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特許7057121センサデバイス、制御装置及び固有アドレス設定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】センサデバイス、制御装置及び固有アドレス設定方法
(51)【国際特許分類】
   G01D 11/00 20060101AFI20220412BHJP
   F04D 15/00 20060101ALI20220412BHJP
   G01D 21/00 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
G01D11/00 S
F04D15/00 Z
G01D21/00 Q
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2017245645
(22)【出願日】2017-12-22
(65)【公開番号】P2019113369
(43)【公開日】2019-07-11
【審査請求日】2020-12-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【弁護士】
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】山田 泰雅
(72)【発明者】
【氏名】駒井 正和
(72)【発明者】
【氏名】関口 孝志
(72)【発明者】
【氏名】坂巻 裕太
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-287986(JP,A)
【文献】特開2008-224445(JP,A)
【文献】特開2009-110372(JP,A)
【文献】特開2011-061718(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 11/00-13/28
G01D 18/00-21/02
G08C 13/00-25/04
F04D 15/00-15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体移送設備に設けられるセンサデバイスであって、
流体移送設備に関する物理的な状態量を検出するセンサと、
前記センサに接続されたコントローラと、
固有アドレスが記憶されている記憶部と、
を備え、
前記コントローラは、前記センサによる検出値が予め設定された範囲から逸脱する場合、前記記憶部に予め記憶されている固有アドレスを更新し、
前記予め設定された範囲は、前記流体移送設備が通常動作中において過去に前記センサまたは前記センサと同種のセンサによって検出された範囲に設定されており、且つ前記センサの動作保証範囲内に収まっている
センサデバイス。
【請求項2】
前記記憶部は不揮発性であり、
前記コントローラ及びセンサに電力を供給する電源を更に備え、
前記コントローラは、前記電源がオン状態になった場合において、前記固有アドレスが初期状態のとき、前記センサによる検出値が予め設定された範囲から逸脱する場合、前記記憶部に予め記憶されている固有アドレスを更新する
請求項1に記載のセンサデバイス。
【請求項3】
制御装置と通信する通信部を更に備え、
前記コントローラは、前記電源がオフ状態からオン状態に遷移した場合において、前記固有アドレスが初期状態且つ前記通信部が通信未確立状態のとき、前記センサによる検出値が予め設定された範囲から逸脱する場合、前記記憶部に予め記憶されている固有アドレスを更新する
請求項2に記載のセンサデバイス。
【請求項4】
前記コントローラ及びセンサに電力を供給する電源と、
制御装置と通信する通信部と、
を更に備え、
前記コントローラは、前記電源の電圧の低下または通信不良状態の場合において、前記センサによる検出値が予め設定された範囲から逸脱する場合、前記記憶部に予め記憶されている固有アドレスを更新する
請求項1から3のいずれか一項に記載のセンサデバイス。
【請求項5】
前記通信不良状態とは、前記通信部が予め設定された回数の通信失敗を検出した状態である
請求項4に記載のセンサデバイス。
【請求項6】
前記センサは、振動センサであり、
前記予め設定された範囲は、予め設定された閾値以下の範囲であり、
前記コントローラは、前記センサに振動が与えられたときに前記センサにより検出された振動が前記閾値を超える場合、前記記憶部に予め記憶されている固有アドレスを更新する
請求項1から5のいずれか一項に記載のセンサデバイス。
【請求項7】
前記センサは、温度センサであり、
前記コントローラは、前記センサが加熱または冷却されたときに前記センサにより検出された温度が予め設定された範囲から逸脱する場合、前記記憶部に予め記憶されている固
有アドレスを更新する
請求項1から6のいずれか一項に記載のセンサデバイス。
【請求項8】
前記予め設定された範囲は、予め設定された閾値以下の範囲または予め設定された閾値以上の範囲であり、
前記コントローラは、前記センサが加熱または冷却されたときに前記センサにより検出された温度が前記閾値を超える場合または下回る場合、前記記憶部に予め記憶されている固有アドレスを更新する
請求項7に記載のセンサデバイス。
【請求項9】
前記センサは、電磁式流量センサまたは電磁型ジャイロセンサであり、
前記コントローラは、前記センサに磁気をかけられたときに前記センサにより検出された検出値が予め設定された範囲から逸脱する場合、前記記憶部に予め記憶されている固有アドレスを更新する
請求項1から8のいずれか一項に記載のセンサデバイス。
【請求項10】
前記コントローラは、前記センサによる検出値が予め設定された範囲から逸脱する毎に、前記記憶部に予め記憶されている固有アドレスを1増加させる
請求項1から9のいずれか一項に記載のセンサデバイス。
【請求項11】
前記センサは、振動センサまたは温度センサであり、
流体移送設備に関する物理的な状態量であって前記センサが検出する状態量とは異なる状態量を検出する第2のセンサを更に備える
請求項1から10のいずれか一項に記載のセンサデバイス。
【請求項12】
制御装置と通信する通信部を更に備え、
前記通信部がセンサ種類を要求する通信コマンドを前記制御装置から受信した場合、前記コントローラは前記通信部から前記制御装置へセンサ種類を送信させる
請求項1から11のいずれか一項に記載のセンサデバイス。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載のセンサデバイスの固有アドレス設定方法であって、
