(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-13
(45)【発行日】2022-04-21
(54)【発明の名称】駆動伝達装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20220414BHJP
F16H 55/17 20060101ALI20220414BHJP
F16D 1/06 20060101ALI20220414BHJP
F16D 7/02 20060101ALI20220414BHJP
F16D 1/112 20060101ALI20220414BHJP
【FI】
G03G21/16 147
F16H55/17 A
F16D1/06 230
F16D7/02 Z
F16D1/112
(21)【出願番号】P 2018023755
(22)【出願日】2018-02-14
【審査請求日】2020-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】富田 賢治
【審査官】三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-101784(JP,A)
【文献】特開2014-092762(JP,A)
【文献】国際公開第2018/020824(WO,A1)
【文献】特開2003-287050(JP,A)
【文献】特開2001-235010(JP,A)
【文献】特開2009-036353(JP,A)
【文献】米国特許第06371044(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
F16H 55/17
F16D 1/06
F16D 7/02
F16D 1/112
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源から駆動力が伝達される駆動伝達部材と、
軸方向に平行な平面を有し、前記駆動伝達部材の被圧入部に圧入される圧入部を前記軸方向の一端部に設けた回転軸とを備えた駆動伝達装置において、
前記軸方向に対して直交する方向であって前記平面に平行な方向から見たときに前記回転軸の一端から前記平面の前記一端とは反対側の端までの間には段差が無く、
前記圧入部は、前記平面における前記回転軸の軸方向の少なくとも一部分と同じ軸方向位置に、該回転軸の軸中心からの距離が互いに異なりかつ該回転軸の軸方向に平行な複数の円弧面が該回転軸の軸方向へ並んで配置されており、
前記複数の円弧面は、前記駆動伝達部材の装着方向の下流側の円弧面の曲率半径が、該装着方向の上流側の円弧面の曲率半径よりも大きく、かつ、前記駆動伝達部材の装着方向の最下流側の円弧面の曲率半径が、該装着方向の最上流側の円弧面の曲率半径よりも大きいことを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項2】
請求項1に記載の駆動伝達装置において、
前記圧入部は、前記装着方向の上流側の前記円弧面と、前記装着方向の下流側の前記円弧面とを繋ぐ傾斜面を有することを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の駆動伝達装置において、
前記駆動伝達部材の前記被圧入部は、前記圧入部の各円弧面が圧入される複数の被圧入面を有し、
前記複数の被圧入面のうちの少なくとも1つの被圧入面は、対応する前記圧入部の前記円弧面の周方向全域にわたって当接する円弧面で構成されることを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の駆動伝達装置において、
前記駆動伝達部材の前記被圧入部は、前記圧入部の各円弧面が圧入される複数の被圧入面を有し、
前記複数の被圧入面のうちの少なくとも1つの被圧入面は、対応する前記圧入部の前記円弧面の周方向1箇所又は2箇所以上に当接する1又は2以上の当接面で構成されることを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項5】
請求項4に記載の駆動伝達装置において、
前記当接面は、前記圧入部の前記円弧面に沿って当接する円弧面であることを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項6】
請求項4に記載の駆動伝達装置において、
前記当接面は、平面であることを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項7】
請求項4乃至6のいずれか1項に記載の駆動伝達装置において、
前記2以上の当接面は、前記回転軸の軸方向に対して直交する面で前記平面に直交する線に対して線対称の位置に配置されていることを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項8】
請求項3乃至7のいずれか1項に記載の駆動伝達装置において、
前記複数の被圧入面のうち、前記装着方向の下流側の被圧入面と前記軸中心との間の距離は、前記装着方向の上流側の被圧入面と前記軸中心との間の距離よりも大きいことを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の駆動伝達装置において、
付勢手段に抗して移動部材を移動させるカム部材に前記駆動力を伝達することを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項10】
請求項9に記載の駆動伝達装置において、
前記駆動源から前記駆動力を受ける駆動側カップリングと、前記駆動側カップリングと係合する従動側カップリングと、
前記駆動側カップリングと前記従動側カップリングとに駆動連結するトルクリミッタとを備えたことを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項11】
請求項9または10に記載の駆動伝達装置において、
前記移動部材が、定着ローラを加圧する加圧ローラであることを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の駆動伝達装置において、
一つ以上の歯車を有し、
前記歯車を、平歯車としたことを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項13】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の駆動伝達装置において、
前記駆動源と、複数のプーリに張架されたベルト部材とを備え、
複数のプーリのうちのひとつが、前記ベルト部材を介して前記駆動源の前記駆動力が伝達される駆動部材の軸に設けられており、
前記回転軸は、前記駆動部材の軸であり、
前記駆動伝達部材は、前記駆動部材の軸に設けられたプーリであることを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項14】
請求項13に記載の駆動伝達装置において、
前記駆動部材は、排紙ローラであることを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項15】
駆動部材に駆動源の駆動力を伝達する駆動伝達装置を備え、記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、
前記駆動伝達装置として請求項1乃至14のいずれか1項に記載の駆動伝達装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動伝達装置および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、駆動源から駆動力が伝達される駆動伝達部材と、軸方向に平行な平面を有し、前記駆動伝達部材の被圧入部に圧入される圧入部を前記軸方向の一端部に設けた回転軸とを備えた駆動伝達装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、前記駆動伝達装置として、回転軸の一端に断面多角形状の圧入部を備え、この圧入部が駆動伝達部材たるギヤの被圧入部に圧入されるものが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の駆動伝達装置においては、ギヤなどの駆動伝達部材の回転軸への組み付け性が悪いという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明は、駆動源から駆動力が伝達される駆動伝達部材と、軸方向に平行な平面を有し、前記駆動伝達部材の被圧入部に圧入される圧入部を前記軸方向の一端部に設けた回転軸とを備えた駆動伝達装置において、前記軸方向に対して直交する方向であって前記平面に平行な方向から見たときに前記回転軸の一端から前記平面の前記一端とは反対側の端までの間には段差が無く、前記圧入部は、前記平面における前記回転軸の軸方向の少なくとも一部分と同じ軸方向位置に、該回転軸の軸中心からの距離が互いに異なりかつ該回転軸の軸方向に平行な複数の円弧面が該回転軸の軸方向へ並んで配置されており、前記複数の円弧面は、前記駆動伝達部材の装着方向の下流側の円弧面の曲率半径が、該装着方向の上流側の円弧面の曲率半径よりも大きく、かつ、前記駆動伝達部材の装着方向の最下流側の円弧面の曲率半径が、該装着方向の最上流側の円弧面の曲率半径よりも大きいことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、駆動伝達部材の回転軸への組み付けを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】定着装置が備える加圧力調整機構の要部構成図。
【
図4】定着装置の奥側端部の軸方向に直交する断面図。
【
図5】定着装置の奥側端部のシート材の搬送方向に直交する断面図。
【
図6】(a)は、加圧ローラが加圧状態のときの様子を示す図であり、(b)は、加圧ローラが脱圧状態のときの様子を示す図。
【
図9】第二ハウジングを取り外した駆動部を、
図8の左側から見た正面図。
【
図10】
図9の状態から、さらに、ウォームホイール、第一ハウジング、ドライブシャフト、第一出力ギヤおよび第二出力ギヤを取り外した正面図。
【
図14】加圧ローラを脱圧状態(加圧力なし)から加圧状態へ移行させるときの様子を示す図。
【
図15】カム部材がスプリングの付勢力で駆動モータから駆動力を受けて回転する回転速度よりも速く回転したときの駆動部の各ギヤの動きについて説明する図。
【
図16】(a)は、駆動連結部材が、回転駆動速度よりも速く回転する前の様子を示す図であり、(b)は、駆動連結部材が、バックトルクにより回転駆動速度よりも速く回転した様子を示す図。
【
図17】ウォームホイールを、非圧入でドライブシャフトのDカット形状部に取り付けた場合について説明する図。
【
図18】ドライブシャフトとウォームホイールとを示す断面図。
【
図19】ウォームホイールをドライブシャフトに装着する様子を説明する図。
【
図20】ドライブシャフトに装着されたウォームホイールを示す斜視図。
【
図21】(a)は、ドライブシャフトに装着されたウォームホイールの横断面図であり、(b)は、
図21(a)のa-a断面図であり、(c)は、
図21(a)のb-b断面図であり、(d)は、
図21(a)のc-c断面図。
【
図22】圧入部に傾斜面を設けていない実施例を示す図。
【
図23】(a)~(c)は、圧入穴に設けられる第一被圧入面の構成例1を示す説明図。
【
図24】圧入穴に設けられる第一被圧入面の構成例2を示す説明図。
【
図25】圧入穴に設けられる第一被圧入面の構成例3を示す説明図。
【
図26】圧入穴に設けられる第一被圧入面の構成例4を示す説明図。
【
図27】圧入穴に設けられる第一被圧入面の構成例5を示す説明図。
【
図28】圧入穴に設けられる第一被圧入面の構成例6を示す説明図。
【
図29】圧入穴に設けられる第一被圧入面の構成例7を示す説明図。
【
図30】圧入穴に設けられる第一被圧入面の構成例8を示す説明図。
【
図36】従動プーリを、非圧入で排紙軸のDカット形状部に取り付けたときの異音の発生について説明する図。
【
図39】従動プーリの排紙軸への装着について説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式で画像を形成する電子写真プリンタ(以下、単にプリンタという)について説明する。
