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特許7056380キャップ清掃装置及び液体を吐出する装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】キャップ清掃装置及び液体を吐出する装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20220412BHJP
【FI】
B41J2/165 101
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018101360
(22)【出願日】2018-05-28
(65)【公開番号】P2019206096
(43)【公開日】2019-12-05
【審査請求日】2021-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】小林 義宏
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-292030(JP,A)
【文献】特開2016-165823(JP,A)
【文献】特開2001-105616(JP,A)
【文献】特開2010-162791(JP,A)
【文献】特開平09-300643(JP,A)
【文献】特開2018-047609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体吐出ヘッドに用いられるキャップに当接可能なキャップ清掃部材を有するキャップ清掃装置であって、
前記キャップ清掃部材は、前記キャップと当接する面における前記キャップと対応する箇所に凹形状を有し、
前記凹形状は、かしめ部材により形成され
前記凹形状のうち前記キャップと接触する面は、前記キャップ清掃部材と前記キャップとが当接していないときに前記キャップのニップ部上面に対して傾斜していることを特徴とするキャップ清掃装置。
【請求項2】
液体吐出ヘッドに用いられるキャップに当接可能なキャップ清掃部材を有するキャップ清掃装置であって、
前記キャップ清掃部材は、前記キャップと当接する面と反対側の面が板部材に当接し、前記板部材と当接する面が凹形状であることにより前記板部材との間に隙間が形成されており、
前記凹形状の開口部は、前記キャップにおける前記キャップ清掃部材側の開口部よりも大きいことを特徴とするキャップ清掃装置。
【請求項3】
液体吐出ヘッドに用いられるキャップに当接可能なキャップ清掃部材を有するキャップ清掃装置であって、
前記キャップ清掃部材は、前記キャップと当接する面が凹形状を有し、該凹形状の凹部壁面がひだ状であることを特徴とするキャップ清掃装置。
【請求項4】
前記キャップは、前記液体吐出ヘッドと当接するキャップ位置と、前記液体吐出ヘッドと当接しない退避位置とに移動可能であり、
前記キャップ清掃部材は、前記退避位置で前記キャップと当接することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のキャップ清掃装置。
【請求項5】
液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドに用いられるキャップと、
前記キャップと当接可能なキャップ清掃部材を有するキャップ清掃装置と、を備え、
前記キャップ清掃装置が請求項1~4のいずれかに記載のキャップ清掃装置であることを特徴とする液体を吐出する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップ清掃装置及び液体を吐出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタの吐出ヘッドのクリーニング及び印字中の保湿手段として、保護・吸引キャップがある。この保護・吸引キャップにおいては、吐出ヘッドをキャッピングした際、キャップ内に設けられたスポンジ状の吸収体が吐出ヘッドに近接した位置に配置されることで吐出ヘッドに付着したインクを吸収し、キャップ下部に接続された吸引ポンプによってインクをキャップから排出する機構が知られている。更に、キャップがヘッドから退避した位置で、キャップを清掃部材(キャップスタンパ)に当接させることにより、キャップにおけるキャップニップ部に付着したインクを清掃する機構が知られている。
【0003】
しかし、今までのキャップスタンパでは、キャップニップ部と接触する面が平面となっており、キャップニップ部の上面に付着したインクしか吸収・除去できないという問題があった。このため、キャップニップ部の上面近傍の側面に残ったインクが固着・剥離し、ヘッドのノズル面へ再転写してノズル不吐出が発生するという問題があった。
【0004】