前記センサデバイスの電源がオン状態にある場合、前記センサによる検出値が予め設定された範囲から逸脱するように、加熱、冷却、振動の付加、磁力の付加のいずれかを実行することにより、前記センサデバイスの固有アドレスを更新する工程を含む固有アドレス設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサデバイス、制御装置及び固有アドレス設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
流体移送設備、特にポンプ設備において、制御装置は、ポンプ設備に設けられた各種センサで検知されたポンプの圧力、流量、振動、電流、温度等の検出値を通信にて取得し、取得した検出値を用いてポンプを制御することが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-141771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
制御装置を起点として複数のセンサが数珠つなぎで接続されている場合には、センサは制御装置から送られてくる通信信号に含まれるアドレスが、自身の固有アドレスと一致したとき応答を行う。制御装置は、一般的には各種センサとRS485などの通信にて、ModBusRTUなどの通信プロトコルを用いて通信する。制御装置はマスタとして各種センサに問い合わせを行うときに、センサごとの固有アドレスによって、制御装置はどのセンサの検出値であるかを識別することができる。
【0005】
使用するセンサには、固有アドレスを設定する必要があり、従来はセンサに予め設けられたDIPスイッチ等で固有アドレスを手動で設定する方法がとられていた。しかし、センサにDIPスイッチ等を設けると、センサが大きくなるので取り付け場所の制限を受けるという問題がある。更にセンサにDIPスイッチ等を設ける場合、使用者が手動で設定するため、センサの収納ケースを開封する手間と時間が掛かるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、手間と時間を抑えつつセンサデバイスに固有アドレスを設定することを可能とするセンサデバイス、制御装置及び固有アドレス設定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係るセンサデバイスは、流体移送設備に設けられるセンサデバイスであって、流体移送設備に関する物理的な状態量を検出するセンサと、前記センサに接続されたコントローラと、固有アドレスが記憶されている記憶部と、を備え、前記コントローラは、前記センサによる検出値が予め設定された範囲から逸脱する場合、前記記憶部に予め記憶されている固有アドレスを更新し、前記予め設定された範囲は、前記流体移送設備が通常動作中において過去に前記センサまたは前記センサと同種のセンサによって検出された範囲を逸脱する範囲に設定されており、且つ前記センサの動作保証範囲内に収まっている。
【0008】
この構成によれば、手動で、センサによる検出値を、予め設定された範囲から逸脱するようにして、固有アドレスを更新することができる。このため、取り付け場所の制限を抑え且つ手間と時間を抑えつつセンサデバイスに固有アドレスを設定することができる。
【0009】
本発明の第2の態様に係るセンサデバイスは、第1の態様に係るセンサデバイスであって、前記記憶部は不揮発性であり、前記コントローラ及びセンサに電力を供給する電源を更に備え、前記コントローラは、前記電源がオン状態になった場合において、前記固有アドレスが初期状態のとき、前記センサによる検出値が予め設定された範囲から逸脱する場合、前記記憶部に予め記憶されている固有アドレスを更新する。
【0010】
この構成によれば、固有アドレスが初期状態のときだけ、固有アドレスを更新することができるので、通常の使用中に固有アドレスが変更されるのを防ぐことができる。
【0011】
本発明の第3の態様に係るセンサデバイスは、第2の態様に係るセンサデバイスであって、制御装置と通信する通信部を更に備え、前記コントローラは、前記電源がオフ状態からオン状態に遷移した場合において、前記固有アドレスが初期状態且つ前記通信部が通信未確立状態のとき、前記センサによる検出値が予め設定された範囲から逸脱する場合、前記記憶部に予め記憶されている固有アドレスを更新する。
【0012】
この構成によれば、固有アドレスが初期状態且つ通信未確立状態のときのときだけ、固有アドレスを更新することができるので、通常の使用中に固有アドレスが変更されるのを防ぐことができる。
【0013】
本発明の第4の態様に係るセンサデバイスは、第1から3のいずれかの態様に係るセンサデバイスであって、前記コントローラ及びセンサに電力を供給する電源と、制御装置と通信する通信部と、を更に備え、前記コントローラは、前記電源の電圧の低下または通信不良状態の場合において、前記センサによる検出値が予め設定された範囲から逸脱する場合、前記記憶部に予め記憶されている固有アドレスを更新する。
【0014】
この構成によれば、電源の電圧の低下または通信不良状態の場合において、センサデバイスの固有アドレスを更新することができる。
【0015】
本発明の第5の態様に係るセンサデバイスは、第4の態様に係るセンサデバイスであって、前記通信不良状態とは、前記通信部が予め設定された回数の通信失敗を検出した状態である。
【0016】
この構成によれば、通信が予め設定された回数、失敗した場合、センサデバイスの固有アドレスを更新することができる。
【0017】
本発明の第6の態様に係るセンサデバイスは、第1から5のいずれかの態様に係るセンサデバイスであって、前記センサは、振動センサであり、前記予め設定された範囲は、予め設定された閾値以下の範囲であり、前記コントローラは、前記センサに振動が与えられたときに前記センサにより検出された振動が前記閾値を超える場合、前記記憶部に予め記憶されている固有アドレスを更新する。
【0018】
この構成によれば、通信が予め設定された回数、失敗した場合、センサデバイスの固有アドレスを更新することができる。
【0019】
本発明の第7の態様に係るセンサデバイスは、第1から6のいずれかの態様に係るセンサデバイスであって、前記センサは、温度センサであり、前記コントローラは、前記センサが加熱または冷却されたときに前記センサにより検出された温度が予め設定された範囲から逸脱する場合、前記記憶部に予め記憶されている固有アドレスを更新する。
【0020】
この構成によれば、ドライヤーなどによってセンサを加熱するか冷却スプレーなどによって冷却することによって、人為的にセンサにより検出された温度が予め設定された範囲から逸脱するようにして、固有アドレスを更新することができる。このため、取り付け場所の制限を抑え且つ手間と時間を抑えつつセンサデバイスに固有アドレスを設定することができる。
【0021】
