(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】酸化ルテニウム粉末の乾燥方法
(51)【国際特許分類】
C01G 55/00 20060101AFI20220412BHJP
F26B 3/347 20060101ALI20220412BHJP
F26B 11/12 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
C01G55/00
F26B3/347
F26B11/12
(21)【出願番号】P 2018121836
(22)【出願日】2018-06-27
【審査請求日】2021-02-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091362
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(72)【発明者】
【氏名】飯田 好孝
【審査官】神野 将志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/176696(WO,A1)
【文献】特開昭57-209819(JP,A)
【文献】特開2015-076154(JP,A)
【文献】特開平10-310425(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01G 55/00
F26B 3/347
F26B 11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化ルテニウム粉末および水分を含む湿潤粉末に対して
、マイクロ波を
撹拌羽で拡散させつつ照射し、前記水分を加熱して揮発させることにより、前記湿潤粉末を、前記酸化ルテニウム粉末が凝集したポーラス構造を有する乾燥体に乾燥させる酸化ルテニウム粉末の乾燥方法。
【請求項2】
前記湿潤粉末の雰囲気を換気しながら前記湿潤粉末の乾燥を行う、請求項1に記載の酸化ルテニウム粉末の乾燥方法。
【請求項3】
前記湿潤粉末の雰囲気に、温度が50℃以上70℃以下の温風を供給することにより換気を行う、請求項2に記載の酸化ルテニウム粉末の乾燥方法。
【請求項4】
前記湿潤粉末の雰囲気温度を50℃以上70℃以下に調整したうえで前記湿潤粉末の乾燥を行う、請求項1~3のいずれか1項に記載の酸化ルテニウム粉末の乾燥方法。
【請求項5】
前記マイクロ波の照射量を、前記湿潤粉末に含まれる前記水分の含量の減少に応じて、低減させる、請求項1~4のいずれか1項に記載の酸化ルテニウム粉末の乾燥方法。
【請求項6】
前記マイクロ波の出力を、前記湿潤粉末1kg、乾燥時間1時間、当たり、600W/kg・hour以上1250W/kg・hour以下とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の酸化ルテニウム粉末の乾燥方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化ルテニウム粉末の乾燥方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にチップ抵抗器、ハイブリッドIC、または、抵抗ネットワーク等に設けられる抵抗体は、セラミック基板に抵抗体ペーストを印刷して焼成することによって形成されている。抵抗体ペーストとしては、導電粒子として酸化ルテニウム粉末とガラス粉末を主な成分としたものが広く用いられている。
【0003】
酸化ルテニウム粉末の製造方法としては、例えば、不定形酸化ルテニウム水和物を水あるいは有機溶媒中で分散させつつ凝集をほぐした後、乾燥し焼成することで、10μm以下の微細で粗大粒子がないRu酸化物粉末やRu複合酸化物粉末を製造する方法が開示されている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、酸化ルテニウム粉末を湿式で製造する場合、酸化ルテニウム粉末は洗浄などにより表面に水分が付着した状態で得られるため、水分を乾燥させる必要がある。この乾燥は乾燥炉を用いて行われるのが一般的である。
