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特許7058080ALEおよび選択的蒸着を用いた基板のエッチング
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-13
(45)【発行日】2022-04-21
(54)【発明の名称】ALEおよび選択的蒸着を用いた基板のエッチング
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20220414BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20220414BHJP
   G03F 7/40 20060101ALI20220414BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
H01L21/302 101C
G03F7/20 521
G03F7/40 521
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017087781
(22)【出願日】2017-04-27
(65)【公開番号】P2017199909
(43)【公開日】2017-11-02
【審査請求日】2020-04-24
(31)【優先権主張番号】62/329,916
(32)【優先日】2016-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/494,245
(32)【優先日】2017-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サマンサ・タン
(72)【発明者】
【氏名】ジェンイー・ユウ
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・ワイズ
(72)【発明者】
【氏名】ネイダー・シャンマ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・パン
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-532988(JP,A)
【文献】特開2010-206051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
G03F 7/20
G03F 7/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する方法であって、
(a)第1炭素含有材料を含む基板を酸素含有の酸化剤に暴露し、第1プラズマを点火して、前記第1炭素含有材料の表面に前記酸化剤を吸着させることにより、前記表面を改質する工程と、
(b)バイアス電力で、スパッタリングなしに前記改質された表面を除去するのに十分な期間にわたって、前記改質された表面を、不活性ガスから形成される第2プラズマに暴露する工程と、
を備える、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
(c)炭素含有化学物質に晒すことにより前記基板に第2炭素含有材料を選択的に蒸着して、前記第1炭素含有材料の裂け目を埋め、これにより、前記第1炭素含有材料の表面を滑らかにし、前記炭素含有化学物質は、C (xおよびyは1以上の整数)により表される工程を、さらに備える、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記基板に前記第2炭素含有材料を選択的に蒸着する工程は、約5V~約15Vの間の電力の自己バイアスを印加する工程と、約30W~約500Wの間のプラズマ電力を用いてプラズマを点火する工程と、を含む、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
前記基板に前記第2炭素含有材料を選択的に蒸着する工程は、さらに、メタンを導入する工程を含む、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
前記基板に前記第2炭素含有材料を選択的に蒸着する工程は、さらに、窒素、ヘリウム、アルゴン、水素、および、それらの組み合わせ、からなる群より選択された希釈剤を導入する工程を含む、方法。
【請求項6】
請求項2に記載の方法であって、
前記工程(c)は、前記基板をメタンに暴露して、前記第1炭素含有材料の前記表面にメタンの層を吸着させる工程と、前記基板を第3プラズマに暴露する工程と、を含む、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記バイアス電力は、約30V~約100Vの間である、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記酸素含有の酸化剤は、強酸化剤である、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
前記強酸化剤は、酸素である、方法。
【請求項10】
請求項8に記載の方法であって、
前記第1プラズマは、約15W~約500Wの間のプラズマ電力を用いて生成される、方法。
【請求項11】
請求項8に記載の方法であって、
前記第1プラズマは、約5V~50Vの間の別のバイアス電力で点火される、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、
前記酸素含有の酸化剤は、弱酸化剤である、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、
前記弱酸化剤は、二酸化炭素、一酸化炭素、二酸化硫黄、および一酸化窒素からなる群より選択される、方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法であって、
前記第1プラズマは、約30W~約500Wの間のプラズマ電力を用いて生成される、方法。
【請求項15】
請求項12に記載の方法であって、
前記第1プラズマは、約30V~約100Vの間の別のバイアス電力で点火される、方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1炭素含有材料は、フォトレジスト、非晶質炭素、および、グラフェン、からなる群より選択される、方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1炭素含有材料は、極紫外線リソグラフィによってパターニングされたフォトレジストである、方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法であって、
前記工程(b)における前記第2プラズマは、水素、ヘリウム、窒素、アルゴン、および、ネオン、からなる群より選択された不活性ガスを導入して、前記第2プラズマを点火することによって生成される、方法。
【請求項19】
基板を処理する方法であって、
(a)第1炭素含有材料を含む基板を酸素含有の酸化剤に暴露し、第1プラズマを点火して、前記第1炭素含有材料の表面に前記酸化剤を吸着させることにより、前記表面を改質する工程と、
(b)バイアス電力で、スパッタリングなしに前記改質された表面を除去するのに十分な期間にわたって、前記改質された表面を、不活性ガスから形成される第2プラズマに暴露する工程と、
(c)前記基板に第2炭素含有材料を選択的に蒸着して、化学式Cxyを有する前駆体を用いて前記第1炭素含有材料の裂け目を埋める工程であって、xおよびyは1以上の整数である工程と、
を備える、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、前記前駆体はメタンを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
半導体処理には、パターニング方法が重要である。特に、リソグラフィ技術にその光学限界を超えさせ、現在のリソグラフィ法に代わって小クリティカルディメンションフィーチャをパターニングするために、極紫外線(EUV)リソグラフィが研究されてきた。現在のEUVリソグラフィ法は、最終的に基板を不良品にし得る悪いエッジ粗さおよび弱いパターンにつながる。
【発明の概要】
【0002】
本明細書では、半導体基板を処理するための方法および装置が提供されている。一態様は、基板を処理する方法を含み、その方法は:(a)第1炭素含有材料を含む基板を酸化剤に暴露し、第1バイアス電力で第1プラズマを点火して、第1炭素含有材料の表面を改質する工程と;(b)第2バイアス電力で、スパッタリングなしに改質表面を除去するのに十分な期間にわたって、改質層を第2プラズマに暴露する工程と、を備える。様々な実施形態において、方法は、さらに、(c)基板に第2炭素含有材料を選択的に蒸着して、第1炭素含有材料の裂け目(crevice)を埋める工程を備える。様々な実施形態において、方法は、さらに、工程(a)~工程(c)を循環的に繰り返す工程を備える。様々な実施形態において、第2バイアス電力は、約30V~約100Vの間であってよい。
【0003】
いくつかの実施形態において、酸化剤は、強酸化剤である。例えば、強酸化剤は、酸素であってよい。様々な実施形態において、第1プラズマは、約15W~約500Wの間のプラズマ電力を用いて生成される。第1バイアス電力は、約5V~50Vの間であってよい。