本発明の第8の態様に係るセンサデバイスは、第7の態様に係るセンサデバイスであって、前記予め設定された範囲は、予め設定された閾値以下の範囲または予め設定された閾値以上の範囲であり、前記コントローラは、前記センサが加熱または冷却されたときに前記センサにより検出された温度が前記閾値を超える場合または下回る場合、前記記憶部に予め記憶されている固有アドレスを更新する。
【0022】
この構成によれば、ドライヤーなどによってセンサを加熱するか冷却スプレーなどによって冷却することによって、人為的にセンサにより検出された温度について閾値を超えさせるかまたは閾値を下回らせて、固有アドレスを更新することができる。
【0023】
本発明の第9の態様に係るセンサデバイスは、第1から8のいずれかの態様に係るセンサデバイスであって、前記センサは、電磁式流量センサまたは電磁型ジャイロセンサであり、前記コントローラは、前記センサに磁気をかけられたときに前記センサにより検出された検出値が予め設定された範囲から逸脱する場合、前記記憶部に予め記憶されている固有アドレスを更新する。
【0024】
この構成によれば、磁石などをセンサに近づけることによって、人為的にセンサにより検出された検出値を予め設定された範囲から逸脱させ、固有アドレスを更新することができる。
【0025】
本発明の第10の態様に係るセンサデバイスは、第1から9のいずれかの態様に係るセンサデバイスであって、前記コントローラは、前記センサによる検出値が予め設定された範囲から逸脱する毎に、前記記憶部に予め記憶されている固有アドレスを1増加させる。
【0026】
この構成によれば、容易に固有アドレスを所望の値に変更することができる。
【0027】
本発明の第11の態様に係るセンサデバイスは、第1から10のいずれかの態様に係るセンサデバイスであって、前記センサは、振動センサまたは温度センサであり、流体移送設備に関する物理的な状態量であって前記センサが検出する状態量とは異なる状態量を検出する第2のセンサを更に備える。
【0028】
この構成によれば、この一方のセンサ(振動センサまたは温度センサ)による検出値を予め設定された範囲から逸脱させて、固有アドレスを更新することができるとともに、異なる状態量(例えば、流量、回転角、圧力など)を検出することができる。
【0029】
本発明の第12の態様に係るセンサデバイスは、第1から11のいずれかの態様に係るセンサデバイスであって、制御装置と通信する通信部を更に備え、前記通信部がセンサ種類を要求する通信コマンドを前記制御装置から受信した場合、前記コントローラは前記通信部から前記制御装置へセンサ種類を送信させる。
【0030】
この構成によれば、制御装置は、このセンサ種類に応じて、当該センサによる検出値が異常であるか否かを判定するための異常閾値を設定することができる。
【0031】
本発明の第13の態様に係る制御装置は、センサ種類を要求する通信コマンドを受信した場合にセンサ種類を送信するセンサデバイスと通信するための通信ポートと、前記通信ポートに接続されたコントローラと、を備え、前記コントローラは、センサ種類を要求する通信コマンドを全ての固有アドレスのセンサデバイスに対して送信し、当該通信コマンドに対して応答があった固有アドレスと当該応答に含まれるセンサ種類とを関連付けて記憶部に記憶し、前記応答があった固有アドレスに対して当該応答に含まれるセンサ種類に応じて、前記センサデバイスによる検出値が異常であるか否かを判定するための異常閾値を設定し、前記コントローラは、前記通信ポートが前記センサデバイスから検出値を受信した場合、当該検出値と、当該センサデバイスの固有アドレスに対して設定された異常閾値とを比較し、比較結果に応じて異常を報知するよう制御する。
【0032】
この構成によれば、検出値が異常閾値を超える場合に異常が報知されるので、流体移送設備の管理者は、センサの検出値が異常であることを把握することができる。
【0033】
本発明の第14の態様に係る固有アドレス設定方法は、請求項1から12のいずれか一項に記載のセンサデバイスの固有アドレス設定方法であって、前記センサデバイスの電源がオン状態にある場合、前記センサによる検出値が予め設定された範囲から逸脱するように、加熱、冷却、振動の付加、磁力の付加のいずれかを実行することにより、前記センサデバイスの固有アドレスを更新する工程を含む。
【0034】
この構成によれば、センサによる検出値が予め設定された範囲から逸脱するように、加熱、冷却、振動の付加、磁力の付加のいずれかを実行することにより、センサデバイスの固有アドレスを更新するので、手間と時間を抑えつつセンサデバイスに固有アドレスを設定することができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明の一態様によれば、手動で、センサによる検出値を、予め設定された範囲から逸脱するようにして、固有アドレスを更新することができる。このため、取り付け場所の制限を抑え且つ手間と時間を抑えつつセンサデバイスに固有アドレスを設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】第1の実施形態に係るポンプ設備の概略構成図である。
図2】第1の実施形態に係るセンサデバイスの構成を示すブロック図である。
図3】センサデバイスを手に持って振ったときの振動の時間変化を表すグラフの一例である。
図4】ドライヤー、冷却スプレーまたは磁石等を用いてセンサデバイスを加熱、冷却または磁気印加を行ったときの測定値の時間変化を表すグラフの一例である。
図5】センサ61が振動センサである場合において、センサデバイスS1が故障して新しいセンサデバイスに交換する場合の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6】センサ61が温度センサである場合において、センサデバイスS2が故障して新しいセンサデバイスに交換する場合の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7】第1の実施形態の変形例に係るセンサデバイスの構成を示す図である。
図8】第2の実施形態の実施例1に係るセンサデバイスの構成を示すブロック図である。
図9】第2の実施形態の実施例2に係るセンサデバイスの構成を示すブロック図である。
図10】第2の実施形態の実施例3に係るセンサデバイスの構成を示すブロック図である。
図11】第2の実施形態の実施例4に係るセンサデバイスの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、各実施形態について、図面を参照しながら説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0038】
(第1の実施形態)
本実施形態では流体を移送する設備である流体移送設備の一例として、以下、複数のポンプを有し、ポンプ毎に備えるセンサによって振動、温度、流量を検知するポンプ設備を例にして説明する。