図1は、実施形態に係るプリンタを示す概略構成図である。
図1に示すプリンタは、モノクロプリンタである。その装置本体100には、着脱ユニットとしてのプロセスカートリッジ1が着脱可能に装着されている。プロセスカートリッジ1は、表面に画像を担持する像担持体としての感光体2と、感光体2の表面を帯電させる帯電手段としての帯電ローラ3と、感光体2上の潜像を可視画像化する現像手段としての現像装置4と、感光体2の表面をクリーニングするクリーニング手段としてのクリーニングブレード5等を備える。また、感光体2の周囲には表面を露光する露光手段としてのLEDヘッドアレイ6が配設されている。
【0009】
また、プロセスカートリッジ1には、現像剤収容器としてのトナーカートリッジ7が着脱可能に設けられている。トナーカートリッジ7は、その容器本体22に、現像装置4へ補給する現像剤であるトナーを収容する現像剤収容部8を有する。さらに、本実施形態のトナーカートリッジ7は、クリーニングブレード5で除去されたトナー(廃トナー)を回収する現像剤回収部9も一体的に有している。
【0010】
また、プリンタは、転写材としてのシート材に画像を転写する転写ユニット10と、シート材を供給する給紙装置11と、シート材に転写された画像を定着させる定着装置12と、シート材を装置外へ排出する排紙装置13とを備える。
【0011】
転写ユニット10は、転写フレーム30に回転自在に支持された転写部材としての転写ローラ14を備える。転写ローラ14は、プロセスカートリッジ1を装置本体100に装着した状態で感光体2と当接しており、両者の当接部において転写ニップが形成されている。また、転写ローラ14は、電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が印加されるようになっている。
【0012】
給紙装置11は、シート材Pを収容した給紙カセット15や、給紙カセット15に収容されているシート材Pを給送する給紙ローラ16を備える。また、給紙ローラ16に対してシート材搬送方向下流側には、搬送タイミングを計ってシート材を二次転写ニップへ搬送するタイミングローラとしての一対のレジストローラ17が設けてある。なお、シート材Pには、厚紙、はがき、封筒、普通紙、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ、OHPシート、OHPフィルム等を挙げることができる。
【0013】
定着装置12は、定着ローラ18と、加圧ローラ19とを備える。定着ローラ18は、定着ローラ内部に設置された赤外線ヒータ23によって加熱されるようになっている。加圧ローラ19は、定着ローラ18側へ加圧されて定着ローラ18に当接し、その当接箇所において定着ニップが形成されている。
【0014】
排紙装置13は、一対の排紙ローラ20を備える。排紙ローラ20によって装置外に排出されたシート材は、装置本体100の上面を凹ませて形成された排紙トレイ21上に積載されるようになっている。
【0015】
続いて、
図1を参照して、本実施形態に係るプリンタの基本的動作について説明する。作像動作が開始されると、プロセスカートリッジ1の感光体2が
図1の時計回りに回転駆動され、帯電ローラ3によって感光体2の表面が所定の極性に一様に帯電される。外部の機器から入力される画像情報に基づいて、LEDヘッドアレイ6から感光体2の帯電面に光が照射されて、感光体2の表面に静電潜像が形成される。
【0016】
このように感光体2上に形成された静電潜像に、現像装置4によってトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー画像として顕像化(可視像化)される。
【0017】
また、作像動作が開始されると、転写ローラ14が回転駆動し、転写ローラ14に、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が印加されることによって、転写ローラ14と感光体2との間において転写電界が形成される。
【0018】
装置本体100の下部では、給紙ローラ16が回転駆動を開始し、給紙カセット15からシート材Pが送り出される。送り出されたシート材Pは、レジストローラ17によって搬送を一旦停止される。
【0019】
その後、所定のタイミングでレジストローラ17の回転駆動を開始し、感光体上のトナー画像が転写ニップに達するタイミングに合わせて、シート材Pを転写ニップへ搬送する。そして、前記転写電界によって、感光体2上のトナー画像が転写体たるシート材P上に一括して転写される。また、シート材Pに転写しきれなかった感光体上の残留トナーは、クリーニングブレード5によって除去され、除去されたトナーは、現像剤回収部9へ搬送され回収される。
【0020】
その後、トナー画像が転写されたシート材Pは、定着装置12へと搬送され、定着装置12においてシート材P上のトナー画像が当該シート材Pに定着される。そして、シート材Pは、一対の排紙ローラ20によって装置外に排出され、排紙トレイ21上にストックされる。
【0021】
また、装置本体100の側面(図中右側側面)には、図中矢印方向に開閉可能な開閉カバー37が設けられている。この開閉カバー37を開けることで、開いた開口部から、プロセスカートリッジ1が装置本体100から取り出される。
【0022】
図2は、定着装置12の斜視図であり、
図3は、定着装置12が備える加圧調整機構40の要部構成図である。
図4は、定着装置12の奥側端部の軸方向に直交する断面図であり、
図5は、定着装置12の奥側端部のシート材Pの搬送方向に直交する断面図である。
定着装置12は、内部に赤外線ヒータ23を配置し、この赤外線ヒータ23により加熱される被加熱部材たる定着ローラ18と、定着ローラ18に圧接してニップ部としての定着ニップを形成する移動部材たる加圧ローラ19と、加圧ローラ19を、定着ローラ18に対して移動させ、加圧ローラ19の定着ローラ18に対する加圧力を調整する加圧調整機構40とを備えている。
【0023】
加圧調整機構40は、加圧ローラ19の定着ローラ18に対する加圧力を調整可能に支持する一対のレバー部材41、レバー部材41を介して加圧ローラ19を定着ローラ18に向けて付勢する付勢手段たる一対のスプリング43、レバー部材41を介して加圧ローラ19をスプリング43の付勢力に抗して定着ローラ18から離間する方向に移動させる一対のカム部材44、このカム部材44を駆動する駆動手段たる駆動部50などを有している。
【0024】
定着ローラ18は、軸方向両側が、一対の側板47に回転自在に支持されている。加圧ローラ19の軸方向両側は、それぞれ加圧調整機構40のレバー部材41に回転自在に支持されている。各レバー部材41は、
図3に示すように、一端に支持軸41aが設けられており、側板47に回転自在に支持されている。各レバー部材41の他端には、バネ受け41bが設けられており、このバネ受け41bにスプリング43の一端が取り付けられており、スプリング43の他端は、
図2に示すように、側板47に設けられたバネ受け47aに取り付けられている。レバー部材41の他端側には、カム受け42が形成されており、カム部材44は、このカム受け42と当接している。
【0025】
一対のカム部材44は、カムシャフト44aと一体的に回転するように平行ピン44c(
図5参照)によりカムシャフト44aに取り付けられている。カムシャフト44aの奥側端部(
図2の右側端部)には、駆動部50の第二出力ギヤ54と噛み合うカムギヤ55が、カムシャフト44aと一体的に回転するように平行ピン55aによりカムシャフト44aに取り付けられている。
【0026】
また、このカムギヤ55には、カム部材44の回転角度を検出する回転角度検知機構45のフィラー45aが形成されている。また、奥側の側板47には、回転角度検知機構45の前記フィラー45aを検知する光学センサ45bが取り付けられている。フィラー45aは、半円形状であり、光学センサ45bは、フォトインタラプタ(透過型光学センサ)である。
【0027】
図6(a)は、加圧ローラ19が加圧状態のときの様子を示す図であり、
図6(b)は、加圧ローラ19が脱圧状態のときの様子を示す図である。
図6(a)、
図6(b)の図中左側は、回転角度検知機構45の加圧状態のときの様子と、脱圧状態のときの様子とを示している。
図6に示すように、レバー部材41は、加圧ローラ19の軸19aを受ける軸受46に当接している。この軸受46は、図中矢印K方向に往復移動可能に側板47に保持されている。また、回転角度検知機構45のフィラー45aは、半円形状であり、回転方向の一端側には、開口部45cを有している。
【0028】
図6(a)に示すように、加圧状態のときは、フィラー45aが光学センサ45bの発光素子と受光素子との間に入り込んで両者間の光路を遮断している。また、加圧状態のときは、カム部材44の下死点が、カム受け42に当接している。
【0029】
加圧状態から脱圧状態に移行するべく、駆動部50を駆動させると、カム部材44およびフィラー45aが図中反時計回りに回動する。すると、
図6(a)に示す状態からカム部材44が、カム受け42を、スプリング43の付勢力に抗して図中下側に押し込む。これにより、レバー部材41が、支持軸41aを支点にして図中反時計回りに回動し、移動部材たる加圧ローラ19が、定着ローラ18からの反力により、定着ローラ18から離間する方向へ移動して、加圧ローラ19の定着ローラ18への加圧力が低下していく。
【0030】
そして、
図6(b)に示すように、カム部材44の上死点が、カム受け42に当接すると、開口部45cが光学センサ45bの発光素子と受光素子との間に位置し、光学センサ45bの受光素子が、発光素子の光を検知する。これにより、加圧ローラ19が脱圧位置まで退避したことを検知することができる。
【0031】
本実施形態においては、定着装置12で紙詰まりが発生した場合、加圧調整機構40により脱圧状態とする。これにより、定着ニップ部に詰まった紙の除去作業を行いやすくすることができる。
【0032】
また、プリンタが待機状態からスリープモードに移行した場合や、電源OFFした場合、加圧調整機構40により加圧ローラ19の定着ローラ18への加圧力を低減することで、ニップ部におけるクリープの発生を防止することができる。また、封筒等の厚紙を通紙する際にも、加圧調整機構40により加圧ローラ19の定着ローラ18への加圧力を低減することで、シワを発生させることなく定着処理を行うことができる。
【0033】
脱圧状態から加圧状態に移行するときは、加圧状態から脱圧状態に移行するときの回転方向とは逆方向に駆動モータ51を駆動する。すると、カム部材44が図中計回りに回動し、スプリング43の付勢力によりレバー部材41が支持軸41aを支点にして図中時計回りに回動し、加圧ローラ19が定着ローラ18を加圧していく。また、フィラー45aが、光学センサ45bの受光素子と発光素子との間に入り込んで、受光素子が光を検知しなくって所定時間経過したら、規定の加圧力に達したと判断し、駆動モータ51の駆動を停止する。
【0034】
図7は、加圧調整機構40の駆動部50の分解斜視図であり、
図8は、軸方向と平行に切った駆動部50の断面図である。また、
図9は、第二ハウジング56を取り外した駆動部50を、
図8の左側から見た正面図であり、
図10は、
図9の状態から、さらに、ウォームホイール75、第一ハウジング66、ドライブシャフト73、第一出力ギヤ53および第二出力ギヤ54を取り外した正面図である。
本実施形態の駆動部50は、主に駆動モータ51、ウォームギヤ60、遊星歯車機構70および負荷付与部80で構成されており、ウォームギヤ60、負荷付与部80、遊星歯車機構70の順に駆動力が伝達される。
【0035】
駆動モータ51として、ブラシレスモータに比べて安価で小型なブラシモータを用いている。駆動モータ51のモータ軸には、ウォームギヤ60のウォーム61が、モータ軸と一体的に回転するように取り付けられている。このウォーム61には、ウォームホイール75が噛み合っている。ウォームホイール75は、軸受154を介してブラケット52に回転自在に支持されたドライブシャフト73に支持されている。
【0036】
図11は、負荷付与部80の分解斜視図であり、
図12は、
図8のA-A断面図であり、
図13は、
図8のB-B断面図である。
