(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-15
(45)【発行日】2022-04-25
(54)【発明の名称】分析装置及び容器供給装置
(51)【国際特許分類】
G01N 1/00 20060101AFI20220418BHJP
G01N 1/22 20060101ALI20220418BHJP
【FI】
G01N1/00 101B
G01N1/22 T
(21)【出願番号】P 2018137835
(22)【出願日】2018-07-23
【審査請求日】2020-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000155023
【氏名又は名称】株式会社堀場製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【氏名又は名称】上村 喜永
(72)【発明者】
【氏名】平田 泰士
(72)【発明者】
【氏名】井上 貴仁
(72)【発明者】
【氏名】池上 晃平
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-004716(JP,A)
【文献】特開平06-273288(JP,A)
【文献】実開昭59-027460(JP,U)
【文献】実開昭56-124863(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2010/0250010(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00 - 1/44
G01N 35/00 -37/00
G01N 31/00 -31/22
G01N 25/00 -25/72
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁に形成された開口部から水平方向に延びる空間を有する加熱炉と、
試料を収容した容器を前記加熱炉外の待機位置から前記加熱炉内の燃焼位置に前記開口部を介して供給する容器供給機構と、
前記加熱炉で加熱されて燃焼した前記試料から生じるガスを分析するガス分析計とを備え、
前記容器供給機構は、
前記待機位置にある前記容器を前記待機位置及び前記燃焼位置の間の中間位置に
前記容器の姿勢を保ったまま移動させる第1移動部と、
前記中間位置にある前記容器を前記燃焼位置に
前記容器の姿勢を保ったまま移動させる第2移動部とを有する、分析装置。
【請求項2】
前記待機位置、前記中間位置及び前記燃焼位置は同一直線上である、請求項1記載の分析装置。
【請求項3】
前記第1移動部は、前記容器を前記待機位置から前記中間位置に直線状に押し出すものであり、
前記第2移動部は、前記容器を前記中間位置から前記燃焼位置に直線状に押し出すものである、請求項1又は2記載の分析装置。
【請求項4】
前記第1移動部及び前記第2移動部は上下に配列されている、請求項1乃至3の何れか一項に記載の分析装置。
【請求項5】
前記第2移動部は、前記容器を前記中間位置と前記燃焼位置との間で往復移動させるものであり、
前記第2移動部により前記燃焼位置から前記中間位置に戻された前記容器を廃棄する廃棄機構をさらに備える、請求項1乃至4の何れか一項に記載の分析装置。
【請求項6】
前記廃棄機構は、上部に開口を有する廃棄部と、前記廃棄部の開口を閉塞する開閉蓋と、前記開閉蓋を下げることによって前記開口を開閉するアクチュエータとを備え、
前記開閉蓋の上面に前記中間位置が設定されており、前記アクチュエータが前記開閉蓋を下げることによって前記中間位置にある容器が前記廃棄部に廃棄される、請求項5記載の分析装置。
【請求項7】
前記加熱炉及び前記ガス分析計を備える分析ユニットと、
前記容器供給機構を備える供給ユニットとを備え、
前記分析ユニット及び前記供給ユニットは互いに着脱可能に構成されている、請求項1乃至6の何れか一項に記載の分析装置。
【請求項8】
複数の前記容器がセットされるストッカを更に備え、
前記容器供給機構は、前記ストッカにセットされた前記容器を前記加熱炉に供給するものである、請求項1乃至7の何れか一項に記載の分析装置。
【請求項9】
前記ストッカは、前記容器供給機構から着脱可能に構成されており、
前記ストッカの上面には、前記複数の容器を覆うカバー体が着脱可能に設けられている、請求項8記載の分析装置。
【請求項10】
側壁に形成された開口部から水平方向に延びる空間を有し、当該空間に試料を収容した容器が配置される加熱炉に前記試料を供給する容器供給装置であって、
