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特許7057412着色組成物、顔料分散液、顔料分散液の製造方法、硬化膜、カラーフィルタ、固体撮像素子および画像表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】着色組成物、顔料分散液、顔料分散液の製造方法、硬化膜、カラーフィルタ、固体撮像素子および画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20220412BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20220412BHJP
   G03F 7/027 20060101ALI20220412BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
G03F7/004 505
G02B5/20 101
G03F7/004 501
G03F7/027 502
G02F1/1335 505
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2020219125
(22)【出願日】2020-12-28
(62)【分割の表示】P 2019507420の分割
【原出願日】2018-02-07
(65)【公開番号】P2021060616
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2021-01-05
(31)【優先権主張番号】P 2017058587
(32)【優先日】2017-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】奈良 裕樹
【審査官】川口 真隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-185830(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004
G02B 5/20
G03F 7/027
G02F 1/1335
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
緑色顔料、黄色顔料、光重合開始剤、重合性化合物および溶剤を含み、
前記緑色顔料は、カラーインデックスピグメントグリーン36およびカラーインデックスピグメントグリーン7を少なくとも含み、
前記黄色顔料は、カラーインデックスピグメントイエロー139およびカラーインデックスピグメントイエロー150を少なくとも含み、
カラーインデックスピグメントグリーン36とカラーインデックスピグメントグリーン7の質量比率が、カラーインデックスピグメントグリーン36:カラーインデックスピグメントグリーン7=25:75~50:50であり、
カラーインデックスピグメントイエロー139とカラーインデックスピグメントイエロー150との質量比率が、カラーインデックスピグメントイエロー139:カラーインデックスピグメントイエロー150=1:99~10:90であり、
前記緑色顔料は、カラーインデックスピグメントグリーン36とカラーインデックスピグメントグリーン7とを合計で90質量%以上含有し、
カラーフィルタにおける緑色画素の形成用の着色組成物である、着色組成物。
【請求項2】
カラーインデックスピグメントグリーン36とカラーインデックスピグメントグリーン7との合計100質量部に対して、カラーインデックスピグメントイエロー139を0.05~20質量部、および、カラーインデックスピグメントイエロー150を49.95~99.9質量部含む、請求項1に記載の着色組成物。
【請求項3】
緑色顔料、黄色顔料、光重合開始剤、重合性化合物および溶剤を含み、
前記緑色顔料は、カラーインデックスピグメントグリーン36およびカラーインデックスピグメントグリーン7を少なくとも含み、
前記黄色顔料は、カラーインデックスピグメントイエロー139およびカラーインデックスピグメントイエロー150を少なくとも含み、
カラーインデックスピグメントグリーン36とカラーインデックスピグメントグリーン7の質量比率が、カラーインデックスピグメントグリーン36:カラーインデックスピグメントグリーン7=25:75~50:50であり、
カラーインデックスピグメントグリーン36とカラーインデックスピグメントグリーン7との合計100質量部に対して、カラーインデックスピグメントイエロー139を1.0~5質量部含み、
前記緑色顔料は、カラーインデックスピグメントグリーン36とカラーインデックスピグメントグリーン7とを合計で90質量%以上含有する、着色組成物。
【請求項4】
カラーインデックスピグメントイエロー139とカラーインデックスピグメントイエロー150との質量比率が、カラーインデックスピグメントイエロー139:カラーインデックスピグメントイエロー150=0.1:99.9~20:80である、請求項3に記載の着色組成物。
【請求項5】
前記緑色顔料は、カラーインデックスピグメントグリーン36およびカラーインデックスピグメントグリーン7以外の緑色顔料の含有量が1質量%以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項6】
カラーインデックスピグメントグリーン36とカラーインデックスピグメントグリーン7の質量比率が、カラーインデックスピグメントグリーン36:カラーインデックスピグメントグリーン7=30:70~45:55である、請求項1~5のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項7】
前記緑色顔料100質量部に対して、前記黄色顔料を50~100質量部含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項8】
カラーインデックスピグメントグリーン36の100質量部に対して、カラーインデックスピグメントイエロー139を5.7~8.2質量部含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項9】
カラーインデックスピグメントグリーン36とカラーインデックスピグメントグリーン7との合計100質量部に対して、カラーインデックスピグメントイエロー139とカラーインデックスピグメントイエロー150とを合計で50~100質量部含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項10】
カラーインデックスピグメントグリーン36の100質量部に対して、カラーインデックスピグメントイエロー139を0.1~80質量部、および、カラーインデックスピグメントイエロー150を99.9~399.6質量部含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項11】
カラーインデックスピグメントグリーン36の100質量部に対して、カラーインデックスピグメントイエロー150を99.9~200質量部含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項12】
カラーインデックスピグメントグリーン36の100質量部に対して、カラーインデックスピグメントイエロー150を132~158質量部含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項13】
前記重合性化合物は、アルキレンオキシ基を有する重合性化合物を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項14】
さらに、樹脂を含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項15】
前記樹脂は、主鎖に窒素原子を有する繰り返し単位を含む樹脂を含む、請求項14に記載の着色組成物。
【請求項16】
前記樹脂は、重合性基を有するアルカリ可溶性樹脂を含む、請求項14に記載の着色組成物。
【請求項17】
更に、紫外線吸収剤を含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項18】
波長500~550nmの光に対する吸光度の最小値A min と波長450nmの光に対する吸光度A 450 との比(A min /A 450 )が、0.02~0.09であり、波長500~550nmの光に対する吸光度の最小値A min と波長600nmの光に対する吸光度A 600 との比(A min /A 600 )が、0.04~0.17である、請求項1~17のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項19】
緑色顔料、黄色顔料および溶剤を含み、
前記緑色顔料は、カラーインデックスピグメントグリーン36およびカラーインデックスピグメントグリーン7を少なくとも含み、
前記黄色顔料は、カラーインデックスピグメントイエロー139およびカラーインデックスピグメントイエロー150を少なくとも含み、
カラーインデックスピグメントグリーン36とカラーインデックスピグメントグリーン7の質量比率が、カラーインデックスピグメントグリーン36:カラーインデックスピグメントグリーン7=25:75~50:50であり、
カラーインデックスピグメントイエロー139とカラーインデックスピグメントイエロー150との質量比率が、カラーインデックスピグメントイエロー139:カラーインデックスピグメントイエロー150=1:99~10:90であり、
前記緑色顔料は、カラーインデックスピグメントグリーン36とカラーインデックスピグメントグリーン7とを合計で90質量%以上含有し、請求項1~18のいずれか1項に記載の着色組成物の原料である顔料分散液。
【請求項20】
緑色顔料、黄色顔料および溶剤を含み、
前記緑色顔料は、カラーインデックスピグメントグリーン36およびカラーインデックスピグメントグリーン7を少なくとも含み、
前記黄色顔料は、カラーインデックスピグメントイエロー139およびカラーインデックスピグメントイエロー150を少なくとも含み、
カラーインデックスピグメントグリーン36とカラーインデックスピグメントグリーン7の質量比率が、カラーインデックスピグメントグリーン36:カラーインデックスピグメントグリーン7=25:75~50:50であり、
カラーインデックスピグメントグリーン36とカラーインデックスピグメントグリーン7との合計100質量部に対して、カラーインデックスピグメントイエロー139を1.0~5質量部含み、
前記緑色顔料は、カラーインデックスピグメントグリーン36とカラーインデックスピグメントグリーン7とを合計で90質量%以上含有し、請求項1~18のいずれか1項に記載の着色組成物の原料である、顔料分散液。
【請求項21】
前記緑色顔料は、カラーインデックスピグメントグリーン36およびカラーインデックスピグメントグリーン7以外の緑色顔料の含有量が1質量%以下である、請求項19又は20に記載の顔料分散液。
【請求項22】
カラーインデックスピグメントグリーン36とカラーインデックスピグメントグリーン7との合計100質量部に対して、カラーインデックスピグメントイエロー139とカラーインデックスピグメントイエロー150とを合計で50~100質量部含む、請求項19~21のいずれか1項に記載の顔料分散液。
【請求項23】
カラーインデックスピグメントグリーン36の100質量部に対して、カラーインデックスピグメントイエロー139を5.7~8.2質量部含む、請求項19~22のいずれか1項に記載の顔料分散液。
【請求項24】
カラーインデックスピグメントグリーン36の100質量部に対して、カラーインデックスピグメントイエロー150を99.9~200質量部含む、請求項19~23のいずれか1項に記載の顔料分散液。
【請求項25】
カラーインデックスピグメントグリーン36の100質量部に対して、カラーインデックスピグメントイエロー150を132~158質量部含む、請求項19~24のいずれか1項に記載の顔料分散液。
【請求項26】
請求項19~25のいずれか1項に記載の顔料分散液の製造方法であって、
カラーインデックスピグメントグリーン36とカラーインデックスピグメントグリーン7とカラーインデックスピグメントイエロー139とカラーインデックスピグメントイエロー150とを溶剤の存在下で共分散する工程を含む、顔料分散液の製造方法。
【請求項27】
請求項1~18のいずれか1項に記載の着色組成物から得られる硬化膜。
【請求項28】
請求項27に記載の硬化膜を含むカラーフィルタ。
【請求項29】
請求項28に記載のカラーフィルタを有する固体撮像素子。
【請求項30】
請求項28に記載のカラーフィルタを有する画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色組成物、顔料分散液、顔料分散液の製造方法、硬化膜、カラーフィルタ、固体撮像素子および画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラ、カメラ付き携帯電話等の普及から、電荷結合素子(CCD)イメージセンサなどの固体撮像素子の需要が大きく伸びている。ディスプレイや光学素子のキーデバイスとしてカラーフィルタが使用されている。
【0003】
カラーフィルタにおいては、複数の顔料を併用して分光を調整する試みが行われている。例えば、特許文献1~5には、緑色顔料と黄色顔料とを含む着色組成物を用いて、カラーフィルタにおける緑色画素を形成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-185830号公報
【文献】特開2015-102612号公報
【文献】特開2015-096913号公報
【文献】特開2015-052779号公報
【文献】特開2014-041341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カラーフィルタにおいて、色分離性が高いこと、矩形性が高いことが望まれている。これらの特性について、近年ではより高いレベルで求められている。
【0006】
よって、本発明の目的は、色分離性に優れ、矩形性の高いパターンを形成できる着色組成物を提供することにある。また、本発明の目的は、顔料分散液、顔料分散液の製造方法、硬化膜、カラーフィルタ、固体撮像素子および画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者の検討によれば、特定の緑色顔料と黄色顔料とを用いることにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は以下を提供する。
<1> 緑色顔料、黄色顔料、光重合開始剤、重合性化合物および溶剤を含み、
緑色顔料は、カラーインデックスピグメントグリーン36およびカラーインデックスピグメントグリーン7を少なくとも含み、
黄色顔料は、カラーインデックスピグメントイエロー139およびカラーインデックスピグメントイエロー150を少なくとも含み、
カラーインデックスピグメントグリーン36とカラーインデックスピグメントグリーン7の質量比率が、カラーインデックスピグメントグリーン36:カラーインデックスピグメントグリーン7=25:75~50:50である、着色組成物。
<2> カラーインデックスピグメントグリーン36とカラーインデックスピグメントグリーン7の質量比率が、カラーインデックスピグメントグリーン36:カラーインデックスピグメントグリーン7=30:70~45:55である、<1>に記載の着色組成物。
<3> 緑色顔料100質量部に対して、黄色顔料を50~100質量部含む、<1>または<2>に記載の着色組成物。
<4> カラーインデックスピグメントイエロー139とカラーインデックスピグメントイエロー150との質量比率が、カラーインデックスピグメントイエロー139:カラーインデックスピグメントイエロー150=0.1:99.9~20:80である、<1>~<3>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<5> カラーインデックスピグメントグリーン36とカラーインデックスピグメントグリーン7との合計100質量部に対して、カラーインデックスピグメントイエロー139を0.05~20質量部、および、カラーインデックスピグメントイエロー150を49.95~99.9質量部含む、<1>~<4>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<6> カラーインデックスピグメントグリーン36とカラーインデックスピグメントグリーン7との合計100質量部に対して、カラーインデックスピグメントイエロー139とカラーインデックスピグメントイエロー150とを合計で50~100質量部含む、<1>~<5>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<7> カラーインデックスピグメントグリーン36の100質量部に対して、カラーインデックスピグメントイエロー139を0.1~80質量部、および、カラーインデックスピグメントイエロー150を99.9~399.6質量部含む、<1>~<6>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<8> 重合性化合物は、アルキレンオキシ基を有する重合性化合物を含む、<1>~<7>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<9> さらに、樹脂を含む、<1>~<8>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<10> 樹脂は、主鎖に窒素原子を有する繰り返し単位を含む樹脂を含む、<9>に記載の着色組成物。
<11> 樹脂は、重合性基を有するアルカリ可溶性樹脂を含む、<9>に記載の着色組成物。
<12> 更に、紫外線吸収剤を含む、<1>~<11>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<13> カラーフィルタにおける緑色画素の形成用の着色組成物である、<1>~<12>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<14> 緑色顔料、黄色顔料および溶剤を含み、緑色顔料は、カラーインデックスピグメントグリーン36およびカラーインデックスピグメントグリーン7を少なくとも含み、黄色顔料は、カラーインデックスピグメントイエロー139およびカラーインデックスピグメントイエロー150を少なくとも含み、カラーインデックスピグメントグリーン36とカラーインデックスピグメントグリーン7の質量比率が、カラーインデックスピグメントグリーン36:カラーインデックスピグメントグリーン7=25:75~50:50である、顔料分散液。
