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特許7058217パターン形成方法、電子デバイスの製造方法、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、及び、レジスト膜
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-13
(45)【発行日】2022-04-21
(54)【発明の名称】パターン形成方法、電子デバイスの製造方法、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、及び、レジスト膜
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20220414BHJP
   C08F 12/20 20060101ALI20220414BHJP
   C08F 20/22 20060101ALI20220414BHJP
   G03F 7/039 20060101ALI20220414BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20220414BHJP
   G03F 7/32 20060101ALI20220414BHJP
   G03F 7/38 20060101ALI20220414BHJP
【FI】
G03F7/004 501
C08F12/20
C08F20/22
G03F7/039 601
G03F7/20 521
G03F7/32
G03F7/38 501
【請求項の数】 32
(21)【出願番号】P 2018524917
(86)(22)【出願日】2017-04-27
(86)【国際出願番号】 JP2017016697
(87)【国際公開番号】W WO2018003271
(87)【国際公開日】2018-01-04
【審査請求日】2018-11-20
【審判番号】
【審判請求日】2021-04-16
(31)【優先権主張番号】P 2016130425
(32)【優先日】2016-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】西尾 亮
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 暁
(72)【発明者】
【氏名】後藤 研由
(72)【発明者】
【氏名】白川 三千紘
(72)【発明者】
【氏名】丹呉 直紘
(72)【発明者】
【氏名】丸茂 和博
(72)【発明者】
【氏名】崎田 享平
【合議体】
【審判長】里村 利光
【審判官】下村 一石
【審判官】植前 充司
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-167579(JP,A)
【文献】特開2015-143881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F7/004-7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて、基板上に、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物膜を形成する、レジスト膜形成工程と、
前記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物膜に活性光線又は放射線を照射する、露光工程と、
前記活性光線又は放射線が照射された前記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物膜を、アルカリ現像液を用いて現像する、現像工程と、
を含有するパターン形成方法であって、
前記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物が、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂Aと、
活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物Bと、
樹脂C1と樹脂C2との組み合わせ、及び、樹脂Cの少なくとも一方と、
を含有する、パターン形成方法。
なお、前記樹脂C1は、
式X1で表される繰り返し単位、式X2で表される基、及び、式X3で表される基、からなる群から選択される少なくとも1つを含有し、かつ、前記樹脂C1中における、前記式X1で表される繰り返し単位、前記式X2で表される基を含有する繰り返し単位、及び、前記式X3で表される基を含有する繰り返し単位からなる群から選択される繰り返し単位の含有量が、前記樹脂C1中の全繰り返し単位に対して50~100mol%である、樹脂であり、
前記樹脂C2は、
式Y1で表される基、及び、式Y2で表される繰り返し単位、からなる群から選択される少なくとも1つを含有し、
前記樹脂Cは、
式X1で表される繰り返し単位、及び、式X3で表される基からなる群から選択される少なくとも1つと、式Y1で表される基との組み合わせを含有するか、或いは、式X1で表される繰り返し単位、式X2で表される基、及び、式X3で表される基からなる群から選択される少なくとも1つと、式Y2で表される繰り返し単位との組み合わせを含有する。
【化1】

式X1中、Lは単結合、又は、2価の脂肪族炭化水素基、チオエーテル基、カルボニル基、アミド基、ウレタン基、ウレア基、及び、これらの組み合わせからなる基からなる群から選択される1つの連結基を表し、Rは、フッ素原子、又は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を表し、Rは水素原子、又は、1価の置換基を表し、n1は1以上の整数を表す。
式X2中、Lは単結合、又は、2価の脂肪族炭化水素基、アリーレン基、チオエーテル基、カルボニル基、アミド基、ウレタン基、ウレア基、及び、これらの組み合わせからなる基からなる群から選択される1つの連結基を表し、Rは、フッ素原子、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基、又は、-Si(R10を表し、Arは芳香族炭化水素環基を表し、n2は1以上の整数を表し、*は結合位置を表す。なお、R10はアルキル基を表す。
式X3中、Lは単結合、又は、2価の脂肪族炭化水素基、チオエーテル基、カルボニル基、アミド基、ウレタン基、ウレア基、及び、これらの組み合わせからなる基からなる群から選択される1つの連結基を表し、R10はアルキル基を表し、n3は1以上の整数を表し、*は結合位置を表す。
式Y1中、Lは単結合、又は、連結基を表し、Rは、それぞれ独立に、フッ素原子、又は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を表し、Rは、水素原子を表す。
式Y2中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は、1価の置換基(ただし、前記式X2で表される基もしくは前記式X3で表される基を含有する基を除く。)を表し、Rが水素原子の場合は、Lは単結合を表し、Rが前記1価の置換基の場合は、Lは連結基を表す。
ただし、前記樹脂Cが、前記式X1で表される繰り返し単位、及び、前記式Y1で表される基を含有する場合、前記式Y1で表される基を含有する繰り返し単位は、下記の繰り返し単位からなる群より選択され、かつ、前記樹脂Cは、式K1で表される基を含有する繰り返し単位、及び、式K3で表される繰り返し単位からなる群より選択される少なくとも1つである繰り返し単位Zを、更に含有する。
【化2】

【化3】

式K1中、Lは単結合又は、2価の脂肪族炭化水素基、アリーレン基、エーテル基、チオエーテル基、アミド基、ウレタン基、ウレア基、及び、これらの組み合わせからなる基からなる群から選択される1つの連結基を表し、R は、フッ素原子及びケイ素原子のいずれも置換されていない直鎖状、環状又は分岐鎖状のアルキル基を表し、n4は1以上の整数を表す。n4が2以上の整数を表すとき、複数のRは同一でも異なってもよく、複数のRは互いに結合して環を形成してもよい。
前記樹脂Cが、前記式X1で表される繰り返し単位、及び、前記式Y2で表される繰り返し単位を含有する場合、前記樹脂Cは、前記式X1で表される繰り返し単位、及び、前記式Y2で表される繰り返し単位のみを含有し、前記式Y2で表される繰り返し単位は、下記式で表される繰り返し単位である
【化4】

前記樹脂Cが、前記式X2で表される基を含有する場合、前記式X2で表される基を含有する繰り返し単位は、下記の繰り返し単位からなる群より選択される。
【化5】

前記樹脂Cが、前記式X3で表される基、及び、前記式Y1で表される基を含有する場合、前記樹脂Cは、式5及び式6の両者を満たすモノマーに由来する繰り返し単位を含有する。
Si×MSi/Mw≧0.15 (5)
P/Mw≧0.02 (6)
式5及び式6中、Pは前記モノマーのClogP値を表し、Mwは前記モノマーの分子量を表し、QSiは前記モノマー1分子当たりのケイ素原子の数を表し、MSiはケイ素原子の原子量を表す。
前記樹脂Cが、前記式X3で表される基、及び、前記式Y2で表される繰り返し単位を含有する場合、前記樹脂Cは、芳香環を含有する。
前記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物が、前記樹脂C1及び前記樹脂C2の組み合わせを含む場合、全ての前記樹脂C1及びC2が、式3~5からなる群から選択される少なくとも1つの式を満たすモノマーに由来する繰り返し単位を含有する。
P/Mw≧0.03 (3)
×M/Mw≧0.35 (4)
Si×MSi/Mw≧0.15 (5)
式3~5中、Pは前記モノマーのClogP値を表し、Mwは前記モノマーの分子量を表し、Qは前記モノマー1分子当たりのフッ素原子の数を表し、Mはフッ素原子の原子量を表し、QSiは前記モノマー1分子当たりのケイ素原子の数を表し、MSiはケイ素原子の原子量を表す。
【請求項2】
前記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物が前記樹脂C1、前記樹脂C2、及び、前記樹脂Cからなる群から選択される1つ、又は、2つ以上の特定樹脂を含む場合、
全ての前記特定樹脂が、前記式3~5からなる群から選択される少なくとも1つの式を満たすモノマーに由来する繰り返し単位を含有する、請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項3】
前記特定樹脂の少なくとも1つが、式4及び式6、又は、式5及び式6、を満たすモノマーに由来する繰り返し単位を含有する、請求項2に記載のパターン形成方法。
×M/Mw≧0.35 (4)
Si×MSi/Mw≧0.15 (5)
P/Mw≧0.02 (6)
式4~6中、Pは前記モノマーのClogP値を表し、Mwは前記モノマーの分子量を表し、Qは前記モノマー1分子当たりのフッ素原子の数を表し、QSiは前記モノマー1分子当たりのケイ素原子の数を表し、Mはフッ素原子の原子量を表し、MSiはケイ素原子の原子量を表す。
【請求項4】
前記式X1で表される繰り返し単位中のR、及び、前記式X2で表される基中のRが、3個以上のフッ素原子で置換されたアルキル基である、請求項1~3のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
【請求項5】
前記樹脂Cが、前記式X2で表される基、及び、前記式X3で表される基からなる群から選択される少なくとも1つ、並びに、前記式Y2で表される繰り返し単位を含有し、
前記式Y2で表される繰り返し単位中のRが水素原子である、請求項1~4のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
【請求項6】
前記式Y2で表される繰り返し単位中のRが、置換基を含有するアルキル基、アリール基、又は、アルキルアミノ基である、請求項1~4のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
ただし、前記樹脂Cが、前記式X1で表される繰り返し単位、及び、前記式Y2で表される繰り返し単位を含有する場合、前記式Y2で表される繰り返し単位中のRは、置換基を含有するアルキル基、又は、アルキルアミノ基を表す。
【請求項7】
前記式Y2で表される繰り返し単位中のRが、塩基性条件で脱離する、アルキル基又はアリール基である、請求項6に記載のパターン形成方法。
ただし、前記樹脂Cが、前記式X1で表される繰り返し単位、及び、前記式Y2で表される繰り返し単位を含有する場合、前記式Y2で表される繰り返し単位中のRは、電子求引性基を含有するアルキル基を表す。
【請求項8】
前記樹脂C及び樹脂C2が、式Y1で表される基を、2個以上含有する繰り返し単位を含有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
【請求項9】
前記樹脂C、前記樹脂C1、及び、前記樹脂C2が、(メタ)アクリレート誘導体、スチレン誘導体、及び、アリル基含有化合物からなる群から選択される少なくとも1つの重合体である、請求項1~8のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
【請求項10】
前記樹脂C1、前記樹脂C2、及び、前記樹脂C、からなる群から選択される少なくとも1つの樹脂が芳香環を含有する請求項1~9のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
【請求項11】
前記樹脂C1及び前記樹脂Cが式7で表される繰り返し単位を含有する、請求項1~10のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
【化6】

式中、Rはトリアルキルシリル基、炭素数2以上のフッ化アルキル基、及び、3級アルキル基からなる群から選択される少なくとも1つを表し、Rは、水素原子、又は、1価の置換基を表し、nは2以上の整数を表す。
【請求項12】
前記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物が、前記樹脂Cを含有し
更に、前記樹脂C1及び前記樹脂C2からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、請求項1~11のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
【請求項13】
前記樹脂Aが、ラクトン構造を含有する繰り返し単位を含有する、請求項1~12のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
【請求項14】
前記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物が、更に溶剤Dを含有する、請求項1~13のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
【請求項15】
前記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物膜の膜厚が80nm以下である、請求項1~14のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
【請求項16】
前記露光工程が、液浸露光工程である、請求項1~15のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載のパターン形成方法を含有する、電子デバイスの製造方法。
【請求項18】
酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂Aと、
活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物Bと、
樹脂C1と樹脂C2との組み合わせ、及び、樹脂Cの少なくとも一方と、
を含有する、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
なお、前記樹脂C1は、
式X1で表される繰り返し単位、式X2で表される基、及び、式X3で表される基、からなる群から選択される少なくとも1つを含有し、かつ、前記樹脂C1中における、前記式X1で表される繰り返し単位、前記式X2で表される基を含有する繰り返し単位、及び、前記式X3で表される基を含有する繰り返し単位からなる群から選択される繰り返し単位の含有量が、前記樹脂C1中の全繰り返し単位に対して50~100mol%である、樹脂であり、
前記樹脂C2は、
式Y1で表される基、及び、式Y2で表される繰り返し単位、からなる群から選択される少なくとも1つを含有し、
前記樹脂Cは、
式X1で表される繰り返し単位、及び、式X3で表される基からなる群から選択される少なくとも1つと、式Y1で表される基との組み合わせを含有するか、或いは、式X1で表される繰り返し単位、式X2で表される基、及び、式X3で表される基からなる群から選択される少なくとも1つと、式Y2で表される繰り返し単位との組み合わせを含有する。
【化7】