前記容器を前記加熱炉外の待機位置から前記加熱炉内の燃焼位置に前記開口部を介して供給
するものであり、
前記待機位置にある前記容器を前記待機位置及び前記燃焼位置の間の中間位置に
前記容器の姿勢を保ったまま移動させる第1移動部と、
前記中間位置にある前記容器を前記燃焼位置に
前記容器の姿勢を保ったまま移動させる第2移動部とを有する、容器供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、鉄鋼や非鉄金属、セラミックス等の試料に含まれる炭素(C)、硫黄(S)等の無機物中の元素を分析する分析装置及びこれに用いられる容器供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の元素分析装置としては、特許文献1に示すように、試料を収容した容器(ボート)を加熱炉に配置して、当該加熱炉で加熱されて燃焼した試料から生じるガスを分析するものがある。この元素分析装置の加熱炉は、側壁に試料を出し入れする開口部が形成されており、当該開口部から水平方向に容器を配置するための空間が延びた構成とされている。
【0003】
そして、特許文献1に示すように、加熱炉内に容器を自動で充填する自動機(オートサンプラ)は、1本のロッドを用いて加熱炉外にあるボートを1ストロークで加熱炉内に移動させる構成としてある。
【0004】
しかしながら、このように1ストロークで容器を充填する構成では、1ストロークの長さが長くなってしまい、自動機の外形寸法が大きくなってしまうという問題がある。その結果、自動機及び当該自動機を含む元素分析装置の設置面積が大きくなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は上記問題点を解決すべくなされたものであり、試料を収容した容器を加熱炉内に移動させる機構をコンパクトにすることをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明に係る分析装置は、側壁に形成された開口部から水平方向に延びる空間を有する加熱炉と、試料を収容した容器を前記加熱炉外の待機位置から前記加熱炉内の燃焼位置に前記開口部を介して供給する容器供給機構と、前記加熱炉で加熱されて燃焼した前記試料から生じるガスを分析するガス分析計とを備え、前記容器供給機構は、前記待機位置にある前記容器を前記待機位置及び前記燃焼位置の間の中間位置に移動させる第1移動部と、前記中間位置にある前記容器を前記燃焼位置に移動させる第2移動部とを有することを特徴とする。
【0008】
このようなものであれば、加熱炉外の待機位置から加熱炉内の燃焼位置に供給する容器供給機構が、待機位置から中間位置に移動させる第1移動部と、中間位置から燃焼位置に移動させる第2移動部とを有しているので、各移動部における移動量を、待機位置から燃焼位置に一挙に移動させる構成に比べて小さくすることができる。その結果、容器供給機構をコンパクトにすることができるだけでなく、分析装置をコンパクトにすることができる。
【0009】
容器の移動領域を小さくするためには、前記待機位置、前記中間位置及び前記燃焼位置は同一直線上であることが望ましい。
【0010】
第1移動部及び第2移動部の構成を簡単にするためには、前記第1移動部は、前記容器を前記待機位置から前記中間位置に直線状に押し出すものであり、前記第2移動部は、前記容器を前記中間位置から前記燃焼位置に直線上に押し出すものであることが望ましい。
【0011】
容器移動機構の平面視における設置面積を小さくするためには、前記第1移動部及び前記第2移動部は上下に配列されていることが望ましい。
【0012】
燃料後の容器の廃棄を簡単にするためには、前記第2移動部は、前記容器を前記中間位置と前記燃焼位置との間で往復移動させるものであり、分析装置は、前記第2移動部により前記燃焼位置から前記中間位置に戻された前記容器を廃棄する廃棄機構をさらに備えることが望ましい。
【0013】
廃棄機構の構成を簡単にするとともに、中間位置に戻された燃焼済みの容器を即座に廃棄できるようにするためには、前記廃棄機構は、上部に開口を有する廃棄部と、前記廃棄部の開口を閉塞する開閉蓋と、前記開閉蓋を下げることによって前記開口を開閉するアクチュエータとを備え、前記開閉蓋の上面に前記中間位置が設定されており、前記アクチュエータが前記開閉蓋を下げることによって前記中間位置にある容器が前記廃棄部に廃棄されることが望ましい。
【0014】