図1は、第1の実施形態に係るポンプ設備の概略構成図である。このポンプ設備は主に戸建て、マンション、オフィスビル、商業施設、又は、学校等の建物(給水対象)に水道水を給水するための設備である。図1に示すように、ポンプ設備10の吸込口は、導入管2を介して水道管(水道本管)1または図示しない受水槽に接続されている。ポンプ設備10の吐出口には給水管107が接続されており、この給水管107は、各建物の給水栓(例えば蛇口)に連通している。ポンプ設備10は、水道管(または受水槽)からの水を増圧し、建物の各給水栓(図示せず)に水を供給する。
【0039】
ポンプ設備10は、ポンプ20と、このポンプ20を駆動する駆動源としてのモータ21と、モータ21を可変速駆動する駆動装置としてのインバータ22と、を備えている。さらに、ポンプ設備10は、ポンプ20の吐出側(下流側)に、逆止弁23と、フロースイッチ24と、圧力センサ26と、圧力タンク28と、を備える。
【0040】
図1に示す例では、ポンプ設備10はキャビネット30を備え、このキャビネット30内にポンプ20aまたは20b、モータ21、逆止弁23、および、フロースイッチ24が2組設けられ、これらは並列に設けられている。なお、1組、または3組以上のポンプ20aまたは20b、モータ21、逆止弁23、およびフロースイッチ24を設けてもよい。複数台のポンプ20を設けることにより、一部のポンプ20が運転不可となった場合には、運転可能な他のポンプ20にて給水を継続し極力断水を避けることができる。
【0041】
逆止弁23は、ポンプ20aまたは20bの吐出口に接続された吐出管(吐出し部)32に設けられており、ポンプ20aまたは20bが停止したときの水の逆流を防止する。逆止弁23の下流側(二次側)には、フロースイッチ24が設けられている。フロースイッチ24は、吐出管32を流れる水の流量が所定の値にまで低下したこと、すなわち過少水量を検出する流量検出器である。
【0042】
吐出管32におけるフロースイッチ24のさらに下流側には、圧力センサ26、及び、圧力タンク28が設けられている。圧力センサ(第1圧力センサ)26は、ポンプ20aまたは20bの吐出側圧力(以降、吐出側圧力とは、圧力センサ26にて測定した圧力値を示す。)を測定するための圧力測定器である。圧力タンク28は、ポンプ20aまたは20bが停止している間の吐出側圧力を保持するための圧力保持器である。
【0043】
ポンプ20aには、ポンプ20aの振動を検出する振動センサであるセンサデバイスS1と、ポンプ20aの温度を検出する温度センサであるセンサデバイスS4が設けられている。更にポンプ20bには、ポンプ20bの振動を検出する振動センサであるセンサデバイスS2と、ポンプ20bの温度を検出する温度センサであるセンサデバイスS3が設けられている。更に導入管2には、導入管2に流れる水の流量を検出する流量センサであるセンサデバイスS5が設けられている。このように、センサデバイスS1~S5はポンプ設備10に設けられている。ここでポンプ設備10は、ポンプ20aまたは20bだけでなく、導入管2、モータ21、インバータ22、逆止弁23、フロースイッチ24、吐出管32または給水管107などのポンプ20aまたは20bに関連する他の設備も含まれる。
【0044】
例えば、センサデバイスS1には固有アドレスとして1が設定され、センサデバイスS2には固有アドレスとして2が設定され、センサデバイスS3には固有アドレスとして3が設定され、センサデバイスS4には固有アドレスとして4が設定され、センサデバイスS5には固有アドレスとして5が設定されている。以下、センサデバイスS1~S5を総称してセンサデバイスSという。
【0045】
ポンプ設備10は、一例としてキャビネット30内に、給水動作を制御する制御装置40を備えている。図1に示すように、制御装置40は、記憶部41と、コントローラ42と、I/O部47と、設定部45と、表示部46と、を備えている。設定部45及び表示部46は、ポンプ設備10の運転パネル44に備えられている。
【0046】
設定部45は、外部操作により、給水を行うのに用いられる各種設定値を設定するのに使用される。設定部45において設定された各種設定値は、記憶部41に記憶される。一例として、ユーザーは、設定部45を介して、停止圧力、始動圧力、PA,PB、及び、その他制御に用いられる情報を入力できるようになっている。制御装置40は、記憶部41に記憶されたPA,PBに基づいて、推定末端圧力一定制御のための目標圧力制御カーブを設定する。目標圧力制御カーブの設定については、公知の方法でなされればよく、複数の目標圧力制御カーブが設定されてもよいし、ポンプ20aまたは20bの運転状況に応じて目標圧力制御カーブが補正されてもよい。目標圧力制御カーブ自体は、本発明の中核をなさないため、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0047】
表示部46は、ユーザーインターフェースとして機能し、記憶部41に格納されている
設定値等の各種データや、現在のポンプ20aまたは20bの運転状況(運転状態)、例えばポンプ20aまたは20bの運転または停止、運転周波数、電流、吸込側圧力、吐出側圧力、給水圧力、および、ポンプ20aまたは20bの制御モード等を表示する。
【0048】
記憶部41としては、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリが使用される。記憶部41には、各種データ、例えばコントローラ42における演算結果のデータ(運転時間、積算値等)、圧力値(吸込側圧力、吐出側圧力)、設定部45を通じて入力されたデータ、及びI/O部47を通じて入力される、またはI/O部47を通じて出力されるデータ等が格納される。
【0049】
通信部48は、表示部80Aを有する端末装置80と通信する。この通信は有線であっても無線であってもよい。端末装置80は、例えば多機能携帯電話(いわゆるスマートフォン)、タブレット端末、ノートパソコンまたはパソコンなどである。
【0050】
I/O部47としては、ポート等が使用される。I/O部47は、圧力センサ26,2
9の信号、及び、フロースイッチ24の信号を取得する回路を有し、取得した信号情報を
コントローラ42に送る。またI/O部50は、センサデバイスS1~S5と通信するための通信ポート471を有し、通信ポート471から数珠つなぎにセンサデバイスS1、S2、S3、S4、S5が接続されている。
【0051】
一例として、制御装置40とセンサデバイスS1~S5はRS485にて通信しており、マスタ・スレーブ方式の通信プロトコル(例えば、ModbusRTU)にて、制御装置40がマスタとなり、センサデバイスS1~S5からポンプの振動状態を読み出すための問い合わせを行っている。
【0052】