式X1中、Lは単結合、又は、2価の脂肪族炭化水素基、チオエーテル基、カルボニル基、アミド基、ウレタン基、ウレア基、及び、これらの組み合わせからなる基からなる群から選択される1つの連結基を表し、Rは、フッ素原子、又は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を表し、Rは水素原子、又は、1価の置換基を表し、n1は1以上の整数を表す。
式X2中、Lは単結合、又は、2価の脂肪族炭化水素基、アリーレン基、チオエーテル基、カルボニル基、アミド基、ウレタン基、ウレア基、及び、これらの組み合わせからなる基からなる群から選択される1つの連結基を表し、Rは、フッ素原子、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基、又は、-Si(R10を表し、Arは芳香族炭化水素環基を表し、n2は1以上の整数を表し、*は結合位置を表す。なお、R10はアルキル基を表す。
式X3中、Lは単結合、又は、2価の脂肪族炭化水素基、チオエーテル基、カルボニル基、アミド基、ウレタン基、ウレア基、及び、これらの組み合わせからなる基からなる群から選択される1つの連結基を表し、R10はアルキル基を表し、n3は1以上の整数を表し、*は結合位置を表す。
式Y1中、Lは単結合、又は、連結基を表し、Rは、それぞれ独立に、フッ素原子、又は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を表し、Rは、水素原子を表す。
式Y2中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は、1価の置換基(ただし、前記式X2で表される基もしくは前記式X3で表される基を含有する基を除く。)を表し、Rが水素原子の場合は、Lは単結合を表し、Rが前記1価の置換基の場合は、Lは連結基を表す。
ただし、前記樹脂Cが、前記式X1で表される繰り返し単位、及び、前記式Y1で表される基を含有する場合、前記式Y1で表される基を含有する繰り返し単位は、下記の繰り返し単位からなる群より選択され、かつ、前記樹脂Cは、式K1で表される基を含有する繰り返し単位、及び、式K3で表される繰り返し単位からなる群より選択される少なくとも1つである繰り返し単位Zを、更に含有する。
【化8】

【化9】

式K1中、Lは単結合又は、2価の脂肪族炭化水素基、アリーレン基、エーテル基、チオエーテル基、アミド基、ウレタン基、ウレア基、及び、これらの組み合わせからなる基からなる群から選択される1つの連結基を表し、R は、フッ素原子及びケイ素原子のいずれも置換されていない直鎖状、環状又は分岐鎖状のアルキル基を表し、n4は1以上の整数を表す。n4が2以上の整数を表すとき、複数のRは同一でも異なってもよく、複数のRは互いに結合して環を形成してもよい。
前記樹脂Cが、前記式X1で表される繰り返し単位、及び、前記式Y2で表される繰り返し単位を含有する場合、前記樹脂Cは、前記式X1で表される繰り返し単位、及び、前記式Y2で表される繰り返し単位のみを含有し、前記式Y2で表される繰り返し単位は、下記式で表される繰り返し単位である
【化10】

前記樹脂Cが、前記式X2で表される基を含有する場合、前記式X2で表される基を含有する繰り返し単位は、下記の繰り返し単位からなる群より選択される。
【化11】

前記樹脂Cが、前記式X3で表される基、及び、前記式Y1で表される基を含有する場合、前記樹脂Cは、式5及び式6の両者を満たすモノマーに由来する繰り返し単位を含有する。
Si×MSi/Mw≧0.15 (5)
P/Mw≧0.02 (6)
式5及び式6中、Pは前記モノマーのClogP値を表し、Mwは前記モノマーの分子量を表し、QSiは前記モノマー1分子当たりのケイ素原子の数を表し、MSiはケイ素原子の原子量を表す。
前記樹脂Cが、前記式X3で表される基、及び、前記式Y2で表される繰り返し単位を含有する場合、前記樹脂Cは、芳香環を含有する。
前記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物が、前記樹脂C1及び前記樹脂C2の組み合わせを含む場合、全ての前記樹脂C1及びC2が、式3~5からなる群から選択される少なくとも1つの式を満たすモノマーに由来する繰り返し単位を含有する。
P/Mw≧0.03 (3)
×M/Mw≧0.35 (4)
Si×MSi/Mw≧0.15 (5)
式3~5中、Pは前記モノマーのClogP値を表し、Mwは前記モノマーの分子量を表し、Qは前記モノマー1分子当たりのフッ素原子の数を表し、Mはフッ素原子の原子量を表し、QSiは前記モノマー1分子当たりのケイ素原子の数を表し、MSiはケイ素原子の原子量を表す。
【請求項19】
前記樹脂C1、前記樹脂C2、及び、前記樹脂Cからなる群から選択される1つ、又は、2つ以上の特定樹脂を含有し、
全ての前記特定樹脂が、前記式3~5からなる群から選択される少なくとも1つの式を満たすモノマーに由来する繰り返し単位を含有する、請求項18に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【請求項20】
前記特定樹脂の少なくとも1つが、式4及び式6、又は、式5及び式6、を満たすモノマーに由来する繰り返し単位を含有する、請求項19に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
×M/Mw≧0.35 (4)
Si×MSi/Mw≧0.15 (5)
P/Mw≧0.02 (6)
式4~6中、Pは前記モノマーのClogP値を表し、Mwは前記モノマーの分子量を表し、Qは前記モノマー1分子当たりのフッ素原子の数を表し、QSiは前記モノマー1分子当たりのケイ素原子の数を表し、Mはフッ素原子の原子量を表し、MSiはケイ素原子の原子量を表す。
【請求項21】
前記式X1で表される繰り返し単位中のR、及び、前記式X2で表される基中のRが、3個以上のフッ素原子で置換されたアルキル基である、請求項18~20のいずれか一項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【請求項22】
前記樹脂Cが、前記式X2で表される基、及び、前記式X3で表される基からなる群から選択される少なくとも1つ、並びに、前記式Y2で表される繰り返し単位を含有し、
前記式Y2で表される繰り返し単位中のRが水素原子である、請求項18~21のいずれか一項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【請求項23】
前記式Y2で表される繰り返し単位中のRが、置換基を含有するアルキル基、アリール基、又はアルキルアミノ基である、請求項18~21のいずれか一項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
ただし、前記樹脂Cが、前記式X1で表される繰り返し単位、及び、前記式Y2で表される繰り返し単位を含有する場合、前記式Y2で表される繰り返し単位中のRは、置換基を含有するアルキル基、又は、アルキルアミノ基を表す。
【請求項24】
前記式Y2で表される繰り返し単位中のRが、塩基性条件で脱離する、アルキル基又はアリール基である、請求項23に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
ただし、前記樹脂Cが、前記式X1で表される繰り返し単位、及び、前記式Y2で表される繰り返し単位を含有する場合、前記式Y2で表される繰り返し単位中のRは、電子求引性基を含有するアルキル基を表す。
【請求項25】
前記樹脂C及び樹脂C2が、式Y1で表される基を、2個以上含有する繰り返し単位を含有する、請求項18~24のいずれか一項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【請求項26】
前記樹脂C、前記樹脂C1、及び、前記樹脂C2が、(メタ)アクリレート誘導体、スチレン誘導体、及び、アリル基含有化合物からなる群から選択される少なくとも1つの重合体である、請求項18~25のいずれか一項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【請求項27】
前記樹脂C1、前記樹脂C2、及び、前記樹脂C、からなる群から選択される少なくとも1つの樹脂が芳香環を含有する請求項18~26のいずれか一項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【請求項28】
前記樹脂C1及び前記樹脂Cが式7で表される繰り返し単位を含有する、請求項18~27のいずれか一項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【化12】