【0004】
いくつかの実施形態において、酸化剤は、弱酸化剤である。例えば、弱酸化剤は、二酸化炭素、一酸化炭素、二酸化硫黄、一酸化窒素、窒素、および、アンモニアの内の任意の1または複数であってよい。いくつかの実施形態において、第1プラズマは、約30W~約500Wの間のプラズマ電力を用いて生成される。第1バイアス電力は、約30V~約100Vの間であってよい。
【0005】
様々な実施形態において、基板に第2炭素含有材料を選択的に蒸着する工程は、約5V~約15Vの間の電力の自己バイアスを印加する工程と、約30W~約500Wの間のプラズマ電力を用いてプラズマを点火する工程と、を含む。いくつかの実施形態において、基板に第2炭素含有材料を選択的に蒸着する工程は、さらに、メタンを導入する工程を含む。基板に第2炭素含有材料を選択的に蒸着する工程は、さらに、窒素、ヘリウム、アルゴン、水素、および、それらの組み合わせの内の任意の1または複数などの希釈剤を導入する工程を含んでもよい。
【0006】
様々な実施形態において、第1炭素含有材料は、フォトレジスト、非晶質炭素、および、グラフェンの内の任意の1または複数である。いくつかの実施形態において、第1炭素含有材料は、極紫外線リソグラフィによってパターニングされたフォトレジストである。
【0007】
いくつかの実施形態において、工程(c)は、基板をメタンに暴露して、第1炭素含有材料の表面にメタンの層を吸着させる工程と、基板を第3プラズマに暴露する工程と、を含む。
【0008】
第3プラズマは、ヘリウム、水素、窒素、アルゴン、および、ネオンの内の任意の1または複数などの不活性ガスを導入して、プラズマを点火することによって生成されてよい。
【0009】
様々な実施形態において、第1炭素含有材料を含む基板を酸化剤に暴露する工程は、さらに、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、および、キセノンの内の任意の1または複数などの不活性希釈ガスに基板を暴露する工程を含む。
【0010】
工程(b)における第2プラズマは、水素、ヘリウム、窒素、アルゴン、および、ネオンの内の任意の1または複数などの不活性ガスを導入して、プラズマを点火することによって生成されてよい。
【0011】
様々な実施形態において、方法は、さらに、工程(a)および工程(b)の実行の合間に基板を収容するチャンバをパージして、余分な酸化剤をチャンバから除去する工程を備える。
【0012】
いくつかの実施形態において、方法は、さらに、工程(a)および工程(b)を循環的に繰り返す工程を備える。
【0013】
基板は、約0℃~約120℃の間の温度に設定されたペデスタル上に載置されてよい。
【0014】
別の態様は、基板を処理するための装置を含み、その装置は:各々がチャックを備えた1または複数の処理チャンバと;処理チャンバおよび関連する流量制御ハードウェアへの1または複数のガス流入口と;少なくとも1つのプロセッサおよびメモリを有するコントローラと、を備えており、少なくとも1つのプロセッサおよびメモリは、互いに通信可能に接続され、少なくとも1つのプロセッサは、流量制御ハードウェアと少なくとも動作可能に接続され、メモリは:(i)酸化剤を処理チャンバに導入して、第1バイアス電力で第1プラズマを点火し;(ii)第1不活性ガスを導入して、第2バイアス電力で第2プラズマを点火することによって流量制御ハードウェアを少なくとも制御するように、少なくとも1つのプロセッサを制御するためのコンピュータ実行可能な命令を格納し、(i)および(ii)は、真空を中断することなしに実行される。
【0015】
様々な実施形態において、メモリは、さらに、(iii)炭素含有前駆体を処理チャンバに導入して、1または複数の処理チャンバ内に収容された基板の表面に炭素含有前駆体の吸着層を形成するための命令と、(iv)第2不活性ガスを導入して、第3プラズマを点火するための命令と、を備える。
【0016】
様々な実施形態において、命令は、さらに、(iii)で炭素含有前駆体を導入する時に、約5V~約15Vの間の電力で自己バイアスをオンにするための命令を含む。
【0017】
様々な実施形態において、命令は、さらに、窒素、ヘリウム、アルゴン、水素、および、それらの組み合わせ、からなる群より選択された希釈剤を導入するための命令を含む。
【0018】
様々な実施形態において、酸化剤は、酸素である。第1バイアス電力は、約5V~約50Vの間であってよい。様々な実施形態において、第1プラズマは、約15W~500Wの間のプラズマ電力に設定される。
【0019】
様々な実施形態において、酸化剤は、二酸化炭素、一酸化炭素、二酸化硫黄、一酸化窒素、窒素、および、アンモニアの内の任意の1または複数である。いくつかの実施形態において、第1バイアス電力は、約30V~約100Vの間である。いくつかの実施形態において、第1プラズマは、約30W~500Wの間のプラズマ電力に設定される。
【0020】
これらの態様および他の態様について、図面を参照しつつ以下でさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】基板上の膜の原子層エッチングの一例を示す概略図。
【0022】
図2】突起を持つレジストに原子層エッチングを実行する一例を示す概略図。
【0023】
図3】原子層エッチング中の除去動作の一例を示す概略図。
【0024】
図4】特定の開示された実施形態に従って利用できる選択的蒸着サイクルを示す概略図。
【0025】
図5】開示された実施形態に従って実行される動作を示す処理フローチャート。
【0026】
図6】特定の開示された実施形態を実行するための処理チャンバ例を示す概略図。
【0027】
図7】特定の開示された実施形態を実行するための処理装置例を示す概略図。
【0028】
図8A】実験で用いられた基板の画像を示す図。
【0029】
図8B】実験で得られた基板の画像を示す図。
【0030】
図8C】特定の開示された実施形態に従って行われた実験から得られた基板の画像を示す図。
図8D】特定の開示された実施形態に従って行われた実験から得られた基板の画像を示す図。
図8E】特定の開示された実施形態に従って行われた実験から得られた基板の画像を示す図。
【0031】
図9A】基板を示す図。
図9B】基板を示す図。
図9C】基板を示す図。
【0032】
図10A】特定の開示された実施形態に従って行われた実験から得られた基板を示す図。
図10B】特定の開示された実施形態に従って行われた実験から得られた基板を示す図。
図10C】特定の開示された実施形態に従って行われた実験から得られた基板を示す図。
図11A】特定の開示された実施形態に従って行われた実験から得られた基板を示す図。
図11B】特定の開示された実施形態に従って行われた実験から得られた基板を示す図。
図11C】特定の開示された実施形態に従って行われた実験から得られた基板を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下の説明では、提示した実施形態の完全な理解を促すために、数多くの具体的な詳細事項が示されている。開示された実施形態は、これらの具体的な詳細事項の一部またはすべてがなくとも実施可能である。また、開示した実施形態が不必要に不明瞭となることを避けるため、周知の処理動作の詳細な説明は省略した。開示した実施形態は、具体的な実施形態に関連して説明されているが、開示した実施形態を限定する意図はないことを理解されたい。
【0034】
半導体基板中の薄膜のパターニングが、半導体デバイスの製造および加工で利用される。従来のパターニングには、フォトリソグラフィ(193nmリソグラフィなど)が含まれる。フォトリソグラフィでは、光子源からマスク上に光子を放射して感光性のフォトレジスト上にパターンをプリントすることによってパターンがプリントされ、それにより、フォトレジストの特定の部分を除去してパターンを形成する化学反応をフォトレジストにおいて引き起こす。デバイスが縮小するほど、より小さいフィーチャをプリントする必要性が高まる。マルチプルパターニング技術が、従来のフォトリソグラフィで利用するために開発されてきたが、マルチプルパターニングは、多重の蒸着およびエッチング処理を用いる。先進的な半導体集積回路(IC)およびその他のデバイスにおけるフィーチャのスケーリングが、さらに小さい結像源波長へ移行によってリソグラフィの分解能の改善を促してきた。
【0035】
極紫外線(EUV)リソグラフィは、最先端のリソグラフィツール(スキャナとも呼ばれる)で約13.5nm波長のEUV光源を用いて、より小さいパターンをフォトレジスト上にプリントするために開発されてきた。次世代のEUVは、まず、45nm技術ノードの製造をサポートすると2006年に予測されたが、かかる開発は、いくつかの生産性の問題によって大幅に遅れた。EUV生産性における1つの課題は、13.5nmの光子を生成して集束させる固有の困難のために、パターニングを実行するのに十分な電力を生成することであった。システムスループット、ひいては、全体のコストおよび生産性は、ウエハに供給される光子とフォトレジストを結像させるのに必要な光子の割合によって決定される。ソースの改善に向けて、この10年間にわたって開発されてきた方法があるが、それらの方法は、45nm技術ノードでEUV技術を効率的に利用できるための250Wのソース電力をまだ達成していない。5nm技術ノードでEUVを実行するために、500W~1000Wのソース電力を利用して、既存のパターニング技術に対してコスト競争力を持つようにするように、EUVを実行するために用いられるソース電力は、ショットノイズおよびレジストブラにより、デバイスが縮小するにつれて増大する。