負荷付与部80は、主に、駆動側カップリング75a、従動側カップリング71b、ドライブシャフト73、負荷付与手段としてのトルクリミッタ72で構成されている。前記駆動側カップリング75aは、ウォームホイール75に設けられている。駆動側カップリング75aの内周面には、180°の間隔を開けて、駆動側係合突起175が設けられている。ウォームホイール75は、ドライブシャフト73に一体的に回転するように取り付けられている。具体的には、ドライブシャフト73は、断面略Dカット形状の圧入部73aを有しており、ウォームホイール75は、樹脂などのある程度弾性変形可能な材料からなり、圧入部73aが圧入される断面略Dカット形状の被圧入部である圧入穴75cを有している。この圧入穴75cを、弾性変形(拡径)させながらドライブシャフト73の圧入部73aが圧入されることにより、ウォームホイール75は、ドライブシャフト73と一体的に回転するように、ドライブシャフト73に取り付けられる。なお、圧入部73aや圧入穴75cの詳細については、後述する。
【0037】
ドライブシャフト73の一端は、軸受154を介してブラケット52に回転自在に支持されている。ドライブシャフト73の他端には、第二ハウジング56に回転自在に支持される支持部73bを有している。この支持部73bは、圧入部73aよりも短径となっている。
【0038】
このドライブシャフト73には、負荷付与手段としてのトルクリミッタ72と、駆動連結部材71とが取り付けられている。トルクリミッタ72のウォームホイール75の側端部には、軸方向に延びる切り欠き部72aが回転方向に180°の間隔を開けて2つ設けられている。ドライブシャフト73には、平行ピン74が嵌め込まれており、この平行ピン74が、トルクリミッタ72の切り欠き部72aに入り込んでいる。
【0039】
また、トルクリミッタ72の駆動連結部材側端部には、軸方向に延びる係合突起部72bが、回転方向に180°の間隔を開けて2つ設けられている。これら係合突起部72bが、駆動連結部材71のトルクリミッタ72と対向する対向面に設けられた係合孔部71cに入り込んでいる。
【0040】
駆動連結部材71は、ドライブシャフト73に回転自在に支持されており、従動側カップリング71bと、ギヤ部71aとを有している。従動側カップリング71bは、駆動側カップリング内に入り込む外径となっており、その外周面には、従動側係合突起171が、回転方向に180°の間隔を開けて2つ設けられている。
【0041】
図7、
図8に示すように遊星駆動伝達部材62は、ブラケット52にカシメ固定された第一支持軸152に回転自在に支持されている。遊星駆動伝達部材62は、遊星歯車機構70の太陽歯車62bが形成されている。
【0042】
遊星歯車機構70は、上述の太陽歯車62b、この太陽歯車62bと噛み合う3個の遊星歯車65、これら遊星歯車65を回転自在に支持するキャリア64、これら遊星歯車65と噛み合う内歯歯車66aを有している。また、遊星歯車機構70は、遊星歯車65をキャリア64に保持させるキャリアホルダ63も備えている。
【0043】
遊星歯車65は、回転方向に等間隔でキャリア64に設けられた遊星支持部64cに回転自在に支持されている(
図8、
図10参照)。キャリアホルダ63には、キャリア64に取り付けるためのスナップフィット部63aが設けられている。このスナップフィット部63aを弾性変形させながらスナップフィット部先端の爪部をキャリア64の係合穴部64bを通すことで、キャリアホルダ63が、キャリア64に取り付けられる。これにより、遊星歯車65がキャリア64に保持される。
【0044】
内歯歯車66aは、第一ハウジング66に設けられている。第一ハウジング66は、ブラケット52や第二ハウジング56に組み合わせることで、ウォームギヤ60、遊星歯車機構70および負荷付与部80を覆うものである。
【0045】
キャリア64には、
図7、
図8、
図10に示すように、第一支持軸152に支持されるための筒状の被支持部64aを有しており、被支持部64aを第一支持軸152に嵌め込むことでキャリア64が、回転自在に第一支持軸152に支持されている。また、この被支持部64aの外周面には、第一支持軸152に回転自在に支持された第一出力ギヤ53と駆動連結する駆動連結凸部164が、120°の間隔を開けて3つ設けられている。一方、第一出力ギヤ53のキャリア64との対向面には、被支持部64aが挿入される筒状部を有しており、この筒状部の内周面には、前記駆動連結凸部164が嵌合する溝部が120°の間隔を開けて3つ設けられている。これにより、キャリア64から第一出力ギヤ53に駆動力が伝達される。
【0046】
第一出力ギヤ53には第二出力ギヤ54が噛み合っており、第二出力ギヤ54は、ブラケット52にカシメ固定された第二支持軸153に回転自在に支持されている。第二出力ギヤ54は、カムギヤ55(
図2参照)と噛み合っている。
【0047】
駆動モータ51が回転駆動すると、ウォームギヤ60により減速されて、駆動側カップリング75aとドライブシャフト73とが回転駆動する。駆動側カップリング75aの駆動側係合突起175が、従動側係合突起171に当接していないときは、ドライブシャフト73を介して駆動モータ51の駆動トルクがトルクリミッタ72に加わる。駆動トルクがトルクリミッタ72に加わると、トルクリミッタ72が作動し、トルクリミッタ72から駆動連結部材71への駆動力の伝達が遮断され、駆動連結部材71は回転しない。
【0048】
駆動側カップリング75aの駆動側係合突起175が、従動側係合突起171に当接すると、駆動側カップリング75aから従動側カップリング71bへ駆動力が伝達され、駆動連結部材71が回転駆動する。そして、駆動連結部材71のギヤ部71aから遊星駆動伝達部材62の入力ギヤ62aに駆動力が伝達され、遊星歯車機構70の太陽歯車62bが回転駆動する。
【0049】
太陽歯車62bが回転駆動すると、太陽歯車62bに噛み合う遊星歯車65が、自転しながら、太陽歯車62bの周りを公転する。遊星歯車65が太陽歯車62bの周りを公転することで、キャリア64が回転し、キャリア64と係合している第一出力ギヤ53がキャリア64とともに回転する。そして、第一出力ギヤ53と噛み合う第二出力ギヤ54に駆動力が伝達され、カムギヤ55(
図2参照)を介してカム部材44が回転駆動する。
【0050】
上述したように、加圧ローラ19の定着ローラ18への加圧力を低減するとき、スプリング43の付勢力に抗して、カム部材44によりレバー部材41を押し込む必要があり、カム部材44の負荷トルクが大きくなる。また、レバー部材41の他端を、
図3に示す下方へ押し込む結果、スプリング43が伸び、スプリング43の付勢力が増加し、カム部材44の負荷トルクが増加する。よって、加圧ローラ19の定着ローラ18への加圧力を低減させるほど、カム部材44の負荷トルクが増加することになる。
【0051】
駆動部50の駆動モータ51の駆動力をカム部材44に伝達する駆動伝達機構を、複数の外歯ギヤの噛み合いにより駆動伝達を行うギヤ列で構成した場合、十分な減速比が得られない。したがって、駆動モータ51として、駆動トルクの大きいモータを用いることで、カム部材44に出力される出力トルクを負荷トルクよりも大きくする。これにより、スプリング43の付勢力に抗して、レバー部材41を回動させることができる。しかし、駆動トルクの大きいモータは、大きく、高価である。その結果、装置の大型化、装置のコストアップに繋がるという課題がある。
【0052】
そこで、本実施形態の駆動部50は、ウォームギヤ60と遊星歯車機構70とを用いて、高い減速比が得られるように構成している。このように、高い減速比を得ることができるので、駆動モータ51の駆動トルクが低いモータを用いても、カム部材44への出力トルクを、カム部材44の負荷トルクよりも大きくすることができる。これにより、駆動モータ51として、駆動トルクが低い安価で小型のブラシモータを用いても、良好にカム部材44をスプリング43の付勢力に抗して回転駆動させることができ、加圧ローラ19の定着ローラ18に対する加圧力を調整することができる。
【0053】
また、ウォームギヤ60と遊星歯車機構70とを用いることで、大口径ギヤを用いずとも、大きな減速比を得ることができ、ギヤ列で大きな減速比を得る場合に比べて、装置の大型化を抑制することができる。
【0054】
また、本実施形態においては、高い減速比を得ることができるので、駆動モータ51の駆動量に対するカム部材44の回転角度を小さくすることができる。これにより、細かくカム部材44の回転角度の調整が可能となり、細かい加圧力の調整を行うことができる。
【0055】
また、本実施形態の遊星歯車機構70は、太陽歯車62bが入力、内歯歯車66aが固定、キャリア64が出力となっている。太陽歯車62b入力、内歯歯車66a固定、キャリア64出力とすることで、最も大きい減速比を得ることができる。
【0056】
また、定着装置12を装置本体100に組み付ける際に、定着装置12に設けられたカムギヤ55の歯先が装置本体100に設けられた第二出力ギヤ54の歯先にぶつかるおそれがある。このように、カムギヤ55の歯先が装置本体100に設けられた第二出力ギヤ54の歯先にぶつかった際に、第二出力ギヤ54が回転して、第二出力ギヤ54とカムギヤ55とが噛み合うようにする必要がある。本実施形態の駆動部50は、上述したように、高い減速比が得られるように構成しているため、出力側から力を伝達して、停止している駆動モータ51を回転させるには、大きな力が必要である。このため、停止した駆動モータ51を回転させることなく、第二出力ギヤ54がある程度回転するように駆動部50を構成する必要がある。
【0057】
そこで、本実施形態においては、
図12に示すように、従動側係合突起171と駆動側係合突起175とを回転方向に180°の間隔を開けて2つ設け、駆動連結部材71がウォームホイール75に対して略180°回動可能となっている。これにより、ウォームホイール75を回転させて停止中の駆動モータ51を回転させずに、駆動連結部材71が略半回転するまで、ウォームホイール75よりも駆動伝達方向下流側の駆動伝達部材(第二出力ギヤ54、第一出力ギヤ53、遊星歯車機構70の各部材)を回転させることができる。これにより、定着装置12を装置本体100に組み付ける際に、カムギヤ55の歯先が第二出力ギヤ54の歯先にぶつかった際に、停止中の駆動モータ51を回転させることなく、第二出力ギヤ54が回転して第二出力ギヤ54とカムギヤ55とが噛み合わせることができる。これにより、定着装置12の組み付け時に大きな力が必要となることがなく、定着装置12を容易に組み付けることができる。
【0058】
図14は、加圧ローラ19を脱圧状態(加圧力なし)から加圧状態へ移行させるときの様子を示す図である。
加圧ローラ19が脱圧状態のときは、先の
図6(b)に示したように、カム部材44の回転軸中心から外周面までの距離が最大となるカム部材44の上死点がカム受け42に当接している。この状態から、カム部材44を
図14の矢印A方向に回転させると、カム受け42とカム面44bとの接点S1とカム部材44の回転中心O1とを結ぶ線Bに対して、カム部材44がカム受け42から受けるスプリング43の付勢方向Fが回転方向にずれる。その結果、カム部材44の回転方向にスプリング43の付勢力がカム部材44に働き、カム部材44が回転方向に押し込まれ、カム部材44が、駆動モータ51から駆動力を受けて回転する回転駆動速度よりも速く回転してしまう。
【0059】
図15は、カム部材44がスプリング43の付勢力で駆動モータ51から駆動力を受けて回転する回転速度よりも速く回転したときの駆動部50の各ギヤの動きについて説明する図である。
駆動部50のギヤの噛み合い部など、駆動伝達部材間の係合部は、バックラッシュなどの所定の遊びがある。そのため、スプリング43の付勢力によりカム部材44が回転駆動速度よりも速く回転すると、カムシャフト44aが、カム部材44と共に回転駆動速度よりも速く回転する。その結果、図中矢印A2に示すように、カムシャフト44aに取り付けられたカムギヤ55が回転駆動速度よりも速く回転する。カムギヤ55が、第二出力ギヤ54との遊び(バックラッシュ)分速く回転すると、カムギヤ55の歯が、第二出力ギヤ54の歯に当たり、第二出力ギヤ54を回転方向に押し込む。すると、第二出力ギヤ54が図中矢印A3に示すように、第一出力ギヤ53との遊び分、速く回転した後、第一出力ギヤ53を押し込んで、第一出力ギヤ53を、図中矢印A4に示すように、第一出力ギヤ53を回転駆動速度よりも速く回転させる。