式中、Rはトリアルキルシリル基、炭素数2以上のフッ化アルキル基、及び、3級アルキル基からなる群から選択される少なくとも1つを表し、Rは、水素原子、又は、1価の置換基を表し、nは2以上の整数を表す。
【請求項29】
前記樹脂Cを含有し
更に、前記樹脂C1及び前記樹脂C2からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、請求項18~28のいずれか一項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【請求項30】
前記樹脂Aが、ラクトン構造を含有する繰り返し単位を含有する、請求項18~29のいずれか一項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【請求項31】
更に溶剤Dを含有する、請求項18~30のいずれか一項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【請求項32】
請求項18~31のいずれか一項に記載の前記感活性光線性又は感放射性樹脂組成物を用いて形成されたレジスト膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン形成方法、電子デバイスの製造方法、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、及び、レジスト膜に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス、液晶デバイス等の各種電子デバイスの構造の微細化に伴い、より微細なレジストパターンを形成するために液浸露光が用いられることがある。
液浸露光において、ArFエキシマレーザーを光源とする場合は、取り扱い安全性が高い点、193nmにおける光透過率が高い点、及び193nmにおける屈折率が高い点で液浸液としては、純水が用いられることが多い。
【0003】
また、微細なレジストパターンを形成する場合、レジストパターン形成方法として化学増幅が用いられることがある。化学増幅を用いたポジ形のレジストパターン形成方法を例に挙げる。まず露光部において、酸発生剤が分解して、酸が生成する。続いて露光後のベーク(PEB:PostExposureBake)において、生成した上記酸を反応触媒として、レジスト膜中の樹脂が含有するアルカリ不溶性基をアルカリ可溶基に変化させ、アルカリ現像により露光部を除去する方法である。
【0004】
化学増幅を用いたレジスト膜に液浸露光を適用すると、露光時にレジスト膜が液浸液と接触するため、レジスト膜が変質し、及び/又は、レジスト膜から液浸液にレジスト膜の構成成分が滲出する場合があることが知られている。
【0005】
また、液浸露光において、スキャン式の液浸露光機を用いて露光する場合には、液浸露光機のレンズの高速移動に追随して、液浸液も高速移動することが求められる。上記のとおり、液浸液が水である場合においては、レジスト膜は疎水的であるほうが好ましいことが知られている。特許文献1には、1種類以上の樹脂と、光活性成分と、1種類以上の樹脂に対して実質的に非混和性の2種類以上の物質とを含むフォトレジスト組成物を基体上に適用すること;及びフォトレジスト層を、フォトレジスト組成物用の活性化放射線に液浸露光することとを含む、フォトレジスト組成物の処理方法であって、2種類以上の実質的に非混和性の物質が、(i)表層物質と(ii)中間物質とを含み、表層物質及び中間物質が異なる表面エネルギーを有する方法、が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2009-199058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、特許文献1に記載されたフォトレジスト組成物を液浸露光工程、及び現像工程に適用したところ、上記フォトレジスト組成物により形成したレジスト膜は、水に対する追従性(水追従性)を一定の水準で有するものの、アルカリ現像時の現像性(以下、単に「現像性」ともいう。)が、昨今求められる水準に達していないことを知見した。なお、本明細書において水追従性とは、実施例に記載した方法により測定することのできる値であり、液浸露光時に、レジスト膜上で露光装置の高速移動に液浸液が追従できるかについての指標を意図する。
【0008】
そこで、本発明は、優れた水追従性を有しつつ、優れた現像性を有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物膜(以下、「レジスト膜」ともいう。)を用いたパターン形成方法を提供することを課題とする。また、本発明は、電子デバイスの製造方法、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、及びレジスト膜を提供することも課題とする。
なお、本明細書における、優れた現像性とは、後述する実施例に記載した方法により測定することができるレジスト膜の現像性、すなわち、パターン倒れ、ラインエッジラフネス(LER:line edge roughness)、スカム、及び、現像欠陥の各評価がそれぞれ実用レベルに達していることを意図する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、後述するレジスト膜形成工程と、露光工程と、現像工程と、を含有するパターン形成方法であって、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物が、後述する樹脂Aと、化合物Bと、樹脂C1と樹脂C2との組み合わせ、及び、樹脂Cの少なくも一方と、を含有することにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、以下の構成により上記課題を達成することができることを見出した。
【0010】
[1] 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて、基板上に、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物膜を形成する、レジスト膜形成工程と、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物膜に活性光線又は放射線を照射する、露光工程と、活性光線又は放射線が照射された感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物膜を、アルカリ現像液を用いて現像する、現像工程と、を含有するパターン形成方法であって、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物が、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂Aと、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物Bと、樹脂C1と樹脂C2との組み合わせ、及び、樹脂Cの少なくも一方と、を含有する、パターン形成方法。
なお、樹脂C1は、式X1で表される繰り返し単位、式X2で表される基、及び、式X3で表される基、からなる群から選択される少なくとも1つを含有し、樹脂C2は、式Y1で表される基、式Y3で表される基、及び、式Y2で表される繰り返し単位、からなる群から選択される少なくとも1つを含有し、樹脂Cは、式X1で表される繰り返し単位、式X2で表される基、及び、式X3で表される基、からなる群から選択される少なくとも1つ、並びに、式Y1で表される基、式Y3で表される基、及び、式Y2で表される繰り返し単位、からなる群から選択される少なくとも1つ、を含有する。
[2] 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物が樹脂C1、樹脂C2、及び、樹脂Cからなる群から選択される1つ、又は、2つ以上の特定樹脂を含む場合、全ての特定樹脂が、式3~5からなる群から選択される少なくとも1つの式を満たすモノマーに由来する繰り返し単位を含有する、[1]に記載のパターン形成方法。
[3] 特定樹脂の少なくとも1つが、式4及び式6、又は、式5及び式6、を満たすモノマーに由来する繰り返し単位を含有する、[2]に記載のパターン形成方法。
[4] 式X1で表される繰り返し単位中のR、及び、式X2で表される基中のRが、3個以上のフッ素原子で置換されたアルキル基である、[1]~[3]のいずれかに記載のパターン形成方法。
[5] 式Y2で表される繰り返し単位中のR、並びに、式Y1で表される基及び式Y3で表される基中のRが水素原子である、[1]~[4]のいずれかに記載のパターン形成方法。
[6] 式Y2で表される繰り返し単位中のR、並びに、式Y1で表される基及び式Y3で表される基中のRが、置換基を含有するアルキル基、アリール基、又はアルキルアミノ基である、[1]~[4]のいずれかに記載のパターン形成方法。
[7] 式Y2で表される繰り返し単位中のR、並びに、式Y1で表される基及び式Y3で表される基中のRが、塩基性条件で脱離する、アルキル基又はアリール基である、[6]に記載のパターン形成方法。
[8] 樹脂C及び樹脂C2が、式Y1で表される基及び式Y3で表される基からなる群から選択される少なくとも1つの基を、2個以上含有する繰り返し単位を含有する、[1]~[7]のいずれかに記載のパターン形成方法。
[9] 樹脂C、樹脂C1、及び、樹脂C2が、(メタ)アクリレート誘導体、スチレン誘導体、及び、アリル基含有化合物からなる群から選択される少なくとも1つの重合体である、[1]~[8]のいずれかに記載のパターン形成方法。
[10] 樹脂C1、樹脂C2、及び、樹脂C、からなる群から選択される少なくとも1つの樹脂が芳香環を含有する[1]~[9]のいずれかに記載のパターン形成方法。
[11] 樹脂C1及び樹脂Cが式7で表される繰り返し単位を含有する、[1]~[10]のいずれかに記載のパターン形成方法。
[12] 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物が、樹脂Cと、樹脂C1及び樹脂C2からなる群から選択される少なくとも1つと、を含有する、[1]~[11]のいずれかに記載のパターン形成方法。
[13] 樹脂Aが、ラクトン構造を含有する繰り返し単位を含有する、[1]~[12]のいずれかに記載のパターン形成方法。
[14] 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物が、更に溶剤Dを含有する、[1]~[13]のいずれかに記載のパターン形成方法。
[15] 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物膜の膜厚が80nm以下である、[1]~[14]のいずれかに記載のパターン形成方法。
[16] 露光工程が、液浸露光工程である、[1]~[15]のいずれかに記載のパターン形成方法。
[17] [1]~[16]のいずれかに記載のパターン形成方法を含有する、電子デバイスの製造方法。
[18] 酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂Aと、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物Bと、樹脂C1と樹脂C2との組み合わせ、及び、樹脂Cの少なくも一方と、を含有する、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
なお、樹脂C1は、式X1で表される繰り返し単位、式X2で表される基、及び、式X3で表される基、からなる群から選択される少なくとも1つを含有し、樹脂C2は、式Y1で表される基、式Y3で表される基、及び、式Y2で表される繰り返し単位、からなる群から選択される少なくとも1つを含有し、樹脂Cは、式X1で表される繰り返し単位、式X2で表される基、及び、式X3で表される基、からなる群から選択される少なくとも1つ、並びに、式Y1で表される基、式Y3で表される基、及び、式Y2で表される繰り返し単位、からなる群から選択される少なくとも1つ、を含有する。
[19] 樹脂C1、樹脂C2、及び、樹脂Cからなる群から選択される1つ、又は、2つ以上の特定樹脂を含有し、全ての特定樹脂が、式3~5からなる群から選択される少なくとも1つの式を満たすモノマーに由来する繰り返し単位を含有する、[18]に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
[20] 特定樹脂の少なくとも1つが、式4及び式6、又は、式5及び式6、を満たすモノマーに由来する繰り返し単位を含有する、[19]に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
[21] 式X1で表される繰り返し単位中のR、及び、式X2で表される基中のRが、3個以上のフッ素原子で置換されたアルキル基である、[18]~[20]のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
[22] 式Y2で表される繰り返し単位中のR、並びに、式Y1で表される基及び式Y3で表される基中のRが水素原子である、[18]~[21]のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
[23] 式Y2で表される繰り返し単位中のR、並びに、式Y1で表される基及び式Y3で表される基中のRが、置換基を含有するアルキル基、アリール基、又はアルキルアミノ基である、[18]~[21]のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
[24] 式Y2で表される繰り返し単位中のR、並びに、式Y1で表される基及び式Y3で表される基中のRが、塩基性条件で脱離する、アルキル基又はアリール基である、[23]に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
[25] 樹脂C及び樹脂C2が、式Y1で表される基及び式Y3で表される基からなる群から選択される少なくとも1つの基を、2個以上含有する繰り返し単位を含有する、[18]~[24]のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
[26] 樹脂C、樹脂C1、及び、樹脂C2が、(メタ)アクリレート誘導体、スチレン誘導体、及び、アリル基含有化合物からなる群から選択される少なくとも1つの重合体である、[18]~[25]のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
[27] 樹脂C1、樹脂C2、及び、樹脂C、からなる群から選択される少なくとも1つの樹脂が芳香環を含有する[18]~[26]のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
[28] 樹脂C1及び樹脂Cが式7で表される繰り返し単位を含有する、[18]~[27]のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
[29] 樹脂Cと、樹脂C1及び樹脂C2からなる群から選択される少なくとも1つと、を含有する、[18]~[28]のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
[30] 樹脂Aが、ラクトン構造を含有する繰り返し単位を含有する、[18]~[29]のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
[31] 更に溶剤Dを含有する、[18]~[30]のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
[32] [18]~[31]のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射性樹脂組成物を用いて形成されたレジスト膜。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、優れた水追従性を有しつつ、優れた現像性を有するレジスト膜を用いたパターン形成方法を提供することができる。また、本発明は、電子デバイスの製造方法、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、及び、レジスト膜を提供することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されない。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書中における「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、及びエキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV:Extreme ultraviolet)、X線、並びに電子線等を意味する。また本明細書において「光」とは、活性光線及び放射線を意味する。本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、及びエキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、並びにEUV等による露光のみならず、電子線及びイオンビーム等の粒子線による描画も包含する。
また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタアクリレートを表す。また、本明細書において、「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタアクリルを表す。また、本明細書において、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルを表す。また、本明細書において、「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミド及びメタアクリルアミドを表す。また、本明細書中において、「単量体」と「モノマー」とは同義である。単量体は、オリゴマー及びポリマーと区別され、重量平均分子量が2,000以下の化合物をいう。本明細書中において、「重合性化合物」とは、重合性基を含有する化合物のことをいい、単量体であっても、ポリマーであってもよい。「重合性基」とは、重合反応に関与する基をいう。
【0013】