【0036】
不十分なソース電力は、特にビアの結像について、パターニングされる像のエッジ粗さおよび規定されるクリティカルディメンションの両方において、パターン忠実度の損失につながる。これは、他の理由に加えて、各ビアの結像に利用可能な光子の数の少なさ、各フィーチャ内の光子の数の確率的変動、および、光酸形成における各光子の効率が、ホールサイズ(本明細書では、ローカルクリティカルディメンション均一性すなわち“LCDU”とも呼ばれる)およびエッジ粗さ(本明細書では、ラインエッジ粗さすなわち“LER”とも呼ばれる)のランダムな変動につながることに起因する。
【0037】
クリティカルディメンションの小さいデバイスのためのフォトレジストをパターニングする現在の技術は、フォトレジストからの残留物を硬化させ、滑らかにし、除去するための反応性イオンエッチング(“RIE”)処理を含む。しかしながら、現在のRIE処理は、LERまたはLCDUに対処することができない。例えば、RIEによって処理されたフォトレジストは、フィーチャの底部で、フィーチャとレジストスカムとの間に小さいストリンガをまだ含みうる。
【0038】
本明細書では、基板(フォトレジストなど)をエッチングして、フォトリソグラフィ後に結像されたフィーチャに均一にエッチングされた滑らかな縁部を生成する方法が提供されている。かかる技術は、本明細書に記載されるように、LERおよびLCDUの両方を改善する。開示する実施形態は、高いソース電力を用いてEUV照射を実行する必要性を低減することにより、EUVスキャナの生産性を改善する。開示する実施形態は、ソース/ドレーン領域、3Dコンタクトホールなどへのコンタクトなどの構造を形成するための基板のエッチングに適している。
【0039】
方法は、炭素含有材料などの材料を緩やかにエッチングして滑らかにするために、原子層エッチング(ALE)および選択的蒸着を含む。開示する実施形態を用いてエッチングされうる炭素含有材料の例は、フォトレジスト(EUVまたは液浸に用いられるものなど)および非晶質炭素を含む。
【0040】
ALEは、連続的な自己制限反応を用いて材料の薄層を除去する技術である。一般に、ALEは、任意の適切な技術を用いて実行されてよい。原子層エッチング技術の例は、2014年11月11日発行の米国特許第8,883,028号;2014年8月19日発行の米国特許第8,808,561号;2017年2月21日発行の米国特許第 9,576,811号に記載されており、原子層エッチングの例およびエッチング技術を記載するために、参照によって本明細書に組み込まれる。様々な実施形態において、ALEは、プラズマで実行されてもよいし、熱的に実行されてもよい。
【0041】
ALEは、循環的に実行されてよい。「ALEサイクル」の概念は、本明細書の様々な実施形態の議論に関連する。一般に、ALEサイクルは、エッチング処理(単分子層のエッチングなど)を1回実行するために用いられる動作の最小セットである。1サイクルの結果は、基板表面上の膜層の少なくとも一部がエッチングされることである。通例、ALEサイクルは、反応層を形成するための改質動作と、その後に、この改質層のみを除去すなわちエッチングするための除去動作と、を含む。サイクルは、反応物質または副生成物の一方のスイーピング(一掃)など、特定の補助的な動作を含んでもよい。一般に、サイクルは、一意的な動作手順を一組含む。一例として、ALEサイクルは、以下の動作を含んでよい:(i)反応ガスの供給(吸着)、(ii)チャンバからの反応ガスのパージ、(iii)除去ガスおよび任意選択的なプラズマの供給(脱着)、ならびに、(iv)チャンバのパージ。
【0042】
図1は、ALEサイクルの2例の概略図および選択的ポリマ蒸着の概略図である。171a~171eは、ALEサイクルの一例を示す。171aにおいて、基板が準備される。
【0043】
様々な実施形態において、基板は、シリコンウエハ、例えば、200mmウエハ、300mmウエハ、または、450mmウエハであってよく、誘電材料、導電材料、または、半導体材料などの1または複数の材料層を上に蒸着されたウエハを含みうる。いくつかの実施形態において、基板は、シリコン(非晶質シリコンなど)のブランケット層、または、ゲルマニウムのブランケット層を備える。基板は、基板上に以前に蒸着およびパターニングされたパターン化マスク層を備えてよい。例えば、マスク層が、ブランケット非晶質シリコン層を含む基板上に蒸着およびパターニングされてよい。いくつかの実施形態において、基板表面は、フォトレジスト、または、グラフェン、または、非晶質炭素を含む。
【0044】
いくつかの実施形態において、基板上の層は、パターニングされてよい。基板は、ビアまたはコンタクトホールなどの”フィーチャ”を有してよく、それらのフィーチャは、狭いおよび/またはリエントラント型(re-entrant)の開口部、フィーチャ内の狭窄部、ならびに、高アスペクト比の内の1または複数によって特徴付けることができる。フィーチャは、上述した層の1または複数に形成されてよい。フィーチャの一例は、半導体基板または基板上の層におけるホールまたはビアである。別の例は、基板または層に線または空間によって規定されたトレンチである。様々な実施形態において、フィーチャは、バリア層または接着層などの下層を有してよい。下層の非限定的な例は、誘電層および導電層を含み、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、および、金属層などである。いくつかの実施形態において、基板の表面は、基板がパターニングされる場合などに、2以上のタイプの材料を含んでもよい。基板は、開示する実施形態を用いてエッチングされて滑らかにされる少なくとも1つの材料を含む。この材料は、上述した任意のもの(金属、誘電体、半導体材料、および、その他)の内のいずれであってもよい。様々な実施形態において、これらの材料は、コンタクト、ビア、ゲートなどを加工するために準備されてよい。いくつかの実施形態において、エッチングされる材料は、非晶質炭素などのハードマスク材料である。さらなる材料の例は、窒化アルミニウムガリウム、シリコン、窒化ガリウム、タングステン、および、コバルトを含む。
【0045】
171bにおいて、基板の表面が改質される。171cにおいて、余分な非吸着前駆体を除去するパージ動作後、改質層が残る。171dにおいて、改質層は、エッチングされている。171eにおいて、改質層は除去される。
【0046】
同様に、172a~172eは、炭素含有膜をエッチングするためのALEサイクルの一例を示す。図172aにおいて、炭素含有材料を含む基板が準備され、これは、多くの炭素原子を含む。様々な実施形態において、基板は、フォトレジストまたは非晶質炭素層などの炭素含有層を含む。
【0047】
図172bにおいて、基板の表面を改質する酸化剤が、基板に導入される。酸化剤は、酸素(O)などの強酸化剤または二酸化炭素(CO)などの弱酸化剤であってよい。酸化剤の選択は、基板上の炭素含有材料のタイプに依存しうる。例えば、いくつかの実施形態において、強酸化剤は、非晶質炭素またはグラフェンなどの硬質炭素含有材料のエッチングに適した酸化剤であってよい。別の例では、いくつかの実施形態において、弱酸化剤は、EUV(極紫外線)リソグラフィまたは液浸リソグラフィによってパターニングされたフォトレジストのエッチングに適した酸化剤であってよい。
【0048】
172bの図は、何らかの酸化剤が基板の表面上に吸着された様子を一例として示す。改質動作は、後の除去動作で未改質の材料よりも容易に除去される厚さの薄い反応表面層を形成する。炭素含有材料のエッチングのために、酸素含有プラズマが、改質または吸着動作中に用いられてよい。酸素含有プラズマは、酸素(O)などの酸素含有改質剤または二酸化炭素(CO)などの弱酸化剤を流して、プラズマを点火することによって生成されてよい。さらなる弱酸化剤は、一酸化炭素(CO)、酸化窒素(NO)、および、二酸化硫黄(SO)を含む。さらなる反応物質は、窒素、水素、および、アンモニア化合物、ならびに、レジスト面に反応的に結合された後にスパッタ閾値未満のイオン衝撃を用いて揮発されうる種を含んでよい。これらの強酸化剤および弱酸化剤は、単独で利用されてもよいし、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、ネオン(Ne)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、および、それらの組みあわせなどの不活性希釈ガスと組み合わせて利用されてもよい。この動作は、炭素含有材料表面の数オングストロームを改質して、バルク炭素含有材料よりも弱い結合エネルギを有する改質層を形成する。様々な実施形態において、弱酸化剤は、バイアスなしまたは低バイアスでプラズマとして基板に提供される。例えば、様々な実施形態において、弱酸化剤はプラズマ処理チャンバに導入され、炭素含有材料の表面上への弱酸化剤の吸着を容易にするために、プラズマソース電力がオンにされて、プラズマが点火される。バイアスは、約5V~約15Vの間または最大で約50Vの自己バイアスなど、低電力または電圧で印加されてよい。プラズマ電力は、約15W~約300Wの間の電力に設定されてよい。「バイアス電力」および「バイアス電圧」という用語は、バイアスがペデスタルに印加される時にペデスタルに設定される電圧を記載するために、本明細書では交換可能に用いられることを理解されたい。本明細書に記載のバイアス電力またはバイアス電圧は、ボルトで測定されており、単位”V”または”Vb”によって示され、ここで、bはバイアスを指す。
