(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-13
(45)【発行日】2022-04-21
(54)【発明の名称】ベルト装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
F16H 7/24 20060101AFI20220414BHJP
F16H 7/08 20060101ALI20220414BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20220414BHJP
G03G 15/16 20060101ALI20220414BHJP
F16H 7/12 20060101ALN20220414BHJP
【FI】
F16H7/24
F16H7/08 Z
G03G21/16 180
G03G15/16
F16H7/12 A
(21)【出願番号】P 2018048918
(22)【出願日】2018-03-16
【審査請求日】2021-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】久我 透
【審査官】長清 吉範
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-163910(JP,A)
【文献】特表2005-537439(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 7/24
F16H 7/08
G03G 21/16
G03G 15/16
F16H 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端ベルトに押圧による張力を付与する張力付与体と、前記張力付与体を保持する保持体と、前記保持体をベルト押圧方向に付勢する付勢手段とを有するベルト装置において、
前記保持体を前記付勢手段による付勢力で移動させないように係止する係止手段を設け
、
回動軸を中心に回動可能に前記保持体を構成し、
前記回動軸を中心に回動可能に構成した回動体と、前記回動体の回動を阻止する回動阻止手段とを設け、
前記回動軸を中心にした前記保持体の一端側と前記回動体の一端側とのなす角度を広げる方向に前記保持体と前記回動体とを付勢するように前記付勢手段を構成し、
且つ、前記角度を変化させないように前記保持体と前記回動体とを締結して前記保持体の動きを係止するように前記係止手段を構成したことを特徴とするベルト装置。
【請求項2】
請求項
1のベルト装置において、
雄ネジが貫通せしめられる穴を前記回動体の前記一端側とは反対の他端側、及び前記保持体の前記一端側とは反対の他端側に設け、
前記係止手段として、前記回動体の前記穴及び前記保持体の前記穴に貫通する前記雄ネジと、これに螺号する雌ネジとを用いたことを特徴とするベルト装置。
【請求項3】
請求項
1のベルト装置において、
前記回動体の前記一端側とは反対の他端側、及び前記保持体の前記一端側とは反対の他端側のうちの何れか一方に、雄ネジが貫通せしめられる穴を設け、前記雄ネジを他方に固定し、前記係止手段として、前記雄ネジ及びこれに螺号する雌ネジを用いたことを特徴とするベルト装置。
【請求項4】
請求項
1、2又は3のベルト装置であって、
前記回動体を支持する支持体を設け、
前記回動阻止手段として、前記回動体を前記支持体にネジ止めするネジ止め手段を用いたことを特徴とするベルト装置。
【請求項5】
請求項
1、2、3又は4のベルト装置において、
前記付勢手段としてトーションばねを用い、
前記トーションばねのコイル部を前記回動軸に通して、前記トーションばねの一方のアーム部によって前記保持体の前記一端側を付勢するとともに、前記トーションばねの他方のアーム部によって前記回動体の前記一端側を付勢するようにしたことを特徴とするベルト装置
。
【請求項6】
請求項
1、2、3、4又は5のベルト装置であって、
前記無端ベルトが、そのループ内側に配設された原動側プーリーから従動側プーリーに駆動力を伝達するものであることを特徴とするベルト装置。
【請求項7】
請求項
6のベルト装置において、
前記従動側プーリーとは別に、アイドラプーリーを、前記回動体に設けたことを特徴とするベルト装置。
【請求項8】
無端ベルトを無端移動せしめるベルト装置を備える画像形成装置において、
前記ベルト装置として、請求項1、2、3、4、5、6
又は7のベルト装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルト装置及びこれを備える画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、無端ベルトに押圧による張力を付与する張力付与体と、張力付与体をベルト押圧方向に付勢するための付勢力を発揮する付勢手段とを有するベルト装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、無端ベルトたる回転力伝達ベルトと、これに対して押圧による張力を付与する張力付与体たるテンションローラーや付勢手段たるコイルスプリングを具備するベルトテンショナーとを有している。ベルトテンショナーのテンションローラーは、回動軸を中心にして回動可能なレバーの一端側に回転可能に設けられている。また、コイルスプリングは、レバーの他端側を引っ張るように支持体に固定されている。コイルスプリングの引っ張り力によってレバーが回動軸を中心にして回転しようとすると、レバーの一端側に設けられたテンションローラーが回転力伝達ベルトのループ外面に当接して回転力伝達ベルトを押圧する。