以下では、まず、本発明の実施態様に係るパターン形成方法に用いられる感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物について説明した後、上記パターン形成方法について工程ごとに説明する。
【0014】
[感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物]
上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(以下、「レジスト組成物」ともいう。)は、以下の(1)~(3)を含有する。
(1)酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂A。
(2)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物B。
(3)樹脂C1と樹脂C2との組み合わせ、及び、樹脂Cの少なくとも一方。
【0015】
ここで、上記樹脂C1及び上記樹脂C2は、それぞれ、以下の(i)及び(ii)を含有する。
樹脂C1:
(i)式X1で表される繰り返し単位、式X2で表される基、及び、式X3で表される基、からなる群から選択される少なくとも1つ。
樹脂C2:
(ii)式Y1で表される基、式Y3で表される基、及び、式Y2で表される繰り返し単位、からなる群から選択される少なくとも1つ。
一方、上記樹脂Cは、上記(i)及び(ii)の両方を含有する。
【0016】
上記レジスト組成物は、ポジ型の現像(未露光部がパターンとして残り、露光部が除去される現像)に用いられる。即ち、アルカリ現像液を用いて現像を行う。
化学増幅を用いたレジスト膜に液浸露光を適用する場合、レジスト膜は疎水的であるほうが好ましいことが知られている。液浸液が水である場合、露光装置の高速移動(スキャン移動)に水が追従しやすくするためだと考えられている。
本発明者らの検討によれば、一般的な疎水性の高いレジスト膜は、アルカリ現像時の現像性に問題があることを知見している。これは、レジスト膜が疎水性であるため、アルカリ現像液がレジスト膜内部まで十分に浸透しないためであると、本発明者らは考えている。
【0017】
上記レジスト組成物は、樹脂C1と樹脂C2との組み合わせ、及び、樹脂Cの少なくとも一方を含有することを特徴の一つとする。樹脂C1と樹脂C2との組み合わせ、及び、樹脂Cは、
(i)式X1で表される繰り返し単位、式X2で表される基、及び、式X3で表される基、からなる群から選択される少なくとも1つ、及び、
(ii)式Y1で表される基、式Y3で表される基、及び、式Y2で表される繰り返し単位、からなる群から選択される少なくとも1つ
を含有する。
ここで、(i)はその構造中にフッ素原子、又は、珪素原子を含有するため、これらがレジスト膜表面に偏在し、表面の疎水性が高くなりやすく、水追従性の向上に寄与する。
一方、(ii)はその構造中に親水性基を含有する。親水性基は、アルカリ現像液に対してレジスト膜を溶解しやすくする作用を有し、現像性の向上に寄与する。
上記レジスト組成物は、上記(i)及び(ii)を含有する樹脂、又は、(i)を含有する樹脂と(ii)を含有する樹脂との組み合わせを含有することで、上記(i)及び(ii)の相乗効果が得られ、本発明の効果が得られたものと推測される。
なお、上記は推測であり、本発明の範囲を上記作用機序により効果が得られる範囲に限定するものではない。
【0018】
以下、上記レジスト組成物が含有する成分ごとに、その態様を説明する。
【0019】
〔酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂A〕
樹脂Aは、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂であり、樹脂の主鎖又は側鎖、あるいは、主鎖及び側鎖の両方に、酸の作用により分解し、アルカリ可溶性基を生じる基(以下、「酸分解性基」ともいう)を有する樹脂である。
【0020】
アルカリ可溶性基としては、フェノール性水酸基、カルボキシル基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、及び、トリス(アルキルスルホニル)メチレン基等が挙げられる。
【0021】
酸で脱離する基としては、例えば、-C(R36)(R37)(R38)、-C(R01)(R02)(OR39)等を挙げることができる。
式中、R36~R39は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。R36とR37とは、互いに結合して環を形成してもよい。
【0022】
01~R02は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。
酸分解性基としては好ましくは、クミルエステル基、エノールエステル基、アセタールエステル基、第3級のアルキルエステル基等である。
【0023】
樹脂Aは、酸分解性基を有する繰り返し単位を有することが好ましい。酸分解性基を有する繰り返し単位としては下記式(AI)で表される繰り返し単位が好ましい。
【化1】
【0024】
式(AI)に於いて、
Xaは、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基を表す。Tは、単結合又は2価の連結基を表す。
Rx~Rxは、それぞれ独立に、アルキル基(直鎖若しくは分岐)又はシクロアルキル基(単環若しくは多環)を表す。
Rx~Rxの少なくとも2つが結合して、シクロアルキル基(単環若しくは多環)を形成してもよい。
【0025】
式(A1)について更に詳細に説明する。
Tの2価の連結基としては、アルキレン基、-COO-Rt-基、及び、-O-Rt-基等が挙げられる。式中、Rtは、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表す。
【0026】
Rxがメチル基又はエチル基であり、RxとRxとが結合して上述のシクロアルキル基を形成している態様、及び/又は、Rx~Rxの少なくとも1つが上述のシクロアルキル基である態様が好ましい。
式(AI)における酸分解性基である-C(Rx)(Rx)(Rx)基は、置換基として少なくとも一つの-(L)n1-Pで表される基を有していてもよい。ここで、Lは2価の連結基を表し、nは0又は1を表し、Pは極性基を表す。
【0027】
Lの2価の連結基としては、例えば、直鎖若しくは分岐状アルキレン基、シクロアルキレン基等を挙げることができ、Lとしての2価の連結基の原子数は20以下が好ましく、15以下がより好ましい。上記の直鎖若しくは分岐状アルキレン基、シクロアルキレン基は、炭素数8以下が好ましい。直鎖若しくは分岐状アルキレン基、シクロアルキレン基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アルキル基(炭素数1~4)、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基(炭素数1~4)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(炭素数2~6)などが挙げられる。
【0028】
Pの極性基としては、例えば、水酸基、ケトン基、シアノ基、アミド基、アルキルアミド基、スルホンアミド基、低級エステル基、低級スルホナート基のようなヘテロ原子を含有する基を挙げることができる。ここで「低級」とは炭素数2~3個の基が好ましい。好ましい極性基としては、水酸基、シアノ基、アミド基であり、より好ましくは水酸基である。
【0029】
-(L)n1-Pで表される基は、n1=1の場合として、例えば、水酸基、シアノ基、アミド基、アルキルアミド基、又はスルホンアミド基を有する、直鎖又は分岐のアルキル基(好ましくは炭素数1~10)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3~15)が挙げられ、好ましくは、水酸基を有するアルキル基(好ましくは炭素数1~5であり、更に好ましくは炭素数1~3である。)が挙げられる。
【0030】
なかでもPが水酸基であり、n1が0もしくは1であり、Lが直鎖若しくは分岐状アルキレン基(好ましくは炭素数1~5)であることが好ましい。
式(AI)における-C(Rx)(Rx)(Rx)で表される基は、-(L)n1-Pで表される基を1~3個有することが好ましく、1又は2個有することがより好ましく、1個有することが最も好ましい。
式(AI)で表される繰り返し単位は、以下の式(1-1)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
【化2】
【0031】
式(1-1)中、
は、式(AI)に於けるXaと同様のものである。
及びRは、式1に於けるRx及びRxと同様のものである。
-(L)n1-Pで表される基は、式(A1)についての-(L)n1-Pで表される基と同様である。
pは1~3の整数を表す。pは好ましくは1又は2、より好ましくは1である。
【0032】
式(A1)の繰り返し単位に対応するモノマーは、例えば、特開2006-16379号公報に記載の方法により合成することができる。
【0033】
酸分解性基を有する繰り返し単位の含有率は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、20~50mol%が好ましく、より好ましくは25~45mol%である。
【0034】
酸分解性基の好適態様としては、特開2010-44358号公報(以下、「文献A」という。)の0049~0054段落に記載された繰り返し単位が挙げられ、上記の内容は本明細書に組み込まれる。
【0035】
樹脂Aは、更に、ラクトン基、水酸基、シアノ基、及び、アルカリ可溶性基からなる群から選択される少なくとも1つの基を有する繰り返し単位を有することが好ましく、ラクトン基(ラクトン構造)を有する繰り返し単位を含有することがより好ましい。
【0036】
樹脂Aが含有し得るラクトン構造を有する繰り返し単位について説明する。
ラクトン構造としては、いずれでも用いることができ、好ましくは5~7員環ラクトン構造であり、5~7員環ラクトン構造にビシクロ構造、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているものがより好ましい。下記式(LC1-1)~(LC1-17)のいずれかで表されるラクトン構造を有する繰り返し単位を有することがより好ましい。また、ラクトン構造が主鎖に直接結合していてもよい。好ましいラクトン構造としては(LC1-1)、(LC1-4)、(LC1-5)、(LC1-6)、(LC1-13)、(LC1-14)、(LC1-17)であり、特定のラクトン構造を用いることでラインエッジラフネス、現像欠陥が良好になる。
【化3】
【0037】
ラクトン構造部分は、置換基(Rb)を有していても有していなくてもよい。好ましい置換基(Rb)としては、炭素数1~8のアルキル基(アルキル基は、水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい。)、炭素数4~7のシクロアルキル基、炭素数1~8のアルコキシ基、炭素数1~8のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、酸分解性基などが挙げられる。より好ましくは炭素数1~4のアルキル基、シアノ基、酸分解性基である。n2は、0~4の整数を表す。n2が2以上の時、複数存在する置換基(Rb)は、同一でも異なっていてもよく、また、複数存在する置換基(Rb)同士が結合して環を形成してもよい。
【0038】
式(LC1-1)~(LC1-17)のいずれかで表されるラクトン構造を有する繰り返し単位としては、下記式(AII)で表される繰り返し単位を挙げることができる。
【化4】
【0039】
式(AII)中、
Abは、水素原子、ハロゲン原子又は置換基を有していてもよい炭素数1~4のアルキル基を表す。Abのアルキル基が有していてもよい好ましい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子が挙げられる。Abのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。Abとして好ましくは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基であり、水素原子、メチル基が特に好ましい。
【0040】
Aは、-COO-基又は-CONH-基を表す。
【0041】
Abは、単結合、アルキレン基、単環又は多環の脂環炭化水素構造を有する2価の連結基、エーテル結合、エステル結合、カルボニル基、アミド結合、ウレタン結合又はウレア結合、もしくはこれらを組み合わせた2価の連結基を表す。好ましくは、単結合、-Ab-CO-で表される2価の連結基である。
【0042】
Abは、直鎖又は分岐アルキレン基、単環又は多環のシクロアルキレン基であり、好ましくはメチレン基、エチレン基、シクロヘキシレン基、アダマンチレン基、ノルボルニレン基である。
nは、1~5の整数を表す。nは好ましくは1又は2であり、更に好ましくは1である。
【0043】
Vは、式(LC1-1)~(LC1-17)の内のいずれかで示される構造を有する基を表す。
【0044】
ラクトン構造を含有する繰り返し単位の具体例としては、例えば、文献Aの0064~0067段落に記載された繰り返し単位が挙げられ、上記内容は本明細書に組み込まれる。
【0045】
樹脂Aは、下記式(3)で表されるラクトン構造を含有する繰り返し単位を含有することが好ましい。
【化5】
【0046】
式(3)中、
Aは、エステル結合(-COO-)又はアミド結合(-CONH-)を表す。
は、複数個ある場合にはそれぞれ独立にアルキレン基、シクロアルキレン基、又はその組み合わせを表す。
【0047】
Zは、複数個ある場合にはそれぞれ独立に、エーテル結合、エステル結合、カルボニル基、アミド結合、ウレタン結合、又はウレア結合を表す。
【0048】
は、ラクトン構造を有する1価の有機基を表す。
【0049】
nは、式(3)で表わされる繰り返し単位内における-R-Z-で表わされる構造の繰り返し数であり、1~5の整数を表す。nは好ましくは1又は2であり、更に好ましくは1である。
【0050】
は、水素原子、ハロゲン原子又は置換基を有してもよいアルキル基を表す。
【0051】
のアルキレン基、シクロアルキレン基は置換基を有してよい。
Zは好ましくは、エーテル結合、エステル結合であり、特に好ましくはエステル結合である。
【0052】
上記式(3)で表されるラクトン構造を含有する繰り返し単位としては文献Aの0079段落に記載の繰り返し単位が挙げられ、上記内容は本明細書に組み込まれる。
【0053】
ラクトン構造を有する繰り返し単位としては、下記式(3-1)で表される繰り返し単位がより好ましい。
【化6】
【0054】
式(3-1)に於いて、
、A、R、Z、及びnは、上記式(3)と同義である。
は、複数個ある場合にはそれぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、水酸基又はアルコキシ基を表し、複数個ある場合には2つのRが結合し、環を形成していてもよい。
【0055】
Xは、アルキレン基、酸素原子又は硫黄原子を表す。
mは、置換基数であって、0~5の整数を表す。mは0又は1であることが好ましい。m=1である場合、Rはラクトンのカルボニル基のα位又はβ位に置換することが好ましく、特にα位に置換することが好ましい。
のアルキル基としては、炭素数1~4のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましく、メチル基が最も好ましい。シクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル基を挙げることができる。アルコキシカルボニル基としてはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-ブトキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニル基等を挙げることができる。置換基としては水酸基、メトキシ基及びエトキシ基などのアルコキシ基、シアノ基、フッ素原子などのハロゲン原子を挙げることができる。Rはメチル基、シアノ基又はアルコキシカルボニル基であることがより好ましく、シアノ基であることが更に好ましい。
Xのアルキレン基としてはメチレン基、エチレン基等が挙げられる。Xは酸素原子又はメチレン基であることが好ましく、メチレン基であることが更に好ましい。
【0056】
式(3-1)で表されるラクトン構造を含有する繰り返し単位の具体例としては文献Aの0083~0084段落に記載の繰り返し単位が挙げられ、上記内容は本明細書に組み込まれる。
【0057】
ラクトン基を有する繰り返し単位は、通常光学異性体が存在するが、いずれの光学異性体を用いてもよい。また、1種の光学異性体を単独で用いても、複数の光学異性体を混合して用いてもよい。1種の光学異性体を主に用いる場合、その光学純度(ee)が90以上のものが好ましく、より好ましくは95以上である。
【0058】
ラクトン基を有する繰り返し単位の含有率は、樹脂中の全繰り返し単位に対し、15~60mol%が好ましく、より好ましくは20~50mol%、更に好ましくは30~50mol%である。
【0059】
樹脂Aは式(AI)、(AII)に包含されない、水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位を有することが好ましい。これにより基板密着性、現像液親和性が向上する。水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位は、水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位であることが好ましい。水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造に於ける、脂環炭化水素構造としては、アダマンチル基、ジアマンチル基、ノルボルナン基が好ましい。好ましい水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造としては、下記式(VIIa)~(VIId)で表される部分構造が好ましい。
【化7】
【0060】
式(VIIa)~(VIIc)に於いて、
c~Rcは、各々独立に、水素原子、水酸基又はシアノ基を表す。ただし、Rc~Rcの内の少なくとも1つは、水酸基又はシアノ基を表す。好ましくは、Rc~Rcの内の1つ又は2つが、水酸基で、残りが水素原子である。式(VIIa)に於いて、更に好ましくは、Rc~Rcの内の2つが、水酸基で、残りが水素原子である。