コントローラ42は、通信ポート471に接続されている。コントローラ42は、センサ種類を要求する通信コマンドを全ての固有アドレスのセンサデバイスS1~S5に対して送信し、当該通信コマンドに対して応答があった固有アドレスと当該応答に含まれるセンサ種類とを関連付けて記憶部41に記憶し、応答があった固有アドレスに対して当該応答に含まれるセンサ種類に応じて、センサデバイスSによる検出値が異常であるか否かを判定するための異常閾値を設定する。
【0053】
コントローラ42は、通信ポート471がセンサデバイスS1~S5から検出値を受信した場合、当該検出値と、当該センサデバイスの固有アドレスに対して設定された異常閾値とを比較し、比較結果に応じて異常を報知するよう制御する。具体的には例えば、コントローラ42は、端末装置80から異常を報知するよう通信部48を制御する。より詳細には、コントローラ42は例えば、端末装置80の表示部80Aに異常の旨を表示するよう通信部48を制御する。この構成より、例えば検出値が異常閾値を超える場合に異常が報知されるので、ポンプ設備10の管理者は、センサの検出値が異常であることを把握することができる。
【0054】
続いてセンサデバイスSの構成について図2を用いて説明する。図2は、第1の実施形態に係るセンサデバイスの構成を示すブロック図である。図2に示すように、センサデバイスSは、電源部5と制御部6とを備える。
電源部5は、電源51と、補助電源52と、電力線通信手段53とを備える。
【0055】
電源51は、外部から電力を供給され、センサデバイスSが動作する為に必要な電力を作り、コントローラ62及びセンサ61に電力を供給する。補助電源52は、外部からの電力供給が無い場合か、もしくは外部からの電源供給が低下した場合にセンサデバイスSが動作する為に必要な電力を作る。
【0056】
電力線通信手段53は、通信部の一例であり、電力供給された電力線を用いて上位システムの一例である制御装置40と通信を行う。電力線通信手段53は、電力線通信により受信した受信データをコントローラ62へ出力する。また、電力線通信手段53は、コントローラ62から入力された送信データを電力線通信により送信する。
【0057】
制御部6は、センサ61と、センサ61に接続されたコントローラ62と、固有アドレスが記憶されている記憶部63とを備える。本実施形態に係る記憶部63は例えば不揮発性メモリである。
センサ61は、ポンプ設備10に関する物理的な状態量を検出する。センサ61は、例えば、振動センサ、温度センサ、流量センサ、圧力センサ、加速度センサ、衝撃センサなどである。本実施形態では、センサデバイスS1及びS2の場合、センサ61は振動センサであり、センサデバイスS3及びS4の場合、センサ61は温度センサであり、センサデバイスS5の場合、センサ61は流量センサである。
【0058】
本実施形態に係る振動センサとは、振動を何らかの情報に変換して検知出来るセンサだる。例えば、本実施形態に係る振動センサには、一般的な振動センサに加え、加速度センサ、変位センサ、ジャイロセンサ等の動きを検知できるセンサが含まれる。
【0059】
コントローラ62は、センサ61を制御し、センサ61による検出値を演算する。コントローラ62は例えばマイクロコントローラ(いわゆるマイコン)である。
【0060】
センサ61による検出値が予め設定された範囲から逸脱する場合、記憶部63に予め記憶されている固有アドレスを更新する。ここで、予め設定された範囲は、ポンプ設備10(例えば、ポンプ20aまたは20b)が通常動作中において過去にセンサ61またはセンサ61と同種のセンサによって検出された範囲を逸脱する範囲に設定されており、且つセンサ61の動作保証範囲内に収まっている。この構成により、手動で、センサ61による検出値を、予め設定された範囲から逸脱するようにして、固有アドレスを更新することができる。このため、取り付け場所の制限を抑え且つ手間と時間を抑えつつセンサデバイスに固有アドレスを設定することができる。
【0061】
(センサの検出値を利用した固有アドレスの更新方法について)
続いて、センサ61の検出値を利用した固有アドレスの更新方法の詳細について説明する。以下ではセンサ61が振動センサであるものとして説明する。
図3は、センサデバイスを手に持って振ったときの振動の時間変化を表すグラフの一例である。図3におけるグラフのピークP1は、センナデバイスを手に持って振ったときの検出値を表している。
【0062】
コントローラ62は、センサ61に振動が与えられたときにセンサ61により検出された振動が閾値を超える場合、記憶部63に予め記憶されている固有アドレスを更新する。この例では上述した予め設定された範囲は、予め設定された閾値以下の範囲である。閾値は、通常用途の測定範囲とは重複しない範囲にのみ設定可能とする。閾値は例えば、通常使用時のセンサ測定上限値に通常使用時のセンサ測定範囲に対して所定の倍数(例えば、1.5~2.0倍)を乗算した値を加算した値で、且つ動作保証範囲内に収まっている値である。
より具体的には、コントローラ62は、例えば振動センサをセンサ61として有するセンサデバイスを手に持ち、1回上下に振って振動センサが測定する振動変位が閾値を超えた場合、記憶部63に予め記憶されている固有アドレスを1増加させる。
【0063】
このように、コントローラ62は、センサ61による検出値が予め設定された範囲から逸脱する毎に、記憶部63に予め記憶されている固有アドレスを1増加させる。この構成により、容易に固有アドレスを所望の値に変更することができる。
【0064】
図4は、ドライヤー、冷却スプレーまたは磁石等を用いてセンサデバイスを加熱、冷却または磁気印加を行ったときの測定値の時間変化を表すグラフの一例である。図3におけるグラフのピークP2は、ドライヤー、冷却スプレーまたは磁石等を用いてセンサデバイスを加熱、冷却または磁気印加を行ったときの検出値(例えば、温度、流量、回転速度など)を表している。
【0065】
センサ61が温度センサである場合、コントローラ62は例えば、センサ61が加熱または冷却されたときにセンサ61により検出された温度が予め設定された範囲から逸脱する場合、記憶部63に予め記憶されている固有アドレスを更新する。この構成により、ドライヤーなどによってセンサ61を加熱するか冷却スプレーなどによって冷却することによって、人為的にセンサ61により検出された温度が予め設定された範囲から逸脱するようにして、固有アドレスを更新することができる。このため、取り付け場所の制限を抑え且つ手間と時間を抑えつつセンサデバイスに固有アドレスを設定することができる。
【0066】
ここで予め設定された範囲は、予め設定された閾値以下の範囲または予め設定された閾値以上の範囲であり、コントローラ62は、センサ61が加熱または冷却されたときにセンサ61により検出された温度が閾値を超える場合または下回る場合、記憶部63に予め記憶されている固有アドレスを更新する(例えば、1増加させる)。この構成により、ドライヤーなどによってセンサ61を加熱するか冷却スプレーなどによって冷却することによって、人為的にセンサ61により検出された温度について閾値を超えさせるかまたは閾値を下回らせて、固有アドレスを更新することができる。