【0060】
そして、上述と同様にして、第一出力ギヤ53から遊星歯車機構70、駆動連結部材71にスプリング43の付勢力(以下、バックトルクという)が伝達され、駆動連結部材71が、前記回転駆動速度よりも速く回転する。
【0061】
図16(a)は、駆動連結部材71が、回転駆動速度よりも速く回転する前の様子を示す図であり、(b)は、駆動連結部材71が、バックトルクにより回転駆動速度よりも速く回転した様子を示す図である。
図16(a)に示すように、駆動連結部材71が、駆動モータ51から駆動力を受けて回転駆動速度で回転しているときは、駆動側係合突起175が、回転方向上流側から従動側係合突起171に当接し、駆動連結部材71に駆動力を伝達する。これにより、ウォームホイール75と駆動連結部材71とが一体となって回転している。
【0062】
図16(b)の矢印A6に示すように、駆動連結部材71が、バックトルクにより前記回転駆動速度よりも速く回転すると、従動側係合突起171が駆動側係合突起175から離れように回転方向に移動する。
【0063】
本実施形態では、上述したように、定着装置12の組み付けを容易にするため、駆動連結部材71の従動側係合突起171と駆動側係合突起175との間の遊びが、略180°ある。そのため、バックトルクにより駆動連結部材71が加速していき、従動側係合突起171が略180°回転方向に移動した後、回転方向上流側から駆動側係合突起175に勢いよく衝突し、衝突音が発生するおそれがある。
【0064】
このため、本実施形態では、負荷付与手段として、トルクリミッタ72を設けて、バックトルクによる駆動連結部材71の回転に負荷を付与している。具体的には、駆動連結部材71にバックトルクが伝達され、駆動連結部材71が、回転駆動速度よりも速く回転すると、駆動連結部材71を介してトルクリミッタ72にバックトルクが入力される。トルクリミッタ72が作動するトルクは、前記バックトルク未満に設定されており、トルクリミッタ72にバックトルクが入力されると、トルクリミッタ72が作動して、駆動連結部材71とドライブシャフト73との間の駆動伝達が遮断される。
【0065】
トルクリミッタ72が作動して駆動伝達を遮断しているときは、所定の回転負荷が生じる。例えば、トルクリミッタ72が摩擦式の場合、トルクリミッタ72のドライブシャフト73に取り付けられた第一部材と、駆動連結部材71に取り付けられた第二部材との間の静止摩擦力よりもトルクリミッタ72に加わるトルクが大きいと、第一部材に対し、第二部材が相対的に回転し、駆動伝達を遮断する仕組みである。従って、第一部材に対し、第二部材が相対的に回転し、駆動伝達を遮断している状態のとき、第一部材と第二部材との間には、所定の摩擦力が生じており、負荷が発生する。また、トルクリミッタ72が磁気式の場合は、第一部材に対し、第二部材が相対的に回転し、駆動伝達を遮断している状態のとき、第一部材と第二部材との間には、所定の磁気力が生じており、負荷が発生する。このように、トルクリミッタ72が作動して、駆動伝達を遮断している状態のときは、回転負荷が発生する。よって、駆動連結部材71にバックトルクが伝達され、回転駆動速度よりも速く回転し、トルクリミッタ72が作動すると、トルクリミッタ72に負荷が発生し、駆動連結部材71の回転にブレーキをかける。これにより、駆動連結部材71の回転が十分減速されたうえで、従動側係合突起171が、駆動側係合突起175に衝突することになり、衝突音の発生を抑制することができる。
【0066】
また、カム部材44が駆動モータ51の駆動力で回転駆動しているときは、トルクリミッタ72には、トルクがかからずトルクリミッタ72は作動せず、カム部材44がスプリング43の付勢力で回転するときのみ、トルクリミッタ72が作動して負荷を与える。これにより、カム部材44が駆動モータ51の駆動力で回転駆動しているときの負荷を低減することができ、出力トルクの低い安価なモータを用いることができる。
【0067】
また、本実施形態においては、カム部材44の回転速度を、検知センサなどを用いて検知せずとも、カム部材44がスプリング43の付勢力で速く回転すると負荷を与えることができる。また、カム部材44が規定の速度よりも速く回転したときに、摩擦抵抗部材を移動させて、駆動連結部材71に押し当てて、負荷を当てるようにするものに比べて、簡単な構成で、負荷を与えることができる。これにより、安価な構成で、負荷付与部80を形成することができ、装置のコストダウンを図ることができる。さらには、トルクリミッタ72を、駆動側カップリング75aと従動側カップリング71bとにより内包する構成とすることで、負荷付与部80の大型化するのを抑制することができる。
【0068】
また、本実施形態においては、駆動部50を構成する各ギヤ(カムギヤ55、第二出力ギヤ54、第一出力ギヤ53等)として、平歯車を用いるのが好ましい。本実施形態においては、脱圧状態から加圧状態に移行するときは、加圧状態から脱圧状態に移行するときの回転方向とは逆方向に駆動モータ51を駆動し駆動部50を構成する各ギヤを、脱圧状態から加圧状態に移行するときとは逆方向に回転させる。そのため、各ギヤをハス歯歯車とした場合、脱圧状態から加圧状態に移行するときと、加圧状態から脱圧状態に移行するときのスラスト方向(軸方向)に働く力が互いに逆方向となる。その結果、各ギヤは、脱圧状態から加圧状態に移行するときと、加圧状態から脱圧状態に移行するときとで、スラスト方向において、互いに異なる方向に移動することになり、各ギヤが、スラスト方向に対向する部材に衝突し、衝突音が発生するおそれがある。一例を挙げると、第二支持軸153に回転自在に支持されている第二出力ギヤ54が、脱圧状態から加圧状態に移行するときは、第二ハウジング56側へ移動し、第二ハウジング56に衝突して衝突音が発生する。また、加圧状態から脱圧状態に移行するときは、第二出力ギヤ54はブラケット52側へ移動し、ブラケット52に衝突して衝突音が発生するのである。
【0069】
一方、駆動部50を構成する各ギヤを平歯車とすることで、駆動時にスラスト方向に力が働くことがなく、各ギヤがスラスト方向に移動するのを抑制することができる。よって、スラスト方向に対向する部材に衝突するのを抑制することができ、衝突音が発生するのを抑制することができる。
【0070】
図17は、ウォームホイール75を、非圧入でドライブシャフト73のDカット形状部273aに取り付けた場合について説明する図である。
図17に示すように、ウォームホイール75を、非圧入でドライブシャフト73のDカット形状部273aに取り付けた場合、図中破線で示すようにウォームホイール75が、ドライブシャフト73に対して図中K分回転方向にガタついてしまう。
【0071】
本実施形態においては、トルクリミッタ72が作動して駆動伝達を遮断する前に、トルクリミッタ72を介してドライブシャフト73にバックトルクが伝達される。その結果、ウォームホイール75がバックトルクにより速く回転し、ウォームホイール75の歯部75bの歯が、ウォーム61に衝突する。ウォーム61は、モータ軸に取り付けられており、駆動モータ51から直接駆動力が伝達される部材である。よって、他の駆動伝達部材とは異なり、これよりも駆動伝達方向上流側のギヤなどの駆動伝達部材へバックトルクを受け流すことができない。そのため、先の
図17に示したように、非圧入でドライブシャフト73のDカット形状部273aに取り付け、ドライブシャフト73の回転方向にガタがあると、ウォームホイール75の歯部75bの歯がウォーム61に衝突した後、ウォームホイール75が回転方向に振動してしまう。その結果、ウォームホイール75の歯部75bの歯がウォーム61に何度も当たり、騒音が発生するという不具合があった。
【0072】
そこで、本実施形態においては、ウォームホイール75を、圧入によりドライブシャフト73に取り付ける。これにより、ウォームホイール75が、ドライブシャフト73に対して回転方向にガタつくのを抑制することができる。その結果、ウォームホイール75がバックトルクにより回転駆動速度よりも速く回転し、ウォーム61に衝突した後に、ウォームホイール75が回転方向に振動するのを抑制することができ、騒音の発生を抑制することができる。
【0073】
しかしながら、ウォームホイール75を圧入でドライブシャフト73に取り付ける構成とした場合、ウォームホイール75のドライブシャフト73への組み付けが困難になるという不具合があった。
【0074】
そこで、本実施形態においては、ドライブシャフト73における断面略Dカット形状の圧入部73aが、ドライブシャフト73の軸方向に平行なカット面(平面)における当該軸方向の少なくとも一部分と同じ軸方向位置に、ドライブシャフト73の軸中心からの距離が互いに異なりかつ当該軸方向に平行な2つの円弧面が当該軸方向へ並んで配置された構成とした。特に、本実施形態の圧入部73aは、これらの円弧面を繋ぐ傾斜面を有する構成とした。以下、図面を用いて具体的に説明する。
【0075】
図18は、ドライブシャフト73とウォームホイール75とを示す断面図である。
図18に示すように、ドライブシャフト73の一端(図中左側)にはウォームホイール75の圧入穴75cに圧入される圧入部73aが設けられている。この圧入部73aには、軸方向に平行な平面(カット面)173dと、平面173dにおける軸方向の少なくとも一部分と同じ軸方向位置に配置され、軸方向に平行な2つの円弧面173a,173cと、これら2つの円弧面173a,173cを繋ぐ軸方向に対して傾斜した傾斜面173bとを有している。2つの円弧面173a,173cは、ドライブシャフト73の軸中心O2に一致する曲率中心をもつが、ドライブシャフト73の軸中心O2からの距離(曲率半径)h1,h2が互いに異なっている。具体的には、2つの円弧面173a,173cのうち、ウォームホイール75の装着方向(ウォームホイール75のドライブシャフト73への装着方向。
図18中矢印I1の方向。)の下流側、すなわち、ドライブシャフト73の軸方向中央側(図中右側)に位置する第二円弧面173cは、その距離h2が第一円弧面173aの距離h1よりも長い(h1<h2)。
【0076】
ウォームホイール75のドライブシャフト73が圧入される圧入穴75cの内周面には、ドライブシャフト73の圧入部73aの平面173dが当接する軸方向に平行な内周平面175dと、圧入部73aの第一円弧面173aが当接する第一被圧入面175aと、圧入部73aの第二円弧面173cが当接する第二被圧入面175bとを有している。2つの被圧入面175a,175bは、ウォームホイール75のドライブシャフト73への装着が完了したときにドライブシャフト73の軸中心O2が位置するウォームホイール75の対応軸中心O3からの距離h3,h4が互いに異なっている。具体的には、2つの被圧入面175a,175bのうち、ウォームホイール75の装着方向I1の下流側(図中右側)に位置する第二被圧入面175bは、その距離h4が第一被圧入面175aの距離h3よりも長い(h3<h4)。また、ウォームホイール75の装着方向I1の下流側の圧入穴75cの端部には、内径が装着方向I1の下流側に向かうに従って広がるテーパ部175cを有している。
【0077】
図19は、ウォームホイール75をドライブシャフト73に装着する様子を説明する図である。
図19の(a1)~(c1)は、本実施形態のウォームホイール75の装着の様子を説明する図であり、
図19の(a2)~(c2)は、従来のウォームホイール75’の装着の様子を説明する図である。
【0078】
図19(a2)~(c2)に示す従来の構成においては、ドライブシャフト73’の圧入部73a’は、円弧面173’が軸方向にひとつだけ設けられており、ウォームホイール75’の圧入穴75c’は、その円弧面173’が当接する被圧入面175’が軸方向にひとつだけ設けられている。
【0079】
図19(a2)、(b2)に示すように、従来においては、ドライブシャフト73’の軸中心O2と、ウォームホイール75’の対応軸中心O3とがずれた状態で、ウォームホイール75’をドライブシャフト73’に装着していくと、ウォームホイール75’の装着方向I1の下流側の上端部(内周平面側の端部)が、ウォームホイール75’の装着方向I1の上流側の上端部(平面(カット面)側の端部)に突き当たる。よって、このような場合は、ウォームホイール75’を平面(カット面)側(図中上方向)に移動させて、ドライブシャフト73’の軸中心O2と、ウォームホイール75’の対応軸中心O3とを合わせる必要がある。しかし、ウォームホイール75’を図中上側へ移動させすぎてしまうと、今度は、圧入穴75cの下端部(被圧入面側の端部)が、圧入部73a’の下端部(円弧面側の端部)に突き当たってしまう。このように、従来の構成では、圧入穴75c’を圧入部73a’に圧入する際のドライブシャフト73’の軸中心O2と、ウォームホイール75’の対応軸中心O3とを合わせるのが容易ではなく、ウォームホイール75’のドライブシャフト73’への圧入作業が容易に行えない。