<15> <14>に記載の顔料分散液の製造方法であって、
カラーインデックスピグメントグリーン36とカラーインデックスピグメントグリーン7とカラーインデックスピグメントイエロー139とカラーインデックスピグメントイエロー150とを溶剤の存在下で共分散する工程を含む、顔料分散液の製造方法。
<16> <1>~<13>のいずれか1つに記載の着色組成物から得られる硬化膜。
<17> <16>に記載の硬化膜を含むカラーフィルタ。
<18> <17>に記載のカラーフィルタを有する固体撮像素子。
<19> <17>に記載のカラーフィルタを有する画像表示装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、色分離性に優れ、矩形性の高いパターンを形成できる着色組成物を提供することができる。また、顔料分散液、顔料分散液の製造方法、硬化膜、カラーフィルタ、固体撮像素子および画像表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さない基と共に置換基を有する基を包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。
本明細書において「露光」とは、特に断らない限り、光を用いた露光を意味するのみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線を用いた描画も露光に含まれる。また、露光に用いられる光としては、一般的に、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等の活性光線または放射線が挙げられる。
本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、全固形分とは、組成物の全成分から溶剤を除いた成分の合計量をいう。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アリル」は、アリルおよびメタリルの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルおよびメタクリロイルの双方、または、いずれかを表す。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程を意味するだけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書において、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定したポリスチレン換算値として定義される。
【0010】
<着色組成物>
本発明の着色組成物は、緑色顔料、黄色顔料、光重合開始剤、重合性化合物および溶剤を含み、
緑色顔料は、カラーインデックスピグメントグリーン36およびカラーインデックスピグメントグリーン7を少なくとも含み、
黄色顔料は、カラーインデックスピグメントイエロー139およびカラーインデックスピグメントイエロー150を少なくとも含み、
カラーインデックスピグメントグリーン36とカラーインデックスピグメントグリーン7の質量比率が、カラーインデックスピグメントグリーン36:カラーインデックスピグメントグリーン7=25:75~50:50であることを特徴とする。
【0011】
本発明の着色組成物は、上述した所定の緑色顔料と黄色顔料とを含み、かつ、カラーインデックスピグメントグリーン36とカラーインデックスピグメントグリーン7の質量比率が、上述した範囲であることにより、赤色や青色との色分離性に優れた分光特性を有する緑色の画素に適した硬化膜を形成することができる。特に、波長500~550nmの範囲の光の透過率が高く、波長400~470nmの範囲の光および波長600~700nmの範囲の光に対する遮蔽性が高い硬化膜を形成できる。更には、本発明の着色組成物により矩形性の高いパターンを形成することができる。本発明の着色組成物により矩形性の高いパターンを形成できる理由としては、上述した所定の緑色顔料と黄色顔料とを併用し、所定の緑色顔料の質量比率を上述した範囲とすることにより、着色組成物におけるi線などの露光に用いられる光の透過性が適度に調整されたためであると推測される。
【0012】
本発明の着色組成物は、波長500~550nmの光に対する吸光度の最小値Aminと波長450nmの光に対する吸光度A450との比(Amin/A450)が、0.02~0.09であることが好ましく、0.03~0.08であることがより好ましく、0.04~0.07であることが更に好ましい。また、波長500~550nmの光に対する吸光度の最小値Aminと波長600nmの光に対する吸光度A600との比(Amin/A600)が、0.04~0.17であることが好ましく、0.06~0.15であることがより好ましく、0.08~0.13であることが更に好ましい。
本発明の着色組成物は、乾燥後の膜厚が0.8μm、1μm、2μm、3μm、4μmまたは5μmの膜を製膜した際に、膜の厚み方向における波長400~700nm範囲の光に対する透過スペクトルにおいて、波長500~550nmの範囲に透過率のピーク値を有し、かつ、透過率がピーク値の50%になるピーク値の波長よりも長波側の波長λ1とピーク値の波長よりも短波側の波長λ2との差(λ1-λ2)が90~112nmであることが好ましく、93~109nmであることがより好ましく、95~107nmであることが更に好ましい。
また、本発明の着色組成物は、乾燥後の膜厚が0.8μm、1μm、2μm、3μm、4μmまたは5μmの膜を製膜した際に、膜の厚み方向における波長400~700nmの光に対する透過率の最大値が80%以上であることが好ましく、83%以上であることがより好ましく、85%以上であることが更に好ましい。また、波長475~585nmの光に対する平均透過率が60%以上であることが好ましく、65%以上であることがより好ましく、67%以上であることが更に好ましい。また、波長450nmの光に対する透過率が20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましく、13%以下であることが更に好ましい。また、波長600nmの光に対する透過率が40%以下であることが好ましく、35%以下であることがより好ましく、33%以下であることが更に好ましい。
【0013】
本発明の着色組成物は、カラーフィルタにおける緑色画素の形成用として好ましく用いることができる。以下、本発明の着色組成物に用いられる各成分について説明する。
【0014】
<<緑色顔料および黄色顔料>>
本発明の着色組成物は、カラーインデックスピグメントグリーン36およびカラーインデックスピグメントグリーン7を少なくとも含む緑色顔料と、カラーインデックスピグメントイエロー139およびカラーインデックスピグメントイエロー150を少なくとも含む黄色顔料と、を含む。
【0015】
本発明の着色組成物において、カラーインデックスピグメントグリーン36とカラーインデックスピグメントグリーン7の質量比率は、カラーインデックスピグメントグリーン36:カラーインデックスピグメントグリーン7=25:75~50:50であり、30:70~45:55であることが好ましく、35:65~40:60であることがより好ましい。両者の質量比が上記範囲であれば、赤色や青色との色分離性に優れた分光特性を有する緑色の画素に適した硬化膜を形成することができる。
【0016】
本発明の着色組成物において、カラーインデックスピグメントイエロー139とカラーインデックスピグメントイエロー150との質量比率は、カラーインデックスピグメントイエロー139:カラーインデックスピグメントイエロー150=0.1:99.9~20:80であることが好ましく、1:99~15:85であることがより好ましく、3:97~10:90であることが更に好ましい。
【0017】
本発明の着色組成物は、カラーインデックスピグメントグリーン36とカラーインデックスピグメントグリーン7との合計100質量部に対して、カラーインデックスピグメントイエロー139を0.05~20質量部含むことが好ましい。上限は、15質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましく、5質量部以下であることが更に好ましい。下限は、1.0質量部以上であることが好ましく、1.5質量部以上であることがより好ましく、2.0質量部以上であることが更に好ましい。
【0018】
本発明の着色組成物は、カラーインデックスピグメントグリーン36の100質量部に対して、カラーインデックスピグメントイエロー139を0.1~80質量部含むことが好ましい。上限は、50質量部以下であることが好ましく、40質量部以下であることがより好ましく、30質量部以下であることが更に好ましい。下限は、0.3質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましく、3質量部以上であることが更に好ましい。
【0019】
本発明の着色組成物は、カラーインデックスピグメントグリーン36とカラーインデックスピグメントグリーン7との合計100質量部に対して、カラーインデックスピグメントイエロー150を49.95~99.9質量部含むことが好ましい。上限は、95質量部以下であることが好ましく、90質量部以下であることがより好ましく、85質量部以下であることが更に好ましい。下限は、50質量部以上であることが好ましく、51質量部以上であることがより好ましい。
【0020】
本発明の着色組成物は、カラーインデックスピグメントグリーン36の100質量部に対して、カラーインデックスピグメントイエロー150を99.9~399.6質量部含むことが好ましい。上限は、370質量部以下であることが好ましく、300質量部以下であることがより好ましく、200質量部以下であることが更に好ましい。下限は、103質量部以上であることが好ましく、110質量部以上であることがより好ましく、120質量部以上であることが更に好ましい。
【0021】
本発明の着色組成物は、カラーインデックスピグメントグリーン36とカラーインデックスピグメントグリーン7との合計100質量部に対して、カラーインデックスピグメントイエロー139とカラーインデックスピグメントイエロー150とを合計で50~100質量部含むことが好ましい。上限は、95質量部以下であることが好ましく、90質量部以下であることがより好ましく、85質量部以下であることが更に好ましい。下限は、53質量部以上であることが好ましい。
【0022】
本発明の着色組成物は、緑色顔料として、カラーインデックスピグメントグリーン36およびカラーインデックスピグメントグリーン7以外の緑色顔料(以下、他の緑色顔料ともいう)を含有してもよい。他の緑色顔料としては、カラーインデックスピグメントグリーン10,37,58,59等が挙げられる。また、他の緑色顔料として、1分子中のハロゲン原子数が平均10~14個であり、臭素原子が平均8~12個であり、塩素原子が平均2~5個であるハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料を更に含有していてもよい。このようなハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の具体例としては、国際公開WO2015/118720号公報に記載の化合物が挙げられる。
【0023】
本発明の着色組成物に用いられる緑色顔料は、カラーインデックスピグメントグリーン36とカラーインデックスピグメントグリーン7とを合計で50質量%以上含有することが好ましく、80質量%以上含有することがより好ましく、90質量%以上含有することが更に好ましい。また、緑色顔料は、カラーインデックスピグメントグリーン36およびカラーインデックスピグメントグリーン7以外の緑色顔料(他の緑色顔料)を実質的に含有しないことが好ましい。他の緑色顔料を実質的に含有しない場合とは、他の緑色顔料の含有量が1質量%以下であることを意味し、0.5質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましく、他の緑色顔料を含有しないことが更に好ましい。
【0024】
本発明の着色組成物は、黄色顔料として、カラーインデックスピグメントイエロー139およびカラーインデックスピグメントイエロー150以外の黄色顔料(以下、他の黄色顔料ともいう)を含有してもよい。他の黄色顔料としては、カラーインデックスピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,10,11,12,13,14,15,16,17,18,20,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,86,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,125,126,127,128,129,137,138,147,148,151,152,153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,193,194,199,213,214等が挙げられる。
【0025】
本発明の着色組成物に用いられる黄色顔料は、カラーインデックスピグメントイエロー139とカラーインデックスピグメントイエロー150とを合計で50質量%以上含有することが好ましく、80質量%以上含有することがより好ましく、90質量%以上含有することが更に好ましい。また、黄色顔料は、カラーインデックスピグメントイエロー139およびカラーインデックスピグメントイエロー150以外の黄色顔料(他の黄色顔料)を実質的に含有しないことが好ましい。他の黄色顔料を実質的に含有しない場合とは、他の黄色顔料の含有量が1質量%以下であることを意味し、0.5質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましく、他の黄色顔料を含有しないことが更に好ましい。
【0026】
本発明の着色組成物に用いられる緑色顔料および黄色顔料の平均一次粒子径は、1μm以下が好ましく、500nm以下がより好ましく、200nm以下がさらに好ましく、100nm以下がより一層好ましく、50nm以下が特に好ましい。下限は、特に限定されないが、ハンドリングの観点から10nm以上であることが好ましい。粒子の単分散性を表す指標として、本発明においては、特に断りのない限り、体積平均粒径(Mv)と数平均粒径(Mn)の比(Mv/Mn)を用いる。顔料微粒子(一次粒子)の単分散性、つまりMv/Mnは、1.0~2.0であることが好ましく、1.0~1.8であることがより好ましく、1.0~1.5であることが特に好ましい。なお、本発明において顔料の平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡により観察した画像から、円相当直径を求め、その500個の平均値とする。
【0027】
顔料の微細化処理方法としては従来公知の方法を用いることができる。例えば、ブレイクダウン法やビルドアップ法などが挙げられる。前者(ブレイクダウン法)については、ビーズミル法や、ソルトミリング法などが挙げられる。例えば、日本画像学会誌,第45巻,第5号(2006)12-21頁の「機械的解砕」の項に記載された説明を参照することができる。また、ソルトミリング法については、例えば特開2015-194521号公報、特開2012-046629号公報の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。後者(ビルドアップ法)については再沈法などとも呼ばれ、例えば、特開2011-026452号公報、特開2011-012214号公報、特開2011-001501号公報、特開2010-235895号公報、特開2010-2091号公報、特開2010-209160号公報などを参照することができ、これらの内容は本明細書にくみこまれる。
【0028】
本発明の着色組成物は、緑色顔料100質量部に対して、黄色顔料を50~100質量部含むことが好ましい。上限は、95質量部以下であることが好ましく、93質量部以下であることがより好ましく、91質量部以下であることが更に好ましい。下限は、51質量部以上であることが好ましく、52質量部以上であることがより好ましく、53質量部以上であることが更に好ましい。この態様によれば、赤色や青色との色分離性に優れた分光特性を有する緑色の画素に適した硬化膜を形成し易い。更には、より矩形性の高いパターンを形成し易い。
【0029】
本発明の着色組成物は、着色組成物の全固形分に対して、緑色顔料と黄色顔料とを合計で35~50質量%含有することが好ましい。上限は、48質量%以下であることが好ましく、46質量%以下であることがより好ましく、44質量%以下であることが更に好ましい。下限は、37質量%以上であることが好ましく、39質量%以上であることがより好ましく、41質量%以上であることが更に好ましい。
【0030】
本発明の着色組成物は、着色組成物の全固形分に対して、カラーインデックスピグメントグリーン36とカラーインデックスピグメントグリーン7とカラーインデックスピグメントイエロー139とカラーインデックスピグメントイエロー150とを合計で35~50質量%含有することが好ましい。上限は、48質量%以下であることが好ましく、46質量%以下であることがより好ましく、44質量%以下であることが更に好ましい。下限は、37質量%以上であることが好ましく、39質量%以上であることがより好ましく、41質量%以上であることが更に好ましい。この態様によれば、赤色や青色との色分離性に優れた分光特性を有する緑色の画素に適した硬化膜を形成し易い。特に、波長500~550nmの範囲の光の透過率が高く、波長400~470nmの範囲の光および波長600~700nmの範囲の光に対する遮蔽性が高い硬化膜を形成し易い。更には、より矩形性の高いパターンを形成し易い。
【0031】
本発明の着色組成物において、カラーインデックスピグメントグリーン36とカラーインデックスピグメントグリーン7とカラーインデックスピグメントイエロー139とカラーインデックスピグメントイエロー150との合計量は、着色組成物に含まれる着色剤全量に対して85質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましい。ここで、着色剤全量とは、緑色顔料および黄色顔料以外の着色剤(後述する他の着色剤)を更に含む場合は、緑色顔料、黄色顔料および後述する他の着色剤の合計量のことを言う。
【0032】
<<他の着色剤>>