一方、特許文献1には、キャップニップ部に付着した汚れを除去する目的で、キャップの退避位置の上部に設置された多孔質の吸収体(キャップ清掃部材)にキャップを当接することでキャップニップ部に付着したインクを吸収体が吸い上げ、キャップニップ部の汚れを除去する構成が開示されている。また、特許文献1では、吸収体に凹形状の受け部を設けることが開示されており、キャップニップ部に付着したインクを除去できることが記載されている。
【0005】
しかし、特許文献1のように吸収体に凹形状の受け部を設けてキャップニップ部の側面のインクを除去する場合、キャップの寸法と吸収体の凹形状の寸法を精密に整合させる必要があり、設計の自由度の低下やコストの増加などの問題が生じてしまう。また、吸収体の凹形状の寸法によっては、キャップニップ部に付着したインクを十分に吸収・除去できないことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、液体吐出ヘッドに用いられるキャップの上面及び上面近傍の側面に付着した液体を清掃できるキャップ清掃装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、液体吐出ヘッドに用いられるキャップに当接可能なキャップ清掃部材を有するキャップ清掃装置であって、前記キャップ清掃部材は、前記キャップと当接する面における前記キャップと対応する箇所に凹形状を有し、前記凹形状は、かしめ部材により形成され、前記凹形状のうち前記キャップと接触する面は、前記キャップ清掃部材と前記キャップとが当接していないときに前記キャップのニップ部上面に対して傾斜していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、液体吐出ヘッドに用いられるキャップの上面及び上面近傍の側面に付着した液体を清掃することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】液体を吐出する装置の一例の概略説明図である。
図2】ヘッドユニットの一例を示す平面説明図である。
図3】液体吐出ヘッドの一例を示す外観斜視説明図である。
図4】液体吐出ヘッドのノズル配列方向と直交する方向(液室長手方向)の断面説明図である。
図5】液体を吐出する装置の一例における他の概略説明図である。
図6】液体を吐出する装置の一例における他の概略説明図である。
図7】キャップの一例を示す断面図である。
図8】キャップの一例を示す平面図である。
図9】キャップの一例を示す斜視図である。
図10】キャップ清掃部材の一例を示す断面図である。
図11】キャップとキャップ清掃部材が当接する場合の一例を示す断面図である。
図12】キャップ清掃部材の他の例を示す断面図である。
図13】キャップ清掃部材の他の例を示す斜視図である。
図14】キャップとキャップ清掃部材が当接する場合の他の例を示す断面図である。
図15】キャップ清掃部材の他の例を示す断面図である。
図16】キャップ清掃部材の他の例を示す斜視図である。
図17】キャップとキャップ清掃部材が当接する場合の他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係るキャップ清掃装置及び液体を吐出する装置について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0011】
(第1の実施形態)
本実施形態に係る液体を吐出する装置について図1及び図2を参照して説明する。図1は同装置の概略説明図、図2は同装置のヘッドユニットの一例の平面説明図である。
なお、図1は、液体を吐出する装置全体の構成を説明するものであり、本実施形態に係るキャップ清掃装置を含む構成について説明するものである。
【0012】
本実施形態では、媒体として、ロール状に巻かれた連続紙(以下、「ロール紙Md」という)を用いるが、液体を吐出する装置で使用できる媒体はロール紙に限定されない。すなわち、媒体としてカット紙を用いてもよい。
また、液体を吐出する装置で使用できる媒体には、普通紙、上質紙、薄紙、厚紙、記録紙及びロール紙、並びに、OHPシート、合成樹脂フィルム、金属薄膜及びその他表面に液体が付着可能なものを含む。
ここで、ロール紙とは、切断可能なミシン目が所定間隔で形成された連続紙(連帳紙、連続帳票)である。また、ロール紙におけるページ(頁)とは、例えば所定間隔のミシン目で挟まれる領域とする。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る液体を吐出する装置1000は、媒体であるロール紙Mdを搬入する搬入手段100と、搬入されたロール紙Mdを前処理する前処理手段200と、前処理されたロール紙Mdを乾燥させる乾燥手段300とを有する。