この押圧によって回転力伝達ベルトに張力が付与される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このベルト装置においては、保守等によって回転力伝達ベルトをループ内のプーリーから取り外すときに、レバーをコイルスプリングの引っ張り力に抗して拡げてテンションローラーを回転力伝達ベルトから離間させる作業を行う必要がある。回転力伝達ベルトに大きな張力を付与するコイルスプリングの引っ張り力は強いことから、前述の作業においては作業者に対して大きな労力を強いてしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、無端ベルトに押圧による張力を付与する張力付与体と、前記張力付与体をベルト押圧方向に付勢するための付勢力を発揮する付勢手段とを有するベルト装置において、前記張力付与体又はこれを保持する保持体を前記付勢力によって移動させないように係止する係止手段を設け、回動軸を中心に回動可能に前記保持体を構成し、前記回動軸を中心に回動可能に構成した回動体と、前記回動体の回動を阻止する回動阻止手段とを設け、前記回動軸を中心にした前記保持体の一端側と前記回動体の一端側とのなす角度を広げる方向に前記保持体と前記回動体とを付勢するように前記付勢手段を構成し、
且つ、前記角度を変化させないように前記保持体と前記回動体とを締結して前記保持体の動きを係止するように前記係止手段を構成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、無端ベルトを取り外すときの作業者の労力を低減することができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】同プリンタの作像ユニットを示す概略構成図。
【
図3】同プリンタの間転写ベルトと二次転写ローラとを接離させるための駆動力を発揮するベルト装置の一部を、二次転写ローラなどとともに示す斜視図。
【
図4】同プリンタの二次転写ニップ及びその周囲を示す側面図。
【
図5】同プリンタのベルト装置のベルト保持機構を示す斜視図。
【
図8】同ベルト保持機構のテンションアームを示す斜視図。
【
図10】同ベルト保持機構の係止ボルト係止ナットとによって互いに締結されたテンションアームの一部、及び回動部材一部を示す断面図。
【
図11】タイミングベルトの交換時における同ベルト保持機構を示す側面図。
【
図12】第一変形例に係るプリンタのベルト保持機構における回動部材一部を示す部分斜視図。
【
図13】第二変形例に係るプリンタのベルト保持機構を示す側面図。
【
図14】同ベルト保持機構のテンションアームの端部を示す部分斜視図。
【
図15】タイミングベルトの交換時における同ベルト保持機構を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を適用した画像形成装置の実施形態として、電子写真方式で画像を形成するプリンタについて説明する。
まず、実施形態に係るプリンタの基本的な構成について説明する。
図1は、実施形態に係るプリンタを示す概略構成図である。このプリンタは、像担持体たる中間転写ベルト51を有している。また、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー像を作像するための4つの作像ユニット1Y,1M,1C,1Kを中間転写ベルト51の上部走行面に沿って並べたタンデム作像部も有している。
【0009】
作像ユニット1Y,1M,1C,1Kは、感光体11Y,11M,11C,11Kを有している。感光体11Y,11M,11C,11Kは、光書込ユニット80から発せられるレーザー光によって光走査されて静電潜像が書き込まれる。
【0010】
光書込ユニット80は、パーソナルコンピュータ等の外部機器から送られてくる画像情報に基づいて、レーザーダイオードからレーザー光を発する。具体的には、光源から発したレーザー光Lを、ポリゴンモーターによって回転駆動したポリゴンミラーで主走査方向に偏光せしめながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体11Y,11M,11C,11Kの表面に照射する。かかる硫黄制の光書込ユニット80の代わりに、LEDアレイの複数のLEDから発したLED光による光走査行うものを採用してもよい。
【0011】
作像ユニット1Y,1M,1C,1Kに書き込まれた静電潜像は、後述するY,M,C,K用の現像装置によって現像されてY,M,C,Kのトナー像になる。
【0012】
作像ユニット1Y,1M,1C,1Kの下方には、無端状の中間転写ベルト51を張架しながら図中反時計回り方向に無端移動せしめる転写手段としての転写ユニット50が配設されている。この転写ユニット50は、中間転写ベルト51の他に、駆動ローラ52、二次転写対向ローラ53、クリーニングバックアップローラ54、4つの一次転写ローラ55、二次転写ローラ56、ベルトクリーニング装置57などを有している。また、ローラクリーニング装置58なども有している。
【0013】
中間転写ベルト51は、そのループ内側に配設された駆動ローラ52、二次転写対向ローラ53、クリーニングバックアップローラ54、及び、4つの一次転写ローラ55Y,55M,55C,55Kによって張架されている。そして、駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動される駆動ローラ52の回転力により、図中反時計回り方向に無端移動せしめられる。