本発明の着色組成物は、緑色顔料および黄色顔料以外の着色剤(以下、他の着色剤ともいう)をさらに含有していてもよい。他の着色剤は、染料および顔料のいずれでもよく、両者を併用してもよい。顔料としては、従来公知の種々の無機顔料又は有機顔料を挙げることができる。また、無機顔料であれ有機顔料であれ、高透過率であることが好ましいことを考慮すると、他の着色剤としての顔料の平均一次粒子径は、小さいことが好ましい。ハンドリング性を考慮すると、顔料の平均一次粒子径は、0.01~0.1μmが好ましく、0.01~0.05μmがより好ましい。
【0033】
無機顔料としては、金属酸化物、金属錯塩等の金属化合物を挙げることができる。また、カーボンブラック、チタンブラック等の黒色顔料、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン等の金属の酸化物、および上記金属の複合酸化物を挙げることもできる。
【0034】
有機顔料として、以下の有機顔料を挙げることができる。
カラーインデックスピグメントオレンジ2,5,13,16,17:1,31,34,36,38,43,46,48,49,51,52,55,59,60,61,62,64,71,73等(以上、オレンジ色顔料)、
カラーインデックスピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,9,10,14,17,22,23,31,38,41,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,52:1,52:2,53:1,57:1,60:1,63:1,66,67,81:1,81:2,81:3,83,88,90,105,112,119,122,123,144,146,149,150,155,166,168,169,170,171,172,175,176,177,178,179,184,185,187,188,190,200,202,206,207,208,209,210,216,220,224,226,242,246,254,255,264,269,270,272,279等(以上、赤色顔料)、
カラーインデックスピグメントバイオレット1,19,23,27,32,37,42等(以上、紫色顔料)、
カラーインデックスピグメントブルー1,2,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,22,60,64,66,79,80等(以上、青色顔料)。
また、青色顔料として、リン原子を有するアルミニウムフタロシアニン化合物を用いることもできる。具体例としては、特開2012-247591号公報の段落0022~0030、特開2011-157478号公報の段落0047に記載の化合物などが挙げられる。
【0035】
染料としては特に制限はなく、公知の染料が使用できる。化学構造としては、ピラゾールアゾ系、アニリノアゾ系、トリアリールメタン系、アントラキノン系、アントラピリドン系、ベンジリデン系、オキソノール系、ピラゾロトリアゾールアゾ系、ピリドンアゾ系、シアニン系、フェノチアジン系、ピロロピラゾールアゾメチン系、キサンテン系、フタロシアニン系、ベンゾピラン系、インジゴ系、ピロメテン系等の染料が使用できる。また、特開2012-158649号公報に記載のチアゾール化合物、特開2011-184493号公報に記載のアゾ化合物、特開2011-145540号公報に記載のアゾ化合物も好ましく用いることができる。また、黄色染料として、特開2013-54339号公報の段落番号0011~0034に記載のキノフタロン化合物、特開2014-26228号公報の段落番号0013~0058に記載のキノフタロン化合物などを用いることもできる。
【0036】
また、他の着色剤として色素多量体を用いてもよい。色素多量体は、溶剤に溶解して用いられる染料であることが好ましいが、粒子を形成していてもよい。色素多量体が粒子である場合は、色素多量体を溶剤などに分散して用いられる。粒子状態の色素多量体は、例えば乳化重合によって得ることができる。粒子状態の色素多量体としては、例えば、特開2015-214682号公報に記載されている化合物が挙げられる。また、色素多量体として、特開2011-213925号公報、特開2013-041097号公報、特開2015-028144号公報、特開2015-030742号公報等に記載されている化合物を用いることもできる。
【0037】
本発明の着色組成物が他の着色剤を含有する場合、他の着色剤の含有量は、着色組成物の全固形分に対し、10質量%以下であることが好ましい。上限は、7質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。下限は、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましい。他の着色剤は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。2種以上含む場合は、合計が上記範囲となることが好ましい。
また、本発明の着色組成物は、他の着色剤を実質的に含まないことも好ましい。他の着色剤を実質的に含まないとは、緑色顔料と黄色顔料との合計100質量部に対して、1質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以下であることがより好ましく、0.01質量部以下であることが更に好ましく、他の着色剤を含有しないことが特に好ましい。
【0038】
<<重合性化合物>>
本発明の着色組成物は、重合性化合物を含有する。重合性化合物としては、ラジカル、酸、熱により架橋可能な公知の化合物を用いることができる。本発明において、重合性化合物は、例えば、エチレン性不飽和結合基を有する化合物であることが好ましい。エチレン性不飽和結合基としては、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。本発明で用いられる重合性化合物は、ラジカル重合性化合物であることが好ましい。
【0039】
重合性化合物としては、モノマー、プレポリマー、オリゴマーなどの化学的形態のいずれであってもよいが、モノマーが好ましい。重合性化合物の分子量は、100~3000が好ましい。上限は、2000以下がより好ましく、1500以下が更に好ましい。下限は、150以上がより好ましく、250以上が更に好ましい。
【0040】
重合性化合物は、エチレン性不飽和結合基を3個以上含む化合物であることが好ましく、エチレン性不飽和結合基を3~15個含む化合物であることがより好ましく、エチレン性不飽和結合基を3~6個含む化合物であることが更に好ましい。また、重合性化合物は、3~15官能の(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、3~6官能の(メタ)アクリレート化合物であることがより好ましい。
【0041】
重合性化合物の具体例としては、特開2009-288705号公報の段落番号0095~0108、特開2013-29760号公報の段落0227、特開2008-292970号公報の段落番号0254~0257に記載の化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0042】
本発明において、重合性化合物は、アルキレンオキシ基を有する化合物であることが好ましい。このような化合物を用いることで、膜に適度な柔軟性を付与できる。更には、膜の親水性を高めて、未露光部における現像液に対する溶解性を高めることができ、現像残渣の発生を抑制できる。アルキレンオキシ基を有する重合性化合物は、下記式(M-10)および/または下記式(M-11)で表される化合物であることが好ましく、下記式(M-11)で表される化合物であることがより好ましい。
式(M-10)
【化1】
式(M-11)
【化2】
【0043】
式(M-10)および(M-11)中、Eは各々独立に、-((CHCHO)-、または、-((CHCH(CH)O)-を表し、yは、各々独立に1~10の整数を表す。XおよびXは、各々独立に、(メタ)アクリロイル基、水素原子または-L-COHを表し、Lは、-CH-、-C(=O)-、-O-またはこれらの組み合わせからなる基を表す。式(M-10)中、(メタ)アクリロイル基の合計は3または4個であり、mは、各々独立に0~10の整数を表し、各mの合計は1~40の整数である。式(M-11)中、(メタ)アクリロイル基の合計は5または6個であり、nは、各々独立に0~10の整数を表し、各nの合計は1~60の整数である。)
【0044】
式(M-10)において、-((CHCHO)-または-((CHCH(CH)O)は、酸素原子側の末端がXに結合する形態が好ましい。また、yは、各々独立に1~8の整数が好ましく、1~5の整数がより好ましい。また、Xは、(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。mは、0~8の整数が好ましく、0~4の整数がより好ましい。各mの合計は、4~20の整数が好ましい。
【0045】
式(M-11)において、-((CHCHO)-または((CHCH(CH)O)-は、酸素原子側の末端がXに結合する形態が好ましい。yは、各々独立に1~8の整数が好ましく、1~5の整数がより好ましい。Xは、(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。nは、0~8の整数が好ましく、0~4の整数がより好ましい。また、各nの合計は、6~30の整数が好ましい。
【0046】
アルキレンオキシ基を有する重合性化合物の具体例としては、例えばエチレンオキシ基を4個有する4官能(メタ)アクリレートであるSR-494(サートマー社製)、KAYARAD TPA-330(日本化薬(株)製)、アロニックスM-350(東亞合成(株)製)などが挙げられる。また、下記構造の化合物も具体例として挙げられる。
【化3】
【0047】
重合性化合物としては、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(市販品としてはKAYARAD D-330;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としてはKAYARAD D-320;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD D-310;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD DPHA;日本化薬(株)製、NKエステルA-DPH-12E;新中村化学工業(株)製)、およびこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコールおよび/またはプロピレングリコール残基を介して結合している構造の化合物(例えば、サートマー社から市販されている、SR454、SR499)などを用いることもできる。また、エチレン性不飽和結合基を有する化合物として、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシ変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシ変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどの3官能の(メタ)アクリレート化合物を用いることも好ましい。3官能の(メタ)アクリレート化合物の市販品としては、アロニックスM-309、M-310、M-321、M-350、M-360、M-313、M-315、M-306、M-305、M-303、M-452、M-450(東亞合成(株)製)、NKエステル A9300、A-GLY-9E、A-GLY-20E、A-TMM-3、A-TMM-3L、A-TMM-3LM-N、A-TMPT、TMPT(新中村化学工業(株)製)、KAYARAD GPO-303、TMPTA、THE-330、TPA-330、PET-30(日本化薬(株)製)などが挙げられる。
【0048】
重合性化合物として、酸基を有する化合物を用いることもできる。このような化合物を用いることで、現像残渣の発生を抑制できる。酸基としては、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基等が挙げられ、カルボキシル基が好ましい。酸基を有する重合性化合物の市販品としては、アロニックスM-510、M-520、アロニックスTO-2349(東亞合成(株)製)等が挙げられる。
【0049】
重合性化合物が酸基を有する化合物である場合において、重合性化合物の好ましい酸価は、0.1~40mgKOH/gであり、より好ましくは5~30mgKOH/gである。重合性化合物の酸価が0.1mgKOH/g以上であれば、現像液に対する溶解性が良好であり、40mgKOH/g以下であれば、製造や取扱い上、有利である。
【0050】
重合性化合物は、カプロラクトン構造を有する化合物であることも好ましい態様である。カプロラクトン構造を有する重合性化合物は、例えば、日本化薬(株)からKAYARAD DPCAシリーズとして市販されており、DPCA-20、DPCA-30、DPCA-60、DPCA-120等が挙げられる。
【0051】
重合性化合物としては、特公昭48-41708号公報、特開昭51-37193号公報、特公平2-32293号公報、特公平2-16765号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58-49860号公報、特公昭56-17654号公報、特公昭62-39417号公報、特公昭62-39418号公報に記載されたエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物も好適である。また、特開昭63-277653号公報、特開昭63-260909号公報、特開平1-105238号公報に記載された分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有するエチレン性不飽和結合基を有する化合物を用いることも好ましい。市販品としては、ウレタンオリゴマーUAS-10、UAB-140(山陽国策パルプ社製)、UA-7200(新中村化学工業(株)製)、DPHA-40H(日本化薬(株)製)、UA-306H、UA-306T、UA-306I、AH-600、T-600、AI-600(共栄社化学(株))製などが挙げられる。
【0052】
重合性化合物の含有量は、着色組成物の全固形分に対し、0.1~50質量%が好ましい。下限は、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。上限は、45質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましい。重合性化合物は、1種単独であってもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合は、合計が上記範囲となることが好ましい。
【0053】
また、着色組成物がアルキレンオキシ基を有する重合性化合物を含む場合、重合性化合物の全質量に対してアルキレンオキシ基を有する重合性化合物を10質量%以上含有することが好ましく、20質量%以上含有することがより好ましく、30質量%以上含有することが更に好ましい。この態様によれば、現像残渣の発生をより効果的に抑制できる。
【0054】
<<光重合開始剤>>
本発明の着色組成物は、光重合開始剤を含有する。光重合開始剤としては、重合性化合物の重合を開始させる能力を有する限り、特に制限はなく、公知の光重合開始剤の中から適宜選択することができる。例えば、紫外線領域から可視領域の光線に対して感光性を有する化合物が好ましい。また、光励起された増感剤と何らかの作用を生じ、活性ラジカルを生成する化合物であってもよい。
【0055】
光重合開始剤としては、例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有する化合物、オキサジアゾール骨格を有する化合物など)、アシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物などが挙げられる。光重合開始剤は、露光感度の観点から、トリハロメチルトリアジン化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、ホスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシム化合物、トリアリールイミダゾールダイマー、オニウム化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物、シクロペンタジエン-ベンゼン-鉄錯体、ハロメチルオキサジアゾール化合物および3-アリール置換クマリン化合物が好ましく、オキシム化合物、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物、および、アシルホスフィン化合物から選ばれる化合物がより好ましく、オキシム化合物が更に好ましい。光重合開始剤としては、特開2014-130173号公報の段落0065~0111の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0056】
α-ヒドロキシケトン化合物の市販品としては、IRGACURE-184、DAROCUR-1173、IRGACURE-500、IRGACURE-2959、IRGACURE-127(以上、BASF社製)などが挙げられる。α-アミノケトン化合物の市販品としては、IRGACURE-907、IRGACURE-369、IRGACURE-379、及び、IRGACURE-379EG(以上、BASF社製)などが挙げられる。アシルホスフィン化合物の市販品としては、IRGACURE-819、DAROCUR-TPO(以上、BASF社製)などが挙げられる。
【0057】
オキシム化合物としては、例えば、特開2001-233842号公報に記載の化合物、特開2000-80068号公報に記載の化合物、特開2006-342166号公報に記載の化合物を用いることができる。オキシム化合物の具体例としては、例えば、3-ベンゾイルオキシイミノブタン-2-オン、3-アセトキシイミノブタン-2-オン、3-プロピオニルオキシイミノブタン-2-オン、2-アセトキシイミノペンタン-3-オン、2-アセトキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ベンゾイルオキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、3-(4-トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン-2-オン、および2-エトキシカルボニルオキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどが挙げられる。