【0061】
式(VIIa)~(VIId)で表される部分構造を有する繰り返し単位としては、文献Aの0090~0091段落に記載された繰り返し単位が挙げられ、上記内容は本明細書に組み込まれる。
【0062】
水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位の含有率は、樹脂A中の全繰り返し単位に対し、5~40mol%が好ましく、より好ましくは5~30mol%、更に好ましくは10~25mol%である。
【0063】
水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位としては、文献Aの0093段落に記載の繰り返し単位が挙げられ、上記の内容は本明細書に組み込まれる。
【0064】
樹脂Aは、アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位を有することが好ましい。アルカリ可溶性基としてはカルボキシル基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、ビスルスルホニルイミド基、α位が電子吸引性基で置換された脂肪族アルコール(例えばヘキサフルオロイソプロパノール基)が挙げられ、カルボキシル基を有する繰り返し単位を有することがより好ましい。アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位を含有することによりコンタクトホール用途での解像性が増す。アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位としては、アクリル酸及びメタクリル酸による繰り返し単位のような樹脂の主鎖に直接アルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位、あるいは連結基を介して樹脂の主鎖にアルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位、更にはアルカリ可溶性基を有する重合開始剤及び/又は連鎖移動剤を重合時に用いてポリマー鎖の末端にアルカリ可溶性基が導入された繰り返し単位、のいずれも好ましく、連結基は単環又は多環の環状炭化水素構造を有していてもよい。特に好ましくはアクリル酸、メタクリル酸による繰り返し単位である。
【0065】
樹脂Aは、更に、水酸基及びシアノ基のいずれも有さない、式(I)で表される繰り返し単位を含有していることが好ましい。
【化8】
【0066】
式(I)中、Rは少なくとも一つの環状構造を有し、水酸基及びシアノ基のいずれも有さない炭化水素基を表す。
Raは水素原子、アルキル基又は-CH-O-Ra基を表す。式中、Raは、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。Raとして、例えば、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基等が挙げられる。*は結合位置を表す。
【0067】
樹脂Aにおいて、各繰り返し構造単位の含有モル比はレジストのドライエッチング耐性及び/又は標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、更にはレジストの一般的な性能である解像力、耐熱性、感度等を調節するために適宜設定される。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物が、ArF露光用であるとき、ArF光への透明性の点から樹脂Aは芳香族基を有さないことが好ましい。
【0068】
また、樹脂Aは、フッ素原子及び珪素原子を含有しないことが好ましい。
【0069】
樹脂Aは、常法に従って(例えばラジカル重合)合成することができる。例えば、一般的合成方法としては、モノマー種及び開始剤を溶剤に溶解させ、加熱することにより重合を行う一括重合法、加熱溶剤にモノマー種と開始剤の溶液を1~10時間かけて滴下して加える滴下重合法などが挙げられ、滴下重合法が好ましい。反応溶剤としては、例えばテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、酢酸エチルのようなエステル溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド溶剤、更には後述のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノンのような本発明の組成物を溶解する溶剤が挙げられる。より好ましくは本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に用いられる溶剤と同一の溶剤を用いて重合することが好ましい。これにより保存時のパーティクルの発生が抑制できる。
【0070】
樹脂Aの重量平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatography)法によりポリスチレン換算値として、好ましくは1,000~200,000であり、より好ましくは2,000~20,000、更により好ましくは3,000~15,000、特に好ましくは5,000~13,000である。重量平均分子量を、1,000~200,000とすることにより、耐熱性及び/又はドライエッチング耐性の劣化を防ぐことができ、且つ現像性が劣化したり、粘度が高くなって製膜性が劣化することを防ぐことができる。
【0071】
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物において、樹脂Aの組成物全体中の配合率は、全固形分中50~99質量%が好ましく、より好ましくは70~98質量%である。
また、本発明において、樹脂Aは、1種で使用してもよいし、複数併用してもよい。
【0072】
〔活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物B〕
上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(以下、「酸発生剤」ともいう)を含有する。
【0073】
酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
【0074】
たとえば、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o-ニトロベンジルスルホネートを挙げることができる。
【0075】
更に米国特許第3,779,778号明細書、欧州特許第126,712号明細書等に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
酸発生剤の内で好ましい化合物として、下記式(ZI)、(ZII)、(ZIII)で表される化合物を挙げることができる。
【化9】
【0076】
上記式(ZI)において、
201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。
201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1~30、好ましくは1~20である。
また、R201~R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201~R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
は、非求核性アニオンを表す。
【0077】
としての非求核性アニオンとしては、例えば、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、スルホニルイミドアニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチルアニオン等を挙げることができる。
【0078】
「非求核性アニオン」とは、求核反応を起こす能力が著しく低いアニオンであり、分子内求核反応による経時分解を抑制することができるアニオンである。これによりレジストの経時安定性が向上する。
【0079】
更に好ましい(ZI)成分として、以下に説明する化合物(ZI-1)、(ZI-2)、及び(ZI-3)を挙げることができる。
化合物(ZI-1)は、上記式(ZI)のR201~R203の少なくとも1つがアリール基である、アリールスルホニウム化合物、即ち、アリールスルホニウムをカチオンとする化合物である。
【0080】
次に、化合物(ZI-2)について説明する。
化合物(ZI-2)は、式(ZI)におけるR201~R203が、各々独立に、芳香環を有さない有機基を表す化合物である。ここで「芳香環」とは、ヘテロ原子を含有する芳香族環も包含する。
【0081】
化合物(ZI-3)とは、以下の式(ZI-3)で表される化合物であり、フェナシルスルフォニウム塩構造を含有する化合物である。
【化10】
【0082】
式(ZI-3)に於いて、
1c~R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子を表す。
6c及びR7cは、各々独立に、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
【0083】
及びRは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基又はビニル基を表す。
【0084】
1c~R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c、及びRとRは、それぞれ結合して環構造を形成してもよく、この環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合を含んでいてもよい。R1c~R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c、及びRとRが結合して形成する基としては、ブチレン基、ペンチレン基等を挙げることができる。
Zcは、非求核性アニオンを表し、式(ZI)に於けるZと同様の非求核性アニオンを挙げることができる。
【0085】
式(ZII)、(ZIII)中、
204~R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
204~R207のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。R204~R207のアリール基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等を含有する複素環構造を含有するアリール基であってもよい。複素環構造を含有するアリール基としては、例えば、ピロール残基(ピロールから水素原子が1個失われることによって形成される基)、フラン残基(フランから水素原子が1個失われることによって形成される基)、チオフェン残基(チオフェンから水素原子が1個失われることによって形成される基)、インドール残基(インドールから水素原子が1個失われることによって形成される基)、ベンゾフラン残基(ベンゾフランから水素原子が1個失われることによって形成される基)、ベンゾチオフェン残基(ベンゾチオフェンから水素原子が1個失われることによって形成される基)等を挙げることができる。
【0086】
は、非求核性アニオンを表し、式(ZI)に於けるZの非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
酸発生剤として、更に、下記式(ZIV)、(ZV)、(ZVI)で表される化合物を挙げることができる。
【化11】
【0087】
式(ZIV)~(ZVI)中、
Ar及びArは、各々独立に、アリール基を表す。
208、R209及びR210は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。
Aは、アルキレン基、アルケニレン基又はアリーレン基を表す。
【0088】
酸発生剤の内でより好ましくは、式(ZI)~(ZIII)で表される化合物である。
また、酸発生剤として、スルホン酸基又はイミド基を1つ含有する酸を発生する化合物が好ましく、より好ましくはパーフルオロアルカンスルホン酸を発生する化合物、フッ素原子若しくはフッ素原子を含有する基で置換された芳香族スルホン酸を発生する化合物、又は、フッ素原子若しくはフッ素原子を含有する基で置換されたイミド酸を発生する化合物であり、更に好ましくは、フッ素置換アルカンスルホン酸、フッ素置換ベンゼンスルホン酸、フッ素置換イミド酸又はフッ素置換メチド酸のスルホニウム塩である。使用可能な酸発生剤は、発生した酸のpKaがpKa=-1以下のフッ素置換アルカンスルホン酸、フッ素置換ベンゼンスルホン酸、フッ素置換イミド酸であることが特に好ましく、感度が向上する。
酸発生剤の中で、特に好ましい例を以下に挙げる。
【化12】
【0089】
【化13】
【0090】
【化14】
【0091】
【化15】
【0092】
【化16】
【0093】
酸発生剤は、1種類単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
酸発生剤の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物中の含有率は、組成物の全固形分を基準として、0.1~20質量%が好ましく、より好ましくは0.5~10質量%、更に好ましくは1~7質量%である。
【0094】
〔樹脂C1、樹脂C2、及び、樹脂C〕
上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は樹脂C1と樹脂C2との組み合わせ、及び、樹脂Cの少なくとも一方を含有する。
【0095】
<樹脂C1>
樹脂C1は、以下の(i)を含有する樹脂である。
(i)式X1で表される繰り返し単位、式X2で表される基、及び、式X3で表される基、からなる群から選択される少なくとも1つ。
樹脂C1としては、以下の(ib)を含有することが好ましい。
(ib)式X1で表される繰り返し単位、式X2で表される基を含有する繰り返し単位、及び、式X3で表される基を含有する繰り返し単位、からなる群から選択される少なくとも1つの繰り返し単位X。
【0096】
【化17】
【0097】
式X1で表される繰り返し単位中、式X2で表される基中、及び、式X3で表される基中、Lは単結合、又は連結基を表す。連結基としては特に限定されず、式X1においては、(n1+1)価の連結基であればよく、式X2においては、2価の連結基であればよく、式X3においては、(n3+1)価の連結基であればよい。なお、n1及n3は、それぞれ独立して、1以上の整数を表す。
2価の連結基としては、特に限定されず、具体的には、アルキレン基、及び、シクロアルキレン基等の2価の脂肪族炭化水素基、フェニレン基等のアリーレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、ウレタン基、並びに、ウレア基からなる群から選択される1つの基、又は、その組み合わせ等が挙げられる。
(n1+1)価の連結基(n1+1が2の場合は、上記と同様である)及び(n3+1)価の連結基(n3+1が2の場合は、上記と同様である)としては、特に限定されず、例えば、以下の式(A)~(D)のいずれかで表される基、又はこれらを組み合わせた基等が挙げられる。
【化18】
【0098】
上記式(A)~(D)中、
は3価の基を表す。Tは単結合又は2価の連結基を表し、3個存在するTは互いに同一であっても異なっていてもよい。
は4価の基を表す。Tは単結合又は2価の連結基を表し、4個存在するTは互いに同一であっても異なっていてもよい。
は5価の基を表す。Tは単結合又は2価の連結基を表し、5個存在するTは互いに同一であっても異なっていてもよい。
は6価の基を表す。Tは単結合又は2価の連結基を表し、6個存在するTは互いに同一であっても異なっていてもよい。
なお、T、T、T及びTで表される2価の連結基の定義は、上述したLで表される2価の連結基の定義と同義である。
【0099】
また、(n1+1)価の連結基及び(n3+1)価の連結基としては、以下の式(K)~(O)で表される基、又はこれらを組み合わせた基であってもよい。なお、式中、*は結合位置を表す。
【化19】
【0100】
式X1で表される繰り返し単位中、Rは、フッ素原子、又は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。
また、式X2で表される基中、Rは、フッ素原子、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基、又は、-Si(R10を表す。
フッ素原子で置換されたアルキル基としては特に限定されず、例えば、炭素数1~30のアルキル基の少なくとも一つの水素原子がフッ素原子で置換された基が挙げられる。なかでも、3個以上のフッ素原子で置換されたアルキル基が好ましい。R10はアルキル基を表し、R10の炭素数は特に限定されず、1~8が好ましく、1~4がより好ましい。
また、式X3で表される基中、R10はアルキル基を表し、その態様は上記と同様である。
【0101】
Arは芳香族炭化水素環基を表す。芳香族炭化水素環基としては、炭素数6~10が好ましく、単環でも多環でもよく、置換基を含有していてもよい。芳香族炭化水素環基としては、特に限定されず、例えば、ベンゼン環基、ナフタレン環基等が挙げられる。
【0102】
n1、n2、及び、n3は1以上の整数を表す。n1、n2、及び、n3の上限値としては特に限定されず、一般に3以下が好ましい。なお、上記式中、*は結合位置を表す。
【0103】
式X1で表される繰り返し単位中、Rは、水素原子、又は1価の置換基を表す。1価の置換基としては特に限定されず、例えば、ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、カルバモイルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、及びアニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基、アダマンチル基、及び、これらを2個以上組み合わせた基等が挙げられる。
としては、水素原子、又は、ハロゲン化アルキル基が好ましく、水素原子、又は、アルキル基の少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基がより好ましく、水素原子、又は、トリフルオロメチル基が更に好ましい。
【0104】
式X1で表される繰り返し単位の具体例を以下に示す。ただし、上記繰り返し単位は以下の具体例に限定されない。
【0105】
【化20】