【0014】
一次転写ローラ55Y,55M,55C,55Kは、無端移動せしめられる中間転写ベルト51を、感光体11Y,11M,11C,11Kとの間に挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト51のおもて面と、感光体11Y,11M,11C,11Kとが当接するY,M,C,K用の一次転写ニップが形成されている。
【0015】
一次転写ローラ55Y,55M,55C,55Kのそれぞれには、一次転写電源によって一次転写バイアスが印加される。これにより、感光体11Y,11M,11C,11K上と、中間転写ベルト51との間に一次転写電界が形成される。感光体11Y,11M,11C,11K上のY,M,C,Kトナー像は、一次転写電界やニップ圧の作用によって中間転写ベルト51上に一次転写される。これにより、中間転写ベルト51上には四色重ね合わせトナー像が形成される。
【0016】
このプリンタは、モノクロ画像を形成する場合に、転写ユニット50におけるY,M,C用の一次転写ローラ55Y,55M,55Cを支持している支持板を移動させる。これにより、一次転写ローラ55Y,55M,55Cを、感光体11Y,11M,11Cから遠ざけて中間転写ベルト51の張架姿勢を変化させることで、中間転写ベルト51を感光体11Y,11M,11Cから離間させる。但し、感光体11Kに対しては、引き続き中間転写ベルト51に当接させてK用の一次転写ニップを維持する。この状態で、四つの作像ユニット1Y,1M,1C,1Kのうち、作像ユニット1Kだけを駆動して、Kトナー像を感光体11K上に形成する。
【0017】
転写ユニット50の二次転写ローラ56は、中間転写ベルト51のループ外側に配設されており、ループ内側の二次転写対向ローラ53との間に中間転写ベルト51を挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト51のおもて面と、二次転写ローラ56とが当接する二次転写ニップが形成されている。
【0018】
二次転写ローラ56は電気的に接地されているのに対し、二次転写対向ローラ53には二次転写電源200から出力される二次転写バイアスが印加される。これにより、二次転写対向ローラ53と二次転写ローラ56との間に、トナーを二次転写対向ローラ53側から二次転写ローラ56側に向けて静電移動させる二次転写電界が形成される。なお、二次転写ローラ56に二次転写バイアスを印加するとともに、二次転写対向ローラ53を電気的に接地しても良い。
【0019】
転写ユニット50の下方には、記録シートPを複数枚重ねた紙束の状態で収容している給紙カセット100が配設されている。この給紙カセット100は、紙束の一番上の記録シートPに給紙ローラ101を当接させており、これを所定のタイミングで回転駆動させることで、その記録シートPを給紙路に向けて送り出す。
【0020】
給紙路の末端付近には、レジストローラ対102が配設されている。このレジストローラ対102は、給紙カセット100から送り出された記録シートPをローラ間に挟み込むと、すぐに両ローラの回転を停止させる。そして、挟み込んだ記録シートPを二次転写ニップ内で中間転写ベルト51上のトナー像に同期させ得るタイミングで、レジストローラ対102の両ローラの回転駆動を再開して、記録シートPを二次転写ニップに向けて送り出す。
【0021】
二次転写ニップで記録シートPに密着せしめられた中間転写ベルト51上の四色重ね合わせトナー像は、二次転写電界やニップ圧の作用によって記録シートP上に一括二次転写される。このようにして表面にフルカラートナー像またはモノクロトナー像が形成された記録シートPは、二次転写ニップを通過すると、二次転写ローラ56や中間転写ベルト51から曲率分離する。
【0022】
二次転写ニップの図中右側方には、定着装置90が配設されている。この定着装置90は、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ91と、これに所定の圧力で当接しながら回転する加圧ローラ92とによって定着ニップを形成している。二次転写ニップを通過した記録シートは、定着装置90内に送り込まれ、その未定着トナー像担持面を定着ローラ91に密着させる姿勢で定着ニップに挟まれる。そして、加熱や加圧の影響によってトナー像中のトナーが軟化さしめられて、フルカラー画像又はモノクロ画像が定着せしめられる。定着装置90内から排出された記録シートPは、定着後搬送路を通って機外へと排出される。
【0023】
二次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト51の表面には、記録シートPに二次転写されなかった若干量の転写残トナーや、紙粉などが付着している。それらは、ベルトクリーニング装置57によって中間転写ベルト51の表面から除去される。
【0024】
二次転写ニップを通過した後の二次転写ローラ56の表面には、紙粉や飛散トナーなどの汚れが付着している。それらは、ローラクリーニング装置58によって二次転写ローラ56の表面から除去される。
【0025】
作像ユニット1Y,1M,1C,1Kは、互いに使用するトナーの色が異なる点の他は同様の構成になっているので、以下、一つの作像ユニット1についてのみ、符号の末尾に付される色の添え字(Y,M,C,K)を省略して説明する。
【0026】