【0058】
オキシム化合物としては、J.C.S.Perkin II(1979年、pp.1653-1660)、J.C.S.Perkin II(1979年、pp.156-162)、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995年、pp.202-232)、特開2000-66385号公報、特開2000-80068号公報、特表2004-534797号公報、特開2006-342166号公報に記載された化合物等を用いることもできる。市販品としては、IRGACURE-OXE01、IRGACURE-OXE02、IRGACURE-OXE03、IRGACURE-OXE04(以上、BASF社製)も好適に用いられる。また、TRONLY TR-PBG-304、TRONLY TR-PBG-309、TRONLY TR-PBG-305(常州強力電子新材料有限公司(CHANGZHOU TRONLY NEW ELECTRONIC MATERIALS CO.,LTD)製)、アデカアークルズNCI-930、アデカオプトマーN-1919(特開2012-14052号公報に記載の光重合開始剤2)(以上、(株)ADEKA製)を用いることができる。
【0059】
また上記以外のオキシム化合物として、カルバゾール環のN位にオキシムが連結した特表2009-519904号公報に記載の化合物、ベンゾフェノン部位にヘテロ置換基が導入された米国特許第7626957号公報に記載の化合物、色素部位にニトロ基が導入された特開2010-15025号公報および米国特許公開2009-292039号に記載の化合物、国際公開WO2009/131189号公報に記載のケトオキシム化合物、トリアジン骨格とオキシム骨格を同一分子内に含有する米国特許7556910号公報に記載の化合物、405nmに吸収極大を有し、g線光源に対して良好な感度を有する特開2009-221114号公報に記載の化合物などを用いてもよい。好ましくは、例えば、特開2013-29760号公報の段落番号0274~0306を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0060】
光重合開始剤として、フルオレン環を有するオキシム化合物を用いることもできる。フルオレン環を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2014-137466号公報に記載の化合物が挙げられる。この内容は本明細書に組み込まれる。光重合開始剤として、ベンゾフラン骨格を有するオキシム化合物を用いることもできる。具体例としては、国際公開WO2015/036910号公報に記載の化合物OE-01~OE-75が挙げられる。
【0061】
光重合開始剤として、フッ素原子を有するオキシム化合物を用いることもできる。フッ素原子を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2010-262028号公報に記載の化合物、特表2014-500852号公報に記載の化合物24、36~40、特開2013-164471号公報に記載の化合物(C-3)などが挙げられる。この内容は本明細書に組み込まれる。
【0062】
光重合開始剤として、ニトロ基を有するオキシム化合物を用いることができる。ニトロ基を有するオキシム化合物は、二量体とすることも好ましい。ニトロ基を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2013-114249号公報の段落番号0031~0047、特開2014-137466号公報の段落番号0008~0012、0070~0079に記載の化合物、特許4223071号公報の段落番号0007~0025に記載の化合物、アデカアークルズNCI-831((株)ADEKA製)などが挙げられる。
【0063】
本発明において好ましく使用されるオキシム化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0064】
【化4】
【化5】
【0065】
オキシム化合物は、350nm~500nmの波長領域に極大吸収波長を有する化合物が好ましく、360nm~480nmの波長領域に極大吸収波長を有する化合物がより好ましい。また、オキシム化合物は、365nmおよび405nmの吸光度が高い化合物が好ましい。
【0066】
オキシム化合物の365nmまたは405nmにおけるモル吸光係数は、感度の観点から、1,000~300,000であることが好ましく、2,000~300,000であることがより好ましく、5,000~200,000であることが特に好ましい。化合物のモル吸光係数は、公知の方法を用いて測定することができる。例えば、紫外可視分光光度計(Varian社製Cary-5 spectrophotometer)にて、酢酸エチル溶媒を用い、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
【0067】
光重合開始剤の含有量は、着色組成物の全固形分に対し0.1~50質量%が好ましく、0.5~30質量%がより好ましく、1~20質量%が更に好ましい。光重合開始剤の含有量が上記範囲であれば、良好な感度と良好なパターン形成性が得られる。本発明の着色組成物は、光重合開始剤を、1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。光重合開始剤を2種以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0068】
<<溶剤>>
本発明の着色組成物は、溶剤を含有する。溶剤は有機溶剤が好ましい。溶剤は、各成分の溶解性や着色組成物の塗布性を満足すれば特に制限はない。
【0069】
有機溶剤の例としては、例えば、以下の有機溶剤が挙げられる。エステル類として、例えば、酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチル、酢酸シクロヘキシル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、アルキルオキシ酢酸アルキル(例えば、アルキルオキシ酢酸メチル、アルキルオキシ酢酸エチル、アルキルオキシ酢酸ブチル(例えば、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル等))、3-アルキルオキシプロピオン酸アルキルエステル類(例えば、3-アルキルオキシプロピオン酸メチル、3-アルキルオキシプロピオン酸エチル等(例えば、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル等))、2-アルキルオキシプロピオン酸アルキルエステル類(例えば、2-アルキルオキシプロピオン酸メチル、2-アルキルオキシプロピオン酸エチル、2-アルキルオキシプロピオン酸プロピル等(例えば、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸プロピル、2-エトキシプロピオン酸メチル、2-エトキシプロピオン酸エチル))、2-アルキルオキシ-2-メチルプロピオン酸メチル及び2-アルキルオキシ-2-メチルプロピオン酸エチル(例えば、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチル等)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2-オキソブタン酸メチル、2-オキソブタン酸エチル等が挙げられる。エーテル類として、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等が挙げられる。ケトン類として、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン等が挙げられる。芳香族炭化水素類として、例えば、トルエン、キシレン等が好適に挙げられる。ただし溶剤としての芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等)は、環境面等の理由により低減したほうがよい場合がある(例えば、有機溶剤全量に対して、50質量ppm(parts per million)以下、10質量ppm以下、あるいは1質量ppm以下とすることができる)。
【0070】
有機溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。有機溶剤を2種以上組み合わせて用いる場合、特に好ましくは、上記の3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートから選択される2種以上で構成される混合溶液である。
【0071】
本発明において、有機溶剤は、過酸化物の含有率が0.8mmol/L以下であることが好ましく、過酸化物を実質的に含まないことがより好ましい。また、金属含有量の少ない有機溶剤を用いることが好ましく、例えば有機溶剤の金属含有量は、10質量ppb(parts per billion)以下であることが好ましい。必要に応じて有機溶剤の金属含有量が質量ppt(parts per trillion)レベルのものを用いてもよく、そのような高純度溶剤は例えば東洋合成社が提供している(化学工業日報、2015年11月13日)。
【0072】
溶剤の含有量は、着色組成物の全固形分が5~80質量%となる量が好ましい。下限は10質量%以上が好ましい。上限は、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下がさらに好ましい。
【0073】
<<紫外線吸収剤>>
本発明の着色組成物は、紫外線吸収剤を含有することが好ましい。本発明の着色組成物に、紫外線吸収剤を含有させることで矩形性の高いパターンを形成し易い。
【0074】
紫外線吸収剤としては、共役ジエン化合物、アミノブタジエン化合物、メチルジベンゾイル化合物、クマリン化合物、サリシレート化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、アクリロニトリル化合物、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物などを用いることができる。これらの詳細については、特開2012-208374号公報の段落番号0052~0072、特開2013-68814号公報の段落番号0317~0334の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、UV-503(大東化学(株)製)などが挙げられる。また、ベンゾトリアゾール化合物としてはミヨシ油脂製のMYUAシリーズ(化学工業日報、2016年2月1日)を用いてもよい。なかでも、紫外線吸収剤としては、波長365nmにおけるモル吸光係数が高いという理由から、共役ジエン化合物、メチルジベンゾイル化合物、クマリン化合物、ベンゾトリアゾール化合物が好ましく、共役ジエン化合物、メチルジベンゾイル化合物がより好ましい。
【0075】
共役ジエン化合物は、下記式(UV-1)で表される化合物が好ましい。
【化6】
【0076】
式(UV-1)において、R及びRは、各々独立に、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、又は炭素数6~20のアリール基を表し、RとRとは互いに同一でも異なっていてもよいが、同時に水素原子を表すことはない。
及びRは、R及びRが結合する窒素原子とともに、環状アミノ基を形成していてもよい。環状アミノ基としては、例えば、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基、ヘキサヒドロアゼピノ基、ピペラジノ基等が挙げられる。
及びRは、各々独立に、炭素原子数1~20のアルキル基が好ましく、炭素原子数1~10のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基が更に好ましい。
及びRは、電子求引性基を表す。R及びRは、アシル基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、スルファモイル基が好ましく、アシル基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、スルファモイル基が好ましい。また、R及びRは、互いに結合して環状の電子求引性基を形成してもよい。RおよびRが互いに結合して形成する環状の電子求引性基としては、例えば、2個のカルボニル基を含む6員環を挙げることができる。
上記のR、R、R、及びRの少なくとも1つは、連結基を介して、ビニル基と結合したモノマーより導かれるポリマーの形になっていてもよい。他のモノマーとの共重合体であっても良い。
【0077】
式(UV-1)で示される紫外線吸収剤の置換基の説明は、国際公開WO2009/123109号公報の段落番号0024~0033(対応する米国特許出願公開第2011/0039195号明細書の段落番号0040~0059)の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。式(UV-1)で示される紫外線吸収剤の具体例としては、下記化合物が挙げられる。また、式(UV-1)で表される化合物の好ましい具体例は、国際公開WO2009/123109号公報の段落番号0034~0037(対応する米国特許出願公開第2011/0039195号明細書の段落番号0060)の例示化合物(1)~(14)の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。式(UV-1)で示される紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、UV503(大東化学(株)製)などが挙げられる。
【化7】
【0078】
メチルジベンゾイル化合物としては、下記式(UV-2)で表される化合物が好ましい。
【化8】
【0079】
式(UV-2)において、R101及びR102は、各々独立に、置換基を表し、m1およびm2は、それぞれ独立して0~4を表す。
【0080】
101及びR102が表す置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ヘテロアリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、-NRU1U2、-CORU3、-COORU4、-OCORU5、-NHCORU6、-CONRU7U8、-NHCONRU9U10、-NHCOORU11、-SOU12、-SOORU13、-NHSOU14または-SONRU15U16が挙げられる。RU1~RU16は、各々独立に、水素原子、炭素数1~8のアルキル基またはアリール基を表す。
【0081】
101及びR102が表す置換基は、各々独立にアルキル基またはアルコキシ基であることが好ましい。アルキル基の炭素数は、1~20が好ましく、1~10がより好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状が挙げられ、直鎖または分岐が好ましく、分岐がより好ましい。アルコキシ基の炭素数は、1~20が好ましく、1~10がより好ましい。アルコキシ基は、直鎖または分岐が好ましく、分岐がより好ましい。
【0082】
式(UV-2)において、R101及びR102の一方がアルキル基で、他方がアルコキシ基である組み合わせが好ましい。
【0083】
m1およびm2は、それぞれ独立して0~4を表す。m1およびm2は、それぞれ独立して0~2が好ましく、0~1がより好ましく、1が特に好ましい。
【0084】
式(UV-2)で表される化合物の具体例としては、アボベンゾンなどが挙げられる。
【0085】
本発明の着色組成物において紫外線吸収剤の含有量は、着色組成物の全固形分に対して、0.5~8質量%が好ましい。上限は、7質量%以下であることが好ましく、6質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが更に好ましい。下限は、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることが更に好ましい。紫外線吸収剤の含有量が上記範囲であれば、矩形性の高いパターンを形成し易い。
【0086】
<<樹脂>>
本発明の着色組成物は、樹脂を含むことができる。樹脂は、例えば、顔料などを組成物中で分散させる用途やバインダーの用途で配合される。なお、主に顔料などを分散させるために用いられる樹脂を分散剤ともいう。ただし、樹脂のこのような用途は一例であって、このような用途以外の目的で使用することもできる。
【0087】
樹脂の重量平均分子量(Mw)は、2,000~2,000,000が好ましい。上限は、1,000,000以下が好ましく、500,000以下がより好ましい。下限は、3,000以上が好ましく、5,000以上がより好ましい。
【0088】
本発明の着色組成物は、分散剤としての樹脂を含むことが好ましい。分散剤としては、例えば、高分子分散剤〔例えば、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物〕、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルカノールアミン等が挙げられる。高分子分散剤は、その構造から更に直鎖状高分子、末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子に分類することができる。高分子分散剤は、顔料の表面に吸着し、再凝集を防止するように作用する。そのため、顔料表面へのアンカー部位を有する末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子を好ましい構造として挙げることができる。また、特開2011-070156号公報の段落番号0028~0124に記載の分散剤や特開2007-277514号公報に記載の分散剤も好ましく用いられる。これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0089】
分散剤としての樹脂は、酸性分散剤、塩基性分散剤が挙げられ、酸性分散剤を少なくとも含むことが好ましい。酸性分散剤(酸性樹脂)とは、酸基の量が塩基性基の量よりも多い樹脂を表す。酸性分散剤(酸性樹脂)は、酸基の量と塩基性基の量の合計量を100モル%としたときに、酸基の量が70モル%以上を占める樹脂が好ましく、実質的に酸基のみからなる樹脂がより好ましい。酸性分散剤(酸性樹脂)が有する酸基は、カルボキシル基が好ましい。酸性分散剤(酸性樹脂)の酸価は、5~105mgKOH/gが好ましく、40~105mgKOH/gがより好ましく、50~105mgKOH/gが更に好ましく、60~105mgKOH/gが特に好ましい。酸性分散剤(酸性樹脂)としては、例えば下記構造の樹脂などが挙げられる。また、塩基性分散剤(塩基性樹脂)とは、塩基性基の量が酸基の量よりも多い樹脂を表す。塩基性分散剤(塩基性樹脂)は、酸基の量と塩基性基の量の合計量を100モル%としたときに、塩基性基の量が50モル%以上を占める樹脂が好ましい。