【0049】
172cにおいて、弱酸化剤がチャンバからパージされる。172dにおいて、除去ガスアルゴンが、Ar+プラズマ種および矢印によって示されるように方向性プラズマと共に導入され、イオン衝撃が、基板の改質炭素面を除去するために実行される。この動作中、基板に向かってイオンを引きつけるために、バイアスが基板に印加される。脱着動作では、不活性ガスプラズマ(He、Ar、Xe、または、Nなど)が、改質層を除去するために用いられてよい。172dではアルゴンが図示されているが、任意の適切な不活性ガスが、この動作でプラズマを生成するために用いられてよいことがわかる。除去中に印加されるバイアス電力は、様々な実施形態において、約30V~約100Vの間であってよい。バイアス電力は、基板に供給されるエネルギが、基板のスパッタリングに必要なエネルギ未満であるが、基板から改質層を除去するのに用いられるエネルギよりも大きくなるように、選択されてよい。プラズマ電力は、約30W~約500Wの間の電力に設定されてよい。
【0050】
図172eにおいて、チャンバがパージされ、副生成物が除去される。様々な実施形態において、約1Å~約130Åの材料が、1サイクル中に除去されてよい。より強力な酸化剤が用いられる場合、エッチング速度は、より弱い酸化剤が用いられる場合よりも大きくなりうる。例えば、酸素(O2)などの強酸化剤が用いられる場合、不活性プラズマガスはArであってよく、約10Å~約30Åの間のレジスト材料が除去されうる。いくつかの実施形態において、用いられる弱酸化剤が二酸化炭素であり、改質層を除去するために用いられる不活性ガスプラズマがヘリウムである場合、各サイクルは、約2Å~3Åの材料をエッチングしうる。炭素含有材料のエッチング後の表面は、通例、ALE処理後に滑らかになる。例えば、いくつかの実施形態において、ALE処理後の表面の二乗平均平方根粗さは、約0.5nm未満(Rrms<0.5nm)であってよい。
【0051】
図2は、この動作がどのようにフォトレジスト上の突起の存在を減少しうるのかを示す。フォトレジスト上の突起のサイズは、直径および/または高さが約1Å~約30Åでありうる。レジスト材料および突起299を有する基板例200が提供されている。弱酸化剤201が供給されて、基板200上に吸着し、これは、基板200の表面を改質して、改質表面202を形成する。次いで、改質表面202は除去される;点線203は、以前に炭素含有材料が基板200上にあった場所を示しており、現在では、基板210が形成されている。この処理250が、1回のALE酸化サイクルを構成しうる。処理260は、突起298を有する基板220を示しており、基板は、弱酸化剤221に暴露される。弱酸化剤221は、基板220上に吸着し、これは、基板220の表面を改質して、改質表面222を形成する。弱酸化剤231が、基板230上に吸着して、改質表面(図示せず)を形成し、改質層は、基板270を生成するためにさらに除去され、図には、以前に炭素含有材料が基板230上にあった場所を示す点線275が含まれている。
【0052】
特定の理論に縛られることなく、突起のスケールは原子レベルであり、その結果、突起が体積比に対してより大きい面積を有するので、炭素含有材料が突起の表面上に吸着され、突起の単分子層または二分子層が除去されると、突起のサイズは、表面の隣接する比較的平坦な部分からの材料の除去に比べて実質的に小さくなると考えられる。これは、より多くの炭素含有材料が、突起によって提供されるより広い表面領域上に吸着されることに起因しうる。
【0053】
図3は、除去動作が、どのようにエッチングされる材料の平滑化を改善しうるのかを示す。不活性プラズマ種は、プラズマ種が、基板表面上の炭素原子に吸着した弱酸化剤の改質表面を除去するのに十分なエネルギを有するが、基板の表面から下層の非改質炭素原子をスパッタリングする程のエネルギを持たないように、172dにおいて低バイアスで用いられる。様々な実施形態において、バイアスは、約30V~約100Vの間、または、約50V未満であってよい。いくつかの実施形態において、改質表面は、約0.5nmの厚さであってよく、約3~4の原子層を含んでよい。いくつかの実施形態において、図3に示すように、改質層と非晶質材料の間に界面が存在しうる。不活性プラズマ種(図3に示すAr+など)は、閾値未満の非反応性イオン種であってよく、ここで、閾値未満とは、不活性プラズマ種のエネルギが、改質層の下の材料をスパッタリングするには不十分であるが、改質層を除去するのには十分に高いことを意味する。閾値バイアス電力またはバイアス電圧とは、ペデスタルに印加されてもペデスタル上の基板の表面の材料がスパッタリングされないようなバイアスの最大電圧のことである。したがって、閾値バイアス電力は、エッチングされる材料、プラズマを生成するために用いられるガス、プラズマを点火するためのプラズマ電力、および、プラズマ周波数に部分的に依存する。各サイクル後、表面は、表面上に多くの改質材料を残さず、または、全く残さず除去される材料を含むように、”リセット”されうる。
【0054】
ALE技術を用いた基板の平滑化に関するさらなる説明は、2015年9月4日出願の米国仮特許出願第62/214,813号「ALE SMOOTHNESS:IN AND OUTSIDE SEMICONDUCTOR INDUSTRY」、および、2016年8月31日出願の米国特許出願公開第2017/0069462号「ALE SMOOTHNESS:IN AND OUTSIDE SEMICONDUCTOR INDUSTRY」に記載されており、これらは、参照によって本明細書に全体が組み込まれる。特定の理論に縛られることなく、基板は、ALEが材料をエッチングすることによって各サイクル中に基板の表面上の突起をエッチングして滑らかにするレイヤー・バイ・レイヤー(層ごと)メカニズムのために、開示した実施形態によって平滑化されうると考えられる。例えば、平滑化される材料の表面上の突起は、突起がエッチングされるにつれて、突起のサイズが、各エッチングサイクルで縮小することにより、材料の表面が滑らかになるように、突起の表面上で改質およびエッチングされうる。
【0055】
ALE処理は、側壁粗さまたはラインエッジ粗さを滑らかにできるが、CD変動(例えば、ライン幅またはホール/ピラー直径)を変えることはできない。そうするためには、フォトレジスト構造上に選択的に蒸着させて、異なるサイズのフィーチャ内へ異なる蒸着速度で、炭素含有材料でフィーチャを選択的に充填するために、選択的炭素含有材料蒸着処理が利用される。様々な実施形態において、ホールまたはピラーの直径は、基板全体で均一であり、LCDUが改善される。例えば、いくつかの実施形態では、メタン(CH)が用いられてよい。
【0056】
図1を参照すると、182a~182cは、特定の開示した実施形態に従って実行できる選択的蒸着処理の概略図の例を示す。選択的ポリマ蒸着について、182aは、炭素原子を備えた基板を示す。182bにおいて、炭素は、炭素材料が基板の表面上に選択的に蒸着するように、メタン(CH)などの炭素含有化学物質に暴露される。メタンを一例として示したが、化学式C(ここで、xおよびyは1以上の整数)を有しうるその他の炭素含有化学物質を用いもよい。選択的炭素蒸着は、低バイアス(例えば、自己バイアス電力=約5V~約15V)および約30W~約500Wの範囲の低RFプラズマ電力で実行されてよい。いくつかの実施形態において、炭素含有化学物質は、プラズマを生成するために、1または複数の希釈剤と混合されてもよい。希釈剤の例は、窒素、ヘリウム、アルゴン、水素、および、それらの組み合わせを含む。182cにおいて、チャンバは、余分なポリマを除去するためにパージされる。ポリマは、炭素基板の表面上に残る。
【0057】
図4は、選択的ポリマ蒸着が、どのようにフォトレジスト上の裂け目および突起の存在を低減しうるのかを示す。182b中に、メタンなどの炭素含有化学物質は、基板上に供給され、基板上の炭素含有材料の表面に吸着する。様々な実施形態において、裂け目(図4のフォトレジスト基板400に示した裂け目450など)がある場合、本明細書に記載の自己制限処理を用いた炭素含有材料401の蒸着により、炭素含有材料でこれらの裂け目450を充填することで、表面を滑らかにする。図4に示すように、選択的蒸着は、フォトレジスト上などの突起(499)上への蒸着も含んでよい。特定の理論に縛られることなく、炭素含有材料の表面上の裂け目のスケールは原子レベルでありうるので、炭素含有材料が基板の表面上に均一に吸着されるように炭素含有材料をこれらの裂け目の中に蒸着すれば、基板の隣接する比較的平坦な表面上よりも裂け目の中に蒸着される材料が多くなり、それにより、各蒸着サイクルで裂け目の存在が減ることになると考えられる。
【0058】