図2は、作像ユニット1を示す概略構成図である。プリンタ本体に対して着脱可能に構成された作像ユニット1は、潜像担持体たるドラム状の感光体11の他に、帯電装置21、現像装置31、クリーニング装置41などを有している。
【0027】
感光体11は、ドラム状の基体の表面上に有機感光層が形成されたものであり、駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動される。
【0028】
帯電装置21は、帯電バイアスが印加される帯電ローラを感光体11に接触あるいは近接させながら、帯電ローラと感光体11との間に放電を発生させることで、感光体11表面をトナーの正規帯電極性と同じマイナス極性に一様帯電せしめる。帯電バイアスとしては、直流電圧と交流電圧とを重畳したものを採用している。なお、帯電ローラを用いる方式に変えて、帯電チャージャによる方式を採用しても良い。
【0029】
現像装置31は、トナーと磁性キャリアとを含む現像剤が収容される収容容器内に、現像剤担持体たる現像スリーブ31a及び現像剤を攪拌しながら搬送する2本のスクリュー部材31b,31cを具備している。なお、現像装置31としては、磁性キャリアを含まずにトナー粒子を主成分とする一成分現像剤を用いるものを採用することも可能である。
【0030】
一次転写ニップを通過した後の感光体11表面をクリーニングするクリーニング装置41は、クリーニング部材たるクリーニングブレード41aやクリーニングブラシローラ41bを具備している。クリーニングブレード41aは、感光体11の回転方向に対してカウンター方向から感光体表面と当接している。また、クリーニングブラシローラ41bは、感光体11の回転方向とは逆方向に回転しながら感光体表面と接触している。そして、クリーニングブレード41aとクリーニングブラシローラ41bとにより、感光体表面をクリーニングする。
【0031】
このプリンタにおいては、必要に応じて、ショックジターを低減するためのショックキャンセル動作を実行することが可能である。ショックジターは、記録シートPが二次転写ニップに突入するときや抜けるときに、中間転写ベルト51や二次転写ローラ56に負荷をかけて、中間転写ベルト51の線速を一時的且つ急激に低下させたり増加させたりする現象である。記録シートPとして比較的厚みのあるものが用いられる場合に発生し易い現象である。ショックジターが起こると、それに同期した画像濃度ムラが発生してしまうので好ましくない。
【0032】
図3は、中間転写ベルト51と二次転写ローラ56とを接離させるための駆動力を発揮するベルト装置150の一部を、二次転写ローラ56などとともに示す斜視図である。二次転写ローラ56と、これよりも上側に配設された二次転写対向ローラ53とは、中間転写ベルト51を挟んで対向配置されている。二次転写ローラ56には、バネ67によって二次転写対向ローラ53に向かう付勢力が加えられている。
【0033】
ステッピングモーター155などで構成されるベルト装置150は、偏心カム61を回転駆動することで、二次転写ローラ56を二次転写対向ローラ53に対して近づけたり、遠ざけたりする。偏心カム61は、二次転写対向ローラ53の軸方向両端部のそれぞれにおいて、二次転写対向ローラ53と同軸上に設けられている。
【0034】
二次転写ローラ56の軸方向両端部には、二次転写ローラ56の回転を妨げないように玉軸受62が取り付けられており、この玉軸受62に偏心カム61を突き当てるような構成となっている。偏心カム61が取り付けられているカム軸61aがベルト装置150からの回転駆動力により回転すると、偏心カム61も同じタイミング且つ同じ角度で回転するよう、偏心カム61とカム軸61aとがDカットの溝などで嵌め合わされて取り付けられている。
【0035】
偏心カム61の形状として、偏心カム61の回転中心と外形部とを結んだ距離が最も短い部分は、二次転写対向ローラ53の直径よりも短くなっている。また、偏心カム61の回転中心と外形部とを結んだ距離が最も長い部分は、二次転写対向ローラ53の直径よりも長くなっている。
【0036】
カム軸61aは、ベルト装置150によって回転が制御される。ベルト装置150は、無端ベルトたるタイミングベルト151のループ内に配設された原動側プーリー153の回転駆動力を、ループ内に配設された従動側プーリー152に伝達する。そして、従動側プーリー152の回転駆動力を偏心カム61に伝達する。
【0037】
偏心カム61は玉軸受62に突き当てられており、その正回転によって二次転写ローラ56をバネ67の付勢力に抗して中間転写ベルト51から離間させる方向に押し下げる。これにより、
図4に示される、中間転写ベルト51と二次転写ローラ56との間のギャップ量を増加させる。また、逆回転によって二次転写ローラ56をバネ67の付勢力と同じ方向に移動させて、ギャプ量を減少させる。
【0038】
ショックキャンセル動作においては、ベルト装置150により、二次転写ニップへのシート突入時に中間転写ベルト51と二次転写ローラ56とを離間させ、シート突入時の衝撃や、中間転写ベルト51のプロセス線速変動(速度変動)を抑制する。また、記録シートPが二次転写ニップから抜けるときも同様に、ベルト装置150によって偏心カム61を回転させ、記録シートPの後端が二次転写ニップを通過する前に二次転写ローラ56と中間転写ベルト51とを離間させる。これにより、記録シートPが二次転写ニップから抜けるときの衝撃も減少させる。
【0039】
次に、このプリンタの特徴的な構成について説明する。
図5は、ベルト装置(150)のベルト保持機構170を示す斜視図である。同図において、タイミングベルト151のループ内には、アイドラプーリー154、従動側プーリー152、及び原動側プーリー153が配設されている。従動側プーリー152は、カム軸(