【化9】
【0090】
本発明では、主鎖に窒素原子を有する繰り返し単位を含む樹脂を用いることが好ましい。着色組成物がこのような樹脂を含むことで、着色組成物中における顔料の分散性をより高めることができる。主鎖に窒素原子を有する繰り返し単位を含む樹脂は、分散剤として好ましく用いることができる。主鎖に窒素原子を有する繰り返し単位を含む樹脂は、ポリ(低級アルキレンイミン)系繰り返し単位、ポリアリルアミン系繰り返し単位、ポリジアリルアミン系繰り返し単位、メタキシレンジアミン-エピクロルヒドリン重縮合物系繰り返し単位、及びポリビニルアミン系繰り返し単位から選択される少なくとも1種の繰り返し単位を含むことが好ましい。
【0091】
主鎖に窒素原子を有する繰り返し単位を含む樹脂としては、pKa14以下の官能基を有する部分構造Xを有する繰り返し単位と、原子数40~10,000のオリゴマー鎖又はポリマー鎖Yを含む側鎖を有する繰り返し単位とを有する樹脂であることが好ましい。
【0092】
主鎖に窒素原子を有する繰り返し単位を含む樹脂は、例えば、式(I-1)で表される繰り返し単位と、式(I-2)で表される繰り返し単位、および/または、式(I-2a)で表される繰り返し単位を含む樹脂を用いることが好ましい。
【0093】
【化10】
及びRは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基(炭素数1~6が好ましい)を表す。aは、各々独立に、1~5の整数を表す。*は繰り返し単位間の連結部を表す。
及びRはRと同義の基である。
Lは単結合、アルキレン基(炭素数1~6が好ましい)、アルケニレン基(炭素数2~6が好ましい)、アリーレン基(炭素数6~24が好ましい)、ヘテロアリーレン基(炭素数1~6が好ましい)、イミノ基(炭素数0~6が好ましい)、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、またはこれらの組合せに係る連結基である。なかでも、単結合もしくは-CR-NR-(イミノ基がXもしくはYの方になる)であることが好ましい。ここで、R、Rは各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基(炭素数1~6が好ましい)を表す。Rは水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表す。
はCRCRとNとともに環構造を形成する構造部位であり、CRCRの炭素原子と合わせて炭素数3~7の非芳香族複素環を形成する構造部位であることが好ましい。さらに好ましくは、CRCRの炭素原子及びN(窒素原子)を合わせて5~7員の非芳香族複素環を形成する構造部位であり、より好ましくは5員の非芳香族複素環を形成する構造部位であり、ピロリジンを形成する構造部位であることが特に好ましい。この構造部位はさらにアルキル基等の置換基を有していてもよい。
XはpKa14以下の官能基を有する基を表す。
Yは原子数40~10,000の側鎖を表す。
【0094】
主鎖に窒素原子を有する繰り返し単位を含む樹脂は、さらに式(I-3)、式(I-4)、および、式(I-5)で表される繰り返し単位を含んでいてもよい。
【0095】
【化11】
【0096】
、R、R、R、L、La、a及び*は式(I-1)、(I-2)、(I-2a)における規定と同義である。Yaはアニオン基を有する原子数40~10,000の側鎖を表す。式(I-3)で表される繰り返し単位は、主鎖部に一級又は二級アミノ基を有する樹脂に、アミンと反応して塩を形成する基を有するオリゴマー又はポリマーを添加して反応させることで形成することが可能である。
【0097】
主鎖に窒素原子を有する繰り返し単位を含む樹脂については、特開2012-255128号公報の段落番号0102~0166の記載を参酌でき、本明細書には上記内容が組み込まれる。主鎖に窒素原子を含む樹脂の具体例としては、例えば、以下が挙げられる。また、特開2012-255128号公報の段落番号0168~0174に記載の樹脂を用いることができる。
【化12】
【0098】
本発明の着色組成物は、側鎖にグラフト鎖を有する繰り返し単位を含む樹脂(以下、グラフト樹脂ともいう)を含有することも好ましい。この態様によれば、顔料の分散性をより向上させることができる。グラフト樹脂は分散剤として好ましく用いることができる。ここで、グラフト鎖とは、繰り返し単位の主鎖から枝分かれして伸びるポリマー鎖のことを意味する。グラフト鎖の長さについては特に制限されないが、グラフト鎖が長くなると立体反発効果が高くなり、顔料などの分散性を高めることができる。グラフト鎖においては、水素原子を除いた原子数が40~10000であることが好ましく、水素原子を除いた原子数が50~2000であることがより好ましく、水素原子を除いた原子数が60~500であることが更に好ましい。
【0099】
グラフト鎖は、ポリエステル鎖、ポリエーテル鎖、ポリ(メタ)アクリル鎖、ポリウレタン鎖、ポリウレア鎖およびポリアミド鎖から選ばれる少なくとも1種の構造を含むことが好ましく、ポリエステル鎖、ポリエーテル鎖およびポリ(メタ)アクリル鎖から選ばれる少なくとも1種の構造を含むことがより好ましく、ポリエステル鎖を含むことが更に好ましい。
【0100】
グラフト鎖の末端構造としては、特に限定されない。水素原子であってもよく、置換基であってもよい。置換基としては、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基、ヘテロアリールチオエーテル基等が挙げられる。なかでも、顔料などの分散性向上の観点から、立体反発効果を有する基が好ましく、炭素数5~24のアルキル基又はアルコキシ基が好ましい。アルキル基およびアルコキシ基は、直鎖状、分岐状、及び、環状のいずれでもよく、直鎖状または分岐状が好ましい。
【0101】
グラフト樹脂としては、例えば下記構造の樹脂などが挙げられる。また、グラフト樹脂の詳細は、特開2012-255128号公報の段落番号0025~0094の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【化13】
【0102】
分散剤としての樹脂は市販品を用いることもできる。例えば、アクリキュアーRD-F8((株)日本触媒製)などが挙げられる。また、特開2012-137564号公報の段落番号0129に記載された製品を分散剤として用いることもできる。なお、上記分散剤として説明した樹脂は、分散剤以外の用途で使用することもできる。例えば、バインダーとして用いることもできる。
【0103】
本発明の着色組成物は、樹脂としてアルカリ可溶性樹脂を含有することが好ましい。着色組成物がアルカリ可溶性樹脂を含むことにより、現像性が向上し、現像残渣の発生などを効果的に抑制できる。なお、アルカリ可溶性樹脂は、分散剤として用いることもできる。
【0104】
アルカリ可溶性樹脂は、酸基を有する樹脂の中から適宜選択することができる。酸基としては、例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホ基、フェノール性ヒドロキシル基などが挙げられ、カルボキシル基が好ましい。アルカリ可溶性樹脂が有する酸基の種類は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0105】
アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5000~100,000が好ましい。また、アルカリ可溶性樹脂の数平均分子量(Mn)は、1000~20,000が好ましい。
【0106】
アルカリ可溶性樹脂としては、耐熱性の観点からは、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合樹脂が好ましい。また、現像性制御の観点からは、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合樹脂が好ましい。
【0107】
アルカリ可溶性樹脂は、側鎖に酸基を有する繰り返し単位を含むポリマーであることが好ましく、側鎖にカルボキシル基を有する繰り返し単位を含むポリマーであることがより好ましい。例えば、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、2-カルボキシエチル(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、部分エステル化マレイン酸等のモノマーに由来する繰り返し単位を有する共重合体、ノボラック型樹脂などのアルカリ可溶性フェノール樹脂、側鎖にカルボキシル基を有する酸性セルロース誘導体、ヒドロキシル基を有するポリマーに酸無水物を付加させたポリマーが挙げられる。特に、(メタ)アクリル酸と、これと共重合可能な他のモノマーとの共重合体が、アルカリ可溶性樹脂として好適である。(メタ)アクリル酸と共重合可能な他のモノマーとしては、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、ビニル化合物などが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートおよびアリール(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレートなどが挙げられる。ビニル化合物としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N-ビニルピロリドン、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー等が挙げられる。また、他のモノマーとして、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等の特開平10-300922号公報に記載のN位置換マレイミドモノマーが挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸と共重合可能な他のモノマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0108】
アルカリ可溶性樹脂としては、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/他のモノマーからなる多元共重合体を好ましく用いることができる。また、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のモノマーとを共重合した共重合体、特開平7-140654号公報に記載の、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2-ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2-ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体なども好ましく用いることができる。また、市販品としては、例えばFF-426(藤倉化成社製)などを用いることもできる。
【0109】
アルカリ可溶性樹脂は、重合性基を有するアルカリ可溶性樹脂を用いることもできる。重合性基としては、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。重合性基を有するアルカリ可溶性樹脂は、側鎖に重合性基を有する繰り返し単位と、側鎖に酸基を有する繰り返し単位とを含む樹脂が好ましい。重合性基を有するアルカリ可溶性樹脂の具体例としては、例えば、下記構造の樹脂などが挙げられる。以下の構造式中、Meはメチル基を表す。重合性基を有するアルカリ可溶性樹脂の市販品としては、ダイヤナールNRシリーズ(三菱レイヨン(株)製)、Photomer6173(カルボキシル基含有ポリウレタンアクリレートオリゴマー、Diamond Shamrock Co.,Ltd.製)、ビスコートR-264、KSレジスト106(いずれも大阪有機化学工業(株)製)、サイクロマーPシリーズ(例えば、ACA230AA)、プラクセル CF200シリーズ(いずれも(株)ダイセル製)、Ebecryl3800(ダイセルユーシービー株式会社製)、アクリキュアーRD-F8((株)日本触媒製)、DP-1305(富士ファインケミカルズ(株)製)などが挙げられる。
【化14】
【0110】
アルカリ可溶性樹脂は、下記式(ED1)で示される化合物および特開2010-168539号公報の式(1)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(以下、これらの化合物を「エーテルダイマー」と称することもある。)を含むモノマー成分を重合してなるポリマーを含むことも好ましい。
【0111】
【化15】
【0112】
式(ED1)中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1~25の炭化水素基を表す。
【0113】
エーテルダイマーの具体例としては、例えば、特開2013-29760号公報の段落番号0317を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。エーテルダイマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0114】
アルカリ可溶性樹脂は、下記式(X)で示される化合物に由来する繰り返し単位を含んでいてもよい。
【化16】
式(X)において、Rは、水素原子またはメチル基を表し、Rは炭素数2~10のアルキレン基を表し、Rは、水素原子またはベンゼン環を含んでもよい炭素数1~20のアルキル基を表す。nは1~15の整数を表す。
【0115】
上記式(X)において、Rのアルキレン基の炭素数は、2~3が好ましい。また、Rのアルキル基の炭素数は1~10が好ましい。Rのアルキル基はベンゼン環を含んでもよい。Rで表されるベンゼン環を含むアルキル基としては、ベンジル基、2-フェニル(イソ)プロピル基等を挙げることができる。
【0116】
アルカリ可溶性樹脂は、特開2012-208494号公報の段落番号0558~0571(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の段落番号0685~0700)の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
また、アルカリ可溶性樹脂は、特開2012-32767号公報の段落番号0029~0063に記載の共重合体(B)および実施例で用いられているアルカリ可溶性樹脂、特開2012-208474号公報の段落番号0088~0098に記載のバインダー樹脂および実施例で用いられているバインダー樹脂、特開2012-137531号公報の段落番号0022~0032に記載のバインダー樹脂および実施例で用いられているバインダー樹脂、特開2013-024934号公報の段落番号0132~0143に記載のバインダー樹脂および実施例で用いられているバインダー樹脂、特開2011-242752号公報の段落番号0092~0098および実施例で用いられているバインダー樹脂、特開2012-032770号公報の段落番号0030~0072に記載のバインダー樹脂を用いることもでき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0117】
アルカリ可溶性樹脂の酸価は、30~500mgKOH/gが好ましい。下限は、50mgKOH/g以上がより好ましく、70mgKOH/g以上が更に好ましい。上限は、400mgKOH/g以下がより好ましく、200mgKOH/g以下が更に好ましく、150mgKOH/g以下が一層好ましく、120mgKOH/g以下が特に好ましい。
【0118】
樹脂の含有量は、着色組成物の全固形分に対して、1~80質量%であることが好ましい。下限は、10質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上がさらに好ましい。上限は、60質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下がさらに好ましい。本発明の着色組成物は、樹脂を、1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合は、それらの合計が上記範囲となることが好ましい。
また、樹脂の含有量は、重合性化合物100質量部に対して100~250質量部であることが好ましい。下限は、130質量部以上であることがより好ましく、160質量部以上がさらに好ましい。上限は、230質量部以下であることがより好ましく、200質量部以下がさらに好ましい。本発明の着色組成物は、樹脂を、1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合は、それらの合計が上記範囲となることが好ましい。
【0119】
<<エポキシ基を有する化合物>>
本発明の着色組成物は、エポキシ基を有する化合物(以下、エポキシ化合物ともいう)を含有することができる。エポキシ化合物は、エポキシ基を1分子内に1~100個有する化合物であることが好ましい。エポキシ基の下限は、2個以上がより好ましい。エポキシ基の上限は、例えば、10個以下とすることもでき、5個以下とすることもできる。
【0120】
エポキシ化合物は、エポキシ当量(=エポキシ化合物の分子量/エポキシ基の数)が500g/当量以下であることが好ましく、100~400g/当量であることがより好ましく、100~300g/当量であることが更に好ましい。
【0121】
エポキシ化合物は、低分子化合物(例えば、分子量1000未満)でもよいし、高分子化合物(macromolecule)(例えば、分子量1000以上、ポリマーの場合は、重量平均分子量が1000以上)でもよい。エポキシ化合物の重量平均分子量は、200~100000が好ましく、500~50000がより好ましい。重量平均分子量の上限は、10000以下がさらに好ましく、5000以下が一層好ましく、3000以下がより一層好ましい。
【0122】
エポキシ化合物としては、特開2013-011869号公報の段落番号0034~0036、特開2014-043556号公報の段落番号0147~0156、特開2014-089408号公報の段落番号0085~0092に記載された化合物を用いることもできる。これらの内容は、本明細書に組み込まれる。