本発明の分析装置は、前記加熱炉及び前記ガス分析計を備える分析ユニットと、前記容器供給機構を備える供給ユニットとを備え、前記分析ユニット及び前記供給ユニットは互いに着脱可能に構成されていることが望ましい。
この構成であれば、分析ユニットに供給ユニットを接続した状態では、自動的に容器を供給することができるし、分析ユニットから供給ユニットを離脱した状態では、手動で容器を供給することができる。また、分析ユニット、供給ユニットのメンテンナンスもしやすくなる。
【0015】
複数の容器に収容された試料を連続的に分析するためには、複数の前記容器がセットされるストッカを更に備え、前記容器供給機構は、前記ストッカにセットされた前記容器を前記加熱炉に供給するものであることが望ましい。
【0016】
試料を収容した容器をストッカに装填しやすくするためには、前記ストッカは、前記容器供給機構から着脱可能に構成することが考えられる。このとき、複数の容器を装填したストッカを容器供給機構に装着する際に、容器から試料が溢れたりする恐れがある。この問題を好適に解決するためには、前記ストッカの上面には、前記複数の容器を覆うカバー体が着脱可能に設けられていることが望ましい。この構成であれば、ストッカにセットされた容器にダストが入らないようにすることができる。また、ストッカの中で容器が倒れるのを防止することもできる。
【発明の効果】
【0017】
以上に述べた本発明によれば、試料を収容した容器を加熱炉内に移動させる機構をコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態の分析装置の構成を模式的に示す図である。
【
図2】同実施形態のストッカ及びカバー体を示す断面図である。
【
図3】同実施形態の供給ユニットの外観構成を模式的に示す斜視図である。
【
図4】同実施形態の測定準備及び一次押し出しを示す模式図である。
【
図5】同実施形態の二次押し出し及び測定を示す模式図である。
【
図6】同実施形態の容器の回収を示す模式図である。
【
図7】同実施形態の容器の廃棄を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態に係る分析装置について、図面を参照しながら説明する。
【0020】
<装置構成>
本実施形態の分析装置100は、例えば、金属等の試料を加熱して燃焼させ、それによって生じたガスから当該試料に含まれる炭素(C)、硫黄(S)等の元素を分析するものである。
【0021】
具体的にこの分析装置100は、
図1に示すように、試料Wが収容された容器2が配置される加熱炉3と、加熱炉3で加熱されて燃焼した試料Wから生じるガスを分析するガス分析計4と、加熱炉3に容器2を供給する容器供給機構5とを備えている。
【0022】
容器2は、内部に例えば粉末状の試料Wが収容されるものであり、本実施形態の容器2は、上部に開口を有する長尺状をなすものであり、具体的には磁気燃焼ボートである。なお、容器2の形状はこれに限られず、種々の形状とすることができる。
【0023】
加熱炉3は、その内部で、試料Wが収容されていない容器2を空焼きしたり、試料Wが収容された容器2を加熱し、試料Wを加熱してガスを発生させるものである。
【0024】
具体的に加熱炉3は、側壁に形成された開口部3Hから水平方向に延びる空間3Sを有し、当該空間3Sに容器2が配置されるものであり、容器2が出し入れされる炉本体31と、当該炉本体31の周囲に設けられて炉本体31を加熱する電気抵抗体32と、当該電気抵抗体32に電力を供給して通電発熱させる電源回路33とを備えている。なお、本実施形態では、加熱炉3の前壁に開口部3Hが形成されており、当該開口部3Hから奥行き方向に空間3Sが形成されている。
【0025】
炉本体31は、例えば円筒状のセラミック成形体であり、内部に容器2を収容可能な空間3Sを有するものである。炉本体31の一方の端部は開口部3Hに連通している。また、炉本体31の他方の端部には、試料Wから発生したガスをガス分析計4に導出するためのガス導出口が設けられている。なお、炉本体31の加熱方式としては、電気抵抗炉に電流を流して抵抗加熱(ジュール発熱)させるものであっても良く、この場合に炉本体31は導電性を有する金属から形成される。その他、炉本体31内に収容された容器又は試料を誘導加熱する方式であっても良い。
【0026】
ガス分析計4は、加熱炉3で生じたガスを分析して、試料Wに含まれる各成分の含有量を求めるものである。本実施形態では、例えば、非分散型赤外線吸収法(NDIR法)を用いて分析するものである。具体的にこのガス分析計4は、図示しない非分散型赤外線検出器を有しており、加熱炉3から導出されたガスに含まれるCO2、CO、SO2等を検出することで、試料Wに含まれる炭素(C)や硫黄(S)等の含有量を求めるものである。