【0106】
式X2で表される基の具体例を以下に示す。ただし、上記基は以下の具体例に限定されない。なお、下記式中、「Me」はメチル基を表し、*は結合位置を表す。
【化21】
【0107】
式X3で表される基の具体例を示す。ただし、上記基は以下の具体例に限定されない。なお、下記式中、*は結合位置を表す。
【化22】
【0108】
樹脂C1としては、上記繰り返し単位Xを含有することが好ましい。
式X2で表される基を含有する繰り返し単位は、式X2で表される基を含有するモノマーに基づく繰り返し単位であることが好ましく、上記モノマーは、重合性基を含有することがより好ましい。
また、式X3で表される基を含有する繰り返し単位は、式X3で表される基を含有するモノマーに基づく繰り返し単位であることが好ましく、上記モノマーは、重合性基を含有することがより好ましい。
上記モノマーが含有する重合性基としては特に限定されず、(メタ)アクリロイル基、及びビニル基等のエチレン性不飽和結合を有する基であることが好ましい。
【0109】
式X2で表される基を含有する繰り返し単位の具体例としては、以下の繰り返し単位が挙げられる。なお、上記繰り返し単位は、下記の具体例に限定されない。
【化23】
【0110】
式X3で表される基を含有する繰り返し単位の具体例としては、以下の繰り返し単位が挙げられる。なお、上記繰り返し単位は、下記の具体例に限定されない。
【化24】
【0111】
樹脂C1及び後述する樹脂Cは、以下の式7で表される繰り返し単位を含有することが好ましい。
【化25】
【0112】
式中、Rはトリアルキルシリル基、炭素数2以上のフッ化アルキル基、及び、3級アルキル基からなる群から選択される少なくとも1つを表し、Rは、水素原子、又は、1価の置換基を表し、nは2以上の整数を表す。
なお、式7で表される繰り返し単位において、Rは、式X1のRとして説明した基と同様である。
【0113】
樹脂C1中における繰り返し単位Xの含有量としては、特に限定されず、樹脂C1中の全繰り返し単位に対して、30~100mol%が好ましく、50~100mol%がより好ましい。
樹脂C1は、繰り返し単位Xを1種含有しても、2種以上含有してもよい。樹脂C1が2種以上の繰り返し単位Xを含有する場合には、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
樹脂C1中における繰り返し単位Xの含有量が50mol%以上だと、上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて形成されたレジスト膜はより優れた現像性を有する。
【0114】
(繰り返し単位Z)
樹脂C1は、繰り返し単位X及び後述する繰り返し単位Y以外の、繰り返し単位Zを含有してもよい。繰り返し単位Zとしては、例えば、以下の式K1で表される基、又は、K2で表される基を含有する繰り返し単位が挙げられる。なお、下記式中、*は結合位置を表す。
【化26】
【0115】
式K1で表される基、及び、式K2で表される基中、Lは単結合、又は連結基を表し、式K1中のLの態様は、式X1中のLと同様であり、式K2中のLの態様は、式X2中のLと同様である。Arは芳香族炭化水素環基を表し、芳香族炭化水素環基の態様は、式X2中のArと同様である。Rは、フッ素原子及びケイ素原子のいずれも置換されていない直鎖状、環状、又は、分岐鎖状のアルキル基を表し、複数のRは同一でも、異なってもよい。上記アルキル基の炭素数としては特に制限されず、4以上が好ましい。
n4及びn5は1以上の整数を表し、複数のRは互いに結合して環を形成してもよい。
【0116】
繰り返し単位Zの具体例を以下に示す。ただし、樹脂C1が含有し得る繰り返し単位Zは以下に限定されない。
【化27】