【0080】
また、ウォームホイール75’の装着方向I1の下流側端部が、上述のように圧入部73a’の端部に突き当たることで、ウォームホイール75’の装着時の抵抗が増加する。しかし、この抵抗の増加が、圧入穴75c’に圧入部73a’が圧入されるときの抵抗なのか、ウォームホイール75’の装着方向I1の下流側端部が、圧入部73a’の端部に突き当たることによる抵抗なのか、ある程度の力で押し込んでみないと分からない。すなわち、ある程度の力で押し込んでも、ウォームホイール75’が装着方向へ移動しないときに、初めてウォームホイール75’の装着方向I1の下流側端部が、圧入部73a’の端部に突き当たっていることが分かるのである。
【0081】
これに対し、本実施形態においては、
図19(a1),(b1)に示すように、ドライブシャフト73の軸中心O2と、ウォームホイール75の対応軸中心O3とがずれた状態で、ウォームホイール75をドライブシャフト73に装着していくと、ウォームホイール75の装着方向I1の下流側の下端部がドライブシャフト73の圧入部73aの傾斜面173bに突き当たる。このように、突き当たった状態で、ウォームホイール75をドライブシャフト73に装着していくと、ウォームホイール75は、傾斜面173bに案内されながら、
図19(b1)の矢印I2に示す方向へ移動し、最終的に、ドライブシャフト73の軸中心O2と、ウォームホイール75の対応軸中心O3とが一致する。そして、ドライブシャフト73の軸中心O2と、ウォームホイール75の対応軸中心O3とが一致した状態で、圧入穴75cに圧入部73aが圧入される。
【0082】
このように、本実施形態においては、ウォームホイール75をドライブシャフト73に装着していけば、ドライブシャフト73の軸中心O2と、ウォームホイール75の対応軸中心O3とが自動的に一致する。よって、手動でドライブシャフト73の軸中心O2と、ウォームホイール75の対応軸中心O3とを一致させる必要がある
図19(a2)~(c2)に示す従来構成に比べて、容易に、ウォームホイール75をドライブシャフト73に圧入することができる。よって、ウォームホイール75のドライブシャフト73への組み付けを容易に行うことができる。
【0083】
また、
図19(c2)に示すように、従来構成においては、圧入しながらウォームホイール75’を移動させる移動距離(以下、圧入移動距離という)は、圧入部73a’の平面(カット面)全域にわたる軸方向長さK2である。一方、本実施形態においては、圧入移動距離が、平面(カット面)のうち、第一円弧面173aおよび第二円弧面173cにそれぞれ対向する平面部分における軸方向長さK1となり、圧入部73aの軸方向長さK2に比べて短くでき、従来よりも圧入移動距離を短くできる。これは、本実施形態においては、圧入部73aにドライブシャフト73の軸中心O2からの距離が互いに異なる複数の円弧面173a,173cを有し、圧入穴75cには、ウォームホイール75の対応軸中心からの距離が互いに異なる複数の被圧入面を有しているため、各被圧入面が、同時に、それぞれ対応する平面部分に圧入されるからである。このように、圧入移動距離を短くできるので、ウォームホイール75を、力を込めて押し込む時間を短くでき、容易にウォームホイール75をドライブシャフト73に装着することができる。
【0084】
また、本実施形態では、ウォームホイール75の圧入穴75cが、軸方向において第一被圧入面175aを有する部分と、第二被圧入面175bを有する部分となり、圧入穴75cの内周面全体にドライブシャフト73が圧入される従来に比べて、圧入される部分が軸方向において少なくなる。しかしながら、本実施形態では、圧入穴75cの軸方向両側に被圧入面が形成されているので、圧入される部分が少なくても、傾いたりすることなくウォームホイール75をドライブシャフト73に装着固定することができる。これにより、ウォームホイール75を良好にウォーム61に噛み合せることができる。
【0085】
また、本実施形態では、ウォームホイール75のドライブシャフト73への装着方向下流側端部に、内径が装着方向下流側端部に向かうに従って広がるテーパ部175cを有している。これにより、ドライブシャフト73の支持部73bを圧入穴75cに挿入するときに、このテーパ部175cにより、ドライブシャフト73の支持部73bを圧入穴75cへ案内することができる。よって、圧入穴75cにドライブシャフト73の支持部73bを容易に挿入することができる。
【0086】
また、
図20は、ドライブシャフト73に装着されたウォームホイール75を示す斜視図であり、(a)は、ドライブシャフト73のウォームホイール装着方向側から見た斜視図であり、(b)は、ドライブシャフト73のウォームホイール装着方向の反対側から見た斜視図である。また、
図21(a)は、ドライブシャフト73に装着されたウォームホイール75の横断面図であり、(b)は、
図21(a)のa-a断面図であり、(c)は、
図21(a)のb-b断面図であり、(d)は、
図21(a)のc-c断面図である。
【0087】
製造誤差などにより、第二円弧面173cや傾斜面173bなどの軸方向長さが、規定の長さからずれることがある。ウォームホイール75の圧入穴75cに第一被圧入面175aと、第二被圧入面175bとの間に、圧入部73aの傾斜面173bに接触する傾斜面を設け、圧入穴75cの内周面の全体を圧入部73aに接触させるようにした場合、前記のような製造誤差があると、ウォームホイール75に対して最後まで圧入部73aを圧入することができない。一例を挙げると、例えば、第二円弧面173cが規定の長さよりも長くなった場合、ウォームホイール75の圧入穴75cに最後まで圧入部73aを圧入する前に、圧入部73aの傾斜面173bが圧入穴75cの傾斜面が面接触し、これ以上、ウォームホイール75に圧入できなないのである。ウォームホイール75の圧入穴75cに最後まで圧入部73aを圧入できないと、ウォームホイール75の装着方向下流側における圧入部73aの端部から法線方向に立ち上がるドライブシャフト73の段部73eに、ウォームホイール75の端面を突き当てることができない。その結果、ウォームホイール75を軸方向の規定位置に位置決めすることができず、ウォームホイール75を、ウォーム61に良好に噛み合せることができないおそれがある。
【0088】
一方、本実施形態においては、
図21等に示すように、ウォームホイール75がドライブシャフト73に装着された状態において、ウォームホイール75の圧入穴75cの内壁面は、圧入部73aの傾斜面173bとの間に隙間があり、傾斜面173bとは非接触である。これにより、製造誤差などにより、第一円弧面173a、第二円弧面173c、傾斜面173bなどの軸方向長さが、規定の長さに対してずれがあっても、ウォームホイール75の圧入穴75cに最後まで圧入部73aを圧入することができる。なお、本実施形態では、製造誤差などにより、傾斜面173bの軸方向位置がウォームホイール75の装着方向上流側にずれた場合、第一被圧入面175aの装着方向下流側が弾性変形し、傾斜面173bが第一被圧入面の内部まで入り込む(圧入する)ような形で、ウォームホイール75の圧入穴75cに最後まで圧入部73aを圧入することができる。このとき、第一被圧入面175aの内部まで傾斜面173bがスムーズに入り込むためには、傾斜面173bの傾斜角度がなるべく小さい方が好ましい。
【0089】
このように、ウォームホイール75がドライブシャフト73に装着された状態において、圧入部73aの傾斜面173bとの間に隙間が形成されるように圧入穴75cを構成することで、製造誤差があっても、ウォームホイール75を段部73eに突き当てることができ、ウォームホイール75を軸方向の規定位置に位置決めすることができる。その結果、ウォームホイール75を、ウォーム61に良好に噛み合せることができる。
【0090】
図22は、圧入部73aに傾斜面173bを設けていない実施例を示す図である。
図22(a)、(b)に示すように、ウォームホイール75の対応軸中心O3が、ドライブシャフト73の軸中心O2に対してずれた状態で、ウォームホイール75をドライブシャフト73に装着していくと、ウォームホイール75の装着方向下流側端部が、第二円弧面173cの装着方向上流側端部に突き当たる。しかし、このとき、既に、ウォームホイール75の圧入穴75cの一部に、圧入部73aが入り込んでいる。よって、ウォームホイール75を
図22(b)の矢印I3方向(図中上方)に移動させて、圧入穴75cの内周平面175dに、圧入部73aの平面(カット面)173dを当接させることで、ウォームホイール75の対応軸中心O3とドライブシャフト73の軸中心O2とを合わせることができる。そして、軸方向にウォームホイール75を移動させると、ウォームホイール75の対応軸中心O3がドライブシャフト73の軸中心O2に一致した状態で、ウォームホイール75の圧入穴75cに圧入部73aが圧入することができる。これにより、容易にウォームホイール75をドライブシャフト73に組み付けることができる。
【0091】
本実施形態において、ウォームホイール75の圧入穴75cに設けられる第一被圧入面175a及び第二被圧入面175bは、いずれも、対応する圧入部73aの第一円弧面173a及び第二円弧面173cの周方向全域にわたって当接する円弧面で構成される。これにより、第一被圧入面175a及び第二被圧入面175bと、対応する圧入部73aの第一円弧面173a及び第二円弧面173cとの当接面積を広くとることができ、ウォームホイール75がドライブシャフト73から容易に離脱させない構成が実現される。
【0092】
ただし、本実施形態における圧入穴75cに設けられる第一被圧入面175aや第二被圧入面175bの構成は、これに限定されるものではない。
例えば、圧入穴75cに設けられる第一被圧入面175aの構成を、
図23~
図30に示す各構成例のように構成してもよい。なお、第二被圧入面175bについても同様である。
【0093】
図23(a)~(c)に示す構成例1は、ウォームホイール75の圧入穴75cに設けられる第一被圧入面175aが、対応する圧入部73aの第一円弧面173aの周方向一部のみに当接する円弧面で構成されたものである。これによれば、第一被圧入面175aが第一円弧面173aの周方向全域にわたって当接する円弧面で構成される場合よりも、ウォームホイール75の圧入穴75cにドライブシャフト73の圧入部73aを圧入するときの抵抗が少なくなる。よって、ウォームホイール75のドライブシャフト73への組み付けを容易に行うことができる。
【0094】
図23(a)に示すように、第一被圧入面175aが、対応する圧入部73aの第一円弧面173aの周方向一部のみに当接する当接面である場合、当接方向に対して直交する方向へのがたつき等が生じるおそれがある。このようながたつき等は、ウォームホイール75の回転ムラの原因や、ウォームホイール75とドライブシャフト73とが衝突することにより発生する異常音の原因となる。そのような場合でも、例えば、
図23c(b)及び(c)に示すように、
図23(a)に示す例よりも、第一円弧面173aの周方向における第一被圧入面175aの長さを長くすることによって、がたつき等を抑制し、前記回転ムラや異常音の発生を防止することができる。第一円弧面173aの周方向における第一被圧入面175aの長さを長くせずに、第一円弧面173aの周方向における第一被圧入面175aの数を増やすことによっても、がたつき等を抑制することができるが、第一被圧入面175aの数が少ないほど加工工程が少なくて済み、製造面で有利である。
【0095】
また、
図24に示す構成例2は、ウォームホイール75の圧入穴75cに設けられる第一被圧入面175aが、対応する圧入部73aの第一円弧面173aの周方向一部のみに当接する平面で構成されたものである。これも、第一被圧入面175aが第一円弧面173aの周方向全域にわたって当接する円弧面で構成される場合よりも、ウォームホイール75の圧入穴75cにドライブシャフト73の圧入部73aを圧入するときの抵抗が少なくなる。よって、ウォームホイール75のドライブシャフト73への組み付けを容易に行うことができる。また、