【0067】
例えば、一般的なポンプ設備は取扱液温度及び周囲温度を0~40℃としている為、通常使用中、温度センサの測定結果は0~40℃となる。よって閾値は、センサ61により検出された温度の上限値から、測定範囲(0~40℃=40)の1.5倍から2倍の値であることと、例えばセンサ61の動作保証温度が80℃以下であることを考慮して、閾値は60℃~80℃の間に設定してもよい。センサ61が流量センサまたはジャイロセンサの場合も同様に、使用環境の定格流量、定格容量から閾値を設定してもよい。
【0068】
センサ61が電磁式流量センサまたは電磁型ジャイロセンサである場合、コントローラ62は例えば、センサ61に磁気をかけられたときにセンサ61により検出された検出値(例えば、電磁式流量センサの場合は流量、電磁型ジャイロセンサの場合は回転量など)が予め設定された範囲から逸脱する場合、記憶部63に予め記憶されている固有アドレスを更新する(例えば、1増加させる)。この構成により、磁石などをセンサ61に近づけることによって、人為的にセンサ61により検出された検出値を予め設定された範囲から逸脱させ、固有アドレスを更新することができる。
【0069】
続いて、センサ61が振動センサである場合において、センサデバイスS1のセンサ61が故障して新しいセンサデバイスに交換する場合の処理の流れについて図5を用いて説明する。図5は、センサ61が振動センサである場合において、センサデバイスS1が故障して新しいセンサデバイスに交換する場合の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0070】
(ステップS101)まず、交換用のセンサデバイスSが制御装置40に未接続の状態にて、交換用のセンサデバイスSに電源投入する。
【0071】
(ステップS102)これにより、交換用のセンサデバイスSは、固有アドレス初期設定モードで起動する。交換用のセンサデバイスSのコントローラ62は通電後、固有アドレスが初期状態の時に通常動作モードから固有アドレス初期設定モードへ遷移する。
【0072】
(ステップS103)交換用のセンサデバイスSを作業者が手にもって振ることによって振動変位が閾値を超えた場合、交換用のセンサデバイスSのコントローラ62は、固有アドレスを更新する。ここで、交換するセンサデバイスの数または必要に応じてステップS103の手順を繰り返し、交換用のセンサデバイスSの固有アドレスを更新してもよい。
【0073】
(ステップS104)コントローラ62によって、更新後の固有アドレスが記憶部63(ここでは不揮発性メモリ)に記憶される。このようにして、交換用のセンサデバイスSのコントローラ62は、記憶部63に記憶されている固有アドレスを更新する。
【0074】
このように、コントローラ62は、電源51がオン状態になった場合において、固有アドレスが初期状態のとき、センサ61による検出値が予め設定された範囲から逸脱する場合、記憶部63に予め記憶されている固有アドレスを更新してもよい。これにより、固有アドレスが初期状態のときだけ、固有アドレスを更新することができるので、通常の使用中に固有アドレスが変更されるのを防ぐことができる。
【0075】
より詳細には、コントローラ62は、電源51がオフ状態からオン状態に遷移した場合において、固有アドレスが初期状態且つ電力線通信手段53が通信未確立状態のとき、センサ61による検出値が予め設定された範囲から逸脱する場合、記憶部63に予め記憶されている固有アドレスを更新してもよい。これにより、固有アドレスが初期状態且つ通信未確立状態のときのときだけ、固有アドレスを更新することができるので、通常の使用中に固有アドレスが変更されるのを防ぐことができる。
【0076】
(ステップS105)次に、作業者は、交換用のセンサデバイスSの電源をオフする。
【0077】
(ステップS106)次に、作業者は、ポンプ20aの電源を落とし、故障したセンサデバイスS1を取り外す。
【0078】
(ステップS107)次に、作業者は、交換用のセンサデバイスSを制御装置40に接続し、交換用のセンサデバイスSの電源をオンする。ここで、コントローラ62は、固有アドレス更新処理で更新した固有アドレスを交換用のセンサデバイスSに反映する。
【0079】
(ステップS108)次に作業者が制御装置40を操作することにより制御装置40はセンサ検索を行う。なお、制御装置40は特定の操作にてセンサ探索モードへ遷移可能である。制御装置40のコントローラ42は例えばセンサ探索モードになった場合、固有アドレス(例えば、No.1~No.256)に対して、センサ種類等の情報を要求する通信コマンドを順次送信する。換言すれば、制御装置40のコントローラ42は、センサ種類を要求する通信コマンドを全ての固有アドレスのセンサデバイスに対して送信する。次に、交換用のセンサデバイスSの電力線通信手段53がセンサ種類を要求する通信コマンドを制御装置40から受信した場合、交換用のセンサデバイスSのコントローラ62は電力線通信手段53から制御装置40へセンサ種類を送信させる。この構成により、制御装置40は、このセンサ種類に応じて、当該センサデバイスSによる検出値が異常であるか否かを判定するための異常閾値を設定することができる。
【0080】
制御装置40のコントローラ42は、当該通信コマンドに対して応答があった固有アドレスと当該応答に含まれるセンサ種類とを関連付けて記憶部41に記憶する。ここで記憶部41には例えば、センサ種類と異常閾値が関連付けられて記憶されている。そして、コントローラ42は、応答があった固有アドレスに対して当該応答に含まれるセンサ種類に対応する異常閾値を設定する。
【0081】
制御装置40は、通常モード中、記憶した固有アドレス全ての情報(例えば、検出値など)を定期的に取得する。そしてコントローラ42は、通信ポート471がセンサデバイスSから検出値を受信した場合、当該検出値と、当該センサデバイスSの固有アドレスに対して設定された異常閾値とを比較し、比較結果に応じて異常を報知するよう制御する。具体的には例えば、コントローラ42は、検出値が異常閾値を超えた場合、異常を報知するよう制御する。
【0082】
交換用のセンサデバイスSは、制御装置からの問い合わせを受信した場合、コントローラ62は、固有アドレス初期設定モードから通常動作モードへ遷移する。このように、固有アドレス初期設定モードでは、センサデバイスSは例えば、制御装置40と正常に通信した場合、固有アドレス初期設定モードから通常動作モードへ復帰する。
【0083】
(ステップS109)次に、交換用のセンサデバイスSをポンプ20aに接続しポンプ20aの電源を投入する。これにより交換が終了する。