【0027】
本実施形態では、上記の加熱炉3及びガス分析計4はユニット化されており、1つの分析ユニット100Xを構成する。この分析ユニット100Xは、キャスターなどにより移動可能に構成されていてもよい。
【0028】
容器供給機構5は、容器2を加熱炉3の側壁に形成された開口部3Hを介して供給するものであり、加熱炉3外に設定された待機位置Pから加熱炉3内に設定された燃焼位置Qに移動させるものである。
【0029】
具体的に容器供給機構5は、容器2を多段階(以下では2段階)に分けて移動させるものであり、待機位置Pの容器2を待機位置P及び燃焼位置Qの間の中間位置Rに移動させる第1移動部51と、中間位置Rの容器2を燃焼位置Qに移動させる第2移動部52とを有する。
【0030】
ここで、待機位置P、中間位置R及び燃焼位置Qは、この順で同一直線上である。
待機位置Pは、加熱される前の容器2がセットされる位置であり、本実施形態では、複数の容器2がセットされるストッカ6上の位置である。
中間位置Rは、容器2全体が炉本体31に入る直前の位置であり、容器2全体が炉本体31に入る前の位置であってもよいし、容器2の一部が炉本体31に入った状態の位置であっても良い。
燃焼位置Qは、炉本体31の空間3Sにおいて所定の加熱温度となる位置であり、例えば炉本体31の中央部とすることが考えられる。
【0031】
第1移動部51は、容器2を待機位置Pから中間位置Rに直線状に押し出すものである。具体的に第1移動部51は、容器2を押し出す作動子511と、当該作動子511を駆動する例えばモータやエアシリンダ等のアクチュエータ512とを有する。本実施形態では、作動子511が直線状に進退するものであってもよいし、直線状に伸縮するものであっても良い。
【0032】
第2移動部52は、第1移動部51とは別に設けられ、容器2を中間位置Rから燃焼位置Qに直線状に押し出すものである。具体的に第2移動部52は、容器2を押し出す作動子521と、当該作動子521を駆動する例えばモータやエアシリンダ等のアクチュエータ522とを有する。本実施形態では、作動子521が直線状に進退するものであってもよいし、直線状に伸縮するものであっても良い。
【0033】
ここで、第1移動部51の作動子511の長さと第2移動部52の作動子521の長さとは異なる。本実施形態では、第2移動部52が容器2を炉本体31の奥まで押し出す必要があるので、第2移動部52の方が第1移動部51よりも長い。
【0034】
また、第2移動部52は、燃焼位置Qの容器2を中間位置に戻すこともできる。このため、第2移動部52の作動子521の先端部には、容器2を引っ掛けるための引掛け部521xが形成されている。なお、第2移動部52により容器2を戻す位置は中間位置Rに限られず、その他の位置であってもよいし、第2移動部52によって戻された容器2をさらに第1移動部51により中間位置R又はその他に位置に戻すようにしても良い。また、作動子521の先端部に引掛け部521xを形成する他、容器2を挟む挟み部を設けても良い。
【0035】
これら第1移動部51及び第2移動部52は上下に配列されている。ここでは、第1移動部51が下であり、第2移動部52が上である構成を示しているが、逆であっても良い。
【0036】
そして、容器供給機構5は、第1移動部51及び第2移動部52をそれぞれ昇降移動させる第1昇降移動部53及び第2昇降移動部54を備えている。各昇降移動部53、54は、上下に延びるリニアガイド機構と例えばモータやエアシリンダ等のアクチュエータとを備えている。第1昇降移動部53は、第1移動部51により容器2を押し出す場合に、当該第1移動部51を退避した位置から所定の押し出し高さに移動させる(上げる)ものである。第2昇降移動部54は、第2移動部52により容器2を押し出す場合に、当該第2移動部52を退避した位置から所定の押し出し高さに移動させる(下げる)ものである。
【0037】
さらに、本実施形態の分析装置100は、第2移動部52により燃焼位置Qから中間位置Rに戻された容器2を廃棄する廃棄機構7をさらに備えている。
【0038】