また、液体を吐出する装置1000は、ロール紙Mdの表面に液体を吐出する液体吐出手段400と、液体が吐出されたロール紙Mdを後処理する後処理手段500と、液体が吐出され後処理されたロール紙Mdを乾燥させる乾燥手段310と、後処理されたロール紙Mdを搬出する搬出手段600とを有する。
更に、液体を吐出する装置1000は、液体を吐出する装置1000の動作を制御する制御手段700を有する。
【0014】
本実施形態に係る液体を吐出する装置1000は、搬入手段100によってロール紙Mdを前処理手段200に給紙し、前処理手段200及び乾燥手段300によってロール紙Mdの表面を前処理及び乾燥する。
また、液体を吐出する装置1000は、液体吐出手段400によって、前処理手段200及び乾燥手段300により前処理及び乾燥した後のロール紙Mdの表面に液体を吐出する。
【0015】
更に、液体を吐出する装置1000は、後処理手段500及び乾燥手段300によって、液体吐出手段400から液体が吐出されたロール紙Mdを後処理及び乾燥する。その後、液体を吐出する装置1000は、後処理及び乾燥されたロール紙Mdを搬出手段600によって巻き取って排出する。
以上の一連の動作は、制御手段700によって制御される。
【0016】
なお、本実施形態に係る液体を吐出する装置1000は、液体が吐出される媒体の種類に応じて、前処理手段200等のいずれか一つ又は複数を含まない構成とすることができる。
【0017】
図2は液体吐出手段400の概略を示す平面図である。図2に示すように、本実施形態では、液体吐出手段400にフルライン型の記録ヘッドを用いている。液体吐出手段400には、記録媒体であるロール紙Mdの搬送方向Xmの上流側から、4つの液体吐出ヘッド401K、401C、401M及び401Yが配置されている。記録ヘッドにおけるK、C,M、Yの添え字は、各々ブラック、シアン、マゼンダ、イエローの色を示す。
【0018】
なお、K、C,M、Yの色順は、図2に限るものではなく、他の並び順であっても構わない。また、記録ヘッドは、グリーン、レッド、ライトシアン及び/又はその他の色であってもよいし、単色(例えば、ブラックのみ)であってもよい。
【0019】
ここで、ブラック(K)の液体吐出ヘッド401Kには、ロール紙Mdの搬送方向Xmと直行する方向に4つのヘッドユニット401K-1、401K-2、401K-3及び401K-4が千鳥状に配置されている。これにより、液体吐出ヘッド401Kは、ロール紙Mdの画像形成領域(印刷領域)の全域にブラック(K)画像を形成できる。なお、他の液体吐出ヘッド401C、401M及び401Yの構成は、ブラック(K)の液体吐出ヘッド401Kの構成と同様である。
【0020】
各液体吐出ヘッドの媒体搬送方向には各々退避位置404K、404C、404M、404Yを設けてある。
4つの液体吐出ヘッド401K、401C、401M及び401Yに他の機能部品、機構が一体化した液体吐出に関連する部品の集合体が液体吐出装置400である。
液体吐出手段400は、液体吐出ヘッド401K、401C、401M及び401Yを駆動させて液体を吐出させる。
【0021】
次に、液体吐出ヘッドの一例について図3及び図4を参照して説明する。図3は同液体吐出ヘッドの外観斜視説明図、図4は同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向(液室長手方向)の断面説明図である。
【0022】
この液体吐出ヘッドは、ノズル板101と、流路板102と、壁面部材としての振動板部材103とを積層接合している。そして、振動板部材103の振動領域(振動板)130を変位させる圧電アクチュエータ111と、ヘッドのフレーム部材を兼ねている共通液室部材120と、カバー129を備えている。なお、流路板102と振動板部材103で構成される部分を流路部材140という。
【0023】
ノズル板101は、液体を吐出する複数のノズル104を有している。
【0024】
流路板102は、ノズル104にノズル連通路105を介して通じる個別液室106、個別液室106に通じる供給側流体抵抗部107、供給側流体抵抗部107に通じる液導入部108となる貫通穴や溝部を形成している。ノズル連通路105は、ノズル104と個別液室106にそれぞれ連なって通じる流路である。また、液導入部108は振動板部材103の開口109を介して供給側共通液室110に通じている。
【0025】
振動板部材103は、流路板102の個別液室106の壁面を形成する変形可能な振動領域130を有する。ここでは、振動板部材103は2層構造(限定されない)とし、流路板102側から薄肉部を形成する第1層と、厚肉部を形成する第2層で形成され、第1層で個別液室106に対応する部分に変形可能な振動領域130を形成している。
【0026】
そして、この振動板部材103の個別液室106とは反対側に、振動板部材103の振動領域130を変形させる駆動手段(アクチュエータ手段、圧力発生手段)としての電気機械変換素子を含む圧電アクチュエータ111を配置している。