【0123】
本発明の着色組成物がエポキシ化合物を含有する場合、エポキシ化合物の含有量は、着色組成物の全固形分に対し、0.1~40質量%が好ましい。下限は、例えば0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。上限は、例えば、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。エポキシ化合物は、1種単独であってもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合は、合計が上記範囲となることが好ましい。
本発明の着色組成物は、エポキシ化合物を実質的に含有しないこともできる。エポキシ化合物を実質的に含有しないとは、エポキシ化合物の含有量は、着色組成物の全固形分に対し、0.05質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以下であることがより好ましく、含有しないことが一層好ましい。
【0124】
<<硬化促進剤>>
本発明の着色組成物は、パターンの硬度を向上させる目的や、硬化温度を下げる目的で、硬化促進剤を含んでもよい。硬化促進剤としては、チオール化合物などが挙げられる。
【0125】
チオール化合物としては、分子内に2個以上のメルカプト基を有する多官能チオール化合物などが挙げられる。多官能チオール化合物は、安定性、臭気、解像性、現像性、密着性等の改良を目的として添加してもよい。多官能チオール化合物は、2級のアルカンチオール類であることが好ましく、下記式(T1)で表される構造を有する化合物であることがより好ましい。
式(T1)
【化17】
(式(T1)中、nは2~4の整数を表し、Lは2~4価の連結基を表す。)
【0126】
上記式(T1)において、Lは炭素数2~12の脂肪族基であることが好ましい。上記式(T1)において、nが2であり、Lが炭素数2~12のアルキレン基であることがより好ましい。多官能チオール化合物の具体例としては、下記の構造式(T2)~(T4)で表される化合物が挙げられ、式(T2)で表される化合物が好ましい。チオール化合物は1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0127】
【化18】
【0128】
また、硬化促進剤は、メチロール系化合物(例えば特開2015-34963号公報の段落番号0246において、架橋剤として例示されている化合物)、アミン類、ホスホニウム塩、アミジン塩、アミド化合物(以上、例えば特開2013-41165号公報の段落番号0186に記載の硬化剤)、塩基発生剤(例えば、特開2014-55114号公報に記載のイオン性化合物)、イソシアネート化合物(例えば、特開2012-150180号公報の段落番号0071に記載の化合物)、アルコキシシラン化合物(例えば、特開2011-253054号公報に記載のエポキシ基を有するアルコキシシラン化合物)、オニウム塩化合物(例えば、特開2015-34963号公報の段落番号0216に酸発生剤として例示されている化合物、特開2009-180949号公報に記載の化合物)などを用いることもできる。
【0129】
本発明の着色組成物が硬化促進剤を含有する場合、硬化促進剤の含有量は、着色組成物の全固形分に対して0.3~8.9質量%が好ましく、0.8~6.4質量%がより好ましい。
【0130】
<<顔料誘導体>>
本発明の着色組成物は、顔料誘導体を含有することが好ましい。顔料誘導体としては、発色団の一部分を、酸基、塩基性基またはフタルイミドメチル基で置換した構造を有する化合物が挙げられる。
【0131】
顔料誘導体を構成する発色団としては、キノリン系骨格、ベンゾイミダゾロン系骨格、ジケトピロロピロール系骨格、アゾ系骨格、フタロシアニン系骨格、アンスラキノン系骨格、キナクリドン系骨格、ジオキサジン系骨格、ペリノン系骨格、ペリレン系骨格、チオインジゴ系骨格、イソインドリン系骨格、イソインドリノン系骨格、キノフタロン系骨格、スレン系骨格、金属錯体系骨格等が挙げられ、キノリン系骨格、ベンゾイミダゾロン系骨格、ジケトピロロピロール系骨格、アゾ系骨格、キノフタロン系骨格、イソインドリン系骨格およびフタロシアニン系骨格が好ましく、アゾ系骨格およびベンゾイミダゾロン系骨格がより好ましい。顔料誘導体が有する酸基としては、スルホ基、カルボキシル基が好ましく、スルホ基がより好ましい。顔料誘導体が有する塩基性基としては、アミノ基が好ましく、三級アミノ基がより好ましい。顔料誘導体の詳細については、特開2015-102612号公報の段落番号0059~0086の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0132】
本発明の着色組成物が顔料誘導体を含有する場合、顔料誘導体の含有量は、顔料100質量部に対し、1~30質量部が好ましく、3~20質量部がさらに好ましい。顔料誘導体は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0133】
<<界面活性剤>>
本発明の着色組成物は、界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用でき、塗布性をより向上できるという理由からフッ素系界面活性剤が好ましい。
【0134】
本発明の着色組成物にフッ素系界面活性剤を含有させることで、塗布液として調製したときの液特性が向上し、塗布厚の均一性をより改善することができる。即ち、フッ素系界面活性剤を含有する着色組成物を適用した塗布液を用いて膜形成する場合においては、塗布膜表面の界面張力が低下して、乾燥の均一性が向上する。このため、塗布ムラの少ない膜形成をより好適に行うことができる。
【0135】
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3~40質量%が好ましく、より好ましくは5~30質量%であり、特に好ましくは7~25質量%である。フッ素含有率が上記範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、着色組成物中における溶解性も良好である。
【0136】
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF171、F172、F173、F176、F177、F141、F142、F143、F144、R30、F437、F475、F479、F482、F554、F780(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、FC431、FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS-382、SC-101、SC-103、SC-104、SC-105、SC-1068、SC-381、SC-383、S-393、KH-40(以上、旭硝子(株)製)、PF636、PF656、PF6320、PF6520、PF7002(以上、OMNOVA社製)等が挙げられる。フッ素系界面活性剤は、特開2015-117327号公報の段落番号0015~0158に記載の化合物、特開2011-132503号公報の段落番号0117~0132に記載の化合物を用いることもできる。フッ素系界面活性剤としてブロックポリマーを用いることもでき、具体例としては、例えば特開2011-89090号公報に記載された化合物が挙げられる。
【0137】
フッ素系界面活性剤は、フッ素原子を含有する官能基を持つ分子構造で、熱を加えるとフッ素原子を含有する官能基の部分が切断されてフッ素原子が揮発するアクリル系化合物も好適に使用できる。このようなフッ素系界面活性剤としては、DIC(株)製のメガファックDSシリーズ(化学工業日報、2016年2月22日)(日経産業新聞、2016年2月23日)、例えばメガファックDS-21が挙げられる。
【0138】
フッ素系界面活性剤としては、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、アルキレンオキシ基(好ましくはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基)を2以上(好ましくは5以上)有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位とを含む含フッ素高分子化合物も好ましく用いることができ、下記化合物も本発明で用いられるフッ素系界面活性剤として例示される。下記の式中、繰り返し単位の割合を示す%はモル%である。
【化19】
上記の化合物の重量平均分子量は、好ましくは3,000~50,000であり、例えば、14,000である。
【0139】
フッ素系界面活性剤として、エチレン性不飽和結合を有する基を側鎖に有する含フッ素重合体を用いることもできる。具体例としては、特開2010-164965号公報の段落番号0050~0090および段落番号0289~0295に記載された化合物が挙げられる。市販品としては、例えばDIC(株)製のメガファックRS-101、RS-102、RS-718-K、RS-72-K等が挙げられる。
【0140】
ノニオン系界面活性剤としては、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレートおよびプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセロールエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル、プルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2(BASF社製)、テトロニック304、701、704、901、904、150R1(BASF社製)、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株)製)、NCW-101、NCW-1001、NCW-1002(和光純薬工業(株)製)、パイオニンD-6112、D-6112-W、D-6315(竹本油脂(株)製)、オルフィンE1010、サーフィノール104、400、440(日信化学工業(株)製)などが挙げられる。
【0141】
カチオン系界面活性剤としては、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社化学(株)製)、W001(裕商(株)製)等が挙げられる。
【0142】
アニオン系界面活性剤としては、W004、W005、W017(裕商(株)製)、サンデットBL(三洋化成(株)製)等が挙げられる。
【0143】
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、トーレシリコーンDC3PA、トーレシリコーンSH7PA、トーレシリコーンDC11PA、トーレシリコーンSH21PA、トーレシリコーンSH28PA、トーレシリコーンSH29PA、トーレシリコーンSH30PA、トーレシリコーンSH8400(以上、東レ・ダウコーニング(株)製)、TSF-4440、TSF-4300、TSF-4445、TSF-4460、TSF-4452(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、KP341、KF6001、KF6002(以上、信越シリコーン株式会社製)、BYK307、BYK323、BYK330(以上、ビックケミー社製)等が挙げられる。
【0144】
界面活性剤の含有量は、着色組成物の全固形分に対して、0.001~2.0質量%が好ましく、0.005~1.0質量%がより好ましい。界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。2種類以上含む場合は合計量が上記範囲であることが好ましい。
【0145】
<<シランカップリング剤>>
本発明の着色組成物は、シランカップリング剤を含有することができる。本発明において、シランカップリング剤は、加水分解性基とそれ以外の官能基とを有するシラン化合物を意味する。また、加水分解性基とは、ケイ素原子に直結し、加水分解反応および/または縮合反応によってシロキサン結合を生じ得る置換基をいう。加水分解性基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基などが挙げられる。
【0146】
シランカップリング剤は、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリル基、アミノ基、イソシアヌレート基、ウレイド基、メルカプト基、スルフィド基、および、イソシアネート基から選ばれる少なくとも1種の基と、アルコキシ基とを有するシラン化合物が好ましい。シランカップリング剤の具体例としては、例えば、N-β-アミノエチル-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM-602)、N-β-アミノエチル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM-603)、N-β-アミノエチル-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製、KBE-602)、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM-903)、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製、KBE-903)、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM-503)、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM-403)、下記構造の化合物などが挙げられる。以下の構造式中Etはエチル基を表す。シランカップリング剤の詳細については、特開2013-254047号公報の段落番号0155~0158の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【化20】
【0147】
本発明の着色組成物がシランカップリング剤を含有する場合、シランカップリング剤の含有量は、着色組成物の全固形分に対して、0.001~20質量%が好ましく、0.01~10質量%がより好ましく、0.1~5質量%が特に好ましい。本発明の着色組成物は、シランカップリング剤を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。シランカップリング剤を2種以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0148】
<<重合禁止剤>>
本発明の着色組成物は、重合禁止剤を含有することができる。重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p-メトキシフェノール、ジ-t-ブチル-p-クレゾール、ピロガロール、t-ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、N-ニトロソフェニルヒドロキシアミン塩(アンモニウム塩、第一セリウム塩等)等が挙げられる。
本発明の着色組成物が重合禁止剤を含有する場合、重合禁止剤の含有量は、着色組成物の全固形分に対して、0.01~5質量%が好ましい。本発明の着色組成物は、重合禁止剤を、1種類のみを含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0149】
<<その他添加剤>>
本発明の着色組成物には、必要に応じて、各種添加剤、例えば、充填剤、密着促進剤、酸化防止剤、凝集防止剤等を配合することができる。これらの添加剤としては、特開2004-295116号公報の段落番号0155~0156に記載の添加剤を挙げることができ、この内容は本明細書に組み込まれる。また、酸化防止剤としては、例えばフェノール化合物、リン系化合物(例えば特開2011-90147号公報の段落番号0042に記載の化合物)、チオエーテル化合物などを用いることができる。市販品としては、例えば(株)ADEKA製のアデカスタブシリーズ(AO-20、AO-30、AO-40、AO-50、AO-50F、AO-60、AO-60G、AO-80、AO-330など)が挙げられる。酸化防止剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。本発明の着色組成物は、特開2004-295116号公報の段落番号0078に記載の増感剤や光安定剤、同公報の段落番号0081に記載の熱重合防止剤を含有することができる。
【0150】
用いる原料等により着色組成物中に金属元素が含まれることがあるが、欠陥発生抑制等の観点で、着色組成物中の第2族元素(カルシウム、マグネシウム等)の含有量は50質量ppm以下であることが好ましく、0.01~10質量ppmがより好ましい。また、着色組成物中の無機金属塩の総量は100質量ppm以下であることが好ましく、0.5~50質量ppmがより好ましい。
【0151】
本発明の着色組成物の含水率は、通常3質量%以下であり、0.01~1.5質量%が好ましく、0.1~1.0質量%の範囲であることがより好ましい。含水率は、カールフィッシャー法にて測定することができる。
【0152】
本発明の着色組成物は、膜面状(平坦性など)の調整、膜厚の調整などを目的として粘度を調整して用いることができる。粘度の値は必要に応じて適宜選択することができるが、例えば、25℃において0.3mPa・s~50mPa・sが好ましく、0.5mPa・s~20mPa・sがより好ましい。粘度の測定方法としては、例えば、東機産業製 粘度計 RE85L(ローター:1°34’×R24、測定範囲0.6~1200mPa・s)を使用し、25℃に温度調整を施した状態で測定することができる。
【0153】
本発明の着色組成物の収容容器としては、特に限定はなく、公知の収容容器を用いることができる。また、収容容器として、原材料や組成物中への不純物混入を抑制することを目的に、容器内壁を6種6層の樹脂で構成する多層ボトルや6種の樹脂を7層構造にしたボトルを使用することも好ましい。このような容器としては例えば特開2015-123351号公報に記載の容器が挙げられる。
【0154】
本発明の着色組成物は、カラーフィルタにおける着色画素(好ましくは赤色画素)の形成などに好ましく用いることができる。例えば、CCD(電荷結合素子)やCMOS(相補型金属酸化膜半導体)などの固体撮像素子や、画像表示装置などのカラーフィルタ用として好ましく用いることができる。
【0155】