図23に示す構成例1と比べて、加工が容易である。
【0096】
また、
図25に示す構成例3は、第一被圧入面175aが、対応する圧入部73aの第一円弧面173aの周方向一部のみに当接する円弧面で構成されているが、その配置が、軸方向に対して直交する面で、ドライブシャフト73の圧入部73aの平面(カット面)173dに直交する線(対応軸中心O3を通るように図中上下方向に延びる線)を挟んで片側に偏っている。この場合、圧入部73aの平面(カット面)173dを圧入穴75cの内周平面175dへ押し付ける押圧力が偏ってしまい、がたつきや組み付け誤差につながるおそれがある。
【0097】
そこで、
図26に示す構成例4のように、第一被圧入面175aが、対応する圧入部73aの第一円弧面173aの周方向2箇所以上に当接する2以上の円弧面で構成されたものであるのが好ましい。これも、第一被圧入面175aが第一円弧面173aの周方向全域にわたって当接する円弧面で構成される場合よりも、ウォームホイール75の圧入穴75cにドライブシャフト73の圧入部73aを圧入するときの抵抗が少なくなる。しかも、2以上の第一被圧入面175aは、軸方向に対して直交する面で、ドライブシャフト73の圧入部73aの平面(カット面)173dに直交する線(対応軸中心O3を通るように図中上下方向に延びる線)を挟んで両側にそれぞれ配置される。よって、圧入部73aの平面(カット面)173dを圧入穴75cの内周平面175dへ押し付ける押圧力の偏りを抑制でき、がたつきや組み付け誤差を抑制できる。特に、
図26に示す構成例4のように、線対称の位置に配置される構成であれば、より高い効果が得られる。
【0098】
また、前記構成例1~3のように、第一被圧入面175aが、対応する圧入部73aの第一円弧面173aの周方向1箇所だけで当接する構成であると、内周平面175dと第一被圧入面175aとによる2箇所での支持になり、圧入完了後でも、がたつきが生じるおそれがある。
【0099】
図26に示す構成例4のように、第一被圧入面175aが、対応する圧入部73aの第一円弧面173aの周方向2箇所以上に当接する2以上の当接面で構成されたものであれば、内周平面175dと2箇所以上の第一被圧入面175aとによる3箇所以上での支持になり、圧入完了後にがたつきが生じるおそれが軽減される。
【0100】
また、
図27に示す構成例5のように、圧入部73aの第一円弧面173aの周方向2箇所以上に当接する2以上の第一被圧入面175aを、平面で構成してもよい。この場合も、
図26に示す構成例4と同様の効果を得ることが可能であるうえ、加工が容易である。
【0101】
ここで、例えば、第一被圧入面175aの検査において、第一被圧入面175aとこれに対向する圧入穴75cの内壁面との間の距離を測定し、これが規定範囲内であるかどうかを検査する場合がある。このような場合に、第一被圧入面175a上の測定箇所(周方向の地点)が変わると検査結果が大きく変わってしまうようでは、適切な検査を行うことが難しい。具体的には、
図28に示す構成例6のように、円弧面である第一被圧入面175aが対向する圧入穴75cの内壁面が内周平面175dとなるような構成であると、第一被圧入面175a上の測定箇所が変わることで、各測定箇所と、当該測定箇所と対応軸中心O3とを通る直線が当該測定箇所に対向する圧入穴75cの内壁面と交差する対向地点との距離g1’,g2’が大きく異なってしまう。
【0102】
これに対し、
図26に示した構成例4は、第一被圧入面175aが円弧面であり、これに対向する圧入穴75cの内壁面も円弧面であり、これらの円弧面は同じ曲率中心をもち、近似した曲率半径を有するものである。そのため、第一被圧入面175aの周方向のどの地点を測定箇所としても、当該測定箇所と対応軸中心O3とを通る直線が当該測定箇所に対向する圧入穴75cの内壁面と交差する対向地点との距離g1,g2は、ほぼ同程度となる。よって、第一被圧入面175aの適切な検査を行ううえで有利である。
【0103】
図29に示す構成例7は、円弧面である第一被圧入面175aに対向する圧入穴75cの内壁面にも、円弧面である別の第一被圧入面175aを配置した構成である。同様に、
図30に示す構成例8は、平面である第一被圧入面175aに対向する圧入穴75cの内壁面にも、平面である別の第一被圧入面175aを配置した構成である。これらの構成例7及び構成例8も、第一被圧入面175aの周方向のどの地点を測定箇所としても、当該測定箇所と対応軸中心O3とを通る直線が当該測定箇所に対向する圧入穴75cの内壁面(別の第一被圧入面175a)と交差する対向地点との距離g1,g2がほぼ同程度となるものである。したがって、第一被圧入面175aの適切な検査を行ううえで有利である。
【0104】
ただし、これらの構成例7及び構成例8は、軸方向に対して直交する面で、圧入穴75cの内周平面175d(圧入部73aの平面(カット面)173d)に平行な線であって、対応軸中心O3を通る線よりも、内周平面175dの側に、別の第一被圧入面175aが配置されている。この場合、圧入部73aの平面(カット面)173dを圧入穴75cの内周平面175dへ押し付ける押圧力が、別の第一被圧入面175aも受けることとなる。その結果、平面(カット面)173dを圧入穴75cの内周平面175dへの押圧力が弱まってしまい、がたつきや組み付け誤差につながるおそれがある。
【0105】
次に、排紙ローラ20に排紙モータの駆動力を伝達する駆動伝達装置について説明する。
図31は、排紙ユニット200の斜視図であり、
図32は、排紙ユニット200の正面図である。また、
図33は、排紙ユニット200の平面図である。また、
図34は、
図33のD-D断面図である。
排紙ユニット200には、駆動排紙ローラ20aと、この駆動排紙ローラ20aに接触して駆動排紙ローラ20aに連れまわる従動排紙ローラ20bとを備えている。駆動排紙ローラ20a、従動排紙ローラ20bは、回転軸方向に所定の間隔を開けて4個配置されている。また、排紙ユニット200の一方の側面には、駆動排紙ローラ20aを回転駆動する排紙駆動装置210が設けられている。
【0106】
図35は、排紙駆動装置210の斜視図である。
排紙駆動装置210は、排紙モータ211と、ベルト駆動伝達機構220とを有している。ベルト駆動伝達機構220は、排紙モータ211のモータ軸211aに取り付けられた駆動プーリ211bと、駆動排紙ローラ20aの排紙軸214に取り付けられた従動プーリ212と、駆動プーリ211bと従動プーリ212とに張架されたタイミングベルト213とを有している。
【0107】
図32に示すように、従動プーリ212は、樹脂などのある程度弾性変形可能な材料からなり、排紙軸214の排紙駆動装置210側端部の断面略Dカット形状の圧入部214aが圧入される断面略Dカット形状の被圧入部である圧入穴212aを有している。
【0108】
従動プーリ212を、非圧入で排紙軸214のDカット形状部に取り付けた場合、タイミングベルト213の張力が、排紙軸214の平面(カット面)からの反力(以下「軸Dカット面反力」という。)よりも大きいと、異音が発生するという不具合がある。以下にこの不具合について図面を用いて説明する。
【0109】
図36は、従動プーリ212を、非圧入で排紙軸214のDカット形状部に取り付けたときの異音の発生について説明する図である。
図36の(a1)、(a2)は、タイミングベルト213の張力Tが、軸Dカット面反力Rよりも小さいときの場合について説明する図であり、
図36の(b1)~(b3)は、タイミングベルト213の張力Tが、軸Dカット面反力Rより大きいときの場合について説明する図である。
尚、以下の説明において、「タイミングベルト213の張力T」には、「タイミングベルト213から伝達される駆動力T1」と「タイミングベルト取付張力T2(駆動プーリ211bが回転していない状態において、タイミングベルト213を駆動プーリ211bと従動プーリ212にかけ回した静止状態でタイミングベルト213にかかる張力(ベルトテンション))」が含まれるものとする。(T≒T1+T2)
【0110】
また、以下の説明では、排紙軸214の回動中心よりも駆動プーリ側を+、排紙軸214の回動中心よりも駆動プーリ211bと反対側を-として説明する。
従動プーリ212にかかる力としては、タイミングベルト213の張力T、軸Dカット面反力R、排紙軸214からの反力Uがある。
図36(a1)、(b1)に示すように、排紙軸214のDカット形状部の平面(カット面)Hが駆動プーリ211b側(+側)にあるとき、タイミングベルト213の張力Tと軸Dカット面反力Rの向きは同一の+方向である。従って、このときは、従動プーリ212は、タイミングベルト213の張力Tにより、駆動プーリ側(+方向)に移動し、排紙軸214のDカット形状部の円弧面に従動プーリ212の取り付け穴212a’の内周面が当接する。
【0111】
また、取り付け穴212a’の内周面が排紙軸214のDカット形状部の円弧面に当接することで、Dカット形状部の平面(カット面)Hとの間に所定の隙間が生じる。従動プーリ212は、タイミングベルト213から回転駆動力を受け、回転するため、平面(カット面)Hの下流側端部に従動プーリ212の取り付け穴212a’の内周面が突き当たる。これにより、従動プーリ212から排紙軸214に駆動力が伝達され、排紙軸214が回転駆動する。
【0112】
また、排紙軸214のDカット形状部の円弧面に従動プーリ212の取り付け穴212a’の内周面が当接することで、従動プーリ212は、-方向に排紙軸214からの反力Uを受ける。この反力Uは、タイミングベルト213の張力Tと、軸Dカット面反力Rとを足し合わせたものである。
【0113】
タイミングベルト213の張力Tが、軸Dカット面反力Rよりも小さい場合は、
図36(a1)の状態から180°回転したときも、
図36(a1)と同様、排紙軸214のDカット形状部の円弧面に従動プーリ212の取り付け穴212a’の内周面が当接する状態が維持され、従動プーリ212は、Dカット形状部の円弧面から反力Uを受ける(
図36(a2)参照)。
【0114】
一方、タイミングベルト213の張力Tが、軸Dカット面反力Rよりも大きい場合、
図36(b2)に示すように、
図36(b1)の状態から180°回転したときに、排紙軸214の平面Hが取り付け穴212a’の内周面に当接し、従動プーリ212はDカット形状部の平面Hから反力Uを受ける。このように、タイミングベルト213の張力Tが、軸Dカット面反力Rよりも大きい場合、一回転の間に排紙軸214が従動プーリ212の取り付け穴内を相対的に動き、排紙軸214の一回転に一回、異音が発生する。
【0115】
図36(b3)は、
図36(b1)の状態から180°回転したときに、排紙軸214の平面Hが取り付け穴212a’の内周面に当接するメカニズムについて、説明する図である。
図36(b3)に示すように、
図36(b1)に示す状態から180°回転し、Dカット形状部の平面(カット面)Hが-側に来ると軸Dカット面反力Rの向きと、タイミングベルト213の張力Tの向きが互いに異なる。このとき、張力Tが、従動プーリ212を介して排紙軸214の平面Hの下流側端部に加わり、張力Tが排紙軸214を回転させるように働く。
【0116】
軸Dカット面反力Rが、張力Tよりも大きいときは、張力Tにより排紙軸214が回転することがない。その結果、
図36(a2)に示すように、排紙軸214のDカット形状部の円弧面に従動プーリ212の取り付け穴212a’の内周面が当接する状態が維持される。
【0117】
一方、タイミングベルト213の張力Tが、軸Dカット面反力Rよりも大きいときは、張力Tにより排紙軸214が回転し、
図36(b2)に示すように、排紙軸214の従動プーリ212の取り付け穴212a’の内周面に当接する箇所は、円弧面から平面(カット面)Hに切り替わるのである。また、張力Tにより排紙軸214が回転し、取り付け穴212aから離間している平面Hの回転方向側上流側端部((b3)における下端)が、取り付け穴の内周面に突き当たることで、異音が発生するのである。
【0118】