【0006】
乾燥時間を短縮する観点からは乾燥炉内の温度(雰囲気温度)を高くするとよいが、雰囲気温度が高くなるほど、酸化ルテニウム粉末が酸化して変質しやすくなる。そのため、雰囲気温度を、変質を生じさせないように低く設定する必要があり、乾燥に要する時間が長くなる傾向がある。具体的には、乾燥温度は150℃程度が限界であり、この温度では乾燥させるのに20時間を要することになる。
【0007】
また、湿った酸化ルテニウム粉末を乾燥させる過程で酸化ルテニウム粉末同士が凝集・固化してしまうため、酸化ルテニウム粉末は、粉末状ではなく、粒子同士が固着したウエハ状の乾燥体を形成してしまう。この乾燥体は例えば粉砕装置などを用いて再粉化させる必要があるので、工程数を増加させてしまう。
【0008】
このように湿式で酸化ルテニウム粉末を製造する場合、乾燥時間が長く、かつ再粉化させる必要があるため、酸化ルテニウム粉末を生産性よく製造できないことがある。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、酸化ルテニウム粉末を効率よく乾燥させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、
酸化ルテニウム粉末および水分を含む湿潤粉末に対してマイクロ波を照射し、前記水分を加熱して揮発させることにより、前記湿潤粉末を、前記酸化ルテニウム粉末が凝集したポーラス構造を有する乾燥体に乾燥させる酸化ルテニウム粉末の乾燥方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、酸化ルテニウム粉末を効率よく乾燥させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、酸化ルテニウム粉末を乾燥させる乾燥装置の概要を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明者は上記課題を解決すべく、水分が付着した酸化ルテニウム粉末(湿潤粉末)を高温度の雰囲気下で乾燥させる場合について検討を行った。その結果、この乾燥方法では、水分だけでなく、酸化ルテニウム粉末や、湿潤粉末を入れる容器なども加熱されるため、熱効率が低くなることが分かった。また、この乾燥方法では、湿潤粉末を外気に触れる表面側から加熱することで、湿潤粉末の表面から内部に向かって徐々に乾燥が進むため、水分の乾燥の過程で粒子同士が凝集して固着しやすく、最終的に得られる粉末は、粒子同士が強固に固着したウエハ状の乾燥体を形成しやすいことが分かった。
【0014】
このことから、本発明者は熱効率の高い乾燥方法について検討を行い、マイクロ波に着目した。マイクロ波によれば、酸化ルテニウム粉末の表面に付着する水分のみを直接加熱できるので、熱効率を高めることができる。しかも、湿潤粉末の表面およびその内部を均一に加熱できるので、水分を揮発させて気泡を形成することで、最終的に得られる乾燥体をポーラス状に形成することができる。これにより、乾燥過程で粒子が凝集して強固に固着することを抑制できる。本発明は上記知見に基づいて成されたものである。
【0015】
<本発明の一実施形態>
以下、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、酸化ルテニウム粉末を乾燥させる乾燥装置の概要を示す構成図である。
【0016】
(乾燥装置)
まず、本実施形態の乾燥方法で使用する乾燥装置10について説明する。
【0017】
本実施形態では、酸化ルテニウム粉末の表面に付着する水分を直接加熱すべく、マイクロ波を照射可能な乾燥装置10を使用する。具体的には、乾燥装置10は、
図1に示すように、乾燥炉本体11と、マイクロ波発信部12と、導波管13とを備えて構成されている。乾燥炉本体11は、被乾燥体である湿潤粉末1を内部に収容できるように構成されている。乾燥炉本体11には、導波管13が連結されており、導波管13の一端には、マイクロ波発信部12が設けられている。マイクロ波発信部12はマイクロ波を発生させ、導波管13は、発生したマイクロ波を乾燥炉本体11の内部に伝搬させて導入する。