本発明の着色組成物を液晶表示装置用途のカラーフィルタとして用いる場合、カラーフィルタを備えた液晶表示素子の電圧保持率は、70%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。高い電圧保持率を得るための公知の手段を適宜組み込むことができ、典型的な手段としては純度の高い素材の使用(例えばイオン性不純物の低減)や、組成物中の酸性官能基量の制御が挙げられる。電圧保持率は、例えば特開2011-008004号公報の段落0243、特開2012-224847号公報の段落0123~0129に記載の方法等で測定することができる。
【0156】
<着色組成物の調製方法>
本発明の着色組成物は、前述の成分を混合して調製できる。着色組成物の調製に際しては、全成分を同時に溶剤に溶解および/または分散して着色組成物を調製してもよいし、必要に応じて、各成分を適宜2つ以上の溶液または分散液としておいて、使用時(塗布時)にこれらを混合して着色組成物を調製してもよい。なかでも、後述する本発明の顔料分散液とその他の成分(例えば、光重合開始剤、重合性化合物、溶剤、樹脂、紫外線吸収剤など)を混合して着色組成物を調製することが好ましい。
【0157】
また、着色組成物の調製に際して、顔料を分散させるプロセスを含むことが好ましい。顔料を分散させるプロセスにおいて、顔料の分散に用いる機械力としては、圧縮、圧搾、衝撃、剪断、キャビテーションなどが挙げられる。これらプロセスの具体例としては、ビーズミル、サンドミル、ロールミル、ボールミル、ペイントシェーカー、マイクロフルイダイザー、高速インペラー、サンドグラインダー、フロージェットミキサー、高圧湿式微粒化、超音波分散などが挙げられる。またサンドミル(ビーズミル)における顔料の粉砕においては、径の小さいビーズを使用する、ビーズの充填率を大きくする事等により粉砕効率を高めた条件で処理することが好ましい。また、粉砕処理後にろ過、遠心分離などで粗粒子を除去することが好ましい。また、顔料を分散させるプロセスおよび分散機は、「分散技術大全、株式会社情報機構発行、2005年7月15日」や「サスペンション(固/液分散系)を中心とした分散技術と工業的応用の実際 総合資料集、経営開発センター出版部発行、1978年10月10日」、特開2015-157893号公報の段落番号0022に記載のプロセス及び分散機を好適に使用出来る。また顔料を分散させるプロセスにおいては、ソルトミリング工程にて粒子の微細化処理を行ってもよい。ソルトミリング工程に用いられる素材、機器、処理条件等は、例えば特開2015-194521号公報、特開2012-046629号公報の記載を参酌できる。
【0158】
着色組成物の調製にあたり、異物の除去や欠陥の低減などの目的で、フィルタでろ過することが好ましい。フィルタとしては、従来からろ過用途等に用いられているフィルタであれば特に限定されることなく用いることができる。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂、ナイロン(例えばナイロン-6、ナイロン-6,6)等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度および/または超高分子量のポリオレフィン樹脂を含む)等の素材を用いたフィルタが挙げられる。これら素材の中でもポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)およびナイロンが好ましい。
【0159】
フィルタの孔径は、0.01~7.0μm程度が適しており、好ましくは0.01~3.0μm程度、より好ましくは0.05~0.5μm程度である。
【0160】
また、フィルタとしては、ファイバ状のろ材を用いたフィルタを用いることも好ましい。ファイバ状のろ材としては、例えばポリプロピレンファイバ、ナイロンファイバ、グラスファイバ等が挙げられる。ファイバ状のろ材を用いたフィルタとしては、具体的にはロキテクノ社製のSBPタイプシリーズ(SBP008など)、TPRタイプシリーズ(TPR002、TPR005など)、SHPXタイプシリーズ(SHPX003など)のフィルタカートリッジが挙げられる。
【0161】
フィルタを使用する際、異なるフィルタを組み合わせてもよい。その際、各フィルタでのろ過は、1回のみでもよいし、2回以上行ってもよい。
例えば、上述した範囲内で異なる孔径のフィルタを組み合わせてもよい。ここでの孔径は、フィルタメーカーの公称値を参照することができる。市販のフィルタとしては、例えば、日本ポール株式会社(DFA4201NXEYなど)、アドバンテック東洋株式会社、日本インテグリス株式会社(旧日本マイクロリス株式会社)または株式会社キッツマイクロフィルタ等が提供する各種フィルタの中から選択することができる。
また、第1のフィルタでのろ過は、分散液のみで行い、他の成分を混合した後で、第2のフィルタでろ過を行ってもよい。第2のフィルタとしては、第1のフィルタと同様の材料等で形成されたものを使用することができる。
【0162】
<顔料分散液>
次に、本発明の顔料分散液について説明する。
本発明の顔料分散液は、緑色顔料、黄色顔料および溶剤を含み、
緑色顔料は、カラーインデックスピグメントグリーン36およびカラーインデックスピグメントグリーン7を少なくとも含み、
黄色顔料は、カラーインデックスピグメントイエロー139およびカラーインデックスピグメントイエロー150を少なくとも含み、
カラーインデックスピグメントグリーン36とカラーインデックスピグメントグリーン7の質量比率が、カラーインデックスピグメントグリーン36:カラーインデックスピグメントグリーン7=25:75~50:50であることを特徴とする。
【0163】
本発明の顔料分散液において、カラーインデックスピグメントグリーン36とカラーインデックスピグメントグリーン7の質量比率は、カラーインデックスピグメントグリーン36:カラーインデックスピグメントグリーン7=25:75~50:50であり、30:70~45:55であることが好ましく、35:65~40:60であることがより好ましい。両者の質量比が上記範囲であれば、赤色や青色との色分離性に優れた分光特性を有する緑色の画素に適した硬化膜を形成することができる。
【0164】
本発明の顔料分散液において、カラーインデックスピグメントイエロー139とカラーインデックスピグメントイエロー150との質量比率は、カラーインデックスピグメントイエロー139:カラーインデックスピグメントイエロー150=0.1:99.9~20:80であることが好ましく、1:99~15:85であることがより好ましく、3:97~10:90であることが更に好ましい。
【0165】
本発明の顔料分散液は、カラーインデックスピグメントグリーン36とカラーインデックスピグメントグリーン7との合計100質量部に対して、カラーインデックスピグメントイエロー139を0.05~20質量部含むことが好ましい。上限は、15質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましく、5質量部以下であることが更に好ましい。下限は、1.0質量部以上であることが好ましく、1.5質量部以上であることがより好ましく、2.0質量部以上であることが更に好ましい。
【0166】
本発明の顔料分散液は、カラーインデックスピグメントグリーン36の100質量部に対して、カラーインデックスピグメントイエロー139を0.1~80質量部含むことが好ましい。上限は、50質量部以下であることが好ましく、40質量部以下であることがより好ましく、30質量部以下であることが更に好ましい。下限は、0.3質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましく、3質量部以上であることが更に好ましい。
【0167】
本発明の顔料分散液は、カラーインデックスピグメントグリーン36とカラーインデックスピグメントグリーン7との合計100質量部に対して、カラーインデックスピグメントイエロー150を49.95~99.9質量部含むことが好ましい。上限は、95質量部以下であることが好ましく、90質量部以下であることがより好ましく、85質量部以下であることが更に好ましい。下限は、50質量部以上であることが好ましく、51質量部以上であることがより好ましい。
【0168】
本発明の顔料分散液は、カラーインデックスピグメントグリーン36の100質量部に対して、カラーインデックスピグメントイエロー150を99.9~399.6質量部含むことが好ましい。上限は、370質量部以下であることが好ましく、300質量部以下であることがより好ましく、200質量部以下であることが更に好ましい。下限は、103質量部以上であることが好ましく、110質量部以上であることがより好ましく、120質量部以上であることが更に好ましい。
【0169】
本発明の顔料分散液は、カラーインデックスピグメントグリーン36とカラーインデックスピグメントグリーン7との合計100質量部に対して、カラーインデックスピグメントイエロー139とカラーインデックスピグメントイエロー150とを合計で50~100質量部含むことが好ましい。上限は、95質量部以下であることが好ましく、90質量部以下であることがより好ましく、85質量部以下であることが更に好ましい。下限は、53質量部以上であることが好ましい。
【0170】
本発明の顔料分散液は、緑色顔料として、カラーインデックスピグメントグリーン36およびカラーインデックスピグメントグリーン7以外の緑色顔料(他の緑色顔料)を更に含有してもよい。本発明の顔料分散液に用いられる緑色顔料は、カラーインデックスピグメントグリーン36とカラーインデックスピグメントグリーン7とを合計で50質量%以上含有することが好ましく、80質量%以上含有することがより好ましく、90質量%以上含有することが更に好ましい。また、緑色顔料は、カラーインデックスピグメントグリーン36およびカラーインデックスピグメントグリーン7以外の緑色顔料(他の緑色顔料)を実質的に含有しないことが好ましい。他の緑色顔料を実質的に含有しない場合とは、他の緑色顔料の含有量が1質量%以下であることを意味し、0.5質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましく、他の緑色顔料を含有しないことが更に好ましい。
【0171】
本発明の顔料分散液は、黄色顔料として、カラーインデックスピグメントイエロー139およびカラーインデックスピグメントイエロー150以外の黄色顔料(他の黄色顔料)を含有してもよい。本発明の顔料分散液に用いられる黄色顔料は、カラーインデックスピグメントイエロー139とカラーインデックスピグメントイエロー150とを合計で50質量%以上含有することが好ましく、80質量%以上含有することがより好ましく、90質量%以上含有することが更に好ましい。また、黄色顔料は、カラーインデックスピグメントイエロー139およびカラーインデックスピグメントイエロー150以外の黄色顔料(他の黄色顔料)を実質的に含有しないことが好ましい。他の黄色顔料を実質的に含有しない場合とは、他の黄色顔料の含有量が1質量%以下であることを意味し、0.5質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましく、他の黄色顔料を含有しないことが更に好ましい。
【0172】
本発明の顔料分散液は、緑色顔料100質量部に対して、黄色顔料を50~100質量部含むことが好ましい。上限は、95質量部以下であることが好ましく、93質量部以下であることがより好ましく、91質量部以下であることが更に好ましい。下限は、51質量部以上であることが好ましく、52質量部以上であることがより好ましく、53質量部以上であることが更に好ましい。この態様によれば、赤色や青色との色分離性に優れた分光特性を有する緑色の画素に適した硬化膜を形成し易い。更には、より矩形性の高いパターンを形成し易い。
【0173】
本発明の顔料分散液は、顔料分散液の全固形分に対して、緑色顔料と黄色顔料とを合計で10~99質量%含有することが好ましい。上限は、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、85質量%以下であることが更に好ましい。下限は、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることが更に好ましい。
【0174】
本発明の顔料分散液は、顔料分散液の全固形分に対して、カラーインデックスピグメントグリーン36とカラーインデックスピグメントグリーン7とカラーインデックスピグメントイエロー139とカラーインデックスピグメントイエロー150とを合計で10~99質量%含有することが好ましい。上限は、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、85質量%以下であることが更に好ましい。下限は、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることが更に好ましい。この態様によれば、赤色や青色との色分離性に優れた分光特性を有する緑色の画素に適した硬化膜を形成し易い。特に、波長500~550nmの範囲の光の透過率が高く、波長400~470nmの範囲の光および波長600~700nmの範囲の光に対する遮蔽性が高い硬化膜を形成し易い。更には、より矩形性の高いパターンを形成し易い。
【0175】
本発明の顔料分散液において、溶剤としては、上述した着色組成物に含まれる成分として説明した溶剤が挙げられる。顔料分散液における溶剤の含有量としては、顔料分散液の全固形分が5~95質量%となる量が好ましい。下限は10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上が更に好ましい。上限は、90質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましく、90質量%以下が更に好ましい。
【0176】
本発明の顔料分散液は、更に樹脂を含有することが好ましい。樹脂としては、上述した着色組成物に含まれる成分として説明した樹脂が挙げられる。なかでも、主鎖に窒素原子を有する繰り返し単位を含む樹脂を含むことが好ましい。顔料分散液における樹脂の含有量としては、顔料分散液の全固形分に対して1~20質量%であることが好ましい。下限は2質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、4質量%以上が更に好ましい。上限は、18質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、13質量%以下が更に好ましい。
【0177】
上述した本発明の着色組成物は、本発明の顔料分散液を含むことが好ましい。
【0178】
<顔料分散液の製造方法>
次に、上述した本発明の顔料分散液の製造方法について説明する。
本発明の顔料分散液の製造方法は、カラーインデックスピグメントグリーン36とカラーインデックスピグメントグリーン7とカラーインデックスピグメントイエロー139とカラーインデックスピグメントイエロー150とを溶剤の存在下で共分散する工程を含む。
これらの顔料を溶剤の存在下で共分散することにより、顔料分散液中における顔料の分散性を向上でき、顔料同士の凝集を効果的に抑制できる。また、顔料同士の凝集を効果的に抑制できることから、乾燥や溶剤混合等によるショックに対し分散安定が崩れにくいという効果が得られる。
【0179】
顔料分散液の製造方法において、顔料の分散に用いる機械力としては、圧縮、圧搾、衝撃、剪断、キャビテーションなどが挙げられる。これらプロセスの具体例としては、ビーズミル、サンドミル、ロールミル、ボールミル、ペイントシェーカー、マイクロフルイダイザー、高速インペラー、サンドグラインダー、フロージェットミキサー、高圧湿式微粒化、超音波分散などが挙げられる。これらの詳細については、着色組成物の調製方法で説明した内容と同様である。また、顔料分散液の製造方法において、異物の除去や欠陥の低減などの目的で、フィルタでろ過することが好ましい。フィルタろ過の詳細については、着色組成物の調製方法で説明した内容と同様である。
【0180】
<硬化膜>
本発明の硬化膜は、上述した本発明の着色組成物から得られる硬化膜である。本発明の硬化膜は、カラーフィルタとして好ましく用いることができる。特に、カラーフィルタの緑色の画素として好ましく用いることができる。硬化膜の膜厚は、目的に応じて適宜調整できる。例えば、膜厚は、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましい。膜厚の下限は、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上がさらに好ましい。
【0181】
本発明の硬化膜は、波長500~550nmの光に対する吸光度の最小値Aminと波長450nmの光に対する吸光度A450との比(Amin/A450)が、0.02~0.09であることが好ましく、0.03~0.08であることがより好ましく、0.04~0.07であることが更に好ましい。また、波長500~550nmの光に対する吸光度の最小値Aminと波長600nmの光に対する吸光度A600との比(Amin/A600)が、0.04~0.17であることが好ましく、0.06~0.15であることがより好ましく、0.08~0.13であることが更に好ましい。
【0182】
また、本発明の硬化膜は、波長400~700nm範囲の光に対する透過スペクトルにおいて、波長500~550nmの範囲に透過率のピーク値を有し、透過率がピーク値の50%になるピーク値の波長よりも長波側の波長λ1とピーク値の波長よりも短波側の波長λ2との差(λ1-λ2)が90~112nmであることが好ましく、93~109nmであることがより好ましく、95~107nmであることが更に好ましい。
【0183】
また、本発明の硬化膜は、波長400~700nmの光に対する透過率の最大値が80%以上であることが好ましく、83%以上であることがより好ましく、85%以上であることが更に好ましい。また、波長475~585nmの光に対する平均透過率が60%以上であることが好ましく、65%以上であることがより好ましく、67%以上であることが更に好ましい。また、本発明の硬化膜は、波長450nmの光に対する透過率が20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましく、13%以下であることが更に好ましい。また、本発明の硬化膜は、波長600nmの光に対する透過率が40%以下であることが好ましく、35%以下であることがより好ましく、33%以下であることが更に好ましい。
【0184】
本発明の硬化膜は、波長365nmの光に対する透過率が1~20%であることが好ましく、2~15%であることがより好ましく、3~10%であることが更に好ましい。