【0117】
また、繰り返し単位Zは以下の構造であってもよい。
【化28】
【0118】
樹脂C1中における繰り返し単位Zの含有量としては、特に限定されず、樹脂C1中の全繰り返し単位に対して、0~70mol%が好ましく、5~50mol%がより好ましい。
なお、樹脂C1は、繰り返し単位Zを1種含有しても、2種以上含有してもよい。樹脂C1が2種以上の繰り返し単位Zを含有する場合には、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
【0119】
樹脂C1の重量平均分子量としては特に限定されず、GPC(Gel Permeation Chromatography)法により測定されるポリスチレン換算値として、6000~50000が好ましく、7000~50000がより好ましく、7500~40000が更に好ましく、8000~30000が特に好ましい。
樹脂C1の重量平均分子量が7000以上であると、上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて形成されたレジスト膜はより優れた水追従性を有する。
GPC測定は、例えば、装置:「Alliance GPC2000(Waters社製)」、カラム:TSKgel GMH-HT×2+TSKgel GMH-HTL×2(いずれも7.5mmI.D.×30cm、東ソー社製)、カラム温度:140℃、検出器:示差屈折率計、移動相:溶媒(例えばo-ジクロロベンゼン等)の構成及び条件にて行うことができ、分子量の構成は標準ポリスチレンを用いて平均分子量を求めることができる。
【0120】
上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物中における樹脂C1の含有量としては、特に限定されず、上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の全固形分に対して、0.1~6質量%が好ましく、0.2~3質量%がより好ましい。
また、樹脂C1は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上の樹脂C1を併用する場合には、上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物中における樹脂C1の合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
【0121】
<樹脂C2>
樹脂C2は、以下の(ii)を含有する樹脂である。
(ii)式Y1で表される基、式Y3で表される基、及び、式Y2で表される繰り返し単位、からなる群から選択される少なくとも1つ。
樹脂C2としては、以下の(iib)を含有することが好ましい。
(iib)式Y1で表される基を含有する繰り返し単位、式Y3で表される基を含有する繰り返し単位、及び、式Y2で表される繰り返し単位、からなる群から選択される少なくとも1つの繰り返し単位Y。
樹脂C2としては、以下の(iic)を含有することがより好ましい。
(iic)式Y1で表される基又はY3で表される基を2個以上含有する繰り返し単位、及び、式Y2で表される繰り返し単位、からなる群から選択される少なくとも1つの繰り返し単位。
樹脂C2としては、以下の(iid)を含有することが更に好ましい。
(iid)式Y1で表される基及び式Y3で表される基からなる群から選択される少なくとも1つの基を2個以上含有する繰り返し単位。
【0122】
【化29】
【0123】
式Y1、及び、式Y3中、Lは単結合、又は連結基を表す。Lの態様は、上記式X2中のLと同様である。Rはフッ素原子、又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。Rの態様は、上記式X1中のR及び式X2中のRと同様である。
式Y2中、Rは水素原子、又は1価の置換基を表す。1価の置換基の定義は、上述した式X1中のRで表される1価の置換基の定義と同様である。
式Y1~Y3中、Rは水素原子、又は1価の置換基を表す。1価の置換基の定義は、上述した式X1中のRで表される1価の置換基の定義と同様である。
Rは、水素原子が好ましい。
また、Rは、置換基を含有するアルキル基、アリール基、又は、アルキルアミノ基が好ましい。
置換基を含有するアルキル基中のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、及び、環状のいずれであってもよい。また、上記アルキル基中に含まれる炭素数は特に制限されず、1~20が好ましい。また、置換基を含有するアルキル基中における置換基の種類は特に制限されず、例えば、ハロゲン原子(好ましくは、フッ素原子)が挙げられる。なかでも、置換基を含有するアルキル基としては、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基が好ましい。
【0124】
また、Rとしては、塩基性条件で解離する、アルキル基又はアリール基も好ましい。「塩基性条件で解離する、アルキル基又はアリール基」とは、塩基性の条件下において解離し、親水性の基を生ずる基を意図する。
塩基性条件で解離する、アルキル基又はアリール基の好ましい例としては、任意の位置の1個又は複数個の水素原子が、フッ素原子等のハロゲン原子、ニトロ基、及びシアノ基、等の電子求引性基で置換されている基が挙げられる。
【0125】
は、Rが水素原子の場合は単結合を表す。
は、Rが1価の置換基の場合は、連結基を表す。連結基の態様としては、上記式X2のLと同様である。
また、Rが1価の置換基の場合は、Lとしては、以下式(LY2)で表される2価の連結基であってもよい。
【化30】
【0126】
式(LY2)中、L及びLは、それぞれ独立に、単結合、又は2価の連結基を示し、Vは、上記式(LC1-1)~式(LC1-17)で表される構造を含有する基から任意の位置の水素原子を2個除いた2価の基を表す。
及びLが2価の連結基である場合、その態様としては、式X2中の2価の連結基としてのLと同様である。なお*は結合位置を表す。
以下に上記式(LY2)で表される2価の連結基の具体例を示す。ただし、上記式(LY2)で表される基は、以下に限定されない。なお、下記式中、*は結合位置を表す。
【化31】
【0127】
式Y1で表される基の具体例を以下に示す。ただし、上記基は以下の具体例に限定されない。なお、下記式中、*は結合位置を表す。
【化32】
【0128】
式Y2で表される繰り返し単位の具体例を以下に示す。ただし、上記繰り返し単位は以下の具体例に限定されない。
【化33】
【0129】
式Y3で表される基の具体例としては、-SOH等が挙げられる。ただし、上記基は具体例に限定されない。
【0130】
樹脂C2としては、繰り返し単位Yを含有することが好ましい。
式Y1で表される基、又は、式Y3で表される基を含有する繰り返し単位は、式Y1で表される基を含有するモノマー、又は、式Y3で表される基を含有するモノマー、に基づく繰り返し単位であることが好ましく、上記モノマーは重合性基を含有することがより好ましい。
上記モノマーが含有する重合性基の態様としては、上記式X2で表される基を含有するモノマーに基づく繰り返し単位が含有する重合性基と同様である。
【0131】
式Y1で表される基を含有する繰り返し単位の具体例としては、以下の繰り返し単位が挙げられる。なお、上記繰り返し単位は、下記の具体例に限定されない。
【化34】
【0132】
樹脂C2中における繰り返し単位Yの含有量としては、特に限定されず、樹脂C2中の全繰り返し単位に対して、5~100mol%が好ましく、10~100mol%がより好ましい。
樹脂C2は、繰り返し単位Yを1種含有しても、2種以上含有してもよい。樹脂C2が2種以上の繰り返し単位Yを含有する場合には、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
【0133】
(繰り返し単位Z)
樹脂C2は、繰り返し単位X及び繰り返し単位Y以外の繰り返し単位Zを含有してもよい。繰り返し単位Zの態様は上述のとおりである。
樹脂C2中における繰り返し単位Zの含有量としては、特に限定されず、樹脂C2中の全繰り返し単位に対して、0~70mol%が好ましく、5~70mol%がより好ましい。
なお、樹脂C2は、繰り返し単位Zを1種含有しても、2種以上含有してもよい。樹脂C2が2種以上の繰り返し単位Zを含有する場合には、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
【0134】
樹脂C2の重量平均分子量としては特に限定されず、GPC(Gel Permeation Chromatography)法により測定されるポリスチレン換算値として、7000~50000が好ましく、7500~40000がより好ましく、7800~30000が更に好ましい。
【0135】
上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物中における樹脂C2の含有量としては、特に限定されないが、上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の全固形分に対して、0.3~8質量%が好ましく、0.5~5質量%がより好ましい。
また、樹脂C2は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上の樹脂C2を併用する場合には、上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物中における樹脂C2の合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
【0136】
上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物が樹脂C1及び樹脂C2を含有する場合、その合計含有量としては、上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の全固形分に対して、0.4~8質量%が好ましく、0.7~7質量%がより好ましい。
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物中における、樹脂C1の含有量に対する、樹脂C2の含有量の質量比(含有質量比:樹脂C2の含有量/樹脂C1の含有量)としては、0.6~8が好ましく、0.8~5がより好ましい。
【0137】
<樹脂C>
樹脂Cは、下記(i)及び(ii)の両方を含有する樹脂である。
(i)式X1で表される繰り返し単位、式X2で表される基、及び、式X3で表される基、からなる群から選択される少なくとも1つ。
(ii)式Y1で表される基、式Y3で表される基、及び、式Y2で表される繰り返し単位、からなる群から選択される少なくとも1つ。
樹脂Cとしては、繰り返し単位X及び繰り返し単位Yを含有することが好ましい。
なお、(i)、(ii)、繰り返し単位X、及び、繰り返し単位Yの態様はすでに説明したとおりである。
また、樹脂Cは、繰り返し単位Zを含有してもよい。繰り返し単位Zの態様はすでに説明したとおりである。
【0138】
樹脂C中における繰り返し単位Xの含有量としては、特に限定されず、樹脂C中の全繰り返し単位に対して、0.1~99mol%が好ましく、1~96mol%がより好ましい。
樹脂C中における繰り返し単位Yの含有量としては、特に限定されず、樹脂C中の全繰り返し単位に対して、0.1~99mol%が好ましく、1~96mol%がより好ましい。
樹脂C中における繰り返し単位Zの含有量としては、特に限定されず、樹脂C中の全繰り返し単位に対して、0~50mol%が好ましく、3~50mol%がより好ましい。
【0139】
樹脂Cの重量平均分子量としては特に限定されず、GPC(Gel Permeation Chromatography)法により測定されるポリスチレン換算値として、6000~50000が好ましく、7000~50000がより好ましく、7500~40000が更に好ましく、7800~30000が特に好ましく、8000~30000が最も好ましい。
樹脂Cの重量平均分子量が、7000以上であると、上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物により得られたレジスト膜はより優れた水追従性を有し、樹脂Cの重量平均分子量が7500以上であると、上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物により得られたレジスト膜は、更に優れた水追従性を有する。
【0140】
上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物中における樹脂Cの含有量としては、特に限定されず、上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の全固形分に対して、0.4~8質量%が好ましく、0.6~6質量%がより好ましい。
また、樹脂Cは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上の樹脂Cを併用する場合には、上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物中における樹脂Cの合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
【0141】
上記樹脂C、樹脂C1、及び、樹脂C2は、(メタ)アクリレート誘導体、スチレン誘導体、及び、アリル基含有化合物からなる群から選択される少なくとも1つの重合体であることが好ましい。
また、樹脂C1、樹脂C2、及び、樹脂C、からなる群から選択される少なくとも1つの樹脂が芳香環を含有することが好ましい。
【0142】
上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、樹脂C1と樹脂C2との組み合わせ、及び、樹脂Cの少なくとも一方を含有する。上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物中に含有される、樹脂C1、樹脂C2、及び、樹脂Cの組合せとしては、
樹脂C;樹脂C1、及び、樹脂C2;樹脂C、及び、樹脂C1;樹脂C、及び、樹脂C2;樹脂C1、樹脂C2、及び、樹脂C;
などが挙げられる。なお、各樹脂は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
なかでも、上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物としては、より優れた本発明の効果が得られる点で、樹脂Cと、樹脂C1及び樹脂C2からなる群から選択される少なくとも1つと、を含有することが好ましい。
【0143】
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物が樹脂C1、樹脂C2、及び、樹脂Cからなる群から選択される1つまたは2つ以上の特定樹脂を含む場合、全ての特定樹脂が、式3~5からなる群から選択される少なくとも1つの式を満たすモノマーに由来する繰り返し単位を含有することが好ましい。全ての特定樹脂が上記式を満たす感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて形成したレジスト膜はより優れた現像性を有する。上記レジスト膜は、特に、より優れた現像性および水追随性を有する。なお、現像性及び水追随性は、後述する「パターン倒れ、LER、スカム、現像欠陥、水追随性」評価法(実施例に記載した各評価方法)により評価できる。
【0144】
P/Mw≧0.03 (3)
×M/Mw≧0.35 (4)
Si×MSi/Mw≧0.15 (5)
【0145】
式3中、PはモノマーのClogP値を表す。上記「モノマー」とは、重合することによって、特定樹脂を形成するモノマーを意図する。
ここで、「CLogP値」とは、水-n-オクタノール中での分配係数Pを常用対数で表示したLogPのコンピュータ計算値であり、物質の親疎水性の程度を表す指標として用いられている。各モノマーのCLogPは、例えばCambridge Soft社のソフトウェア、Chem Draw Ultra 8.0を用いることにより計算できる。
また、Mwは上記モノマーの分子量を表す。ここで、「分子量」とは、各モノマーの化学構造式から計算することができる分子量を意図する。
【0146】
式4中、Qは各モノマー1分子当たりのフッ素原子の数を表し、Mはフッ素原子の原子量を表す。
また、式5中、QSiは各モノマー1分子当たりのケイ素原子の数を表し、MSiはケイ素原子の原子量を表す。
【0147】
特定樹脂は、上記式(4)及び下記式(6)、又は、上記式(5)及び下記式(6)を満たすモノマーに由来する繰り返し単位を含有することがより好ましい。上記式を満たすモノマーを含有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物により得られるレジスト膜は、より優れた現像性を有する。上記レジスト膜は、特に、現像時に現像残渣がより発生しにくい。なお、現像残渣の発生しにくさは、後述する「スカム」評価法により評価することができる。
【0148】
P/Mw≧0.02 (6)
式(6)中、P及びMwは、式(3)中のP及びMwと同様である。
【0149】
樹脂C、樹脂C1及び樹脂C2は、金属等の不純物が少ないのが好ましく、また残留単量体及び/又はオリゴマー成分が0~10質量%であることが好ましく、より好ましくは0~5質量%、0~1質量%が更により好ましい。それにより、液中異物及び/又は感度等の経時変化のない感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物が得られる。また、解像度、レジスト形状、レジストパターンの側壁、ラフネスなどの点から、分子量分布(Mw/Mn、分散度ともいう)は、1~3の範囲が好ましく、より好ましくは1~2、更に好ましくは1~1.8、最も好ましくは1~1.5の範囲である。
【0150】
樹脂C、樹脂C1及び樹脂C2は市販品を使用することもできるし、公知の方法、例えばラジカル重合法により合成することができる。
上記合成方法としては、例えば、特開2010-44358号公報の0203段落~0210段落に記載された方法を用いることができ、上記内容は本明細書に組み込まれる。
【0151】
樹脂C、樹脂C1及び樹脂C2の具体例としては、以下の樹脂が挙げられる。なお、上記樹脂は、下記の具体例に限定されない。また、表1には、各樹脂における繰り返し単位のモル比(各繰り返し単位と左から順に対応)、及び、重量平均分子量(Mw)を示した。
【化35】
【0152】
【化36】
【0153】
【化37】