【0027】
この圧電アクチュエータ111は、ベース部材113上に接合した圧電部材をハーフカットダイシングによって溝加工して所要数の柱状の圧電素子112を所定の間隔で櫛歯状に形成している。
【0028】
そして、圧電素子112を振動板部材103の振動領域130に形成した島状の厚肉部である凸部130aに接合している。また、圧電素子112にはフレキシブル配線部材115が接続されている。
【0029】
共通液室部材120は、供給側共通液室110と排出側共通液室150を形成する。供給側共通液室110は供給ポート171に通じ、排出側共通液室150は排出ポート181に通じている。
【0030】
なお、ここでは、共通液室部材120は、第1共通液室部材121及び第2共通液室部材122によって構成され、第1共通液室部材121を流路部材140の振動板部材103側に接合し、第1共通液室部材121に第2共通液室部材122を積層して接合している。
【0031】
第1共通液室部材121は、液導入部108に通じる供給側共通液室110の一部である下流側共通液室110Aと、排出流路151に通じる排出側共通液室150とを形成している。また、第2共通液室部材122は、供給側共通液室110の残部である上流側共通液室110Bを形成している。
【0032】
また、流路板102には、各個別液室106にノズル連通路105を介して通じる流路板102の面方向に沿う排出流路151を形成している。排出流路151が排出側共通液室150に通じている。
【0033】
この液体吐出ヘッドにおいては、例えば圧電素子112に与える電圧を基準電位(中間電位)から下げることによって圧電素子112が収縮し、振動板部材103の振動領域130が引かれて個別液室106の容積が膨張することで、個別液室106内に液体が流入する。
【0034】
その後、圧電素子112に印加する電圧を上げて圧電素子112を積層方向に伸長させ、振動板部材103の振動領域130をノズル104に向かう方向に変形させて個別液室106の容積を収縮させることにより、個別液室106内の液体が加圧され、ノズル104から液体が吐出される。
【0035】
また、ノズル104から吐出されない液体はノズル104を通過して排出流路151から排出側共通液室150に排出され、排出側共通液室150から外部の循環経路を通じて供給側共通液室110に再度供給される。
【0036】
なお、ヘッドの駆動方法については上記の例(引き-押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行うこともできる。
【0037】
次に、本実施形態に係るキャップ清掃装置及び液体を吐出する装置の詳細を説明する。図5及び図6は、本実施形態に係る液体を吐出する装置について、本実施形態のキャップ清掃装置を有する構成を説明する図である。
【0038】
図5及び図6では、図面を簡略化するために、4つある液体吐出ヘッド401K、401C、401M及び401Y(以下、「液体吐出ヘッド401」という)のうち、1つのみを示す。なお、1つのヘッドユニットに2列のヘッドを記載したが、これは図2における千鳥配置のためである。
【0039】
液体吐出装置400は、液体吐出ヘッド401と、キャップ402と、キャップ清掃部材405と、キャップユニット406と、回転軸407と、ガイド408と、吸引ポンプ409と、移動手段435を備える。
【0040】
キャップ402は、液体吐出ヘッド401のノズル面401aに当接(キャッピング)して閉塞することにより、ノズル401bから液体を吸引したり、ノズル面401aを保湿したりするキャップ部材である。
吸引ポンプ409は、前記キャップ402に接続されており、キャップ402がノズル面401aをキャッピングした状態で駆動することにより、ノズル401bから液体を吸引し排出する吸引手段である。
【0041】
移動手段435は、ローラ431及び432に掛け回されたベルト部材433を有し、ローラ432を回転駆動させることによりベルト部材433を、媒体搬送方向に移動することでキャップユニット406を移動させる。
【0042】
キャップユニット406には回転軸407が備えられており、キャップユニット406はガイド408に沿って移動可能な構成となっている。
キャップ402は液体吐出ヘッド401のノズル面401aを閉塞可能なキャップ位置403と、キャップ402が液体吐出ヘッド401から離れて液体吐出ヘッド401のノズル面401aが開放される退避位置404との間を移動することができる。
本実施形態では、図6に示すように、退避位置404へ移動した際、キャップ402はキャップ清掃部材405に当接される。
【0043】