廃棄機構7は、加熱炉3により加熱された容器2を廃棄するものであり、上部に開口を有する廃棄部71と、廃棄部71の開口を閉塞する開閉蓋72と、開閉蓋72を下げることによって開口を開閉するアクチュエータ73とを備えている。ここで、開閉蓋72の上面に中間位置Rが設定されており、アクチュエータ73が開閉蓋72を下げることによって中間位置Rにある容器2が廃棄部71に廃棄される。なお、廃棄部71は、容器であってもよいし、外部の廃棄容器(不図示)に接続される廃棄流路であっても良い。
【0039】
また、本実施形態の容器供給機構5は、ストッカ6にセットされた容器2を加熱炉3に供給するものであり、当該ストッカ6には、複数の容器2がセットされる。
【0040】
ストッカ6は、
図2に示すように、複数の容器2を収容する収容空間6sを有しており、それらの長手方向が一致するように並べて収容するものである。また、ストッカ6は、容器供給機構5から着脱可能に構成されている。
【0041】
このため、ストッカ6には、収容された複数の容器2を覆うカバー体8が着脱可能に設けられている。カバー体8は、ストッカ6の上面において複数の容器2を覆う上板部81と、当該上板部81の一端に接続された側板部82とを有している。上板部81及び側板部82にはそれぞれ取っ手83が設けられている。
【0042】
これらストッカ6及びカバー体8の間には、カバー体8を着脱可能にするための固定構造84が設けられている。この固定構造84は、カバー体8の側板部82の内面に設けられた挿し込みピン841と、ストッカ6の側面に形成され、挿し込みピン841が挿し込まれる挿し込み部842とからなる。挿し込み部842に挿し込みピン841を挿し込むことによって、ストッカ6に対してカバー体8が固定され、カバー体8に設けられた取っ手83を持つことによって、ストッカ6を持ち運びすることができる。
【0043】
また、本実施形態では、上記の容器供給機構5及び廃棄機構7はユニット化されており、1つの供給ユニット100Y(容器供給装置)を構成する。この供給ユニット100Yは、キャスターなどにより移動可能に構成されている。そして、供給ユニット100Yは、上記の分析ユニット100Xと着脱可能に構成されている。
【0044】
また、供給ユニット100Yは、
図3に示すように、容器供給機構5及びストッカ6を収容する筐体9を有している。当該筐体9には、メンテナンス用に開閉可能なカバー91と、ストッカ6を出し入れして容器2を補充するための開閉扉92とが設けられている。開閉扉92には、筐体9の内部(特にストッカ6内の容器2)の状態を観察するための観察用窓921が設けられている。また、開閉扉92は、ストッカ6にカバー体8が取り付けられた状態では、カバー体の取っ手83が引っ掛かって閉まらないように構成されている。
【0045】
また、筐体9の側壁には、分析ユニット100Xの炉本体31の内部の状態を観察するための観察用窓93が設けられている。当該観察用窓93は、容器供給機構5の容器供給側とは反対側の側壁において、加熱炉3の開口部3Hの前方に対応する位置に形成されている。これにより、各昇降移動部53、54により第1移動部51及び第2移動部52が上下に退避した位置にある状態で、観察用窓93から炉本体31の内部の状態を観察することができる。
【0046】
次に容器供給機構5による容器2の供給動作及び廃棄動作について
図4~
図7を参照して説明する。
(1)測定準備及び一次押し出し(
図4参照)
まず、ストッカ6にセットされた容器2の1つが待機位置Pとなるようにストッカ6を図示しない水平移動機構により移動させる。この状態で、容器供給機構5の第1昇降移動部53が、第1移動部51を退避した位置から所定の押し出し高さに移動させて、第1移動部51の作動子511が、容器2を待機位置Pから中間位置Rに押し出す。その後、第1移動部51は作動子511を戻し、第1昇降移動部53は、第1移動部51を退避した位置に戻す。
【0047】
(2)二次押し出し及び測定(
図5参照)
次に、容器供給機構5の第2昇降移動部54が、第2移動部52を退避した位置から所定の押し出し高さに移動させて、第2移動部52の作動子521が、容器2を中間位置Rから分析位置である燃焼位置Qに押し出す。その後、第2移動部52は作動子521を戻し、第2昇降移動部54は、第2移動部52を退避した位置に戻す。また、加熱炉3の開口部3Hに設けられたシャッタ(不図示)が閉じて、分析シーケンスが開始される。
【0048】
(3)容器2の回収(
図6参照)