なお、式中*は結合位置を表す。
【0154】
【化38】

なお、式中*は結合位置を表す。
【0155】
【表1】
【0156】
【表2】
【0157】
【表3】
【0158】
上記表中、「-」はその欄のモノマーを含有しないことを示す(以下同じ)。
【0159】
〔任意成分〕
上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は上記以外の成分を含有してもよい。上記以外の成分としては、例えば、溶剤、及び、塩基性化合物等が挙げられる。
【0160】
<溶剤D>
上記各成分を溶解させて感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を調製する際に使用することができる溶剤としては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル、アルコキシプロピオン酸アルキル、環状ラクトン(好ましくは炭素数4~10)、環を含有してもよいモノケトン化合物(好ましくは炭素数4~10)、アルキレンカーボネート、アルコキシ酢酸アルキル、ピルビン酸アルキル等の有機溶剤を挙げることができる。
【0161】
アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル、環状ラクトン、環を含有してもよいモノケトン化合物、アルキレンカーボネート、アルコキシ酢酸アルキル、及び、ピルビン酸アルキルの具体例としては、それぞれ、文献Aの0227、0228、0229、0230、0231、0232、及び、0233段落に記載されており、上記内容は本明細書に組み込まれる。また、好ましい溶剤としては、文献Aの0234段落に記載された溶剤が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0162】
上記溶剤を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
また、有機溶剤として構造中に水酸基を含有する溶剤と、水酸基を含有しない溶剤とを混合した混合溶剤を使用してもよい。なお、水酸基を含有する溶剤、及び、水酸基を含有しない溶剤としては、それぞれ、文献Aの0235、及び、0236段落に記載されており、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0163】
水酸基を含有する溶剤と水酸基を含有しない溶剤との混合比(質量)は、1/99~99/1、好ましくは10/90~90/10、更に好ましくは20/80~60/40である。水酸基を含有しない溶剤を50質量%以上含有する混合溶剤が塗布均一性の点で特に好ましい。
溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含有する2種類以上の混合溶剤であることが好ましい。
【0164】
<塩基性化合物>
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、露光から加熱までの経時による性能変化を低減するために、塩基性化合物を含有することが好ましい。なお、塩基性化合物の態様としては、文献Aの0238~0250段落に記載されており、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0165】
塩基性化合物として、特に好ましい化合物(D)を具体的に示すが、塩基性化合物はこれらに限定されない。
【化39】
【0166】
【化40】
【0167】
【化41】
【0168】
上述した塩基性化合物は、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0169】
塩基性化合物の使用量は、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の固形分を基準として、通常、0.001~10質量%、好ましくは0.01~5質量%である。
【0170】
<界面活性剤>
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、更に界面活性剤を含有することが好ましく、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤(フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、フッ素原子と珪素原子の両方を有する界面活性剤)のいずれか、あるいは2種以上を含有することがより好ましい。
【0171】
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物が上記界面活性剤を含有することにより、250nm以下、特に220nm以下の露光光源の使用時に、良好な感度及び解像度で、密着性及び現像欠陥の少ないパターンを与えることが可能となる。
【0172】
界面活性剤の具体的な態様としては、文献Aの0257~0262段落に記載されており、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0173】
これらの界面活性剤は単独で使用してもよいし、また、いくつかの組み合わせで使用してもよい。
界面活性剤の使用量は、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物全量(溶剤を除く)に対して、好ましくは0.0001~2質量%、より好ましくは0.001~1質量%である。
【0174】
<カルボン酸オニウム塩>
本発明における感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、カルボン酸オニウム塩を含有してもよい。カルボン酸オニウム塩としては、カルボン酸スルホニウム塩、カルボン酸ヨードニウム塩、カルボン酸アンモニウム塩などを挙げることができる。特に、カルボン酸オニウム塩としては、ヨードニウム塩、スルホニウム塩が好ましい。更に、本発明のカルボン酸オニウム塩のカルボキシレート残基が芳香族基、炭素-炭素2重結合を含有しないことが好ましい。好ましいアニオン部としては、炭素数1~30の直鎖、分岐、単環又は多環環状アルキルカルボン酸アニオンが好ましい。更に好ましくはこれらのアルキル基の一部又は全てがフッ素原子で置換されたカルボン酸のアニオンが好ましい。アルキル基中に酸素原子を含んでいても良い。これにより220nm以下の光に対する透明性が確保され、感度、解像力が向上し、疎密依存性、露光マージンが改良される。
【0175】
<酸の作用により分解してアルカリ現像液中での溶解度が増大する、分子量3000以下の溶解阻止化合物>
本発明における感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、酸の作用により分解してアルカリ現像液中での溶解度が増大する、分子量3000以下の溶解阻止化合物(以下、「溶解阻止化合物」ともいう)を含有してもよい。溶解阻止化合物としては、220nm以下の透過性を低下させないため、Proceeding of SPIE, 2724,355 (1996)に記載されている酸分解性基を含むコール酸誘導体の様な、酸分解性基を含有する脂環族又は脂肪族化合物が好ましい。酸分解性基、脂環式構造としては、樹脂Aのところで説明したものと同様のものが挙げられる。
なお、溶解阻止化合物の具体例としては文献Aの0270段落に記載された化合物が挙げられ、上記の内容は本明細書に組み込まれる。
【0176】
<その他の添加剤>
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物には、必要に応じて更に染料、可塑剤、光増感剤、光吸収剤、及び現像液に対する溶解性を促進させる化合物(例えば、分子量1000以下のフェノール化合物、カルボキシル基を有する脂環族、又は脂肪族化合物)等を含有させることができる。
【0177】
上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物中の全固形分濃度は、1~10質量%が好ましく、1~8質量%がより好ましく、1~6質量%が更に好ましい。
【0178】
[パターン形成方法]
本発明の実施態様に係るパターン形成方法は、以下のA~Cの工程を含有する。
(A)レジスト膜形成工程:
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて、基板上に、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物膜を形成する工程。
(B)露光工程:
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物膜に活性光線又は放射線を照射する工程。
(C)現像工程:
活性光線又は放射線が照射された感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物膜を、アルカリ現像液を用いて現像する工程。
上記パターン形成方法は、(A)~(C)を含有していれば良く、他の工程を含有してもよい。以下、工程ごとに態様を説明する。
【0179】
〔(A)レジスト膜形成工程〕
レジスト膜形成工程は、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて、基板上に、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物膜(レジスト膜)を形成する工程である。
【0180】
基板上にレジスト膜を形成する方法としては、例えば、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を基板上に塗布する方法が挙げられる。塗布方法としては、特に限定されず、従来公知のスピンコート法、スプレー法、ローラーコート法、又は浸漬法などを用いることができ、好ましくはスピンコート法である。
【0181】
レジスト膜を形成後、必要に応じて基板を加熱(プリベーク(Prebake;PB))してもよい。これにより、不溶な残留溶剤の除去された膜を均一に形成することができる。レジスト膜形成後のプリベークの温度は特に限定されず、50℃~160℃が好ましく、より好ましくは、60℃~140℃である。
【0182】
レジスト膜を形成する基板は特に限定されず、シリコン、SiN、及びSiO等の無機基板;SOG(Spin on Glass)等の塗布系無機基板等;IC(Integrated Circuit)等の半導体製造工程、液晶及びサーマルヘッド等の回路基板の製造工程、ならびにその他のフォトファブリケーションのリソグラフィー工程等で一般的に用いられる基板等;を用いることができる。
【0183】
レジスト膜の膜厚としては特に限定されず、80nm以下が好ましい。
【0184】
レジスト膜を形成する前に、基板上に予め反射防止膜を塗設してもよい。
反射防止膜としては、チタン、二酸化チタン、窒化チタン、酸化クロム、カーボン、及び、アモルファスシリコン等の無機膜型;吸光剤とポリマー材料からなる有機膜型;のいずれも用いることができる。また、有機反射防止膜として、ブリューワーサイエンス社製のDUV30シリーズ、DUV-40シリーズ、シプレー社製のAR-2、AR-3、AR-5、及び、日産化学社製のARC29A等のARCシリーズ等の市販の有機反射防止膜を使用することもできる。
【0185】
〔(B)露光工程〕
露光工程は、レジスト膜に活性光線又は放射線を照射する工程である。露光は、公知の方法により行うことができ、例えば、レジスト膜に対して、所定のマスクを通して、活性光線、又は放射線を照射する。このとき、好ましくは、活性光線、又は放射線を、液浸液を介して照射するが、これに限定されない。露光量は適宜設定でき、通常10~60mJ/cmが好ましい。
【0186】
露光装置に用いられる光源の波長は、特に限定されず、250nm以下の波長の光を用いることが好ましく、その例としては、KrFエキシマレーザー光(248nm)、ArFエキシマレーザー光(193nm)、Fエキシマレーザー光(157nm)、EUV光(13.5nm)、及び、電子線等が挙げられる。この中でも、ArFエキシマレーザー光(193nm)を用いることが好ましい。
【0187】
液浸露光を行う場合、露光の前に、及び/又は、露光の後かつ加熱を行う前に、レジスト膜の表面を、水系の薬液で洗浄してもよい。
【0188】
液浸液は、露光波長に対して透明であり、かつレジスト膜上に投影される光学像の歪みを最小限に留めるよう、屈折率の温度係数ができる限り小さい液体が好ましい。特に露光光源がArFエキシマレーザー光(波長;193nm)である場合には、上述の観点に加えて、入手の容易さ、取り扱いのし易さといった点から水を用いるのが好ましい。
【0189】
液浸液として水を用いる場合、水の表面張力を減少させるとともに、界面活性力を増大させる添加剤(液体)を僅かな割合で水に添加してもよい。この添加剤は基板上のレジスト膜を溶解せず、かつレンズ素子の下面の光学コートに対する影響が無視できるものが好ましい。使用する水としては、蒸留水が好ましい。更にイオン交換フィルター等を通して濾過を行った純水を用いてもよい。これにより、不純物の混入による、レジスト膜上に投影される光学像の歪みを抑制することができる。
【0190】
また、更に屈折率が向上できるという点で屈折率1.5以上の媒体を用いることもできる。この媒体は、水溶液でもよく有機溶剤でもよい。
【0191】
上記パターン形成方法は、露光工程を複数回含有していてもよい。その場合の、複数回の露光は同じ光源を用いても、異なる光源を用いてもよく、1回目の露光には、ArFエキシマレーザー光(波長;193nm)を用いることが好ましい。
【0192】
露光の後、好ましくは、加熱(ベーク)を行い、現像(好ましくは更にリンス)をする。これにより良好なパターンを得ることができる。ベークの温度は、良好なパターンが得られる限り特に限定されず、通常40℃~160℃である。ベークは、1回でも複数回であってもよい。
【0193】
〔(C)現像工程〕
現像工程は、上記活性光線又は放射線が照射されたレジスト膜を、アルカリ現像液を用いて現像する工程である。
現像工程では、アルカリ現像液を次のように用いる。感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物のアルカリ現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n-プロピルアミン等の第一級アミン類、ジエチルアミン、ジ-n-ブチルアミン等の第二級アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三級アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類等のアルカリ性水溶液を使用することができる。
更に、上記アルカリ現像液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
【0194】
アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常0.1~20質量%である。
アルカリ現像液のpHは、通常10.0~15.0である。
更に、上記アルカリ性水溶液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
リンス液としては、純水を使用し、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
【0195】
また、現像処理又は、リンス処理の後に、パターン上に付着している現像液又はリンス液を超臨界流体により除去する処理を行うことができる。
【0196】
上記パターン形成方法は、電子デバイスの製造方法に適用することができる。本明細書において、「電子デバイス」とは、半導体デバイス、液晶デバイス、及び、電気電子機器(家電、メディア関連機器、光学用機器及び通信機器等)を意図する。
【実施例
【0197】
以下に実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきではない。
【0198】
[合成例1 樹脂(C-1)の合成]
1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-(4-ビニルフェニル)プロパン-2-オール(20g)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(40g)に溶解して溶液を得た。この溶液に重合開始剤V-601(和光純薬工業(株)製)をモノマーの合計量に対して3mol%加えた。これを窒素雰囲気下、80℃に加熱したプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(40g)に6時間かけて滴下し、反応液を得た。滴下終了後、反応液を2時間撹拌した。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、メタノール/水混合液(体積比9/1)1000mLに晶析させ、析出した白色粉体を濾取し、目的物である樹脂(C-1)を12g回収した。
GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量は9600であった。
同様にして、表1に示す他の樹脂を合成した。
【0199】
[合成例2 樹脂(1)の合成]
窒素気流下、シクロヘキサノン8.6gを3つ口フラスコに入れ、これを80℃に加熱した。これに2-アダマンチルイソプロピルメタクリレート9.8g、ジヒドロキシアダマンチルメタクリレート4.4g、及び、ノルボルナンラクトンメタクリレート8.9gを加えてモノマー液を得た。次に、重合開始剤V-601(和光純薬工業(株)製)をモノマーの合計量に対し8mol%をとなるように計量し、上記重合開始剤をシクロヘキサノン79gに溶解させた重合開始剤溶液を得た。上記モノマー液に対し、上記重合開始剤溶液を6時間かけて滴下して反応液を得た。滴下終了後、更に80℃で2時間反応させた。反応液を放冷後、ヘキサン800mL/酢酸エチル200mLの混合液に20分かけて滴下した。析出した粉体をろ取、乾燥し、樹脂(1)を19g得た。得られた樹脂のGPC測定により求めた重量平均分子量は、標準ポリスチレン換算で8800、分散度(Mw/Mn)は1.9であった。
同様にして、以下に示す他の樹脂Aを合成した。
実施例で用いた酸分解性樹脂Aの構造を以下に示す。また、表2に、各樹脂における繰り返し単位のモル比率(構造式における左から順)、重量平均分子量(Mw)、及び分散度(Mw/Mn)を示した。
【0200】
【化42】
【0201】
【化43】
【0202】
【化44】
【0203】
【表4】
【0204】
【表5】
【0205】
[感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(レジスト組成物)の調製]
下記表3及び表4に示す成分を溶剤に溶解させ、それぞれについて固形分濃度5質量%の溶液を調製し、これを0.1μmのポアサイズを有するポリエチレンフィルターで濾過してポジ型レジスト組成物を調製した。調製したポジ型レジスト組成物を下記の方法で評価し、結果を表3及び表4に示した。
なお、表3及び表4における記号は次のとおりである。
活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物B、樹脂C1、樹脂C2、及び樹脂Cは先に例示したものに対応する。
【0206】
〔塩基性化合物〕
N-1:N,N-ジブチルアニリン
N-2:N,N-ジヘキシルアニリン
N-3:2,6-ジイソプロピルアニリン
N-4:トリ-n-オクチルアミン
N-5:N,N-ジヒドロキシエチルアニリン
N-6:2,4,5-トリフェニルイミダゾール
N-9:2-[2-{2―(2,2―ジメトキシ-フェノキシエトキシ)エチル}-ビス-(2-メトキシエチル)]-アミン
〔界面活性剤〕
W-1:メガファックF176(大日本インキ化学工業(株)製、フッ素系)
W-2:メガファックR08(大日本インキ化学工業(株)製、フッ素系及びシリコン系)
W-3:ポリシロキサンポリマーKP-341(信越化学工業(株)製、シリコン系)
W-4:トロイゾルS-366(トロイケミカル(株)製)
W-5:PF656(OMNOVA社製、フッ素系)
W-6:PF6320(OMNOVA社製、フッ素系)
〔溶剤〕
SL-2: プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
SL-3: 乳酸エチル
SL-4: プロピレングリコールモノメチルエーテル
SL-5: γ-ブチロラクトン
SL-6: プロピレンカーボネート
【0207】
[露光工程及び現像工程]
シリコンウエハー上に有機反射防止膜形成用組成物ARC29A(日産化学社製)を塗布し、205℃で、60秒間ベークを行い、98nmの反射防止膜を形成した。形成した反射防止膜上に調製したポジ型レジスト組成物を塗布し、130℃で、60秒間ベークを行い、80nmのレジスト膜を形成した。得られたレジスト膜付きウエハーをArFエキシマレーザー液浸スキャナー(ASML社製 XT1250i、NA0.85)を用い、幅75nmの1:1ラインアンドスペースパターンの6%ハーフトーンマスクを通して露光した。液浸液としては超純水を使用した。その後、露光処理が施されたレジスト膜を130℃で、60秒間加熱した。その後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液(2.38質量%)で30秒間現像し、純水でリンスした後、スピン乾燥してレジストパターンを得た。
【0208】
[現像性評価]
〔現像性評価1:パターン倒れ〕
パターン倒れは、75nmのラインアンドスペースパターンを再現する露光量を最適露光量とし、ラインアンドスペース1:1の密集パターン及びラインアンドスペース1:10の孤立パターンについて、最適露光量で露光した際により微細なマスクサイズにおいてパターンが倒れずに解像する線幅を限界パターン倒れ線幅とした。値が小さいほど、より微細なパターンが倒れずに解像することを表し、パターン倒れが発生しにくいことを示す。なお、表4中「T-top」とは、パターン上部が太くなる状況を意図し、パターン倒れが発生してしまい、測定不能であったことを意図する。
結果は表3及び表4に示した。
【0209】
〔現像性評価2:ラインエッジラフネス(LER)〕
ラインパターンの長手方向のエッジ5μmの範囲について、エッジがあるべき基準線からの距離を測長SEM(Scanning Electron Microscope)((株)日立製作所製S-8840)により50ポイント測定し、標準偏差を求め、3σを算出した。この値が小さいほど良好な性能であることを示す。
値は以下の基準により評価し、結果は表3及び表4に示した。なお、実用上C以上が好ましい。
【0210】
A:3σ値が5.0未満だった。
B:3σ値が5.0以上、6.0未満だった。
C:3σ値が6.0以上、7.0未満だった。
D:3σ値が7.0以上だった。
【0211】
〔現像性評価3:スカム〕
線幅75nmのレジストパターンにおける現像残渣(スカム)を走査型電子顕微鏡(日立製S-4800)を用いて観察し、以下の基準により評価した。結果は表3及び表4に示した。なお、実用上C以上が好ましい。
【0212】
A:残渣が全く発生しなかった。
B:少し残渣は発生したが、実用には問題のないレベルであった。
C:かなり残渣が発生したが、実用範囲内であった。
D:残渣が酷く発生した。
【0213】
〔現像性評価4:現像欠陥評価〕
上記の露光工程及び現像工程を経たレジスト膜付き基板について、ケー・エル・エー・テンコール社製の欠陥検査装置KLA2360(商品名)を用い、欠陥検査装置のピクセルサイズを0.16μmに、また閾値を20に設定して、ランダムモードで測定し、比較イメージとピクセル単位の重ね合わせによって生じる差異から抽出される現像欠陥を検出して、単位面積(1cm)あたりの現像欠陥数を算出した。単位面積当たりの現像欠陥数は値が小さいほど良好な性能であることを示す。以下の基準により評価し、結果は表3及び表4に示した。なお、実用上C以上が好ましい。
【0214】
A:単位面積あたりの現像欠陥数が0.5未満だった。
B:単位面積あたりの現像欠陥数が0.5以上、0.7未満だった。
C:単位面積あたりの現像欠陥数が0.7以上、1.0未満だった。
D:単位面積あたりの現像欠陥数が1.0以上だった。
【0215】
[水追随性評価]
シリコンウエハー上に上記で調製したレジスト組成物を塗布し、130℃で60秒間ベークを行い、160nmのレジスト膜を形成し、レジスト膜付きウエハーを得た。次に、得られたレジスト膜付きウエハーをレジスト膜と石英ガラス基板とが向かい合わせとなるように配置して、その間に純水を満たした。
上記の状態で、石英ガラス基板をウエハー面に対して平行に移動(スキャン)させ、それに追随する純水の様子を目視で観測した。石英ガラス基板のスキャン速度を徐々に上げていき、純水が石英ガラス基板のスキャン速度に追随できず後退側で水滴が残り始める限界のスキャン速度(単位:nm/秒)を求めることで水追随性の評価を行った。この限界スキャン速度が大きいほど、より高速なスキャンスピードに対して水が追随可能であり、当該レジスト膜上での水追随性が良好であることを示す。結果は表3及び表4に示した。なお、実用上100nm/秒以上が好ましい。
なお、表3及び表4における「樹脂C1」「樹脂C2」「樹脂C」欄の「質量%」とは、全固形分に対する含有量を表している。
【0216】
なお、表3中、樹脂「C-34」としては、以下の繰り返し単位からなる樹脂を用いた。また、樹脂「C-34」の分子量は、下表に示した。
【化45】
【0217】
【表6】
【0218】
【表7】
【0219】
【表8】
【0220】
【表9】
【0221】
【表10】
【0222】
表3及び表4に示した結果から、樹脂Aと、化合物Bと、樹脂C1と樹脂C2との組み合わせ、及び、樹脂Cの少なくも一方と、を含有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いた実施例1~37のパターン形成方法では、所望の効果を得ることができた。一方、比較例1~7のパターン形成方法では所望の効果を得られなかった。
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物が請求項2の関係を満たす、請求項19のパターン形成方法は、実施例17のパターン形成方法と比較して、より優れた現像性及び水追従性を有していた。
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物が請求項3の関係を満たす、実施例5、10、11、25~30のパターン形成方法は、実施例1のパターン形成方法と比較して、現像性の評価に「C」評価が無く、より優れた現像性を有していた。
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物が、樹脂Cを含有し、更に、樹脂C1及び樹脂C2からなる群から選択される少なくとも1種を含有する、実施例2のパターン形成方法は、実施例1のパターン形成方法と比較して、より優れた現像性と水追従性を有していた。