いくつかの実施形態において、基板は、炭素含有化学物質に基板を暴露した後、不活性プラズマに暴露されてもよい。不活性プラズマは、水素、ヘリウム、窒素、アルゴン、および、ネオンの内の任意の1または複数を流して、プラズマを点火することによって生成されてよい。プラズマは、約30W~約500Wの間のプラズマ電力を用いて点火されてよい。特定の理論に縛られることなく、不活性プラズマに基板を暴露することで、フォトレジストなどの基板上の炭素含有材料に隣接する表面を少しエッチングおよび/またはリフレッシュして、蒸着を防ぐことができ、その結果、選択的蒸着が実現されると考えられる。炭素含有化学物質および不活性プラズマへの暴露は、1または複数のサイクルで実行されてよい。
【0059】
本明細書に記載のALE技術と、選択的蒸着とを併用すれば、特にEUV用途について、平滑化された均一なフィーチャになるように、基板上の炭素含有材料を処理できる。
【0060】
図5は、ALEおよび選択的炭素蒸着が実行される一実施形態の処理フローチャートである。図5の動作は、約5mTorr~約100mTorrの間のチャンバ圧力を有するチャンバ内で実行されてよい。図5の動作は、約0℃~約120℃の間または約20℃~約60℃の間の基板温度で実行されてよい。基板温度は、基板を保持するペデスタルまたはウエハホルダが設定された温度を意味すると理解される。図5に示す動作は、図1に関して上述したように実行される動作をまとめたものである。例えば、動作40において、炭素含有材料を含む基板がチャンバに提供される。上述のように、炭素含有材料は、フォトレジスト、グラフェン、または、非晶質炭素を含んでよい。動作40は、図1の171aおよび172aに示した概略図に対応しうる。動作403において、基板は、基板の表面を改質するために、強酸化剤または弱酸化剤などの改質剤に暴露される。様々な開示した実施形態において、基板上の炭素含有材料は改質される。この動作は、図1および図2の171bおよび172bに示した概略図に対応しうる。動作405において、チャンバは、余分な改質剤(弱酸化剤、すなわちCO2など)をチャンバから除去するために、任意選択的にパージされる。この動作は、図1および図3の172dに対応しうる。チャンバは、余分な気相改質剤を除去するために、チャンバを排気するかまたは改質剤の流れを停止して、ヘリウムまたはアルゴンなどの非反応性不活性ガスを流すことによってパージされてよい。動作407において、基板は、改質表面を除去するために、不活性ガスプラズマに暴露される。動作407a中、不活性ガスプラズマが基板をスパッタリングすることなしに改質表面を除去するのに十分なエネルギを生成するために、バイアスが印加される。動作409において、チャンバは、気相の改質材料をチャンバから除去するために、任意選択的にパージされる。動作411において、動作403~409が、任意選択的に、循環的に繰り返されてよい。動作423において、基板は、炭素含有材料の層を基板上に吸着させるために、炭素含有化学物質に暴露される。これは、いくつかの実施形態において、基板の炭素含有表面上の裂け目を埋めるために用いられてよい。この動作は、図1および図4の182aに対応しうる。動作424において、基板は、任意選択的に、基板の領域を不動態化して、後続のサイクルで選択的蒸着を可能にするために、不活性ガスプラズマに暴露される。いくつかの実施形態において、チャンバは、動作423および424の実行の合間にパージされてもよい。いくつかの実施形態において、基板は、記載されている動作の実行の合間に1または複数回にパージされてもよい。様々な実施形態において、動作423および424は、任意選択的に、循環的に繰り返されてもよく、それらのサイクルは、動作423および424の実行の合間にパージ動作ありまたはパージなしで実行されてよい。動作425で、反応チャンバは、任意選択的に、パージされてよい。本明細書に記載のパージ動作は、任意の適切なパージ技術を用いて、チャンバからガスをポンプで出すことによって、1または複数の不活性ガスを流すことによって、もしくは、それらの組みあわせによって実行されてよいことがわかる。動作49において、基板が、基板上に所望の表面を形成するのに十分にエッチングされた否かが判定される。十分でない場合、動作403~49が、任意選択的に、nサイクル繰り返されてよい(nは、1以上の整数)。いくつかの実施形態において、動作423~425は、すべての反復サイクルではなく一部のサイクルでのみ繰り返されるが、いくつかの実施形態において、動作423~425は、すべてのサイクルで繰り返される。
【0061】
ALE処理および選択的蒸着処理を組み合わせることによって、フォトレジストフィーチャのLCDUおよびLERの両方が改善される。次いで、この改善は、下層のハードマスク(SiO/SiN層など)ひいては対象の構造に伝わり、デバイスのばらつきおよび性能の改善につながる。
【0062】
サイクルごとにデジタル量の材料を除去するALE動作は、穏やかで正確であるため、軟らかいレジスト材料をエッチングしすぎないように容易に制御できる。同様に、炭素系の選択的蒸着は、非常に低いソース電力(例えば、トランス結合プラズマすなわちTCP)および無バイアスを利用し、蒸着はレジストを損傷することなしに実行されうる。
【0063】
いくつかの実施形態において、選択的炭素蒸着は、任意選択的であってもよい。例えば、これらの特定の実施形態は、クリティカルディメンションの増加が許容されうる応用例で用いられてよい。
【0064】
特定の実施形態において、元々のクリティカルディメンションがフォトレジストを用いるパターニング処理を通して維持される場合に、LCDUを改善すると共にクリティカルディメンションを回復させるために、開示したALE動作および選択的炭素蒸着の組みあわせが、炭素含有材料に用いられてよい。
【0065】
装置
開示されている実施形態は、任意の適切なエッチングチャンバまたは装置(カリフォルニア州フレモントのLam Research社製のKiyo(登録商標)FXなど)で実行されてよい。利用可能なプラズマエッチングチャンバの別の例は、カリフォルニア州フレモントのLamResearch社製のFlex(商標)Flex(商標)反応性イオンエッチングツールである。プラズマエッチングチャンバのさらなる説明が、米国特許第6,841,943号および第8,552,334号に記載されており、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0066】
いくつかの実施形態では、誘導結合プラズマ(ICP)リアクタが用いられてよい。一例が図6に提供されている。かかるICPリアクタは、2013年12月10日出願で2016年6月7日発行の米国特許第9,362,133号「METHOD FOR FORMING A MASK BY ETCHING CONFORMAL FILM ON PATTERNED ASHABLE HARDMASK」にも記載されており、本明細書に記載の技術の実施に適切なICPリアクタを記載する目的で参照によって本明細書に組み込まれる。本明細書ではICPリアクタが記載されているが、いくつかの実施形態において、容量結合プラズマリアクタが用いられてもよいことを理解されたい。エッチングチャンバまたは装置の一例は、本明細書に記載されるように、チャンバ壁を有するチャンバと、ウエハをチャックまたはデチャックするための静電電極を備えてよくRF電源を用いて帯電されうる処理対象の基板またはウエハを保持するためのチャックと、プラズマを生成するためにコイルに電力を供給するよう構成されたRF電源と、ガスを流入させるのためのガス流入口と、を備えてよい。例えば、改質剤ガスおよび/または選択的蒸着化学物質が、それぞれ、ALEおよび/または選択的蒸着を実行するためにエッチングチャンバに流されてよい。いくつかの実施形態において、装置が、2以上のチャンバを備えてもよく、各チャンバは、基板のエッチング、蒸着、または、処理に用いられてよい。チャンバまたは装置は、チャンバ圧、不活性ガス流量、プラズマ電力、プラズマ周波数、反応ガス流量(例えば、弱酸化剤ガス、炭素含有ガスなど);バイアス電力、温度、真空設定;および、その他の処理条件を調節するなど、チャンバまたは装置の動作の一部または全部を制御するためのシステムコントローラを備えてよい。チャンバは、基板上に炭素含有材料を選択的に蒸着させるために用いられてもよい。
【0067】
図6は、本明細書の特定の実施形態を実施するのに適した誘導結合プラズマ統合エッチング/蒸着装置600の概略断面図であり、その一例は、カリフォルニア州フレモントのLam Research社製のKiyo(商標)リアクタである。誘導結合プラズマ装置600は、チャンバ壁および窓611によって構造的に規定された全体処理チャンバ601を備える。チャンバ壁は、ステンレス鋼またはアルミニウムから製造されてよい。窓611は、石英またはその他の誘電材料から製造されてよい。任意選択的な内部プラズマグリッド650が、全体処理チャンバ601を上側サブチャンバ602および下側サブチャンバ603に分割する。ほとんどの実施形態において、プラズマグリッド650を取り除くことにより、サブチャンバ602および603でできたチャンバ空間を利用することができる。チャック617が、下側サブチャンバ603内で底部内面付近に配置されている。チャック617は、エッチング処理および蒸着処理が実行される半導体ウエハ619を受けて保持するよう構成されている。チャック617は、ウエハの存在時にウエハ619を支持するための静電チャックでありうる。いくつかの実施形態では、エッジリング(図示せず)が、チャック617を取り囲んでおり、ウエハがチャック617上に存在する時にウエハ619の上面とほぼ同一平面上にある上面を有する。チャック617は、ウエハをチャックおよびデチャックするための静電電極も備える。フィルタおよびDCクランプ電源(図示せず)が、そのために提供されてよい。ウエハ619をチャック617から持ち上げるための他の制御システムも準備されうる。チャック617は、RF電源623を用いて帯電されうる。RF電源623は、接続627を通して整合回路621に接続される。整合回路621は、接続625を通してチャック617に接続される。このように、RF電源623が、チャック617に接続されている。