制御手段700は、液体吐出装置400が有するキャップ清掃部材405、回転軸407、吸引ポンプ409、ローラ431、432などの動作を制御する。
キャップ402及び吸引ポンプ409により液体吐出ヘッドのノズル401bから吸引された液体は、排液路430を通って排液タンク440に排出されて蓄積される。
【0044】
ここで、従来技術における問題を説明する。キャップ内には吸引時にヘッドノズル面に滴ったインク滴を吸収、かつキャップによるヘッドノズル面閉塞時にノズル湿潤状態を保持するための吸収体が設置されることが多い。従来ではキャップ清掃部材が平面形状となっており、キャップがキャップ清掃部材に押し込まれたとき、キャップ清掃部材がキャップ側面だけでなくキャップ内の吸収体にも接触してしまう。この場合、キャップ内の吸収体に含まれたインクがキャップ清掃部材側に吸収され、キャップ開放時にキャップ清掃部材からインクが用紙に落ちる問題が生じてしまう。このことから、従来の平面形状のキャップ清掃部材では、キャップの押し込み量に制限があり、キャップ側面のインクを適切に吸収できないという問題がある。
【0045】
次に、本実施形態におけるキャップ402、キャップ清掃部材405の詳細を図7図11を用いて説明する。図7はキャップ402の横断面図を模式的に示したものであり、図8はキャップ402を上から見た場合の平面模式図である。
【0046】
本実施形態のキャップ402は、ノズル401bから排出された液体を吸収・保持する吸収体410と、ノズル面401aを閉塞した際に密閉度を保つために設けられたキャップニップ部450で構成される。キャップニップ部は、ノズル面401aと直接当接するニップ部上面411と、ニップ部側面412に分類される。キャップニップ部450は、例えばエラストマー材質とすることが好ましい。
なお、図8ではキャップ402内の形状がわかるよう、吸収体410の図示は省略している。
【0047】
図9は、本実施形態におけるキャップ清掃部材405の斜視図であり、図10はキャップ清掃部材405の縦断面を模式的に示したものである。本実施形態のキャップ清掃部材はキャップと当接する面におけるキャップと対応する箇所に凹形状を有し、前記凹形状はかしめ部材により形成されている。
【0048】
かしめ部材としては、少なくともキャップ清掃部材に凹形状を形成できる部材であればよく、例えば、リベット、くぎ、ねじ、ボルトとナット等が挙げられる。本実施形態におけるキャップ清掃部材405は、直方体状のスポンジ部材をリベット413でかしめてなり、これによりキャップ402との当接面が凹形状を有している。
なお、キャップ清掃部材405はかしめ部材により他の部材に固定されていてもよい。
【0049】
かしめ部材の数は、特に制限されるものではなく、適宜変更することが可能である。図9では、1つのキャップ402に対して、リベット413が3つ用いられてキャップ清掃部材405の凹形状を形成しているが、これに限られるものではない。
【0050】
かしめ部材が設けられる位置は、本発明の効果が得られる範囲で適宜変更することが可能である。図10では、キャップ清掃部材405の中央の位置(破線の位置)にリベット413が固定されているが、これに限られるものではない。かしめ部材が設けられる間隔も変更することができる。上記の位置や間隔は、キャップ清掃部材に形成される凹形状がキャップと対応する箇所となるように調整する。
【0051】
図11は、キャップ402とキャップ清掃部材405が当接した場合の断面模式図である。なお、図11は、キャップ清掃部材405の短手方向の断面図であり、吸収体410の図示は省略している。
【0052】
図11に示されるように、本実施形態におけるキャップ清掃部材405がキャップ402と当接すると、ニップ部上面411と当接する面は、ニップ部上面411の形状に沿って平面の状態で当接する。一方、ニップ部側面412の部分は、キャップ清掃部材405の凹形状により、キャップ清掃部材405がニップ部側面412にも接することとなる。
【0053】
これにより、ニップ部上面411だけでなくニップ部側面412に付着した液体も除去することが可能となる。このため、キャップニップ部に残った液体が固着・剥離してノズル面閉塞時にノズル面への再転写する問題を防止することが可能となる。
【0054】
また、本実施形態によれば、かしめ部材により凹形状が形成されるので、簡易な構成によりキャップニップ部側面の清掃を行うことができる。このため、特許文献1のようにキャップの寸法と吸収体の凹形状の寸法を精密に整合させる必要はなく、設計の自由度の低下やコストの増加などの問題を防ぐことができる。かしめ部材を用いる場合、キャップの形状に合わせてキャップ清掃部材の凹形状を変更しやすくなる。
【0055】
(第2の実施形態)
次に、本発明に係るキャップ清掃装置及び液体を吐出する装置のその他の実施形態について説明する。なお、上記実施形態と共通する事項については説明を省略する。