【0084】
このようにすることで、ステップS101~S107の間、センサデバイスS2及びその他センサデバイスは正常に通信を行うことができるとともにポンプ20bを停止する必要がない。
【0085】
次に、センサ61が温度センサである場合において、ドライヤーを用いて、設置済みのセンサデバイスS2が故障して新しいセンサデバイスSへ交換する場合の処理の流れについて図6を用いて説明する。図6は、センサ61が温度センサである場合において、センサデバイスS2が故障して新しいセンサデバイスに交換する場合の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0086】
ドライヤーは出力する温風の上限温度が固有アドレス自己更新閾値(60~80℃)を超え、かつ基板及び部品の動作保障温度内(例:100℃未満)で出力できるものを準備する。出力温度の低いドライヤーを使用することで十分に部品を加熱しても温度センサ及び周辺部品の温度はドライヤー出力温度以上には上がらない為、壊れることはないからである。
【0087】
(ステップS201)まず、交換用のセンサデバイスSが制御装置40に未接続の状態にて、作業者は交換用のセンサデバイスSに電源投入する。
【0088】
(ステップS202)次に、交換用のセンサデバイスSは、固有アドレス初期設定モードで起動する。なお、交換用のセンサデバイスSは通電後、固有アドレスが初期状態の時に通常動作モードから固有アドレス初期設定モードへ遷移する。
【0089】
(ステップS203)次に作業者は交換用のセンサデバイスSを触り、素手で長時間触れていられる温度(センサデバイスSの温度が40℃未満)であることを確認し、ドライヤーを用いて交換用のセンサデバイスSを十分に加熱する。これにより、交換用のセンサデバイスSのセンサ61が検出した温度(検出温度ともいう)が閾値を超えた場合、交換用のセンサデバイスSのコントローラ62は固有アドレスを更新する。ここで、交換するセンサデバイスの数または必要に応じてステップS203の手順を繰り返し、交換用のセンサデバイスSの固有アドレスを更新してもよい。
【0090】
(ステップS204)コントローラ62によって、交換用のセンサデバイスSの記憶部(ここでは不揮発性メモリ)63に、更新後の固有アドレスが記憶される。このようにして、交換用のセンサデバイスSのコントローラ62は、記憶部63に記憶されている固有アドレスを更新する。
【0091】
(ステップS205)次に作業者は交換用のセンサデバイスSの電源をオフする。
【0092】
(ステップS206)次に作業者はポンプ20aの電源を落とし、故障したセンサデバイスを取り外す。
【0093】
(ステップS207)次に作業者は交換用のセンサデバイスSを制御装置に接続し、交換用のセンサデバイスSの電源を投入する。ここで、コントローラ62は、固有アドレス更新処理で更新した固有アドレスを交換用のセンサデバイスSに反映する。
【0094】
(ステップS208)次に作業者が制御装置40を操作することによって、制御装置40はセンサ検索を行う。その際に、制御装置40のコントローラ42は、センサ種類を要求する通信コマンドを全ての固有アドレスのセンサデバイスに対して送信する。次に、交換用のセンサデバイスSの電力線通信手段53がセンサ種類を要求する通信コマンドを制御装置40から受信した場合、交換用のセンサデバイスSのコントローラ62は電力線通信手段53から制御装置40へセンサ種類を送信させる。
【0095】
制御装置40のコントローラ42は、当該通信コマンドに対して応答があった固有アドレスと当該応答に含まれるセンサ種類とを関連付けて記憶部41に記憶する。ここで記憶部41には例えば、センサ種類と異常閾値が関連付けられて記憶されている。そして、制御装置40のコントローラ42は、応答があった固有アドレスに対して当該応答に含まれるセンサ種類に対応する異常閾値を設定する。
【0096】
制御装置40は、通常モード中、記憶した固有アドレス全ての情報(例えば、検出値など)を定期的に取得する。そしてコントローラ42は、通信ポート471がセンサデバイスSから検出値を受信した場合、当該検出値と、当該センサデバイスSの固有アドレスに対して設定された異常閾値とを比較し、比較結果に応じて異常を報知するよう制御する。具体的には例えば、コントローラ42は、検出値が異常閾値を超えた場合、異常を報知するよう制御する。
【0097】
交換用のセンサデバイスSのコントローラ62は、制御装置40からの問い合わせを受信した場合、固有アドレス初期設定モードから通常動作モードに遷移する。このように、固有アドレス初期設定モードでは、コントローラ62は、制御装置40と正常に通信した時に、固有アドレス初期設定モードから通常動作モードへ復帰する。
【0098】
(ステップS209)作業者は、交換用のセンサデバイスをポンプ20aに接続しポンプ20aの電源を投入することによって、交換が終了する。
【0099】
このように、ステップS201~S207の間、その他のセンサデバイスは正常に通信を行うことができるとともにポンプ20bを停止する必要はない。
【0100】
このように、制御装置40はセンサ種類等の情報を取得する通信コマンドの応答があった固有アドレスとセンサ種類等の情報を記憶部41の不揮発記憶領域へ記憶する。そして、制御装置40は全ての固有アドレスに対して、通信コマンドを送信した時にセンサ探索モードから通常モードへ復帰する。制御装置40は例えばセンサ探索モードで探索し、正常な応答があった固有アドレスに対してのみ通信を行う。制御装置40は検索結果を運転パネル44にて表示可能である。
【0101】
(固有アドレスの再初期化について)
なお、制御装置40は、例えば、運転パネル44の操作などで、固有アドレスを初期化できる。
【0102】
以上、本実施形態に係るセンサデバイスSは、ポンプ設備10に設けられるセンサデバイスであって、ポンプ設備10に関する物理的な状態量を検出するセンサ61を備える。更にセンサデバイスSは、センサ61に接続されたコントローラ62と、固有アドレスが記憶されている記憶部63と、を備える。コントローラ62は、センサ61による検出値が予め設定された範囲から逸脱する場合、記憶部63に予め記憶されている固有アドレスを更新する。当該予め設定された範囲は、ポンプ設備10が通常動作中において過去に当該センサ61または当該センサ61と同種のセンサによって検出された範囲を逸脱する範囲に設定されており、且つセンサ61の動作保証範囲内に収まっている。
【0103】
この構成により、手動で、センサ61による検出値を、予め設定された範囲から逸脱するようにして、固有アドレスを更新することができる。このため、取り付け場所の制限を抑え且つ手間と時間を抑えつつセンサデバイスに固有アドレスを設定することができる。