【0018】
乾燥炉本体11には、被乾燥体に対してマイクロ波を均一に照射する観点から、湿潤粉末1もしくは湿潤粉末1を収容する容器2を載置して回転させるターンテーブル14が設けられることが好ましい。また、乾燥炉本体11の内部には、導波管13の開口の近傍に、マイクロ波を拡散させるスターラファン15(撹拌羽)が設けられることが好ましい。
【0019】
乾燥装置10での乾燥効率を向上させる観点からは、乾燥炉本体11は換気可能に構成されることが好ましい。乾燥炉本体11では、マイクロ波の照射により水分が加熱されて揮発し、水蒸気が生成する一方、容器2や乾燥炉本体11の内面はマイクロ波ではあまり加熱されず、低い温度のままとなる。そのため、水蒸気が、容器2や乾燥炉本体11の内面と接触して結露することがあり、乾燥効率が低くなるおそれがある。この点、乾燥炉本体11を換気可能に構成することで、乾燥効率を向上させて乾燥時間を短縮することができる。
【0020】
具体的には、乾燥炉本体11には、その内部に気体を供給する供給口16と、その内部の気体と水分の揮発に伴って発生する水蒸気とを排出する排出口17と、が設けられ、供給口16には、気体供給装置20が設けられることが好ましい。気体供給装置20は、乾燥効率をより向上させる観点からは、気体として温風を供給するように構成されることが好ましい。例えば、気体供給装置20は、ヒータ加熱式であって、気体(空気)を送り込むためのファン22と空気を加熱するヒータ21とを備えて構成されるとよい。温風の温度は、高くなるほど飽和水蒸気量が増え、水蒸気の換気効率が高くなることから、50℃以上であることが好ましい。一方、酸化ルテニウム粉末の変質を抑制することからは70℃以下であることが好ましい。
【0021】
また、マイクロ波発信部12のマイクロ波の照射量が一定であると、乾燥が進み、湿潤粉末1に含まれる水分の含量が減少したときに、過剰のマイクロ波によってスパークが生じるおそれがある。そのため、安全性の観点からは、マイクロ波発信部12は、湿潤粉末1に含まれる水分の含量の減少に応じてマイクロ波の照射量を低減させるように構成されることが好ましい。具体的には、水分の含量を検知する検知手段を設け、検知される水分の含量に応じてマイクロ波の照射量を制御するように構成するとよい。検知手段としては、例えば、湿潤粉末1の重量、もしくは乾燥炉本体11から排気される水分量(水蒸気量)を測定できるものを用いることができる。具体的には、湿潤粉末1の重量であれば、荷重計を用いるとよく、荷重計をターンテーブル14に設置し、水分の揮発にともなう湿潤粉末1の減量分から水分の減少量を測定するとよい。また、水蒸気量であれば、検知手段として湿度計を用いるとよく、湿度計を排出口17に設置して、排出口17から排気される空気中に含まれる水蒸気量を測定し、その減少量から湿潤粉末1に含まれる水分の減少量を測定するとよい。なお、水分の含量は、乾燥時間を目安にしてもよい。
【0022】
(酸化ルテニウム粉末の乾燥方法)
続いて、上述した乾燥装置10を用いて酸化ルテニウム粉末を乾燥する方法について説明する。
【0023】
まず、乾燥対象である、酸化ルテニウム粉末および水分を含む湿潤粉末を準備する。この湿潤粉末は、例えば、酸化ルテニウム粉末を湿式で作製して水で洗浄した後に固液分離することで得られ、酸化ルテニウム粉末の表面に水分が付着したものである。なお、粉末とは複数の粒子が集合したものを示し、湿潤粉末とは、表面に水が付着した状態の湿潤粒子が集合したものを示す。
【0024】
続いて、湿潤粉末を容器に収容する。容器としては、耐熱性に優れ、マイクロ波を透過させる材質から形成されるものがよく、例えばガラス、テフロン、FRP(強化繊維プラスチック)、PP(ポリプロピレン)等からなるものを用いることができる。
【0025】
続いて、
図1に示すように、湿潤粉末1を収容した容器2を乾燥炉本体11のターンテーブル14上に載置する。載置する位置は、特に限定されないが、湿潤粉末1にマイクロ波を均一に照射する観点からは、ターンテーブル14の中心から外れた位置が好ましい。