分析終了後、開口部3Hのシャッタが開く。容器供給機構5の第2昇降移動部54が、第2移動部52を退避した位置から所定の押し出し高さに移動させて、第2移動部52の作動子521、容器2を燃焼位置Qから中間位置Rに引っ張り出す。このとき、第2昇降移動部54は、作動子521の引掛け部521xが容器2の縁部に引っかかるように第2移動部52を上下動させる。また、本実施形態では、引掛け部521xが確実に容器2の縁部に引っかかるように、作動子521により容器2を燃焼位置Qから若干押して位置調整した後に、第2昇降移動部54が第2移動部52を上下動させる構成としてある。また、第2昇降移動部54は、第2移動部52が容器2を中間位置Rに戻した後に、第2移動部52を退避した位置に戻す。
【0049】
(4)容器2の廃棄(
図7参照)
第2移動部52により分析後の容器2が中間位置Rに戻された後に、廃棄機構7の開閉蓋72が開くことによって、容器2が廃棄される。そして、次の容器2を測定すべく、上記の(1)の工程に戻る。
【0050】
<本実施形態の効果>
本実施形態の分析装置100によれば、加熱炉3外の待機位置Pから加熱炉3内の燃焼位置Qに供給する容器供給機構5が、待機位置Pから中間位置Rに移動させる第1移動部51と、中間位置Rから燃焼位置Qに移動させる第2移動部52とを有しているので、各移動部51、52における移動量を、待機位置Pから燃焼位置Qに一挙に移動させる構成に比べて小さくすることができる。その結果、容器供給機構5をコンパクトにすることができ、分析装置100全体をコンパクトにすることができる。
【0051】
また、本実施形態では、第1移動部51及び第2移動部52に分けたことによって、各作動子511、521の長さを短くすることができ、それらの撓みによる不具合(例えば容器の位置決め不良や、周辺部材への接触)を低減することができる。さらに、中間位置Rが容器2全体が炉本体31に入る直前の位置としてあるので、第1移動部51の作動子511に与えられる熱影響を低減することができ、耐熱性に優れた高価な材料を用いる必要がなくなる。なお、第2移動部52の作動子521は、炉本体31に挿入されるため熱影響の問題があるが、第2移動部52の作動子521に耐熱性に優られた材料を用いることによってそれを低減することができる。耐熱性に優れた材料を用いた場合であっても、従来よりも作動子の長さが短いので、コストを削減することができる。
【0052】
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0053】
前記実施形態では、2つの移動部51、52を用いて待機位置Pから燃焼位置Qに2段階で移動させる構成としたが、3つ以上の移動部を用いて待機位置Pから2つ以上の中間位置Rを介して燃焼位置Qに移動させる構成としても良い。
【0054】
前記実施形態では、待機位置P、中間位置R及び燃焼位置Qは、一直線上であったが、一直線上でなくても良い。この場合であっても、移動部の構成を簡単にするために、各位置間の移動は、直線移動であることが望ましい。
【0055】
前記実施形態では、1つのストッカ6に複数の容器2をセットして加熱炉3に供給する例を示したが、複数のストッカを多段に設置して、より多くの容器2を連続測定できるようにしても良い。この場合、容器供給機構に対してストッカを水平移動させる機構だけでなく、容器供給機構に対してストッカを上下移動させる機構を設けることが考えられる。
【0056】
前記実施形態では、第1移動部による容器の移動と第2移動部の容器の移動とは、炉本体31との位置関係で設定されているが、例えば、待機位置Pから燃焼位置Qまでの距離を均等に分割したものであっても良いし、温度によって分割したものであっても良い。
【0057】
また、第1移動部及び第2移動部の配置は、上下に配列したものに限られず、左右に配列したものであっても良いし、周辺の構造に応じて種々選択することができる。
【0058】
さらに、各移動部51、52の作動子511、521に例えばセラミックコーティンするなどの耐熱処理を施しても良い。
【0059】
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて様々な実施形態の変形や組み合わせを行っても構わない。
【符号の説明】
【0060】
100 ・・・分析装置
100X・・・分析ユニット
100Y・・・供給ユニット(オートサンプラ)
W ・・・試料
2 ・・・容器
3H ・・・開口部
3S ・・・空間
3 ・・・加熱炉
P ・・・待機位置
Q ・・・燃焼位置
R ・・・中間位置
4 ・・・ガス分析計
5 ・・・容器供給機構
51 ・・・第1移動部
52 ・・・第2移動部
6 ・・・ストッカ
7 ・・・廃棄機構
71 ・・・廃棄容器
74 ・・・開閉蓋
73 ・・・アクチュエータ
8 ・・・カバー体