【0068】
プラズマ生成のための要素には、窓611の上方に配置されたコイル633が含まれる。いくつかの実施形態においては、開示された実施形態でコイルは利用されない。コイル633は、導電材料から製造され、少なくとも1つの完全な巻きを含む。図6に示すコイル633の例は、3回の巻き数を含む。コイル633の断面が記号で示されており、「X」のコイルは、紙面の表から裏に向かって回転して伸び、「●」のコイルは、紙面の裏から表に向かって回転して伸びている。プラズマ生成のための要素には、コイル633にRF電力を供給するように構成されたRF電源641も含まれる。一般に、RF電源641は、接続645を通して整合回路639に接続される。整合回路639は、接続643を通してコイル633に接続される。このように、RF電源641が、コイル633に接続されている。任意選択的なファラデーシールド649が、コイル633と窓611との間に配置されている。ファラデーシールド649は、コイル633に対して離間された関係に維持される。ファラデーシールド649は、窓611の直上に配置される。コイル633、ファラデーシールド649、および、窓611は、各々、互いに実質的に水平になるように構成される。ファラデーシールドは、金属またはその他の種がプラズマチャンバ601の誘電体窓上に蒸着することを防ぎうる。
【0069】
処理ガス(例えば、酸素、二酸化炭素、メタンなど)が、上側サブチャンバ602内に配置された1または複数の主要ガス流入口660および/または1または複数の側方ガス流入口670を通して処理チャンバ601に流されてよい。同じように、明示されていないが、同様のガス流入口が、容量結合プラズマ処理チャンバに処理ガスを供給するために用いられてよい。真空ポンプ(例えば、1または2段の機械的乾式ポンプおよび/またはターボ分子ポンプ)640が、処理チャンバ601から処理ガスを引き出すため、および、処理チャンバ601内の圧力を維持するために用いられてよい。例えば、ポンプは、ALDのパージ動作中にチャンバ601を排気するために用いられてよい。バルブ制御された導管が、真空ポンプを処理チャンバ601に流体接続して、真空ポンプによって提供される真空環境の印加を選択的に制御するために用いられてよい。これは、動作プラズマ処理中、スロットルバルブ(図示せず)または振り子バルブ(図示せず)などの閉ループ制御された流量制限装置を用いて行われてよい。同様に、真空ポンプ、および、容量結合プラズマ処理チャンバへのバルブ制御された流体接続が、用いられてもよい。
【0070】
装置の動作中、1または複数の処理ガスが、ガス流入口660および/または670を通して供給されてよい。特定の実施形態において、処理ガスは、主要ガス流入口660を通してのみ、または、側方ガス流入口670を通してのみ供給されてよい。いくつかの場合、図に示したガス流入口は、例えば、より複雑なガス流入口、1または複数のシャワーヘッドと置き換えられてもよい。ファラデーシールド649および/または任意選択的なグリッド650は、チャンバ601への処理ガスの供給を可能にする内部チャネルおよび孔を備えてよい。ファラデーシールド649および任意選択的なグリッド650の一方または両方が、処理ガスの供給のためのシャワーヘッドとして機能してよい。いくつかの実施形態において、液体反応物質または前駆体が気化されて、気化した反応物質または前駆体がガス流入口660および/または670を介してチャンバ601に導入されるように、液体気化/供給システムが、チャンバ601の上流に配置されてもよい。
【0071】
高周波電力が、RF電源641からコイル633へ供給されることで、RF電流がコイル633を流れる。コイル633を流れるRF電流は、コイル633の周りに電磁場を生成する。電磁場は、上側サブチャンバ602内で誘導電流を発生させる。生成された様々なイオンおよびラジカルとウエハ619との物理的および化学的な相互作用が、ウエハのフィーチャを選択的にエッチングすると共にウエハ上に層を蒸着する。
【0072】
上側サブチャンバ602および下側サブチャンバ603の両方が存在するようにプラズマグリッドが利用される場合、誘導電流は、上側サブチャンバ602に存在するガスに作用して、上側サブチャンバ602内で電子イオンプラズマを生成する。任意選択的な内部プラズマグリッド650は、下側サブチャンバ603内のホットエレクトロンの量を制限する。いくつかの実施形態において、装置は、下側サブチャンバ603に存在するプラズマがイオン-イオンプラズマになるように設計および動作される。
【0073】
上側の電子-イオンプラズマおよび下側のイオン-イオンプラズマは両方とも、正イオンおよび負イオンを含むが、イオン-イオンプラズマの方が、正イオンに対する負イオンの比が大きい。揮発性のエッチング副生成物および/または蒸着副生成物が、ポート622を通して下側サブチャンバ603から除去されてよい。本明細書に開示されたチャック617は、約10°C~約250°Cの範囲の高温で動作されてよい。温度は、処理動作および個々のレシピに依存する。
【0074】
チャンバ601は、クリーンルームまたは製造施設に設置される時に、設備(図示せず)に接続されてよい。設備は、処理ガス、真空、温度制御、および、環境粒子制御を提供する配管を備える。これらの設備は、対象となる製造施設に設置される時に、チャンバ601に接続される。さらに、チャンバ601は、典型的なオートメーションを用いてロボット技術により半導体ウエハをチャンバ601の内外に移送することを可能にする移送チャンバに接続されてよい。
【0075】
いくつかの実施形態において、システムコントローラ630(1または複数の物理または論理コントローラを含みうる)が、処理チャンバの動作の一部または全部を制御する。システムコントローラ630は、1または複数のメモリデバイスと、1または複数のプロセッサとを備えてよい。いくつかの実施形態において、装置は、開示された実施形態が実行される時に流量および持続期間を制御するための切り替えシステムを備える。いくつかの実施形態において、装置は、最長約500msまたは最長約750msまでの切り替え時間を有しうる。切り替え時間は、フローケミストリ、選択されたレシピ、リアクタアーキテクチャ、および、その他の要素に依存しうる。
【0076】
処理チャンバ601または装置は、システムコントローラを備えてよい。例えば、いくつかの実施形態において、コントローラ630は、システムの一部であり、システムは、上述の例の一部であってよい。かかるシステムは、1または複数の処理ツール、1または複数のチャンバ、処理のための1または複数のプラットフォーム、および/または、特定の処理構成要素(ウエハペデスタル、ガスフローシステムなど)など、半導体処理装置を備えうる。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および、処理後に、システムの動作を制御するための電子機器と一体化されてよい。電子機器は、「コントローラ」と呼ばれてもよく、システムの様々な構成要素または副部品を制御しうる。コントローラ630は、処理要件および/またはシステムのタイプに応じて、処理ガスの供給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、高周波(RF)発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体供給設定、位置および動作設定、ならびに、ツールおよび他の移動ツールおよび/または特定のシステムと接続または結合されたロードロックの内外へのウエハ移動など、本明細書に開示の処理のいずれを制御するようプログラムされてもよい。
【0077】
概して、コントローラ630は、命令を受信する、命令を発行する、動作を制御する、洗浄動作を可能にする、エンドポイント測定を可能にすることなどを行う様々な集積回路、ロジック、メモリ、および/または、ソフトウェアを有する電子機器として定義されてよい。集積回路は、プログラム命令を格納するファームウェアの形態のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されるチップ、および/または、プログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行する1または複数のマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラを含みうる。プログラム命令は、様々な個々の設定(またはプログラムファイル)の形態でコントローラに伝えられて、半導体ウエハに対するまたは半導体ウエハのための特定の処理を実行するための動作パラメータ、もしくは、システムへの動作パラメータを定義する命令であってよい。動作パラメータは、いくつかの実施形態において、ウエハの1または複数の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、および/または、ダイの加工中に1または複数の処理工程を達成するために処理エンジニアによって定義されるレシピの一部であってよい。