【0026】
次に、マイクロ波を照射する前に、乾燥炉本体11の内部(湿潤粉末1の雰囲気)の温度を50℃~70℃に調整すべく予熱を行う。予熱することによりマイクロ波を照射したときの結露を抑制することができる。予熱方法は、特に限定されないが、気体供給装置20から乾燥炉本体11の内部へと温風を供給し、雰囲気温度を高くするとよい。
【0027】
次に、ターンテーブル14により容器2を回転させつつ、マイクロ波発信部12からマイクロ波を発生させて、導波管13から乾燥炉本体11の内部に載置される湿潤粉末1に対してマイクロ波を照射する。マイクロ波の照射により、湿潤粉末1に含まれる水分が直接加熱される。すなわち、湿潤粉末1の集合物において、外気に触れる表面側に存在する水分と、内部に存在する水分が均一に加熱される。これにより、湿潤粉末1から水分を揮発させ、乾燥体を得る。
【0028】
得られる乾燥体は、酸化ルテニウム粒子が凝集して粒子同士が固着した状態となる。本実施形態では、水分を均一に加熱して揮発させているので、乾燥体は、水分の揮発により形成された気泡を有しており、ポーラス構造を有する。
【0029】
本実施形態では、マイクロ波の照射による乾燥は、湿潤粉末1の雰囲気(乾燥炉本体11の内部)を換気しながら行うことが好ましい。また、換気は、温度が50℃~70℃の温風を乾燥炉本体11に供給して行うことが好ましい。
【0030】
また、本実施形態では、湿潤粉末1に含まれる水分の減少量に応じて、マイクロ波の照射量を低減することが好ましい。水分の減少量は、乾燥時間を目安にして把握することもできるが、ターンテーブル14に設置した荷重計などで測定するとよい。そして、測定される水分の減少量に応じてマイクロ波の照射量を少なくするように制御するとよい。
【0031】
また、マイクロ波の出力は、特に限定されないが、効率よく乾燥を行う観点からは、1kgの湿潤粉末1、乾燥時間1時間、当たり、600W/kg・hour以上1250W/kg・hour以下とすることが好ましい。
【0032】
続いて、乾燥により得られた乾燥体を解砕する。具体的には、容器2から乾燥体を取り出し、スプーンなどで解砕し、乾燥した酸化ルテニウム粉末を得る。
【0033】
<本実施形態に係る効果>
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
【0034】
比較形態として、表面に水分が付着した酸化ルテニウム粉末を温度の高い雰囲気下で加熱して乾燥させる場合では、湿潤粉末において外気に触れる表面側から内部に向かって徐々に乾燥が進むため、乾燥させるのに要する時間が長くなる。
これに対して、本実施形態では、湿潤粉末1に対してマイクロ波を照射し、湿潤粉末1に含まれる水分を選択的に加熱している。つまり、湿潤粉末1の表面だけでなく内部に存在する水分を均一に加熱している。これにより、比較形態のように表面側から徐々に乾燥させる場合よりも乾燥に要する時間を短縮することができる。また、水分を直接加熱するため、比較形態のように酸化ルテニウム粉末や容器2などを加熱させることなく、エネルギーを低減することができる。
【0035】
また、比較形態では、湿潤粉末1において外気に触れる表面側から内部に向かって徐々に乾燥が進むため、得られる乾燥体では、乾燥の過程で粒子同士が密に凝集して強固に固着してしまう。そのため、乾燥体を粉砕装置により再粉化させる必要がある。
これに対して、本実施形態では、マイクロ波の照射により、湿潤粉末1に含まれる水分を揮発させて、気泡を形成しているので、乾燥の過程での粒子同士の密な凝集を抑制し、得られる乾燥体をポーラス状に形成することができる。ポーラス状の乾燥体によれば、気泡が形成されて粒子同士が強固に付着していないので、スプーンなどを用いて容易に解砕することが可能であり、粉砕装置による再粉化を必要としない。また、乾燥体は容器2にも強固に付着しないため、乾燥体を容器2から分離させやすい。したがって、酸化ルテニウム粉末を生産性よく製造することができる。