図3の61a)によって回転可能に保持されている。
【0040】
原動側プーリー153は、ベルト保持機構170の本体側板に固定されたステッピングモーター(155)のモーター軸に固定されている。
【0041】
タイミングベルト151の周囲には、支持部材156、回動体たる回動部材157、及び保持体たるテンションアーム158が配設されている。
【0042】
図6は、支持部材156を示す斜視図である。
図7は、回動部材157を示す斜視図である。
図8は、テンションアーム158を示す斜視図である。以下、
図5~
図8を参照しながら、ベルト保持機構170の構成について説明する。
【0043】
板金が折り曲げ加工されたものである支持部材156は、ベルト保持機構170の本体に固定されており、相対向する二つの側板の間に回動軸159を架け渡している(
図6参照)。また、二つの側板を繋いでいる天板には、雌ネジとしての雌ネジ穴156aが形成されている。
【0044】
板金が折り曲げ加工されたものである回動部材157は、相対向する二つの側板のそれぞれに、支持部材156に支持される回動軸159を貫通させるための穴157bを有している。二つの穴157bに回動軸159を貫通させた状態では、回動軸159を中心にして回動することが可能である。
【0045】
回動部材157の貫通穴を境にした一方の側(図中右端側)には、長穴157aが形成されている。また、二つの側板を繋いでいる天板には、ボルトを貫通させるためのボルト穴157cが形成されている。なお、長穴157aの役割については後述する。
【0046】
図7では、回動部材157とともにアイドラプーリー154を示している。このアイドラプーリー154は回動部材157に固定された軸上で回転するものである。
【0047】
図8に示されるテンションアーム158は、相対向する側板158c及び側板158dと、それらを繋ぐ底板158eとを有している。底板158eには大きな開口が設けられており、その開口にタイミングベルト151が通される(
図5参照)。
【0048】
板金が折り曲げ加工されたものであるテンションアーム158の側板158cと側板158dとには、支持部材156に支持される回動軸159を貫通させるための穴158aを有している。二つの穴158aに回動軸159を貫通させた状態では、回動軸159を中心にして回動することが可能である。
【0049】
テンションアーム158の側板158cと側板158dとは、張力付与体としてのタイトナ161を回転自在に保持している。また、側板158dには、長穴158fが形成されている。なお、長穴158fの役割については後述する。
【0050】
図5において、回動部材157と、テンションアーム158とは、回動軸159を中心にして互いに独立して回動することが可能である。支持部材156は、回動部材157とテンションアーム158との両方を支持している。
【0051】
以下、視覚的な理解を容易にするために、支持部材156、回動部材157、及びテンションアーム158をデフォルメして図示するものとする。
【0052】
図9は、ベルト保持機構170を示す側面図である。同図においては、理解を容易にするために、支持部材156については天板だけを示している。また、テンションアーム158については、以降の図では、理解を容易にするために同図のように矩形状の形状として示す。
【0053】
回動軸159は、上述したように、支持部材156に支持されている。ボルト163は、回動部材157の天板に設けられたボルト穴157c(
図7参照)を貫通して、支持部材156の天板に設けられた雌ネジ穴156a(
図6参照)に螺号することで、回動部材157を支持部材156にネジ止めしている。このネジ止めにより、回動軸159を中心にした回動部材157の回動が阻止されている。ボルト穴157c、雌ネジ穴156a、及びボルト163が回動部材157の回動を阻止する回動阻止手段として機能している。
【0054】
以下、回動部材157やテンションアーム158について、回動軸159を境にした図中左側を一端側、図中右側を他端側という。
【0055】
付勢手段としてのトーションばね162は、そのコイル部に回動軸159を貫通させて回動軸159に保持されている。この状態で、一方のアーム部によって保持体たるテンションアーム158の一端側を図中矢印B方向に付勢するとともに、他方のアーム部によって回動体たる回動部材157の一端側を図中矢印A方向に付勢している。つまり、トーションばね162は、回動軸159を中心にしたテンションアーム158の一端側と回動部材157の一端側とのなす角度を広げる方向にテンションアーム158と回動部材157とを付勢する。但し、図示の状態では、回動部材157はボルト163等からなる回動阻止手段によって回動が阻止されていることから、テンションアーム158だけがトーションばね162の付勢力によって回動軸159を中心にして矢印B方向に回転しようとする。すると、テンションアーム158に保持されるタイトナ161がタイミングベルト151におもて面側から当接してタイミングベルト151をループ内側に向かう図中矢印C方向に押圧する。この押圧により、タイミングベルト151に張力が付与される。
【0056】
タイミングベルト151が所定の張力で張られると、トーションばね162による付勢力と、タイミングベルト151がタイトナ161を図中矢印C方向とは反対方向に押し返そうとする力とが釣り合う。
【0057】