【0078】
コントローラ630は、いくつかの実施例において、システムと一体化されるか、システムに接続されるか、その他の方法でシステムとネットワーク化されるか、もしくは、それらの組み合わせでシステムに結合されたコンピュータの一部であってもよいし、かかるコンピュータに接続されてもよい。例えば、コントローラ630は、「クラウド」内にあってもよいし、ウエハ処理のリモートアクセスを可能にできるファブホストコンピュータシステムの全部または一部であってもよい。コンピュータは、現在の処理のパラメータを変更する、現在の処理に従って処理工程を設定する、または、新たな処理を開始するために、システムへのリモートアクセスを可能にして製造動作の現在の進捗を監視する、過去の製造動作の履歴を調べる、複数の製造動作からの傾向または性能指標を調べうる。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)が、ネットワーク(ローカルネットワークまたはインターネットを含みうる)を介してシステムに処理レシピを提供してよい。リモートコンピュータは、パラメータおよび/または設定の入力またはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを備えてよく、パラメータおよび/または設定は、リモートコンピュータからシステムに通信される。いくつかの例において、コントローラは、データの形式で命令を受信し、命令は、1または複数の動作中に実行される処理工程の各々のためのパラメータを指定する。パラメータは、実行される処理のタイプならびにコントローラがインターフェース接続するまたは制御するよう構成されたツールのタイプに固有であってよいことを理解されたい。したがって、上述のように、コントローラは、ネットワーク化されて共通の目的(本明細書に記載の処理および制御など)に向けて動作する1または複数の別個のコントローラを備えることなどによって分散されてよい。かかる目的のための分散コントローラの一例は、チャンバでの処理を制御するために協働するリモートに配置された(プラットフォームレベルにある、または、リモートコンピュータの一部として配置されるなど)1または複数の集積回路と通信するチャンバ上の1または複数の集積回路である。
【0079】
限定はしないが、システムの例は、プラズマエッチングチャンバまたはモジュール、蒸着チャンバまたはモジュール、スピンリンスチャンバまたはモジュール、金属メッキチャンバまたはモジュール、洗浄チャンバまたはモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはモジュール、物理蒸着(PVD)チャンバまたはモジュール、化学蒸着(CVD)チャンバまたはモジュール、原子層蒸着(ALD)チャンバまたはモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、トラックチャンバまたはモジュール、ならびに、半導体ウエハの加工および/または製造に関連するかまたは利用されうる任意のその他の半導体処理システムを含みうる。
【0080】
上述のように、ツールによって実行される1または複数の処理工程に応じて、コントローラ630は、他のツール回路またはモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接するツール、近くのツール、工場の至る所に配置されるツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、もしくは、半導体製造工場内のツール位置および/またはロードポートに向かってまたはそこからウエハのコンテナを運ぶ材料輸送に用いられるツール、の内の1または複数と通信してもよい。
【0081】
処理チャンバ601は、マルチステーションツール(図7に示すようなものなど)に組み込まれてよい。各ステーションは、異なる動作を処理するために用いられてよい。例えば、或るステーションは、ALEを実行するために用いられてよく、別のステーションは、選択的蒸着を実行するために用いられてよい。開示されている実施形態は、真空を中断することなしに実行されてよく、同じ装置内で実行されてよい。様々な実施形態において、ALEおよび選択的蒸着は、真空を中断することなしに実行される。様々な実施形態において、ALEおよび選択的蒸着は、同じチャンバ内で実行される。
【0082】
図7は、真空移送モジュール738(VTM:vacuum transfer module)に接続された様々なモジュールを備えた半導体処理クラスタアーキテクチャの図である。複数の保管設備および処理モジュールの間でウエハを「移送する」移送モジュールの配置は、「クラスタツール構造」システムと呼ばれることがある。エアロックモジュール730(ロードロックまたは移送モジュールとしても知られる)が、4つの処理モジュール720a~720dと共にVTM738内に図示されており、処理モジュールは、様々な製造処理を実行するために個別に最適化されうる。例えば、処理モジュール720a~720dは、基板エッチング、蒸着、イオン注入、ウエハ洗浄、スパッタリング、および/または、その他の半導体処理を実行するために実装されてよい。いくつかの実施形態において、ALEおよび選択的蒸着は、同じモジュール内で実行される。いくつかの実施形態において、ALEおよび選択的蒸着は、同じツールの異なるモジュールで実行される。基板エッチング処理モジュールの内の1または複数(720a~720dの内のいずれか)は、本明細書に開示されたように、すなわち、開示する実施形態に従って、ALE、炭素含有材料の選択的蒸着、および、その他の適切な機能を実行するために、実装されてよい。エアロックモジュール730および処理モジュール720は、「ステーション」と呼ばれてもよい。各ステーションは、ステーションをVTM738とつなぐファセット736を有する。各ファセットにおいて、ウエハがそれぞれのステーションの間で移動された時にウエハ726の通過を検出するために、センサ1~18が用いられる。
【0083】
ロボット722が、ステーション間でウエハ726を移送する。一実施形態において、ロボット722は、1つのアームを有し、別の実施形態において、ロボット722は2つのアームを有し、各アームは、移送のためにウエハ(ウエハ726など)をつかむエンドエフェクタ724を有する。大気移送モジュール(ATM:atmospheric transfer module)740内のフロントエンドロボット732が、ロードポートモジュール(LPM:Load Port Module)742内のカセットまたは前開き一体型ポッド(FOUP:Front Opening Unified Pod)734からエアロックモジュール730へウエハ726を移送するために用いられる。処理モジュール720内のモジュールセンタ728が、ウエハ726を配置するための1つの場所となる。ATM740内のアライナ744が、ウエハを整列させるために用いられる。
【0084】
処理方法の一例において、ウエハは、LPM742内のFOUP734の1つに配置される。フロントエンドロボット732は、FOUP734からアライナ744へウエハを移送し、アライナ744は、ウエハ726をエッチングまたは処理の前に適切に中心に配置することを可能にする。整列後、ウエハ726は、フロントエンドロボット732によってエアロックモジュール730へ移動される。エアロックモジュールは、ATMおよびVTMの間で環境に合わせることができるので、ウエハ726は、損傷されることなしに2つの圧力環境の間で移動されうる。エアロックモジュール730から、ウエハ726は、ロボット722によってVTM738を通して、処理モジュール720a~720dの1つに移動される。このウエハ移動を達成するために、ロボット722は、そのアームの各々にあるエンドエフェクタ724を用いる。ウエハ726は、処理されると、ロボット722によって処理モジュール720a~720dからエアロックモジュール730へ移動される。ここから、ウエハ726は、フロントエンドロボット732によってFOUP734の1つまたはアライナ744へ移動されてよい。
【0085】
ウエハの移動を制御するコンピュータは、クラスタ構造にローカルに配置されてもよいし、製造フロア内でクラスタ構造の外側すなわち離れた位置に配置され、ネットワークを介してクラスタ構造に接続されてもよいことに注意されたい。図6に関して上述したようなコントローラが、図7のツールと共に実装されてよい。
【0086】
実験
実験1
炭素含有フォトレジストに対して実験を行った。エッチング処理の前の基板が、図8Aに示されている。
【0087】
20℃で15秒間、HBrおよび900Wのプラズマ電力に基板を暴露することによって、従来のRIEエッチングを実行した。結果として得られた基板を図8Bに示す。
【0088】
別の試行において、基板は、60℃で10サイクルのALEを施された。動作は、COプラズマへの暴露、パージ、低バイアスでのヘリウムプラズマへの暴露、および、パージを含む。結果として得られるフォトレジストは、滑らかな側壁と、低い粗さとを有し、LERが改善される。ストリンガが減り、フォトレジストのスカムが低減された。結果として得られた基板を図8Cに示す。