【0056】
本実施形態のキャップ清掃部材は、キャップと当接する面と反対側の面が板部材に当接し、板部材と当接する面が凹形状であることにより板部材との間に隙間が形成されている。
【0057】
本実施形態の構成について、図12図14を用いて説明する。図12は、本実施形態におけるキャップ清掃部材405の断面模式図であり、図13は、キャップ清掃部材405の斜視図である。また、図14はキャップ402とキャップ清掃部材405が当接した場合の断面模式図である。
【0058】
図12図14に示すように、本実施形態では、キャップ清掃部材405におけるキャップ402との当接面と逆の面を凹形状とし、凹形状が形成されている面に当て板414を当接させて隙間415を形成している。本実施形態におけるキャップ清掃部材405としては、弾性のある部材を用い、例えばスポンジ部材が挙げられる。
【0059】
キャップ清掃部材405の凹形状側に当て板414を設けることで、キャップ402がキャップ清掃部材405に当接した際、キャップ清掃部材405と当て板414との間に隙間415があることによりキャップ清掃部材405が変形する。そして、図14に示されるように、キャップ清掃部材405が変形することで、キャップ清掃部材405がニップ部上面411だけでなくニップ部側面412とも接触する。
【0060】
本実施形態によれば、上記第1の実施形態におけるかしめ部材を用いる必要がないため、上記第1の実施形態と比較して、キャップ清掃部材405のコストを下げることが可能となる。
【0061】
(第3の実施形態)
次に、本発明に係るキャップ清掃装置及び液体を吐出する装置のその他の実施形態について説明する。
【0062】
本実施形態のキャップ清掃部材は、当接面が凹形状を有し、該凹形状の凹部壁面がひだ状となっている。すなわち凹部壁面がひだ部を有している。
【0063】
本実施形態の構成について、図15図17を用いて説明する。図15は本実施形態におけるキャップ清掃部材405の断面模式図であり、図16はキャップ清掃部材405の斜視図である。また、図17はキャップ402とキャップ清掃部材405が当接した場合の断面模式図である。
【0064】
図15図16に示すように、本実施形態のキャップ清掃部材405は、当接面が凹形状を有し、該凹形状の凹部壁面がひだ部416を有している。本実施形態では、図17に示すように、キャップ402がキャップ清掃部材405へ当接する際、キャップ清掃部材405のひだ部416がニップ部側面412と摺動・接触し、ニップ部上面411は凹部の平面部と接触する。
【0065】
このような構成とすることにより、キャップ清掃部材405の凹部壁面がニップ部側面412を摺動するため、上記第1の実施形態と比較して、ニップ部壁面に付着した液体・固体の除去能力を高くすることができる。
【0066】
また、特許文献1では、キャップの寸法と吸収体の凹形状の寸法を精密に整合させる必要があるが、本実施形態では凹部壁面にひだ部416が設けられていることにより、寸法が多少ずれたとしても、ひだ部が寸法のずれを解消することができる。
【符号の説明】
【0067】
100 搬入手段
101 ノズル板
102 流路板
103 振動板部材
104 ノズル
105 ノズル連通路
106 個別液室
107 供給側流体抵抗部
108 液導入部
109 開口
110 供給側共通液室
110A 下流側共通液室
110B 上流側共通液室
111 圧電アクチュエータ
112 圧電素子
113 ベース部材
115 フレキシブル配線部材
120 共通液室部材
121 第1共通液室部材
122 第2共通液室部材
129 カバー
130 振動領域
130a 凸部
140 流路部材
150 排出側共通液室
151 排出流路
171 供給ポート(供給口)
181 排出ポート(排出口)
200 前処理手段
300、310 乾燥手段
400 液体吐出手段
401 液体吐出ヘッド
401a ノズル面
401b ノズル
402 キャップ
403 キャップ位置
404 退避位置
405 キャップ清掃部材
406 キャップユニット
407 回転軸
408 ガイド
409 吸引ポンプ
410 吸収体
411 ニップ部上面
412 ニップ部側面
413 リベット
414 当て板
415 隙間
416 ひだ部
430 排液路
431、432 ローラ
433 ベルト部材
435 移動手段
440 排液タンク
450 キャップニップ部
500 後処理手段
600 搬出手段
700 制御手段
1000 液体を吐出する装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0068】
【文献】特開2009-292030号公報
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