テンションアーム158に設けられた長穴158fと、回動部材157に設けられた長穴157aとは、図示のように、回動軸159の軸線方向において相対向している。
【0058】
図10は、雄ネジたる係止ボルト164と、雌ネジたる係止ナット165とによって互いに締結されたテンションアーム158の一部、及び回動部材157の一部を示す断面図である。同図において、係止ボルト164は、テンションアーム158の長穴158fと回動部材157の長穴157aとに貫通せしめられた状態で、係止ナット165が螺号せしめられている。この螺号により、テンションアーム158と回動部材157とが互いに締結されている。この状態では、
図9に示されるトーションばね162による付勢方向に付勢されるテンションアーム158が、付勢方向に回転しないように係止される。つまり、係止ボルト164及び係止ナット165は、テンションアーム158をトーションばね162による付勢方向(
図9の矢印B方向)に回動させないように係止する係止手段として機能している。
【0059】
図9に示されるように、係止ボルト(164)及び係止ナット165によるテンションアーム158の係止を行っていないときには、トーションばね162の付勢力によってタイトナ161をタイミングベルト151に押し当てている。これにより、タイミングベルト171に張力を付与する。このとき、タイミングベルトはトーションばね162の付勢力に対応する張力で張架されている。この状態で係止ボルト164と係止ナット165とを取り付けてテンションアーム158の回動を係止しても、タイミングベルト151の張力を変化させることがない。よって、係止ボルト164と係止ナットとを取り付けて運転してもよいし、取り付けずにトーションばね162の付勢力によってタイミングベルト151を所定の張力で張架して運転してもよい。
【0060】
図11は、タイミングベルト151の交換時におけるベルト保持機構170を示す側面図である。タイミングベルト151を交換するときには、図示のように、係止ボルト164及び係止ナット165によって回動部材157とテンションアーム158とを締結する。これにより、テンションアーム158をトーションばね162による付勢力では回転させないように回動部材157に係止する。そして、ボルト163を支持部材156から取り外すことで、回動軸159を中心にして回動部材157とテンションアーム158とを一体的に回転させる。このとき、トーションばね162の付勢力による、回動部材157から独立したテンションアーム158の回動が係止ボルト164及び係止ナット165によって阻止されていることから、付勢力が作業者の手に伝わることがない。タイミングベルト151がタイトナ161を押し返す力が働くことから、作業者は殆ど強い力を使うことなく、回動部材157及びテンションアーム158を一体で回転させて、タイトナ161をタイミングベルト151から離間させることができる。これにより、タイミングベルト151の張力をほぼ無くすことで、タイミングベルト151を三つのプーリー(152、153、154)から取り外すことが可能になる。
【0061】
アイドラプーリー154は、タイトナ161をタイミングベルト151から離間させたときのタイミングベルト151の弛みをより大きくする役割を担っている。弛みをより大きくすることで、タイミングベルト151の取り付けや取り外しをより容易に行うことができる。
【0062】
次に、実施形態に係るプリンタにおける一部の構成を他の構成に変形した各変形例について説明する。なお、以下に特筆しない限り、変形例に係るプリンタの構成は、実施形態と同様である。
【0063】
[第一変形例]
図12は、第一変形例に係るプリンタのベルト保持機構(170)における回動部材157の一部を示す部分斜視図である。この回動部材157においては、係止ボルトを貫通させるための長穴を設けていない。その代わりに、図示のように、雄ネジ166を溶接によって回動部材157本体表面に固定している。この雄ネジ166を、テンションアーム(158)の長穴(158f)に通し、それに係止ナット(165)を螺号させることで、回動部材157とテンションアーム(158)とを締結する。
【0064】
かかる構成では、タイミングベルト(151)を取り外すときに。長穴に対して係止ボルトを通す作業を省略して、取り外し作業性を向上させることができる。
【0065】
なお、回動部材157に雄ネジ166を固定することに代えて、テンションアーム(158)に雄ネジ166を固定し、これを回動部材157の長穴(158a)に通してもよい。
【0066】
[第二変形例]
図13は、第二変形例に係るプリンタのベルト保持機構170を示す側面図である。このベルト保持機構170は、回動部材を有していない。保持体たるテンションアーム158は、回動軸159を中心にして回動可能であるが、図示の状態では、一端側が回動阻止手段たるボルト163によって支持部材156に固定されていることから、回動が阻止されている。
【0067】
タイトナ161を保持する保持体としてのタイトナ保持軸169は、第二保持体たるテンションアーム158の長穴158fを貫通しており、長穴158f内でスライド移動するようにテンションアーム158に保持されている。テンションアーム158には、回転不能なばね保持軸167が固定されている。このばね保持軸167の端部と、タイトナ保持軸169とは、付勢手段としてのコイルばね168によって繋がれている。タイトナ保持軸169がテンションアーム158の長穴158f内でスライド移動する方向は、コイルばね168の引っ張り方向(付勢方向、図中矢印D方向)に沿っている。