【0089】
別の試行において、基板は、20°Cで10サイクルのALEを施された。動作は、COプラズマへの暴露、パージ、低バイアスでのヘリウムプラズマへの暴露、および、パージを含む。結果として得られた基板を図8Dに示す。
【0090】
別の試行において、基板は、60℃で10サイクルのALEを施された。動作は、COプラズマへの暴露、パージ、低バイアスでのヘリウムプラズマへの暴露、および、パージを含む。結果として得られた基板を図8Eに示す。
【0091】
ALEの実行により、目に見えて滑らかなラインを有する基板が得られた。これらの結果は、ALEが20℃で実行されてもよいことを示唆する。
【0092】
実験2
フォトレジストのALEを3サイクルおよび5サイクル実行する実験を行った。ALEを行っていない基板を図9A図9Cに示す。
【0093】
COプラズマへの暴露、パージ、低バイアスでのヘリウムプラズマへの暴露、および、パージを含む3サイクルのALE動作を、基板に施した。3サイクル後の基板を図10A図10Cに示す。
【0094】
COプラズマへの暴露、パージ、低バイアスでのヘリウムプラズマへの暴露、および、パージを含む5サイクルのALE動作を、基板に施した。5サイクル後の基板を図11A図11Cに示す。
【0095】
結論
理解を深めるために、本実施形態について、ある程度詳しく説明したが開示した実施形態の範囲内でいくらかの変更および変形を行ってもよいことは明らかである。本発明の処理、システム、および、装置を実施する多くの他の方法が存在することに注意されたい。したがって、本実施形態は、例示的なものであって、限定的なものではないとみなされ、実施形態は、本明細書に示した詳細に限定されない。本開示は、以下の形態によって実現されてもよい。
[形態1]
基板を処理する方法であって、
(a)第1炭素含有材料を含む基板を酸化剤に暴露し、第1バイアス電力で第1プラズマを点火して、前記第1炭素含有材料の表面を改質する工程と、
(b)第2バイアス電力で、スパッタリングなしに前記改質された表面を除去するのに十分な期間にわたって、前記改質された層を第2プラズマに暴露する工程と、
を備える、方法。
[形態2]
形態1に記載の方法であって、
(c)前記基板に第2炭素含有材料を選択的に蒸着して、前記第1炭素含有材料の裂け目を埋める工程を、さらに備える、方法。
[形態3]
形態1に記載の方法であって、
前記第2バイアス電力は、約30V~約100Vの間であってよい、方法。
[形態4]
形態1に記載の方法であって、
前記酸化剤は、強酸化剤である、方法。
[形態5]
形態4に記載の方法であって、
前記強酸化剤は、酸素である、方法。
[形態6]
形態4に記載の方法であって、
前記第1プラズマは、約15W~約500Wの間のプラズマ電力を用いて生成される、方法。
[形態7]
形態4に記載の方法であって、
前記第1バイアス電力は、約5V~50Vの間である、方法。
[形態8]
形態1に記載の方法であって、
前記酸化剤は、弱酸化剤である、方法。
[形態9]
形態8に記載の方法であって、
前記弱酸化剤は、二酸化炭素、一酸化炭素、二酸化硫黄、一酸化窒素、窒素、および、アンモニア、からなる群より選択される、方法。
[形態10]
形態8に記載の方法であって、
前記第1プラズマは、約30W~約500Wの間のプラズマ電力を用いて生成される、方法。
[形態11]
形態8に記載の方法であって、
前記第1バイアス電力は、約30V~約100Vの間である、方法。
[形態12]
形態2に記載の方法であって、
前記基板に前記第2炭素含有材料を選択的に蒸着する工程は、約5V~約15Vの間の電力の自己バイアスを印加する工程と、約30W~約500Wの間のプラズマ電力を用いてプラズマを点火する工程と、を含む、方法。
[形態13]
形態12に記載の方法であって、
前記基板に前記第2炭素含有材料を選択的に蒸着する工程は、さらに、メタンを導入する工程を含む、方法。
[形態14]
形態13に記載の方法であって、
前記基板に前記第2炭素含有材料を選択的に蒸着する工程は、さらに、窒素、ヘリウム、アルゴン、水素、および、それらの組み合わせ、からなる群より選択された希釈剤を導入する工程を含む、方法。
[形態15]
形態1から形態14までのいずれか一項に記載の方法であって、
前記第1炭素含有材料は、フォトレジスト、非晶質炭素、および、グラフェン、からなる群より選択される、方法。
[形態16]
形態1から形態14までのいずれか一項に記載の方法であって、
前記第1炭素含有材料は、極紫外線リソグラフィによってパターニングされたフォトレジストである、方法。
[形態17]
形態2に記載の方法であって、
前記工程(c)は、前記基板をメタンに暴露して、前記第1炭素含有材料の前記表面にメタンの層を吸着させる工程と、前記基板を第3プラズマに暴露する工程と、を含む、方法。
[形態18]
形態17に記載の方法であって、
前記第3プラズマは、ヘリウム、水素、窒素、アルゴン、および、ネオン、からなる群より選択された不活性ガスを導入して、プラズマを点火することによって生成される、方法。
[形態19]
形態1から形態14までのいずれか一項に記載の方法であって、
前記第1炭素含有材料を含む前記基板を前記酸化剤に暴露する工程は、さらに、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、および、キセノン、からなる群より選択された不活性希釈ガスに前記基板を暴露する工程を含む、方法。
[形態20]
形態1から形態14までのいずれか一項に記載の方法であって、
前記工程(b)における前記第2プラズマは、水素、ヘリウム、窒素、アルゴン、および、ネオン、からなる群より選択された不活性ガスを導入して、プラズマを点火することによって生成される、方法。
[形態21]
形態1から形態14までのいずれか一項に記載の方法であって、
前記工程(a)および前記工程(b)の実行の合間に前記基板を収容するチャンバをパージして、余分な酸化剤を前記チャンバから除去する工程を、さらに備える、方法。
[形態22]
形態1から形態14までのいずれか一項に記載の方法であって、
前記工程(a)および前記工程(b)を循環的に繰り返す工程を、さらに備える、方法。
[形態23]
形態2に記載の方法であって、
前記工程(a)~前記工程(c)を循環的に繰り返す工程を、さらに備える、方法。
[形態24]
形態1から形態14までのいずれか一項に記載の方法であって、
前記基板は、約0℃~約120℃の間の温度に設定されたペデスタル上に載置される、方法。
[形態25]
基板を処理するための装置であって、
(a)各々がチャックを備えた1または複数の処理チャンバと、
(b)前記処理チャンバおよび関連する流量制御ハードウェアへの1または複数のガス流入口と、
(c)少なくとも1つのプロセッサおよびメモリを有するコントローラと、
を備え、
前記少なくとも1つのプロセッサおよび前記メモリは、互いに通信可能に接続され、
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記流量制御ハードウェアと少なくとも動作可能に接続され、
前記メモリは、
(i)酸化剤を前記処理チャンバに導入して、第1バイアス電力で第1プラズマを点火し、
(ii)第1不活性ガスを導入して、第2バイアス電力で第2プラズマを点火することにより、前記流量制御ハードウェアを少なくとも制御するように、前記少なくとも1つのプロセッサを制御するためのコンピュータ実行可能な命令を格納し、
前記(i)および前記(ii)は、真空を中断することなしに実行される、装置。
[形態26]
形態25に記載の装置であって、
前記メモリは、さらに、(iii)炭素含有前駆体を前記処理チャンバに導入して、前記1または複数の前記処理チャンバ内に収容された基板の表面に前記炭素含有前駆体の吸着層を形成するための命令と、(iv)第2不活性ガスを導入して、第3プラズマを点火するための命令と、を備える、装置。
[形態27]
形態26に記載の装置であって、
前記命令は、さらに、(iii)で前記炭素含有前駆体を導入する時に、約5V~約15Vの間の電力で自己バイアスをオンにするための命令を含む、装置。
[形態28]
形態26に記載の装置であって、
前記命令は、さらに、窒素、ヘリウム、アルゴン、水素、および、それらの組み合わせ、からなる群より選択された希釈剤を導入するための命令を含む、装置。
[形態29]
形態25から形態28までのいずれか一項に記載の装置であって、
前記酸化剤は、酸素である、装置。
[形態30]
形態29に記載の装置であって、
前記第1バイアス電力は、約5V~約50Vの間である、装置。
[形態31]
形態29に記載の装置であって、
前記第1プラズマは、約15W~約500Wの間のプラズマ電力に設定される、装置。
[形態32]
形態25から形態28までのいずれか一項に記載の装置であって、
前記酸化剤は、二酸化炭素、一酸化炭素、二酸化硫黄、一酸化窒素、窒素、および、アンモニアからなる群より選択される、装置。
[形態33]
形態32に記載の装置であって、
前記第1バイアス電力は、約30V~約100Vの間である、装置。
[形態34]
形態32に記載の装置であって、
前記第1プラズマは、約30W~約500Wの間のプラズマ電力に設定される、装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C