液滴で構成する。
【0071】
このようにして印刷した基準パターン301と調整パターン302を読み取りセンサ560で読み取り、読み取り結果から補正テーブルを選択する。なお、目視で確認して操作パネル514から倍率を数値入力することもできる。
【0072】
駆動ノズル数に応じた補正テーブル(補正倍率)の選択は、例えば、次のようにして行う。
【0073】
図8の比較箇所Aの読み取り結果から隣り合う矩形パターン(基準パターン301と調整パターン302)の色差が最小となる補正テーブルを選択する。
【0074】
図8の比較箇所Bの読み取り結果から隣り合う矩形パターン(基準パターン301と調整パターン302)の境界における隙間及び重複が最小となる補正テーブルを選択する。
【0075】
この場合、読取り手段の読み取りセンサ560として面センサを使用して、1画面内で隣り合う矩形パターン(基準パターン301と調整パターン302)の境界部を撮像し、撮像結果から1画面内における色の偏差が最小となる補正テーブルを選択する。
【0076】
次に、本発明の第2実施形態における矩形パターンの印刷について
図9も参照して説明する。
図9は同説明に供する説明図である。
【0077】
本実施形態は、ライン型装置で矩形パターン300を印刷したものである。この場合、基準パターン301と調整パターン302は送り方向に並んで隣接配置することになる。
【0078】
このように、本発明に係る矩形パターンは、ライン型装置にも適用することができる。
【0079】
次に、駆動波形の補正方法について
図10を参照して説明する。
図10は元となる駆動波形と倍率補正後の駆動波形の例を示す説明図であり、
図10(a)は本発明の実施形態、
図10(b)は比較例1である。
【0080】
比較例1の補正方法は、中間電位Veは同じで、各波形要素の波高値を変更している。
【0081】
これに対し、本発明の実施形態では、すべての要素に一律の倍率を乗じて補正している。
【0082】
これにより、倍率補正テーブルが要素ごとにならないので、比較例1より補正テーブルを簡略化することができる。
【0083】
負荷変動は駆動ノズル数に応じて異なるため、補正倍率とノズル数の補正テーブルを用いて、駆動ノズル数に応じて最適な補正倍率で補正を実施する。また、補正テーブルを複数設けることで,ヘッド内の列ごと(駆動電源とつながる複数の圧電素子のユニットごと)に最適な補正テーブルを選択することができる。
【0084】
なお、上記各実施形態において、補正テーブルの選択は、ユーザーが目視で確認し、操作パネル514などから使用する補正テーブルを選択する情報を与えることで行うこともできる。
【0085】
本願において、吐出される液体は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0086】
液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
【0087】
また、「液体を吐出する装置」には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0088】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0089】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0090】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0091】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0092】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0093】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0094】
また、「液体を吐出する装置」としては、他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0095】
なお、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【符号の説明】
【0096】
100 印刷装置
105 キャリッジ
111 液体吐出ヘッド
560 読み取りセンサ
140 搬送手段
300 矩形パターン
301 基準パターン
302 調整パターン
701 駆動波形生成部
702 ヘッド制御部
801 パターン印刷手段
804 読み取り手段
805 補正テーブル格納手段
806 テーブル選択手段
813 波形データ格納手段