このような異音の発生を抑制するため、タイミングベルト213の張力Tを、軸Dカット面反力Rよりも小さくなるように、設計することが考えられる。しかし、部品のばらつきや組み付けのばらつきなどにより、駆動プーリと従動プーリとの軸間距離が狙いの軸間距離よりも長くなってしまうと、タイミングベルト213の張力Tが、軸Dカット面反力Rよりも大きくなり、異音が発生するおそれがあった。
【0119】
前記異音の発生を抑制するために、排紙軸214のDカット形状部と従動プーリ212の取り付け穴212a’との隙間にグリースを充填することが考えられる。グリースを充填することで、このグリースが、張力Tにより排紙軸214が従動プーリ212に対して相対的に回転する際の抵抗になり、平面Hの回転方向側上流側端部が取り付け穴212a’の内周面に勢いよく突き当たるのを抑制でき、異音の発生を抑制できる。しかし、グリースを封止するシール部材などが必要となり、装置のコストアップに繋がる。また、グリースを充填する工程等が増え、組み立て工数が増加する。
【0120】
このため、ベルト駆動伝達機構220においても、従動プーリ212を排紙軸214に圧入で取り付けるのが好ましい。これにより、タイミングベルト213の張力Tが、軸Dカット面反力Rよりも大きくても、排紙軸214が従動プーリ212の穴内を相対的に動くのが防止され、異音の発生を防ぐことができる。また、従動プーリ212を排紙軸214に圧入するだけで、組み立てることができ、グリースを充填する場合に比べて、装置のコストアップや組み立て工数の増加を抑制できる。
【0121】
しかしながら、従動プーリ212の圧入穴の内周面全体に排紙軸を圧入する構成とした場合、従動プーリ212の排紙軸214への組み付けが困難になるという不具合がある。よって、このベルト駆動伝達機構220においても、ウォームホイールをドライブシャフトへ装着する構成と同様、排紙軸214の従動プーリ212に圧入される圧入部を、軸中心からの距離が互いに異なる2つの円弧面と、これら円弧面を繋ぐ傾斜面とを有する構成とした。
【0122】
図37は、従動プーリが装着される排紙軸214の圧入部214a付近の拡大図であり、(a)は、軸方向に対して直交する方向から見た図であり、(b)は、軸方向から見た((a)に示す矢印C方向から見た)図である。
排紙軸214の圧入部214aは、軸方向に平行な平面(カット面)214a4と、平面214a4における軸方向の少なくとも一部分と同じ軸方向位置に配置され、軸方向に平行な2つの円弧面214a1,214a2と、これら2つの円弧面214a1,214a2を繋ぐ軸方向に対して傾斜した傾斜面214a3とを有している。2つの円弧面214a1,214a2は、排紙軸214の軸中心O2に一致する曲率中心をもつが、排紙軸214の軸中心O2からの距離(曲率半径)h1,h2が互いに異なっている。具体的には、2つの円弧面214a1,214a2のうち、従動プーリ212の装着方向の下流側、すなわち、排紙軸214の軸方向中央側(図中左側)に位置する第二円弧面214a2は、その距離h2が第一円弧面214a1の距離h1よりも長い(h1<h2)。
【0123】
図38は、従動プーリ212の概略図であり、(a)は、断面図、(b)は、軸方向から見た((a)に示す矢印B方向から見た)図である。
従動プーリ212の回転中心には、圧入穴212aと、挿入穴212bとが設けられている。挿入穴212bは、排紙軸214の本体直径とほぼ同径の断面円形状の穴である。圧入穴212aの内周面には、排紙軸214の圧入部214aの平面214a4が当接する軸方向に平行な内周平面212a4と、圧入部214aの第一円弧面214a1が当接する第一被圧入面212a1と、圧入部214aの第二円弧面214a2が当接する第二被圧入面212a2とを有している。2つの被圧入面212a1,212a2は、従動プーリ212の排紙軸214への装着が完了したときに排紙軸214の軸中心O2が位置する従動プーリ212の対応軸中心O3からの距離h3,h4が互いに異なっている。具体的には、2つの被圧入面212a1,212a2のうち、従動プーリ212の装着方向下流側(図中右側)に位置する第二被圧入面212a2は、その距離h4が第一被圧入面212a1の距離h3よりも長い(h3<h4)。
【0124】
第一被圧入面212a1の第一円弧面214a1に対する食い込み量を、第二被圧入面212a2の第二円弧面214a2に対する食い込み量よりも少なくしている。具体的には、軸中心O2と第一円弧面214a1との距離h1、軸中心O2と第二円弧面214a2との距離h2、対応軸中心O3と第一被圧入面212a1との距離h3、対応軸中心O3と第二被圧入面212a2との距離h4の関係が、(h1-h3)<(h2-h4)となっている。
【0125】
図39は、従動プーリ212の排紙軸214への装着について説明する図である。
図39(a)に示すように、従動プーリ212を図中矢印I1方向に移動させ、排紙軸214の一端を、従動プーリ212の挿入穴212bへ挿入する。排紙軸214の一端は、径が徐々に広がるようなテーパ形状となっている。そのため、挿入時に多少、従動プーリ212の対応軸中心O3と排紙軸214の軸中心O2がずれていても、排紙軸214の一端のテーパ形状により従動プーリ212を案内し、排紙軸214の一端をスムーズに従動プーリ212の挿入穴212bに挿入することができる。
【0126】
従動プーリ212の挿入穴212bに排紙軸214を挿入していくと、圧入穴212aの第一被圧入面212a1が排紙軸214の一端に突き当たる。この状態から、さらに従動プーリ212を図中矢印I1方向に移動させると、第一被圧入面212a1や第一被圧入面212a1と軸方向同位置にある内周平面212a4の部分が弾性変形して、
図39(b)に示すように、排紙軸214の一端まで延びている平面(カット面)214a4が圧入される。この状態からさらに従動プーリ212を図中矢印I1方向へ移動させることになるが、上述したように、第一被圧入面212a1の排紙軸214に対する食い込み量を、第二被圧入面212a2の排紙軸214に対する食い込み量よりも少なくしているので、従動プーリ212の移動負荷は弱く、あまり力を込めることなく、従動プーリ212を矢印I1方向へ移動させることができる。その結果、
図39(c)に示すように、従動プーリ212を排紙軸214に容易に装着固定することができる。
【0127】
ただし、前記のように第一被圧入面212a1の第一円弧面214a1に対する食い込み量(h1-h3)を、第二被圧入面212a2の第二円弧面214a2に対する食い込み量(h2-h4)よりも少なくすると、前記食い込み量の差により従動プーリ212が排紙軸214に対して傾いて取りけられてしまう可能性がある。そのため、排紙軸214に対する従動プーリ212の傾き防止を優先する場合は、第一被圧入面212a1の第一円弧面214a1に対する食い込み量(h1-h3)を、第二被圧入面212a2の第二円弧面214a2に対する食い込み量(h2-h4)とほぼ等しくすることが好ましい((h1-h3)≒(h2-h4))。
【0128】
このベルト駆動伝達機構220においても、従動プーリ212の排紙軸214を圧入する部分が、軸方向において第一被圧入面212a1と、第二被圧入面212a2とになり、圧入穴212aの内周面全体に排紙軸214を圧入するものに比べて圧入する部分が少なくなり、容易に従動プーリ212を排紙軸214に装着することができる。また、この例においても、圧入穴212aの軸方向両側が圧入されるので、圧入する部分が少なくても、傾いたりすることなく従動プーリ212を排紙軸214に装着固定することができる。
【0129】
また、このベルト駆動伝達機構220においても、従動プーリ212が排紙軸214に装着された状態において、圧入部214aの傾斜面214a3との間に隙間が形成され、傾斜面214a3とは非接触である。これにより、製造誤差などにより、第一円弧面214a1、第二円弧面214a2、傾斜面214a3などの軸方向長さが、規定の長さに対してずれがあっても、従動プーリ212の圧入穴に最後まで圧入部214aを圧入することができる。
【0130】
また、
図38(b)に示すように、圧入穴212aの断面Dカット形状の図中左右方向中央を切り欠いたような構成となっており、圧入穴212aの内周平面212a4が、図中左右方向両側に分かれて設けられたような構成となっている。これにより、排紙軸214の圧入部を圧入する際に、内周平面212a4を弾性変形しやすくでき、従動プーリ212を排紙軸214に容易に組み付けることができる。
【0131】
(変形例)
なお、上述した実施形態においては、圧入部73a,214aの平面(カット面)が単一の平面で形成されているが、特願2017-221883号(以下「先願」という。)に開示のように、駆動伝達部材であるウォームホイール75又は従動プーリ212の装着方向に並んで配置され、回転軸であるドライブシャフト73又は排紙軸214の軸中心からの距離が互いに異なる複数の平面であって、当該装着方向の下流側の平面と軸中心との間の距離が当該装着方向の上流側の平面と軸中心との間の距離よりも大きいように形成してもよい。
【0132】
以上に説明したものは一例であり、以下の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
駆動源(例えば駆動モータ51)から駆動力が伝達される駆動伝達部材(例えば、ウォームホイール75、従動プーリ212)と、軸方向に平行な平面173d,214a4を有し、前記駆動伝達部材の被圧入部(例えば圧入穴75c,212a)に圧入される圧入部73a,214aを前記軸方向の一端部に設けた回転軸(例えば、ドライブシャフト73、排紙軸214)とを備えた駆動伝達装置(例えば駆動部50)において、前記圧入部は、前記平面における前記回転軸の軸方向の少なくとも一部分と同じ軸方向位置に、該回転軸の軸中心からの距離が互いに異なりかつ該回転軸の軸方向に平行な複数の円弧面173a,173c,214a1,214a2が該回転軸の軸方向へ並んで配置されており、前記複数の円弧面は、前記駆動伝達部材の装着方向I1の下流側の円弧面173c,214a2の曲率半径h2が、該装着方向の上流側の円弧面の曲率半径h1よりも大きいことを特徴とする。
本態様では、回転軸の圧入部に設けられる複数の円弧面のうち、駆動伝達部材の装着方向の下流側の円弧面と軸中心との間の距離を、前記装着方向の上流側の円弧面と軸中心との間の距離よりも大きくしたので、圧入部の外径は、当該装着方向上流側の外径が当該装着方向下流側の外径よりも小さくなる。その結果、駆動伝達部材の被圧入部(圧入穴75c,212a)における当該装着方向下流側の部分の内径は、駆動伝達部材の被圧入部における当該装着方向上流側の部分の内径よりも大きくなるような構成となる。よって、
図22の(a)~(c)を用いて先に説明したように、圧入部における当該装着方向上流側の部分が、被圧入部の内周面との間に隙間を有する状態で、ある程度まで被圧入部の内部へ入り込んだ後に、被圧入部に対して圧入部が圧入されることになる。圧入部における当該装着方向上流側の部分が、被圧入部の内部に入り込んだときに、次のように駆動伝達部材を移動させることで、被圧入部の対応軸中心(
図22(a)の一点破線O3)と、回転軸の軸中心(
図22(a)の一点破線O2)とを合わせることができる。すなわち、当該装着方向に並んで圧入部に配置される複数の円弧面と対向する被圧入部の内壁面が、これら円弧面から離間する方向(
図22(b)の矢印I3方向)に駆動伝達部材を移動させるのである。このように、駆動伝達部材を移動させることで、圧入部における当該装着方向上流側の端部から下流側の端部まで連続している連続面(本実施形態では単一の平面(カット面)。上述した変形例のように複数の平面からなる連続面であってもよい。)に被圧入部の内壁面(内周平面175d)が当接し、これにより被圧入部の対応軸中心(
図22(a)の一点破線O3)と、回転軸の軸中心(
図22(a)の一点破線O2)とが一致する。そして、圧入部の前記連続面に被圧入部の内壁面を当接させた状態で、圧入部を被圧入部へ圧入することで、被圧入部の対応軸中心O3と、回転軸の軸中心O2とを合わせた状態で、圧入部を被圧入部に圧入することができる。