【0068】
同図では、タイトナ保持軸169の長手方向における一端側だけが描かれているが、他端側も同様にして、タイトナ保持軸169がコイルばね168によって引っ張られている。この引っ張りにより、タイトナ161がタイミングベルト151のおもて面に当接してタイミングベルト151を押圧することで、タイミングベルト151に張力を付与している。
【0069】
図14は、テンションアーム158の端部を示す部分斜視図である。タイトナ保持軸169の両端部は、雄ネジ(以下、軸端部雄ネジという)になっている。それぞれの軸端部雄ネジには、係止ナット165が螺号している。通常運転時には、それぞれの軸端部ネジに対する係止ナット165の螺号が緩められていることから、タイトナ保持軸169は長穴158f内で自在にスライド移動することが可能である。このため、コイルばね168によって矢印D方向に引っ張られて、タイトナ161がタイミングベルト151を押圧する。
【0070】
タイミングベルト151を取り外すときには、タイトナ保持軸169の両端部におけるそれぞれの軸端部雄ネジ1aに螺号している係止ナット165を、互いの距離を近づけるように締める。これにより、タイトナ161及びタイトナ保持軸169を長穴158f内でスライド移動させないようにテンションアーム158に係止する。
【0071】
図15は、第二変形例に係るプリンタのタイミングベルト151の交換時におけるベルト保持機構170を示す側面図である。上述のようにしてタイトナ保持軸169をテンションアーム158に係止した作業者は、ボルト163を支持部材から取り外して、回動軸159を中心にしてテンションアーム158を回転させる。このとき、コイルばね168の引っ張り力(付勢力)によるタイトナ保持軸169のスライド移動が軸端部雄ネジ及び係止ナット165によって阻止されていることから、付勢力が作業者の手に伝わることがない。タイミングベルト151がタイトナ161を押し返す力を発揮することから、作業者は殆ど強い力を使うことなく、テンションアーム158を回転させて、タイトナ161をタイミングベルト151から離間させることができる。これにより、タイミングベルト151の張力をほぼ無くすことで、タイミングベルト151を三つのプーリー(152、153、154)から取り外すことが可能になる。
【0072】
また、第二変形例に係るプリンタでは、回動部材を設けていないことから、低コスト化を図ることができている。
【0073】
これまで、無端ベルトたるタイミングベルト151を有するベルト装置150について説明したが、中間転写ベルト、感光ベルト、現像ベルト、シート搬送ベルトなどの他の無端ベルトを有するベルト装置にも、本発明の適用が可能である。
【0074】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[第1態様]
第1態様は、無端ベルト(例えばタイミングベルト151)に押圧による張力を付与する張力付与体(例えばタイトナ161)と、前記張力付与体を保持する保持体(例えばテンションアーム158又はタイトナ保持軸169)と、前記保持体をベルト押圧方向に付勢する付勢手段(例えばトーションばね162、コイルばね168)とを有するベルト装置(例えばベルト装置150)において、前記保持体を前記付勢手段による付勢力で移動させないように係止する係止手段(例えば係止ボルト164、係止ナット165、軸端部雄ネジ)を設けたことを特徴とするものである
【0075】
第1態様においては、付勢手段の付勢力による保持体の動きを係止手段によって係止した後、無端ベルトの張力を解く方向に、保持体を張力付与体、係止手段及び付勢手段とともに移動させる。この移動にあたって、作業者のみならず、張力付与体、係止手段及び付勢手段も一緒に移動させるので、係止手段による保持体の付勢方向への移動係止を継続できる。よって、付勢手段による付勢力を作業者の手に及ぼすことがなく、無端ベルトを取り外すときの作業者の労力を低減することができる。
【0076】
[第2態様]
第2態様は、第1態様において、回動軸(例えば回動軸159)を中心に回動可能に前記保持体を構成し、前記回動軸を中心に回動可能に構成した回動体(例えば回動部材157)と、前記回動体の回動を阻止する回動阻止手段(例えばボルト163及び支持部材156)とを設け、前記回動軸を中心にした前記保持体の一端側と前記回動体の一端側とのなす角度を広げる方向(例えば
図9の矢印A方向、B方向)に前記保持体と前記回動体とを付勢するように前記付勢手段(例えばトーションばね162)を構成し、且つ、前記角度を変化させないように前記保持体と前記回動体とを締結して前記保持体の動きを係止するように前記係止手段(例えば係止ボルト164及び係止ナット165)を構成したことを特徴とするものである。
【0077】
第2態様においては、保持体と回動体とを係止手段によって締結した状態で、回動体を回動阻止手段による回動阻止から解いた後、回動軸を中心にして保持体及び回動体を一体で回転させることで、保持体に保持される張力付与体を無端ベルトから離間させる。そして、その離間によって張力を無くした無端ベルトをベルト装置から取り外す。この一連の作業のときに、張力付与体や保持体を付勢手段による付勢力に抗して押し下げる作業を行う必要がないことから、無端ベルトを取り外すときの作業者の労力を低減することができる。
【0078】
[第3態様]