【0185】
<カラーフィルタ>
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。本発明のカラーフィルタは、上述した本発明の硬化膜を有する。本発明のカラーフィルタの好ましい態様として、本発明の着色組成物から得られる緑色画素と、赤色画素と、青色画素とを有する態様が挙げられる。
【0186】
本発明のカラーフィルタにおいて、硬化膜の膜厚は、目的に応じて適宜調整できる。膜厚は、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましい。膜厚の下限は、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上が更に好ましい。本発明のカラーフィルタは、CCD(電荷結合素子)やCMOS(相補型金属酸化膜半導体)などの固体撮像素子や画像表示装置などに用いることができる。
【0187】
<パターン形成方法>
次に、本発明の着色組成物を用いたパターン形成方法について説明する。パターン形成方法としては、本発明の着色組成物を用いて支持体上に着色組成物層を形成する工程と、フォトリソグラフィ法により、着色組成物層に対してパターンを形成する工程と、を含むことが好ましい。
【0188】
フォトリソグラフィ法によるパターン形成は、着色組成物層をパターン状に露光する工程と、未露光部を現像除去してパターンを形成する工程と、を含むことが好ましい。必要に応じて、着色組成物層をベークする工程(プリベーク工程)、および、現像されたパターンをベークする工程(ポストベーク工程)を設けてもよい。以下、各工程について説明する。
【0189】
<<着色組成物層を形成する工程>>
着色組成物層を形成する工程では、着色組成物を用いて、支持体上に着色組成物層を形成する。
【0190】
支持体としては、特に限定は無く、用途に応じて適宜選択できる。例えば、ガラス基材、CCDやCMOS等の固体撮像素子(受光素子)が設けられた固体撮像素子用基材、シリコン基材等が挙げられる。また、これらの基材上には、必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止あるいは表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。
【0191】
支持体上への着色組成物の適用方法としては、スリット塗布、インクジェット法、回転塗布、流延塗布、ロール塗布、スクリーン印刷法等の各種の方法を用いることができる。
【0192】
支持体上に形成した着色組成物層は、乾燥(プリベーク)してもよい。低温プロセスによりパターンを形成する場合は、プリベークを行わなくてもよい。プリベークを行う場合、プリベーク温度は、150℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましく、110℃以下が更に好ましい。下限は、例えば、50℃以上とすることができ、80℃以上とすることもできる。プリベークを150℃以下で行うことにより、例えば、イメージセンサの光電変換膜を有機素材で構成した場合において、これらの特性をより効果的に維持することができる。プリベーク時間は、10秒~300秒が好ましく、40~250秒がより好ましく、80~220秒がさらに好ましい。乾燥は、ホットプレート、オーブン等で行うことができる。
【0193】
<<露光工程>>
次に、着色組成物層をパターン状に露光する(露光工程)。例えば、着色組成物層に対し、ステッパー等の露光装置を用いて、所定のマスクパターンを有するマスクを介して露光することで、パターン露光することができる。これにより、露光部分を硬化することができる。露光に際して用いることができる放射線(光)としては、g線、i線等の紫外線が好ましく(特に好ましくはi線)用いられる。照射量(露光量)は、例えば、0.03~2.5J/cmが好ましく、0.05~1.0J/cmがより好ましい。露光時における酸素濃度については適宜選択することができ、大気下で行う他に、例えば酸素濃度が19体積%以下の低酸素雰囲気下(例えば、15体積%、5体積%、または、実質的に無酸素)で露光してもよく、酸素濃度が21体積%を超える高酸素雰囲気下(例えば、22体積%、30体積%、または、50体積%)で露光してもよい。また、露光照度は適宜設定することが可能であり、通常1000W/m~100000W/m(例えば、5000W/m、15000W/m、または、35000W/m)の範囲から選択することができる。酸素濃度と露光照度は適宜条件を組み合わせてよく、例えば、酸素濃度10体積%で照度10000W/m、酸素濃度35体積%で照度20000W/mなどとすることができる。
【0194】
<<現像工程>>
次に、未露光部を現像除去してパターンを形成する。未露光部の現像除去は、現像液を用いて行うことができる。これにより、露光工程における未露光部の着色組成物層が現像液に溶出し、光硬化した部分だけが支持体上に残る。現像液としては、下地の固体撮像素子や回路などにダメージを起さない、有機アルカリ現像液が望ましい。現像液の温度は、例えば、20~30℃が好ましい。現像時間は、20~180秒が好ましい。また、残渣除去性を向上するため、現像液を60秒ごとに振り切り、さらに新たに現像液を供給する工程を数回繰り返してもよい。
【0195】
現像液としては、アルカリ剤を純水で希釈したアルカリ性水溶液が好ましく使用される。アルカリ剤としては、例えば、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジグリコールアミン、ジエタノールアミン、ヒドロキシアミン、エチレンジアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルビス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムなどの無機アルカリ性化合物が挙げられる。アルカリ剤は、分子量が大きい化合物の方が環境面および安全面で好ましい。アルカリ性水溶液のアルカリ剤の濃度は、0.001~10質量%が好ましく、0.01~1質量%がより好ましい。また、現像液には、界面活性剤をさらに含んでいてもよい。界面活性剤の例としては、上述した界面活性剤が挙げられ、ノニオン系界面活性剤が好ましい。現像液は、移送や保管の便宜などの観点より、一旦濃縮液として製造し、使用時に必要な濃度に希釈してもよい。希釈倍率は特に限定されないが、例えば1.5~100倍の範囲に設定することができる。なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、現像後純水で洗浄(リンス)することが好ましい。
【0196】
現像後、乾燥を施した後に加熱処理(ポストベーク)を行うこともできる。ポストベークは、膜の硬化を完全なものとするための現像後の加熱処理である。ポストベークを行う場合、ポストベーク温度は、例えば100~240℃が好ましい。膜硬化の観点から、200~230℃がより好ましい。ポストベーク後の膜のヤング率は0.5~20GPaが好ましく、2.5~15GPaがより好ましい。また、支持体が、耐熱性の低い素材(例えば、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)素子や、有機素材で構成された光電変換膜を有するイメージセンサなどを含む場合など)においては、ポストベーク温度は、150℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましく、100℃以下が更に好ましく、90℃以下が特に好ましい。下限は、例えば、50℃以上とすることができる。ポストベークは、現像後の膜(硬化膜)について、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式あるいはバッチ式で行うことができる。
【0197】
硬化膜は高い平坦性を有することが好ましい。具体的には、表面粗さRaが100nm以下であることが好ましく、40nm以下であることがより好ましく、15nm以下であることが更に好ましい。下限は規定されないが、例えば0.1nm以上であることが好ましい。表面粗さの測定は、例えばVeeco社製のAFM(原子間力顕微鏡) Dimension3100を用いて測定することができる。また、硬化膜上の水の接触角は適宜好ましい値に設定することができるが、典型的には、50~110°の範囲である。接触角は、例えば接触角計CV-DT・A型(協和界面科学(株)製)を用いて測定できる。
【0198】
パターン(画素)の体積抵抗値は高いことが望まれる。具体的には、画素の体積抵抗値は10Ω・cm以上であることが好ましく、1011Ω・cm以上であることがより好ましい。上限は規定されないが、例えば1014Ω・cm以下であることが好ましい。画素の体積抵抗値は、例えば超高抵抗計5410(アドバンテスト社製)を用いて測定することができる。
【0199】
<固体撮像素子>
本発明の固体撮像素子は、上述した本発明のカラーフィルタを有する。本発明の固体撮像素子の構成としては、本発明のカラーフィルタを備え、固体撮像素子として機能する構成であれば特に限定はないが、例えば、以下のような構成が挙げられる。
【0200】
基材上に、固体撮像素子(CCD(電荷結合素子)イメージセンサ、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)イメージセンサ等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオードおよびポリシリコン等からなる転送電極を有し、フォトダイオードおよび転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口した遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面およびフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、デバイス保護膜上に、カラーフィルタを有する構成である。更に、デバイス保護膜上であってカラーフィルタの下(基材に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、カラーフィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。また、カラーフィルタは、隔壁により格子状に仕切られた空間に、各着色画素を形成する硬化膜が埋め込まれた構造を有していてもよい。この場合の隔壁は各着色画素に対して低屈折率であることが好ましい。このような構造を有する撮像装置の例としては、特開2012-227478号公報、特開2014-179577号公報に記載の装置が挙げられる。本発明の固体撮像素子を備えた撮像装置は、デジタルカメラや、撮像機能を有する電子機器(携帯電話等)の他、車載カメラや監視カメラ用としても用いることができる。
【0201】
<画像表示装置>
本発明のカラーフィルタは、液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス表示装置などの、画像表示装置に用いることができる。画像表示装置の定義や各画像表示装置の詳細については、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著、(株)工業調査会 1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。また、液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田 龍男編集、(株)工業調査会 1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば、上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。
【実施例
【0202】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は、質量基準である。
【0203】
<重量平均分子量の測定>
樹脂の重量平均分子量は、以下の方法で測定した。
カラムの種類:TOSOH TSKgel Super HZM-Hと、TOSOH TSKgel Super HZ4000と、TOSOH TSKgel Super HZ2000とを連結したカラム
展開溶媒:テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
流量(サンプル注入量):1.0μL(サンプル濃度:0.1質量%)
装置名:東ソー製 HLC-8220GPC
検出器:RI(屈折率)検出器
検量線ベース樹脂:ポリスチレン樹脂
【0204】
<顔料分散液の調製>
以下の組成からなる混合液を、ビーズミルにより15時間混合および分散して、顔料分散液を調製した。
(混合液の組成)
カラーインデックスピグメントグリーン36・・・下記の表に質量部
カラーインデックスピグメントグリーン7・・・下記の表に質量部
カラーインデックスピグメントイエロー150・・・下記の表に質量部
カラーインデックスピグメントイエロー139・・・下記の表に質量部
樹脂(アクリキュアーRD-F8、(株)日本触媒製)・・・3.21質量部
樹脂(下記構造の樹脂、重量平均分子量18000、主鎖に付記した数値は、モル比である)・・・6.43質量部
【化21】
プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)・・・2.57質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)・・・71.72質量部
【0205】
【表1】
【0206】
上記表中、PG36は、カラーインデックスピグメントグリーン36であり、PG7は、カラーインデックスピグメントグリーン7であり、PY150はカラーインデックスピグメントイエロー150であり、PY139は、カラーインデックスピグメントイエロー139である。
【0207】
<着色組成物の調製>
以下の原料を混合して着色組成物を調製した。
(着色組成物の組成)
顔料分散液・・・52.17質量部
重合性化合物(NKエステルA-DPH-12E、新中村化学(株)製)・・・2.67質量部
重合性化合物(KAYARAD DPHA、日本化薬(株)製)・・・0.77質量部
樹脂(アクリキュアーRD-F8、(株)日本触媒製)・・・0.44質量部
界面活性剤(下記構造の化合物、重量平均分子量14000、繰り返し単位の割合を示す%は質量%である。PGMEA0.2質量%溶液)・・・4.17重量部
【化22】
光重合開始剤(IRGACURE-OXE02、BASF製)・・・1.78質量部
紫外線吸収剤(UV-503、大東化学(株)製)・・・0.79質量部
PGMEA・・・37.21質量部
【0208】
<硬化膜の作製>
ガラス基板上に、着色組成物を膜厚0.89μmの塗布膜となるようにスピンコートで塗布し、ホットプレートを使用して100℃180秒プリベークした。次いで、これをi線で1000mj/cm 2の露光量で露光した後に、220℃で5分間の加熱を行い、厚さ0.8μmの硬化膜を作製した。
【0209】
<分光評価>
得られた硬化膜について、大塚電子(株)製のMCPD-3000を用い、400~700nmの範囲の光透過率(透過率)を測定した。これらの硬化膜は、波長500~550nmの範囲に透過率のピークを有していた。各硬化膜の分光特性を下記表に記す。なお、以下の表において、λ1およびλ2はそれぞれ、透過率がピーク値の50%になる波長であって、λ1は、ピーク値の波長よりも長波側の波長であり、λ2は、ピーク値の波長よりも短波側の波長である。
【0210】
(矩形性の評価)
<下塗り層付シリコンウエハ基板の作製>
直径8インチ(1インチ=25.4mm)のシリコンウエハをオーブン中で200℃のもと30分加熱処理した。次いで、このシリコンウエハ上に、下塗り用レジスト液(CT-4000、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を乾燥膜厚が0.1μmになるように塗布し、さらに220℃のオーブン中で1時間加熱乾燥させて下塗り層を形成し、下塗り層付シリコンウエハ基板を得た。
各着色組成物を下塗り層付シリコンウエハ基板の下塗り層上に膜厚0.89μmの塗布膜となるように塗布した。そして、100℃のホットプレートを用いて180秒間加熱処理(プリベーク)を行なった。次いで、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(Canon(株)製)を使用して365nmの波長で、パターンを有するマスクを通して露光量500mJ/cmで露光を行った。マスクは1.4μm×1.4μmのベイヤーパターンを有するマスクを用いた。
その後、照射された塗布膜が形成されている基板をスピン・シャワー現像機(DW-30型、(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、アルカリ現像液CD-2060(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を用いて室温で60秒間パドル現像を行いパターンを形成した。
次に、パターンが形成された基板を、真空チャック方式で水平回転テーブルに固定し、回転装置によってシリコンウエハを回転数50rpmで回転させつつ、その回転中心の上方より純水を噴出ノズルからシャワー状に供給してリンス処理(23秒×2回)を行った。次いで、スピン乾燥した後、200℃で300秒間、ホットプレートでポストベークを行い、パターンを得た。
【0211】
得られたパターン付きシリコンウエハを裁断し、パターンの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、20,000倍に拡大して、以下の基準で矩形性を評価した。
A:パターンの上部の幅に対し、下塗り層と接している下部の幅が90%以上130%以下の範囲である。
B:パターンの上部の幅に対し、下塗り層と接している下部の幅が80%以上90%未満であるか、または、130%を超え160%未満である。
C:パターンの上部の幅に対し、下塗り層と接している下部の幅が80%未満であるか、または、160%を超える。
【0212】
【表2】
【0213】
上記表に示すように、実施例の硬化膜は、波長530nmの光の透過率が高く、緑色の画素として感度が優れていた。また、波長450nmおよび波長600nmの透過率が低く、比較例1よりも青色や赤色との色分離性に優れていた。また、各着色組成物を用いてパターンを形成したところ、実施例の着色組成物を用いることで、比較例の着色組成物を用いた場合よりも矩形性の良いパターンを形成することができた。