このように、本態様では、被圧入部に圧入部を圧入する前に、圧入部の一部を被圧入部へ入り込ませることができるので、圧入部の前記連続面とこれに当接する被圧入部の前記内壁面(内周平面175d)とを、被圧入部の対応軸中心O3と回転軸の軸中心O2とを合わせるための箇所として用いることができる。これにより、被圧入部の対応軸中心O3と、回転軸の軸中心O2とを、目視で合わせることなく、駆動伝達部材の被圧入部に回転軸の圧入部を圧入することができる。よって、圧入部における当該装着方向上流側と下流側とで外径が同径であり、被圧入部に圧入部を圧入する際に被圧入部の対応軸中心と回転軸の軸中心とを目視で合わせる必要のある特許文献1に記載の構成に比べて、駆動伝達部材の回転軸への組み付けを容易に行うことができる。
【0133】
本態様では、回転軸の圧入部における平面(カット面)と円弧面のうちの円弧面側について、回転軸の軸中心からの距離が互いに異なる複数の円弧面を回転軸の軸方向へ並べて配置した構成により、上述したように駆動伝達部材の回転軸への組み付けを容易に行うことができるようにしたものである。これに対し、上述した先願は、回転軸の圧入部における平面(カット面)と円弧面のうちの平面(カット面)側について、回転軸の軸中心からの距離が互いに異なる複数の平面を回転軸の軸方向へ並べて配置した構成により、本態様と同様に、駆動伝達部材の回転軸への組み付けを容易に行うことができるようにしたものである。
本態様は、上述の先願との対比においては、次の点で有利である。
上述した先願の圧入部を形成するにあたっては、回転軸の軸方向に沿って複数段の平面を形成する必要があり、通常は、円柱状の回転軸の一端部をフライス加工して上述した複数の平面を形成する。そのため、平面の数分だけフライス加工を繰り返す必要がある。これに対し、本態様の圧入部を形成するにあたっては、回転軸の軸方向に沿って複数段の円弧面を形成すればよい。この場合、通常は、円柱状の回転軸の一端部を旋削加工し、その端部側から順に円弧面を形成していけばよいので、1回の旋削加工で、圧入部を形成することができる。したがって、加工工程が少なくて済む点で有利である。
【0134】
(態様2)
態様1において、前記圧入部は、前記装着方向の上流側の前記円弧面と、前記装着方向の下流側の前記円弧面とを繋ぐ傾斜面173bを有することを特徴とする。
これによれば、
図19を用いて説明したように、駆動伝達部材の被圧入部(圧入穴75c)の対応軸中心O3と回転軸の軸中心O2とがずれた状態で、駆動伝達部材を軸方向へ移動させ、被圧入部へ圧入部が挿入されると、被圧入部における当該装着方向下流側の端部が回転軸の圧入部の傾斜面に接触する。さらに、駆動伝達部材を軸方向へ移動させると、傾斜面に案内されて、圧入部の平面(カット面)が被圧入部の内壁面(内周平面175d,212a4)に近づく方向に駆動伝達部材が移動し、駆動伝達部材の被圧入部の対応軸中心と回転軸の軸中心とが一致する。このように、駆動伝達部材を軸方向へ移動させるだけで、駆動伝達部材の被圧入部の対応軸中心と回転軸の軸中心とを一致させることができ、容易に駆動伝達部材の被圧入部に回転軸の圧入部を圧入することができる。
【0135】
(態様3)
態様1または2において、前記駆動伝達部材の前記被圧入部は、前記圧入部の各円弧面が圧入される複数の被圧入面175a,175bを有し、前記複数の被圧入面のうちの少なくとも1つの被圧入面は、対応する前記圧入部の前記円弧面173a,173cの周方向全域にわたって当接する円弧面で構成されることを特徴とする。
これによれば、駆動伝達部材の被圧入部における前記被圧入面と、これに対応する回転軸の圧入部の円弧面との当接面積を広くとることができ、駆動伝達部材が回転軸から容易に離脱させない構成が実現される。
【0136】
(態様4)
態様1または2において、前記駆動伝達部材の前記被圧入部は、前記圧入部の各円弧面が圧入される複数の被圧入面175a,175bを有し、前記複数の被圧入面のうちの少なくとも1つの被圧入面は、対応する前記圧入部の前記円弧面173a,173cの周方向1箇所又は2箇所以上に当接する1又は2以上の当接面で構成されることを特徴とする。
これによれば、駆動伝達部材の被圧入部における被圧入面が、回転部材の圧入部の対応する円弧面に対し、該円弧面の周方向において部分的に当接する構成となる。これにより、
図23及び
図26を用いて説明したように、被圧入部の被圧入面が、圧入部の対応する円弧面の周方向全域にわたって当接する構成よりも、駆動伝達部材の被圧入部に回転軸の圧入部を圧入するときの抵抗が少なくなり、容易に駆動伝達部材の被圧入部に回転軸の圧入部を圧入することができる。
【0137】
(態様5)
態様4において、前記当接面は、前記圧入部の前記円弧面に沿って当接する円弧面であることを特徴とする。
これによれば、駆動伝達部材の被圧入部における被圧入面の全域で、回転部材の圧入部の対応する円弧面に当接することが可能となる。これにより、被圧入部の被圧入面が、圧入部の対応する円弧面に対して部分的に当接する構成であっても、被圧入部の被圧入面と圧入部の円弧面との接触面積を大きくとることができ、駆動伝達部材が回転軸から離脱するのを抑制できる。
【0138】
(態様6)
態様4において、前記当接面は、平面であることを特徴とする。
これによれば、
図24を用いて説明したように、駆動伝達部材の被圧入部を形成するための加工が容易になる。
【0139】
(態様7)
態様4乃至6のいずれかにおいて、前記2以上の当接面は、前記回転軸の軸方向に対して直交する面で前記平面に直交する線に対して線対称の位置に配置されていることを特徴とする。
これによれば、
図26を用いて説明したように、回転軸の圧入部の平面(カット面)173dを被圧入部の内周平面175dへ押し付ける押圧力の偏りを抑制でき、がたつきや組み付け誤差を抑制できる。
【0140】
(態様8)
態様3乃至7のいずれか1項に記載の駆動伝達装置において、前記複数の被圧入面のうち、前記装着方向の下流側の被圧入面と前記軸中心との間の距離は、前記装着方向の上流側の被圧入面と前記軸中心との間の距離よりも大きいことを特徴とする。
これによれば、実施形態で説明したように、被圧入部に圧入部を圧入する前に、圧入部の一部を被圧入部の内部へ入り込ませることができる。
【0141】
(態様9)
態様1乃至8のいずれかにおいて、付勢手段(例えばスプリング43)に抗して移動部材(例えば加圧ローラ19)を移動させるカム部材44に前記駆動力を伝達することを特徴とする。
実施形態で説明したように、カム部材44を駆動して付勢手段に抗して移動部材を移動させる構成においては、付勢手段の付勢力でカム部材44が駆動源による回転駆動速度よりも速く回転するおそれがある。付勢手段の付勢力でカム部材44が駆動源による回転駆動速度よりも速く回転すると、駆動伝達部材が、駆動力を受ける駆動伝達方向上流側のウォーム61などの上流側駆動伝達部材に回転方向から衝突する。本態様では、ウォームホイール75などの駆動伝達部材は、ドライブシャフト73などの回転軸に圧入されているので、回転軸に対して回転方向のガタがない。よって、衝突後に駆動伝達部材が回転方向に振動するのを抑制することができ、振動による騒音の発生を抑制することができる。
【0142】
(態様10)
態様9において、前記駆動源から前記駆動力を受ける駆動側カップリング75aと、前記駆動側カップリングと係合する従動側カップリング71bと、前記駆動側カップリングと前記従動側カップリングとに駆動連結するトルクリミッタ72とを備えたことを特徴とする。
これによれば、実施形態で説明したように、カム部材44がスプリング43などの付勢手段により駆動モータ51などの駆動源の駆動力によって回転するときの回転駆動速度よりも速く回転すると、従動側カップリング71bが駆動側カップリング75aよりも速く回転する。すると、トルクリミッタ72にトルクが加わり、トルクリミッタ72が作動する。トルクリミッタ72が作動して、駆動伝達を遮断した状態のときは、トルクリミッタ72に摩擦力などの回転負荷が生じる。このトルクリミッタ72の回転負荷が、カム部材44の回転の負荷となり、カム部材44の回転にブレーキをかける。その結果、カム部材44が減速し、従動側カップリング71bの従動側係合突起171が、駆動側カップリング75aの駆動側係合突起175に勢いよく衝突するのを防止することができ、衝突音を低減することができる。
一方、カム部材44が駆動源の駆動力で回転しているときは、駆動力が、駆動側カップリング75aから従動側カップリング71bに駆動力が伝達され、トルクリミッタ72は、トルクが加わらず、トルクリミッタ72が作動しない。これにより、カム部材44が駆動源の駆動力で回転しているときは、負荷が付与されず、出力トルクの低い安価なモータを用いることができる。
【0143】
(態様11)
態様9または10において、前記移動部材が、定着ローラ18を加圧する加圧ローラ19であることを特徴とする。
これによれば、定着ローラ18に対して加圧ローラ19を接離させる際に衝突音が発生するのを抑制することができる。
【0144】
(態様12)
態様1乃至11のいずれかにおいて、一つ以上の歯車を有し、前記歯車を、平歯車としたことを特徴とする。
これによれば、実施形態で説明したように、駆動時に歯車がスラスト方向(軸方向)に移動して、歯車がこの歯車とスラスト方向で対向する部材に衝突するのを抑制することができ、衝突音の発生を抑制することができる。
【0145】
(態様13)
態様1乃至11のいずれかにおいて、前記駆動源(例えば排紙モータ211)と、複数のプーリに張架されたベルト部材(例えばタイミングベルト213)とを備え、複数のプーリのうちのひとつが、前記ベルト部材を介して前記駆動源の前記駆動力が伝達される駆動部材(例えば排紙軸214)の軸に設けられており、前記回転軸は、前記駆動部材の軸であり、前記駆動伝達部材は、前記駆動部材の軸に設けられたプーリ(例えば従動プーリ212)であることを特徴とする。
これによれば、従動プーリ212などのプーリを、排紙軸214などの駆動部材の軸に容易に圧入することができる。また、プーリを、駆動部材の軸に圧入固定することで、異音の発生を防止することができる。
【0146】
(態様14)
態様13において、前記駆動部材は、排紙ローラであることを特徴とする。
これによれば、排紙ローラ駆動時の異音を抑制することができる。
【0147】
(態様15)
駆動部材(例えばカム部材44)に駆動源の駆動力を伝達する駆動伝達装置(例えば駆動部50)を備え、記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、前記駆動伝達装置として態様1乃至14のいずれかの駆動伝達装置を用いたことを特徴とする。
これによれば、組み付け作業を容易に行うことのできる画像形成装置を実現できる。
【符号の説明】
【0148】
12 :定着装置
18 :定着ローラ
19 :加圧ローラ
19a :加圧ローラの軸
40 :加圧調整機構
41 :レバー部材
41a :支持軸
41b :バネ受け
42 :カム受け
43 :スプリング
44 :カム部材
44a :カムシャフト
44b :カム面
45 :回転角度検知機構
45a :フィラー
45b :光学センサ
45c :開口部
47 :側板
47a :バネ受け
50 :駆動部
51 :駆動モータ
52 :ブラケット
53 :第一出力ギヤ
54 :第二出力ギヤ
55 :カムギヤ
55a :平行ピン
56 :第二ハウジング
60 :ウォームギヤ
61 :ウォーム
62 :遊星駆動伝達部材
62a :入力ギヤ
62b :太陽歯車
63 :キャリアホルダ
64 :キャリア
65 :遊星歯車
66 :第一ハウジング
66a :内歯歯車
70 :遊星歯車機構
71 :駆動連結部材
71a :ギヤ部
71b :従動側カップリング
71c :係合孔部
72 :トルクリミッタ
72a :切り欠き部
72b :係合突起部
73 :ドライブシャフト
73a :圧入部
73b :支持部
73e :段部
74 :平行ピン
75 :ウォームホイール
75a :駆動側カップリング
75b :歯部
75c :圧入穴
77a :駆動側カップリング
80 :負荷付与部
100 :装置本体
152 :第一支持軸
153 :第二支持軸
164 :駆動連結凸部
171 :従動側係合突起
173a :第一円弧面
173b :傾斜面
173c :第二円弧面
173d :平面(カット面)
175 :駆動側係合突起
175a :第一被圧入面
175b :第二被圧入面
175c :テーパ部
175d :内周平面
h1 :軸中心O2と第一円弧面との距離
h2 :軸中心O2と第二円弧面との距離
h3 :対応軸中心O3と第一被圧入面との距離
h4 :対応軸中心O3と第二被圧入面との距離
【先行技術文献】
【特許文献】
【0149】