【0036】
また、本実施形態では、マイクロ波の照射による乾燥を、湿潤粉末1の雰囲気を換気しながら行うことが好ましい。換気によれば、乾燥の過程で生成する水蒸気を排出することができる。これにより、水蒸気が、加熱されずに低い温度である酸化ルテニウム粉末に接触して結露してしまうことを抑制でき、乾燥効率を高めることができる。
【0037】
また、本実施形態では、温度が50℃~70℃の温風を乾燥炉本体11に供給して換気を行うことが好ましい。温風によれば、雰囲気温度の低下を抑制できるので、乾燥効率を高く維持することができる。
【0038】
また、本実施形態では、湿潤粉末1に含まれる水分の減少量に応じて、マイクロ波の照射量を減らすことが好ましい。これにより、水分が少なくなったときにスパークを生じさせることなく、また効率よく乾燥させることができる。
【実施例】
【0039】
以下、実施例に基づき説明する。
【0040】
(実施例1)
まず、湿式により作製されて洗浄を経て固液分離された、水分を含む湿潤粉末を準備した。この湿潤粉末1.0kgを、
図1に示す乾燥装置にて、下記表1に示す条件で乾燥を行い、解砕することにより、乾燥した酸化ルテニウム粉末を得た。
【0041】
【0042】
(実施例2~4)
実施例2~4では、表1に示すように、湿潤粉末の重量やマイクロ波の出力を適宜変更した以外は、実施例1と同様に酸ルテニウム粉末を製造した。
【0043】
(比較例1)
比較例1では、湿潤粉末を、温度150℃の乾燥炉に放置して乾燥させた以外は、実施例1と同様に酸化ルテニウム粉末を製造した。
【0044】
比較例1では、酸化ルテニウム粉末を劣化させないように雰囲気温度を150℃に設定して乾燥を行ったが、乾燥を完了させるまでに20時間を要することが確認された。また、乾燥により得られた乾燥体は、粒子同士が強固に固着してウエハ状となっており、粉砕装置を用いて再粉化する必要があることが確認された。
【0045】
一方、マイクロ波の照射により乾燥を行った実施例1~4では、乾燥を完了させるまでの時間を1時間未満と、比較例1に比べて大幅に短縮できることが確認された。また、得られた乾燥体は、水分が揮発して気泡が形成されることでポーラス状となっており、スプーンなどで容易に解砕できることが確認された。
【0046】
<本発明の好ましい態様>
以下、本発明の好ましい態様について付記する。
【0047】
(付記1)
本発明の一態様によれば、
酸化ルテニウム粉末および水分を含む湿潤粉末に対してマイクロ波を照射し、前記水分を加熱して揮発させることにより、前記湿潤粉末を、前記酸化ルテニウム粉末が凝集したポーラス構造を有する乾燥体に乾燥させる酸化ルテニウム粉末の乾燥方法が提供される。
【0048】
(付記2)
付記1の酸化ルテニウム粉末の製造方法において、好ましくは、
前記湿潤粉末の雰囲気を換気しながら前記湿潤粉末の乾燥を行う。
【0049】
(付記3)
付記2の酸化ルテニウム粉末の製造方法において、好ましくは、
前記湿潤粉末の雰囲気に、温度が50℃以上70℃以下の温風を供給することにより換気を行う。
【0050】
(付記4)
付記1~3のいずれか1つの酸化ルテニウム粉末の製造方法において、好ましくは、
前記湿潤粉末の雰囲気温度を50℃以上70℃以下に調整したうえで前記湿潤粉末の乾燥を行う。
【0051】
(付記5)
付記1~4のいずれか1つの酸化ルテニウム粉末の製造方法において、好ましくは、
前記マイクロ波の照射量を、前記湿潤粉末に含まれる前記水分の含量の減少に応じて、低減させる。
【0052】
(付記6)
付記1~5のいずれか1つの酸化ルテニウム粉末の製造方法において、好ましくは、
前記マイクロ波の出力を、前記湿潤粉末1kg、乾燥時間1時間、当たり、600W/kg・hour以上1250W/kg・hour以下とする。
【符号の説明】
【0053】
1 湿潤粉末
2 容器
10 乾燥装置
11 乾燥炉本体
12 マイクロ波発信部
13 導波管
14 ターンテーブル
15 スターラファン(撹拌羽)
16 供給口
17 排出口
20 気体供給装置
21 ヒータ
22 ファン