第3態様は、第2態様において、雄ネジ(例えば係止ボルト164)が貫通せしめられる穴(例えば長穴157a、長穴158f)を前記回動体の前記一端側とは反対の他端側、及び前記保持体の前記一端側とは反対の他端側に設け、前記係止手段として、前記回動体の前記穴及び前記保持体の前記穴に貫通する前記雄ネジと、これに螺号する雌ネジ(例えば係止ナット165)とを用いたことを特徴とするものである。
【0079】
第3態様においては、雌ネジの締め付けや緩めという簡単な作業により、保持体を回動体に係止したり、係止を解いたりすることができる。
【0080】
[第4態様]
第4態様は、第2態様において、前記回動体の前記一端側とは反対の他端側、及び前記保持体の前記一端側とは反対の他端側のうちの何れか一方に、雄ネジ(例えば雄ネジ166)が貫通せしめられる穴(例えば長穴157a)を設け、前記雄ネジを他方に固定し、前記係止手段として、前記雄ネジ及びこれに螺号する雌ネジを用いたことを特徴とするものである。
【0081】
第4態様においては、雌ネジの締め付けや緩めという簡単な作業により、保持体を回動体に係止したり、係止を解いたりすることができる。また、第3態様とは異なり、無端ベルトを取り外すときに、雄ネジを回動体や保持体の穴に通す作業を省略することができる。
【0082】
[第5態様]
第5態様は、第2、3又は4態様であって、前記回動体を支持する支持体(例えば支持部材156)を設け、前記回動阻止手段として、前記回動体を前記支持体にネジ止めするネジ止め手段(例えばボルト163)を用いたことを特徴とするものである。
【0083】
第5態様においては、ネジ止めやネジ外しという簡単な作業により、回動体の回転を阻止したり、回転阻止を解いたりすることができる。
【0084】
[第6態様]
第6態様は、第2、3、4又は5態様において、前記付勢手段としてトーションばね(例えばトーションばね162)を用い、前記トーションばねのコイル部を前記回動軸に通して、前記トーションばねの一方のアーム部によって前記保持体の前記一端側を付勢するとともに、前記トーションばねの他方のアーム部によって前記回動体の前記一端側を付勢するようにしたことを特徴とするものである。
【0085】
第6態様においては、市場に広く出回っているトーションばねを用いて、回動軸を中心にした保持体の一端側と回動体の一端側とのなす角度を広げる方向に保持体と回動体とを付勢することで、低コスト化を図ることができる。
【0086】
[第7態様]
第7態様は、第1態様において、回動軸(例えば回動軸159)を中心に回動可能であって且つ前記保持体(例えばタイトナ保持軸169)を前記付勢手段(例えばコイルばね168)による付勢方向(例えば
図13の矢印D方向)に移動可能に保持する第二保持体(例えばテンションアーム158)と、前記第二保持体の回動を阻止する回動阻止手段(例えばボルト163)とを設け、前記第二保持体上における前記保持体の前記付勢方向への移動を係止するように、前記係止手段(例えば軸端部雄ネジ及び係止ナット165)を構成したことを特徴とするものである。
【0087】
第7態様においては、保持体の第二保持体上でのスライド移動を係止手段によって係止した状態で、第二保持体を回動阻止手段による回動阻止から解いた後、回動軸を中心にして第二保持体を回転させて、張力付与体を無端ベルトから離間させる。そして、その離間によって張力を無くした無端ベルトをベルト装置から取り外す。この一連の作業のときに、付勢手段の付勢力を作業者の手に及ぼすことがないので、無端ベルトを取り外すときの作業者の労力を低減することができる。
【0088】
[第8態様]
第8態様は、第2、第3、第4、第5又は第6態様であって、前記無端ベルトが、そのループ内側に配設された原動側プーリー(例えば原動側プーリー153)から従動側プーリー(例えば従動側プーリー152)に駆動力を伝達するものであることを特徴とするものである。かかる構成では、駆動伝達手段としてのベルト装置から無端ベルトを取り外すときの作業者の労力を低減することができる。
【0089】
[第9態様]
第9態様は、前記従動側プーリーとは別に、アイドラプーリーを、前記回動体に設けたことを特徴とするものである。かかる構成では、無端ベルトの取り外しのために回動部材を回動させると、無端ベルトの姿勢を、無端ベルト駆動時の姿勢から変化させる。このような姿勢の変化により、無端ベルトの弛みをより大きくして無端ベルトの取り付けや取り外しの作業性を向上させることができる。
【0090】
[第10態様]
第10態様は、無端ベルトを無端移動せしめるベルト装置を備える画像形成装置(例えばプリンタ)において、前記ベルト装置として、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8又は第9態様を用いたことを特徴とするものである。
【符号の説明】
【0091】
152:従動側プーリー
153:原動側プーリー
154:アイドラプーリー
159:回動軸
150:ベルト装置
151:タイミングベルト(無端ベルト)
156:支持部材(回動阻止手段の一部、支持体)
157:回動部材(回動体)
157a:長穴(穴)
158:テンションアーム(保持体、第二保持体)
158f:長穴(穴)
161:タイトナ(張力付与体)と、
162:トーションばね(付勢手段)
164:係止ボルト(係止手段の一部、雄ネジ)
165:係止ナット(係止手段の一部、雌ネジ)
166:雄ネジ
163:ボルト(回動阻止手段の一部、ネジ止め手段)
165:係止ナット(係止手段の一部)
168:コイルばね(付勢手段)
169:タイトナ保持軸(保持体)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0092】