【0104】
また本実施形態に係る制御装置は、センサ種類を要求する通信コマンドを受信した場合にセンサ種類を送信するセンサデバイスSと通信するための通信ポート471と、通信ポート471に接続されたコントローラ42と、を備える。コントローラ42は、センサ種類を要求する通信コマンドを全ての固有アドレスのセンサデバイスに対して送信し、当該通信コマンドに対して応答があった固有アドレスと当該応答に含まれるセンサ種類とを関連付けて記憶部41に記憶し、応答があった固有アドレスに対して当該応答に含まれるセンサ種類に応じて、前記センサデバイスによる検出値が異常であるか否かを判定するための異常閾値を設定する。そしてコントローラ42は、通信ポート471がセンサデバイスSから検出値を受信した場合、当該検出値と、当該センサデバイスSの固有アドレスに対して設定された異常閾値とを比較し、比較結果に応じて異常を報知するよう制御する。
【0105】
この構成により、検出値が異常閾値を超える場合に異常が報知されるので、ポンプ設備10の管理者は、センサの検出値が異常であることを把握することができる。
【0106】
また本実施形態に係るセンサデバイスの固有アドレス設定方法は、センサデバイスの電源がオン状態にある場合、センサによる検出値が予め設定された範囲から逸脱するように、加熱、冷却、振動の付加、磁力の付加のいずれかを実行することにより、センサデバイスの固有アドレスを更新する工程を含む。
【0107】
この構成により、センサによる検出値が予め設定された範囲から逸脱するように、加熱、冷却、振動の付加、磁力の付加のいずれかを実行することにより、センサデバイスの固有アドレスを更新するので、手間と時間を抑えつつセンサデバイスに固有アドレスを設定することができる。
【0108】
本実施形態では、固有アドレスが初期状態のとき、コントローラ62が固有アドレスを更新可能としたが、これに限ったものではない。コントローラ62は、電源51の電圧の低下または通信不良状態の場合において、センサ61による検出値が予め設定された範囲から逸脱する場合、記憶部63に予め記憶されている固有アドレスを更新してもよい。
【0109】
この構成により、電源51の電圧の低下または通信不良状態の場合において、センサデバイスの固有アドレスを更新することができる。
【0110】
ここで、通信不良状態とは例えば、電力線通信手段53などの通信部が予め設定された回数の通信失敗を検出した状態である。この構成により、通信が予め設定された回数、失敗した場合、センサデバイスの固有アドレスを更新することができる。
【0111】
(変形例)
第1の実施形態では、電力線通信手段53を通信部として備えたが、これに限ったものではない。図7は、第1の実施形態の変形例に係るセンサデバイスの構成を示す図である。図7に示すように、第1の実施形態の変形例に係るセンサデバイスSbは、図2のセンサデバイスSと比べて、電力線通信手段53が専用線通信手段64に変更されたものである。
【0112】
図7に示すように専用線通信手段64は、制御部6bに設けられており、RS-485やRS-232C等の専用線を用いて上位システムの一例である制御装置40と通信する。
【0113】
なお、センサデバイスの通信部は例えば、専用線通信手段、または電力線通信手段のどちらか一方だけでなく、両方の通信手段を備えてもよい。
【0114】
(第2の実施形態)
続いて第2の実施形態について説明する。第1の実施形態に係るセンサデバイスはセンサを一つ備えたが、第2の実施形態に係るセンサデバイスを複数のセンサを備える点が異なる。以下、第2の実施形態に係るセンサデバイスの四つの実施例について説明する。
【0115】
(実施例1)
図8は、第2の実施形態の実施例1に係るセンサデバイスの構成を示すブロック図である。図8に示すように、実施例1に係るセンサデバイスScは、図2のセンサデバイスSと比べて、制御部6cに振動センサ65と流量センサ66が設けられている点が異なっている。
【0116】
(実施例2)
図9は、第2の実施形態の実施例2に係るセンサデバイスの構成を示すブロック図である。図9に示すように、実施例1に係るセンサデバイスSdは、図2のセンサデバイスSと比べて、制御部6dに振動センサ65と回転角センサ67が設けられている点が異なっている。
【0117】
(実施例3)
図10は、第2の実施形態の実施例3に係るセンサデバイスの構成を示すブロック図である。図10に示すように、実施例1に係るセンサデバイスSeは、図2のセンサデバイスSと比べて、制御部6eに振動センサ65と圧力センサ68が設けられている点が異なっている。
【0118】
(実施例4)
図11は、第2の実施形態の実施例4に係るセンサデバイスの構成を示すブロック図である。図11に示すように、実施例1に係るセンサデバイスSfは、図7のセンサデバイスSbと比べて、制御部6fに振動センサ65と流量センサ69が設けられている点が異なっている。
【0119】
なお、実施例1~4のセンサデバイスにおいて、振動センサの代わりに、温度センサを用いてもよい。このように、第2の実施形態に係るセンサデバイスは、ポンプ設備10に関する物理的な状態量であってもう一方のセンサが検出する状態量とは異なる状態量を検出する第2のセンサ(例えば、流量センサ、回転角センサ、圧力センサなど)を更に備える。一方のセンサは、振動センサまたは温度センサである。これにより、この一方のセンサ(振動センサまたは温度センサ)による検出値を予め設定された範囲から逸脱させて、固有アドレスを更新することができるとともに、異なる状態量(例えば、流量、回転角、圧力など)を検出することができる。
【0120】
以上、本発明は上記のポンプ設備にかかる実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。また、ポンプ設備以外の流体移送設備にも適用可能である。
【符号の説明】
【0121】
10 ポンプ設備
107 給水管
2 導入管
20、20a、20b ポンプ
21 モータ
22 インバータ
23 逆止弁
24 フロースイッチ
26 圧力センサ
28 圧力タンク
30 キャビネット
32 吐出管
40 制御装置
41 記憶部
42 コントローラ
44 運転パネル
45 設定部
46 表示部
47 I/O部
471 通信ポート
48 通信部
5 電源部
51 電源
52 補助電源
53 電力線通信手段
6、6b、6c、6d、6e、6f 制御部
61 センサ
62 コントローラ
63 記憶部
64 専用線通信手段
65 振動センサ
66 流量センサ
67 回転角センサ
68 圧力センサ
69 流量センサ
80 端末装置
80A 表示部
S、S1、S2、S3、S4、S5、Sb、Sc、Sd、Se、Sf センサデバイス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11